ヤマハギ 山萩

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Flora of Mikawa

マメ科 Fabaceae ハギ属

中国名

胡枝子 hu zhi zi

英 名 shrub lespedeza, bicolored lespedeza, shrubby lespedeza
学 名 Lespedeza bicolor Turcz.
ヤマハギ花序
ヤマハギの花横
ヤマハギの花2
ヤマハギの花3
ヤマハギ旗弁
ヤマハギ上の萼歯の先
ヤマハギ果実
ヤマハギ茎
ヤマハギ
ヤマハギ翼弁
ヤマハギ萼
ヤマハギの葉
ヤマハギの葉2
ヤマハギ種子
花 期 7~10月
高 さ 1~3m
生活型 落葉低木
生育場所 道端、草地、林縁
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア
撮 影 幸田町  18.9.17
秋の七草の1つとされる。最近では、新しく造成された土手などでも見かけられるが、コマツナギと同様に土留めのために種子が吹きつけられたものと思われる。
 低木、直立、高さ1~3m、多数分枝する。枝は細く、小枝はまばらに毛がある。葉は互生し、3小葉。葉柄は長さ 2~7(~9) ㎝。小葉は質が薄く、下面が淡緑色、上面は緑色、卵形~倒卵形~卵j状長楕円形、頂小葉は長さ1.5~6㎝×幅1~3.5㎝、下面に白色の伏毛があり、上面は無毛又は伏毛がまばらにあり、基部は類円形又は広楔形、先は鈍状円形又は凹形、微突形。総状花序は腋生、基部につく葉より長く、しばしば分枝して大きな緩い円錐花序になる。花序柄は長さ4~10㎝。花柄は長さ約2㎜、毛が密にある。萼は長さ約5㎜、5裂し(4裂し、上萼片の先が浅く切れ込むとも解説される)、萼片は萼筒より短い。毛が多くてわかりにくいが、萼片には濃色の3脈がある。花冠は赤紫色、濃淡には変化があり、長さ約1㎝。旗弁は倒卵形、先は凹形、小さい耳状突起がある。翼弁は類長楕円形、竜骨弁より短く、基部に明瞭な耳状突起があり、細長い爪部がある。竜骨弁は旗弁とほぼ等長、基部には長い爪部あり、先は鈍形。子房は毛がある。豆果は斜めの倒卵形(ほぼ円形)、わずかに扁平、約長さ(5~7)10㎜×幅5㎜、密に毛があり、網状脈がある。種子は長さ3~4㎜。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=22。
 クロバナキハギ var. higoensis (var. melanantha) 愛知県、熊本県、朝鮮に分布する変種。小葉は長さ1.5~4㎝の惰円形、円頭~鋭頭、裏面に短毛がある。花が長さ11~15㎜、黒色を帯びた赤紫色、翼弁が竜骨弁と同長かやや長い。萼は毛が少なく、裂片は円頭、短い。
 マルバハギは花序が短くて葉の基部からあまり突き出ず、竜骨弁が短く、ほとんど前に突き出ない。また、萼歯の先端が針状に尖る。
 ハギ属には他にニシキハギミヤギノハギツクシハギケハギなど公園に植栽されるものも多い。ニシキハギは葉の両面に宿存する細か伏毛があり、萼歯が萼筒より長く、萼歯が尖る。ミヤギノハギはニシキハギと同じように萼歯が萼筒より長いが、萼歯の脈が1本だけ目立ち、翼弁が竜骨弁より短く、開花時に斜上する。ツクシハギは変異も多いが、普通、花の色が薄く、淡紅紫色で、旗弁が竜骨弁より短く、萼歯の幅が広く、萼歯と萼筒がほぼ同長。

ハギ属

  family Fabaceae - genus Lespedeza

 亜低木、低木又は多年草。葉は羽状複葉、3小葉。托葉は小さく、たがね形又は線形、宿存又は早落性。小托葉(stipel)は無い。小葉は全縁。総状花序は腋生又は花が束生する。苞は宿存し、各苞に花が2個つく。小苞は2個、しばしば宿存し、花はしばしば、2形性、花冠が有又は無(閉鎖花受精の花)。萼は鐘形、筒部は短く、萼片は5個、上側の2個の萼片はしばしば基部で合着する(萼片が4個になり、上側の萼片が浅く2裂)。花冠は萼から突き出る。旗弁(standard)は長楕円形又は倒卵形、基部近くの左右に小さな耳状突起があることがある。翼弁(wings)は長楕円形、真っすぐ、基部近くに耳状突起(auriculate)があり、基部は細い爪部(clawed)があり、竜骨弁と輻合する。竜骨弁(keel)は鈍形、内側に曲がる。雄しべは10個、9+1の二体雄しべ(diadelphous)、等長。子房は上位、胚珠は1個。花柱は内側に曲がる。柱頭は頂生。豆果(莢)は卵形~倒卵形~楕円形、まれにわずかに球形状、レンズ形、裂開せず、網状の脈があり、1種子を入れる。
 世界に約47種があり、東アジア~インド、北アメリカに分布する。

ハギ属の主な種

1 Lespedeza bicolor Turcz. ヤマハギ 山萩
  synonym Lespedeza bicolor Turcz. f. acutifolia auct. non Matsum.
  synonym Lespedeza bicolor f. acutifolia Matsum.
  synonym espedeza bicolor f. alba (Bean) Ohwi シロバナヤマハギ
  synonym Lespedeza bicolor var. alba Bean
  synonym Lespedeza bicolor f. albiflora Tatew. シロバナヤマハギ
  synonym Lespedeza bicolor f. grandifolia Matsum.
  synonym Lespedeza bicolor var. japonica Nakai
  synonym Lespedeza bicolor f. nakaiana Murata
  synonym Lespedeza bicolor var. nana Nakai チャボヤマハギ
  synonym Lespedeza bicolor var. japonica Nakai
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は胡枝子 hu zhi zi 。
 低木、直立、高さ1~3m、多数分枝する。枝は細く、小枝にはまばらに短軟毛(pubescent)がある。葉は互生し、3小葉。葉柄は長さ 2~7(~9)㎝。小葉は質が薄く、下面が淡緑色、上面は緑色、卵形~倒卵形~卵j状長楕円形。頂小葉は長さ1.5~6㎝×幅1~3.5㎝、下面に白色の伏した長軟毛(pilose)があり、上面は無毛又は伏した毛がまばらにあり、基部は類円形又は広楔形、先は鈍状円形又は凹形、微突形。総状花序は腋生、基部につく葉より長く、しばしば分枝して大きな緩い円錐花序になる。花序柄は長さ4~10㎝。花柄は長さ約2㎜、毛が密にある。萼は長さ約5㎜、5裂し(4裂し、上萼片の先が浅く切れ込むとも解説される)、萼片は萼筒より短い。毛が多くてわかりにくいが、萼片には濃色の3脈がある。花冠は赤紫色、濃淡には変化があり、長さ約1㎝。旗弁は倒卵形、先は凹形、小さい耳状突起がある。翼弁は類長楕円形、竜骨弁より短く、基部に明瞭な耳状突起があり、細長い爪部がある。竜骨弁は旗弁とほぼ等長、基部には細長い爪部があり、先は鈍形。子房は毛がある。豆果は斜めの倒卵形(ほぼ円形)、わずかに扁平、約長さ(5~7)10㎜×幅5㎜、密に短軟毛(pubescent)があり、網状脈がある。種子は長さ3~4㎜。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=22。
品種) 'Little Buddy' , 'Summer Beauty' , 'Yakushima'

2 Lespedeza buergeri Miq. キハギ 木萩
  synonym Lespedeza buergeri f. albiflora Honda  シロバナキハギ
  synonym Lespedeza buergeri f. angustifolia Makino タチゲキハギ
  synonym Lespedeza buergeri var. kinashii Ohwi
 日本(本州、四国、九州)、中国に分布。中国名は绿叶胡枝子 lu ye hu zhi zi。別名はノハギ。日当たりのよい山野に普通に見られる。和名の由来は木立になることから。
 落葉低木、高さ1.5~2m。幹は灰褐色、樹皮が浅く縦に裂ける。枝には微毛が密生する。葉は互生し、3出複葉。小葉は長さ2~4㎝の長卵形~長楕円形、先は尖り、柄があり、やや白味を帯びる。葉表は無毛、葉裏には絹毛がある。葉縁は全縁、波打つ。花は長さ2~7㎝の総状花序につき、長さ約1㎝、淡黄白色の蝶形花。翼弁が紅紫色、旗弁の中央部分にも紅紫色の筋がある。果実は長さ約1.5㎝、毛が散生し、先が尖り、1種子が入る。種子は長さ(乾いた状態)3.5~4㎜の扁平な惰円形、橙色。2n=22。花期は6~9月。

3 Lespedeza caraganae Bunge ナガバメドハギ 長葉蓍萩
 中国(甘粛省、河北省、河南省、遼寧省、内モンゴル自治区、陝西省、山東省)原産。中国名は长叶胡枝子 chang ye hu zhi zi。標高1400m未満の山地斜面に生える。
 亜低木または多年草、高さ約50cm。茎は直立し、かなり角張っていて、短い伏毛がある。葉は3小葉、葉柄は長さ3~5mm、短い伏毛がある。小葉は長円状線形、頂小葉は長さ2~4cm×幅0.2~0.4cm、下面には短い伏毛があり、上面はほぼ無毛、基部は狭楔形、縁はわずかに内巻きし、先は鈍形または凹形、微突形。総状花序は腋生、花序柄は長さ0.5~1cm、密に白色の伏毛があり、3~5個の花がつく。小花柄は長さ約2mm。萼は狭い鐘形、5裂する。花冠は白色または黄色で、萼を明瞭に超える。旗弁は広楕円形、約・長さ8mm×幅5mm。翼弁は長円形、約・長さ7mm×幅1mm。竜骨弁は長さ約8.5mm、基部には長い爪部があり、先は鈍形。豆果は長円状卵形、長さ4.5~5mm×幅約2mm、まばらに白色の伏毛があり、先には嘴がある。閉鎖花の豆果は長円状円形、約・長さ3mm×幅2.5mm、先には短い嘴がある。花期は6~9月。果期は10月。

