ノアザミ 野薊

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae アザミ属

別 名 ドイツアザミ
中国名 蓟 ji
英 名 Japanese thistle, tiger thistle
学 名 Cirsium japonicum DC.
ノアザミの花
ノアザミの花2
ノアザミの総苞
ノアザミ総苞の蜜腺とくも毛
ノアザミの茎
ノアザミ
ノアザミ葉
ノアザミ冠毛
ノアザミ果実
花 期 5~8月
高 さ 50~100㎝
生活型 多年草
生育場所 山野
分 布 在来種  在来種 本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、ロシア、ベトナム
撮 影 三ヶ根山  01.6.2
春から夏に咲く日本でもっとも普通に見られるアザミである。
 茎は直立し、白毛が密生する。毛の量は全体に白毛が多いものから茎以外ほとんど毛のないものまで変異が多い。根生葉は中裂し、花期にも残るが、はっきりしたロゼットにはならない。茎葉は基部で茎を抱く。頭花は直径4~5㎝、枝先に上向きにつく。総苞は幅約2㎝の球形、総苞片は6~7列で、葺瓦状に圧着してほとんど反り返らず、くも毛がある。総苞片の中央に白色~紫色の盛り上がりがあり、蜜腺があって粘液で粘る。痩果は長さ約3㎜、無毛。冠毛は長さ約1.5㎝、羽毛状に枝分かれし、基部は合着する。
 ノハラアザミは秋に開花し、花期にも根生葉がロゼット状に残り、総苞片が斜上して先が鋭く、総苞が粘らない。

アザミ属

  family Asteraceae - genus Cirsium

 1年草、2年草、多年草、高さ5~400㎝、刺がある。両性又は雌雄異株(雌性両全性異株)。茎(発達したとき)は1本~数本、直立し、分枝又は単純で、翼が無く又はときに刺のある翼がある。葉は根生葉と茎葉、類全縁~2回羽状分裂、披針形~広披針形、縁は小刺又は刺がある。頭花(head)は単生し、中心小花頭花(discoid)、頂生と上部に腋生、又は総状花序状、穂状花序状、類頭状花序状、円錐花序状又は散房花序状に配置する(花序柄は±小さくなった葉状の苞[苞葉]をもつ)。総苞は円筒形~卵形~球形、(1~6㎝ ×)1~8㎝、クモ毛(cobwebby, arachnoid)が有又は無。総苞片(phyllaries)は多数、5~20列につき、類等形又は弱く~強く、外側と中間の総苞片は圧着し、先が広がり~直立し、普通、先端に刺がある。最も内側の総苞片は普通、直立し、平らでしばしば捻じれ、全縁又は歯状縁、普通、先端に刺は無く(多くの種の総苞片の中脈の上部は伸びた粘る樹脂状の腺をもち、普通、新鮮な時には乳白色だが、乾くと暗褐色~黒色になる)、花托は平ら~凸面、パレアが無い、黄褐色~白色の剛毛又は剛毛状の鱗片で覆われる。小花は25~200+個、花冠は白色~ピンク色、赤色、黄色、又は紫色、±左右相称、筒部は長く、細く、上部は曲がり、のど部は短く、急に広がり、円筒形、裂片は線形。(花糸は離生)葯は鋭い短い尾があり、先の付属体は線状長楕円形。花柱の先端は長い(花柱の枝とごく短い部分が長い筒状に融合した部分のわずかに膨らんだ節を含めて測ると)。痩果は狭倒卵形~卵形、±側面は扁平、しばしば、4本又はそれ以上の細い隙間のある縦のうね又は線条があり、さもなければ平滑、先の縁取りは縁が平滑な上向きの王冠状になり、うねが無く、無毛。エライオソームは王冠の下に不明瞭な円盤状になる。基部の付着痕はわずかに角(かど)がある。冠毛は宿存又は環状になり、多くの平らな羽毛状の剛毛又は羽毛状の剛毛状の鱗片が3~5列につき(C. foliosum と C. arvense以外は長い剛毛が花冠より短い)、外側の剛毛は内側の剛毛より あまり短くない。x=17。
 世界に約200(250~300)種があり、北アフリカ、アジア、中央アメリカ、北アメリカ、ヨーロッパに分布する。日本には約100種以上があり、海岸~高山までほぼ全土に広く分布する。
 日本列島には南から北まで、海辺の低地から高山まで広くアザミ属が分布する。広分布種と狭分布種の2群に大別される。広分布種は北海道のチシマアザミ(C.kamtschaticum)[コバナアザミC. boreale]、東北地方中心のナンブアザミ(C. makinoi)、関東・中部地方のトネアザミ(C. incomptum)[タイアザミ]、近畿~中国地方・四国のヨシノアザミ(C. yoshinoi)、九州のツクシアザミ(C. suffultum)であり、他のキク科植物と同様に形態的な変異が大きいため、分類が困難であり、分布域の周辺部では特に困難になる。これらは染色体数が四倍体(2n=68)である。

アザミ属の節、亜節

  • 1 タカアザミ節 sect .Pseudo-eriolepis [タカアザミpendulum] 
  • 2 ナンブアザミ節 sect. Onotrophe 
  • 2-1 アシノクラアザミ亜節 subsect. Ogapeninsulae [アシノクラアザミashinokurense , カクダアザミsenumae] 
  • 2-2 イナベアザミ亜節 [イナベアザミmagofukui] 
  • 2-3 エゾノサワアザミ亜節 Subsect. Nutantia [アポイアザミ apoense , エゾノサワアザミpectinellum , エゾノミヤマアザミyezoalpinum , エゾマミヤアザミcharkeviczii] 
  • 2-4 オニアザミ亜節 subsect. Nipponensia =Schantarens [エチゼンオニアザミoccidentalinipponense , オニアザミborealinipponense , ジョウシュウオニアザミokamotoi , チョウカイアザミchokaiense , ツガルオニアザミ shimae , ハチマンタイアザミhachimantaiense , ムラクモアザミmaruyamanum ]
  • 2-5 カガノアザミ亜節 subsect. Reflexae [イシヅチアザミishidzuchiense , イワキヒメアザミyuzawae , ウゼンアザミ uzenense , ウラジロカガノアザミ furusei , エチゴヒメアザミechigomontanum , エチゼンヒメアザミwakasugianum , オガアザミhoriianum , オハラメアザミkiotoense , カガノアザミkagamontanum , カズサヤマアザミbosopeninsulae , ゲイホクアザミakimontanum , シゲクラアザミshigekrense , シモツケアザミnasuense , タンバアザミmuratae , ナガエノアザミlongepedunculatum , ナガトアザミnagatoense , ナギソアザミCirsium nagisoense , ナトリアザミkasaianum , ハチオウジアザミtamastoloniferum , ハナマキアザミ hanamakiense , ハリカガノアザミspinuliferum , フタマタアザミhasunumae , ホウキアザミgratiosum , ホソエノアザミtenuipedunculatum , ミマサカアザミmimasakaense , ミヤマホソエノアザミshinanomontanum , ミョウコウアザミmyokoense , リクゼンアザミfuagataense ]
  • 2-6 キリシマアザミ亜節 Subsect. Tsukushicola [イシダテアザミishidatense , ウンゼンアザミunzenense , キリシマアザミkirishimense , クジュウアザミkujuense , サンベサワアザミtenuisquamatum , タイシャクアザミtaishakuense , ヘイケモリアザミhyugamontanum , メラモリアザミnishimeraense ]
  • 2-7 キセルアザミ亜節 [キセルアザミsieboldii , サツママアザミaustrokiusianum , ヒダキセルアザミhidapaludosum ]
  • 2-8 サワアザミ亜節subsect. Suffulta
    [オオミネアザミohminense , カツラカワアザミopacum , サワアザミ yezoense , シライワアザミakimotoi , スオウアザミsuwoense , ツクシアザミsuffultum , テリハアザミlucens , ニセツクシアザミpseudosuffltum , ヒュウガアザミmasami-saitoanum ,ヤクシマアザミyakushimense]
  • 2-9 ダキバヒメアザミ亜節 subsect. Littoralicola
  • (1) ダキバヒメアザミ列 [ダキバヒメアザミamplexifolium , タンネアザミtannense]
  • (2) リシリアザミ列 [ガンジュアザミganjuense , キタカミアザミnipponicum , キンカアザミ muraii , サンボウアザミsanboense , トガアザミtogaense , マツシマアザミsendaicum , マルモリアザミmarumoriense , リシリアザミumezawanum , リョウウアザミdomonii ]
  • 2-10 ダイニチアザミ亜節 [ダイニチアザミbabanum]
  • 2-11 タチアザミ亜節 [オゼヌマアザミhomolepis , シラガミアザミtsugarumontanum , タチアザミinundatum ]
  • 2-12 チシマアザミ亜節 subsect. Borealicola
  • (1) コバナアザミ列 Ser. Glandulosae [アサヒカワアザミkenji-horieanum , カムイアザミ austrohidakaense , コバナアザミboreale , チカブミアザミchikabumiense , ヒダカアザミhidakamontanum ]
  • (2) チシマアザミ列 Ser. Borealicola.[アッケシアザミiito-kojianum , チシマアザミkamtschaticum , テシオアザミteshioense]
  • 2-13 ツクシアザミ亜節 [チョウシュウアザミyamaguchiense , ノマアザミchikushiense ]
  • 2-14 ナンブアザミ亜節 subsect. Rubicola(subsect. Nipponocirsicum) 2n=4x=68(4倍体)
  • (1) キソアザミ列 [ノリクラアザミnorikurense]
  • (2) ナンブアザミ列 Ser. Sylvicola [アブクマアザミincomptum var.abukumense , アシウアザミashiuense , サドアザミsadoense , シドキヤマアザミshidokimontanum , シロウマアザミmakinoi var. shiroumense] , トネアザミincomptum , イガアザミincomptum var. commosum , ナンブアザミmakinoi , ヒダノタイアザミleptolepis , ホッコクアザミhokkokuense , ヨシノアザミyoshinoi ]
  • (3) ノリクラアザミ列 [オクヤマアザミovalifolium , キソアザミfauriei , ザオウアザミzawoense , センジョウアザミsenjoense , タテヤマアザミotayae , ハクサンアザミmatsumurae , ハッポウアザミhappoense , ヤツタカネアザミyatsualpicola ]
  • (4) ジャクエツアザミ列 [アヅミノアザミadzumiense , イズモアザミindefensum , サヌキアザミsanukiense , ジャクエツアザミ takaoi]
  • 2-15 ナンブタカネアザミ亜節 [ナンブタカネアザミnambuense]
  • 2-16 ニッポウアザミ亜節 subsect. Ramosa [ニッポウアザミnippoense , ヤシマアザミmitanii ]
  • 2-17 ノアザミ亜節
  • (1) ノアザミ列 [オニオオノアザミjaponicum var.diabolicum , ツシマノアザミtsushimense , ノアザミjaponicum , トゲアザミjaponicum var. horridum]
  • (2) ノハラアザミ列 [アオモリアザミaomorense , ノハラアザミoligophyllum , ニッコウアザミoligophyllum var. nikkoense ]
  • 2-18 ハチジョウアザミ亜節 subsect. Izuinsulicola [トヨシマアザミtoyoshimae , ハチジョウアザミhachijoense]
  • 2-19 ハマアザミ亜節 [イリオモテアザミirimtiense , オイランアザミspinosum , オガサワラアザミboninense , シマアザミbrevicaule , ハマアザミmaritimum ]
  • 2-20 ヒメアザミ亜節 subsect, Tubelosae [アイヅヒメアザミaidzuense , ウゼンヒメアザミkatoanum , スズカアザミsuzukaense , ヒメアザミbuergeri , マミガサキアザミtakahashii ]
  • 2-21 ミネアザミ亜節 [マルバヒレアザミgrayanum , ミネアザミalpicola ]
  • 2-22 ヤチアザミ亜節 [ヤチアザミshinanense]
  • 2-23 ヤマアザミ亜節 [アズマヤマアザミmicrospicatum , ウエツアザミ uetsuense , ウスバアザミtenue , エゾヤマアザミalbrechtii , コイブキアザミconfertissimum , トオノアザミheiianum , ハッタチアザミyamauchii , ビッチュウアザミbitchuense , ヒッツキアザミcongestissimum , ヤマアザミspicatum ]
  • 2-24 リョウノウアザミ亜節 subsect. Angustoinvolucizi [ギョウジャアザミgyojanum , タキアザミyoshidae , ヨネヤマアザミyanagitae , リョウノウアザミgrandirosuliferum ]
  • 2-25 ワタムキアザミ亜節[ワタムキアザミtashiroi , ヒダアザミtashiroi var. hidaense]
  • 3 フジアザミ節 sect. Megalocephala [テマリフジアザミhideo-takahashii , フジアザミpurpratum ]
  • 4 モリアザミ節 [アキヨシアザミcalcicola , モリアザdipsacolepis ]
  • 5 ヤナギアザミ節 sect. Spanioptilon [ヤナギアザミ lineare , オオヤナギアザミ hupehense]

【異分類】
C. sect. Cirsium- C. heterophyllum , C. japonicum ノアザミ , C. oleraceum アザミゴボウ , C. maackii カラノアザミ , C. palustreキルシウム・パルストレ
C. Sect. Echenais
C. sect. Cephalonoplos C. arvense セイヨウトゲアザミ
C. sect. Epitrachys   C. vulgare アメリカオニアザミ , C. setosum エゾノキツネアザミ葉の表面に刺が多く,
C. sect. Eriolepis
C. sect. Hymenolepis
C. sect. Isolepis
C. sect. Megalocephala  C. purpuratumフジアザミ 
C. sect. Microcentron
C. sect. Pseudepitrachys
C. sect. Spanioptilon
C. sect. Tricholepis

アザミ属の主な種と園芸品種

1 Cirsium adzumiense nom. nud. アヅミノアザミ 安曇野薊
 日本(長野県中部)固有種。かつては八ヶ岳アザミと誤認されたアザミ、ヤツガタケアザミ(Cirsium yatsugatakense)は現在ではヤツタカネアザミ(Cirsium yatsu-alpicola)のsynonymされている。
 高さ1~2m。葉は羽状深裂するが、まれに鋸歯もあり、基部は茎をほとんど抱かない。頭花は中型、横~下向きにつく。総苞はクモ毛があり、やや粘る。総苞片が11~12列、先が反曲する。

2 Cirsium aidzuense Nakai ex Kitam. アイズヒメアザミ 会津姫薊
 日本(福島県、栃木県、群馬県)固有種。別名はアイヅヒメアザミ。
 茎に白いクモ毛が多い。根生葉は花期に無い。葉の基部は茎を抱く。頭花は小型、長柄の先に直立~斜上。総苞は筒形、粘る。総苞片は8~9列、圧着するか又は斜上する。2n=34[Acta Phytotax. Geobot. 2: 174 (1933)]。

3 Cirsium akimontanum Kadota ゲイホクアザミ 芸北薊
 日本(広島県、島根県、山口県)固有種。別名はイワミアザミ。
 葉の質が薄い草質。頭花は小型、多数、下向き。総苞が粘る又は粘らない。総苞片の腺体が披針形で顕著に粘着するものから、痕跡的で粘着しないものまで変異がある。花期は9~10月。2009年記載の新種[Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Tokyo, B. 35: 190 (2009)]。

4 Cirsium akimotoi Kadota et Mas.Saito シライワアザミ 白岩薊
 宮崎県(白岩山)固有種。石灰岩地に生える。
 根生葉は花期には無い。頭花は大型、下向き。総苞は鐘形~広筒形、粘らない。総苞片は8~10列、斜上~ゆるやかに反曲し、総苞外片は先が尾状に長く伸び、クモ毛がある。2n=68(4倍体)。花期は9~10月。

5 Cirsium albrechtii (Maxim.) Kudo エゾヤマアザミ 蝦夷山薊
 根室半島、国後島固有種。原野や温帯林林縁に生える。
 頭花は小型、多数、無柄、上向き。

6 Cirsium alpicola Nakai ミネアザミ
  synonym Cirsium inundatum Makino subsp. alpicola (Nakai) Kitam.
  synonym Cirsium inundatum Makino var. alpicola (Nakai) Ohwi
 日本(北海道、青森県)固有種。
 根生葉は花期には無い。葉の基部は茎を抱く。頭花は2~5個が頂部に、直立~斜上し、上向き。総苞は鐘形、粘らない。総苞片は針状、6~7列、斜上し、総苞外片は狭卵形、内片よりわずかに短く、クモ毛はない。2n=102(6倍体)。花期は8月~9月。

7 Cirsium amplexifolium (Nakai) Kitam. ダキバヒメアザミ 抱葉姫薊
 日本(青森県~新潟県)固有種。
 普通、葉の基部が茎を抱き、抱かないものもある。頭花は中型、上向き。

7-1 Cirsium amplexifolium (Nakai) Kitam. f. albiflorum Kadota シロバナダキバヒメアザミ 白花抱葉姫薊

 白花品種。

8 Cirsium aomorense Nakai アオモリアザミ 青森薊

  synonym Cirsium maximowiczii Nakai
  synonym Cirsium oligophyllum (Franch. et Sav.) Matsum. subsp. aomorense (Nakai) Kitam.

  synonym Cirsium tanakae (Franch. et Sav.) Matsum. subsp. aomorense (Nakai) Kitam.

 日本(北海道、青森県、秋田県)固有種。別名はオオノアザミ。
 根生葉は花期にもあり、大きい。頭花は大型、直立。総苞は椀形~鐘形、ときに少し粘る。総苞片は7列、鋭角に斜上。2n=34

8-1 Cirsium aomorense Nakai f. albiflorum (Kitam.) Kitam. シロバナオオノアザミ 白花大野薊

synonym Cirsium oligophyllum (Franch. et Sav.) Matsum. subsp. aomorense(Nakai) Kitam. f. leucanthum Kitam.

 白花品種。
8-2 Cirsium aomorense Nakai f. echinoides Kitam. ウニアザミ 雲丹薊
 総苞片が広角度に斜上する。

9 Cirsium apoense Nakai アポイアザミ
  synonym Cirsium pectinellum A.Gray var. apoense (Nakai) Okuyama

  synonym Cirsium kamtschaticum Ledeb. ex DC. subsp. apoense (Nakai) Kitam.

 日本(北海道アポイ岳)固有種。蛇紋岩地にのみ生える。
 茎葉の基部は耳状に茎を抱く。頭花は中型、下向き。総苞は鐘形、紫色を帯び、粘らない。総苞片は6列、鋭角に斜上し、総苞外片は短い。

10 Cirsium arisanense Kitam. アリサンアザミ 阿里山薊
  synonym Cirsium arisanense f. purpurescens Kitam.
 台湾固有種。阿里山薊 a li shan ji。標高2300~3500mの草原や山頂の尾根に生える。
 茎は高さ0.5~1m、直立し、溝状条線がり、上部の面にはクモ毛状直軟毛~密な絨毛がある。根生葉は披針形、長さ15~30㎝、先は尖鋭形、基部はほぼ無柄または狭くなって翼のある棘のつく葉柄になり、羽状中裂、裂片は(6~)8~9個、長さ5~12㎜、両面に微軟毛があるかまたはほぼ無毛。茎葉は徐々に小さくなり、披針形、先は尖形、基部は幅広の耳のある抱茎、羽状中裂、縁の棘は長さ6~12㎜。頭花は直径2.5~3.5㎝、単独、または2~3個が密集し、枝の頂端につき(点頭する)、花序柄は短い。総苞は鐘形、長さ15~19㎜×幅20~30㎜。総苞片は6列、外側の総苞片は短く、線状披針形~長円状披針形、紫色の花が咲く植物では内側の総苞片が紫色であることが多い。花冠は暗紫色、紫色、または黄白色、長さ11~16㎜、拡大部は筒部より短い。痩果は長円形、長さ約2.5㎜、扁平、不明瞭な 4肋がある。2n=34 (Flora of Taiwan)。

11 Cirsium arvense (L.) Scop. セイヨウトゲアザミ 西洋刺薊
 中国、モンゴル、ロシア、インド、ネパール、コーカサス、アフガニスタン、イラン、トルコ、ヨーロッパ原産。英名はboar thistle , California thistle , Canada thistle , Canadian thistle , creeping thistle , field thistle , perennial thistle。中国名は丝路蓟 si lu ji。
 多年草、高さ30~160㎝、雌雄異株。不定な這うシュートに根が出る。茎は直立し、上部で分枝し、翼は無い。葉は表面が平滑。頭花はしばしば、頂生の散房花序に多数つく。総苞は±狭い卵形、直径1.5~2㎝。総苞片は覆瓦状、5~7列につき、翼や薄膜状の付属体は無く、外及び中総苞片は三角形~卵形、長さ 3~8㎜×幅1.2~2.5㎜、先は鋭形。内総苞片は楕円状披針形~広線形、長さ9~20㎜×幅1~3㎜、先は鋭形~尖鋭形、 薄膜状。花冠は赤紫色又はまれに白色。雌小花は長さ1.6~2.4㎝、筒部は長さ1.3~1.8㎝。雄小花は長さ1.5~1.8㎝、筒部は長さ0.9~1.2㎝。痩果は帯黄色、長さ3~4.5㎜。冠毛は剛毛、汚白色、長さ2.5~3.5㎝。(Flora of China)
【FNAの解説】Flora of North Americaでは以下の変種を認めず、synonymとしている。
 標高0~2600mの荒れた場所、畑、牧草地、道端、森林の開口部に生える。北アメリカには1600年代に導入され、北アメリカに広く帰化している。多くの変種が毛、葉の分裂の程度、棘のような特徴に基づいて命名されている。 極端な変異体は著しく異なる場合があるが、それらは中間体のような網の目で連続しているため、正式な分類学的認識によれば、それらのいずれにもほとんど価値がないと思わる。
 多年草、雌雄異株またはほぼ雌雄異株。高さ30~120(~200)㎝。 不定芽を生じる深い匍匐根からコロニーを作る。茎は 1~多数、直立し、無毛から伏した灰色の綿毛がある。枝は0~多数、斜上する。葉は葉身が長円形~楕円形、長さ3~30㎝×幅1~6㎝、縁は平ら~ 外巻き、全縁で小棘がありまたは歯があり、または浅く~深い羽状中裂し、裂片はよく離れ、披針状長円形~三角状卵形、小棘~数個の歯があり、または基部近くに数裂があり、主棘は長さ1~7㎜、下面は無毛~密に灰色の綿毛がある。上面は緑色、無毛~薄く綿毛がある。花時には根生葉は無く、葉柄には狭い翼があり、基部は先細になる。主な大きな茎葉は下部では翼のある葉柄があり、上部では無柄、よく分布し、次第に小さくなり、沿下しない。上部の茎葉は苞状になり、全縁~鋸歯状、または分裂し、小棘があるかまたは無い。頭花は1個~多数、単生、または主茎と枝の頂部の散房花序や円錐花序につく。花序柄は長さ0.2~7㎝。総苞は花時に卵形、果時には±鐘形、長さ1~2㎝×幅1~2㎝、クモ毛があり、成長して±ほぼ無毛。総苞片は6~8列、強く重なり、(通常は紫色がかる)、卵形(外側の総苞片)~線形(内側の総苞片)、外面に狭い粘着性の隆起があり、外側の総苞片と中間の総苞片が密着し、全縁、先端は斜上~開出し、棘は長さ0~1㎜(細かい)、内側の総苞片は先端が平らで±屈曲し、縁は全縁~わずかに不規則な切れ込みがあるかまたは繊毛がある。花冠は紫色(白色またはピンク色)。雄花は長さ12~18㎜、(頭花が完全に成熟すると冠状突起より長く残る)、筒部は長さ8~11㎜、喉部は長さ1~1.5㎜、裂片は長さ3~5㎜。雌花はは長さ14~20㎜、(果時には冠毛が上にあり)、筒部は長さ10~15㎜、喉部は長さ約1mm、裂片は長さ2~3㎜。花柱の先端は長さ1~2㎜。痩果は褐色、長さ2~4㎜、先端の襟は分化していない。冠毛は長さ13~32㎜、花冠を超える。2n=34。花期は夏(6~10月)。
11-1 Cirsium arvense var. alpestre Nägeli
  synonym Cirsium arvense var. argenteum Bréb.
  synonym Cirsium lanatum (Willd.) Spreng.
  synonym Cnicus lanatus Willd.
  synonym Aplotaxis cirsioides Candolle
  synonym Cephalonoplos arvensis var. alpestris (Nägeli) Kitamura
 中国北中部(甘粛省、青海省、新疆、西蔵)、チベット、インド、ヨーロッパ(スイス、フランス)原産。中国名は藏蓟 zang ji。標高500~4300mの山の斜面の草地、湿った場所、道端、村の近くに生える。
 茎はクモ毛が密にあるかまたは無毛。葉は色褪せ、下面は灰白色、密なフェルト状、上面は緑色、無毛。下部の茎葉は無柄または短い葉柄があり、葉身は楕円形~倒披針形、長さ7~12㎝×幅2.5~3㎝、羽状浅裂または羽状中裂、または下部では分裂せず、基部は楔形、裂片は(0~)3~5対、半円形、広卵形、または楕円形、(2~)3~5個の三角形の歯があり、各側部の棘と長さ3.5~10㎜の頂端の棘を備える。上部の茎葉は似ているが、小さい。総苞は無毛。 外総苞片と中総苞片の先端には長さ2.5~4mm の棘がつく。花期およぼ果期は6~9月。

