オオシマザクラ 大島桜
Flora of Mikawa
バラ科 Rosaceae サクラ属 サクラ亜属
学 名 | Prunus speciosa (Koidz.) Nakai synonym Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba synonym Prunus jamasakura var. speciosa Koidz synonym Prunus serrulata subvar. speciosa (Koidz.) Makino synonym Prunus idzuensis Nakai シオカゼザクラ 潮風桜 |
花 期 | 3月下旬~4月上旬 |
高 さ | 8~10m |
生活型 | 落葉高木 |
生育場所 | 沿海地の丘陵、山地 |
分 布 | 在来種(日本固有種) 本州(房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島) |
撮 影 | 西尾市(幡豆町) 12.4.12 |
落葉高木。高さ8~10m。幹は暗灰色、濃褐色の大きい皮目がある。葉は互生し、長さ8~13㎝の倒卵状長楕円形、重鋸歯縁。鋸歯の先が芒状になるのが特徴である。葉は両面とも無毛であり、桜餅の葉はこの若葉を塩漬けにしたものである。葉柄は長さ1.5~3㎝、無毛。蜜腺は葉柄の上部にあり、しばしば最下の鋸歯の先にも小さな紅色の腺体が見える。長さ1~3㎝の花序柄の先に散形状に3~4(5)個の花がつく。苞は三角状倒卵形、上半部に鋸歯があり、苞や芽鱗の内面には毛がある。花柄(小花柄又は花梗)は2~4㎝、無毛。花は大きく直径3~4㎝、普通、白色、葉の展開とほぼ同時に開花する。花には芳香がある。花弁の先端に小さな切れ込みがあり、散り際に花弁の下部と花糸が淡紅色になる。萼筒は長さ7~8㎜のやや細い長鐘形。萼片は披針形、縁に鋸歯がある。果実は多数つく、直径約1.2㎝の球形の核果、赤色~黒紫色に熟し、落ちて黒色になる。花期3月下旬~4月上旬。
ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの雑種と考えられている。オオシマザクラは花が大きく、オオシマザクラ系のサトザクラの園芸品種は非常に多い。
サクラの分類
桜(サクラ)は最近の分類ではサクラ属[広義] genus Prunus (広義のスモモ属ともいわれる)中のサクラ亜属 subgenus Cerasus を指し、日本では一般的にはサクランボ類を除き、ウワミズザクラ亜属 Subgenus Padus中の旧ウワミズザクラ属も含めた花を観賞するものである。1992年の大場秀章博士の論文(参考10)など、サクラ亜属を狭義のサクラ属とする見解もあり、Flora of ChhinaやYListはこれによるが、世界的にはサクラ属はバラ科(Rosaceae)・サクラ亜科 A(Amygdaloideae)中のサクラ属(genus Prunus)1属だけのサクラ連 Amy(tribe Amygdaleae)に属し、サクラ亜属とする分類が一般的である。広義のサクラ属(genus Prunus)は以前はスモモ属とも呼ばれていたが、現在はサクラ属とも呼ばれるようになり、農林水産省の品種登録では広義にサクラ属(Prunus)を使用している。サクラ亜科 A(Amygdaloideae)の下位分類
(1) サクラ連 A-Amy(tribe Amygdaleae)
(2) ギレニア連 A-Gil(tribe Gillenieae)
(3) リオノサムネアエ連 A-Lyo(tribe Lyonothamneae)
(4) リンゴ連 A-Mal(tribe Maleae)
(4-1) リンゴ亜連 A-MalM (subtribe Malinae)
(4-2) Lindleyinae亜連 A-MalL (subtribe Lindleyinae)
(5) ネイリア連 A-Nei(tribe Neillieae)
(6) シモツケ連 A-Spi(tribe Spiraeeae)
サクラ亜属を含む広義のサクラ属 genus Prunus
被子植物(Angiosperm)-真正双子葉類(Eudicots)-コア真正双子葉類(Core eudicots)-バラ上群(Superrosids)-バラ類(Rosid)-窒素固定クレード(nitrogen-fixing clade)-バラ目(Rosales)-バラ科(Rosaceae)-サクラ亜科 A(Amygdaloideae =スモモ亜科Prunoideae)-サクラ連 Amy(tribe Amygdaleae)-サクラ属(genus Prunus)低木または高木、ときにクローン性の茂みを形成し、直径0.1~4mになり、無毛または毛がある。茎は1~20+本。樹皮は帯赤色、赤褐色、灰褐色、または暗灰色。普通、長いシュートと短いシュートが存在し、刺は有または無。葉は落葉性または宿存性、茎葉。托葉は早落性、線形~披針形、縁は鋸歯状から裂片状、普通、腺がある。葉柄は有または無、普通、葉身近くに腺体がある。葉身は楕円形、長円形、ほぼ円形、卵形、披針形、線形、倒卵形、倒披針形、へら形、扇形または菱形、中肋に沿って折り畳まれることはめったになく、長さ0.5~18㎝、膜質~革質、縁は平ら、普通、全縁または歯があり、ときに波打ち、歯は普通、腺があり、ときに腺が無い。花序は短いシュートの上または前年の葉に腋生し、花が1~64(~90)[~100]個つき、総状花序、散房花序、散形状に束生し、花は2個束生または単生。苞はときに有り、小苞がある。小花柄は普通あるが、ときに欠く。花は普通、両性、ときに単性(その後、普通、雌雄異株、ときに雌雄混株(andropolygamous)、花は葉の展開前または展開と同時に咲き、直径4~40mm。花托筒は長さ1.5~8㎜、外面は無毛または有毛。萼片は5個、直立~後屈し、普通は三角形、半円形、卵形、または長円形、まれに卵状楕円形、披針形、または倒卵形。花弁は5個(観賞用の重弁花では~50+個)、通常は白色~ピンク色または暗ピンク色、ときに帯黄色、普通、ほぼ円形~楕円形または倒卵形、ときに長円形、まれに卵形、倒披針形、または菱形、基部には普通、爪部がある。雄しべは10~3本、普通は花弁と同長またはそれより短く、ときに長くなる。核果は1個、緑黄色~帯黄色、またはオレンジ色~明るい赤色~暗赤色、赤褐色、または暗紫色~黒色、球形~卵形~卵状長円形~楕円形、または倒卵形、長さ5~30(~80)㎜。花托筒は脱落性、まれに果時に宿存する。萼片は花托筒と一緒にで落ちる。中果皮は普通、肉質、ときに革質~乾燥し、まれに縫合糸に沿って裂け、核(石)が現れる。内果皮は球形~卵形または楕円形~紡錘形の核(石)を形成し、ときに側部が平らになる。種子は1個。x=8。(FNA)
世界に約340種あり、汎存種(cosmopolitan)。
広義のサクラ属 genus Prunusの下位分類 [Shi etc.(2013)]
ウワミズザクラ亜属(subgen. Padus)、サクラ亜属(subgen. Cerasus)、スモモ亜属(subgen. Prunus)の3亜属に分類される。Prunus subgen. Padus(ウワミズザクラ亜属)
花序は総状花序。単系統群では無い(参考10)。 Prunus mahalebとPrunus maackii(ウラボシザクラ)はsubgen. Cerasusに移動された。(1) Laurocerasus(旧バクチノキ亜属)英名はcherry laurels:タイプ種はセイヨウバクチノキ(Prunus laurocerasus)
ほとんどが常緑(他の亜属は落葉)
腋芽は単生。花期は早春。小花柄は短い。花は総状花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果に溝がない。核は平滑。
Prunus amplifolia - Prunus brittoniana - Prunus caroliniana - Prunus ilicifolia(holyleaf cherry) - Prunus integrifolia - Prunus javanica - Prunus laurocerasus(セイヨウバクチノキ:cherry laurels) - Prunus lusitanica - Prunus myrtifolia - Prunus oblonga - Prunus occidentalis - Prunus oleifolia - Prunus phaeosticta(クロボシザクラ) - Prunus reflexa - Prunus spinulosa(リンボク) - Prunus tucumanensis - Prunus undulata - Prunus zippeliana(バクチノキ)
(2) Maddenia(旧マッデニア属)
冬芽は大きい長円形~卵形、数個の鱗片がある。花期は春~晩春。花序は総状花序。小花柄は短い。核果は長円形、平滑。核は骨質、卵形、3角(かど)があり、先は鋭形。
Prunus fujianensis - Prunus himalayana (Himalayan false bird cherry) – Prunus hypoleuca (false bird cherry) - Prunus hypoxantha(Sichuan false bird cherry) - Prunus incisoserrata)
(3) Padus(旧ウワミズザクラ亜属)英名はbird cherries:タイプ種はエゾノウワミズザクラ(Prunus padus)
腋芽は単生。花期は晩春。小花柄は短い。花は総状花序につき、葉の多い新芽につく。核果に溝がない。核は平滑。
Prunus brachypoda – Prunus brunnescens – Prunus buergeriana(イヌザクラ) – Prunus cornuta(Himalayan bird cherry) ‐ Prunus grayana(ウワミズザクラ) – Prunus gyirongensis(entire-leaved bird cherry) - prunus maackii(ウラボシザクラ amur chokecherry) - Prunus napaulensis(Nepalese bird cherry) - Padus nakatakei(モロツカウワミズザクラ) - Prunus obtusata(シマウワミズザクラ) - Prunus padus(エゾノウワミズザクラ bird cherries) – Prunus perulata – Prunus serotina(black cherry) – Prunus ssiori(シウリザクラ) – Prunus stellipila – Prunus velutina – Prunus virginiana(chokecherry) – Prunus wilsonii(Wilson's bird cherry) (4) Pygeum(旧ピジウム亜属)
常緑。花序は総状花序。
Prunus africana(African cherry) - Prunus arborea - Prunus ceylanica - Prunus costata - Prunus crassifolia - Prunus dolichobotrys - Prunus gazelle-peninsulae - Prunus grisea - Prunus lancilimba - Prunus malayana - Prunus marsupialis - Prunus oligantha - Prunus oocarpa - Prunus polystachya - Prunus pullei - Prunus schlechteri - Prunus turneriana - Prunus wallaceana
Prunus subgen. Cerasus(サクラ亜属)
英名はtrue cherries;タイプ種はスミミザクラ(Prunus cerasus)腋芽は単生。花期は早春。小花柄は長い。花は散房花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果は溝がない。核は平滑。
Cerasus 亜属は真のサクランボ(true cherries)のみで構成されている。Microcerasus ユスラウメ節(dwarf cherries) はこの亜属に属さない。真のサクランボは、各葉腋に芽を1個だけ付けるが、Microcerasus(dwarf cherries) は、各葉腋に3個の芽を付ける (モモとアーモンドで観察される特性状態)。北アメリカのdwarf cherriesは、真のサクランボよりもプラムに似ていることが知られていた (Catling et al. 1999)。dwarf cherriesをプラム、アプリコット、さらにはモモと交配させる方が、真のサクランボと交配するよりも簡単である (Garley 1980; Kataoka et al. 1988)。dwarf cherriesは、果物の種類がプラムに似ています。dwarf cherriesを真のサクランボと一緒に系統配置することを支持する確固たる証拠はこれまでのところ見つかっていない。分子解析データは、P. mahaleb L. と P. maackii Rupr がCerasus 亜属の構成員であることをサポートしている。これらの2種は、散房花序が長いため、Padus 亜属のメンバーとして扱われた。 Prunus mahaleb は真のサクランボに似ていると報告されており (Krüssmann 1986)、亜属 Cerasus のほとんどの種と同様に2倍体であり (González Zapatero et al. 1988)、一方、調査された亜属 Padus の種はすべて4倍体である (Goldblatt and Johnson)。 1979–2012)。 P. maackii とサクランボの類似性は形態学によって裏付けられており (Li and Jiang 1998)、この種は Cerasus 亜属の種である Prunus maximo wiczii Rupr. と自然交雑種を形成できることが報告されている。亜属 Cerasus における種の相違は、重要ではないように思われる。これは、跳躍的種分化(quantum speciation)またはマーカーの低解像度が原因である可能性がある。種間交雑 (Ohta et al. 2007) は、この亜属の分類を複雑にしている。亜属はこの研究では十分に示されていなかったため、近い将来、亜属内の系統関係を解決するために、より広範な種のサンプリングとより多くの様々な遺伝子が使用されると期待される(参考11)。
Prunus subgen. Prunus(スモモ亜属) [Shi etc.(2013).]
(1) sect. Prunus(スモモ節)[旧スモモ亜属]: Old World plums:タイプ種はセイヨウスモモ( P. domestica)腋芽は単生。花期は早春。小花柄がある。花は葉のある新芽(シュート)にはつかない。核果は片側に溝がある。核は粗い。
約40種。
P. blireiana – P. bokhariensis – P. cerasifera(ベニバスモモ=ミロバランスモモ) – P. cocomilia – P. consociiflora – P. domestica(セイヨウスモモ) – P. fruticans – P. ramburii – P. salicina(スモモ) – P. simonii(サイモンスモモ) – P. spinosa(スピノサスモモ) – P. ursina – P. ussuriensis(マンシュウスモモ) – P. vachuschtii
(2) sect. Prunocerasus(アメリカンプラム節)[旧スモモ亜属]: New World plums
旧スモモ亜属の北アメリカ産種。
P. alleghaniensis – P. americana(アメリカスモモ) – P. angustifolia – P. geniculata – P. gracilis – P. hortulana – P. maritima – P. mexicana – P. munsoniana – P. murrayana – P. nigra – P. orthosepala – P. rivularis – P. subcordata – P. umbellata
(3) sect. Armeniaca(アンズ節)[旧スモモ亜属]英名はapricots:タイプ種はアンズ(P. armeniaca)11種
腋生の冬芽は単生。頂生の冬芽はない。小花柄は無いかまたは極短く、まれに長い。花は1~3個、葉のある新芽(シュート)にはつかない。核果は片側に溝がある。核は平滑、ザラつき、網目があり、または稀に穴がある。
P. armeniaca(アンズ apricot) – P. brigantina(Alpine apricot) – P. × dasycarpa(紫杏 zi xing) - P. mandshurica(マンシュウアンズ) – P. mume(ウメ) – P. sibirica(モウコアンズ)
(4) sect. Microcerasus(ユスラウメ節)旧オウトウ亜属: bush cherries 22種
サクラ亜属から移動された。
P. alaica – P. albicaulis – P. bifrons – P. brachypetala – P. chorossanica - P. dictyoneura – P. erythrocarpa – P. erzincanica – P. glandulosa(ニワザクラ) – P. griffithii – P. griffithii var. tianshanica - P. hippophaeoides – P. humilis(コニワザクラ) – P. incana – P. jacquemontii – P. japonica(ニワウメ) – P. microcarpa – P. pogonostyla(タカサゴニワウメ) – P. pojarkovii(unplaced name, イラン、トルクメニスタン原産) – P. prostrata – P. pseudoprostrata – P. susquehanae – P. tomentosa(ユスラウメ) – P. verrucosa – P. yazdiana
(5) sect. Amygdalus(アーモンド節): almonds 26種
P. amygdalus(ヘントウ=アーモンド) – P. arabica(Arabian wild almond) – P. argentea – P. brahuica – P. bucharica – P. carduchorum – P. cercocarpifolia – P. eburnea – P. elaeagrifolia – P. eremophila – P. erioclada – P. fenzliana – P. haussknechtii – P. kansuensis – P. korshinskyi – P. kotschyi – P. kuramica – P. lycioides – P. minutiflora – P. mongolica – P. sibirica – P. scoparia – P. spinosissima – P. trichamygdalus – P. turcomanica – P. webbii(syn. Amygdalus delipavlovii)
(6) sect. Persica(モモ節): peaches 6種
P. davidiana(サントウ=ノモモ) – P. kansuensis – P. mira – P. mongolica – P. persica(モモ) – P. tangutica
※Sect. AmygdalusとP. sect. PersicaはときにPrunus subg. Amygdalus (モモ亜属)とされ、境界が明確でなく、P. spinosissima (とげのあるアーモンド) ,P. kansuensisや P. × hybrida(syn. P. persicoides=P. amygdalus × P. persica.) は両節に属す。このためsect. Amygdalus & sect. Persicaとすることもある。
※(5&6) sect. Amygdalus(アーモンド節) & sect. Persica(モモ節)[旧モモ亜属 genus Amygdalus];タイプ種はアーモンド(P. amygdalus)
腋芽は3個(中央に栄養芽、側部に 2個の花芽)。花期は早春。小花柄は無またはほぼ無。花は葉のある新芽にはつかない。核果は片側に溝がある。核は深い溝がある。
P. amygdalus(アーモンド)、P. persica(モモ)、P. persica var. nectarina(ネクタリン)など
(7) sect. Emplectocladus(エムプレクトクラドゥス節): desert almonds
アメリカ大陸に分布し、6種が含まれる。sect. Amygdalusに密接に関係する。
P. cercocarpifolia – P. fasciculata(desert almond) – P. eremophila(Mojave Desert almond) – P. havardii(Havard's wild almond) – P. microphylla ( Mexican wild almond)– P. minutiflora(Texas wild almond)
以下はまだ、不確定の節。
(8) sect. Chamaeamygdalus(シャマエアマイグダルス節)