4 Lespedeza chinensis G.Don タママキエハギ 玉蒔絵萩
 中国(安徽省、福建省、広東省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、四川省、浙江省)、台湾原産。中国名は中华胡枝子 zhong hua hu zhi zi。標高2500m以下の茂み、林縁、道端、山腹、草原、森林に生える。
 亜低木、小型、高さ1m以下、全体に白色の伏毛がある。茎は直立または広がる。葉は3小葉、葉柄は長さ約1cm、小葉は倒卵状長円形、長円形、または卵状倒卵形で、頂小葉は長さ1.5~4cm×幅1~1.5cm、縁はわずかに内巻きし、先は切形、ほぼ切形、凹形、または鈍形、微突形。総状花序は腋生で、葉を超えず、花は少数、花序柄は短い。小花柄は長さ1~2mm。萼は5深裂し、萼片は狭披針形。花冠は白色または黄色、旗弁は楕円形、約・長さ7mm×幅3mm、爪部があり、基部に2個の耳状付属体がある。翼弁は狭い長円形、長さ約6mm、長い爪部がある。竜骨弁は長さ約8mm。閉鎖花は下部の茎の葉腋に束生する。豆果は卵形、長さ約4mm×幅2.5~3mm、網目状の脈があり、密に白色の伏毛があり、基部はやや斜め、先には嘴がある。花期は8~9月。果期は10~11月。

5 Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don メドハギ 蓍萩
  synonym Lespedeza juncea (L.f.) Pers. subsp. sericea (Miq.) Steenis
  synonym Lespedeza juncea (L.f.) Pers. var. subsessilis Miq.

  synonym Lespedeza juncea (L.f.) Pers. var. sericea (Miq.) Forbes et Hemsl.

 日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド、アッサム、アフガニスタン、パキスタン、ネパール、ブータン、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア(ジャワ、小スンダ列島、スマトラ)、ニューギニア、オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、ビクトリア州)原産。中国名は截叶铁扫帚 jie ye tie sao zhou。英名はChinese bush-clover , Chinese lespedeza , perennial lespedeza , sericea lespedeza, silky bush-clover。北アメリカやオーストラリアに帰化している。日当たりのよい草地、道端に生える。
 多年草、高さ60~100㎝。茎は直立してよく枝分かれし、枝に沿って密に3小葉がつく。小葉は長さ1~2.5㎝、幅2~4㎜の楔形~倒披針形、裏面には白色の伏毛がある。花は葉脇に数個ずつつき、淡黄白色、旗弁の基部に紫色の斑点がある。閉鎖花もよくでき、豆果は主に閉鎖花から出来る。萼歯は1脈が明瞭で、先が鋭く尖り、閉鎖花から出来た豆果の萼歯は普通の花から出来た豆果のものより短い。萼の基部に短い小苞がある。豆果は長さ2.5~3.5㎜、幅約2.5㎜、まばらに毛があり、1種子だけ入り、熟しても列開しない。2n=20。花期は8~10月。
品種) 'Interstate' , 'Interstate 76'
5-1 Lespedeza cuneata var. cuneata メドハギ 蓍萩 狭義
  synonym Lespedeza cuneata f. flava Hayashi  キバナメドハギ
  synonym Lespedeza juncea var. glabrescens Franch.

  synonym Lespedeza juncea var. sericea (Miq.) F.B.Forbes & Hemsl.

  synonym Lespedeza juncea subsp. sericea (Miq.) Steenis

  synonym Lespedeza juncea f. subsessilis (Miq.) A.Pramanik & Thoth.

 日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド、アッサム、アフガニスタン、パキスタン、ネパール、ブータン、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア(ジャワ、小スンダ列島、スマトラ)、ニューギニア、オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、ビクトリア州)原産。中国名は截叶铁扫帚 jie ye tie sao zhou。英名はChinese bush-clover , Chinese lespedeza , perennial lespedeza , sericea lespedeza, silky bush-clover。
 茎の毛が伏毛。花は旗弁の基部だけが紫色で、蕾が白色。

5-2 Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don var. serpens (Nakai) Ohwi ハイメドハギ這蓍萩

  synonym Lespedeza prostrata Nakai
  synonym Lespedeza juncea (L.f.) Pers. var. serpens (Nakai) H.Ohashi
 本州、四国、九州に分布。日当たりのよい草地、道端に生える。
 多年草、高さ10~50cm。茎は地を這って広がり、普通、開出毛がある。茎に毛の無いものもあり、毛のあるものをケハイメドハギと品種に分けることもある。葉は3小葉、密につく。小葉の幅がメドハギよりやや広く、長卵形。蕾は紫色。花は旗弁の裏が紫色で、表の中央部が端まで紫色。舟弁の先も紫色になる。萼は深く5裂し、萼片の幅は狭く披針形、先が尖る。果実は長さ2.5~3㎜の扁平な円形~惰円形、毛が散生し、1種子が入り、萼片は果実より短い。種子は長さ1.7~2.3㎜。花期は8~10月。

6 Lespedeza cyrtobotrya Miq. マルバハギ 丸葉萩
  synonym Lespedeza cyrtobotrya f. kawachiana (Nakai) Hatus. カワチハギ
  synonym Lespedeza cyrtobotrya var. kawachiana (Nakai) Ohwi
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は短梗胡枝子 duan geng hu zhi zi。英名はleafy lespedeza。別名はミヤマハギ(深山萩)。日当たりの良い山地に生える。葉が円形に近いことが多く、丸葉と名がついているが、小葉が丸いとは限らない。コマツナギと同様に土留めのため種子の吹きつけなどにより植栽されることが多く、造成地などでもよく見られる。
 低木、直立し、高さ1~3m、多数、分枝する。小枝には伏した細柔毛(pilose)がある。葉は3小葉。葉柄は長さ1~2.5㎝。小葉は広卵形~卵形~卵状楕円形~倒卵形、頂小葉は長さ1.5~4.5㎝×幅1~3㎝、下面には伏した細柔毛(pilose)があり、上面は無毛、先は円形又は凹形、微突頭(針状に尖る)。総状花序は腋生、花序軸がほとんど伸長せず、密に花が着き、下に着く葉より短く、まれに葉の長さと同長。花序柄は短く又はほぼ無。花柄は短く、白色の毛がある。萼は長さ4~6㎜(Flora of China では2~2.5、萼筒)、5裂。萼片は披針形、先は鋭尖頭。花冠は赤紫色、長さ約1.1㎝(約1㎝)。旗弁は倒卵形、基部に爪部がある。翼弁は長楕円形、旗弁とほぼ同長、竜骨弁より明らかに長く、基部に明瞭な耳状突起があり、細長い爪部がある。竜骨弁は旗弁より短く、基部に不明瞭な耳状突起があり、爪部がある。豆果は球形、わずかに扁平、長さ6~7㎜×幅約5㎜、密に毛があり、網状脈がある。種子は長さ約3㎜。花期は7~9月。果期は9月。2n=22。

7 Lespedeza daurica (Laxm.) Schindl. オオバメドハギ 大葉蓍萩

  synonym Lespedeza daurica (Laxm.) Schindl. var. shimadae (Masam.) Masam. et Hosok

  synonym Lespedeza daurica f. prostrata (Z.Wang & P.Y.Fu) Kitag.

  synonym Lespedeza daurica var. prostrata Z.Wang & P.Y.Fu  ハイオオバメドハギ

  synonym Lespedeza potaninii V.N.Vassil.
 朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア原産。中国名は兴安胡枝子 xing an hu zhi zi。英名はDahurian lespedeza。米国、日本の神奈川県、群馬県などで帰化が確認されている。道端、林縁に生える。
 茎は斜上し、群生し、長さ30~100cm、単純または基部で分枝し、軟毛がある。托葉は錐形、長さ3~4mm。葉柄は長さ5~10mm、葉軸より長い。小葉は狭楕円形、、先は鈍形~円形または微凹形、先は小突起形、下面に伏した軟毛があり、上面は無毛、または中脈に沿ってまばらに軟毛があり、下面の主側脈間には顕著に網状脈がある。頂小葉は8~30mm、長さ4~16mmで、長さは幅の2~3倍。総状花序は4~13個の花が密につき、花は開放花(chasmogamous)と閉鎖花(cleistogamous)があり、閉鎖花は葉腋に束生し、総状花序は基部につく葉の長さより1~4倍短い。花序柄は基部につく葉と同長または短く、ほぼ無柄または短く、密に軟毛がある。小花柄は長さ1~2mm。小苞は萼筒より長い。開放花は長さ7~8mm。萼は長さ4.5~7mm、萼筒は長さ1~1.2mm、裂片は5個。側萼片は狭卵形、長さ4~6mm、先は尖鋭形。花冠は白色または黄白色。翼弁は長さ6~6.5mm。竜骨弁は長さ7~7.3mm。閉鎖花:萼が長さ3~4mm、萼筒は長さ0.5mm、萼裂は狭三角形。節果(loments)は、萼に包まれ、倒卵形、開放花の節果は長さ3.5~5mm×幅2.5~3mm、閉鎖花の節果は長さ3~3.7mm×幅2~2.5mm。柄はほぼ無。花期は夏[Flora of North America]。
【日本で採取されたもの】
 小葉の上面は無毛で側脈がより顕著である。頂小葉の小葉軸は葉柄の長さの0.4~1.3倍の長さである。花序には10~16個の花がつく。小苞は長さ1.5~2.0(~4.0)mmで萼筒より長く、時には萼の長さの0.5倍に達する。萼は花冠の長さの0.5~1.0倍の長さである。
 よく似たサガミメドハギの小葉は上面に軟毛があり、側脈が目立たず、頂小葉の葉軸は小葉の長さの0.3~0.5倍の長さである。

