シオン 紫苑
Flora of Mikawa
キク科 Asteraceae シオン属
別 名 | オニノシコグサ、ジュウゴヤソウ、オモイグサ、ノジオン |
中国名 | 紫菀 zi wan |
英 名 | Tatarian aster |
学 名 | Aster tataricus L.f. synonym Aster fauriei Tamamsch |
花 期 | 8~10月 |
高 さ | 100~200㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 日陰の湿った場所、牧草地、草原、湿った川岸、花畑、道端 |
分 布 | 在来種 本州(中国地方以西)、九州、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア |
撮 影 | 美ケ原高原林道 09.8.21 |
多年草、高さ(11)100~150(200)㎝。根茎が木質になる。茎のつかないロゼットがしばしばある。茎は直立し、単純、うねがあり、下部はほぼ無毛、上部はまばらに小剛毛があり、葉の下に微細な有柄の腺がある。葉は茎葉、上部ではかなり小さくなり、下面にはまばらに細かい有柄の腺があり、縁にはザラつく縁毛があり、中脈は下面で明瞭、先は尖鋭形~鋭形または円形、微突形。最下部の葉は花時に枯れ、長く、わずかに翼のある葉柄があり(葉柄は長さ30㎝以下)、葉柄の基部は鞘になる。葉身は倒披針形~卵形、長さ(2.1~)30~50㎝×幅(0.9~)6~12㎝、基部は漸尖し、縁は波打ち、粗い鋸歯があり、脈は羽状脈、6~10対つく。下部から上部の葉は短い葉柄がある(基部は鞘になる)か、または無柄、倒披針形~披針形、長さ2~18㎝×幅0.6~5㎝、基部は漸尖し、縁は粗い鋸歯~小鋸歯があるかまたは全縁。合成花序の葉は披針形、長さ1.3~7㎝×幅0.2~1㎝。頭花は(2~)14~50個またはそれ以上、頂生の散房花序状の合花花序につき、直径3~3.5㎝。花序柄は長さ25~65㎜、まばらに小剛毛があり、中程度~密に、微細な有柄の腺がある。苞は線状披針形、全縁、ときに次第に総苞片になる。総苞は鐘形、長さ7~10(~12)㎜。総苞片は3列、不等長、中脈が緑色、膜質、基部は±硬くなり、縁は微細不整歯、縁毛があり、中脈は±明瞭、わずかに半透明。外側の総苞片は狭披針形、長さ4~5㎜×幅0.8~1㎜、まばらに小剛毛があり、上部にはまばらに細かい有柄の腺があり、ときに±葉状になり、縁は狭い薄膜質、先は鋭形、縁毛があり、先端は帯紫色。中部の総苞片は長円形~披針状長円形、長さ6~7㎜×幅約1㎜、下面は無毛~上部または中脈に沿ってまばらに小剛毛があり、または腺が無く、または非常にまばらに腺があり、縁は薄膜質、先は尖鋭形、ときに微突形、上部の縁および先端は帯紫色。内側の総苞片は線状披針形~線状長円形、長さ8~10㎜×0.6~1㎜、無毛、まばらに細かい有柄の腺があり、縁は薄膜質、先は尖鋭形、微細不整歯、帯紫色。周辺小花は14~30個、青色または淡いラベンダー色または紫色、舌状小花の小舌は長さ7~15㎜×幅1.5~2.5㎜、無毛、線は無い。中心小花は黄色、長さ5~7㎜、拡大部は鐘形、長さ3.5~4㎜、花冠裂片は直立、先が開出し、狭三角形、長さ約2㎜、無毛、腺はない。痩果は暗色、倒卵形、わずかに扁平、長さ2.5~3㎜、まばら~中等度に小剛毛があり、まばらに微細な有柄の腺があり、4~6本のうねがある。冠毛は4列、帯赤色、ひげ状の剛毛。最も外側の剛毛は少なく、細く、長さ0.2~0.3㎜。外側の剛毛は細く、長さ1.5~2㎜。内側の剛毛は長さ4.5~5㎜、先細になり、最も内側の剛毛は長さ6~7㎜、わずかに棍棒形。花期は7~9月。果期は8~10月。2n=54。
品種) 'Blue Lake' , 'Jindai'
チョウセンシオン(Aster koraiensis)は朝鮮原産であるが、観賞用に栽培され、野生化し、道端などに群落が見られる。シオンより草丈が低く、高さ40~80cm。全体に無毛。根生葉があって、花時に残り、長さ約20cm×幅3~5cm。茎葉は互生し、無柄、約・長さ10cm×幅3cm、披針形~狭楕円形、先は尖鋭形、縁にはまばらに鋸歯がある。茎上部の葉腋で分枝し、枝先に少数の頭花をつける。頭花は直径3~4cm。周辺小花は淡紫色。中心小花は黄色。総苞片はほぼ4列につき、卵形~楕円形で先は少し尖り、縁は膜質。痩果は円柱形、稜があり、淡黒色、無毛、冠毛はない。花期はやや早く6~8月。
シオン(アステルまたはアスター)属
family Asteraceae - subfamily Asteroideae - tribe Anthemideae - subtribe Leucantheminae - genus Aster多年草、まれに1年草、2年草、亜低木、低木、普通、根茎があり、ときにやや木質。茎は直立し、ときに傾伏~斜上~平伏。葉は互生、まれに、対生、葉柄は無又は有。葉身は倒卵形~楕円状卵形~卵形~披針形、縁は全縁、鋸歯縁又は粗い歯状、ときに羽状中裂。頭花は単生又は散房花序ときに円錐花序の合成花序(synflorescence)につき、放射状頭花(radiate)、まれに円盤型頭花(discoid)。総苞は半球形、鐘形又は倒円錐形。総苞片は2~5列、覆瓦状又は等長、線状披針形、草質又は膜質、縁は薄膜質(少なくとも内総苞片は)、先はときに紫色を帯びる。花托は平ら又は凸面~円錐形、ハチの巣状、ときに引き裂かれ、パレアは無い。周辺小花は雌性、稔性まれに不稔性、1~2列、まれに欠き、白色、ピンク色、紫色又は青色、先は不明瞭な2又は3個の歯がある。中心小花は多数、両性、稔性、黄色又は紫褐色、拡大部は鐘形、5裂。裂片は等長又は不等長(1列片が深く、花冠が左右相称)。葯の基部は鈍形。花柱の枝の先端は披針形又は三角形。痩果は長円形、倒卵形、又は倒披針形、扁平又は類凸面、まれに3又は4角(かど)があり、縁は2(~6)うねがあり、無毛又は剛毛があり、腺は無又は有。冠毛は1~4列につき、宿存まれに早落ときに欠き、白色、帯褐色、又は帯赤色。外側の列は短く、細く、剛毛又は鱗片。内側の列は多数、類等長、芒状の剛毛(barbellate bristle)又は小芒状の剛毛(barbellulate bristle)、先は鋭形。最内列はときに棍棒形、ときに離生の単剛毛又は鱗片、又は合着した鱗片で内側の剛毛が無い。ときに周辺小花の冠毛が無く、中心小花の冠毛がある。x=9。
世界に約180種があり、北アメリカ、ユーラシアに分布する。中国には約120種がある。
シオン属は、かつてユーラシア大陸と北アメリカ大陸に自生している種(約600種)が含まれていたが、形態学的研究やDNA解析による分子系統学の研究により、属が分割され、北アメリカに自生する種は、1種(Aster alpinus)を除いて他の属に移行された。このため、シオンと呼ばれる多くの園芸植物の中で、シオン属でない品種が多数ある。
シオン(アステルまたはアスター)属の主な種と園芸品種
1 Aster ageratoides Turcz. シロヨメナ 白嫁菜 広義synonym Aster trinervius subsp. ageratoides (Turczaninow) Grierson [Flora of China]
日本、韓国、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム原産。林内、林縁、雑木林、谷間の湿った場所に生える。茎は直立し、高さ40~100㎝、細くまたは太く、枝分かれし、伏剛毛がある(strigose)。葉は紙質(薄く、ときにかなり厚い)。葉身は広卵形、楕円形、または長円状披針形、下面には微軟毛があり、脈は伏剛毛があり、上面は伏剛毛があり、しばしば腺があり、または両面に小綿毛があり、基部の上に3脈があり(三行脈 triplinerved)、基部は漸尖する。総苞は直径4~10㎜。総苞片は先が緑色または紫褐色。周辺小花は紫色、帯緑色、または白色(Flora of China)。
シロヨメナの学名
Flora of ChinaではAster trinervius subsp. ageratoides (Turczaninow) Grierson,とし、その変種はAster ageratoidesの変種を列記している。下位分類はPlants of the World Online(Kewscience)、World Plants (Complete List)に従う。KewscienceではAster ageratoides Turcz.を東アジアに広く分布する種とし、Aster ageratoides var. ageratoidesは日本を分布域に含め、東アジアに広く分布する変種としている。Aster ageratoides var. laticorymbusにシロヨメナAster ageratoides var. leiophyllus を含めている。YListではAster ageratoides var. ageratoidesをチョウセンノコンギクとし日本を分布域に含めていない。シロヨメナは別種のAster leiophyllus var. leiophyllus(Aster ageratoides var. leiophyllus)とし、他をAster leiophyllusの変種としている。Flora of TaiwanではAster ageratoides Turcz.にAster ageratoides var. leiophyllus を含め、シロヨメナ(中国名は山白蘭)としている。【Flora of Taiwanの解説 Aster ageratoides Turcz. シロヨメナ】
synonym Aster ageratoides var. leiophyllus (Franch. et Savat.) Ling.
synonym Aster ageratoides var. scandenssynonym Aster leiophyllus Franch. & Sav.
synonym Aster trinervius var. scandens Hayata
日本、韓国、中国南東部~北東部、台湾、モンゴル、シベリア、東アジア原産。1,500~2,500mの山地に生える。中国名は山白蘭。
多年草、直立し、長い匍匐性の根茎を持つ。茎は円柱形、高さ40~110㎝、まれに、屈曲し、無毛または上部にわずかに毛があり、上部で分枝する。花期に根生葉は枯れる。茎葉は明瞭な3脈があり、両面はほぼ無毛またはほとんど毛がない。中部の葉は長さ4~12㎝×幅2~4㎝、卵状長円形または長円状披針形、先は尖鋭形または漸尖する尖鋭形、基部は鋭く狭まり、漸尖するくさび形、ほぼ無柄または短柄があり、縁は鋸歯があり、4~8 対の浅い歯がある。上部の葉は小さい。頭花は数個~多数、緩い散房花序につき、幅1.5~2㎝。花序柄は長さ2~10㎜。総苞は鐘形~半球形、高さ3~4.5㎜×幅4.5~6㎜、総苞片は3~4列、緑色~帯紫色、草質、やや薄膜質、1脈が内側にあり、狭披針形、先は鈍形~鋭形、全縁、無毛または外側にわずかに粗毛があり、縁は通常、繊毛がある。内側の総苞片は徐々に長くなり、長さ3~4.5㎜×幅 0.5~1㎜。外側の総苞片は長さ1.7~2㎜×幅0.8~1.3㎜。周辺小花は10~15個、舌部は通常、白色、まれに帯紫色、長さ5~8㎜×幅0.8~1.4㎜。中心小花は黄色。冠毛は汚白色または帯赤色、成熟すると長さ4~5㎜になる。痩果は披針形~倒卵形、扁平、淡褐色、長さ2~3㎜×幅0.7~1.2㎜、絹毛がある。花期は9~2月。2n=18, 36, 37。
品種) 'Ashvi' , 'Asran' , 'Blaukuppel' , 'Ezo Murasaki' , 'Harry Smith' , 'Little Theo' , 'Pink Profusion' , 'Stardust' , 'Starshine' (PBR)
1-1 Aster ageratoides Turcz. var. alatopetiolatus (Kitam.) Kitam.
synonym Aster ageratoides subsp. alatopetiolatus Kitamsynonym Aster ageratoides subsp. alato-petiolata Kitam. ,Acta Phytotax.Geobot.23;12(1968)
アッサム、東ヒマラヤ、ラオス、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム原産。茎葉は基部が卵形で、基部が狭くなり、くさび形で、葉柄には翼がある。葉には、中央近くで枝分かれする明瞭な3脈があり(suprabasal trinervation:基部の上から出る三行脈)、よりザラつく。舌状小花は白色または淡青色。 総苞はやや狭く、総苞片は一般に淡緑色で、それほど黒紫色にならず、薄緑色または褐茶緑色。[Acta Phytotax. Geobot. 41(1-3): 87 (1990)]。
1-2 Aster ageratoides Turcz. var. ageratoides チョウセンノコンギク 朝鮮野紺菊 狭義
synonym Aster ageratoides Turcz. var. adustus Maxim.synonym Aster adustus (Maximowicz) Koidzumi ex Nakai
(日本)、韓国、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール、ラオス、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム原産。中国名は三脉紫菀 san mai zi wan 。三脈紫菀(白嫁菜)。別名はシベリアノコンギク、ノヤマコンギク。林内、林縁、茂み、谷間の湿った場所に生える。Flora of Chinaでは日本を分布域に含めず、朝鮮、中国、ロシア原産としている。YListでは日本を分布域に含めず、チョウセンノコンギクとし、シロヨメナを別種(Aster leiophyllus)に分けている。
葉は長円状披針形または狭披針形、質が薄く、上面は密に剛毛があり、下面はまばらに毛があるか、または無毛、葉脈に±毛があり、わずかに腺があり、縁は粗い鋸歯がある。総苞は長さ5~7㎜×幅6~10㎜、先は紫褐色。周辺小花は紫色または赤色(Flora of China)。
茎は円柱形、高さ1m、分枝し、小剛毛がある。中部の茎葉は、しばしば長円状披針形で、基部は中央のやや下で、急に狭くなり、くさび形~円形、3脈があり、先は尖鋭形、紙質、上面は緑色、剛毛でザラつき、下面は淡色。総苞は卵形、乾くと半球状こま形、長さ5㎜×幅8~10㎜、花序柄は堅い。総苞片は鈍形、褐紫色、多少、薄膜状革質、縁には縁毛がある。花冠は淡紫色。花柱の枝の先は鋭い三角形。冠毛は褐紫色、長さ3mm、外側の剛毛は短く、少数。内側の剛毛は長い。外形は Aster leiophyllum に近いが、総苞が褐紫色、花冠は淡紫色。朝鮮、中国に分布する(参考9)。
1-3 Aster ageratoides var. firmus (Diels) Handel-Mazzetti
synonym Aster trinervius var. firmus Diels
中国、ヒマラヤ南部原産。中国名は坚叶三脉紫菀 jian ye san mai zi wan。
葉は卵形または長円状披針形、厚い紙質、下面は脈上に長い粗い毛があり、脈は明瞭で、網状。上面は密に剛毛があり、無毛になり、しばしば光沢があり、小区画(areoles)は泡状。周辺小花は白色または帯赤色。
1-4 Aster ageratoides var. gerlachii (Hance) C.C.Chang ex Y.Ling
synonym Aster gerlachii Hance
中国原産。中国名は狭叶三脉紫菀 xia ye san mai zi wan。
茎は上部に剛毛がある。葉は線状披針形、長さ5~8㎝×幅0.7~1㎝、下面は無毛、上面はまばらに粗い毛があり、基部は漸尖し、縁は浅い鋸歯があり、先は尖鋭形。総苞片は先が緑色。周辺小花は白色。2n=36。
1-5 Aster ageratoides var. heterophyllus Maxim.
synonym Aster nigrescens Vaniot.
中国原産。中国名は异叶三脉紫菀 yi ye san mai zi wan。
茎は多数、分枝する。中部の葉は長円状披針形、縁は粗く鋸歯がある。上部の葉は小さく、縁はしばしば全縁。総苞片は狭く、先は緑色、しばしば褐色の微突起がある。
1-6 Aster ageratoides Turcz. var. intermedius (Soejima) Mot.Ito et Soejima ケシロヨメナ 毛白嫁菜
synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. intermedius Soejima [YLiost]
日本固有変種。本州(中部地方以西)、四国、九州(北部)に分布。染色体数2n=36の4倍体がシロヨメナとイナカギクの中間的な形質を示し、シロヨメナの変種として分類されている。葉裏や茎に短毛が多く、長軟毛が少ない。ビロード状でなく、手触りがざらつく。頭花は直径約1.5㎝。4倍体2n=36。
1-7 Aster ageratoides var. lasiocladus (Hayata) Hand.-Mazz. ビロードヤマシロギク
synonym Aster lasiocladus Hayatasynonym Aster ageratoides subsp. lasiocladus (Hayata) Kitamura
synonym Aster trinervius var. lasiocladus (Hayata) Yamamoto
中国、台湾に分布。中国名は毛枝三脉紫菀 mao zhi san mai zi wan。
茎は黄褐色または灰色の綿毛がある。葉は長円状披針形、しばしば小さくなり、長さ4~8㎝×幅1~3cm、質が厚く、上面には密に剛毛または密に綿毛があり、脈にはしばしば粗い毛があり、縁は浅い歯があり、先は鈍形または鋭形。総苞片は厚く、密に綿毛がある。周辺小花は白色。この植物は、一般的に風邪や頭痛、骨痛、蛇に咬まれ傷の治療用に使用されている。
1-8 Aster ageratoides var. laticorymbus (Vaniot) Hand.-Mazz. シロヨメナ 白嫁菜
synonym Aster laticorymbus Vanio
synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. leiophyllus シロヨメナ[YList]
synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. stenophyllus (Kitam.) H.Hara [YList]
synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. robustus (Koidz.) H.Hara [YList]
synonym Aster ageratoides var. leiophyllus (Franch. & Sav.) Y.Lingsynonym Aster laticorymbus Vaniot
synonym Aster leiophyllus Franch. & Sav.
日本(本州、四国、九州)、中国、台湾原産。山地に多く、林縁などの半陰地に生える。KewscienceではAster ageratoides var. laticorymbusにAster ageratoides var. leiophyllusを含めている。Flora of ChinaではAster ageratoides var. laticorymbusとAster ageratoides var. leiophyllus(シロヨメナ)を分けている。YListではシロヨメナを別種のAster leiophyllus var. leiophyllusとしている。
全体に毛は少なく、まばら。茎は高さ0.3~1m。直立~やや斜上し、やや紫色を帯び、下部はほぼ無毛。葉は長さ5~15㎝×幅2~5㎝、先が尖り、長円状披針形、3脈が目立ち、下部の葉では粗い鋸歯がある。葉に毛がほとんどないため、葉下面の脈が目立ち、ざらつかない。基部はくさび形で、根元に近いところでくびれてやや翼状になり、葉柄はほとんどない。花序柄は長さ0.5~3㎝。頭花は普通、白色で、直径1.5~2㎝と小型。総苞は長さ約4㎜、筒形。総苞片は3列。痩果は長さ2~3㎜、冠毛は長さ3~4㎜。2n=18,(45),54。花期は8~11月。
【 Flora of Chinaの分類】
(1) Aster ageratoides var. laticorymbus (Vaniot) Hand.-Mazz.
synonym Aster laticorymbus Vanio
中国に分布。中国名は宽伞三脉紫菀 kuan san san mai zi wan。
茎は多数、分枝。中部の葉は長円状披針形または卵状披針形、下面はしばしば無毛になり、基部は漸尖し、縁には7~8対の鋸歯がある。上部の葉は卵形または披針形、小さく、縁は全縁または歯がある。総苞片は狭く、先が緑色。周辺小花はしばしば白色。2n=18 ,36 ,54。
(2) Aster ageratoides var. leiophyllus (Franchet & Savatier) Y. Ling シロヨメナ
synonym Aster leiophyllus Franchet & Savatier synonym Aster ageratoides f. leucanthus Kitamura
synonym Aster ageratoides subsp. leiophyllus (Franchet & Savatier) Kitamura.
日本(本州、四国、九州)、台湾に分布。中国名は光叶三脉紫菀 guang ye san mai zi wan(野白菊花, 山白蘭)。Flora of Chinaでは中国を分布域に含めない。葉は長円状披針形、下面は脈上に短く荒い毛があり、上面は±剛毛があり、基部は急に狭まり、無柄または短柄があり、縁は密に鋭い鋸歯があり、先は長い尖鋭形。頭花は小さく、花序柄は細い。総苞は乾くと倒円錐形、長さ約4㎜×幅5~6mm。総苞片は先が鈍形、先端は褐色。周辺小花は白色。冠毛は白色または赤褐色。2n=18, 18+1-3B, 27, 34, 36+0-4B, 37, 54, 81。
【 YListの分類】
(2') Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. leiophyllus シロヨメナ
synonym Aster adustus (Maximowicz) Koidzumi ex Nakai
synonym Aster ageratoides Turcz. var. leiophyllus (Franch. et Sav.) Y.Ling [Flora of China]
synonym Aster ageratoides subsp. leiophyllus (Franchet & Savatier) Kitamura. [参考9]
synonym Aster leiophyllus Fr. et Sav.synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. stenophyllus (Kitam.) H.Hara
synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. robustus (Koidz.) H.Hara
日本(本州、四国、九州)、台湾に分布。別名はヤマシロギク、ホソバノシロヨメナ、オオバナシロヨメナ、オオヤマシロギク。茎は円柱形、斜上し、高さ1m、分枝し、曲がりくねる。 葉は長円状披針形、先が長い尖鋭形、基部は中央よりやや急に狭くなり、漸尖し無柄、縁は粗く鋭い鋸歯があり、上面は鮮やかな緑色で、 3脈があり、下面は淡緑色で、しばしば多少、ザラつく。頭花は小さく、多数、細い花序柄がある。総苞は小さな筒形、乾くと、倒円錐形(こま形)、長さ4㎜×幅5~6㎜、総苞片は薄く、鈍形、背は褐緑色がかった縁毛があり、脈はない。花冠は白色。花柱の枝は長円状披針形、先は鈍形。冠毛は白色または帯赤色、長さ4㎜(参考9)。2n=18, 18+1-3B, 27, 34, 36+0-4B, 37, 54, 81。
(2')-1 Aster ageratoides Turcz. subsp. leiophyllus (Franch. et Savat.) Kitam. var. harae (Makino) Kitam. サガミギク 相模菊
synonym Aster ageratoides Turcz. var. ageratoides f. purpurascens Kitam.synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. harae (Makino) H.Hara [YList]
synonym Aster ageratoides Turcz. var. harae (Makino) Kitam.synonym Aster ageratoides Turcz. var. viscidulus (Makino) Kitam.