Prunus sect. Chamaeamygdalus Spach は、以前は Amygdalus-Persica クレードに含まれていたが、分子系統学的研究により、 Amygdalus-Persica クレードから除外されるべきであることが示された。この節における種の系統学的位置はまだ不明である。
P. tenella(Russian almond) – P. petunnikowii
(9) sect. Louiseania(ルイゼアニア節)
Prunus sect. Louiseania (Carrière) Yazbekにはアジアの2~3種が含まれる。flowering almondと呼ばれるが、アンズ節やユスラウメ節とより密接に関係する。
P. pedunculata - P. triloba(オヒョウモモ) - Prunus ulmifolia(本種がこの節に属するかどうか、分子研究では未確認)
(10) sect. Penarmeniaca(ペナルメニアカ節)[旧バクチノキ亜属の一部]:タイプ種: Prunus pumila (sand cherry)
北アメリカに分布する。ペナルメニアカ節はアメリカ大陸のプラムであり、P. texana(アメリカンプラム節) および旧世界種である P. tenella(sect. Chamaeamygdalus) の姉妹グループである。
腋芽は3個。花期は早春。小花柄は長い。花は散房花序につき、葉のある新芽にはつかない。核果に溝がない。核は平滑。
P. andersonii(desert peach) – P. fremontii(desert apricot) – P. pumila(dwarf cherry ,sand cherry)
シュート構成の特徴
(参考14)(1)冬芽成長 (2)冬芽の鱗片化した前出葉肢芽の発達・伸長 (3)枝の脱落性の差異。
Group 1 サクラ亜属(サクラ節、ミヤマザクラ節)
葉腋の芽が栄養シュートと生殖のシュートを生成する。 生殖芽は脱落し、栄養芽は開花期の後も宿存する。 鱗片状の前出葉の肢芽は存在しないか、存在しても発達しない。
Group 2 ワカキノサクラ
葉腋にあるすべての芽は、生殖可能な混合シュートを生成する (すべてのシュートには花がある)。 P. ogawana の鱗片状の葉腋の芽は、しばしば栄養芽に発達する。すべての生殖シュートは脱落するが、葉のあるシュート (混合および栄養シュート) は宿存する。
Group 3 ユスラウメ節 ユスラウメ、ニワザクラ
すべての冬芽は栄養シュートに発達し、鱗片状の前出葉の腋窩にある芽は同時に生殖シュートに発達する。すべての生殖シュートは脱落し、すべての栄養シュートは宿存する。
Group 4 旧ウワミズザクラ属 ウワミズザクラ
混合シュートと栄養シュートは、冬芽から発生する。 冬芽は、鱗片状の前出葉の葉腋にある小さな冬芽に由来する。末端のものを除くすべてのシュートは、通常、冬の前に脱落する。
サクラ亜属 subgen Cerasus
現在のサクラ亜属 subgen Cerasusはsect. Microcerasus(ユスラウメ節)をスモモ亜属に移し、P. mahaleb L. と P. maackii Ruprをサクラ亜属に含めている。基準種はスミミザクラ Prunus cerasus(sour cherry)。family Rosaceae -subfamily Amygdaloideae - tribe Amygdaleae - genus Prunus - subgen. Cerasus
高木又は低木、落葉性。枝は刺が無い。冬芽は腋生1個、側芽は花芽、中央の芽は葉芽、頂生する冬芽がある。托葉は早落性、鋸歯縁、歯の先にしばしば腺がある。葉は単葉、互生又は短小枝に束生し、若い時には二つ折りになる。葉柄は普通、2個の蜜腺が先につき、ときに葉縁の基部に腺がつく。葉身は縁が鋸歯状又は重鋸歯状、まれに小鋸歯。花序は腋生、束生の散房花序又は花が1、2個つき、基部にしばしば花芽の鱗片が総苞状につく。花は葉の展開と同時又は前に開花し、花柄があり、宿存する鱗片又は目立つ苞をもつ。花托筒は鐘形又は筒形。咢片は5個、反り返るか又は直立。花弁は5個、白色又はピンク色。雄しべは15~50個、花托筒の縁又は縁近くにつく。心皮は1個。子房は上位、1室、有毛又は無毛。胚珠は2個、並生し、垂れ下がる。花柱は頂生、長く、有毛又は無毛。柱頭は凹形。果実は核果、無毛、白粉を帯びず、縦溝は無い。中果皮は多汁、熟しても割れない。内果皮は球形~卵形、平滑又は±しわがある。
世界に約150種があり、温帯のアジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。英名はtrue cherry。
サクラ亜属の主な種
1 Prunus apetala (Sieb. et Zucc.) Franch. et Sav. ミヤマチョウジザクラ 深山丁字桜
synonym Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Ohle ex H.Ohba日本(東北地方の太平洋側、関東地方、中部地方)原産。花弁が小さく、萼筒が太くて長い。
高さ4~7m。幹が基部から分枝して傘状の樹冠となる。葉柄にはやや縮れた長い開出毛がまばらにある。葉は倒卵形~長円状倒披針形、長さ4~8㎝×幅2~4㎝、基部は円形~鈍形、縁にやや鋭い重鋸歯があり、先は尾状尖鋭形、両面に毛があり、特に下面脈上に多い。蜜腺は葉柄の上部に2個つくほか、葉身の基部にも小さい数個がつく。花は葉の展開と同時かやや早く開花する。散形花序は腋生、花が1~3個下向きにつく。花序柄は長さ約2㎜。小花柄は長さ0.7~2㎝、開出毛が密にある。花は白色~微淡紅色、5弁花、直径1.6~2㎝。花弁は雄しべより長い。雄しべは約25本つく。萼筒は筒形、長さ7~11mm、基部がわずかに膨らみ、まばらに毛がある。萼片は三角状卵形長さ3~5mm。果実は直径約8㎜、黒色に熟す。
1-1 Prunus apetala (Sieb. et Zucc.)Franch. et Sav. var. apetala ミヤマチョウジザクラ 深山丁字桜 狭義
synonym Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Ohle ex H.Ohba var. apetala
synonym Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Ohle ex H.Ohba var. montica (Kawas. et H.Koyama) H.Ohba
本州中部(長野県、愛知県、岐阜県、滋賀県東部、三重県北部)原産。愛知県が南限。、葉縁の鋸歯が深く欠刻状。愛知県絶滅危惧ⅠB類
1-2 Prunus apetala (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav. var. pilosa (Koidz.) E.H.Wilson オクチョウジザクラ 奥丁字桜
synonym Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Ohle ex H.Ohba var. pilosa (Koidz.) H.Ohba
日本(青森県~滋賀県の日本海側)原産。花弁が大きく、萼筒や花柄の毛が少なく、萼片に鋸歯が無い。
1-3 Prunus apetala (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav. var. pilosa (Koidz.) E.H.Wilson f. multipetala Kawas. キクザキオクチョウジザクラ 菊咲奥丁字桜
synonym Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Ohle ex H.Ohba var. pilosa (Koidz.) H.Ohba f. multipetala (Kawas.) H.Ohba
synonym Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Ohle ex H.Ohba var. pilosa (Koidz.) H.Ohba 'Multipetala'
synonym Cerasus apetala var. pilosa 'Multipetala' ヒナギクザクラ 雛菊桜(菊咲丁字桜、弥彦)
1-4 Prunus apetala (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav. var. tetsuyae (H.Ohba) Oohara チョウジザクラ 丁字桜
synonym Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Ohle ex H.Ohba var. tetsuyae H.Ohba
synonym Cerasus apetala var. apetala sensu Ohle ex H.Ohba, excl. basion.
synonym Prunus apetala sensu auct. jap., non (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav
日本(本州(東北地方~広島県の主に太平洋側と中央部)、九州(熊本県))原産。花弁が小さく、開出し、萼筒が長く、花が丁字形となる。
2 Prunus avium (L.) L. セイヨウミザクラ 西洋実桜
synonym Cerasus avium (L.) Moench
ヨーロッパ、北西アフリカ、南西アジア原産。英名はwild cherry , sweet cherry , cherry (sweet)。中国名は欧洲甜樱桃 ou zhou tian ying tao。果樹のサクランボ(桜桃)の多くの品種の元になった原種。
高木、高さ25m以下、ひこばえを生じない。樹皮は帯黒色、横に裂ける。小枝は灰褐色、若い小枝は緑色、無毛。冬芽は卵状楕円形、無毛。托葉は線形、長さ約1㎝、縁に腺のある鋸歯。葉柄は長さ2~7㎝、無毛、先に2個の蜜腺がある。葉身は倒卵状楕円形~楕円状卵形、長さ3~13㎝×幅2~6㎝、下面は淡緑色でまばらに絨毛があり、上面は緑色で無毛、基部は楔形~円形、縁は鈍い欠刻状の重鋸歯と先端が軟骨質に尖る歯をもち、先は鋭く尖るか、短い尖鋭形、中脈の両側に7~12本の二次脈がある。花序は散形花序、花が3~4個つく。内側の総苞片は花時に反り返る。花序柄は不明瞭。葉の展開と同時に開花する。小花柄は長さ2~6㎝、無毛。花托筒は杯形、約・長さ5㎜×幅4mm、外側は無毛。萼片は長い楕円形、花托筒とほぼ同長、花後に反り返り、縁は全縁、先は鈍形。花弁は白色、倒卵形、先は凹形。雄しべは約34本ある。花柱は雄しべとほぼ同長、無毛。核果は赤色~紫黒色、ほぼ球形~卵形、直径1.5~2.5㎝、内果皮は平滑。花期は4~5月。果期は6~7月。2n=16、24、32。
品種) 13n-7-39 (F) , '13n-7-70 , '13s2009' (PBR) , '1sn0770' (PBR) , 'Aida' (PBR) , 'Alba' , 'Alfheim' (F) , 'Amber Heart' (F) , 'Annus' (PBR) , 'Archduke' (F) , 'Axel' (PBR) , 'Babelle' (PBR) , 'Balrine' (PBR) , 'Belgian Rivers' (F) , 'Big Star' (PBR) , 'Bigarreau de Schrecken' (F) , 'Bigarreau Gaucher'(F) , 'Bigarreau Napoleon' (F) , 'Bigarreau Nomblot'(D) , 'Bigi Sol' (PBR) , 'Bing' (F) , 'Birchenhayes' , 'Black Eagle' (F) , 'Black Elton' (F) , 'Black Glory' (F) , 'Black Heart(F) , 'Black Star' (PBR) , 'Black Tartarian' (F) , 'Blaze Star' (PBR) , 'Bottlers' , 'Bradbourne Black' (F) , 'Bronnerkirsche' (F) , 'Bullion' (F) , 'Burcombe' (F) , 'Cambrina' (PBR) , 'Cariad' (F) , 'Carmen' (PBR) , 'Caroon' (F) , Celeste = 'Sumpaca' (PBR)(D , 'Cherokee' , 'Cinderella' , 'Circassian' (F) , 'Colney' (F) , 'Cooper's Black' (F) , 'Coroon' (F) , Cristalina = 'Sumnue'(PBR) (F) , 'Crown Morello' (F) , 'Crystallina' , 'Danelia' (D) , 'Decumana' , 'Dun' (F) , 'Early Birchenhayes'(F) , 'Early Korvik' (PBR) , 'Early Rivers' (F) , 'Eddisbury' , 'Elton Heart' (F) , 'Emperor Francis' (F) , 'Erianne' (F) , 'Fastigiata' , 'Ferdiva' (PBR) , 'Ferdouce' , 'Ferdouce' (PBR) , 'Fermina' (PBR) , 'Fertard' (PBR) , 'Fertille' (PBR) , 'Fice' (F) , 'Firelam' (PBR) , 'Florence' (F) , 'Folfer' (PBR) , 'Frisco' (PBR) , 'Frogmore Early' (F) , 'Fruheste der Mark' (D) , Fruttoni Cinderella (Fruttoni Series) (F) , 'Garden Bing' (F) , 'Giorgia' (D) , 'Glenred' (PBR) (F) , 'Goodnestone Black' (D) , 'Goodwin' (F) , 'Governor Wood' (F) , 'Grace Star' (PBR) , 'Grandiflora' , 'Greenstem Black' (F) , 'Guigne d'Annonay' (D) , 'Hannaford' (D/c) , 'Hertford' (F) , 'Inga' (F) , 'Ironsides' (F) , 'Karina' (D) , 'Kasandra' (PBR) , 'Kassins Fruhe Herz' (F) , 'Kent Bigarreau' (F) , 'Kentish Red' (F) , 'Knauff's Riesen' (F) , 'Knauff's Schwarze' (F) , 'Knight's Early Black' (D) , 'Kootenay' (F) , 'Kordia' (D) , 'Korvik' (PBR) , 'Kozerska' (F) , 'Lala Star' (PBR) , 'Lapins' (F) , 'Magar' , 'Mansfield Black' (F) , 'Maraly' (PBR) , 'Mariant'(PBR) , 'Marim' (PBR) , 'May Duke' , 'Merchant' (F) , 'Mermat' (F) , 'Merpet' (F) , 'Merton Bigarreau' (F) , 'Merton Bounty' (F) , 'Merton Crane' (F) , 'Merton Favourite' (F) , 'Merton Glory' (F) , 'Merton Late' (F) , 'Merton Marvel' (F) , 'Merton Premier' (F) , 'Merton Reward' , 'Mg 200' (F) , 'Mill's Seedling'(F) , 'Mizia' (D) , 'Moserkirsche' (F) , 'Nabella'(F) , 'Napoleon'ナポレオン , 'Newstar' (F) , 'Noble' (F) , 'Noir Boccard' (F) , 'Noir de Guben' (F) , 'Noir de Meched' (D) , 'Nutberry Black'(F) , 'Octavia' (D) , 'Old Black Heart' (F) , 'Panaro 1' (PBR) , 'Panaro 2' (PBR) , 'Pc 70643' (PBR) , 'Pc 71446' (PBR) , 'Pc 71468' (PBR) (F) , 'Pendula' , 'Penny' (PBR) (F) , 'Petit Noir' (F) , 'Petrus'(PBR) , 'Phlc' (PBR) , 'Plena' (d) , 'Preserving' (F) , 'Regina' (F) , 'Ridgewood' (F) , 'Rita' (PBR) , 'Ronald's Heart' (F) , 'Rosie' (PBR) , 'Rosie Rainer' (F) , 'Rosilam' (PBR) (F) , 'Roundel Heart' (F) , 'Royal Bailey'(PBR) , 'Royal Edie' (PBR) (F) , 'Royal Elaine'(F) , 'Royal Hazel' (PBR) (F) , 'Royal Helen' (PBR) (F) , 'Royal Lynn'(F) , 'Royal Marie' (PBR) , 'Rubi' , 'Rubilam' (PBR) (F) , Samba = 'Sumste' (PBR) , 'Sandra Rose' , 'Santina' (PBR) , 'Sasha' (F) , Satin = 'Sumele' (PBR) , 'Schauenburger'(F) , 'Schneiders Spate Knorpel' (D) , 'Skeena' (PBR) (F) , 'Small Black' (F) , 'Smoky Dun' (F) , Sonata = 'Sumleta'(PBR) , 'Spc103' (PBR) , 'Spc106' (PBR) , 'Spc207' (PBR) , Staccato = '13s2009' (PBR) , 'Star Seedling'(F) , Stardust ='13-7-70' (F) , 'Starking Hardy Giant' (F) , 'Starkrimson' (F) , 'Stella' (F) , 'Stella Compact' (F) , 'Stella' on 'Colt' , 'Strawberry Heart' (F) , 'Sumbigo' (PBR) , 'Sumbola' (PBR) , 'Sumcoro' , 'Sumele' (PBR) , 'Sumesi , 'Sumgita' (PBR) , 'Sumini' , 'Sumleta'(PBR) , 'Summac' , 'Summer Sun' (D) , 'Sumn314ch' (PBR) , 'Sumnue' (PBR) , 'Sumpaca' (PBR) , 'Sums313ch' (PBR) , 'Sumste' (PBR) , 'Sumtare' (PBR) , 'Sunburst'(D) , 'Sweetheart' (F) , 'Sylvia' (F) , 'Symphony' , 'Techlovan' (PBR) , 'Turkish Black' (F) , 'Upright' (F) , 'Ursula Rivers' (F) , Valentine = 'Summac' , 'Van' (F) , 'Vanda' (PBR)(F) , 'Vega' (F) , 'Vroege van Werder' (F) , 'Waterloo' (F) , 'Wellington A'(F) , 'Werder's Early Black' (F) , 'Werdersche Braune' (F) , 'White Heart' (F) , 'Wildstar' , 'Zai89cz' (PBR) , 'Zoe'
エルトン , おばこ , 貴黄(きこう), 旭光(きょっこう) , 香夏錦(こうかにしき) , 高陽錦(こうようにしき), 光麗(こうれい), コンパクトステラ , 蔵王錦 ,さおり , 佐藤錦 , さがえ , ジャイアントキング , ジャボレー , 瑞光(ずいこう), 正光錦(せいこうにしき), セネカ , ダイアナブライト , 南陽(なんよう), 八興錦(はっこうにしき) , 花駒(はなこま) , ひかり , ビック , 紅きらり , 紅さやか , 紅秀峰(べにしゅうほう), 紅真珠(べにしんじゅ), 紅てまり , 紅夢鷹(べにむたか) , 紅ゆたか , 北光(ほっこう), マドンナの瞳 , 最上錦(もがみにしき), 夕紅錦(ゆうこうにしき), 陽光(ようこう) , レッドグローリー , レーニア
3 Prunus campanulata Maxim. カンヒザクラ 緋寒桜
synonym Cerasus campanulata (Maxim.) A.V.Vassil.