8 Lespedeza danxiaensis Q. Fan, W.Y. Zhao & K.W. Jiang レスペデザ・ダンキシアエンシス

 中国(広東省)原産。中国名は丹霞铁马鞭 Dān xiá tiě mǎ biān。丹霞山の山頂、標高270~310mの灌木林に生える。
 常緑の多年草、全体に密に直立または斜上する絨毛があり、古くなるとまばらになる。茎は平伏または斜上し、基部は木質化し、高さ50cm。葉は互生し、3小葉。托葉は宿存し、卵状三角形~三角状披針形、先は鋭形、長さ3.5~4.5mm、3~5本の脈があり、まばらに軟毛が生える。葉柄は長さ1.4~3.8cm、密に軟毛が生える。葉軸は長さ0.5~1.3cm、密に軟毛がある。小葉は革質で、上面は緑色、±伏した軟毛があり、縁に沿ってより密にあり、下面は灰緑色、より密に±伏した軟毛があり、脈に沿ってより密にあり、側脈は8~12対、上面では明らかに凹状で、下面には突出する。頂小葉は側小葉よりわずかに大きく、卵形~倒卵形、長さ2.2~3.8cm×幅1.5~2.5cm、先は鈍形、小突起があり、基部は円形。側小葉は卵形~ほぼ円形、長さ1.7~3.0cm×幅1.4~2.3cm。小葉柄は長さ約1mm。花枝の葉は明らかに小さく(葉軸は長さ2~5mm、頂小葉は倒卵形、長さ1.2~1.8cm×幅0.8~1.7cm、先は鈍形または凹形、基部は広楔形、側小葉は円形~倒卵形、長さ0.9~1.5cm×幅0.7~1.2cm)。花序は偽総状花序で、1~2個が腋生し、花序あたり2~4個の花がつき、節あたり2個の花がつく。開放花の花序柄は細く軟毛があり、長さ(0.2~)1.1~2.8cm、閉鎖かの花序柄は長さ1~4mmに縮小し、ときに茎の上部ではなくなる。苞は節当たり2個、狭卵状三角形~広三角形、先は鋭形、長さ1.5~3.3mm、上面にまばらに軟毛が生え、下面は無毛、3~5本の脈がある。小花柄は長さ0.5~2.0mm、軟毛がある。小苞は2個、萼の基部につき、萼筒より短く、長円状卵形~卵状披針形、長さ3.5~5.5mm、まばらに軟毛が生え、5(~7)本の脈がある。萼は基部近くまで深く5裂し、内側には密に毛が生え、外側は無毛、萼筒は長さ約1mm、萼片は披針形、ほぼ等長、長さ7~8mm×幅約1mm、先は鋭形。花冠は突出し(閉鎖花では突出しない)、ピンク色~淡紫色。旗弁は淡紫色、基部に暗紫色の斑点があり、翼弁や竜骨弁より長く、基部には内屈する耳があり、拡大部(lamina)は長さ7.5~8.0mm×幅6.5~7.0mm、広楕円形~ほぼ円形、先は鈍形または凹形、基部は漸尖し、長さ約1mmの爪部になる。翼弁は淡紫白色、竜骨弁よりわずかに短く、長さ7.5~8.3mm、拡大部(lamina)は長さ5.5~6.0mm×幅2.3~2.6mm、狭卵形、先は鈍形、基部にはわずかに耳があり、基部の爪部は長さ約2.5mm。竜骨弁は白色~淡紫白色、長さ7.5~8.5mm、拡大部(lamina)は長さ5.5~6.0mm×幅2.8~3.0mm、倒卵形~楕円で、先は鈍形、基部には長さ約2.5mmの爪部がある。雄しべは無毛、(9+1)2体雄しべ(diadelphous)、長さ約9mm、上部は上向きに曲がる。雄しべ筒は長さ約5mm。葯は均一で卵形、長さ約0.5mm。雌しべは長さ約10mm、雄しべより長い(閉鎖花では雄しべより短い)。子房は狭楕円形、短柄。花柱は糸状で、上部で上向きに曲がり、斜上する軟毛がある。柱頭は頂生し、頭状。豆果(莢)は褐色、種子は1個、楕円形、花柱が先端に宿存し、嘴状になり、長さ7~9mm×幅約3mm、密に斜上する軟毛がある。閉花花は見られない。種子は卵形、約・長さ3.0mm×幅1.4mm。花期は6~10月。果期は9~12月。

9 Lespedeza davidii Franch. オクシモハギ 置霜萩
 中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、四川省、浙江省)原産。中国名は大叶胡枝子 da ye hu zhi zi。標高約800mの乾燥した山地の斜面、道端、雑木林に生える。乾燥土壌に耐えるため、土壌保全に利用されている。日本に帰化し、各地の林道法面でみられる。
 低木で、直立し、高さ1~3m。小枝は明瞭に角張り、密に絨毛がある。葉は3小葉、葉柄は長さ1~4cm、密に微細剛毛(hispidulous)がある。小葉は広卵形または広倒卵形、頂小葉は長さ3.5~7(~13)cm×幅2.5~5(~8)cm、両面に密に黄白色の絹糸があり、基部は円形または広楔形、先は円形または凹形。総状花序は腋生または小枝の先の円錐花序につき、葉より長い。花序柄は長さ4~7cm、密に絨毛がある。萼は長さ約6mm、5裂し、絨毛がある。萼片は披針形、先は尖鋭形、長さは萼筒の長さの2倍以上。花冠は赤紫色、旗弁は倒卵形~長円形、長さ1~1.1cm×幅約5mm、耳があり、短い爪部を持つ。翼弁は狭長円形、旗弁や竜骨より短く、耳があり、細い爪部を持つ。竜骨弁はわずかに鎌形、旗弁とほぼ同長、明瞭な耳と爪部を持つ。子房には密に毛がある。豆果は卵形、長さ8~10mm、やや密に絹毛があり、網状脈がある。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=22。

10 Lespedeza floribunda Bunge トウクサハギ 唐草萩
 中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、河北省、河南省、湖北省、江蘇省、遼寧省南西部、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、浙江省)、インド、パキスタン原産。中国名は多花胡枝子 duo hua hu zhi zi。標高1300m以下の岩山の斜面に生える。日本に帰化している。
 亜低木、小型、高さ30~60(~100)cm。小枝には灰白色の綿毛がある。葉は3小葉、小葉は倒卵形、広倒卵形、または長円形。頂小葉は長さ1~1.5cm×幅0.6~0.9cm、下面は密に白色の伏軟毛があり、上面にはまばらに伏毛があり、基部は楔形、先は凹形、鈍円形、またはほぼ切形、微突起がある。総状花序は腋生、花序柄は細く、葉を明瞭に超える。花は多数。萼は長さ4~5mm、5裂し、萼片は披針形または卵状披針形、上側の2萼片は下部で合着し、上部は自由。花冠は紫色、赤紫色、または青紫色。旗弁は楕円形、長さ約約8mm、基部には爪部があり、先は円形。翼弁はやや短く、竜骨弁は旗弁より長く、先は鈍形。豆果は、長さ約7mm、広卵形、宿存する萼を超え、密に軟毛があり、網状脈がある。花期は6~9月。果期は9~10月。

11 Lespedeza hisauchii T.Nemoto et H.Ohashi サガミメドハギ 相模蓍萩

 日本(本州)固有種。東京都、神奈川県で採取された。海岸近くの松林に生える。現在は絶滅と判定されている。花柄に多細胞の腺毛をもつ。
 亜低木。茎は短い伏毛と開出する軟毛がある。葉は互生し、托葉があり、3小葉で、葉柄がある。托葉は宿存性、糸状~狭三角形、長さ2.0~3.0(~5.0)mm、まばらに伏した微軟毛がある。葉柄は長さ(1.0~)2.0~17.0mm、まばらに伏した微軟毛がある。葉沈(pulvini:葉柄の付け根の膨らみ)は長さ0.3~0.8mmで、伏した微軟毛がある。頂小葉は側小葉よりわずかに大きく、楕円形、狭楕円形、又は狭倒卵形、長さ9.5~23.5mm×幅3.6~8.4mm、基部は楔形又は広楔形、先は鈍形で微突形、上面には伏した微軟毛があり、下面には伏した軟毛がある。葉枕は長さ0.5~1.2mm、葉軸は長さ(0.5~)1.0~5.0mm、伏した軟毛がある。側小葉は無柄、葉沈は長さ0.3~1.0mm。花序は腋生、葉の長さと等しいかそれより長く、偽総状花序であり、4~8個の花がつき、1節に2個つく。花序柄は花時に長さ6.5~15.5mm、伏した軟毛がある。花序軸は伏した軟毛があり、多細胞の腺毛が混じる。1次の苞は三角形または広三角形、長さ0.5~0.8mm、伏した微軟毛がある。2次の苞は三角形、披針形、または卵形、長さ0.5~0.6mm、伏した微軟毛がある。小花柄は花時に長さ1.2~2.0mm、伏せたまたは開出した微軟毛があり、多細胞の腺毛が混じる。小苞は萼の基部に2個あり、狭卵形、長さ1.0~1.5mm、萼筒とほぼ同長、伏した微軟毛がある。花は長さ7.5~8.5mm。萼は4裂し、長さ4.0~5.2mm、外側に伏した軟毛があり、ときに多細胞の腺毛が混じる。萼筒は長さ約1.0mm、上側の萼片は三角形~狭三角形、長さ3.5~4.0mm、先端に2歯があり、歯の長さは萼片の長さの半分未満。側萼片と最下の萼片は狭三角形、長さ3.5~4.0mm、先は鋭形。花冠の色は不明。旗弁は翼弁および竜骨弁よりわずかに長いかまたは等しく、広楕円形または広倒卵形、先は鈍形で微突形、基部は内屈(inflexed)した耳があり、長さ約8.0mm、拡大部(lamina)は約・長さ7.0mm×幅5.5mm、爪部に向かって急に狭まり、爪部は長さ約1.3mm。翼弁は竜骨弁とほぼ同長、狭倒卵形、長さ7.5~8.0mm、拡大部(lamina)は長さ5.5~6.0mm×幅約1 .5mm、先は鈍形、基部には耳があり、爪部は長さ約2.0mm。竜骨弁は狭倒卵形または狭三角形、長さ7.0~7.5mm、拡大部(lamina)は長さ5.0~5.5mm×幅約2.5mm、先は鈍形、基部には小さな耳があり、爪部は長さ約2.0mm。雄しべは10本、2体雄しべ(diadelphous)、長さ約7.0mm、上部で上向きに曲がり、葯は均一、卵形、長さ約0.5mm。雌しべはまばらに伏した軟毛があり、長さ約8.0mm。子房は狭楕円形、柄があり、胚珠は1個。花柱は糸状、上部で上向きに曲がる。閉鎖花は、花序の基部の無柄で短い偽総状花序につき、またはより上部もしくは下部の葉腋につく。鞘と種子は不明。花期は9~10月。

