イグサ 藺草
Flora of Mikawa
イグサ科 Juncaceae イグサ属
別 名 | イ、トウシンソウ |
英 名 | lamp rush |
学 名 | Juncus decipiens (Buchenau) Nakai synonym Juncus effusus L. var. decipiens Buchen. synonym Juncus effusus auct. non L. |
花 期 | 6~9月 |
高 さ | 70~100㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山野の湿地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州 |
撮 影 | 新城市 05.6.4 |
根茎は匍匐し、節間は短い。葉は退化してほとんどなく、茎の基部で葉身のない葉鞘となり、葉鞘の先に薄膜質の部分がない。茎は円柱形で、表面に縦肋が多数(写真のものは約32本)ある。縦肋が低く不明瞭な肋もある。茎の内部は白いスポンジ状の髄が均一に詰まっている。茎の先に花序をつけ、その先に茎と同じような苞をつけ、花序が茎の途中につくように見える。花序枝は多数つき、花序枝の一部が下向きに曲がる。花被片は披針形、鋭頭。果実(蒴果)は3稜状卵形~惰円形、鈍頭~微凸頭、花被片とほぼ同じ長さかやや長く、花被片からあまり突き出ないものも見られる。雄しべ3個。種子は長さ約0.5(0.45~0.56)㎜。2n=40。
類似のホソイは茎に光沢がなく、縦肋が明瞭で少なく、基部の葉鞘の先の縁が薄膜質になる。花序枝は全て上向きで、垂れ下がらない。果実は稜がなく丸く、花被片より長い。
帰化種のコゴメイは茎の髄が未発達で梯子状になる。
イグサ属
family Juncaceae - genus Juncus多年草又は1年草。根茎は短くあるいは長く這う。茎はしばしば叢生する。葉は全て根生又は全て茎葉。葉鞘は片側が開き、しばしば耳状になる。葉身は草状、円柱形、又は鱗片状。花序は頂生、又は基部の総苞が茎の連続に見えるとき、偽側生し、花が多数つき、最終の分割(小花序)は密な頭状花序、緩い集散花序、又は花が単生。小苞は有または無。花被片は6個、2輪につき、紙質~透明。雄しべは3又は6本、花被片の基部につく。花糸は糸状。葯は長円形又は線形。子房は1又は3室、胎座は3個、側膜胎座、ときに突き出しが不明瞭であるが、しばしば突き出し、ときに中間で合着する。胚珠は室に多数。花柱は1本。柱頭は捻じれる。蒴果は3バルブ、普通、中間に胎座をもつ。種子は卵形又は長円形、小さく、ときに付属体があり、付属体は尾状。
世界に約240種があり、両半球に広く分布し、温帯や寒帯に多く、まれに熱帯に分布する。
イグサ属の主な種と園芸品種
1 Juncus alatus Franch. et Sav. ハナビゼキショウ 花火石菖日本(本州、沖縄)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、山西省、四川省、雲南省、浙江省)原産。中国名は翅茎灯心草 chi jing deng xin cao。標高100~2300mの山の斜面の森林、野原、湿地の草原、川岸、湿地から湿った川岸、溝に生える。
多年草、房状(株立ち)、高さ11~50㎝。根茎は短い。茎は扁平で幅2~4㎜、側部に広い翼がある。根生葉は2~4枚、茎葉は1~2枚。葉鞘の耳は小さく、丸く、膜質。葉身は平ら、長さ5~16㎝×幅3~4㎜、通常は不完全に隔壁がある。花序は頂生、長さ3~12㎝、わずかに分岐。頭花は(4~)7~27個つき、1頭花に花が3~7個束生する。苞は2~3個、広卵形、長さ2~2.5㎜×約1.5㎜、膜質、先は鋭形。花被片は緑がかった栗色~栗色、披針形、長さ3~3.5㎜×幅1~1.3㎜、縁は荒く、先は尖鋭形。雄しべは6本、葯は長さ0.5~0.8㎜、花糸の約1/2の長さ。子房は楕円形で1室。蒴果は栗色で3.5~5㎜。種子は楕円形、長さ0.4~0.5㎜、縦縞がある。花期は4~7月。果期は5~10月。
2 Juncus articulatus L. カラフトハナビゼキショウ 樺太花火石菖 広義
北半球に広く分布。
2-1 Juncus articulatus L. subsp. limosus (Vorosch.) Vorosch. カラフトハナビゼキショウ 狭義
synonym Juncus limosus Vorosch.synonym Juncus jeholensis Satake
synonym Juncus turczaninowii (Buchenau) Freyn var. jeholensis (Satake) K.F.Wu et Ma
synonym Juncus turczaninowii (Buchenau) Freyn [FOC]日本、中国(河北省、黒龍江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア原産。中国名は尖被灯心草 jian bei deng xin cao。標高700~1400mの河川沿いの湿地、沼地、湿地に生える。
多年草、密に房状(株立ち)になり、高さ25~45㎝。茎は円柱形、直径1~1.5㎜。根生葉は1枚または2枚、茎葉は2枚つき、葉鞘は長さ3~7㎝、葉耳は狭い。葉身は円柱形またはやや側部が扁平、長さ5~15㎝×幅 1~2㎜、完全な明瞭な隔壁があり、先は鋭形。花序は総苞片が葉状で、しばしば花序より短い。頭花は通常多数あり、半球形で、直径2~5㎜、1頭花に(2~)3~6(~7)個の花がつく。花被片は卵状披針形~披針形または長円状披針形で、長さ2~2.4㎜、ほぼ均等または外花被片は内花被片よりわずかに長く、縁は薄膜質、先は鈍形~鋭形。雄しべは6本。花糸は長さ1~1.1㎜。葯は長さ0.8~0.9㎜。蒴果は黒褐色~褐色、光沢があり、三角状長円形~三角状楕円形、長さ 2.6~3㎜、先は微突形。種子はほぼ卵形~楕円形、長さ約0.5㎜、網目がある。花期は6~7月。果期は7~9月。
2-2 Juncus articulatus subsp. articulatus クナシリコウガイ 国後笄
synonym Juncus articulatus subsp. tatewakii (Satake) Vorosch. ex A.K.Skvortsov
synonym Juncus tatewakii Satake in J. Jap. Bot. 14: 257 (1938) クナシリコウガイ
ユーラシアに広く分布。日本、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、河南省、湖北省、寧夏、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆ウイグル自治区、西蔵省、雲南省)、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、パキスタン、インド、ブータン、カシミール、ネパール、ベトナムなど、 ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ原産。中国名は小花灯心草 xiao hua deng xin cao 。英名はjointed rush , joint-leaf rush 。標高1200~3700mの湿地、砂地、川沿い、溝沿いの水辺に生える。千葉県、神奈川県で確認されている。多年草、房状(株立ち)または地下茎が匍匐し、高さ(10~)15~40(~60)㎝。茎は円柱形で、直径0.8~1.5㎜。鱗片葉は2~6枚。茎葉は2~6枚。葉鞘の耳はよく発達し、鋭形、自由部は長さ約2mmで膜質。葉身は円柱形またはやや側部が扁平、長さ2.5~7.5(~10)㎝×幅0.8~1.4㎜で、完全に隔壁がある。花序は通常幅広く、枝は硬く広がる。総苞片は直立または斜上し、長さ0.7~3㎝。頭花は5~30個つき、半球形~先端状、1頭花に5~10(~15)個の花がつく。花被片は赤褐色で、中脈は帯緑色、披針形、長さ2.5~3㎜、ほぼ等分、先端は鋭い。雄しべは6本、花被片の長さの 1/2~3/4 ある。花糸は長さ0.7~0.9㎜、葯は長円形、長さ0.5~1㎜。蒴果は暗褐色で光沢があり、3稜形の卵形で長さ3~3.5㎜、先は鋭い鋭形、先端が目立つように細くなる。種子は卵形、長さ0.5~0.7㎜、網目がある。花期は6~7月。果期は8~9月。n=80。
3 Juncus balticus Willd. ジュンクス・バルティクス
synonym Juncus arcticus var. balticus (Willdenow) Trautvetter
ヨーロッパ西北部、北アメリカ~南アメリカ原産。英名はBaltic rush。海岸、川岸、湿地、湿地、沼地、しばしばわずかにアルカリ性の土壌に生える。
多年草、高さ20~100㎝。葉は葉身がない。花序は花が6個~多数、緩く~密につく。1次の苞は通常花序より数倍長い。花被片は帯黒色~薄褐色、ときにはもっと淡くなり、長さ(2.5~)3.5~5.5(~6)㎜。花糸は長さ0.2~0.5㎜。葯は長さ1.2~2.2㎜。花期は春~初夏。
7亜種がある。
品種) 'Spiralis'
4 Juncus beringensis Buchenau ミヤマイ 深山藺
日本(本州の中部地方以北、北海道)、朝鮮、ロシア原産。高山の湿地や砂礫に生える。
多年草、高さ15~40㎝。根茎は匍匐し、節間はきわめて短い。茎は緑色、細長く、直立し、円柱形、鱗片葉が茎の下部につき、茎葉は無い。花序は偽側生、花が2~5個つく。苞が花序の上で茎から真っすぐ伸びるので、花が途中に咲いているように見える。花被片は黒褐色~暗赤紫色、光沢があり、長さ約0.5㎝、披針形、先は尖る。雄しべは6本、短く、黄色。雌しべは黄色、花被片より長い。果実は蒴果。種子は長楕円形で、両端に尾のあるおがくず状となる。花期は7~9月。
5 Juncus biglumis L. ホクトイ 北斗藺
北アメリカ、ロシア、ヨーロッパ北部、グリーンランド、アイスランド原産。英名はtwoflowered rush。標高10~3400mの湿潤ツンドラ、池や小川の苔むした縁、高山帯の湿った砂利、開けた岩の多い斜面に生える。
草本植物、多年生、緩く縞状花序、高さ0.25~1.6m。稈はほぼ円柱形。片葉は2~4。葉は基部に1~4枚、鞘は緩く、葉耳は無いか丸く、長さ0.5㎜、葉身は不完全隔壁があり、斜上し、ほぼ円柱形、長さ2~7㎝×幅0.5~1.5㎜。花序は頭花、花が1~2(~4)個つく。1次の苞は花序よりかなり長い。花被片は褐色~帯黒色、長円形、長さ2.5~4㎜、先は鈍形。外花被片と内花被片はほぼ等長。雄しべは6本。花糸は長さ1~1.5㎜。葯は長さ0.5~0.7㎜。花柱は脱落性、長さ0.3~0.4㎜。蒴果は淡色で、バルブの縁は暗紫色になり、擬似3室、扁球形~狭卵形、長さ4~5.5㎜×幅1.7~2.3㎜、花被片を越え、先は小凹形。種子は黄タン色、紡錘状卵形、長さ0.7~0.9㎜、短い尾がある。2n=120。花期と果期は夏。
6 Juncus bufonius L. ヒメコウガイゼキショウ 姫笄石菖
synonym Juncus minutulus V.I.Krecz. et Gontsch
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、ロシア、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリア原産。中国名は小灯心草 xiao deng xin cao 。英名はtoad rush。湿地や放棄休耕水田など湿った場所に生える。
