イケマ  生馬
[学名] Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim.
Cynanchum maximoviczii Poped.
Cynanchum ikema Ohwi
 キョウチクトウ科 Apocynaceae イケマ属
イケマの花
イケマの葉
イケマの果実
イケマ
イケマ未熟な果実に内部
 旧ガガイモ科はキョウチクトウ科に含められた。
 和名は、「それ(神)の足」というアイヌ語に由来する。
 根は肥大し、数本に枝分かれし、有毒。葉は長さ5~15㎝の楕円~長楕円形。葉先が尖り、基部は心形、長さ3~6㎝の柄がある。葉腋の半球形状の散形花序に白色の花が多数つく。花柄は長さ6~12㎝と長い。花は直径6~8㎜。花冠のように見える白い部分は副花冠、長さ4~5㎜。黄緑色の下方に反り返った萼のように見える部分が花冠。袋果は長さ10~12㎝、無毛、有毒。種子には長い種髪(白毛)がつき、風によって散布される。2n=22
 中国に分布するのはよく似たCynanchum auriculatum Royle ex Wight 牛皮消(niu pi xiao) であり、イケマは中国には分布しない。
[花期] 7~8月
[高さ] つる性
[生活型] 多年草
[生育場所] 山地
[分布] 在来種  北海道、本州、四国、九州、サハリン
[撮影] 駒ヶ根高原  06.8.9

 イケマ属

  family Apocynaceae - genus Cynanchum
 
 亜低木又は多年草、葉がある又は葉が無い。茎は草質又は多汁、絡み付く又は絡み付かず、 浸出するラテックスは白色、ごくたまに透明又は帯黄色。葉は対生、基部に集まって輪生し、ときに葉腋に托葉状の葉がある種もある。花序は腋外生( extra-axillary)、花序柄は無又は有、散形花序状又は成長する花序軸に沿って束生する。花冠は基部で融合し、無毛又はたまに軟毛がある。副花冠(corona)はCorolline coronaでは無く、Gynostegial coronaであり、1~2輪につき、内側の輪には肉質の雄性の裂片があり、外側の輪は様々に発達した筒であり、雄しべと、肉柱体(gynostegium)を取り囲む雄しべ間部分を部分的に又は完全に融合したものである。肉柱体は柄が無又は有。花粉塊(pollinia)は葯室の中に垂れ下がる。花柱の頭部は±平ら、円錐形、又は先に嘴状の付属体をもつ。袋果は普通、発育不全により1個が発達する。っ種子は扁平、翼が有又は無、平滑又は彫刻され、無毛又は有毛、白毛の種髪(coma)をもつ。
 世界に約280種あり、熱帯、亜熱帯に広く分布し、数種が温帯に分布する。
  20世紀後半に定義されたCynanchum(約400種を含む) は多系統であり、分割されている。種はOrthosia、Pentarrhinum、 Vincetoxicumを含む属に移動され、旧世界のほとんどのグループはCynanchumに留まっている。


 イケマ属の主な種

 1  Cynanchum boudieri H.Lev. et Vaniot  アマミイケマ 奄美生馬
   synonym Cynanchum wilfordii (Maxim.) Hook.f. var. amamianum Hatus
   synonym Cynanchum taiwanianum T.Yamaz.
   synonym Cynanchum acuminatum Royle ex Wight var. amamianum (Hatus.) T.Yamaz.
   synonym Cynanchum auriculatum auct. non Royle ex Wight 
 日本(沖縄)、中国、台湾、ロシア原産。中国名は折冠牛皮消 zhe guan niu pi xiao
 根は塊根、長さ10~50㎝×幅1~4㎝。茎は絡み付き、伸びて長さ5m以下、軟毛がある。葉は対生。葉は長さ約5㎝、上側に腺体をもつ。葉身は広卵形~卵状長円形、長さ4~18以上㎝×幅4~11.5(~17)㎝、膜質、上面は微軟毛があり、基部は心形、基部の裂片はほとんど反曲、ときに内側に曲がり、まれに重なり、先は短い尖鋭形、側脈は5~6対。花序は総状花序状、花が30個以下つく。花序柄は長さ6~10㎝。花柄は長さ約1.5㎝、微軟毛がある。咢片は卵状長円形、縁毛があり、軟毛がある。花冠は白色、長さ1㎝以下。花冠筒部は短い。花冠裂片は長円形、長さ(3~)3.5~6㎜×幅1.5~1.7 ㎜、花後に強く後屈し、内面に直軟毛がある。副花冠はごく深く5裂し、裂片は楕円形、肉質、先は鈍形、高さは肉柱体の2倍以下、狭三角形の付属体をもつ。花粉塊は長円形。柱頭の頭部は円錐形、先は2裂。袋果は披針形、長さ8~11㎝×幅8~10㎜、2本の縦のうねをもつ。種子は卵状楕円形。花期は6~9月。果期は7~12月。