12 Lespedeza homoloba Nakai ツクシハギ 筑紫萩
  synonym Lespedeza nikkoensis Nakai
  synonym Lespedeza retusa Nakai
  synonym Lespedeza rotundiloba Nakai
  synonym Lespedeza sendaica Nakai
 日本(本州、四国、九州)固有種。落葉半低木、高さ2~4m、枝先は垂れる。小葉は長さ2~5㎝、楕円形、洋紙質~やや革質、先は円形~凹形、上面は無毛か又は主脈上に微毛が残る。下面は無毛か又は微細な毛が全面にあり、脈上にある伏毛はやや長い。総状花序は長く、葉の上に突き出る。花は淡紅紫色、長さ1~1.5㎝。花が全体に白っぽく、旗弁の周辺部や特に裏側、竜骨弁の基部などが白色。旗弁は竜骨弁とほぼ同長又はやや短い。翼弁は竜骨弁より短く、紅紫色で目立つ。萼歯は萼筒より短く、先は円頭、脈は目立たない。豆果は広倒卵形、扁平、長さ約8㎜。花期は7~10月。

12-1 Lespedeza homoloba Nakai f. luteiflora Akasawa シロバナツクシハギ 白花筑紫萩

 ツクシハギの白花品種。

13 Lespedeza inschanica (Maxim.) Schindl. カラメドハギ 唐蓍萩

  synonym Lespedeza hedysaroides (Pall.) Kitag. var. inschanica (Maxim.) Kitag.

 日本、朝鮮、中国原産。中国名は阴山胡枝子 yin shan hu zhi zi 。
 亜低木又は多年草、高さ80㎝以下。茎は直立~斜上、上部は有毛。葉は3小葉。葉柄は長さ3~10㎜。小葉は長楕円形~倒卵状長楕円形、頂小葉は長さ1~2.5㎝×幅1~1.5㎝、下面には密に伏毛があり、上面はほぼ無毛、基部は広楔形~円形、先は鈍状円形又は凹形。総状花序は腋生、長さは葉の長さにほぼ等しく、花が2~6個つく。萼は長さ5~6㎜、5裂。萼片は披針形、3脈が目立ち、縁毛がある。上側の2萼片は中間より上で合着する。花冠は白色、旗弁は類円形、約長さ7㎜×幅5.4㎜、基部に大きな斑点があり、先は凹形、花時には反り返る。翼弁は長楕円形、長さ5~6㎜×幅1~1.5㎜。竜骨弁は長さ約6.5㎜、しばしば、先に紫色が混じる。豆果は倒卵形、約長さ4㎜×幅2㎜、宿存する咢より短く、密に伏毛がある。

14 Lespedeza juncea (L.f.) Pers. シベリアメドハギ

  synonym Lespedeza hedysaroides (Pall.) Kitag. var. subsericea (Kom.) Kitag.

  synonym Lespedeza hedysaroides (Pall.) Kitag.
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は尖叶铁扫帚 jian ye tie sao zhou。
 低木又は多年草、小さく、高さ1m以下、全体に伏毛がある。葉は3小葉、葉柄は長さ0.5~1㎝。小葉は倒披針形~線状長楕円形~狭長楕円形。頂小葉は長さ1.5~3.5㎝×幅0.2~0.7㎝、基部は漸尖形、縁はわずかに内巻きになり、先は鋭形~鈍状円形、微突形。総状花序は腋生、葉をわずかに越え、花が3~7個つく。萼は狭鐘形、5深裂し、萼片は披針形、果時に3脈が目立つ。花冠は白色又は黄色。旗弁には基部に紫色の斑点があり、果時に反り返らず、まれに反り返る。竜骨弁は先端に紫色が混じる。旗弁と翼弁は竜骨弁とほぼ同長、ときに旗弁が短い。閉鎖花は葉腋に束生し、ほぼ無柄。豆果は広卵形、宿存する咢をわずかに越え、両面に白色の伏毛がある。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=20。

15 Lespedeza lichiyuniae T.Nemoto, H.Ohashi et T.Itoh アカバナメドハギ 赤花蓍萩

 中国原産。中国名は红花截叶铁扫帚 hong hua jie ye tie sao zhou 。日本に野生化している。
 亜低木又は多年草。高さ50~120㎝。茎は直利又は斜上、毛は斜上又は伏せる。葉は3小葉。葉柄は長さ (1.5~)2~15㎜。小葉は狭倒卵形、頂小葉は長さ0.7~2.8㎝×幅0.2~0.8㎝、下面には密に伏せた短軟毛があり、上面は無毛、基部は楔形、先は鈍形又は切形、微突形。総状花序は腋生、花序柄は短く、花が (1~)2~4個つく。萼は長さ3~4㎜、5深裂。萼片は圧着又は斜上、披針形。花冠はピンク色又は淡紫色。旗弁は広楕円形~円形、長さ7~7.5㎜×幅5~5.5㎜、基部に暗紫色の斑点がある。翼弁は淡紫白色、狭倒卵形~倒卵形、長さ6.7~7.3㎜×幅2~2.3㎜。竜骨弁は淡紫白色、先が暗紫色、長さ7.2~7.6㎜×幅2.2~2.7㎜。閉鎖花は葉腋に束生し、無柄。豆果は楕円形、約長さ2.4×幅1.7~2㎜、宿存する萼よりわずかに長く、密に伏毛がある。花期は8~9月。果期は(9~)10~11月。

16 Lespedeza maritima Nakai ハマハギ 浜萩
  synonym Lespedeza maritima f. uekii (Nakai) Hatus.
  synonym Lespedeza uekii Nakai
 朝鮮半島固有種。別名はシオハギ。海岸沿いの森林に生える。
 北部に分布するLespedeza uekiiは高さが1~2mと高く、花が大きく、小葉は披針形で先が鋭形であるが、中間の形態もあり、Lespedeza maritimaのsynonymとされている。
 高さ約40cm(1~2m)。茎は基部のみ多年生。枝は基部から斜上し、草質、暗紫色、角(かど)状の条線があり、伏毛がある。托葉は長さ1~2mm、剛毛で覆われる。葉柄は長さ1~28mm、毛がある。小葉は楕円形~卵状楕円形~広卵形(~披針形)、先は鈍形(~鋭形)、上面は光沢のある脈があり、下面には縁に帯白色の毛があり、暗灰色の絨毛がある。総状花序は非常に短く、ほぼ無柄、毛がある。小苞は卵形、微小。萼は5裂し、毛があり、萼片は錐形で漸尖する。花弁は紫色で長さ13mm。[Bot. Mag. (Tokyo) 37: 78 (1923)]

17 Lespedeza maximowiczii C.K.Schneid. チョウセンキハギ 朝鮮木萩
  synonym Lespedeza buergeri Miquel var. praecox Nakai
  synonym Lespedeza angustifolioides T.Lee
  synonym Lespedeza praecox (Nakai) Nakai

