カヤツリグサ 蚊帳吊草

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Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae カヤツリグサ属

別 名 キガヤツリ
中国名 具芒碎米莎草 ju mang sui mi suo cao
英 名 Asian flatsedge
学 名 Cyperus microiria Steud.
カヤツリグサの穂
カヤツリグサ小穂のつく軸
カヤツリグサ鞘
カヤツリグサ茎
カヤツリグサ
カヤツリグサ小穂
カヤツリグサ小穂2
カヤツリグサ鱗片と果実
果 期 7~10月
高 さ 30~50㎝
生活型 1年草
生育場所 森林、低木林、山の斜面の草地、川縁、溝縁、水辺、海岸、遊歩道沿い、水田などの湿った場所
分 布 在来種  日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、インド、タイ、ベトナム
撮 影 蒲郡市形原町  07.8.27
カヤツリグサはコゴメガヤツリと同じようにどこでも見られる普通の雑草。カヤツリグサ属は果実が鱗片に挟まれ、2列について小穂を形成する。果実が裸出し、スゲ属のような袋状の果胞やヒンジガヤツリ属のような薄膜はない。果実の断面は3稜形(カヤツリグサ亜属など)やレンズ形(イガガヤツリ亜属、シロガヤツリ亜属など)。柱頭の分岐は果実の稜と同じ数。
 1年草。根はひげ根。稈は叢生し、高さ20~60㎝、やや細く、鋭角の三稜形、平滑で、基部に数枚の葉がつく。葉は稈より短いか、稈と同長。鞘は紫褐色。葉身は幅約2.5㎜、平ら。苞葉(involucral bracts)は3~4枚またはそれ以上、葉状で、花序より長い。花序は複合または再複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は5~9本、ほとんどが長さ13㎝までで、長さは不均等。穂状花序は卵形、広卵形、またはほぼ円錐形、長さ2~4㎝×幅1~3㎝、多数の小穂を持つ。 小穂はやや緩くつき、線形~非常に狭い線状卵形、長さ0.6~1.5㎝×幅約1.5㎜、斜めに広がり~広がり、8~24個の花をつける。小軸は翼が白色で、狭く、真っすぐで、透明。連続する苞頴は1~1.5㎜の間隔で小軸の上につく。苞頴(鱗片)は黄色~黄褐色~わら色~淡色、緩く、広倒卵形、長さ約1.5㎜、膜質、3~5 脈があり、緑色、外面の竜骨は先を越えて伸び、微突になり、先は円形。雄しべは2(または3)本。葯は長円形、長さ0.2~0.4㎜。花柱は非常に短い。柱頭は3個、±短い。小堅果は暗褐色、長円状倒卵形、長さ1.2~1.5㎜、下につく苞頴の長さとほぼ同じ長さ、3面があり、密に目立つ微細な細点がある(puncticulate)。花期および果期は[7]8~10月。

カヤツリグサ属

  family Cyperaceae - genus Cyperus

 1年草又は多年草、根茎又は匍匐茎をもつ。稈(Culm)は叢生又は単生、直立し、普通、3角(かど)がありまたは鋭角三稜形、ときに扁平な三稜形で、丈夫または細く、下部や基部に葉がつく。葉は根生、3列につき、まれに葉身が無い。葉舌は無い。苞葉(involucral bracts:総苞片)は葉状、普通、2~10(~20)個、またはそれ以上花序の基部につく。花序は頂生、単純又は複合のイグサ形花序(anthela)、数個~多数の花序枝(ray)と2次の花序枝(raylet)をもつ。花序枝と2次の花序枝(小花序枝)は不等長、またはまれに等長、または頭状花序になる。穂状花序は小穂が少数~多数、指状に束生(digitate cluster)又は花序枝の先で頭花状になる。小軸(rachilla)は基部に関節がなく、宿存し、普通、狭い翼がある。苞頴[glume=scale:鱗片]は2列生、まれに螺旋状に覆瓦状につく。基部の1個又は2個の苞頴は花が無い。残りの各苞頴[glumes=floral scales:花鱗片]は両性花を1個もつ。花被は剛毛又は鱗片が無い。雄しべは(1~)3個。花柱は基部が膨れず、柱頭は(2又は)3個、熟すと脱落する。小堅果[痩果]は3面があり、平滑~細点があり~いぼ状、又はまれに網状の条線がある。
 世界に約600種あり、世界中の温帯、亜熱帯、熱帯に分布する(Flora of China:FOC)。
 異なる用語が使われている。involucral bractsは総苞片であるが、日本では一般的に苞葉とされる。ときにinvolucral leaf 総苞葉が使われる。glumeは苞頴であるが、日本では一般的に鱗片とされ、Flora of North Americaではscalesやfloral scalesが使われる。
【Flora of North Americaの解説】
 多年草、または一年草、叢生または叢生せず、根茎があり、匍匐茎があり、まれに塊茎がある。 稈は単生または叢生し、横断面が三角形または円形、無毛または細かくザラつき、外向きまたは前向き(まれに後向き)の刺があります。 葉は通常根生する。小舌は無い。葉身は下面に竜骨があり、断面が平坦~V 字型~逆 W字型。花序は頂生、まれに偽側生、一次の亜散形~頭状、二次の穂状または指状に配置された小穂を持ち、まれに単生の小穂がある。小穂は1~150個。一次の花序枝(ray)は長さが等しくなく(等しいことはほとんどない)、花序苞(inflorescence bracts)の葉腋から1本で生じる。苞葉(involucral bracts;総苞片)は1~22枚は稈の頂点に螺旋状に配置され、直立するように広がり、葉状。小穂: 鱗片(scales)は76個まであり、2列生、それぞれが花を抱き、円筒形~扁平、花序枝(ray)の端に穂状または指状につく (たまに増殖する)。花は両性で[まれに単性]、2列生の花鱗片(floral scales)の葉腋にあり、基部はしばしば±透明な翼として小軸に沿下する。花被は存在しない。雄しべは1~3本。花柱は線形、2~3分岐し、基部は脱落性または宿存性。柱頭は2~3個。痩果は両凸形~平らまたは三角形(Flora of North America:FNA)。
【NEW SOUTH WALES FLORA ONLINEの解説】
 一年草または多年草で、叢生(tufted)または根茎があり、まれに塊茎を生じる。 稈は3稜形~円柱形、節なし。葉はときに鞘だけに削減する。葉舌は有または無。花序は単純または複合、散形花序状または頭状で、まれに1個の小穂に削減される。総苞片(involucral bracts)はほとんどが葉状。小穂は花の数が多い、または少ない、平らまたは円柱形で、最終枝の端に穂状または指状になり、ときに最終枝全体に配置される。小軸は真っ直ぐまたは曲がりくねり、しばしば、透明または有色の膜質の翼で縁取られる。苞頴(glumes)は2列生(ごくまれに螺旋状)、凹面形または竜骨があり、竜骨は通常緑色、最下位の2または1個のほぼ等しいものを除いて、すべてが花をもつ両性、または頂生の花は雄性。 子房下の剛毛=花被(hypogynous bristles)は存在しない。 雄しべは1~3本。花柱は2または3分岐、子房と連続し、基部は肥厚せず、脱落性。堅果(nut)は三角形またはレンズ形、無毛、平滑または細点があり、まれに粗い網状または横に長くなる(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)。
※ ヒメクグ属(Kyllinga)、 カワラスガナ属(Pycreus、ヒンジガヤツリ属(Lipocarpha)を別属に分ける見解もあった。

カヤツリグサ属の主な種と園芸品種

1 Cyperus aggregatus (Willd.) Endl. アレチクグ 荒地莎草
 北アメリカ、南アメリカ原産。英名はinflated-scale flat sedge。標高0~500mの乾燥した道端、牧草地、藪に生える。神奈川県で確認されている。
 多年草、叢生し、根茎がある。 稈は三稜形角、長さ20~100cm×幅0.8~2.5㎜、無毛。 葉は 5~10 枚、V形~フランジのあるV形、長さ10~70(~90) cm ×幅2~7㎜、縁と中肋は鱗状または無毛です。 花序:穂状花序は1(~6)個、密な円筒形、長さ6~30 ×幅5~11 mm。花序枝(ray)は3~12本、長さ0.4~5(~7) cm。 光線と羽軸は無毛。 通常、細長い光線に花序の穂が 1~2 個だけあり、他の穂状花序は無柄またはほぼ無柄。苞葉は4~7枚、水平~わずかに斜上し、長さ1~16 cm ×幅0.5~4㎜。小軸(rachilla)は脱落性、翼が宿存し、幅0.5㎜。小穂は20~80個、楕円形、ほぼ四稜形、長さ3~5㎜×幅1~1.4㎜。 苞頴(鱗片)は1~2(~4)個、密着し、わら色~金褐色、しばしば赤い斑点があり、内側(medially)は帯緑色、9うねがあり、楕円~卵形、長さ2.4~3.4㎜×幅1.8~2.6㎜、先は鈍形。 花: 葯は長さ0.4~0.6mm。花柱は長さ0.7~1.1㎜。柱頭は長さ1.4~2.1㎜。 痩果は暗褐色~赤褐色、無柄、広楕円形、長さ1.8~2.1㎜×幅0.8~1㎜、先には短突起があり(apiculate)、表面は無毛~細かい細点がある。果期は夏半ば~秋(7~10月)。

2 Cyperus albescens (Steud.) Larridon et Govaerts オオヒンジガヤツリ 大品字蚊帳吊

  synonym Cyperus lipocarpha T.Koyama [GRIN]

  synonym Lipocarpha chinensis (Osbeck) J. Kern [ヒンジガヤツリ属] [Flora of China]

  basionym Scirpus chinensis Osbeck
  synonym Cyperus lipocarpha T.Koyama
  synonym Cyperus submaculatus T.Koyama
 日本(沖縄)、朝鮮、中国、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、カシミール、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、アフリカ、マダガスカル、インド洋諸島原産。中国名は华湖瓜草 hua hu gua cao。 英名はgoosetongue sedge 。道端の湿った場所、溝の縁、川辺、山の斜面、野原の縁などに生える。  多年草。稈は叢生し、高さ10~60㎝×太さ1~1.5㎜、平ら又は扁平な3稜形(triquetrous)、縦の溝があり、ごく疎に微軟毛がある。根生葉は、鞘が筒形、長さ1.8~2.5㎝、無毛。基部の鞘は葉身が無く、先の鞘は葉身をもつ。葉身は線形、稈の長さの約1/2、幅2~4㎜、紙質、縁は外巻、先は尖鋭形。苞葉は2~3枚つき、葉状、長さ2~7㎝、鞘は無い。穂状花序は(3~)4~7個、束生し、卵形~広卵形、長さ5~10㎜×幅約5.5㎜、多数の小苞(鱗片)と小穂をもつ。小苞は淡色で紫色の条線があり、倒披針形、長さ約2㎜、竜骨があり、類膜質、先は類切形~尖鋭形。小穂は2個の苞穎と1個の両性の花をもつ。基部の苞穎は楕円形、長さ約1.5㎜、膜質、5脈があり、縁は内巻、先は鈍形。先の苞穎は卵状披針形、長さ約1.5㎜、1個の両性花をもち、先は鋭形。雄しべは2個。葯は狭長円形。花柱は中間の長さ。柱頭は3個、花柱の長さに近い。小堅果は熟すと褐色、長円状倒卵形、長さ約1㎜、両凸面形、表面に細点があり、先は丸くて短い短突起がある。花期と果期は5~10月。2n=26。

3 Cyperus alopecuroides Rottb. オキナワオオガヤツリ 沖縄蚊帳吊

 熱帯アジア、西アジア、アフリカ、南アメリカ、オーストラリア原産。英名はfoxtail flat sedge , mat sedge。標高0~30mの池畔、小川岸に生える。
 多年生、根茎があり、粗い。稈は三稜形、長さ150~250㎝×幅2~15㎜、無毛。 葉は逆W形、長さ30~150㎝×幅6~22㎜。 花序:穂状花序は1~4個、円筒形、長さ1.5~4㎝×幅7~15㎜。花序枝(ray)は3~9本、長さ10~26㎝。2次の花序枝は長さ 2~11㎝。3次の花序枝は長さ1~4㎝(または無い)。苞葉は3~5枚、±水平、長さ20~100㎝×幅3~15㎜。 2次苞葉は長さ2~7㎝×幅2~7mm。 3次苞葉は長さ2~5㎝×幅2~4㎜(または無い)。小軸は宿存し、翼がないか、または翼が透明で、狭く、幅0.1㎜。小穂は50~100個、線形、±四稜形、わずかに扁平、長さ8~11㎜×幅0.9~1.2㎜。苞穎(鱗片)は15~30個、わずかに透明、中肋に沿って側面が赤みを帯び、内側は緑色、側面に3~4肋があり、内側に3~5肋があり、卵形、長さ1.2~1.6㎜×幅1.1~1.3㎜、先端は 微突形(mucronulate)。花: 葯は2個、長さ0.4~0.5㎜。花柱は長さ0.8~1㎜。 柱頭は2個、長さ0.4㎜。痩果は暗褐色、無柄、楕円形~倒卵形、長さ約0.9㎜×幅0.4~0.5㎜、表面には細かい細点がある。果期は夏。(FNA)

4 Cyperus alternifolius L. シュロガヤツリ 棕櫚蚊帳釣 [広義]
  アラビア半島、アフリカ、マダガスカル原産。中国名は野生风车草 ye sheng feng che cao 。英名は umbrella papyrus, umbrella sedge, umbrella palm 。世界中の多くの熱帯地域に帰化している。河川の岸辺、湿気のある草地、道端に生える。
 多年草。高さ50~200㎝。根は±太いひげ根。根茎は短く太く、横に這い、節ごとに3稜形の茎を出す。稈は高さ0.5~1.5(~3)m、わずかに丈夫、鈍い3角(かど)~ほぼ円柱形、基部には葉身のない鞘があり、先はザラつく。根生葉の鞘は黄褐色、先の葉鞘は淡緑色、大部分が長さ20cmまで。苞葉(involucral bracts)は11~18枚、葉状、大きく長さ10~15㎝×幅1~14㎜、花序の長さの約2倍、ほぼ等長、±水平(輪生状)につき、堅く、縁がザラつく。花序は再複合のイグサ形花序(decompound anthela)。花序枝(rays)は8~18本、長さ3~10㎝、各花序枝は1~4本の2次の花序枝=小花序枝(raylets)をもち、2次の花序枝は長さ1~1.5㎝で、それぞれに3~9個の小穂がある。花序枝の基部に膜状の鞘がある。小穂は花序枝および2次の花序枝の先に束生し、扁平、(長楕円形~披針形~)線形~狭い線状卵形、長さ5~20㎜×幅1~1.5㎜(長さ3~8㎜、幅1~2㎜)、白緑色~わら色、10~40個の花をつける。小軸は真っすぐで翼が無い。苞頴(鱗片)は淡緑色、密に覆瓦状、卵形(~披針形)、長さ1.5~1.8(~2)mm、膜質、3脈があり、先は尖鋭形。雄しべは3本。葯は線形、長さ約1㎜、先に剛毛がある。花柱は長さ約1㎜。 柱頭は3岐、長さ約1㎜。成熟すると小堅果は褐色、柄があり、楕円形~卵形、長さ0.8~0.9㎜、基部につく苞頴の長さの1/3~1/2で、扁平で3面があり、先には小突起がある。2n=32。花期は7~9月。
4-1 Cyperus alternifolius L. subsp. alternifolius
  synonym Cyperus alternifolius var. gracilis Pynaert
  synonym Cyperus onustus Steud.
 マダガスカルに分布。

4-2 Cyperus alternifolius L. subsp. flabelliformis Kuk. シュロガヤツリ 棕櫚蚊帳釣

  synonym Cyperus involucratus Rottb.

  synonym Cyperus alternifolius L. var. obtusangulus (Boeck.) T.Koyama

 アラビア半島、アフリカ、マダガスカルに分布。観賞用に植栽されたものが世界中で逸出、帰化している。河川や湖沼に入ると抽水植物として生育し、特に河川では出水による倒伏で無性芽による栄養繁殖が盛んに行われ、密生群落を形成する。国の重点対策外来種に選定されている(愛知県)。  多年草、高さ2mになる。根茎は短く横走する。茎は太く、断面が三角形。葉は鞘状に退化し、茎の基部に残る。苞葉は茎頂に密に多数、傘状に密に互生(輪生状に見える)し、狭被針形、長さ12~20㎝、硬い。花序は複散形花序。花序枝は苞葉の起部につき、長さ5~13㎝、花序枝の基部に膜状の鞘がある。花序枝の先および2次の花序枝=小花序枝(raylets)に小穂を3~9個つける。小穂は変化が多く、長楕円形~披針形~線形、長さ3~20㎜×幅1~2㎜、白緑色~わら色~淡褐色。苞頴(鱗片)は長さ1.5~2㎜の披針形、中肋が緑色。小堅果は長さ0.8~0.9㎜、成熟すると褐色しばしば苞の基部から無性芽が伸長し、花茎が倒伏すると新しい個体になる。2n=32。花期および果期は夏~秋。
品種) 'Albovariegatus'  フイリシュロガヤツリ

4-3 Cyperus alternifolius subsp. textilis (Thunb.) Verloove コシュロガヤツリ 小棕櫚蚊帳釣

  synonym Cyperus textilis Thunb.
 南アフリカ原産。英名はmat sedge, umbrella sedge, basket grass。海抜150m以下の川の土手や小川に沿って、池、ダム、沼地、湿った渓谷、さらには海岸の湿地や汽水域にも生育する。
 多年草、稈は直立し、高さ1.5(3)m以下。先端から傘のスポークのように放射状に広がる。長くて平らな葉状の苞葉が10~25個束生する。茎は長くて丸く、匍匐茎または根茎から成長し、大きな塊(clumps)を形成する。葉は基部にあり、茎をつかむ鞘に変わる。穂状花序は苞葉の上に、小さな枝分かれし、帯緑色。花期は夏の終わり頃。

5 Cyperus amuricus Maxim. チャガヤツリ 茶蚊帳吊
  synonym Cyperus amuricus Maxim. var. japonicus Miq.
  synonym Cyperus x amuricocompressus T.Koyama
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、ロシア原産。中国名は阿穆尔莎草 a mu er suo cao。英名はAsian flatsedge。和名はカヤツリグサに似て、鱗片が褐色であることに由来する。
 1年草。高さ30~40㎝。葉は根元に少数つき、苞は葉と同じ形で長い。長短、不揃い花序枝の先に固まって小穂を開出してつけ、下部の小穂はやや下向きになる。小穂は長さ0.7~1.2㎝の扁平な線形。鱗片は褐色。鱗片の中肋は緑色で、先が芒状に長く突き出て、やや反り返る。果実は長さ約0.8㎜の倒卵形、断面は3稜形。カヤツリグサよりやや乾燥した場所を好む。果期は7~10月。

6 Cyperus aromaticus (Ridl.) Mattf. et Kuk. クルマバヒメクグ 車葉姫莎草
  synonym Kyllinga polyphylla Willd. ex Kunth 【ヒメクグ属】
  synonym Kyllinga aromatica Ridl.
  synonym Kyllinga erecta Schumach. var. polyphylla S.S.Hooper
 アフリカ、マダガスカル原産。英名はNavua sedge。中国名は水蜈蚣 shui wu gong。熱帯の標高約1000~1500mに生える。
 多年草、匍匐する根茎と密に張った茎を持ち丈夫。根茎は鱗片を含んで太さ約5㎜、鱗片はかなり厚く、淡褐色~暗紫入りまたは帯黒色で、長さ10mmm未満。茎は長さ25~90cm×太さ1~3mm(ただし葉鞘では幅が広く)O、基部は通常、葉身がない紫色の鞘で覆われる。上部の葉鞘は葉身が長さ3~15㎝×幅2~6㎜。苞葉(総苞片)は5~8個、通常長くて広がり、最長6~15㎝。花序は不規則な半球形~球形の頭状花序(head)で、中央に穂状花序あり、通常はいくつかの小さな側穂状花序がつく、小穂は長さ3~4㎜、花が1~2個あるが、小堅果は1個だけである。包穎(鱗片)は帯黄色またはわら色、さび褐色の条線があり、卵状披針形、長さ3~4㎜、5~7脈、中脈は帯緑色、小刺があり、先は微突形。雄しべは3個、葯は短い線形、葯隔は葯を越えて突き出る。花柱は長い。柱頭は2個、花柱より短い。小堅果は長さ1.2~1.5㎜、初め黄白色、成熟すると黒色になり、長楕円形~倒卵状長円形、下につく鱗片の長さの約1/2、平凸形、密に細点があり、先は微突頭。花期と果期は7~10月。