中国、台湾、ベトナム原産。中国名は钟花樱桃 zhong hua ying tao 。英名はbellflower cherry , Formosan cherry , Taiwan cherry。別名はヒカンザクラ、サツマザクラ、ヒザクラ。
落葉小高木。高さ3~8m。樹皮は黒褐色。小枝は灰褐色~紫褐色。若い小枝は緑色、無毛。冬芽は卵形、無毛。托葉は、早落性。葉柄は長さ0.8~1.3㎝、無毛、先に2個の蜜腺がある。葉身は卵形~卵状楕円形~倒卵j状楕円形、長さ4~7㎝、幅2~3.5㎝、葉裏は緑色、無毛、基部は円形、縁は鋭く、普通やや不規則な鋸歯縁、先は尖鋭形、側脈は8~12対。花序は散形花序、2~4個花をつける。総苞片は楕円形、長さ約5㎜、幅約3㎜、両面に伏した長軟毛がある。花序柄は長さ2~4㎜。苞は褐色、まれに緑褐色、長さ1.5~2㎜、縁は腺のある鋸歯状。花は直径1.5~2㎝、葉の展開前に開花する。花柄は長さ1~1.3㎝、果時に長さ1.5~2.5㎝、先がわずかに膨れ、無毛又はまばらな短毛がある。花托筒は鐘形、長さ約6㎜、幅約3㎜、外面は無毛又はごくまばらに長毛があり、基部はわずかに膨れる。萼片は長楕円形、長さ約2.5㎜、果時にも宿存し、先は鈍形。花弁はピンク色、倒卵状長楕円形、先は濃くなり、凹頭又はまれに全縁。雄しべは39~41個。花柱は雄しべより長くまれに短く、無毛。核果は赤色、卵形、長さ約10㎜、幅5~6㎜。花期は2~3月。カンヒザクラ系の品種は多く、早咲きも多い。
品種) 伊豆土肥桜イズトイザクラ 'Izutoi-zakura'(寒緋桜と他種の自然交雑種)、舘山寺桜(早咲き選抜) , カケガワザクラ(掛川桜)'Kakegawa-zakura' , 八重寒緋桜(ヤエカンヒザクラ)'Kanhizakura-plena' , '琉球寒緋桜(リュウキュウカンヒザクラ) 'Ryukyu-hizakura
4 Prunus cerasoides Buchanan-Hamilton ex D. Don, ヒマラヤザクラ
synonym Cerasus cerasoides (D.Don) Sokolov
synonym Cerasus carmesina (H.Hara) H.Ohba
中国、インド、ブータン、ネパール、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は高盆樱桃 gao peng ying tao。英名はwild Himalayan cherry , sour cherry。峡谷の林内に生える。高さ3~10(~30)mの樹木。枝は灰黒色。小枝は緑色、有毛、無毛になる。托葉は線形、強く先端に腺のある房状へりが基部にある。葉柄は長さ1.2~2㎝、先には2~4個の蜜腺がある。葉身は卵状披針形~長円状披針形~長円状卵形、または長円状卵形、長さ(4~)8~12㎝×幅(2.2~)3.2~5㎝、ほぼ革質、下面は淡緑色で無毛または脈に沿って絨毛があり、上面は暗緑色、基部は円形、縁は鋭い小重鋸歯状~重鋸歯状、または鋸歯状で、歯の先端には微細な腺を持ち、葉の先は尖鋭形~長い尖鋭形、中脈の両側に10~15本の二次脈があり、細かい網状脈がある。花序は散形花序、1~4個の花がつく。総苞は長さ1~1.2㎝、先で分裂し、花後に枯れる。花序柄は長さ1~1.5㎝、無毛。苞は褐色~緑褐色、ほぼ円形、紙質、宿存性または花後に脱落し、縁には腺のある鋸歯がある。花は葉の展開と同時に、または葉より先に開花する。小花柄は長さ1~2.3㎝、果時に長さ3㎝以下に伸び、先が太くなる。花托筒は赤色~暗赤色、鐘形~広鐘形。萼片は普通、赤みを帯び、三角形、長さ0.4~5.5㎝、直立い、全縁、先は鋭形~鈍形。花弁は白色またはピンク色、卵形~倒卵形、先は全縁または凹形。雄しべは32~ 34本、花弁より短い。花柱は雄しべと同長、無毛。柱頭は円盤状。核果は紫黒色、卵形、長さ1.2~1.5㎝×幅0.8~1.2㎝。内果皮は卵形、側面に深い溝があり、穴があり、先は鈍形。花期は10~12月。果期は2~3月。
5 Prunus cerasus L. スミミザクラ 酸実実桜
synonym Cerasus vulgaris Mill.
ヨーロッパ、南西アジア原産。中国名は欧洲酸樱桃 ou zhou suan ying tao。英名はsour cherry。果実用と観賞用に広く栽培されている。
高さ10m以下、普通、普通、ひこばえ(root suckers)を生じる。樹冠はほぼ球形。樹皮は暗褐色で、横方向の筋状の皮目があり、剥離する。枝は下垂~広がる。若い小枝は緑色で、赤褐色になり、無毛。托葉は線形、長さ8㎜以下、縁には腺のある鋸歯がある。葉柄は長さ1~2(~5)㎝、蜜腺は1~2個あり、ない場合もある。葉身は楕円状倒卵形~卵形、長さ5~7(~12)㎝×幅3~5(~8)㎝、若いときに下面は無毛または軟毛があり、葉の基部はくさび形、しばしば2~4個の蜜腺があり、縁には細かい重鋸歯があり、歯に非常に短い軟骨性の尖端をもち、葉先は尖鋭形~短い微突まで先細りになる、花序は散形花序、花が2~4個つき、しばしば直立した葉状の苞を伴う。花は直径2~2.5㎝、葉の展開と同時に開花する。小花柄は長さ1.5~3.5㎝。花托筒は鐘形~倒円錐形、外側は無毛。萼片は三角形、反り返り、縁には腺のある鋸歯がある。花弁は白色、長さ1~1.3㎝。核果は淡紅色、球形~先が扁平、直径1.2~1.5㎝。中果皮は帯黄色で酸っぱい。内果皮は褐色、球形、直径7~8㎜、平滑、中果皮に付着する。花期は4~5月。果期は6~7月。2n= 32。
品種) 'Bigi Vit' , 'Edabriz' (PBR) , 'Ferprime' (PBR) , 'Gerema' (PBR) , 'Hukon' , 'Lovopetri' (PBR) , 'May Cloud' , 'Merton Heart' seedling No 404 , 'Meteor Korai' , 'Montmorency' (F) , 'Morello' (C) , 'Nabella' (F) , 'Rhexii' (d) , 'Semperflorens' , 'Spinell' (PBR) , 'Weiroot 720' (PBR) , 'Wye Morello' (F)
6 Prunus incisa Thunb. マメザクラ 豆桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. incisa
日本の本州(関東~中部地方)原産。英名はFuji cherry。別名はフジザクラ 富士桜。富士山近辺やその山麓、箱根近辺等に自生する野生種。ヤマザクラとほぼ同じ時期に開花する。
落葉低木~小高木。高さ3~5(10)m。幹は樹皮が暗灰色、皮目が横に並ぶ。枝はよく分枝し、若枝はほぼ無毛、まれに有毛。葉は互生し、葉柄は長さ5~9㎜、斜上毛が密生する。葉身は倒卵形~卵形、長さ2~5㎝、幅1.5~3㎝、基部は円形、先は尖鋭形、尾状に尖る。葉縁は欠刻状重鋸歯。蜜腺は葉身の基部又は葉柄の上部につき、しばしば柄がある。葉の展開前又はほぼ同時に開花する。前年枝の葉腋に散形状に花を1~3個つける。苞は長さ3~4㎜、縁に鋸歯がある。小花柄は長さ8~15㎜、斜上毛がある。萼は筒状鐘形、赤色を帯びる。萼筒は長さ5~6㎜。萼片は5個、卵状楕円形、先は鈍形、全縁。花は直径約2㎝。花弁は5個、白色~淡紅色、広楕円形~倒卵形、長さ約1㎝、先は凹形。雄しべは約38個。雌しべは1個、雄しべとほぼ同長又はやや長い。花柱は無毛。子房は卵形、緑色、無毛。果実は球形の核果、直径約8㎜、熟すと黒色。核は扁平な卵形、長さ6~7㎜、淡褐色、平滑。花期は3月下旬~5月上旬。
品種) 'Akane-yae'茜八重 , 'Fuji-shidare' 富士枝垂桜 , 'Fujikikuzakura' 富士菊桜 , 'Futago' 双子 , 'Gotenba-zakura' 御殿場桜(須山桜) , 'Hime-midor' 姫緑桜 , 'Kamoana' 二上桜(フタカミザクラ) , 'Kojou-no-mai' 湖上の舞 , 'Micrantha' 小豆桜姫(コマメザクラ)=富士桜 , 'Midono-yae' 水土野八重 , 'Nagae-yae-zakura' 長柄八重(ナガエヤエ ) , 'Oshidori' 鴛鴦桜 , 'Plena' 八重の豆桜(ヤエノマメザクラ ) , 'Rinpo-zakura'林宝桜 , 'Sakigake-mame' 魁豆桜(サキガケマメザクラ ), 'Yamadei' 緑桜(ミドリザクラ)[リョクガクザクラ]
6-1 Prunus incisa var. urceolata Koidz. オオバナマメザクラ 大花豆桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. incisa f. urceolata (Koidz.) H.Ohba
マメザクラとオオシマザクラの交雑種と考えられている。花が大きく、直径約3㎝。6-2 Prunus incisa var. bellura Kawasaki アサツユザクラ 朝露桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) H.Ohba var bellura (Kawasaki) H.Ohba
神奈川県の真鶴半島に自生する。マメザクラとオオシマザクラまたはヤマザクラの交雑種と考えられている。高さ4~8m。葉は互生し、楕円形、縁には鋸歯があり、先は尖鋭形。小花柄が長い。蕾は薄いピンク色、花は白色の5弁花、直径2.5~3.5㎝。萼筒は筒状で、萼片は卵状三角形。花弁は白色、円形。花期は4月上旬。他の桜より開花期間が長い。
6-3 Prunus incisa var. bukosanensis Honda ブコウマメザクラ 武甲豆桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. bukosanensis (Honda) H.Ohba
埼玉県~群馬県に分布。主に秩父地方の石灰岩地に分布。別名はブコウタカネザクラ。
高さ3~6m。葉は互生し、楕円形、長さ4~8㎝、両面ともほぼ無毛。葉の展開より先に開花する。花柄はほとんどなく、花は散形状につく。花は白色~淡紅白色。直径1.0~1.5㎝。萼筒がマメザクラよりも太く、紅紫色を帯びる。花弁は5個。花期は3月下旬。
6-4 Prunus incisa var. kinkiensis (Koidz.) Ohwi キンキマメザクラ 近畿豆桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. kinkiensis (Koidz.) H.Ohba
synonym Prunus kinkiensis Koidz本州(富山県、石川県、福井県、長野県南部、岐阜県、近畿・中国地方)に分布。
高さ5~7m。葉柄は長さ6~8㎜、上面に斜上する毛がある。葉は長さ3~6㎝、両面に毛を散生し、上面に光沢がなく、葉身の下部の縁には腺点があり、縁は明瞭な重鋸歯があり、葉の先は尾状に尖鋭形。花は葉の展開と同時に開花し、直径1.8~2㎝。小花柄は長さ10~13㎜、ほぼ無毛。萼筒が円筒形、細長い。花期は3月下旬~4月。 品種) 'Kumagaizakura'熊谷桜(八重咲山彼岸)
6-4-1 Prunus incisa var. kinkiensis (Koidz.) Ohwi f. plena Satomi ヤエノキンキマメザクラ 八重の近畿豆桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. kinkiensis (Koidz.) H.Ohba f. plena (Satomi) H.Ohba
synonym Prunus kinkiensis f. plena Satomi6-4-2 Prunus incisa var. kinkiensis (Koidz.) Ohwi f. somewake ソメワケキンキマメザクラ 染分近畿豆桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. kinkiensis (Koidz.) H.Ohba f. somewake H.Ohba, T.Wakasugi et J.Matsumoto
福井県南条郡今庄町(現、南越前町)で発見された。スイフヨウのように、開花時は花が白色だが、開花後2、3 日経過すると紅色に変わる。
6-4-3 Prunus incisa var. kinkiensis (Koidz.) Ohwi f. viridicalyx Satomi ミドリキンキマメザクラ 緑近畿豆桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. kinkiensis (Koidz.) H.Ohba f. viridicalyx(Satomi) H.Ohba
萼筒、萼片が緑色。7 Prunus itosakura Siebold エドヒガン 江戸彼岸
synonym Cerasus itosakura (Siebold) Masam. & S.Suzuki
synonym Prunus spachiana f. ascendens (Makino) Kitam.
synonym Prunus pendula Maxim. form. ascendens (Makino) Ohwi
synonym Prunus aequinoctialis Miyoshisynonym Cerasus × subhirtella var. ascendens (Makino) X.R.Wang & C.B.Shang
日本(本州、四国、九州)、韓国(済州島)原産。別名はイトザクラ、シダレザクラ、アズマヒガン、ウバヒガン。日本に自生し、古くから栽培されている。和名は江戸に多く植えられていたためという。寿命が長く、巨木も多い。岐阜県本巣市にある淡墨桜(うすずみざくら)も、このエドヒガンである。落葉高木。高さ15~20m。幹は暗灰褐色、樹皮が縦に浅く裂ける。葉は長さ6~12㎝の長楕円形、重鋸歯縁。蜜腺は葉身の基部又は葉柄の上端につき、ないこともある。葉柄は長さ2~2.7㎝、毛が密生する。散形状に2~5個つく。花は直径約2.5㎝、淡紅色。花弁の先端に切れ込みがある。萼筒は中間が球形に膨らんだ壺形、紅紫色。花柄は長さ1~1.4㎝。萼や花柄に開出毛が密生する。核果は直径約10㎜の球形、赤~黒紫色に熟す。花期は3~4月。果期は5~6月。
7-1 Prunus itosakura Sieb. 'Pendula' イトザクラ 糸桜
synonym Cerasus itosakura (Siebold) H.Ohba et S.Akiyama var. itosakura f. itosakura
synonym Cerasus itosakura ‘Pendula’ Maximsynonym Prunus spachiana (Lavallée ex Ed.Otto) Kitam
synonym Cerasus spachiana Lavalee ex H.Otto var. spachiana f. spachiana
synonym Cerasus pendula (Desf.) Sweet シダレザクラ 枝垂桜
synonym Cerasus spachiana Lavalee ex H.Otto 'Pendula'
エドヒガンの枝が枝垂れる古くからある栽培種、最近ではエドヒガンに含め区別しない。英名はweeping cherry。別名シダレザクラ(枝垂桜)。シダレザクラには遺伝情報が違う複数のクローンが含まれる。落葉高木。高さ15~20m。幹は暗灰褐色、樹皮が縦に浅く裂ける。葉は長さ6~12㎝の長楕円形、重鋸歯縁。蜜腺は葉身の基部又は葉柄の上端につく。葉柄に毛が密生する。花は直径約2.5㎝、淡紅色。花弁の先端に切れ込みがある。萼筒は中間が球形に膨らんだ壺形、紅紫色。花柄は長さ1~1.4㎝。萼や花柄に開出毛が多い。花期は3~4月。果期は5~6月。
品種) 'Chichibu-benishidareチチブベニシダレ(秩父紅枝垂)' , 'Hanagatamizakura'ハナガタミザクラ(花筐桜) , 'Komatsu-otomeコマツオトメ(小松乙女)' , 'Ominosatobutai-zakura'オミノサトブタイザクラ(麻績の里舞台桜) , 'Pendula Roseaベニシダレ(紅枝垂) , 'Shidare-higan'シダレヒガン(しだれ彼岸) , 'Shiratakishidare'シラタキシダレ(白滝枝垂・本誓寺枝垂) , 'Ujou‐shidare'ウジョウシダレ(雨情枝垂) , 'Yaebenishidare'='Pleno-rosea'ヤエベニシダレ(八重紅枝垂・遠藤桜)
7-2 Prunus itosakura Siebold var. taiwaniana (Hayata) Kudo & MasamuneCerasus taiwaniana (Hayata) Masam. & S.Suzuki ムシャザクラ 霧社桜
synonym Cerasus taiwaniana (Hayata) Masam. & S.Suzuki台湾固有種。現在ではエドヒガン(Prunus itosakura Siebold)に含められる。
8 Prunus jamasakura Sieb. et Zucc. ヤマザクラ 山桜
synonym Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba
synonym Cerasus serrulata auct. non (Lindl.) Loudon
synonym Prunus pseudocerasus Lindl. var. jamasakura Makino
synonym Prunus mutabilis Miyos.