11-2 Cirsium arvense var. arvense セイヨウトゲアザミ 西洋刺薊

  synonym Cnicus setosus (Willd.) Besser

  synonym Cirsium setosum (Willd.) M.Bieb. エゾノキツネアザミ、中国で薬用

  synonym Serratula arvensis L.
  synonym Breea arvensis (L.) Lessing
  synonym Carduus arvensis (L.) Robson
  synonym Cephalonoplos arvensis (L.) Fourreau
  synonym Cirsium ochrolepideum Juzepczuk
  synonym Cnicus arvensis (L.) Roth.
 中国(甘粛省、新疆ウイグル自治区、西蔵省)、インド、アフガニスタン、カザフスタン、ネパール、南西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ原産。中国名は丝路蓟 si lu ji。標高700~4300mの溝、農地、湖畔の湿った場所に生える。
 茎は無毛だが、頭花の下にまばらにクモ毛がある。葉は表裏同色、緑色、無毛、または裏軸に非常にまばらなクモの巣状。 下部の茎の葉は±短い葉柄。 葉身は楕円形から楕円状披針形、長さ7~17㎝×幅1.5~4.5㎝、羽状裂片または羽状葉、裂片は3~5対、斜めの三角形~斜めの楕円形、両側に小棘と先端に長さ約5㎜の棘がある。中部および上部の茎葉は似ているが、無柄で、基部は半抱茎。総苞はごくまばらにクモ毛がある。外側と中間の総苞片は先端の長さ約0.5㎜の小棘が開出~後屈する。花期およぼ果期は6~9月。2n=34, 34+0-1B, 51, 68。

11-2-1 Cirsium setosum (Willd.) M.Bieb. f. albiflorum (Kitag.) Kitag. シロエゾノキツネアザミ

  synonym Cirsium segetum Bunge f. albiflorum Nakai  シロバナアレチアザミ

 白花品種

11-3 Cirsium arvense var. integrifolium Wimm. & Grab. アレチアザミ 荒地薊

  synonym Breea segetum (Bunge) Kitam.
  synonym Carduus setosus Bab.
  synonym Cirsium segetum Bunge 小薊
 日本(北海道、本州の東北地方)、韓国、中国(安徽省、重慶、福建省、甘粛省、貴州省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、寧夏、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆、浙江省)、モンゴル、ロシア、カザフスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は刺儿菜 ci er cai。英名はbristly thistle。標高100~2700mの山の斜面、川沿い、湿地、農地に生える。var. integrifolium は中国で最も一般的な変種であり、全草が薬用に使われる。雌雄異株であり、アレチアザミ属Breea とされていたが、アザミ属に含められた。変種として分けるのが一般的である。別種とする場合と変種を認めず、含める見解(GRIN)もあった。また、中国では古くからアレチアザミを小薊として、エゾノキツネアザミとは分けて扱っており、異なるとする見解もあった(参考)。
 茎は無毛またはまばらなフェルト状になる。葉はほぼ表裏同色で、表面は平滑、下面は緑色~灰緑色で無毛またはまばらにクモ毛があり、上面は緑色で無毛。下部および中部の茎葉は通常無柄、±狭い楕円形~楕円状披針形、長さ7~15㎝×幅1.5~10㎝、分裂せず、またはときに全縁の裂片に羽状分裂し、基部は通常楔形で、縁は全縁で柔らかい棘で密に縁取られ、先は鈍形~円形。上部の茎葉は楕円形、披針形、または線状披針形で、上部では徐々に小さくなる。総苞は無毛。外総苞へと中総苞片は棘が長さ0.5㎜未満。花期およぼ果期は5~9月。(Flora of China)
 根は発達する。茎のように長い根(2~3m)があり、多数の水平に側根茎が伸び、側根茎から新しい茎を生じる。茎は高さ50~150(~80)㎝、直立、分枝し(ramified)[やや横に広がり]、条線があり(striated)又は粗く、翼は無く、無毛又はわずかにクモ毛がある[フェルト状]。葉序(phyllotaxy)は互生。葉柄は無(sessile , sedentary)又は短柄。葉はほぼ表裏同色、表面は平滑、下面は緑色~灰緑色、無毛又はまばらにクモ毛がある。上面は緑色、無毛。下部と中間の葉身は長楕円形~披針形[±狭楕円形~楕円状披針形]、長さ5~15(20)㎝×幅1.5~5(~10)㎝、分裂せず(integral)又はときに、羽状浅裂(pinnatilobate)し、裂片は全縁、基部は普通、楔形、全縁、密に縁飾りがあり、柔らかい小刺をもち、先は鈍形~円形。上部の茎葉は楕円形~披針形~線状披針形、上側の葉は次第に小さくなる。雌雄異株(dioecious)。花は単性。雌性の雌しべをもつ花はいくつかの頭花(calathidia)にあり、雄性の雄しべを持つ花は別株の頭花につく。花はライラック色、ピンク色、紫色。花冠の縁(limbus)は5数性、基部から5裂。花冠筒部は拡大部より数倍長い、つまり、雄花では2倍、雌花では4~5倍長い。基部の葯は先にギザギザの付属体をもち、雄しべの花糸は無毛。頭花(floral calathidia)は小さく(直径1~2㎝)、常にクモ毛のある柄の先に、直立し、散房花序状の円錐花序に集まる。花托は平ら、長い苞をもつ。総苞は細い鐘形、無毛、粘らない。雄性の頭花の総苞(involucre)は直径1㎝、雌性の球形の頭花の総苞も同じ[やや大きい]。総苞片(leaflets of involucre)は多列(pluriserial)、8~9列、覆瓦状、圧着し、先がごく短く開出し、外側は粗く、腺体は痕跡的、クモ毛があり、しばしば縁が紫色。外総苞片は長楕円状卵形、側位(accumbent)、刺のような尖鋭形、長さ0.5㎜以下の小刺をもつ。内総苞片は披針形、刺が無い。果実は長楕円形、オリーブイエロー色又は褐色の痩果=分果(hemicarp)であり、不明瞭な縦の溝がある。痩果の長さは、2.5~4㎜×幅約1㎜、重さは2 mg.。冠毛は汚白色、花時には花冠より短く、果時に約3倍まで伸びる。花期は5~6月。果時は9~10月(花期と果期は5~9月)。

11-4 Cirsium arvense var. vestitum Wimm. & Grab.

  synonym Cirsium incanum (S.G.Gmel.) Fisch. ex M.Bieb.
 中国(新疆)、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ロシア、イラン、イラク、コーカサス、東ヨーロッパ原産。中国名は阿尔泰蓟 a er tai ji。標高500~1700mのはん濫区域の草原に生える。
 茎は灰白色で、上半分にクモ毛がフェルト状にある。葉は表裏異色、下面は灰白色で密にフェルト状、上面は緑色で無毛またはまばらにクモ毛がある。下部と中部の茎葉は無柄、基部は楔形、楕円形~卵形、長さ7~8㎝×幅約3.4㎝、分裂せず、またはときに羽状分裂し、裂片が全縁になり、基部は楔形で、長さ0.2~0.5mmの柔らかい棘で密に縁取られる。上部の茎葉は似ているが、小さい。 総苞は無毛。外および中総苞片は先端に約1㎜の棘がある。花期およぼ果期は8~9月。2n =34, 68。

12 Cirsium ashinokuraense Kadota アシノクラアザミ 芦ノ倉薊
 日本(秋田県)固有種。ブナ林内に生える。
 全体小型、茎の中部に茎葉が集まってつく。頭花は中型、横向き。総苞は筒型、粘らない。総苞片は8~9列、先は開出する。

13 Cirsium ashiuense S.Yokoy. et T.Shimizu アシウアザミ 芦生薊
 日本(京都府、滋賀県)固有種。
 大型で茎はで良く分枝する。頭花は中型、下向き。カガノアザミ(2n=34)に似ているが、2n=68の4倍体である。総苞が鐘状筒形(より太い)。総苞片は8~9列、腺体が狭披針形~線形と、より細長い。

14 Cirsium austrohidakaense Kadota カムイアザミ
 日本(北海道日高山脈の山麓)固有種。
 葉は幅が広く、切れ込みが浅い。頭花は大型、下向き。総苞片は8~9列、開出~反曲。

15 Cirsium babanum Koidz. ダイニチアザミ 大日薊
 日本(新潟県の頸城山地、長野県の白馬岳周辺)固有種。
 頭花は大型、下向き。総苞は椀形、粘らない。総苞片は7~8列、強く反曲し、総苞外片は卵形、先が尾状に長く伸びる。

16 Cirsium bitchuense Nakai ビッチュウアザミ 備中薊
 日本(岡山県、広島県の石灰岩地)固有種。
 葉が中裂~鋸歯縁、しばしば鎌形になる。頭花は小型、直立~斜上、上向き。総苞は筒形、幅7~8㎜、著しく粘る。花期は8~10月。
16-1 Cirsium bitchuense Nakai var. manisanense Kitam. マニサンアザミ

17 Cirsium boninense Koidz. オガサワラアザミ 小笠原薊
 日本(小笠原諸島)固有種。絶滅種。海岸に生える。
 頭花は大型、白色、下向き。

18 Cirsium boreale Kitam. コバナアザミ 小花薊

  synonym Cirsium kamtschaticum Ledeb. ex DC. subsp. boreale (Kitam.) Kitam.

  synonym Cirsium kamtschaticum Ledeb. ex DC. var. boreale (Kitam.) Tatew.

 日本(北海道の道央以北)固有種。北海道で最も普通に見られる。
 高さ1~2.5m。根生葉は花期に無い。葉の基部は茎に沿下する。頭花は小型、直径約3㎝、下向き~横向き。総苞の腺体が白色で目立つ。総苞片は9~10列、ほとんど開出しない。花期は(6中旬)7~8(9)月。2n=68(4倍体)

19 Cirsium borealinipponense Kitam. オニアザミ 鬼薊
  synonym Cirsium nipponense (Nakai) Koidz. var. spinulosum Kitam.
  synonym Cirsium japonicum var. nipponense Nakai
  synonym Cirsium nipponense (Nakai) Koidz.
 日本(秋田県~石川県の日本海側)固有種。
 全体に毛が多い。高さ0.5~1.5m。根生葉は花期にもある。頭花は大型、下向き。総苞は椀形~広鐘形、直径20~30㎜、著しく粘る。総苞片は6列、圧着し、無毛又は薄くクモ毛がある。総苞外片は狭卵形、内片より少し短い。花期は6~10月。

19-1 Cirsium nipponense (Nakai) Koidz. f. albiflorum Ikegami シロバナオニアザミ 異分類

 白花品種。

20 Cirsium brevicaule A.Gray シマアザミ 島薊
  synonym Cirsium brevicaule A.Gray var. oshimense Kitam.
 日本(奄美・琉球諸島)固有種。
 頭花は大型、直立。葉の基部は茎を浅く抱く。総苞は球形~椀形、直径2~3㎝、粘らない。総苞片は10~11列、圧着し、先半部がわずかに斜上する。花期は12月~4月(ほぼ通年)。

20-1 Cirsium brevicaule A.Gray f. albiflorum Kitam. シロバナシマアザミ 白花島薊

 白花品種。

20-2 Cirsium brevicaule A.Gray var. irumtiense (Kitam.) Kitam. イリオモテアザミ 西表薊

  synonym Cirsium irumtiense Kitam.
 日本固有種(宮古島、石垣島、西表島、波照間島、尖閣諸島)。沿岸の草原、砂浜や岩礫地に生える。
 茎は高さ0.3~1m、直立し、単純または上部で数回分枝する。根生葉は花期にもあり、楕円形、長さ約50㎝以下、羽状深裂し、裂片は8対,雌性両全性で雌株がある。

21 Cirsium buergeri Miq. ヒメアザミ 姫薊
  synonym Cirsium confertissimum Nakai var. herbicola Nakai
 日本(滋賀県、山口県、九州)固有種。伊吹山のイブキアザミはヒメアザミの異名である。別名はヒメヤマアザミ。
 茎は短毛が密~まばらにあり、高さ1~2m。花序は総状(~穂状)。葉は羽状浅裂~中裂し、基部は茎をやや抱く。頭花は多数、小型、直径約2㎝、上向き~斜上する。総苞は筒形~鐘形~鐘球形、幅7~10㎜、良く粘る。総苞片は8~10(~11)列、質が厚く、圧着~先端が反曲、中片は楕円形~広三角形(~披針形)、クモ毛がある。花期は8~10月。2n = 68(4倍体)

21-1 Cirsium buergeri Miq. f. albiflorum Honda シロバナヒメヤマアザミ 白花姫山薊

 白花品種。

22 Cirsium calcicola Nakai アキヨシアザミ 秋芳薊

  synonym Cirsium dipsacolepis (Maxim.) Matsum. var. calcicola (Nakai) Kitam.

 日本(秋芳台)固有種。
 頭花は長柄の先に単生し直立。総苞は椀形~筒形、普通、粘らない。総苞片は8~9列、圧着~斜上~短く開出し、総苞外片は短い。花期は10~11月。

23 Cirsium charkeviczii Barkalov エゾマミヤアザミ 
  synonym Cirsium pectinellum A.Gray var. fallax Nakai
 北海道の根室半島、国後島固有種。高層湿原に生える。
 長い匍匐枝を伸ばす。根生葉は花期にある。葉は羽状全裂し、櫛の歯状、葉の基部は茎を抱かない。頭花は横向き。総苞は椀形~筒形、粘らない。総苞片は8~9列、鋭角に斜上する。

24 Cirsium chikabumiense Kadota チカブミアザミ 近文薊
 日本(北海道鷹栖町嵐山=近文山)固有種。エゾマミヤアザミに似るが、超塩基性岩地に生え、匍匐枝を出さない。
 葉は羽状深裂。頭花は中型、下向き。

25 Cirsium chikushiense Koidz. ノマアザミ 野間薊
 日本(鹿児島県)固有種。低山に生える。
 中型の頭花を下向きに。総苞は筒形~広筒形、粘らない。総苞片は8~9列、反曲し、総苞は先が尾状に長く伸び、クモ毛がある。

25-1 Cirsium chikushiense Koidz. f. albiflorum Sakata シロバナノマアザミ

 白花品種。

26 Cirsium chinense Gardner et Champ. カラアザミ 唐薊
  synonym Cnicus chinensis (Gardner & Champ.) Benth. ex Maxim.
  synonym Cirsium laushanense Yabe
  synonym Cirsium manshuricum Kitag.
  synonym Cirsium tchefouense Debeaux
  synonym Cnicus tchefouensis (Debeaux) Franch.
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、河北省、江蘇省、江西省、遼寧省、内モンゴル自治区、山東省、四川省、浙江省)原産。中国名は绿蓟 lü ji。標高100~1600mの山の斜面の草地に生える。YListではヤナギアザミ Cirsium lineare (Thunb.) Sch.Bipのsynonymとしているが、KewscienceやFOCでは別種としている。
 多年草、高さ40~100㎝。 茎は直立し、上半分で分枝し、まれに分枝せず、翼がなく、パリパリの毛(crispate hairs)があり、頭花の下にもクモ毛がある。 葉は表裏同色(concolorous)、緑色、表面は平滑、無毛、または葉脈に沿って長いパリパリとした毛がある。根生葉および下部の茎葉は葉柄があり、葉身は楕円形~披針形、羽状分裂し、または幅がより狭く~ときに線形で不分裂、長さ5~7㎝×幅1~4㎝、裂片は(存在する場合)は3~4対、縁には3~4個の不均等な歯があり、長さ1~2㎜の側小棘と長さ4㎜以下の先端の端棘がある。中部および上部の茎葉は通常分裂せず、縁には長さ3㎜以下の棘がある。頭花は(1~)少数で、不規則な散房花序につき、櫛状の棘のある苞葉で囲まれない。総苞は卵形、直径約2cm、無毛またはほぼ無毛。総苞片は覆瓦状、約7列、しばしば外面に暗色の樹脂腺がある。外総苞片は三角形、長さ5~8㎜×幅1.2~2㎜、先は鋭形~尖鋭形で、先端には長さ約0.5㎜の小棘がある。中および内総苞片は披針形~線状披針形、長さ1~1.4㎝×幅2~3㎜。 内総苞片は先端に向かって拡張し、薄膜質の紫ピンク色の小歯のある付属体がある。小花は両性。花冠は紫赤色、長さ約2.4㎝、筒部は長さ約1.2㎝。痩果は長さ約4㎜。 冠毛は剛毛は汚白色、長さ約1.5㎝。花期および果期は6~10月。

27 Cirsium chokaiense Kitam. チョウカイアザミ 鳥海薊
 日本(秋田県、山形県の鳥海山)固有種。
 根生葉は花期にもある。頭花は大型、下向き。総苞は鐘形~広鐘形、著しく粘る。総苞片は6列、圧着し、薄くクモ毛で被われるか又は無毛。2n=34。花期は8~9月。

28 Cirsium confertissimum Nakai コイブキアザミ 小伊吹薊
 日本(滋賀県伊吹山)固有種。
 高さ0.5~1m。茎は茎葉が密生してつき、毛が密生する。葉は羽状深裂。花序は散房状~総状。頭花は無柄、小型、直径約2㎝、多数、密集して上向きにつく。総苞は幅(4.5~)5.1~6.6(~7.4)㎜、クモ毛が目立つ。総苞片は7~9(~10)列、質が薄く、圧着し、中片は三角形(~卵形)。2n=34。
 イブキアザミはヒメアザミであり、コイブキアザミとしばしば混同され、中間型もあるといわれていた。しかし、中間型は交雑種ではなく、イブキアザミの風衝地型と推定されている。

29 Cirsium congestissimum Kitam. ヒッツキアザミ 引っ付き薊
 日本(三重県、岡山県、島根県)固有種。草原に生える。
 高さ1~1.5m。根生葉は花期に無い。葉の基部は茎を抱かない。頭花は多数、小型、上向きに密集してつく。総苞は筒形、幅17~20㎜、粘らない。総苞片は8~9列、大きく反り返る。

30 Cirsium dipsacolepis (Maxim.) Matsum. モリアザミ 森薊
  日本(本州、四国、九州)固有種。別名はヤブアザミ。草原に生える。
 根は直根、ゴボウの根に似る。頭花は大型、直立、上向き。総苞は椀形~広鐘形、腺体が無く、粘らない。総苞片は6~7列、硬い革質、開出~反曲し、総苞外片は先が尾状に長く伸び、多少ともクモ毛がある。
 ※キクゴボウ(立川ゴボウ、アザミバゴボウ、 アザミゴボウ)は 根の太いモリアザミCirsium dipsacolepisが原種の栽培種。会津坂下町立川集落を中心に栽培されている。切り口の模様が菊の花に似ていることから、菊ごぼうと呼ばれる。ゴボウという名がつけられているがモリアザミの根でありる。三森山に自生していたものを栽培したのが始まりといわれ、本格的な栽培は明治以降。

31 Cirsium domonii Kadota リョウウアザミ 両羽薊
 日本(秋田県、山形県)固有種。海岸に生える。
 高さ0.7~2m。葉は切れ込まず、鋸歯縁、基部は柄状、茎を抱く。頭花は中型、直立。総苞は広筒形、粘らない。総苞片は11~12列、開出~反曲。

32 Cirsium echigomontanum nom. nud. エチゴヒメアザミ(新称)
 日本(新潟県~福井県)固有種。カガノアザミに類似するが、総苞片の腺体は線形で発達が悪く、ほとんど粘らない。

33 Cirsium esculentum (Sievers) C.A.Mey. レンザアザミ 連座薊
 中国( 河北省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア、ウズベキスタン、カザフスタン原産。中国名は莲座蓟 lian zuo ji 。標高500~3200mの湿った場所、平野または丘陵地の水辺に生える。
 多年草。無茎、すべての葉は根生し、ロゼットをつくり、表裏同色、緑色、表面は平滑、密~疎に長い多細胞の毛がある。葉柄は全縁の連続した翼をもつ。葉身は倒披針形~±狭い楕円形、長さ6~21㎝×幅2.5~7㎝、羽状分裂し、裂片は4~7対、基部の裂片は通常棘に退化し、その他は斜めの卵形、楕円形、または半円形、縁に長さ2~4㎜の小棘があり、歯の先端には長さ1㎝までの棘がつき、頂裂片が最も大きい。頭花は5~9個、基部に束生する。総苞は鐘形、直径2.5~3㎝、無毛。総苞片は覆瓦状、約6列につき、縁の棘、翼、および薄膜質の付属体を欠く。外~中総苞片は卵形~披針形、長さ10~20mm×幅2~4㎜、先は鋭形、先端には長さ0.5㎜までの棘がある。内総苞片は線状披針形~線形、長さ2.5~3㎝×幅0.2~0.3㎝、先は尖鋭形で薄膜質。小花は両性。花冠は紫色、長さ約2.7㎝、筒部は長さ約1.5㎝。痩果は帯黄色、長さ約5mm。冠毛は剛毛、白色または汚白色、長さ約2.7㎝。花期および果期は8~9月。2n=34。