7 Cyperus articulatus L. フトイガヤツリ 太藺蚊帳釣
  synonym Cyperus corymbosus Rottb.
  synonym Cyperus tegetiformis Roxb. ex Arn.
 熱帯アジア、西アジア、アフリカ、オーストラリア、北アメリカ、南アメリカ原産。英名はchintul , guinea-rush , jointed flat sedge。標高0~100mの沼地、浅瀬、溝に生える。
 多年草。 根茎は長さ200㎝まで。稈は高さ25㎝まで離れ、1(~3)本一緒に直立し、円柱形(乾燥時にほとんど扁平にならない)、たまに、先の1/3が3稜形になり、高さ40~140(200)㎝、基部の太さ4~12㎜、先の太さは(1.2~)1.5~2.5㎜(顕著な横隔壁があり、基部で約3㎝離れ、先で3~5㎜離れる)、無毛、または先の角(かど)が、たまにザラつく。稈の基部にある鞘は、2~3個、(5~)10~25㎝、緩く、紙質。 葉は通常は葉身がなく、葉がある場合は横肋が目立ち、特に上面で目立ち、長さ(1~)10~20(~40)㎝×幅4~6(~9)㎜。 花序は穂状花序、1(~5)個つき、広卵形~±散形、長さ15~45㎜×幅10~30㎜。花序枝(ray)は5~7(~10)本、長さ0.3 ~8(~12)㎝。2次の花序枝がたまにある(長さ5~20㎜)。苞葉は2(~4)枚、直立し、最長は稈の続きのように見え、三角形~披針形、長さ0.2~2(~9)㎝×幅1.5~4.5㎜。小軸は宿存し、翼は半透明、帯白色またはわら色で、幅0.4mm。小穂は(1~)5~10個、線形、扁平、長さ10~35(~45)㎜×幅1.1~2㎜。苞頴(鱗片)は脱落性、15~45個、広がるか圧着し、側部は淡褐色、内側は緑色~褐色、側部に1~2うねがあり、内側に3うねがあり、長円形~卵形、長さ2.9~3.7㎜×幅1.1~1.6(~1.8)㎜、先は鋭形。花: 葯は長さ1.7~2.4㎜。花柱は長さ1.2~3.6㎜。柱頭は長さ1.7~6mm。痩果は褐色、柄があり、倒卵状楕円形、長さ1.2~1.6㎜×幅0.4~0.6㎜、柄は長さ0.1㎜、先端は明瞭な短突起があり、表面に細点がある。果期は夏。

8 Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. アイダクグ 広義

  synonym Kyllinga brevifolia Rottbøll
 日本、朝鮮、中国、アジア南部、アフリカ、オーストラリア、北アメリカ(USA、メキシコ)、中央アメリカ、西インド諸島、南アメリカ原産。英名はPerennial greenhead sedge。標高0~200mの湿った草原、海岸線、溝、農地に生える。
 多年草、叢生または叢生せず、長い匍匐性の根茎をもつ。 ときに、稈は3㎝までの間隔を開け、高さ(5~)12~25(~55)㎝、平滑。 葉は平らで、長さ2~21cm×幅1.5~3.5mm。花序は穂状花序が1~3個、長さ4~7㎜×幅4㎜。苞は3~4個、最長の苞は±直立し、その他は斜上~水平、平坦、長さ1.5~18㎝×幅1~3.3㎜。 小穂は(20~)40~60(~100)個、淡帯緑色または赤褐色、卵形、長さ(2.2~)2.5~2.8(~3.2)㎜×幅(0.6~)0.7~0.8(~1.2)㎜。苞頴(鱗片)は横方向に2~3脈があり、楕円形~卵形、長さ1.8~3㎜×幅(0.8~)1.1~1.6㎜、中脈に翼はなく、先は微突形。雄しべは(1~)2個。葯は長さ0.8~1.1㎜。花柱は長さ0.6~1.2㎜。柱頭は長さ0.5~1.5㎜。痩果は褐色、ほぼ柄があるかまたは柄があり、楕円形~長円状楕円形、長さ1~1.2(~1.3)㎜×幅0.6~0.8㎜、柄がある。もしある場合は長さ0.1~0.2㎜、先は鈍形~ほぼ切形、短突起があり、パピラがある。果期は夏。(Flora of North America)

8-1 Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. brevifolius  アイダクグ

  synonym Kyllinga brevifolia Rottb [Flora of China , Tha plant List] 【ヒメクグ属】

  synonym Kyllinga brevifolia Rottb var. brevifolia
  synonym Kyllinga brevifolia var. longifolia Boeckeler
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、スリランカ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マーレーシア、パプアニューギニア、アフガニスタン、バングラデシュ、アフリカ、大西洋諸島、オーストラリア、南北・中央アメリカ、インド洋諸島、マダガスカル、太平洋諸島に分布。中国名は短叶水蜈蚣(duan ye shui wu gong)。英名は英名はshortleaf spikesedge , green kyllinga , perennial greenhead sedge , kyllinga weed。別名はタイワンヒメクグ。畦、湿地、湿った道端などに生える。
 多年草、高さ2~55㎝。稈は高さ5~30㎝。根茎は赤色を帯び、横に伸びて匍枝状になり、太く、鱗片葉を含めると直径1㎜以上になる。花茎に長さ5~8(4~7)㎜の球形~やや惰円形の頭状花序が1(1~3)個つく。苞葉は2~3個付き、最長のものは最長23㎝に達するものも見られる。苞葉は水平からやや下向きにつく場合も多いが、場所によっては最下の苞葉がすべて直立しているときもある。小穂は長さ3~3.5(2.2~3.2)㎜の惰円形(長楕円形~披針形)。苞頴(鱗片)は4個つき、下の2個は小さい。小さい2個は薄い膜質。大きい2個の鱗片は長さ約3㎜及び約2.5㎜。鱗片の竜骨は緑色で、透明な三角形の膜質でない上向きの小刺がある。果実は長さ約1(1~1.3㎜)㎜の倒卵形(惰円形)、柄がわずかにある。柱頭は2分岐。花期および果期は(5)7~10月。2n=18。

8-2 Cyperus brevifolius f. babiensis (Wad.Khan & Lakshmin.) V.P.Prasad

  synonym Kyllinga polyphylla Willd. ex Kunth subsp. babiensis Wad.Khan & Lakshmin.

 インドに分布する。藪の間の日陰の場所に生える。
 開けた場所に生える典型的な C. brevifolius では稈の高さは5~40cm。 しかし、f. babiensisは高さ100~150cm程度ある。
 大型形態の品種。根茎は細くて長く這い、長さ3.5cm以下×節間の太さ1mm。稈は高さ100~150cm程度、稈は離れてつき、細く、太さ1㎜以下。葉の幅は大2㎜以下。花序は苞葉(総苞片)が3~4個。小穂は長さ2.2~2.5㎜。苞頴(鱗片)は長さ約2.2㎜。雄しべは1個。痩果は約・長さ1.1㎜×幅0.7mm。

8-3 Cyperus brevifolius var. stellulatus (Valck.Sur.) Kük.

  synonym Kyllinga brevifolia var. stellulata (Valck.Sur.) S.S.Hooper ex Karthik.

 中国、東ヒマラヤ、インド、アンダマン諸島、ニコバル諸島、フィリピン、インドネシア(ジャワ、小スンダ諸島)、ニューギニア原産。中国名は小星穗水蜈蚣 xiao xing sui shui wu gong。
 稈は高さ2~6㎝。矮性種。花序は小さく、穂状花序は球形、幅4~6㎜、数個~20個又はそれ以上の小穂をもつ。小穂は幅4~5(~7)㎜、疎につき、放射状に広がり、最終的には暗灰色(fuscous)になる。普通1又は2個の花をつける。鱗片は竜骨に小刺が無い。 雄しべは3本または2本。花期と果期は6~7月。

9 Cyperus brevifolioides Thieret & Delahouss. ヒメクグ 姫莎草

  synonym Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama

  synonym Cyperus brevifolius var. gracillimus (Miq.) Kük.

  synonym Kyllinga brevifolioides (Thieret & Delahouss.) G.C.Tucker

  synonym Kyllinga gracillima Miq.

  synonym Kyllinga brevifolia Rottb. var. leiolepis (Franch. et Sav.) H.Hara 【ヒメクグ属】

  synonym Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. subsp. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama

 日本、南西諸島、韓国、中国、ヒマラヤ東部、ネパール、ロシア原産。中国名は无刺鳞水蜈蚣 wu ci lin shui wu gong。日当たりのよい湿った場所に生える。北アメリカ、イタリア、トランスコーカサスに帰化している。
 多年草。高さ10~20㎝。赤紫色の根茎を延ばして増える。葉は幅2~4㎜の線形で、苞葉は普通、水平からやや下向きに3個つく。周囲の草丈が高いときなど、場所によっては最下の苞葉が直立するときもある。花序は1個で、小花1個だけの小穂が密に固まってつき、直径0.6~1㎝の球形になる。ヒメクグ属は4個の苞頴(鱗片)をもち、2個は大きく、2個は小さい。大きい鱗片には緑色の竜骨があり、竜骨は平滑で、刺がない。果実は広倒卵形。花期は7~10月。

9-1 Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama f. macrolepis H.Hara ex T.Koyama オニヒメクグ 鬼姫莎草

  synonym Kyllinga brevifolia Rottb. subsp. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama f. macrolepis (H.Hara ex T.Koyama) T.Koyama, nom. nud.

 別名はオオバナヒメクグ。ヒメクグの鱗片が5㎜以上と大きいもの。

9-2 Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama f. connatus T.Koyama


10 Cyperus castaneus Willd. ナガミイッスンガヤツリ 長実一寸蚊帳釣
 中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖南省)、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、アフリカ南部、オーストラリア原産。中国名は长板栗莎草 chang ban li suo cao。標高300m以下の川の縁、道端、畑の砂地に生える。
 1年草。根はひげ根。稈は株立し、高さ3~15㎝、3角(かど)があり、平滑、基部には葉がほとんどないが、しばしば開花時期までに枯れる。葉は稈より短い。 葉身は幅0.4~1㎜、折り畳まれてる。苞葉(総苞片)は2~5枚、線形、花序より長い。花序は単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は1~4本、長さ3㎝まで。小穂は5~30個、花序枝の先に指状(digitately)または星状につき、線形、長さ5~20㎜×幅1~1.8㎜、8~26個の花をつける。小軸は翼が無い。苞頴(鱗片)は紫赤色、±緩く複瓦状につき、長円形~長円状披針形、長さ1.2~1.7㎜、3脈があり、先端はほぼ鈍形~凹形、反り返った長さ0.2~0.5㎜の芒がある。 雄しべは 2~3本。葯は楕円形、長さ0.1(~0.2)㎜。小堅果は褐色、狭長円形、長さ0.7~0.9㎜、三面があり、表面に微細な細点がある。花期および果期は6~9月。2n=40。

11 Cyperus compactus Retz. ビトウクグ
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、西蔵、雲南省)、台湾、インド、パキスタン、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、西インド諸島、マダガスカル原産。中国名は密穗砖子苗 mi sui zhuan zi miao。海抜1000m付近までの草地、沼地、湿った場所、疎林の日陰の場所、川縁、道沿い、谷間、原っぱの縁、水田、海岸の湿地に生える。
 多年草。 根茎は短い。稈は散在またはまばらに叢生し、高さ50~90㎝、丈夫で、円柱形、横脈が目立ち、基部に葉があり、基部はわずかに膨らむ。葉は稈より長いかわずかに短い。鞘は紫赤色、円筒形、ほとんどが長さ10㎝まで、通常は膜質部分から裂ける。葉身は幅5~9㎜、平らで、顕著な横脈があり、下面の中脈、縁に小棘がある(spinulose)。苞葉は3~5枚、葉状で、花序よりもはるかに長く、斜めに広がり、下面の中脈と縁に小棘がある。花序は複合のイグサ形花序(anthela)、緩い~わずかに密。花序枝(ray)は7~9本、直立し、ほとんどが長さ15㎝以下、長さは不等で、硬く、それぞれに5~10本の小花序枝(raylets)がある。 小花序枝は斜めに広がり、通常は±短く、ほとんどの場合わずか2㎝まで。穂状花序は多数の小穂が密集して小花序枝の先にほぼ球形~半球形の穂状花序になり、直径0.8~3.5cm。 小穂は多数、放射状に広がり、錐形、長さ0.5~1.8cm×幅1mm未満、花は3~12個つく。小軸は翼が白色、透明。苞頴(鱗片)は両面とも血赤色~赤褐色だが、外面の中央が緑色、狭い長円形、長さ3~4㎜、わずかに光沢があり、5~7本の脈があり、先は鈍形~鋭形。雄しべは3本。葯は広線形、葯隔は葯を超えて目立つ。花柱は長さが長~中。柱頭は3個、細い。小堅果は黄褐色~褐色、狭長円形、長さは下につく苞頴の長さの1/2~3/5で、3面があり、密に細点があり(puncticulate)、先は微突形。花期および果期は6~12月。

12 Cyperus compressus L. クグガヤツリ 莎草蚊帳吊
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、世界の暖帯~熱帯に分布。中国名は扁穗莎草 bian sui suo cao 。英名はpoorland flatsedge, flat sedge。道端、荒地など乾いた場所に生える。
 1年草、高さ15~30㎝。茎は硬く、叢生し、葉は茎より短い。苞葉は2~3個つき、花序より長い。花序は茎の頂部に小穂が粗に固まってつく。小穂は長さ1~2.5㎝、幅約3㎜で扁平な線形。色は淡緑~黄褐色。苞頴(鱗片)は芒があり、やや外に反る。果実は褐色、長さ1~1.2㎜の倒卵形で、明瞭な3稜があり、表面は濃淡が目立つ。柱頭は3岐。小穂の枝の伸びが悪いとイガガヤツリに似て見える場合もある。2n=98,112,114,128。花期は8~10月。

13 Cyperus congestus Vahl ユメノシマガヤツリ 夢の島蚊帳吊
 アフリカ南部原産。英名はdense flat-sedge , clustered flat-sedge , purple umbrella sedge。和名は1982年に東京の夢の島で初めて確認された。
 多年草、密に叢生する。茎は高さ15~40(~80) cm、かなり丈夫で、3角(かど)があり、平滑、基部は葉があり、やや球根状で木質になる。葉は通常茎よりも長く、幅7㎜まで、平らで、縁の下部は平滑で、先端に向かってザラつく。鞘は紫褐色で、微細な横隔壁が明瞭。苞葉は3~6枚、葉状で、最下部の苞葉は花序より長い。花序は単純または複合の散形花序、または単一の頭状花序に縮小される。花序枝(ray)は2~4本、かなり硬く、長さ6㎝まで。小穂は多数、長さ10~20㎜×幅2㎜、狭線形、鋭形、密な卵形または半球状の赤紫色の穂状花序。小軸は膜質の翼を持つ。苞頴(鱗片)は長さ約3mm、密に覆瓦状ではなく、通常は小軸にしっかりと密着し、長円状楕円形、鋭形、多数の脈があり、竜骨は緑色、縁は濃赤紫色である。雄しべは3本。花柱の枝は3本。堅果は苞頴の長さの±1/2の長さ、倒卵状長円形、3稜形、暗褐色、短突起がある。花黄は7~9月。

14 Cyperus cuspidatus Kunth イッスンガヤツリ 一寸蚊帳吊
 中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、江蘇省、江西省、山東省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、カシミール、ブータン、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、パキスタン、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、インド洋の島々、アフリカ、マダガスカル、オーストラリア、アメリカ原産。中国名は长尖莎草 chang jian suo cao 。海抜近くから2000mまでの川縁の砂、水辺の草原、海岸、小道沿い、荒地、山の斜面、森林、野原に生える。
毎年恒例。 根は繊維質。稈は房状になり(tufted)、高さ3~15㎝、弱々しく(flaccid)、3角(かど)があり、平滑、基部には葉がほとんどんない(しばしば開花時期には枯れる)。葉は稈より短い。葉身は幅1~2㎜で、通常は折りたたまれている。苞葉は2~3枚、線形、花序より長い。 花序は単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は2~6本、ほとんどは長さ2cmまで。小穂は5個~多数、花序枝の先に指状につき、線形、長さ4~12㎜×幅約1.5㎜、8~26個の花がつく。小軸は翼が無い。苞頴(鱗片)は両面が紫赤色~褐色、±緩く覆瓦状で、長円形、長さ1~1.5㎜、3脈があり、先は切形で、反り返った長さ(0.5~)0.6~1㎜の芒がある。雄しべは3本。葯は楕円形、長さ約 0.1(~0.2)㎜。花柱は長さ(0.2~)0.4~0.6㎜。柱頭は3個、長さ0.3~0.5㎜。小堅果は暗褐色、長円状倒卵形~長円形、長さ0.5~0.6㎜、長さは下につく苞頴の長さの約1/2、3面があり、多数のいぼ状突起がある(tubercles)。花期および果期は6~9(~10)月。

15 Cyperus cyperinus (Vahl) J.V.Suringar シマクグ 島莎草
  synonym Kyllinga cyperina Retz
 日本(沖縄)、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、湖南省、江西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、カシミール、ブータン、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、パキスタン、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、アジア南西部、オーストラリア、西インド諸島、太平洋諸島原産。中国名は莎状砖子苗 suo zhuang zhuan zi miao 。別名はタイワンクグ。海抜付近から300~700(~1800)mの鬱蒼とした森林、山の斜面の湿った場所、草原、川縁、水縁、谷に生える。
 多年草。根茎は短い。稈は散在し、高さ15~70㎝、やや太く、鋭角な3稜形、平滑、基部には多数の葉がある。葉は稈より短い。鞘は紫赤色、葉身は幅5~7㎜、わずかに緩くまたは硬く、基部で折り畳まれ、先部で広がり、下面に中脈があり、縁はザラつく。苞葉は6~10枚、葉状で、花序より長いかわずかに短く、縁はザラつく。花序は単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は6~10本、短いか長さ4.5㎝まで、長さが不等で、先に1個の穂状花序がある。小穂は長円状倒卵形、しばしば基部に向かって先細になり、まれに円筒形、長さ1~1.8[~3]㎝×幅0.8~1.2㎝、多数の小穂が密につき、基部は楔形~切形である。 小穂は直立~直立して広がり、狭い線状卵形~線状長円形、長さ4~6.5㎜×幅約1㎜、それぞれに(1~)2~4個の花がつく。小軸は翼が披針形で幅広。苞頴(鱗片)は密集してつき、両面が褐赤色~紫赤色、楕円形、長さ約3.5㎜、紙質、脈は数本あり、中央の3本の緑色の脈が目立ち、竜骨があり、先は鈍形~鋭形で、微突形。雄しべは3本。葯は広線形、長さ1~1.5㎜、葯隔は葯を超えて目立つ。花柱は中間の長さ。柱頭は3個。小堅果は暗灰褐色、狭い長円形、長さ2~2.5㎜×幅0.6~0.9㎜、長さは基部につく苞頴の長さの2/3で、3面があり、背腹側から見るとわずかに曲がり、密な細点状の突起がある。花期および果期は4~9月。

16 Cyperus cyperoides (L.) Kuntze  イヌクグ 犬莎草
 日本(本州関東地方以西、四国、九州、沖縄)、東南アジア、オーストラリア、アフリカ、大西洋諸島、インド洋諸島、太平洋諸島原産。中国名は砖子苗 zhuan zi miao 。英名はPacific island flatsedge。別名はクグ。
 1年草。高さ30~80㎝。地下に卵形の根茎がある。葉は幅3~6㎜で、花茎より短く、根元に固まってつく。葉鞘は基部がやや膨れ、赤褐色を帯びる。茎頂に葉と同形の苞を3~5個出し、ブラシのような花序を固まってつける。花序枝は長さが一定せず、ほとんどなくて頭状になることも多い。小穂は長さ4~5㎜の線形、小花が1~2個、1個だけの場合も多い。果実は長さ約2㎜の線状惰円形。花柱は長さ0.5~0.7㎜。柱頭は長さ約1㎜、3岐。雄しべ3個。2n=82,88,134,220,224.。花期は8~10月。

17 Cyperus diaphanus Schrad. ex Roem. et Schult. タチガヤツリ 立蚊帳吊

  synonym Pycreus diaphanus (Schrader ex Schultes) S. S. Hooper & T. Koyama [Flora of China]カワラスガナ属

  synonym Cyperus latespicatus Boeck. var. setiformis (Korsh.) T.Koyama

  synonym Cyperus diaphanus Schrad. ex Roem. et Schult. var. setiformis (Korsh.) J.Kern

  synonym Cyperus setiformis Korsh.
  synonym Cyperus latespicatus Boeck.
 日本、朝鮮、中国(貴州省、海南省、江西省、西蔵、雲南省)、ロシア、インド、ブータン、ネパール、カシミール、バングラデシュ、カンボジア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン原産。中国名は宽穗扁莎 kuan sui bian suo。標高600~1800mの水辺、湿った場所に生える。
 1年草。根はひげ根。稈は密に房状で、高さ10~35㎝、やや細長く、鈍角の3角(かど)があり、平滑、基部に少数の葉を付ける。葉は稈より短い。葉身は幅1.5~2.5㎜、先の縁には鋸歯がある。苞葉は2または3(または4)枚、葉状で、花序より長い。花序は単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は2~4本、ほとんどが長さ7㎝までだが、短い場合もあり、それぞれに3~6個の小穂が穂状につく。小穂は放射状に広がり、狭い長円形~狭い線状卵形、長さ0.8~2㎝×幅3~3.5㎜、扁平、16~36個の花がつく。小軸はわずかに曲がり、翼は無い。苞頴(鱗片)は両面とも暗灰褐色~褐色、密に覆瓦状、広卵形、長さ約3㎜、膜質、光沢があり、3本の脈があり、竜骨は外面が緑色で、縁には帯白色の波状の広い縁があり、先は鈍形。雄しべは2本。葯は長円形、長さ0.8~1㎜。花柱は長い。柱頭は2個、花柱より短い。小堅果は灰黒色、広倒卵形、長さ1~1.3㎜、基部につく苞頴の長さの約1/3、両凸形、膨らみ(turgid)、横方向の波状の条線がある。花期および果期は9~10月。

