ヒンジガヤツリ 品字蚊帳吊
Flora of Mikawa
カヤツリグサ科 Cyperaceae カヤツリグサ属
中国名 | 湖瓜草 hu gua cao |
英 名 | smallhead halfchaff sedge |
学 名 |
Cyperus leptocarpus (F.Muell.) Bauters synonym Lipocarpha microcephala (R.Br.) Kunth synonym Rikliella australiensis J.Raynal |
果 期 | 6月~10月 |
高 さ | 5~40㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 水辺、湿った場所、沼地、水田、湿地 |
分 布 | 在来種 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、インド、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、太平洋諸島 |
撮 影 | 豊田市 07.8.27 |
ヒンジガヤツリはカヤツリグサ属に分類される。ヒンジガヤツリ属に分類されることもあり、鱗片の内側の果実が2個の薄膜に包まれている。和名は花序が品の字形になることに由来する。
1年草、高さ5~40㎝。根茎はない。稈は直径約1㎜未満、平らな円筒形、叢生して、直立し、縦の溝があり、微軟毛があり、基部は紫色を帯びる。葉は根生する。鞘は筒状、長さ1.5~2.5cm、膜質、無毛、基部の鞘は葉身がなく、先の鞘には葉身がある。葉身は線形、長さは稈の長さの1/4~1/2、幅は0.7~1.5㎜、紙質、両面無毛、中脈は廃れ、縁は内巻きして細くなる。苞葉(総苞片)は2~3枚、斜めに下がってつき、葉状で基部がわずかに広く、鞘は無く、長さ1~13㎝×幅1~2㎜。苞葉の長いものは、左右が上側に丸まり、葉と同じような糸状になる。穂状花序は(1~)2~4(~5)個が束生し、束生が3個だとし品の字形になる。穂状花序は卵形、長さ2~8㎜×幅2~4㎜、多数の鱗片(bractlets;小苞、またはfloral scales;花鱗片、またはspikelet bract:小穂苞ともいう)と小穂を持つ。 鱗片は倒菱形(obtrullate)、長さ約2(1~1.8)㎜、膜質、中肋は緑色、先が急に狭くなり、突き出し、長さ0.2~0.7㎜の微突になる。小穂は2個の苞頴=薄膜(glume)と1個の両性花を持ち、基部の苞頴(第2鱗片)は白色、楕円形、長さ約1(0.6~1.1)mm、透明、5脈があり、先は鈍形。上側の苞頴(第3鱗片)はときに無く、長円形、長さ約1(0.6~1)㎜、膜質、数本の脈があり、両性花をもち、先は鋭形。雄しべは1~2本、葯は線状長円形、長さ0.2~0.4㎜。花柱は細く、包まれる苞頴から突き出る。柱頭は2個、毛がある。小堅果は麦わら色、狭楕円形~倒卵形、長さ0.7~1㎜×幅0.15~2㎜、わずかに湾曲し、円柱形、密に細点があり、光沢があり、先は微突形。花期および果期は6月~10月。2n=46。
柱頭の数がFlora of Chinaでは3個となっており、果実に3面があるとしている。Flora of North AmericaやNEW SOUTH WALES FLORA ONLINEでは柱頭の数は2個であり、果実は円柱形としている。花序は卵形の穂状花序(spikes)が(1~)2~4(~5)個つく。用語の違いは次の通り。苞葉は総苞片(involucral bracts)または苞(bracts)。鱗片は小苞(bractlet)または花鱗片(floral scales)の第1鱗片(1st scale)または小穂苞(spikelet bract)。花の薄膜は2個の苞頴(glumes)または第2鱗片(2d scale)および第3鱗片(3d scale)、または透明な鱗片(hyaline scales)。 【Flora of Chinaの解説】Lipocarpha microcephala