本州(関東地方南西部)に分布。山地の岩場、林内に生える。Kewscienceではシロヨメナ(狭義)に含められる。
多年草、高さ50~70㎝。茎は斜上または垂れ下がり、紫色を帯び、まばらに短毛があるかまたは無毛。葉は質がやや硬く、線状披針形~披針形、先は長い鋭尖形。頭花はややまばらに5~7個つく。周辺小花は淡紫色~白色。総苞片は先端が紫褐色。花期は9~11月。
1-9 Aster ageratoides var. micranthus Y. Ling,
中国原産。中国名は小花三脉紫菀 xiao hua san mai zi wan。林内、茂みに生える。
茎は高さ60~100㎝、細く、多数、分枝する。葉は線状披針形、薄い紙質、両面がほぼ無毛で、上面の小区画(areoles)は±泡状です。中部の葉は長さ6~17㎝×幅0.4~1.5㎝、縁はまばらに浅い歯があるかまたはほぼ全縁。頭花は小さく、腋生および頂生の散房花序につく。花序柄は細い。総苞は長さ3~4㎜×幅4~5㎜。総苞片は薄く、先は紫褐色または緑色。周辺小花は白色、線形、長さ4~5㎜。中心小花よび冠毛は長さ約4㎜。2n=18。
1-10 Aster ageratoides var. oophyllus Ling ex J.Q.Fu
synonym Aster blinii H. Léveillé
中国(湖北省、陝西省、四川省、雲南省)原産。中国名は卵叶三脉紫菀 luan ye san mai zi wan。
葉は卵形または卵状披針形、やや厚く、下面にはまばらに毛があり、上面は剛毛があり、縁には浅い鋸歯がある。総苞片は先が赤みを帯びる。周辺小花は帯赤色または白色。
1-11 Aster ageratoides var. ovalifolius Kitam. タマバシロヨメナ 珠葉白嫁菜
synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. ovalifolius (Kitam.) H.Hara [YLiost]
日本(東北~近畿地方)に分布。主に日本海側の海岸近くの林縁、草地などに生える。多年草。地下茎は長く這う。茎は高さ45~100cm、曲毛がある。茎中部~下部につく葉は短柄があり、葉身は卵形、長さ6~13㎝×幅3~6.5㎝、縁に欠刻状の歯があり、質はやや薄いが、硬く、上面は緑色、多少短毛があり、下面は淡緑色。頭花は白色、直径1.5~2㎝。総苞は筒形、長さ約4mm。総苞片は質がやや薄く、先が鈍形、暗緑色で微毛がある。痩果は狭長倒卵形、やや扁平、長さ1.8~2.8㎜×幅約1mm、有毛、先は急に少し狭まる。冠毛は多数、長さ3.5~4㎜。花期は9~11月。
茎はより丈夫で、直立し、曲がりくねり、先で枝分かれする。茎葉は卵形、長さ10~12㎝、幅4.5~6㎝、先は鋭形、基部は丸みを帯びたくさび形で無柄、縁は粗く欠刻状の歯があり、歯は鈍形で微突があり、質は薄く、上面は緑色、下面は淡色、両側に微細なザラつく微軟毛がある(scabropuberula)。頭花はしばしば密につき、花序柄は短く、硬い。総苞の基部はこま形(turbinatum)、長さ4㎜、幅5~6㎜、総苞片(squamæ)は緩く覆瓦状、先は鈍形、帯褐色、縁毛がある。花柱の枝は先が鋭三角形。冠毛は長さ3㎜、汚赤色(sordide rufescens)。小舌(Ligulæ)は白色(albæ)(参考9)。
1-12 Aster ageratoides var. pendulus W. P. Li & G. X. Chen
中国(湖南省)原産。中国名は垂茎三脉紫菀 chui jing san mai zi wan
茎は垂れ下がり、多数分枝する。根生葉と下部の茎葉は頻繁に紫色になる。茎葉は線状披針形、上面にしばしば剛毛があり、基部は漸尖し、縁は約4対の鋸歯がある。総苞片は幅1.25~1.75㎜、先は緑色。周辺小花は白色。2n=60~92。
1-13 Aster ageratoides var. pilosus (Diels) Handel-Mazzetti
synonym Aster trinervius var. pilosus Diels
中国原産。中国名は长毛三脉紫菀 chang mao san mai zi wan。
葉は卵形または楕円状披針形、やや厚く、下面は密に短毛があり、腺があり、上面は短い小伏剛毛(strigillose)がある。葉脈と茎の上面には白色または灰色の長毛を開出し、毛は長さ約1㎜、基部は次第にまたは急に漸尖し、縁は浅い鋸歯がある。総苞片は先が紫褐色。
1-14 Aster ageratoides Turcz. var. sawadanus Kitam. キントキシロヨメナ 金時白嫁菜
synonym Aster ageratoides Turcz. var. oligocephalus (Nakai ex H.Hara) Nor.Tanaka
synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. oligocephalus Nakai ex H.Hara [YLiost]
synonym Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. sawadanus (Kitam.) H.Hara
synonym Aster ageratoides Turcz. var. harae (Makino) Kitam. f. sawadanus (Kitam.) Ohwi
日本固有変種。静岡県、神奈川県に分布する。別名はカミヤマシロヨメナ。茎は高さ30~40㎝、直立、屈曲し、細く、密に絨毛があり、まばらに散房花序が先端で分枝し、しばしば(sæpe)紫色を帯びる。下部(inferiora)と中部(mediaque)の葉(folia)は長円状披針形、長さ6~8㎝、先は長い尖鋭形、基部は急に狭まり鋭形、無柄、中央より上部にはまばらに微突のある鈍歯があり、両面に密に絨毛があり、質は薄く(textura debilia)、3脈がある。上部の葉は次第に小さくなる。頭花は緩く散房花序につき、花序柄は無毛で細い(oligocephala graciliter)。総苞は小さな筒形(parvum tubulosum)、長さ3mm、幅5㎜、総苞片(squama)は鈍形、紫色。花冠は白色(albæ)。花柱の枝(styli rami)は先が長い三角形、先端が鋭形。冠毛は長さ3~3.5㎜。痩果(achenia)は扁平、倒卵状長円形、長さ2.5㎜、絹毛状の絨毛がある(参考9)。花期は9~11月。
1-15 Aster ageratoides var. scaberulus (Miquel) Y. Ling
synonym Aster scaberulus Miquel
synonym Aster trinervius f. pubescens Kuntze
中国、ベトナム原産。中国名は微糙三脉紫菀 wei cao san mai zi wan。
葉は通常、卵形または卵状披針形、やや厚く、下面は密に微軟毛があり、密に腺があり、脈にはしばしば絨毛があるかまたは無毛、上面は密に剛毛、基部は徐々にまたは急に漸尖し、翼の狭いまたは翼のない短い葉柄があり、縁には浅い6~9鋸歯がある。総苞は長さ5~7㎜×幅6~10㎜、総苞片の先は緑色。周辺小花は白色または赤色を帯びる。
1-16 Aster ageratoides Turcz. var. tenuifolius Kitam. ナガバシロヨメナ 長葉白嫁菜
synonym Aster leiophyllus Franch. & Sav. var. tenuifolius (Kitam.) H.Hara [YLiost]
synonym Aster ageratoides Turcz. var. harae (Makino) Kitam. f. tenuifolius (Kitam.) Ohwi
synonym Aster ageratoides f. tenuifolius (Kitam.) Ohwisynonym Aster leiophylus var. tenuifolius (Kitam.) Hara, 1952
synonym Aster trinervius var. tenuifolius (Kitam.) Kitam., 1965. Acta Phytotax. Geobot. 21: 127 (1965)
日本固有変種。本州、四国、九州に分布。別名はイワバノギク。山地の渓流の岩上などに生える。
渓流型の変種。高さ55~70㎝。葉が比較的小型で、線状披針形、長さ15~20㎝、先が長い尖鋭形。変異が連続的である。顕著に葉が小型で、細くなるものをイワバノギクと分類することもあったが、現在は同一変種として扱うのが普通。茎上部で分かれて頭花を3~5個つける。
1-17 Aster ageratoides x A. iinumae シロヨメナ×ユウガギク
synonym Aster leiophyllus(シロヨメナ) x A. iinumae(ユウガギク)
1-18 Aster ageratoides x A. microcephalus var. ovatus ノコンシロヨメナ
synonym Aster leiophyllus(シロヨメナ) x A. microcephalus var. ovatus(ノコンギク)
2 Aster alpinus Linnaeus イワアズマギク 岩東菊
中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、コーカサス、西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はalpine aster , blue alpine daisy 。中国名は高山紫菀 gao shan zi wan 。別名はタイリクアズマギク、ミヤマノギク。
シオン属中で北アメリカに自生するのはこのイワアズマギク1種だけである。
多年草、高さ10~35㎝、叢生。根茎は丈夫。茎は直立、1本、まばら~密に絨毛があり、まばら~密に微細な腺毛がある。葉は根生葉と茎葉、ロゼットは花時に枯れて落ちる(marcescent)。茎葉は上部でかなり小さくなり、まばら~中程度に絨毛があり、ときに、まばらに微細な腺毛があり、3脈があり、主脈は±目立つ。根生葉はロゼットを作り、葉柄があり、倒卵形~へら形。下部の茎葉は葉柄に翼があり、ときに細く、長さ11㎝以下。葉身は線状長円形、長さ1~10㎝×幅0.4~1.5㎝、基部は漸尖形、縁は全縁、ときに波打ち、先は円形。中間の茎葉は無柄、長円状披針形~線形、基部は漸線形。頭花は単生、頂生、直径3~3.5(~5.5)㎝。苞は線形~線状披針形、1脈がある。総苞は半球形、長さ1.5~2㎝×幅0.6~1㎝。総苞片は2~3列、等長又は類等長、まれに不等長、披針形~長円形~倒披針形、長さ7~10㎜×幅1.5~2.2㎜、内側にまばらに絨毛~密に羊毛状状毛があり(クロス壁はときに紫色~黒色)、ときに小さな柄のある腺があり、縁にはまばら~密に縁毛があり、先は円形~鈍形~鋭形~尖鋭形。外総苞片は葉状又は基部がときに硬くなる。内総苞片は上部が葉状、縁は帯白色、ときに紫赤色。周辺小花は26~60個、紫色~青色~帯赤色、筒部は無毛、ときにまばらに、接合付近に小さな柄のある腺があり、小舌がある。小舌は10~15㎜×幅2~2.5㎜、 無毛、腺は無い。中心小花は黄色、長さ5.5~8.5㎜、拡大部は漏斗形、長さ4.5~6.5㎜、下部にまばらに毛があり、まばらに柄のある腺がある。裂片は広がり、等長、狭三角形、長さ1~1.5㎜。痩果は倒卵形、扁平、長さ約3㎜、2~4うねがあり、中程度~密に剛毛があり、上部にはまばら~中程度に小さな柄のある腺がある。冠毛は4列、白色、全体に芒状(barbellate)、最外列は剛毛、少数、細く、長さ0.5~1.8㎜。外側の列の剛毛は細く、長さ3~4㎜。内側の剛毛は長さ5~5.5㎜、鋭形。最内側の剛毛は長さ6.5~7㎜、弱い棍棒形。花期は6~6月。果期は7~9月。2n=18, 27, 35+1 fragm., 36, 37。
品種) 'Antje' , 'Aa 100101' (PBR) , 'Aa 100102' (PBR) , 'Aa 100103' (PBR) , 'Beechwood' , Dark Beauty , 'Dunkle Schone' , 'Goliath' , 'Happy End' , 'Marchenland' (d) , 'Pinkie' , 'Roseus' , 'Roseus' , 'Trimix' , 'White Beauty' , 'Wolfii'
2-1 Aster alpinus var. diversisquamus Y. Ling
中国原産。中国名は异苞高山紫菀 yi bao gao shan zi wan。
茎は高さ20~25㎝。下部の葉は±直立し、長円状へら形、長さ2~7㎝×0.4~0.8㎝、まばらにまたは密に毛があり、まばらに腺がある。 頭花は直径3~3.5 ㎝。総苞片は不揃い、長円状へら形、幅1.5~2.3mm、外総苞片は内総苞片の長さの3/4、帯赤色、先は円形。
2-2 Aster alpinus var. fallax (Tamamschjan) Y. Ling
中国、ロシア原産。中国名は伪形高山紫菀 wei xing gao shan zi wan。
茎は高さ35㎝まで。下部の葉は長円状へら形、長さ1.5~8㎝、まばらに微軟毛があり、下面±密に腺がある。頭状は直径約4㎝。総苞片はほぼ等長、線形、約・長さ10㎜×幅1.5㎜、まばらに微軟毛があり、先は鈍形または円形。
2-3 Aster alpinus var. serpentimontanus (Tamamschjan) Y. Ling
中国、モンゴル、ロシア、タジキスタン原産。中国名は蛇岩高山紫菀 she yan gao shan zi wan。
茎は高さ10~20(~35)㎝。下部の葉は線形~長円形、長さ3~10㎝×幅0.2~0.5㎝、密に軟毛または密に絨毛があり、ときに±腺がある。頭花は直径3.5~5.5㎝。総苞片はほぼ等長、線形、幅1~1.5mm、先は鈍形または円形。
2-4 Aster alpinus L. var. vierhapperi (Onno) Cronquist タイリクアズマギク
中国、ロシア、北アメリカに分布。中国名は空秆高山紫菀 kong gan gao shan zi wan。
茎は高さ10~20(~30)㎝。 下部の葉はへら形または長円状へら形、密にまたはまばらに絨毛があるか、またはほぼ無毛、ときに±腺がある。頭花は直径3~3.5㎝。総苞片はほぼ等しく、幅1.5~2㎜、先は鈍形または円形。
3 Aster altaicus Willd. アルタイノギク
synonym Aster altaicus Willd. var. uchiyamae Kitam.
synonym Aster altaicus Willd. var. taitoensis Kitam.
朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、イラン原産。中国名は阿尔泰狗娃花 a er tai gou wa hua 。別名はステップノギク,タイトウヤマジノギク, オオステップノギク。大草原(ステップ)、牧草地、塩性湿地、草原、開けた斜面、石の多い斜面、岩の露頭、海辺、道端、川岸の砂地に生える。
多年草、根は傾伏または垂直につき、直根はない。茎は普通、多数、直立し、高さ10~60(~100) cm、密集した上向きの細い毛で覆われ、しばしば上部に腺があり、枝分かれする。根生葉は花期に枯れ、下部の葉は線形または長円状披針形、倒披針形、または類へら形、長さ2.5~6(~10)㎝×幅0.7~1.5㎝、縁は全縁または間隔の開いた浅い鋸歯があり、上部の葉は徐々に小さくなり、両面に毛があり、密に微細な腺があり、中脈は下面でわずかに凸状になる。頭花は放射状頭花(radiate capitulum)、多数つき、直径2~3.5(~4)㎝、単生で頂生、または散房花序状の円錐花序の合成花序につく。総苞は半球形、直径0.8~1.8㎝。総苞片は2列または3列、ほぼ等長、または外側の列は短く、長円状披針形~線形、長さ4~8㎜×幅0.5~1.8㎜、外側または外側の列はすべて葉状、短く粗い直軟毛があり、短柄のある腺があり、尖鋭形、最も外側の総苞片は線形で、内側のものより短く、縁は±広く薄膜質。周辺小花は約20個つき、青紫色またはライラック色、筒部は長さ1.5~2.8mm、毛があり、小舌は長円状線形、長さ10~15㎜×幅1.5~2.5mm。中心小花は黄色、長さ5~6mm、筒部は長さ1.5~2.2mm、裂片は不等長、長さ0.6~1㎜×幅1~1.4mm、毛がある。痩果は倒卵状長円形、扁平、長さ2~3㎜、剛毛、腺がある。周辺小花と中心小花の冠毛は同一、汚れた白色または淡褐色、ほぼ同じ剛毛であり、長さ4~6mm。花期および果期は7~9月。
4 Aster amellus L. イタリアンアスター
ヨーロッパ、西アジア、中央アジア、コーカサス、ロシア原産。英名はEuropean Michaelmas daisy , Italian aster , Italian starwort 。イタリア名はAstro di Virgilio。
多年草、高さ20~60㎝、斜めの根茎をもつ。茎は直立、円筒形、先で分枝。葉は3脈がある。根生葉は葉柄が長さ2~3㎝、葉身は卵状楕円形、長さ25~30㎜。茎葉は次第に狭くなる。頭花は散房花序にまばらに2~6個つき、直径30~40㎜。花序柄は長さ5~10㎜。総苞片は不等長。外総苞片は卵形、先が円形で多少、反曲。周辺小花はバイオレット色~ライラック・ブルー色。中心小花は黄色。痩果は長さ2~3㎜、冠毛は白色、長さ4~5㎜。花期は7~10月。2n=18,36,54。
品種) 'Advance' , 'Bessie Chapman' , 'Blue King' , 'Breslau' , 'Brilliant' , 'Butzemann' , 'Cassubicus' , 'Danzig' , 'Doktor Otto Petschek' , Empress , 'Forncett Flourish' , 'Framfieldii' , 'Glucksfund' , 'Goliath' , 'Grunder' , 'Jacqueline Genebrier' , 'Joseph Lakin' , 'Jubilee , 'King George' , 'Kobold' , 'Lac de Geneve' , 'Lady Hindlip' , 'Louise' , 'Madame E. Besnard' , 'Mira' , 'Moerheim Gem' , 'Mrs Perry' , 'Mrs Ralph Woods' , 'Nocturne' , 'Oktoberkind' , 'Peach Blossom' , 'Pink Pearl' , Pink Zenith , 'Praecox Junifreude' , 'Preziosa' , 'Rosa Erfullung' , 'Rotfeuer' , 'Rubellus' , 'Rudolph Goethe' , 'Schone von Ronsdorf' , 'September Glow' , 'Silbersee' , 'Sonora' , 'Sternkugel' , 'Superbus' , 'Ultramarine' , 'Vanity' , 'Veilchenkonigin' , 'Viola' , Violet Queen , 'Wells' Favourite' , 'Weltfriede' , 'Wienholzii' ,
5 Aster arenarius (Kitam.) Nemoto ハマベノギク 浜辺野菊
日本(本州中部地方以西、九州北部)、中国原産。中国名は普陀狗娃花 pu tuo gou wa hua .。海岸に生える。
2年草又は多年草、高さ15~70㎝、直根は木質。茎は傾伏又は斜上、基部から分枝し、疎~中位に剛毛があるか又はほぼ無毛。根生葉は葉柄が長さ1.5~3㎝、葉身はへら形、長さ3~6㎝×幅1~1.5㎝、質が厚く、ほぼ無毛又は疎らに絨毛があり、基部は楔形~漸尖形、縁は全縁、ときに、間隔の開いた鋸歯あり、ざらつく縁毛があり、先は円形~鋭形。根生葉と下部の茎葉は花時までに枯れる。中間と上部の葉は倒披針状長円形、長さ1~2.5㎝×幅0.2~0.6㎝、無毛又はときにまばらに剛毛があり、基部は漸尖形、縁はざらつく縁毛があり、先は円形~鋭形。頭花は枝先に単生、直径25~30㎜、花序柄は先が膨れる。苞は葉状、頭花を取り囲む。総苞は皿形、直径1.2~1.5㎝。総苞片は2列、披針形長さ7~8㎜×幅 1~1.5㎜、まばらにざらつき又は無毛、縁はざらつく縁毛があり、先は尖鋭形。周辺小花は帯青色又は帯白色、筒部は長さ約1.5㎜、舌部は線状長円形、約長さ1.2㎝×幅0.25㎝。中心小花は黄色、長さ4~5㎜、筒部は長さ1.3~1.5㎜、拡大部は漏斗形、大きく、基部にまばらに毛がある。裂片は不等長、三角形、長さ約0.7㎜。痩果は黄褐色、倒卵形、扁平、長さ2.5~3㎜、ごうもうがあり、2~3本のうねがある。周辺小花の冠毛は1列、くすんだ色で、基部が合着した鱗片であり、長さ約1㎜。中心小hなの冠毛は帯褐色、多数の堅い剛毛であり、長さ3~4.2㎜。
5-1 Aster arenarius (Kitam.) Nemoto x A. spathulifolius Maxim. ダルマハマベノギク
6 Aster asagrayi Makino イソノギク 磯野菊
synonym Aster asa-grayi Makino
日本(奄美大島、沖縄)、中国原産。中国名は华南狗娃花 hua nan gou wa hua 。