18 Cyperus difformis L. タマガヤツリ 珠蚊帳吊
 日本全土、アジア、アフリカ、ヨ^ロッパ、オーストラリアに分布。中国名は异型莎草 yi xing suo cao 。英名はsmallflower umbrella sedge。田の畔、溝などに生える。
 1年草。高さ15~40㎝。茎は柔らかくて太く、鋭い3稜形で、叢生する。葉は茎より短く、幅3~5㎜。茎の先端に葉と同形の苞葉を2~3個つけ、最下の苞葉は特に長い。茎頂に小穂の集まった球形の花序を多数つけ、花序枝の先につくものもある。花序枝は長さが0~5㎝と長さが異なり、花序は直径5~10㎜。小穂は10~30個の小花がつき、長さ3~10㎜の扁平な惰円形、先が丸く、次第に暗紫褐色を帯びる。苞頴(鱗片)はほぼ円形で長さ0.5~0.7㎜、中肋は緑色。痩果は長さ0.5~0.6㎜狭倒卵形で3稜がある。雄しべは2個。痩果は小穂の基部から熟し、鱗片とともに落ち、熟してくると小穂の基部に鱗片がないものが多い。2n=18, 28, 32, 34, 36。花期は7~9月。

19 Cyperus diffusus Vahl オオノシスゲ
 中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、西蔵、雲南省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、太平洋諸島、西インド諸島原産。中国名は多脉莎草 duo mai suo cao。標高100~1700mの谷間の森林、山の斜面の草地、川沿いの湿った場所、歩道沿い、水田に生える。
 多年草。 根茎は短く、硬い。 稈は高さ25~80cm、やや太く、3稜形、平滑、基部に葉が数枚出る。 葉は稈と同じかそれより短い。鞘は淡緑色で、最終的には赤褐色になり、葉身は幅0.3~2cm、平らで縁はザラつく。苞葉(総苞片)は6~12枚、葉状、花序より長く、幅0.6~1.6(~1.9)cm。 花序は再複合(decompound)のイグサ形花序(decompound anthela)。花序枝(ray)は多く、ほとんどが長さ12~16㎝、それぞれに2~8本の小花序枝(raylet)がある。小穂は1~5個、無柄、小花序枝または三次の小花序枝の先にときに3個以上つき、長円形~線状長円形、長さ3~7(~14)㎜×幅1.5~2㎜、わずかに膨らみ、6~12(~22)個の花がつく。小軸は翼が狭い。苞頴(鱗片)は両面とも赤褐色または錆褐色であるが、中央部の外面は緑色または灰緑色で、緩く、広卵形~円状卵形、長さ約2mm、7~11の脈があり、竜骨が顕著で、先は円形、反り返った微突をもつ。雄しべは3本。葯は線形で、先端には白い剛毛がある。花柱は非常に短い。柱頭は3個。小堅果は暗褐色、楕円形、長さは基部につく苞頴の長さの約3/4の長さ、3面がある。花期および果期は6~9月。

20 Cyperus digitatus Roxb. オオホウキガヤツリ 大箒蚊帳吊
 熱帯、亜熱帯に広く分布。英名はfinger flatsedge。湿った川岸やその他の湿地に生える。
 多年草、短い木質の根茎を持ち、高く、高さ150㎝まで。茎は房状または1本、3角(かど)があり、しばしば上部が3稜形、太さ3~4㎜、平滑。葉は茎より短いかまたは同長、革質、平らまたはわずかにひだ状、幅5~10㎜、縁は薄膜質、下面の中肋は非常に目立ち、通常は上面に2本の側脈がある。鞘は基部では紫褐色。 花序は複合または再複合(decompound)、直径10~25(~40)cm。苞葉(総苞片)は3~9(~12)枚、広がり、大部分が花序を覆い、長さ60㎝まで。一次の花序枝(ray)は4~10本、不等長で長いものは長さ22㎝まで、平滑。二次の花序枝は最長3㎝m。小穂は3~9個、指状に配置され(少数は長い花序柄に単生)、円筒形、長さ2~6 ㎝×幅1~3㎝、多数の小穂が緩くつく。羽軸は狭い翼があり、無毛。小穂は穂状に配置され、最終的には羽軸に対して直角になり、わずかに扁平、線形、長さ5~10(~20)㎜×幅1~1.5㎜、8~20(~40)個の花がつく。小軸は真っすぐで、翼があり、節間の長さは約0.5㎜、翼は披針形、約・長さ1㎜x幅0.2~0.3㎜、帯黄色の透明、早落性。苞頴(鱗片)は膜質、楕円形、先が鋭形で短突起があり、竜骨があり、長さ1.8~2.2㎜×幅約1mm。 竜骨は帯緑色または帯褐色、3~5脈があり、側面は帯黄色~淡赤褐色で、脈は無い。雄しべは3本。花糸は長さ2mm以下。葯は線形で長さ約0.5㎜、短い葯隔の付属体がある。花柱は長さ1~1.2㎜。柱頭は3個、長さ1.3㎜まで。 堅果は3稜形、楕円形~長円状倒卵形、短突起があり、約・長さ1㎜×幅0.5㎜、黄褐色。花期および果期は8~10月、2月。

20-1 Cyperus digitatus subsp. auricomus (Sieber ex Spreng.) Kük.

 アフリカに広く分布。沼地や水辺の近くに生える。
 多年草、高さ1.6mにもなり、丈夫。茎は鋭い三角形~翼があり。穂状花序は円筒形。小穂は円柱形または角張る。苞頴は鋭形、金色~赤褐色。

20-2 Cyperus digitatus subsp. digitatus。

 中国(広西チワン族自治区、海南省、西蔵、雲南省)、台湾、香港、インド、ネパール、スリランカ、パキスタン、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島、オーストラリア、熱帯アメリカ、北アメリカ原産。中国名は长小穗莎草 chang xiao sui suo cao。川岸、溝、池に生える。
 小穂は比較的緩くつく。苞頴(鱗片)は帯黄色~淡赤褐色。
【Flora of Chinaの解説】
 多年草。根茎は木質で、非常に短い。 稈は房状(tufted)、高さ0.5~1.5m、丈夫、3稜形、平滑、基部に葉がある。葉は稈とほぼ同じ長さ。鞘は紫褐色、長く、葉身は幅4~15 mm、平らまたは折り畳まれ、ほぼ革質。苞葉は5~7枚、葉状で花序より長い。花序は複合または再複合のイグサ形花序(decompound anthela)。花序枝(ray)は6~10本、通常は長さ18cm以下、それぞれに 4~7本の小花序枝(raylet)がある。小花序枝は長さが等しくない。小花序枝の先端部の穂状花序は円筒形、長さ3~6㎝×幅0.4~2㎝、花序柄はなく、多数の小穂が緩くつく。小穂はほぼ2列生、線形~狭卵形、長さ3~12㎜×幅1~1.5㎜、わずかに扁平~扁平、開出~斜めに開出し、花が4~40個つく。小軸には翼があり、翼は披針形で、小堅果の成熟に伴って小軸から側部が離れ、0.9~1.2mm の間隔で連続する苞頴(鱗片)がある。 苞頴(鱗片)は両面ともわら色~赤褐色または黄金色、密に覆瓦状、卵形~楕円形、3~5脈があり、竜骨は帯緑色、先は微突形。雄しべは3本。葯は黄色、線形、長さ約0.5mm、葯隔は葯の頂点を越えて目立たない。花柱は長い。柱頭は3個、花柱より短い。小堅果は熟すと暗灰色、長円形、長さは基部につく苞頴の長さの1/2~3/5、3面があり、細点がある。花期は7~10月。果期は8~2月。2n= 84, 104, 108。
 亜種が認められれば、アジアの植物はsubsp. digitalatusに属することになる。subsp. auricomusはアフリカに発生する(Flora of China)。

20-3 Cyperus digitatus var. khasiana (C.B.Clarke) J.Kern

  synonym Cyperus hookeri Boeckeler
 インド、アッサム州、バングラデシュ、スリランカ原産。山地の湿った場所に生える。
 小穂は非常に密に配置され、硬く、やや幅が広い。最終的には明るい褐色になる。堅果は先がもう少し尖鋭形になる。苞頴(鱗片)は黄金色、光沢がある。花期および果期は11月。

21 Cyperus distans L.f. ホウキガヤツリ 箒蚊帳吊
  synonym Cyperus distans L.f. var. pseudonutans Kuk.
 日本(沖縄)、中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、台湾、西沙諸島、インド、ブータン、ネパール、カシミール、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島、熱帯アフリカ、オーストラリア、中央アメリカ、南北アメリカ、西インド諸島原産。中国名は疏穗莎草 shu sui suo cao。海抜1800m付近までの森林、湿地、草地、斜面、川縁、遊歩道沿いのやや乾いたまたは湿った場所に生える。
 多年草。 根茎は短く、吸枝がある(surculose)。稈の高さ35~110㎝、やや太く、扁平な3稜形、平滑、基部はわずかに膨らむ。葉は稈より短いか、または同長。鞘は褐色、長く、葉身は幅4~6㎜、平らまたはわずかに折り畳まれ、縁はザラつく。苞葉は4~6枚、葉状、基部の2~3枚は花序より長く、残りは花序より短い。花序は複合または再複合のイグサ形花序(decompound anthela)。花序枝(ray)は6~10本、長さ15㎝以下、それぞれ3~5本の小花序枝(raylet)を持つ。小花序枝は長さ7㎝まで、±細い。穂状花序は広卵形、8~18個の小穂がつく。小穂は緩く二列生(distichous)、線形、長さ0.8~4㎝×幅1㎜未満、ほぼ円柱形、斜上~開出し、花が6~32個つく。小軸は細く、屈曲し、翼は白色透明、早落性。苞頴(鱗片)は両面とも暗血赤色、緩く、楕円形、長さ約2㎜、膜質、3~5脈あり、竜骨は緑色、、先の縁は白色透明、先は円形。雄しべは3本。葯は線形、葯隔は葯を超えて目立つ。花柱は短い。柱頭は3個。小堅果は黒褐色、長円形、長さは下につく苞頴の長さの約2/3、3面があり、わずかに目立つ細点がある。花期および果期は7~8月。

22 Cyperus echinatus (L.) Alph.Wood ミクリガヤツリ 実栗蚊帳吊
  synonym Cyperus ovularis (Michx.) Torr.
  synonym Kyllinga ovularis Michx.
  synonym Scirpus echinatus L.
 北アメリカ原産。英名はteasel sedge。標高0~500mの荒れた場所、日当たりの良い場所、中湿性の場所、水はけの良い土壌に生える。日本各地に帰化している。
 多年草、単茎から緩く叢生する。稈は基部が球茎状、三稜形、高さ(15~)30~100㎝×幅0.5~3.5mm、無毛。 葉は平ら~V字形、長さ10~65㎝×幅3~9㎜、上面は縁には微細なザラつきがある。花序: 穂は密な球形~球状卵形、幅8~17㎜。花序枝は3~12本、長さ2~12㎝、上面がザラつき、特に上部がザラつく。花序軸(rachis)は長さ4~8 mm。苞葉は(3~)4~7枚、30(~45)°で斜上し、平ら、長さ5~35㎝×幅2~9㎜。小軸(rachilla)は宿存し、翼の幅は0.5~0.7㎜。小穂は50~100個つき、長円状披針形、±円柱状四角形、長さ(3.5~)4~7㎜×幅1~1.4㎜。上部の小穂が開出するか斜上する。苞頴(鱗片)は宿存し、3~5個、密着し、わら色~帯褐色、横方向に4本のうねがあり、長円形、長さ3.5~4.5㎜×幅1~1.8㎜、膜質、先は全縁、または凹形で長さ0.3㎜までの微突がある。花:葯は長さ0.4~0.8㎜。花柱は長さ0.5~0.6㎜。柱頭は長さ1mm。痩果は褐色、±柄があり、長円形、長さ(1.5~)1.8~2.3㎜×幅0.5~0.6(~0.7)㎜(苞頴の長さの1/2)、先は鈍形、表面には細点がある。果期は夏~初秋。

23 Cyperus engelmannii Steud. ホソミキンガヤツリ 細実金蚊帳吊

  synonym Cyperus odoratus L ムツオレガヤツリ(別名キンガヤツリ) [GRIN , FOC]

 北アメリカ原産。英名はEngelmann's umbrella sedge, false rusty nut sedge。水辺、湿地、水田の畦などに生える。Cyperus odoratusに含める見解では日本、朝鮮、中国、台湾、熱帯アジア、熱帯アフリカ、アメリカ、オーストラリア、太平洋諸島に分布する。中国名は断节莎 duan jie suo。
1年草。高さ50~70㎝。大型で、稜がなく、茎の断面が丸みのある三角形、叢生し、基部は赤色を帯び膨れる。葉は幅5~8㎜、花序より長くなるものもある。苞葉は葉状、3~8個つき、数個が花序より長くなる。花序枝は7~15個つき、複生し、小穂が軸にやや斜めに開出してつき、黄金色に色づく。小穂は長さ10~20㎜、幅約1㎜の線形、小花を8~10個もつ。小穂の小軸はややコルク質で翼状になり、果実を包み、果実が熟すと苞頴(鱗片)の基部で折れ曲がりやすくなり、完熟すると鱗片の基部にある関節がはずれてバラバラになって落ちる。鱗片は長さ3~3.5㎜、質が革質、7脈があり、中肋は2折し、背が丸く、先が少し尖る。鱗片は上下の間が離れて小穂につく。果実は長さ1.5~1.8(約1.8)㎜の狭倒卵形~長楕円形(3稜のある円筒形)。花柱は長さ0.2~0.4㎜。柱頭は3岐、長さ1.2~1.5㎜。花期は8~10月。

24 Cyperus eragrostis Lam. メリケンガヤツリ メリケン蚊帳吊
 北アメリカ、南アメリカ原産。ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリアなどに広く帰化している。中国名は密穗莎草 mi sui suo cao 。英名は tall umbrellaplant, drain flat sedge, pale galingale ,tall flat sedge 。別名はオオタマガヤツリ。川原、湿地、草地、道端などに生える。
 多年草。高さ (25)40~60(90)㎝。茎は太く、角の丸い3稜形で無毛、基部は赤色を帯びる。葉は平らかV字形、長くなると茎とほぼ同じ長さで、幅5~8(12) ㎜、縁はざらつく。苞葉は葉状で、4~7個つき、花序より長くなるものが多く、最下のものが最も長い。花序は小穂が多数集まり球形となる。花序枝は長さ1~10㎝で、7~10個つく。小穂は黄緑色~緑色でやや白色を帯びることもあり、長さ5~20㎜の長円形、小花は(12)20~30(50)個つく。小穂の下側から熟し、順次、落ちていく。苞頴(鱗片)は淡黄緑色、長さ約2㎜、中肋は緑色。果実は長さ1.2~1.4㎜の倒卵形、明瞭な3稜があり、柱頭は3岐、雄しべは1個。2n=42。花期は7~9月。

25 Cyperus esculentus L. ショクヨウガヤツリ 食用蚊帳吊

  synonym Cyperus esculentus L. var. sativus Boeck.
 温帯~熱帯に広く分布、アジアではインド、ネパール、パキスタン、インドネシア、ベトナム、イエメン、アフガニスタン、イラン、イラク、トルコなどが原産。英名はyellow nutsedge。別名はキハマスゲ、チョウセンラッカセイ。
 多年草、高さ40~80㎝。地中に根茎を伸ばし、先端に長さ5~10㎜の球形の塊根をつくる。種子でも増えるが、塊根でも増え、除去しにくい害草である。稲刈りの後に水田一面がショクヨウガヤツリで黄色くなっていることを目にするほどである。茎は単生し、基部は赤色を帯びる。葉は幅約5㎜、花序の高さ以下。花序は複生し、花序軸には刺がある。小穂は長さ5~20㎜、幅約1㎜の倒披針形~線状惰円形、黄褐色で、熟すと次第にわら色に変わる。苞頴(鱗片)は長さ約2㎜。果実は長さ1~1.5㎜の倒卵形。花柱は長さ0.5~1㎜、柱頭は長さ1~2㎜。雄しべ3個。花期は7~9月。

26 Cyperus exaltatus Retz. カンエンガヤツリ 灌園蚊帳吊 広義
 日本(本州)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、貴州省、海南省、湖北省、江蘇省、吉林省、山東省、浙江省)、台湾、インド、ネパール、スリランカ、カシミール、バングラデシュ、パキスタン、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、熱帯アフリカ、オーストラリア、西インド諸島。中国名は高秆莎草 gao gan suo cao。海抜1100m付近までの草地、池の縁、砂地、湿気の多い場所に生える。
 多年草。 根が多く、ひげ根。根茎は短い。稈は高さ1~1.5m、丈夫で、3角(かど)があり、平滑、根生葉がある。葉は稈とほぼ同じ長さ。鞘は紫褐色、長い。 葉身は幅6~10㎜、縁はザラつく。苞葉(総苞片)は3~6枚、基部の苞葉は花序より長い。花序は複合または再複合のイグサ形花序(decompound anthela)。花序枝(ray)は5~10本、長さ18㎝以下、長さは不等で、それぞれに数本の2次の花序枝(raylet)がある。2次の花序枝の先に1~3個の小穂があり、円筒形または狭い円筒形、長さ2~5㎝×幅2.5~10㎜、多数の小穂を持つ。小穂はほぼ二列生(subdistichous)、密にまたは緩くつき、狭い長円状卵形、長さ2~6㎜×幅1~1.5㎜、扁平、斜めに広がり、4~25の花がつく。小軸の翼は白色、線形で、狭く、透明。苞頴(鱗片)は暗灰褐色~黄褐色、わずかに密に覆瓦状、卵形、長さ1.5~1.6mm、わずかに光沢があり、3~5脈があり、竜骨は緑色、先は鈍形、微突形、外側に湾曲しない。雄しべは3本。葯は線形、長さ約1㎜、葯隔は先を明瞭に超える。花柱は細い。柱頭は3個。小堅果は倒卵形~楕円形、長さは下につく苞頴の長さの1/2未満、3面があり、平滑。花期および果期は6~11月。

26-1 Cyperus exaltatus var. exaltatus カンエンガヤツリ 灌園蚊帳吊

  synonym Cyperus exaltatus Retz. var. iwasakii (Makino) T.Koyama

 日本(本州)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、貴州省、海南省、湖北省、江蘇省、吉林省、山東省、浙江省)、台湾、インド、ネパール、スリランカ、カシミール、バングラデシュ、パキスタン、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、熱帯アフリカ、オーストラリア、西インド諸島。中国名は高秆莎草 gao gan suo cao。(海抜付近から、)海抜500~1100mの湿った場所や濡れた場所に生える。稈はマットの製造に使用される。南アメリカに導入されている。
 穂状花序は円筒形、長さ2~5cm×幅7~10mm。小穂はやや緩くつき、長さ4~6㎜×幅1~1.5㎜、6~16個の花をつける。花期および果期は6~8月。2n=96。

26-2 Cyperus exaltatus var. hainanensis L.K.Dai

 中国(海南)原産。中国名は海南高秆莎草 hai nan gao gan suo cao。草原、池の縁、砂質の土壌に生える。
 穂状花序はごく緩くつき、長さ3~4㎜×幅約1㎜、6~8個の花がつく。花期は8月。
26-3 Cyperus exaltatus var. megalanthus Kük.
 中国(安徽省、福建省、江蘇省、浙江省)原産。中国名は长穗高秆莎草 chang sui gao gan suo cao。海抜約100mの湿気の多い場所に生える。
 小穂は非常に密につき、長さ1.4㎝以下、12~25個の花がつく。花期および果期は9~11月。

26-4 Cyperus exaltatus var. tenuispicatus L.K.Dai

 中国(広東省)原産。中国名は广东高秆莎草 guang dong gao gan suo cao。
 花序は再複合のイグサ形花序(decompound anthela)。穂状花序は狭い円筒形で、長さ2~4㎝×幅2.5~4㎜。小穂は密につき、長円形、長さ2~3㎜、花が4~6 個ある。花期は9月。

27 Cyperus filiculmis Vahl アレチハマスゲ 荒地浜菅
  synonym Cyperus tenuiculmis auct. non Boeck.
  synonym Cyperus martindalei Brittton
 北アメリカ原産。英名はwiry flatsedge。標高0~200mの水はけのよい、開けた道端、野原、松林、砂丘に生える。
 多年草、叢生し、球茎をもち、根茎は節があり、ビーズ状(beaded)。 稈は三稜形、長さ15~48㎝×幅0.4~1㎜、無毛。 葉は平らで、長さ10~30cm×幅0.5~2mm。花序:穂状花序はかなり密な卵形、長さ1~3.5 cm。花序枝は無く(ときに1~4本)、長さ1~6㎝。花序軸は長さ1~4㎜。苞葉は3~4枚、水平からわずかに反り返り、平坦、長さ6~25㎝。小軸は±脱落性、翼はない。小穂は25~60個、扁平、長円状披針形、長さ5~12㎜×幅2.2~3.5㎜。苞頴(鱗片)は脱落性、5~15個、帯黄色~黄褐色、横方向に4~5本のうねがあり、長円形、長さ2.6~3.6㎜×幅1.4~2㎜、縁は緩く広がっているか、または痩果を抱く。花:葯は長さ0.8~1㎜。花柱は長さ約1㎜。柱頭は長さ1.5~2.5㎜。痩果は暗灰褐色、無柄、狭い長円形、長さ1.8~2.2㎜×幅0.5~0.8㎜、先は鈍形、短突起があり、表面には細点がある。果期は夏。

28 Cyperus flaccidus R.Br. ヒナガヤツリ 雛蚊帳吊
  synonym Cyperus hakonensis Franch. et Sav.
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、アジア、オーストラリア原産。英名はlax flat-sedge。田の畔、川の縁などに生える。
 1年草、高さ5~20㎝。全体に小型で、柔らかく、叢生する。花序は5~7個に分枝し、枝先に数個の小穂を掌状につける。苞葉は最下のものが長い。小穂は黄緑色、扁平、長さ3~10㎜の線状惰円形。苞頴(鱗片)の先端は芒状になり、反曲する。果実は鱗片の半長以下、鱗片に包まれ、長さ約0.5㎜の倒卵形、淡褐色、頭部は丸く、3稜があり、表面に微細な斑紋がある。果実は小穂の基部の方から熟し、離れていく。2n=36。花期は7~9月。

29 Cyperus flavidus Retz. アゼガヤツリ 畔蚊帳吊

  synonym Cyperus globosus All. var. nilagiricus (Hochst. ex Steud.) C.B. Clarke

  synonym Cyperus nilagiricus Hochst. ex Steud.
  synonym Cyperus globosus All. 

  synonym Cyperus globosus All. f. fuscoater (Meinsh.) Kuk.