 2  Cynanchum bungei Decne.  ヤハズイケマ
 朝鮮、中国原産。中国名は白首乌 bai shou wu

 3  Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim. イケマ 生馬
   synonym Cynanchum ikema Ohwi
   synonym Cynanchum maximoviczii Poped.
   synonym Cynanchum boudieri H.Lev. et Vaniot subsp. caudatum (Miq.) P.T.Li, M.G.Gilbert et W.D.Stevens
 北海道、本州、四国、九州、サハリン
 多年草。根は肥大し、数本に枝分かれし、有毒。葉は長さ5~15㎝の楕円~長楕円形。葉先が尖り、基部は心形、長さ3~6㎝の柄がある。葉腋の半球形状の散形花序に白色の花が多数つく。花柄は長さ6~12㎝と長い。花は直径6~8㎜。花冠のように見える白い部分は副花冠、長さ4~5㎜。黄緑色の下方に反り返った萼のように見える部分が花冠。袋果は長さ10~12㎝、無毛、有毒。種子には長い種髪(白毛)がつき、風によって散布される。2n=22。花期は7~8月。
3-1 Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim. var. tanzawamontanum Kigawa  タンザワイケマ

 4  Cynanchum chinense R.Br.  ヒメイケマ
 朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は鹅绒藤 e rong teng

 5  Cynanchum formosanum (Maxim.) Hemsl.  ホウライイケマ
   synonym Cynanchum formosanum (Maxim.) Hemsl. var. ovalifolium Tsiang et P.T.Li 
   synonym Cynanchum crassifolium Hatus. 
 台湾原産。中国名は台湾杯冠藤 tai wan bei guan teng

 6  Cynanchum lanhsuense T.Yamaz.  コウトウガシワ
 台湾原産。中国名は兰屿牛皮消 lan yu niu pi xiao

 7  Cynanchum liukiuense Warb.  リュウキュウガシワ 琉球柏
 日本固有種(南西諸島)台湾、フィリピン。草地に生える。
 多年草、つる性、茎は長さ数メートルになり、無毛、やや粉白色を帯びる。葉は対生し、卵形~卵状楕円形、長さ5~9㎝×幅2.5~6㎝、やや厚く、基部は浅い心形、全縁、先は短い鋭形。葉柄は長さ1~2㎝、基部に葉状托葉が1対ある。花序は腋生の短い総状花序花。花序柄は長さ約2㎝。花冠は帯黄紫色、直径約7㎜、5深裂する。副花冠は肉柱体より長く、黄色。袋果は披針状長楕円形、約・長さ7㎝×幅2㎝。沖縄のC.liukiuenseと、台湾のC formosanumとは葉の形がことなるが花の構造には大差がない。