多年草、高さ15~35㎝、直根がある。茎は斜上又は傾伏、少数、上部で分枝し、不稔のシュートは短く、疎~中位に剛毛があるか、又はほぼ無毛、ときに小さな短柄のある腺がある。葉は無柄、無毛又は上面の脈にまばらに剛毛があり、腺は無く、全縁、剛毛の縁毛があり、下面の中脈は少し明瞭。下部の茎葉は花時までに枯れる。茎中間の葉は狭披針形~倒披針形~へら状長円形、長さ1.5~2.5㎝×幅0.15~0.4㎝, 基部は次第に漸尖し、先は円形。上部の葉は小さく、総苞片に似ていて、まばらにざらつく。不稔の茎の葉はへら形、長さ1~1.5㎝×幅 0.3~0.4㎝。頭花は枝先に単生又はときに散房花序状の合成花序につき、直径2~2.5㎝。総苞は半球形、直径約0.8~1.2㎝。総苞片は緑色、2列、等長又は外総苞片が短く、披針形~線状披針形、長さ4~5㎜×幅0.5~0.7㎜、外面はざらつき、縁は草質又は狭い(まれに広い)薄膜質、微細不整歯があり、ざらつく縁毛があり、先は尖鋭形。周辺小花は1列、15~20個つき、白色又はピンク色、筒部は長さ2~2.5㎜、まばらに毛がある。.弁部は長さ8~10.1㎜×幅0.8~1.2㎜。中心小花は黄色、長さ3.3~4㎜、筒部は1~1.7㎜、まばらに毛があり、拡大部は鐘形、裂片は不等長、1個は深く、長さ0.7~1.2㎜、有毛。 痩果は帯褐色、倒卵形、扁平、長さ2~2.7㎜、ザラつき、先に腺があり、2うねがある、冠毛は約2列、帯赤色又は赤褐色、不等長の剛毛、長さ2.5~3.3㎜、鋭形。花期および果期は7~9月。2n=18。
6-1 Aster asagrayi Makino var. walkeri Kitam. ヨナクニイソノギク 与那国磯野菊
沖縄(与那国島)固有変種。海岸近くの岩上や崖上に生える。頭花が淡青紫色。多年草、高さ15~20㎝。茎は下部で分枝し、やや倒伏して斜上し、枝は白色を帯び軟毛を開出する。根生葉は肉質、へら形、長さ20~24㎜×幅8~10mm、先は円形、縁は全縁、両面に密に軟毛がある。茎葉は線状楕円形。頭花は単生、頂生し、直径約3㎝。総苞は半球形、長さ約6㎜。周辺小花は淡青紫色、長さ約11㎜。痩果は長さ2~3mmで、冠毛は長さ約3㎜。花期は2~5月。
7 Aster auriculatus Franch. アステル・アウリクラトゥス
中国、タイ原産。中国名は耳叶紫菀 er ye zi wan。疎林、混交林、雑木林、草地に生える。
多年草、高さ23~90㎝、めったに寄生しない。根茎は±本質。茎は直立、単純、±条線があり、まばら~密に絨毛があり、密に微細な有柄の腺がある。葉は茎葉、やや上部では小さくなり、基部はときに落ちずに枯れ(marcescent)、両面に小絨毛があり、まばらに~密に微細な有柄の腺があり、縁は鋸歯~小鋸歯があり、小絨毛状の縁毛があり、中脈は明瞭、下面ではより明瞭、先は微突形。最下部の葉は花期に枯れ、翼の広い葉柄があり、葉柄の基部は耳状になる。葉身は倒披針形、倒卵形、または長円形、基部は漸尖し、先は鈍形。下部から上部の葉は無柄、倒卵形または長円形~倒披針形、ときにバイオリン形、長さ1.5~7㎝×0.4~1.5㎝、基部は耳状になり、抱茎、先は鈍形~鋭形(上部の葉)。合成花序の葉は狭卵形~披針形、長さ1~4.5㎝×幅0.1~0.9㎝、縁は小鋸歯~全縁。頭花は2~23個、頂生の散房花序状の合成花序につき、まれに、単生する。花序柄は長さ10~30㎜、まばらに小剛毛~小絨毛があり、密に微細な有柄の腺がある。苞は線形、全縁。総苞は鐘形、長さ6~7㎜。総苞片は3列、不等長(~ほぼ等長まで)、外面は無毛または剛毛があり、まばら~密に微細な有柄の腺がある(中間および内側の総苞片は基部に腺が無い)、基部は硬くなり、中脈はわずかに半透明。外側の総苞片は披針形~線状披針形、長さ2.5~6㎜×幅0.5~0.8㎜、葉状、縁はかろうじて薄膜質~±薄膜質であり、縁毛は無く、またはまばらに縁毛があり、腺があり、先はときに広がるかまたは苞が広がり(squarrose)、鋭形、縁毛がある。中部の総苞片は狭長円形~狭披針形、長さ5~6㎜×0.7~1.5㎜、縁は狭く薄膜質、先端は緑色、ときに葉状、先は鋭形~尖鋭形、上部の縁と先端は±紫色。内側の総苞片は上部が緑色、線状長円形、長さ6~7㎜×幅0.7~1.3㎜、縁は広い薄膜質で微細不整歯があり、先はときに尖鋭形で微細不整歯があり、ときに紫色を帯びる。周辺小花は18~30個つき、白色、筒部にはまばらに小剛毛があり、小舌は長さ6~9㎜×幅1~2.5㎜、腺はない。中心小花は黄色、長さ4.5~5㎜、拡大部は鐘形、長さ3~3.5㎜、下部は無毛、まばらに微細な有柄の腺があり、裂片は直立し、先端はときに開出し、狭三角形、長さ1~1.3㎜、無毛、先端はまばらに微細な有柄の腺がある。痩果は披針形、扁平、長さ3~4㎜、まばらに小剛毛があり、先にまばら~中程度に微細な有柄の腺があり、2本のうねがある。冠毛は 4 列、帯赤色、細いひげ状の剛毛からなる。最も外側の剛毛はないか、または1本、長さ0.2~0.3㎜。外側の剛毛 0~3本、長さ1.2~2.5㎜。内側の剛毛は長さ3.7~4㎜、先細になる。最も内側の剛毛は長さ4~4.3㎜、かろうじて棍棒形。花期および果期は4~8月。
8 Aster baccharoides (Benth.) Steetz アステル・バカロイデス
中国原産。中国名は白舌紫菀 bai she zi wan。斜面、草地、低木地、砂地、海の断崖、道端に生える。
低木または多年草、高さ15~150㎝、基部は木質、根茎。茎は直立し、枝分かれするか、時には単生 (草本) し、細かな線条があり、密に剛毛があり、微細な腺状の茎がある。葉は尾状、上向きにわずかに減り、下面は淡緑色、適度に剛毛、中~密に微細な柄状の腺、内面は緑色、密に鱗状、細かい柄状の腺状、縁は鋸歯状~鋸歯状(歯は密状)、ざらつきがあり、中脈は下側に突出し、先は鋭形、密状;一番下の葉は開花期 (草本) で枯れ、下から上の葉は短い有柄の翼を持っています。刃は狭卵形~披針形、長さ1.3~7.5㎝×幅0.4~1.8㎝、基部は先細り~丸みを帯びている。共生葉は短く柄状、広披針形~倒披針形、長さ0.7~3㎝×幅0.3~0.8㎝、基部は楔形~丸みを帯び、縁は全縁。頭頂は多数、頂端または腋窩に散房状から穂状の合花序があり、直径1.5~2㎝。花序柄は長さ2~8㎜、小剛毛がある。苞は倒披針形、縁は全縁、上部では総苞片状になる。総苞は鐘形、長さ6~7㎜×幅約7㎜。総苞片は5~7列、不等長、先は狭く緑色、ときに上部が紫色を帯び、外面は中程度~密に剛毛があり、上部ではより密になり、まばら~中程度に微細な有柄の腺があり、縁は薄膜質 (内総苞片ではより広く薄膜質になる)、微細不整歯状になり、絨毛状の縁毛があり、中脈は上部でやや目立ち、±半透明、ときに3脈があり、先は鋭形~鈍形、または円形、微細不整歯になり、ときに微突または先端が紫色を帯び、縁毛がある。外側の総苞片は広披針形~披針形、長さ1.5~2㎜×幅0.7~1mm。中部の総苞片は披針状長円形、長さ3~5㎜×幅1~1.2㎜、基部は±硬くなる。内側の総苞片は長円形、長さ6~7㎜×幅1~1.5mm。周辺小花は8~18個つき、白色、小舌は長さ約6㎜×幅1.2~1.7㎜、無毛、腺は無い。中心小花は黄色、長さ4.5~6.5㎜、筒部は基部が広がっており(脈に斑紋がある)、拡大部は鐘形、長さ2.5~3.5㎜、無毛、下部に微細な有柄の腺があり、裂片は開出し、先端は反曲し、狭三角形、長さ1.2~2㎜、無毛、腺は無い。痩果は暗紫色、長円形、わずかに扁平、長さ約3.5mm、小剛毛があり、先はまばらに微細な有柄の腺があり、2うねがある。冠毛は4列、白色、細い剛毛である。最も外側の剛毛は1~3本、長さ0.5~1.2mm。外側の剛毛はないか、または1本、長さ約3mm。内側の剛毛は長さ4~5㎜、鋭形、最も内側の剛毛は長さ5~6㎜、棍棒形。花期は7~10月。果期は8~11月。
9 Aster barbatus (DC.) Harv. ⇒フェリシア属
synonym Felicia ovata (Thunb.) Compton [Kewscience]
南アフリカ原産。
10 Aster barbellatus Grierson アステル・バルベラートゥス
中国、インド、ブータン、ネパール原産。中国名は髯毛紫菀 ran mao zi wan。草が茂った開けた斜面、野原の縁、ときに矮性の低木の間に生える。
多年草、高さ20~40㎝。根茎は丈夫で匍匐性。茎は直立し、単純で、まばら~中程度に粗毛があり、上部に無柄の腺があり、根元に落ちないで枯れる葉の残骸が残る。葉は根生葉と茎葉。茎葉は上部で小さくなり、密~中程度に剛毛があり、ときに上部の葉には腺があり、中脈は下面でやや明瞭、3脈があり、脈は不明瞭。根生葉は普通、宿存し、翼の広い葉柄がある。葉身はへら形~倒披針形、長さ約2.5㎝×幅0.6~1㎝、基部は漸尖し、縁は全縁又はまばらに小鋸歯があり、密に剛毛の縁毛があり、先は鈍形~円形。中部の葉は長円形~倒披針形、長さ2~3.5㎝×幅0.4~0.7㎝、基部はほぼ抱茎。上部の葉は小さく、先は鋭形。頭花は頂生、単生、直径4~5㎝。総苞は半球形、長さ0.6~0.7㎝×幅1.5~1.7(~2)㎝。総苞片は3列、へら状長円形~長円形または線形、長さ9~10㎜×幅1.5~2.5㎜、下面はまばらに剛毛があり、葉状、縁は剛毛の縁毛がある。内側の総苞片は縁が薄膜質、微細不整歯状の房状へりになり、帯紫色、先は鋭形または鈍形、帯紫色。周辺小花は30~40個つき、青色または帯紫色、筒部は長さ2~2.2㎜、毛がある。中心小花は黄色、長さ3.5~5㎜、筒部は長さ約1.3㎜、筒部の上部と拡大部の基部には毛があり、拡大部は狭漏斗形、裂片は披針形、長さ1.2~1.5㎜、しばしば紫色になる。痩果は褐色、倒卵形、扁平、長さ約3㎜、密に剛毛があり、先にまばらに腺があり、2うねがある。冠毛は帯赤色、またはバフ色、3列につき、剛毛は上部に小ひげがある。最も外側の剛毛は長さ約0.9㎜。内側の剛毛は長さ約4.7㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ5.1~5.5㎜ (中心小花の花冠裂片の基部に達する)、±棍棒形。花期は7~8月。
11 Aster batangensis Bureau & Franch. アスター・バタンゲンシス
中国原産。中国名は巴塘紫菀 ba tang zi wan。林縁や雑木林、開けた草地、牧草地、牧場、開けた斜面、石やガレ場の斜面、崖面、川岸に生える。
多年草、高さ3~15㎝、叢生する。根茎は平伏し、てい幹は太く、枝分かれし、木質。主根は太く、木質。茎は斜上し、ときに直立し、単生、細く、赤褐色の条線があり、小絨毛があり、ときにまばらに小絨毛があり、まばら~密に(上部に)微細な有柄の腺があり、花茎状。葉は根生葉と茎葉。両面にまばらに小剛毛があるか、または無毛、またはときに上部にまばら~中程度に小剛毛があり、脈にはまばら~密に小剛毛があり、縁は全縁、小剛毛の縁毛があり、中脈が下面で明瞭。根生葉は花期に存在し、落ちないで枯れ(marcescent)、葉柄には長い翼がある (葉柄は長さ2㎝以下)。葉身は倒卵形~倒披針形、長さ0.2~6㎝×幅0.1~0.9㎝、基部は漸尖し、先は円形、または小凹形~鈍形、最大の極微小突形(largest mucronulate)。茎葉は類葉柄があるかまたは無柄、狭長円状披針形~狭披針形、長さ0.9~3.5㎝×幅0.2~0.4(~0.7)㎝、急に小さくなり、先に向かって次第に小さくなり、基部は楔形~円形、先は鈍形~尖鋭形、極微小突形がある。頭花は頂生、単生、直径3~4.5㎝。総苞は広鐘形、直径0.5~1(~1.5)㎝。総苞片は3列、ほぼ等長、開出~ほぼ直角に開出し(squarrose)、披針形~線状披針形(一部の内総苞片)、長さ6~12㎜×幅0.5~2㎜、外面は小剛毛があり、基部にはやや多く、または無毛、微細な有柄の腺があり、膜質、縁は狭く~広く薄膜質、微細不整歯があり、腺は無く、ときに帯紫色、少数の脈があり、中脈が目立ち、先端は鋭形~尖鋭形、先端はときに紫色を帯びる。周辺小花は12~26個、紫色~ラベンダー色~ラベンダー青色、筒部は長さ約3mm、小舌は長さ12~22㎜×幅1~2.5㎜、無毛、腺は無い。中心小花は黄色~黄橙色、長さ4.6~5㎜、筒部は長さ約1.5㎜、拡大部は狭漏斗形、長さ3.2~3.5㎜、基部にまばらに毛があり、裂片は開出し、三角形、長さ約1㎜、腺は無い。痩果は狭倒卵形、±扁平、長さ3.5~4㎜、小剛毛があり、腺は無く、縁には3うねがある。冠毛は4列、白色。最も外側の列は少数の白色の鱗片であり、長さ0.5~1㎜、剛毛は(剛毛状の)刺で覆われる(barbellate)。外側の剛毛は少なく、細く、長さ2~3㎜。内側の剛毛は長さ4~4.5㎜、鋭形。最も内側の剛毛はかすかに赤色を帯び、長さ5~5.5㎜、弱く棍棒形になる。花期は5~9月。果期は9~10月。
11-1 Aster batangensis Bureau & Franch. var. batangensis
中国原産。中国名は巴塘紫菀 ba tang zi wan。林縁や雑木林、開けた草原、牧草地、牧場、石やガレ場の斜面、崖面、川岸に生える。
茎は小絨毛がある。 葉はまばらに小剛毛がある。総苞片は小剛毛があり、基部には多く、微細な有柄の腺がある。
11-2 Aster batangensis Bureau & Franch. var. staticifolius (Franch.) Y. Ling
中国原産。中国名は匙叶巴塘紫菀 shi ye ba tang zi wan。開けた斜面、砂利の崖、林縁、牧草地に生える。
茎はまばらに小絨毛がある。葉は無毛またはときに上部に小剛毛があり、葉脈には小剛毛がある。 総苞片は無毛、微細な有柄の腺がある。
12 Aster brachytrichus Franchet アステル・ブラキトライクス
中国、ミャンマー原産。中国名は短毛紫菀 duan mao zi wan。高山の草原、山の斜面、高山の針葉樹林、マツ林、茂み、牧草地に生える。
多年草、高さ10~50㎝、とき叢生する。根茎は丈夫で木質。茎は直立し、単純で、下部および先に密に直軟毛があり、茎中部ではまばら~中程度に直軟毛があり、中程度~密に微細な有柄の腺があり、普通、規則的に葉がつく。葉は根生葉と茎葉。茎葉は上部ではわずかに徐々に小さくなり、まばら~中等度に直軟毛があるかまたは無毛、脈は下面に絨毛があり、縁はまばらに浅い鋸歯または小鋸歯があり、ときに全縁、直軟毛の縁毛があり、下面に三行脈があり(triplinerved)、脈はわずかに明瞭。根生葉は普通、花時に枯れ、長い葉柄 (葉柄は長さ4㎝以下)がある。葉身はヘラ形~倒卵形~倒披針形、長さ1~6㎝×0.6~3.5㎝、基部は漸尖し、先は円形~鈍形。下部と中央の茎葉は無柄、卵形~卵状披針形~長円形、長さ2~7㎝×幅0.5~3㎝、基部は円形または漸尖し、ほぼ抱茎、先は円形~鈍形。上部の葉は卵形~線状披針形、長さ1~3.5㎝×幅0.2~1.8㎝。頭花は頂生、単生、直径3~7.5㎝。総苞は半球形、直径1~2㎝、中心小花を超える(overtopping)。総苞片は2列または3列、ほぼ等長、ほぼ直角に開出し、長さ10~13㎜×幅1~4㎜、まばらに直軟毛があるか~無毛、ときに内側の総苞片にはまばらに微細な有柄の腺が上部にあり、縁は帯白色、直軟毛の縁毛がある。外側の総苞片は線状披針形~長円形、葉状、先は鋭形~鈍形。内側の総苞片は線形披針形~線形、先は長い尖鋭形。周辺小花は30~60個、青色~帯紫色、筒部は長さ約1㎜未満。舌部は長さ15~35mm×幅1~3㎜、無毛、腺はない。中心小花はオレンジ色、帯赤色になり、長さ3.5~5㎜、拡大部は漏斗形、上部が±鐘形になり、長さ2.5~4㎜、無毛、花冠裂片は広がり、狭三角形、長さ0.8~1.5mm。痩果は倒卵形、±扁平、長さ2.5~4㎜、無毛、上部にまばらに微細な有柄の腺があり、縁には翼があり、2うねがあり、加えてときに両側に2~3本のうねがある。冠毛の列は減少し、区別がつかず、ときに基部が融合し、紫褐色~褐色、剛毛は平らで、全体に小刺があり、長さ1~4㎜、先は鋭形。花期は6~8。果期は8月~10月。
13 Aster brevis Handel-Mazzetti アステル・ブレビス
中国原産。中国名は短茎紫菀 duan jing zi wan。高山の斜面に生える。
多年草、長さ5~12㎝、類叢生。根茎は太く、硬い繊維質の落ちずに枯れる葉が残る。根は単純。茎は剛毛があり、密に長い有柄の腺が葉にある。葉は4~7枚、±等間隔につき、縁は外巻きし、ザラつく。根生葉は長い葉柄があり、葉柄の基部は茎を抱く。葉身はヘラ状披針形、長さ1~4㎝×幅0.5~1㎝、質が厚く、無毛、基部は漸尖し、縁は小鋸歯があり、先は鋭形~円形。茎葉は無柄、長円形、長さ1.2~2㎝、下面に±毛があり、中脈はザラつき、上面は無毛、基部は茎を抱き、先は鈍形(下部の茎葉はときに無毛)。頭花は頂生、単生、直径3.5~4㎝。総苞は半球形、長さ1㎝以下。総苞片は等長、葉状、披針形、幅約2㎜、剛毛があり、腺は無く、先は尖鋭形、紫色を帯びる。周辺小花は暗青色、筒部は長さ約2.3㎜、有毛、舌部は線形、長さ10~12㎜×幅1~1.2㎜。中心小花は橙黄色、長さ約5.3㎜、筒部は長さ約1.5㎜、筒部と拡大部に毛があり、拡大部は円筒状漏斗形、裂片は狭三角形、長さ約0.9㎜、無毛、乾燥くとやや紫色を帯びる。痩果(未熟)は扁平、まばらに剛毛があり、2うねがある。冠毛(未熟)は3列、帯黄色。外側の列は鱗片であり、長さ約0.6㎜。剛毛は堅く、小刺がある。内側の列の剛毛は長さ約5㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ約5.6mm、やや棍棒形。花期は7月。
14 Aster chingshuiensis Y.C.Liu et C.H.Ou セイスイヨメナ
台湾原産。中国名は清水马兰 qing shui ma lan。石灰岩の割れ目と砂利に生える。
多年草、高さ10~25㎝、ときに叢生する。根茎は長く、細い。茎は斜上し、単純、細かい条線があり、下部に密に絨毛があり、上部に小剛毛があり、葉の下に微細な有柄の腺がある。葉は茎葉、上部では次第に小さくなり、下面は淡緑色、上面は緑色、光沢があり、下面には小剛毛があり、微細な有柄の腺があり、葉脈には密に小剛毛があり、上面は細かくザラつき、縁は外巻き、まばらに縁毛があり、中脈は下面で明瞭、先は尖鋭形、微突形。最も下部の葉は花期に枯れ、翼がある短い葉柄がある。葉身は倒卵形~倒披針形、長さ0.7~1.5㎝、基部は先細になり、縁は小鋸歯~鋸歯がある。下部~上部の葉は短い葉柄があり (葉柄は長さ 0.1~0.2㎝)。葉身は倒披針形~卵形、長さ1.2~3㎝×幅0.5~2㎝、基部はくさび形~円形、縁は鋸歯~小鋸歯がある。合成花序の葉は短い葉柄があり、卵形~披針形、長さ0.5~2.5㎝×幅0.1~0.6㎝、基部は円形、縁は1~5個の鋸歯がある。頭花は3~50個、頂生の密な散房花序状の合成花序につく。花序柄は長さ3~30㎜、小剛毛がある。苞は披針形、全縁。総苞は円筒状鐘形、長さ4~5㎜。総苞片は3~5列、不等長、上部は緑色、幅約0.7㎜、先は小剛毛と微細な有柄の腺があり、縁は薄膜質、微細不整歯になり、帯紫色、縁毛があり、中脈は上部でより明瞭になり、±半透明、先は円形~鈍形、微細不整歯になり、帯紫色、縁毛がある。外側の総苞片は広卵形、長さ約1㎜。中間の総苞片は長円形、長さ2~2.5㎜、基部は硬くなる。内側の総苞片は長楕形~線状長円形、長さ4~4.5㎜。周辺小花は5~10個、白色、筒部に小剛毛があり、小舌は長さ3~5㎜×幅1~1.5㎜、腺は無い。中心小花は黄色、長さ約3mm、筒部の基部は広がり、筒部の先と拡大部の基部に毛および微細な有柄の腺がある。拡大部は鐘形長さ約2㎜、裂片は開出し、狭三角形、長さ約1㎜、外面にまばらに微細な有柄の腺がある。痩果は長円形、わずかに扁平、長さ約2㎜、まばらに小剛毛があり、微細な有柄の腺があり、3うねがある。冠毛は帯褐色、4列につき、汚れた白色または (最も内側は)±帯赤色。最も外側の剛毛は少なく、長さ0.5~0.7㎜。外側の剛毛は細く、非常に少ないか、まったく無く、長さ約1.2㎜。内側の剛毛は長さ2.8~3.2㎜、先細になる。最も内側の剛毛は長さ3.5~4㎜、弱く棍棒形。花期および果期は8~11月。
15 Aster diplostephioides (Candolle) Bentham ex C. B. Clarke アステル・ディプロステフィオイデス
中国、インド、ブータン、ネパール、パキスタン原産。中国名は重冠紫菀 chong guan zi wan。高山および亜高山の草原、豊かなまたは湿った高山の草原、低木林、沼地、川岸、氾濫原、針葉樹林または混交林の浸水域に生える。多年草、高さ13~57㎝、しばしば叢生する。根茎は丈夫で枝分かれする。根は長く太く、襟は基部の葉の基部が枯れても落ちず、覆われる。茎は直立し、単生、まばら~中程度に絨毛があり、まばら~密に微細な有柄の腺があり、葉がつき、またはときに花茎状になる(scapiform)。葉は根生葉と茎葉。茎葉は徐々に小さくなり、質が薄く、まばら~中程度に絨毛があり、まばら~中程度に有柄の腺があり、縁は離れた鋸歯~小鋸歯があるかまたは全縁、絨毛の縁毛があり、中脈は明瞭。根生葉は花時に枯れる。根生葉と下部の茎葉は長い葉柄(葉柄は長さ10㎝以下)、または狭い翼のある葉柄がある。葉身は長円形~倒披針形、長さ1.3~15㎝×幅0.8~2.3(~4)㎝、基部は漸尖し、先は鋭形~鈍形~円形、ときに小突形。中部の茎葉は長円形~線状披針形、基部は耳状、類抱茎。上部の茎葉は長さ1.4~8.5㎝×幅0.2~1.3㎝。頭花は頂生、単生、直径6~9㎝。総苞は半球形、直径2~2.5㎝。総苞片は2列または3列、線状披針形、長さ9~16㎜×幅1~1.5㎜、ディスクより長く、外面は脈に沿ってまばらまたはときに典型的に絨毛があり、密にまたはときにまばらになり、暗色、微細な有柄の腺があり、膜質、縁は狭い薄膜質、縁毛があり、多数の脈があり、先は尖鋭形、広がる。周辺小花は2列、45~93個、藤色~紫色~ライラック青色、舌部は線形、長さ18~25㎜×幅1~2㎜、無毛、腺は無い。中心小花は長さ5~6㎜、橙色~黄色、先は外側が帯黒色または褐紫色、筒部と拡大部の下部に毛があり、拡大部は狭漏斗形、長さ3.5~4㎜、裂片は直立し、三角形、長さ約1㎜。痩果は狭倒卵形、長さ3~4㎜×幅1~1.5㎜、まばらに小剛毛があり、微細な有柄の腺があり、上部ほど密にあり、4~6本のうねがある。冠毛は3列、白色。最も外側の列の冠毛は小数の白色がわら色になり、幅0.8~1.2㎜。剛毛は小刺がある。内側の剛毛は長さ3.5~6㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ4~7㎜、弱く棍棒形。花期は7~9月。果期は9~12月。2n=18。
16 Aster dimorphophyllus Franch. et Sav タテヤマギク 立山菊
日本(山梨県、静岡県、神奈川県)原産。富士山周辺の山地に生え、和名は山中湖の南方にある立山に由来する。
夏緑の多年草。高さ30~60㎝。茎は細く、屈曲し、上部でわずかに分枝する。葉は互生し、葉柄は下部の長いものは長さ3~4.5㎝。葉身は三角状心形、長さ3~3.5㎝、縁は粗い鈍鋸歯縁、ときに深裂し、変異がある。頭花は頂生の散房花序にまばらに数個つく。総苞は短い筒形。総苞片は3列、不等長。外総苞片は披針形、先が尖る。周辺小花は白色、舌状、5~8個程度つく。中心小花は黄色の管状花。痩果は長さ約3.5㎜。冠毛は細く、不揃い、長さ4~6㎜。花期は8~10月。