  synonym Lespedeza maximowiczii f. albiflora Uyeki シロバナチョウセンキハギ

  synonym Lespedeza maximowiczii var. tomentella (Nakai) Nakai シモフリキハギ

 日本、朝鮮分布。中国名は宽叶胡枝子 kuan ye hu zhi zi。Flora of Chinaでは中国を分布域としているが、POWOでは中国を除外している。
 低木、直立し、高さ2.5mまで、上部で多数分枝する。樹皮は褐色~灰褐色、古くなると裂ける。枝は円柱形、無毛、赤褐色~褐色、ややジグザグに伸びる。若い枝には伏毛または開出毛がある。托葉は線状三角形~線形、褐色、長さ2~3mm。葉(上部の枝につく)は3出複葉、葉柄があり、托葉があり、通常植物の下部の方が大きい。葉柄は長さ9~25mm、疎~密に伏毛または開出毛がある。葉軸は長さ5.5~15.5mm、疎~密に伏毛または開出毛がある。頂小葉は緑色~暗緑色、小葉柄は長さ約2mm、膨らみ、伏毛~開出毛がある。小葉は長さ3~6cm×幅1~4cm、楕円形~広卵形、全縁、先は鋭形~尖鋭形(~鈍形)、基部は円形または鈍形(~尖鋭形)。上面は開花期にはまばらに伏毛があり、果期には無毛となり、下面にはより密に伏毛がある。側小葉は頂小葉よりわずかに小さい。花序は腋生の偽総状花序、通常葉ごとに1個(稀に2または3個)、基部につく葉とほぼ同長、長さ3~7cm、花が12~18(~32)個つき、伏毛~開出毛がある。花は長さ8~11mm、紫色~赤紫色。小苞は萼の基部につき、卵形~長円形、軟毛があり、長さ約1mm。萼は長さ2.7~6.3mm、鐘形、軟毛があり、中央部より下まで4裂する。各萼片は長さがほぼ等しく、先は尖鋭形、通常は長い。下側の萼片が最も長く、側萼片は卵形、長さ1.5~3.5mm、最も短い。上側の萼片は広卵形、中間まで2裂する。旗弁は竜骨弁と長さが似ており、翼弁より長い。旗弁は長さ7.0~10.5mm×幅4.4~6.9mm、耳があり、紫色~赤紫色。拡大部(lamina)は楕円形~倒卵形、先端はわずかに凹形、内側には濃紫色の斑点があり、外側は淡色、耳がよく発達し、爪部は長さ0.7~1.5mm。翼弁は長さ6.4~9.9mm×幅1.3~2.7mm、耳があり、濃紫色または赤紫色。拡大部(lamina)は長円形または楕円形、長さ4.5~7.3mm、濃紫色または赤紫色、基部に耳があり、爪部は長さ1.6~2.9mm、白色。竜骨弁は長さ7.5~10.7mm×幅2.2~3.7mm、拡大部(lamina)はわずかに鎌形で、赤紫色または薄紫色、長さ5.6~7.5mm、爪部は長さ2.0~3.3mm、白色。雄しべは10本、竜骨弁と同長、2体雄しべ(diadelphous)(9 + 1)、白色。花糸は等長。葯は楕円形、両側が微凹形、約・長さ0.4mm×幅0.2mm、黄色。雌しべは雄しべと同長、基部から中間にかけて伏毛がある。花柱は葯の上に伸びる。子房は花期には狭楕円形、毛がある。豆果はわずかに歪んだ楕円形で、扁平、柄があり、ほぼ無柄、長さ約13mm×幅約5mm、細柔毛があり、先端には長い棘がある。種子は腎形、約・長さ5mm×幅3mm、無毛。花期は(5~)6~7(~8)月。果期は9~10月。
【Flora of Chinaの解説】
低木、直立し、多数、分枝し、白色の軟毛がある。葉は3小葉。葉柄は長さ1~4.5㎝、長軟毛(pilose)がある。葉身は広楕円形~卵状楕円形、頂小葉は長さ3~6(~9)㎝×幅2~4㎝、下面には伏した軟毛があり、上面はまばらに軟毛があり、基部は円形~円状楔形、先は尖鋭形~鋭形、微突形。小苞は花序柄の上に普通、つかず、、各小苞に花が2個。総状花序は腋生又は頂生の円錐花序につき、葉を越える。花序柄は長さ3~5㎝。花柄は長さ約3㎜、短軟毛がある。萼は長さ(3)4~5㎜、4裂。萼片は卵状披針形、先は尖鋭形(剛毛状に尖る)。花冠は紫赤色、旗弁は倒卵形、長さ9~10㎜、基部には爪部がある。竜骨弁はわずかにかま形、長さ8~9㎜、耳状突起があり、細い爪部がある。子房は有毛。豆果は卵状楕円形、約長さ9㎜×幅10mm、短軟毛があり、網状脈がある。花期は7~8月。果期は9~10月。2n=20。
【キハギとの違い】
 キハギ:萼は長さ約2㎜、萼は卵形。
       小苞は花序柄の上に普通、つき、各小苞に花が2個。
 チョウセンキハギ:萼は長さ約3~4㎜、萼の先が剛毛状に尖る。
       小苞は花序柄の上に普通、つかず、各小苞に花が2個

18 Lespedeza melanantha Nakai クロバナキハギ 黒花木萩
  synonym Lespedeza bicolor Turcz. var. melanantha (Nakai) T.B.Lee

  synonym Lespedeza bicolor Turcz. var. higoensis (T.Shimizu) Murata

 愛知県の絶滅危惧ⅠB類に指定されている。学名にLespedeza bicolor var. higoensisを採用している。日本(対馬、熊本県と愛知県に隔離分布)、朝鮮半島南部(韓国南部山地頂上付近)に分布。クロバナキハギは系統的なまとまりをもち、ヤマハギにより近縁であることが示されている。また、五木村(熊本県)と新城市(愛知県)の集団間に遺伝的な差異がみられ、隔離分布により遺伝的分化が生じていることが示唆されている。
 落葉性の半低木。高さ2m以下。葉は互生し、3 出複葉。頂小葉は楕円形、円頭~やや鋭頭、 長さ1.5~4㎝。葉下面に短毛がある。総状花序は腋生、比較的短い。花は11~15㎜、暗赤紫色。竜骨弁の先が暗紫色になる。萼片は萼筒より短く、円頭で毛が少ない。花期は7~9月。

18-1 Lespedeza melanantha Nakai f. rosea Nakai ベニクロバナキハギ

  synonym Lespedeza bicolor Turcz. var. melanantha (Nakai) S.Akiyama et H.Ohba f. rosea (Nakai) S.Akiyama et H.Ohba

 クロバナキハギより紅紫色が強い。
品種)  'Nakai'

19 Lespedeza pilosa (Thunb.) Siebold et Zucc. ネコハギ 猫萩
  synonym Lespedeza nantcianensis Pamp.
  synonym Lespedeza pilosa var. latifolia Koidz.
  synonym Lespedeza pilosa var. pedunculata T.Lee

  synonym Lespedeza pilosa f. virginea H.Ohashi シロバナネコハギ

 本州、四国、九州、朝鮮、中国原産。中国名は铁马鞭 tie ma bian。イヌハギに対して小型のためネコハギと名づけられたといわれている。日当たりのよい草地に生える。
 多年草、地を這う、長さ30~60(100)㎝。全体に小さく、軟毛が多く、地を這うのが特徴である。茎にも長毛が生える。葉柄は長さ6~15㎜、軟毛が目立つ。葉は3小葉。小葉は広倒卵形~倒卵形、基部は円形~類円形、先は円形~類円形、又は凹形~ 微突形。頂小葉は長さ1.5~2㎝、幅1~1.5㎝。花は葉腋につき、葉より短い総状花序になる。花柄は短い。萼は5裂し、裂片は披針形、上側の2裂片は基部で合着する。花冠は白色~黄白色。旗弁は楕円形、長さ7~8㎜、旗弁の根元に紅紫色の斑紋がある。翼弁は旗弁や竜骨弁より短い。茎の先の葉腋に柄の短い閉鎖花を1~3個、固まってつける。豆果は広卵形、凸レンズ状、長さ3.5~4.5㎜、密に絨毛があり、種子が1個入る。種子は長さ1.9~3㎜。閉鎖花の果実や種子は小さい。2n=20。花期は9~10月。
 POWOでは下位分類を認めていない。

(1) Lespedeza pilosa (Thunb.) Siebold et Zucc. f. bicolor Hiyama ムラサキネコハギ 紫猫萩

 花が紫色の品種。

(2) Lespedeza pilosa (Thunb.) Siebold et Zucc. f. virginea H.Ohashi シロバナネコハギ 白花猫萩

 花が白色の品種。

(3) Lespedeza pilosa (Thunb.) Siebold et Zucc. var. erecta Hatusima タチネコハギ 立猫萩

 茎は丈夫で、斜上又は直立性。葉が大分大きいのですぐに区別できる。[植物分類,地理 4巻 4号 p.207-212(1935)]

20 Lespedeza stuevei Nutt. ビロードハギ 天鵞絨萩
 USA原産。英名はtall bush-clover , velvety lespedeza。
 茎は直立、1本又は上部で棒状に(virgately)分枝し、高さ1(~1.5)m以下、柔らかい開出毛(spreading-hairy)がある。葉は広がり、短柄がある。小葉は卵状長楕円形~楕円形~倒卵形、下面に開出毛があり、上面に斜上毛(ascending-hairy)がある。主茎の小葉は長さ1.5~3.5㎝。閉鎖花は葉腋に多数、束生する。花は紫色、長さ6~8㎜、茎の上部の葉腋の総状花序に密につく。花序柄は下につく葉より短い。萼片は長さ1.7~3.5㎜、最上部の萼片はその長さの1/2以下が合着する。果実には密に絨毛がある。2n=20。花期は8~9月。

21 Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai ミヤギノハギ 宮城野萩 広義
  synonym Lespedeza bicolor var. sieboldii (Miq.) Maxim.
  synonym Lespedeza penduliflora (Oudem.) Nakai
  synonym Lespedeza sieboldii Miq.
 日本、朝鮮、中国、台湾、インド原産。中国名は日本胡枝子 ri ben hu zhi zi 。英名はThunberg's lespedeza。別名センダイハギとも呼ばれる。ミヤギノハギ(広義)の園芸種のほとんどがビッチュウヤマハギとケハギのクラスターの中間に位置し、両分類群の雑種起源である可能性が示唆されている。
 低木、亜低木又は多年草、直立し、高さ1~3m、多数、分枝し、軟毛がある。葉は3小葉。葉柄は長さ1~5㎝、有毛。小葉は楕円形~長楕円状楕円形~卵形、まれに頂小葉が倒卵形、頂小葉は長さ2.5~6㎝×幅1~3㎝、下面には伏毛があり、上面には微軟毛があるか又は無毛になり、稀に無毛、葉の両端はわずかに鋭形又は鈍形。総状花序は単一、腋生、葉より長く、又は円錐花序の中で分枝し、頂生。花序柄は長さ10㎝以下、有毛。花柄は短く、有毛。萼は長さ4~7㎜、5裂。萼片(萼歯)は長楕円状披針形、萼筒の長さの1~4倍。花冠は赤紫色、まれに白色、長さ1~1.5㎝。旗弁は円形に近いか又はわずかに長く、耳状突起があり(auriculate)、爪部(clawed)がある。翼弁は倒卵状長楕円形、長さ7~8㎜、耳状突起があり、爪部がある。竜骨弁は旗弁より長いか又は同長、翼弁より明瞭に長く、耳状突起があり、爪部がある。豆果は倒卵形又は倒卵状長楕円形、約長さ8㎜×幅4㎜、軟毛があり、網状脈がある。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=40。
品種) 'Alba'(シラハギ) , 'Avalanche' , 'Gibraltar' , 'Pink Fountain' , 'Spring Grove' , 'Summer Beauty' , 'Variegata' (v)
 5亜種に分類されている。