 8  Cynanchum mooreanum Hemsl.  ケビャクゼン
 台湾原産。中国名は毛白前 mao bai qian

 9  Cynanchum purpureum (Pall.) K.Schum.  ムラサキカモメヅル
 朝鮮、中国、モンゴル原産。中国名は紫花杯冠藤 zi hua e rong teng

 10  Cynanchum rostellatum (Turcz.) Liede & Khanum  ガガイモ 蘿芋
   synonym Metaplexis japonica (Thunb.) Makino
   synonym Metaplexis rostellata Turcz
   synonym Pergularia japonica Thunb.
  日本、朝鮮、中国原産。中国名は萝藦 luo mo。英名はpanicled tick-trefoil。
 多年草。つる性(長さ~8m)。道端などで普通に見られる。茎を切ると乳白色の液が出る。葉は対生し、無毛、全縁、長さ5~10㎝の長卵形、基部は心形、先が尖る。葉の質はやや厚く、裏面はやや白い。葉腋に、短い円錐花序をつけ、直径約1㎝の淡紅紫色の花を固まってつける。花冠は5深裂し、外側に反曲し、白色の軟毛が密生する。副花冠は環状、5裂し、裂片は短く、雄しべの間につく。雄しべは短筒状に合着し、肉柱体(ずい柱)を形成し、中心から柱頭がくちばし状に突き出す。柱頭の先はよれて曲がる。花粉は花粉粒が集合し、塊状の花粉塊(惰円形)を作る。花粉塊は葯室の中にあり、葯の付属体の間にある5個の小球(捕捉体)に2個ずつぶら下がってつく。萼は5全裂。袋果は表面にいぼ状突起があり、長さ約10㎝、熟すと片側が裂開し、最後には水平に開いてしまう。種子は扁平、長い毛(種髪)があり、風で散布される。2n=22,24。花期は8~9月
10-1 Metaplexis japonica (Thunb.) Makino f. albiflora Honda シロバナガガイモ 白花蘿芋
 白花品種。

 11  Cynanchum thesioides (Freyn) K.Schum.  ヤナギカモメヅル
   synonym Cynanchum sibiricum (L.) R.Br.
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン原産。中国名は地梢瓜 di shao gua

 12  Cynanchum wilfordii (Maxim.) Hook.f.  コイケマ 小生馬
   synonym Vincetoxicum wilfordii (Maximowicz) Franchet & Savatier.
 日本(本州の関東以西、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は隔山消 ge shan xiao 。林縁、草地に生える。コイケマはイケマよりも葉の基部の心形が深く耳状、花序柄がイケマより短い。
 根は肉質、不規則な紡錘形、長さ10㎝×幅2㎝以下。茎は絡み付き、1本線状に毛がある。葉は対生。葉柄は長さ約2㎝、上側に腺体がある。葉身は卵形~卵状心形、長さ5~6㎝×幅2~4㎝、質が薄い紙質、伏した微軟毛があり、上面は乾くと暗色になり、基部は耳状心形、基部の裂片は円く、反曲又は内向きに曲がり、先は短い尾状~尖鋭形、基部の葉脈は3~5本、側脈は約4対。花序は散形花序状~ごく短い総状花序、半球形、密に花が15~20個つく。花序柄は長さ約1.5㎝、まれに二又になり、片面に微軟毛がある。花柄は長さ5~7㎜、微軟毛がある。咢片は長円状披針形、約・長さ1.5㎜×幅0.6㎜、無毛又はまばらに軟毛があり、基部に10個の蜜腺がある。花冠は黄色、車形、花冠裂片は披針形、長さ4.5~5㎝×幅約2㎜、外側は無毛、内側に密に短直軟毛がある。副花冠は5深裂し、裂片は円形~四角に近く、膜質、肉柱体(gynostegium)より短く、基部は漸尖形、先は切形、内側に横のうねをもつ。肉柱体には柄がある。葯の付属体は卵形、副花冠の長さとほとんど同長。花粉塊は長円形。柱頭の頭部には疣がある。袋果は披針形、長さ11~12㎝×幅1~1.4㎝。種子は卵形、長さ約7㎜。種髪は長さ約2㎝。花期は5~9月。果期は7~11月。

