オオカモメヅル 大鴎蔓
Flora of Mikawa
キョウチクトウ科 Apocynaceae カモメヅル属
学 名 | Vincetoxicum aristolochioides (Miq.) Franch. et Sav Tylophora aristolochioides Miq. |
花 期 | 7~9月 |
高 さ | つる性 |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 林内、林縁 |
分 布 | 在来種(日本固有種) 北海道、本州、四国、九州 |
撮 影 | 静岡県 14.6.3 設楽町 15.11.10(果実) |
旧ガガイモ科はキョウチクトウ科に含められた。オオカモメヅル属Tylophoraからカモメヅル属に移された。
茎は細く、2列に毛があり、長く伸び、他の木や草に絡みつく。葉は対生し、全縁、長さ(2.5)5~12㎝の三角状広披針形、先が長く尖り、基部は浅いU字形の心形~切形。葉柄は長さ(0.5)1~3㎝。上部の葉は小さい。花序は葉腋につき、花序が基部の葉よりかなり小さい。萼は5裂し、裂片は三角形。花冠は直径4~6㎜、暗紫褐色~淡紫褐色、5深裂し、裂片は長さ約2㎜、三角状惰円形、先が鈍頭、花冠の内面には白色の毛がある。副花冠は暗紫褐色、やや光沢があって微毛があり、5裂し、裂片は上から見ると惰円形、星形に開出する。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約30μmの微小な暗紫褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ5~7㎝、幅約5㎜の披針形、2個の場合はほぼ直線に並ぶ。種子は長さ7~8㎜、種髪は白色、長さ約10㎜。
コカモメヅルは葉が小さく、花序が長く、花冠の表面に綿毛があり、裂片の先が尖り、副花冠に毛がある。
ナガエオオカモメヅルはオオカモメヅル似て副花冠が大きく目立ち、花序が長い。
コバノカモメヅルは花序が短く、花冠の裂片が長くて花が大きい、葉の基部が普通、切形。浅い心形になることもあり、花がないと判別が難しいこともある。
多年草、亜低木で直立又は細い木質のつる性。束状の根をもつ。葉は普通、対生、側シュートが短いと輪生又は束生し、膜質又は紙質。花序は互生で腋外生、しばしば対生で腋生、花は少数つき、±散形花序状。花は小さく、花冠は5深裂し、車形。副花冠はCorolline coronaは無く、Gynostegial coronaがある。 雄しべと雌しべが合着した肉柱体(gynostegium)があり、その基部から5個の雄性の肉質の裂片が出て副花冠になる。肉柱体は無柄。葯隔は先に付属体をもつ。花粉は対の垂れ下がる花粉塊(pollinia)をもつ。花柱の頭は平らか円錐形。袋果は1個、薄壁種子は扁平、平滑、翼があり、絹毛の種髪がある。
世界に約248種がある。
synonym Cynanchum ambiguum (Maxim.) Kom.
日本固有種(本州の紀伊半島、四国、九州)。低山地の池畔や草地、林縁に生える。
多年草。茎はつる性、細長く他物に絡み付き、わずかに毛がある。葉は対生し、葉柄は短い。葉身は長楕円形~線状長円形、長さ3~8㎝×幅5~25㎜、先は短く尖り、基部はごく浅い心形、縁近くや主脈上だけに微軟毛がある。集散花序は腋生、明瞭な花序柄がある。花柄は長さ5㎜以上。花は緑白色、やや黄色味を帯びる。萼は長さ約2㎜、5深裂し、裂片は披針形。花冠は5深裂し、裂片は長さ約4㎜、長卵形、先は尾状に伸びて捻じれ、内面に密に細毛がある。花期は8~10月。
2 Vincetoxicum amplexicaule Siebold et Zucc. ロクオンソウ 鹿苑草
synonym Cynanchum amplexicaule (Siebold & Zuccarini) Hemsley
日本(四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は合掌消 he zhang xiao 。別名はヒゴビャクゼン。山地の草地に生える。
多年草、茎は直立、高さ1m以下、しばしば上部で分枝する。咢や花冠以外は無毛。葉は対生し、無柄。葉身は倒卵状楕円形~卵形~卵状長円形、長さ 4~6(~10)㎝×幅2~4(~5)㎝以下、最上部の葉は下部の葉より明らかに小さく、下面は粉白色、基部は心形、ときに茎を抱き、先は鋭形、側脈は8~10対。花序は腋外生と頂生、散形花序状又は緩く花がつく。花序柄は長さ0.5~6㎝。花柄は長さ約4㎜。咢片は卵形、長さ1~1.5㎜×幅約0.5㎜、基部の腺は小さい。花冠は黄緑色~黄褐色~紫色、車形、花冠筒部は長さ約0.5㎜。花冠裂片は長円形、長さ2.5~3.5㎜×幅約1㎜、先は鈍形、中央には微軟毛がある。副花冠は深く5裂し、平らになり、卵形、基部に柄があり、先は円形~不明瞭な3歯があり、長さは花冠筒部や肉柱体と同長。葯は菱形、付属体は円形、膜質、葯の長さと同長。花粉塊は長円形。柱頭の頭部はわずかに凸面。袋果は披針形、長さ5~7(~8)㎝×幅5~8(~11)㎜、無毛。種子は長円状卵形、葯・長さ5㎜×幅2㎜、暗褐色。種髪は長さ約2㎝、帯褐色。花期は5~9月。果期は9~12月。2n = 22.。
2-1 Vincetoxicum amplexicaule Siebold et Zucc. f. castaneum (Makino) Kitag. クロバナロクオンソウ
花が帯紫色のもの。
3 Vincetoxicum aristolochioides (Miq.) Franch. et Sav. オオカモメヅル
synonym Tylophora aristolochioides Miq.
synonym Tylophora yoshinagae Makino
日本固有種(北海道、本州、四国、九州)
多年草。茎は細く、2列に毛があり、長く伸び、他の木や草に絡みつく。葉は対生し、全縁、長さ(2.5)5~12㎝の三角状広披針形、先が長く尖り、基部は浅いU字形の心形~切形。葉柄は長さ(0.5)1~3㎝。上部の葉は小さい。花序は葉腋につき、花序が基部の葉よりかなり小さい。萼は5裂し、裂片は三角形。花冠は直径4~6㎜、暗紫褐色~淡紫褐色、5深裂し、裂片は長さ約2㎜、三角状惰円形、先が鈍頭、花冠の内面には白色の毛がある。副花冠は暗紫褐色、やや光沢があって微毛があり、5裂し、裂片は上から見ると惰円形、星形に開出する。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約30μmの微小な暗紫褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ5~7㎝、幅約5㎜の披針形、2個の場合はほぼ直線に並ぶ。種子は長さ7~8㎜、種髪は白色、長さ約10㎜。花期は7~9月。
4 Vincetoxicum ascyrifolium Franch. & Sav. クサタチバナ 草橘
synonym Cynanchum acuminatum (C.Morren ex Decne.) Matsum.
synonym Vincetoxicum acuminatum auct. non (A.Gray) Vail
synonym Cynanchum acuminatum auct. non Humb. & Bonpl. ex Schult ベネズエラ産
synonym Cynanchum ascyrifolium auct. non (Franch. et Sav.) Matsum.
synonym Cynanchum acuminatifolium Hemsl [Flora of China]
日本(本州の関東地方以西、四国)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は潮风草 chao feng cao 。山地の草地、林内のやや乾いた場所に生える。
茎は直立し、高さ60㎝以下、全体に軟毛又は微軟毛がある。短い根茎があり、根は束生する。葉は対生又は4個輪生し、葉柄は長さ約1㎝。葉身は楕円形~広卵形、長さ7~13㎝×幅4~5㎝、膜質、基部は広楔形~円形、先は尖鋭形、側脈は6~7対。花序は頂生と類頂生、散形花序状、花が10~12個つき、長さ3~5㎝。咢片は卵形。基部の腺は5個。花冠は白色、車形、直径1~1.5㎝。花冠裂片は長円形、長さ7.5㎜×幅3㎜以下、無毛。副花冠は円蓋形、中間まで5裂し、裂片は三角形、肉質、肉柱体の長さと同長、葯に着生する。花粉塊は卵形。袋果は1個、直立、披針形、長さ6~7㎝×幅約5㎜。種子は長円形、種髪は長さ約2㎝。花期は6~8月。果期は8~11月。
5 Vincetoxicum atratum (Bunge) C.Morren et Decne. フナバラソウ 舟腹草
synonym Cynanchum atratum Bunge
日本固有種(北海道、本州、四国、九州)。乾燥した草地や林縁などに生える。
茎は直立、高さ40~80㎝、分枝しない。全体に軟毛が密生し、ビロード状となる。葉は対生し、葉身は卵形、長さ6~14㎝×幅4~6㎝、下面には葉脈が隆起し、特に毛が目立つ。花は葉腋につき、1段~数段、球状に束生する。花冠は濃紫色~黒紫色~、5深裂し、花冠裂片は肉厚で、外面には短毛があり、内面は無毛。袋果は2個つき、垂れ下がり、やや太く、片側から裂開して舟形になり、和名はこれに因む。種髪は白色。花期は5~6月。
5-1 Vincetoxicum atratum (Bunge) C.Morren et Decne. f. viridescens (H.Hara) Sugim. アオフナバラソウ
品種としては分類せず、synonymとされている。
6 Vincetoxicum austrokiusianum (Koidz.) Kitag. ナンゴクカモメヅル 南国鴎蔓
synonym Cynanchum austrokiusianum Koidz.
日本固有種(九州)。草地、林縁に生える。
若い茎に密に毛がある。葉が鈍頭、両面に短毛がある。花は白色。花柄に毛がある。
7 Vincetoxicum calcareum (H.Ohashi) Akasawa イシダテクサタチバナ 石立草橘
synonym Vincetoxicum ascyrifolium Franch. & Sav.
synonym Cynanchum calcareum H.Ohashi
日本固有種(四国)。
クサタチバナによく似ているが、次の違いがある。葉は狭楕円形で小型、厚い膜質、上面は無毛。 花序は茎頂のみにつき、花柄は短く、花冠裂片の先が尖る。萼片は狭披針形。
※Kewscienceでは別種と認められていない。
8 Vincetoxicum doianum (Koidz.) Kitag. サツマビャクゼン 薩摩白前
synonym Cynanchum doianum Koidz.
日本固有種(九州)。山地の草地に這える。
葉の先端は尖る。花序は花序柄が発達していて、花冠の上面には短毛がある。
9 Vincetoxicum floribundum (Miq.) Franch. et Sav. コカモメヅル 小鴎蔓
synonym Tylophora floribunda Miq.
synonym Tylophora chungii Merr. ex Metcalf
synonym Tylophora sikokiana Matsumura トサカモメヅル
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は七层楼 duo hua wa er teng。
茎は1列の毛があるか又は無毛、分岐して、長く伸び、他の木や草に絡みつく。葉は対生し、柄があり、全縁又は縁がやや波打ち、長さ3~7㎝、幅1~3㎝の三角状卵形~卵状披針形、先が尖り、基部は浅い心形。花序は葉腋につき、よく分枝して、花序が基部の葉より長いのが普通。花冠は直径4~6㎜、暗紫色、5深裂し、裂片は三角形、先がやや捻じれる。花冠の内面には白色の毛がある。副花冠は環状、5裂し、裂片は三角状、基部が丸みを帯びて厚くなり、表面は平滑でなく微毛がある。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は長さ約0.13㎜、葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約30μmの微小な淡褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ4~5㎝の披針形、2個の場合はほぼ直線に並ぶ。花期は7~9月。
10 ※ Vincetoxicum glabrum (Nakai) Kitag. タチカモメヅル 立鴎蔓
synonym Cynanchum nipponicum Matsum var. glabrum (Nakai) Hara
synonym Cynanchum glabrum Nakai
日本(本州の近畿以西、四国、九州)、朝鮮原産。湿った草地や湿地に生える。
多年草。茎は下部が直立し、先はやや蔓状になり、長さ40~100(~250)㎝、わずかに曲がった毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ2~5㎜。葉身は長楕円状披針形、先は鋭形、長さ3~11㎝×幅1~4c㎝、やや厚く、基部は円形~やや心形。花は上部の葉腋に集まってつく。花序柄は無いか又はごく短い。花冠は暗紫色、直径約9㎜。萼片は長さ約2㎜、わずかに毛がある。花冠は無毛。袋果は披針形、無毛、長さ4~5㎝×幅5~7㎜。(京都府レッドデータブック)
※Kewscienceでは独立種とされていない。以下の品種含めをオオアオカモメヅル(Vincetoxicum nipponicum)のsynoymとされている。
10-1 Vincetoxicum glabrum (Nakai) Kitag. f. rotundifolium (Honda) Sugim. ex Yonek. マルバカモメヅル
synonym Cynanchum glabrum Nakai var. rotundifolium Honda
本州の広島県、九州に分布。
茎が基部からつる状となる。葉は卵状長楕円形、長さ3~8㎝×幅1~5c㎝。
10-2 Vincetoxicum glabrum (Nakai) Kitag. f. viridescens (Murata) Sugim. アオタチカモメヅル
花が黄白色の品種。
11 Vincetoxicum glaucescens (Decne.) C.Y.Wu et D.Z.Li ビャクゼン 白前
synonym Cynanchum glaucescens (Decaisne) Handel-Mazzetti
synonym Cynanchum lightii Dunn
中国原産。中国名は白前 bai qian
12 Vincetoxicum hirundinaria Medik. ヤクヨウカモメヅル
synonym Asclepias vincetoxicum Linn.