1年草。高さ10~30㎝。根茎はあまり伸びない。茎は幅約1㎜、イネ科のように円筒形。葉は茎に1~3個つき、イネ科のように扁平で、幅0.5~1.5㎜、下面が丸く、上面が丸く窪む。最下の苞(偽茎葉)は花穂より著しく短い。葉鞘は筒状にならず、葉耳は無い。花穂は花茎に頂生し、花茎と同長以上。花序の枝は鋭角につき、あまり開出しない。蒴果は長さ約4㎜、稜は無く、長楕円形、鈍頭~鋭頭、赤褐色に熟す。花被片は蒴果より長く、外花被片3個、内花被片3個あり、淡緑色、狭披針形、外花被片の先が尾状に尖る。雄しべ6個。種子は長さ(0.3)0.4~0.6㎜の楕円形、黄褐色、頭部が褐色。完熟期になると、コウガイゼキショウのように全体に赤色を帯びる場合もある。2n=100, 110。花期は5~8月。
7 Juncus canadensis J.Gay ex Laharpe カナダコウガイゼキショウ
北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名はCanadian rush , Canada rush。標高0~200mの塩性湿地、汽性湿地、石灰質の湿地、酸性湿原、道端、干潟、沼地、模様のある沼地(patterned fen)、湖岸、海岸に生える。
多年草、叢生し、高さ30~100㎝。稈は直立し、直径1~5㎜、平滑。鱗片葉は0または1~2個、麦わら色、先は丸い。葉は根生葉が1枚、茎葉は2~3枚。葉耳は長さ1~1.2㎜、先は丸く、薄膜質。葉身は円柱形、長さ7~22㎝ x幅1.2~3㎜。花序は円錐花序または総状花序で、頭花が3~50個つき、長さ2~20㎝、枝は直立または斜上する。1次の苞は直立する。頭花は花が5~50個つき、倒円錐形~球形、直径3~10㎜。花被片は緑色または麦わら色~赤褐色、披針形。外花被片は長さ2.7~3.8㎜、先は尖鋭形。内花被片は長さ2.9~4㎜、先は尖鋭形。雄しべは3~6本、葯は花糸の長さの1/2。蒴果は花被片と等しいか突出し、栗褐色で不完全な3室があり、披針形、長さ3.3~4.5㎜、下部~嘴が鋭形、裂開時にバルブが分離する。種子は紡錘形、長さ1.1~1.9㎜、尾があり、種子体は帯白色の半透明のベールで覆われる。2n=80。果期は夏中旬~秋。
8 Juncus castaneus Sm. クロコウガイゼキショウ 黒笄石菖
synonym Alpinojuncus castaneus (Sm.) Záv.Drábk. & Proćków
日本、千島列島、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、吉林省、新疆ウイグル自治区、内モンゴル、寧夏、青海省、陝西省、山西省、四川省、雲南省)、モンゴル、ロシア、キルギスタン、ヨーロッパ(イタリア、オーストリア、イギリス、スウェーデン、スイス、ウクライナ、ルーマニア、ノルウェー、チェコスロバキア)、北アメリカ(アラスカ、カナダ、USA)、グリーンランド、アイスランド原産。中国名は栗花灯心草 li hua deng xin cao 英名はchestnut rush 。別名はチシマコウガイゼキショウ。標高10~3700mのツンドラ、亜高山帯および高山帯の湿原や草原、小川沿いの砂利や粘土質の土壌に生える。
多年草、根茎が強く、高さ1~4m。稈は単生、直径1~2mm。鱗片葉は1~2枚。葉は部分的に茎葉で、3~5枚、上部に葉耳がなく、基部では丸みを帯びる。葉身は溝があり、長さ20㎝まで、上部では葉が小さくなる。花序は団散花序(glomerules)、1~3(~5)個つき、各団散花序に2~10個の花をつける。花序柄は長さ0.4~1.5㎝。1次の苞はやや膨らみ、通常花序を超える。小苞はない。花被片は褐色またはたまに淡褐色、披針形、長さ4.5~6.6㎜、先は鋭形~鈍形。内花被片はやや短い。雄しべは6本、花糸は長さ2.5~3.5㎜。葯は長さ0.6~1.3㎜。花柱は長さ1~1.3㎜。蒴果は栗褐色、3室、狭長楕円形、長さ6.5~8.5㎜×幅1.8~2.3㎜。種子は淡黄色、紡錘形、種子体は長さ0.6~0.7㎜、尾部は長さ0.8~1.1㎜。2n=60, 90, 120。花期と果期は晩春~夏。(Flora of North America)
【Flora of the Canadian Arctic Archipelagoの解説】カナダ
高さ10~30(~50)㎝、多年草、叢生しない。ひげ根のみがある。地上または地下茎は水平で、細い根茎があり、長いかまたはコンパクト。地上茎は直立し、粗く、幅2~3㎜、糸状ではない。葉があり、主に根生(植物が群生している場合)、または茎葉(独立した茎でより容易に確認でき、鱗片葉が1~2枚)、互生し、毎年枯れ、宿存しない。葉柄はない。鞘はあるが、縁は融合していない。葉舌はない。葉は草状。葉身は長さ30~100(~250)㎜×幅1~4㎜、真っ直ぐで線形、耳は無く、溝があるか渦巻状(平らに押しつぶされる)、葉脈は平行、両面は無毛、縁は無毛、先は尖鋭形。花茎の断面は円形または楕円形。花茎には葉がある。花序の基部を覆う葉または小さくなった苞があり、明瞭で葉状、長さ1~6㎝、顕著に花序を超える。花の向きは水平面内に並ぶ。花序は集散花序または頭花状(1~3個の集散花序の頭花に、それぞれ2~10個の花がある)で、頂生、密、長さ1~6cm。小花柄はない。両性の穂状花序は、基部に空の苞(葉があり、緑色、花序より長い)。花の苞(floral bracts)は長さ10~20㎜(通常、花序より長く、小苞はない)、先は全縁。花序当たりの花数は3~10個(直径0.8~1.2㎝の房で)、中型。萼片(外花被片)は3個、離生、幅4.5~6.5㎜、褐色、薄膜質、無毛。花弁(内花被片)は離生、萼片と同長、またはわずかに短く、3個、褐色またはたまに淡褐色、披針形、裂片がなく、長さ4.5~6.5㎜。雄しべは6本。葯は長さ1.2~1.5㎜。子房は上位、心皮は3個、合成心皮。花柱は3本、離生、長さ1~1.3㎜。各子房に柱頭は 3個、各子房あたりの胚珠は20~40個。果実は蒴果、無柄、萼片は宿存し、乾燥し、細長い円筒形、先は鋭形、黒色または赤褐色、光沢があり、3室があり、室は狭い長円形、長さ5~8㎜×幅2~3㎜、はっきりと扁平ではなく、裂開する。種子は25~35個、長さ2~3.5㎜(両端の尾部は長さ0.8~1.1㎜)、披針形、幅1~3㎜、褐色、光沢がなく、表面は平滑。2n=60[(グリーンランドJørgensen et al. (1958)), (カナダ北部 Löve and Ritchie 1966, Löve 1970, Löve 1981), (チュクチ南部 Zhukova 1980)], 2n=40[アイスランド Löve and Löve 1956, Löve と Löve 1975には含まれておらず、さらなる証拠が得られるまで除外される。]。
POWOではsubsp. castaneus、subsp. leucochlamys、subsp. tricepsの3亜種に分類している。
subsp. castaneusとsubsp. leucochlamysの区別(参考11)
subsp. castaneusとsubsp. leucochlamysはFlora of North America (FNA)では異名として扱われているが、2つの分類群に明瞭な違いがあり、分布域も異なる。区別点は花被片の大きさと形、外側の花被片と内側の花被片の違い、花被片と蒴果の相対的な長さ、蒴果の形と長さである。 しかし、葉の幅、花序の構造、苞葉の長さ、花被片と蒴果の色については、明確に区別できない。これらの不明瞭な他の特徴を適用した結果、北米とグリーンランド、そしておそらく東シベリアと北東アジアでも、2つの実体が混同される結果となった。2つの分類群が近くに生息し(アイスランドのように)、2つの種が認められる場合でも、中間の兆候は見つかっていない。Juncus castaneus(subsp. castaneus) は、ノルウェー、東アイスランド、北西シベリアを含むヨーロッパ本土に生息する。Juncus leucochlamys(subsp. leucochlamys)は、北東シベリアとアジア、北米、グリーンランド、スヴァールバル諸島と北西アイスランド(ヨーロッパでは新種)に生息する。
subsp. castaneusとsubsp. leucochlamysの区別点
subsp. leucochlamysは花被片が長くほぼ同長で先が尖る。subsp. castaneusでは花被片が短く、内花被片が外花被片より明瞭に短く、先が鈍形。subsp. castaneusでは花被片が蒴果の長さとほぼ同長。一方、subsp. leucochlamysは花被片が蒴果より顕著に短い。蒴果はsubsp. castaneusは栗褐色、subsp. leucochlamysより果期が遅い。蒴果は長さがsubsp. leucochlamysの方がsubsp. castaneusよりかなり長い。subsp. leucochlamysは果実の先が先細になり嘴が目立ち、subsp. castaneusは先が急に狭くなり、嘴が短い。subsp. leucochlamysは普通、苞が長く、花序を超す。subsp. castaneusは苞が短く、最上部の花の高さ少し上になるだけである。この報告はKirschnerらにより2002に報告されたが、確かではない。
8-1 Juncus castaneus subsp. castaneus
synonym Juncus castaneus var. pallidus (Hooker ex Buchenau) B. Boivin
synonym Juncus czetzii Schur
千島列島、ロシア(アルタイ共和国、ブリヤート共和国、東ヨーロッパロシア、北ヨーロッパロシア、西シベリア、カムチャッカ、クラスノヤルスク、マガダン、トゥヴァ共和国、ヤクーツク市)、キルギスタン、ヨーロッパ(オーストリア、チェコスロバキア、イギリス、イタリア、ノルウェー、ルーマニア、スウェーデン、スイス、ウクライナ)、北アメリカ(アラスカ、アリューシャン列島、カナダ(アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、ラブラドール地方、マニトバ州、ノースウェスト準州、ヌナブト準州、オンタリオ州、ケベック州、サスカチュワン州、ユーコン準州)、USA(コロラド州、モンタナ州、ニューメキシコ州、ユタ州、ワイオミング州))、スバールバル諸島、グリーンランド、アイスランド原産。POWOでは基本亜種として分類されているが、一般的にはsubsp. castaneusとsubsp. leucochlamysは区別されていない。
subsp. castaneusの特徴は①花被片が短く、内花被片が外花被片より明瞭に短く、先が鈍形。②蒴果も短く、花被片とほぼ同長で、蒴果の先は急に狭くなり、嘴が短い。スイスのFlora Helveticaの解説では蒴果が長く、あてはまらない。植物研究雑誌 1951の欧州産J. castaneusの解説がほぼあてはまる。
【Flora Helveticaの解説】スイス
高さ10~40㎝。茎は太さ2~3㎜。葉は根生葉と茎の中央より上に茎葉があり、幅4㎜までの溝がある。花序は頂生し、花が2~6個がつく頭花。通常は側頭花はが下に接してつく。苞は花序の基部につき直立する。花被片は栗褐色で、長さ4~6㎜、先は鈍形または鋭形、膜質の端がある。果実は暗赤褐色で長さ7~10㎜、花被片よりはるかに上回る。花期は7~8月 (© Flora Helvetica 2018)。
【植物研究雑誌 1951の欧州産J. castaneusの解説】
外花被片は卵形で尖り、長さ5㎜、内花被片は長円形、卵形で先端が狭く、上部は幅広で透明な縁があり、長さ4㎜。果実は長円形で先が鈍形、長さ6㎜。種子は狭い紡錘形で長さ2.5㎜。種子体は楕円形~狭楕円形、長さ0.7~0.8㎜。