34 Cirsium fauriei Nakai キソアザミ 木曽薊
 日本(中央アルプス、木曽御岳、乗鞍岳、北アルプス南部)固有種。高山帯も草原に最も普通に生える。
 高さ0.4~1m。茎は直立~斜上し、単純または上部でわずかに分枝する。根生葉は花期には無い。葉柄は基部が抱茎。茎葉は楕円状卵形~狭卵形、長さ10~30㎝、羽状深裂~中裂し、裂片は6~8対、先の棘は長さ3~5㎜。両全性。頭花は単生または数個がまばらな総状花序につき、長い花序柄の先に点頭する。総苞は鐘形~椀形、生体時に直径9~16mm。総苞片は6~7列、斜上~反曲し、クモ毛がある。外総苞片は狭卵形、内総苞片とほぼ同長。腺体は披針形でよく発達し、著しく粘る。小花は淡紅紫色、長さ15~18㎜、筒部はのど部(広筒部)より長い。雄しべは半突き出し、花柱は突き出る。痩果は淡褐色、長さ3.5~4mm。冠毛は2列、長さ13~15㎜、汚白色、羽状。2n=68(4倍体)。花期は8~10月。

35 Cirsium ferum Kitam. ツワモノアザミ
 台湾固有種。中国名は鱗毛薊 lin mao ji。標高1600~3000mの山中の藪の中に生える。
 高さ60~100㎝、茎は直立し、溝状の線条があり、密に微軟毛があり、先で分枝する。根生葉は紙質、披針形、長さ10~15㎝×幅2.5㎝、先は長く尖鋭形、基部は抱茎、羽状分裂し、裂片は10~12個、3裂し、裂片の先端の棘は長さ6~8㎜、直軟毛があり、両面に毛がある。茎葉は長さ9~11㎝、羽状中裂、棘があり、上部の葉は次第に小さくなる。頭花は頂生、直径約3cm、1~2枚の葉のような苞葉で囲まれる。総苞は球状鐘形、長さ1.5~2㎝×幅2.5~3.5㎝、総苞片は7列、線形、外側と中部の総苞片は長さ5~10mm、内総苞片は膜質。花冠は紫色、長さ17~20㎜×幅3~8㎜、細い筒部は長さ約10㎜、花冠の残りの部分の1.5倍の長さ。痩果は長さ2.5~3.5㎜。冠毛は褐色、長さ15~17㎜。

36 Cirsium funagataense Kadota リクゼンアザミ 陸前薊
 日本(宮城県)固有種。北部のブナ帯に生える。
 高さ1~1.5m。根生葉は花期に無い。葉は羽状中裂~浅列、基部は浅く茎を抱く又は抱かない。頭花は中型、下向き。総苞は筒形、粘らない。総苞片は9~11列、開出~反曲、クモ毛は無い。

37 Cirsium furusei Kitam. ウラジロカガノアザミ
 日本(長野県中央アルプス全体)固有種。
 頭花は小型、下向き。葉の下面が白色。葉は多くは羽状深裂し、しばしば、脈に沿って白斑が見られ、下面には白色のクモ毛が密生する。葉はの基部は茎を抱かない。頭花は小型、下向き。総苞は狭筒形、粘る。総苞片は11~12列、圧着又は先が短く斜上、縁に複数の刺がある。よく似て、葉裏に白毛がないものはハリカガノアザミCirsium spinuliferum 。

38 Cirsium ganjuense Kitam. ガンジュアザミ 岩手薊
 日本(岩手県の早池峰山、岩手山)固有種。
 高さ0.5~1.5m。根出葉は花期には無い。中部以下の茎葉は基部が茎を抱く。頭花は大型、直径3~4㎝、直立~斜上、上向き。総苞は粘らない。総苞片は長く、開出する。

39 Cirsium grandirosuliferum Kadota リョウノウアザミ 両濃薊
 日本(長野県、岐阜県)固有種。湿地に生える。
 頭花は多数、小型、上向き。総苞は狭筒形、著しく粘る。総苞片は11~12列、普通、圧着する、ときに上半部がわずかに斜上し、薄くクモ毛で被われる。2n=34。

40 Cirsium gratiosum Kitam. ホウキアザミ 箒薊
 日本(南アルプス)固有種。別名はハハキアザミ。
 大型の総状花序に頭花が多数つき、箒状になる。頭花は小型、下向き。総苞は細い円筒形、良く粘り、まれに粘らないものもある。総苞片は7~8列、先端が短く開出する。

40-1 Cirsium gratiosum Kitam. var. alpinum (Nakai) Kitam. ミヤマホソエノアザミ

  synonym Cirsium shinanomontanum nom. nud.
 日本(長野県中部)固有種。
 茎はやや細く、枝も長く伸びる。頭花は多数、小型、枝先や葉腋に1~数個密集し、下向きにつく。総苞は筒形。総苞片は約8列、総苞中片と外片が長く開出し、縁に小刺がある。

41 Cirsium grayanum (Maxim.) Nakai マルバヒレアザミ 丸葉鰭薊
 日本(北海道道南地方、青森県)固有種。
 しばしば、茎に翼がある。葉の基部はわずかに茎を抱く。頭花は小型、直立~斜上する。総苞は鐘形、粘らない。総苞片は7~8列、斜上し、総苞外片は狭披針形、内片の半長、普通、クモ毛はない。花期は8月~9月。2n=102(6倍体)

42 Cirsium gyojanum Kitam. ギョウジャアザミ 行者薊
 日本(紀伊山地、四国山地)固有種。
 根生葉は花期にある。葉は羽状深裂。頭花は小さく、直立~斜上、上向き。総苞は狭筒形、著しく粘る。総苞片は10~11列、基部が直立し、上半部は広角度に斜上し、薄くクモ毛がある。

43 Cirsium hachijoense Nakai ハチジョウアザミ 八丈薊
 日本(伊豆諸島)固有種。
 花期に根生葉が無く、下部の茎葉は大形、やや肉質。頭花は大きく、,総苞は椀形~鐘形。総苞片は8~9列、斜上~反曲し、クモ毛がある。2n=68(4倍体)。

44 Cirsium hachimantaiense Kadota ハチマンタイアザミ 八幡平薊
 日本(八幡平)固有種。
 頭花は大型、数個が密集して、下向きにつく。総苞は広鐘形~椀形、著しく粘る。総苞片は7~8列、圧着し、薄くクモ毛で被われる。

45 Cirsium hagurosanense Kadota ハグロサンアザミ 羽黒山薊
 日本(山形県鶴岡市)固有種。
 根生葉は花期には無い。葉は葉柄があり、葉柄の基部は茎を抱かない。頭花は細長い柄の先に、直立~やや下向きにつく。総苞は鐘形~筒形、ほぼ無毛、わずかに粘る。総苞片は8~9列、わずかに反曲~開出。苞葉は約5個、長さ約5㎝。

46 Cirsium hanamakiense Kitam. ハナマキアザミ 花巻薊
 日本(岩手県、秋田県)固有種。
 花期に根性葉はない。葉は羽状中裂~深裂、両面に薄くクモ毛があり、基部は短柄状、茎を抱く。頭花は多数、小型、長柄の先に横~下向きにつく。総苞は筒形~細い鐘形、良く粘る。総苞片は11~12列、先は短く開出し、反曲する。

47 Cirsium happoense Kadota ハッポウアザミ 八方薊
 日本(長野県白馬村八方尾根)固有種。
 葉は羽状深裂。頭花は中型、下向きにつく。総苞は広鐘形~鐘形、少し粘る。総苞片は6~7列、斜上~反曲し、クモ毛がある。

48 Cirsium hasunumae Kadota フタマタアザミ 二俣薊
 日本(福島県)固有種。
 葉は短柄があるか又は無柄、基部はわずかに茎を抱く。頭花は多数、小型、長柄の先に、下向きにつく。総苞は狭筒形、やや赤みを帯び、普通、良く粘るが粘らないものもある。総苞片は11~12列、先端が短く斜上~反曲。総苞中片に膜状部がある。

49 Cirsium heiianum Koidz. トオノアザミ 遠野薊
 日本(岩手県、青森県)固有種。
 直立し、分枝するが、枝は短い。葉は革質、浅裂~鋸歯縁、基部は茎をやや抱くか又は抱かない。頭花は多数、小型、無柄、上向き。総苞は筒形~狭筒形、普通、粘らない。総苞片は11~12列、縁が膜質になる。花期は8~10月。

50 Cirsium heterophyllum (L.) Hill キルシウム・ヘテロフィルム
 ヨーロッパ、西アジア原産。英名はmelancholy thistle。
 高く直立し、高さ45~120(~150)㎝、這う走出枝を出し、刺が無い。茎に綿毛があり、うねがある。根生葉は長い葉柄があり、楕円状披針形、長さ15~40㎝×幅4~8㎝、上面は無毛、下面は白色のフェルト状、縁は柔らかい刺状の歯縁。上部の葉は下部の葉より小さく、花茎を抱く。花は枝先に単生し、頭花は直径3~5㎝、初め垂れ下がり、その後、直立する。総苞は長さ2~3㎝×幅2~3.5㎝、総苞片は鋭形、先端が紫色。花期は6~8月。
品種 'Pink Blush'

51 Cirsium hidakamontanum Kadota ヒダカアザミ 日高薊
 日本(北海道日高山脈)固有種。
 茎葉は分裂せず、基部が著しく耳状になり、茎を抱く。頭花は大型、ワインレッド色、下向き。総苞外片が5列。痩果に稜がある。チシマアザミとの中間型も見られる。

52 Cirsium hidapaludosum Kadota et Nagase ヒダキセルアザミ
 日本(岐阜県飛騨地方)固有種。
 湿地に生える。葉は羽状深裂。頭花は直立、上向き。総苞は筒形~筒状鐘形、粘らない。総苞片は9~10列、鋭角に斜上し、無毛。

53 Cirsium homolepis Nakai オゼヌマアザミ 尾瀬沼薊

  synonym Cirsium inundatum Makino subsp. homolepis (Nakai) Kitam.

 日本(尾瀬周辺の湿地)固有種。
 花期に根性葉はない。葉は羽状深列、茎葉に基部は茎を抱く。花は上向きにつく。総苞は鐘形、粘らない。総苞片は針状、斜上する。花期は7~9月。

54 Cirsium horiianum Kadota オガアザミ 男鹿薊
 日本(秋田県男鹿山地)固有種。
 茎は下部ではほとんど分枝せず、上部で分枝する。頭花は小型、多数、下向き~横向き。総苞は狭筒形、粘らない。総苞片は9~10列、先端が開出し、やや反曲。

55 Cirsium hosokawae Kitam. モモヤマアザミ 桃山薊
 台湾原産。中国名は細川氏薊 。標高1600~3000mの露出した登山道に生える。
 茎は長さ40㎝、溝状条線があり、密にクモの毛がある。根生葉は倒披針形、長さ約22㎝×幅5~6㎝、先は尖鋭形、基部は漸尖し葉柄に続き、羽状中裂し、裂片は8~9個、卵形またはしばしば3裂し、小裂片の棘は長さ5~8㎜、クモ毛が密生する。茎葉は次第に小さくなり、多数つき、倒披針形~披針形、基部は漸尖し、先は尖鋭形、羽状中裂し、裂片は3裂、棘があり、密にクモ毛がある。頭花は頂生、しばしば2~3個が密集し、直径3~3.5㎝。総苞は多少、クモ毛があり、球状鐘形、長さ18~20㎝×幅約30㎝。総苞片は6列、直立し、外側の総苞片は細長く、通常、長い。花冠は淡黄色またはバラ紫色、長さ15㎜、拡大部はしばしば筒部より短く、裂片は不均等。 冠毛は褐色、長さ13~14mm。(Flora of Taiwan)

56 Cirsium hupehense Pamp. オオヤナギアザミ 大柳薊
  synonym Cirsium lineare var. franchetii Kitam
  synonym Cirsium lineare var. salicifolium Ling
  synonym Cirsium lineare f. tomentosum Petr.

  synonym Cirsium lineare var. uninervium (Lev. et Vaniot) Petrak

 中国(河北省、河南省、安徽省 , 江西省 ,福建省 , 広東省 , 香港 , 広西省 , 湖南省 , 湖北省 , 貴州省 , 雲南省 , 四川省 , 陝西省 , 甘粛省 )に分布。中国名は湖北蓟 hu bei ji。
 いわき市で発見されたアザミである。.ヤナギアザミに似て2n= 28である。大型であるところから、オオヤナギアザミと命名された。ヤナギアザミとは異 なる点は次の通り。頭花が大型で直立 して開花。総苞片は9列、内総苞片及び中総苞片の付属体が大きく広がる。高さが2mと全体的に大型。
 ヤナギアザミ節は総苞中片・内片に発達した付属体をもち、直立する根をもち、染色体数が2n= 28である。Cirsium hupehenseは深圳植物志などに解説があるが、いずれも総苞片は約6列である。Flora of Chinaではヤナギアザミ(Cirsium lineare)に含めている。
Cirsium hupehenseの解説【深圳植物志】
 多年草、高さ0.4~1m。 茎は直立し、基部の直径1~1.3㎝、上部又は下部で分枝し、枝は稜があり、、下部にクモ毛状絨毛があり、上部は灰白色、薄く絨毛がある。中部の茎葉はほぼ無柄、質厚く、長楕円形披針形~長楕円形、長さ9~18㎝×幅1.5~3㎝、分裂せず、不等長の刺があり、下部の縁には三角形~斜めの三角形の鋸歯がある。上部の茎葉は次第に小さくなり、長楕円状披針形~楕円形~長披針形~広線形、縁に刺があり、全部の葉の下面が灰白色、絨毛に密に覆われる。葉の上面は緑色、疎に細かい伏毛がある。頭花は直径2~2.5㎝、枝先の散房花序状の集散花序に数個つき、まれに、枝先に単生し、総苞は卵形、直径2~2.5㎝。総苞片は約6列、無毛、背面中脈に粘る腺があり、外から内総苞片に向かって次第に長くなり、外総苞片は長三角形、長さ約5㎜×幅約1㎜、先端は急に尖り、刺がある。最も内側の内総苞片は三角状披針形又は披針形、長さ1~1.5㎝、先端は拡大し、膜質。管状花は多数、長さ2~2.2㎝、花冠は紫紅色又は紅色、拡大部は長さ約1.5㎝、不等に5浅裂する。痩果は倒卵形、長さ3~3.5㎝×幅約2㎜、扁平、先端は斜めの切形。冠毛は淡褐色、長さ約1.5㎝。花期は8~11月。果期は8~11月。

57 Cirsium indefensum Kitam. イズモアザミ 出雲薊

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. indefensum (Kitam.) Kitam.

 日本(広島県、島根県、山口県)固有種。別名はトゲナシアザミ。
 高さ1~2m。根出葉は花時には無い。葉は羽状深裂~浅裂、基部は茎を抱かない。頭花は中型、直径2~2.5㎝、横向き。総苞は卵形、暗紫色を帯び、クモ毛がある。総苞片は12列、やや短く先が斜上する。花期は9~11月。

58 Cirsium inundatum Makino タチアザミ 立薊
 日本(青森県~富山県の主に日本海側)固有種。水湿地に生える。
 高さ1~2m。下部の葉の基部は耳状、抱茎。頭花は2~3個つき。中型、上向き。総苞は粘らない。総苞片は6~7列、硬い針状、斜上する。花期は8~10月。2n=102(6倍体)。

59 Cirsium irimtiense Kitam イリオモテアザミ 西表薊
 日本(宮古島、石垣島、西表島、波照間島、尖閣諸島)固有種。雌性両全性、雌性株がある。

60 Cirsium ishidatense (Horiuchi) Kadota et Horiuchi, comb. ined イシダテアザミ 石立薊

 日本(四国の石立山)固有種。生育地は石灰岩地1か所だけ。
 花期に根生葉がある。頭花は大型、下向きに。

61 Cirsium ishizuchiense (Kitam.) Kadota イシヅチアザミ 石鎚薊
  synonym Cirsium tenue Kitam. var. ishizuchiense Kitam.
 日本(四国全土)固有種。別名はイシヅチウスバアザミ。
 高さ0.7~1.5m。茎は上部で分枝し、枝は短い。葉柄は短叉は無、葉の基部は茎を抱く又は抱かない。頭花は小型、多数、下向き。総苞は狭筒形、直径5~7㎜、クモ毛があり、よく粘る。総苞片は8~9列、開きぎみに斜上~開出する。2n=34。花期は8~10月。

62 Cirsium ito-kojianum Kadota アッケシアザミ 厚岸薊
  synonym Cirsium shikotanense (Miyabe et Tatew.) Barkalov
 日本(北海道東部)固有種。別名はシコタンアザミ。大型、海岸に生える。
 枝が開出し、長い。中部の茎葉が羽状分裂する。花序柄は太い。頭花は下向き。総苞片は(8~)9~10列、外総苞片が長い。

63 Cirsium japonicum Fisch. ex DC. ノアザミ 野薊

  synonym Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. villosum Kadota ビャッコアザミ 

 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(重慶省、福建省、広東省、広西省、貴州省、河北省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、内モンゴル、青海省、山西省、山東省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ベトナム原産。標高400~2100mの森林、林縁、雑木林、草地、荒地、農地、道端、川辺に生える。
 多年草、高さ30~80(~150)㎝。 根は塊根があり、紡錘形。茎は灰白色で、直立し、上部で枝分かれしていないかまたは枝分かれし、うねがあり、翼がなく、疎~密に長い多細胞毛が頭花の下の密なフェルト状の毛に混じる。葉は表裏同色、緑色、葉脈に沿ってまばらに多細胞毛があるか、または無毛で表面は平滑。 根生葉は開花時にあり、葉柄に翼があり、翼に棘があり、または棘のある歯をもつ。葉身は卵形、倒卵形、または±狭楕円形、長さ8~20㎝×幅2.5~8㎝、羽状に分裂し、裂片は6~12対、卵状披針形、楕円形、±狭三角形、または三角状披針形、縁に歯があり、歯に縁の棘と先端に長さ2~6㎜の棘があり、頂裂片は最大で、披針形~狭三角形。下部と中央の茎葉は似てるが無柄で、上部で次第に小さくなり、半抱茎になる。頭花は単独または少数つき、茎頂に集まり、直立し、まれにうなずく。総苞は鐘形、直径約3㎝、無毛またはまばらなクモ毛がある。総苞片は圧着し、覆瓦状、約6列につき、縁の小棘、翼、薄膜質の付属体を欠き、外面に暗色の樹脂腺(普通、著しく粘る)がある。外および中総苞片は三角形~狭三角形、長さ8~13㎜×幅3~3.5㎜、狭くなり長さ1~2㎜の棘になる。内総苞片は披針形~線状披針形、長さ1.5~2㎝×幅0.2~0.3㎝、先端は尖鋭形、柔らかく棘がある。小花は両性。花冠は赤色~紫色、長さ約2.1㎝、筒部は長さ約9㎜。痩果は長さ約4㎜。 冠毛の剛毛は淡褐色、長さ約2㎝。花期および果期は4~11月。
品種  'Early Pink Beauty' , 'Early Rose Beauty' , 'Mura-kumo' (v) , 'Pink and Rose Beauty' , 'Pink Beauty' , 'Rose Beauty' , 'Snow Beauty' , 'Strawberry Ripple' , 'White Beauty' , 'White Victory'

63-1 Cirsium japonicum var. japonicum ノアザミ 野薊 狭義

  synonym Cirsium japonicum var. horridum Nakai トゲアザミ 刺薊
  synonym Cirsium kawakamii Hayata ニイタカアザミ
  synonym Cirsium hainanense Masam

  synonym Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. ibukiense (Nakai) Nakai ex Kitam. ミヤマコアザミ

  synonym Cirsium japonicum var. australe Kitam. タカサゴアザミ 高砂薊

  synonym Cirsium nakaianum (H.Lév. & Vaniot) Nakai ホソバカラノアザミ

  synonym Cirsium japonicum var. fukienense Kitam.
 日本、朝鮮、中国、台湾、ベトナム原産。多数の変種や品種に分類されていたが、多くは基準種に統合された。
 日本では初夏に咲き、平地でよく見られ、花茎があまり分枝しない形と、本州(東北地方、中部地方)の内陸地に分布し、花期が夏~秋で、茎が良く分枝するものの二型がある。雌性両全性であり、雌株が各地で見つかり、西日本に多い。別種カラノアザミ(Cirsium maackii Maxim.)はよく似ていて、混同されてきたが、塊根が肥大する別種である。

63-2 Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. diabolicum (Kitam.) Kitam. ex Ohwi オニオオノアザミ 鬼大野薊

  synonym Cirsium diabolicum Kitam.
 富山県黒部市の北アルプス北部に分布。両全性。頭花は大型、やや横を向いてつく。

63-3 Cirsium japonicum Fisch. ex DC. f. leucanthum Nakai シロバナアザミ 白花薊

 白花品種

63-4 Cirsium japonicum var. maritimum Konta & Katsuy. シオカゼノアザミ 潮風薊

 伊豆半島で発見されたもの。海岸、草地に生える海岸型。
 高さ15~60㎝。葉に厚みがあり、刺が長い。花期は4~6月[Bull. Natl. Sci. Mus., Tokyo, B. 31(4): 142 (2005)]。

63-5 Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. vestitum Kitam. ケショウアザミ 化粧薊

  synonym Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. okiense H.Koyama et Murata オキノアザミ

 日本(本州の京都府、大阪府以西、四国)に分布。
 茎や葉など全体的に白毛が多い。ノアザミでも茎や葉に毛が多く生えたものがあるが、葉の下面の脈上だけでなく面全体に白毛がある。花期は4~8月。
 オキアザミはケショウアザミに含められた。沖ノ島に生え、高さは50~200㎝、総苞片が6列で、総苞は粘らない。花期は5~8月。

63-5-1 Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. vestitum Kitam. f. arakii (Kitam.) Kitam. シロバナケショウアザミ 白花化粧薊


ノアザミの基準種に含められた品種等


(1) Cirsium japonicum f. albiflorum G.Y.Li & D.Y.Ou シロバナカラノアザミ

(2) Cirsium japonicum var. australe Kitam. タカサゴアザミ 高砂薊

(3) Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. horridum Nakai トゲアザミ 刺薊

 四国の徳島県(剣山系)、愛媛県(石鎚山系、赤石山系)に分布。
 全体に毛が多い。総苞片は刺が斜上する。

(4) Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. ibukiense (Nakai) Nakai ex Kitam. ミヤマコアザミ 深山小薊

  synonym Cirsium ibukiense Nakai

(5) Cirsium japonicum f. nakaianum (H.Lév. & Vaniot) W.Lee ホソバカラノアザミ

  synonym Cirsium Cirsium nakaianum (H.Lév. & Vaniot) Nakai

(6) Cirsium japonicum var. takaoense Kitam. タカサゴアザミ

(6)-2 Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. takaoense Kitam. シロバナタカサゴアザミ

 タカサゴアザミの白花

(7) Cirsium kawakamii Hayata ニイタカアザミ

 台湾原産。中国名は褐冠蓟[中国植物誌]。

64 Cirsium kagamontanum Nakai カガノアザミ 加賀野薊
 日本(新潟県~京都府)固有種。カガノアザミは頭花に細長い柄があって、 まばらにつき、 下向きに咲き、 総苞は粘る。
 高さ1.5~2m。根出葉は花期にない。葉は羽状中裂し、質が薄い。頭花は小型、長柄の先に点頭し、下向き。総苞は筒形、クモ毛があり、著しく粘る。総苞片は圧着する。花期は8~10月。