synonym Cynanchum vincetoxicum (Linn.) Pers.
synonym Vincetoxicum officinale Moench
ヨーロッパ、アジア(インド、ブータン、ネパール、パキスタン、南西アジア)、北アフリカ(アルジェリア、モロッコ)原産。英名は German ipecac , swallowwort , white swallowwort 。
茎は直立、高さ120㎝以下、微軟毛があるかほぼ無毛。葉は長さ6~10㎝×幅2.5~5㎝、卵形~卵状披針形、ほぼ無毛~脈上や縁に軟毛がある。葉柄は長さ5~11㎜。花は6~15個、葉腋に束生する。咢は長さ約1.5㎜。咢片は線形、軟毛がある。花冠は内面は無毛、白色又は帯緑色。副花冠の裂片は無柄。袋果は長さ5~7.5㎝×幅約8㎜、紡錘形、尖鋭形、無毛。花期は5~7月。
13 Vincetoxicum hoyoense T.Yamash. ホウヨカモメヅル 豊予鴎蔓
日本固有種(四国、九州)
花や葉が大きく花冠裂片は長さ7~9.5㎜、葉も大きく、長さ9から13.5㎝、卵形~長円形、基部は浅い心形。2n=22
14 Vincetoxicum inamoenum Maxim. エゾノクサタチバナ 蝦夷草橘
synonym Cynanchum inamoenum (Maxim.) Loes. ex Gilg & Loes
synonym Alexitoxicon inamoenum (Maxim.) Pobed.
synonym Vincetoxicum nikoense (Maxim.) Kitag.
日本(北海道)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は竹灵消 zhu ling xiao 。
茎は直立、高さ70㎝以下、1本、中空、軟毛が1本の線状にあり、先には密に軟毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ0~6㎜。葉身は広卵形、長さ3~7㎝×幅1.5~5㎝、脈に微軟毛があり、無毛になり、基部は円形~類心形、先は鋭形~尖鋭形、側脈は約5対。花序は散形花序状、花が, (3~)8~10個つく。花序柄は長さ0.4~2.5㎝、軟毛がある。花柄は長さ3~8㎜、軟毛がある。咢片は披針形、長さ 2~2.5㎜×幅0.7~0.9㎜、まばらに軟毛があるか、無毛になる。花冠は黄色、ときに、花冠筒部に内側に毛がある以外は無毛。花冠筒部は長さ1~1.3㎜。花冠裂片は車形、卵状長円形、長さ 2.5~4㎜×幅1~2㎜。副花冠は厚く、±三角形、、鋭形、 肉柱体より長く、基部が葯につき、先端はときに内側に曲がる。葯の付属体は丸い。花粉塊は長円形。柱頭の頭部は凸面。袋果は線状披針形、長さ4~6㎝×幅5~10㎜、無毛、ほとんど1個だけつき、2個のときは散開する。花期は5~7月。2n=44。
15 Vincetoxicum izuense T.Yamash. イズカモメヅル
synonym Vincetoxicum izuense f. chloranthus Katsuy. & Konta
日本固有種(伊豆半島)
岩礫地に生え、葉が楕円形、紙質、葉の下面に密に曲がった毛状突起がある。2n=22、よく似たコバノカモメヅルは湿った場所に生え、葉が披針形~線状披針形~狭三角形、膜質。2n=44。イヨカズラ(Vincetoxicum japonicum)は岩礫地に生えるが、葉の下面の曲がった毛状突起が無い。
16 Vincetoxicum japonicum (C.Morren et Decne.) Decne. イヨカズラ 伊予葛
synonym Cynanchum japonicum (C.Morren & Decne.) Hemsl.
synonym Cynanchum albiflorum (Franch. & Sav.) Koidz.
synonym Cynanchum grayanum (Maxim.) Koidz.
synonym Cynanchum rubellum (Franch. & Sav.) Matsum.
synonym Cynanchum puncticulatum Koidz.
日本(本州、四国、九州)、朝鮮原産。別名はスズメノオゴケ
多年草。高さ30~80㎝。茎は直立し、普通、枝分かれしない。先がつる状になることもある。葉は対生し、短い葉柄があり、長さ3~10㎝、幅3~7㎝の楕円形、先が尖る。葉質は厚く、毛がなく、表面には光沢がある。花冠は淡黄白色で、5裂し、直径約8㎜。花柱の周りに5個並んでいるのは、副花冠。袋果は長さ4~6㎝、幅1~1.5㎝、無毛。花期は5~7月。
16-1Vincetoxicum japonicum C.Morren et Decne. f. maritimum Sugim. マルバオゴケ
16-2 Vincetoxicum japonicum C.Morren et Decne. f. puncticlatum (Koidz.) Kitag. クロバナイヨカズラ
17 Vincetoxicum katoi (Ohwi) Kitag. クサナギオゴケ 草薙尾苔
synonym Cynanchum katoi Ohwi
synonym Vincetoxicum yamanakae (Ohwi et H.Ohashi) H.Ohashi
日本固有種(本州の関東地方・東海地方・近畿地方、四国)。山地の林縁に生える。
多年草。高さ30~100㎝。葉が小形になる。葉は対生、まれに3輪生し、小さい個体では茎の上部、大きい個体では茎の中部に集まる。葉柄は長さ5~10㎜。葉身は長さ8~17㎝、幅3~5㎝の楕円形~卵状披針形、全縁、先は鋭頭、基部は楔形。葉質は薄く、脈上に短毛がある。花柄は細く、まばらに分枝した円錐花序に花が多数つく。花は直径6~9㎜。花冠は無毛、星形に5裂し、表面は淡紫色、裏面は淡紅紫色が弱い。副花冠は環状、5裂し、花冠と同色、表面は平滑。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。小球(捕捉体)は紫褐色。 袋果は披針形、長さ4~5.5㎝。花期は5~6月。
17-1 Vincetoxicum katoi (Ohwi) Kitag. f. albescens (H.Hara) Kitag. シロバナクサナギオゴケ 白花草薙尾苔
白花品種。
18 Vincetoxicum macrophyllum Siebold et Zucc. ツクシガシワ 筑紫柏
synonym Cynanchum grandifolium Hemsl.
synonym Cynanchum kiusianum Nakai
synonym Cynanchum lasiocarpum Koidz.
日本固有種(九州、四国)。山地の林下に生える。
多年草、直立し、高さ50~100㎝。茎に先端がつる状に伸びる。葉は数対対生し、下部に大きな葉が約3対つき、上部の葉は小さく苞状。大きな葉は葉柄が長さ3~6㎝、卵円形~広楕円形、長さ12~25㎝×幅7~15㎝、先は鋭形、基部は円形~楔形。上部の葉は間隔が開き、小さく、無柄。花は上部の葉腋に多数(約10個)、束生する。花柄は長さ2~5㎝。花冠は暗紫色、直径8~10㎜。袋果は線状披針形長さ5~8㎝×幅約4㎜。花期は6~7月。
18-1 Vincetoxicum macrophyllum Siebold et Zucc. var. nikoense Maxim. ツルガシワ 蔓柏
synonym Vincetoxicum nikoense (Maxim.) Kitag.
synonym Vincetoxicum kitagawae Hiyama
ツクシガシワは花柄が長さ2~5㎝。ツルガシワは花柄がごく短い。
19 Vincetoxicum magnificum (Nakai) Kitag. タチガシワ 立柏
synonym Cynanchum magnificum Nakai
日本固有種(本州、四国)。山地の林下に生える。
多年草、直立し、高さ30~60㎝、分枝せず、軟毛がある。根はやや太いひげ根が多数つく。葉は茎の先に集まって対生し、葉柄は長さ2~4㎝。葉身は広卵形~菱状広楕円形、縁は全縁、花後に葉が大きくなり、長さ10~17㎝×幅7~13㎝、先は尖鋭形、基部は円形~広楔形、脈は上面で窪み、脈上にわずかに軟毛がある。散形花序は頂生、ときに腋生し、半球状、花が密に数個~多数つく。花柄は長さ1~2㎝。萼は緑色、5深裂し、咢片は披針形、長さ約2㎜。花冠は淡黄紫色、5深裂し、無毛。花冠裂片は長さ約3.5㎜、先は鈍形。副花冠は小さく、裂片は半円形。 袋果は2個つき、斜上し、長さ7~15㎝。種髪は白色。花期は5~6月。
20 Vincetoxicum matsumurae (T.Yamaz.) H.Ohashi ヒメイヨカズラ 姫伊予蔓
synonym Cynanchum matsumurae T.Yamaz.
synonym Cynanchum villosum Matsum.
synonym Tylophora matsumurae (T.Yamaz.) T.Yamash. & Tateishi
日本固有種(九州南部~沖縄)。海岸近くの草地に生える。
多年草、直立し、高さ20~40㎝。葉は茎の節間が短く、密に対生し、葉柄は短い。葉身は広楕円形~円形、基部は円形、全縁、先は円形、やや多肉質。花序は腋生、短い。花冠は淡黄色、直径6~7㎜。花冠裂片は幅がやや広い。袋果は2個、ほぼ直線上につき、細い。花期は4~8月。
21 Vincetoxicum nigrum (L.) Moench
synonym Asclepias nigra L.
synonym Cynanchum louiseae Kartesz & Gandhi
synonym Cynanchum nigrum (L.) Pers.
ヨーロッパ西南部(イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル)原産。英名はblack swallowwort , dog-strangling-vine 。アメリカに帰化している。
多年草、高さ2m以下、根茎をもつ。茎は斜上で不規則、毛がある。葉は対生し、葉身は長さ27~180㎜×幅15~74 ㎜、円形~披針形、全縁、基部はわずかに心形、縁と両面の脈上に毛がある。葉柄は長さ3~22㎜、有毛。 花序は腋生及び頂生、花が4~16個のつく。花序柄は長さ11~21㎜。苞は長さ1~1.5㎜×幅約0.5㎜、三角形、有毛。 花柄は長さ2~6㎜、有毛。咢片は長さ1.5~2㎜×幅0.8~1㎜、卵形、縁毛がある。花冠は暗褐色、花冠裂片は長さ2.8~4.3㎜×幅1.5~2.5㎜、三角状披針形、先は鋭形、内面に密に毛がある。副花冠は長さ1~1.4㎜、花冠と同色。袋果は長さ43~80㎜×幅6~10㎜、1個つき、紡錘形、直立、無毛、褐色。 種子は長さ6~6.5㎜×幅3~4㎜、梨形、扁平、翼があり、褐色。種髪は長さ17~24㎜、白色。 2n = 22、44。
品種) 'Zotista'= I am a Tiny Star
22 Vincetoxicum nipponicum (Matsum.) Kitag. オオアオカモメヅル 大赤鴎蔓
synonym Cynanchum nipponicum Matsum.
synonym Cynanchum abukumense Koidz.