Flora of North America (FNA)ではsubsp. leucochlamysを含めて広義に扱っている。
8-2 Juncus castaneus subsp. leucochlamys (W.J.Zinger ex V.I.Krecz.) Hultén
synonym Juncus leucochlamys W.J.Zinger ex V.I.Krecz.中国(甘粛省、河北省、吉林省、内モンゴル、寧夏、青海省、陝西省、山西省、四川省、雲南省)、モンゴル、ロシア(北東シベリア)、カナダ、アラスカ、グリーンランド、スヴァールバル諸島と北西アイスランド原産。中国名は栗花灯心草 li hua deng xin cao。別名はチシマコウガイゼキショウ。標高 2100~3100mの山岳地帯の湿地または沼地に生える。Flora of Chinaでは下位を分類せず、Juncus castaneusとして広義に扱っているが、本亜種の次の特徴とほぼ一致している。花被片の長さがほぼ同長。外花被片の先が尖る(尖鋭形)。蒴果が花被片よりかなり長く、嘴が目立つ。
多年草、高さ15~40㎝。根茎は長く、地下に伸びる。茎は通常単生、円柱形で、直径2~3.5㎜。鱗片葉は少数。根生葉は2~4 枚、茎葉はないかまたは1枚。葉鞘の葉耳はない。葉身は平らで、長さ6~25 cm×幅3~6㎜、縁は通常内巻きする。花序は1枚または2枚の葉状の総苞片を持ち、通常花序より長い。頭花は2~8個つき、半球形で、開花時に直径7~9㎜、各頭花に4~10個の花がつく。苞は2枚または3枚、披針形、通常花より短い。小花柄は長さ約2㎜。花被片は暗褐色~栗褐色、狭卵形~披針形、長さ4~5㎜、不揃いで、外花被片は内花被片よりわずかに長く、先は尖鋭形。雄しべは6本、花糸は長さ約2㎜。葯は長さ約1㎜。花柱は長さ1~1.5㎜。柱頭は長さ2~3㎜。蒴果は3稜形の楕円形で、長さ6~7㎜、3隔壁があり、基部は薄色、先は赤褐色、漸尖して鋭形。種子は長さ約1㎜、両端に付属体があり、付属体は白色で長さ約1㎜。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=40, 60(Flora of China)。
【スヴァールバル諸島の解説】
多年草、単生またはわずかにマット状になり。根茎は水平に這い、枝分かれし、地上シュートの間隔はある程度(通常2~4㎝)離れているため、緩く生育する。地上シュートは直立し、短い栄養シュートまたは長さ5~10㎝の稔性シュートがあり、平滑、稈の基部に 3~5枚の鱗片葉(prophylls)があり、稈葉は3~4(5)枚あり、長く伸びる。葉は長さ2~5㎝で、樋状(canaliculate)で、長く帯赤色または緑色の鞘があり、次第に葉身に変化する。葉耳はない。葉身は平滑またはわずかにうねがある。花序は頭花が1~2個つき、頭花が2個のときは稈上で0.5~1㎝離れる。各頭花にはほぼ同じ高さに花が3~5個ある。花序は複数の苞があり、最下の苞は長さ1~3㎝で硬く、花よりかなり上に突き出た細い葉身を持つ。他の苞は長さ0.4~1.0㎝で、ほとんどが狭披針形、先が長く尖り、尖鋭形、淡褐色で透明、暗褐色の脈がある。花は放射相称。花被片は6個(3 + 3)、等長で長さ5~7㎜、狭披針形、先は尖鋭形、暗赤褐色で先は淡色、果実とほぼ同長。雄しべは6本、花被片と同長。葯は細く、長さ0.9~1.2㎜。雌しべは3 個の心皮と3個の柱頭を持つ。果実は1室の蒴果、長さ3~5(7)㎜、次第に狭まり、先は鋭形~尖鋭形、光沢があり、金褐色で、先はより暗色で、花柱は長さ0.9~1.2mm、種子は多数。
8-3 Juncus castaneus subsp. triceps (Rostk.) Novikov チョウセンクロコウガイゼキショウ 朝鮮黒笄石菖
synonym Juncus satakei Kitag. J. Jap. Bot. xxvi. 11 (1951).synonym Juncus triceps var. koreanus (Ohwi) Satake
synonym Juncus castaneus var. koreanus Ohwi ,Bot. Mag. (Tokyo) 45: 189 (1931)
synonym Juncus triceps Rostkov.日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。三頭燈心草。Juncus satakeiが初めクロコウガイゼキショウとされていた。チョウセンクロコウガイゼキショウ(Juncus triceps var. koreanus)はJuncus satakeiとしてJuncus tricepsと分けていたが、Juncus satakeiを含めたものがチョウセンクロコウガイゼキショウ(Juncus triceps)とさっれた。これがJuncus castaneusの亜種に分類されている。
単生、匍匐茎をもつ。細い根はわずかに褐色。匍匐茎は長くて細く、鞘をもつ節(vaginiferous nodes)は暗褐色で、筒状で透明の鞘は先で斜めに切れる。茎は丈夫で、平滑、緑色、細い条線があり、果時に無毛で、高さ40㎝まで。根生葉;基部の鞘は短く、先端は尖り、ほぼ透明で細い脈がある。上部の葉は長さ20㎝まで。下方の茎葉は長い鞘があり、下方の鞘は緑色の上で長さ約6cmまで帯褐色。葉身は緑色の長さ約10 cmです。葉はすべて狭い線形で長く、頂部で先細りになり、一般に幅4㎜まで巻かれ、両面は無毛で細い葉脈がある。花序は通常2頭花、まれに1頭花。下側の頭花は花序柄が短い~ 非常に短く、上側の頭花は花序柄が短いかまたはしばばしば長くなり、果時に花序柄は長さ7㎝までになる。1個の鞘のない平らな苞は、通常、幅の狭い剛毛状線形の葉状で、長さ7㎝まで遠く漸尖する。最下の頭花の小苞は卵状披針形、先は急に長くなり、漸尖し、細い脈があり、平滑な帯褐色で、長さ3㎝まで。外花被片は卵形(Juncus tricepsは長円状披針形)、鋭く、3本の肋があり、長さは5㎜(Juncus tricepsは5.5㎜)。内花被片は長円状卵形(Juncus tricepsは披針状三角形)で、非常に鋭い先端はだけが透明で長さ5㎜。糸状の花糸は長さ3㎜、無毛。葯は線形、黄色、長さ1.5~2mm。果実は長円形(Juncus tricepsは細長い楕円形)、先は鋭形(Juncus tricepsは鈍形)、長さ7.5~9mm(Juncus tricepsは長さ6.5~7㎜)。種子は線状紡錘形、長さ4㎜(Juncus tricepsは長さ2.3~3㎜)、体は長円形、長さ0.7~0.8㎜(Juncus tricepsは長さ0.7~1㎜)。(Juncus satakei, Juncus triceps)
【Jvar. koreanusの解説】
果実の長さの2~6倍の長さの糸状の花被片をもつ。
【Juncus tricepsの解説】
外花被片は長円状披針形、先端は白色、透明、長さ5.5㎜。内花被片は披針状三角形で先端が鋭く、白色で硝子のみで、長さ5㎜。果実は細長い楕円形で、先端は鈍く、長さ6.5~7㎜。種子は線状紡錘形、長さ2.3~3㎜、種子体は長円形、長さ0.7~1㎜。
9 Juncus conglomeratus L. ジュンクス・コングロメラツス
ロシア、西アジア、コーカサス、ヨーロッパ原産。英名はcompact rush。湖畔、道路脇の排水溝、湿った牧草地などに生え、通常は水生だが、高地(湿地以外)でもたまに見られる。
直立し、叢生する。根茎は短い。茎は長さ30~80㎝×幅1.5~3㎜、柔らかく簡単に裂け、灰緑色で、光沢がなく、特に花序のすぐ下で顕著なうねがあり、髄は連続し、クモの巣状。基部の鞘は赤褐色で、光沢はない。花序は長さ約1㎝のほぼ球形の頭花で、基部につく花の苞は基部が著しく赤みがかり、花序が出てくる広い開口部まで広がる。花は非常に密につく。花被片は長さ2~2.5㎜、ほぼ等長、先は尖鋭形。雄しべは3本。蒴果は長さ約2㎜、花被片とほぼ同長、卵状長円形、上部が平らで、赤褐色。花期は春~初夏。果期は夏~秋。
品種) 'Spiralis'
10 Juncus coriaceus Mack. シナダレクサイ 撓垂草藺
北アメリカ(カナダ、USA)原産。春の湿った森林、川岸、湿地、平地の窪地、日陰または露出した、排水の悪い場所に生える。
多年草、房状、高さ3~9m。根茎は密に分枝する。稈は少数~多数。鱗片葉は1~3個。根生葉は0~1(~2)個。葉耳は長さ0.2~0.4(~0.6)㎜、粗い~革質。葉身はほぼ円柱形でわずかに上面に溝があり、長さ10~50cm×幅0.7~1.8㎜、縁は全縁。花序は偽側生、花は5~35個つき、緩い~密、長さ1~8㎝。1次の苞は花序を超える。小花柄は長さ0.5~2.5㎜、小苞は2個。花被片は濃緑色、披針形、長さ3.5~5㎜。内花被片はわずかに短く、先は鋭形。雄しべは6本、閉鎖花では少ない、花糸は長さ0.8~1.2㎜。葯は長さ0.5~1.1㎜。花柱は長さ0.9~1.3㎜。蒴果は薄褐色~暗褐色、1室、広卵形~ほぼ球形、長さ3.5~5㎜×幅2.6~3.2㎜。種子は淡褐色から濃褐色、扁平、長さ0.55~0.73㎜、尾はない。2n=80。花期と果期は春~初夏。
11 Juncus covillei Piper ジュンクス・コビレイ
synonym Juncus prominens (Buchenau) Miyabe et Kudo
synonym Juncus falcatus E.Mey. subsp. prominens (Buchenau) Novikov
北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)西部原産。英名はCoville's rush。海岸から山岳地帯に生える。多年草、強い根茎があり、高さ5~25㎝。稈は直立し、やや扁平。根生葉は2~5枚、茎葉は2~4枚。葉耳はないか、あっても長さ0.5~1.5㎜、先は鋭形。葉身は平らで、長さ5~15㎝×幅2~3㎜。花序は団散花序(glomerules)が1~6個つき、団散花序ごとに花が3~7個付き、開きまたは集合し、長さ2~6㎝。1次の苞または上部の葉は通常花序より長くなる。花被片は通常褐色、卵状長円形、長さ3~4㎜、縁は薄膜質。内花被片はやや短く、微細なパピラがある。雄しべは6本、花糸は長さ0.8~1.4㎜、葯は長さ0.8~1.4㎜。花柱は長さ1㎜。蒴果は3室、狭卵形、長さ4~5㎜。種子は狭卵形、長さ0.3㎜、尾はない。
11-1 Juncus covillei var. covillei
北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。海岸から低山地帯、標高300m以下の湖、小川、川沿いの湿地帯、特に飛沫地帯または時折冠水する露頭に生える。 花被は暗褐色、内花被片の先は円形。蒴果は暗褐色、花被より1㎜長い。2n=36。花期と果期は夏~初秋。
セキショウイ(Juncus prominens)を含め、分布域に日本、千島列島を含めていた。
11-2 Juncus covillei var. obtusatus C.L.Hitchc.
カナダ、USA原産。標高500~3000mの湖、小川、川沿いの湿地帯、特に飛沫地帯または時折冠水する露頭、主に山岳地帯に生える。
花被は淡褐色、内花被片の先は鋭形~鈍形。蒴果は淡褐色、花被をわずかに超える。花期と果期は夏~初秋。
12 Juncus decipiens (Buchenau) Nakai イグサ 藺草
synonym Juncus effusus L. var. decipiens Buchenau
synonym Juncus effusus auct. non L.