21-1 Lespedeza thunbergii subsp. elliptica (Benth. ex Maxim.) H.Ohashi

  synonym Lespedeza bicolor subsp. elliptica (Benth. ex Maxim.) P.S.Hsu, X.Y.Li & D.X.Gu

  synonym Lespedeza elliptica Benth. ex Maxim.

  synonym Lespedeza formosa subsp. elliptica (Benth. ex Maxim.) S.Akiyama & H.Ohba

 中国(貴州省、湖北省、陝西省、四川省、雲南省)、アッサム、ブータン原産。中国名は椭圆叶胡枝子 tuo yuan ye hu zhi zi。
 亜低木。側萼片は通常、萼筒の長さの1.5~3倍である。

21-2 Lespedeza thunbergii subsp. formosa (Vogel) H.Ohashi タイワンハギ 台湾萩

  synonym Lespedeza formosa (Vogel) Koehne
  synonym Lespedeza hayatae Hatus.
  synonym Lespedeza pubescens Hayata

  synonym Lespedeza bicolor var. velutina Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 37: 74 (1923)

  synonym Lespedeza bicolor Turcz. subsp. formosa (Vogel) P.S.Hsu, X.Y.Li et D.X.Gu

  synonym Lespedeza formosa var. pubescens (Hayata) S.S.Ying

  synonym Lespedeza formosa subsp. velutina (Nakai) S. Akiyama & H. Ohba

  synonym Lespedeza formosa var. velutina (Nakai) S. Akiyama & H. Ohba

  synonym Lespedeza thunbergii f. alba (Nakai) H.Ohashi & K.Ohashi in J. Jap. Bot. 86: 39 (2011)

  synonym Lespedeza thunbergii f. albiflora (Matsum.) H.Ohashi
 日本(本州以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(陝西省、甘粛省、山東省、江蘇省、安徽省、浙江省、江西省、福建省、台湾省、河南省、湖北省、湖南省、広東省、広西チワン族自治区、四川省、雲南省)、台湾原産。中国名は美丽胡枝子 měi lì hú zhī zǐ。標高2800m以下の山地の斜面、道端、林縁の茂みに生える。
 亜低木。小葉は上面に軟毛があり、まれに無毛。側萼片の長さは萼筒とほぼ等しいか、わずかに短い。花冠は萼片の3~4倍の長さ[Flora of China]。
 直立性低木。高さ1~2m。枝分かれが多く、広がり、まばらに軟毛がある。托葉は披針形~線状披針形、長さ4~9mm、褐色、まばらに軟毛がある。葉柄は長さ1~5cm、軟毛がある。小葉は楕円形、長円形、または卵形で、まれに倒卵形、両端はわずかに鋭形または鈍形、長さ2.5~6cm×幅1~3cm、上面は緑色で、まばらに軟毛が生え、下面は淡緑色、伏軟毛がある。単生の総状花序で、腋生、葉より長いか、または頂生の円錐花序を形成する。花序柄は長さ10cmまで、軟毛がある。苞は卵状尖鋭形、長さ1.5~2mm、密に軟毛がある。小花柄は短く、軟毛がある。萼は鐘形、長さ5~7mm、5深裂する。萼片は長円状披針形、萼筒の長さの2~4倍あり、外側には密に軟毛がある。花冠は赤紫色、長さ10~15mm。旗弁はほぼ円形かまたはわずかに長く、先は丸く、基部に顕著な耳と爪部がある。翼弁は倒卵状長円形、旗弁や竜骨弁より短く、長さ7~8mで、基部に耳と細い爪部がある。竜骨弁は旗弁よりやや長く、満開時には著しく長くなり、基部に耳と細い爪部がある。果実は倒卵形または倒卵状長円形の莢で、約・長さ8mm×幅4mm、表面には網目があり、軟毛がまばらにある。花期は7~9月。果期は9~10月[iplant]。

21-3 Lespedeza thunbergii subsp. patens (Nakai) H.Ohashi ケハギ 毛萩

  synonym Lespedeza bicolor f. sericea Matsum.
  synonym Lespedeza thunbergii f. sericea (Matsum.) H.Ohashi
  synonym Lespedeza patens var. obtusifolia Nakai

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. obtusifolia (Nakai) Ohwi

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai f. macrantha (Honda) Hiyama ex Murata

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. patens (Nakai) H.Ohashi in J. Jap. Bot. 61: 124 (1986)

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. obtusifolia (Nakai) Ohwi f. pilosella Ohwi

  synonym Lespedeza patens Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 37: 79 (1923)
 日本(本州の日本海側の多雪地)原産。別名はダルマハギ、ウワゲケハギ、サミダレハギ。ダルマハギはミヤギノハギより葉が丸いため。サミダレハギ(五月雨萩)は花が大きく、早いものは5月頃から開花し始めるため。多数の報告があるが、信頼できる特性は葉の上面に密に伏した毛があり、秋まで宿存する。これからウワゲケハギの別名がある。Flora of China では中国の ケハギとされたものはタイワンハギに含められるとしている。POWOではLespedeza patens Nakai を採用し、日本の本州だけを分布域としている。
 落葉低木。高さ1~2m。茎は木質化するが、年々太くなって伸びるようなことはなく、地上部は一部を残して枯れ、根本から新枝が毎年出て叢生する。枝には開出毛(立毛)がある(変異あり)。葉は互生し、3出複葉、小葉は長さ2~5㎝、狭楕円形~広楕円形~ほぼ円形、葉の上面にも密に伏した毛があり、秋まで宿存し、先は円形~鈍形~やや鋭形。総状花序は腋生、花序柄は長い。花は紅紫色~濃紅紫色、大きく、長さ15~18㎜。萼の裂片は狭卵形、先は長い尖鋭形。旗弁は円形に近い楕円形、基部に耳状突起がある。翼弁は濃紅紫色。竜骨弁は先が碧紫色。豆果は長さ5~7㎜、扁平、円形~楕円形、先が尖り、種子が1個入る。花期は5~10月
【Lespedeza patens Nakaiの解説】  1年生の茎は単純だが、角(かど)のある条線があり、開出~ほぼ下屈する曲絨毛がある。托葉は非常に狭く、長さ3~6mm、背面は毛があり、腹面は無毛。葉柄は 開出~ほぼ下屈し、長さ5~35 mm、開出する絨毛がある。小葉は長円形、上面は無毛、下面には絹毛がある。総状花序は長さ1~7cm、水平に開出~斜上し、伏した絨毛がある。苞は長さ1mm。小花柄は絨毛があり、長さ3~5mm。小苞は対につき、長円形、毛があり、長さ1mm。萼は5裂し、外側には絨毛があり、萼片は鋭い披針形、下側の萼片はより長い。花弁は長さ14~15mm、紫斑がある[Bot. Mag. (Tokyo) 37: 79 (1923)]。
 var. obtusifolia Nakaiは戸隠山に分布。小葉が大きく、幅が広く、先は鈍形。
 var. acutifolia Nakaiは小葉の先が鋭形。Aizu ⇒ f. leucantha Murata シロバナタテヤマハギ
 f. serice Aizu,Tateyama, Togakushiyama⇒ タテヤマハギ
【中国植物誌の解説】  ケハギは過去には日本の本州北西部~九州中部、朝鮮、中国(山東省~広東省、台湾)に分布するとされ、中国植物誌では中国の江西省にもあるとされていた。
 小低木、群生し、高さ約1m、分枝して、広がり、枝は灰褐色、細い縦条稜があり、長い軟毛で覆われる。托葉は狭披針形、長さ3~6㎜、外面に疎に軟毛がある。葉柄は長さ0.7~3㎝、やや開出又は反りかえり、短軟毛がある。小葉は長円形又は楕円状長円形、長さ2.5~4.5×幅1~1.5d㎝、先は微凹形、まれに漸尖、基部は類円形、上面は光沢があり、下面は伏した糸状毛がある。総状花序は腋生、水平~直立し、長さ1~5(~7)㎝、軟毛が疎にある。萼は鐘形、5深裂し、萼片は披針形、上側の2萼片はほとんど合着し、先端が分離し、外面には糸状毛がある。花冠は長さ10~12(~13)㎜、紅紫色。旗弁は倒卵形、基部に2個の小さな耳状突起があり、短い柄(爪部)がある。翼弁は狭長円形、旗弁や竜骨弁より明らかに短く、基部に耳状突起と細長い弁柄(爪部)がある。雄しべ10個、二体(9+1)雄しべ。子房には密に毛がある。花柱は線形。莢果は広長円形、長さ6~7㎜×幅4~5㎜、先は尖り、糸状毛に覆われる。花期、果期は9~11月。(中国植物誌 展枝胡枝子)
品種)  'Samindare'

(1) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. patens (Nakai) H.Ohashi f. nivea (S.Akiyama et H.Ohba) H.Ohashi  ユキハギ 雪萩

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. patens (Nakai) H.Ohashi f. leucantha Murata  シロバナタテヤマハギ

 タテヤマハギの白花品種。

(2) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. patens (Nakai) H.Ohashi f. sericea (Matsum.) H.Ohashi タテヤマハギ 立山萩

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. patens (Nakai) H.Ohashi f. macrantha (Honda) Murata

  synonym Lespedeza patens Nakai f. sericea (Matsum.) S. Akiyama & H. Ohba

  synonym Lespedeza patens Nakai var. macrantha (Honda) F.Maek.
  synonym Lespedeza patens Nakai f. macrantha (Honda) Hatus.
  synonym Lespedeza bicolor Turcz. f. sericea Matsum.
  synonym Lespedeza penduliflora var. sericea (Matsum.) Ohwi
 ミヤギノハギに比べて茎の毛がしばしば開出または反曲する。枝の毛は伏毛。シュートの毛は開出。小葉が鈍頭で,下面に密に絹毛がある。

21-4 Lespedeza thunbergii subsp. satsumensis (Nakai) H.Ohashi サツマハギ 薩摩萩

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. satsumensis (Nakai) Ohwi

  synonym Lespedeza satsumensis Nakai
  synonym Lespedeza nipponica Nakai var. satsumensis (Nakai) Murata
  synonym Lespedeza formosa (Vogel) Koehne var. australis Hatus.