synonym Cynanchum glabrum Nakai タチカモメヅル
synonym Vincetoxicum glabrum f. rotundifolium (Honda) Sugim. ex Yonek マルバカモメヅル
synonym Vincetoxicum glabrum f. viridescens (Murata) Sugim. ex Yonek. アオタチカモメヅル
日本(本州の東北地方~中部地方)、朝鮮、ロシア原産。湿った草地 林縁に生える。
多年草、高さ1m以下。茎は下部が直立し、上部はつる状、曲毛がある。葉は対生、葉柄は長さ約5㎜。葉身は長楕円状披針形、長さ約10㎝、先は鋭形、基部は円形~やや心形、下面や縁に軟毛がある。花序は腋生。花柄は短い。咢には毛がある。花冠は直径約1㎝、帯黄白色。花期は6~7月。
Kewscienceではオオアオカモメヅルにタチカモメヅルを含めている。
22-1 Vincetoxicum nipponicum (Matsum.) Kitag. f. abukumense (Koidz.) Kitag. ナガバクロカモメヅル
花が赤褐色。
23 Vincetoxicum pycnostelma Kitag. スズサイコ 鈴柴胡
synonym Cynanchum dubium Kitagawa コゴメスズサイコ
synonym Vincetoxicum paniculatum auct. non (R.Br.) Kuntze オーストラリア産
synonym Vincetoxicum paniculatum (Bunge) C. Y. Wu & D. Z. Li
synonym Cynanchum paniculatum (Bunge.) Kitag. [Flora of China]
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア原産。中国名は徐长卿 xu chang qing 。和名はミシマサイコに似て、つぼみが鈴のような形をしていることから。
多年草、直立し、高さ40~80㎝。根は密にひげ根がある。茎は硬くて細く、無毛又は下部に剛毛があり、うねがあり、分枝せず又は上部で少数分枝する。葉は対生し、葉柄は長さ約3㎜。葉身は披針形~線形、長さ5~13㎝×幅0.5~1㎝、硬い紙質、無毛又は上面に微軟毛があり、縁毛があり、上面より下面は白く、断面は平たくならず、中脈で折れ、V字形となり、基部と先は鋭形、側脈は不明瞭。花序は頂生及び上部の節につき、緩く分枝し、長さ7㎝以下、垂れ下がるように花をつける。花序柄は長さ2.5~4㎝。花柄は長さ5~10㎜。咢片は披針形、長さ1~15㎜×幅約0.5㎜、腺は有又は無。花冠は黄色~黄緑色~褐色、類車形、直径約1.5㎝、無毛、筒部は短い。花冠裂片は卵形、長さ4~5.5㎜×幅1.5~3㎜。副花冠は5深裂し、裂片は卵状長円形、肉質、わずかに横が扁平、先は鈍形、長さは葯と同長、内側には中間まで竜骨があり、葯につく。葯の付属体は半円形、柱頭の頭部よりわずかに短い。花粉塊は長円形。柱頭の頭部は類疣がある。袋果は披針形、長さ4~8㎝×幅3~8㎜。種子は長円形、約・長さ5㎜×幅3㎜。種髪は長さ1.5~3㎝。花期は5~7月。果期は8~12月。2n=22。
23-1 Vincetoxicum pycnostelma Kitag. f. latifolium (Makino) Kitag. ヒロハスズサイコ
synonym Vincetoxicum makinoi Honda
葉が大きく、幅も広く、葉は長さ12~17㎝×幅1.5~2.5㎝。
24 Vincetoxicum sieboldii Franch. et Sav. トキワカモメヅル 常盤鴎蔓
synonym Cynanchum sieboldii (Franch. & Sav.) Ohwi
synonym Tylophora japonica Miq.
synonym Tylophora liukiuensis Matsum.
synonym Vincetoxicum kawaroense Meve & Liede
日本固有種(四国、九州、南西諸島)。草地、林縁に生える。
多年草。茎はつる性、長く伸び、無毛。葉は対生し、狭長楕円状披針形、長さ4~10㎝×幅1~3㎝、、先は鋭形、基部は円形、厚く、光沢があり、中脈上に微軟毛がある。花序は集散花序、長さ3~6㎝、花が疎につく。花冠は紫色、直径7~8㎜、5深裂する。副花冠は肉柱体の長さの半分。袋果は1個つき、披針形長さ9~10㎝。花期は6~7月。
25 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim
synonym Cynanchum sublanceolatum (Miq.) Matsum
synonym Cynanchum maximowiczianum (Warb.) Nakai
synonym Cynanchum macranthum (Maxim.) Nakai
25-1 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. sublanceolatum コバノカモメヅル 小葉の鴎蔓
synonym Cynanchum sublanceolatum (Miq.) Matsum.
日本(本州の関東地方~近畿地方の太平洋岸)、中国原産。中国名は镇江白前 zhen jiang bai qian 。湿地、草地、休耕田に生える。
多年草。茎は蔓状、よく分枝して伸び、他の木や草に巻きつく。葉は対生し、披針形~広披針形で、先が尖り、基部は浅い心形~切形。葉縁は全縁で、柄がある。花は直径7~15㎜、暗紫色(褐紫色)。花冠は無毛、星形に5裂し、裂片は細長く、先が明瞭に捻じれる。ガガイモ科の特徴である副花冠は環状、5裂し、裂片は雄しべの真下にあり三角状卵形、基部が丸みを帯びて張り出し、表面は平滑。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は長さ約0.24㎜、葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約0.2㎜の紫褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ5~7㎝×幅0.6~0.7㎝。種子は長さ約8㎜、長い種髪がつき、幅約5㎝に円く広げ、風で散布される。花期は7~9月。2n=44
25-1-1 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. sublanceolatum f. albiflorum (Franch. et Sav.) H.Ohashi アズマカモメヅル 東鴎蔓
synonym Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. albiflorum (Franch. et Sav.) Kitag.
synonym Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. albidum Franch. et Sav.
synonym Cynanchum sublanceolatum (Miq.) Matsum. form. albiflorum (Frasnch. et Sav.)T.Yamaz.
多年草。茎は蔓状、よく分枝して伸び、他の木や草に巻きつく。葉は対生し、長さ4~5㎝(実測 長さ3~5㎝ 幅1.5~2.5㎝)の披針形~広披針形で、先が尖り、基部は浅い心形~切形。葉縁は全縁、葉柄は長さ1~2㎝(実測約1.5㎝)。花は直径7~15(7~9)㎜、黄白色、ときに中心部が紫色を帯びる。花冠は星形に5裂し、裂片は細長く、先が明瞭に捻じれる。こ花冠に扁平な毛がまばらにある。ガガイモ科の特徴である副花冠は環状、5裂し、裂片は雄しべの真下にあり三角状卵形、基部が丸みを帯びて張り出し、表面は平滑。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は長さ約0.23㎜、葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約0.2㎜の紫褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ(4)5~7㎝。種子は扁平、長い毛(種髪)があり、風で散布される。花期は7~9月。
25-2 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. auriculatum Franch. et Sav. ジョウシュウカモメヅル 上州鴎蔓
synonym Cynanohum harunamontanum Honda
葉幅が広く、長卵形で、基部は湾入し、両面に毛がある。花序柄と花柄に、先に向かう長毛が密にある。花は大きく(直径20㎜以上)、濃紫色。
25-3 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. macranthum Maxim. シロバナカモメヅル白花鴎蔓
synonym Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. macranthum Maxim. f. yesoense (Nakai) Kitag.
葉先が長く鋭尖る。花は直径12~20㎜、緑黄色。
26 Vincetoxicum tanakae (Maxim.) Franch. et Sav. ツルモウリンカ 蔓茉莉花
synonym Tylophora stenoloba Warb.
日本固有種(九州南部~沖縄)。海岸近くの草地、林縁 に生える。
多年草。茎はつる状、長く伸び、若い茎には密に軟毛がある。葉は対生し、卵形~楕円形、長さ3~7㎝×幅2~4.5㎝、厚く、先は鈍形~微突形、基部は円形~浅い心形、全縁、上面は普通、短毛があり、ときに脈を除き無毛。花序は腋生、短く分枝し、花を多数つける。花柄は長さ6~10㎜、細く、無毛又は有毛。花冠は直径6~7㎜、淡黄色、中心部が紫色を帯びる。副花冠は肉柱体の半分の長さ、裂片は無毛または内面に短毛がある。袋果は2個、八の字形につき、披針形、長さ約5㎝。花期は8~9月。
27 Vincetoxicum versicolor (Bunge) Decne. アオバナカモメヅル
synonym Cynanchum versicolor Bunge
synonym Cynanchum mandshuricum (Hance) Hemsley
synonym Vincetoxicum mandschuricum Hance
中国原産。中国名は变色白前 bian se bai qian
28 Vincetoxicum volubile Maxim. チョウセンイケマ
synonym Cynanchum volubile (Maximowicz) Hemsley
朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は蔓白前 man bai qian
29 Vincetoxicum yonakuniense (Hatus.) T.Yamash. et Tateishi ヨナクニカモメヅル 与那国鴎蔓
synonym Cynanchum yonakuniense Hatus.
日本固有種(与那国島)
30 ハイブリッド
(1) Vincetoxicum x krameri Franch. et Sav. マルバノフナバラソウ
フナバラソウ× ロクオンソウ
(2) Vincetoxicum x multinerve Franch. et Sav. ex Maxim. ホソバノロクオンソウ
synonym Vincetoxicum multinerve Franch. et Sav. var. kiyohikoanum (Honda) Kitag.
別名はアキノクサタチバナ、オオツルガシワ
(3) Vincetoxicum x purpurascens (C.Morren et Decne.) Decne. ムラサキスズメノオゴケ
synonym Vincetoxicum x vernyi Franch. et Sav.
フナバラソウ×イヨカズラ。別名はミウラスズメノオゴケ
(3-1) Vincetoxicum x purpurascens (C.Morren et Decne.) Decne. var. albiflorum Franch. et Sav. シロバナクサタチバナ
synonym Vincetoxicum japonicum C.Morren et Decne. var. albiflorum (Franch. et Sav.) Kitag.
別名はビロードイヨカズラ
(4) Vincetoxicum x sakaianum (Honda) Kitag. ミヤマフナバラソウ
フナバラソウ×クサタチバナ
亜低木又は多年草、葉がある又は葉が無い。茎は草質又は多汁、絡み付く又は絡み付かず、 浸出するラテックスは白色、ごくたまに透明又は帯黄色。葉は対生、基部に集まって輪生し、ときに葉腋に托葉状の葉がある種もある。花序は腋外生( extra-axillary)、花序柄は無又は有、散形花序状又は成長する花序軸に沿って束生する。花冠は基部で融合し、無毛又はたまに軟毛がある。副花冠(corona)はCorolline coronaでは無く、Gynostegial coronaであり、1~2輪につき、内側の輪には肉質の雄性の裂片があり、外側の輪は様々に発達した筒であり、雄しべと、肉柱体(gynostegium)を取り囲む雄しべ間部分を部分的に又は完全に融合したものである。肉柱体は柄が無又は有。花粉塊(pollinia)は葯室の中に垂れ下がる。花柱の頭部は±平ら、円錐形、又は先に嘴状の付属体をもつ。袋果は普通、発育不全により1個が発達する。っ種子は扁平、翼が有又は無、平滑又は彫刻され、無毛又は有毛、白毛の種髪(coma)をもつ。
世界に約280種あり、熱帯、亜熱帯に広く分布し、数種が温帯に分布する。
20世紀後半に定義されたCynanchum(約400種を含む) は多系統であり、分割されている。種はOrthosia、Pentarrhinum、 Vincetoxicumを含む属に移動され、旧世界のほとんどのグループはCynanchumに留まっている。
synonym Cynanchum wilfordii (Maxim.) Hook.f. var. amamianum Hatus
synonym Cynanchum taiwanianum T.Yamaz.
synonym Cynanchum acuminatum Royle ex Wight var. amamianum (Hatus.) T.Yamaz.
synonym Cynanchum auriculatum auct. non Royle ex Wight
日本(沖縄)、中国、台湾、ロシア原産。中国名は折冠牛皮消 zhe guan niu pi xiao
根は塊根、長さ10~50㎝×幅1~4㎝。茎は絡み付き、伸びて長さ5m以下、軟毛がある。葉は対生。葉は長さ約5㎝、上側に腺体をもつ。葉身は広卵形~卵状長円形、長さ4~18以上㎝×幅4~11.5(~17)㎝、膜質、上面は微軟毛があり、基部は心形、基部の裂片はほとんど反曲、ときに内側に曲がり、まれに重なり、先は短い尖鋭形、側脈は5~6対。花序は総状花序状、花が30個以下つく。花序柄は長さ6~10㎝。花柄は長さ約1.5㎝、微軟毛がある。咢片は卵状長円形、縁毛があり、軟毛がある。花冠は白色、長さ1㎝以下。花冠筒部は短い。花冠裂片は長円形、長さ(3~)3.5~6㎜×幅1.5~1.7 ㎜、花後に強く後屈し、内面に直軟毛がある。副花冠はごく深く5裂し、裂片は楕円形、肉質、先は鈍形、高さは肉柱体の2倍以下、狭三角形の付属体をもつ。花粉塊は長円形。柱頭の頭部は円錐形、先は2裂。袋果は披針形、長さ8~11㎝×幅8~10㎜、2本の縦のうねをもつ。種子は卵状楕円形。花期は6~9月。果期は7~12月。
2 Cynanchum bungei Decne. ヤハズイケマ
朝鮮、中国原産。中国名は白首乌 bai shou wu
3 Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim. イケマ 生馬
synonym Cynanchum ikema Ohwi
synonym Cynanchum maximoviczii Poped.