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ラオシ、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア原産。中国名は燈心草(台湾)。英名はlamp rush。別名はイ、トウシンソウ。
多年草。高さ70~100㎝。根茎は匍匐し、節間は短い。葉は退化してほとんどなく、茎の基部で葉身のない葉鞘となり、葉鞘の先に薄膜質の部分がない。茎は円柱形で、表面に縦肋が多数(写真のものは約32本)ある。縦肋が低く不明瞭な肋もある。茎の内部は白いスポンジ状の髄が均一に詰まっている。茎の先に花序をつけ、その先に茎と同じような苞をつけ、花序が茎の途中につくように見える。花序枝は多数つき、花序枝の一部が下向きに曲がる。花被片は披針形、鋭頭。果実(蒴果)は3稜状卵形~惰円形、鈍頭~微凸頭、花被片とほぼ同じ長さかやや長く、花被片からあまり突き出ないものも見られる。雄しべ3個。種子は長さ約0.5(0.45~0.56)㎜。2n=40。花期は6~9月。
品種) 'Blonde Ambition' , 'Curly Wurly' , 'Spiralis Nana' , Spiralis' ラセンイ , 'Unicorn' , Utilis' コヒゲ ,
12-1 Juncus decipiens (Buchenau) Nakai f. filiformis Satake オキナワイ 沖縄藺
synonym Juncus effusus L. var. decipiens Buchenau f. filiformis (Satake) Satake
沖縄に分布。イグサに比べて茎と花梗が細く、花被片が線状披針形となるもの(3.4 維管束植物 - 沖縄県)。
12-2 Juncus decipiens (Buchenau) Nakai f. glomeratus (Makino) Satake タマイ
synonym Juncus effusus L. var. decipiens Buchenau f. glomeratus Makino花序が球形になる。
12-3 Juncus decipiens (Buchenau) Nakai f. gracilis (Buchenau) Satake ヒメイ 姫藺
synonym Juncus effusus L. var. decipiens Buchenau f. gracilis Buchenau高山地に生え、全体が細く、蒴果が3室。
13 Juncus diastrophanthus Buchenau ヒロハノコウガイゼキショウ 広葉の笄石昌
synonym Juncus yakeisidakensis Satake日本、朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、広東省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、山西省、四川省、浙江省)、インド原産。中国名は星花灯心草 xing hua deng xin cao。標高 600~1300 mの疎林、川岸、野原の湿った場所に生える。
多年草、房状(株立)になり、高さ(5~)15~25(~35)㎝。根茎は短い。茎はわずかに扁平、幅1~2.5㎜、両側に非常に狭い翼がある。根生葉は少数、茎葉は1~3 枚。葉鞘の耳介はやや鈍形、自由部は長さ約0.5㎜。葉身は線形、扁平、長さ3~10 cm ×幅1~4㎜、不完全隔壁があり、先は尖鋭形。花序は頂生、通常2~3回枝分かれし、長さ7~8 cm。総苞片は葉状、長さ1.7~4 cm。頭花は(3~)6~24[7~40個]個つき、球形、星形、直径6~10㎜、花は[3]5~14個つく。花被片は狭披針形、長さ3~4㎜×幅0.7~1㎜、不揃いで内花被片が外花被片より長く、縁は粗く、先は剛毛状[線形又は線状披針形]。雄しべは3本、花被の長さの1/2~2/3の長さ。花糸は長さ約1㎜。葯は長楕円形、長さ約0.8㎜。子房は1室。蒴果は黄緑色~栗褐色で光沢があり、3稜形の長楕円形[披針形]で長さ4~5㎜、花被片より長く、しばしば2倍長程度になり、先は鋭形。種子は倒卵状楕円形、長さ0.5~0.7㎜、条線があり、両端は微突形。花期は4~6月。果期は4~10月。
13-1 Juncus diastrophanthus Buchenau var. togakushiensis (H.Lev.) Murata タマコウガイゼキショウ 玉笄石菖
synonym Juncus togakushiensis H.Lév.北海道、本州(近畿地方以北)。POWOでは基本種のsynonymとしている。
頭花が球形になるもの。茎は2綾形で、狭い翼がつく。葉は扁平、幅2~5㎜。多数の花が球状に密生する頭花が、2~5個(稀に8~10個)頂生する。蒴果は花披片よりやや長く、長さ5~6㎜、先は斬尖する。
14 Juncus dudleyi Wiegand アメリカクサイ 亜米利加草藺
synonym Juncus interior auct. non Wiegand
北アメリカ原産。英名はDudley's rush 。砂質から粘土質の土壌の露出または日陰の場所、通常は川岸、溝、泉の周りなどの湿った場所に生える。日本でも確認されている。
クサイの葉鞘の葉耳(auricle)が乾薄膜質で大形であるのに対し、アメリカクサイの葉耳は軟骨質で小形 である
多年草、高さ2~10m。根茎は密に分枝する。稈は1~20本。鱗片葉は1~3枚。葉は基部に2~3枚。葉耳は帯黄色、長さ0.2~0.4㎜、革質。葉身は平らで、長さ5~30㎝×幅0.5~1㎜、縁は全縁で上向き、ときに内巻きする。花序は小型で花が少数、緩く垂れ下がり、花は80個まで、長さ1.5~5(~9)㎝。1次の苞は通常花序より長くなる。花:小苞は2個。花被片は帯緑色、披針形、長さ4~5㎜。内側の列はほぼ同長で、果実に広がり、蒴果とほぼ同長かそれ以上。雄しべは6本、花糸は長さ0.8~1.2㎜。葯は長さ0.6~1㎜。花柱は長さ0.2㎜。蒴果は黄褐色、1室から擬似3室、楕円形、長さ2.9~3.6㎜×幅1.5~1.9㎜。種子はタン色(黄褐色)~琥珀色、楕円形~三日月形、長さ0.4~0.67㎜、尾はない。2n=約84。花期と果期は春から初夏。
15 Juncus effusus L セイヨウイグサ 西洋藺草
ヨーロッパ、アメリカなど世界に広く分布する。イグサに似ている。中国名は灯心草 deng xin cao 。英名はSoft rush。
多年草、高さ40~130㎝。根茎は短い枝があり、明瞭に叢生し、大きな群生(clump)をつくる。稈は直立、」円柱形、直径1~2.5㎜、鞘の先につく。 低出葉(cataphyll)は数個、葉身は無い。花序は側生、複合の二出集散花序(dichasia)、多数の花がつく。1次の苞は直立、円柱形、二出集散花序を超えて伸びる。花は花被片がタン色又は暗色で、普通、中央に縞をもち、披針形、長さ1.9~3.5㎜。内側の苞は短い。雄しべは3本、花糸は長さ0.5~0.8㎜。葯は長さ0.5~0.8㎜。花柱は長さ0.2㎜。蒴果は緑色を帯びたタン色、又は暗色で、3室、広楕円形~長円形、長さ1.5~3.2㎜。種子は琥珀色、長さ(0.3~)0.4~0.5㎜。2n= 40, 42。花期は夏。果期は夏~秋。
品種) 'Aureostriatus' , 'Big Twister' , 'Carman's Japanese' , 'Chikugo-Midori' , 'Cuckoo' (v) , 'Frenzy' , 'Fukunami' , 'Glaucus' , 'Gold Strike' (v) , 'Goldstrike' , 'Hinomidori' , 'Katrin Blanke' (PBR) , 'Lemon Swirl' , 'Lemon Twist' , 'Quarter Creek' , 'Quartz Creek' , 'Setonami' , 'Spiralis' , 'Squiggly Wiggly'
15-1 Juncus effusus f. spiralis
品種) 'Limelight' (v) , 'Unicorn' (PBR) , 'Yellow Line' (v)
16 Juncus ensifolius Wikstr. ミクリゼキショウ 実栗石菖
synonym Juncus oligocephalus Satake et Ohwi
日本(北海道、本州)、ロシア、北アメリカ原産。英名はsword-leaf rush。
多年草、根茎があり、高さ20~60㎝。根茎は細く、直径は2~3㎜、匍匐する。稈は直立し、直径2~6㎜。鱗片葉は無いかまたは1~2枚つき、麦わら色、先は狭い鋭形。葉:根生葉は1~3枚、茎葉は2~6枚、麦わら色。葉耳はない。葉身は長さ2~25㎝x幅1.5~6㎜。花序は円錐花序または総状花序で、頭花は2~50個または単生し、長さ2~14㎝、直立または斜上する枝となる。1次の苞は直立し、頭花は花が3~70個つき、倒卵形~球形、直径7~11㎜。花:花被片は緑色~褐色または赤褐色、披針形。外花被片は長さ2.7~3.6(~4)㎜、先は尖鋭形。内花被片は長さ2.2~3(~3.5)㎜、ほぼ等長、先は尖鋭形。雄しべは3または6本。葯は花糸の長の1/2から同長。蒴果は突き出さず~わずかに突出し、栗色~暗褐色、1室、長円形、長さ2.4~4.3㎜、先は下部の鈍形~嘴状。種子は楕円形~倒卵形、長さ0.4~1㎜、たまに尾を持つ。果期は7~9月。2n=40。
品種) 'Flying Hedgehogs' , 'Starhead'
17 Juncus fauriei H.Lev. et Vaniot イヌイ 犬藺
synonym Juncus yokoscensis (Franch. et Sav.) Satake var. laxus Satake
synonym Juncus yokoscensis (Franch. et Sav.) Satake日本(北海道 本州)、朝鮮、千島列島原産。別名はヒライ、ネジレイ。沿海地、丘陵地の湿った砂泥地、草地などに生える。
多年草、高さ20~45㎝。根茎は地下を水平に長く伸び、節から芽を出し、太さ3~5㎜、断面は放射状の空洞がある。茎は平滑、扁平、断面が長円形、顕著に捻じれ、基部に赤褐色の鱗片葉がある。葉は平滑、扁平、幅約2㎜×厚さ約0.5㎜、緑色で捻じれ、平行な縦脈がある。葉鞘は褐色又は黒褐色で光沢がある。花序は単生花からなり、花が8~25個つく。1個の小花は長さ約4㎜。花被片は長円状披針形、先が鋭形、 背部は緑褐色、側部は黒褐色で光沢がある。蒴果は長卵形、先は鋭形又は微突形、黒褐色、光沢があり、長さ4~5㎜。花(果)期は4~5月。
18 Juncus fauriensis Buchenau ホソコウガイゼキショウ 細笄石昌
synonym Juncus tokubuchii Miyabe et Kudo
日本(北海道、本州の中部地方以北)、ロシア原産。山地~高山帯の湿地に生える。
多年草、高さ20~40㎝。根茎は短く、叢生する。茎は直立する。葉は円柱状、単菅質、隔壁があり、茎より短く、葉耳は大きい。下部の葉鞘は通常、紅紫色を帯びる。最下の苞は葉状で花序より短い。花序は頂生し、頭花は数個~多数つく。頭花は花が2~3個つく。花被片は披針形。外花被片は先が鋭形、内花被片は先が鈍形。雄しべは3本。葯は花糸とほとんど同長。蒴果は小さい。花期は7~8月。
19 Juncus fascinatus (M.C.Johnst.) W.M.Knapp ジュンクス・ファスキナツス
synonym Juncus validus var. fascinatus M. C. Johnston,北アメリカ原産。標高 0~100 mの湿った砂地、池、湖、小川の岸、時には森林地帯に生える。
多年草、根茎があり、ときにほぼ叢生し、高さ40~100㎝。根茎は塊茎にはならず、直径約2㎜。稈は直立し、円柱形、直径3~5㎜、平滑。鱗片葉はない。葉: 根生葉は2~3(~6)枚、茎葉は1~4枚。葉耳は長さ1~3㎜、先は鋭形、膜質、下部の葉にはない。葉身は緑色、側部が扁平、長さ9~70㎝×幅2~6㎜。花序は頂生の円錐花序で、頭花が10~30個つき、長さ2~5㎝、枝は広がり、1次の苞は直立し、頭花は6~15個の花がつき、球形、直径 (10~)12~15㎜。花: 花被片は緑色~帯赤色、披針形、長さ4~5㎜、先は尖鋭形。雄しべは3本、葯は花糸の長さの1/3~1/2。蒴果は突出し、麦わら色、1室、錐形、長さ4~5.5㎜、錐形の先端に向かって細くなる。バルブは裂開時に分離せず、全体に稔性があるか、中間付近のみ稔性がある。種子は広楕円形、長さ0.5~0.6㎜、尾部はなく、種子体は透明な黄褐色。果期は夏。
20 Juncus filiformis L. エゾホソイ 蝦夷細藺
synonym Juncus brachyspathus (Regel) Maxim
synonym Juncus curvatus Buchenau
synonym Juncus brachyspathus (Regel) Maxim. var. curvatus (Buchenau) Satake
日本(北海道、本州の中部)、中国、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は丝状灯心草 si zhuang deng xin cao 。英名はthread rush。標高0~3000mの通常は砂質、湿潤または湿った土壌で、川岸、池、湖、または草原の窪地沿いに生育するが、まれに沼地にも生育する。多年草、高さ2~35㎝。根茎は広く這い、分岐はまばら、直径1.5~2㎜、節は密集する。稈は円柱形、直径1㎜。鱗片葉は数枚。葉身はなし。花序は3~10(~12)個、緩く集まり、長さ1~2㎝。1次の苞は円柱形、稈とほぼ同長または稈よりかなり長い。花は小花柄がある。小苞は広卵形。花被片は淡褐色または緑色、披針形、長さ2.5~4.2㎜。内花被片は成熟すると緩く蒴果を被い、やや短く、縁は薄膜質。雄しべは6本、花糸は長さ0.5~0.9㎜。葯は長さ0.5~0.7㎜。花柱は長さ0.2㎜。蒴果は黄褐色、3室、ほぼ球形、長さ2.5~3㎜x幅1.8~2.1㎜、花被片より短い。種子は琥珀色、長さ0.5~0.6㎜、尾はない。2n=40, 70, 80, 84。花期と果期は夏。
品種) 'Spiralis'
21 Juncus gracillimus (Buchenau) V.I.Krecz. et Gontsch. ドロイ 泥藺
synonym Juncus compressus auct. non Jacq.