 日本(本州、四国、九州、沖縄)、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、オーストラリア原産。中国名は球穗扁莎 qiu sui bian suo 。英名はyellow flat-sedge。田の畔、湿地に生える。
 1年草、高さ20~40㎝。茎は細くて硬く、多数叢生する。葉は茎より短く、幅1~1.5㎜。茎の先に散房状の花序をつけ、花序枝は6~7個。苞は4~6個つき、下部の苞は花序より長い。小穂は赤褐色で、花序にややまばらに付き、長さ10~25㎜、幅1.5~2.5㎜の扁平な線状披針形。小花は10~40個。苞頴(鱗片)は紫褐色、長さ約2㎜、幅1㎜の長楕円形、円頭、中肋は緑色。果実は淡黄褐色~淡赤褐色、長さ約8㎜の倒卵形、表面に光沢があり、細かい粒状突起がある。花柱は短く長さ0.2~0.3㎜。柱頭は2岐、長さ0.7~1㎜と長い。雄しべは3個。花期は8~10月。

30 Cyperus fuscus L. クロガヤツリ 黒蚊帳吊
 中国(安徽省、甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、江蘇省、遼寧省、内モンゴル、寧夏、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆ウイグル自治区、雲南省)、モンゴル、ロシア、インド、アフガニスタン、カシミール、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ラオス、タイ、ベトナム、南西アジア、北アフリカ、ヨーロッパ、大西洋諸島原産。北アメリカに帰化。中国名は褐穗莎草 he sui suo cao 。英名はbrown galingale。標高100~2000mの沼地、水辺、溝の縁、川縁、谷間の日陰の場所、遊歩道沿い、湿った場所、水田に生える。
 1年草。根はひげ根。稈は株立し、高さ6~30 cm、細長く、圧縮された三角状で、柔らかく、滑らかで、基部に葉はほとんどありません。 葉は稈よりも短く、ときにほぼ同長なる。葉身は幅2~4㎜、平らで、ときに折り畳まれ、縁はザラつかない。苞葉(総苞片)は2~3枚、葉状で花序より長い。花序は複合花序、またはときに単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝は3~5本、長さ3cm以下、各花序枝または2次の花序枝(小花序枝)の先には5~10個またはそれ以上の密に配置された小穂がある。小穂は非常に狭い卵形~線形、長さ3~10㎜×幅約1.5㎜、わずかに扁平、8~24個の花がつく。小軸は翼がない。苞頴(鱗片)は両面とも紫褐色、帯褐色、褐色、または淡帯黄色だが、中間の苞頴は黄緑色で、わずかに緩く覆瓦状になり、広卵形、長さ約1㎜、不明瞭な3脈があり、先は鈍形。雄しべは2本。葯は楕円形。葯隔は葯を越えて目立たない。花柱は短い。柱頭は3個。小堅果は楕円形、下につく苞頴の長さの2/3で、3面があり、基部は楔形でかろうじて柄があり、先は短突起がある。花期および果期は6~10月。2n=36。

31 Cyperus glomeratus L. ヌマガヤツリ 沼蚊帳吊
 日本(本州の関東以西)、朝鮮、中国、ロシア、カシミール、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は头状穗莎草 tou zhuang sui suo cao 。愛知県の準絶滅危惧種。
 1 年草。根はひげ根。茎は太く、丈夫、単生または少数束生し、高さ30~60(~90)㎝、不明瞭な3稜があり、平滑、下部は濃褐色(赤褐色)の葉鞘に包まれる。葉は少数、稈より短いか又はわずかに長い。葉身は線形、幅3~7(8)㎜である。総苞片は3~4枚で葉状、花序よりも長い。花序は複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は3~8個、長さ3~10(~12)㎝、長さが異なり、小型の個体では出ないこともある(Flora of Chinaではrayletsは欠くとしている)。小穂は密集して長卵形(類球形~楕円形~長円形)、長さ3~4㎝(Flora of CVhina 長さ1~3㎝×幅0.6~1.7㎝)、の花序枝の無い花序(花穂)をつくり、その花穂が花序枝の先端に3~5個つく。小穂は線形、長さ5~10㎜×幅1.5~2㎜、茶褐色、わずかに扁平、10~20(8~16)個の花からなり、小軸(rachilla)の翼は白色、狭く、透明。包頴(鱗片)は赤褐色、緩く、類長円形~長円状披針形、長さ約2㎜、わずかに開出し、脈は不明瞭、竜骨は無く、縁は内巻、先は鈍形。雄しべは3本、葯は短い長円形、葯隔は葯よりはっきり長い。花柱はわずかに長い。柱頭は3個、±短い。小堅果は暗灰色、狭長円形、基部につく包頴の長さの約1/2、3面があり、著しい網状の条線がある。花期と果期は(6)9~10月。(レッドデータブック愛知, Flora of China)

32 Cyperus haspan L. コアゼガヤツリ 広義
 熱帯~温帯アジアに広く分布。中国名は畦畔莎草 qi pan suo cao。

32-1 Cyperus haspan L. var. tuberiferus T.Koyama コアゼガヤツリ小畔蚊帳吊。

 日本(本州、四国、九州、沖縄)、熱帯~温帯アジアに広く分布。別名はオオミズハナビ 大水花火。
 多年草、高さ20~60㎝。全体に柔らかい。匍匐根茎があり、節から茎を単生して広がる。茎は基部が赤色を帯び、3稜が薄く、太さの割りに弱い。葉は幅2~4㎜、茎より短いのが普通。苞葉は2~3個つき、1個だけが花序より長くなる。花序は複生することが多く、花序枝は長さがまちまちで、5~20個つく。小穂は長さ5~12㎜、幅約2㎜の扁平な線状惰円形で、赤褐色を帯びる。苞頴(鱗片)は長さ約1.8㎜の狭長楕円形で、先が尖る。果実は3稜形、長さ0.7~0.8㎜、幅0.3~0.5㎜。花柱は0.2~0.3㎜、柱頭は長さ約1㎜。雄しべ3個。2n=26。花期は8~11月。日陰に生えると草丈が高く、花序枝が長く、日当たりがよいと花序枝が短い。花序枝も場所によってはほぼ水平につくものがあり、同種のものとは思えないほど外観が異なる。(写真のもの:①小穂の長さ4~13㎜、鱗片は長さ1.76㎜、果実は長さ0.56㎜、幅0.36㎜。花柱は0.23㎜、柱頭は長さ0.93㎜。雄しべ3個 ②穂の長さ8.5~10.5㎜、鱗片は長さ1.6㎜、痩果は長さ0.75㎜、幅0.36㎜。花柱は0.25㎜、柱頭は長さ0.8㎜。雄しべ3個)。

32-2 Cyperus haspan L. var. microhaspan Makino ツルナシコアゼガヤツリ

 根茎がほとんどなく、ひげ根のみであり、果実が小さく、雄しべが少ない。鱗片が長さ約1.1㎜の長楕円形、中肋が微突し、短い芒状になる。果実は長さ0.5~0.6㎜、花柱は0.3~0.5㎜。柱頭は長さ約0.5㎜。雄しべは1個。

33 Cyperus houghtonii Torr. ミヤギノガヤツリ 宮城野蚊帳吊
 北アメリカ原産。英名はHoughton’s flatsedge。標高0~1100mの川岸、砂州、湖岸、砂丘、森の砂地、特にjack pine(北アメリカ産の細長い中型の二針状葉の松)の間に生える。宮城野区の仙台港周辺で国内で初めて帰化が確認され、和名がつけられた。
 多年草、叢生し、球茎を持ち、根茎がある。稈は3稜形、長さ5~50㎝×幅0.5~1.5mm、無毛。 葉はV字形、長さ12~30㎝×幅1~6㎜。花序:穂状花序は±球形~広卵形、幅8~20㎜。花序枝は長さ1~8㎝。花序軸は長さ2~5mm、無毛。 苞葉は3~8枚、弱く斜上し、平坦、長さ3~20㎝×幅1~3.5㎜。小軸は脱落性、翼はない。小穂は3~18個つき、扁平、卵形~長円形、長さ4~15㎜×幅2.6~3.4㎜。苞頴(鱗片)は脱落性、3~18個つき、側部がわら色~赤褐色、側部に3~4本のうねがあり、広卵形、長さ1.8~2.5㎜×幅1.3~1.6mm、先の微突は長さ0.1~0.2㎜。花: 葯は長さ0.5~0.7㎜。花柱は長さ0.4~0.6㎜。柱頭は長さ1~1.5㎜。痩果は暗褐色、無柄、広楕円形、長さ1.5~2㎜×幅1~1.5mm、先は鈍形、微突起があり、表面は無毛または細点があるか、またはパピラがある。2n=168, 170, 172。果期は夏。

34 Cyperus imbricatus Retz. オオガヤツリ 大蚊帳吊

  synonym Cyperus imbricatus Retz. subsp. elongatus (Boeck.) T.Koyama オオコゴメガヤツリ

  synonym Cyperus imbricatus Retz. var. multiflorus Kuk.

  synonym Cyperus imbricatus Retz. var. densespicatus (Hayata) Ohwi

 日本全土、中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省)、台湾、インド、ネパール、アフガニスタン、バングラデシュ、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、南西アジア、熱帯アフリカ、熱帯アメリカ、西インド諸島、マダガスカル原産。中国名は迭穗莎草 die sui suo cao 。英名はshingle flatsedge。標高100~1400mの池の浅い水、日陰の湿った場所に生える。Kewscienceでは日本を原産地に含めていない。
 多年草。 根茎は短い。 根が多く、繊維質。 稈は高さ7~15㎝、丈夫で、鈍角の3角(かど)があり、平滑、基部は数個の葉鞘で覆われる。葉は根生し、稈より短い。鞘は赤褐色~暗褐色、長く、葉身は幅0.5~1.5㎝、基部で折り畳まれ、先は平ら。苞葉は3~5枚、葉状で花序より長い。花序は複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は6~10本、長さ16㎝まで、長さは等しくなく、それぞれ3~10本の小花序枝(raylets)を持つ。小花序枝は広がる。小穂3~6個は小花序枝の先に束生し、無柄またはほぼ無柄で、密に配置され、円筒形、長さ1.5~4㎝×幅0.6~1.4㎝で、多数の小穂をもつ。小穂は数列に並び、狭卵形~狭長円状卵形、長さ4~12㎜×幅1.5~2㎜、わずかに扁平、斜めに広がり、8~30個の花をつける。小軸は翼が白色で狭く、透明、宿存する。連続する苞頴は0.4~0.5㎜の間隔でつく。苞頴(鱗片)は褐黄色~わら色、密に覆瓦状、広卵形、長さ1~1.2㎜(微突を除く)、光沢があり、3~5脈があり、竜骨は帯緑色、真っ直ぐ~わずかに曲がる長さ0.3~0.5㎜の微突で終わる。雄しべは3本。葯は長円形、長さ0.2~0.5㎜、葯隔は葯の頂点を超えて突き出す。花柱は長い。柱頭は3個. 小堅果は倒卵形~ほぼ楕円形、長さは下につく苞頴の長さの約1/2、3面があり、平滑。花期および果期は9~10月。

34-1 Cyperus imbricatus Retz. subsp. elongatus (Boeck.) T.Koyama オオコゴメガヤツリ

  synonym Cyperus imbricatus Retz. var. multiflorus Kuk.
  synonym Cyperus imbricatus Retz. var. densespicatus (Hayata) Ohwi 
 Kewscience、Flora of Chinaでは亜種や変種を認めていない。

35 Cyperus iria L. コゴメガヤツリ 小米蚊帳吊
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、アジア、アフリカ、オーストラリア原産。世界に広く分布し、南北アメリカなどに帰化。中国名は碎米莎草 sui mi suo cao 。英名はricefield flatsedge, grasshopper's cyperus。畑、畦、道端、などやや湿った場所に生える。
 1年草、高さ20~60㎝。茎は3稜形、叢生し、直立する。葉は幅2~6㎜。葉状の苞葉は2~3個つき、その間から長さ約15㎝の花序を多数出す。小穂は長さ3~10㎜の線形、開出せず、軸に沿って斜上し、黄色がかって米粒のように見える。苞頴(鱗片)は膜質、緑色の中肋がわずかに突出する。果実は長さ約1㎜の3稜のある倒卵形。果実は褐色に熟すと、鱗片をつけて落ちる。2n=108,112,116,128。花期は7~10月。

36 Cyperus javanicus Houtt. オニクグ 鬼莎草
 日本(沖縄)、中国(広東省、海南省)、台湾、西沙諸島、インド、スリランカ、ミャンマー、カンボジア、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、太平洋諸島、マダガスカル、西インド諸島原産。中国名は羽状穗砖子苗 yu zhuang sui zhuan zi miao。海面近くの海岸の砂地、塩性湿地、水辺に生える。
 多年草。根茎は短く、太く、木質。稈は散在し、高さ30~105㎝、丈夫、鈍角の3角(かど)があり、パピラがあり、基部に葉があり、基部が膨らむ。葉は稈より長い。鞘は黒褐色、葉身は幅5~10㎜、革質、基部は折り畳まれ、先は徐々に平らになり、顕著な横脈があり、中脈および縁は小棘がある。苞葉(総苞片)は4~6枚、斜めに広がり、葉状で花序よりかなり長い。花序は複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は6~10本、斜めに広がり、主に長さ10㎝まで、パピラがあり、それぞれに3~7本の小花序枝(raylets)がある。穂状花序は円筒形、長さ1.5~3㎝×幅0.8~1.2㎝、多数の小穂がつく。小穂はわずかに密に配列し、広がる~下方に後屈し、狭い長円状卵形、長さ4.5~7㎜×幅1.8~2.5㎜、やや膨らみ(turgid)、4~6個の花がつく。小軸は翼が広い。苞頴(鱗片)は帯褐色~麦わら色で錆褐色の条線があり、わずかに密に覆瓦状、広卵形、長さ約3㎜、類革質、凹面、7~9脈あり、竜骨はなく、縁は白色透明、先は鋭形で微突形。雄しべは3本。 葯は広線形。花柱は長い。柱頭は3個。小堅果は黒褐色、広楕円形~倒卵形状楕円形、長さは下につく苞頴の長さの約1/2の長さ、3面があり、密な点状の突起を持つ。花期および果期は7~9月。

37 Cyperus kamtschaticus (Meinsh.) Yonek. タチヒメクグ 立姫莎草

  synonym Kyllinga kamtschatica Meinsh. 【ヒメクグ属】

  synonym Kyllinga brevifolia auct. non Rottb.  タチヒメクグ(マメクグ)
 日本(関東以北)、ロシアに分布する。
 短命な1年草、根茎は細く、ごく短く、節間もごく短い。高さ5~10(20)㎝以下。直立性(orthotropic)又は(ときに部分的に)シュートを広げる。茎(稈)は多数株立になり、ごく短いものもあり、高さ (3) 5~15 (20)㎝、平滑、基部に赤褐色の鞘をもつ。葉は茎より明らかに短く、まれに長く、幅1~1.5(2)㎜、平ら、ときに多少、沿って折りたたまれる。普通の花序は頭状、長さ4~7㎜、多数の小穂を密につける。苞葉は葉状、普通3個、最長の1個は直立し、花茎より長く、下部の2~3個の苞葉は長さ(1)2~5(8)㎝、星形、緑色。 小穂は長さ2.5~3.5㎜、小花は1個(ときに2つ目の雄花がある)。苞頴(鱗片)は果実の長さの2~3倍、淡色又は帯褐色、折り畳まれ、膨らまない、緑色の竜骨上に透明膜質、幅の狭い2等辺3角形状の小刺がある。雄しべは2個。葯は長さ約1㎜。果実は長さ1.1~1.2㎜、幅0.7~0.8㎜。花期は6~7月、果期は8~10月。