synonym Cynanchum boudieri H.Lev. et Vaniot subsp. caudatum (Miq.) P.T.Li, M.G.Gilbert et W.D.Stevens
北海道、本州、四国、九州、サハリン
多年草。根は肥大し、数本に枝分かれし、有毒。葉は長さ5~15㎝の楕円~長楕円形。葉先が尖り、基部は心形、長さ3~6㎝の柄がある。葉腋の半球形状の散形花序に白色の花が多数つく。花柄は長さ6~12㎝と長い。花は直径6~8㎜。花冠のように見える白い部分は副花冠、長さ4~5㎜。黄緑色の下方に反り返った萼のように見える部分が花冠。袋果は長さ10~12㎝、無毛、有毒。種子には長い種髪(白毛)がつき、風によって散布される。2n=22。花期は7~8月。
3-1 Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim. var. tanzawamontanum Kigawa タンザワイケマ
4 Cynanchum chinense R.Br. ヒメイケマ
朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は鹅绒藤 e rong teng
5 Cynanchum formosanum (Maxim.) Hemsl. ホウライイケマ
synonym Cynanchum formosanum (Maxim.) Hemsl. var. ovalifolium Tsiang et P.T.Li
synonym Cynanchum crassifolium Hatus.
台湾原産。中国名は台湾杯冠藤 tai wan bei guan teng
6 Cynanchum lanhsuense T.Yamaz. コウトウガシワ
台湾原産。中国名は兰屿牛皮消 lan yu niu pi xiao
7 Cynanchum liukiuense Warb. リュウキュウガシワ 琉球柏
日本固有種(南西諸島)台湾、フィリピン。草地に生える。
多年草、つる性、茎は長さ数メートルになり、無毛、やや粉白色を帯びる。葉は対生し、卵形~卵状楕円形、長さ5~9㎝×幅2.5~6㎝、やや厚く、基部は浅い心形、全縁、先は短い鋭形。葉柄は長さ1~2㎝、基部に葉状托葉が1対ある。花序は腋生の短い総状花序花。花序柄は長さ約2㎝。花冠は帯黄紫色、直径約7㎜、5深裂する。副花冠は肉柱体より長く、黄色。袋果は披針状長楕円形、約・長さ7㎝×幅2㎝。沖縄のC.liukiuenseと、台湾のC formosanumとは葉の形がことなるが花の構造には大差がない。
8 Cynanchum mooreanum Hemsl. ケビャクゼン
台湾原産。中国名は毛白前 mao bai qian
9 Cynanchum purpureum (Pall.) K.Schum. ムラサキカモメヅル
朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は紫花杯冠藤 zi hua e rong teng
10 Cynanchum rostellatum (Turcz.) Liede & Khanum ガガイモ 蘿芋
synonym Metaplexis japonica (Thunb.) Makino
synonym Metaplexis rostellata Turcz
synonym Pergularia japonica Thunb.
日本、朝鮮、中国原産。中国名は萝藦 luo mo。英名はpanicled tick-trefoil。
多年草。つる性(長さ~8m)。道端などで普通に見られる。茎を切ると乳白色の液が出る。葉は対生し、無毛、全縁、長さ5~10㎝の長卵形、基部は心形、先が尖る。葉の質はやや厚く、裏面はやや白い。葉腋に、短い円錐花序をつけ、直径約1㎝の淡紅紫色の花を固まってつける。花冠は5深裂し、外側に反曲し、白色の軟毛が密生する。副花冠は環状、5裂し、裂片は短く、雄しべの間につく。雄しべは短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成し、中心から柱頭がくちばし状に突き出す。柱頭の先はよれて曲がる。花粉は花粉粒が集合し、塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は葯室の中にあり、葯の付属体の間にある5個の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。萼は5全裂。袋果は表面にいぼ状突起があり、長さ約10㎝、熟すと片側が裂開し、最後には水平に開いてしまう。種子は扁平、長い毛(種髪)があり、風で散布される。2n=22,24。花期は8~9月
10-1 Metaplexis japonica (Thunb.) Makino f. albiflora Honda シロバナガガイモ 白花蘿芋
白花品種。
11 Cynanchum thesioides (Freyn) K.Schum. ヤナギカモメヅル
synonym Cynanchum sibiricum (L.) R.Br.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン原産。中国名は地梢瓜 di shao gua
12 Cynanchum wilfordii (Maxim.) Hook.f. コイケマ 小生馬
synonym Vincetoxicum wilfordii (Maximowicz) Franchet & Savatier.
日本(本州の関東以西、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は隔山消 ge shan xiao 。林縁、草地に生える。コイケマはイケマよりも葉の基部の心形が深く耳状、花序柄がイケマより短い。
根は肉質、不規則な紡錘形、長さ10㎝×幅2㎝以下。茎は絡み付き、1本線状に毛がある。葉は対生。葉柄は長さ約2㎝、上側に腺体がある。葉身は卵形~卵状心形、長さ5~6㎝×幅2~4㎝、質が薄い紙質、伏した微軟毛があり、上面は乾くと暗色になり、基部は耳状心形、基部の裂片は円く、反曲又は内向きに曲がり、先は短い尾状~尖鋭形、基部の葉脈は3~5本、側脈は約4対。花序は散形花序状~ごく短い総状花序、半球形、密に花が15~20個つく。花序柄は長さ約1.5㎝、まれに二又になり、片面に微軟毛がある。花柄は長さ5~7㎜、微軟毛がある。咢片は長円状披針形、約・長さ1.5㎜×幅0.6㎜、無毛又はまばらに軟毛があり、基部に10個の蜜腺がある。花冠は黄色、車形、花冠裂片は披針形、長さ4.5~5㎝×幅約2㎜、外側は無毛、内側に密に短直軟毛がある。副花冠は5深裂し、裂片は円形~四角に近く、膜質、肉柱体(gynostegium)より短く、基部は漸尖形、先は切形、内側に横のうねをもつ。肉柱体には柄がある。葯の付属体は卵形、副花冠の長さとほとんど同長。花粉塊は長円形。柱頭の頭部には疣がある。袋果は披針形、長さ11~12㎝×幅1~1.4㎝。種子は卵形、長さ約7㎜。種髪は長さ約2㎝。花期は5~9月。果期は7~11月。
普通、多年草、蔓性、たまに草質で直立。花序は腋外生( extra-axillary)、、まれに頂生、ほとんどが、数個の小集散花序( cymule)をもち、単純又は分枝し、しばしば花序軸がジグザグになり、たまに、散形花序状になる。小集散花序は総状花序状又はときに散形花序状。咢は基部に腺をもつ。花冠は車形又は類車形、5深裂し、花冠裂片は右側に浅く重なるか、ほぼ敷石状、しばしば明瞭な脈がある。花冠裂片は普通、直立、膨らみ、肉柱体(gynostegium)につき、超えず、まれに±広がり、円形。葯は短く、付属体は柱頭の頭部を弓なりに超える。花粉塊(pollinia )は花粉団(pollinarium)に2個つき、水平、類直立、まれに直立、花粉塊柄(caudicle)は斜上又は類直立、支帯(retinaculum)は小さい。柱頭の頭部は凹み、平ら、又は凹面、まれに葯より長い、袋果は長円状披針形又は紡錘形。種子は種髪がある。
世界に約89種があり、熱帯、亜熱帯のアジア、アフリカ、、オーストラリアに分布する。
【他属へ移動された主な種】
1 Tylophora aristolochioides Miq. オオカモメヅル⇒Vincetoxicum aristolochioides (Miq.) Franch. et Sav.
2 Tylophora floribunda Miq. コカノメヅル ⇒Vincetoxicum floribundum (Miq.) Franch. et Sav
つる性多年草又は攀縁性の亜低木。葉は対生、長い葉柄がある。花序は長い花序柄があり、よく発達する花序軸に緩くつく小集散花序をもつ総状花序状である。咢は基部に5個の腺をもつ。花冠は類車形、裂片は筒部より長く、左に捻じれる。副花冠は環状、肉柱体(gynostegium)の基部につき、縁は5裂し、裂片は鈎状。花糸は合着し、短い筒になる。葯の付属体は内側に曲がる。花粉塊(pollinia )は花粉団(pollinarium)に2個、長円形~卵状長円形、垂れ下がる。柱頭の頭部は嘴があり、2裂又は全縁、葯の付属体を超える。袋果は紡錘形又は長円形、果皮は微細突起があるか、しわがあるか、又は平滑。種子は卵形。
世界に約6種があり、東アジアに分布する。
2010年までにMetaplexis hemsleyanaとMetaplexis japonicaの2種に整理された。
2016年のパキスタンのイスラマバード大学のKhanum博士らの研究により、ガガイモ属(Metaplexis)はイケマ属(Cynanchum)に含められた。
Cynanchumは Asclepiadoid 属の1つであり、旧世界と新世界の両方に分布する。5葉緑体と4分子マーカーによるベイズ推定法に基づく100種以上の研究の結果、9クレードを決定した。明確な形態学特性がいくつかの特別なクレード又は数クレードの組み合わせに関係がなく、そのため、 Cynanchumの広い概念の導入がグループの最も適切な分類学上の解決と思われる。必要な新しい組み合わせが作られ、12の新種の組み合わせと2新亜種の組み合わせと、2個の新しい名がつけられた。その結果、Glossonema , Graphistemma , Holostemma , Metalepis , Metaplexis , Odontanthera , Pentarrhinum , Raphistemma , Seshagiriaの9属がCynanchumに含められた。Adelostemma と Sichuaniaは形態学的理由でCynanchumに含められた。(参考13)
【他属へ移動された種】
1 Metaplexis hemsleyana Oliv. ⇒Cynanchum hemsleyanum (Oliv.) Liede & Khanum
2 Metaplexis japonica Makino ⇒Cynanchum rostellatum (Turcz.) Liede & Khanum
Cynanchum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=108969
2) GRIN
Vincetoxicum
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=16970
3) Flowers of Pakistan
Vincetoxicum hirundinaria
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=220014178
4)Plants of the World Online | Kew Science
Vincetoxicum
Vincetoxicum nigrum (L.)