synonym Juncus compressus Jacq. var. gracillimus Buchenau
日本(北海道、本州、四国、九州)、韓国、中国(甘粛省、河北省、黒龍江省、河南省、江蘇省、江西省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、青海省、山東省、山西省)、ロシア原産。中国名は扁茎灯心草 bian jing deng xin cao。標高500~1500mの川岸、池の縁、沼地、湿地、湿った草原、尾根に生える。
多年草、緩く房状になる。根茎は太い。茎は長さ(8~)15~80㎝、通常わずかに扁平する。片葉は 3 個まで無い。根生葉は1~3枚、葉身は線形、長さ3~15㎝×幅0.5~1㎜。上部の茎葉は1枚または2枚。葉鞘の葉耳は丸く、長さ約1㎜、葉身は平ら、長さ10~15(~20)㎜。花序は通常緩く、多数分岐する。枝は不等分で、長いものは長さ4~6㎝。総苞は線形で、花序より長いことが多い。小苞があり、広卵形、約 1 mm、縁は薄膜質、先は鈍形。花被片は披針形~長楕円形、長さ1.8~2.6㎜×幅0.9~1.1㎜、先は鈍形。外花被片は内花被片よりわずかに長くて狭く、中央は帯緑色、縁は広く薄膜質。雄しべは6本。花糸は長さ約1㎜。葯は長さ0.8~1㎜。子房は長円形。花柱は非常に短く、柱頭は長さ約1.5㎜。蒴果は球形~卵形、長さ約2.5㎜、先は鈍形で微突形。種子は斜めの卵形、長さ約0.4㎜、条線がある。花期は5~7月。果期は6~8月。
22 Juncus haenkei E.Mey. ハマイ 浜藺
synonym Juncus arcticus Willd. var. alaskanus (Hulten) S.L.Welsh
日本、朝鮮、ロシア、北アメリカ原産。英名はAlaskan rush。別名オオイヌイ。標高0~2200mの湿地~乾燥地、湿地の牧草地、川岸に生える。多年草、高さ10~30㎝。稈は直径0.7~1.2㎜。葉は葉身がない。花序は花が3~8個つき、ややコンパクト、長さ1~1.5㎝。1次の苞は3~8個。花:花被片は栗色、中央に明るい斑紋があり、長さ4~5(~6)㎜、先は尖鋭形。内花被片はより短く、縁は明瞭、鈍形~鋭形。雄しべは長さ2㎜。花糸は長さ1㎜。葯は長さ1㎜。蒴果は暗タン色で扁球形、直径3~4㎜、通常は花被片よりわずかに大きい。花期は春~夏。
23 Juncus hybridus Brot. フサヒメコウガイゼキショウ 房姫笄石菖
synonym Juncus bufonius subsp. hybridus (Brot.) Arcang.地中海沿岸地域、イラン、アフガニスタン、トルクメニスタン原産。英名はhybrid toad rush。北アメリカ、南アメリカ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどに帰化している。湿った場所、通常は塩分を含んだ湿地に生える。
茎は少数から多数。茎は (5~)10~20(~30) cm、直立し、通常は頑丈で、花序の下に1~4枚の長い葉がある。下部の苞は長く、葉状。葉は長さ2~7(~10) cm、通常は幅0.5~1 mm で平ら、縁は巻き込む。花は通常1~10 個の頭花が束生する。花被片は長さ3.5~8.5 mm、通常は大部分が薄膜状。外花被片は狭卵形~披針形。内花被片は狭卵形~披針形、鈍形またはほぼ鋭形。雄しべは6本、花被片の長さの1/3~1/2の長さ。葯は長さ0.4~0.8 mm、花糸の長さの2/3~4/5の長さ。蒴果は長さ3.5~4.5mm、内花被片と同長またはわずかに短く、鈍角~楕円形で、先はほぼ鋭形~鈍形、しばしば花柱基部が盛り上がる。花柱は通常脱落性。種子は長さ0.3~0.4mm、広楕円形~卵形、通常鈍形で平滑。花はたまに閉花性(cleistogamous)となる。花期は3~5月。2n=34。
24 Juncus imbricatus Laharpe ジュンクス・インブリカツス
南アメリカ原産。北アメリカ、ヨーロッパ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどに帰化している。撹乱された、砂質土壌によく生える。
多年草、房状の短い根茎を持つ。稈は円柱形~からわずかに扁平、長さ10~45(まれに60)㎝、直径0.7~1.0(1.6)㎜。葉は根生し、一般に稈より短い。葉身は樋状(canaliculate)~先近くでほぼ円柱形になり、幅0.5~1.0(まれに2.5)㎜、葉耳は長さ0.5㎜以下、鞘は淡黄色。花序は頂生または偽側生、散在し、長さ1~4㎝、通常、2~10個の花がつく。花は単生。総苞は1枚、よく発達し、長さ0.7~7㎝、花序より長いかまたは短い。花被片は麦わら色で、中脈の両側にわずかに暗色の帯があり、広い透明の縁がある。外花被片は長さ3.4~4.2㎜、内花被片より長いかまたは同長。雄しべは6本で、外花被片より短い。葯は長さ0.7~1.1 ㎜、花糸より短いかまたは同長。蒴果は外花被片よりずっと長く、楕円形~卵形、先は鈍形で小突起はなく、黄褐色、しばしば先端近くで暗色になる。花期は春~夏。
25 Juncus inflexus L. ジュンクス・インフレクサス
中国(甘粛省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、江蘇省、青海省、山西省、四川省、西蔵、新疆ウイグル自治区、雲南省)、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、カシミール、シッキム、、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジクスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、西アジア、コーカサス、ヨーロッパ、アフリカ、マダガスカル原産。中国名は片髓灯心草 pian sui deng xin cao 。英名はhard rush。標高1100~2700mの氾濫原、湿った草原、湿地、川岸、溝の縁に生える。
多年草。房状(株立ち)になる。茎は円柱形、長さ40~80㎝、髄は途切れている。鱗片葉は密接に茎を包み、赤褐色~褐色で、光沢は有または無、鞘状、長さ1~13㎝。花序は偽側生で、小さな密な円錐花序に花が多数つく。総苞片は直立し、茎の延長のように見え、長い。小苞は2個、広卵形~卵状披針形。花被は中央が黄緑色、花被片は狭披針形で長さ2.5~3.5㎜×幅約1㎜、ほぼ等長、または外花被片が内花被片より大きく、縁は薄く透明、先は鋭形。雄しべは6本、花被片の約1/2の長さ。子房は3室。花柱は子房より短い。蒴果は黄緑色~栗褐色、3稜形、楕円形、狭卵形または卵状長円形、長さ3~3.4㎜、外花被片とほぼ同長またはわずかに長く、3隔壁があり、先は鈍形~尖鋭形、しばしば微突形。種子は褐色、斜めの卵形~長円形、長さ約0.6㎜、網状。花期は6~7月。果期は7~9月。2n=38, 40, 42。
品種) 'Afro' , 'Blue Arrows' , Graceful GrassesR Blue MohawkR , 'Lovesick Blues'
26 Juncus interior Wiegand セイタカクサイ 背高草藺
北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。英名はinterior rush。別名はトミサトクサイ。乾燥した場所で、多くの場合草原の高地、露出した乱れた場所、砂質または粘土質の土壌の溝に生える。千葉県で確認されている。
多年草。房状(株立ち)になり、高さ2~6m。根茎は密に分岐する。稈は1~10本。鱗片葉は1~3個。葉は基部に1~2(~3)枚。葉耳は帯白色または帯紫色、長さ0.2~0.4(~0.6)㎜、薄膜質。葉身は平らで、長さ5~15㎝×幅0.5~1.1㎜、縁は全縁。花序は通常ややコンパクトで、長さ1.5~7cm。主苞は通常花序より短い。花:小苞2個。花被片は緑がかった披針形、長さ3.3~4.4㎜、先は尖鋭形。雄しべは6本、花糸は長さ0.5~0.9㎜。葯は長さ0.4~0.6㎜。花柱は長さ0.1~0.2㎜。蒴果は淡褐色またはそれより暗色、1室から擬似3室、楕円形~ほぼ球形、長さ(3.3~)3.8~4.7㎜、花被片とほぼ同じかそれより長い。種子は淡褐色、楕円形~三日月形、長さ0.436~0.73㎜、尾はない。2n=80。花期と果期は晩春~初夏。
27 Juncus kamschatcensis (Buchenau) Kudo ミヤマホソコウガイゼキショウ 深山細笄石
synonym Juncus fauriensis Buchenau var. kamschatcensis Buchenausynonym Juncus fauriensis Buchenau subsp. kamschatcensis (Buchenau) Novikov
日本(北海道中、本州中部以北)、ロシア原産。亜高山~高山の湿地に生える。多年草、高さ10~30(~40)㎝。根茎の節間は短く、房状(株立ち)になる。茎は扁平な2稜形、やや広い翼がある。基部の葉は鱗片状。茎葉は2~3個つき、扁平な円柱状針形、多管質で隔壁は不明瞭。基部の葉耳は白色で大きい。最下苞は花序よりも短い。花序は頭花が2~3個、ときに3~5個つく。頭花は花が3~6個つく。花被片は濃褐色、披針形、同長で、長さ約3㎜。外花被片は先が鋭形、内花被片は先が鈍形。雄しべは6本。蒴果は3稜形の長円形、長さ約5㎜、黒褐色、先は鈍形。花期は7~9月。
28 Juncus krameri Franch. et Sav. タチコウガイゼキショウ 立笄石菖
日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、韓国、中国(吉林省、遼寧省、山東省)原産。中国名は短喙灯心草 duan hui deng xin cao。標高100~1300mの湿地の草原、川沿い、砂地の斜面、斜面の道端に生える。
多年草、高さ4~35㎝。根茎は短い。茎は房状。根生葉と茎葉は数枚。葉鞘の葉耳は鈍形。葉身は2~9㎝、±隔壁があり、先は鋭形。花序は長さ2~11㎝、頭花が3~26個つく。頭花は直径3~4㎜、花が2~4(~6)個つく。小苞は約・長さ1.2㎜×幅1㎜。花被片は古くなると緑色~麦わら色になり、披針形、約・長さ2.5㎜×幅1㎜、内花被片は外花被片よりやや長く、縁は粗く、先は尖鋭形。雄しべは6本。花糸は長さ約1㎜。葯は長さ0.5~0.6㎜。蒴果は3稜形、楕円形、長さ約3.1㎜、先は微突形。種子は倒卵形、長さ約0.5㎜、網目がある。花期は7~8月。果期は8~9月。
29 Juncus kuohii M.J.Jung ジュンクス・クオヒー
台湾原産。2013年に報告された新種。台湾中部の高地(約3210メートル)の尾根の溝の中の日当たりの良い湿地の草原に生える。