64-1 Cirsium kagamontanum Nakai f. albiflorum Ikegami シロバナカガノアザミ 白花加賀野薊

 白花品種。

65 Cirsium kamtschaticum Ledeb. ex DC. チシマアザミ 千島薊
 北海道、千島列島固有種。
 花期に根出葉はない。茎には翼がある。茎葉は鋸歯縁~羽状中裂し、無柄、基部は耳状に抱茎する。頭花は大型(中型)、下向きに点頭する。総苞は椀形~鐘形~筒形、多少、クモ毛があり、粘らない。総苞片は6~7列、反曲~開出し、腺体がないか、あっても腺体は白色で退化的である。2n= 68(4倍体)。花期は6~9月。

65-1 Cirsium kamtschaticum Ledeb. ex DC. f. velutinum Kawano ビロードエゾアザミ


66 Cirsium kasaianum Kadota ナトリアザミ 名取薊
 日本(宮城県南部)固有種。
 高さ0.5~1.5m。上部の花序以外はほとんど分枝しない。葉は質が柔らかく、粗い鋸歯縁、基部は狭くなり、茎を抱く。頭花は数個つき、小型、下向き。総苞は狭筒形、まばらにクモ毛があり、粘らない。総苞片は7~8列、短く開出し、総苞外片は内片より短い。花期は9~10月。

67 Cirsium katoanum Kadota ウゼンヒメアザミ 羽前姫薊
 日本(山形県)固有種。
 葉は質が厚く、刺は弱く、鋸歯縁、中部以下の葉の基部は茎を抱く。頭花は小型、上向き。総苞は筒形~鐘形、クモ毛があり、粘る。総苞片は反曲し、膜状部分がある。花期は9月頃。

68 Cirsium kenji-horieanum Kadota アサヒカワアザミ 旭川薊
 日本(北海道旭川市、幌加内町)固有種。塩基性岩地に生える。
 植物体が大きい。頭花は小型、多数、下向き。総苞は大きい白色の腺体が目立つが、粘らない。2n=68。

69 Cirsium kirishimense Kadota et Masami Saito キリシマアザミ 霧島薊
 日本(宮崎県の霧島山、鰐塚山及び鹿児島県の霧島山、高隈山)固有種。ツクシアザミ(Cirsium suffultum)に似ているが、花期に根生葉が残るのが特徴。
 葉は上部の葉も羽状深裂する。頭花は大型、下向き。総苞は粘らない。総苞片は8~9列。痩果は長さ4.5㎜以上。ウンゼンアザミと区別するのは難しいが、痩果の長さが異なる。

70 Cirsium kujuense Kadota  クジュウアザミ 久住薊
 日本(大分県、宮崎県)固有種。根生葉が花期にも残る。葉は羽状深裂、裂片は細い。頭花は中型、下向き。総苞はクモ毛がある。総苞は卵形。総苞片は長く、緑色の基部以外は紫褐色を帯び、開出し、先端の刺が白色で目立つ。

71 Cirsium leo Nakai et Kitag. アラムシャアザミ 荒武者薊
 中国(甘粛省、河北省、河南省、寧夏回族自治区、陝西省、山西省、四川省)原産。中国名は魁蓟 kui ji 。標高700~3400mの山の谷、斜面、森林縁、浸水地、岩の隙間、小川沿い、湿った場所に生える。
 多年草、高さ40~100cm。茎は単純または房状で、直立し、上部で分枝しているか、またはまれに分枝していないが、うねがあり、翼がなく、長いパリパリの多細胞の毛がある。 葉は表裏同色、緑色で、表面は平滑、クモ毛はないが、下面に葉脈に沿ってパリパリの多細胞の毛が密にあり、葉脈以外には散在する。根生葉および下部の茎葉は葉柄が長さ5㎝以下、葉身は楕円形~倒披針状楕円形、長さ10~25㎝×幅4~7㎝、羽状深裂し、裂片は8~12対、半円形、±狭楕円形、または斜めの三角形、不均等な三角形の歯があり、側棘と先端に長さ(3~)5~6(~12)㎜の棘がある。中部と上部の茎葉は似ているが、無柄、上方では次第に小さくなる。頭花は散房花序につく。総苞は鐘形、直径約4㎝、クモ毛がまばらにある。総苞片は約8列、翼と薄膜質の付属体が無く、すべて等長。外および中総苞片は長さ2~3㎝×幅0.2~0.3㎝、長さ2.5㎜以下の小棘で櫛状に縁取られ、基部は三角形~披針形、先は錐形、先端に長さ約3㎜の小棘がある。内総苞へは披針形~線形、長さ約2㎝×幅0.1~0.2㎝、先は長い尖鋭形。小花は両性。花冠は紫赤色、長さ約2.4㎝、筒部は長さ約1㎝。痩果は暗灰色、長さ約5㎜。冠毛は剛毛、汚白色、長さ約2.2㎝。花期および果期は5~9月。

72 Cirsium lineare (Thunb.) Sch.Bip. ヤナギアザミ 柳薊

  synonym  中国原産。中国名は绿蓟 lu ji。

  synonym Cirsium lineare (Thunb.) Sch.Bip. var. discolor Nakai

  synonym Cirsium hupehense Pampanini
 日本(山口県、四国、九州)、中国(安徽省、重慶省、福建省、甘粛省、広東省、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、タイ、ベトナム原産。中国名は线叶蓟 xian ye ji。別名はウラジロヤナギアザミ、ウラユキヤナギアザミ。標高500~2500mの山の斜面、藪、林縁、草地、道端、荒地、農地に生える。
 ヤナギアザミは普通、葉の表面は無毛だが、 時にざらつくことがあり、多細胞の毛さえある。ヤナギアザミは日本の標本に基づいて発表されたが、 中国に広く分布し、このようにC. luducii とも類縁があるので、 中国大陸から日本に侵入したアザミと考えられる[Vol. 33 (1982/04/20)アジアのキク科植物 北村四郎 190-200]。
 多年草、高さ(0.3~)0.6~1.5 m。茎は直立し、基部や上部から分枝し、うねがあり、翼は無く、クモ毛があり、長いパリパリの(縮れた)毛があるか無毛。葉は表裏異色(discolorous)、下面は灰白色でクモ毛があり、上面は緑色、無毛、いくらかパリパリの縮れ毛をもち、又は先端にパピラのある毛で密に覆われ、表面はわずかに粗だが、小棘は無い。下部と中部の茎葉は無柄又は短柄。葉身は卵形~披針形~楕円形~倒披針形、長さ6~18(~23)㎝×幅1.5~3(~5)㎝、分裂せず又はまれに少数の裂片又は下部の1/3に歯をもち、基部は楔形、縁には±規則的な小棘があり、先は鈍形~尾状尖鋭形。上部の茎葉は似ているが常に無柄、しばしば、狭くなり、上側で次第に小さくなる。頭花は頂生、緩やかな散房花序につき、くし状の棘のある鋭く尖った苞で取り囲まれない。総苞は±狭卵形、直径1~2.5㎝、無毛。総苞片は覆瓦状、約6列につき、外側に暗色の樹脂状の腺をもつ(良く粘る)。外総苞片と中総苞片は三角状披針形、長さ5~8㎜×幅約1㎜、先端の小棘は長さ2㎜以下。内総苞片は三角状披針形~線形、長さ10~15㎜×幅1~3.5㎜、先は膜質に広がり、尖鋭形、淡ピンク色又は紫ピンク色、不規則な小歯状の付属体がある。小花は両性。花冠は紫赤色~ピンク色、長さ2~2.2㎝、筒部は拡大部と同長。痩果は長さ約2.5㎜、冠毛は帯褐色~汚白色、長さ約1.5㎝。花期と果期は8~10月。
 Cirsium lineareは総苞の特徴と同様に葉の形とパピラの状態が変化するが、細分化する試みはいずれも早すぎると考えられる。Cirsium hupehense はときに、別種とみなされ、総苞片の先端が開出~反曲する長い刺に終わると解説される。その特徴は我々のどの試料でも観察されない。

73 Cirsium longipedunculatum Kitam. ナガエノアザミ 
 日本(京都府、福井県)固有種。沢沿いの水湿地に生える。葉は茎の中部以下に集まってつく。頭花は多数、小型、長柄の先につく。総苞は著しく粘る。

74 Cirsium lucens Kitam. テリハアザミ 照葉薊
 日本(熊本県)固有種。
 葉は鈍い光沢があるが、強い光沢は無い。頭花は大型、少数、下向きにつける。総苞は筒形、クモ毛はなく、良く粘る。総苞片は9~10列、開出~反曲し、総苞外片は先が尾状に長く伸び、クモ毛がある。

74-1 Cirsium lucens Kitam. var. bracteosum Imae et S.Watan. ヘイケモリアザミ


75 Cirsium maackii Maxim. カラノアザミ 唐野薊
  synonym Cirsium japonicum Fisch. ex DC. subsp. maackii (Maxim.) Nakai
  synonym Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. maackii (Maxim.) Matsum.

  synonym Cirsium japonicum var. spinossimum (Kitam.) Kitam.  サイシュウトゲアザミ

  synonym Cnicus japonicus Maximowicz var. maackii (Maximowicz) Maximowicz

  synonym Cirsium japonicum Fisch. ex DC. subsp. maackii (Maxim.) Nakai var. spinosissimum(Kitam.) Kitam.

  synonym Cirsium maackii Maxim. var. spinosissimum Kitam.
  synonym Cirsium maackii f. albiflorum W.Wang & C.Y.Li
  synonym Cirsium maackii var. spinossimum Kitam.
  synonym Cirsium asperum Nakai
  synonym Cirsium japonicum Candolle var. amurense Kitamura
  synonym Cirsium maackii var. koreiense (Nakai) Nakai

  synonym Cnicus japonicus Maximowicz var. maackii (Maximowicz) Maximowicz

  synonym Cnicus maackii (Maximowicz) Nakai
  synonym Cirsium japonicum var. ussuriense (Regel) Kitamura

  synonym Cirsium japonicum Fisch. ex DC.
var. ussuriense (Regel) Kitam.

  synonym Cirsium litorale Maximowicz var. ussuriense Regel

  synonym Cirsium japonicum Fisch. ex DC. var. litorale auct. non (Maxim.) Kitam.

 韓国、中国(安徽省、河北省、黒竜江省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、山東省、四川省、浙江省)、ロシア原産。中国名は野蓟 ye ji。標高100~1100mの山の斜面、林縁、牧草地、村の近くの草原に生える。
 多年草、高さ40~150㎝。 根は塊根があり、紡錘形。茎は灰白色、直立し、分枝または不分枝、翼がなく、多細胞の毛があり、上部は密にフェルト状になる。葉は表面が平滑、葉脈に沿ってパリパリの毛があり、表裏同色、または±異色で、下面が灰緑色でクモ毛がある。根生葉および下部の茎葉はしばしば、表裏同色で、葉柄には翼があり、翼には棘があるか、または先端に棘のある三角形の歯をもつ。葉身は楕円形~披針形、長さ15~30㎝×幅7~9cm、羽状分裂し、裂片は4~8対、楕円形で、小棘で縁取られ、不均等な三角形の歯があり、側小棘は長さ1㎜未満であり、先端の棘は約5㎜、頂裂片は最も大きい。中部および上部の茎葉は似ているが、無柄で、小さく、ときに分裂せず、表裏異色で、耳のある半抱茎。頭花は1または数個、散房花序につき、直立またはうなずく。総苞は鐘形、直径約2㎝、無毛またはまばらなクモ毛がある。総苞片は約5列、縁の小棘と翼と薄膜質の付属体は無く、上面に暗色の樹脂状の腺体がある。外および中総苞片は3角状披針形~披針形、長さ6~13㎜×幅2~2.5㎜、縁に縁毛があり、先は鋭形、先端には長さ0.5㎜未満の棘がある。内総苞片は披針形~線状披針形、長さ1.3~2.3㎝×幅0.2~0.3㎝。小花は両性。花冠は紫赤色、長さ約2.4㎝、筒部は長さ約1.2㎝。痩果は帯黄色、長さ約4㎜。冠毛は剛毛、白色、長さ約2㎝。花期および果期は6~9月。2n=34, 36。

76 Cirsium magofukui Kitam. イナベアザミ 員弁薊
 日本(三重県、岐阜県、滋賀県)固有種。
 茎は高さ0.7~1.5 m。根生葉は花期には無い。葉は羽状深裂~中裂、刺は弱い。頭花は大型、点頭する。総苞は鐘形~椀形、粘らない。総苞片は8~9列、長く開出~やや反曲し、縁に微細な刺が並ぶ。花期は9月~11月。2n=34。

77 Cirsium makinoi Kadota ナンブアザミ 南部薊
  synonym Cirsium nipponicum sensu Makino, excl. basion.

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. amplexicaule (Nakai) Kitam.

  synonym Cirsium tonense Nakai ナンブアザミ
 日本(東北地方~関東、日本海側の中部地方)固有種。東北地方で最も普通にみられる。高さ1~2m。花期に根生葉がない。葉の基部は茎を抱かない。頭花は直径2.5~3㎝、中型、枝先に多数、下向き。総苞は鐘形、少し粘る。総苞片は(7)8~9列、開出して反り返る。雌性両全性異株で雌性株が分布域の南部で多く見られる。花期は8~10月。2n=68(4倍体)。
 ナンブアザミの学名は長い間、Cirsium nipponicum とされてきたが、基準標本のCirsium nipponicum は頭花が直立するものであることがわかり、キタカミアザミと改名された。これに伴いナンブアザミはCirsium makinoiを採用することになった。
 ※トネアザミCirsium nipponicum var. incomptum (=Cirsium. incomptum)はナンブアザミに比べて葉や総苞の刺針が太くて長く、普通、9~11月に開花する。
 Cirsium tonense Nakai(トネアザミ)の基準標本は群馬県みなかみ町で得られたものであり、これはナンブアザミの葉が羽状に深裂したものであるとされ、ナンブアザミの学名をCirsium tonenseとする見解もある。

77-1 Cirsium makinoi Kadota var. abukumense (Kadota) Kadota アブクマアザミ

  synonym Cirsium abukumense Kadota
 福島県に分布。トネアザミに比べ、茎が著しく枝分かれし、頭花が小型。

77-2 Cirsium makinoi Kadota var. shiroumense (Kadota) Kadota シロウマアザミ 白馬薊

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. shiroumense Kadota
 長野県に分布。超塩基性岩地に生える。頭花が小型、紫色を帯びる。

78 Cirsium maritimum Makino  ハマアザミ 浜薊
 日本(本州、四国、九州)固有種。海岸に生える。頭花は大型、直立。総苞は鐘形、粘らない。総苞片は10~11列、下半部は圧着し、上半部が斜上する。

78-1 Cirsium maritimum Makino f. leucanthum (Nakai ex Honda) Nakai ex Makino シロバナハマアザミ 白花浜薊

  synonym Cirsium maritimum Makino var. leucanthum Nakai ex Honda
 白花品種

79 Cirsium maruyamanum Kitam. ムラクモアザミ 叢雲薊
 日本(鳥取県、島根県、広島県)固有種。湿地に生える。
 頭花は大型、下向き。総苞は鐘形、多少とも粘る。総苞片は7~8列、圧着して先端が斜上し、無毛。花期は5月~7月。

80 Cirsium masami-saitoanum Kadota ヒュウガアザミ 日向薊
 日本(宮崎県、鹿児島県)固有種。
 雌雄異株、多年草、高さ0.7~2.2m。根茎は頑丈、水平、直径3cm以下、根は紐状で細い。茎は溝があり、ほぼ直立し、下部からよく分枝し、まばらにクモ毛がある。花期には根生葉は枯れる。下部の茎葉は上面が鈍緑色、革質~ほぼ革質、ときに、肉質、外形が楕円形~狭楕円形、羽状深~中分裂し、またはまれに単純で粗い鋸歯があり、長さ 20~40㎝×幅7~22㎝、長さ1~6㎜の棘がつき、両面ともほぼ無毛。葉柄は長さ3~5㎝、無毛、わずかに耳があり、沿下しない。葉の裂片は4~9対、卵形、長さ2~9㎝、斜上する。上部の茎葉は下部の茎葉に形が似ているが、小さい。小型の散房花序に頭花が2~5個つき、うなずく。花序柄は長さ(0~)1.5~3.0㎝、クモ毛が密につく。花序の基部に3~5個の葉がつき、葉は狭い披針形~狭卵状披針形、葉状、長さ0.7~2.5㎝、長さ1~2㎜の鋭い棘を持つ。総苞は円筒形、粘らず、長さ16~21㎜×直径8~14㎜(雌雄同体の株; 生体で) および直径6~7㎜(雌株;生体で)、および直径1.5~3㎝ (乾くと;in sicco)、密にクモ毛がある。総苞片は9~10列(雌雄同体の株)または6~7列(雌株)、草質、長さ1㎜の棘が先端にあり、腺体はない(粘らない)。内側の総苞片は線状披針形、長さ約14㎜、直立する。外側の総苞片は広卵形で先が尾状、長さ約6㎜、強く~緩やかに反曲する。花冠は紫色~淡紫色(雌雄同体)または濃ピンク色(雌花)、長さ13~20mm、花冠裂片は長さ3~4㎜、喉部は長さ5~6㎜、筒部は長さ6~9㎜、のど部の長さの約2倍。痩果は灰褐色、長さ約4㎜、うねがある。冠毛は汚白色、長さ10~15㎜。2n=68(4x)。花期は9~11月。

81 Cirsium matsumurae Nakai ハクサンアザミ 白山薊
  synonym Cirsium matsumurae Nakai var. pubescens Kitam.
 日本(岐阜県、富山県、石川県、滋賀県)固有種。葉が切れ込みが浅く、鋸歯縁、中間の茎葉は基部が茎を抱く。頭花は中型、下向き。総苞片は6列、先が反り返る。葉は美味で食用にされる。花期は8~10月。

81-1 Cirsium matsumurae Nakai var. dubium Kitam. ホッコクアザミ 北国薊

  synonym Cirsium hokkokuense Kitam.
 日本(北陸地方の富山県、石川県、福井県)固有種。葉が切れ込まず、鋸歯縁。頭花は中型、下向き。総苞片は8~9列、先端が短く反曲する。

82 Cirsium microspicatum Nakai アズマヤマアザミ 東山薊
 日本(東北地方南部~近畿地方、主に太平洋側)固有種。別名はネバリアズマヤマアザミ。主に山麓部の林縁に生える。
 茎は直立~斜上し、草丈が高く、高さ1.5~2m、下部で枝分かれが少なく、中部以上で分枝し、枝は上向きに鋭角的に伸びる。根生葉は花期にはない。茎葉は長さ23~50㎝、楕円形~広倒卵形、先が鋭く尖り、羽状に中裂~深裂し、長い刺がある。裂片は4~6対。葉の基部は茎を抱かない。頭花は無柄~短柄、葉腋に(1)2~3個まとまって、上向き又は斜め上向きにつく。総苞は狭円筒形、長さ15~20㎜、幅6~10㎜、密にくも毛があり、やや粘る又は粘らない。総苞片は11~12列、短く、わずかに反り返り、先に短い刺がある。小花は長さ18~21㎜、狭筒部が広筒部より長い。痩果は長さ約4㎜、灰褐色、平滑。冠毛は長さ14~16㎜、帯褐色、羽毛状。2n=34。花期は9月~11月。

82-1 Cirsium microspicatum Nakai var. microspicatum アズマヤマアザミ

 本州(関東地方、中部地方)に分布。

82-2 Cirsium microspicatum Nakai f. glutinosum Kitam. ネバリアズマヤマアザミ

 東北地方、北陸地方、近畿地方に分布し、総苞が著しく粘る。

82-3 Cirsium microspicatum Nakai var. bosopeninsulae T.Ueno, nom. nud. カズサヤマアザミ

  synonym Cirsium bosopeninsulae nom. nud.
 本州(千葉県)に分布。花期に根生葉は無い。茎は高さ04~2m、斜上~やや直立し、普通、上部でよく分枝し、枝は鋭角につき、短い。葉は卵形~楕円形、長さ13~35㎝×幅6~20㎝、普通、羽状深裂し、裂片は3~6対、ときに分裂せず粗い鋸歯縁、長さ約1㎝の短柄があり、抱茎しない。頭花は疎な総状花序に点頭する。,頭花の柄は長さ2~5㎝。総苞は狭筒形、直径3~8㎜、クモ毛があり、少し粘るか又は粘らない。総苞の基部には線形の苞葉が4~5個つき、そのうちの1個が長く伸びる。総苞片は11~12列、圧着し、総苞外片は卵形、長さ2~3㎜、内片よりも明らかに短い。小花は長さ15~19 ㎜、狭筒部は広筒部より長い。痩果は象牙色、紫色を帯び、長さ約4㎜。冠毛は長さ13~15㎜。2n=34。花期は10~12月。

82-4 Cirsium microspicatum Nakai var. kiotoense Kitam  オハラメアザミ 大原女薊

  synonym Cirsium kiotoense
 日本(北陸地方~近畿地方北部)固有種。山麓部の林縁に普通に見られる。根は塊状。高さ2m以下。茎は中部でよく分枝し、枝は広角度に長く伸びる。根生葉は花期にはない。葉は羽状深裂~浅裂又は分裂せず、鋸歯縁。頭花は点頭又は横向き~斜上する。総苞は狭筒形、粘着するか、ときにほとんど粘らない。総苞片は11~12列、圧着し腺体は狭倒披針状楕円形。小花は長さ16~20㎜。痩果は灰褐色。冠毛は長さ14~17㎜。花期は9~12月。

82-5 Cirsium microspicatum Nakai var. yechizenense Kitam. エチゼンアザミ 越前薊

 日本(岐阜県、福井県)固有種。頭花は多数、小型、長柄の先に下向きにつく。総苞が良く粘る。

83 Cirsium morii Hayata シマアザミモドキ
 台湾原産。中国名は森氏薊。(Kewscience:This name is unplaced)。標高2000~2500mの露出した斜面に生える。
 茎は直立し、高さ25~35㎝、線条があり、分枝し、クモの巣状になり、無毛になります。 葉は厚く、葉状、長楕円形の披針形、長さ20~40㎝x幅5~7㎝、先端は鋭く、基部は細くなり、無柄、羽状裂片があり、部分は広三角筋、切開、両面に白いクモの巣状の毛があり、頂端の棘は長さ4~6㎜。上部の茎葉は次第に小さくなり、長円形になる。頭花は頂生、直立し、長さ3~4㎝の1~4枚の葉で囲まれる。総苞は鐘形、長さ2.2~2.6㎝x 幅2.6~3㎝、総苞片は6列、直立し、クモの毛がある。外総苞片は細長く、内側の総苞片の長さの1/3~1/2の長さ、披針形~卵状披針形、先は短い小棘があり、斜上し、 縁は全縁。花冠はピンク色、長さ22~25㎜、先は短く5裂し、筒部は細く、拡大部とほぼ同長かまたはわずかに短い。痩果は長円形、扁平、長さ約4㎜、不明瞭な4うねがある。冠毛は長さ6~20㎜。2n=34(Flora of Taiwan)。

84 Cirsium muraii Kitam. キンカアザミ 金華薊

  synonym Cirsium amplexifolium (Nakai) Kitam. var. muraii (Kitam.) Kitam.