 ガガイモ属

  family Apocynaceae - genus Metaplexis

 つる性多年草又は攀縁性の亜低木。葉は対生、長い葉柄がある。花序は長い花序柄があり、よく発達する花序軸に緩くつく小集散花序をもつ総状花序状である。咢は基部に5個の腺をもつ。花冠は類車形、裂片は筒部より長く、左に捻じれる。副花冠は環状、肉柱体(gynostegium)の基部につき、縁は5裂し、裂片は鈎状。花糸は合着し、短い筒になる。葯の付属体は内側に曲がる。花粉塊(pollinia )は花粉団(pollinarium)に2個、長円形~卵状長円形、垂れ下がる。柱頭の頭部は嘴があり、2裂又は全縁、葯の付属体を超える。袋果は紡錘形又は長円形、果皮は微細突起があるか、しわがあるか、又は平滑。種子は卵形。
 世界に約6種があり、東アジアに分布する。
 2010年までにMetaplexis hemsleyanaとMetaplexis japonicaの2種に整理された。
 2016年のパキスタンのイスラマバード大学のKhanum博士らの研究により、ガガイモ属(Metaplexis)はイケマ属(Cynanchum)に含められた。
 Cynanchumは Asclepiadoid 属の1つであり、旧世界と新世界の両方に分布する。5葉緑体と4分子マーカーによるベイズ推定法に基づく100種以上の研究の結果、9クレードを決定した。明確な形態学特性がいくつかの特別なクレード又は数クレードの組み合わせに関係がなく、そのため、 Cynanchumの広い概念の導入がグループの最も適切な分類学上の解決と思われる。必要な新しい組み合わせが作られ、12の新種の組み合わせと2新亜種の組み合わせと、2個の新しい名がつけられた。その結果、Glossonema , Graphistemma , Holostemma , Metalepis , Metaplexis , Odontanthera , Pentarrhinum , Raphistemma , Seshagiriaの9属がCynanchumに含められた。Adelostemma と Sichuaniaは形態学的理由でCynanchumに含められた。(参考13)
【他属へ移動された種】
 1  Metaplexis hemsleyana Oliv. ⇒Cynanchum hemsleyanum (Oliv.) Liede & Khanum
 2  Metaplexis japonica Makino ⇒Cynanchum rostellatum (Turcz.) Liede & Khanum


 参考

1) Flora of China
 Cynanchum
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=108969
2) GRIN
 Vincetoxicum
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=16970
3) Flowers of Pakistan
 Vincetoxicum hirundinaria  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=220014178
4) Plants of the World Online | Kew Science
  Vincetoxicum  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30010004-2
5)Flora Vascular
 Vincetoxicum nigrum (L.)
 https://www.floravascular.com/index.php?spp=Vincetoxicum%20nigrum
6)World Flora Online
 Search
 http://www.worldfloraonline.org/
7)Acta Phytotax .Geobot. 55 (1 )1-8 (2004)
Two New Species of Yincetoxicum (Apocynaceae) from Japan
 Vincetoxicum izuense and Vincetoxicum hqyoense  
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/55/1/55_KJ00004622799/_pdf/-char/en
8) Acta Phytotax .Gcobot. 54 (1 )31-36 (2003)
 Vincetoxicuum yonakuniense , a New Combination of Asclepiadaceae and
 its New Distribution Rnecord on Senkaku Islands, Ryukyu Archipelago  
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/54/1/54_KJ00004623203/_pdf/-char/en
9)Phytotaxa
 Vincetoxicum (Apocynaceae/Asclepiadoideae) expanded to include Tylophora and allies
 https://www.biotaxa.org/Phytotaxa/article/view/phytotaxa.369.3.1
10)植物研究雑誌 78(6) (通号 832) 2003.12 p.349~354
 Transference of Cynanchum matsumurae T.Yamaz. to Tylophora(Asclepiadaceae)
 ヒメイヨカズラ(カガイモ科)の所属
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_078_349_354.pdf
11)植物研究雑誌66(1): 60?61(1991)
 アマミイケマについて
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_066_60_61.pdf
12) 植物研究雑誌13(2): 67-75(1937)
 混乱せる日本のオオカモメヅル属植物とイケマ属植物
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_013_67_75.pdf
13)Khanum & al.ynanchum revisited TAXON 65 (3) • June 2016: 467–486
 Cynanchum (Apocynaceae: Asclepiadoideae): A pantropical Asclepiadoid genus revisited  
https://www.researchgate.net/publication/304453888_Cynanchum_Apocynaceae_Asclepiadoideae_A_pantropical_Asclepiadoid_genus_revisited
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