一年草、根茎は無い。 稈は高さ5~40cm、太さ約0.7㎜、平ら、縦に溝があり、微軟毛がある。葉は根生葉。鞘は筒状、長さ1.5~2.5cm、膜質、無毛、基部の鞘は葉身がなく、先の鞘には葉身がある。葉身は線形、長さは稈の長さの1/4~1/2、幅は0.7~1.5㎜、紙質、両面無毛、中脈は廃れ、縁は内巻き。総苞片(involucral bracts)は2~3枚、葉状で基部がわずかに広く、鞘は無い。穂状花序(spikes)は2~3(~4)個が束生し、卵形、長さ3~5㎜×幅約3㎜、多数の小苞(bractlets)と小穂を持つ。小苞は倒披針形~へら形、長さ約2㎜、膜質、先が急に狭くなり、反曲した微突がある。小穂は2個の苞頴(glumes)と1個の両性花を持つ。基部の苞頴は白色、楕円形、長さ約1㎜、透明、5脈があり、先は鈍形。先の(上側の)苞頴は長円形、膜質、数本の脈があり、両性花があり、先は鋭形。雄しべは2個。葯は線状長円形、長さ約0.3㎜。花柱は細く、包まれる苞頴から突き出る。柱頭は3個、毛がある。小堅果は麦わら色、狭い長円形、長さ0.9~1㎜、わずかに湾曲しており、3面があり、密な細点があり、光沢があり、先は微突形。花期および果期は6~10月。2n=46。標高400~2100mの水辺、湿った場所、沼地に生える(Flora of China)。
【Flora of North Americaの解説】Lipocarpha microcephala
稈は高さ7~35cm×幅0.5~0.8mm。葉は最も長いのが苞葉(総苞葉:involucral leaf)であり、反り返って広がり、長さ3~10cm×幅1.5~1.7mm。 花序は穂状花序が(1~)2~4(~5)個つき、卵形、長さ2~8㎜×幅2~4㎜。 苞(bracts)は2~3枚つき、長さ1~13㎝×幅1~2㎜。小穂は花鱗片(floral scales)が2~3個。 第1鱗片(1st scale)は倒菱形(obtrullate)、長さ1~1.8㎜×幅0.2~0.3㎜、先は尖鋭形、外側に湾曲し、長さ0.2~0.3㎜。第2鱗片(2d scale)は存在しない場合もあり、長円形、長さ0.6~1.1㎜×幅 0.2㎜。 第3鱗片(3d scale)はときに無く、長円形、長さ0.6~1㎜×幅0.2㎜。 雄しべは1~2本。葯は長さ0.25mm。柱頭は2個. 痩果は狭楕円形~倒卵形、円柱形、長さ0.7~1㎜×幅0.15~0.20㎜、長さは幅の3.5~5倍。果期は夏。標高50mの 松林の湿った荒れた場所に生える。アラバマ州、フロリダ州に帰化。アジア、オーストラリア原産。(FNA) 【NEW SOUTH WALES FLORA ONLINEの解説】Cyperus leptocarpus
稈は平滑、高さ2~35cm、直径1mm未満。葉は稈より短く、幅1~2㎜。穂状花序は1~4個つき、卵形、長さ2~8㎜×直径2~4㎜。総苞片(involucral bracts)は2~3枚、広く広がり長さ12cm程度。 小穂苞(spikelet bract)は長円状倒卵形、側面に0~2本の脈があり、長さ1~1.7㎜、突出した微突が長さ0.5~0.7㎜、淡褐色でしばしば赤褐色を帯びる。透明な鱗片(hyaline scales)は長さ0.6~1㎜、ときに小さくなったり消失する。雄しべは1~2本。葯は長さ0.2~0.4㎜。花柱は通常2分岐。堅果はほぼ円柱形、非常に狭い楕円形、長さ0.7~1㎜×直径約0.2㎜、淡褐色。花期は春~夏。砂地の川岸などの開けた湿った場所に生える(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)。
1年草又は多年草。葉は根生葉。葉身は平ら。苞葉(総苞片)は葉状、穂状花序は2~7個、頭状に束生又はまれに1個、多数の小苞(bractlets)と小穂をもつ。小苞(bractlets)は螺旋状につき、それぞれが小穂をもつ。小穂は2個の苞穎(glumes)をもち、ときに欠け、1個の両性花をもち、小軸(rachilla)はごく短く、基部に関節があり、熟すと関節で落ちる。苞穎は互生し、膜質、数脈があり、基部の苞穎は花が無い。先の苞穎は1個の両性花をもつ。花被の剛毛(指針状花被片)は無い。雄しべ2個。柱頭2個。小堅果は有3面(3稜形)~両凸面形~平凸面形、基部の苞穎に包まれる。
世界に約35種があり、温暖な温帯と亜熱帯に分布する。
最近ではカヤツリグサ属(Cyperus)に含められるようになった。
synonym Cyperus leptocarpus (F.Muell.) Bauters カヤツリグサ属
synonym Hypaelyptum microcephalum R. Brown