 日本(宮城県金華山島とその周辺)固有種。
 葉は羽状深裂し、裂片が糸状で刺が鋭い。頭花は中型、上向き。

85 Cirsium myokoense Kadota ミョウコウアザミ 妙高薊
 日本(新潟県の頸城山地、長野県の志賀高原)固有種。ブナ帯に生える。
 茎は高さ1~2m又はそれ以上。根茎は太く、根はひも状。茎は斜上し、中部での分枝が多く、上部は茶色の短いクモ毛に覆われる。根出葉は花期には無い。茎葉は狭卵状披針形、短柄があり、基部は茎を抱かず、羽状浅・中裂~分裂せず、粗い鋸歯縁。頭花は長柄の先に点頭し、下向き。総苞は細く、で粘らない。総苞片は10~11列、開出~反曲。花期は9月。イワキヒメアザミ(Cirsium yuzawae)が類似種。

86 Cirsium nagatoense Kadota ナガトアザミ 長門薊
 日本(山口県長門地方)固有種。
 葉の質が硬い。頭花は多数、小型、下向き。総苞は粘る。分布域が重なるゲイホクアザミ(Cirsium akimontanum)は葉の質が薄い草質。

87 Cirsium nagisoense Kadota ナギソアザミ 南木曽薊
 日本(長野県南木曽町)固有種。水湿地に生える。
 葉は羽状深裂、基部は茎を抱かない。頭花は多数、小型、下向き。総苞は狭筒形、著しく粘る。総苞片は圧着又は少し開出。花期は8~9月。

88 Cirsium nambuense Nakai ナンブタカネアザミ 南部高嶺薊
 日本(東北地方の鳥海山、栗駒山、月山、飯豊山地、朝日山地)固有種。
 高さ15~50㎝。花期に根生葉が残る。茎には白色の縮毛が密生し、多少、分枝する。葉は質が硬く、光沢があり、羽状深裂~全裂、基部は茎を抱き、縁に欠刻状の歯があり、刺が鋭く、下面の脈上に軟毛が密生する。頭花は約1~4個つき、大型、短柄があり、上向き~斜め横向き。総苞は広鐘形、ほとんど粘らない。総苞片は5列、長く刺状、斜上~反曲する。花期は7~8月。

89 Cirsium nasuense Kadota シモツケアザミ 下野薊
 日本(栃木県)固有種。ブナ帯に生える。
 葉は長楕円状被針形、羽状深裂し、裂片は欠刻状、中脈は白色、基部は茎を抱かない。頭花は多数、小型、下向き。総苞は狭筒形。総苞片が斜上する。雌性両全性異株、雌性株が見られる。花期は9月。

90 Cirsium nippoense Kadota ニッポウアザミ 日豊薊
 日本(宮崎県、大分県)固有種。絶滅危惧種。
 根生葉は花期には無い。頭花は多数、上向きに直立~斜上。総苞は鐘形~椀形、粘る。総苞片は11~12列、斜上~短く反曲し、クモ毛がある。

91 Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino キタカミアザミ

 ナンブアザミの学名は長い間、Cirsium nipponicum とされてきたが、基準標本のCirsium nipponicum は頭花が直立するものであることがわかり、キタカミアザミと改名された。これに伴いナンブアザミはCirsium makinoiを採用することになった。

91-1 Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var, nipponicum キタカミアザミ

 日本(青森県、岩手県)固有種。
 高さ2m以下。茎は中部で広角度に広がって分枝する。葉は広卵形、羽状中裂~深裂、ときに全裂、基部はほとんど茎を抱かない。頭花は中型、直立、上向き。総苞は鐘形。総苞片は8~9列、開出、反り返る。2n=68(4倍体)。花期は(8)9~10月。

91-1-2 Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. nipponicum f. lanuginosum (Nakai) Kitam. ウラゲヒメアザミ

 葉裏にクモ毛がある品種。

91-2 Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. incomptum (Maxim.) Kitam. トネアザミ (タイアザミ)

  synonym Cirsium incomptum (Maxim.) Nakai

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. sawadae (Kitam.) Kitam.

  synonym Cirsium comosum (Franch. et Sav.) Matsum.

  synonym Cirsium comosum (Franch. et Sav.) Matsum. var. incomptum (Maxim.) Kitam.

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. comosum (Franch. et Sav.) Kitam.

 トネアザミはCirsium nipponicum var. incomptumとされているが、ナンブアザミをCirsium makinoiとし、トネアザミは独立種のCirsium incomptumとするよう提唱されている。また、トネアザミの名が正名で、タイアザミ(大薊)は別名として扱われているが、2015改訂新版日本の野生植物図鑑ではCirsium incomptum はタイアザミとし、トネアザミはナンブアザミの葉が深裂するものとしてナンブアザミに含め、学名はCirsium tonenseを採用している。
 日本(東北地方南部~中部地方の太平洋側)固有種。関東~中部地方に最も普通にみられる。高さ1~2m。根生葉は花期にはない。葉は普通、羽状に深裂、太くて長く鋭い刺があり、葉の基部は茎を抱かない。頭花は単生又は2~3個集まってつき、中型、下向き~横向き。ときに、頭花の基部の苞葉の1、2本が線形で長くなる。総苞は鐘形~筒形、クモ毛は多く又は少なく、粘らない。総苞片は8~9(~10)列、開出して反曲する。雌性両全性異株で雌性株が見られる。
91-3 Cirsium incomptum. var. abukumense アブクマアザミ

  synonym Cirsium makinoi Kadota var. abukumense (Kadota) Kadota

  synonym Cirsium abukumense Kadota
 福島県に分布。一般的にはCirsium nipponicum のsynoymとされている。
 トネアザミに比べ、茎が著しく分枝し、葉は羽状深裂、茎は抱かない。 頭花は小型、多数、横~下向き。総苞はやや鐘形、ほとんど粘らない。総苞片は8~9列、外片は狭卵形で中片とほぼ同長。

91-4 Cirsium nipponicum var. comosum (Franch. & Sav.) Kitam. イガアザミ 毬薊

  synonym Cirsium incomptum. var.commosum
 千葉県、東京都、神奈川県、静岡県に分布。蕾が丸いイガグリのように見える。
 海岸型。高さ0.6~1.2m。葉は無毛、質が厚く、鈍い光沢があり、長さ6~12㎜の長くて鋭い刺がある。花は直径約4㎝。総苞は粘らない。総苞片の先が開出し、刺が鋭い。花期は8~11月。

91-5 Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. sadoense T.Yamaz. サドアザミ 佐渡薊

 日本(佐渡島)固有種。
 葉は羽状深裂、刺が鋭い。頭花は下向き。総苞片は斜上する。花期は9月~10月

91-6 Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. shikokianum (Kitam.) Kitam. シコクアザミ 四国薊

 四国の山地で普通に見られる。
 総苞は鐘形、直径1.5~2㎝。クモ毛はあるものとないものがあり、粘着しない。総苞片はやや長く、先端が刺針となって鋭く尖り、反り返る。頭花の大きさや総苞片の長さなど変異は連続的でありヨシノアザミに含めるという説がある。花期は9~11月。

91-7 Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. yoshinoi (Nakai) Kitam. ヨシノアザミ

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. amplifolium (Kitam.) Kitam.

  synonym Cirsium yoshinoi Nakai var. yoshinoi
 日本(近畿地方、北陸地方、中国地方、 四国)固有種。
 高さ0.5~1.2m。根生葉は花期に無い。葉は長さ20~30㎝、長楕円形、羽状深裂し、縁には鋭い刺があり、表面にしばしば白班が入り、基部は楔形、茎を抱かない。頭花は中型、下向き。総苞は鐘形、ときに粘る。総苞片は8~9列、外片及び中片は披針形、反り返るか又は開出し、短い。花期は9~11月。
 総苞片12列のものをサヌキアザミCirsium sanukienseとして分離する説もある。

92 Cirsium norikurense Nakai ノリクラアザミ 乗鞍薊
  synonym Cirsium norikurense Nakai var. integrifolium Kitam.
  日本(長野県、富山県、岐阜県、福井県)固有種。別名はウラジロアザミ。山地~亜高山の林縁、草原に生える。
 高さ1~2m、茎は斜上し、上部でよく分枝し、枝は広角度につき、初め羊毛状で、後に無毛になる。根生葉は花期には無い。茎葉は楕円形~披針形、長さ12~30㎝、普通鋸歯縁(マルバノリクラアザミ)、ときに羽状浅裂し、裂片は3~7対、三角形、下面に白色のクモ毛が密につき、先は尖鋭形。両全性。頭花は単生または数個がまばらな総状花序につき、頭花は初めうなずき、その後直立し、点頭~横向き、または斜上する。総苞は椀形~広鐘形、生体では直径15~20㎜、腺体が無く、総苞は粘らない。総苞片は6~7列、斜上~開出~反曲し、クモ毛があるかまたは無毛。外総苞片は卵形、先が尾状に長く伸び、内総苞片片よりわずかに短い。小花は濃~淡紅紫色、長さ13~17㎜、筒部はのど部(広筒部)よりわずかに長い。痩果は白褐色、長さ約4㎜。冠毛は汚白色、羽状、長さ12~15㎜。2n=68。花期は8~9月。

93 Cirsium occidentalinipponense Kadota エチゼンオニアザミ 越前鬼薊
 日本(福井県、白山山系南部高山帯)固有種。
 オニアザミに酷似するが、小花の狭筒部がわずかに長い。総苞片が7~8列、斜上~反曲し、腺体の幅が狭い。

94 Cirsium ochrocentrum A. Gray
 USA,メキシコ原産。英名はyellowspine thistle。
 多年草、高さ30~90㎝。茎は1~20+本、直立又は斜上し、密に灰色の綿毛があり、隔壁の無い毛状突起をもつ。枝は0~少数、上部1/2につき、斜上する。葉身は長楕円形~狭楕円形、長さ10~30㎝×幅2~8㎝、強く波打ち、縁は粗い歯状又は浅く~深く羽状中裂し、裂片は8~15対、長さ0.5~2㎝、しなしば、外巻き、裂片は±三角形、密接し、広がり、刺をもつ歯があり、2~5個の刺状突起に分裂する。主の刺は長さ5~20㎜、帯黄色、下面は密に白色の綿毛があり、上面は薄く、灰色の綿毛が普通、花時にある。葉柄は翼がある。主な茎葉は無柄、上部は次第に小さくなり、基部は±耳状~刺のある翼に長く沿下する。上部の茎葉は普通、かなり小さく、ほとんど分裂しない。頭花は1~少数、葉のある散房花序状につく。花序柄は長さ0~4㎝。総苞は卵形~半球形~広鐘形、最初に形成される頭花で長さ2.5~4.5㎝×幅2.5~4.5㎝、しばしば後の総苞は小さい。総苞片の縁に疎なクモ毛があるか又は無毛。総苞片は5~10列、覆瓦状、卵形(外総苞片)~線状披針形(内総苞片)、縁は全縁、外面に狭い粘着性のうね(glutinous ridge)がある。外側と中間の総苞片は密着し、刺があり、長さ3~12㎜。内総苞片の先はしばしば、曲がりくねり、広がり、平らになり、縁がざらつき、ときにギザギザになり、刺はない。花冠は白色、淡ラベンダー色、紫色、又は赤色、長さ25~45㎜、筒部は長さ8~25㎜、のど部(throats)は長さ6~17㎜、裂片は長さ6~15㎜。花柱の先は長さ2~8㎜。痩果は薄褐色、ときに薄い又は濃い縞があり、長さ6~9㎜、狭く、先の襟の色は体の色に似ている。冠毛(白色又は黄褐色 tawny)は長さ20~40㎜、普通、花冠より著しく短い。2n=30, 31, 32, 34。
94-1 Cirsium ochrocentrum A. Gray var. ochrocentrum
 英名はYellowspine thistle
 茎は密に葉がつき、節が密。上部の茎葉は基部が長く沿下する。花冠は白色~淡ラベンダー色~紫色。2n = 32, 34。花期は春~夏(5~9月)

94-2 Cirsium ochrocentrum A. Gray var. martinii (Barlow-Irick) D. J. Keil

 英名はMartin’s thistle
 茎は葉があり、普通、離れる。上部の茎葉は基部が茎を抱く、又はもし沿下するなら、刺のある翼があり、長さ1㎝より短い。花冠は赤色~ピンク色~赤紫色(まれに白色)。2n=30, 31, 32, 34。花期は春~秋(5~9月)。

95 Cirsium ohminense Kadota オオミネアザミ 大峰薊
 日本(奈良県の大峰山地、大台ヶ原山)固有種。
 高さ0.7~1.8m、下部から多数、分枝する。根生葉は花期にはない。下部の最も大きな茎葉は広楕円形、白斑があり、長さ22~40㎝、羽状深裂、羽片は6~9対、刺は鋭い。頭花は中型、下向きにつく。総苞は筒形、直径8~12㎜、クモ毛があり、粘る。総苞片は9~10列、開出~反曲し、総苞外片は先が尾状に長く伸びる。小花は紅紫色~淡紅紫色、長さ21~22㎜、狭筒部は広筒部よりわずかに長い。痩果は黄灰褐色,長さ約4.5㎜。冠毛は長さ14~19㎜。花期は9月~10月。

96 Cirsium okamotoi Kitam. ジョウシュウオニアザミ 上州鬼薊
 日本(群馬、福島、新潟、長野)固有種。高山に生え、蛇紋岩地に多い。オニアザミに似るが。小花の狭筒部が広筒部より、少し長く、総苞片が7~8列。
 高さ0.3~1m。茎は上部で数回分枝する。根生葉は花期にもある。葉は楕円形~卵形、長さ15~45㎝、羽状中裂、羽片は6~9対、刺は鋭い。頭花は大型、長柄が直立して点頭し、横向き~下向き。総苞は広鐘形、直径15~20㎜、薄くクモ毛があるか又は無毛、著しく粘る。総苞片は7~8列、圧着し、総苞外片は狭卵形、内片よりわずかに短い。小花は紅紫色、長さ17~18㎜、狭筒部は広筒部より少し長い。痩果は灰褐色、長さ約4㎜。冠毛は長さ14~16㎜。2n=34。花期は8月~9月。

96-1 Cirsium okamotoi Kitam. f. albiflorum Kadota シロバナジョウシュウオニアザミ 白花上州鬼薊

 白花品種。

97 Cirsium oleraceum (L.) Scop. アザミゴボウ 薊牛蒡
  synonym Carduus acanthifolius Lam.
  synonym Carduus parviflorus L.
  synonym Carduus tataricus L.
 ヨーロッパ東部~アジア原産。英名はcabbage thistle , Siberian thistle。別名はキルシウム・オレラケウム。モリアザミ系(Cirsium dipsacolepis)のキクゴボウ(立川ゴボウ、アザミバゴボウ)もアザミゴボウと呼ばれる。
 多年草、高さ40~120㎝。茎は翼がなく、刺もなく、下部は無毛、上部は短毛があり、明るい。頭花は長さ1.5~2.5㎝。管状小花は薄黄色、雄しべは5個。雌ずい群は2個の心皮の融合した複合。総苞は筒形。総苞片は直立、披針形、細い刺がある。頭花は2~6個、単生~小グループでつき、柄がある。葉は互生、茎葉は抱茎、卵形。葉身は広く、薄く、ほとんど羽状分裂し、縁に小歯があり、歯に細い刺があり、上面はほぼ無毛、2~10個つき、頭花の下の上部の葉は全縁。果実はやや平ら、鈍く、長さ4~5.5㎜、冠毛は密につき、枝分かれし、羽毛状。花期は6~9月。

98 Cirsium oligophyllum (Franch. et Sav.) Matsum. ノハラアザミ 野原薊

  synonym Cirsium autumnale Kitam.

  synonym Cirsium tanakae auct. non (Franch. et Sav.) Matsum.

  日本(青森県、秋田県~長野県、愛知県)固有種。
 高さ40~100㎝、まれに高さ3mに達することもある。花期に根生葉が残る。根生葉は中裂~深裂し、裂片は8~12対、鋭い刺針があり、中肋は紅色を帯びる。。茎葉は少なく、基部は茎を抱く。頭花は枝の先に直立又はやや横向きにつき、ほとんど柄がなく、2~3個集合してつく。総苞は幅1.5~2㎝、鐘形(卵形)、クモ毛があり、粘らない。総苞片は6~7列、曲がらず、規則正しく斜上し、腺体がなく、先が鋭い。

98-1 Cirsium oligophyllum (Franch. et Sav.) Matsum. f. albiflorum (Kitam.) Kitam. シロバナノハラアザミ 白花野原薊

 白花品種。

98-2 Cirsium oligophyllum (Franch. et Sav.) Matsum. var. nikkoense (Nakai ex Matsum. et Koidz.) Kitam. ニッコウアザミ 日光薊

  synonym Cirsium oligophyllum (Franch. et Sav.) Matsum. subsp. nikkoense (Nakai ex Matsum. et Koidz.) Kitam.

  synonym Cirsium tanakae (Franch. et Sav.) Matsum. var. nikkoense (Nakai ex Matsum. et Koidz.) Kitam.

  synonym Cirsium nikkoense Nakai ex Matsum. et Koidz.

  synonym Cirsium tanakae (Franch. et Sav.) Matsum. var. niveum (Kitam.) Kitam.

  synonym Cirsium tanakae (Franch. et Sav.) Matsum. subsp. nikkoense (Nakai ex Matsum. et Koidz.) Kitam.

 福島県、栃木県、長野県、新潟県に分布。
 葉が2回羽状複葉。

99 Cirsium opacum (Kitam.) Kadota カツラカワアザミ 葛川薊
  synonym Cirsium lucens Kitam. var. opacum Kitam.
  日本(滋賀県大津市安曇川の支流の葛川流域)固有種。谷側の林縁に生える。
 茎は高さ0.7~2 m、中部以上でよく分枝するが、枝は短い。根生葉は花期にはない。下部の大型の茎葉は広楕円形、肉質で柔らかく、長さ3~50㎝、羽状深裂~中裂し、羽片は4~7対、刺は弱く、葉脈に沿う白斑が目立つ。頭花は数個、大きく、下向きに点頭する。総苞は椀形~筒形、直径15~20㎜、クモ毛があり、粘らない。総苞片は8~9列、斜上し、総苞外片は狭卵形で内片の半長。小花は紅紫色~淡紅紫色、長さ21~22㎜、狭筒部は広筒部よりわずかに長い。痩果は黄灰褐色、長さ約4.5㎜。冠毛は長さ14~19㎜。花期は9月~11月。

100 Cirsium otayae Kitam. タテヤマアザミ 立山薊
  synonym Cirsium babanum Koidz. var. otayae (Kitam.) Kitam.
  日本(妙高山系、北アルプス北部、白山山系)固有種。
 根生葉は花期に無い。頭花は中型、点頭する。総苞は鐘形~椀形、ほとんど粘らない。総苞片は6~7列、斜上~開出~ゆるやかに反曲。

101 Cirsium ovalifolium (Franch. et Sav.) Matsum. オクヤマアザミ 奥山薊

  synonym Cirsium comosum (Franch. et Sav.) Matsum. var. yatsugatakense (Nakai) Kitam.

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. alpestre Kitam.

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. yatsugatakense (Nakai) Kitam.

  synonym Cirsium yatsugatakense Nakai 
  日本(福島県、栃木県、群馬県)固有種。別名はヤツガタケアザミ、オネトネアザミ。八ヶ岳には知られていない。那須、尾瀬周辺、谷川連峰の高山帯の林縁や草原に生える。
 茎は高さ0.7~2.5m、1本又は中部でよく分枝する。根生葉は花期にはない。葉は広卵形~狭卵形~ときに広楕円形、長さ14~30㎝、羽状中裂し、羽片は5~7対。頭花は単生又は疎な総状花序につき、花序柄(頭花の花柄)が長く、点頭する。総苞は鐘形、直径8~12㎜、クモ毛があり、多少とも粘る。総苞片は5~6列、斜上又は稀に短く反曲し、総苞外片は卵形で内片より明らかに短く、腺体は披針形~線形。小花は紅紫色、長さ13~16㎜、狭筒部は広筒部より少し長いか等長、又はときに短い。痩果は暗褐色、長さ4㎜。冠毛は長さ10~13㎜。花期は8月~9月。

102 Cirsium palustre (Linnaeus) Scopoli  キルシウム・パルストレ
  synonym Carduus palustris Linnaeus
 ヨーロッパ原産。英名はEuropean swamp thistle , marsh thistle。北アメリカに帰化している。
 2年草又は一回結実性(monocarpic)の多年草、高さ30~200(~300)㎝、ひげ根の束がある。茎は単純、直立し、絨毛~綿毛があり、つなぎ目があり、丈夫は綿毛状で細かく、不分枝の毛状突起がある。枝は0~少数、斜上し、(短い)。葉身は狭楕円形~倒披針形、長さ15~30+㎝×幅3~10㎝、縁は浅い~極深い羽状中裂、狭い裂片が広い湾欠(sinuses)で離れ、刺のある歯~裂片があり、主な刺は長さ2~6㎜、下面は絨毛~綿毛があり、つなぎ目のある毛状突起があり、ときにまた、細かい不分枝の薄い綿毛がある。上面は絨毛があり、隔壁のある毛状突起をもつか又は無毛になる。根生葉はしばしば花時にあり、葉柄に刺のある翼があり、基部は細くなる。茎葉は多数、無柄、次第に小さくなり、上部では間隔が広くなり、基部は長く沿下し、目立つ刺のある翼となる。上部の茎葉は深い羽状中裂、少数の歯と先端に刺のある裂片をもつ。頭花は少数~多数、密に枝先に束生する。花序柄は長さ0~1㎝。総苞は卵形~鐘形、長さ1~1.5㎝×幅0.8~1.3㎝、薄く、クモ毛状の綿毛細かい不分枝の毛状突起がある。総苞片は5~7列、強く、覆瓦状、帯緑色又は紫色を帯び、披針形~卵形(外総苞片)又は線状披針形(内総苞片)、縁は薄く、クモ毛状の縁毛があり、外面に狭い粘性のうねをもち、外側と中間は圧着し、全縁、先は鋭形、微突形又は刺が直立~広がり、弱く、長さ0.3~1㎜。内総苞片の先は帯紫色、線状漸尖し、薄膜質、平ら。花冠はラベンダー色~紫色(白色)、長さ11~13㎜、筒部は長さ5~7㎜、のど部は長さ2~3㎜、裂片は長さ3~4.5㎜。花柱の先端は長さ1.5~2㎜。痩果はタン(黄褐)色~麦わら色、長さ2.5~3.5㎜、先の襟は高さ0.1~0.2㎜、光沢がある。冠毛は長さ9~11㎜。2n=34。花期は夏(6~8月)。
品種) 'Love and Hate'

103 Cirsium pectinellum A.Gray エゾノサワアザミ 蝦夷の沢薊

  synonym Cirsium kamtschaticum Ledeb. ex DC. subsp. pectinellum (A.Gray) Kitam.