16-1 Aster dimorphophyllus Franch. et Sav. f. roseus Hayash モモイロタテヤマギク
16-2 Aster dimorphophyllus var. divisus モミジバタテヤマギク葉が深裂するもの。
17 Aster farreri W. W. Smith & Jeffrey アステル・ファレーリ
中国原産。中国名は狭苞紫菀 xia bao zi wan。亜高山帯の草地または牧草地、開けた斜面、開けたアカエゾマツ林、森林の縁、シャクナゲや低木の茂み、道端などに生える。
多年草、高さ30~60㎝、ときに叢生する。根茎は長く、細く、時には隣接したロゼットがあり、ときに、襟が基部の落ちずに枯れる葉で覆われる。茎は直立し、単純で、まばら~中程度に絨毛があり、まばらに微細な有柄の腺があり、上部では密にあり、葉がつく。葉は根生葉と茎葉で、まばらに絨毛があり、腺は無く、縁は全縁またはまばらに小鋸歯があり、絨毛の縁毛があり、中脈が下面で明瞭。根生葉は花時には無い。根生葉と下部の茎葉は長い葉柄がある(葉柄は長さ7㎝以下)。葉身は倒披針形~狭倒披針形、長さ1.5~16(~22)㎝×幅0.7~2.3㎝、基部は漸尖し、先は鋭形。中部の茎葉は線状披針形、長さ7~13㎝×幅0.7~2㎝、基部は円形、ほぼ抱茎~抱茎、先は尖鋭形。上部の葉は線形、長さ約2㎝×幅0.1cm、先は鋭形。頭花は頂生、単生、直径5~8cm。総苞は半球形、直径2~2.4cm。総苞片は3列、ほぼ等長、線状披針形、長さ10~16㎜×幅1~1.5㎜、しばしば中心小花を越え、膜質、縁は狭い薄膜質、微細不整歯になり、縁毛があり、多数の脈があり、先は尖鋭形、広がる。外側の総苞片は外面に絨があり、腺は無い。最も内側の総苞片は無色、無毛、先端には絨毛がある。周辺小花は75~121個、紫青色またはライラック色、筒部は上部にまばらに微細な有柄の腺があり。舌部は長さ17~30㎜×幅1~1.2㎜。中心小花は黄色、長さ6.5~7㎜、筒部および拡大部の下部は微細な有柄の腺があり、拡大部は狭漏斗形、長さ約5㎜、ときに下部にまばらに毛があり、裂片は直立し、三角形、長さ0.7~1㎜。痩果は狭倒卵形、長さ3~4㎜、まばら~中程度の小剛毛があり、腺は無く、4本のうねがある。冠毛は4列、最も外側の列は少数の白色の鱗片であり、長さ0.3~1㎜。剛毛は汚白色、小刺がある。外側の剛毛は細く、長さ2~4㎜。内側の剛毛は長さ5~5.5㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ6~8㎜、弱い棍棒形。花期は7~8月。果期は8~9月。
品種) 'Blue Moon'
18 Aster flaccidus Bunge アステル・フラシッドゥス
中国、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、イラン原産。中国名は萎软紫菀 wei ruan zi wan。湿った高山草原、高山および亜高山の草地、牧草地、茂み、ガレ場、休閑地、森林に生える。
多年草、高さ3~30(~40)㎝、しばしば鱗状。根茎は長く、細く、時には匍匐性。茎は直立し、単純で、白色(紫色の場合もある)絨毛があり、より密に上向き(場合によっては基部にも)、まばらに密集して細密に腺状になる。根生葉と尾状葉。茎状の葉は上向きに減少し、薄く、まばらから中等度の絨毛があり、ときにグラブ状、まばらから中等度の細密な腺柄、縁全体または遠隔の鋸歯状(基部)、繊毛状、細かい 3 脈がある。基部の葉は存在し、開花時に枯れるか存在しないことがあり、短いまたは長い(葉柄は長さ7㎝以下)有柄。葉身はヘラ形~長楕円形~倒披針形、長さ1~9.5㎝×幅0.5~1.6㎝、基部は細く、先は丸みを帯びているか鈍形~鋭形。茎葉は通常無柄、長楕円形または長楕円形披針形、長さ1.5~9㎝×幅0.2~1.5㎝、基部はくさび形または±丸みを帯び、通常はサブクラスプ。上部の茎葉は披針形から披針形の線形。頭花は頂生、単生、直径 3.5~5(~7)㎝。花序柄はまばら~密に絨毛があり、時にはより密に頭頂部の下にあり、まばらに密に腺があります。総苞半球、直径 (1.2~)1.5~2(~3)㎝。 2 線状、準等級、披針形、長さ7~13㎜×幅1~2㎜、下面は基部が密に白色のランナト状からまばらに白色の絨毛状、通常はそれほど上向きではなく、まばら~密に細密に細柄があり、腺状、縁は荒く、ときに紫色がかった、繊毛状、膜状、多脈、先端は尖鋭、先端は時々広がり、しばしば密に絨毛状。光線小花は31~67個、青色または藤色、ラベンダー色がかった青色、まれにピンク色~ピンク白色、薄片は線状披針形、長さ9~25㎜×幅1~2.5㎜、下面の下部に毛がある(横壁は紫色)または無毛、無毛。中心小花はオレンジ色~黄色、長さ4.5~7㎜、拡大部は漏斗形、長さ3.5~5㎜、下部にはまばらに毛があり、裂片は直立し、三角形、長さ0.7~1.5㎜。痩果は帯褐色、狭卵形、扁平、長さ2.5~3.5㎜、まばらに小剛毛があり、まばら~中(頂端)に微細な有柄の腺があり、まれに無毛で腺は無く、縁に小剛毛の縁毛があり、2うねが目立つ。冠毛は4列、帯白色(ときに帯紫色)、剛毛は小刺がある。最も外側の列は狭い鱗片で、長さ0.6~1.5㎜。外側の剛毛は少なく、細く、長さ3.5~5㎜。内側の剛毛は 長さ6~6.5㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ6.5~7.5㎜、弱い棍棒形。花期および果期は6~11月。2n=54。
18-1 Aster flaccidus subsp. flaccidus
中国、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、イラン原産。中国名は萎软紫菀 wei ruan zi wan。高山および亜高山帯の牧草地、茂み、ガレ場に生える。
茎は高さ3~15(~40)㎝、まばらに腺がある。 葉の表面はまばら~密に絨毛があり、少なくとも脈に絨毛がある。総苞は直径1.5~2(~3)㎝。外総苞片は基部に密に羊毛(綿毛)または絨毛があり、外面にはまばらに腺がある。
18-2 Aster flaccidus subsp. glandulosus (Keissler) Onno
中国、インド原産。中国名は腺毛萎软紫菀 xian mao wei ruan zi wan。高山の湿った草原に生える。
茎は高さ3~15㎝、上部に密に腺がある。葉の表面はほぼ無毛または下面の脈にまばらに絨毛がある。総苞は直径1.2~1.8(~2)㎝。外総苞片は基部にまばらに絨毛があり、外面は密に腺がある。
19 Aster formosanus Hayata タイワンシラヤマギク 台湾白山菊
中国、台湾原産。中国名は台岩紫菀 tai yan zi wan。道端、広葉樹と針葉樹の混合林の露出した湿った場所に生える。
多年草、高さ30~80㎝ (標本は不完全)。根茎は長く、細い。茎は直立、単生、柔軟、ときに上部で分枝し、細かい条線があり、帯紫色、無毛、腺は無い。葉は茎葉、上部で次第に小さくなり、長い葉柄がある (葉柄は長さ7㎝以下)。葉柄は紫色、基部は透明な耳状、茎を抱く。葉身は下面が淡緑色、上面が緑色、光沢があり、下面は無毛、凹みの内に微細な有柄の腺があり、上面は縁近くが細かくザラつき、基部は心形、縁は粗い鋸歯があり、まばらに縁毛があり、中脈および主な側脈が下面で明瞭で、先は長い尖鋭形、微突形。一番下の葉 (見えない) は花時に枯れ、ときに腐敗し、葉身は長円形である。下部~上部の葉は卵形、長さ6~11(~16)㎝×幅2.5~7㎝。合成花序の葉は有柄(葉柄~1㎝)で、披針形、長さ2~4㎝×幅0.2~0.8㎝、基部は楔形、縁は小鋸歯があるかまたは全縁。頭花は頂生、130個以下、またはそれ以上つき、頂生の円錐花序状の散房花序の合成花序につく。花序柄は長さ7~10㎜、まばら~中程度に小剛毛があり、微細な有柄の腺がある。苞は披針形、全縁。総苞は円筒状鐘形、長さ3~5㎜。総苞片は3列または4列、不等長、緑色、幅約1㎜、無毛、微細な有柄の腺があり、樹脂質、縁は狭く~広く薄膜質、微細不整歯状になり、中脈が明瞭、±半透明、先は円形~鈍形~鋭形、微細不整歯になり、帯紫色、縁毛がある。外総苞片は卵形、長さ1.5~2㎜。中総苞片は長円形、長さ2~3㎜、基部は硬くなる。内総苞片は長円形、長さ4~5mm。周辺小花は8~15個、筒部は小剛毛があり、舌部は白色、長さ4~5(~6.5)㎜×幅1~1.5㎜、腺は無い。中心小花は黄色、長さ約7㎜、筒部の基部は広がり(flared)、筒部の先および拡大部の基部は小剛毛があり、拡大部は鐘形、長さ約3.5㎜、裂片は開出し、反り返り、狭三角形、長さ約3mm、腺は無い。痩果(未熟)は長円形、わずかに扁平、長さ2.5~3㎜、4うねがあり、小剛毛があり、腺は無い。冠毛は(未熟)3列、わら色、小刺のある剛毛である。外側の剛毛は少なく、細く、長さ約2㎜。内側の剛毛は長さ3.5~4㎜、先細になる。最も内側の剛毛は長さ約4.5mm、弱い棍棒形。花期および果期は5~12月。
20 Aster fuscescens Bureau & Franchet アステル・フシエーシャス
中国、ミャンマー原産。中国名は褐毛紫菀 he mao zi wan。高山および亜高山の草原、低木林の間のび草が茂った斜面、竹やシャクナゲの茂み、乱れた落葉樹林の中の竹林、常緑広葉樹林の中の牧草地、岩の多い斜面に生える。
多年草、高さ15~120㎝。根茎は長く、隣接するロゼットがしばしばある。茎は直立~斜上し、単純で、条線があり、ときに帯赤色、小絨毛があり、微細な有柄の腺があり、上部ほど密になる。葉は茎葉、普通、上ベで次第に小さくなり、下面は淡緑色または銀緑色、上面は暗緑色、下面は小剛毛があり、上面は無毛またはほぼ無毛、または両面に小剛毛があり、脈上に小絨毛があり、下面はまばら~密に微細な有柄の腺があり、上面は縁により多く、縁は粗い鋸歯~鋸歯があり(歯は微突形)、小絨毛の縁毛があり、脈は下面で明瞭または両面で明瞭、先は微突形。一番下部の葉は花時に枯れるか、しばしばあり、長い葉柄がある (葉柄は長さ20㎝以下)。葉身は広卵形または長円形~披針形、長さ4.5~12㎝×幅(2.5~)3.8~7(~10)㎝、基部は心形または円形 (または漸尖し)、先は円形~鈍形。下部~上部の葉は葉柄が長~短。葉身は広~狭卵形または披針形、長さ(3~)4~11㎝×幅(1.5~)3.2~11㎝、基部は円形(または漸尖し)、先は鈍形~鋭形。合成花序の葉は葉柄が短く、狭卵形~披針形、長さ2.7~5.5㎝×幅0.3~2.2㎝、基部は円形(漸尖)、縁は小鋸歯~全縁、先は鋭形。頭花は7~36個、頂生の散房花序状の合成花序につき、直径約3㎝。花序柄は長さ10~80㎜、ほぼ無毛~まばらに小絨毛または小剛毛があり、密に微細な有柄の腺がある。苞は線状披針形、全縁。総苞は広鐘形、長さ5~11㎜×幅10~15㎜。総苞片は3列、ほぼ等長、線状披針形、長さ7~11㎜×幅1.3~2.5㎜、外面は中脈に沿ってまばらに小絨毛があるか無毛、中程度~密に微細な有柄の腺があり、または腺が無く、基部はときに硬くなり、縁は薄膜質(外側の総苞片は薄膜質が狭い)、微細不整歯、帯紫色、小絨毛の縁毛があり、緑色、中脈はわずかに半透明、先は尖鋭形、先端は帯紫色、縁毛がある。周辺小花は13~21(~25)個、舌部は紫色~帯青色、長さ7.5~13㎜×幅2.2~3㎜、無毛、腺は無い。中心小花は黄色、長さ7.2~7.5㎜、筒部は緑色、まばらに小剛毛があり、腺は無く、拡大部は漏斗形、長さ7.2~7.5㎜、裂片が広がり、ときに先端が反り返り、狭三角形、長さ1.5~1.7㎜、帯紫色、無毛または先にまばらに小剛毛があり、先にまばらに腺がある。痩果は倒卵形、扁平、長さ約3.5㎜、まばらに小剛毛があり、下部はまばら~先は中~密に微細な有柄の腺があり、4うねがある。冠毛は4列、赤褐色、細く、小刺のある剛毛である。最も外側の剛毛は0~2本、長さ約0.5㎜。外側の剛毛は多数、長さ1.2~4㎜。内側の剛毛は長さ4~5.5㎜、先細になる。最も内側の剛毛は6~9本、長さ7~8㎜、わずかに棍棒形。花期は7~10月。果期は8~12月。
20-1 Aster fuscescens var. fuscescens
中国、ミャンマー原産。中国名は 褐毛紫菀 he mao zi wan
茎は高さ60㎝以下、頑丈、基部は直径4~6㎜、毛があり、腺がある。下部の茎葉は広卵形。最下の葉は花時に枯れ、葉柄は12㎝以下、葉身は長さ7~12㎝×幅6.5~10㎝。中部の葉は葉柄が長さ12cm以下、小さい。 最上部の葉は無柄、卵状披針形、まばらに絨毛があるかまたは無毛、まばらに腺があり、薄くて柔らかく網状脈はほとんど目立たない。総苞片は絨毛があり、短柄の腺がある。
20-2 Aster fuscescens var. oblongifolius Grierson
中国、ミャンマー原産。中国名は长圆叶褐毛紫菀 chang yuan ye he mao zi wan。さざ波形 茎は高さ35㎝以下、細く、基部で直径4㎜以下、絨毛があり、腺がある。 下部の茎葉は長円形~披針形、長さ5~8.5㎝×幅2.5~3.5㎝、縁はさざ波形の歯があり、歯は微突形。 上部の茎葉は少数、無柄、披針形、長さ3~7㎝×幅1.5~3㎝、密に絨毛があり、短柄の腺があり、網状脈は両面にほとんど目立たない。総苞片は±密に絨毛があり、密に有柄の腺がある。
20-3 Aster fuscescens var. scaberoides C. C. Chang
中国原産。中国名は少毛褐毛紫菀 shao mao he mao zi wan
茎は高さ45㎝以下、細く、基部は直径約4㎜、下部は無毛、上部には帯褐色の軟毛があり、ときに短柄の腺がある。 下部の茎葉は葉柄が長さ15㎝以下、葉身は広卵形、長さ3~6.5㎝×幅3~6㎝、基部は心形。上部の茎葉は無柄で、より狭く、卵形または披針形、上面にはまばら~中程度に絨毛があり、まばら~中テイドに腺があり、両面に網状脈が目立つ。総苞片は無毛。
21 Aster glehnii F.Schmidt ゴマナ 広義
品種) 'Aglenii'
21-1 Aster glehnii F.Schmidt var. glehnii エゾゴマナ 蝦夷胡麻菜
北海道、本州(東北北部、丹後半島)、ロシア(サハリン)、千島列島に分布する。低地~山地のやや湿った草地や林縁などに生える。ゴマナより全体に大きく、毛が多く、総苞が大きい。
多年草、高さ100~170(200)㎝。 根茎は太く、横に這う。茎は直立、上部で分枝し、茎や葉に細かい毛があり、ざらつく。 葉は互生し、無柄~短柄、長さ13~19㎝、長楕円形、基部は楔形、縁に低い鋸歯があり、先は尖鋭形。葉の両面に細毛があり、裏面には 腺点がある。枝先の散房状花序に、頭花を多数つける。頭花は直径1.5~2㎝。総苞は長さ4~5㎜、白色の毛が密生する。総苞片は2~3列、線形、先が尖る。周辺小花は舌状、白色。中心小花は筒状、黄色。花期は8~9月。2n=18。
21-2 Aster glehnii F.Schmidt var. hondoensis Kitam. ゴマナ 胡麻菜
日本(本州、北海道)、サハリン原産。山地のやや湿った草原、道端に生える。
多年草、高さ100~150㎝。茎や葉に細かい毛があり、ざらつく。葉は互生し、無柄、長さ13~19㎝×幅4~6㎝、先が尖り、基部は楔形の長楕円形、縁に鋸歯がある。葉脈が深く、ゴマの葉に似ているのが特徴である。大きな散房状の花序になり、直径約15㎜の小さな頭花を多数つける。総苞は長さ3~3.5㎜、毛が多い。舌状花は雌性、白色で多数。筒状花は両性、黄色。舌状花、筒状花ともに冠毛がある。痩果は長さ約2.5㎜、長楕円形。冠毛は白色。花期は8~10月。果期は9~11月。2n=18。
22 Aster heterolepis Handel-Mazzetti アステル・ヘテロレピス
中国(甘粛省)原産。中国名は异苞紫菀 yi bao zi wan。石の多い斜面に生える。
多年草、高さ14~45㎝、±叢生する。根茎は丈夫、新しいロゼットがときにある。茎はしばしば枯れても落ちない葉が残り、直立し、上向きに枝分かれ、または単純で、絨毛状の剛毛があり、無柄の腺があり、茎上部に緩く葉がつく。葉は±厚く、剛毛があり、密に無柄の腺があり、三行脈(triplinerved)で、中脈は下面で明瞭。根生葉はロゼットになり、下部の茎葉は花時に存在し、葉柄に翼があり、葉柄の基部は茎を抱く。葉身はヘラ形または倒披針形、長さ3~9㎝×0.5~1.5㎝、基部は漸尖し、縁は全縁、ザラつき、先は円形~鈍形。中部の葉は無柄、長円形~倒披針形。上部の葉は±線状倒披針形、小さい。頭花は頂生、2~4本の枝先に単生し、直径3.5~5(~6)㎝。総苞は半球形、長さ0.8~1㎝×幅1~1.5㎝。総苞片は3列、不等長。外側の総苞片はへら形、長さ4~7㎜×幅1.5~2.5㎜、外面も密に小剛毛があり、無柄の腺があり、基部は硬くなり、先は葉状、縁は縁毛があり、先は円形。内側の総苞片は長円形~線状長円形、約・長さ10㎜×幅2㎜、上部に密に小剛毛があり、±膜質、縁は薄膜質、ギザギザの房状へり、縁毛があり、先は鋭形~尖鋭径、帯紫色。周辺小花は30個、帯青色、筒部は長さ2.5~2.8㎜、上部にまばらに毛があり、舌部は長さ15~18㎜×幅2~2.5㎜。中心小花は長さ約5.8㎜、筒部は長さ約2.2㎜、拡大部は上部に基部まで毛があり、拡大部は漏斗形、裂片は披針形、長さ約1.3㎜、等長、先端が外巻きし、無柄の腺がある。痩果は淡褐色、倒卵形、扁平、長さ約3㎜、小剛毛があり、先に腺があり、2 うねがある。冠毛は帯白色、3列にちく、剛毛は全体に小刺がある(barbellate)。最も外側の剛毛は少数、長さ約0.4㎜。内側の剛毛は長さ約5㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ約6.2㎜、こん棒形。花期および果期は6~9月。
Aster heterolepis は A. oreophilus と密接に関連している。より大きな頭花をもち、総苞片の形状が異なる。
23 Aster himalaicus C. B. Clarke ヒマラヤ アスター
中国、インド (シッキム)、ブータン、ネパール、ミャンマー原産。中国名は须弥紫菀 xu mi zi wan。高山の草原、マツ林に生える。
多年草、高さ8~25㎝。根茎は丈夫で匍匐枝はなく、襟には枯れても落ちない葉が残る。茎は斜上し、単純、下部は小絨毛があり、上部はまばらで、微細な有柄の腺があり、上部にはより密にある。葉は根生葉と茎葉、薄く、まばらに小絨毛があり、脈上にはより密にあり、中程度~密に微細な有柄の腺があり、縁には絨毛の縁毛があり、脈は下面で明瞭、先端は紫色の微突を持つ。根生葉は花時に枯れ、枯れても落ちず、葉柄に広い翼があり(葉柄は長さ2㎝以下)。葉身は倒披針形、長さ0.9~2.5(~4.5)㎝×幅0.5~2.5㎝、基部は細く、縁は鋸歯状(歯は密生)、先は丸く鋭く尖る。下部の茎葉は長楕円形または倒卵形~倒披針形、長さ1.5~4㎝× 0.5~1.2㎝、基部は丸みを帯び、サブクラスプ、縁は完全または鋸歯状。上部の葉が頭頂に近づいています。頭頂部、単生、直径4~4.5㎝。総形半球形、長さ11~13㎜× 13~14㎜、しばしば円盤の上にある。苞葉は2列または3列、準等長、先はわずかに広がり、長楕円形~披針形、長さ13~14㎜×幅2.5~3.5㎜、下面はまばらに絨毛質~無毛、先端は密に微細な刺状、腺状、膜状、縁は粗く、繊毛状、多脈、先は尖り、葉のような、紫がかった。周辺小花は40~50(~70)個、青紫色、舌部は長さ12~15(~17)㎜×0.5~0.7㎜。中心小花は紫褐色または黄色、長さ約5㎜、筒部と拡大部の下部に毛があり、拡大部は漏斗形、長さ約4㎜、裂片は直立し、三角形、長さ約1㎜、先端はまばらに微細な有柄の腺がある。痩果は褐色、狭倒卵形、扁平、長さ2.5~3㎜、小剛毛があり、微細な有柄の腺があり、上部ではより密にあり、2うねがある。冠毛は4列、帯白色~わら色。最も外側の列は長さ0.3~0.5㎜の少数の小さな鱗片。剛毛には全体に小刺がある。外側の剛毛は細く、長さ2~3㎜。内側の剛毛は長さ4~4.5㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ約5㎜、弱い棍棒形。花期は7~8月。果期は9~10月。2n=10。
24 Aster hispidus Thunb. ヤマジノギク 山路野菊 広義
日本(本州中部以西、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、ロシア原産。中国名は狗娃花 gou wa hua 。別名はアレノノギク。
1年草又は2年草、高さ30~50(~150)㎝、直根は垂直に伸び、紡錘形。茎は1本、ときに束生する。枝は剛毛や粗毛があり、下部が無毛になる。葉は質が薄く、まばらに剛毛があるか、又は無毛、縁毛があり、中脈や二次脈は明瞭。根生葉と下部の茎葉は花時までに枯れ、長い葉柄がある。葉身は倒卵形、長さ4~13㎝×幅0.5~1.5㎝、漸尖形、縁は全縁又は間隔の開いた鋸歯があり、先は鈍形~円形。茎中間の葉は長円状披針形~線形、長さ3~7㎝×幅0.3~1.5㎝、縁はしばしば全縁。上部の葉は小さく、線形。頭花は広い散房花序の合成花序(corymbiform synflorescences)につき、放射状頭花(radiate)、直径3~5㎝、花序柄は長い。総苞は長さ7~8㎜×幅10~20㎜。総苞片は2列、ほぼ等長、外面には剛毛があり、しばしば腺がある。外総苞片は線状披針形、幅約1㎜、葉状。内総苞片は菱状披針形、縁は薄膜質、剛毛がある。周辺小花は約30個、帯赤色又は白色、筒部は長さ約2㎜、舌部は線状長円形、長さ12~20㎜×幅2.5~4㎜。中心小花は長さ5~7㎜、筒部は長さ1.5~2㎜、裂片は不等長、長さ1~1.5㎜。痩果は倒卵形、扁平、長さ2.5~3㎜×幅約1.5㎜、剛毛があり、縁に細かい2うねがある。周辺小花の冠毛は王冠状の鱗片、長さ約0.5㎜。中心小花の冠毛は白色、後に赤色を帯び、花冠とほぼ同長の剛毛。花期は7~9月。果期は8~10月。
24-1 Aster hispidus Thunb. var. hispidus ヤマジノギク 山路野菊 狭義
synonym Heteropappus decipiens Maxim.