synonym Lipocarpha chinensis sensu Tang et F.T.Wang
synonym Lipocarpha zollingeriana Boeckeler
synonym Scirpus chinensis Osbeck
synonym Cyperus lipocarpha T.Koyama
synonym Cyperus submaculatus T.Koyama
1年草、高さ5~40㎝。根茎はない。稈は直径約1㎜未満、平らな円筒形、叢生して、直立し、縦の溝があり、微軟毛があり、基部は紫色を帯びる。葉は根生する。鞘は筒状、長さ1.5~2.5cm、膜質、無毛、基部の鞘は葉身がなく、先の鞘には葉身がある。葉身は線形、長さは稈の長さの1/4~1/2、幅は0.7~1.5㎜、紙質、両面無毛、中脈は廃れ、縁は内巻きして細くなる。苞葉(総苞片)は2~3枚、斜めに下がってつき、葉状で基部がわずかに広く、鞘は無く、長さ1~13㎝×幅1~2㎜。苞葉の長いものは、左右が上側に丸まり、葉と同じような糸状になる。穂状花序は(1~)2~4(~5)個が束生し、束生が3個だとし品の字形になる。穂状花序は卵形、長さ2~8㎜×幅2~4㎜、多数の鱗片(bractlets;小苞、またはfloral scales;花鱗片、またはspikelet bract:小穂苞ともいう)と小穂を持つ。 鱗片は倒菱形(obtrullate)、長さ約2(1~1.8)㎜、膜質、中肋は緑色、先が急に狭くなり、突き出し、長さ0.2~0.7㎜の微突になる。小穂は2個の苞頴=薄膜(glume)と1個の両性花を持ち、基部の苞頴(第2鱗片)は白色、楕円形、長さ約1(0.6~1.1)mm、透明、5脈があり、先は鈍形。上側の苞頴(第3鱗片)はときに無く、長円形、長さ約1(0.6~1)㎜、膜質、数本の脈があり、両性花をもち、先は鋭形。雄しべは1~2本、葯は線状長円形、長さ0.2~0.4㎜。花柱は細く、包まれる苞頴から突き出る。柱頭は2個、毛がある。小堅果は麦わら色、狭楕円形~倒卵形、長さ0.7~1㎜×幅0.15~2㎜、わずかに湾曲し、円柱形、密に細点があり、光沢があり、先は微突形。花期および果期は6月~10月。2n=46。
柱頭の数がFlora of Chinaでは3個となっており、果実に3面があるとしている。Flora of North AmericaやNEW SOUTH WALES FLORA ONLINEでは柱頭の数は2個であり、果実は円柱形としている。花序は卵形の穂状花序(spikes)が(1~)2~4(~5)個つく。用語の違いは次の通り。苞葉は総苞片(involucral bracts)または苞(bracts)。鱗片は小苞(bractlet)または花鱗片(floral scales)の第1鱗片(1st scale)または小穂苞(spikelet bract)。花の薄膜は2個の苞頴(glumes)または第2鱗片(2d scale)および第3鱗片(3d scale)、または透明な鱗片(hyaline scales)。 【Flora of Chinaの解説】Lipocarpha microcephala
一年草、根茎は無い。 稈は高さ5~40cm、太さ約0.7㎜、平ら、縦に溝があり、微軟毛がある。葉は根生葉。鞘は筒状、長さ1.5~2.5cm、膜質、無毛、基部の鞘は葉身がなく、先の鞘には葉身がある。葉身は線形、長さは稈の長さの1/4~1/2、幅は0.7~1.5㎜、紙質、両面無毛、中脈は廃れ、縁は内巻き。総苞片(involucral bracts)は2~3枚、葉状で基部がわずかに広く、鞘は無い。穂状花序(spikes)は2~3(~4)個が束生し、卵形、長さ3~5㎜×幅約3㎜、多数の小苞(bractlets)と小穂を持つ。小苞は倒披針形~へら形、長さ約2㎜、膜質、先が急に狭くなり、反曲した微突がある。小穂は2個の苞頴(glumes)と1個の両性花を持つ。基部の苞頴は白色、楕円形、長さ約1㎜、透明、5脈があり、先は鈍形。先の(上側の)苞頴は長円形、膜質、数本の脈があり、両性花があり、先は鋭形。雄しべは2個。葯は線状長円形、長さ約0.3㎜。花柱は細く、包まれる苞頴から突き出る。柱頭は3個、毛がある。小堅果は麦わら色、狭い長円形、長さ0.9~1㎜、わずかに湾曲しており、3面があり、密な細点があり、光沢があり、先は微突形。花期および果期は6~10月。2n=46。標高400~2100mの水辺、湿った場所、沼地に生える(Flora of China)。