日本固有種 本州(宮城、新潟以西)、四国、九州に分布。英名はJapanese mountain cherry 。山地に生える。
落葉高木。高さ15~25m。幹は紫褐色~暗褐色、褐色の皮目が目立つ。葉と花が同時に展開する。葉は互生し、長さ8~12㎝の長楕円形で、先は尾状に尖り、縁は単鋸歯または重鋸歯。単鋸歯が多く、鋸歯の先は尖るが芒状にはならない。葉の基部は広楔形~円形。葉の上面は無毛、下面は粉白色。花は葉の展開と同時に開花し、葉の展開時に葉が褐色を帯びる。葉柄は赤みを帯び、長さ2~2.5cm、上部に赤い密腺が2個つく。散房状に2~5個の花がつき、花序柄は長さ5~15㎜。花は直径2.5~3.5㎝の5弁花、白色~淡紅色、小花柄は長さ1.4~3.2㎝。花の各部も無毛。萼は無毛、萼筒は長さ5~7㎜の長鐘形、萼片は細く、鋸歯は無い。核果は直径7~8㎜の球形、赤くなり、熟すと黒紫色になる。食べると少し甘いが、苦味がある。花期3~4月。果期は5~6月。
品種) 阿岸小菊桜(本誓寺小菊桜)'Agishi-kogikuzakura' , 伊保桜(井保桜)'Ibozakura' , 伊予薄墨'Iyo-usuzumi' , 大内山'Ohuchiyama' , 鎌足桜(鎌掛桜、鎌垂桜)'Kamatari-zakura' , 祗王寺祗女桜'Gjiozakura' , 衣笠'Kinugasa' , 梔子桜'Kutinasizakura' , 久米の桜 var. chikusiensis'Kume' , 黒田百年'Kurodahyakunen' , 気多の白菊桜'Haguiensis' , 下馬桜'Geba-zakura'(アカメシロバナヤマザクラ) , 御信桜'Goshinzakura'[類似種:日吉桜] , 琴平'Kotohira' , 琴平八重'Kotohirayae' , 木の花桜'Naohiana' , 佐野桜'Sanozakura' , 静匂'Shizuka-nioi' , 夙川舞桜'Shukugawamai-zakura' , 浄教寺手鞠桜'Jokyojitemari-zakura'[ヤマザクラの菊咲き] , 松月寺の大桜(野田の大桜)'Shogetsujino-Ohzakura' , 新墨染'Sinsumizome' , 墨染匂'Sumisome-nioi' , 駿府桜'Sunpu-zakura' , 誓願桜(中将姫誓願桜)'Seigan-Zakura'='loridula' , 善正寺菊桜'Zenshoji-kikuzakura' , 仙台屋'Sendaiya' , 宗堂桜(岡山県岡山市)'Soudou-zakura' , 内裏の桜(だいりのさくら)'Imperialis' , 中禅寺桜 'Chuzenji-zakura' , 長勝院旗桜'Choshoin-hatazakura' , 天賜香'Tenshikou' , 東員八重山桜 'Toinyaeyama-zakur' , 二度桜'Heteroflora' , 橋立菊桜 'Hashidate-kikuzakura' , 火打谷菊桜'Hiuchidani-kikuzakura' , 日吉桜'Hiyoshizakura' , 紅南殿'Beninanden' , 三島滝匂'Mishima-Cataracta' , 三島富士見桜'Mishima-fujimizakura' , 八房桜(やつふさ)'Octopes' , 山越紫(やまごしむらさき)'Yamagoshimurasaki' , 山桜枝垂'Yamazakurasidare' , 養老桜'Yoro-zakura' , 来迎寺菊桜'Raikouji-kikuzakura' , 早生山桜 'Waseyamazakura'
8-1 Prunus jamasakura Sieb. ex Koidz. f. pubescens (Makino) Ohwi ウスゲヤマザクラ 薄毛山桜
synonym Prunus serrulata var. pubescens (Makino) Nakai
synonym Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba f. pubescens (Makino) H.Ohba
synonym Cerasus serrulata (Lindl.) G.Don var. pubescens (Makino) T.T.Yu et C.L.Li
ヤマザクラは葉や花柄が無毛だが、葉や花柄にまばらな毛が生える。8-2 Prunus jamasakura var. chikusiensis (Koidz.) Ohwi ツクシヤマザクラ 筑紫山桜(梅次郎桜)
synonym Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba var. chikusiensis (Koidz.) H.Ohba
品種) 鞍馬似花'Kuramanibana'8-3 Prunus jamasakura 'Humilis' ワカキノサクラ 稚木の桜
synonym Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba 'Humilis'
synonym Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba var. humilis (Makino)Iwamoto et H.Ohba
花弁の縁が赤色になり、花芯が白色の珍しい品種。高知県佐川町で牧野富太郎博士が発見した。種から発芽し2年目の10数㎝の若木に花がつく幼形開花型。9 Prunus kumanoensis (T.Katsuki) comb.ined. クマノザクラ 熊野桜
synonym Cerasus kumanoensis T.Katsuki
三重県熊野市、奈良県十津川村、和歌山県田辺市などの熊野川流域原産。英名はKumano cherry。
2017年に投稿され、2018年に認められた新種。花期が異なり、ヤマザクラやカスミザクラより早く、3月下旬~4月上旬。葉は根元側が膨らんだ細長い卵形である。花序柄はヤマザクラやカスミザクラは長く、クマノザクラは短く、無毛。
10 Prunus leveilleana Koehne カスミザクラ 霞桜
synonym Cerasus verecunda (Koidz.) H.Ohba
synonym Prunus verecunda (Koidz.) Koehne
synonym Cerasus leveilleana (Koehne) H.Ohba
synonym Cerasus verecunda (Koidz.) H.Ohba f. pubipes (H.Hara) H.Ohba
synonym Cerasus serrulata (Lindl.) G.Don var. pubescens sensu T.T.Yu et C.L.Li
日本(北海道、本州、四国)、朝鮮、中国原産。中国名は毛叶山樱桃 mao ye shan ying hua。英名はKorean mountain cherry。。別名はカスミサクラ、ケヤマザクラ、チョウセンヤマザクラ、ウスゲカスミザクラ。ヤマザクラより標高がやや高い場所に分布し、ヤマザクラより花期が遅い。落葉高木。高さ15~25m。幹は灰褐色、褐色の横長の皮目が目立つ。若芽や芽鱗は無毛。葉と花が同時に展開する。葉は互生し、長さ8~12㎝の倒卵形~倒長楕円形、先は尾状に尖り、葉の基部は円形~楔形。葉縁は単鋸歯または重鋸歯。鋸歯の先は尖るが、芒状にはならない。葉裏は淡緑色。葉の両面に毛があるものもあり、ほとんど無毛のものもある。葉柄はわずかに赤みを帯び、長さ1.5~2㎝、開出毛があり、上部に赤い密腺が普通、2個つく。散房状に2~3個の花がつく。花序の柄(花序軸))は長さ約10㎜、普通、開出毛がある。花は直径2~3㎝の5弁花、普通、白色。花柄(小花柄)は長さ1.5~2.5㎝、普通、開出毛がある。雄しべは約40個。萼は無毛又はまばらに毛があり、萼筒は長さ5~6㎜の鐘状筒形、萼片は細く、鋸歯は無い。果実は直径8~10㎜の球形の核果で赤くなり、熟すと黒紫色になる。核は扁平な惰円形。花期は4~5月。果期は6月。
10-1 Prunus leveilleana f. inermedia Nakai アサギリザクラ 朝霧桜
synonym Prunus verecunda var. intermedia Nakaisynonym Cerasus leveilleana (Koehne) H.Ohba f. intermedia (Nakai) H.Ohba
最も毛が少ない野生品種。現在ではカスミザクラに含める。【以下品種】
10-2 Prunus leveilleana f. kashioensis カシオザクラ 鹿塩桜
synonym Prunus verecunda var. kashioensis H.Kubota & Moriya
synonym Cerasus leveilleana (Koehne) H.Ohba f. kashioensis (H.Kubota et Moriya) H.Ohba
エドヒガンとカスミザクラの交雑種といわれる。10-3 Prunus verecunda f. norioi Ohwi カタオカザクラ 片丘桜
synonym Cerasus leveilleana (Koehne) H.Ohba f. norioi (Ohwi) H.Ohba
長野県塩尻市片丘で発見された野生品種。幼形開花型で発芽後2~3年の高さ40~50㎝で開花する。萼片が大きく、鋸歯が少しある。現在ではカスミザクラに含める。
10-4 Prunus verecunda f. pendula (Nakai ex T.Kawamoto) M.Kim キリフリザクラ 霧降桜
synonym Cerasus leveilleana (Koehne) H.Ohba f. pendula (H.Hara) H.Ohba
synonym Cerasus verecunda (Koidz.) H.Ohba f. pendula (H.Hara) H.Ohba北海道アポイ山麓で発見された。カスミザクラの半枝垂れ型となる野生品種。現在ではカスミザクラに含める。
10-5 Prunus verecunda f. pubifolia (Makino) Kawas. キビザクラ 吉備桜
synonym Cerasus leveilleana (Koehne) H.Ohba f.pubifolia Kawasaki
岡山県高梁市固有野生品種。カスミザクラと比べかなり多毛。萼筒は長鐘形でまばらに毛がある。現在ではカスミザクラに含める。10-6 Prunus leveilleana 'Kitano-zakura' キタノザクラ 北野桜
北野天満宮に古くからあったサクラ。カスミザクラの一型。
10-7 Prunus leveilleana Prunus leveilleana Koehne 'Nara-Zakura' ナラノヤエザクラ 奈良の八重桜
synonym Cerasus leveilleana (Koehne) H.Ohba 'Antiqua'奈良に古くからあるカスミザクラの八重咲き品種。
葉柄に毛がある。葉は倒卵状楕円形、長さ9~12㎝、上面の脈に毛がある。葉の展開と同時に開花する。小花柄や萼に毛がある。花は直径約3㎝。花弁は30~36枚つき、淡紅色。雌しべは1~2本。花期は4月下旬~5月。
10-8 Prunus leveilleana 'Sasabezakura' ササベザクラ 笹部桜
栽培種。神戸の笹部新太郎氏の庭に生えた実生のサクラ。原木は枯れて現存しない。カスミザクラとオオシマザクラ系との交配種と推定されていたが、DNA解析ではヤマザクラとソメイヨシノとの交雑種ともされている。
落葉高木。直立性。小枝は赤褐色~灰褐色、光沢が有る。葉の展開と同時かやや早く開花する。散形花序または散房花序、花が2~3個つく。花弁は8~20枚の半八重。花期は4月上旬~中旬。
11 Prunus. maximowiczii Rupr. ミヤマザクラ 深山桜
synonym Cerasus maximowiczii (Rupr.) Kom.
日本(北海道~九州))、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は黑樱桃 hei ying tao。日陰の山林、腐植土のある石の多い場所に生え。ときに低木や草本の生えた山の斜面に逸出する。
低木~高木、高さ7m以下。樹皮は暗灰色。小枝は灰褐色、若い小枝は帯褐色、密に絨毛状がある。冬芽は長い卵形、伏した軟毛がある。托葉は線形、開花後すぐに脱落し、縁には間隔の離れた暗紫色の腺がある。葉柄は長さ0.5~1.5㎝、密に絨毛がある。葉身は倒卵形~倒卵状楕円形、長さ3~9㎝×幅1.5~4㎝、下面は淡緑色で無毛、ただし中脈と2次脈に伏した直軟毛があり、上面は緑色で無毛または中脈に沿って伏した直軟毛があり、基部は楔形~円形、縁は重鋸歯があり、腺は無く、先は尖頭形~短い尾状になり、中脈の両側に6~9本の二次脈がある。花序は散房花序、花が5~10個つく。総苞はへら状長円形、長さ10~15㎜×5~6 ㎜、花後すぐに脱落し、外面に直軟毛があり、縁には明瞭な暗赤色の小さな腺がある。花序軸には密に伏した絨毛がある。苞は緑色、葉状、卵形、長さ5~7㎜×3~4㎜(?)、縁は鋭鋸歯があって腺がなく、または不明瞭な腺がある。花は直径約1.5㎝、葉の展開と同時に開花する。小花柄は長さ0.5~1.5㎝、密に伏した絨毛がある。花托筒は倒円錐形、長さ3~4㎜×2.5~3㎜、外側に伏した毛がある。萼片は楕円形~三角形、長さは花托筒とほぼ同長、縁は上部に鋸歯があり、歯は先端に不明瞭な微細な腺があるかまたは無く、先は尖鋭形。花弁は白色、楕円形、長さ6~7mm×5~6㎜。雄しべは約36本。花柱は雄しべとほぼ同長。柱頭は頭状。核果は熟すと黒色になり、卵形、長さ7~8㎜×5~6㎜。内果皮が著しく彫刻されている。花期は6月。果期は9月。
12 Prunus nipponica Matsum. タカネザクラ 高嶺桜
synonym Cerasus nipponica (Matsum.) Ohle ex H.Ohba var. nipponica
日本(北海道、本州中部以北)、サハリン原産。英名はJapanese alpine cherry , Kurile cherry。別名はミネザクラ。低木または高木、標高が高い風の強い場所では地を這い高さ約2m、低標高で環境が良ければ10mを超える。樹冠は盃形。葉は倒卵形、長さ5㎝以上になる。花は葉の展開と同時に開花する。花は直径は1.6~2.4㎝、5弁花、淡紅色。花期は低地で5月上旬、高山帯で6月。
12-1 Prunus nipponica var. alpina (Koidz.) Sugim. クモイザクラ 雲居桜
synonym Cerasus nipponica (Matsum.) Ohle ex H.Ohba var. alpina (Koidz.) H.Ohba
南アルプス(北岳、間ノ岳、仙丈ケ岳)固有種。タカネザクラの矮性種。12-2 Prunus nipponica var. kurilensis (Miyabe) E.H.Wilson チシマザクラ 千島桜
synonym Cerasus Cerasus nipponica (Matsum.) Ohle ex H.Ohba var. kurilensis (Miyabe) H.Ohba
synonym Cerasus kurilensis (Miyabe) Czerep.synonym Prunus kurilensis (Miyabe) Miyabe ex Takeda
タカネザクラに似るが、萼、小花柄、葉下面、葉柄に毛が多い。
12-3 Cerasus nipponica (Matsum.) Ohle ex H.Ohba var. kurilensis (Miyabe) H.Ohba f. hayashii (Yanagita) H.Ohba ビロードチシマザクラ
13 Prunus pseudocerasus Lindl. カラミザクラ 唐実桜
synonym Cerasus pseudocerasus (Lindl.) G.Don
synonym Cerasus cantabrigiensis (Stapf) Ohle
synonym Cerasus scopulorum (Koehne) T.T.Yu & C.L.Li,
synonym Prunus cantabrigiensis Stapf
synonym Prunus involucrata Koehne, C.S.Sargent,
synonym Prunus pauciflora Bunge カラミザクラ
synonym Prunus saltuum Koehne
中国原産。中国名は樱桃 ying tao。英名はChinese sour cherry , false cherry。別名はシロバナカラミザクラ、シナミザクラ、シナノミザクラ、チュウゴクミザクラ、暖地サクランボ、暖地桜桃。果樹園、公園、庭に広く栽培されている。
落葉小高木。高さ2~6(2~8)m。樹皮は灰白色。小枝は灰褐色。葉は互生し、長さ5~12(15)㎝、幅3~5㎝の卵形~楕円状卵形、葉先は尖り、鋭い重鋸歯縁、歯先に小腺体あり。側脈9~11対。葉柄0.7~1.5㎝。蜜腺は葉柄の上部にある。葉が展開する前に開花する。花は白色、直径1.5~2㎝。散形状に3~6個つく。花弁の先が凹む。花柄は長さ0.8~1.9㎝。苞は3~4裂して羽状、腺あり。萼は長さ3~6㎜、短毛があり、淡紅紫色。萼片は三角卵円形~卵状長楕円形、反り返らない。雄しべは長く、多数(約30~35個最大50)、ウメのように花いっぱいになることもある。果実は直径約9~13㎜、紅色に熟す。花期は3月。果期は5月。
カラミザクラ系のハイブリッド品種品種は多い。
(1) ミナトザクラ(湊桜)
オオシマザクラとの自然交雑種。南伊豆町湊で発見され、原木がある。花は淡紅色、花柄が有毛。
(2) ツバキカンザクラ(椿寒桜)
カンヒザクラとの交雑種と考えられている。原木は愛媛県松山市の椿宮にある。花色が濃く、雄しべが目立つ。
(3) フルサトザクラ(古里桜)
カンヒザクラとの交配種。古里は「はままつフラワーパーク」初代園長・古里和夫博士の名から。
(4) ケイオウザクラ(啓翁桜)
カンヒザクラとの交配種。啓翁は作出者の吉永啓太郎氏の名から。花色が濃い。
(5) トウカイザクラ(東海桜)
コヒガンとの交配種。花はコヒガンによく似るが、萼筒がくびれない。
(6) ホソイザクラ(細井桜)
ソメイヨシノとの交配種。
(7) その他品種
'Cantabrigiensis' , 'Izayoi-zakura'十六夜桜
14 Prunus sargentii Rehd オオヤマザクラ 大山桜
synonym Cerasus sargentii (Rehder) H.Ohba
synonym Cerasus sargentii (Rehder) H. Ohba var. sargentii
synonym Prunus pseudocerasus Lindl. var. borealis Makino
synonym Prunus sachalinensis (F.Schmidt) Miyoshi
synonym Cerasus sargentii f. albida (Miyoshi) H.Ohba ハツユキザクラ 初雪桜
synonym Cerasus sargentii f. pendula (Honda) Yonek シダレオオヤマザクラ 枝垂大山桜
synonym Cerasus sargentii f. pubescens (Tatew.) H.Ohba ケエゾヤマザクラ 毛蝦夷山桜
synonym Cerasus sargentii var. akimotoi H.Ohba & Mas.Saito キリタチヤマザクラ 霧立山桜
日本(本州中部以北)原産。葉や花など全体にヤマザクラより大型。別名ベニヤマザクラ、エゾヤマザクラと呼ばれる。落葉高木、高さ10~20m、ときに20mを超える。樹形は広卵状。小枝は紫褐色。開花期の若葉は赤色を帯びる。葉が互生し、葉身は狭卵形、長さ8~15㎝、毛は少なく、基部は円形~心形、縁は鋸歯があり、下面が白色を帯び、上面は暗緑色、秋には紅葉し、赤色、黄色、橙色と様々に色を変える。葉の展開と同時に開花する。花序は散形花序。花芽の鱗片が著しく粘る。小花柄はほぼ無柄。花は直径3~4.5㎝、5弁花、比較的濃い淡紅色(バラ色)。雄しべは35~38本。雌しべは1個つく。核果は球形、直径約1㎝、紫黒色に熟す。花期は4~5月。果期は6月。
品種) 奥州里桜(戴き桜)'Ohshyusato-zakura' , 岡本桜(桜守桜)'Okamoto-zakura' , 野中桜'Macropetala' , 八重大山桜'Yaeno-ohyamazakurai'
15 Prunus serotina Ehr. ブラックチェリー
synonym Cerasus serotina (Ehrh.) Loisel.