多年草、高さ10~40㎝。根茎は短く、水平、長さ2㎝まで。稈は円柱形でやや太く、基部は球茎状、節は1個または2個。花稈は1節。鱗片葉は基部に2~5個、長さ15㎝×幅2㎜・以下、多管状(pluritubulose)、不完全隔壁、帯淡緑色~帯褐色、縁は紫色を帯びる。茎葉は1~2個。鞘は淡緑色、縁は透明で膜質。葉耳は目立たないか無く、ある場合は長円形、透明、膜質、長さ1㎜まで。葉身は線形、平ら、多管状、不完全隔壁、先は鈍形~鋭形、基部は鞘の先より狭く、淡緑色~淡褐色、長さ6㎝×幅2㎜・以下。花序は頂生、総状花序、頭花3~6個から構成され、頭花は倒円錐形、花を3~6個もち、花序柄は長さ0.5~4㎝。下部の苞は葉状で線形、先は鋭形、長さ4㎝×幅2㎜・以下、長さは花序とほぼ等しい。苞は狭卵形、長さ5~5.5㎜、先は尖鋭形で微突形、暗褐色、不明瞭な3脈があり、縁は透明、膜質。小花柄は長さ2㎜まで、無毛。花被片は6個、等長またはほぼ等長。外花被片は3個、披針形~狭卵形、先は鋭形~尖鋭形、微突形、長さ4.5~4.7㎜、中央部は淡褐色または帯暗褐色、側面は栗色状(castaneous)~暗褐色、縁は膜質、透明、脈はない。内花被片は3個、長円形、先は円形、全体的に暗褐色、脈なし、長さ3.5~3.7㎜。雄しべは6本。花糸は長さ1㎜まで。葯は長さ約1.1㎜。雌しべは1個、子房は長さ約2.5㎜×幅約1.5㎜。花柱は長さ0.5㎜まで。柱頭は3裂し、長さ1㎜まで。蒴果は3稜形、楕円形、単室、長さ2.5~3.5㎜、暗褐色。花期は3~6月。
30 Juncus marginatus Rostk. ニセコウガイゼキショウ 偽笄石菖
北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はgrassleaf rush, red-anthered rush。別名はマツカサコウガイゼキショウ、タカナベイ。多年草。高さ15~70㎝。茎は細く、直立するが湾曲しやすい。茎葉は柔らかく、幅1~6㎜、基部は長い筒状の葉鞘があり、葉の先は平になって尖る。最下の苞葉は花序より短い。花序は集散花序につき、頭花は2~40個。頭花は(1)2~10(20)個(写真のものは5~15個)の花が球状につく。花被片は6個、暗褐色、披針形~卵形、先が尖る。外花被片は長さ1.8~3.2㎜。内花被片は外花被片よりわずかに長く、2~3.5㎜。蒴果が熟すと、赤褐色となる。雄しべ3個。蒴果は長さ1.8~2.9㎜、花被片とほぼ同長の球形で、嘴は無く、熟すと赤褐色になり、頭部が平らになる。種子は長さ0.4~0.7㎜の卵形、褐色(写真のものは0.3~0.4㎜)。2n=38, 40。花期は6~9月。
31 Juncus maximowiczii Buchenau イトイ 糸蘭
synonym Juncus triflorus Ohwi
日本(北海道、本州中部以西)、朝鮮、中国(吉林省)、台湾原産。中国名は长白灯心草 chang bai deng xin cao。亜高山帯以上の山地の湿地に生える。
多年草、密に房状になり、高さ6~15㎝。根茎は短い。茎は細い。鱗片葉は1枚または2枚。根生葉と茎葉は多数。葉鞘は長さ1~1.3㎝、葉耳は顕著。葉身は毛状、長さ8~9㎝。花序は頂生。頭花は単生、花が通常2~3個つく。苞は卵形、長さ2~3㎜×幅約1.2㎜、膜質。基部の苞は花より長い。花被片は帯黄色の披針形、長さ3.1~3.8㎜×幅1~1.4㎜、ほぼ等長、縁は薄膜質、先は鈍形。雄しべは6本。花糸は長さ3.5~4.2㎜、葯は長さ1.1~1.5㎜。花柱は長さ約0.7㎜。柱頭は長さ約0.8㎜。蒴果は褐色で、三角状倒形~三角状長円形、長さ4.5~5㎜、先は微突形。種子は長さ約2㎜、両端に付属体があり、付属体は尾状。花期は6~7月。果期は8月。
32 Juncus membranaceus Royle ex D. Don ジュンクス・メンブラナケウス
中国(雲南省、西蔵)、インド、パキスタン、カシミール、アフガニスタン、タジキスタン原産。中国名は膜耳灯心草 mo er deng xin cao。標高3000~4000mの山の斜面、渓谷、道沿いの牧草地に生える。多年草、高さ17~45㎝。根茎は這う。茎は円柱形で、直径0.8~1.5㎜。根生葉は1~2枚、茎葉は1枚。葉鞘の葉耳はよく発達している場合もそうでない場合もあり、鋭形、長さ約1㎜。葉身は円柱形、長さ7~14㎝、不明瞭な隔壁があり、先は鋭形。花序は頂生。頭花は単生、直径4~5㎜、1頭花に花が5~20個の花がつく。苞は数個。基部の苞は長さ6~14㎜、頭花と同長またはそれより長い。他の苞は帯黄色、広卵形で頭花より短い。花被片は黄白色、披針形、長さ約6㎜、ほぼ同長かまたは、内側の苞が外側の苞よりわずかに長く、先は鈍形または外側の苞がほぼ鋭形。雄しべは6本。花糸は花被よりわずかに長い。葯は長さ約2㎜。蒴果は栗褐色で光沢があり、三角状卵形、花被より長く、先は微突形。種子は長円形、長さ約1㎜、付属体は2個、白色で尾状、長さ約1㎜。花期は6~7月。果期は7~8 月。
品種) Hlms 94.0541
33 Juncus mertensianus Bong. エゾノミクリゼキショウ 蝦夷の実栗石
日本(北海道、本州)、北アメリカ(アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、ノースウエスト準州、サスカチュワン州、ユーコン準州。アラスカ州、アリゾナ州、カリフォルニア州、コロラド州、アイダホ州、モンタナ州、ネバダ州、ニューメキシコ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州、ワイオミング州)原産。標高(400~)1900~3300mの山地から高山帯の草原、川岸、湖畔、針葉樹林に生える。多年草、根茎性~叢生し、高さ5~40㎝。根茎は直径1~2㎜、膨れない。稈は直立し、円柱形、直径1~3㎜、平滑。片葉は 0~1 個、麦わら色から栗色、先は鋭形。葉: 基部に 1~2 枚、茎葉は 0~1 枚。葉耳は長さ1~1.2㎜、先は円形~鋭形、膜質または鱗片状。葉身は緑色~麦わら色、円柱形、長さ3~15㎝×幅0.3~0.6 mm。花序は頂生で頭花は単生(まれに2頭が束生)、長さ0.5~1.6㎝。1次の苞は直立する。頭花は花が12~60個つき、球形(半球形)で、直径4.5~15㎜。花:花被片は暗紫褐色~黒色、披針形~披針卵形、先は鋭形、微突は錐形。外花被片は長さ2.4~4.9㎜、内花被片は長さ2.3~4.3㎜。雄しべは6本。葯は花糸の長さの1/4~ほぼ同長。蒴果は突き出さずまたはわずかに突出し、栗褐色、1室、倒卵形、長さ1.9~3.5㎜、先は鈍形または円形、裂開時に弁が分離し、全体に稔性があるかまたは下部~中間付近のみ稔性。種子は楕円形、長さ0.4~0.5㎜、尾はなく、種子体は透明な黄褐色。2n=40。果期は夏中~秋。
34 Juncus pallidus R.Br. ジュンクス・パリドゥス
オーストラリア、ニュージーランド原産。英名はgreat soft-rush , pale rush , giant rush , leafless rush。様々な場所に生えるが、沿岸地域の湿った栄養分の少ない砂質土壌に生えることが多い。
多年草、背が高く、根茎が強い。稈は円柱形で、長さ70~135㎝、直径2.7~5.2㎜、硬く、中緑色、条線が45~90本あり、髄は連続している。鱗片葉は長さ10~30㎝、緩く、下面(外面)は淡黄色~非常に暗い黄褐色、暗赤褐色、上面(内面)は銀色~黄金色。花序は偽側生、散在し、長さ6~18㎝、花が多数、緩く~密につき、または花が単生する。最下の総苞片は長さ 6~35㎝、花序より長いか、まれに花序と等しくなる。花被片は麦わら色、±狭く透明または淡黄色の縁がある。外花被片は長さ2.6~3.4㎜、内花被片より長いかまたは同長。雄しべは6本で、外花被片より短い。葯は長さ0.8~1.0㎜。蒴果は外花被片より長いか同じで、楕円形~倒卵形、先は小突起がないか、かすかにあり、黄金色。花期は春~夏。
品種) 'Javelin'
35 Juncus patens E.Mey. ジュンクス・パテンス
USA(カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州)、メキシコ原産。英名はspreading rush , California grey rush。標高0~1600mの川岸、湖や池の岸、溝、その他の砂質または粘土質の土壌の湿地に生える。
多年草、ときに房状、ときに根茎があり、高さ30~90㎝。根茎は、あっても短い。稈は緑色~灰白色、直径1.5~2.5㎜。鱗片葉は数枚。葉身はない。花序は側生、花が多数つき、疎~密、長さ2~9㎝。1次の苞は花序を超える。花は様々な小花柄をもち、小苞は膜質。花被片は帯緑色、淡褐色または帯赤色、披針形、長さ2.3~3㎜、内花被片はほぼ等長、縁は粗い。雄しべは6本、花糸は長さ0.6~1㎜。葯は長さ0.4~0.6㎜。花柱は長さ0.1㎜。蒴果は3室または擬似3室、ほぼ球形、長さ2~2.7㎜、花被片と同長または花被片を超える。種子は暗琥珀色で、 扁円形、長さ0.4~0.5㎜。花期と果期は夏。
品種) 'Carman's Gray' , 'Elk Blue'
36 Juncus papillosus Franch. et Sav. アオコウガイゼキショウ 青笄石菖
synonym Juncus nikkoensis Satake ニッコウコウガイゼキショウ日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は乳头灯心草 ru tou deng xin cao 。別名は ホソバノコウガイゼキショウ。
多年草。高さ20~50㎝。名はアオとついているが、果期になると赤味を帯びてくる。根茎は横に広がって匍匐し、節間は短い。茎は直立し、円筒形、中空。茎が乾燥すると細かい点状の突起が見える。葉は茎より短く、長さ20~30㎝、幅1~2㎜。頭花は集散状に2~3個の花をまばらにつける。雄しべは3個。蒴果は長さ3~3.5㎜、赤褐色を帯び、先が鋭角に尖り、長いものは花被片の2倍長になる。種子は長さ約0.5㎜、狭倒卵形で、表面に格子状紋がある。花期は8~9月。
37 Juncus polyanthemus Buchenau コゴメイ 小米藺
オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、西オーストラリア州)、ニューカレドニア原産。英名はmanyflower rush , Australian silver rush。河川敷、溜池、道端などに生える。
多年草、根茎は短く、強い。稈は円柱形、長さ65~115 (たまに~140)[70~150:Western Australia ]㎝、直径2.0~4.5㎜、±柔かく、灰緑色、粉白を帯びる。稈の縦筋(striations)は40~100本、髄(pith)は中断し、しばしば上部で連続する。鱗片葉(cataphylls)は長さ11~27㎝、緩く、外面は黄金褐色~基部は暗ピンク褐色、内面は暗黄金褐色~銅色。花序は偽側生、拡散し、長さ3~10㎝、花は多数つき、単生又はたまに疎に束生する。最下の総苞片は長さ10~32㎝、花序より長い。花被片はわら褐色、縁が広く透明になる。外花被片は長さ1.7~2.3㎜、内花被片より長いか、同長。雄しべは3(~6)本、外花被片より短い。葯は長さ0.4~0.7㎜。蒴果は長さ1.8~2.5㎜、外花被片より長く、楕円形、先は鈍形、微突起が無く又はかろうじてあり、黄金褐色。J. usitatus や J. mollisとしばしば交雑する。(参考5)
長い間不明種とされていたが、オーストラリア原産のJuncus polyanthemusと同定された。
【日本で野生化しているもの】
根茎は短く匍匐し、節間は短い。茎は直立して多数叢生し、平滑、茎の直径は2~3㎜、茎の髄が未発達で梯子状になるのが特徴。茎の基部は赤褐色~黒褐色、光沢があり、葉鞘の上部は藁色になる。花序は大きく、長さ5~15㎝。花序軸は扁平。花被片は6個つき、披針形、鋭頭、辺縁は膜質。雄しべは3個。柱頭は赤紫色、3分岐する。果実(蒴果)は長さ約2㎜の卵状球形、微凸頭、花被片より長い。種子は長さ約0.3(実測0.33~0.42)㎜。
38 Juncus potaninii Buchenau エゾイトイ 蝦夷糸藺