  synonym Lespedeza formosa (Vogel) Koehne subsp. velutina (Nakai) S.Akiyama et H.Ohba var. satsumensis (Nakai) S.Akiyama et H.Ohba

 日本(九州南部)固有種。九州南部の薩摩半島に分布する。Lespedeza floribunda に近い種であるが丈が低く、花序は短く、萼片は尖るが、長い尖鋭形ではない。
 高さ1~2m。枝は垂れ下がらず、枝の毛は開出する。花序は基部につく葉と同長またはそれより短い。花は紅紫色で、やや大きい。萼は長さ4~5㎜。萼片は萼筒と同長又は長い。旗弁は長さ9.5~11.5㎜、竜骨弁は長さ11~12㎜、先は鋭形~鈍形、旗弁よりやや短いかまたはほぼ同長、耳状突起は発達せず、狭三日月形~三日月形。翼弁は長さ9~11.5㎜、竜骨弁より短い。豆果は楕円形、長さ約10㎜、軟毛がある。花期は6~8月。
 薩摩半島ではサツマハギとキハギの雑種やマルバハギとの中間型も報告されている。花部形態で交雑が疑わしい個体では、花粉染色性も低下する傾向がある。

21-5 Lespedeza thunbergii subsp. thunbergii ミヤギノハギ 宮城野萩

  synonym Lespedeza bicolor var. velutina Nakai   synonym Lespedeza intermedia var. angustifolia Nakai

  synonym Lespedeza japonica f. angustifolia (Nakai) Murata ビッチュウヤマハギ

  synonym Lespedeza japonica var. intermedia Nakai
  synonym Lespedeza kiusiana Nakai
  synonym Lespedeza liukiuensis Hatus.
  synonym Lespedeza maritima Nakai
  synonym Lespedeza uekii Nakai
 日本、朝鮮、中国で野生化しているもの、日本原産ともいわれる。中国名は日本胡枝子 ri ben hu zhi zi。
 低木又は多年草。側萼片(萼歯)は長さが普通、萼筒の1~1.5倍。
 チョウセンキハギとケハギの交雑種とする説もある。Lespedeza maximowiczii C.K.Schneid. × Lespedeza patens Nakai
 ミヤギノハギはケハギに比べると一般に茎が長く伸びて枝垂れ、上部では節間がやや長くて葉や花がケハギより密にはつかないものが多い。またミヤギノハギでは多数の花が咲いても結実するものは少ない。特に茎の広がる様子など人為的に育生されたように感じられる点があり、ミヤギノハギはケハギからつくれらた園芸品種であると考えることができる。 品種) 'Albiflora' , 'Avalanche' , 'Edo-shibori' , 'Little Volcano' , 'White Fountain'
Lespedeza liukiuensis Hatus. リュウキュウハギ 琉球萩
 沖縄に分布する。低地~山地の林縁に生える。POWOではLespedeza thunbergii subsp. thunbergiiのsynonymとされている。
 低木で、枝分かれし、枝には角(かど)のある条線があり、伏毛がある。托葉は錐形、長さ約2mm。葉柄は通常長さ1cm。頂小葉は楕円形、先は凹形、通常長さ2.5~4cm、上面は初め伏毛があり、すぐに無毛、または無毛になり、下面は長さ約1/2mmの伏毛が密に覆い、灰色がかる。葉をもつ総状花序は長さ5~6cm以上で、花序軸と小花柄は帯灰色の綿毛が密にある。小苞は花の下につき、錐形、長さ約1mm。小花柄は長さ約2mm。花は紫色。萼は長さ約4mm、灰色がかった毛が密生し、4萼片があり、萼片は卵状長円形、鋭形、長さ約2.5mm×幅約1.5mm。花冠は長さ約1cm。旗弁は鈍形、長さ約5~6mm。花期は3~6月、9~11月。

 ミヤギノハギの下位分類はYListでは以下が掲載されている。POWOでは認められていない。

(1) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii f. alba (Nakai) H.Ohashi et K.Ohashi シラハギ 白萩

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii f. albiflora sensu H.Ohashi

  synonym Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. albiflora (C.K.Schneid.) Ohwi

  synonym Lespedeza penduliflora (Oudem.) Nakai var. albiflora (C.K.Schneid.) Ohwi

  synonym Lespedeza japonica L.H.Bailey 'Albiflora'
  synonym Lespedeza japonica L.H.Bailey 'Japonica'
  synonym Lespedeza nipponica Nakai'Japonica'

  synonym Lespedeza formosa (Vogel) Koehne subsp. velutina (Nakai) S.Akiyama et H.Ohba f. alba (Nakai) S.Akiyama et H.Ohba

 シラハギはよく栽培されている白花の萩。別名はシロバナハギ。
 花が白色。高さ1~2m。全体に白色の伏毛がある。葉は互生、3出複葉。小葉は長さ2~6㎝の楕円形~長楕円形。花期は(7)8~10月。ミヤギノハギは葉先が尖る。シラハギはニシキハギと同じように萼歯が萼筒より長いが、萼歯の脈が目立つのは1本だけである。旗弁の基部の耳状突起は明瞭。翼弁は開花時に斜上し、基部の耳状突起は明瞭。ケハギに似て毛が多いが、ケハギほど竜骨弁が長くない。

(2) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii f. angustifolia (Nakai) Ohwi ビッチュウヤマハギ 備中山萩

  synonym Lespedeza thunbergii DC.) Nakai subsp. formosa sensu H.Ohashi

  synonym Lespedeza japonica L.H.Bailey var. japonica f. angustifolia (Nakai) Murata

  synonym Lespedeza formosa (Vogel) Koehne subsp. velutina (Nakai) S.Akiyama et H.Ohba

 本州中部以西~九州に分布する野生の品種。ニシキハギと同種とする説もあるが、ニシキハギはビッチュウヤマハギと他種との交雑種と考えられている。  高さ1~3m。分枝は少ないが、より密に毛が生える。葉柄は密に伏した縁毛がある。小葉は長さ2~6㎝×幅1~2㎝、楕円形~長楕円形、両面に伏毛があり、下面に密に絹毛があり、先は鈍く尖るか又は微凹頭、普通、先端に小刺がある。総状花序は葉より長い。花は長さ1~1.3㎝、濃紅紫色。

(3) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii f. miyagialba H.Ohashi et K.Ohashi シロバナミヤギノハギ 白花宮城野萩

 ミヤギノハギの白花品種。

(4) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii f. thunbergii ミヤギノハギ 狭義

  synonym Lespedeza × thunbergii (DC.) Nakai
  synonym Lespedeza wilfordii auct. non Ricker
  synonym Lespedeza penduliflora (Oudem.) Nakai
  synonym Lespedeza kiusiana Nakai
  synonym Lespedeza liukiuensis Hatus.
 栽培種。日本で野生化している品種。ミヤギノハギは葉先が尖るのが特徴。ニシキハギと同じように萼歯が萼筒より長いが、萼歯の脈が目立つのは1本だけであり、翼弁が、開花時に斜上する。
 低木、直立し、高さ1~3m、多数、分枝し、枝が垂れ下がり、軟毛がある。葉は3小葉。葉柄は長さ1~5㎝、有毛。小葉は楕円形~長円状楕円形~卵形、まれに頂小葉が倒卵形、頂小葉は長さ2.5~6㎝×幅1~3㎝、先が尖るのが特徴。葉の表面は若葉に細かい伏毛があるが、成葉では無毛。裏面には細かい伏毛がある。総状花序は単一、腋生して葉より長く突き出るか又は頂生して円錐花序状になる。花序柄は長く、長さ10㎝以下、有毛。花柄は短く、有毛。萼は長さ4~7㎜、5裂。萼片(萼歯)は長円状披針形、萼筒より長い。萼歯の先が尖り、最下の萼歯が最も長く、萼歯には濃色の1脈が目立つ。花冠は紅紫色、まれに白色、長さ1~1.5㎝。旗弁は円形に近いか又はわずかに長く、耳状突起があり(auriculate)、爪部(clawed)がある。翼弁は倒卵状長楕円形、長さ7~8㎜、耳状突起があり、爪部があり、開花時に斜上する。竜骨弁は旗弁より長いか又は同長、翼弁より明瞭に長く、耳状突起があり、爪部がある。豆果は倒卵形又は倒卵状長楕円形、約長さ8㎜×幅4㎜、軟毛があり、網状脈がある。花期は8~10月。果期は9~10月。2n=40。

(5) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii f. versicolor (Nakai) Ohwi ソメワケハギ 染分萩

  synonym Lespedeza japonica L.H.Bailey 'Versicolor'
 同じ株に紅紫色の花と白色の花が混じる。同じ花の花弁が白色と紅紫色に染め分けることもある。

(6) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii[Lespedeza kiusiana] x L. homoloba Nakai ビッチュウツクシハギ 備中筑紫萩

 本州に分布。道端の日当たりの良い場所、新しい開拓地などに生える。
 葉は上面がほぼ無毛~疎に毛がある。小葉は長円状楕円形、先は鋭形~円形で微凹形。花序はときに開花時に長さ約10cmに達する。萼は長さ3~4.5mm、萼片は萼筒の長さの1~2倍の長さで、楕円状三角形、先は鋭形。旗弁(S)は竜骨弁(K)と同長かわずかに短く、または翼弁(W)よりはるかに長く(つまり S÷K>W)、基部には爪部がある。薄片部(lamina)は長円状楕円形~(倒)卵形、耳は狭三月形~三月形~腎形。翼弁は爪部があり、薄片部(lamina)は狭長楕円形 - 狭倒卵形で、爪部より長い。竜骨弁は爪部があり、薄片部(lamina)は楕円状倒卵形、爪部より長い。果実は軟毛があり、広楕円形~楕円形(ツクシハギ L. homolobaとミヤギノハギ L. kiusianaの中間型)。