  日本(北海道のほぼ全域)固有種。湿地に生える。
 高さは0.5~1m。茎は細く、有毛、上部で分枝し、上部にクモ毛がある。花期に根生葉がある(ないものもある)、葉は羽状深裂~全裂し、羽片は狭く櫛の歯状になり、基部は茎に沿下する。頭花は大型、下向き~横向き。、総苞は扁球形、クモ毛がある。総苞片は線形、長く、やや斜上する。花期は7~9月。

104 Cirsium pendulum Fisch. ex DC. タカアザミ 高薊
 日本(北海道、本州の長野県以北)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国は烟管蓟 yan guan ji 。別名はエゾノタカアザミ。大型で高さ3m以上になる。頭花は多数、中型、下向きに垂れれ下がる。
 多年草、高さ1~3(~4)m。茎は直立し、上部で分枝し、丈夫、翼は無く、まばらにクモ毛と多細胞の長毛がある。葉は表裏同色、表面は平滑、緑色、無毛。根生葉は花期にはない。根生葉と下部の茎葉は無柄又は翼のある葉柄がある。葉身は±狭楕円形~倒披針形、長さ40~50㎝×幅約20㎝、(1~)2回羽状深裂~中裂、一次の裂片(羽片)は(4)5~7対、最終裂片は斜めの三角形、縁と先端に長さ約3(~8)㎜の刺があり、頂裂片は狭披針形~広線形。中間と上部の茎葉は無柄、上側で次第に小さくなり、基部は半抱茎(わずかに耳がある)。頭花は数個、頂生、総状花序の円錐花序、下向き。(花序柄は長さ1~8㎝。)総苞は(広鐘形~)鐘形、直径3.5~5㎝(長さ17~20㎜×幅14~17㎜)、無毛(クモ毛がある)。総苞片は覆瓦状、約(8~)10列、外側の樹脂状の腺体、縁の小刺、翼、及び薄膜状の付属体は無い。外側と中間の総苞片は長さ1~4㎝×幅1~3㎜、基部の部分は三角形~披針形、先の部分は錐形で反曲する(刺は長さ約1㎜)。内側の最も内側の総苞片は披針形~線状披針形、長さ1.2~2.5㎝×幅約2㎜、先は尖鋭形の錐形。小花は両性、花冠は紫色~赤色、長さ約2.2㎝、筒部は糸状、長さ約1.6㎝。痩果は長さ約4㎜。冠毛は剛毛、汚白色、長さ約2.2㎝。花期と果期は6~9(10)月。2n=34。[Flora of Chinaの解説、()内は日本種のデータから]

104-1 Cirsium pendulum Fisch. ex DC. var. albiflorum Makino シロバナタカアザミ 白花高薊

  synonym Cirsium pendulum Fisch. ex DC. f. albiflorum (Makino) Kitam.

 白花品種。

105 Cirsium pseudosuffultum Kadota ニセツクシアザミ
 日本(徳島県、高知県、愛媛県の四国山地)固有種。林縁や草原に生える。Bull. Natl. Sci. Mus. Tokyo, B 32: 92 (2006)
 多年草、高さ0.4~2m。茎は斜上し、上部で分枝する。枝は短い。根生葉は花期には無い。下部の茎葉は楕円形、長さ20~40㎝、羽状に深裂~中裂、裂片は6~8対、鋭い棘がある。雌性両全性異株。頭花は数個が小型の散房状花序に下向きにつく(または塊状につき)、点頭し、直径約1.5㎝。総苞は筒形、生体で直径8~12㎜。総苞片は9~10列、開出~反曲する。外総苞片は卵形、先は尾状、長さは内総苞片の約半分、クモ毛がある。腺体は線形~狭披針形、内総苞片と中総苞片にあり、良く粘る。小花は紅紫色~淡紅紫色、長さ18~20㎜、狭筒部は広筒部の倍の長さがある。痩果は灰褐色、長さ約5㎜。冠毛は長さ18~21㎜。2n=68(4x)。花期は8~10月。
106 Cirsium purpuratum (Maxim.) Matsum. フジアザミ 富士薊
 日本(東北~中部、北陸地方)固有種。日本産のアザミの中では花が最大。砂礫地、崩壊地、河原などに生える。
 根はゴボウ状、食用になる。花茎は高さ20~100㎝。根生葉は花期にもあり大きく、茎葉は小さい。茎の下部の葉は長さ30~70㎝、羽状に中裂し、裂片は5~7対、葉縁には硬く鋭い刺がある。葉の両面に毛があり、白っぽく見え、特に、葉裏は毛が密にあり、灰白色。茎の先端に頭花を下向きにつけ、花柄は太く、長い。頭花は直径5~10㎝と大きい。花は紅紫色、まれに白色もある。小花は両性の細い筒状花のみ。総苞は扁球形、幅6.5~8.5㎝、腺体がなく粘らない。総苞片は8~12列、幅広く、縁や裏が紫色を帯びて反り返り、縁に刺状の毛があり、先端は硬くて長い刺があり、鋭く尖る。痩果は長さ3.5~4㎜、幅約2㎜、樽形、平滑、縦の繊維状の条線がある。冠毛は帯褐色、羽毛状に枝があり、長さ13~23㎜(約20㎜が多い)。
品種)  'Tata'

106-1 Cirsium purpuratum (Maxim.) Matsum. f. albiflorum (Kitam.) Kitam. シロバナフジアザミ 白花富士薊

 白花品種。
106-2 Cirsium hideo-takahashi  テマリフジアザミ 新種
 日本(白山山系周辺の石川県、富山県、岐阜県)固有種。総苞が手毬状。フジアザミの1型(2006 高橋秀男:Journal of Japanese Botany 81巻2号 121-123 2006年)として報告されていたもの。
 多年生、塊根はゴボウ状。高さ約0.7~1m。茎はほぼ直立し、2~3回分枝し、帯白色。根生葉は花期にも残り、長さ30~40㎝×幅20~30㎝、肉質、倒卵形~楕円形、羽状浅裂、羽片は4~5対、両面に白色のクモ毛があり、下面は毛が濃く、刺は長さ5㎜以下。茎葉は根生葉より小さく 深く抱茎。頭花は太い柄の先が曲がり、垂れ下がる。総苞は球形、幅約6㎝、粘らない。総苞片は約15列、外片と中片は強く反曲してほぼ密着し、縁には短い1~2㎜の柔らかい刺が多数、並び、総苞外片は長卵形、長さ約10㎜×幅約5㎜、中片は外片より少し大きい。小花の花冠は帯紫色、長さ27~33㎜、花冠裂片は長さ3~5㎜、広筒部は長さ9~13 ㎜、狭筒部は14~17㎜で広筒部より少し長い。痩果は象牙色、わずかに紫色を帯び、長さ約5㎜。冠毛は長さ25~30㎜。花期は8~9月。

107 Cirsium rivulare (Jacq.) All.
 ヨーロッパ原産。英名はplume thistle。
 高さ40~100㎝。葉は根生し、羽状中裂~羽状全裂、鋸歯縁、鋸歯の先に刺があり、下面は灰色の綿毛が密生し、葉の基部は茎を抱く。茎は1本、綿毛が密生し、頂部に頭花が2~4個、束生する。頭花は長さ3~4㎝、総苞は長さ1.5~2.5㎝、綿毛がある。総苞片は鋭形、先に刺がある。痩果は長さ4~5㎜。花期は6~8月。
品種) 'Atropurpureum'(濃深紅色) , Frosted Magic = 'Lowcir' , 'Trevor's Blue Wonder' (PBR) , 'Trevor's Felley Find' (PBR)

108 Cirsium rhinoceros (H.Lev. et Vaniot) Nakai ハリアザミ 針薊
 韓国原産。英名はKorean prickly thistle。

108-1 Cirsium rhinoceros (H.Lev. et Vaniot) Nakai f. albiflorum Y.N.Lee  シロバナハリアザミ 白花針薊

 白花品種。

109 Cirsium schantarense Trautv. et C.A.Mey. オクエゾアザミ 奥蝦夷薊
  synonym Cirsium diamantiacum (Nakai) Nakai
  synonym Cirsium zenii Nakai テンポウザンアザミ 韓国原産

  synonym Cirsium japonicum Candolle var. litorale (Maximowicz) Kitamura

 韓国、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省)、ロシア原産。中国名は林蓟 lin ji。標高1500~2000mの林内、林縁、川沿い、牧草地に生える。
 多年草、高さ70~120㎝。茎は直立し、上で拡散的に分枝し、翼がなく、まばらな長い多細胞毛がある。葉は表に同色、緑色、表面は平滑で無毛、またはまばらに多細胞毛がある。根生葉は花時に枯れる。下部と中部の茎葉は葉柄があり、葉柄の基部には耳がある半抱茎、縁には翼があり、棘があり、または棘のある歯があり、葉身は楕円形、±狭卵形~三角状披針形、長さ14~27㎝×幅8~12㎝、羽状分裂し、裂片は4~8対、斜めの三角形、披針形、または広線形で、小棘で縁取られ、頂裂片は披針形。上部の茎葉は無柄、次第に小さくなり、羽状分裂するか、または最上部の葉は不分裂で抱茎。花序柄は長い。頭花は少数、頂生し、うなずく。総苞は鐘形、直径約2㎝、無毛またはまばらなクモ毛がある。総苞片は覆瓦状、約6列、縁に小棘、翼、および薄膜質の付属体を欠き、外面に粘性の腺が有または無。外および中総苞片は三角形~卵状三角形、長さ5~8㎜×幅1.5~2㎜、先は長さ約1㎜の小棘に細まる。内総苞片は披針形~線状披針形、長さ10~12 ㎜×幅約2㎜、先は柔らかい棘状に細まり、薄膜質になる。小花は両性。花冠は紫赤色、長さ約1.6㎝、筒部は長さ約5㎜。痩果は帯黄色、長さ約4.5mm。冠毛の剛毛は帯褐色、長さ約1.6㎝。花期および果期は6~9月。2n=34。

110 Cirsium sendaicum Nakai マツシマアザミ 松島薊

  synonym Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino var. sendaicum (Nakai) Kitam.

 日本(岩手県、宮城県)固有種。高さ1~2.8m。茎は枝が広角度でよく分枝し、側枝は長い。葉は狭卵形~広卵形、羽状深裂し、ときに分裂せず、鋸歯縁、刺は太く、鋭く、下部の葉は基部で茎を抱く。よく似たキタカミアザミより切れ込みが深い。頭花は中型、上向き。総苞は鐘形~筒形、少し粘る。総苞片は8~9列、細く、鋭く長く伸び、開出して強く反曲する。総苞中片が最も長く、普通、中片と内片に線形の腺体がある。

110-1 Cirsium sendaicum Nakai f. albiflorum Kadota シロバナマツシマアザミ 白花松島薊

 白花品種。
111 Cirsium senjoense Kitam. センジョウアザミ 仙丈薊
  synonym Cirsium senjoense Kitam. var. kurosawae Kitam.
  日本(山梨県、長野県、静岡県の南アルプス)固有種。
 葉の基部は茎を抱く。頭花は中型、下向き。総苞は鐘形、著しく粘る。総苞片は(6~7)8~9列、開出~少し、反曲。

112 Cirsium setidens (Dunn) Nakai チョウセンヤナギアザミ 朝鮮柳薊

  synonym Cirsium chanroenicum (Nakai) Nakai
 韓国原産。英名はgondre , Korean thistle。

113 Cirsium shidokimontanum Kadota シドキヤマアザミ 四時山薊
  日本(宮城県、福島県、茨城県、長野県)固有種。山地の草原や湿地周辺などに生える。
 多年草、強健、高さ1.2~2.4m。塊痕がよく発達し、丈夫、水平に伸び、直径10㎝以下、ひも状の根をもつ。茎は直立し、中部でよく分枝し、上半部は褐色の多細胞の毛とクモ毛に覆われる。根生葉は花期に無い。中部の茎葉は上部は緑色、肉質、広卵形~広楕円形、長さ30~40㎝×幅15~26㎝、羽状中裂~深裂、羽辺は5~7対(juga)、又は分裂せず細鋸歯縁、縁に長さ2~3㎜の弱い刺があり、上面は無毛、下面には脈に多細胞の褐色の毛があり、基部に短い葉柄があり、茎を抱く。頭花は疎な頂生の総状花序に5~7個、下向き又はときに、斜上~直立(花序柄がほぼ無又は短のとき)する。花序柄は長さ0.5~4㎝又はほぼ無柄、褐色の多細胞の毛又は(そして)、クモ毛に覆われる。基部につく葉は1個又は無く、狭披針形、長さ約1㎝。総苞は円筒形、多少、無柄浅黄色を帯び、粘らず又はときにわずかに粘り、長さ16~20㎜×幅6~10㎜(新鮮なとき)、控えめにクモ毛がある。総苞片は9~11列、草質、先に長さ約1㎜の弱い刺があり、腺体は無く又は中片に楕円形の腺体がある。内片は狭卵形、長さ1.5㎝、直立。外総苞片は狭卵形、先端が尖鋭形、長さ5~8㎜、反曲~斜上、高さは変化し、中片や外片の方向に伸びる。広がる。花冠は淡紫色、長さ15~17㎜、裂片は長さ約3㎜、のど部は長さ約6㎜、筒部は長さ7~8㎜、のど部より長い。痩果は灰褐色、長さ3~4㎜、平滑。冠毛は汚白色、長さ12~17㎜。2x=68(4倍体)。花期は9~10月。

114 Cirsium shimae Kadota ツガルオニアザミ 津軽鬼薊
  日本(青森県、秋田県の白神山地)固有種。頭花は大型、点頭~懸垂。総苞は鐘形~椀形、著しく粘る。総苞片は7~8列,直立~わずかに斜上、薄いクモ毛がある。
 林縁に生える。茎は高さ0.8~1.8m、斜上し、上部で数回分枝する。根生葉は花期にある。根生葉は質が薄く、柔らかく、卵形~倒卵形、長さ28~50㎝、羽状浅裂~中裂し、羽片は4~6対、刺は弱い。頭花は数個がコンパクトな散房花序につくか又は単生し、点頭~懸垂する。総苞は鐘形~椀形、直径23~33㎜、著しく粘る。総苞片は7~8列、直立~わずかに斜上し、薄くクモ毛があり、外総苞片は卵形、内片より短く、腺体は狭卵状披針形、良く発達する。小花は暗赤紫色、長さ22~25㎜、狭筒部は広筒部と等長か少し短い。痩果は象牙色、長さ約4.5㎜。冠毛は長さ17~22㎜。2n=34。花期は6~7月。

115 Cirsium shinanense T.Shimizu ヤチアザミ 谷地薊
  日本(長野県、群馬県)固有種。湿地や休耕田に生え、ストロンが地中を長く這う。
 葉は1年生。茎は高さ30~150㎝、直立、単純又は上部で分枝する。根生葉は花期には無い。下部の茎葉は楕円形~倒卵形~披針形、長さ10~22㎝、羽状深裂~浅裂し、羽片は5~8対、又は分裂せず、鋸歯縁、鋭い刺がある。頭花は単生又は数個が疎な総状花序につき、直立する。総苞は鐘形、直径10~14㎜、少し粘る。総苞片は8~9列、鋭角的に斜上し、腺体は狭披針形、内片と中片にあるがあまり発達しない。小花は紅紫色、長さ19~2㎜、狭筒部は広筒部の倍長。痩果は灰褐色、長楕円形、長さ約4㎜。冠毛は長さ14~18㎜。花期は8月~10月。

116 Cirsium sieboldii Miq. キセルアザミ 煙管薊
  synonym Cnicus sieboldii (Miq.) Maxim.
  日本(本州、四国)固有種。湿地や水田の畦などに生える。
多年草。高さ0.4~1.2m。茎は直立~傾き、単純又は上部で数回分枝する。根生葉は花期にも残り、狭倒卵形、長さ13-47㎝、羽状浅裂~中裂し、羽片は5~9対、ときに分裂せず、全縁~鋸歯縁となり、弱い刺がある。頭花は大型、単生又は少数が疎な総状花序に下向きにつき、花後直立する。総苞は鐘形~筒形、直径11~29㎜、粘らない。総苞片は8~10列、圧着し、無毛又は薄くクモ毛があり、総苞外片は狭卵形、内片の1/5以下、狭披針形~線形の腺体が各片にあるが痕跡的。小花は紅紫色、長さ16~20㎜、狭筒部は広筒部より明らかに長い。痩果は基部が切形、明るい褐色、長さ4~5㎜。冠毛は長さ11~16㎜。2n=34。花期は8~10月。
116-1 Cirsium sieboldii f. sieboldii キセルアザミ 煙管薊
  synonym Cirsium austrokiushianum Kitam. サツママアザミ 薩摩薊
  synonym Cirsium sieboldii Miq. var. austrokiushianum (Kitam.) Kitam.
  synonym Cirsium sieboldii Miq. subsp. austrokiushianum (Kitam.) Kitam.
  synonym Cirsium austrosatsumense Kitam.
  synonym Cirsium longipes Nakai
  synonym Cirsium paludigenum Y.F.Lu, Z.H.Chen & X.F.Jin
  synonym Cirsium reinii (Franch. & Sav.) Matsum.
  synonym Cnicus reinii Franch. & Sav.
 サツママアザミは日本(九州全域)固有種。湿原に生える。
 花期に根生葉が残る。頭花は中型、上向き。キセルアザミに似るが、匍匐枝を伸ばす。総苞片は開出せず、総苞外片は短い。

116-2 Cirsium sieboldii Miq. f. leucanthum T.Shimizu シロバナキセルアザミ 白花煙管薊

 白花品種。

117 Cirsium spicatum (Maxim.) Matsum. ヤマアザミ 山薊
 日本(四国、九州)固有種。別名はツクシヤマアザミ。
 高さ1~2m。茎は直立、太く、角張り、上部で分枝する。枝は短い。葉柄は無く、茎を抱かない。葉は羽状中裂、縁に鋭い刺がある。穂状に無柄の小型の頭花を多数つける。総苞は円筒形、幅7~10㎜。総苞片は7列、反曲し、先に太い刺がある。花冠は紫紅色、長さ16~18㎜、筒部は長さ7~8㎜。

118 Cirsium spinosum Kitam. オイランアザミ 花魁薊
 日本(鹿児島県、屋久島、種子島、喜界島)固有種。
 高さ25~60㎝、直立、単一又は中部以上で数回分枝する。根生葉は花期に残る。根生葉は肉質、光沢があり、楕円形~狭倒卵形、長さ10~40㎝、中裂~深裂し、裂片は6~8対、両面とも普通、無毛、鋭い刺がある。頭花は短柄、茎頂に密集してつき、直立~斜上。総苞は椀形~鐘形、直径10~18㎜、粘らない。総苞片は10~11列つき、先半部が開出する。腺体は内総苞片と中総苞片にあり、線形、白色、痕跡的。小花は紅紫色、長さ18~20㎜、狭筒部は広筒部より長い。痩果は灰褐色、長さ5~6㎜。冠毛は長さ15~18㎜。花期は7~1月。

119 Cirsium spinuliferum (Kitam.) Kadota ハリカガノアザミ

  synonym Cirsium furusei Kitam. var. spinuliferum (Kitam.) Kitam.

 日本(長野県)固有種。
 葉は羽状中裂~深裂、長い刺がある。葉裏に毛がなく白色にならない。頭花は多数、小型、下向き。総苞は狭筒形、粘る。総苞片は圧着~先端が短く斜上、縁に小刺がある。花期は9~10月。

120 Cirsium suffultum (Maxim.) Matsum. et Koidz. ツクシアザミ 筑紫薊

 日本(四国西部、九州)固有種。九州の宮崎県、熊本県以北に普通に見られる。
 高さ0.5~2m。頭花は大型、下向き、総苞は椀形~広鐘形~鐘形、粘らない。総苞片は6列、斜上~わずかに反曲、総苞外片は先が尾状に長く伸び、クモ毛がある。2n=68。花期は9~12月。

120-1 Cirsium suffultum (Maxim.) Matsum. et Koidz. f. albiflorum Kitam. シロバナツクシアザミ 白花筑紫薊

 白花品種。

121 Cirsium senumae nom. nud. カクダアザミ 角田薊(新称)
 日本(新潟県角田山)固有種。
 高さ1~2m。根出葉は花時には無い。茎葉は茎の中部に集まり、楕円状披針形、長さ20~30㎝、切れ込まず鋸歯縁~羽状中裂、基部は茎を抱かずない。頭花は中型、下向き。総苞片は反り返るか開出する。花期は9~10月。

122 Cirsium suzukaense Kitam. スズカアザミ 鈴鹿薊
 日本(静岡県、長野県~三重県、滋賀県)固有種。東海地方に普通に見られるアザミ。秋に三河地方で見られるアザミはこのスズカアザミが最も多い。アザミは変化が多く、特に、スズカアザミは図鑑と一致しないことが多いので、三河地方で見られるスズカアザミと思われるものを示す。基準標本は鈴鹿峠。
 根生葉は花期には普通なく、茎葉は羽状に中裂~深裂まれに浅裂し、基部は茎を抱かない。葉の刺針は5~10㎜。頭花は総状花序状~円錐花序状に多数つき、普通、明瞭な花序柄(頭花の柄)があり、ときに、無柄に近くなる(鈴鹿山脈北部の上部の草原)。頭花は中型、不分枝又は少数、分枝した枝先に上向きに点頭する。総苞は長さ16~19㎜の筒形~鐘形で、くも毛があり、粘る。くも毛の量には個体差がある。総苞片には普通、腺体がありやや粘るが、腺体の大きさや粘液の出る状況は個体差があり、ほとんど粘らないものから、よく粘るものまである。総苞片は(6)9~11列で、披針形~長楕円状披針形、先が尖り、短い刺針があり、少し反り返る。花冠は長さ14~20㎜、直径は16~23㎜。果期の冠毛は痩果の長さの4~5倍。冠毛には鳥の羽根のように細い枝が多数あり、終期には総苞片が開いて風で痩果を散布する。

123 Cirsium suzukii Kitam. スズキアザミ 鈴木薊
 台湾原産。中国名は台湾大薊。
 高さ1mに達する。葉は下面に綿毛があり、白色、基部は茎を抱く。頭花は大型、長柄の先に下向きに点頭する。総苞は半球形、粘る。総苞片は圧着、総苞外片は極小さく、卵状楕円形、長さ約3㎜、内側のものほど次第に長く、最内片は線状披針形、長さ約18㎜。いづれも背部が粘り、黒ずむ。

124 Cirsium takahashii Kadota マミガサキアザミ 馬見ヶ崎薊
 日本(山形県)固有種。
 高さ1.5m以下。茎は中部以上で分枝し、枝やや鋭角的につく。葉は細長く、狭被針形、切れ込まず、縁が歯牙状、厚みがあって固く、基部は茎を抱く。葉の下面はやや白い。頭花は多数、小型、上向き。総苞は狭筒形。総苞片は約10列、細長く、先は開出して反曲する。内片に腺体がある。雌性両全性異株。雌性株が見られる。花期は9~10月。

125 Cirsium takaoi Yokoyama et al. ジャクエツアザミ 若越薊
 日本(北陸地方の富山県~福井県)固有種。北陸地方に普通に分布し、若狭地方と越前地方に多い。頭花は中型、下向き。総苞は太い筒形。ヨシノアザミ(総苞片8~9列)に似ているが、総苞片は11~12列、短く反曲する。

126 Cirsium tamastoloniferum Kadota ハチオウジアザミ 八王子
 日本(東京都八王子市)固有種。湿地に生え、地下にストロン(匍匐枝)を伸ばす。
 根生葉は花期に無いことが多い。根生葉は長楕円形~狭長楕円形、長さ30~50㎝、羽状中裂。頭花は多数、小型、横向き~下向き。総苞は狭筒形。総苞片は9~10列、斜上~やや開出、まれに反曲。花期は9~10月。2n=34。(2012新種記載)

127 Cirsium tanegashimense Kitam. ex Kadota タネガシマアザミ 種子島薊

 日本(鹿児島県種子島)固有種。
 高さ80~90㎝。茎や葉に白色の短毛がある。葉は羽状深裂。頭花は多数、直立~斜上。総苞は鐘形、粘らない。総苞片は9~10列、斜上~長く反曲する。花期は9~11月。2n=68(4倍体)。