synonym Juncus luzuliformis Franch. var. potaninii (Buchenau) Buchenau ex Diels
日本(北海道、本州中部の八ヶ岳・塩見岳)、韓国、中国(甘粛省、貴州省、河南省、湖北省、寧夏省、青海省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は单枝灯心草 dan zhi deng xin cao。標高2300~4200mの森林斜面、高山草原、川岸、岩の割れ目、道端の湿った場所に生える。
多年草、房状(株立ち)になり、高さ6~15㎝。茎は直立または斜上し、直径約0.3mm。片葉は1~3枚。根生葉と茎葉は2~4枚。葉鞘の葉耳は鈍形、長さ0.1~0.3mm、膜質。葉身は糸状で、根生葉は長さ5~11㎝×幅0.3~0.5㎜、上部の葉は長さ2~3㎝。花序は頂生、頭花は単生、まれに双生、花が(1個または)2個つく。苞は2個または3個、広卵形、長さ約3㎜、先は鋭形。花被片は白色~帯黄色だが、外花被片は古くなると帯褐色になり、披針形、長さ3.8~4㎜、不揃いで内花被片が外花被片よりわずかに長く、先はほぼ鋭形。雄しべは6本、花被とほぼ同長またはわずかに長い。花糸は長さ2.5~3㎜。葯は長さ0.8~1㎜。花柱は長さ0.8~1 ㎜。柱頭は頭状で長さ約0.5㎜。蒴果は成熟すると暗褐色になり、長円形、長さ3.5~3.7㎜、1室、先は嘴状、嘴は長さ約0.3㎜。種子は長円形で長さ0.5~0.7㎜、付属体は長さ0.2~0.3㎜、不揃い。花期は6~9月。果期は7~9月。
39 Juncus prismatocarpus R.Br. コウガイゼキショウ 笄石菖 [広義]
日本、韓国、中国、台湾、カンボジア、インド、ネパール、ブータン、シッキム、スリランカ、パキスタン、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、太平洋諸島原産。中国名は笄石菖 ji shi chang 。別名はヒラコウガイゼキショウ。海抜0~3000mの湿地、水辺、放棄水田、森林の湿った草地、茂みなどに生える。多年草、房状(株立ち)になり、高さ(8~)10~65㎝。茎は直立または斜上し、円錐形または扁平、直径0.7~3㎜。根生葉は少数、茎葉は2~4 枚。葉耳は鈍形、短い。葉身は線形、円柱形~扁平、長さ10~25㎝×幅(1~)2~4㎜、明瞭かつ完全または不完全な隔壁があり、先は鈍形、鋭形、または尖鋭形。花序は頂生、疎~多数分岐。総苞は葉状で、花序より短い。頭花は5~10(~30)個つき、球形~半球形、直径7~10㎜。1頭花に花が(3~)8~15(~20)個つく。苞は長さ2~2.5㎜、広卵形~卵状披針形、薄い膜質。花被片は狭披針形~線状披針形、長さ3.5~4㎜、ほぼ均等、脈は縦に伸び、先は鋭形。雄しべは3本、外花被片に対生してつく。花糸は長さ1.2~1.4㎜。葯は長さ0.9~1㎜。柱頭は非常に長く、しばしば反り返ったり、波打ったりする。蒴果は狭角柱形(prismatic)、長さ3.8~4.5㎜、角は突出し、鋭角。胎座は侵入しないか、わずかに侵入するだけなので、果実は1室。種子はワックス状で、黄色、長円形、長さ0.6~0.8㎜、規則的な縦うねがあり、横脈は薄く、離れている。花期は(1~)3~6月。果期は5~11月。[Flora of China]
39-1 Juncus prismatocarpus R.Br. subsp. leschenaultii (J.Gay ex Laharpe) Kirschner コウガイゼキショウ 狭義
synonym Juncus prismatocarpus auct. non R.Br.synonym Juncus prismatocarpus R.Br. var. leschenaultii (J.Gay ex Laharpe) Buchenau
synonym Juncus monticola Steud.synonym Juncus leschenaultii J.Gay ex Laharpe
synonym Juncus latior Satake
synonym Juncus hizenensis Satake
日本、韓国、中国、台湾、カンボジア、インド、ネパール、ブータン、シッキム、スリランカ、パキスタン、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、太平洋諸島原産。中国名は笄石菖 ji shi chang 。別名はヒラコウガイゼキショウ。海抜0~3000mの湿地、水辺、放棄水田、森林の湿った草地、茂みなどに生える。Flora of Chinaではvar. prismatocarpusに含めている。
笄(コウガイ)は日本髪の髪結い道具のことをさし、和名はコウガイに似たセキショウの意から。
多年草、高さ10~40㎝。茎は2綾があり、扁平で、縁に狭いひれ(翼)がある。葉は幅1.5~3㎜の扁平で、別名はこれに由来する。葉は多管質で、厚くて光沢があり、先が尖る。最下の苞は長さ1.5~4㎝。茎の先端に(3)4~10(12)個の花が集まる頭花を5~15個つける。花被片は長さ(2.8)3.0~3.8 (4.2)㎜。葯は長さ0.3~0.8㎜。花糸は長さ1.0~1.2㎜。蒴果は長さ3.3~4.2㎜、花被片よりやや長く、長くても1.5倍程度。蒴果の中に小さい多数の種子が入る。花期は5~7月。
39-2 Juncus prismatocarpus subsp. prismatocarpus
オーストラリア、ニュージーランド原産。英名はbranching rush。葉身は扁平、不完全に隔壁がある。
多年草。房状(株立ち)になる。茎は±扁平で、長さ10~40㎝、幅1.3~3.0㎜。葉は複数、多管質(pluritubulose:数個から多数の横隔壁と数個の縦隔壁を持ち、切断すると見える)、茎に沿って広がり、茎より短いか同じ長さ。葉身は扁平、幅1.3~3.2㎜。葉耳は長さ0.3~1.0㎜。花序は頂生、散在し、長さ5~17㎝。花は枝の先端に密集し、花房(cluster)あたり5~25個、花序あたり4~40個の花房がある。総苞は1個、よく発達し、長さ3~14㎝で、花序より短いか、まれに同長。花被片は麦わら色~赤褐色、縁は狭く透明。外花被片は長さ2.5~3.5(~4.1)㎜で、内花被片と±同長。雄しべは3個で、外花被片より短い。葯は長さ0.4~0.7㎜。蒴果は外花被片より3㎜まで長く、狭卵形で、尖り、長い嘴に向かって均等に細くなるか、または先端で急激に細くなり、黄金色。花期は春~夏。(NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE)
40 Juncus prominens (Buchenau) Miyabe & Kudô セキショウイ 石菖藺
synonym Juncus falcatus E.Mey. subsp. prominens (Buchenau) Novikov
synonym Juncus falcatus var. prominens Buchenau日本(北海道、青森県)、ロシア原産。
Flora of North AmericaではJuncus covillei var. covilleiとしていた。
41 Juncus saximontanus A.Nelson ジュンクス・サキシモンタヌス
synonym Juncus ensifolius var. montanus (Engelmann) C. L. Hitchcock
北アメリカ原産。標高400~3000mの湿地、沼地、潤いのある森、小川や湖岸に生える。多年草、根茎があり、高さ20~60㎝。根茎は直径は2~3㎜。稈は直立し、直径2~6㎜。鱗片葉は無いかまたは1~2枚つき、麦わら色、先は狭い鋭形。葉:根生葉は1~3枚、茎葉は2~6枚、麦わら色。葉耳はない。葉身は長さ2~25㎝x幅1.5~4㎜。花序は円錐花序または総状花序で、頭花は3~20個つき、長さ2~14㎝、直立または斜上する枝となる。1次の苞は直立し、頭花は花が3~70個つき、倒卵形~球形、直径7~11㎜。花:花被片は緑色~褐色または赤褐色、披針形。外花被片は長さ2.7~3.6㎜、先は尖鋭形。内花被片は長さ2.7~3㎜、ほぼ等長、先は尖鋭形。雄しべは6本。葯は花糸の長の1/2から同長。蒴果はわずかに突出し、栗色~暗褐色、1室、長円形、長さ2.4~4.3㎜、先は下部の鈍形~嘴状。種子は楕円形~倒卵形、長さ0.4~1㎜、たまに尾を持ち、尾がないほうが多い。果期は初夏~秋。
42 Juncus setchuensis Buchenau ホソイ 細藺
日本、朝鮮、中国原産。中国名は野灯心草 ye deng xin cao。
基本変種 var. setchuensisは茎が明瞭に直線であり、条線が明瞭、蒴果が卵形。
42-1 Juncus setchuensis Buchenau var. effusoides Buchenau ホソイ 狭義
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国原産。中国名は假灯心草 jia deng xin cao多年草。高さ20~100㎝。根茎は匍匐し、節間は短い。茎は直立し、円筒状、光沢が無く、茎の表面に不明瞭な縦の肋が数本ある。基部は赤色を帯び、葉身の無い葉鞘があり、葉鞘の先の縁が膜質になる。花序は不同長の多数の花序枝を全て上向きに伸ばし、分枝した小枝の先に多数の単性花をつける。花被片は卵状披針形。蒴果は長さ約3㎜の卵状球形、花被片より長い。雄しべ3個。柱頭は3分岐。種子は長さ0.5~0.6(0.48~0.56)㎜、歪んだ卵形。花期は6~9月。
43 Juncus stygius L. ヤチイ 谷地藺
北半球北部に広く分布。日本には分布しない。英名はbog rush, moor rush。
43-1 Juncus stygius subsp. americanus (Buchenau) Hultén アメリカヤチイ 亜米利加谷地藺
北アメリカ、ロシア原産。英名はAmerican moor rush。湿った苔、沼地、沼地の池に生える。多年草、緩く叢生し、高さ20~40㎝。根茎は短く、まばらに分岐する。鱗片葉は0~1枚。根生葉は1~3枚、茎葉は1~2枚。葉耳は丸く、わずかに長く、薄膜質。葉身は不完全な隔壁(しばしば不明瞭)、斜上し、円柱形~わずかに扁平、長さ8~18㎝×幅0.5~1㎜、上部では大幅に小さくなる。花序は団散花序(glomerules)、1~3個つき、各団散花序には花が1~3個付く。花序柄は長さ0.2~1㎝。一次の苞は団散花序とほぼ同長かわずかに大きい。花:小苞はない。花被片は淡褐色~赤褐色、披針形~披針状卵形、長さ4~5㎜×幅1㎜、先は鋭形気味。外花被片と内花被片はほぼ同じ。雄しべは6本。花糸は長さ2.5~3.5㎜。葯は長さ0.4~0.5㎜。花柱は長さ1~1.2㎜。蒴果は緑黄褐色で、擬似3室、楕円形、長さ5.5~9㎜×幅1.8~2.6㎜m。種子は淡黄色、紡錘形、種子体は長さ0.8~1.1㎜、尾は長さ1~1.4㎜。花期と果期は夏の半ば~終わり。
43-2 Juncus stygius subsp. stygius ヤチイ 狭義
ロシア、ヨーロッパ北部原産。山地~亜高山帯の沼地に生える。
高さ10~20㎝。茎は太さ1㎜未満で、下部はしばしば赤みを帯びる。根生葉の上に12枚の剛毛状の茎葉がある。花序は頂生し、直径わずか2~4㎜の頭花が1~4個つき、しばしば遠く離れた頭花が側部に1~2個ある。苞(存在する場合)は花序からかろうじて突き出る。花被片は黄色~白色っぽい麦わら色で、長さは3~4㎜、3脈がある。果実は黄褐色、長さ約5mm、花被片を大きく上回る。花期は7~8月(© Flora Helvetica 2018)。