24-2 Aster hispidus Maxim. var. koidzumianus (Kitam.) Okuyama ブゼンノギク 豊前野菊
九州北部に分布。山地の日当たりのよい岩場や崖地に生える。2年草。高さ0.6~1.5m。普通、全体に無毛。茎はよく分枝する。葉は根出葉と茎葉。根出葉と下部の茎葉は花時には枯れる。茎葉は互生し、単葉、質がやや厚く、長さ5~7.5㎝、狭披針形~へら状線形、全縁、基部は漸尖する。頭花は枝先につき、直径3~4㎝。総苞は浅い杯形、総苞片は2列。周辺小花は淡紫色。中心小花は黄色。痩果は長さ2.5~3mm、倒卵形、扁平。中心小花の冠毛は長さ3~4㎜、赤褐色を帯びる。周辺小花の冠毛は長さ約0.5㎜、白色。花期は10~11月。
24-3 Aster hispidus Thunb. f. albidiflorus (Akasawa) Yonek. シロバナアレノノギク
ヤマジノギクの白花品種。24-4 Aster hispidus Thunb. var. insularis (Makino) Okuyama ソナレノギク 磯馴野菊
四国、九州に分布。海岸の岩場に生える。2年草、高さ40~100㎝。茎は直立~斜上し、太く、無毛、基部からよく分枝する。根生葉はロゼットになり、へら形~さじ形、長さ12㎝×幅2.5㎝・以下、質はやや厚く、無毛、基部は漸尖し、狭い翼のある柄状になり、先は円く、全縁または若いときに鋸歯があり、白色の縁毛があり、上面は光沢があり、下面は光沢がない。茎葉は多数つき、へら形、長さ6~7㎝×幅1~1.3㎝、上面は無毛、小剛毛の縁毛がわずかにあり、下面はわずかに小剛毛が散生し、中脈は明瞭、ザラつく。頭花は枝先にゆるく散房状つき、直径4 ~4.5㎝。花序柄は長さ3~4㎝。苞は数個つき、披針形、総苞片に似る。総苞は長さ7~9㎜。総苞片は2列、等長、草質、披針形、先は鋭尖形、無毛。周辺小花は淡紅紫色、筒部は短く、舌部は長さ約2㎝。中心小花は花冠が長さ約6mm、筒部は長さ約5㎜、拡大部は長さ約3㎜。痩果は長さ3~4㎜、狭卵形~卵形、扁平。冠毛は帯赤褐色、長さ約3㎜。花期は10~11月。
24-5 Aster hispidus Thunb. var. leptocladus (Makino) Okuyama ヤナギノギク 柳野菊
synonym Aster leptocladus Makinosynonym Heteropappus hispidus (Thunb.) Less. subsp. leptocladus (Makino) Kitam.
四国(高知県)に分布する。日当たりのよい乾草原の蛇紋岩地帯に生える。多年草、高さ30~80㎝。全体に細く、まばらに分枝し、倒れぎみになる。葉は長さ3~6㎝、幅1.5~3㎜の線形。葉の縁に内側に曲がる毛が生える。花は枝頂につき、淡青紫色、直径2.5~3㎝。花期はサワシロギクが赤くなって終わる頃である。花期は10~11月。
24-6 Aster hispidus Thunb. var. tubulosus K.Asano ツツザキヤマジノギク 筒咲山路野菊
長野県(中川村、松川町)に分布。和名は周辺小花が筒咲きであることから。2年草、まれに1年草。頭花は周辺小花が舌状花でなく、変化に富んだ筒状花になり、個体間だけではなく同じ茎でも周辺小花が変化し、1個の頭花の中でも変化することもある。頭花の大きさも直径2.5~5㎝と変化が大きい。花の色は白色、赤紫色。種子の冠毛は長さや色彩にいくつかのパターンがある。
25 Aster incisus Fisch. コウアンヨメナ
synonym Aster pinnatifidus Makino f. robustus Makino
synonym Asteromoea incisa (Fischer) Koidzumi
synonym Kalimeris incisa (Fischer) Candolle
日本(本州の奈良県以西、四国の徳島県、高知県)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は裂叶马兰 lie ye ma lan 。
多年草、高さ30~120㎝、根茎がある。茎は直立、上部で分枝し、溝があり、無毛又は疎らに剛毛がある、。葉は質が薄い。下部の茎葉は花時までに枯れる。茎中間の葉は無柄、楕円状披針形~披針形、長さ6~10(~15)㎝×幅1.2~2.5(~4.5)㎝、下面は剛毛があるかほぼ無毛。上面は無毛~ほぼ無毛、基部は次第に漸尖し、縁は切れ込みのある鋸歯状、ときに羽状浅裂、まれに全縁、ざらつき、脈は明瞭、先は尖鋭形。上部の葉は小さく、線状披針形、全縁。頭花は開いた散房花序の合成花序(corymbiform synflorescences)につき、直径2.5~3.5㎝。.総苞は半球形、長さ5~7.5㎜×幅7~12㎜。総苞片は3列、覆瓦状、長円状披針形、外面にまばらに小剛毛があり、縁毛がある。外総苞片は長さ3~4㎜、鋭形。内総苞片は長さ4~5㎜、縁は薄膜質、帯紫色、先は鈍形。周辺小花は.(13~)16~27(~29)個つき、淡ライラック色~青紫色、筒部は長さ1~1.5㎜、舌部は長さ1.5~1.8㎝×幅0.2~0.25㎝。中心小花は黄色、長さ3~4㎜、筒部は長さ1~1.3㎜、拡大部は鐘形有毛、裂片は三角形、長さ約0.6㎜、無毛。痩果は帯褐色、倒卵形、扁平、長さ3~3.5㎜、剛毛があり、縁に淡色の2うね、ときに3うねがある。冠毛は帯赤色、長さ0.5~1.2㎜。花期と果期は6~10月。2n=18。
26 Aster indamellus Grierson アステル・インダメルス
中国、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン原産。中国名は叶苞紫菀 ye bao zi wan。草が茂った斜面、岩の割れ目、高山のガレ場、亜高山帯の開けた森林に生える。
多年草、高さ11~50 cm、てい幹は木質、根茎がある。茎は直立または斜上し、単生、帯赤色の小剛毛があり、微細な有柄の腺がある。葉は茎葉、徐々に上部では大きくなる。最下部の葉は花時に枯れ、無柄、倒披針形、細かくザラつき、微細な有柄の腺があり、(ときに無毛)、縁は全縁または1~7個の小鋸歯~粗い鋸歯があり、細かくザラつく縁毛があり、中脈は上面でわずかに明瞭、先は鋭形、微突形。中部から上部の葉は倒披針形、長さ1.6~4(~6)㎝×幅0.4~1.7(~2)㎝、基部は先細りから楔形。合成花序の葉は倒披針形、長さ1.4~1.6㎝×幅0.2~0.4㎝。頭花は頂生、1~20個、散房花序状~円錐状の散房花序状の合成花序、まれに、単生する。花序柄は長さ30~70㎜、小剛毛がある。苞は倒披針形、全縁、上部の苞は頭花に接して覆う。総苞は鐘形、長さ5~7㎜。総苞片は2列または3列、ほぼ等長、基部は硬く、縁は微細不整歯になり、縁毛があり、上部の1/3 は緑色、目立つ中脈はわずかに半透明。外側の総苞片は狭~広披針形、長さ5~6㎜×幅1.5~2.5㎜、中脈はまばら~中程度に小剛毛があり、下部に微細な有柄の腺があり、両面の上部に密にあり、上部は葉状、縁は狭い薄膜質、先はときに広がり、鋭形、縁毛がある。中間の総苞片は長円形、長さ5~6㎜×幅1.3~1.8㎜、外面の下部はまばらで上部には密に微細な有柄の腺があり、上部の1/4~先端のみが葉状になり、縁は±広く薄膜質、先は鈍形、微突形、上部の縁と先は帯紫色。内側の総苞片は線状長円形、長さ6~7㎜×幅0.8~1㎜、薄膜質、先はときに帯紫色。周辺小花は25~30個、青色、藤色、またはピンク色、筒部にはまばらに小剛毛があり、舌部は長さ13~16㎜×幅1~2㎜、腺は無い。中心小花は黄色、長さ4.5~5㎜、筒部の先と拡大部の基部にまばらに小剛毛があり、まばらに微細な有柄の腺があり、拡大部は鐘形、長さ2.5~3㎜、裂片は直立し、先端は広がり、三角形~狭三角形、長さ1.2~1.5㎜、まばらに小剛毛があり、腺は無い。痩果は倒卵形、±扁平、長さ3~3.5㎜、まばらに~中程度に小剛毛があり、まばらに微細な有柄の腺が先にあり、2うねがある。冠毛は3列、汚白色、細く、小刺のある剛毛。外側の剛毛は長さ0.3~1.1㎜。内側の剛毛は長さ3~3.5㎜、先細になる。最も内側の剛毛は長さ4.5~ 5㎜、先細になる。花期および果期は7~9月。
27 Aster iinumae Kitam. ex Hara ユウガギク 柚香菊
synonym Aster indicus var. pinnatifidus Maxim
synonym Asteromoea pinnatifida (Matsum.) Koidz
synonym Kalimeris pinnatifida (Maxim.) Kitam
synonym Boltonia indica var. pinnatifida Matsum.
日本固有種(本州(近畿地方以北)。英名はfalse aster, Japanese aster 。
多年草、高さ30~150㎝。長い地下茎がある。葉は薄く、長さ3~8㎝の披針形~卵状長楕円形、縁はしばしば羽状に中裂し、葉形は変化が多い。葉の基部は楔形で葉柄はない。花は直径約2.5㎝、淡紫色~白色。青味の強さ、花弁の幅や数も変化が多い。冠毛はほとんどなく、長さ約0.25㎜。痩果は長さ2~3㎜の倒卵形、稜に剛毛、面にも腺毛がある。2n=18。花期は7~10月。
28 Aster kantoensis Kitam カワラノギク 河原野菊
日本固有種(関東地方)。相模川、多摩川、鬼怒川など一部水系の中流域の増水時 に時々冠水するような氾濫原の砂礫地に生える。自生地の保全活動が実施されている。
2年草、叢生し、高さ30~80(100)㎝。茎は上部で分枝する。 根生葉と下部の茎葉は花時には枯れる。 葉は無柄、ほぼ無毛、線状披針形~線形。茎中部に葉は線形、長さ6~7㎝×幅3~5㎜、茎上部のものほど小さくなる。頭花は茎の上部の散房花序又は円錐花序につき、直径3~4㎝。総苞は幅7~10㎜。総苞片は2列。舌状花は白色~淡紫色。筒状花は黄色。冠毛は長さ約6㎜。花期は10~11月。
29 Aster koraiensis Nakai チョウセンシオン 朝鮮紫苑
朝鮮原産。英名はKorean starwort。別名はチョウセンヨメナ。観賞用に栽培され、野生化し、道端などに群落が見られる。
多年草、高さ40~80cm。全体に無毛。根生葉は花時に残り、長さ約20cm×幅3~5cm。茎葉は互生し、無柄、約・長さ10cm×幅3cm、披針形~狭楕円形、先は尖鋭形、縁にはまばらに鋸歯がある。茎上部の葉腋で分枝し、枝先に少数の頭花をつける。頭花は直径3~4cm。周辺小花は淡紫色。中心小花は黄色。総苞片はほぼ4列につき、卵形~楕円形で先は少し尖り、縁は膜質。痩果は円柱形、稜があり、淡黒色、無毛、冠毛はない。花期は6~8月。
30 Aster komonoensis Makino コモノギク 菰野菊
日本(本州の近畿地方、四国)原産。別名はタマギク。和名は三重県の御在所山麓の菰野の地名に由来する。山地の岩場や砂礫地に生える。
多年草、高さ15~50㎝。葉はロゼット状になる。葉は根生葉と茎葉、根間葉と下部の茎葉は花時には枯れる。中部の茎葉は長さ2.5~7㎝、長楕円形、基部は無柄又は翼のある葉柄になり、やや茎を抱く。頭花は散房花序に数個つき、直径2.5~3.5㎝。総苞は球形~短い円筒形、長さ6~12㎜。総苞片は3~4列、先は尖らず、外総苞片は先が円形。 蕾は球形になる。周辺小花の舌状花は淡紅紫色。中心小花は黄色。花期は7~9月。
31 Aster maackii Regel ヒゴシオン 肥後紫苑
synonym Aster horridifolius H. Leveille & Vaniot
日本(九州)、朝鮮、中国原産。中国名は圆苞紫菀 yuan bao zi wan 。
多年草、高さ40~90㎝、根茎がある。茎は直立、1本、帯赤色の条線があり、上側はまばらに、ざらつき、下部の葉はまばらに小さな柄のある腺があり、上部ではより腺が多い。茎葉は上部ではサイズが次第に大きくなり、最も下部の葉は花時までに枯れ、無柄、疎~密に微細突起があり(scabridulous)、微細な柄のある腺があり、上面はごく疎らにそれがあり、縁は鋸歯縁又は細鋸歯縁、微細突起状の縁毛があり、3脈があり、中脈は上面で明瞭、先は鋭形、ときに鈍形、微突形。下部~上部の葉は披針形、長さ4~11㎝×幅0.7~2㎝、基部は漸尖形。合成花序の葉は披針形、長さ2~6㎝×幅0.5~1.5㎝、縁は細鋸歯~全縁。頭花は (1 ~)2~10個又はそれ以上、頂生の散房花序状の合成花序につき、まれに単生する。花序柄は長さ20~80㎜、中位~密に微細突起があり、微細な柄のある腺がある。苞は狭卵形、全縁、上部の苞は頭花に接して包む。総苞は広鐘形、長さ7~9㎜。総苞片は3列につき、不等長、基部は硬くなり、外面は無毛、腺は無く又はまばらに微細な柄のある腺があり、縁は薄膜質、微細不整歯があり、上部1/3は葉状、縁毛があり、中脈はわずかに半透明、先は鈍形~円形、縁毛がある。外総苞片は披針形~長円形、長さ2~4㎜×幅0.9~1.1㎜、外面の上部に微細な有柄の腺があり、中脈には疎~中位に小剛毛がある。中総苞片は長円形、長さ6~7㎜×幅1.2~1.3㎜、上部の縁と先は帯紫色。内総苞片は線状長円形、長さ9.5~10㎜×幅1~2㎜、薄膜質、先は帯紫色。周辺小花は30~40個つき、紫色、筒部はまばらに毛があり、弁部は長さ.15~18㎜×幅約1.5㎜、腺は無い。中心小花は黄色、長さ約7㎜、筒部と拡大部の基部にまばらに毛があり、まばらに微細な有柄の腺がある。拡大部は鐘形、長さ約4㎜、裂片は広がり、先端は反曲し、三角形~狭三角形、長さ1.2~1.5㎜、先にまばらに小剛毛があり、腺は無い。痩果は下部が紫色、上部は紫色のまだらになり、倒卵形、扁平、長さ2.3~2.5㎜、中位~密に小剛毛があり、先に微細な有柄の腺がまばらにあり、2うねがある。冠毛は4列につき、汚白色、細く、 ひげ状の毛であり、最も外側の剛毛は0~4本、長さ0.2~0.6㎜。外側の剛毛は0又は1本、長さ約2.8㎜。内側の剛毛は長さ4.8~5.2㎜、先細りになる。最も内側の剛毛は長さ5.3~5.7㎜、先細りになる。花期および果期は7~10月。2n=18。
32 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. センボンギク 広義
日本固有種。
品種) Ajw 93/559 , 'Js Straffe Prairie Gast'
32-1 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. microcephalus センボンギク 千本菊
日本固有種(本州の宮城県~広島県、四国、九州)。山地の川岸や渓流の岩場に生える。ノコンギクの渓流型。別名はミズギク、タニガワコンギク。多年草、高さ10~40㎝。茎は細く、束生し、上部で分枝する。根生葉は花時に無い。葉は互生、茎葉に葉柄は無い。葉身は線形、長さ3.5~5.5㎝×幅3.5~5㎜、基部は漸尖形、上半部に疎らに鋸歯があり、先は尖鋭形、上面にはまばらに短毛があり、下面はほぼ無毛。頭花は放射状頭花(radiate)、直径1.5~2㎝。花柄は長さ1.5~2㎝。総苞は半球形、長さ3.5㎜。総苞片は3列、線形、緑色、鈍頭。舌状小花は1列、花冠は淡紫色~ほぼ白色。中心小花は花冠が筒状、先が5裂し、黄色。痩果は冠毛がある。花期は9~11月。
32-2 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. littoricola (Kitam.) Nor.Tanaka ハマコンギク
synonym Aster ageratoides Turcz. var. ovatus (Franch. et Sav.) Nakai form. littoricola (Kitam.) Ohwiノコンギクの海岸型である。基準産地は江ノ島であり、エノシマヨメナとも呼ばれる。
高さ50~100㎝。茎には毛が密生する。葉は卵円形、有毛、厚紙質、表面に光沢がある。近くにノコンギクも見られたが葉の厚さが全く違い、ここのものは花弁が20枚以上と多く、混同することはない。総苞は短毛に覆われ、総苞片は3列。冠毛はノコンギクと同じように長い。花期は8~10月。
32-3 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ovatus (Franch. et Sav.) Soejima et Mot.Ito ノコンギク 野紺菊
synonym Aster ageratoides Turcz. var. ovatus (Franch. et Savat) Nakaisynonym Aster ovatus (Franch. et Savat) Mot.Ito et Soejima var. ovatus
synonym Aster microcephalus var. angustifolius (Franch. & Sav.) N.Tanaka ホソバコンギク [Kewscience]
日本固有種(本州、四国、九州)。別名ホソバコンギク。山野に普通に見られる。多年草。高さ50~100㎝。地下茎が横に這い、あちこちから枝を出すので、まとまった群落を作りやすい。茎は直立し、よく分枝し、密に短毛があり、高さは草刈りをされた場合など、はるかに小さい姿でも花をつける。根出葉は花時には枯れ、葉柄があり、葉身は卵状長楕円形。茎葉は無柄、長さ6~12㎝×幅(1.5~)3~5㎝、卵形~卵状楕円形~長円形、三行脈があり、縁には粗くて浅い鋸歯があり、いずれも葉の両面ともに短い毛がある。茎の先に頭花を散房花序状につける。頭花は直径約2.5㎝。総苞は半球形、長さ4.5~5mm。総苞片は3列につき、緑色、先端は紫色を帯びる。周辺小花は舌状花、細長くて紫を帯びた白色から薄紫色。中心小花は筒状花、黄色。痩果は長さ1.5~3㎜、倒卵状長楕円形、扁平。冠毛は多数つき、長さ4~6㎜。花期は8~11月。
本州の神奈川県以西、四国、九州の川岸に生える葉の幅が1~1.5㎝のものをホソバコンギクと分類していたが、最近では分類しない。
品種) 'Hortensis'(コンギク 紺菊)
32-3-1 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Savat var. ovatus (Franch. et Savat) Sejima et Mot.Ito form. albidus Kitam. シロバナコンギク 白花紺菊
ノコンギクの白花品種。32-3-2 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ovatus (Franch. et Sav.) Soejima et Mot.Ito f. humilis (Nakai) Yonek. コマチギク 小町菊
栽培品種。高さが低く、葉の質が厚い。32-3-3 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ovatus (Franch. et Sav.) Soejima et Mot.Ito f. vernalis (Honda) Yonek. ハルノコンギク
32-4 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ripensis Makino タニガワコンギク 谷川紺菊
本州(紀伊半島)、四国、九州に分布。川岸の岩間に生える。多年草。高さ20~90㎝。葉は小さく、披針形、質はやや硬く、長さ3~6㎝×幅2~10㎜、縁には鋸歯があり、先は鋭尖形、両面に短毛がある。上部の茎葉は線形。頭花は白色、直径2~3㎝。総苞片は2~3列、先はやや紫色を帯び、毛がある。舌状花は長さ1.1~1.3㎝。
32-4-1 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ripensis Makino f. tubulosus (Makino) Makino チョクザキヨメナ 猪口咲き嫁菜
synonym Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. tubulosus (Makino) H.Hara
本州、四国、九州の平地で普通に見られ、栽培によって広がったと考えられている。周辺小花がスプーン状の筒状になる。別名はオビトケコンギク(帯解紺菊)。32-4-2 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ripensis Makino f. albiflorus (Makino) H.Hara シロバナチョクザキヨメナ 白花猪口咲き嫁菜
白花品種。32-5 Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. yezoensis (Kitam. et H.Hara) Soejima et Mot.Ito エゾノコンギク 蝦夷野紺菊
北海道に分布する。ノコンギクの北方型であり、茎の中葉の下半分が急に狭くなる。花期は8~10月。
33 Aster miyagii Koidz. オキナワギク 沖縄菊
日本固有種(沖縄、奄美大島)。海岸の岩場に生える。
常緑、多年草、高さ10~30㎝と小型。茎は1本又は2~3本、密に毛がある。花後に匍匐枝を出し、節から根を出しロゼット状に葉をつけて増える。 根出葉はロゼット状、円形~倒卵形、長さ1~3㎝、質は厚く、全縁又は少数の鋸歯があり、表面に光沢があり、両面に毛がある。茎葉は少なく、小さく、さじ形。頭花は直径約2.5㎝。舌状小花は1列、薄青紫色~白色。中心小花は筒状、花冠は黄色、長さ4.5~5㎜。痩果は倒披針形、長さ約3.5㎜、密に毛がある。花期は10~1月。