北アメリカ、中央アメリカ原産。英名はblack cherry , wild black cherry , rum cherry , mountain black cherry。
低木または高木、吸枝はなく、高さ4~40m、刺はない。小枝の末端には芽があり、無毛または毛がある。葉は落葉。葉柄は長さ2~23(~30)㎜、無毛~まばら~密に毛があり、普通、葉柄の下部または葉柄と葉身の接合部に腺が1~6個ある。葉身は普通、狭楕円形、長円状楕円形、倒卵形、ときに披針形、まれに卵形、長さ2~13.5㎝×幅1.1~6.5㎝、基部は楔形~円形、縁は円鋸歯状小鋸歯~鋸歯があり、歯は内側に湾曲または伏せ、鋭くまたは鈍く、歯の先端は腺またはカルスがあり、葉先は普通、鋭形~尖鋭形、ときに鈍形~円形~var. alabamensisでは凹形、側脈は片側に15~30本、下面は赤くなり、下面には普通、中肋の下部い密に毛があり、ときに無毛またはまばらに毛があり、上面は無毛。花序は総状花序、花が18~55(~90)個つく。中央の花序軸は長さ(25~)35~160㎜、基部に葉がある。小花柄は長さ1~10㎜、無毛又は毛がある。葉の展開後に開花する。花托筒は杯形、長さ1.5~3㎜、外側は無毛。萼片は直立~反り返り、半円形、長さ0.5~1.5㎜、縁は普通、全縁、まれに腺のある歯があり、まれに縁毛があり、表面は無毛。花弁は白色、倒卵形~ほぼ円形、長さ2~4㎜。子房は無毛。核果は暗紫色~ほぼ黒色、球形、直径5~10[~25]mm、無毛。花托筒は宿存性。中果皮は肉質。核は扁平ではなく、ほぼ球形。
品種) 'Aspleniifolia'
15-1 Prunus serotina var. alabamensis (C. Mohr) Little
USAに分布。英名はAlabama black cherry。岩が多い斜面や尾根、砂丘、オーク、マツ、ヒッコリーの混交林に生える。
小枝は毛があり、しばしば密にあり、毛は錆褐色。 葉柄は長さ2~12㎜、有毛~ほぼ無毛、葉柄と葉身の接合部に腺が2個ある。葉身は楕円形~倒卵形、長さ3~12.5㎝×幅2~6.5㎝、ほぼ革質、先は普通、鈍形~円形~凹形、ときに急に鋭形または短い尖鋭形、下面にはまばらに毛があり、特に中肋の下部にある。花序軸は長さ5 ~160㎜。花期は4~5月。果期は6~8月。
15-2 Prunus serotina var. rufula (Wooton & Standley) McVaugh
USA、メキシコ、グアテマラに分布。英名はsouthwestern black cherry。峡谷の湿った斜面、オーク、マツ、ジュニパーの混合林に生える。
小枝は無毛または毛があり、毛は錆褐色または灰色。葉柄は長さ(2~)4~10(~15)mm、無毛またはまばら~密に毛があり、ときに葉柄と葉身の接合部に腺がある。葉身は普通、楕円形または長円形、まれに卵形または倒卵形、長さ2~5.2(長いシュートでは~7.4)㎝×幅1.1~2.6(~3.8)㎝、革質、先は普通、鋭形、まれに急な鋭形になり、下面は普通、中肋の下部に密に毛があり、ときに無毛になる。花序軸は長さ(25~)35~70(~102)㎜。花期は3~5月。果期は7~8月
15-3 Prunus serotina var. serotina
USA、メキシコ、グアテマラに分布。英名はblack cherry , wild black cherry , rum cherry , mountain black cherry。道端、野原の端、二次林、開けた森林地帯、峡谷、小川沿いに生える。
小枝は普通無毛で、ときに毛があり、錆褐色の毛がある。葉柄葉長さ(7~)10~23(~30)㎜、無毛、下部に1~6個の腺がある。葉身は普通、狭楕円形~楕円形~披針形、まれに倒卵形、長さ4~13.5㎝×幅1.7~5.8㎝、膜質またはわずかに革質、先は鋭形~尖鋭形、ときに急な尖鋭形、下面は無毛または中肋の下部にまばら~から密に毛がある。花序軸は長さ35~140㎜。2n=32。花期は3~6月。果期は6~9月。
16 Prunus shikokuensis (Moriya) H.Kubota イシヅチザクラ 石鎚桜
synonym Cerasus shikokuensis (Moriya) H.Ohba
日本固有種。四国に分布。タカネザクラとキンキマメザクラの自然交雑種が起源といわれている。
落葉低木~小高木。高さ2~4m。1年目の枝は無毛。葉は互生し、葉柄は長さ0.6~1.2㎝、開出毛があり、上部に蜜腺がある。葉身は広倒卵形、長さ4~7㎝×幅1.7~4cm、基部は鈍形~広くさび形、縁には欠刻状の重鋸歯があり、先は尾状に尖鋭形、上面および下面脈上に伏毛がある。葉の展開とほぼ同時に開花する。散形花序は腋生、花が2~3個つく。花序柄は長さ2~5mm。小花柄は長さ1.2~2.2㎝、果時に長さ2.6~3.3㎝、普通、無毛。花は淡紅色~白色、、5弁花。萼筒は長さ6~10㎜、萼片は全縁。花弁は広倒卵形、長さ8~12㎜×幅7~9㎜。雄しべは約28本。花柱の下部にはしばしば毛がある。核果は球形、黒色に熟す。花期は4月下旬~5月上旬。
17 Prunus speciosa (Koidz.) Nakai オオシマザクラ 大島桜
synonym Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba
synonym Prunus jamasakura var. speciosa Koidz
synonym Prunus serrulata subvar. speciosa (Koidz.) Makino
synonym Prunus idzuensis Nakai シオカゼザクラ 潮風桜synonym Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba f. idzuensis (Nakai) H.Ohba シオカゼザクラ 潮風桜
synonym Prunus lannesiana (Carriere) E.H.Wilson var. speciosa (Koidz.) Makino
日本固有種。本州(房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島)に分布。大島など伊豆諸島に自生し、伊豆諸島の近辺にもあるが、伊豆諸島以外のものは自生ではないともいわれている。公園などにはよく植えられており、野生化しているものも多い。沿海地の丘陵、山地に生える。サトザクラの主な元になる原種。匂いの強い品種がある。英名はOshima cherry。中国名は大島櫻。落葉高木。高さ8~10m。幹は暗灰色、濃褐色の大きい皮目がある。葉は互生し、長さ8~13㎝の倒卵状長楕円形、重鋸歯縁。鋸歯の先が芒状になるのが特徴である。葉は両面とも無毛であり、桜餅の葉はこの若葉を塩漬けにしたものである。葉柄は長さ1.5~3㎝、無毛。蜜腺は葉柄の上部にあり、しばしば最下の鋸歯の先にも小さな紅色の腺体が見える。長さ1~3㎝の花序柄の先に散形状に3~4(5)個の花がつく。苞は三角状倒卵形、上半部に鋸歯があり、苞や芽鱗の内面には毛がある。花柄(小花柄又は花梗)は2~4㎝、無毛。花は大きく直径3~4㎝、普通、白色、葉の展開とほぼ同時に開花する。花には芳香がある。花弁の先端に小さな切れ込みがあり、散り際に花弁の下部と花糸が淡紅色になる。萼筒は長さ7~8㎜のやや細い長鐘形。萼片は披針形、縁に鋸歯がある。果実は多数つく、直径約1.2㎝の球形の核果、赤色~黒紫色に熟し、落ちて黒色になる。花期は3月下旬~4月上旬。
品種) 赤実大島'Akami-ohshima' , 遅咲大島'Osozaki-ohshima' , 伊豆桜'Izuzakura' , 寒咲大島'Kanzaki-ohshima' , 関東有明'Kantouariake' , 御座の間匂'Gozanomanioi' , 小花八重大島'Kobanayae-ohshima' , 上匂'Affinis'= 'Jo-nioi'[類似種:帆立] , 新墨染'Shin‐sumizome' , 駿河台匂'Surugadai-odora' , 太白 'Taihaku'=駒繋 Komatunagi'=車駐 'Kuromadome' , 高桑星桜'Takakuwa-hoshi-zakura' , 滝匂'Takinioi' , 匂桜'Nioi-zakura' , 旗重大島'Hatagasane-ohshima' ,早咲八重大島'Hayazakiyaeoshima' , 平野匂'Hirano-nioi' , 細川匂'Hosokawa-nioi' , 帆立'Hotate' , 八重紅大島桜'Yaebeni-ohshima' , 八瀬匂'Yatsuse-nioi'
17-1 Prunus lannesiana (Carriere) E.H.Wilson var. var. speciosa (Koidz.) Makino f. plena ヤエノオオシマザクラ 八重の大島
synonym Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba f. plena H.Ohba17-2 Prunus lannesiana var. speciosa f. Semiplena ウスガサネオオシマ 薄重大島
synonym Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba f. semiplena (Makino) H.Ohba
半八重咲き。18 Prunus × tama-clivorum Oohara ホシザクラ 星桜
synonym Cerasus tamaclivorum (T.Oohara, Seriz. et Wakab.) Yonek.
多摩丘陵のごくわずかな範囲に自生。2004年に報告された新種。萼片が星形になる。現在ではエドヒガン(Prunus itosakura Siebold)に含められる。
19 Prunus transarisanensis Hayata アリサンヤマザクラ
synonym Cerasus transarisanensis (Hayata) Masam. et S.Suzuki
台湾原産。中国名は阿里山樱。20 ハイブリッド
(1) Prunus incisa f. globosa (Kawas.) Sugim. アメダマザクラ飴玉桜
synonym Cerasus x amedama H.Ohb
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. incisa f. globosa (Kawas.) H.Ohba
神奈川県真鶴半島で発見された。マメザクラとオオシマザクラ系の自然交雑種と推定されている。(2) Prunus × chichibuensis H.Kubota & Moriya チチブザクラ 秩父桜
synonym Cerasus × chichibuensis (H.Kubota & Moriya) T.Katsuki & H.Ikeda
埼玉県秩父市周辺や日光市などに自生が多い。エドヒガンとチョウジザクラの自然交雑種と推定されている。
(2-1) Prunus × chichibuensis var. aizuensis Kawas アイヅシダレ会津枝垂
synonym Cerasus x chichibuensis (Kubota et Moriya) H.Ohba nothovar. aizuensis (Kawas.) Yonek.
会津坂下町の薬王寺境内にある糸桜の子桜。1993年に新品種として認定された。(2-2) Prunus × chichibuensis var. uyekii H.Kubota オグラヤマザクラ 小倉山桜
synonym Cerasus x chichibuensis (Kubota et Moriya) H.Ohba var. uyekii (Kubota) H.Ohba
synonym Prunus × uyekii Nakai栃木県日光市の小倉山国有林近くで発見された。エドヒガンとチョウジザクラの自然雑種と推定されている。
(3) Prunus × compta (Koidz.) Tatew. アカツキザクラ 暁桜
synonym Cerasus x compta (Koidz.) H.Ohba
日本各地に広範囲に分布する。 カスミザクラとオオヤマザクラの自然交雑種。
(4) Prunus × furuseana Ohwi ヤママメザクラ 山豆桜
synonym Cerasus x furuseana (Ohwi) H.Ohba
マメザクラとヤマザクラの自然交雑種 (Prunus incisa × Prunus jamasakura)
品種) 'ManadzuruensisU' マナヅルザクラ 真鶴桜
(4-1) Prunus X pseudoaffinis Kawas キンキヤママメザクラ 近畿山豆桜
synonym Cerasus x furuseana (Ohwi) H.Ohba nothovar. pseudoaffinis (Kawas.) H.Ohba
(キンキマメザクラ × ヤマザクラ)品種) ユムラ 正福寺桜・正福寺枝垂・湯村枝垂・湯村 Cerasus × furuseana (nothvar. pseudouffinis) ‘Tajimensis’
(5) Prunus × hisauchiana Koidz. ex Hisauti ヤブザクラ 藪桜
synonym Cerasus x hisauchiana (Koidz. ex Hisauti) H.Ohba
関東~中部地方に分布。マメザクラとエドヒガン(又はその他)との自然交雑種。
(6) Prunus x incam Ingram ex R. Olsen & Whittemore オカメザクラ 阿亀桜
synonym Cerasus x incamp Ingram ex R. Olsen & Whittemoresynonym Cerasus x incam 'Okame'
阿亀桜はイギリスの桜研究家イングラムが作った品種。カンヒザクラとマメザクラの交配種
落葉小高木。高さ5~8m。幹は灰紫褐色、横長の皮目がある。葉は小さく、長さ2~5.5㎝、幅1~2.8㎝、縁に深い重鋸歯があり、先は尾状に尖る。花が小さく、色が淡紅色で、マメザクラと同じように花が下を向いているのが特徴。萼は、鐘状筒形、紅色。雄しべの花糸が白色~紅色になり、萼も紅色であるため、花の中心部が紅色に見える花がある。果実はつかないのが普通、つけるものもあるようであり、「のんほいパーク」に植えられているものの果実は楕円形、4月末~5月初旬に赤色~黒紫色に熟す。花期は2月下旬~3月。
品種) 'Okame' , 'Shosai' ショーサイ
(7) Prunus incisa var. kinkiensis (Koidz.) Ohwi x Prunus leveilleana Koehne カミオカザクラ 神岡桜
synonym Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. kinkiensis (Koidz.) H.Ohba × C. leveilleana (Koehne) H.Ohba
synonym Cerasus 'Kamiokazakura'岐阜県飛騨市神岡町で発見された。カスミザクラとキンキマメザクラの自然交雑種。
(8) Prunus x introrsa Yagi ツバキカンザクラ 椿寒桜
synonym Cerasus x introrsa
カンヒザクラ×カラミザクラの交雑種
品種) 'Introrsa' ツバキカンザクラ(椿寒桜・初美人) , 'Myoshoji' ミョウショウジ(明正寺・ねはん桜)
(9) Prunus jamasakura Sieb. et Zucc. x Prunus speciosa (Koidz.) Nakai カズサザクラ
synonym Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba x C. speciosa (Koidz.) H.Ohba オオシマザクラとヤマザクラの自然交雑種
糸括(いとくくり)に染井吉野を交配させた八重の園芸品種。
(10) Prunus × juddii E.Anderson マツマエベニソメイ 松前紅染井
synonym Cerasus x juddii (E.S.Anderson) H.Ohba
オオヤマザクラPrunus sargentii と ソメイヨシノPrunus × yedoensisの交配種
品種) 松前紅染井 'Matsumae-benisomei'
(11) Prunus x kanzakura Makino カンザクラ 寒桜系統
synonym Cerasus x kanzakura (Makino) H.Ohba
synonym Prunus jamasakura var. jamasakura [Kewscience]
カンヒザクラとヤマザクラまたはオオシマザクラとの交雑種系統。カワヅザクラやオオカンザクラもこの系統である。しかし、Kewscienceでは認めず。ヤマザクラに含めている。
(11-1) Prunus x kanzakura Makino 'Praecox' カンザクラ 寒桜 狭義
synonym Cerasus×kanzakura 'Praecox'
カンヒザクラ(寒緋桜)×ヤマザクラ(山桜)系統のザトザクラまたはオオシマザクラ(大島桜)系統のハヤザキオオシマとの交雑種。別名アタミザクラ、アタミカンザクラ。
落葉広葉樹。江戸時代後期から観賞用として植栽されていた。名所である静岡県熱海市付近では寒中(1月中旬)に咲くため、カンザクラと名付けられた。ただし、カンヒザクラを片親とする早咲きのサクラ全般をカンザクラともいう。春一番に咲くサクラであり、花期は1月中旬~3月。
(11-2) Prunus x kanzakura Makino 'Kawazu-zakura' カワズザクラ 河津桜
synonym Cerasus×kanzakura 'Kawazu-zakura' Thunoda & Funatsu河津町で野生の原木が発見され、オオシマザクラ(大島桜)とカンヒザクラ(寒緋桜)の自然交雑種であると推定されている。この桜を増やし、河津桜並木が造られた。現在ではカワヅザクラが公園などによく植えられるようになり、幸田町内でもよく見られる。ソメイヨシノより開花が早く、花色が濃い。果実は見られない。園芸品種のサトザクラ(里桜)の1品種ともされる。
落葉高木。高さ8~10m。幹は暗灰色、横長の皮目がある。葉は互生し、長さ8~15㎝の倒卵状楕円形、葉縁は単鋸歯に重鋸歯が混じり、鋸歯の先が芒状になる。葉は両面とも無毛。葉柄は長さ約2㎝、無毛。蜜腺は葉柄の上部につく。葉の展開前に開花し、花期が長いため、花が残っているうちに葉が出てくる。花は大きく直径約3㎝、淡紅色、花弁の先端に切れ込みがあり、縁が濃色。萼筒は長鐘形、無毛。萼片は披針形、無毛。花柄は長さ約2㎝、無毛。花期は1月下旬~3月。
品種) 赤真珠'Akasinju' , 熱海桜'Atamizakura' , 土井河津'Doikawazu' , 大寒桜= 安行寒桜 'Oh-kanzakura' , 伊豆多賀赤'Izutaga-aka' , 河津正月'Kawazu-shogatsu' , 修善寺寒桜(しゅぜんじかんざくら) 'Rubescens' , 白浜伊古奈シラハマイコナ'Shirahamaikona' , 長咲桜(ながさきざくら)'Nagasaki', 横浜緋桜'Yokohama-hizakura'
(12) Prunus ×katonis (H.Ohba) comb.ined. シンエイザクラ 信英桜
synonym Cerasus x katonis H.Ohba
ミヤマザクラ(Cerasus maximowiczii)とオオヤマザクラ(C. sargentii)の自然交雑種。
山形県上山市三吉山山頂のみに自生。花序柄、花柄に白色の軟毛を密生する。
(13) Prunus ×kubotana Kawas. タカネオオヤマザクラ 高嶺大山桜
synonym Cerasus x kubotana (Kawas.) H.Ohba
synonym Cerasus ×kubotana (Kawas.) T.Katsuki & H.Ikeda
本州(関東・中部地方)に分布。タカネザクラとオオヤマザクラの自然交雑種。
(14) Prunus × lannesiana (Carrière) E.H.Wilson サトザクラ 里桜
synonym Prunus Sato-zakura Group
synonym Cerasus × lannesiana Carrière
synonym Prunus serrulata Lindl.
synonym Cerasus serrulata (Lindl.) G.Don
synonym Prunus serrulata var. lannesiana (Carrière) Makino
synonym Cerasus serrulata (Lindl.) G.Don var. lannesiana (Carriere) T.T.Yu et C.L.Li
synonym Cerasus × donarium (Siebold ex Koidz.) Masam. & S.Suzukisynonym Cerasus × kawasakii H.Ohba
synonym Cerasus × serratifolia Lindl. ex Carrière
synonym Prunus × donarium f. wasinowo Koidz.