38 Cyperus leptocarpus (F.Muell.) Bauters ヒンジガヤツリ 品字蚊帳吊

  synonym Lipocarpha microcephala (R.Br.) Kunth [ヒンジガヤツリ属][Flora of China]

  synonym Cyperus zollingeriana (Boeck.) T.Koyama
  synonym Rikliella australiensis J.Raynal
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、遼寧省、山東省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は湖瓜草 hu gua cao。英名はsmallhead halfchaff sedge。標高400~2100mの水辺、湿った場所、沼地、水田、湿地に生える。
 ヒンジガヤツリ属に分類されることもあり、鱗片の内側の果実が2個の薄膜に包まれている。和名は花序が品の字形になることに由来する。
 1年草、高さ5~40㎝。根茎はない。稈は直径約1㎜未満、平らな円筒形、叢生して、直立し、縦の溝があり、微軟毛があり、基部は紫色を帯びる。葉は根生する。鞘は筒状、長さ1.5~2.5cm、膜質、無毛、基部の鞘は葉身がなく、先の鞘には葉身がある。葉身は線形、長さは稈の長さの1/4~1/2、幅は0.7~1.5㎜、紙質、両面無毛、中脈は廃れ、縁は内巻きして細くなる。苞葉(総苞片)は2~3枚、斜めに下がってつき、葉状で基部がわずかに広く、鞘は無く、長さ1~13㎝×幅1~2㎜。苞葉の長いものは、左右が上側に丸まり、葉と同じような糸状になる。穂状花序は(1~)2~4(~5)個が束生し、束生が3個だとし品の字形になる。穂状花序は卵形、長さ2~8㎜×幅2~4㎜、多数の鱗片(bractlets;小苞、またはfloral scales;花鱗片、またはspikelet bract:小穂苞ともいう)と小穂を持つ。 鱗片は倒菱形(obtrullate)、長さ約2(1~1.8)㎜、膜質、中肋は緑色、先が急に狭くなり、突き出し、長さ0.2~0.7㎜の微突になる。小穂は2個の苞頴=薄膜(glume)と1個の両性花を持ち、基部の苞頴(第2鱗片)は白色、楕円形、長さ約1(0.6~1.1)mm、透明、5脈があり、先は鈍形。上側の苞頴(第3鱗片)はときに無く、長円形、長さ約1(0.6~1)㎜、膜質、数本の脈があり、両性花をもち、先は鋭形。雄しべは1~2本、葯は線状長円形、長さ0.2~0.4㎜。花柱は細く、包まれる苞頴から突き出る。柱頭は2個、毛がある。小堅果は麦わら色、狭楕円形~倒卵形、長さ0.7~1㎜×幅0.15~2㎜、わずかに湾曲し、円柱形、密に細点があり、光沢があり、先は微突形。花期および果期は6月~10月。2n=46。
 柱頭の数がFlora of Chinaでは3個となっており、果実に3面があるとしている。Flora of North AmericaやNEW SOUTH WALES FLORA ONLINEでは柱頭の数は2個であり、果実は円柱形としている。花序は卵形の穂状花序(spikes)が(1~)2~4(~5)個つく。用語の違いは次の通り。苞葉は総苞片(involucral bracts)または苞(bracts)。鱗片は小苞(bractlet)または花鱗片(floral scales)の第1鱗片(1st scale)または小穂苞(spikelet bract)。花の薄膜は2個の苞頴(glumes)または第2鱗片(2d scale)および第3鱗片(3d scale)、または透明な鱗片(hyaline scales)。 【Flora of Chinaの解説】Lipocarpha microcephala
 一年草、根茎は無い。 稈は高さ5~40cm、太さ約0.7㎜、平ら、縦に溝があり、微軟毛がある。葉は根生葉。鞘は筒状、長さ1.5~2.5cm、膜質、無毛、基部の鞘は葉身がなく、先の鞘には葉身がある。葉身は線形、長さは稈の長さの1/4~1/2、幅は0.7~1.5㎜、紙質、両面無毛、中脈は廃れ、縁は内巻き。総苞片(involucral bracts)は2~3枚、葉状で基部がわずかに広く、鞘は無い。穂状花序(spikes)は2~3(~4)個が束生し、卵形、長さ3~5㎜×幅約3㎜、多数の小苞(bractlets)と小穂を持つ。小苞は倒披針形~へら形、長さ約2㎜、膜質、先が急に狭くなり、反曲した微突がある。小穂は2個の苞頴(glumes)と1個の両性花を持つ。基部の苞頴は白色、楕円形、長さ約1㎜、透明、5脈があり、先は鈍形。先の(上側の)苞頴は長円形、膜質、数本の脈があり、両性花があり、先は鋭形。雄しべは2個。葯は線状長円形、長さ約0.3㎜。花柱は細く、包まれる苞頴から突き出る。柱頭は3個、毛がある。小堅果は麦わら色、狭い長円形、長さ0.9~1㎜、わずかに湾曲しており、3面があり、密な細点があり、光沢があり、先は微突形。花期および果期は6~10月。2n=46。標高400~2100mの水辺、湿った場所、沼地に生える(Flora of China)。
【Flora of North Americaの解説】Lipocarpha microcephala
 稈は高さ7~35cm×幅0.5~0.8mm。葉は最も長いのが苞葉(総苞葉:involucral leaf)であり、反り返って広がり、長さ3~10cm×幅1.5~1.7mm。 花序は穂状花序が(1~)2~4(~5)個つき、卵形、長さ2~8㎜×幅2~4㎜。 苞(bracts)は2~3枚つき、長さ1~13㎝×幅1~2㎜。小穂は花鱗片(floral scales)が2~3個。 第1鱗片(1st scale)は倒菱形(obtrullate)、長さ1~1.8㎜×幅0.2~0.3㎜、先は尖鋭形、外側に湾曲し、長さ0.2~0.3㎜。第2鱗片(2d scale)は存在しない場合もあり、長円形、長さ0.6~1.1㎜×幅 0.2㎜。 第3鱗片(3d scale)はときに無く、長円形、長さ0.6~1㎜×幅0.2㎜。 雄しべは1~2本。葯は長さ0.25mm。柱頭は2個. 痩果は狭楕円形~倒卵形、円柱形、長さ0.7~1㎜×幅0.15~0.20㎜、長さは幅の3.5~5倍。果期は夏。標高50mの 松林の湿った荒れた場所に生える。アラバマ州、フロリダ州に帰化。アジア、オーストラリア原産。(FNA) 【NEW SOUTH WALES FLORA ONLINEの解説】Cyperus leptocarpus
 稈は平滑、高さ2~35cm、直径1mm未満。葉は稈より短く、幅1~2㎜。穂状花序は1~4個つき、卵形、長さ2~8㎜×直径2~4㎜。総苞片(involucral bracts)は2~3枚、広く広がり長さ12cm程度。 小穂苞(spikelet bract)は長円状倒卵形、側面に0~2本の脈があり、長さ1~1.7㎜、突出した微突が長さ0.5~0.7㎜、淡褐色でしばしば赤褐色を帯びる。透明な鱗片(hyaline scales)は長さ0.6~1㎜、ときに小さくなったり消失する。雄しべは1~2本。葯は長さ0.2~0.4㎜。花柱は通常2分岐。堅果はほぼ円柱形、非常に狭い楕円形、長さ0.7~1㎜×直径約0.2㎜、淡褐色。花期は春~夏。砂地の川岸などの開けた湿った場所に生える(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)。

39 Cyperus longus L. セイタカハマスゲ 背高浜菅
  synonym Cyperus fenzelianus Steud.
 インド、ネパール、パキスタン、アジア西部~中部、ヨーロッパ、アフリカ原産。英名はgalingale , sweet cyperus , sweet galingale。湿った牧草地、湿地、水田に生える。
 多年草、高さ80~100cm。 根茎は強く、匍匐茎は短い。茎は直径2~3 mm、鋭く三角で平滑。 葉は茎より短い。鞘は長さ20~30cm、褐色~赤褐色、最下の鞘は葉身がない。上部の鞘は帯黄色または赤味がかった色合いで、口縁は真っ直ぐ、葉身は約・長さ50㎝×幅7mm以下、平らまたは竜骨があり、灰緑色、縁と下面の中脈はザラつき、縁はわずかに外巻き、先は鋭形、3角形、ザラつく。花序は長さ約30cm以下、やや狭い花序(anthelodium;軸が花ではなく小穂で終わる散形花序状の総状花序)、一次花序枝(ray)は5~15本、長さ約20㎝以下。最も長い花序枝はしばしば長さ10㎝以下の二次の花序(anthelodia)をもち、薄膜質の褐色の筒状の前出葉;(prophyll)を持つ。最下の3~4枚の苞葉は葉状で、長さ50cm以上になる。3~15個の穂状花序がほぼ指状に束生し、直径10~20㎜、しっかり締まる。穂状花序は長さ5~15㎜×幅約1.5㎜、10~15個の花がつく。苞頴状の苞(glume-like bract)は長さ約1.5㎜。苞頴状の前出葉(glume-like prophyll)は長さ約1.5㎜、2脈がある。小軸は圧縮され、4稜形、わずかにジグザグで、翼は無い。苞頴(鱗片)は長さ約3mm、舟形(cymbiform)、鈍形、中脈は緑色、側面は褐色または赤褐色、縁は薄膜質。葯は長さ約1.5㎜。堅果は約・長さ1㎜×幅0.5㎜、倒卵形、3稜形、灰褐色、細かい網目がある。花期は6~10月。

40 Cyperus malaccensis Lam. オオシチトウ 広義
 日本、中国、台湾、インド、ネパール、スリランカ、パキスタン、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、南西アジア、オーストラリア北部原産。中国名は茳芏 jiang du。英名はshichito matgrass 。
 多年草。根茎は長く、木質、まれに、細い匍匐茎をもつ。稈は高さ0.5~1.5m、太さ4~6㎜、鋭い3稜形、平滑、基部は褐色、葉身の無い鞘をもち、上部の1~2個の鞘は葉身をもつ。葉身は欠くか又は長さ3㎝×幅4~8㎜、平ら。苞葉(Involucral bracts )は3~4枚、葉状、長さ20㎝以下、花序より長いか又は短い。花序は単純又は複合のイグサ状花序、花序枝は6~10本、ほとんどが長さ9㎝以下。穂状花序は広卵形、小穂を5~10個もつ。花序軸はぴんと張り、無毛。小穂は緩くつき、線形、長さ0.8~2.5(~3)㎝×幅約1.5㎜、わずかに膨れ、広がり、花が10~42個つく。小軸は翼が白色、狭く、透明。苞頴(鱗片)は赤褐色、縁は帯黄色~わら色、緩く、長円形~楕円形、長さ2~2.5㎜、紙質、不明瞭な7~9脈があり、熟すと縁が内巻、先は鈍形~円形。雄しべは3個。葯は線形、葯隔は葯を明瞭に越える。花柱は短い。柱頭は3個、細い。小堅果は熟すと黒褐色、狭長円形、長さ1.7~2㎜、ほとんど基部の苞頴と同長、3面があり、微細な細点がある。花期と果期は6~11月。

40-1 Cyperus malaccensis subsp. malaccensis オオシチトウ 大七島

 日本、中国、台湾、インド、ネパール、スリランカ、パキスタン、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、南西アジア、オーストラリア北部原産。中国名は茳芏 jiang du。英名はshichito matgrass 。
 最も先の葉は葉身が長い。基部の苞葉は花序より長く、開出する。苞頴はわずかに内側に曲がる。花期と果期は6~10月。

40-2 Cyperus malaccensis Lam. subsp. monophyllus (Vahl) T.Koyama シチトウイ 七島藺

  synonym Cyperus malaccensis Lam. subsp. brevifolius (Boeck.) T. Koyama

  synonym Cyperus malaccensis Lam. var. brevifolius Boeck.
  synonym Cyperus monophyllus Vahl
 日本、中国、台湾、ベトナム、インドネシア原産。中国名は短叶茳芏 duan ye jiang du。別名はリュウキュウイ(琉球藺)。
 葉は葉身が短いか又はごく短く、ときに、最下の鞘は葉身が無い。苞葉は花序より短い。苞頴(鱗片)は内側に曲がらない。花期と果期は6~11月。

41 Cyperus michelianus (L.) Link コシロガヤツリ 小白蚊帳吊
 日本、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、吉林省、遼寧省、山東省、新疆、西蔵、雲南省、浙江省)、ロシア、カザフスタン、インド、ネパール、カシミール、パキスタン、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン、パプアニューギニア、南西アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア原産。中国名は旋鳞莎草 xuan lin suo cao 。英名はMichel's Flat Sedge。海抜300m付近までの水辺や川辺の湿った場所、水田に生える。UJeno Takeda 1992
 1年草。根が多く、ひげ根。稈は密に株立し、高さ2~25cm、扁平な3稜形、平滑、葉は少なく、基部は膨らまない。葉は稈より短いかわずかに長い。鞘は紫赤色、短い。葉身は幅1~2.5 mm、平らまたは折り畳まれる。苞葉(総苞片)は3~6枚、葉状で、花序よりもはるかに長く、基部は広い。花序は頭状花序、ピラミッド状卵形~卵形またはほぼ球形で、直径0.5~1.5㎝、多数の小穂を持つ。小穂は短い花序枝(ray)の先端に密に集合し、卵形~狭い長円状卵形、長さ3~4㎜×幅約1.5㎜、花は10~20個またはそれ以上。苞頴(鱗片)は黄白色だが、ときに中間の黄褐色~赤褐色の条線があり、螺旋状に覆瓦状になり、長円状披針形、長さ約2㎜、わずかに透明、3~5脈があり、竜骨は緑色、先は長くなり、反り返った微突になる。雄しべは(1または)2本。葯は長円形。花柱は長い。柱頭は2(~3)個、通常は黄色のパピラがある。小堅果は狭い長円形、長さ約1㎜、3面があるかまたは平凸形、縁に白い透明な細胞を持つ。花期および果期は6~9月。

42 Cyperus microiria Steud. カヤツリグサ 蚊帳吊草
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、重慶市、福建省、甘粛省、広東省、広西省、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、陝西省、山東省、山西省、四川省、雲南省、浙江省)、インド、タイ、ベトナム原産。中国名は具芒碎米莎草 u mang sui mi suo cao。英名はAsian flatsedge。別名はキガヤツリ。海抜3800m付近までの森林、低木林、山の斜面の草地、川縁、溝縁、水辺、海岸、遊歩道沿い、水田などの湿った場所に生える。
1年草。根はひげ根。稈は叢生し、高さ20~60㎝、やや細く、鋭角の三稜形、平滑で、基部に数枚の葉がつく。葉は稈より短いか、稈と同長。鞘は紫褐色。葉身は幅約2.5㎜、平ら。苞葉(involucral bracts)は3~4枚またはそれ以上、葉状で、花序より長い。花序は複合または再複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は5~9本、ほとんどが長さ13㎝までで、長さは不均等。穂状花序は卵形、広卵形、またはほぼ円錐形、長さ2~4㎝×幅1~3㎝、多数の小穂を持つ。 小穂はやや緩くつき、線形~非常に狭い線状卵形、長さ0.6~1.5㎝×幅約1.5㎜、斜めに広がり~広がり、8~24個の花をつける。小軸は翼が白色で、狭く、真っすぐで、透明。連続する苞頴(鱗片)は1~1.5㎜の間隔で小軸の上につく。苞頴(鱗片)は黄色~黄褐色~わら色~淡色、緩く、広倒卵形、長さ約1.5㎜、膜質、3~5 脈があり、緑色、外面の竜骨は先を越えて伸び、微突になり、先は円形。雄しべは2(または3)本。葯は長円形、長さ0.2~0.4㎜。花柱は非常に短い。柱頭は3個、±短い。小堅果は暗褐色、長円状倒卵形、長さ1.2~1.5㎜、下につく苞頴の長さとほぼ同じ長さ、3面があり、密に目立つ微細な細点がある(puncticulate)。花期および果期は[7]8~10月。

43 Cyperus mindorensis (Steud.) Huygh. オオヒメクグ 大姫莎草

  synonym  Kyllinga nemoralis (J.R. et G.Forst.) Dandy ex Hutch. et Dalziel [Flora of China]【ヒメクグ属】

  synonym Kyllinga monocephala Rottb
  synonym Cyperus kyllingia Endl.
 中国(広東省、広西省、海南省、湖南省、雲南省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、ソロモン諸島、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島分布。熱帯アメリカに帰化。英名はwhite kyllinga , white water sedge 。中国名は单穗水蜈蚣 dan sui shui wu gong。別名はシロヒメクグ、ユキボウズ(雪坊主)、ユキノコボウズ(雪の小坊主)、シラタマカヤツリ(白玉蚊帳吊) , キリンガ・ネモラリス 。標高100~1400mの低木林や森林の下、牧草地、谷間の沼地、山の斜面、小道沿いの湿った場所、畑の縁、川の縁、溝の縁に生える。
 多年草、根茎は長く這う。稈は離れ又は疎に群生し、高さ10~40㎝、細く、つぶれた3稜形、基部は膨れない。葉は普通、稈より短い。葉鞘は褐色又は紫褐色の班があり、短く、最も基部のものは葉身が無い。葉身は幅2.5~4.5㎜、平ら、ふにゃふにゃし、縁は疎な歯状。苞葉(総苞片)は3~4個、葉状、花序より長い。穂状花序は1(~3)個つき、卵形~球形、長さ5~9㎜×幅5~7㎜、多数の小穂をもつ。小穂は類倒卵形~狭卵状長楕円形長さ2.5~3.5㎜×幅約1.5㎜、扁平、1小花。苞頴(鱗片)は淡色~わら色、さび褐色の斑紋があり、舟形、長さ2.5~3.5㎜、竜骨の翼は基部で狭く、中間~先では広く、竜骨の両サイドに3又は4脈があり、縁は小刺状、先はわずかに曲がり、微突形。雄しべは3個。花柱は長い。柱頭は2個。小堅果は褐色、長楕円形~倒卵状長楕円形、長さは基部につく鱗片の長さの約1/2、扁平な平凸形、密に細点があり、先は短い微突形。花期および果期は4~8月。2n=18。

44 Cyperus niigatensis Ohwi ニイガタガヤツリ 新潟蚊帳吊

  synonym Cyperus nipponicus Franch. et Sav. var. niigatensis (Ohwi) T.Koyama

  synonym Cyperus nipponicus Franch. et Sav. subsp. niigatensis (Ohwi) T.Koyama

 日本固有種(本州宮城県以西、四国)。溜池の縁などに生える。
 1年草。小型、叢生し、茎は高さ8~10cm、基部に少数の葉があり、四方に放射状に広がることが多い。葉は茎より短く、幅1~2mm、淡緑色で柔らかい。基部の鞘は白味を帯びた赤褐色。苞葉は2~4枚、葉状、花序より明瞭に長い。花序は頭状、淡緑色。小穂は狭卵形、長さ3~6mm、扁平、多数の花を2列につける。苞頴(鱗片)は2列につき、卵状円形、長さ約1.5~1.7㎜、薄膜質、先は鈍形、中肋は突出しない。痩果は長円形、長さ約0.8㎜、縁の2稜は膨れた狭い翼状。柱頭は2岐。 花期および果期は7~10月。

45 Cyperus nipponicus Franch. et Sav. アオガヤツリ 青蚊帳吊

  synonym Cyperus michelianus (L.) Link subsp. pygmaeus (Rottb.) Asch. et Graebn. var. nipponicus (Franch. et Sav.) Kuk.

 日本(本州、四国、九州)、沖縄、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は白鳞莎草 bai lin suo cao 。別名はオオタマガヤツリ
 1年草、高さ10~25㎝。茎は叢生し、放射状に広がる。葉は幅1~2.5㎜の線形。花茎の先に、茎より長い葉状の苞が3~4個つき、短くて細い苞が数個つく。花序は苞の上に接してつき、淡緑色、直径0.5~2.5㎝の球形であり、花序枝の先につくこともある。小穂は長さ3~8㎜、幅1.5~2㎜のやや扁平な披針形で、先が尖り、小花10~30個。苞頴(鱗片)は密に小穂につき、膜質、長さ1.7~2.2㎜、背側が丸く、中肋が緑色で、先が少し突き出し尖る。果実は長さ0.8~1.1㎜、幅0.5~0.6㎜の倒卵形~卵形、普通、腹面が平ら(わずかに凹む程度)で、背面が丸く、扁平な2稜形であり、3稜形になることもある。果実の稜には膜質の狭い翼がわずかにある。柱頭は普通、2分岐。雄しべは1個。果期は8~10月。

45-1 Cyperus nipponicus Franch. et Sav. var. spiralis Ohwi オオシロガヤツリ

  synonym Cyperus nipponicus Franch. et Sav. subsp. spiralis (Ohwi) T.Koyama

 小穂は密生し、長さ3~7㎜、筒状披針形、扁平とはならない。苞頴(鱗片)は卵形、長さ約1.7㎜、薄膜質、鋭頭。果実は3稜形、倒卵形、長さ約0.8㎜。柱頭は3分岐。

46 Cyperus nutans Vahl キペルス・ヌタンス
 日本(沖縄)、中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖南省、四川省、雲南省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア、アフリカ原産。中国名は垂穗莎草 chui sui suo cao 。標高100~1600mの疎林、山の斜面の草原、谷の水辺、湿った場所、川辺、畑に生える。
 多年草。根茎は短く、硬い。 稈は散在し、高さ75~110㎝、丈夫で、扁平な3稜形で、平滑、葉は基部につく。葉は稈より短い。 葉身は幅6~12mm、平らで縁にザラつく。苞葉は4~8枚、葉状、基部の3~4枚は通常花序より長く、幅1.2㎝まで、下面は2本の側脈上で先が鋸歯状になり、縁はザラつく。花序は複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は8~10本、長さ16㎝以下、それぞれに2次の花序枝が4~10本ある。穂状花序は長さ2~5㎝×幅4~7mmの円筒形で、小穂が緩く配列する。小穂は線形~狭い線状卵形、長さ5~11㎜×幅約1.5㎜、直立し、小花が6~10個。小軸は屈曲し、翼は白色で透明。苞頴(鱗片)は両面が帯黄色、錆び褐色の条線があり、緩く、楕円形、長さ約2㎜、開花後に広がり、膜質、7~9脈あり、竜骨は赤褐色、先は微突形。雄しべは3本。葯は線状長円形、葯隔は葯を超えて目立つ。花柱は非常に短い。柱頭は3個、細く、突き出す。小堅果は成熟すると暗褐色、長円形~倒卵状長円形、長さは下につく苞頴の長さの約2/3、3面があり、密でわずかに目立つ点々がある。花期および果期は5~10月。2n=56。

46-1 Cyperus nutans var. eleusinoides (Kunth) Haines

 日本(沖縄)、タイ、インド、マレーシア、熱帯アフリカ、オーストラリア原産。
 穂状花序はほぼ無柄で、長さ5㎝×幅1cm・以下。小穂の幅は1.5~2mm。苞頴は 長さ2.2㎜まで、より顕著な微突形、粉白を帯びた緑色になる。小堅果は倒卵形~広楕円形、長さ1~1.2㎜×幅0.5~0.7㎜、先の短突起に向けてやや急に狭くなる。