https://www.floravascular.com/index.php?spp=Vincetoxicum%20nigrum
6)World Flora Online
Search
http://www.worldfloraonline.org/
7)Acta Phytotax .Geobot. 55 (1 )1-8 (2004)
Two New Species of Yincetoxicum (Apocynaceae) from Japan
Vincetoxicum izuense and Vincetoxicum hqyoense
Vincetoxicuum yonakuniense , a New Combination of Asclepiadaceae and
its New Distribution Rnecord on Senkaku Islands, Ryukyu Archipelago
Vincetoxicum (Apocynaceae/Asclepiadoideae) expanded to include Tylophora and allies
Transference of Cynanchum matsumurae T.Yamaz. to Tylophora(Asclepiadaceae)
ヒメイヨカズラ(カガイモ科)の所属
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_078_349_354.pdf
11)植物研究雑誌66(1): 60-61(1991)
アマミイケマについて
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_066_60_61.pdf
12植物研究雑誌13(2): 67-75(1937)
混乱せる日本のオオカモメヅル属植物とイケマ属植物
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_013_67_75.pdf
13)Khanum & al.ynanchum revisited TAXON 65 (3) June 2016: 467-486
Cynanchum (Apocynaceae: Asclepiadoideae): A pantropical Asclepiadoid genus revisited
茎は細く、2列に毛があり、長く伸び、他の木や草に絡みつく。葉は対生し、全縁、長さ(2.5)5~12㎝の三角状広披針形、先が長く尖り、基部は浅いU字形の心形~切形。葉柄は長さ(0.5)1~3㎝。上部の葉は小さい。花序は葉腋につき、花序が基部の葉よりかなり小さい。萼は5裂し、裂片は三角形。花冠は直径4~6㎜、暗紫褐色~淡紫褐色、5深裂し、裂片は長さ約2㎜、三角状惰円形、先が鈍頭、花冠の内面には白色の毛がある。副花冠は暗紫褐色、やや光沢があって微毛があり、5裂し、裂片は上から見ると惰円形、星形に開出する。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約30μmの微小な暗紫褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ5~7㎝、幅約5㎜の披針形、2個の場合はほぼ直線に並ぶ。種子は長さ7~8㎜、種髪は白色、長さ約10㎜。
コカモメヅルは葉が小さく、花序が長く、花冠の表面に綿毛があり、裂片の先が尖り、副花冠に毛がある。
ナガエオオカモメヅルはオオカモメヅル似て副花冠が大きく目立ち、花序が長い。
コバノカモメヅルは花序が短く、花冠の裂片が長くて花が大きい、葉の基部が普通、切形。浅い心形になることもあり、花がないと判別が難しいこともある。
カモメヅル属
family Apocynaceae - genus Vincetoxicum多年草、亜低木で直立又は細い木質のつる性。束状の根をもつ。葉は普通、対生、側シュートが短いと輪生又は束生し、膜質又は紙質。花序は互生で腋外生、しばしば対生で腋生、花は少数つき、±散形花序状。花は小さく、花冠は5深裂し、車形。副花冠はCorolline coronaは無く、Gynostegial coronaがある。 雄しべと雌しべが合着した肉柱体(gynostegium)があり、その基部から5個の雄性の肉質の裂片が出て副花冠になる。肉柱体は無柄。葯隔は先に付属体をもつ。花粉は対の垂れ下がる花粉塊(pollinia)をもつ。花柱の頭は平らか円錐形。袋果は1個、薄壁種子は扁平、平滑、翼があり、絹毛の種髪がある。
世界に約248種がある。
カモメヅル属の主な種
1 Vincetoxicum ambiguum Maxim. アオカモメヅル 青鴎蔓synonym Cynanchum ambiguum (Maxim.) Kom.
日本固有種(本州の紀伊半島、四国、九州)。低山地の池畔や草地、林縁に生える。
多年草。茎はつる性、細長く他物に絡み付き、わずかに毛がある。葉は対生し、葉柄は短い。葉身は長楕円形~線状長円形、長さ3~8㎝×幅5~25㎜、先は短く尖り、基部はごく浅い心形、縁近くや主脈上だけに微軟毛がある。集散花序は腋生、明瞭な花序柄がある。花柄は長さ5㎜以上。花は緑白色、やや黄色味を帯びる。萼は長さ約2㎜、5深裂し、裂片は披針形。花冠は5深裂し、裂片は長さ約4㎜、長卵形、先は尾状に伸びて捻じれ、内面に密に細毛がある。花期は8~10月。
2 Vincetoxicum amplexicaule Siebold et Zucc. ロクオンソウ 鹿苑草
synonym Cynanchum amplexicaule (Siebold & Zuccarini) Hemsley
日本(四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は合掌消 he zhang xiao 。別名はヒゴビャクゼン。山地の草地に生える。
多年草、茎は直立、高さ1m以下、しばしば上部で分枝する。咢や花冠以外は無毛。葉は対生し、無柄。葉身は倒卵状楕円形~卵形~卵状長円形、長さ 4~6(~10)㎝×幅2~4(~5)㎝以下、最上部の葉は下部の葉より明らかに小さく、下面は粉白色、基部は心形、ときに茎を抱き、先は鋭形、側脈は8~10対。花序は腋外生と頂生、散形花序状又は緩く花がつく。花序柄は長さ0.5~6㎝。花柄は長さ約4㎜。咢片は卵形、長さ1~1.5㎜×幅約0.5㎜、基部の腺は小さい。花冠は黄緑色~黄褐色~紫色、車形、花冠筒部は長さ約0.5㎜。花冠裂片は長円形、長さ2.5~3.5㎜×幅約1㎜、先は鈍形、中央には微軟毛がある。副花冠は深く5裂し、平らになり、卵形、基部に柄があり、先は円形~不明瞭な3歯があり、長さは花冠筒部や肉柱体と同長。葯は菱形、付属体は円形、膜質、葯の長さと同長。花粉塊は長円形。柱頭の頭部はわずかに凸面。袋果は披針形、長さ5~7(~8)㎝×幅5~8(~11)㎜、無毛。種子は長円状卵形、葯・長さ5㎜×幅2㎜、暗褐色。種髪は長さ約2㎝、帯褐色。花期は5~9月。果期は9~12月。2n = 22.。
2-1 Vincetoxicum amplexicaule Siebold et Zucc. f. castaneum (Makino) Kitag. クロバナロクオンソウ
花が帯紫色のもの。
3 Vincetoxicum aristolochioides (Miq.) Franch. et Sav. オオカモメヅル
synonym Tylophora aristolochioides Miq.
synonym Tylophora yoshinagae Makino
日本固有種(北海道、本州、四国、九州)
多年草。茎は細く、2列に毛があり、長く伸び、他の木や草に絡みつく。葉は対生し、全縁、長さ(2.5)5~12㎝の三角状広披針形、先が長く尖り、基部は浅いU字形の心形~切形。葉柄は長さ(0.5)1~3㎝。上部の葉は小さい。花序は葉腋につき、花序が基部の葉よりかなり小さい。萼は5裂し、裂片は三角形。花冠は直径4~6㎜、暗紫褐色~淡紫褐色、5深裂し、裂片は長さ約2㎜、三角状惰円形、先が鈍頭、花冠の内面には白色の毛がある。副花冠は暗紫褐色、やや光沢があって微毛があり、5裂し、裂片は上から見ると惰円形、星形に開出する。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約30μmの微小な暗紫褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ5~7㎝、幅約5㎜の披針形、2個の場合はほぼ直線に並ぶ。種子は長さ7~8㎜、種髪は白色、長さ約10㎜。花期は7~9月。
4 Vincetoxicum ascyrifolium Franch. & Sav. クサタチバナ 草橘
synonym Cynanchum acuminatum (C.Morren ex Decne.) Matsum.
synonym Vincetoxicum acuminatum auct. non (A.Gray) Vail
synonym Cynanchum acuminatum auct. non Humb. & Bonpl. ex Schult ベネズエラ産
synonym Cynanchum ascyrifolium auct. non (Franch. et Sav.) Matsum.
synonym Cynanchum acuminatifolium Hemsl [Flora of China]
日本(本州の関東地方以西、四国)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は潮风草 chao feng cao 。山地の草地、林内のやや乾いた場所に生える。
茎は直立し、高さ60㎝以下、全体に軟毛又は微軟毛がある。短い根茎があり、根は束生する。葉は対生又は4個輪生し、葉柄は長さ約1㎝。葉身は楕円形~広卵形、長さ7~13㎝×幅4~5㎝、膜質、基部は広楔形~円形、先は尖鋭形、側脈は6~7対。花序は頂生と類頂生、散形花序状、花が10~12個つき、長さ3~5㎝。咢片は卵形。基部の腺は5個。花冠は白色、車形、直径1~1.5㎝。花冠裂片は長円形、長さ7.5㎜×幅3㎜以下、無毛。副花冠は円蓋形、中間まで5裂し、裂片は三角形、肉質、肉柱体の長さと同長、葯に着生する。花粉塊は卵形。袋果は1個、直立、披針形、長さ6~7㎝×幅約5㎜。種子は長円形、種髪は長さ約2㎝。花期は6~8月。果期は8~11月。
5 Vincetoxicum atratum (Bunge) C.Morren et Decne. フナバラソウ 舟腹草
synonym Cynanchum atratum Bunge
日本固有種(北海道、本州、四国、九州)。乾燥した草地や林縁などに生える。
茎は直立、高さ40~80㎝、分枝しない。全体に軟毛が密生し、ビロード状となる。葉は対生し、葉身は卵形、長さ6~14㎝×幅4~6㎝、下面には葉脈が隆起し、特に毛が目立つ。花は葉腋につき、1段~数段、球状に束生する。花冠は濃紫色~黒紫色~、5深裂し、花冠裂片は肉厚で、外面には短毛があり、内面は無毛。袋果は2個つき、垂れ下がり、やや太く、片側から裂開して舟形になり、和名はこれに因む。種髪は白色。花期は5~6月。
5-1 Vincetoxicum atratum (Bunge) C.Morren et Decne. f. viridescens (H.Hara) Sugim. アオフナバラソウ
品種としては分類せず、synonymとされている。
6 Vincetoxicum austrokiusianum (Koidz.) Kitag. ナンゴクカモメヅル 南国鴎蔓
synonym Cynanchum austrokiusianum Koidz.
日本固有種(九州)。草地、林縁に生える。
若い茎に密に毛がある。葉が鈍頭、両面に短毛がある。花は白色。花柄に毛がある。
7 Vincetoxicum calcareum (H.Ohashi) Akasawa イシダテクサタチバナ 石立草橘
synonym Vincetoxicum ascyrifolium Franch. & Sav.
synonym Cynanchum calcareum H.Ohashi
日本固有種(四国)。
クサタチバナによく似ているが、次の違いがある。葉は狭楕円形で小型、厚い膜質、上面は無毛。 花序は茎頂のみにつき、花柄は短く、花冠裂片の先が尖る。萼片は狭披針形。
※Kewscienceでは別種と認められていない。
8 Vincetoxicum doianum (Koidz.) Kitag. サツマビャクゼン 薩摩白前
synonym Cynanchum doianum Koidz.
日本固有種(九州)。山地の草地に這える。
葉の先端は尖る。花序は花序柄が発達していて、花冠の上面には短毛がある。
9 Vincetoxicum floribundum (Miq.) Franch. et Sav. コカモメヅル 小鴎蔓
synonym Tylophora floribunda Miq.
synonym Tylophora chungii Merr. ex Metcalf
synonym Tylophora sikokiana Matsumura トサカモメヅル
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は七层楼 duo hua wa er teng。
茎は1列の毛があるか又は無毛、分岐して、長く伸び、他の木や草に絡みつく。葉は対生し、柄があり、全縁又は縁がやや波打ち、長さ3~7㎝、幅1~3㎝の三角状卵形~卵状披針形、先が尖り、基部は浅い心形。花序は葉腋につき、よく分枝して、花序が基部の葉より長いのが普通。花冠は直径4~6㎜、暗紫色、5深裂し、裂片は三角形、先がやや捻じれる。花冠の内面には白色の毛がある。副花冠は環状、5裂し、裂片は三角状、基部が丸みを帯びて厚くなり、表面は平滑でなく微毛がある。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は長さ約0.13㎜、葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約30μmの微小な淡褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ4~5㎝の披針形、2個の場合はほぼ直線に並ぶ。花期は7~9月。
10 ※ Vincetoxicum glabrum (Nakai) Kitag. タチカモメヅル 立鴎蔓
synonym Cynanchum nipponicum Matsum var. glabrum (Nakai) Hara
synonym Cynanchum glabrum Nakai
日本(本州の近畿以西、四国、九州)、朝鮮原産。湿った草地や湿地に生える。
多年草。茎は下部が直立し、先はやや蔓状になり、長さ40~100(~250)㎝、わずかに曲がった毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ2~5㎜。葉身は長楕円状披針形、先は鋭形、長さ3~11㎝×幅1~4c㎝、やや厚く、基部は円形~やや心形。花は上部の葉腋に集まってつく。花序柄は無いか又はごく短い。花冠は暗紫色、直径約9㎜。萼片は長さ約2㎜、わずかに毛がある。花冠は無毛。袋果は披針形、無毛、長さ4~5㎝×幅5~7㎜。(京都府レッドデータブック)
※Kewscienceでは独立種とされていない。以下の品種含めをオオアオカモメヅル(Vincetoxicum nipponicum)のsynoymとされている。
10-1 Vincetoxicum glabrum (Nakai) Kitag. f. rotundifolium (Honda) Sugim. ex Yonek. マルバカモメヅル
synonym Cynanchum glabrum Nakai var. rotundifolium Honda
本州の広島県、九州に分布。
茎が基部からつる状となる。葉は卵状長楕円形、長さ3~8㎝×幅1~5c㎝。
10-2 Vincetoxicum glabrum (Nakai) Kitag. f. viridescens (Murata) Sugim. アオタチカモメヅル
花が黄白色の品種。
11 Vincetoxicum glaucescens (Decne.) C.Y.Wu et D.Z.Li ビャクゼン 白前
synonym Cynanchum glaucescens (Decaisne) Handel-Mazzetti
synonym Cynanchum lightii Dunn
中国原産。中国名は白前 bai qian
12 Vincetoxicum hirundinaria Medik. ヤクヨウカモメヅル
synonym Asclepias vincetoxicum Linn.
synonym Cynanchum vincetoxicum (Linn.) Pers.
synonym Vincetoxicum officinale Moench
ヨーロッパ、アジア(インド、ブータン、ネパール、パキスタン、南西アジア)、北アフリカ(アルジェリア、モロッコ)原産。英名は German ipecac , swallowwort , white swallowwort 。
茎は直立、高さ120㎝以下、微軟毛があるかほぼ無毛。葉は長さ6~10㎝×幅2.5~5㎝、卵形~卵状披針形、ほぼ無毛~脈上や縁に軟毛がある。葉柄は長さ5~11㎜。花は6~15個、葉腋に束生する。咢は長さ約1.5㎜。咢片は線形、軟毛がある。花冠は内面は無毛、白色又は帯緑色。副花冠の裂片は無柄。袋果は長さ5~7.5㎝×幅約8㎜、紡錘形、尖鋭形、無毛。花期は5~7月。
13 Vincetoxicum hoyoense T.Yamash. ホウヨカモメヅル 豊予鴎蔓
日本固有種(四国、九州)
花や葉が大きく花冠裂片は長さ7~9.5㎜、葉も大きく、長さ9から13.5㎝、卵形~長円形、基部は浅い心形。2n=22
14 Vincetoxicum inamoenum Maxim. エゾノクサタチバナ 蝦夷草橘
synonym Cynanchum inamoenum (Maxim.) Loes. ex Gilg & Loes
synonym Alexitoxicon inamoenum (Maxim.) Pobed.
synonym Vincetoxicum nikoense (Maxim.) Kitag.