128 Cirsium tashiroi Kitam. ワタムキアザミ 綿向薊
 日本(静岡県西部~滋賀県東部)固有種。林内~林縁に生える。多年草。高さ30~80㎝。花期に根生葉が残る。葉は茎の基部に集まり、葉形は先が鋭頭だが、切れ込まない鋸歯縁~羽状深裂まで変異の幅が広い。切れ込まないものでは葉身は卵形~楕円形、基部は広楔形~浅い心形、長い葉柄がある。切れ込むものは葉身が長楕円形、葉柄は短い。頭花は中型、少数、長柄の先に下向きにつく。総苞は長さ15~17㎜×幅10㎜ 程度。総苞片は6 列、先端は開出し、先に刺がある。小花の花冠は紅紫色、長さ18~20㎜。花期は9~10 月2変種に分けられるが、はっきり区別できないともいわれ、愛知県では切れ込まないものが多いが、両者が見られる。
128-1 Cirsium tashiroi Kitam var. tashiroi ワタムキアザミ 狭義
 岐阜県、三重県、滋賀県(養老山地、鈴鹿山脈)に分布。愛知県でも見られる。
 林内~林縁に生える。花期に根生葉が残る。葉は羽状深裂。頭花は中型の、下向き。
える。根生葉は薄く、長さ15~30 ㎝、縁は欠刻~羽状に深裂する。頭花は少なく、長い柄の先に下向きに点頭してつく。総苞は長さ15~17㎜、幅約1㎝。総苞片は6列につき、先端に刺針がある。花冠の長さは18~21㎜。

128-2 Cirsium tashiroi Kitam. var. hidaense (Kitam.) Kadota  ヒダアザミ 飛騨薊

  synonym Cirsium hidaense Kitam.
 静岡県、長野県、愛知県、岐阜県(養老山地を除く)に分布。
 葉が切れ込まないもの。

129 Cirsium tenue Kitam. ウスバアザミ 薄葉薊
 日本(岡山県、広島県)固有種。石灰岩地に生える。
 茎は高さ1~1.5m。根生葉は花期に無い。葉は羽状浅裂~中裂~鋸歯縁、刺は太く、長さ5~10㎜、基部は茎を抱かない。頭花は斜上し、小型。総苞が狭筒形~筒形、著しく粘る。総苞片は先端が少し反り返るが。花期は10~11月。

130 Cirsium tenuipedunculatum Kadota ホソエノアザミ 細枝野薊
  synonym Cirsium effusum (Maxim.) Matsum., excl. typo
 日本(関東地方、中部地方東部)固有種。
 高さ0.5~1m。葉は長さ20~40㎝、羽状中裂~深裂、羽片は開出し、長い刺があり、基部は茎を抱かない。頭花は小型、多数、細柄に先に、横向き~下向きにつく。総苞は狭筒形~筒形、普通、粘らず、ときに粘る。総苞片は11~12列、総苞外片と中片の先が長く開出又は弱く反曲。

131 Cirsium tenuisquamatum Kitam. サンベサワアザミ 三瓶沢薊
 日本(島根県、広島県)固有種。
 高さ06~1m。茎にクモ毛がある。根生葉が花期に残り、大型、狭楕円形、羽状中裂し、粉白色を帯び、質がやや薄く、柔らかい。頭花は大型、直径約5㎝、下向き。総苞は椀形~鐘形、幅2~3㎝、クモ毛がある。総苞片は線形、開出し、斜上。花期は10~11月。

132 Cirsium teshioense Kadota テシオアザミ 天塩薊
 日本(北海道)固有種。超塩基性地に生える。
 茎や葉が赤紫色を帯びる。花期に根生葉は無く、葉は羽状に深裂。頭花は下向きに単生、大型。2n=34。(2013)

133 Cirsium togaense Kadota トガアザミ 戸賀薊
 日本(秋田県男鹿半島)固有種。海岸に大きな群落をつくる。
 高さ1~2m。茎は太く、頑強、中部でよく分枝するが、側枝は短い。葉は卵形~狭卵形、質がやや厚く、羽状浅裂~中裂、又は鋸歯縁、基部は茎を抱かない。 頭花は中型、上向き~斜上。総苞は鐘形~広円筒形。総苞片は11~13列つき、外片は卵形、反り返い、普通、粘らない。

134 Cirsium toraiense Nakai ex Kitam. アキノアザミ
 韓国原産。
 形態学的特徴を使用いた数値解析が韓国の固有種(Cirsium setidens (Dunn) Nakai , Cirsium chanroenicum Nakai , Cirsium toraiense Nakai ex Kitam.)の分類学上の範囲と同一性をはっきりさせるために行われた。C. setidens と C. chanroenicumの主成分分析は29の形態学的特徴と12の葉の特徴を使い、分離することはできない1グループであるを明らかにした。C. toraiense の同一性は生息地の破壊、基準標本を含む C. toraienseと確認された多数の標本とC. japonicum var. ussuriense.(=Cirsium maackii Maximowicz カラノアザミ)との形態学的診断特性の類似性により確認できなかった。形態学的特徴の変化のパターンを考慮すると、C. setidens f. alba、C. setidens var. niveo-araneum、C. setidens var. pinnatifoliumが認められるべきであるが、C. chanroenicum var. lanceolata はC. setidens.の範囲に含められるべきである。[Taxonomic Identities of Cirsium setidens, C. chanroenicum and C. toraiense  [2005] ]

135 Cirsium toyoshimae Koidz. トヨシマアザミ
 小笠原島産の絶滅種。
 花期に根生葉がない。頭花は長い柄の先に直立する。総苞は椀形~筒形。

136 Cirsium uetsuense Kitam. ウエツアザミ 羽越薊
 日本(山形県、新潟県)固有種。林内に生える。
 高さ0.6~1.2m。茎は上部でわずかに分枝し、枝が短い。葉は楕円形、羽状中裂~浅裂、柔らかく、刺は少なく、短く、基部は茎を抱く。 頭花は小型、上向き~斜上。総苞は狭筒形~筒形、ほとんど粘らない。総苞片は9~10列、開出せず、内片ほど長く、先の針は短い。開出しない。腺体は線形~腺点状、大部分は痕跡的。花期は9~10月。

136-1 Cirsium uetsuense Kitam. f. albiflorum Kadota シロバナウエツアザミ 白花羽越薊

 白花品種。

137 Cirsium ugoense Nakai ウゴアザミ 羽後薊
 日本(秋田県、岩手県、山形県、福島県の高山)固有種。東北地方の日本海側、高山の草原に生える。
 高さ0.3~1.5m。茎は直立し、普通、単純、ときに数回上部で分枝する。根生葉は花期には無い。茎葉は楕円形~広卵形、長さ10~20㎝、羽状浅裂~中裂して羽片は4~6対又は粗い鋸歯縁、基部は耳状に抱茎し、沿下し、翼状となる。頭花は単生又は数個が疎な散房状につき、直立又は斜上する。総苞は鐘形~椀形、直径18~20㎜、わずかに粘る。総苞片は6列、斜上し、先端に鋭い刺があり、腺体は普通、欠き、ときに内片にあり、狭披針形。小花は紅紫色、長さ18~20㎜、狭筒部は広筒部より明瞭に長い。痩果は暗褐色、長さ約4㎜。冠毛は長さ約10㎜。花期は7月~8月。2n=102(6倍体)。

138 Cirsium umezawanum Kadota リシリアザミ 利尻薊
 日本(北海道利尻島)固有種。海岸に生える多年草。
 高さ1~2m。 茎はよく分枝し、ほと んど無毛、上部にわずかに褐色の毛がある。葉は長楕円形~広楕円形、長さ16~32㎝、全縁~粗い鋸歯縁 、ときに羽状浅裂~中裂する。頭花は大型、緩い散房状花序につき、直立~斜上。総苞は鐘形。総苞片は8~9列、開出して先が大きく反り返る。痩巣は淡褐色、長さ約3㎜。2n=68(4倍体)。花期は7~8月。

139 Cirsium unzenense Kadota et Mas.Saito ウンゼンアザミ 雲仙薊
 日本(長崎県雲仙岳周辺)固有種。
 花期に根生葉がある。葉身は羽状中裂、羽片は不規則。頭花は中型、下向き。総苞はクモ毛があり、粘らない。総苞片は8~9列、斜上し、鋭い刺がある。痩果は長さ4㎜以下。花期は9~11月。

140 Cirsium uzenense Kadota ウゼンアザミ 羽前薊
 日本(山形県、新潟県)固有種。カガノアザミ(C. kagamontanum)に近縁であるが、 カガノアザミとは葉の基部がより広く耳状に茎を抱くこと、頭花はほとんど無柄で、 小枝の先に群がってつき、 総苞は綿毛が多く、 粘着しないので区別する。
 高さ1~2m。茎は上部でよく分枝し、側枝は鋭角に斜上する。葉は倒卵状楕円形~広楕円形、羽状浅列~中裂し、裂片は不規則な欠刻状、基部は茎を抱く。頭花は小型、多数、横向き~下向き。総苞は狭筒形、赤色を帯び、粘る。総苞片は11~12列、先は短く反曲し、外片は短く、中片の縁に短い刺がある。花期は9~10月。

141 Cirsium vlassovianum Fisch. ex DC. ウラジロヤナギアザミ 裏白柳薊

 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は绒背蓟 rong bei ji [Flora of China]。ヤナギアザミもウラジロヤナギアザミと呼ばれることがある。
 多年草、高さ25~90㎝。根は塊根状。茎は直立し、枝分かれしていないかまたは上部で分枝し、うねがあり、翼がなく、先にまばらな長い多細胞の毛があり、まばらなフェルト状の毛が混じる。葉は表裏色が異なり(discolorous)、表面は平滑で、下面は白色で密なフェルト状、上面は緑色でまばらに多細胞の毛がある。下部の茎葉は葉柄があり、葉身は披針形~楕円状披針形、長さ6~20㎝×幅2~3㎝、分裂せず、縁取りに長さ約1㎜の棘があり、先は鈍形~尖鋭形。中部および上部の茎葉は似ているが、耳のある半抱茎状になる。頭花は1 ~数個が散房花序につき、直立する。総苞は狭い卵形、直径約2㎝、無毛またはまばらなクモ毛がある。総苞片は覆瓦状、約7列につき、縁の小棘と翼と薄膜質の付属体が無く、外面に暗色の粘る腺がある。外および中総苞片は三角形~披針形、長さ5~11㎜×幅約2㎜、先端は鋭形、先端には長さ1㎜未満の棘がある。内総苞片は広線形、約・長さ2㎝×幅0.2㎝、先は尖鋭形で薄膜質。小花は両性、花冠は紫色、長さ約1.7㎝、筒部は長さ約7㎜。痩果は褐色、帯褐色の条線があり、長さ約4㎜。冠毛は剛毛、長さ約1.5㎝。花期および果期は5~9月。2n=28, 34。

141-1 Cirsium vlassovianum Fisch. ex DC. var. album Nakai シロバナウラジロヤナギアザミ 白花裏白柳薊

 白花品種。

142 Cirsium vulgare (Savi) Ten. アメリカオニアザミ 亜米利加鬼薊

 中国、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、ロシア、トルクメニスタン、ヨーロッパ、北アフリカ、アジア南西部原産。英名はbull thistle, Scottish thistle, plumed thistle, spear thistle。中国名は翼蓟 yi ji 。スコットランドの国花になっているアザミである。日本には穀物や牧草へ混入して入り、北海道をはじめとし、現在では各地に帰化している。南北アメリカなど、世界の温帯地域に広く帰化し、鋭い刺のために家畜の害草となってきらわれている。
 2年草。高さ80~200㎝。花期には根出葉は無く、葉の表面は細かな鋭い刺に覆われ、葉の先には長い刺がある。葉の色は深緑色で裏面は色が薄い。葉の基部は突き出た刺のように茎につく。茎は堅く、不揃いのひれ(翼)がつき、刺がある。頭花は複数個が上向きか斜め上向きにつき、直径3~4㎝(米国のものは5㎝以上と大きいらしい)。総苞は球形で刺に完全に覆われ、総苞片は粘着せず、幅が狭く、先は細くなり、先端に刺がある。短くて太い直根を持つ。根はエルサレム・アーティチョークと似た味で食用とすることができ、刺を取れば葉も食べられ、つぼみも小さなアーティチョークとして食べられるという情報もある。2n=34,68。花期は6~9月。
品種)  'Silk Cushion' , Variegated (v)

143 Cirsium wakasugianum Kadota エチゼンヒメアザミ 越前姫薊
 日本(岐阜県、福井県の県境付近の広範囲)固有種。
 頭花は小型、多数、下向きにつき、総苞が良く粘る。ヒメアザミ(C. buergeri Miq.)と混同されていたが、1995 年に別種とされた(Kadota 1995)。

144 Cirsium yakusimense Masam. ヤクシマアザミ 屋久島薊

  synonym Cirsium chikushiense Koidz. var. yakusimense (Masam.) Yahara

 日本(鹿児島県屋久島)固有種。
頭花は小型、斜上~直立。総苞は狭筒形、総苞は粘らないか又はときに少し粘る。総苞片は7~8列、斜上し、総苞外片は先が尾状に長く伸び、クモ毛がある。

145 Cirsium yamauchii Kadota ハッタチアザミ 波立薊
 日本(福島県いわき市)固有種。
 葉は質が厚い。頭花は小型、短柄、上向き。

146 Cirsium yatsualpicola Kadota et Y.Amano ヤツタカネアザミ 八高嶺薊

  synonym Cirsium yatsu-alpicola Kadota & Y.Amano
  synonym Cirsium yatsugatakense Nakai
 日本(八ヶ岳)固有種。ヤツタカネアザミはヤツガタケアザミと混同されていたが、1991年に新種として認識されたものである。ヤツタカネアザミには腺体がなく、総苞がねばらない点などでヤツガタケアザミと、はっきり区別される。ヤツガタケアザミはその後、八ヶ岳周辺では確認されず、これによく似たものが群馬、栃木、福島の県境に位置する三国山地(日光周辺)を中心に分布する。これがオクヤマアザミ(オネトネアザミ)Cirsium ovalifolium (Franch. et Sav.) Matsum. である。
 根生葉は花期にはなく、茎葉は長さ12~22㎝の狭卵形~楕円形で、中裂又は深裂し、裂片は4~7対、基部は茎を抱く。頭花は淡紫色で直径3~4㎝、長い花柄の先に点頭する。総苞は幅約2㎝の鐘形~椀形。総苞片は6~7列(8~9列)、長く、開出し、反り返り、クモ毛がある。腺体がないため、総苞は粘らない。2n=68。

147 Cirsium yezoalpinum H.Koidz. ex Kadota et Umezawa エゾノミヤマアザミ 蝦夷の深山薊

  synonym Cirsium pectinellum A.Gray var. alpinum Koidz. ex Kitam. 

  synonym Cirsium kamtschaticum Ledeb. subsp. pectinellum (A.Gray) Kitam. var. alpinum (Koidz. ex Kitam.) Kitam.

 日本(北海道の大雪山系と知床山系の高山帯)固有種。別名はミヤマサワアザミ。チシマアザミ(C. kamtschaticum)と同じような場所に生える。チシマアザミは長毛が多く、花期に根出葉があり、総苞片は6~7列。
高さ30~50㎝。茎は直立し、普通、単純又は1回分枝し、開出する長毛が多い。花期に根出葉がある。葉は上部の葉まで羽状深裂~中裂し、下部の羽片は約6対、開出する長毛が多い。頭花は大型、横向き~下向きに1~2個つける。総苞は椀形~、クモ毛があり、腺体がなく、粘らない。総苞片は11~12列、反曲~ゆるやかに反曲し、先が尾状に伸びる。雌性両全性異株、雌株がある。2n=34。花期は8~9月。

148 Cirsium yezoense (Maxim.) Makino サワアザミ 沢薊
  日本(北海道~本州の福井県)固有種。愛知県に1か所に小群落がある。沢に沿った林縁に生える。
 全体が大きく、高さ1~3m。茎は斜上し、中部以上でよく分枝し、枝が短い。根生葉は花期には無い(残存する)。茎の下部の葉は大型、肉質、柔らかく、羽状浅裂~中裂、刺は弱い。頭花の基部に4~6個の苞葉がある。頭花は大きく、下向き。総苞は椀形、直径2~3.5㎝、粘らない。総苞片は8~9列、開出~斜上し、総苞外片は狭卵形、内片の半長、クモ毛がある。小花の花冠は長さ約20㎜。花期は9~10月。2n=34。

149 Cirsium yoshidae Kadota タキアザミ 多気薊
 日本(三重県)固有種。 リョウノウアザミ(C. grandirosuliferum)に似ている。  大型で高さ2m以下。茎の中部以下で分枝し、枝が長い。頭花は小さく、上向き。総苞は狭筒形、わずかに粘る。総苞片は10~11列、斜上~反曲する。小花は長く、長さ18~20㎜。

150 Cirsium yuki-uenoanum Kadota マルモリアザミ
 日本(宮城県)固有種。
 高さ1~2.5m。茎は中部以上でやや開出して分枝する。葉は粗く羽状深裂~全裂、基部は抱茎。頭花は中型、長柄の先に上向きにつく。総苞は狭鐘形、粘らない。総苞片は11~12列、長く、反曲する。

151 Cirsium yuzawae Kadota イワキヒメアザミ 磐城姫薊
 日本(福島県岩代地方)固有種。
 頭花は小型、多数、下向きにつけ、総苞片が開出する。

152 Cirsium zawoense Kadota ザオウアザミ 蔵王薊
  日本(蔵王連峰)固有種。
 頭花は中型、点頭する。総苞は鐘形、総苞片は細長く、斜上~開出する。2n=68(4倍体)。

153 ハイブリッド
(01) Cirsium x braunii F. W. Schultz (Cirsium oleraceum x Cirsium tuberosum)
(02) Cirsium × canalense Petr. 英名はcanal thistle
(03) Cirsium ×celakovskyanum Knaf  センダイキツネアザミ
(04) Cirsium x connexum Kitam.  カスガイアザミ
 ヒメアザミ(Cirsium buergeri)とテリハアザミ(Cirsium lucens) の交雑種
(05) Cirsium x crassum (Osterh.) Petrak.
(06) Cirsium × erosum 英名はglory thistle
(07) Cirsium x glabratum Kitam.  ハダカアザミ
(08) Cirsium x heteroanthum Kitam.  オクエゾタカアザミ
(09) Cirsium × iowense 英名はIowa thistle
(10) Cirsium x iburiense Kitam.  イブリアザミ
(11) Cirsium x manshuricum Kitag.  マンシュウアザミ
(12) Cirsium x mirabile Kitam.  オバケアザミ
(13) Cirsium x misawaense Nakai ex Kitam.  ミサワアザミ
(14) Cirsium x patens Kitam.  エダハリアザミ
(15) Cirsium x perplexissimum Kitam.  マヨワセアザミ
 エゾヤマアザミCirsium albreclitiiとアオモリアザミCirsium aomorense の交雑種
(16) Cirsium x pilosum Kitam.  ケマアザミ
 キセルアザミとノハラアザミとの自然交雑種
(17) Cirsium x sugimotoi Kitam.  スギモトアザミ
(18)Cirsium × vancouverense 英名はVancouver thistle
(19) Cirsium dipsacolepis (Maxim.) Matsum. x C. lineare (Thunb.) Sch.Bip.  モリヤナギアザミ
(20) Cirsium microspicatum x C. nipponicum var. incomptum  アズマタイアザミ
(21) Cirsium microspicatum x C. purpuratum  トオヤマアザミ
(22) Cirsium microspicatum x C. tenuipedunculatum  ホソエアズマヤマアザミ
(23) Cirsium nipponicum var. incomptum x C. oligophyllum  ノハラタイアザミ
(24) Cirsium purpuratum (Maxim.) Matsum. x C. tenuipedunculatum Kadota  タンザワアザミ

151 その他園芸品種
品種) 
Cirsium 'Mount Etna' , Cirsium 'Roumania' × 'White'

総苞片の列数

 門田先生の提唱する方法(参考6)
 総苞の基部から数える。最も下に場合によっては離れて抱(苞葉)がつく。その上の先ず起 点となる総苞最外片を決め、それを第1列とする。 次にそれに隣り合って、かつ内側に位置する総苞片を第2列とする。同様に順次第3列、第4列と数え、最内片まで数える。
 注意点は2点
(1) 苞葉と総苞の最外片を違えないこと。
  抱葉は総苞片と大きさや形が 異なることで判断するが、差が無いこともあり、難しい。
(2) 内片も忘れずに列数に入れること。内片は紫色を帯びた膜質のことも多い。



アザミの名がつく類似属

 名前に「アザミ」がつくが、アザミ属ではない植物も多くある。トウヒレン属 Saussurea(トナカイアザミ、ススヤアザミ、 フォーリーアザミ、ミヤマキタアザミ、ホクチアザミ、ミヤコアザミ、シラネアザミ、ナガバキタアザミ、オクキタアザミ、 シレトコアザミ、トゲキクアザミ 、キクアザミ) 、ヒゴタイ属Echinops(ルリタマアザミ) 、チョウセンアザミ属 Cynara 、ヒレアザミ属 Carduus、オオヒレアザミ属 Onopordum、オオアザミ属Silybum、キツネアザミ属 Hemisteptia(キツネアザミ)、ヤグルマギク属 Centaurea ( ヤグルマアザミ , クロアザミ )、キダチキツネアザミ属 Mantisalca (キダチキツネアザミ)

ヒレアザミ属

  family Asteraceae - genus Carduus

 1年草又は2年草[多年草]、高さ30~200(~400)㎝、刺があり、±綿毛があり、ときに無毛。茎は直立し、1本~多数分枝し、刺のある翼がある。葉は根生葉と茎葉、葉柄は有又は無。葉身は縁に刺のある歯があり、しばしば1~2回羽状浅裂、表面は無毛又は有毛、腺はない。頭花は中心小花頭花(discoid=筒状小花のみ)、単生又は2~20個、密に束生又は散房花序状につく(花序柄=頭花の柄は裸出毛又は葉状の苞、刺のある翼があるか又は翼がない)。school応報は円筒形~球形。総苞片は多数、7~10列につき、線形~広卵形、基部は圧着し、縁は全縁、先は斜上~開出又は反曲し、鋭形、先端に刺がある。花托は平ら、パレアは無く、剛毛状の鱗片(扁平な剛毛)がある。小花は数個~多数、花冠は白色~ピンク色又は紫色、±2唇形、筒部は長く、細く、のど部は短く、鐘形、筒部から急に膨れ、裂片は線形。葯の基部は鋭く短い尾j上、先の付属体は長楕円形。花柱は分枝し、融合部分はわずかに、微軟毛があり、基部の節は膨れ、上部はパピラがあり、又は無毛。分離部分は極短い。痩果は卵形、わずかに扁平、表面は平滑、無毛、付着痕はわずかに側部にある。冠毛は宿存性又は多数の毛の環になって落ち、基部で合着した剛毛又は剛毛状の毛、小さな刺のある鱗片である(小さな扁平な剛毛)。x=8, 9, 10, 11, 13。
 世界に約90種あり、ユーラシア、アフリカに分布する。