46-2 Cyperus nutans var. nutans

 中国、インド(タイプ)、スリランカ、タイ、インドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)、マレーシア原産。標高800m以下の沼地、湿った空き地、水田、湿った森林に生える。
 多年草、根茎は短い。稈は1本~少数、長さ70~120(~150)㎝×幅4~10㎜、上部は三角形(trigonous)~三稜形(triquetrous)、平滑。 葉:葉身は線形、長さ20~40㎝×幅6~15㎜、鋭形、平らなプリーツ状、下面は帯白色。鞘は長さ10~30㎝、帯緑色~赤褐色。苞葉(総苞片)は4~6枚、最長で50~75㎝。 花序は単純、まれに複合、緩く、長さ15~30㎝×幅8~20㎝。1次枝は6~12本、直立~開出し、長さは30㎝以下。2次枝は長さ0.3~3.5㎝。穂状花序は緩い円筒形で、長さ1.5~4㎝、軸は±隠れる。小穂は穂状花序に7~25個、ほぼ直立~開出し、線形~線状長円形、長さ6~15㎜×幅1~1.5 mm、扁平。小軸は弱くジグザグになり、翼がある。苞頴(鱗片)は最長の小穂に9個以上あり、長円形、長さ2~2.5㎜x幅1㎜、鈍形、微突形、ときに浅く凹形になり、側面は膜質、2~3脈があり、褐色~黄褐色、縁は広く帯白色透明、竜骨は帯緑色。雄しべは3本。葯は長さ0.5~1㎜。柱頭は3個。小堅果は円筒形~円筒状卵形、三稜形、長さ1.3~1.5㎜×幅0.5㎜、短突起(apiculate)があり、褐色~汚褐色、微細な細点(punctate)がある。

46-3 Cyperus nutans Vahl var. subprolixus (Kuk.) T.Koyama ヒメホウキガヤツリ 姫箒蚊帳吊

  synonym Cyperus eleusinoides Kunth var. subprolixus Kuk. 

  synonym Cyperus nutans Vahl subsp. subprolixus (Kuk.) T.Koyama

 日本(宮古島、石垣島、西表島)、中国、台湾、インド、インドネシア、レーシア、オーストラリア、アフリカ原産。草地、休耕田などに生える。
 大型の多年草、根茎は短く太くほぼ球形。花茎は高さ80~100㎝、表面は平滑、断面は鈍い3稜形、直径約5㎜。葉鞘は淡褐色、基部は暗褐色、繊維状に分解しないでそのまま残り、無毛。苞葉は葉状、花序より長いかまたは短い、縁はざらつく。葉は花茎より短く、幅約1㎝。散形花序は大きく、長さ15~30㎝×幅10~15㎝、枝は狭い角度で斜上し、小花序は10数個。痩果は長円形、長さ1.3~1.5㎜で苞頴の長さ2/3、成熟時は暗褐色、倒卵形、やや扁平、3稜形、嘴がやや長く、明瞭な網目がある。花柱は痩果と同長かまたは少し短く、柱頭は3岐する。

47 Cyperus odoratus L. キンガヤツリ 金蚊帳吊
  synonym Cyperus ferax Rich.

  synonym Cyperus ferruginescens Boeck. ヒメムツオレガヤツリ

  synonym Cyperus engelmannii Steud.
  synonym Torulinium odoratum (L.) S. S. Hooper
 日本(千葉県、沖縄)、朝鮮、台湾、イラン、イラク、アゼルバイジャン、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島、アフリカ、オーストラリア、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はcalingale , fragrant flat sedge , rusty flat sedge。標高0~1500mの突き出た海岸線、乱れた泥だらけの場所、新鮮な沼地またはわずかな汽水域に生える。
 1年草または短命の多年草。稈は3角(かど)があり、長さ(4~)10~50(~130)㎝×幅(0.5~)1~4㎜。 葉はフランジ付きのV字形または逆W字形、長さ5~30(~60)㎝×幅4~12㎜。 花序: 穂状花序は1~5(~12)個つき、緩く~密な円筒形、卵形、または±ピラミッド形、長さ10~20(~40)㎜×幅(8~)10~30(~35)㎜。花序枝(ray)は(0~2)6~9(~12)本、長さ2~8(~13)㎝。花序枝が無い場合は、花序は1個の密な頭状の塊になり、密に覆瓦状の穂状花序からなる。苞葉は(4~)5~8(~10)枚、水平から30–60°で斜上し、長さ(I3~)10~25(~55)㎝×幅1~14㎜。小軸は透明または厚い青銅色(bronze)~洋紅色(carmine)または帯黄色、翼は痩果を抱く。小穂は(10~)20~60(~100)個、線状長円形~狭い線形~円筒形~やや扁平(鱗片の先が広がるとき)、長さ(5~)8~15(~38)㎜×幅0.8~1.3(~1.9)㎜。苞頴(鱗片)は(4~)8~12(~30)個、内側は緑色、側面は帯赤色~わら色、光沢のある褐色またはベージュ色、内側は2~5うねがあり、側面は1~3うねがあり、卵形~楕円形、長さ(2~)2.2~2.8(~3.2)㎜×幅(1.2~)1.4~1.6(~1.8)㎜、先は全縁または凹形で長さ0.3㎜までの微突がある。花: 葯は長さ(0.2~)0.3~0.4(~0.7)㎜。花柱は長さ0.4~0.7(~1)㎜。柱頭は長さ(1~)1.5~3㎜。痩果は赤褐色、または黒色、柄があり、狭楕円形~長円形(まれに倒卵状長円形)、長さ(1~)1.2~1.5(~1.9)㎜×幅0.5~0.6(~0.75)㎜、柄は長さ0.1~0.2㎜、先は鋭形~ほとんど鈍形、表面には細かいパピラがある。果期は夏~初秋。

48 Cyperus ohwii Kuk. ツクシオオガヤツリ 筑紫大蚊帳吊
  synonym Cyperus elatus var. macronux Clarke
 日本、バングラデシュ、タイ、ベトナム、ジャワ島、オーストラリア(クイーンズランド州) 原産。日本では九州の福岡県、大分県、本州の千葉県、茨城県に分布する。(1909年の福岡市で発見された)。低地の湿地に生える。
 多年草、根茎は短く、太い。稈は高く(1~1.5m)、3稜形、しばしば先で凹面、先で太さ5~8㎜。葉は幅約15㎜、中肋と2面の脈が明瞭。花序は合成~複合成、長さ30㎝以下。苞葉=総苞片は約5個、葉状、最下の苞葉は花序をかなり越え、長さ68㎝以下、幅約1.5㎝、縁はざらつく。Cladoprophyll(部分的な花序の軸の基部につく、筒状の前出葉(prophyl))が明瞭、長さ5.8㎝以下、ほとんどが平滑な竜骨を持つ。1次の花序枝は約5本、不等長、最も長いものは長さ22㎝以下。2次の花序枝は細く、長さ5㎝以下。穂状花序は掌状、円筒形、長さ3~5.5㎝×幅8~11㎜。小穂は多数、穂状花序的につき、斜めに開出、長さ5~7㎜×幅0.8~1.2㎜、花が12~14個つく。小軸は翼があり、翼は披針形、長さ約0.7㎜、早落性。苞頴(鱗片)は覆瓦状、膜質、楕円形~卵形、約・長さ1.5㎜×幅1㎜、3本の脈の竜骨と側脈はない。雄しべは3個。葯は線形、長さ約0.4㎜、明瞭に細かい剛毛で覆われた葯隔の付属体がある。花柱は長さ0.8~1㎜。柱頭は3個。堅果は3稜形、腹側の表面がやや凹面、長円状楕円形、約長さ1.2㎜×幅0.5㎜、淡い灰色、表面に細かい網目がある。花期と果期は9~10月。
 C. ohwiiは C. elatusから次の相違により分離された。稈がより丈夫(先が太さ5~8㎜)、葉の幅が広い(幅約15㎜)、穂状花序が太さ8~11㎜、小穂が幅0.8~1.2㎜、Cladoprophyll はほとんど平滑な竜骨をもち、堅果はより大きい(約長さ1.2㎜×幅0.5㎜)。

49 Cyperus orthostachyus Franch. et Sav. ウシクグ 牛莎草

  synonym Cyperus truncatus Turcz. ex Ledeb.

  synonym Cyperus orthostachyus Franch. et Sav. var. robustus (Nakai) H.Hara

 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア、ベトナム原産。中国名は三轮草 san lun cao 。田の畔、湿った荒地 に生える。茎や葉をもむとレモンのような香りがする。
 1年草。高さ20~70㎝。茎は叢生する。葉は茎より長く、幅2~8㎜、カヤツリグサよりやや幅が広い。葉と同形の3~5個の苞の間から、5~7個の枝を出し、ブラシ形の花序をつける。花序の枝は不揃いで、長いものは20㎝にもなるのが特徴である。小穂は扁平、長さ4~25㎜×幅1.5~2㎜、褐紫色、小花は10~46個。苞頴(鱗片)は紫褐色で、中肋は緑色、鈍頭。果実は倒卵形で、断面は3稜形。花期は8~10月。

50 Cyperus oxylepis Nees ex Steud. オオタガヤツリ 大田蚊帳吊
 メキシコ、南アメリカ原産。北アメリカに帰化。英名はsharpscale flatsedge。標高0~100mの沼地の溝や荒れた場所に生え、しばしば塩性土壌に生える。
 多年草、叢生し、粗い(稈、葉、苞、花序枝に粘性がある)。稈は丸みのある3稜形、長さ10~50㎝×幅0.9~2.4mm。 葉:向軸面は凹面、頂端は平らから三角形になり、長さ10~46cm×幅1.5~4㎜、縁は巻き込みます。 花序:穂状の卵形、幅1~5.5㎝。花序枝は通常3~6本、長さ0.5~5㎝、無毛。 小さな植物には存在しないこともある。存在しない場合は小穂が密集して直径1~3.5㎝の頭花になる。2次の花序枝は0~3本、長さ1~3 cm。苞葉は3~5本、垂直~45°に斜上し、長さ2.5~25 cm ×幅1.2~4㎜、縁は内巻き。2次の苞葉は0~2枚、長さ5~20㎜。小軸は宿存し、翼がない。小穂は5~24個、緑黄色~金褐色、長円形~線状披針形、4稜形、強く扁平、長さ7~20(~30)㎜×幅2.5~4(~6)㎜。苞頴(鱗片)は10~20(~40)個、開出し、淡緑色~わら色、側部に2~3本の肋があり、卵形~披針形、長さ3.1~4㎜×幅1.5~2.4㎜、先は長さ0.2~0.8㎜の微突がある。花:葯は長さ0.6~0.8㎜。花柱は長さ0.8~1.6㎜。柱頭は長さ1~1.4㎜。痩果は淡褐色~暗褐色、まれにやや赤みを帯び、柄があり、楕円形、長さ2~2.4㎜×幅0.5~0.8㎜、基部は楔形、柄は帯白色、海綿状、長さ0.2~0.3㎜×幅0.2~0.4㎜、先は鋭形、宿存する花柱は嘴状になり、長さ0.5~1.2㎜、表面は無毛または細かいパピラがある。果期は夏。

51 Cyperus pacificus (Ohwi) Ohwi シロガヤツリ 白蚊帳吊

  synonym Cyperus michelianus (L.) Link var. pacificus Ohwi

  synonym Cyperus michelianus (L.) Link subsp. pacificus (Ohwi) T.Koyama

 日本(北海道、本州)、朝鮮原産。湿地、休耕田、池沼の縁などに生える。
 1年草、高さ5~20㎝。 全体に柔らかく、叢生する。葉は稈より短く、淡緑色、幅1~2㎜。葉鞘は白緑色、赤紫色を帯びる。苞葉は3~6個、葉状、長さ5~10㎝、花序より長い。花序は頭状、花序枝はない。小穂は狭卵形、長さ3~5㎜×幅約1.5㎜、白緑色、やや扁平。苞頴(鱗片)は2列につき、卵形、長さ約2㎜、鋭頭、薄膜質、3~5脈あり、ほとんど竜骨状にならない。果実は長楕円形、レンズ形、長さ約1㎜、鱗片の長さの1/2、2稜は鋭く、狭い翼状となる。花柱は長さ約1㎜。柱頭は普通、2岐、まれに、3岐。花期は8~11月。

52 Cyperus pannonicus Jacq. シオガヤツリ 潮蚊帳吊
 中国(甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、吉林省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省、山西省、新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、南西アジアヨーロッパ原産。中国名は花穗水莎草 hua sui shui suo cao。標高100~1300mの沼地、川の縁、溝の縁、塩性土壌に生える。
 多年草。 根が多く、ひげ根。根茎は短い。稈は密に束生し、高さ4~20cm、断面は扁平な3角形、平滑、基部に葉が1枚ある。葉鞘はわずかに長い。葉身はほとんどがわずか 長さ2.5㎝以下、幅約1㎜。苞葉は3枚、葉状、通常2枚は花序より長く、1枚は短い。 最も基部の苞葉は直立し、稈状、長く、基部は±幅広い。花序は頭花、1~8個の小穂がつく。小穂は卵状長円形~長円形、長さ0.5~1.5cm×幅2~5mm、やや膨らみ(turgid)、花が10~32個つく。小軸はほぼ4稜形で、わずかに幅が広い。苞頴(鱗片)は両面とも暗血色(dark blood-red)であるが、中央部は黄緑色、内面に赤褐色の条線があり、密に覆瓦で、円状卵形、長さ約3㎜、紙質、脈が数本あり、先は鈍形で、ときに非常に短い微突がある。雄しべは3本。葯は線形、葯隔は葯を超えて目立つ。花柱は長い。柱頭は2個. 小堅果は褐黄色、ほぼ球形、楕円形、または倒卵形、長さ約2 mm、平凸形、わずかに光沢があり、網目状の条線がある。花期および果期は8~9月。

53 Cyperus papyrus L. カミガヤツリ 紙蚊帳吊
 アフリカ原産。英名はEgyptian paperplant , papyrus。別名はパピルス。海抜0~30mの川岸、湿地に生える。
 多年草、根茎は丈夫。稈は丸味のある三角形、長さ300~500cm×幅15~45mm、無毛。葉は葉身がない。花序:穂状花序は緩い円筒形、長さ10~20㎜×6~10㎜。花序枝は40~100本、垂れ下がるかアーチ状で、細く、長さ10~30 cm。2次の花序枝は長さ8~20cm。苞葉は4~10枚、±直立し、V字形、長さ3~8㎝×幅4~15㎜。2次の苞葉は2~5枚、長さ(1.5~)4~16cm×幅0.5~2㎜。小軸は宿存し、横に分離し、基部がしっかりと付着したままで、翼の幅は0.3~0.4㎜。小穂は6~30個、わずかに扁平、線形、±4稜形、長さ6~10㎜×幅0.8~1㎜。苞頴(鱗片)は6~16個、5肋の側は帯赤色、中央は緑色、縁近くは白色~透明、卵状楕円形、長さ1.8~2.2㎜×幅1.2~1.5㎜、先は鋭形~鈍形。花: 葯は長さ0.8~1㎜ (葯隔は長さ0.2~ 0.5㎜の赤色の錐形の付属体として葯を超えて伸び、先には通常剛毛がある)。花柱は長さ0.2~0.4㎜。柱頭は長さ0.8~1.2㎜。痩果は淡褐色、無柄、長円形、長さ0.8~1㎜×幅0.4㎜、先端にはかろうじて短突起があり、表面には細点がある。果期は夏。

54 Cyperus pedunculatus (R.Br.) J.Kern コウシュンスゲ
  synonym Remirea maritima Aubl.
 日本(本州、九州、沖縄)、熱帯アジア、アフリカ、熱帯アメリカ、オーストラリア原産。日本では絶滅危惧ⅠA類に指定されている。
 根茎は長く、多数、分枝、砂に埋まる。稈は長さ12㎝×幅2㎜以下、平滑。葉鞘は先が切形。葉身は中肋が竜骨になり、線状披針形、長さ3~8㎝×幅2~6㎜、革質、縁は細かいざらつきがある。苞葉は1~6個、葉状。穂状花序は1~6個、密につき、卵形。小穂は卵形~楕円形、小軸は落葉性、基部に関節があり、節間は2個、長さ2~6㎜×幅1㎜、コルク質、翼は宿存し、痩果を抱く(包む)。苞は卵形、長さ2~2.5㎜、前出葉(prophyll)は卵状披針形、長さ1.5㎜。苞頴(鱗片)は2~3個、汚白色(off-white)~赤褐色、5~9脈があり、卵形、長さ3.3~3.6(~4)㎜×幅1.3~1.7㎜。雄しべの花糸は長さ2~3.2㎜。葯は線形長さ 0.9~1.2(~1.6)㎜。葯隔は先が帯赤色、長さ0.1~0.4㎜、無毛。花柱は長さ0.5~1㎜。柱頭は長さ2㎜、無毛。痩果は褐色、やや柄があり、長円形~楕円形、長さ1.8~2㎜×幅0.5~0.6㎜、先は鋭形、パピラがある。果期は初夏。

55 Cyperus pilosus Vahl オニガヤツリ 鬼蚊帳吊
 日本(本州の東海地方以西、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、東南アジア、オーストラリア、パプアニューギニア原産。中国名は毛轴莎草 mao zhou suo cao
 多年草。高さ30~100㎝。 長い匐枝がある。茎は鋭い3稜形、基部の鞘は黄褐色。葉は幅4~10㎜、茎より短く、根元につく。花序は複生する。苞は3~4個つき、花序より長い苞が2~3個ある。花序軸には剛毛(刺毛)が密生する(densely hispid)。小穂は長さ(5)7~15㎜×幅1.5~2㎜。鱗片は長さ約2㎜の広惰円形、わら色~赤褐色、縁が狭く膜質になり、中肋が緑色、先が短い芒端。果実は長さ約1.2㎜(実測は1~1.1㎜)、3綾形、褐色。柱頭は3分岐。2n=36,68。
 大型でよく似たカンエンガヤツリは花序より長い苞が3~5個あり、最下の苞が特に長い。果実が長さ約0.7㎜、白色。花期は7~10月。

56 Cyperus platystylis R.Br. ウキガヤツリ 浮き蚊帳吊
 中国(西蔵)、台湾、インド、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア原産。中国名は宽柱莎草 kuan zhu suo cao。500m以下の池、湖に生える。
 多年草。根は±太い。根茎は非常に短い。稈は1本または2~3本が束生し、高さ30~90㎝、丈夫、3稜形、先の角(かど)がザラつき、基部が残る。 葉は基部につく。葉は稈と同長。鞘は帯褐色、基部のものには葉身が無い。葉身は幅5~12㎜、±硬く、±平らなひだ状(plicate)、縁はザラつく。苞葉(involucral bracts)は5~12個、花序より長く、基部の少数は長さ60㎝以下、開花後に広がる~後屈する。花序は複合または再複合(decompound)の分イグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は多く、17本まで、長さ2~8cm、±細く、それぞれ4~16本の個の小花序枝(raylets)を持つ。小花序枝は長さ1~4㎝で、それぞれに3~7個の小穂がある。小穂は小花序枝の先に指状につき(digitately)、狭長円形、長さ5~8㎜×幅約2.5㎜、斜めまたは広がり、密に15~35個の花がつく。小軸は真っすぐで、翼が無い。苞頴(鱗片)は広卵形、長さ2~2.5㎜、厚い膜質、不明瞭な3脈があり、竜骨の外面は帯緑色、先は鋭形~鈍形で、微突形。雄しべは3本、短い。花柱は長く、平らで、縁に直軟毛があある。柱頭は3個、短い。小堅果は褐色がかった粉白色、楕円形~卵状楕円傾、三面が圧縮され、凹面になり、光沢があり、角(かど)は淡褐色で、著しく海綿状に厚くなる。

57 Cyperus polystachyos Rottb. イガガヤツリ 毬蚊帳吊
 日本(本州関東地方以西、四国、九州、沖縄)、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカ、オーストラリア原産。中国名は多枝扁莎 duo zhi bian suo 。英名はmanyspike flatsedge, bunchy flat sedge。
 多年草、高さ10~40㎝。茎は硬くやや根が横に這い、叢生する。葉は幅2~3㎜、長さは花茎の2/3長以下。茎は硬く、苞葉は4~6個。花序は赤褐色の小穂が密集して「栗のイガ」のように球形になる。やや長い花序枝があるものも多い。小穂は長さ1~2.5㎝、幅約1.5㎜の扁平な線状披針形で、先が尖り、小花が2列に15~40個並ぶ。鱗片は長さ約2㎜の倒卵形、光沢があり、黄褐色~赤褐色で、中肋が緑色、2折れする。果実はやや厚いレンズ形、長さ約1㎜の長倒卵形で、表面に細かい格子紋がある。熟すと褐色~黒褐色になる。柱頭は2岐。雄しべは2個。2n=106。花期は8~10月。