栽培品種。オオシマザクラを中心にヤマザクラ(P. jamasakura)、カスミザクラ等を元に作出された園芸品種を総称してサトザクラと呼び、Cerasus serrulataの学名を与え、それらをサトザクラ群と呼んだ。広義に野生の自然交雑種を除いた園芸品種を総称してサトザクラ類と呼ぶこともある。現在では学名はPrunus × lannesiana (Carrière) E.H.WilsonCerasus あるいはSato-zakura Groupといわれる。Kewscienceではヤマザクラ(P. jamasakura)× オオヤマザクラ(P. sargentii) ×オオシマザクラ(P. speciosa)の交雑種としている。 200種以上の品種が江戸時代に選び出され、ボタンザクラとも呼ばれる八重咲きも多い。オオシマザクラ系、ヤマザクラ系、カスミザクラ系、その他などに分けられる。古くから多い品種は一葉、松月、普賢象、関山などである。御車返しや桐ケ谷のように花に変化の多いものや、鬱金、御衣黄のように淡黄色~緑黄色の花のものもある。
高さ3~8m。樹皮は灰褐色~灰黒色。小枝は灰白色又は褐色を帯、無毛。冬芽は卵形、無毛。托葉は線形、長さ5~8㎜、縁に長毛があり、毛の先に腺がある。葉柄は長さ1~1.5㎝、無毛~まばらに軟毛~短毛があり、先に1~3個の丸い蜜腺がある。葉身は卵状楕円形~倒卵状楕円形、長さ5~9㎝×幅2.5~5㎝、下面は淡緑色、無毛、まばらに、軟毛又は短毛があり、上面は暗緑色、無毛又はまばらに軟毛があり、基部は円形、縁は尖鋭形の鋸歯又は重鋸歯、歯は先に小さな腺があり、葉先は尖鋭形、2次脈は6~8対。花序は散房花序のような総状花序または類散形花序、花が2~3個つく。総苞片は褐赤色、倒卵状長楕円形、約長さ8×幅4㎜、外側は無毛、内側には絨毛がある。花序柄は長さ5~10㎜、無毛。苞は褐色又は緑褐色を帯び、長さ5~8㎜×幅2.5~4㎜、縁は腺のある鋸歯状。花柄は長さ1.5~2.5㎝、無毛~まばらに軟毛~短毛がある。花托筒は筒形、長さ5~6㎜×幅2~3㎜、先が大きくなる。額片は三角状披針形、長さ約5㎜、全縁、先は尖鋭形~鋭形。花弁は白色まれにピンク色、倒卵形、先は凹形。雄しべは約38本。花柱は無毛。核果は紫黒色、球形~卵形、直径8~10㎜。花期は4~5月。果期は5~7月。(Flora of China)
【Flora of Chinaの変種の解説】
Cerasus serrulata var. lannesianaを日本晚樱 ri ben wan ying(サトザクラ)としている。
① Cerasus serrulata var. lannesiana (Carriere) T. T. Yu & C. L. Li 日本晚樱 ri ben wan ying
日本原産。中国で広く栽培されている。葉は重鋸歯、歯は尖鋭形、歯先が長い芒状。
② Cerasus serrulata var. serrulata 山樱桃
日本、朝鮮、中国原産
葉柄、葉身の両面及び花柄は無毛又はまばらに軟毛があり、花期は4~5月、果期は5~7月。
③ Cerasus serrulata var. pubescens (Makino) T. T. Yu & C. L. Li, Fl. 毛叶山樱桃 mao ye shan ying hua
中国原産。葉柄、葉身の下面及び花柄は短毛があり、花期は4~5月。果期は5~7月。
【GRINの変種の解説】
① Prunus serrulata Lindl. var. lannesiana (Carriere) Makino 日本晚樱、サトザクラ
栽培種のみ
② Prunus serrulata Lindl. var. serrulata 山樱桃
中国原産
③ Prunus leveilleana Koehne カスミザクラ(ケヤマザクラ)
synonym Prunus serrulata Lindl. var. pubescens (Makino) Nakai
日本、朝鮮原産
④ Prunus jamasakura Siebold ex Koidz. ヤマザクラ
synonym Prunus serrulata Lindl. var. spontanea (Maxim.) E. H. Wilson
日本、朝鮮、中国原産
サトザクラの品種
あ 青葉'Aoba'='Viridis' , 赤花真桜 'Akabana-mazakura' , 暁南殿 'Akatsukinaden' , 旭山 'Asahiyama' , 天の川'Amanogawa'='Erecta' , 新珠(松前新珠) 'Aratama' , 有明(ありあけ) 'Candida , 東錦 'Azumanisiki'[糸括の類似種] , 荒川匂 'Arakawaensis' , 嵐山 'Arasiyama'
い 伊豆最福寺枝垂'Saifukuji' , 伊豆多賀白'Izutaga-shiro' , 市原虎の尾 'Albo Plena' , 一葉'Ichiyo' , 糸括(いとくくり) 'Fasciculata'=江戸桜(江戸) 'Nobilis'=大手毬 'Ootemari'=八重紅虎の尾'Yae-benitoranoo'=白山大手毬'Hakusanootemari' , 妹背 'Imose' , 伊東桜'Ito-zakura' , 伊予熊谷 'Iyo-kumagai',
う 鬱金 'Ukon'= 'Grandiflora' , 潮陵'Ushionokai' , 渦桜 'Spiralis' , 薄墨(うすずみ) 'Nigrescens' , 馬路 'Umaji' , 浦和 'Urawa'
え 永源寺 'Eigenji' , 蝦夷錦 'Yezonishiki' ,
お 王昭君 'Oushoukun' , 大亀桜 'Ohkame-zakura' , 大沢桜 'Ohsawazakura' , 奥州里桜 Oshusatozakura' , 大提灯'Ojochin' , 太田桜 'Ohta‐zakura' , 大南殿 'Oonaden' , 大撫子 'Ohnadeshiko' , 大村桜 'Mirabilis' , 御室有明 'Omuro‐ariake' , 帯桜 'Obi-zakura' ,
か 上磯海潮桜 'Kamiiso-ushiozakura' , 簪桜 'Kanzashi-Zakura' [花弁14~31枚 佐野藤右衛門氏(桜守)が発見] , カンパニュロイデス 'Campanuloides' , 関山 'Kanzan'
き 菊桜 'Chrysanthemoides' , 菊枝垂桜 'Kikusidare-zakura'='Plena-pendula' , 鬼無稚児桜 'Kinashi-chigozakura' , 貴船雲珠(雲珠) 'Kibune-uzu' , 御衣黄 'Gioiko' , 桐ケ谷'Kirigaya'[=八重一重] , 麒麟 'Kirin' ,
く 玖島桜 'Kushimana' , 鞍馬 'Kurama' , 鞍馬雲珠 'Kurama-uzu' , 鞍馬関山 'Kuramakanzan' , 車駐'Kurumadome'
け 兼六園菊桜 'Sphaerantha' , 兼六園熊谷'Kenrokuen-kumagai'
こ 紅華 'Kouka' , 暁鐘 'Gyosho' , 光善寺白八重桜 'Kouzenji-shiroyae' , 高台寺 'Kodaiji' , 幸福 'Koufuku' , 紅葉関山'Royal Burgundy'(d) , 桜小金井薄紅桜 'Koganei-usubenizakura' , 苔清水 'Kokeshimidsu ' , 極楽寺桜 'Gokurakuji' , 九重(ここのえ) 'Homogena' , 小汐山(小塩山) 'Koshioyama' , 御所御車返し'Gosho-mikurumagaeshi' , 五所桜 'Gosiozakura' , 胡蝶 'Kocho' , 御殿匂 'Goten-nioi' , 小花八重桜 'Kobanayae-zakura' , 金剛山 'Kongosan' ,
さ 笹賀鴛鴦桜 'Sasaga-oshidori' , 佐野菊桜 'Sanokiku' ,
し 塩釜 'Shiogama' , 紫宸殿'Shishinden'=南殿=松前早咲 , 静香(松前静香) 'Shizuka' , 下多賀南殿 'Shimotaganaden' , 朱雀 'Shujaku' , 数珠掛桜(梅護寺数珠掛桜)'Juzukakezakura' , 従二八重 'Juniyae' , 鐘馗 'shoki' , 松月 'Shogetsu' ='Superba'='Longipes'='Oku-Miyako' , 庄司簪 'Shojikanzashi' , 芝山桜 'Shibayamazakura'=鷲の尾 , 白雪 'Shirayuki'=狩衣 'Kariginu'=翁桜'Okinazakura' , 白雪姫 'Shirayukihime' , 白妙 'Sirotae'='Kojima'=雨宿 'Amayadori' , 白普賢(キューガーデン) 'Shirofugen' , 心田 'Shinden' , 新錦 'Shin-nishiki' ,
す 水晶 'Suisho' , 須磨浦普賢象 'Sumaura-fugenzo' , 墨染 'Sumizome' ,
せ 仙台枝垂(枝垂山桜) 'Sendai‐shidare' , 専念寺緋桜 'Sennenji-hizakura' , 千里香 'Senriko'[有明の類似種] ,
そ 壮美桜=旧宗堂桜 'Soubizakura' , 園里黄桜 'Sonosatokizakura', 早晩山'Sobanzakura' ,
た 手弱女'Taoyame' , 高松稚児 'Takamatsuchigo' , 類嵐'Taguiarasi'='Similis' ,
ち 千原桜 'Chihara-zakura' , 長州緋桜 'Chosiuhizakura' ,
つ 突羽根(平野突羽根)'Tsukubane' , 剱折戸菊桜 'Tsurugioritokiku-zakura' ,
て 手毬 'Temari' ,
と 虎の尾 'Caudata' ,
な 内藤大島 'Naito-ohshima' , 名島桜(なじまざくら) 'Multipetala' , 撫子桜(平野撫子) 'Dianthipetala' ,
に 仁科蔵王 'Nishinazao' , 西宮権現平桜'Nishinomiyagongendaira-zakura' , 二尊院普賢象 'Nison-in' ,
は 白山旗桜(はくさんはたざくら) 'Vexillifera' , 白鳥 'Hakucho' , 函館匂 'Hakodate-nioi' , 旗桜'Hatazakura' , 八天桜 'Hatten-zakura' , 花笠 'Hanagasa' , 林1号'Hayashi ichigo' , 林2号 'Hayashi nigo' , 萬里香(ばんりこう) 'Excelsa'
ひ 日暮(ひぐらし) 'Amabilis' , 緋桜 'Hizakura' , 雛八丈桜 'Hinahachijo' , 氷見久津呂菊桜 'Himikuzurokiku-zakura' , ヒュペヘンシス'Hupehensis' , 鵯桜(ひよどり) 'Longipedunculata' , 平野寝覚 'Hirano-nezame' , 弘前三段咲 'Hirosaki-sandanzaki' , 広島江波山桜 'Hiroshima-ebayamazakura' , ピンクパーフェクション'Pink Perfection' ,
ふ 福桜(ふくざくら) 'Polycarpa' , 普賢象(ふげんぞう)=普賢堂 ''Fugenzo'='Albo-rosea' , 福禄寿 'Contorta'='Fukurokujyu'[類似種:八重曙 'Yae-akebono'] , 房桜 'Fusa-zakura' , 不断桜 'Fudanzakura' , 船津3号'Funazu-sango' , 船津13号'Funazu-zyusango' ,
へ 紅笠 'Benigasa' , 紅時雨 'Beni-shigure' , 紅瑞雲 'Beni-zuiun' , 紅玉錦(松前紅玉錦) 'Beni-tamanishiki' , 紅提灯 'Beni-chochin' , 紅手毬 'Beni-demari' , 紅普賢 'Benifugen' , 弁殿 'Bendono'='Rubida' ,
ほ 宝珠桜 'Hoshuzakura' , 法明寺 'Houmyouji' , ホクサイ 'Hokusai' , 北鵬 'Hokuhou' , ホソカワベニ 'Hosokawa-beni' , 牡丹 'Moutan' , ホワイトファスティギアータ 'White Fastigiata' ,
ま 増山 'Masuyama' , 松前 'Matsumae' , 松前愛染(愛染) 'Matsumae-aizen' , 松前茜 'Matsumae-akane' , 松前薄紅九重 'Matsumae-usubenikokonoe'(カスミザクラ×ココノエ) , 松前薄紅衣 'Matsumae-usubenigoromo' , 松前大潮 'Matsumae-ohsio' , 松前花山院 'Matsumae-kazan-in' , 松前紅陽 'Matsumae-koyo' , 松前香輪 'Matsumae-korin' . 松前琴糸桜 'Matsumae-kotoitozakura' , 松前細雪(細雪) 'Matsumae-Sasameyuki' , 松前更紗 'Matsumae-sarasa' , 松前従ニ八重 'Matsumae-juniyae' , 松前白絹 'Matsumae-shirakinu' , 松前白牡丹 'Matsumae-shirobotan' , 松前玉垣 'Matsumae-tamagaki' , 松前花染井 'Matsumae‐hanazomei' , 松前花都 'Matsumae-hanamiyako' , 松前早咲'Matumae-hayazaki' =南殿=紫宸殿 , 松前富貴 'Matsumae-fuki' , 松前紅珠恵 'Matsumae-benitamae' , 松前紅緋衣 'Matsumae-benihigoromo' , 松前紅紫 'Matsumae-benimurasaki' , 松前八重寿 'Matsumae-yaekotobuki' , 松前八重衣 'Matsumae-yaegoromo' , 松前八重紅染井 'Matsumae-yaebenisomei' , 松前八千代 'Matsumae-yachiyo' ,
み 三ケ日桜 'Mitsukabizakura' , 御車返し'Mikurrumakaishi' , 水上'Minakami' ,
む 紫桜(むらさきざくら) 'Purpurea' ,
め 明月(めいげつ) 'Sancta' ,
や 八重左近桜 'Formosa-plena' , 八重紅大島 'Yaebenioshima', 八重紫桜 'Purpurea‐plena' , 八重山古志 'Yae-yamakoshi , 大和錦 'Yamato-nishiki' ,
ゆ 弓削 'Yuge' , 夕暮 'Yougure' ,
よ 楊貴妃 'Mollis' , 揚道桜(泣き桜) 'Yodo-zakura' , 吉野枝垂'Yoshino-shidare' ,
ら 蘭蘭 'Ranran' ,
り 龍雲院紅八重 'Ryuun-in-beniyae'
わ 鷲の尾 'Wasinowo'= 大明 'Taimin'=芝山桜 , 渡辺桜 'Watanabe-zakura' , ワビヒト 'Wabihito'
(15) Prunus ×media Miyoshi
synonym Cerasus × media (Miyoshi) H.Ohba
ヤマザクラとエドヒガンの交雑種。
品種) 'Ohiraensis'ミスミオオヒラザクラ(三隅大平桜) , 'Kaba-sakura' カバザクラ(蒲桜)
(16) Prunus x misayamensis Okuhara et Y.Matsuda エボシザクラ 烏帽子桜
synonym Cerasus x misayamensis (Okuhara et Y.Matsuda) A.Ozaki et H.Ohba, nom. nud.
長野県中部に自生する。チョウジザクラとタカネザクラの自然交雑種。(17) Prunus ×mitsuminensis Moriya チョウジマメザクラ 丁子豆桜
synonym Cerasus x mitsuminensis (Moriya) H.Ohba
synonym Cerasus x mitsuminensis (Moriya) H.Ohba nothovar. apetaloides (H.Kubota et Moriya) H.Ohba ケブコウマメザクラ 毛武甲豆桜
チョウジザクラとマメザクラの交雑種(18) Prunus ×miyasakana H.Kubota ヤツガタケザクラ 八ヶ岳桜
synonym Cerasus x miyasakana (H.Kubota) H.Ohba
synonym Prunus x miyasakana H. Kubota
マメザクラとタカネザクラの交雑種。
(19) Prunus x miyoshii Ohwi ホウキザクラ 箒桜
synonym Cerasus x miyoshii (Ohwi) H.Ohba
ヤマザクラとカラミザクラの交雑種
品種) 泰山府君(タイザンフクン) 'Ambigua' , 風戸八重彼岸(フトヤエヒガン)'Futo-yaehigan' , 箒桜(ホウキザクラ) 'Houki'
(20) Prunus x mochizukiana Nakai モチヅキザクラ 望月桜
synonym Cerasus x sacra (Miyoshi) H.Ohba
synonym Cerasus x mochizukiana (Nakai) H.Ohba
エドヒガンとヤマザクラの交雑種。別名はカッテザクラ 勝手桜。
(21) Prunus x moniwana T. Kawasak モニワザクラ 茂庭桜
synonym Cerasus x moniwana (Kawas.) Yonek.
福島市飯坂町茂庭地方で発見された。ソメイヨシノとチョウジザクラの自然交雑種。
(22) Prunus x naganoi comb.ined. トモエザクラ 巴桜
synonym Cerasus x naganoi (H.Kubota et Moriya) H.Ohba伊豆の国市MOA大仁農場に生えるオオシマザクラとヤマザクラの自然交雑種
(23) Cerasus × nudiflora (Koehne) T.Katsuki & Iketani エイシュウザクラ 王桜
C. × yedoensisとは親種の組み合わせが異なるエドヒガンとオオヤマザクラの交雑種済州島原産。韓国ではエイシュウザクラがソメイヨシノと同一だとしていたが、現在では別種として確立されている。
(24) Prunus × oneyamensis Hayashi オネヤマザクラ 小根山桜
synonym Cerasus x oneyamensis (Hayashi) H.Ohba
オオヤマ ザクラとチョウジザクラとの交雑種。
(25)Prunus × parvifolia (Matsum.) Koehne コバザクラ 小葉桜
synonym Cerasus × parvifolia (Matsum.) H.Ohba
synonym Prunus pseudocerasus var. parvifolia Matsum.