ヒレアザミ属の主な種

1 Carduus acanthoides L. オオヒレアザミ 大鰭薊
 中国、ロシア、アジア南西部、ヨーロッパ原産。中国名は节毛飞廉 jie mao fei lian。
2年草又は多年草。茎は1本、長い枝があり、± 粗毛があり、翼に歯があり、歯は表な刺は鋭く、長さ3~5㎜、葉は表裏同色、薄緑色又は青緑色、クモ毛は無いか又はわずか、脈にまばらに粗毛がある。根生葉と下部の茎葉は無柄、楕円形~倒披針形、長さ6~29㎝×幅2~7㎝、羽状浅裂~羽状深裂、羽片は6~12対、楕円形~三角形、歯が側部と先にあり、長さ3~5㎜の刺をもつ。中間と上部の茎葉は似ているが、上部で次第に小さくなる。最上部の茎葉は±広線形、、ときに分裂しない。頭花はほとんどが単生又は茎や枝先に束生する。花序は類球形、直径1.5~2(~2.5)㎝、無毛、又はまばらにクモ毛がある。外総苞片は線形~三角状錐形、約長さ7㎜×幅1㎜、先の小刺は長さ1~2㎜。中総苞片は長さ8~14㎜×幅1.5~1.6㎜、三角状錐形に狭くなり、直立~開出又は上部で広がり、先に長さ1~2㎜の小刺がある。内総苞片は線形、まっすぐ、約長さ16㎜×幅1㎜、先は薄く、尖鋭形。花冠は紫赤色まれに白色、長さ約1.7㎝、筒部は長さ約8㎜。痩果は褐色、長さ約4㎜。kanmouは剛毛、白色、長さ約1.5㎝。花期と果期は5~10月。2n=16, 22。

2 Carduus cernuus Steud. ガンクビヒレアザミ 雁首鰭薊
 中国、ロシア、カザフスタン原産。中国名は翅膜菊 chi mo ju
 2年草、高さ1~3m。茎は紫赤色、上部で長く分枝し、まばらにクモ毛がある。葉は紙質、下面は灰白色、密にフェルト状、上面は緑色、まばらに小剛毛があり、縁は小刺のある小歯状。根生葉と下部の茎葉は有柄、葉柄は長く、小刺があり、翼があり、基部は耳状、半抱茎。葉身は分裂せず、卵形~心形、長さ25~50㎝×幅15~30㎝。中間の茎葉は似ているが、葉柄が短いか又は無く、心形で苞茎。上部の茎葉は無柄、小さい。頭花は数個、下向きにつく。総苞は直径4~5㎝、外及び中総苞片は披針形~倒披針形、長さ8~20㎜×幅3~4㎜、上部は円い薄膜の小歯状の付属体をもち、先は狭くなり、長さ1~5㎜の刺がある。内総苞片は倒披針形、約長さ 3㎝×幅0.3㎝、先に小さな薄膜質の全縁~± 引き裂かれた、普通、鈍い、付属体をもつ。花冠は黄色、長さ約1.6㎝、筒部は長さ約6㎜。痩果は褐色、狭卵形~倒卵形、長さ約5.5㎜、多数の条せんがある。冠毛は剛毛、長さ1.5㎝以下、もろい。花期と果期は7~9月。2n=26。

3 Carduus crispus L.  ヒレアザミ 鰭薊
 ヨーロッパ~東アジア原産。古い時代の帰化植物とされている。本州~九州に帰化。堤防や路傍に生える。
 1年草又は2年草。高さ30~150㎝。茎は開いて分枝し、絨毛があり、巻いて隔壁がある毛があるか無毛近くになり、刺のある翼は幅1.5㎝以下、翼の刺は長さ3㎜以下。根生葉は幅が狭くなり、翼のある葉柄がある。葉身は長さ10~20㎝、縁は刺のある歯~浅く羽状分裂する。茎葉は無柄、次第に小さくなり、縁はしばしばより深く分裂し、縁の刺は長さ3㎜以下、葉の下面は±綿毛があり、脈に長い1細胞の毛や長い巻いた隔壁のある毛をもち、又は無毛。上面はまばらに毛があるか無毛になる。頭花は単生又は2~5個、固まってつき、長さ15~18㎜。頭花の柄は刺のある翼が先付近又は全体にあり、長さ4㎝以下。総苞は±球形、長さ12~17㎜×幅12~17㎜。総苞片は狭披針形、外総苞片と中総苞片は基部で圧着し、幅約1㎜、圧着~開出する付属体は幅0.5~1㎜、刺のある先端は長さ1~1.5㎜。内総苞片は刺が無く、先端が真っすぐ。花冠は紫色(紅紫色)又は±白色、長さ11~16㎜、裂片はのど部の長さの約3.5倍。痩果は薄褐色~灰褐色、長さ2.5~3.8㎝。冠毛は剛毛(羽毛状ではない)、長さ11~13㎜。2n=16。花期は6~9月(5~7月)
3-1 Carduus crispus subsp. crispus ヒレアザミ
  synonym Carduus agrestis A.Kern. in W.D.J.Koch
  synonym Carduus crispus subsp. agrestis (A.Kern.) Vollm.
 モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、ヨーロッパに分布。

3-1-1 Carduus crispus L. subsp. agrestis (A.Kern.) Vollm. f. albus (Makino) H.Hara シロバナヒレアザミ 異分類

 白花品種。
3-2 Carduus crispus var. glareicola P.D.Sell
 イギリスに分布。

3-3 Carduus crispus subsp. multiflorus (Gaudin) Gremli

 ヨーロッパ(ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、オランダ、ポーランド、ルーマニア、スペイン、スウェーデン、スイス)に分布。

4 Carduus kerneri Simonk. セイヨウフジアザミ 西洋富士薊
 西カルパチア山脈、バルカン山脈に分布する。
 多年草、高さ20~80㎝、上半部は分岐がほとんどなく、幅は7㎜以下、翼があり、小枝には翼がない。痩果は円筒形又はわずかに倒円錐形、先は切形、狭いcoronaがあり、長さ4~5㎜×幅1.6~1.8㎜、表面は平滑又はごく浅い縦の溝があり、横向きのしわがあり、、わずかに光沢があり又は光沢がなく、淡褐色。

5 Carduus nutans L. ウナズキヒレアザミ 頷き鰭薊
 ヨーロッパ原産。英名はMusk thistle , nodding thistle。別名はジャコウアザミ、ウナダレヒレアザミ。
 1年草又は2年草。高さ40~200+㎝。茎は無毛~綿毛があり、翼の歯は10㎜以下、翼の刺は長さ2~10㎜。葉は基部が狭くなり、翼のある葉柄がある。葉身は長さ10~40㎝、1~2回羽状分裂、茎葉は無柄、短く、縁は分裂が少なく、無毛又は±有毛。頭花は単生又は散房花序状につき、時に少数が腋生し、少なくとも、頂生の頭花は普通、花序柄が目立ち、しばしば下向きににつき、頭花は長さ20~40㎜。花序柄は長さ2~30㎝、丈夫には翼が無く又は全体に無く、細かい綿毛がある。総苞は半球形、長さ20~60㎜×幅20~70㎜。総苞片は披針形~卵形、外及び中応報片は基部が圧着し、幅2~4㎜、広がる~反曲し、付属体は幅2~7㎜、下部は無毛又は±綿毛があり、上部は無毛~ざらざらし、先端の刺は長さ1~4㎜。内総苞片は刺が無く、真っすぐ又は先端が捻じれる。花冠は紫色、長さ15~28㎜、裂片はのど部の長さの2.5~3倍。痩果は金色~褐色、長さ4~5㎜。冠毛は剛毛、長さ13~25㎜。2n=16。花期は5~9月。(Flora of North America)

6 Carduus pycnocephalus L. ヒメヒレアザミ 姫鰭薊
 ヨーロッパ、アジア(インド、パキスタン、西アジア、コーカサス)、北アフリカ原産。英名はslender thistle , Italian thistle , Plymouth thistle , sheep thistle , shore thistle , slender winged thistle , slender-flower thistle , winged slender thistle , woolly thistle。別名はオニヒレアザミ , ヒッツキヒレアザミ。日本にも帰化している。鈴鹿市で1963年に採集された。
 1年草または2年草。茎は直立、高さ30~120㎝、 多く分枝する。葉は長楕円形、羽状中裂し、裂片の縁は歯牙縁、歯牙の先に3~4㎜の刺がある。表面緑色、縮れた毛があり、裏面にクモ毛があって白色。葉の基部は茎に沿下してひれ状となる。ひれは不揃いに切れこみ、切れこみが茎に達するものもあり、刺がある。頭花は茎の先に2~3個がやや接近してつく。頭花は直径1.5~ 2㎝。総苞は長さ18㎜。総苞片は4~ 5列、やや覆瓦状、外片は卵状披針形で長さ5㎜内外、先は鋭尖頭、短い刺がつく。内片は線形、鋭尖頭。花盤に剛毛を密生する。痩果は長楕円形、長さ5㎜、無毛、光沢がある。小花は紅紫色、長さ13㎜、筒狭部は長さ63.5㎜。冠毛は淡褐色、長さ11㎜、毛はほぼ等長、縁に微細な短毛がある。毛の基部は合生する。(Vol. 25(4-6) (1973/03/30)キク科の新帰化植物北村四郎)

6-1 Carduus pycnocephalus Linnaeus subsp. pycnocephalus

 1年草、高さ20~200㎝。茎は1本~開いて分枝し、緩く、細かい1細胞の毛の綿毛と巻いた隔壁のある毛の絨毛があり、翼は不揃いに切れ込み、翼の歯は10㎜以下、翼の刺は長さ20㎜以下。葉は基部が狭くなり、翼のある葉柄があり、葉身は長さ10~25㎝、縁は羽状に2~5裂し、下面は±綿毛があり、上面は綿毛と軟毛があり、±無毛になる。茎葉は無柄、より短く、縁は分裂が少なく、上部は小さくなり、苞になる。頭花は単生又は枝先やときに上部の葉腋に2~5個、固まって束生し、頭花の柄は無又は短く、頭花は長さ20~25㎜。頭花の柄は翼が全体にあり又は上部に翼が無く、長さ0~2㎝、綿毛がある。総苞は円筒形~楕円形(プレスすると鐘形に見える)、長さ17~22㎜×直径7~15㎜。総苞片は線状披針形、圧着し、基部に緩く綿毛があり、幅2~3㎜、斜上し、線形の付属体は幅0.5~1.5㎜、縁は薄膜質でなく、中肋と縁の上部がざらつき、刺のある先端は長さ1~3㎜。内総苞片は真っすぐ、直立し、先端は刺の無い又は刺が短い。花冠は±紫色、長さ14~16㎜、裂片はのど部の長さの約3倍、痩果は黄金色~褐色、長さ4~6㎜、細かい20うねがある。冠毛は剛毛、長さ15~20㎜。2n=約54(Chile), 60, 62。花期は3~7月。(Flora of North America)

7 Carduus tenuiflorus Curtis イヌヒレアザミ 犬鰭薊
 ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はsheep thistle , shore thistle , slender thistle , slender-flower thistle , winged slender thistle。日本にも帰化している。
 1年草、高さ20~200㎝。茎は1本又は開いて分枝し、細かい1細胞の毛の綿毛が緩くあり、巻いた隔壁のある毛の絨毛があり、翼の歯は25㎜以下、翼の刺は長さ15㎜以下。歯は基部で狭くなり、翼をもつ葉柄がある。葉身は長さ10~25㎝、縁は羽状に6~10裂し、下面は綿毛があり、上面は緩く、綿毛と絨毛があるか、又は±無毛になる。茎葉は無柄、より短く、分裂が少ない。頭花は固まって5~20+個が茎頂に束生し、普通、無柄、長さ15~22㎜×幅7~12㎜。総苞は円筒形~楕円形(プレスすると鐘形に見える)、長さ15~20㎜×幅7~12㎜。総苞片は線状披針形、基部は圧着し、幅2~2.5㎜、±無毛にあり、斜上し、付属体は幅0.5~1.5㎜、縁が狭い薄膜質、上部は無毛又は小さな縁毛があり、先端の刺は長さ1~2㎜。内総苞片は先端が直立、まっすげで刺が無い。花冠は帯ピンク色、長さ10~14㎜、裂片はのど部の長さの1.5~2.5倍。痩果は褐色、長さ4~5㎜細かいうねが10~13本ある。冠毛は剛毛、長さ10~15㎜。2n= 54。花期は4~7月。

オオヒレアザミ属

  family Asteraceae - genus Onopordum

 2年草、高さ50~400+㎝、粗く、刺がある。茎は普通、直立、±分枝し、刺のある翼がある。葉は根生葉と茎葉、葉柄は有、翼があり(根生葉)、又は無(茎葉)。葉身は基部が狭くなり、縁は羽状浅裂又は分裂、歯があり、歯や裂片の先端に丈夫な刺がある。頭花は筒状小花のみ(discoid)、単生又は散房花序状につく(頭花の柄は無又は刺のある翼がある)。総苞は半球形~卵形~球形。総苞片は多数、8~10列につき、線形~卵形、全縁、硬い刺に向かって狭くなる。中と外総苞片はしばしば開出又は反曲する。花托は帯r多又は凸面、パレアは無く、剛毛はなく、ハチの巣状、先に縁飾りのある穴をもつ。小花は多数、花冠は白色又は紫色、放射相称又は弱く、左右相称、筒部は細く、のど部は円筒形又は狭ゴブレット形、裂片は線形。葯の基部は尖った尾状、先の付属体は錐形。花柱は分枝し、融合ぶぶんは節にびさいな毛があり、長く、円筒形、小さなパピラがある。分離部分は小さい。痩果は±円筒形、4~5角(かど)があり、普通、±横方向に粗くなり、無毛、付着痕が基部にある。冠毛は輪になって落ち、多数の刺又は羽毛状の剛毛からなり、基部が合着する。 x = 17。
 世界に25~60種あり、ユーラシアに分布する。

オオヒレアザミ属の主な種

1 Onopordum acanthium L. ゴロツキアザミ 破落戸薊
 ヨーロッパ、アジア西部、アフリカ(アルジェリア)原産。英名はcotton thistle, giant thistle , heraldic thistle , Scotch thistle , Scottish thistle , woolly thistle。
 日本では三重県三重郡楠町の紡績工場と関係のある場所で1965年7月3日に太田久次さんが採集した記録がある。
 2年草。茎は高さ30~150㎝、 上部でよく分枝し、枝先に1個の大きな頭状花をつける。葉は披針形、 羽状浅列~中裂し、 裂片の先に長さ約5㎜の刺があり、下面はクモ毛があり、白色、基部は茎に沿下して、翼状となる。翼には開出した不揃いの歯牙がある。頭花は直径約5㎝。総苞片は針状、開出する。 花盤には多くの浅い凹みがあり、その凹みに小花がつく。小花は淡紫色、長さ約19㎜、筒狭部は長さ10~11㎜。痩果は黒色、倒卵状長楕円形、長さ4㎜、粗い。冠毛は長さ5~6㎜、長さが不揃いで、微細鋸歯があり、下部は合着して冠状となる。花期は7~8月。
 ヨーロッパでは花盤の若いときにアーティチョークのように食べる。また、 観賞用にも栽培される。和名の由来はOnopordum はろ馬の屁の意、Acanthium は刺の意であり、和名に訳せばヘアザミとなるが、遠慮して、毛むくじゃらの握りこぶしのような頭花であるので、 ごろつきに見立てたとされている。

2 Onopordum illyricum L. オニウロコアザミ 鬼鱗薊
 ヨーロッパ南部~南西部、アジア西部原産。英名はIllyrian thistle 。草原、野原、道端、樫林内に生える。オーストラリア、USAなどに帰化し、有害雑草。とされている。日本に帰化している。
 高さ50~250㎝、草質、全体に灰白軟毛の綿毛がある。茎は翼の幅が0.5~2㎝。 葉は長さ10~50㎝、縁は浅い~±深く1~2回羽状中裂し、裂片は8~10対、三角形。頭花は枝先に単生することが多い。総苞は直径30~60㎜(棘を除く) 球形、基部は切形~凹形。総苞片は披針形~卵形、基部の幅は3~8㎜、無毛または±クモ毛状綿毛があり、棘は長さ5㎜以下。花冠は紫色、長さ25~35㎜。痩果は長さ4~5㎜。冠毛は長さ10~12㎜、帯白色の羽毛状の剛毛が多数。2n=34(フランス)。花期は6~8月。

オオアザミ属

  family Asteraceae - genus Silybum

 1年草又は2年草、直根があり、高さ15~300㎝、全体に無毛、微軟毛又はわずかに綿毛があり、刺がある。茎は直立し、普通、1本。葉は根生葉と茎葉、葉柄が有(根生葉と下部の茎葉)又は無(上部の茎葉)。葉身は上面は斑入り、縁は歯状でしばしば粗く、羽状浅裂、歯と裂片の先端に刺があり、無毛又は微軟毛がある。頭花は筒状花のみ(discoid)、単生、頂生及び上部で腋生(頭花の柄は小さな葉状の苞をもつ)。総苞は卵形~球形、直径15~60㎜。総苞片は多数、4~6列につき、不等形、外総苞片と中総苞片は基部が圧着し、開出し、披針形~卵形、縁に刺があり、頂部の付属体があり、少なくとも、中間の先端に刺がある。最も内側の総苞片は直立し、平ら、全縁、先に刺が無い。花托は平ら、パレアは無く、帯白色の剛毛で被われる。小花は25~100+個。花冠はピンク色~紫色、筒部は細く、上部で曲がり、急に広がり、短いのど部になり、裂片は線形。雄しべの花糸は合着する。約の基部は鋭く短い尾状、葯の付属体は長楕円形。花柱は分枝し、融合部分はわずかに膨れた類頂生の節をもち、上部は円筒形、分離部分は小さい。痩果は卵形、わずかに扁平、うねは無く、先は平滑な全縁の拡大部があり、無毛、基部の付着痕はわずかに角(かど)がある。冠毛は輪になって落ちる。外側の輪は多数の小さな刺からなり、基部が合着して、錐形の鱗片になる。内側の輪は小さな平滑な剛毛からなる。x = 17。
 世界に2種あり、地中海沿岸地域に分布する。

オオアザミ属の主な種

1 Silybum marianum (L.) Gaertn. オオアザミ 大薊
 ヨーロッパ、アジア(インド、パキスタン、ロシア、西部、中部、コーカサス)、北アフリカ原産。英名はblessed milkthistle , blessed milk thistle , bull thistle , gundagai thistle , holy thistle , lady's thistle , milk thistle , variegated artichoke , variegated thistle。別名はマリアアザミ。
 茎は高さ40~150㎝、無毛又はわずかに 綿毛がある。葉は白班がある。根生葉は葉柄があり、葉柄に翼があり、葉身は長さ15~60+㎝、粗く分裂する。茎葉は長さ約10㎝、羽状中裂し、基部は茎を耳状に抱く。頭花は直径3~6(~8)㎝。総苞は長さ約4㎝。総苞片は付属体が開出し、卵形、長さ1~4㎝、刺が大きい。花冠は長さ26~35㎜、筒部は長さ13~25㎜、のど部は鐘形、長さ2~3㎜、裂片は長さ5~9㎜。痩果は褐色、黒色の斑点があり、長さ6~8㎜。冠毛は鱗片、長さ15~20㎜。2n=34。
 ヨーロッパでは葉をサラダとして食べ、根はシチュウ料理や砂糖煮とする。日本で野生化したものは三重県鈴鹿市白子町で1966年に採集され、山口県蓋井島(フタオイジマ)で1969年にも確認されている。マリアアザミというのは聖母マリアがこの葉の刺にふれてびっくりして手にもっていた牛乳をこぼし、それで葉に白いぶちがあるという伝説に基づく学名の和訳である。(Vol. 25(4-6) (1973/03/30)キク科の新帰化植物北村四郎)
品種) 'Adriana' , 'Fonda Sd' (PBR) , 'Rella Sb' (PBR)

参考

1) Flora of China
 Cirsiums 45種
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=107139
2)Flora of North America
 Cirsiums
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=107139
3) The Jepson Herbarium
 Cirsium arvense
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=2102
4) GRIN
 Cirsiumss 1-68
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=2626
5) 国立科学博物館
 日本のあざみ
https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/azami/index.html
 一覧表
https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/azami/list.html?word=all
 学術出版物 植物学
https://www.kahaku.go.jp/research/publication/botany.html
 第40巻 第2号、第39巻第3号、第38巻 第1号、第37巻 第1号、第35巻 第4号、第35巻 第1号、第34巻 第4号
6) 60周年記念講演要旨 門田 裕一:アシウアザミとジャクエツアザミ(新称)
http://phytogeogratax.main.jp/site/wp-content/uploads/2018/02/JPT60_1_5.pdf
7) Cirsium hosokawae in Digital Flora of Taiwan @ efloras.org
 Cirsium hosokawae Kitam.
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=100&taxon_id=242412660
8)新帰化植物,オオヤナギアザミ(新称)福島県いわき市から見つかる(門田裕一)
 Journal of Japanese Botany Vol. 74 No. 4
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_074_257_259.pdf
9) 深圳植物志
 湖北蓟  
http://fsz.eflora.cn/fsz/Cirsium%20hupehense
10)上野達也:絶滅危惧種コイブキアザミ(キク科)の現況
http://phytogeogratax.main.jp/site/wp-content/uploads/2018/02/JPT58_2_123.pdf
11) 日本植物分類学会第8 回仙台大会公開シンポジウム講演記録
 東北地方のアザミーナンプアザミを巡る問題点一門田裕一
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunrui/10/1/10_KJ00006159260/_pdf/-char/ja
12) Cabbage Thistle, Cirsium oleraceum - Flowers - NatureGate
 Cabbage Thistle
http://www.luontoportti.com/suomi/en/kukkakasvit/cabbage-thistle
13)April2006 Journal of Japanese Botany Vol. 81 No. 2 p121
 テマリフジアザミ一白山産フジアザミの一型(高橋秀男)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_081_121_123.pdf
14) アザミ観察記
http://cirsium.iinaa.net/Azami/azami_guan_cha_ji.html
 アザミ一覧表
http://cirsium.iinaa.net/Azami/Thistle.html

15) A taxonomic revision of the genus Cirsium Mill. sect. Cirsium(Asteraceae) in Turkey

https://www.researchgate.net/publication/305459229_A_taxonomic_revision_of_the_genus_Cirsium_Mill_sect_CirsiumAsteraceae_Cardueae_in_Turkey
16) Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Ser. B, 40(2), pp. 73-94, May 22, 2014
 Taxonomic Studies of Cirsium (Asteraceae) in Japan XXV.
Identity of Cirsium nipponicum (Maxim.) Makino and Two New Species from Tohoku District, Northern Japan
https://www.kahaku.go.jp/research/publication/botany/download/40_2/BNMNS_B40-2_73-94.pdf
17) AgroAtlas - Weeds - Cirsium setosum (Willd.) Bess. - Bristly Thistle.  Cirsium setosum (Willd.) Bess. - Bristly Thistle
http://www.agroatlas.ru/en/content/weeds/Cirsium_setosum/
18) 植物分類・地理 - 東京大学
日本植物分類学会が1932-2001年にかけて発刊した「植物分類・地理」のPDFアーカイブ
http://jboli.c.u-tokyo.ac.jp/~jsps/
 Acta Phytotax.Geobot.41:169-187(1990)
 アジアのキク科植物4 北村四郎
 P172 Breea segeta Bunge)Kitamura
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunruichiri/41/4-6/41_KJ00001078690/_pdf
 Vol. XXVI. No. 311 p322
 Notula ad Plantar Japonia et Corea VIII.
 114). Cirsium Fauriei NAKA
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/26/311/26_311_321/_pdf/-char/ja