日本(北海道)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は竹灵消 zhu ling xiao 。
茎は直立、高さ70㎝以下、1本、中空、軟毛が1本の線状にあり、先には密に軟毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ0~6㎜。葉身は広卵形、長さ3~7㎝×幅1.5~5㎝、脈に微軟毛があり、無毛になり、基部は円形~類心形、先は鋭形~尖鋭形、側脈は約5対。花序は散形花序状、花が, (3~)8~10個つく。花序柄は長さ0.4~2.5㎝、軟毛がある。花柄は長さ3~8㎜、軟毛がある。咢片は披針形、長さ 2~2.5㎜×幅0.7~0.9㎜、まばらに軟毛があるか、無毛になる。花冠は黄色、ときに、花冠筒部に内側に毛がある以外は無毛。花冠筒部は長さ1~1.3㎜。花冠裂片は車形、卵状長円形、長さ 2.5~4㎜×幅1~2㎜。副花冠は厚く、±三角形、、鋭形、 肉柱体より長く、基部が葯につき、先端はときに内側に曲がる。葯の付属体は丸い。花粉塊は長円形。柱頭の頭部は凸面。袋果は線状披針形、長さ4~6㎝×幅5~10㎜、無毛、ほとんど1個だけつき、2個のときは散開する。花期は5~7月。2n=44。
15 Vincetoxicum izuense T.Yamash. イズカモメヅル
synonym Vincetoxicum izuense f. chloranthus Katsuy. & Konta
日本固有種(伊豆半島)
岩礫地に生え、葉が楕円形、紙質、葉の下面に密に曲がった毛状突起がある。2n=22、よく似たコバノカモメヅルは湿った場所に生え、葉が披針形~線状披針形~狭三角形、膜質。2n=44。イヨカズラ(Vincetoxicum japonicum)は岩礫地に生えるが、葉の下面の曲がった毛状突起が無い。
16 Vincetoxicum japonicum (C.Morren et Decne.) Decne. イヨカズラ 伊予葛
synonym Cynanchum japonicum (C.Morren & Decne.) Hemsl.
synonym Cynanchum albiflorum (Franch. & Sav.) Koidz.
synonym Cynanchum grayanum (Maxim.) Koidz.
synonym Cynanchum rubellum (Franch. & Sav.) Matsum.
synonym Cynanchum puncticulatum Koidz.
日本(本州、四国、九州)、朝鮮原産。別名はスズメノオゴケ
多年草。高さ30~80㎝。茎は直立し、普通、枝分かれしない。先がつる状になることもある。葉は対生し、短い葉柄があり、長さ3~10㎝、幅3~7㎝の楕円形、先が尖る。葉質は厚く、毛がなく、表面には光沢がある。花冠は淡黄白色で、5裂し、直径約8㎜。花柱の周りに5個並んでいるのは、副花冠。袋果は長さ4~6㎝、幅1~1.5㎝、無毛。花期は5~7月。
16-1Vincetoxicum japonicum C.Morren et Decne. f. maritimum Sugim. マルバオゴケ
16-2 Vincetoxicum japonicum C.Morren et Decne. f. puncticlatum (Koidz.) Kitag. クロバナイヨカズラ
17 Vincetoxicum katoi (Ohwi) Kitag. クサナギオゴケ 草薙尾苔
synonym Cynanchum katoi Ohwi
synonym Vincetoxicum yamanakae (Ohwi et H.Ohashi) H.Ohashi
日本固有種(本州の関東地方・東海地方・近畿地方、四国)。山地の林縁に生える。
多年草。高さ30~100㎝。葉が小形になる。葉は対生、まれに3輪生し、小さい個体では茎の上部、大きい個体では茎の中部に集まる。葉柄は長さ5~10㎜。葉身は長さ8~17㎝、幅3~5㎝の楕円形~卵状披針形、全縁、先は鋭頭、基部は楔形。葉質は薄く、脈上に短毛がある。花柄は細く、まばらに分枝した円錐花序に花が多数つく。花は直径6~9㎜。花冠は無毛、星形に5裂し、表面は淡紫色、裏面は淡紅紫色が弱い。副花冠は環状、5裂し、花冠と同色、表面は平滑。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。小球(捕捉体)は紫褐色。 袋果は披針形、長さ4~5.5㎝。花期は5~6月。
17-1 Vincetoxicum katoi (Ohwi) Kitag. f. albescens (H.Hara) Kitag. シロバナクサナギオゴケ 白花草薙尾苔
白花品種。
18 Vincetoxicum macrophyllum Siebold et Zucc. ツクシガシワ 筑紫柏
synonym Cynanchum grandifolium Hemsl.
synonym Cynanchum kiusianum Nakai
synonym Cynanchum lasiocarpum Koidz.
日本固有種(九州、四国)。山地の林下に生える。
多年草、直立し、高さ50~100㎝。茎に先端がつる状に伸びる。葉は数対対生し、下部に大きな葉が約3対つき、上部の葉は小さく苞状。大きな葉は葉柄が長さ3~6㎝、卵円形~広楕円形、長さ12~25㎝×幅7~15㎝、先は鋭形、基部は円形~楔形。上部の葉は間隔が開き、小さく、無柄。花は上部の葉腋に多数(約10個)、束生する。花柄は長さ2~5㎝。花冠は暗紫色、直径8~10㎜。袋果は線状披針形長さ5~8㎝×幅約4㎜。花期は6~7月。
18-1 Vincetoxicum macrophyllum Siebold et Zucc. var. nikoense Maxim. ツルガシワ 蔓柏
synonym Vincetoxicum nikoense (Maxim.) Kitag.
synonym Vincetoxicum kitagawae Hiyama
ツクシガシワは花柄が長さ2~5㎝。ツルガシワは花柄がごく短い。
19 Vincetoxicum magnificum (Nakai) Kitag. タチガシワ 立柏
synonym Cynanchum magnificum Nakai
日本固有種(本州、四国)。山地の林下に生える。
多年草、直立し、高さ30~60㎝、分枝せず、軟毛がある。根はやや太いひげ根が多数つく。葉は茎の先に集まって対生し、葉柄は長さ2~4㎝。葉身は広卵形~菱状広楕円形、縁は全縁、花後に葉が大きくなり、長さ10~17㎝×幅7~13㎝、先は尖鋭形、基部は円形~広楔形、脈は上面で窪み、脈上にわずかに軟毛がある。散形花序は頂生、ときに腋生し、半球状、花が密に数個~多数つく。花柄は長さ1~2㎝。萼は緑色、5深裂し、咢片は披針形、長さ約2㎜。花冠は淡黄紫色、5深裂し、無毛。花冠裂片は長さ約3.5㎜、先は鈍形。副花冠は小さく、裂片は半円形。 袋果は2個つき、斜上し、長さ7~15㎝。種髪は白色。花期は5~6月。
20 Vincetoxicum matsumurae (T.Yamaz.) H.Ohashi ヒメイヨカズラ 姫伊予蔓
synonym Cynanchum matsumurae T.Yamaz.
synonym Cynanchum villosum Matsum.
synonym Tylophora matsumurae (T.Yamaz.) T.Yamash. & Tateishi
日本固有種(九州南部~沖縄)。海岸近くの草地に生える。
多年草、直立し、高さ20~40㎝。葉は茎の節間が短く、密に対生し、葉柄は短い。葉身は広楕円形~円形、基部は円形、全縁、先は円形、やや多肉質。花序は腋生、短い。花冠は淡黄色、直径6~7㎜。花冠裂片は幅がやや広い。袋果は2個、ほぼ直線上につき、細い。花期は4~8月。
21 Vincetoxicum nigrum (L.) Moench
synonym Asclepias nigra L.
synonym Cynanchum louiseae Kartesz & Gandhi
synonym Cynanchum nigrum (L.) Pers.
ヨーロッパ西南部(イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル)原産。英名はblack swallowwort , dog-strangling-vine 。アメリカに帰化している。
多年草、高さ2m以下、根茎をもつ。茎は斜上で不規則、毛がある。葉は対生し、葉身は長さ27~180㎜×幅15~74 ㎜、円形~披針形、全縁、基部はわずかに心形、縁と両面の脈上に毛がある。葉柄は長さ3~22㎜、有毛。 花序は腋生及び頂生、花が4~16個のつく。花序柄は長さ11~21㎜。苞は長さ1~1.5㎜×幅約0.5㎜、三角形、有毛。 花柄は長さ2~6㎜、有毛。咢片は長さ1.5~2㎜×幅0.8~1㎜、卵形、縁毛がある。花冠は暗褐色、花冠裂片は長さ2.8~4.3㎜×幅1.5~2.5㎜、三角状披針形、先は鋭形、内面に密に毛がある。副花冠は長さ1~1.4㎜、花冠と同色。袋果は長さ43~80㎜×幅6~10㎜、1個つき、紡錘形、直立、無毛、褐色。 種子は長さ6~6.5㎜×幅3~4㎜、梨形、扁平、翼があり、褐色。種髪は長さ17~24㎜、白色。 2n = 22、44。
品種) 'Zotista'= I am a Tiny Star
22 Vincetoxicum nipponicum (Matsum.) Kitag. オオアオカモメヅル 大赤鴎蔓
synonym Cynanchum nipponicum Matsum.
synonym Cynanchum abukumense Koidz.