34 Aster mongolicus Franchet アステル・モンゴリクス
朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は蒙古马兰 meng gu ma lan。山の斜面、雑木林、半開放の二次林、針葉樹の林縁、広葉樹の混交林、畑の縁に生える。
多年草、高さ50~122㎝。茎は直立し、上部に溝があり、剛毛があり、上部で分枝する。葉はほぼ膜質。最下部の茎葉は花時に枯れる。下部と中部の葉は葉身が倒披針形~狭長円形、長さ5~9㎝×幅2~4㎝、まばらに小剛毛があるかまたは無毛、縁は羽状中裂、密に小剛毛があり、裂片は線状長円形、縁は全縁、先は鈍形。最上部の葉は線状披針形、長さ1~2cm。頭花は12~45個、散房花序状の合成花序につき、直径2.5~3.5㎝。総苞は半球形、直径1~1.5㎝。総苞片は3列または4列、不等長、先は緑色、楕円形~倒卵形、長さ5~7㎜×幅3~4㎜、無毛、縁は薄膜質、白色または帯紫色、引き裂かれ、先は鈍形。周辺小花は(11~)14~25個つき、青紫色、帯青色、または白色、筒部は長さ約2㎜、舌部は長さ13.5~25.5㎜×幅2.7~4.8(~5.2)㎜。中心小花は黄色、長さ3.5~4.9㎜、筒部は長さ0.8~1.6(~1.8)㎜、裂片は不等長、長さ0.8~2.1㎜。痩果はわら色または帯褐色、倒卵形、扁平、またはときに三稜形、約・長さ3.5㎜×2.5㎜、まばらに小剛毛があり、まれに先に腺があり、帯黄色の2~3本のうねがある。冠毛は帯褐色、不等長、長さ0.3~1.2㎜。花期および果期は6~10月。
35 Aster moupinensis (Franchet) Handel-Mazzetti アステル・モウピネンシス
中国原産。中国名は川鄂紫菀 chuan e zi wan。川岸、草むら、砂地、岩の上に生える。
多年草、高さ12~40 cm、±叢生する。根茎は丈夫、±木質。茎は直立し、細く、上部で分枝し、縦溝があり(canaliculate)、無毛または下部にまばらに小剛毛があり、上部に小剛毛がある。葉は無毛、腺は無く、厚く、縁はわずかに外巻きまたは平ら、厚く、遠く離れ、まばらに小鋸歯または鋸歯があり、歯は微突形、ザラつき、中脈は明瞭に隆起し、側脈は2または3対で、縁とほぼ平行で不明瞭。根生葉は花時に存在し、± ロゼットになり、長い葉柄があり、狭い倒披針形~線状倒披針形、長さ4~12㎝×幅0.2~ 0.7㎝、次第に漸尖し、先は鋭形または尖鋭形、微突形。下部の葉と中部の葉は線状長円形~線形、長さ2~4㎝×幅0.2~0.4㎝、±直立し。上部の葉は小さく、線形、下面はまばらに小剛毛があり、1脈がある。頭花は開いた散房花序状の合成花序につき、直径3~4㎝。総苞は半球形、長さ7~8mm×幅10~12mm。総苞片は3列、狭長円形、鋭形、先は紫色を帯び、小剛毛がある。外側の総苞片は狭く、緑色、膜質、約・長さ7mm×幅1.5㎜、縁は縁毛がある。内側の総苞片は薄膜質、微細不整歯の房状へりがある。周辺小花は16~20個、白色、筒部は長さ約3mm、毛があり、舌部は狭楕円形、約・長さ15㎜×幅1.5㎜。中心小花は黄色、長さ約6㎜、筒部は長さ約2.5mm、筒部と拡大部に毛があり、拡大部は漏斗形、裂片は長さ約1.5mm、無毛。痩果はタン色(黄褐色)~褐色、長円形、扁平、長さ約3㎜、剛毛があり、2うねがある。冠毛は3列、帯黄色、外側の列は長さ0.3㎜、内側の列は長さ約4mm、鋭形。最も内側の裂は長さ5.5㎜、こん棒形。花期および果期は7~9月。
36 Aster oreophilus Franchet アステル・オレオフィルス
中国原産。中国名は石生紫菀 shi sheng zi wan 。高山および亜高山の林縁、草原、牧草地、開けた斜面、道端に生える。
多年生、高さ20~60㎝、叢生する。根茎は平伏または斜上し、ときに新しいロゼットがある。茎は直立または斜上し、単純、葉がつき、中程度~密に剛毛があり、小絨毛がある。葉は根生葉と茎葉。茎葉は次第に上部で小さくなり、まばら~密に小剛毛があり、腺は無くまたはときにまばらに微細な有柄の腺があり、3本の脈があり、主脈が下面で明瞭。根生葉は花時に枯れ、葉柄は長く、翼があり、狭へら形~倒卵形~倒披針形、長さ2.5~8㎝×幅0.5~1.5㎝、基部は漸尖し、縁は上部に浅い鋸歯があり、先は円形~鈍形~鋭形。下部の茎葉は、しばしば枯れても落ちず、葉柄に翼があり、葉身は披針形、基部は漸尖形。中部の葉と上部の葉は直立し、葉身は長円形~披針形、基部は漸尖し、類抱茎、縁は上部に鋸歯があるかまたは全縁、先は円形~鈍形、微突形。頭花は2~30個、頂生の散房花序状の合成花序につき、ときに頂生で単生、直径2.5~3.5㎝。花序柄は長さ2~10㎝またはそれ以上、密に小剛毛と小絨毛があり、まばら~中程度に微細な有柄の腺がある。苞は線状長円形~線状披針形。総苞は半球形、長さ0.6~0.7(~0.8)㎝×幅1~1.2㎝。総苞片は3列、ほぼ等長、外面は中程度に小剛毛があり、まばら~中程度に微細な有柄の腺が下部にある。外側の総苞片は倒披針形、ときにへら形、長さ5~7㎜×幅1.3~2㎜、葉状、縁は狭く薄膜質になり、縁毛があり、中脈は帯褐色、半透明、先は円形または鋭形、ときに帯紫色。内側の総苞片は披針形、先は葉状、上部は帯紫色、縁は縁毛があり、先は鈍形または鋭形。周辺小花は21~34個、青紫色~ピンク色またはピンク白色、筒部は無毛、舌部は長さ11~17㎜×幅1~2㎜、無毛、腺は無い。中心小花は黄色、長さ4~5㎜、筒部は長さ約1.7㎜、拡大部は漏斗形、長さ3~3.5㎜、無毛、下部に微細な有柄の腺があり、裂片は広がり、三角形、等長、長さ0.7~1㎜。痩果は広倒卵形、扁平、長さ約2mm、密に小剛毛があり、腺は無く、縁には2うねがあり、密に小剛毛の縁毛がある。冠毛は4列、汚白色、全体に小刺があり、ときに最も外側の剛毛はほとんど無く、細く、長さ0.5~0.7㎜。外側の剛毛は少なく、細く、長さ2~3㎜。内側の剛毛は長さ3.5~4㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ4~4.5㎜、弱い棍棒状。花期および果期は8~10月。
37 Aster panduratus Nees ex Walpers アステル・パンドゥラートゥス
中国原産。中国名は琴叶紫菀 qin ye zi wan。雑木林、斜面の草地、運河沿い、道端、畑の縁に生える。
多年草、高さ14~100㎝、ときに叢生する。根茎があり、ときに翌年のロゼットをもつ。茎は直立し、単純または上部で分枝し、帯紫色の条線があり、±密に絨毛があり、±密に微細に長柄の腺がある。葉は茎葉、上部で次第に小さくなり、下面は絨毛~短絨毛があり(上部の葉)、上面は絨毛~剛毛があり(上部の葉)、脈には絨毛があり、密に微細な長柄の腺があり、縁は粗い鋸歯~小鋸歯があるか、または全縁(上部の葉)、絨毛~剛毛の縁毛があり、中脈は下面で明瞭、ときにやや3脈があり、先は鈍形~鋭形で、微突形。最下の葉は花時に枯れ、(長い)葉柄は翼があり、卵形、基部は漸尖形。下部~上部の葉は無柄、卵形~バイオリン形~披針状バイオリン形、長さ1.5~7(~9)㎝×幅0.4~1.8(~2.5)㎝、基部には耳があり、茎を抱く。合成花序の葉は長円形、長さ1~2.5㎝×幅0.2~0.8㎝。頭花は3~40個、頂生の疎な散房花序状の合成花序につき、まれに単生する。花序柄は長さ5~50㎜、小絨毛があり、密に、微細な長柄の腺がある。苞は披針形、全縁、上部の苞は次第に総苞片になる。総苞は半球形~鐘形、長さ約5㎜。総苞片は3列、不等長、中脈は細い。外側の総苞片は線状披針形、長さ3~3.5㎜×幅0.5~0.7㎜、外面は無毛、密に微細な長柄の腺があり、葉状、縁に±狭い薄膜質があるか、または無く、縁毛があり、先はやや広がり、鋭形、ときに微突形、ときに帯紫色になり、縁毛がある。中間および内側の総苞片は上部が緑色で、基部が硬くなり、縁は微細不整歯になり、縁毛がある。中間の総苞片は倒披針形、長さ3.8~4㎜×幅1~1.3㎜、外面に密に微細な長柄の腺があり、縁は広い薄膜質、縁毛があり、先は尖鋭形。内側の総苞片は線状長円形、長さ4~4.5㎜×幅0.8~1.1㎜、上部に密に微細な長柄の腺があり、薄膜質。周辺小花は15~25個、紫色~青色、または紫白色、筒部にはまばらに小剛毛があり、舌部は長さ5~7㎜×幅1.5~2㎜、腺は無い。中心小花は黄色、長さ4.5~5㎜、筒部と拡大部の基部にはまばらに小剛毛があり、微細な有柄の腺があり、拡大部は鐘形、長さ2.5~3㎜、裂片は直立~開出し、狭三角形、長さ1.5~1.7㎜、無毛、まばらに微細な有柄の腺がある。痩果は倒卵形、わずかに扁平、長さ約1.5㎜、まばらに小剛毛があり、微細な有柄の腺があり、2うねがある。冠毛は3列または4列で、少数の帯赤色の細い小刺のある剛毛である(barbellate bristles)。最も外側の剛毛はほとんど無く、長さ約0.5㎜。外側の剛毛は無いか、または1本で、長さ約2㎜。内側の剛毛は長さ2.5~3㎜、先細になる。最も内側の剛毛は長さ4~5㎜、弱い棍棒形。花期は2~9月。果期は6~10月。
38 Aster rugulosus Maxim. サワシロギク 沢白菊
日本固有種(本州、四国、九州)。
多年草。高さ40~60㎝。地下茎が湿地の中を横に這って広がる。茎は細く、直立し、分枝が少なく、まばらに毛がある。葉は長さ7~17㎝、幅1~1.5㎝の線状披針形、やや硬く、ざらつき、縁にまばらに低い鋸歯がある。頭花は茎頂に散房状にまばらにつき、直径2~3㎝。舌状花は7~12個(8個程度が多い)つき、白色、しだいに淡紅色に変わる特徴がある。総苞は長さ4.5~5㎜、総苞片は3列、外片は短い。痩果は長さ2.2~2.6㎜、熟すと総苞が開出する。冠毛は長さ3~4.5㎜、褐色を帯びる。2n=18。花期は8~10月。
品種) 'Asrugo'
38-1 Aster rugulosus Maxim. var. shibukawaensis Kitam. et Murata シブカワシロギク 渋川白菊
蛇紋岩地の乾いた礫地又は草地に生える。横に這う地下茎がなく、葉先が尖る。浜松市の渋川が基準産地である。39 Aster salwinensis Onno アステル・サルビネンシス
中国、ミャンマー原産。中国名は怒江紫菀 nu jiang zi wan。高山草原の斜面または岩上、シャクナゲ竹林の開口部に生える。
多年草、高さ4~24㎝。根茎は長く、細く、ときに短い匍匐茎を持つ。茎は斜上し、まれに直立し、まばら~中程度に絨毛があり、腺は無い。葉は根生葉と茎葉。茎葉は上部で小さくなり、ときに急に小さくなり、質が薄く、無毛で、腺は無く、下面の脈にはまばらに直軟毛があり、上面の脈にも中程度に小直軟毛があり、縁は鋸歯~小鋸歯があるかまたは全縁(最上部の葉)、中脈は下面で明瞭、縁毛があり、先は微突形。根生葉は花時にあり、ときに枯れても落ちない。根生葉および下部の茎葉は、葉柄に広~狭の翼がある (葉柄は長さ2㎝以下) 。葉身は倒卵形~倒披針形、長さ0.5~4㎝×幅0.3~1.5㎝、基部は漸尖形、先は円形。茎葉は±直立し、無柄、倒卵形~卵形~卵状披針形、長さ1~2.5㎝×幅0.9~3㎝、基部は円形または楔形、ほぼ茎を抱き、先は円形~鋭形。頭花は頂生、単生、しばしば葉状の苞葉が基部につき、直径2~3cm。総苞は半球形、長さ5~9㎜。総苞片は2列または3列、ほぼ等長、しばしばほぼ直角に開出し(squarrose)、線状披針形、長さ8~10㎜、葉状、縁は広い薄膜質、微細不整歯になり、縁毛は無く、中脈は下部で明瞭、先は尖鋭形、上部は帯紫色。外側の総苞片は幅1~1.8㎜、外面は下部に絨毛があり、上部にまばら~中程度に絨毛があり、腺は無い。内側の総苞片は幅0.6~1㎜、まばらに絨毛がある。周辺小花は11~30個、青色~青紫色、まれに白色、筒部は先にまばらに毛があり、舌部は長さ7~12㎜×幅1~2.3㎜、無毛、腺は無い。中心小花は黄色、長さ4.5~5.5㎜、拡大部は漏斗形、長さ3~3.5㎜、無毛、裂片は広がり、狭三角形、長さ1~1.3㎜、しばしば紫褐色を帯び、ほぼ無毛。痩果は褐色、狭倒卵形、扁平、長さ約4㎜、上部に剛毛があり、腺は無く、3または4うねがある。冠毛は4列で、わら色~帯褐色、少数の剛毛は全体に小刺がある。最も外側の列は細い剛毛または幅の狭い鱗片で、長さ0.7~1㎜。外側の列は細い剛毛で、長さ2~3.5㎜。内側の剛毛は長さ3.5~4㎜、鋭形。最も内側の剛毛は 長さ4~4.5(~5)㎜、弱い棍棒形。花期は7~9月。果期は8~10月。
40 Aster savatieri Makino ミヤマヨメナ 深山嫁菜
synonym Gymnaster savatieri (Makino) Kitam
日本固有種(本州、四国、九州)。
多年草、高さ20~50㎝。茎は長毛が密生し、直立し、上部で分枝する。根生葉は花期に残る。葉は互生し、長さ4~6㎝の卵状長楕円形、下部の葉柄には翼がある。葉縁は粗い切れ込みがあり、両面に毛がある。頭花は長い花茎の先に単生し、直径3~4㎝。舌状花は8~12個程度と少なく、舌状花の間に隙間が見られる。舌状花の花冠は長さ17~20㎜、淡青色。総苞片は2列、ほぼ同長。痩果は長さ3~4㎜、冠毛はない。2n=18,36。花期は5~6月。
40-1 Aster savatieri Makino 'Miyakowasure' ミヤコワスレ
古くから栽培されている品種。花の色は青紫、青、淡紅、白など多くの改良品種がある。ミヤマヨメナより舌状花の花冠が幅広い。
41 Aster scaber Thunb. シラヤマギク 白山菊
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は东风菜 dong feng cai。
多年草。高さ100~150㎝。茎や葉に短毛が生え、ざらつく。葉は下方ほど、大きく、葉柄も長い。下部の葉は、長さ10~20㎝、幅10~20㎝の心形。葉柄は長さ10~15㎝、翼があることが多い。葉の鋸歯は不規則で粗く、やや重鋸歯状。上部の葉は先が尖った卵形、小さい。頭花は白色、直径約2㎝、舌状花は4~9個、数が一定せず、まばらにつく。総苞は直径5~6㎜、鐘形、総苞片は3列。痩果は長さ2.5~3(4)㎜、冠毛は褐色を帯び、長さ3.5~4.2㎜。2n=18。花期は8~11月。
品種) 'Ki Hakikomi-fu'
42 Aster semiamplexicaulis (Makino) Makino ex Koidz ヤマシロギク 山白菊
三河では山地の道端でよく見かけられる。別名はイナカギク 田舎菊。ヤマシロギクが標準和名とされるが、シロヨメナの別名をヤマシロギクとすることがあり、混同を避けるためイナカギクと呼んでいる。
多年草、高さ45~85㎝。茎や葉の両面に白い軟毛を密生し、触るとビロードの感触がある。葉は柔らかく、下部の葉は長さ6~12㎝、幅1.5~3㎝の長楕円状披針形、縁に鋸歯があって、縁毛があり、先が尖る。葉元から1/3のところで急に狭くなり、基部がやや茎を抱く。頭花は白色、直径約2㎝。筒状花が咲き始めには鮮やかな黄色だが、時間が経つと退色し、やや白色~緑色っぽくなる。花の構造はノコンギクと同じ。舌状花は11~15個つき、雌花、白色、柱頭は2分岐して線形。筒状花は両性、黄色、先が5裂し、柱頭は2分岐し、向かい合って内側にくの字に曲がる。総苞は釣鐘形、総苞片は3列。痩果は長さ約2.5㎜の倒卵状長楕円形、冠毛がある。2n=18。花期は9~11月。
43 Aster sikkimensis J. D. Hooker アステル・シッキメンシス
中国、インド、ネパール原産。中国名は锡金紫菀 xi jin zi wan。標高2400~3600mに生える。
亜低木または多年生、高さ50~80㎝、根茎。茎は直立、単生、丈夫、柔軟、基部は±木質、帯紫色、細かい条線があり、小剛毛があり、小絨毛があり、まばらに微細な有柄の腺があり、特に葉の下にある。葉は茎葉、上部でわずかに小さくなり、下面は淡緑色、無毛、脈はまばらに小剛毛があり、微細な有柄の腺があり、ときに穴があり、上面は緑色、密に細かくざらつき、縁は粗い鋸歯があり、縁毛があり、脈は明瞭、先は長い尖鋭形、微突形。最下部の葉は花時に枯れ(見られない)、翼が広い葉柄があり、披針形、長さ約22㎝、基部は漸尖形、先は尖鋭形。下部の葉(見えない)~上部の葉は短くて、広い翼の葉柄があるか(基部は茎を抱く)または無柄、披針形、長さ(5~)6~17㎝×幅1.5~5.5㎝、基部は漸尖形または耳があり、茎を抱く。合成花序の葉は無柄、披針形、長さ0.5~6㎝×幅0.1~1.2㎝、基部は耳があり、茎を抱き、縁は鋸歯~小鋸歯があり、すぐに苞になる。頭花は10~45個またはそれ以上、頂生の散房花序状の合成花序につき、直径10~12㎜。花序柄は長さ6~50㎜、密に小剛毛がある。苞は線状披針形、全縁。総苞は鐘形、長さ4~4.5㎜。総苞片は2列または3列、ほぼ等長、ときにほぼ直角に開出し(squarrose)、先が緑色、倒披針形~披針形~線状披針形(内側の総苞片)、長さ3.5~4.5㎜×幅0.5~1㎜、外面にはまばらに小剛毛があり、主に脈上にあり、まばらに~中程度に微細な有柄の腺があり、縁は薄膜質~狭い薄膜質、微細不整歯状、まばらに縁毛があり、中脈は上部でより顕著で、±半透明、先は尖鋭形、帯紫色、まばらに縁毛がある。周辺小花は30~35(~60)個、白色、バラ色、青色または紫色、筒部の先にはまばらに有柄の腺があり、舌部は長さ4~5㎜×幅約1mm、無毛。中心小花は黄色、紫色を帯び、長さ3.5~4㎜、筒部の基部は広がり、拡大部は鐘形、長さ約2㎜、無毛、下部にまばらに有柄の腺があり、裂片が広がり、狭三角形、長さ0.8~1㎜、帯紫色。痩果は倒卵形、わずかに扁平、長さ約2.2㎜、まばらに小剛毛があり、腺は無く、4うねがある。冠毛は2列または3列、帯褐色。外側の剛毛は0~2本、細く、長さ1.5~2㎜。内側の剛毛は長さ2.5~3㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ3.5~4㎜、わずかに棍棒形。花期は8~10月。
44 Aster smithianus Handel-Mazzetti アステル・スミシアヌス
中国原産。中国名は甘川紫菀 gan chuan zi wan。低山、亜高山の草原、石の多い川岸に生える。
亜低木または多年草(木質)、高さ60~150㎝、根茎がある。茎は直立、単純または分枝し、条線は浅く、小絨毛があり、微細な有柄の腺があり、樹脂状。葉は茎葉、上部で次第に小さくなり、下面は銀緑色、上面は緑色、下面は小絨毛状小剛毛があり、脈には小絨毛があり、まばら~中程度に微細な有柄の腺があり、上面は細かくザラつき、樹脂質、基部は漸尖し、縁は全縁、ときに短い鋸歯があり、剛毛の縁毛があり、中脈は両面で明瞭、先は鋭形。最下の葉は花時までに枯れ、短く、狭い翼がある葉柄がある(葉身は観察されない)。下部~上部の葉は披針形、長さ4~7.5(~10)㎝×幅1~2.3㎝。合成花序の葉は披針形、ときにかま形、長さ1.2~6㎝×幅0.3~1.8cm、極微突形。頭花は7個~多数、頂生の散房花序状の合成花序につく。花序柄は長さ18~70㎜、まばら~中程度に小剛毛状小絨毛があり、まばら~中程度に有柄の腺があり、樹脂状、頭花の下ではより密。苞は倒披針形、全縁、次第に総苞片になる。総苞は半球形、長さ2~3㎜。総苞片は3 列、不等長~ほぼ等長、外面はまばら~密に小絨毛があり、上部ではより密に小絨毛があり、密に微細な有柄の腺があり、樹脂状、基部は硬くなり、わずかに竜骨があり、膜質、縁は狭く薄膜質、微細不整歯状になり、縁毛があり、上部は緑色、中脈は明瞭、半透明、ときにかすかに多脈があり、内面は光沢があり、先は鋭形~鈍形、ときに極微突形。外側の総苞片は披針形、長さ2~4㎜×幅0.8~1.5㎜。中総苞片は倒披針形、長さ4~4.5㎜×幅1~1.3㎜。内総苞片は倒披針形、約長さ4~4.5㎜×幅約1㎜、先はときに紫色を帯びる。周辺小花は21~25個、白色または淡紫色、筒部の先と舌部の基部にはまばらに毛があり、ときにまばらに微細な有柄の腺があり、舌部は長さ6~10㎜×幅1.5~2㎜。中心小花は黄色、長さ約3㎜、筒部の先と拡大部の基部にはまばらに毛があり、まばらに微細な有柄の腺があり、拡大部は鐘形、長さ約2㎜、裂片は広がり、狭三角形、長さ約0.7㎜、無毛、腺は無い。痩果は暗紫色、広卵形、±扁平、±三稜形、長さ約2㎜、小剛毛があり、まばらに微細な有柄の腺があり、2~3うねがある。冠毛は1~3列で、少数、汚白色、小刺のある基部が扁平な剛毛がある。最も外側の列は鱗片であり(常に存在)、長さ約0.1㎜。内側の列は剛毛、長さ約0.5㎜。最も内側の剛毛は長さ1~1.5㎜。周辺小花の冠毛は数が減る。花期は8~10月。果期は9~10月。
45 Aster sohayakiensis Koidz ホソバノギク 細葉野菊
日本固有種(紀伊半島)。別名はキシュウギク 紀州菊。
多年草。高さ30~60㎝。岩の間を地下茎が這って伸びる。茎は直立又は斜上し、上部で湾曲し、無毛。下部の葉は花時に枯れる。葉は狭被針形~狭倒披針形、長さ9~14㎝×幅約1.5㎝、上面は光沢があり、葉脈は窪み、縁に浅鋸歯がある。 頭花は直径1.5~2.5㎝。総苞片は3列、覆瓦状。舌状小花は5~8個つき、白色。中心小花は黄色~緑黄色。花期は8~10月。
46 Aster souliei Franchetアステル・ソウリエリ
中国、ブータン、ミャンマー原産。中国名は缘毛紫菀 yuan mao zi wan。高山のマツ林の縁辺、開けた高山帯の針葉樹林、斜面の雑木林や草地に生える。