ヤマザクラ(又はサトザクラ)とマメザクラの雑種と推定されている。
春と秋に開花し、秋は11~12月頃がピーク。
(25-1) Prunus × parvifolia 'Fuyu-zakura' フユザクラ 冬桜
一般的にはヤマザクラとマメザクラの自然交雑種とされ、オオシマザクラ(又はサトザクラ)とマメザクラの自然交雑種ともいわれる。別名は小葉桜、三波川冬桜ともいい。葉が小さい。
、伊豆半島と房総半島には自生も見られる。主な開花期は11~12月と4月の年2回であるが、その年中、細々と咲き続ける。
品種) 小春日コハルビ'Koharub' , 清澄枝垂 キヨスミシダレ(枝垂小葉桜) 'Pendula'
(26) Prunus x shikamae comb.ined. ミヤマカスミザクラ 深山霞桜
synonym Cerasus x shikamae H.Ohba
山形市野草園に1本自生する。ミヤマザクラとカスミザクラの自然交雑種。
(27) Prunus ×sieboldii (Carriere) Wittm ナデン 南殿
synonym Cerasus × sieboldii Carriere
synonym Prunus sieboldii (CarriSre) Wittm.
synonym Prunus pseudo-cerasus Lindl. var. sieboldii
synonym Cerasus sieboldii Carriere
栽培種。ミヤマチョウジザクラ(P. apetala) × サトザクラ(P. serrulata)と推定されている。別名はタカサゴ 高砂、チャワンザクラ。
品種) 'Caespitosa' タカサゴ(高砂)
(28) Prunus × subhirtella Miq. コヒガン 小彼岸
synonym Cerasus subhirtella (Miq.) Sokolov
synonym Cerasus ×subhirtella (Miq.) Masam. & Suzuki
コヒガンはエドヒガン(Prunus itosakura Siebold)とマメザクラ(Prunus incisa Thunb.)の雑種と推定されている。別名はヒガンザクラ(彼岸桜)、チモトヒガン、センボンヒガン(千本彼岸)。各地で植栽されており、設楽町の名倉川堤防沿いにも桜並木がある。花期が早く、春の彼岸ごろには花が咲き始め、花がソメイヨシノより少し小さい。
栽培種では個体間で変異がある。高さ約5m以下。枝は良く分枝し、斜上する。若枝には毛がある。葉は両面ともに毛がある。秋になると葉は紅葉する。葉の展開のやや前に開花する。花はソメイヨシノより少し小さい一重咲きの5弁花、淡紅色~白色で、ソメイヨシノよりもやや濃色。花弁は長さ約1㎝。花托筒(萼)は基部が少し膨れ丸くなり、毛が多い。核果は着果が少なく、直径5~8㎜、黒紫色に熟す。花期は3月中旬~4月初旬。
(28-1) Prunus × subhirtella Miq. 'Autumnalis' ジュウガツザクラ 十月桜
synonym Cerasus × subhirtella f. autumnalis (Makino) H.Ohba
コヒガンとマメザクラの交雑種。別名は御会式桜。英名はautumn cherry。
品種) 'Autumnalis Rosea'(Rosebud Cherry)
(28-2) Prunus × subhirtella Miq. 'Koshiensis' コシノヒガンザクラ 越の彼岸桜
synonym Cerasus subhirtella (Miq.) Sokolov 'Autumnalis'synonym Cerasusu x subhirtella 'Koshiensis'
synonym Cerasus subhirtella (Miq.) Masam. et S.Suzuki f. koshiensis (Koidz.) T.Katsuki et H.Ikeda
synonym Prunus spachiana Koidz.富山県南砺市に自生する。キンキマメザクラ(Prunus incisa var. kinkiensis)とエドヒガン(Prunus itosakura)の自然交雑種と推定されている。しかし、池田ら(2016)はマメザクラ(P. incisa)とエドヒガン(P. itosakura)の種間雑種の1品種(f. koshiensis)としている。また、エドヒガンの変種とする考え(Ohba & Ikeda 2016)もある。
高さ9~10m。葉は長さ7~10㎝×幅3.7~5.7㎝、倒卵形~広倒卵形、縁にはときに欠刻状となる鋭い重鋸歯があり、葉先は尾状に尖鋭形、側脈は8~14対、下面の脈上に密に毛がある。葉の展開前に開花する。腋生の散形花序に花が2~3個つく。花序柄はごく短い。小花柄に毛がある。萼には毛がある。花は淡紅色の5弁花、直径2.5~3.5㎝。花弁は長さ約1.5㎝。花柱の下部に毛がある。花期は3月下旬~4月上旬
品種) 高岡越の小彼岸(高岡市古城公園に古くに植栽された観賞性が高い系統で、大原隆明により品種名が付けられた)
(28-3) Prunus × subhirtella Miq. 'Semperflorens'シキザクラ 四季桜
synonym Cerasus × subhirtella (Miq.) Sokolov 'Semperflorens'ともに野生種であるエドヒガン(P. itosakura)とマメザクラ(P. incisa)の交配種といわれ、園芸品種が売られている。
落葉高木。高さ10~15m。花は淡紅色、一重の5弁。夏に大きくなった花芽が落葉の11月頃順次開花し、残った花芽が冬を越して4月上旬頃、芽吹きと同時期に開花する。春は花が大きいが、花数が少なく、秋は花が多く、葉も落ちて花だけになる。紅葉と同時に桜が見られる11月が見どきである。花期は3~4月および10~(11)12月
その他品種) 'Hozaki-higan-yaezakura'ホザキヒガンヤエザクラ(穂咲彼岸八重桜), 'Kumagai'クマガイ(熊谷) , 'Omoigawa'思川(ジュウガツザクラ系) , , 'Sphaerantha'ケンロクエンキクザクラ(兼六園菊桜), 'Takato-kohigan'タカトウコヒガン(高遠小彼岸), 'Warwick'ウォーウイック , 'Yaebeni-higan'ヤエベニヒガン(八重紅彼岸)
(29) Prunus × syodoi Nakaiショウドウザクラ 勝道桜
synonym Cerasus x syodoi (Nakai) H.Ohba
日光市で発見された。マメザクラ×ベニヤマザクラの自然交雑種。
品種) 'Ganman-zakura'ガンマンザクラ 含満桜 , ショウドウヒガン(勝道彼岸) 'Syodo-higan'(ショウドウザクラ×エドヒガンザクラ)
(30) Prunus × takasawana Kubota & Funatsu オオミネザクラ 大峰桜
synonym Cerasus × takasawana (Kubota & Funatsu) H.Ohb
synonym Cerasus × oneyamensis (Hayashi) H.Ohba nothovar. takasawana (Kubota et Funatsu) H.Ohba
オクチョウジザクラ(Prunus apetala var. pilosa)とオオヤマザクラ(P. sargentii)の交雑種(31) Prunus x takinoensis Kawas. タキノザクラ 滝野桜
synonym Cerasus x takinoensis (Kawas.) Yonek.
福島市飯坂町滝野で発見された。カスミザクラとソメイヨシノの自然交雑種。
(32) Prunus ×tschonoskii Koehne ニッコウザクラ 日光桜
synonym Cerasus x tschonoskii (Koehne) H.Ohba
長野県、埼玉県秩父地方、栃木県日光地方に広く分布。チョウジザクラとカスミザクラの自然交雑種。
(32-1) Prunus ×tschonoskii Koehne var. yanashimana H.Kubota & Moriya; [nothovar.] カスミオクチョウジザクラ 霞奥丁字桜
synonym Cerasus x tschonoskii (Maxim.) H.Ohba nothovar. pseudoverecunda (H.Kubota et Moriya) H.Ohba
カスミザクラとオクチョウジザクラとの交雑種。2n=16の2倍体。(33) Prunus x yanashimana Kubota et Moriya ナルサワザクラ 鳴沢桜
synonym Cerasus x yanashimana (H.Kubota et Moriya) H.Ohba
日光市花石町で発見され、別名ハナイシザクラ 花石桜。
チョウジザクラとヤマザクラの自然交雑種。
(34) Prunus × yedoensis Matsum. ソメイヨシノ 染井吉野
synonym Cerasus × yedoensis (Matsum.) Masam. & S.Suzuki
synonym Cerasus x yedoensis (Matsum.) A.V.Vassil.
synonym Cerasus × yedoensis (Matsum.) A.V.Vassil. 'Somei-yoshino' Fujino
synonym Prunus × yedoensis (Matsum.) A.V.Vassil. 'Somei-yoshino'synonym Prunus × morioka-pendula Miyoshi モリオカシダレ(盛岡枝垂)[Kewscience]
synonym Prunus × paracerasus Koehne江戸末期に江戸染井村の植木屋が吉野桜と名づけて売り出したものである。吉野は桜の名所の地名からとったもので、その後、山桜などと混同しないよう染井をつけてソメイヨシノと呼ぶようになった。現在では単にサクラというとこのソメイヨシノのことを指すほど日本中に植えられている。 ソメイヨシノはエドヒガン系の母親と父親のオオシマザクラ(又はオオシマザクラとヤマザクラの交雑種)の交雑種と推定されていた。最近のDNA解析によって、ソメイヨシノの交雑割合が、エドヒガン47%、オオシマザクラ37%、ヤマザクラ11%、その他5%であることが示されており、1回の種間交雑による雑種では無く、複雑な交雑に由来すると報告されている。
栽培種。中国名は东京樱花 dong jing ying hua。
落葉高木。高さ10~15m。幹は暗灰色、濃褐色の皮目が横に並ぶ。葉は互生し、長さ8~12㎝の広卵状楕円形、重鋸歯縁ときに単鋸歯も混じる。葉の表面は無毛、裏面は毛が散生する。葉柄は長さ2~3㎝、有毛。蜜腺は葉柄の上部又は葉身の基部につく。花は大きく直径約4㎝、淡紅色、葉の展開より前に開花する。花弁の先端に切れ込みがあり、散り際になると花弁の基部がやや濃くなる。萼は毛が多く、萼筒は壺形。萼片は披針形、縁に鋸歯がある。花序の柄はほとんどなく、花柄(小花柄)は長さ2~2.5㎝、有毛。結実は少ない。核果は直径約1㎝の球形、黒紫色に熟す。花期は3~4月。
品種) アメリカ(曙)'Akebono' , アマギヨシノ(天城吉野)'Amagi-yoshino' , イズヨシノ(伊豆吉野)'Izu-yoshino' , イベンシー'Ivensii' , クラマザクラ(鞍馬桜・肥後吉野)'Kurama-zakura' , サクヤヒメ(咲耶姫)'Sakuyahime' , シダレソメイヨシノ(枝垂染井吉野)'Perpendens'(オオシマザクラ×シダレザクラ) ,ショウワザクラ(昭和桜) 'Syouwa-zakura' , スルガザクラ(駿河桜)'Suruga-zakura' , センダイヨシノ (仙台吉野)'Sakabai' , ソトオリヒメ(衣通姫)'Sotorihime' , ソメイニオイ(染井匂)'Somei-nioi' , ソメイヒガン(染井彼岸)'Somei-higan'(エドヒガン×ソメイヨシノ) , ソメイヨシノ(染井吉野)'Somei-yoshino' , タマナワザクラ(玉縄桜・柏尾桜)'Tamanawa-zakura'タマナワザクラ(玉縄桜・柏尾桜) , ナニワザクラ(浪速桜)'Naniwa-zakura' , フナバラヨシノ(船原吉野) 'Funabara-yoshino' , ミカドヨシノ(御帝吉野)'Mikado-yoshino' , ミシマザクラ(三島桜)'Mishima-zakura' , モリオカシダレ(盛岡枝垂)'Morioka-pendula' [シダレザクラ×ソメイヨシノ] , ヨウコウ(陽光) 'Yoko'=ベニヨシノ(紅吉野)'Beni-yoshino' [天城吉野×寒緋桜] , ヨウシュン(陽春)'Yoshun'
(34-1) Prunus yedoensis Matsum. var. manadzuruーlittorea T. Kawasaki ミズタマザクラ 水玉桜
synonym Cerasus 'Manadzuru-littorea'神奈川県の真鶴半島に自生している。ソメイヨシノとマメザクラの自然交雑種。
34-2 Prunus x yedoensis var. nikaii Honda ミドリヨシノ 緑吉野
synonym Cerasus × nikaii Cerasus nikaii (Honda) Masam. et S.Suzuki
synonym Cerasus × nikaii 'Midori-yoshino'山口県萩市指月公園の志都岐(しづき)山神社に自生する。エドヒガンとヤマザクラの自然交雑種と推定されている。
ソメイヨシノに似ているが、花柄と萼が緑色。花は白色。
(35) Prunus x yuyamae nothovar. yuyamae フジカスミザクラ 富士霞桜
synonym Cerasus x yuyamae (Sugim.) H.Ohba
静岡県御殿場市で発見された。マメザクラと カスミザクラの自然交雑種。
(35-1) Prunus x yuyamae nothovar. bukosanensi ブコウカスミザクラ 武甲霞桜
synonym Cerasus x yuyamae (Sugim.) H.Ohba nothovar. bukosanensis (Moriya) H.Ohba
ブコウマメザクラとカスミザクラの交雑種(36) その他ハイブリッド
アーコレード'Accolade'.(オオヤマザクラ×コヒガンザクラ)
イザヨイザクラ(十六夜桜)'Izayoi-zakura'(ヤマザクラ、カラミザクラ系)
イトウコムロザクラ(伊東小室桜) 'Itokomuro-zakura' 伊東市小室山で発見された寒緋桜と大島桜の自然交雑種。
イマイチキクザクラ(今市菊桜) 'Imaichikiku-zakura' タイザンフクン類似類(カラミザクラ系)
イリアイザクラ 入相桜 Cerasus 'Iriai-zakura' (エドヒガン系)
ウスゲオオシマ(薄毛大島)'Candida'(オオシマザクラ×ソメイヨシノまたはエドヒガンザクラ)
ウスベニカンザクラ(薄紅寒桜・早咲吉野) 'Usubenikan-zakura'(推定ヤマザクラとカンヒザクラ)
ウミネコ 海猫 'Umineko'(マメザクラ×オオシマザクラ)
オオクサコヒガン 大草小彼岸 'Ohkusakohigan'(エドヒガンザクラ×サトザクラ)
オオサカフユザクラ(大阪冬桜)'Osakafuyuzakura' コブクザクラ類似(カラミザクラ×エドヒガン)
オネヤマヒガン(小根山彼岸)'Oneyama-higan'(エドヒガン系)
オフサザクラ(お房桜)'Ofusa-zakura'(大寒桜×カンヒザクラ)
カサザクラ 傘桜 'Kasazakura' (エドヒガン × オオシマザクラ)
カモノアケボノ 加茂の曙 'Kamono-akebono'クマガイザクラに似る。 (マメザクラ系)
ガンマン・含満(マメザクラXオオヤマザクラ)
キチジョウジ吉祥寺 'Kitijyouji' (ソメイヨシノXオオシマザクラ)
クマガイザクラ ・熊谷桜(八重咲山彼岸)(マメザクラXエドヒガン)
クルサル 'Kursar'(チシマザクラ×カンヒザクラ)
ケイオウザクラ(啓翁桜、敬翁桜、岳南桜、東海桜、Wadai)Cerasus 'Keio‐zakura'
カラミザクラの台木にコヒガンザクラを接いで誕生した接木変異
コブクザクラ(子福桜)'Kobuku-zakura'(カラミザクラ×ジュウガツザクラ又はエドヒガン)
コリングウッド イングラム'Collingwood Ingram'クルサル(チシマザクラ×カンヒザクラ)の実生
サクナミキクザクラ(作並菊桜)'Sakunami-kiku'タイザンフクン類似種 (ヤマザクラ×カラミザクラ)
サツマカンザクラ(薩摩寒桜)'Satsuma-kanzakura'(カンヒザクラ×ヤマザクラ)
シキザキチョウジザクラ 四季咲丁字桜 'Shikizaki-choji' (ミヤマチョウジザクラ×フユザクラ)
シキザキバンシ(四季咲伴氏) 'Shikizaki-banshi' 二季咲き
ジュウロクニチザクラ(十六日桜・孝子桜)'Jurokunichi-zakura'(ヤマザクラ、カラミザクラ系)
ジョウガサキザクラ(城ヶ崎桜)'Jogasaki-zakura'(推定 寒緋桜×大島桜)
スパイアー 'Spire' (オオヤマザクラ×マメザクラ)
タイリョウザクラ(大漁桜)'Tairyo-zakura'(早咲きオオシマザクラ×カンザクラ)
タガベニ(多賀紅)'Tagabeni' (カラミザクラ系)
テンニンフジ(天人富士)'Ten-ninfuji'(マメザクラ×カンヒザクラ)
トウカイザクラ(東海桜)'Takenakae'(推定カラミザクラ×コヒガンザクラ)
ハチスカザクラ(蜂須賀桜・乙女桜・お留め桜)'Hachisukazakura' 徳島城にあった桜(カンヒザクラとヤマザクラ)
ハツミヨザクラ(初御代桜)'Hatsumiyo'(カンヒザクラ×ケイオウザクラ)
ハルメキ(春めき・足柄桜)'Harumeki' (推定カラミザクラ×エドヒガン)
ヒナハチジョウ(雛八丈)'Hinahachijo'(フルサトザクラXオオシマザクラ)
ヒメノサワ(姫の沢)'Himenosawa'(シラユキ×カンヒザクラ)
ピンクウェーブ 'Pink Wave'(ベニヤマザクラ系)
ピンククラウド'Pink Cloud'(カンヒザクラ系)
フルサトザクラ(古里桜)=ヒナザクラ(雛桜)'Furusatozakura'(カラミザクラ×カンヒザクラ)浜松フラワーパーク
ヘイシチザクラ(平七桜)'Heishichizakura'(オオカンザクラ×カンヒザクラ)
ベニサシマ(紅猿島)'Benisashima'(カンヒザクラ系)
ベニヅルザクラ(紅鶴桜)'Benidzuru'(カンヒザクラ×ソメイヨシノ自然交雑)神奈川県真鶴町
ポンドC 'Pond C'
ボンボリザクラ(雪洞桜)真鶴半島で発見されたマメザクラとヤマザクラ自然交雑種。
マツヒメザクラ 松姫桜 'Matsuhime-zakura' (リンポウザクラ×マメザクラ)交配種
ミズタマザクラ(水玉桜) 'Manadzuru-littorea'(ソメイヨシノ×マメザクラ)自然交雑種
ミッカビザクラ(三ケ日桜)=カワニシザクラ(川西桜)三ケ日町、川西宅の栽培品種
ミナトザクラ(湊桜)'Minato-zakura' (カラミザクラ×オオシマザクラ又はカンザクラ)
ミヤビ(雅・プリンセス雅)'Miyabi'(寒緋桜×大島桜系)
ヤエノサコン(八重左近桜)'Formosa-plena'(推定ヤマザクラ×サトザクラ)
ヨコハマヒザクラ(横浜緋桜)'Yokohama-hizakura'(ケンロクエンクマガイ×カンヒザクラ)
ワダイ'Wadai'トウカイザクラ類似種(カンヒザクラ系)
江戸時代の桜の品種
花壇綱目 水野元勝の『《花壇綱目3巻』》(1681) 40品種のサクラ桜珍花異名の事 54~56/63
山さくら、ひがん(彼岸)桜、きりか八、いと(糸)桜、江戸桜、か波色、浅黄桜、ちもと、伊勢桜、匂ひ桜、
こん うば桜、楊貴妃、塩かま(竃)桜、南殿、てまり(手毬)桜、爪紅、せき山、普賢像、ひ(緋)桜、仁和寺、虎の尾、奈良桜、よし(吉)野、車かへし(返)、法輪寺、きりん(麒麟)桜、さかて(逆手)桜、糸くくり、くち紅、大山木、八重一重[桐ケ谷] ※不明誤りあり
地錦抄(じきんしょう)20巻
江戸・染井の植木屋伊藤伊兵衛三之丞・政武父子が執筆(1965-1733)。
1.『花壇地錦抄』(三之丞著、5冊、1695年刊)、2.『増補地錦抄』(政武著、8冊、1710年刊)、3.『広益地錦抄』(政武著、8冊、1719年刊)、4.『地錦抄附録』(政武著、4冊、1733年刊)の4点からなる。
[7][26]5/26枝垂れ桜、枝垂れ紅桜 22/26桜桃(ゆすら) 24-25/26桜
吉野、南殿(なでん)、楊貴妃、提灯、大提灯、大手毬、小手毬、虎の尾、浅黄、枝垂れ、ひかん(緋寒)、大枝垂れ、ふげんぞう(普賢象)、たいさんふく(泰山府君)、うば(婆)桜、ひよとり(鵯)、ちごさくら(児桜)、いぬさくら(犬桜)、うすいろ、ひ(緋)桜、おそさくら(遅桜)、いとさくら(糸桜)、いとくり、ありあけ(有明)などが記載されている。