【Flora of North Americaの解説】Lipocarpha microcephala
稈は高さ7~35cm×幅0.5~0.8mm。葉は最も長いのが苞葉(総苞葉:involucral leaf)であり、反り返って広がり、長さ3~10cm×幅1.5~1.7mm。 花序は穂状花序が(1~)2~4(~5)個つき、卵形、長さ2~8㎜×幅2~4㎜。 苞(bracts)は2~3枚つき、長さ1~13㎝×幅1~2㎜。小穂は花鱗片(floral scales)が2~3個。 第1鱗片(1st scale)は倒菱形(obtrullate)、長さ1~1.8㎜×幅0.2~0.3㎜、先は尖鋭形、外側に湾曲し、長さ0.2~0.3㎜。第2鱗片(2d scale)は存在しない場合もあり、長円形、長さ0.6~1.1㎜×幅 0.2㎜。 第3鱗片(3d scale)はときに無く、長円形、長さ0.6~1㎜×幅0.2㎜。 雄しべは1~2本。葯は長さ0.25mm。柱頭は2個. 痩果は狭楕円形~倒卵形、円柱形、長さ0.7~1㎜×幅0.15~0.20㎜、長さは幅の3.5~5倍。果期は夏。標高50mの 松林の湿った荒れた場所に生える。アラバマ州、フロリダ州に帰化。アジア、オーストラリア原産。(FNA) 【NEW SOUTH WALES FLORA ONLINEの解説】Cyperus leptocarpus
稈は平滑、高さ2~35cm、直径1mm未満。葉は稈より短く、幅1~2㎜。穂状花序は1~4個つき、卵形、長さ2~8㎜×直径2~4㎜。総苞片(involucral bracts)は2~3枚、広く広がり長さ12cm程度。 小穂苞(spikelet bract)は長円状倒卵形、側面に0~2本の脈があり、長さ1~1.7㎜、突出した微突が長さ0.5~0.7㎜、淡褐色でしばしば赤褐色を帯びる。透明な鱗片(hyaline scales)は長さ0.6~1㎜、ときに小さくなったり消失する。雄しべは1~2本。葯は長さ0.2~0.4㎜。花柱は通常2分岐。堅果はほぼ円柱形、非常に狭い楕円形、長さ0.7~1㎜×直径約0.2㎜、淡褐色。花期は春~夏。砂地の川岸などの開けた湿った場所に生える(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)。
ヒンジガヤツリ属
family Cyperaceae - genus Lipocarpha1年草又は多年草。葉は根生葉。葉身は平ら。苞葉(総苞片)は葉状、穂状花序は2~7個、頭状に束生又はまれに1個、多数の小苞(bractlets)と小穂をもつ。小苞(bractlets)は螺旋状につき、それぞれが小穂をもつ。小穂は2個の苞穎(glumes)をもち、ときに欠け、1個の両性花をもち、小軸(rachilla)はごく短く、基部に関節があり、熟すと関節で落ちる。苞穎は互生し、膜質、数脈があり、基部の苞穎は花が無い。先の苞穎は1個の両性花をもつ。花被の剛毛(指針状花被片)は無い。雄しべ2個。柱頭2個。小堅果は有3面(3稜形)~両凸面形~平凸面形、基部の苞穎に包まれる。
世界に約35種があり、温暖な温帯と亜熱帯に分布する。
最近ではカヤツリグサ属(Cyperus)に含められるようになった。
ヒンジガヤツリ属の主な種
1 Lipocarpha microcephala (R. Brown) Kunth ヒンジガヤツリ 品字蚊帳吊synonym Cyperus leptocarpus (F.Muell.) Bauters カヤツリグサ属
synonym Hypaelyptum microcephalum R. Brown
synonym Lipocarpha chinensis sensu Tang et F.T.Wang
synonym Lipocarpha zollingeriana Boeckeler
2 Lipocarpha chinensis (Osbeck) J.Kern オオヒンジガヤツリ 大品字蚊帳吊
synonym Cyperus albescens (Steud.) Larridon et Govaerts カヤツリグサ属synonym Scirpus chinensis Osbeck
synonym Cyperus lipocarpha T.Koyama
synonym Cyperus submaculatus T.Koyama