synonym Cynanchum glabrum Nakai タチカモメヅル
synonym Vincetoxicum glabrum f. rotundifolium (Honda) Sugim. ex Yonek マルバカモメヅル
synonym Vincetoxicum glabrum f. viridescens (Murata) Sugim. ex Yonek. アオタチカモメヅル
日本(本州の東北地方~中部地方)、朝鮮、ロシア原産。湿った草地 林縁に生える。
多年草、高さ1m以下。茎は下部が直立し、上部はつる状、曲毛がある。葉は対生、葉柄は長さ約5㎜。葉身は長楕円状披針形、長さ約10㎝、先は鋭形、基部は円形~やや心形、下面や縁に軟毛がある。花序は腋生。花柄は短い。咢には毛がある。花冠は直径約1㎝、帯黄白色。花期は6~7月。
Kewscienceではオオアオカモメヅルにタチカモメヅルを含めている。
22-1 Vincetoxicum nipponicum (Matsum.) Kitag. f. abukumense (Koidz.) Kitag. ナガバクロカモメヅル
花が赤褐色。
23 Vincetoxicum pycnostelma Kitag. スズサイコ 鈴柴胡
synonym Cynanchum dubium Kitagawa コゴメスズサイコ
synonym Vincetoxicum paniculatum auct. non (R.Br.) Kuntze オーストラリア産
synonym Vincetoxicum paniculatum (Bunge) C. Y. Wu & D. Z. Li
synonym Cynanchum paniculatum (Bunge.) Kitag. [Flora of China]
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア原産。中国名は徐长卿 xu chang qing 。和名はミシマサイコに似て、つぼみが鈴のような形をしていることから。
多年草、直立し、高さ40~80㎝。根は密にひげ根がある。茎は硬くて細く、無毛又は下部に剛毛があり、うねがあり、分枝せず又は上部で少数分枝する。葉は対生し、葉柄は長さ約3㎜。葉身は披針形~線形、長さ5~13㎝×幅0.5~1㎝、硬い紙質、無毛又は上面に微軟毛があり、縁毛があり、上面より下面は白く、断面は平たくならず、中脈で折れ、V字形となり、基部と先は鋭形、側脈は不明瞭。花序は頂生及び上部の節につき、緩く分枝し、長さ7㎝以下、垂れ下がるように花をつける。花序柄は長さ2.5~4㎝。花柄は長さ5~10㎜。咢片は披針形、長さ1~15㎜×幅約0.5㎜、腺は有又は無。花冠は黄色~黄緑色~褐色、類車形、直径約1.5㎝、無毛、筒部は短い。花冠裂片は卵形、長さ4~5.5㎜×幅1.5~3㎜。副花冠は5深裂し、裂片は卵状長円形、肉質、わずかに横が扁平、先は鈍形、長さは葯と同長、内側には中間まで竜骨があり、葯につく。葯の付属体は半円形、柱頭の頭部よりわずかに短い。花粉塊は長円形。柱頭の頭部は類疣がある。袋果は披針形、長さ4~8㎝×幅3~8㎜。種子は長円形、約・長さ5㎜×幅3㎜。種髪は長さ1.5~3㎝。花期は5~7月。果期は8~12月。2n=22。
23-1 Vincetoxicum pycnostelma Kitag. f. latifolium (Makino) Kitag. ヒロハスズサイコ
synonym Vincetoxicum makinoi Honda
葉が大きく、幅も広く、葉は長さ12~17㎝×幅1.5~2.5㎝。
24 Vincetoxicum sieboldii Franch. et Sav. トキワカモメヅル 常盤鴎蔓
synonym Cynanchum sieboldii (Franch. & Sav.) Ohwi
synonym Tylophora japonica Miq.
synonym Tylophora liukiuensis Matsum.
synonym Vincetoxicum kawaroense Meve & Liede
日本固有種(四国、九州、南西諸島)。草地、林縁に生える。
多年草。茎はつる性、長く伸び、無毛。葉は対生し、狭長楕円状披針形、長さ4~10㎝×幅1~3㎝、、先は鋭形、基部は円形、厚く、光沢があり、中脈上に微軟毛がある。花序は集散花序、長さ3~6㎝、花が疎につく。花冠は紫色、直径7~8㎜、5深裂する。副花冠は肉柱体の長さの半分。袋果は1個つき、披針形長さ9~10㎝。花期は6~7月。
25 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim
synonym Cynanchum sublanceolatum (Miq.) Matsum
synonym Cynanchum maximowiczianum (Warb.) Nakai
synonym Cynanchum macranthum (Maxim.) Nakai
25-1 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. sublanceolatum コバノカモメヅル 小葉の鴎蔓
synonym Cynanchum sublanceolatum (Miq.) Matsum.
日本(本州の関東地方~近畿地方の太平洋岸)、中国原産。中国名は镇江白前 zhen jiang bai qian 。湿地、草地、休耕田に生える。
多年草。茎は蔓状、よく分枝して伸び、他の木や草に巻きつく。葉は対生し、披針形~広披針形で、先が尖り、基部は浅い心形~切形。葉縁は全縁で、柄がある。花は直径7~15㎜、暗紫色(褐紫色)。花冠は無毛、星形に5裂し、裂片は細長く、先が明瞭に捻じれる。ガガイモ科の特徴である副花冠は環状、5裂し、裂片は雄しべの真下にあり三角状卵形、基部が丸みを帯びて張り出し、表面は平滑。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は長さ約0.24㎜、葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約0.2㎜の紫褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ5~7㎝×幅0.6~0.7㎝。種子は長さ約8㎜、長い種髪がつき、幅約5㎝に円く広げ、風で散布される。花期は7~9月。2n=44
25-1-1 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. sublanceolatum f. albiflorum (Franch. et Sav.) H.Ohashi アズマカモメヅル 東鴎蔓
synonym Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. albiflorum (Franch. et Sav.) Kitag.
synonym Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. albidum Franch. et Sav.
synonym Cynanchum sublanceolatum (Miq.) Matsum. form. albiflorum (Frasnch. et Sav.)T.Yamaz.
多年草。茎は蔓状、よく分枝して伸び、他の木や草に巻きつく。葉は対生し、長さ4~5㎝(実測 長さ3~5㎝ 幅1.5~2.5㎝)の披針形~広披針形で、先が尖り、基部は浅い心形~切形。葉縁は全縁、葉柄は長さ1~2㎝(実測約1.5㎝)。花は直径7~15(7~9)㎜、黄白色、ときに中心部が紫色を帯びる。花冠は星形に5裂し、裂片は細長く、先が明瞭に捻じれる。こ花冠に扁平な毛がまばらにある。ガガイモ科の特徴である副花冠は環状、5裂し、裂片は雄しべの真下にあり三角状卵形、基部が丸みを帯びて張り出し、表面は平滑。雄しべは雌しべを囲んで短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成する。葯には膜質の付属体がある。花粉は花粉粒が集合し、黄色の塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は長さ約0.23㎜、葯室の中にあり、外からは見えない。隣の葯との付属体の間にある長さ約0.2㎜の紫褐色の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。袋果は長さ(4)5~7㎝。種子は扁平、長い毛(種髪)があり、風で散布される。花期は7~9月。
25-2 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. auriculatum Franch. et Sav. ジョウシュウカモメヅル 上州鴎蔓
synonym Cynanohum harunamontanum Honda
葉幅が広く、長卵形で、基部は湾入し、両面に毛がある。花序柄と花柄に、先に向かう長毛が密にある。花は大きく(直径20㎜以上)、濃紫色。
25-3 Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. macranthum Maxim. シロバナカモメヅル白花鴎蔓
synonym Vincetoxicum sublanceolatum (Miq.) Maxim. var. macranthum Maxim. f. yesoense (Nakai) Kitag.
葉先が長く鋭尖る。花は直径12~20㎜、緑黄色。
26 Vincetoxicum tanakae (Maxim.) Franch. et Sav. ツルモウリンカ 蔓茉莉花
synonym Tylophora stenoloba Warb.
日本固有種(九州南部~沖縄)。海岸近くの草地、林縁 に生える。
多年草。茎はつる状、長く伸び、若い茎には密に軟毛がある。葉は対生し、卵形~楕円形、長さ3~7㎝×幅2~4.5㎝、厚く、先は鈍形~微突形、基部は円形~浅い心形、全縁、上面は普通、短毛があり、ときに脈を除き無毛。花序は腋生、短く分枝し、花を多数つける。花柄は長さ6~10㎜、細く、無毛又は有毛。花冠は直径6~7㎜、淡黄色、中心部が紫色を帯びる。副花冠は肉柱体の半分の長さ、裂片は無毛または内面に短毛がある。袋果は2個、八の字形につき、披針形、長さ約5㎝。花期は8~9月。
27 Vincetoxicum versicolor (Bunge) Decne. アオバナカモメヅル
synonym Cynanchum versicolor Bunge
synonym Cynanchum mandshuricum (Hance) Hemsley
synonym Vincetoxicum mandschuricum Hance
中国原産。中国名は变色白前 bian se bai qian
28 Vincetoxicum volubile Maxim. チョウセンイケマ
synonym Cynanchum volubile (Maximowicz) Hemsley
朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は蔓白前 man bai qian
29 Vincetoxicum yonakuniense (Hatus.) T.Yamash. et Tateishi ヨナクニカモメヅル 与那国鴎蔓
synonym Cynanchum yonakuniense Hatus.
日本固有種(与那国島)
30 ハイブリッド
(1) Vincetoxicum x krameri Franch. et Sav. マルバノフナバラソウ
フナバラソウ× ロクオンソウ
(2) Vincetoxicum x multinerve Franch. et Sav. ex Maxim. ホソバノロクオンソウ
synonym Vincetoxicum multinerve Franch. et Sav. var. kiyohikoanum (Honda) Kitag.
別名はアキノクサタチバナ、オオツルガシワ
(3) Vincetoxicum x purpurascens (C.Morren et Decne.) Decne. ムラサキスズメノオゴケ
synonym Vincetoxicum x vernyi Franch. et Sav.
フナバラソウ×イヨカズラ。別名はミウラスズメノオゴケ
(3-1) Vincetoxicum x purpurascens (C.Morren et Decne.) Decne. var. albiflorum Franch. et Sav. シロバナクサタチバナ
synonym Vincetoxicum japonicum C.Morren et Decne. var. albiflorum (Franch. et Sav.) Kitag.
別名はビロードイヨカズラ
(4) Vincetoxicum x sakaianum (Honda) Kitag. ミヤマフナバラソウ
フナバラソウ×クサタチバナ
イケマ属
family Apocynaceae - genus Cynanchum亜低木又は多年草、葉がある又は葉が無い。茎は草質又は多汁、絡み付く又は絡み付かず、 浸出するラテックスは白色、ごくたまに透明又は帯黄色。葉は対生、基部に集まって輪生し、ときに葉腋に托葉状の葉がある種もある。花序は腋外生( extra-axillary)、花序柄は無又は有、散形花序状又は成長する花序軸に沿って束生する。花冠は基部で融合し、無毛又はたまに軟毛がある。副花冠(corona)はCorolline coronaでは無く、Gynostegial coronaであり、1~2輪につき、内側の輪には肉質の雄性の裂片があり、外側の輪は様々に発達した筒であり、雄しべと、肉柱体(gynostegium)を取り囲む雄しべ間部分を部分的に又は完全に融合したものである。肉柱体は柄が無又は有。花粉塊(pollinia)は葯室の中に垂れ下がる。花柱の頭部は±平ら、円錐形、又は先に嘴状の付属体をもつ。袋果は普通、発育不全により1個が発達する。っ種子は扁平、翼が有又は無、平滑又は彫刻され、無毛又は有毛、白毛の種髪(coma)をもつ。
世界に約280種あり、熱帯、亜熱帯に広く分布し、数種が温帯に分布する。
20世紀後半に定義されたCynanchum(約400種を含む) は多系統であり、分割されている。種はOrthosia、Pentarrhinum、 Vincetoxicumを含む属に移動され、旧世界のほとんどのグループはCynanchumに留まっている。
イケマ属の主な種
1 Cynanchum boudieri H.Lev. et Vaniot アマミイケマ 奄美生馬synonym Cynanchum wilfordii (Maxim.) Hook.f. var. amamianum Hatus
synonym Cynanchum taiwanianum T.Yamaz.
synonym Cynanchum acuminatum Royle ex Wight var. amamianum (Hatus.) T.Yamaz.
synonym Cynanchum auriculatum auct. non Royle ex Wight
日本(沖縄)、中国、台湾、ロシア原産。中国名は折冠牛皮消 zhe guan niu pi xiao
根は塊根、長さ10~50㎝×幅1~4㎝。茎は絡み付き、伸びて長さ5m以下、軟毛がある。葉は対生。葉は長さ約5㎝、上側に腺体をもつ。葉身は広卵形~卵状長円形、長さ4~18以上㎝×幅4~11.5(~17)㎝、膜質、上面は微軟毛があり、基部は心形、基部の裂片はほとんど反曲、ときに内側に曲がり、まれに重なり、先は短い尖鋭形、側脈は5~6対。花序は総状花序状、花が30個以下つく。花序柄は長さ6~10㎝。花柄は長さ約1.5㎝、微軟毛がある。咢片は卵状長円形、縁毛があり、軟毛がある。花冠は白色、長さ1㎝以下。花冠筒部は短い。花冠裂片は長円形、長さ(3~)3.5~6㎜×幅1.5~1.7 ㎜、花後に強く後屈し、内面に直軟毛がある。副花冠はごく深く5裂し、裂片は楕円形、肉質、先は鈍形、高さは肉柱体の2倍以下、狭三角形の付属体をもつ。花粉塊は長円形。柱頭の頭部は円錐形、先は2裂。袋果は披針形、長さ8~11㎝×幅8~10㎜、2本の縦のうねをもつ。種子は卵状楕円形。花期は6~9月。果期は7~12月。
2 Cynanchum bungei Decne. ヤハズイケマ
朝鮮、中国原産。中国名は白首乌 bai shou wu
3 Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim. イケマ 生馬
synonym Cynanchum ikema Ohwi
synonym Cynanchum maximoviczii Poped.
synonym Cynanchum boudieri H.Lev. et Vaniot subsp. caudatum (Miq.) P.T.Li, M.G.Gilbert et W.D.Stevens
北海道、本州、四国、九州、サハリン
多年草。根は肥大し、数本に枝分かれし、有毒。葉は長さ5~15㎝の楕円~長楕円形。葉先が尖り、基部は心形、長さ3~6㎝の柄がある。葉腋の半球形状の散形花序に白色の花が多数つく。花柄は長さ6~12㎝と長い。花は直径6~8㎜。花冠のように見える白い部分は副花冠、長さ4~5㎜。黄緑色の下方に反り返った萼のように見える部分が花冠。袋果は長さ10~12㎝、無毛、有毒。種子には長い種髪(白毛)がつき、風によって散布される。2n=22。花期は7~8月。
3-1 Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim. var. tanzawamontanum Kigawa タンザワイケマ
4 Cynanchum chinense R.Br. ヒメイケマ
朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は鹅绒藤 e rong teng
5 Cynanchum formosanum (Maxim.) Hemsl. ホウライイケマ
synonym Cynanchum formosanum (Maxim.) Hemsl. var. ovalifolium Tsiang et P.T.Li
synonym Cynanchum crassifolium Hatus.