花壇地錦抄前集[2][40]37-39/40:花壇地錦抄の偽本。刊年は未詳
松岡玄達の『怡顔斎桜品(いがんさいおうひん)』(1758) 69品種
彼岸桜(単、婆、重)、糸桜(大、小、千弁)、熊谷、婆桜(うばざくら)、児桜(ちご)、殿桜(とのざくら)、芝山桜(別名鷲の尾)、逆手桜(さかて)、帆立桜、帆掛桜、駒繋(駒留)、山桜(紅:吉野、白:山桐谷)、小桜、白桜、雪山桜、一文字、薄墨桜、桐谷(きりや)[八重、一重、車返]、江戸桜[大、小]、法輪寺、江戸法輪寺(別名 法善寺泰山府君)、楼間桜(ろうま)、海棠桜(かいどう)、千本桜、九重桜、浅黄桜、樺桜(別名 黄桜)、樺桜(別名 白樺)、爪紅(つまぐれない)、楊貴妃、有明桜(単、重)、手毬桜、糸括(別名 大手毬)、提灯(大、小)、五所桜、照君桜、香桜、緋桜、薩摩緋桜、虎尾(紅)、泰山府君、真桜、外山桜(とやま)、暁桜(別名 明星桜)、普賢象、犬桜(別名 奈天上溝)、瞿麥桜(なでしこ)、鳳来寺、塩竃桜、名嶌桜、大膳桜、伊勢桜、奈良桜、遅桜、不断桜(単、重、 別名:若木桜、節会桜、十六日桜、三度桜)
桜井雪鮮描画、市橋長昭撰の『花譜5冊』(1803‐04) 252図
『花譜』単 6-17/24
小桜(ひがんざくら)、小桜・重、小桜・紅、糸桜、糸桜・重、山桜、山桜・青葉、芳野、小山桜、八重山桜、玉王、伊勢、桐谷、江戸・単、江戸、塩竃、乕(とら)尾、虎尾・単、匂桜、大膳、浅黄、地主、浅黄、浅黄・重、普賢堂、法轉寺、廊間、時雨、金龍寺、奈良都、曙、樺、常盤、三芳野、有明
『続花譜・上』 4~60/42
異種彼岸、寒緋桜、八重彼岸、単彼岸、莭彼岸、婆彼岸、三度桜、不断桜、千本桜、熊谷、異種熊谷、異種千本桜、百枝樓、単児桜、単兜桜、春日野、牡丹、変種牡丹、楊貴妃、異種楊貴妃、異種楊貴妃(2)、異種楊貴妃(3)、単楊貴妃、変種楊貴妃、異種大膳桜、小菊桜、変種大膳、変種山桜、変種墨染、変種山桜(2)、変種山桜(3)、変種山桜(4)、変種山桜(5)、変種山桜(6)、異種山桜、変種山桜(7)、変種山桜(8)、変種逆手、変種山桜(9)、外山桜、名島桜、変種帆掛桜、帆掛桜、異種帆掛桜、異種帆掛桜(2)、異種帆掛桜(3)、帆立桜、白球、糸括、小手毬、変種小手毬、大手毬、芝山桜、逆手桜、変種逆手、変種便殿、八重便殿、単便殿、変種便殿、変種提燈、小提燈、大提燈、鳳来寺、簱桜、異種簱桜、江戸法輪寺、薄桜、婆桜、異種婆桜、鵯桜、鵯枝岳、松川、山川桜、変種山川桜、遠川、九重桜、八重桜、異種塩竃(単、八重、 別名 若木桜、節会桜、十六日桜、三度桜)
『続花譜・下』
変種八重桜、変種嵐山、薄墨桜、嵐山、単鷲尾、八重鷲尾、海棠桜、変種鷲尾、樺桜、変種樺桜、鬱金桜、異種浅黄、駒留桜、夜乃月、照月、八重西行、単西行、菊奈天、薄祥桜、奥州南天、一葉、変種一葉、小枝垂、右衛門桜、須磨、大枝垂、金王桜、変種須磨、渋谷金王桜、雪山、御殿山桜、御殿山桜(2)、御殿山桜(3)、飛鳥山桜、浅黄塩釜、拾桜、紅普賢象、穴八幡桜、備後三郎題詩桜、変種乕尾、変種乕尾(2)、変種伊勢、醍醐桜、人丸桜、八景堂、異種普賢象、九品桜、小南殿、有明桜、延命、変種延命、変種長崎、長崎、遅桜、泰山府君、変種泰山府君、変種泰山府君(2)、厳島姥桜、臼井峠桜、箱根桜、南殿御庭桜、象瀉西行桜、芳野桜、寧楽八重
『又続花譜』
玉盤桜、玉堂桜、来福寺車返、羅桜、鶴岡作楽、奈天桜、芍薬桜、醉胭脂、千頭桜、緋桜、美人桜、残雪桜、深山桜、深山隠、八幡太郎旗桜、映日桜、駒繋桜、美人紅、粉弁桜、寿春桜、夕霞、鳳尾桜、芭蕉堂桜、秋色桜、殿桜、上野白桜、上野桜、白山桜、金糸桜、神田明神桜、深川八幡桜、雀桜、田町八幡桜、姥桜、玉兎桜、大奈天、伊勢桜、爪紅奈天、紅葉奈天、南殿、観音桜、色奈天、千鳥桜、水紅毬、碧玉桜、平安左近桜、江戸桜、胡蝶桜、日野呉氏園、中野小林氏園、八重糸桜之変
『花譜追加』
品川来福寺内・児桜、品川西興寺内・浅黄桜、品川奥福寺内・桜、香桜、別種香桜、重弁桜、祈重、品川来福寺・安冨桜
大正時代の桜の品種と学名
櫻花図譜(第1巻) 三好学 著 芸艸堂 大正10年[1921] 70品種01 紅彼岸 Prunus aequinoctialis Miyoshi. f. rosea Miyos. Benihigan
02 薄紅彼岸 Prunus aequinoctialis Miyoshi. f. albo-rubescens Miyos. Usubenihigan
03 白彼岸 Prunus aequinoctialis Miyoshi. Shirohigan
04 白枝垂 Prunus aequinoctialis Miyoshi. var. pendura (Max.)Miyos. Shirosidare
05 紅枝垂 Prunus aequinoctialis Miyoshi. var. pendura (Max.)Miyos. f. rosea Miyos. Benishidare
06 十月桜 Prunus subhirtella J.D.Hook. f. autamunalis (Max.)Miyos. Jugatsusakura
07 緋寒桜 Prunus campanulata Ma. Hikansakura
08 蒲桜 Prunus media Miyos. Kabasakura
09 勝手桜 Prunus sacra Miyos. Kattesakura
10 染井吉野 Prunus yedoensis Matsum. Someiyosino
11 染井吉野
12 小金井匂 Prunus mutabilis Miyos. f, suaveolens Miyos. Koganei-nioi
13 入日の桜 Prunus mutabilis Miyos. f, crepuscularis Miyos. Irihi-no-sakura
14 六辨桜
15 高嶺桜 Prunus mutabilis Miyos. f, dilucularis Miyos. subf. rosea Miyos. Takanesakura
16 鐘馗桜 Prunus mutabilis Miyos. f, stricta Miyos. Shokisakura
17 三吉野桜 Prunus mutabilis Miyos. f, multiflora Miyos. Miyosinosakura
18 巴桜 Prunus mutabilis Miyos. f, reflexa Miyos. Tmoesakura
19 曙匂 Prunus mutabilis Miyos. f, cumarina Miyos. Akebono-nioi
20 鏡桜 Prunus mutabilis Miyos. f, orbicularis Miyos. Kagamisakura
21 朝日桜 Prunus mutabilis Miyos. f, discoidea Miyos. Asahisakura
22 二輪桜 Prunus mutabilis Miyos. f, biflora Miyos. Nirinsakura
23 薄紅桜 Prunus mutabilis Miyos. f, phlchra Miyos. Usubenisakura
24 富士見桜 Prunus mutabilis Miyos. f, venusta Miyos. Fujimisakura
25 小町桜 Prunus sachalinensis Myos. f orbicularis Miyos. Komachisakura
26 東天桜 Prunus mutabilis Miyos. f, prima Miyos. Shinonomesakura
27 口紅桜 Prunus mutabilis Miyos. f, marginata Miyos. Kuchibenisakura
28 東天匂 Prunus mutabilis Miyos. f, odorifera Miyos. subf. grandiflora Miyos. Shinonome-nioi
29 白玉桜 Prunus mutabilis Miyos. f, globosa Miyos. Shiratamasakura
30 弥彦桜 Prunus mutabilis Miyos. f, hexapentala Miyos. subf. prospera Miyos. Yahikosakura
31 小口紅桜 Prunus mutabilis Miyos. f, marginata Miyos. subf. minor Miyos. Kokuchibenisakura
32 口紅匂 Prunus mutabilis Miyos. f, kuchibeni-odora Miyos. Kuchibeni-nioi
33 御幸桜 Prunus mutabilis Miyos. f, imperialis Miyos. Miyukisakura
34 青毛桜 Prunus mutabilis Miyos. f, viridi-pubescens Miyos. Ao-kesakura
35 青桜 Prunus mutabilis Miyos. f, viridifolia Miyosi Aosakura
36 薄毛桜 Prunus mutabilis Miyos. f, evanescenes Usukesakura
37 大和桜 Prunus mutabilis Miyos. f, insignis Miyos. Yamatosakura
38 桜川匂 Prunus mutabilis Miyos. f, odoratissima Miyos. Sakuragawa-nioi
39 白雲雪桜 Prunus mutabilis Miyos. f, pura Miyos. Shirakumosakura
40 初見桜 Prunus mutabilis Miyos. f, nova Miyos. Hatsumisakura
41 樺匂 Prunus mutabilis Miyos. f, kaba-odora Miyos. Kaba-nioi
42 初重桜 Prunus mutabilis Miyos. f, insignis Miyos. subf. plena Miyos. Hatsukasanesakura
43 梅鉢桜 Prunus mutabilis Miyos. f, angustipetala Miyos. Umebachisakura
44 源氏桜 Prunus mutabilis Miyos. f, grandis Miyos. Genjisakura
45 星桜 Prunus mutabilis Miyos. f, stellata Miyos. Hoshisakura
46 大島桜 Prunus mutabilis Miyos. f, speciosa (Koid.)Miyosi. Oshimasakura
47 下馬桜 Prunus mutabilis Miyos. f, radiata Miyos. Gebasakura
48 乙女桜 Prunus serrulata Lindl. f. virginalis Miyos. Otomesakura
49 江北匂桜 Prunus mutabilis Miyos. f, kohokuensis Miyos. Kohuku-nioi
50 荒川匂 Prunus mutabilis Miyos. f, arakawaensis Miyos. Arakawa-nioi
51 梔子桜 Prunus sachalinensis (Fr. Schm.) Miyos.f. angustipetala Miyos. Kuchinashisakura
52 紅山桜 Prunus sachalinensis (Fr. Schm.) Miyos Beniyamasakura
53 錦桜 Prunus sachalinensis (Fr. Schm.) Miyos. f. pulchra Miyos. Nishikisakura
54 紅梅桜 Prunus sachalinensis (Fr. Schm.) Miyos.f. microflora Miyos. Kobaisakura
55 紅桜 Prunus sachalinensis (Fr. Schm.) Miyos. f. typica Miyos. Kurenaisakura
56 白妙 Prunus serrulata Lindl. f. albida Miyos. Shirotae
57 青葉 Prunus serrulata Lindl. f. viridis Miyos. Aoba
58 旗桜 Prunus serrulata Lindl. f. vexillipetala Miyos. Hatasakura
59 墨染 Prunus serrulata Lindl. f. subfusca Miyos. Sumizome
60 薄墨 Prunus serrulata Lindl. f. nigrescens Miyos. Usuzumi
61 大提灯 Prunus serrulata Lindl. f. bullata Miyos. Ojochin
62 水上 Prunus serrulata Lindl. f. glauca Miyos. Minakami
63 虎の尾 Prunus serrulata Lindl. f. caudata Miyos. Tora-no-o
64 有明 Prunus serrulata Lindl. f. candida Miyos. Ariake
65 名月 Prunus serrulata Lindl. f. sancta Miyos. Meigetsu
66 真桜 Prunus serrulata Lindl. f. multipelata Miyos. Masakura
67 雨宿 Prunus serrulata Lindl. f. dilalata Miyos. Amayadori
68 鷲の尾 Prunus serrulata Lindl. f. arguta Miyos. Washi-no-o
69 五所桜 Prunus serrulata Lindl. f. radiata Miyos. Goshosakura
70 牡丹桜 Prunus serrulata Lindl. f. Mountan Miyos. Botansakura
71 日暮 Prunus serrulata Lindl. f. amabilis Miyos. Higurashi
中国の桜分類
樱属 Cerasus(広義)典型樱亚属 Subg. Cerasus
重齿组 Sect. Ceraseidos (Koehne) Yu
尖尾樱桃 Cerasus caudata (Franch.) Yu et Li
山楂叶樱桃 Cerasus crataegifolia (Hand.-Mazz) Yu et Li
偃樱桃 Cerasus mugus (Hand.-Mazz.) Yu et Li
刺毛樱桃 Cerasus setulosa (Batal.) Yu et Li
托叶樱桃 Cerasus stipulacea (Maxim.) Yu et Li
川西樱桃 Cerasus trichostoma (Koehne) Yu et Li
芽鳞组 Sect. Cerasus サクラ節
欧洲甜樱桃 Cerasus avium (L.) Moench. セイヨウミザクラ
草原樱桃 Cerasus fruticosa (Pall.) G. Woron. グラウンド・チェリー
欧洲酸樱桃 Cerasus vulgaris Mill. スミミザクラ
裂瓣组 Sect. Lobopetalum (Koehne) Yu et Li カラミザクラ節
襄阳山樱桃 Cerasus cyclamina (Koehne) Yu et Li
尾叶樱桃 Cerasus dielsiana (Schneid.) Yu et Li
樱桃 Cerasus pseudocerasus (Lindl.) G. Don=崖樱桃 Cerasus scopulorum (Koehne) Yu et Li
浙闽樱桃 Cerasus schneideriana (Koehne) Yu et Li
圆叶组 Sect. Mahaleb (Koehne) Yu et Li
圆叶樱桃 Cerasus mahaleb (L.) Mill.
伞形组Sect. Phyllocerasus (Koehne) Yu et Li
微毛樱桃 Cerasus clarofolia (Schneid.) Yu et Li
迎春樱桃 Cerasus discoidea Yu et Li
多毛樱桃 Cerasus polytricha (Koehne) Yu et Li
康定樱桃 Cerasus tatsienensis (Batal.) Yu et Li
总状组 Sect. Phyllomahaleb (Koehne) Yu et Li ミヤマザクラ節
长腺樱桃 Cerasus claviculata Yu et Li
锥腺樱桃 Cerasus conadenia (Koehne) Yu et Li
黑樱桃 Cerasus maximowiczii (Rupr.) Kom. ミヤマザクラ
散毛樱桃 Cerasus patentipila (Hand.-Mazz.) Yu et Li
雕核樱桃 Cerasus pleiocerasus (Koehne) Yu et Li
四川樱桃 Cerasus szechuanica (Batal.) Yu et Li
盘腺樱桃 Cerasus discadenia (Koehne) S. Y. Jiang & C. L. Li
小苞组 Sect. Pseudomahaleb (Koehne) Yu et Li
蒙自樱桃 Cerasus henryi (Schneid.) Yu et Li
细花樱桃 Cerasus pusilliflora (Card.) Yu et Li
云南樱桃 Cerasus yunnanensis (Franch.) Yu et Li=西南樱桃 Cerasus duclouxii (Koehne) Yu et Li=Cerasus duclouxii (Koehne) Yu et Li
黑果组 Sect. Sargentiella (Koehne) Yu et Li ヤマザクラ節
山樱花 Cerasus serrulata (Lindl.) G. Don ex London
大叶早樱 Cerasus subhirtella (Miq.) Sok.
东京樱花 Cerasus yedoensis (Matsum.) Yu et Li
细齿组 Sect. Serrula (Koehne) Yu et Li
钟花樱桃 Cerasus campanulata (Maxim.) Yu et Li
高盆樱桃 Cerasus cerasoides (D. Don) Sok.
华中樱桃 Cerasus conradinae (Koehne) Yu et Li=光叶樱桃 Cerasus glabra (Pamp.) Yu et Li
毛瓣藏樱 Cerasus trichantha (Koehne) S. Y. Jiang & C. L. Li = 红毛樱桃 Cerasus rufa Wall.
细齿樱桃 Cerasus serrula (Franch.) Yu et Li
矮生樱亚属 Subg. Microcerasus (Koehne) Yu et Li ニワザクラ属
管萼组 Sect. Amygdalocerasus Koehne in Sarg.
天山樱桃 Cerasus tianshanica Pojark.
毛樱桃 Cerasus tomentosa (Thunb.) Wall.
钟萼组 Sect. Spiraeopsis Koehne Deutsche Dendr.
毛叶欧李 Cerasus dictyoneura (Diels) Yu et Li
麦李 Cerasus glandulosa (Thunb.) Lois. 2n=16
欧李 Cerasus humilis (Bge.) Sok.
郁李 Cerasus japonica (Thunb.) Lois. ニワウメ
毛柱郁李 Cerasus pogonostyla (Maxim.) Yu et Li
参考
1)Flora of ChinaCerasus
Prunus
Prunus Genus Classification and Names of Prunus Subgenus
日本の桜
美しい日本のさくら
Richard T. Olsen and Alan T. Whittemore
U.S. National Arboretum, 3501 New York Ave. NE, Washington, D.C. 20002-1958, U.S.A
花譜 (1帖・続2帖・又続1帖・画)
Japanese Cherries
大場秀章:日本のサクラ属植物の学名
Shou Shi etc.:Phylogeny and Classification of Prunus sensu lato (Rosaceae)
バラ科サクラ属ウワミズザクラ亜属の多系統性と東アジア-北米東部の地理的隔離の形成について
勝木俊雄 サクラの分類と形態による同定
新雑種シンエイザクラおよびサクラ属雑種の新組合わせ(大場秀章)
サクラ属 Prunus L.