58 Cyperus procerus Rottb. ホクトガヤツリ
 中国(広東省、海南省)、台湾、インド、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、ラオス、カンボジア、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、アフリカ、オーストラリア、マダガスカル原産。中国名は拟毛轴莎草 ni mao zhou suo cao。標高100m以下の畑、水辺、湿った場所に生える。しばしば砂質土壌のも生える。オニガヤツリに似るが花序軸に小剛毛があるか無毛、小穂の幅が広い(幅約3㎜)。オニガヤツリは花序軸に剛毛が密にあり、小穂は幅1.5~2㎜。
 多年草。根茎は長い匍匐茎(stolons)を持つ。稈は高さ45~85㎝、丈夫で、扁平な3稜形(triquetrous)。 根生葉は稈と同長かわずかに長い。鞘は赤褐色、葉身は幅5~10㎜、±平ら。苞葉(総苞片)は3枚、葉状、基部の1または2本の苞葉は花序より長い。花序は単純または複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は3 ~7本、ほとんどが長さ15㎝まで、長さが不均等で、斜めに広がり、平滑。穂状花序は1~5個、広卵形、4~16個の小穂を持つ。花序軸は小剛毛があり(hispidulous)、または無毛。小穂は緩くつき、狭線状卵形~線状卵形、長さ10~25㎜×幅約3㎜、わずかに膨らみ(turgid)、斜めに広がる~広がり、花は14~36個。小軸は翼が白色、狭く、透明。苞頴(鱗片)は黄褐色で赤褐色の細点があるが、中央が帯緑色、わずかに密な覆瓦状、広卵形、長さ2.5~3 mm、膜質、7~9脈があり、竜骨があり、縁は白色の透明で波打ち、先は鈍形。 雄しべは3本。葯は線状長円形、長さ1.2~1.8㎜、葯隔は葯を超えてわずかに突出する。花柱は短い。柱頭は3個。小堅果は褐色、倒卵形、長さ1.3~1.5㎜×幅約1.5㎜、下につく苞頴の長さの約1/2、3面があり、本質的に平滑。花期および果期は6~10月。2n=18, 64。

59 Cyperus prolifer Lam. カラカサガヤツリ 唐笠蚊帳吊
  synonym Cyperus isocladus Kunth
 アフリカ原産。英名はdwarf papyrus , miniature papyrus。別名はヒメカミガヤツリ(姫紙蚊帳吊)。標高0~200mの池畔、湿地に生える。
 多年草、叢生し、根茎がある。稈は3稜形~円柱形、長さ20~100㎝×幅2~6㎜、柔らかく(乾燥すると平らになる)、無毛で、しばしば倒れて花序枝の基部から発根する。葉は葉身がなく鞘になる。花序は花序枝が100~250本、長さ5~16㎝。2次の花序枝は長さ0.5~5cm。苞葉は2~3枚、水平または後屈し、長さ4~12㎝×幅1.5~4㎜。小穂は1~30個、線状披針形~楕円形~狭卵形、扁平な4稜形、長さ6~17㎜×幅1~1.5㎜。苞頴(鱗片)は5~12個、赤褐色、1~3うねがあり、長さ1.2~1.7㎜×幅0.7~0.9㎜、先は微突形。花:雄しべは3本。葯は長さ1~1.2㎜。花柱は長さ0.3mm。柱頭は長さ1~1.3㎜。痩果は褐色、倒卵形、葯・長さ0.4㎜×幅0.2㎜、基部は柄状~ほぼ楔形、先は鈍形、表面は微細な網目がある。果期は夏(FNA)。

60 Cyperus pumilus L. シロヒナガヤツリ 白雛蚊帳吊
 中国(福建省、広東省、南東部 広西チワン族自治区、海南省、湖南省、江西省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、カシミール、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、アフリカ、オーストラリア、西インド諸島、マダガスカル原産。中国名は矮扁莎 ai bian suo。北アメリカや南アメリカに帰化している。標高100~500m以下の水辺、田畑の湿った場所に生える。
 1年草。根はひげ根。稈は房状になり(tufted)、高さ2~20[~35]㎝、やや細く、扁平な3角形、平滑で、基部に少数の葉がある。 葉は稈より短いかまたは長い。 葉身は幅 1~2㎜、折り畳まれるか、平ら。苞葉は3~5枚、葉状で、花序より長い。花序は単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は3~6本、ほとんどが長さ2㎝まで、ときに非常に短く頭状(capitulum)になり、それぞれ10~20 個またはそれ以上の小穂が密集してほぼ球形の穂状花序になる。小穂は長楕円形~線状長楕円形、長さ3~15㎜×幅1.5~2㎜、扁平、8~30(~40)個の花がつく。小軸は真っすぐで、翼が無い。苞頴(鱗片)は淡黄白色~黄白色、密に覆瓦状、卵形~卵形楕円形、長さ1.2~1.5㎜、3~5本の脈があり、竜骨の外面は緑色、側部は膜質で脈はなく、先は切形~凹形で長さ0.3~0.5㎜の微突がある。雄しべは1または2本。 葯は長円形、長さ約0.2㎜。花柱は長さ約0.5㎜。柱頭は2個、長さ約0.3㎜。小堅果は灰褐色、倒卵形~長円形、長さ約0.6㎜、基部につく苞頴の長さの1/3~2/5 で、両凸形で、密に目立つ細点があり、先は鈍形。花期および果期は8月~11月。

61 Cyperus pygmaeus Rottb. ヒメアオガヤツリ 姫青蚊帳吊
  synonym Cyperus extremiorientalis Ohwi

  synonym Cyperus michelianus (L.) Link subsp. pygmaeus (Rottb.) Asch. et Graebn.

 日本(本州の関東地方以南、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、河南省、湖北省、浙江省)、台湾、インド、スリランカ、カシミール、ミャンマー、パキスタン、アフガニスタン、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、南西アジア、アフリカ、ヨーロッパ南部、オーストラリア、西インド諸島、マダガスカルに分布。中国名は矮莎草 ai suo cao。標高約100mの池の縁、水の縁、砂の濡れた場所に生える。
 1年草。根はひげ根。稈は房状になり(tufted)、高さ12~18㎝、つぶれた3稜形、3面がわずかに凹状になり、基部にはほとんど葉がない。葉は稈より短い。 鞘は赤褐色、短く、葉身は幅2~2.5㎜、下面の先の縁と中脈には小棘がある(spinulose)。苞葉(総苞片)は4~7枚、葉状で、花序より長く、±水平からときに下向きに後屈する。花序は頭花で、多数の小穂がつく。小穂は密に集合し、狭い長円状卵形~ほぼ長円形、長さ4~5㎜×幅約1.5㎜、花が10~15個つく。苞頴(鱗片)は黄白色であるが、中央は錆褐色で、短い条線があり、2列生(distichous)、長円状披針形、長さ約2mm、3脈があり、中脈は緑色で、先にわずかな竜骨があり、先は鋭形、外側に曲がった微突形。雄しべは通常1本。葯は短く、線形、葯隔は葯を超えてわずかに突出す。花柱は短い。柱頭は2(または 3)個、花柱より長い。小堅果は長円形、長さ1~1.2㎜、基部につく苞頴の長さの2/3~3/4で、1面が平らで1面が凸面のレンズ形、微細なパピラがある。花期および果期は10~11月。2n=76。

62 Cyperus radians Nees et Meyen ex Kunth シンチククグ
  synonym Cyperus shimadae Ohwi
 中国(福建省、広東省、海南省、山東省、浙江省)、台湾、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア原産中国名は辐射穗砖子苗 fu she sui zhuan zi miao。海面付近から海抜100m未満の海岸の砂浜、海岸沿いの荒地に生える。
 多年草。 根茎は非常に短い。稈は房状(束生)、高さ1.5~5[-8]cm、3角(かど)があり、平滑。 葉は稈より長い。鞘は紫褐色、非常に短い。葉身は幅2~8㎜、硬く、通常は折り畳まれる。苞葉は3~7枚、葉状で、花序と同長かそれより短い。花序は単純または複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は3~8本、ほとんどが長さ15~18㎝、ときに小花序枝(raylets)をもち、小花序枝は通常1㎝未満またはほとんどが長さ2~3㎝。花序枝または小花序枝の先に密に8~30個の小穂からなる頭花(capitulum)がつき、頭花は球形、直径0.8~2.5㎝。小穂は卵形、狭卵形、または狭長円形、長さ5~12㎜×幅2~5mm、花数は4~20個。小軸には翼が無い。苞頴(鱗片)は淡い紫がかった条線または両面に赤紫、密に斑点状、広卵形、3.5~4㎜、紙状、11~13脈があり、竜骨の背軸は緑色、頂部は反り返ったムクロ形。 雄しべ 3; 葯は広直線状。 スタイルはロング。 柱頭 3. 小堅果は黒褐色、広楕円形、長さは下につく苞頴の長さの約1/2で、3稜形、3面がわずかに凹形になり、密な細点(punctate processes)がある。花期および果期は7~10月。

63 Cyperus retrorsus Chapm. ヒメミクリガヤツリ 姫実栗蚊帳吊
 北アメリカ(USA,メキシコ)原産。英名はpinebarren flat sedge。標高0~1000mの湿った土壌から乾燥した砂質土壌の開けた森や茂みに生える。
 多年草、叢生し、短い根茎がある。稈は三角(かど)があり、長さ20~50(~85)cm×幅1~2(~4)㎜、無毛。 葉は3~6(~10)枚、長さ10~40(~55)cm×幅1.5~4(~5)㎜、V字型から逆W字型。花序は穂状花序が1個、密集した長円状卵形で、多くの場合基部に小さな枝があり、長さ8~16㎜×幅4~12(~16)㎜。花序枝(rays)は4~8(~11)本、長さ0.5~3.5(~8.5) cm。苞葉は(3~)4~6(~10)枚、(30~)45°で斜上し、平坦から広いV字形、長さ(4~)14~30(~55)cm×幅1~5㎜、縁が細かくザラつくだけ。小軸は脱落性、翼は宿存し、幅0.2~0.3㎜。小穂は40~120個、長円状披針形、ほぼ円柱形、長さ2.2~4(~4.5)㎜×幅0.8~1.6㎜。上部の小穂は開出または斜上する。苞頴(花の鱗片)は宿存性、2~5個、密着し、褐色~わら色、または暗灰色(fuscous)で光沢があり、内側(medially)は帯緑色、1(~3)のうねがあり、側部は帯緑色~黄白色で3~4本のうねがあり、長円形~長円状披針形、長さ1.8~2.5㎜×幅1~1.5㎜、類革質。 花:葯は長さ0.3~0.5mm。花柱は長さ0.5~0.8㎜。柱頭は長さ0.6~0.9㎜。痩果は褐色、長円状楕円形、長さ1.2~1.7㎜×幅0.5~0.6㎜、基部は楔形、先はほぼ鋭形、表面にはパピラがある。果期は夏(6~8月)。

64 Cyperus rotundus L. ハマスゲ 浜菅
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、アジア、アフリカ、ヨーロッパ原産。中国名は香附子 xiang fu zi 。英名は nut grass, nutsedge, coco-grass, ground-almond 。海岸に多く、街路でもよく見かけられる。世界に広く分布し、オーストラリア、南北アメリカなどに帰化している。
 多年草、高さ15~40㎝。地中に匐枝を伸ばし、先端にアーモンド形の塊根をつくる。大きな群落になることも多い。茎は細くて硬く、基部は褐色の繊維に覆われる。葉は幅2~5㎜、やや厚く、光沢があり、花茎より短い。苞葉は花序とほぼ同長。茎頂に1~5本の花序枝を出し、複生するものもある。枝先に小穂を3~8個、穂状につける。小穂は長さ1~4㎝、赤褐色、線形、小花は10~40個。鱗片は長さ3~3.5㎜、赤褐色、鈍頭、中肋が緑色。果実は長さ1~1.5㎜の惰円形。花柱は長さ1~1.5㎜、柱頭は3分岐して長さ約2.5㎜。雄しべ3個。2n=80, 84, 96, 100, 104, 108, 110, 112, 116, 124, 132, 138, 160, ca. 200。花期は7~10月。
64-1 Cyperus rotundus L. var. yoshinagae (Ohwi) Ohwi トサノハマスゲ
 小穂が短く、長さ10㎜以下、ハマスゲの1/2以下で4~9㎜程度。

65 Cyperus sanguinolentus Vahl  カワラスガナ 河原菅菜
  synonym Cyperus sanguinolentus Vahl var. nipponicus Ohwi 
  synonym Pycreus korshinskyi (Meinsh.) V.I.Krecz.

  synonym Cyperus sanguinolentus Vahl f. nipponicus (Ohwi) T.Koyama

 日本全土、朝鮮、中国、ロシア、アジア、アフリカ、オーストラリア原産。アジア、アフリカ、オーストラリアに広く分布し、アメリカ、ハワイなどに帰化している。中国名は红鳞扁莎 hong lin bian suo 。英名は purple-glume flat sedge 。田の畔、川原などに生える。
 1年草。高さ20~40㎝。茎は明瞭な三角形、叢生する。葉は茎より短く、幅2~3㎜、線形。茎の先に葉より長い苞が2~3個つき、その間に淡緑色~赤褐色を帯びた頭状に小穂が集まった花序がつく。花序枝を伸ばし、枝先に花序をつけることもある。花序枝は断面が円形で、基部が膨れる。小穂は長さ1~2㎝の長楕円形~披針形、扁平、小花は15~30個つく。鱗片は長さが2~2.5㎜、色は変化が多く、中肋は緑色で、やや先がとがる。痩果は長さ約1.3㎜の倒卵形、表面がしわ状に凸凹し、熟すと黒褐色となる。花柱は長さ約1㎜。柱頭は2分岐、長さ約1.5㎜。雄しべは3個。2n=48,50。果期は8~9月。

65-1 Cyperus sanguinolentus Vahl f. spectabilis (Makino) Ohwi シデガヤツリ

  synonym Cyperus sanguinolentus Vahl var. spectabilis Makino

 小穂が卵状楕円形で長さ約3㎝×幅4㎜以上。

66 Cyperus serotinus Rottb. ミズガヤツリ 水蚊帳吊
 日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド、パキスタン、ロシア、ベトナム、西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は水莎草 shui suo cao 。英名はTidalmarsh flatsedge 。別名はオオガヤツリ。 湿地、水田、休耕田 などに生える。
多年草。高さ50~80㎝。根茎を広げ、大きな群落を作る。匐枝を夏の終り頃伸ばし、先端に塊茎をつける。葉は長さ50~60㎝×幅5~8㎜、苞は葉状で2~3個が葉より長く、幅も広い。花序は複生し、7~8本程度の枝を伸ばす。花序軸には剛毛(刺毛)がある。小穂は長さ10~15㎜、幅2~2.5㎜の長楕円形~線状長楕円形、淡褐色~赤褐色、白い糸状の柱頭が鱗片の外に長く出る。多数出たときには、白い毛が生えたように見える。小花は約20個が2列にならんでつく。鱗片は卵形、中肋は緑色で鈍頭。痩果は長さ約1.5㎜、幅約0.8㎜の卵円形、断面はレンズ形、表面はやや光沢があり、熟すと赤褐色になり、鱗片とともに落ちる。雄しべ3個。花柱は長さ1~1.5㎜。柱頭は長さ約1.5㎜で2岐。花期は8~10月。

67 Cyperus sesquiflorus (Torr.) Mattf. & Kük.
  synonym Kyllinga sesquiflora Torr. [ヒメクグ属]
 アジア南部、オーストラリア、アフリカ、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ原産。  多年草、芝生植物で、短い根茎を持つ。 苞葉(総苞片)は螺旋状(spiralate)に3枚つき、葉状、鋸歯があり、反曲し、ザラつく。花茎は3稜形、平滑。葉は苞葉より長く、互生し、2列生。発達した葉身は帯緑色、部分的にザラつく。花序は頂生の合成花序、密な小穂がつき、頭状花序1~4個つき、反り返る。先の枝の部分的花序は楕円状(oval)~楕円形~球形、密で無柄。覆瓦状の小穂は1/2が稔性の苞頴(鱗片)(glume)、上部は雄性、密に覆瓦状、倒卵形、わら色(straminea)、先は鋭形、竜骨状のうねは1本、平滑、側脈は2本。花: 心皮および柱頭は3個、花被(perigonial)は剛毛がない。果実は痩果、3稜形、倒卵形~楕円形、黒色~わら色~褐色、表面にパピラがあり、先は短く鋭く尖った先端があり(apiculate)、基部は鈍形または鈍形でなく、柄がある。(Flora do Brasil 2020)

67-1 Cyperus sesquiflorus subsp. appendiculatus (K.Schum.) Lye.

  synonym Kyllinga cylindrica var. appendiculata (K.Schum.) C.B.Clarke

  synonym Kyllinga appendiculata K.Schum.
 アフリカ原産。高山草原に生える。
 葉は長く、しばしば茎と同長。根茎は短く、鱗片がある。頭状花序はピラミッド形で、中央に細長い穂状花序がある。

67-2 Cyperus sesquiflorus (Torr.) Mattf. et Kuk. subsp. cylindricus (Nees) T.Koyama タイトウクグ

  synonym Kyllinga sesquiflora Torr. subsp. cylindrica (Nees) T.Koyama [ヒメクグ属]

  synonym Cyperus kernianus Ohwi et T.Koyama

  synonym Cyperus sesquiflorus (Torr.) Mattf. et Kuk. var. cylindricus(Nees) Kuk.

  synonym Cyperus sesquiflorus (Torr.) Mattf. et Kuk. var. subtriceps(Nees) T.Koyama

  synonym Kyllinga cylindrica Nees [Flora of China]
 日本(沖縄)、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、アフリカ、マダガスカルに分布。中国名は圆筒穗水蜈蚣 yuan tong sui shui wu gong 。
 多年草。根茎は短い。稈は束生し、高さ8~32㎝、わずかに細く、3角(かど)があり、平滑、基部に少数の葉がつく。葉は稈より短く、鞘は短い。葉身は幅2.5~4㎜、平ら、縁は細鋸歯。苞葉は3(又は4)個つき、ほぼ水平、ときに反曲する。穂状花序は(1~)3個集まってつき、多数の小穂が密につく。中央の穂状花序は長楕円状円柱形~卵形、長さ6~14㎜×幅4~6㎜。側穂状花序は長楕円形長さ約6㎜。小穂は卵状楕円形~卵形、長さ約2.2㎜、わずかに膨れ、1~2の小花をもつ。鱗片は緑黄色~黄白色、広卵形、長さ約2㎜、凹面形、脈は数本、竜骨には小刺が無く、先は微突形。雄しべは2個。葯は広線形。花柱は中間の長さ。柱頭は2個。小堅果は初め黄色、熟すと暗褐色になり、楕円形~倒卵状楕円形、扁平な両凸形、細点のときがある。花期および果期は5~7月。
67-3 Cyperus sesquiflorus subsp. sesquiflorus
  synonym Kyllinga filicula C.B.Clarke
  synonym Kyllinga odorata var. genuina Osten
 アジア南部、オーストラリア、アフリカ、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ原産。
 無毛。 根はひげ根。茎は長さ30㎝、糸状で、基部は太くならない。葉は糸状で、茎と同長、直径約4㎜。頭状花序は1個、白色、小穂が約12個つく。花序の下の苞葉は茎が続いているように見え、長さ7.5㎝、糸状。上部の苞葉は長さ1.8㎝、垂れ下がり、糸状。小穂はそれぞれ1個の堅果をもつ。堅果を包む苞頴(鱗片)は卵形で、ほとんど鋭形ではなく、強い脈があり、翼のない竜骨はザラつかない。堅果は扁平、丸い、楕円形。

68 Cyperus sphacelatus Rottb. ゴマフガヤツリ 胡麻斑蚊帳吊
 アフリカ、南アメリカ原産。英名はroadside flat sedge 。標高450~1300mの湖の縁、湿地、岩の上の浅い土壌または標高750~1200mの開けた草地、荒れた場所、浅い土の岩の上、道端、やや湿地などに生える。アジア、北アメリカ、オーストラリアなどに帰化。
 1年草、高さ61㎝まで、細くから中型で、茎の基部がわずかに膨らみ、細い根が多数ある。稈は長さ27~50㎝×幅1.1~1.8㎜、断面が三角形、平滑。 葉鞘は緑色~赤褐色、長さ2.5~5㎝。 葉は長さ29㎝以下、葉身は線形、平坦またはW形、長さ10~24㎝×幅1.6~3.1㎜、縁と主脈がザラつき、先は鋭形~尖鋭形。苞葉(総苞片)は葉状で広がり、3~4枚つき、最下部の苞葉は長さ7~20㎝×幅2.5~3.3㎜。花序は単純で、一次枝は3~5本、長さ2.5~12.5㎝。小穂は長い軸上にゆるやかに束生し、無柄、一次(ときに二次)枝の端にあり、小花序(cluster)あたり7~12(~20)個の小穂がつき、線形、長さ11~23㎜×幅1.6~2.1㎜、軸はわずかにジグザグになる。苞頴(鱗片)は薄褐色で、縁に暗赤褐色の斑点があり、卵形、長さ2.2~2.9㎜×幅1.3~1.9㎜、竜骨はわずかに緑色、突出し、先は鋭形~尖頴形。雄しべは3本。花糸は長さ2~2.9㎜。小堅果は褐色、倒卵形、3稜形、長さ1.1~1.4㎜×幅0.5~0.8㎜、平滑。