44 Juncus taonanensis Satake et Kitag. マンシュウクサイ 満州草藺
中国(河北省、黒龍江省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、山東省)原産。中国名は洮南灯心草 tao nan deng xin cao。標高約1100mの川辺、池の縁、草の茂った湿地、湿地に生える。多年草。根茎は水平。茎は円柱形で長さ5~20㎝。根生葉は 3~4 枚、茎葉は 1~2 枚。葉鞘の耳介は丸みを帯びている。葉身は平らで長さ0.6~2㎝×幅約1 mm、先端は針状。花序は頂生で、3~26 個の花がつく。総苞は長さ2~7㎝、花序とほぼ同長。花は単生。小苞は2個、卵形、長さ18~2.5㎜×幅1~1.5㎜、先は鈍形。花被片は披針状長円形、長さ3.1~4㎜×幅1~1.2㎜、ほぼ同形または外側の節が内側の節よりわずかに長く、縁は広無色、先端は鋭形。雄しべは 3 本。花糸は長さ1.2~1.5㎜。葯は長さ0.5~0.9㎜。子房は長円形、3室。花柱は非常に短く、柱頭は褐色、長さ0.5~1㎜。蒴果は帯褐色、光沢があり、長円形、長さ約3㎜。種子は暗赤色、楕円形。花期は6~8月。果期は7~10月。
45 Juncus tenuis Willd. クサイ 草藺
synonym Juncus macer Gray
synonym Juncus tenuis Willd. var. williamsii Fernald
synonym Juncus tenuis Willd. var. nakaii Satake
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、インド、北アメリカ原産。中国名は坚被灯心草 jian bei deng xin cao。英名は Path rush , Slender rush 。別名は シラネイ 。道端に多く、普通に見られる。
多年草。高さ30~50㎝。朔果が玉状になり目立つのが特徴である。踏みつけに強く、人の踏み跡などによく生える。 茎は細い糸状。葉は細く、断面が半円状で、直立する。葉の基部は葉鞘となり、茎を抱く。葉鞘の縁に灰白色の薄膜質の耳状突起(葉耳)がある。茎の先に集散花序をつける。数個の苞葉を出し、最下の苞葉は花序より長くなる。6個ある花被片は縁が白い膜質で、先が鋭くとがり、平開する。朔果が大きくなっても花被片は残る。雄しべは6個。朔果は花被片と同長かそれ以下である。種子は長さ約0.4㎜、表面に粘液があり、熟して朔果に付着して残っているのが見られる。2n=30,32,84。花期は6~9月。 帰化種のアメリカクサイは全体に繊細で、葉耳が発達せず、軟骨状。
品種) 'Blue Dart'
46 Juncus tobdenii Noltie ジュンクス・トブデニー
台湾、インド(シッキム)原産。中国名は鴛鴦湖燈心草 yuan yang hu deng xin cao。標高1500~3100mの山地の道端に生える。
根茎は匍匐性で、幅1.5~2㎜、密につく。稈は密に房状で、直立、斜上し、上部で下向き~横向きにうなだれ、円柱形、浅い溝が1本あり、細く、長さ39~92㎝、直径0.6~1㎜、髄は連続する。稈の基部に鱗片葉があり、最下部は もみ殻状(chaffy)、褐色で光沢があり、条線があり、先は短く尖鋭形、最上部は鞘状で、稈の基部を囲み、長さ2.5~10㎝、黄褐色、先は斜めの切形、芒がある。花序は偽側性で、イグサ形花序(anthelate)、花が10~30個つき、緩く、2~3回分岐する。総苞片は直立し、稈の延長のよう見え、円柱形で、長さ8~25㎝。小苞は2個、花の基部につき、広卵形、紙質、淡褐色、長さ0.8~1㎜×幅約0.5㎜、先は鋭形~尖鋭形。花被片は6個、ほぼ等長、披針形、淡褐色、長さ1.7~2.9㎜×幅約0.28~0.6㎜、先は漸尖する。雄しべは3本。花糸は長さ約0.9㎜。葯は長さ約0.5㎜。子房は三角形、長さ約0.9㎜。花柱は長さ約0.9㎜。柱頭は3個。蒴果は楕円形、長さ2.4~2.7㎜、先は尖鋭形、長さ約0.2~0.3㎜。種子は卵状楕円形、長さ 0.48~0.52㎜×幅0.22~0.28㎜、黄褐色、横方向の網目がある。
47 Juncus torreyi Coville オテダマゼキショウ お手玉石菖
synonym Juncus scirpoides auct. non Lam.
北アメリカ原産。英名はTorrey's rush。標高0~600mの湿った砂浜、沼地の端、わずかにアルカリ性の水路沿い、沼地、時には粘土質の土壌、石灰質の湿った牧草地、アルカリ性の土壌に生える。
多年草。根茎があり、高さ (30~)40~100㎝。根茎は直径1~3 mm、節は膨らんでいる。稈は直立し、円柱形、直径3~5 mm、平滑。鱗片葉は無い。葉:根生葉は1~3 枚、茎葉は2~5枚、葉耳は長さ1~4 mm、先は円形、薄膜質。葉身はイチゴ色、緑色、またはピンク色、円柱形、長さ13~30cm×幅1~5 mm。花序は1~23個の頭花がつくかまたは単頭花で、長さ2~5.5 cm、枝は広がる。1次の苞は直立または斜上する。頭花は花が25~100個つき、球形、直径10~15 mm。花: 花被片は緑色~麦わら色、ときに帯赤色、披針状錐形。外花被片は長さ(3.7~)4~6mm、先は尖鋭形。内花被片は長さ(3~)3.4~4.6 mm、先は尖鋭形。雄しべは6本。葯は花糸の長さの1/2。蒴果は花被片と同長かまたはわずかに突出し、麦わら色または栗褐色、1室、披針状錐形、長さ4.3~5.7 mm、先は錐形の先端に向かって細くなり、バルブは裂開時に分離し、全体に稔性があるか、下部~中間のみ稔性がある。種子は長円形~楕円形で、長さ0.4~0.5 mm、尾部はなく、種子体は明瞭な黄褐色。2n=40。果期は初夏~秋。
48 Juncus triglumis L. タカネイ 高嶺藺
ユーラシア北部に広く分布し。日本(北海道、本州中部)、韓国、中国、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、シッキム、カシミールなど、 ヨーロッパ、北アメリカ、グリーンランド原産。中国名は贴苞灯心草 tie bao deng xin cao 。英名はTorrey's rush。別名はシロウマゼキショウ。 多年草、叢生し、高さ3~35㎝。稈は1~8本、直径0.3~0.5㎜。鱗片葉は1~2枚。葉は根生し、2~4枚。葉耳はわずかに長く、円形、薄膜質~ほぼ革質。葉身は深く溝が入り、長さ2~10㎝、ほとんどが稈より短い。花序は単生の頭花、頭花に花が2~3(~50)個つく。1次の苞は帯褐色、花序とほぼ同長かわずかに短い。花:花被片は淡褐色またはより暗色で、長円形、長さ3~5㎜、外列と内列の長さはほぼ同じ。雄しべは6本。花糸は長さ2.5~4㎜。葯は長さ0.6~1㎜。花柱は 長さ0.5~0.8㎜。蒴果はタン色(黄褐色)、擬似3室、3稜形状円筒形、先は鈍形、微突形。種子は黄褐色またはより暗色、紡錘形、種子体は長さ0.5~1㎜、尾部は長さ0.6~1㎜。
48-1 Juncus triglumis subsp. albescens (Lange) Hultén
北アメリカ(アラスカ、カナダ、USA)、グリーンランド、ロシア原産。標高0~820mの泥炭湿原に生える。花序の最下部の苞は花序と同長かまsたはそれより長く、先は長い尖鋭形または芒がある。蒴果は花被に含まれるか、または花被からわずかに突出し、長さ3~5㎜、先は宿存する花柱の近位でほぼ切形になる。2n=132。花期と果期は夏。
48-2 Juncus triglumis var. triglumis
ユーラシア北部に広く分布し。日本(北海道、本州中部)、韓国、中国、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、シッキム、カシミールなど、 ヨーロッパ、北アメリカ、グリーンランド原産。標高400~3800mの雪解け盆地の湿った砂利質土壌に生える。 花序の最下部の苞は鈍形~微突形、通常は花序よりずっと短く、先は鈍形~微突形。蒴果は花被から十分に突出し、長さ4.5~7㎜、先端は円錐形または宿存する花柱の近位で丸みを帯びる。花期と果期は晩春~初夏。
49 Juncus validus Coville オニコウガイゼキショウ 鬼笄石菖
北アメリカ(USA)原産。英名はroundhead rush。標高0~100mの湿潤から湿潤の開放地、通常は砂地、時には泥炭地、池、湖、小川、溝、畑の露出または湿地の岸に生える。
多年草、根茎があり、ときにほぼ叢生し、高さ40~100㎝。根茎は塊茎にはならず、直径約2㎜。稈は直立し、円柱形、直径3~5㎜、平滑。鱗片葉はない。葉: 根生葉は2~3(~6)枚、茎葉は1~4枚。葉耳は長さ1~3㎜、先は鋭形、膜質、下部の葉にはない。葉身は緑色、側部が扁平、長さ9~70㎝×幅2~6㎜。花序は頂生の円錐花序で、10~30個の頭花がつき、長さ10~30㎝、枝は広がり、1次の苞は直立し、頭花は20~30個の花がつきき、球形、直径 (10~)12~15㎜。花: 花被片は緑色~帯赤色、披針形、長さ4~5㎜、先は尖鋭形。雄しべは3本、葯は花糸の長さの1/3~1/2。蒴果は突出し、麦わら色、1室、錐形、長さ4~5.5㎜、錐形の先端に向かって細くなる。バルブは裂開時に分離し、全体に稔性があるか、中間付近のみ稔性がある。種子は広楕円形、長さ0.5~0.6㎜、尾部はなく、種子体は透明な黄褐色。2n = 40。果期は晩春~秋。
50 Juncus wallichianus J.Gay ex Laharpe ハリコウガイゼキショウ 針笄石菖
synonym Juncus koidzumii Satakesynonym Juncus ohwianus Kao タイワンイ
台湾原産。中国名は台湾灯心草 tai wan deng xin cao
日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、スリランカ原産。中国名は针灯心草 zhen deng xin cao
多年草。高さ10~50㎝。茎は断面が円形。花穂には3~10個の頭花がつき、頭花には3~6個の花がつく。苞は花穂より短い。花被片は長さ3~4㎜、緑色、3個の外花被片、3個の内花被片があり、先が鋭くとがる。内花被片の方がやや長い。雄しべは3個。蒴果は長さ約5㎜、褐色を帯び、花被片よりやや長く、形は楕円形~3綾状柱形など変化が多い。種子は長さ約0.5㎜の倒卵形、表面に浅い格子状の模様があり、褐色になる。花期は8~10月。
51 その他ハイブリッド
品種) 'Carmen's' , 'Curly Gold Strike' (v) , 'Pencil Grass' (PBR) , 'Silver Spears' , 'Swarm of Hedgehogs' , Twisted Arrows (mixed) , 'Twister' , 'Unicorn' (PBR)
参考
1) Flora of ChinaJuncus
Juncus
Juncus
Juncus
Juncus polyanthemus Buchenau
高等植物分布資料(67)セキショウイ
Juncus hybridus (Hybrid Toad Rush)
Juncus leiospermus vs Juncus castaneus
北川政夫:東亜植物断想録(6)クロカウガイゼキショウに就て
Juncus castaneus Sm.
Juncus leucochlamys
Juncus castaneus SM. var. koreanus OHWI