多年草、高さ2~45㎝、ときに叢生する。根茎は丈夫で木質。茎は単生、直立し、単純、細かい条線があり、まばら~中程度に毛がある。葉は根生葉と茎葉、無毛~まばらに小直軟毛があり(先に向かってより多く)、縁は全縁で、ときに離れた小鋸歯があり、縁毛は無~±密にあり、中脈は下面で明瞭し、直軟毛がある。根生葉は花期にあり、翼の広い葉柄があり、葉柄の基部はほぼ茎を抱く。葉身はヘラ形または倒卵形~倒披針形、長さ0.7~5㎝×幅0.3~1.9㎝、基部は漸尖し、先は鈍形~鋭形。茎葉は急に小さくなり、狭披針形、長さ1~5㎝×幅0.2~0.8㎝、基部は茎を抱き、先は鋭形。頭花は頂生、単生、直径3~4(~6)㎝。総苞は半球形、長さ6~8㎜。総苞片は3列、ほぼ等長、圧着するか、ときに開出し(squarrose)、長円形、長さ6~11㎜×幅1.5~2㎜、外面は上部にまばら~密に小直軟毛があり、または無毛、基部±硬くなり、上部は葉状、縁は薄膜質、ときに上部が紫色を帯び、密に直軟毛の縁毛がありまたは縁毛が無く、中脈は無毛または直軟毛があり、先は鈍形~わずかに鋭形。周辺小花は25~55個、青紫色~紫色、筒部は無毛、舌部は長さ12~25㎜×幅2~3㎜、無毛、腺は無い。中心小花は黄色、長さ3~5㎜、拡大部は漏斗形、長さ2~3㎜、下部にまばらに微軟毛があり、裂片は広がり、狭三角形、長さ1~2㎜。痩果は倒卵形、±扁平、長さ2.5~3㎜×幅約1.5㎜、密に小剛毛がある。冠毛は2または3列の剛毛で、わずかに紫色を帯びまたは赤褐色~褐色、ときにわら色。剛毛は小刺がある。最も外側の剛毛は少なく、細く、長さ0.1~0.3 mm。外側の剛毛は長さ1~1.2㎜。内側の剛毛は長さ1~2㎜。花期は5~7月。果期は8月。2n=18。
46-1 Aster souliei var. souliei
中国、ブータン、ミャンマー原産。中国名は缘毛紫菀 yuan mao zi wan。
総苞片は外面が無毛、縁は密に直軟毛の縁毛があるかまたは縁毛が無い。
46-2 Aster souliei var. limitaneus (W. W. Smith & Farrer) Handel-Mazzetti,
中国、ブータン、ミャンマー原産。中国名は毛背缘毛紫菀 mao bei yuan mao zi wan。
総苞片は外面に毛があり、縁には密に直軟毛の縁毛がある。
47 Aster spathulifolius Maxim ダルマギク 達磨菊
日本(本州の中国地方、九州北部)、朝鮮、ロシア原産。海岸の岩場や礫地などに生える。
多年草、高さ25~30㎝、全体に軟毛がある。葉は密に重なり合ってつく。下部の葉は倒卵形~円形、長さ3~9㎝×幅1.5~5.5㎝、質が厚く、先は円形、縁は少数の鈍鋸歯があり、両面にビロード状の毛が密生する。頭花は直径3~4㎝。総苞は半球形。総苞片は3列、線形。舌状小花は淡紫色~白色。筒状花は黄色。花期は(8)10~11月。
47-1 Aster spathulifolius Maxim. var. oharae (Nakai) Nakai ex Kitam. オオダルマギク
48 Aster stracheyi Hook.f. アステル・ストラチェイ
中国、インド、ブータン、ネパール原産。中国名は匐生紫菀 fu sheng zi wan。高山帯のツンドラの小川近くの岩の間に生える。
多年草、高さ3~15㎝。根茎は平伏し、数本の長くて細い匍匐枝 (長さ30㎝まで) がいあり、ロゼットをつける。茎は斜上または直立し、帯赤色、まばら~中程度に絨毛があり、腺は無い。葉は根生葉と茎葉、まばら~中程度に直軟毛があるかほぼ無毛、縁は外巻きし、縁毛があり、先は鈍形ときに鋭形、極微小突形がある。根生葉は花時に枯れ、葉柄に翼がある(葉柄は長さ6.5㎝以下)。葉身はヘラ形または楕円形、長さ0.7~3.5㎝×幅0.5~1.3㎝、厚く、基部は漸尖し、縁には鋸歯があり、中脈が明瞭。茎葉は急に小さくなり、少数つく、無柄または (下部の葉) 短柄。葉身は線形または長円形~倒披針形または倒卵形、長さ0.5~2.5㎝×幅0.1~0.8㎝、脈は3本、基部は漸尖し、縁は全縁または 1~2 個の小歯または鋸歯があり、先は鋭形または鈍形。頭花は頂生、単生、直径約2.5㎝。総苞は半球形、長さ13~18㎜×幅8~12㎜。総苞片は3列、等長、ときに直角に開出し(squarrose)、披針形または倒披針形、長さ8~12㎜×幅1.5~3.5㎜、外面は無毛、膜質、光沢があり、縁は鋸歯縁、縁毛があり、帯紫色、中脈が明瞭、ときに小剛毛があり、先は尖鋭形、帯紫色。周辺小花は29~42個、紫色、舌部は長さ8~10㎜×1.5~2㎜、筒部と舌部の外側の基部に小剛毛があり、腺は無い。中心小花は黄色(葯の付属体は帯青色)、長さ4~5㎜、拡大部は漏斗形、長さ2.5~3.5㎜、基部にはまばらに毛があり、裂片は広がり、三角形、長さ約1㎜。痩果(未熟)は倒卵形、長さ2.2~3㎜、小剛毛があり、m微細な有柄の腺があり、2うねがある。冠毛は3~4列、白色または帯白色。最も外側の列は狭い鱗片、長さ0.3~0.8㎜。外側の剛毛は細く、長さ3.5~4㎜。内側の剛毛は長さ5.5~6㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ6~6.5㎜、棍棒形。花期と果期は7~9月。
49 Aster sugimotoi Kitam アキハギク 秋葉菊
synonym Aster ageratoides Turcz. var. sugimotoi (Kitam.) Kitam.
synonym Aster ageratoides Turcz. subsp. sugimotoi (Kitam.) Kitam.
日本固有種(本州の茨城県~愛知県の太平洋岸)。別名はアキバギク、アキワギク、キヨスミギク。
多年草。高さ40~60㎝。茎は斜上~垂れ下がり、短毛がある。分布域の東部のものの方が毛が多いといわれる。根生葉は花時には無い。葉は長さ5~8㎝、幅3~4㎝の卵形、両面にまばらに短毛があり、葉先は尖り、基部は楔形、鋸歯は5対内外。葉柄が明瞭にあり、葉柄の上部は翼状となる。上部の葉は鋸歯がほとんど無い。頭花は直径1.5~2㎝。総苞は長さ約4㎜。総苞片は3列。舌状花は白色。冠毛は長さ約3㎜。痩果は長さ約2.5㎜。2n=18(2倍体),36(4倍体)。花期は9~11月。
50 Aster tataricus L.f. シオン 紫苑
synonym Aster fauriei Tamamsch
日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。英名はTartarian aster 。中国名は紫菀 zi wan 。 別名はオニノシコグサ(鬼の醜草)、ジュウゴヤソウ(十五夜草)、オモイグサ(思い草)、ノジオン。日陰の湿った場所、牧草地、草原、湿った川岸に生える。
日本にも自生のものがあるが、栽培種は朝鮮や中国から渡来したものである。昔から観賞用によく栽培され、ときに逸出する。
多年草、高さ(11)100~150(200)㎝。根茎が木質になる。茎のつかないロゼットがしばしばある。茎は直立し、単純、うねがあり、下部はほぼ無毛、上部はまばらに小剛毛があり、葉の下に微細な有柄の腺がある。葉は茎葉、上部ではかなり小さくなり、下面にはまばらに細かい有柄の腺があり、縁にはザラつく縁毛があり、中脈は下面で明瞭、先は尖鋭形~鋭形または円形、微突形。最下部の葉は花時に枯れ、長く、わずかに翼のある葉柄があり(葉柄は長さ30㎝以下)、葉柄の基部は鞘になる。葉身は倒披針形~卵形、長さ(2.1~)30~50㎝×幅(0.9~)6~12㎝、基部は漸尖し、縁は波打ち、粗い鋸歯があり、脈は羽状脈、6~10対つく。下部から上部の葉は短い葉柄がある(基部は鞘になる)か、または無柄、倒披針形~披針形、長さ2~18㎝×幅0.6~5㎝、基部は漸尖し、縁は粗い鋸歯~小鋸歯があるかまたは全縁。合成花序の葉は披針形、長さ1.3~7㎝×幅0.2~1㎝。頭花は(2~)14~50個またはそれ以上、頂生の散房花序状の合花花序につき、直径3~3.5㎝。花序柄は長さ25~65㎜、まばらに小剛毛があり、中程度~密に、微細な有柄の腺がある。苞は線状披針形、全縁、ときに次第に総苞片になる。総苞は鐘形、長さ7~10(~12)㎜。総苞片は3列、不等長、中脈が緑色、膜質、基部は±硬くなり、縁は微細不整歯、縁毛があり、中脈は±明瞭、わずかに半透明。外側の総苞片は狭披針形、長さ4~5㎜×幅0.8~1㎜、まばらに小剛毛があり、上部にはまばらに細かい有柄の腺があり、ときに±葉状になり、縁は狭い薄膜質、先は鋭形、縁毛があり、先端は帯紫色。中部の総苞片は長円形~披針状長円形、長さ6~7㎜×幅約1㎜、下面は無毛~上部または中脈に沿ってまばらに小剛毛があり、または腺が無く、または非常にまばらに腺があり、縁は薄膜質、先は尖鋭形、ときに微突形、上部の縁および先端は帯紫色。内側の総苞片は線状披針形~線状長円形、長さ8~10㎜×0.6~1㎜、無毛、まばらに細かい有柄の腺があり、縁は薄膜質、先は尖鋭形、微細不整歯、帯紫色。周辺小花は14~30個、青色または淡いラベンダー色または紫色、舌状小花の小舌は長さ7~15㎜×幅1.5~2.5㎜、無毛、線は無い。中心小花は黄色、長さ5~7㎜、拡大部は鐘形、長さ3.5~4㎜、花冠裂片は直立、先が開出し、狭三角形、長さ約2㎜、無毛、腺はない。痩果は暗色、倒卵形、わずかに扁平、長さ2.5~3㎜、まばら~中等度に小剛毛があり、まばらに微細な有柄の腺があり、4~6本のうねがある。冠毛は4列、帯赤色、ひげ状の剛毛。最も外側の剛毛は少なく、細く、長さ0.2~0.3㎜。外側の剛毛は細く、長さ1.5~2㎜。内側の剛毛は長さ4.5~5㎜、先細になり、最も内側の剛毛は長さ6~7㎜、わずかに棍棒形。花期は7~9月。果期は8~10月。2n=54。
品種) 'Blue Lake' , 'Jindai'
51 Aster tenuipes Makino クルマギク 車菊
日本固有種(紀伊半島南部)。川岸の岩上から垂れ下がって生える。
多年草。茎は垂れ下がり、長さ30~85㎝、上部で分枝する。根出葉はロゼットになり、花時には枯れる。根生葉は倒披針形、長さ5~7㎝×幅0.7~2㎝、基部は漸尖し、葉柄に続き、縁は上部に粗い鋸歯があり、先端は鈍形。茎葉は無柄、線状披針形、長さ5~11㎝×幅0.6~1.2㎝、基部は漸尖し、縁はまばらに鋸歯があり、先は尖鋭形、両面ともほぼ無毛。茎の上部で多数、分枝し、細い枝先に1~3個ずつ頭花をつける。花は直径約2㎝。苞は多数つき、線形、長さ6~15mm。総苞は駒形で長さ約7mm。総苞片は4列、覆瓦状につく。外総苞片は卵形、微細な縁毛があり、先は鈍形。痩果は線状長楕円形、約・長さ3.5㎜×幅0.8㎜、有毛。冠毛は汚白色、長さ約4㎜。花期は8~10月。
52 Aster tongolensis Franchet アステル・トンゴレンシス
中国原産。中国名は东俄洛紫菀 dong e luo zi wan。高山・亜高山帯の開けた森林、川岸、草原、湖の縁の沼地、岩や草の多い斜面、牧草地、低木の茂み、湿った場所に生える。
多年草、高さ14~47㎝、ときに叢生する。根茎は細く、傾伏または斜上し、しばしば匍匐茎にロゼットをつける。茎は直立し、単純で、やや細く、まばらに剛毛または小剛毛、または絨毛~小絨毛状があり、ときにまばらに微細な有柄の腺がある。葉は根生葉および茎葉。茎葉は徐々に、またはときに急に上部で小さくなり、両面は細かくザラつきまたは粗毛があり、縁には縁毛があり、3脈があり、脈は明瞭。根生葉は葉柄に翼があり、葉柄の基部はほぼ茎を抱く。葉身はへら形~倒卵形~倒披針形、長さ0.5~5㎝×幅0.3~2㎝、基部は漸尖し、縁は全縁又は上半分に離れた小鋸歯があり、先は鈍形~円形、ときに鋭形。下部の茎葉は無柄で、長円形~線状披針形、基部はほぼ抱茎。中部と上部の茎葉は 長さ1~5㎝×幅0.1~0.7㎝、先は鋭形。頭花は頂生、単生(まれに2個)、直径3~5~(6.5)㎝。総苞は半球形、長さ5~7㎜。総苞片は2列または3列、ほぼ等長、圧着しているかまたはしばしばザラザラし、長円状線形、長さ5~8㎜×幅0.8~1.5㎜、下面は小絨毛があり、下部は硬く、上部は葉状、先は鋭形。周辺小花は30~70個、青色~ラベンダー色~帯紫色、筒部はまばらに毛があり、小舌は長さ15~20㎜×幅1~2㎜、無毛、腺は無い。中心小花はオレンジ色、長さ3.5~4.5㎜、拡大部は漏斗形、長さ2.5~3㎜、下部に毛があり、花冠裂片は広がる~反り返り、狭三角形、長さ1~1.5㎜、外面にはまばらに毛がある。痩果は広倒卵形、長さ約2㎜、密に小剛毛があり、2肋があり (肋にはまばらに小剛毛があり、先には密にある)。冠毛は4列につき、紫褐色~褐色、少数の剛毛からなる。最も外側の剛毛は細く、長さ0.2~0.7㎜。外側の剛毛は細く、長さ0.7~1㎜。内側の剛毛は長さ1.2~1.6㎜、鋭形。最も内側の剛毛は長さ1.5~2㎜ で、わずか~明瞭な棍棒形。花期は6~8月。果期は7~9月。2n=18。
品種) 'Berggarten' , 'Dunkleviolette' , 'Lavender Star' , 'Leuchtenburg' , 'Napsbury' , 'Sommergruss' , 'Sternschnuppe' , Summer Greeting , 'Wartburgstern'
53 Aster thomsonii C. B. Clarke アステル・トムソニー
synonym Cordiofontis flexuosa (Royle ex Lindl.) G.L.Nesom [Kewscience]
インド、ネパール、パキスタン原産。英名はThompson’s Aster。ヒマラヤ山脈の標高2100~3000mに生える。茎は直立し、高さ30~90㎝、枝分かれし、毛むくじゃら。 葉は卵形~楕円形、長さ5~10㎝、下部は漸尖し、半抱茎、先は尖鋭形または長く尖鋭形、縁に粗い歯がある。 苞は線状披針形、長く尖り、毛があり、葉状。 頭花は枝先に単生し、直径3.5~5㎝。周辺小花は多数つき、帯紫色、長さ1.3~2㎝。中心小花は黄色。痩果は毛があり、帯赤色の冠毛より、はるかに長い。花期は7~9月。
品種) 'Nanus' , 'Winchmore Hill'
54 Aster trinervius Roxb. ex D. Don アステル・トゥリネルビウス
中国(チベット)、インド、ネパール、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン原産。中国名は三基脉紫菀 san ji mai zi wan。森林、林縁、雑木林、谷間の湿った場所
多年草、高さ25~205㎝。根茎は太い。茎は直立し、単生、またはときに分枝し、帯赤色の条線があり、無毛または小絨毛~小剛毛があり、ときに無毛になり、腺が無く、または細細な柄のある腺がある。葉は茎葉。中部の茎葉は普通、最も大きく、下面は淡緑色、上面は緑色、ときに光沢があり、薄いまたは厚い紙質~類革質、下面に小絨毛があり、まばらに細かくザラつき、または無毛、微細な有柄の腺があるか、または腺が無く、脈は密に小絨毛~まばらに剛毛があるか、または無毛、上面が±密に細かくザラつき、腺は無く、またはときに、±微細な有柄の腺があり、樹脂質、縁は鋸歯~粗い鋸歯があり、ときに小鋸歯があり、縁毛があり、しばしば下面の基部または上部に明瞭な3脈(三行脈)があり、先は鈍形~鋭形~尖鋭形、微突形。最も下部の葉は花時までに枯れ、長く狭い翼のある葉柄がある(葉柄は長さ6㎝以下)。葉身はへら形~卵形~狭披針形、長さ0.5~15(~17)㎝×0.3~5.5㎝、基部は漸尖する。下部から上部の茎状の葉は短い葉柄があり、卵状バイオリン形~披針状バイオリン形~披針形、長さ4.5~15㎝×1.2~5㎝、基部は漸尖形~円形。合成花序の葉は短い葉柄があり、卵形~線状披針形、長さ1~8㎝×0.2~3㎝、基部は楔形~±円形。頭花は小花が7~100個またはそれ以上つき、頂生の円錐花序状の散房花序~散房花序状の合花花序につく。頭花は直径1.5~2cm。花序柄は長さ5~30㎜、小剛毛があり、微細な有柄の腺がある。苞は線形~披針形、全縁。総苞は鐘形、長さ3~7㎜×幅4~15㎜。総苞片は3列または4列、不等長、先は緑色、ときに±帯紫色、外面は無毛~小絨毛があり (緑色の部分の上に)、先はときに微細な有柄の腺があり、基部は硬くなり、縁は薄膜質、微細不整歯があり、ときに帯紫色になり、縁毛があり、中脈は上部でより顕著で、±半透明、先は円形~鋭形、微細不整歯になり、縁毛がある。外総苞片は卵形~披針形、長さ2~2.5㎜×0.5~1㎜、葉状または上部が葉状。内総苞片は長円形、長さ3~6㎜。周辺小花は6~15個、紫色、ラベンダー色、帯赤色、または白色、筒部は長さ約2㎜、小舌は長さ7~11㎜×幅1.5~3㎜、無毛、腺は無い。中心小花は黄色、長さ4~6.5㎜、筒部の基部は広がり、拡大部は鐘形、長さ2.2~4㎜、基部いはまばらに小剛毛があり、裂片は広がり、狭三角形、長さ1.3~2㎜、無毛、まばら~中程度に細かい有柄の腺がある。痩果は灰褐色、倒披針形~倒卵形、わずかに扁平、長さ2~2.5㎜、まばらに~中等度に小剛毛があり、微細な有柄の腺があるか、または腺が無く、2~3本のうねがある。冠毛は3列につき。帯白色または±帯赤色、細く、ひげ状の剛毛である。最も外側の剛毛は少なく、長さ0.2~0.3㎜。内側の剛毛は長さ3~5㎜、先細になる。最も内側の剛毛は長さ4.5~6㎜、棍棒形。花期と果期は7~12月。
品種) 'Morea'
54-1 Aster trinervius subsp. trinervius
中国、インド、ブータン、ネパール、ミャンマータイ原産。中国名は三基脉紫菀 san ji mai zi wan。松林に生える。
茎は直立し、高さ60~205㎝、太く、分枝し、剛毛がある。 葉は類革質(厚く)、ときに薄い。葉身は卵状披針形、下面は小剛毛があるかまたは無毛、腺があり、上面は剛毛があり、基部に3脈があり、網状の脈が明瞭、基部はほぼ円形。総苞は直径8~15㎜。総苞片は先端が緑色、ときに赤色を帯びる。周辺小花は白色。
55 Aster turbinatus S. Moore アステル・トゥルビナートゥス
中国原産。中国名は陀螺紫菀 tuo luo zi wan。開けた林、雑木林、草地、山腹、河川敷、日陰に生える。
多年草、高さ60~100㎝、根茎。茎は直立し、単純で、ときに上部で長く分枝し、細かい条線があり、絨毛があり、葉の下にまばらに微細な有柄の腺がある。葉は茎葉、次第に上側で小さくなり、下面は淡緑色、上面は緑色、両面とも中程度のザラつきがあり、上面はより密集し、非常にまばらに微細な有柄の腺があり、縁は鋸歯~小鋸歯があり(歯は 極微小突形がある)、ザラつき、中脈は下面で明瞭、先は鋭角~尖鋭形、微突形。最も下の葉 (部分的に見える) は花期までに枯れ、葉柄に狭い翼がある。下部から上部の葉は短い葉柄があり(下部の葉)、バイオリン形または卵形~卵状披針形、長さ3.5~10.5(~15)㎝×幅0.8~2.8㎝、基部は切形~円形、または耳状になり茎を抱く。合成花序の葉は無柄、披針形~卵形、長さ0.8~3㎝×幅0.4~0.8㎝、基部は円形、±抱茎。頭花は頂生の総状合成花序に 1~10個つく。花序柄は長さ2~15㎜、小剛毛がある。苞は多数、ときに重なり合い、最下部の苞は葉状、縁毛があり、中間および上部の苞は総苞片状。 総苞は鐘形、長さ10~12㎜×幅10~18㎜。総苞片は 5または6列、不等長、先は緑色、外面は無毛、腺は無く、縁は薄膜質、微細不整歯があり、帯紫色、縁毛があり、中脈はやや遠位で目立ち、±半透明、先は鈍形、微細不整歯があり、帯紫色、縁毛がある。外側の総苞片は広卵形、長さ約3㎜×幅2.5~3㎜。中間の総苞片は卵形~倒披針形、長さ5~7㎜×幅2~3㎜、基部が±硬くなる。内側の総苞片は長円形~狭い長円形、長さ8~12㎜×幅1.2~1.8 mm。周辺小花は20~27個つき、白色または紫色、小舌は長さ10~11(~14)㎜×幅1.5~1.8(~3)㎜、無毛、腺は無い。中心小花は黄色、長さ約6㎜、花冠筒部の基部が広がり、拡大部は鐘形、長さ約3.5㎜、花冠裂片は広がり、先端は反曲し、狭三角形、長さ約1.5㎜、腺は無い。痩果は赤色のまだらになり、狭倒卵形、わずかに扁平、長さ約3㎜、小剛毛があり、先にはまばらに微細な有柄の腺があり、4~5うねがある。冠毛は4列、白色。最も外側の剛毛は少なく、細く、長さ0.5~0.7㎜。外側の剛毛は細く、長さ3.5~4㎜。内側の剛毛は長さ4.1~4.9㎜、先細になる。最も内側の剛毛は長さ6~6.2(~6.5)㎜、± こん棒形。花期は8~10月。果期は10~11月。
変種や亜種に分類されるものがあったが、現在では分けない。Flrora of Chinaでは2変種に分けていた。
55-1 Aster turbinatus var. chekiangensis C. Ling ex Y. Ling,
中国原産。中国名は仙白草 xian bai cao。開けた林、やぶ、草原に生える。
下部の葉は葉身がバイオリン形(pandurate)、基部は深く耳状になり茎を抱く。周辺小花は花弁が白色、小さい。
55-2 Aster turbinatus var. turbinatus
中国原産。中国名は陀螺紫菀 tuo luo zi wan。山腹、河川敷、日陰に生える。
下部の葉は葉身が卵形または卵状披針形、基部は切形または円形。周辺小花は花弁が紫色、長さ約14㎜×幅2.5~3㎜。
56 Aster verticillatus (Reinwardt) Brouillet シュウブンソウ 秋分草
synonym Rhynchospermum verticillatum Reinw.