69 Cyperus stoloniferus Retz. スナハマスゲ 砂浜菅
 日本(沖縄)、中国(福建省、広東省、海南省)、台湾、西沙諸島、インド、パキスタン、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島、オーストラリア、西インド諸島、マダガスカル原産。中国名は粗根茎莎草 cu gen jing suo cao。海面に近い海抜の沼地、開けた草原、海岸沿いの湿った場所に生える。
 多年草。 根茎は長く、±太く、±硬く、シュートの基部は楕円形~卵形の塊茎になる。稈は単独で、高さ8~22㎝、3角(かど)があり、平滑、基部の鞘は通常繊維状に崩壊する。葉は通常稈より短く、まれに長くなる。葉身は中程度の緑色、幅2~4㎜、通常は折りたたまれるが、まれに平らになる。苞葉は2~3枚、±直立し、葉状、基部の2枚は花序より長い。花序は単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は3~4本、長さ0.5~3㎝、それぞれに3~8個の密集した小穂がある。小穂は狭い長円状卵形~狭い卵形、長さ6~12㎜×幅2~3㎜、やや肥厚し、花数は10~18個。小軸には狭い翼がある。苞頴は両面が帯黄色~褐黄色、茶色がかった血赤色と中間の緑色の斑入りになり、密に覆瓦状で、広卵形、長さ約3㎜、紙質、5~7脈あり、竜骨は鈍形、縁は広く白色透明、先は鋭形~ほぼ鈍形。雄しべは3本。葯は線形、長さ約1.5㎜、葯隔は先が長さ0.1~0.2㎜。花柱は中間の長さ。柱頭は3個。小堅果は成熟すると暗褐色、楕円形~ほぼ倒卵形、長さは下につく苞頴の長さの約2/3、3面がある。花期および果期は7月。

70 Cyperus strigosus L. コガネガヤツリ 黄金蚊帳吊
 北アメリカ、キューバ原産。英名はfalse nut sedge 。標高0~1500mの池の岸、溝、湿った荒れた土壌に生える。ときに庭や農地の雑草となる。
 多年草(多くの場合開花は1年目)、根茎。 稈は基部が膨らみ、球茎状、三角、長さ(1~)20~40(~90)㎝×幅1~6mm、頂端下に無毛または少数の棘がある。 葉は平らで、長さ(10~)20~40㎝ ×幅1~4(~8)㎜、縁と中肋は無毛または微細にザラつく。花序: 穂状花序1~4個、緩い卵形~長円状円筒形。 長さ(6~)10~28(~50)㎜×幅10~40㎜。花序枝(ray)はときに無いが、通常は(1~)3~6(~8)本、長さ0.5~7(~25)㎝。 存在しない場合は、花序が混雑した頭状花序になり、2次の花序枝がときにあり、長さ1~4(~9)cm。花序軸は長さ8~18(~25)㎜。苞葉は(3~)5~7(~10)枚、30~45°で斜上し、横肋がときに目立ち、長さ(1~)10~30(~45)㎝×幅(1~)2~4(~12)㎜。小軸は±脱落性、翼は幅0.4~0.5㎜。小穂は(5~)12~50個、線状披針形、扁平、長さ5~30㎜×幅0.6~0.9㎜。苞頴(鱗片)は±脱落性、3~11個、密着し、中間の緑色、側面はわら色~淡褐色、側面に3~4本のうねがあり、中間に(1~)3 本のうねがあり、長円状倒卵形、長さ3.2~4.5(~6)㎜×幅1~1.8㎜、先は±鋭形、次の苞頴に下部1/4~1/2が重なる。花:葯は長さ0.3~0.5㎜。花柱は長さ1~2㎜。柱頭は長さ3~4㎜。痩果は紫褐色、±柄があり、狭い長円形、長さ(1.5~)1.8~2.4㎜×幅0.5~0.6㎜、先は尖鋭形~鋭形、表面は細点がある。果期は夏。

71 Cyperus sulcinux C.B.Clarke ミゾミガヤツリ 溝実蚊帳吊

  synonym Pycreus sulcinux (C. B. Clarke) C. B. Clarke in J. D. Hooker [Flora of China]カワラスガナ属

 中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、西蔵、雲南省)、台湾、インド、ブータン、カンボジア、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島、オーストラリア原産。中国名は槽果扁莎 cao guo bian suo。標高100~500mの谷間のまばらな森下、山の斜面の小道沿いに生える。
 1年草。根はひげ根。稈は房状(tufted)、高さ5~40㎝、細く、3角(かど)があり、平滑、基部に少数の葉を持つ。葉は稈より短い。鞘は紫褐色。葉身は幅0.5~2㎜、通常折り畳まれ、頂端縁は斑点状。 総苞は 3~5個、広がり、葉状で、通常は基部が花序より 1~2 長くあります。 花序は単純な花序。花序枝(ray)は3~8本、ほとんどが長さ7㎝以下、細長く、それぞれ3~15個の小穂が穂状花序につく。小穂は広がり、線形、長さ0.5~1.5[~3.5]㎝×幅1~1.5㎜、圧縮され、8~20個の花がつく。小軸は屈曲し、狭い翼を持つ。苞頴(鱗片)は両面とも麦わら色~黄褐色、緩く、卵形~長円状卵形、長さ約1.8㎜、中間の脈は3本あり、緑色、側部は膜質で脈は無く、縁は狭い白色透明、先は鈍形で微突形。雄しべは1穂。葯は長円形、長さ約0.3㎜。花柱は中間の長さ。柱頭は2個。小堅果は黒褐色、長円形、長さ1.2~1.3㎜、下につく苞頴の長さの約2/3 で、わずかに扁平、両面に凹状の溝があり、細点がある。花期および果期は6~8月。

72 Cyperus surinamensis Rottb. スリナムガヤツリ
 北アメリカ、南アメリカ原産。英名はtropical flat sedge。標高0~200mの土壌が乱れた湿った日当たりの良い場所に生える。
一年草または短命の多年草、叢生する。根茎は無い。稈は2~6本、三角(かど)があり、長さ(10~)35~80㎝×幅0.5~2(~4) mm、逆[後ろ]向きの棘で細かくザラツキ (まれに無毛、またはまれに 外向きの棘もある)。葉は3~9枚、V 字型、長さ(12~)25~45(~65)㎝×幅2~10㎜。葉身と苞には横肋が無い。 花序:頭状花序は散形花序、直径10~20(~30)㎜。花序枝(ray)は4~12本、長さ1~6㎝、細かくザラつき、後向きの刺がある。2次の花序枝はしばしばあり、長さ1~2(~3)㎝。3次の花序枝はまれにあり、長さ0.5~1.5㎝。苞葉は3~8枚、ほぼ水平から30度で斜上し、V字形~平坦、長さ2~15(~34)㎝×幅1~4(~5)㎜。小穂は(6~)15~40(~65)個、緑白色、線形~線状長円形、長さ(3~)4~12(~15)㎜×幅1.5~2.5㎜。苞頴(鱗片)は10~50(~65)個、側面は淡黄色、淡褐色、または赤褐色、2本の竜骨があり、中間に3本のうねがあり、披針形、長さ1~1.5㎜×幅0.8~0.9㎜、明瞭な網目があり、しばしば先近くが細かくザラつく。花: 雄しべは1本。葯は長さ0.5㎜。花柱は長さ0.8~1.1㎜。柱頭は長さ0.5mm。痩果は褐色~赤褐色、わずかに柄があり、狭楕円形、長さ0.7~0.9㎜×幅0.2~0.4㎜、先には短突起があり、表面はパピラがあるかまたは不明瞭な網目~ひだがある。果期は晩春~初秋。

73 Cyperus tenuiculmis Boeck. ゾリンゲルガヤツリ
  synonym Cyperus zollingeri auct. non Steud.
 日本、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、熱帯アフリカ、太平洋諸島、オーストラリア原産。中国名は四稜穗莎草 si leng sui suo cao。標高200~1600mの山の斜面、開けた草原、川辺、疎林下の湿った場所、野原に生える。
 多年草。 根茎は短く、木質。 稈は緩く房状(tufted)で、長さ40~75㎝、細く、3稜形、平滑、基部に数枚の葉があり、基部はわずかに膨らむ。葉は稈より短い。鞘は褐色、±長い。 葉身は幅2~6mm、縁は外巻き。苞葉(総苞片)は(2~)3枚、葉状で、最下の苞葉は花序より長い。花序は単純またはまれに複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は3~7本、長さ1~10 cm。穂状花序は卵形で、小穂は3~14個ある。 小穂は緩く配列し、狭い線形~卵形~線形、長さ1~2cm×幅1.5~2mm、亜四稜形、斜めに広がるが開花後はほぼ広がり、花が6~14個つく。小軸は屈曲性、翼は黒褐色、早落性。苞頴(鱗片)は両面とも黄色~黄褐色、わずかに緩く、楕円形、長さ約4mm、膜質、7~9脈があり、竜骨は緑色、先は鈍形。雄しべは3本。葯は線形、葯隔は葯を超えてわずかに突出する。花柱は長い。柱頭は3個。小堅果は黒色、楕円形~倒卵形、3面があり、3面が凹面、下につく苞頴の長さの約1/2の長さで、密に細点がある。花期および果期は5~11月。2n=88。

74 Cyperus tenuispica Steud. ヒメガヤツリ 姫蚊帳吊
 日本(本州の福島県以西、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖南省、江蘇省、江西省、四川省、西蔵、浙江省)、台湾、インド、ブータン、カシミール、ネパール、スリランカ、パキスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、熱帯アフリカ、オーストラリア、インド洋の島々原産。中国名は窄穗莎草 zhai sui suo cao。標高100~500m以下のまばらな森林、歩道沿い、湿った場所、水田に生える。愛知県絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。
 1年草。根はひげ根。稈は房状(束生)で、高さ3~30cm、弛緩し、圧縮された三角状で、滑らかで、基部はいくつかの葉身のない鞘で覆われ、先の鞘には短い葉身がつく。葉は稈より短く、幅2~3mm、平ら。 鞘は赤褐色から紫褐色、長さ2~6cm。苞葉(総苞片)は通常 2(~3)[3~4]枚、葉状で、通常は最も基部の苞葉は花序と同長かまたはそれより長い。花序は複合またはときに単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は4~10本、ほとんどが長さ7cm[3~10㎝]、長さは不等で、それぞれ2~9本の2次の花序枝=小花序枝(raylets)を持つ。小穂は3~12個、小花序枝または花序枝の先に掌状につき、線形、長さ3~12㎜×幅約1㎜、10~40個の花がつく。小軸は翼が無い。苞頴(鱗片)は両面とも暗褐色であるが、外面の中央部は黄緑色で、緩く、楕円形~ほぼ長円形、長さ0.8~1㎜、膜質、開花後にわずかに広がり、脈は目立たず、先は鈍形~切形、わずかに外側に湾曲し(excurved)、粘液で覆われる(muticous)。 雄しべは1または2本。葯は先が剛毛で覆われる。花柱は長い。柱頭は3個。小堅果は帯黄色、倒卵形、長さ約0.3㎜、いぼ状突起がある(tuberculate)。花期および果期は9~11月。2n=16。

75 Cyperus tuberosus Rottb. タカオガヤツリ
 日本(沖縄)、中国(四川省、雲南省)、台湾、インド、スリランカ、マレーシア、南西アジア、アフリカ、西インド諸島原産。中国名は假香附子 jia xiang fu zi。標高1700m以下の開けた草原、小道沿い、砂浜、庭園に生える。
 多年草。 根茎は匍匐茎がある。匍匐茎は長く這い、塊茎で終わる。稈は単生、まれに少数が緩く束生し、高さ20~55㎝、細長く、三角状で、滑らかで、基部に数枚の葉があります。 葉は稈より短い。 鞘は赤褐色で、最終的には繊維に分解します。 葉身は中程度の緑色、幅3~6 mm、基部は平らかわずかに折れ畳まれている。苞葉は2~3枚、葉状で、花序より短いかまたは同長。花序は単純またはまれに複合のイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は2~6本、長さ8cmまで、長さは不等。穂状花序は倒三角形で、2~11個の小穂が緩くつく。小穂は線形、長さ0.8~2㎝×幅1.5~2mm、斜めに広がり、花数は8~20個。小軸は翼が白色、幅が広く、透明。苞頴(鱗片)は両面とも黄褐色~麦わら色だが、竜骨は緑色、広卵形~楕円形、長さ3.5~4mm、膜質、7脈が目立つ(縁にほぼ達し)、縁は白色透明、先は円形。雄しべは3本。葯は線形、葯隔は葯を超えてわずかに突き出る。花柱は中間の長さ。柱頭は3個。小堅果は長円状倒卵形、長さは下につく苞頴(薄膜)の長さの約1/2 で、3面があり、細点がある。花期および果期は6~7月。

76 Cyperus unioloides R.Br. ムギガラガヤツリ 麦殻蚊帳吊

  synonym Pycreus unioloides (R. Brown) Urban [Flora of China] カワラスガナ属

  synonym Pycreus chekiangensis Tang & F. T. Wang.
 日本(本州の中国地方、四国、九州)、中国(広東省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、アフリカ、アメリカ、マダガスカル原産。中国名は禾状扁莎 he zhuang bian suo。標高200~2200mの湿った場所、谷の川縁に生える。
 多年草。 根茎は短い。 稈は株立し、高さ40~90㎝、細く、硬く、3角(かど)があり、平滑、基部に少数の葉がある。葉は稈より短い。 鞘は赤褐色、長さ8cmまで。 葉身は幅3~4㎜、折り畳まれるかまたは平らで、やや硬い。苞葉(総苞片)は2~4枚、葉状、基部の葉1~2枚は花序より長い。花序は単純なイグサ形花序(anthela)。花序枝(ray)は2~6本、ほとんどが6㎝以下、ときに短く、それぞれ、3~12個の小穂が穂状花序に配置される。小穂は狭長円状卵形、狭卵形、または長円状卵形、長さ0.6~1.8㎝×幅3~5㎜、扁平、成熟すると広がる~基部で下向きに反り返り、(6~)10~22個の花がつく。小軸は屈曲し、翼は無い。苞頴(鱗片)は両面とも麦わら色、黄褐色、またはときにわずかに赤褐色で、やや密からやや緩く覆瓦状になり、卵形、長さ4~5㎜、ほぼ革質、脈は3本、緑色、先は鋭形。 雄しべは3本。葯は線形、葯隔は葯を超えて目立つ。花柱は長い。柱頭は2個、花柱よりわずかに短い。小堅果は若いときは帯黄色、成熟すると黒色、広倒卵形~球状倒卵形、長さは下につく苞頴(薄膜)の長さの1/4~1/3で、扁平な両凸形で、密に目立つ細点がある。花期および果期は6~10月。

77 交雑種
(1) Cyperus ×amurico-compressus チャイロクグガヤツリ
 チャガヤツリ×クグガヤツリ
(2) Cyperus × babae T.Koyama  オニチャガヤツリ
 カヤツリグサ×チャガヤツリ
(3) Cyperus × borealikiiensis T.Koyama  コウヤガヤツリ
 コゴメガヤツリ×ウシクグ
(4) Cyperus × condensatus T.Koyama  フサガヤツリ
  synonym Cyperus × amuricoides T.Koyama アイノコガヤツリ
 コゴメガヤツリ×チャガヤツリ
(5) Cyperus × kadzusensis T.Koyama  カズサガヤツリ
 アゼガヤツリ×カワラスガナ
(6) Cyperus × mihasii T.Koyama  ヒラボガヤツリ
 カヤツリグサ×コゴメガヤツリ
(7) Cyperus × ogawae T.Koyama  チャハマスゲ
 チャガヤツリ×ハマスゲ
(8) Cyperus × yamamotoi T.Koyama  コオニガヤツリ
 コゴメガヤツリ×オニガヤツリ
(9) Cyperus compressus L. × C. nipponicus Franch. et Sav.  クグアオガヤツリ
(10) Cyperus glomeratus L. × C. nipponicus Franch. et Sav.  ヌマアオガヤツリ

ヒンジガヤツリ属

  family Cyperaceae - genus Lipocarpha

 1年草又は多年草。葉身は平ら。苞葉は葉状、穂状花序は2~7個、頭状花序に束生又はまれに1個、多数の小苞と小穂をもつ。小苞は螺旋状につき、それぞれが小穂をもつ。小穂は2個の苞穎(ときに、欠き)と1個の両性花をもち、小軸はごく短く、基部に関節があり、熟すと関節で落ちる。苞穎は互生し、膜質、数脈があり、基部の苞穎は花が無い。先の苞穎は1個の両性花をもつ。花被の剛毛(指針状花被片)は無い。雄しべ2個。柱頭2個。小堅果は有3面(3稜形)~両凸面形~平凸面形、基部の苞穎に包まれる。
 世界に約35種があり、温暖な温帯と亜熱帯に分布する。
 最近ではカヤツリグサ属(Cyperus)に含められるようになってきた。

ヒメクグ属

  family Cyperaceae - genus Kyllinga

 多年草、まれに1年草、根茎が有り又はまれにひげ根がある。稈は束生又は散生し、普通、やや細い、まれにやや頑強。葉は根生し、3列(3-ranked)につく。葉舌は無い。葉身は長く又は小さくなる。総苞(involucral bracts)は広がり、葉状。花序は頂生、頭状、穂状花序が1~3個つく。穂状花序は無柄、頭状、小穂が密に多数つく。小穂は短く、扁平、両性の小花を1又は2(~5)個もつ。小軸(rachilla)は基部近くで区切れ、成熟すると区切れから脱落する。鱗片(glume)は2列生(distichous,)、小軸の上に宿存し、小軸とともに落ちる。基部の2個の鱗片は小花が無い。最も先の鱗片はまれに雌性花をもつ。その他の鱗片は両性の小花をもつ。小花は花被の剛毛又は鱗片状の花被部分が無い。花柱の基部は膨れず、脱落性。柱頭は2個。小堅果は扁平な両凸形、小軸に斜めにつく。
 約75種が世界の熱帯と温帯に広く分布する。日本にはヒメクグ、アイダクグ、タチヒメクグ、タイトウクグのヒメクグ属4種が分布する。(参考 谷城 勝弘著 カヤツリグサ科入門)
 ヒメクグ属をカヤツリグサ属 Cyperus に含める説もあり、GRIN、YlistなどはCyperusに含めている。

参考

1) Flora of China
 Cyperus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=109010
2) GRIN
 Cyperus
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=3293
3)Flora of North America
 Cyperus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=200007087
4) Nymphaea sulphurea in Global Plants on JSTOR
 Nymphaea sulphurea
https://plants.jstor.org/compilation/Nymphaea.sulphurea
5) PlantNET - FloraOnline NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
 Nymphaea capensis Thunb.
http://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name=Nymphaea~capensis
6) Bouteloua 28: 132-139 (V-2017). ISSN 1988-4257
 First record of Nymphaea × marliacea Lat.-Marl. 'Rosea’In the Iberian Peninsula
https://pdfs.semanticscholar.org/5f7f/629b5d03b029b2a926b241457cbf698f4cb5.pdf
7)Viviparity in Hardy Waterlilies - Water Gardeners International
 Viviparity in the Hardy Waterlily
http://www.watergardenersinternational.org/journal/4-1/pairat/page1.html
8 )Nymphaea micrantha Guill. & Perr. | Species | India Biodiversity Portal
 Nymphaea micrantha Guill. & Perr.
https://indiabiodiversity.org/species/show/275986
9)NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE- PlantNET - FloraOnline
 Nymphaea gigantea Hook.  
http://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name=Nymphaea~gigantea
10) Rheedea Vol. 24(2) 105-107 2014 ISSN: 0971 - 2313
Notes on the distribution of Cyperus ohwii and lectotypification of C. elatus var. macronux
 Cyperaceae
http://www.iaat.org.in/images/Rheedea_downloads/Rheedea_24_2/Rheedea_105-107.pdf
11)Cyperus pedunculatus in Global Plants on JSTOR
 Cyperus pedunculatus
https://plants.jstor.org/compilation/Cyperus.pedunculatus
12)jattjournal.net
 Taxonomy and Nomenclature of Three Infraspecific Taxa of ...
https://jattjournal.net/index.php/nlmbo/article/view/165147
https://jattjournal.net/index.php/nlmbo/article/view/165147/113783
13)ResearchGate
 Different forms of Cyperaceae inflorescences ...
https://www.researchgate.net/figure/Different-forms-of-Cyperaceae-inflorescences-A-Paniculodium-B-Anthelodium-C_fig3_257776556
14)Manual for Weed Identification in Field
 Cyperus digitatus
https://www.maf.gov.la/wp-content/uploads/2022/11/APP3-Manual-for-weed-identification-in-field.pdf
15)BOTANY Botanical Survey of India
 13. Cyperus digitatus Roxb.
Journal Economic Taxonomic Botany (Additional Series.21).pdf