台湾原産。中国名は台湾杯冠藤 tai wan bei guan teng
6 Cynanchum lanhsuense T.Yamaz. コウトウガシワ
台湾原産。中国名は兰屿牛皮消 lan yu niu pi xiao
7 Cynanchum liukiuense Warb. リュウキュウガシワ 琉球柏
日本固有種(南西諸島)台湾、フィリピン。草地に生える。
多年草、つる性、茎は長さ数メートルになり、無毛、やや粉白色を帯びる。葉は対生し、卵形~卵状楕円形、長さ5~9㎝×幅2.5~6㎝、やや厚く、基部は浅い心形、全縁、先は短い鋭形。葉柄は長さ1~2㎝、基部に葉状托葉が1対ある。花序は腋生の短い総状花序花。花序柄は長さ約2㎝。花冠は帯黄紫色、直径約7㎜、5深裂する。副花冠は肉柱体より長く、黄色。袋果は披針状長楕円形、約・長さ7㎝×幅2㎝。沖縄のC.liukiuenseと、台湾のC formosanumとは葉の形がことなるが花の構造には大差がない。
8 Cynanchum mooreanum Hemsl. ケビャクゼン
台湾原産。中国名は毛白前 mao bai qian
9 Cynanchum purpureum (Pall.) K.Schum. ムラサキカモメヅル
朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は紫花杯冠藤 zi hua e rong teng
10 Cynanchum rostellatum (Turcz.) Liede & Khanum ガガイモ 蘿芋
synonym Metaplexis japonica (Thunb.) Makino
synonym Metaplexis rostellata Turcz
synonym Pergularia japonica Thunb.
日本、朝鮮、中国原産。中国名は萝藦 luo mo。英名はpanicled tick-trefoil。
多年草。つる性(長さ~8m)。道端などで普通に見られる。茎を切ると乳白色の液が出る。葉は対生し、無毛、全縁、長さ5~10㎝の長卵形、基部は心形、先が尖る。葉の質はやや厚く、裏面はやや白い。葉腋に、短い円錐花序をつけ、直径約1㎝の淡紅紫色の花を固まってつける。花冠は5深裂し、外側に反曲し、白色の軟毛が密生する。副花冠は環状、5裂し、裂片は短く、雄しべの間につく。雄しべは短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成し、中心から柱頭がくちばし状に突き出す。柱頭の先はよれて曲がる。花粉は花粉粒が集合し、塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は葯室の中にあり、葯の付属体の間にある5個の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。萼は5全裂。袋果は表面にいぼ状突起があり、長さ約10㎝、熟すと片側が裂開し、最後には水平に開いてしまう。種子は扁平、長い毛(種髪)があり、風で散布される。2n=22,24。花期は8~9月
10-1 Metaplexis japonica (Thunb.) Makino f. albiflora Honda シロバナガガイモ 白花蘿芋
白花品種。
11 Cynanchum thesioides (Freyn) K.Schum. ヤナギカモメヅル
synonym Cynanchum sibiricum (L.) R.Br.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン原産。中国名は地梢瓜 di shao gua
12 Cynanchum wilfordii (Maxim.) Hook.f. コイケマ 小生馬
synonym Vincetoxicum wilfordii (Maximowicz) Franchet & Savatier.
日本(本州の関東以西、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は隔山消 ge shan xiao 。林縁、草地に生える。コイケマはイケマよりも葉の基部の心形が深く耳状、花序柄がイケマより短い。
根は肉質、不規則な紡錘形、長さ10㎝×幅2㎝以下。茎は絡み付き、1本線状に毛がある。葉は対生。葉柄は長さ約2㎝、上側に腺体がある。葉身は卵形~卵状心形、長さ5~6㎝×幅2~4㎝、質が薄い紙質、伏した微軟毛があり、上面は乾くと暗色になり、基部は耳状心形、基部の裂片は円く、反曲又は内向きに曲がり、先は短い尾状~尖鋭形、基部の葉脈は3~5本、側脈は約4対。花序は散形花序状~ごく短い総状花序、半球形、密に花が15~20個つく。花序柄は長さ約1.5㎝、まれに二又になり、片面に微軟毛がある。花柄は長さ5~7㎜、微軟毛がある。咢片は長円状披針形、約・長さ1.5㎜×幅0.6㎜、無毛又はまばらに軟毛があり、基部に10個の蜜腺がある。花冠は黄色、車形、花冠裂片は披針形、長さ4.5~5㎝×幅約2㎜、外側は無毛、内側に密に短直軟毛がある。副花冠は5深裂し、裂片は円形~四角に近く、膜質、肉柱体(gynostegium)より短く、基部は漸尖形、先は切形、内側に横のうねをもつ。肉柱体には柄がある。葯の付属体は卵形、副花冠の長さとほとんど同長。花粉塊は長円形。柱頭の頭部には疣がある。袋果は披針形、長さ11~12㎝×幅1~1.4㎝。種子は卵形、長さ約7㎜。種髪は長さ約2㎝。花期は5~9月。果期は7~11月。
オオカモメヅル属
family Apocynaceae - genus Tylophora普通、多年草、蔓性、たまに草質で直立。花序は腋外生( extra-axillary)、、まれに頂生、ほとんどが、数個の小集散花序( cymule)をもち、単純又は分枝し、しばしば花序軸がジグザグになり、たまに、散形花序状になる。小集散花序は総状花序状又はときに散形花序状。咢は基部に腺をもつ。花冠は車形又は類車形、5深裂し、花冠裂片は右側に浅く重なるか、ほぼ敷石状、しばしば明瞭な脈がある。花冠裂片は普通、直立、膨らみ、肉柱体(gynostegium)につき、超えず、まれに±広がり、円形。葯は短く、付属体は柱頭の頭部を弓なりに超える。花粉塊(pollinia )は花粉団(pollinarium)に2個つき、水平、類直立、まれに直立、花粉塊柄(caudicle)は斜上又は類直立、支帯(retinaculum)は小さい。柱頭の頭部は凹み、平ら、又は凹面、まれに葯より長い、袋果は長円状披針形又は紡錘形。種子は種髪がある。
世界に約89種があり、熱帯、亜熱帯のアジア、アフリカ、、オーストラリアに分布する。
【他属へ移動された主な種】
1 Tylophora aristolochioides Miq. オオカモメヅル⇒Vincetoxicum aristolochioides (Miq.) Franch. et Sav.
2 Tylophora floribunda Miq. コカノメヅル ⇒Vincetoxicum floribundum (Miq.) Franch. et Sav
ガガイモ属
family Apocynaceae - genus Metaplexisつる性多年草又は攀縁性の亜低木。葉は対生、長い葉柄がある。花序は長い花序柄があり、よく発達する花序軸に緩くつく小集散花序をもつ総状花序状である。咢は基部に5個の腺をもつ。花冠は類車形、裂片は筒部より長く、左に捻じれる。副花冠は環状、肉柱体(gynostegium)の基部につき、縁は5裂し、裂片は鈎状。花糸は合着し、短い筒になる。葯の付属体は内側に曲がる。花粉塊(pollinia )は花粉団(pollinarium)に2個、長円形~卵状長円形、垂れ下がる。柱頭の頭部は嘴があり、2裂又は全縁、葯の付属体を超える。袋果は紡錘形又は長円形、果皮は微細突起があるか、しわがあるか、又は平滑。種子は卵形。
世界に約6種があり、東アジアに分布する。
2010年までにMetaplexis hemsleyanaとMetaplexis japonicaの2種に整理された。
2016年のパキスタンのイスラマバード大学のKhanum博士らの研究により、ガガイモ属(Metaplexis)はイケマ属(Cynanchum)に含められた。
Cynanchumは Asclepiadoid 属の1つであり、旧世界と新世界の両方に分布する。5葉緑体と4分子マーカーによるベイズ推定法に基づく100種以上の研究の結果、9クレードを決定した。明確な形態学特性がいくつかの特別なクレード又は数クレードの組み合わせに関係がなく、そのため、 Cynanchumの広い概念の導入がグループの最も適切な分類学上の解決と思われる。必要な新しい組み合わせが作られ、12の新種の組み合わせと2新亜種の組み合わせと、2個の新しい名がつけられた。その結果、Glossonema , Graphistemma , Holostemma , Metalepis , Metaplexis , Odontanthera , Pentarrhinum , Raphistemma , Seshagiriaの9属がCynanchumに含められた。Adelostemma と Sichuaniaは形態学的理由でCynanchumに含められた。(参考13)
【他属へ移動された種】
1 Metaplexis hemsleyana Oliv. ⇒Cynanchum hemsleyanum (Oliv.) Liede & Khanum
2 Metaplexis japonica Makino ⇒Cynanchum rostellatum (Turcz.) Liede & Khanum
参考
1) Flora of ChinaCynanchum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=108969
2) GRIN
Vincetoxicum
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=16970
3) Flowers of Pakistan
Vincetoxicum hirundinaria
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=220014178
4)Plants of the World Online | Kew Science
Vincetoxicum
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30010004-2
5)Flora Vascular Vincetoxicum nigrum (L.)
https://www.floravascular.com/index.php?spp=Vincetoxicum%20nigrum
6)World Flora Online
Search
http://www.worldfloraonline.org/
7)Acta Phytotax .Geobot. 55 (1 )1-8 (2004)
Two New Species of Yincetoxicum (Apocynaceae) from Japan
Vincetoxicum izuense and Vincetoxicum hqyoense
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/55/1/55_KJ00004622799/_pdf/-char/en
8) Acta Phytotax .Gcobot. 54 (1 )31-36 (2003)Vincetoxicuum yonakuniense , a New Combination of Asclepiadaceae and
its New Distribution Rnecord on Senkaku Islands, Ryukyu Archipelago
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/54/1/54_KJ00004623203/_pdf/-char/en
9)PhytotaxaVincetoxicum (Apocynaceae/Asclepiadoideae) expanded to include Tylophora and allies
https://www.biotaxa.org/Phytotaxa/article/view/phytotaxa.369.3.1
10)植物研究雑誌 78(6) (通号 832) 2003.12 p.349~354Transference of Cynanchum matsumurae T.Yamaz. to Tylophora(Asclepiadaceae)
ヒメイヨカズラ(カガイモ科)の所属
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_078_349_354.pdf
11)植物研究雑誌66(1): 60-61(1991)
アマミイケマについて
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_066_60_61.pdf
12植物研究雑誌13(2): 67-75(1937)
混乱せる日本のオオカモメヅル属植物とイケマ属植物
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_013_67_75.pdf
13)Khanum & al.ynanchum revisited TAXON 65 (3) June 2016: 467-486
Cynanchum (Apocynaceae: Asclepiadoideae): A pantropical Asclepiadoid genus revisited
https://www.researchgate.net/publication/304453888_Cynanchum_Apocynaceae_Asclepiadoideae_A_pantropical_Asclepiadoid_genus_revisited