日本(本州、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ベトナム原産。中国名は秋分草 qiu fen cao。山地の木陰に生える。
多年草。高さ50~100㎝。茎は直立し、上部で分枝し、長い枝を開出する。葉は互生し、全縁、下部の葉は長さ7~15㎝、幅17~32㎜の長楕円形~披針形で先が尖り、縁にはわずかに鋸歯がある。枝の葉腋に頭花を単生又は小さな円錐花序につける。頭花は直径約5㎜、総苞は長さ2.5㎜の半球形。総苞片は2~3列。頭花は周辺2~3列に雌性の舌状花があり、中心部は両性の筒状花がある。舌状花の花冠は白色。両性花の痩果は嘴がなく、長さ約2.5㎜。雌性花の痩果には嘴があり、長さ約3㎜。冠毛は取れやすい。2n=18。花期は9~10月。
57 Aster viscidulus (Makino) Makino ハコネギク 箱根菊
日本固有種(本州の関東、中部地方)。別名はミヤマコンギク 深山紺菊。高山の草地に生える。
多年草、高さ30~60㎝。茎は叢生し、短毛が密にある。根生葉は花期にはない。葉は長さ4~7㎝、幅1.5~1.7㎝の卵状長楕円形。葉の鋸歯は浅く、不揃い。葉柄はほとんどない。頭花は直径約2.5㎝総苞が粘るのが特徴である。総苞片は4列。舌状花は白~淡紫色。痩果は長さ2.5㎜、有毛。冠毛は長さ約3㎜。2n=18。花期は8~10月。
57-1 Aster viscidulus (Makino) Makino var. alpinus (Koidz.) Kitam タカネコンギク 高嶺紺菊
南アルプスに自生する小型の高山型変種。58 Aster yakushimensis (Kitam.) Soejima et Yahara ヤクシマノギク 屋久島野菊
日本固有種(屋久島)。別名はヤクシマノコンギク 屋久島野紺菊。渓流近くの林縁に生える。多年草、高さ60~100㎝。茎は直立し、上部で分枝し、太く、無毛又は毛が少ない。葉は互生し、根生葉は楕円形、花時には枯れる。茎葉は長円状披針形、長さ10~13㎝、基部は楔形、縁には大きく鋭い鋸歯があり、先は尖鋭形、質が厚く、やや光沢がある。頭花は多数つき、淡紫色、直径2~2.5㎝。総苞片は3~4対、覆瓦状につき、卵形、鋭頭。花期は10~12月。
59 Aster yomena (Kitam.) Honda ヨメナ 嫁菜
synonym Kalimeris yomena Kitam
synonym Kalimeris incisa (Fisch.) DC. var. yomena Kitam.
synonym Aster incisus Fisch. var. yomena Kitam.
日本固有種(本州(中部地方以西、四国、九州)。春の若葉は良い香りがして、菜飯、あえもの、天ぷらなどに食される。別名はオハギ、カンサイヨメナ。
多年草、高さ50~120㎝。茎葉は長さ6~10㎝の卵状長楕円形、粗い鋸歯があり、葉縁には微毛がある。葉表は微毛があっても少なく、やや光沢がある。葉裏は脈上に微毛があるものが多く、ほとんど無毛のものもある。頭花は直径約3㎝。舌状花は雌性、淡紫色~白色。筒状花は両性、黄色。筒状花の花柱の先は2分岐し、扁平、先端が三角形、内側に向かい合って曲がる。冠毛はほとんどない。総苞は鐘形。総苞片は3列につき、縁に毛があり、先が尖る。痩果は長さ3~4(実測2.4~3.1)㎜の扁平な長卵形、上部に腺毛があり、剛毛も多い。冠毛は0.5(実測0.2~0.5)㎜と短い。2n=63。花期は7~10月。
59-1 Aster yomena (Kitam.) Honda var. angustifolius (Nakai) Soejima et Igari オオユウガギク 大柚香菊
synonym Aster robustus (Makino) Yonek.synonym Kalimeris incisa (Fisch.) DC. var. robusta (Makino) Kitag
日本固有種(本州の中部地方以西、四国、九州)。湿地や田の畔などに生える。ヨメナより花弁が細く、数が多い。多年草。高さ1~1.5m。地下茎を伸ばして増える。葉は質が厚い。茎の下部や中部の葉は長さ8~10㎝×幅約2.5㎝、長円状披針形、先は鋭形、基部は漸尖し、縁にはまばらに欠刻状の大きな鋸歯がある。上部の葉は線状披針形。頭花は直径3~3.5㎝。周辺小花は1列、舌状、淡青紫色。中心小花は黄色、筒状。総苞は長さ5~6㎜。総苞片は3列、外片は内片より短い。痩果は長さ3~3.5㎜、倒卵形、扁平。冠毛は長さ約1㎜。花期は8~10月。
59-2 Aster yomena (Kitam.) Honda var. dentatus (Kitam.) H.Hara カントウヨメナ 関東嫁菜
関東以北に分布する。ヨメナとユウガギクの雑種とも言われる。多年草、高さ50~100㎝。地下茎を伸ばして増える。葉はユウガギクより厚く、ヨメナより薄く、縁には荒い鋸歯がある。花序柄は長い。頭花は直径2.5~3㎝。総苞は半球形。総苞片は3列に覆瓦状につき、反り返らない。舌状花は青紫色を帯びる。筒状花と舌状花では柱頭の形が異なる。痩果の冠毛は長さ0.25mmと短い。花期は7~10(11)月。
60 Aster yoshinaganus (Kitam.) Mot.Ito et Soejima シコクシロギク 四国白菊
synonym Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. yoshinaganus(Kitam.) H.Hara
日本固有種(紀伊半島、高知県)。別名はシコクコンギク。岩壁の斜面などに生える。多年草、高さ30~60㎝。茎は細く、屈曲し、短毛があるか又は無。 茎葉は線状披針形~長楕円形、下から1/3ほどで急にくびれ下部は狭くなり、基部は耳状に茎を抱く。頭花は緩い散房花序につき、直径15~18㎜。舌状小花は帯紫色。総苞片は3列。痩果は狭長楕円形、長さ約2.5㎜、有毛。冠毛は長さ約3㎜。花期は9~10月。
61 Aster yunnanensis Franchet アステル・ユナネンシス
中国原産。中国名は云南紫菀 yun nan zi wan。高山および亜高山帯の草原または牧草地、林縁、斜面、浸出域、混交林の伐採跡地、低木林、牧草地に生える。
多年草、高さ30~75 cm、しばしば叢生する。根茎は丈夫で枝分かれしています。根は長く太く、襟は落ちずに枯れる葉の基部で覆われる。茎は直立し、単生または分枝し、まばら~ときに中程度の絨毛があり、中程度~密に微細な有柄の腺があり、葉がつく。葉は根生葉と茎葉。茎葉は次第に小さくなり、下面はまばらに絨毛があるかまたは無毛、中程度~密に微細な有柄の腺があり、上面はまばらに小絨毛があるか、またはときに絨毛があり、中程度~密に微細な有柄の腺があり、縁は全縁または鋸歯縁~小鋸歯縁、まばら~中程度に小絨毛の縁毛があり、密に微細な有柄の腺があり、中脈は下面で明瞭、脈が目立つ。基部の葉は花時に枯れる。根生葉および下部の茎葉は葉柄に±広い翼がある (葉柄は長さ6㎝以下m)か、または下部の葉が無柄。葉身は卵形~倒披針形、長さ(5~)7~18㎝×幅1~4㎝、基部は漸尖し、先は鋭形~鈍形。中部の茎葉は無柄、披針形~長円形~倒披針形、長さ5~16㎝×幅0.8~6㎝、基部は円形または心形~耳状で、半抱茎、先は鋭形、ときに鈍形。頭花は単生または2~9個の緩い散房状の合成花序につき、直径4~8.5㎝。花序柄は長さ4~16㎝、まばら~中等度の絨毛があり、微細な有柄の腺がある。総苞は半球形、直径1.5~2.5㎝。総苞片は3列、ほぼ等長、卵状披針形~線状披針形、長さ10~16㎜×幅0.8~4(~5)mm、基部は密に白色の絨毛があり、上部はほぼ無毛または上部にまばらに絨毛があり、または脈に沿ってまばらに絨毛があり、またはほぼ無毛、中程度~密に微細な紫色の有柄の腺があり、膜質、縁は狭く薄膜質、微細不整歯になり、紫色、上部には縁毛があり、脈は多数あり、先は鋭形~尖鋭形、先端が紫色。周辺小花は65~125個、淡紫色~紫青色、筒部の先と舌部の基部には微細に有柄の腺があり、筒部は長さ1.6~2㎜、舌部は線形、長さ20~30㎜×長さ1~2.5㎜、無毛。中心小花は黄色からオレンジ色、長さ5~5.6㎜、筒部は長さ1.8~2㎜、筒部の先と拡大部の付け根に微細な有柄の腺があり、拡大部は漏斗形、長さ約3.5㎜、裂片は直立し、三角形、長さ1~1.2㎜。痩果(未熟)は狭倒卵形、扁平、長さ3~4㎜、まばらに小剛毛があり、上部にまばらに微細な有柄の腺があり、4うねがある。冠毛は3列。最も外側の列の冠毛は幅広い鱗片であり、長さ1~1.2㎜、白色または麦わら色。剛毛には小刺がある。内側の剛毛は鋭形。最も内側の剛毛は長さ約6.5㎜、弱く棍棒形。花期は7~9月。果期は9~10月。
61-1 Aster yunnanensis var. yunnanensis
中国名は云南紫菀 yun nan zi wan。高山および亜高山の草原に生える。
茎は2~8分枝し、まれに単純になる。葉は縁が全縁または鋸歯があり、絨毛がある。下部の茎葉は長さ17~18㎝×幅2~4㎝。中部の葉は下面の脈上に絨毛があり、上面はまばらに絨毛があり、腺があり、基部は円形または耳状になる。頭花は直径5~8.5㎝。総苞は直径2~2.5㎝。総苞片は卵状披針形、幅3~4(~5)㎜、基部に密に絨毛があり、上部にまばらに絨毛と帯紫色の腺がある。周辺小花は小舌が長さ25~35㎜×幅1.5~2.5㎜。
61-2 Aster yunnanensis var. angustior Handel-Mazzetti
中国名は狭苞云南紫菀 xia bao yun nan zi wan。高山および亜高山の林縁と開けた草原に生える。
茎は2~3分枝し、または単純。葉は縁がまばらに鋸歯縁またはほぼ全縁、絨毛がある。下部の茎葉は長さ7~15㎝×幅1~2.5㎝。中部の葉はやや狭いかまたは幅広く、少なくとも下面の基部に絨毛があり、脈に絨毛があり、上面にはまばらに小絨毛があり、腺があり、基部は円形または心形。 頭花は直径4~6㎝。総苞は直径1.5~2㎝。総苞片は線状披針形、幅0.8~1.5㎜、外面の基部または全体に密に絨毛があり、腺がある。周辺小花の小舌は長さ20~25㎜×幅1~2㎜。
61-3 Aster yunnanensis var. labrangensis (Handel-Mazzetti) Y. Ling
中国名は夏河云南紫菀 xia he yun nan zi wan。高山および亜高山帯の開けた斜面と草原に生える。
茎は2~5分枝する。葉は縁が鋸歯縁または全縁体、絨毛があり、下部および中部の茎葉は長さ5~10㎝×幅1.5~2.8㎝、密に絨毛があり、腺があり、基部は切形または心形。頭花は直径4~6㎝。総苞は直径1.5~2㎝。総苞片は線状披針形、長さ10~13㎜×幅1~2mm、絨毛があり、腺がある。周辺小花の小舌は長さ20~25㎜×幅1~1.5㎜。2n=18。
62 Aster ×frikartii Silva Tar. & C. K. Schneid. アステル・フリカルティー
栽培種。A. amellus と A. thomsoniiの交雑種。 英名はFrikart's asterと呼ばれる。
品種) 'Eiger' , 'Flora's Delight' , 'Jungfrau' , 'Monch'メンヒ , 'Robinsonii' , Wonder of Stafa , 'Wunder von Stafa'
シオン属から他属に移動された主なアスター
1 エウリビア属 Eurybia1-1 Eurybia divaricata (L.) G.L.Nesom ホワイトウッド・アスター white wood aster
synonym Aster divaricatus L
1-2 Eurybia macrophylla (L.) Cass オオバアスター
synonym Aster macrophyllus L.
1-3 Eurybia sibirica (L.) G.L.Nesom シベリアアスター Siberian aster
synonym Aster sibiricus L.
2 ガラテラ属 Galatella
Galatella linosyris (L.) Rchb.f. ゴルディロックス・アスター goldilocks aster
synonym Aster linosyris (L.) Bernh.
3 イオナクティス属 Ionactis
Ionactis alpina (Nutt.) Greene 溶岩アスター(ラバアスター lava aster)
synonym Aster scopulorum A.Gray
4 シムフィヨトリクム(ユウゼンギク)属 Symphyotrichum
4-1 Symphyotrichum novi-belgii (L.) G.L.Nesom ユウゼンギク 友禅菊
synonym Aster novi-belgii L.
北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名はNew York aster , confused Michaelmas daisy , Michaelmas daisy。日本には明治時代に渡来した。別名、シノノメギク東雲菊、ミケルマスデージー 、宿根アスター、アメリカシオンという。
4-2 Symphyotrichum novae-angliae (L.) G.L.Nesom ネバリノギク(アメリカシオン)
synonym Aster novae-angliae L.
北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名は New England aster , hairy Michaelmas daisy , Michaelmas daisy , New England aster , New England daisy。日本には大正時代に導入に導入された。
4-3 Symphyotrichum ericoides (L.) G. L. Nesom クジャクアスター 孔雀アスター
synonym Aster ericoides L.
北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。英名はdense-flower aster , elongate aster , heath aster , many-flower aster , squarrose white aster , tufted white prairie aster , white aster , white heath aster , white prairie aster , white-wreath aster , wreath aster。別名はシュッコンアスター、クジャクアスター、ヒースアスター、クジャクソウ
4-4 Symphyotrichum pilosum (Willd.) G.L.Nesom キダチコンギク 木立紺菊
synonym Aster pilosus Willd
北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名はawl aster , frost aster , frost-weed aster , hairy aster , heath aster , Michaelmas daisy , nailrod , old-field aster , Pringle's aster , steelweed , white heath aster
品種) 白孔雀(白花)
4-5 Symphyotrichum hybrids
品種) 'Asty'クジャクソウ(住化農業)
※ 孔雀アスターは狭義にはSymphyotrichum ericoidesを指すが、一般的には、Symphyotrichum ericoides 系の園芸品種、キダチコンギク系の園芸品種、それらの交配種及びユウゼンギクとの交配種を含めた総称である。茎は真っすぐ直立、又はやや弧を描き、高さ70~180㎝になり、上部で多数分枝し、細い枝先に多数、頭花をつける。頭花は直径1~2㎝、白色、淡ピンク色、紫色、青紫色など。
5 ウラギク属 Tripolium
Tripolium pannonicum (Jacq.) Schur ウラギク(ハマシオン)
synonym Aster tripolium L
5 エゾギク属
Callistephus chinensis (L.) Nees アスター(エゾギク 蝦夷菊)
日本、朝鮮、中国原産。中国名は翠菊 cui ju 。英名はChaina aster
参考
1) Taxonomy - GRIN-Global Web v 1.9.9.2Aster
Aster
Aster
Aster.
Asteraceae Bercht. et J.Presl (キク科), aster family
Aster amellus
Aster microcephalus (Miq.) Franch. & Sav.,
the Correct Name for A. ovatus (Franch. & Sav.) Mot. Ito & Soejima
北村四郎:本邦産シオン属の分類及び分布(其一) 9)植物研究雑誌 12巻 9号 640-652 (1936)
本邦産シオン属の分類及び分布(共二) 10)植物研究雑誌 12(10): 721–729(1936)
本邦産シオン属の分類及び分布(共三) 11)植物研究雑誌 32(1): 31–32(1957)
籾山泰一:アキハギク(キヨスミギク)を三浦に採る 12)植物研究雑誌 34(5): 158–159(1959)
水島正美:エゾノコンギクと其の白花品 13)植物研究雑誌 78(4): 203–207(2003)
林容錫,玄眞旿,申鉉哲:韓国産シオン属の1新種Aster pseudoglehni(キク科) 14)植物研究雑誌 91(1): 49–51(2016)
粂川義雅 etc:ヤナギノギク(キク科)の管弁咲き新品種ツツザキヤナギノギク 15)横浜国立大学理科紀要. 第二類, 生物学・地学 27巻 7-18 1980
Aster ageratoides
北村 四郎:東南アジアおよびヒマラヤのキク科植物I
Aster ageratoides subsp. alato-petiolata KiTAMURA