(7) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii 'Nipponica' ニシキハギ 錦萩

  synonym Lespedeza nipponica Nakai
  synonym Lespedeza japonica L.H. Bailey 'Nipponica'
 全国で栽培されている園芸品種。ビッチュウヤマハギ Lespedeza japonica L.H.Bailey var. japonica forma angustifolia (Nakai) Murata を起源としたものと推定されていたが、他の種との交雑も考えられ、変異の幅が広い。ヤマハギに似るがヤマハギより花序が短く、萼片が長く、3脈が目立ち、萼片の先はミヤギノハギと同じように尖る。

22 Lespedeza tomentosa (Thunb.) Siebold ex Maxim. イヌハギ 犬萩

  synonym Desmodium tomentosum (Thunb.) DC.
  synonym Lespedeza glomerata Hornem.
  synonym Lespedeza macrophylla Bunge
  synonym Lespedeza villosa Pers.
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(新疆ウイグル自治区と西蔵自治区を除き、全体)、モンゴル、ロシア、インド、アッサム、ネパール、パキスタン原産。中国名は绒毛胡枝子 rong mao hu zhi zi。河原、堤防、日当たりのよい草地に生える。
 多年草(落葉半低木)、高さ60~150㎝。全体に黄褐色の斜上する軟毛がある。茎は直立し、上部で分枝する。葉は互生し、3小葉、葉柄は長さ2~3(4.5)㎝、小葉は長楕円形~卵状惰円形、頂小葉は長さ3~6㎝、幅1.5~3㎝、縁はわずかに内巻きする。葉の脈が隆起する。葉先は鈍頭~凹頭。茎頂及び茎の上部の葉腋に長い総状花序をつける。花柄は長さ4~8(12)㎝、小花柄は短い。萼は長さ約6㎜、先は5裂し、裂片は長さ約4㎜の狭い披針形。花は黄色~黄白色~白色。旗弁は長さ8~10㎜の長楕円形。翼弁は短く、楕円形。竜骨弁は旗弁とほぼ同じ長さ。花序の基部付近の葉腋に閉鎖花が多数集まってつく。 豆果は長さ3~4㎜、幅2~3㎜の卵形、先は短く尖る。種子は1個入る。2n=20。花期は8~9月。

23 Lespedeza tricolor (Nakai) D.P.Jin, J.W.Park & B.H.Choi サンシキキハギ 三色木萩

  synonym Lespedeza maximowiczii C.K.Schneid. var. tricolor (Nakai) Nakai
  synonym Lespedeza buergeri var. tricolor Nakai
  synonym Lespedeza buergeri subsp. tricolor (Nakai) Hatus.
  synonym Lespedeza maximowiczii var. tricolor (Nakai) Nakai
  synonym Lespedeza oldhamii var. tricolor (Nakai) Nakai
 韓国固有種。全羅南道南西部に分布。
 低木、直立し、高さ1~2m、上部で多数分枝する。樹皮は薄褐色~灰色で、古くなると縦に裂ける。枝は円柱形で無毛、薄茶色~褐色、ときにジグザグに伸びる。若い枝には伏毛がある。托葉は線状三角形~線形、褐色、長さ2~3mm。葉は3出複葉、葉柄があり、托葉があり、通常、植物の下部の方が大きい。葉柄は長さ9~30mm、伏毛がある。葉軸は長さ9~20mmで、葉柄に似ている。頂小葉は緑色で、小葉柄がある。小葉柄は長さ約2mm、膨らみ、密に伏毛がある。小葉の葉身は長さ3~7cm×幅2~4cm、楕円形~卵形、全縁、先は鋭形~尖鋭形(~鈍形)、基部は円形または鈍形(~鋭形)、上面は無毛、下面には軟毛がある。側小葉は頂小葉に似ているが、比較的小さい。花序は腋生の偽総状花序で、通常葉ごとに1花序つき(稀に2または3花序)、長さ2.6~8cm、基部につく葉と同長かまたは長く、18~38個の花がつき、伏毛または多少開出した毛がある。苞は卵形~狭三角形、長さ約1mm。花は長さ8.4~9.6mm、淡黄色と紫色が混じる。小花柄は長さ1~2mm、伏毛または多少開出した毛がある。萼の基部の小苞は卵形~楕円形、外側に毛があり、長さ約1.5~2.5cm。萼は長さ2.1~2.7mm、鐘形、軟毛があり、中央部まで4裂する。萼片は長さがほぼ等しく、萼筒の長さに似、先は鋭形である(L. maximowiczii のように長くない)。側萼片は卵形、長さが最も短く、長さ0.7~1.1mm。上側の萼片は広卵形、わずかに2裂する。竜骨弁は花弁の中で最も長く、旗弁は翼弁よりも長いか等しい。旗弁は長さ6.7~8.6mm×幅3.9~5.1mm、耳があり、拡大部(lamina)は長円形~倒卵形、先端はわずかに凹形、内側には紫色または赤紫色の斑点があり、外側は淡黄色、耳はよく発達し、淡黄色、爪部は長さ1.0~1.7mm、淡黄色。翼弁は長さ6.5~8.3mm×幅1.6~1.8mm、耳があり、基部は紫色および赤紫色、拡大部(lamina)は長円形~楕円形、長さ4.8~5.6mm、基部に耳があり、爪部は長さ2.5~2.8mm。竜骨弁は長さ8.3~9.0mm×幅2.1~2.8mm、淡黄色~白色(旗弁と同様かより淡色)、拡大部(lamina)は長さ5.4~6.4mm、わずかに鎌形、先は鈍形、ときに先に紫色の斑点があり、爪部は長さ2.2~2.9mm。雄しべは10本、竜骨弁と長さが似て、2体雄しべ(diadelphous)(9 + 1)、白色。花糸は等長。葯は楕円形、両側が微凹形、長さ約0.4mm×幅約0.2mm、黄色。雌しべは雄しべと同長で、基部から中間にかけて伏毛があり、先は無毛。花柱は葯より上に伸びる。子房は花期には狭楕円形、毛がある。豆果はわずかに変形した楕円形、扁平、ほぼ無柄、長さ約13mm×幅約5mm、細柔毛(pilose)があり、先端は長い棘がある。種子は腎形、長さ約5mm×幅約3mm、無毛。花期は7~8月。果期は9~10月。

24 Lespedeza violacea (L.) Pers. レスペデザ・ビオラケア
  synonym Lespedeza intermedia (S.Watson) Britton
  synonym Lespedeza prairea Britton
 USA、カナダ原産。英名はwand lespedeza, violet lespedeza, violet bush clover, wandlike bushclover。標高0~1000mの開けた高地の岩だらけの落葉樹林、混合または乾燥した松林、湿潤な低地、古い畑、道端に生える。酸性の砂質土壌に多い。
 草本植物。直立または斜上し、高さ40~150cm、杖状(wandlike)または先で分枝し、伏剛毛(strigose)または微軟毛がある。托葉は錐形~狭三角形、長さ2~4mm。葉柄は長さ7~20mm、葉軸より長い。小葉は葉身が倒卵形~楕円状長円形、先は鈍形または微凹形、小突起形、下面は伏剛毛があり、しばしば無毛、ときに上面の中脈にのみにまばらに伏した微軟毛がある。側小葉は基部が斜め。頂小葉は長さ10~40mm×幅5~15mm、長さは幅の1.5~3倍。総状花序は花が4~10個、上部に密集し、花は開放花(chasmogamous)および閉鎖花(cleistogamous)である。花序柄は基部につく葉より短いかまたは同長。小花柄は長さ2~3mm。小苞は萼筒より短い。開放花は長さ6~7mm。萼は3~4.5mm、伏した微軟毛があり、萼筒は長さ1~1.5mm。萼片は4個、側萼片は狭三角形、長さ2~3mm、内側の萼片は下部が合着する。花冠はピンク・ラベンダー色~紫色。翼弁は長さ6~7mm、竜骨弁は長さ5~6mm。果体は萼から突出し、萼は豆果の長さの1/2、開放花の豆果は卵形~円形、長さ5~7mm。閉鎖花の豆果は円形、長さ4~6mm、伏した微軟毛があり、柄は長さ1.5mm。2n=20。花期は夏~秋。

25 Lespedeza virgata (Thunb.) DC. マキエハギ 蒔絵萩
  synonym Lespedeza patentihirta T.B.Lee
  synonym Lespedeza swinhoei Hance
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、遼寧省、陝西省、山東省、山西省、浙江省)、台湾原産。中国名は细梗胡枝子 xi geng hu zhi zi 。標高800m以下の岩山の斜面、山林、道端、雑木林に生える。br>  亜低木又は多年草。小型で高さ20~50㎝、ときに高さ1mになる。茎は基部で分枝し、小枝は紫色、細く、白色の伏毛がある。葉は3小葉。葉柄は長さ1~2㎝、白色の伏毛がある。小葉は質が薄く、しばしば楕円形~長円形、頂小葉は長さ(0.6~)1~3.5㎝×幅0.4~1.5㎝、下面には密に伏毛があり、上面は無毛、基部は円形、葉先は円形又は鈍状円形、ときに凹形で微突形。総状花序は腋生、花は緩くつき、しばしば花が3個。花序柄は細く、糸状、明瞭に葉を超え、白色の伏毛をもつ。小花柄は短い。萼は長さ4~6㎜。旗弁は白色、基部に紫色の斑点があり、長さ約6㎜。翼弁は短い。竜骨弁は旗弁より長いかほぼ同長。閉鎖花は葉腋に束生し、無柄、果実をつける。豆果は円形に近く、しばしば萼を超えない。花期は7~9月。果期は9~10月。
(1) Lespedeza virgata (Thunb.) DC. f. purpurea Sugim. ムラサキマキエハギ
 花が紅紫色の品種

26 Lespedeza virginica (L.) Britton レスペデザ・バージニカ
  synonym Lespedeza angustifolia Darl.
  synonym Lespedeza reticulata Pers.
 USA、カナダ原産。英名はslender bush clover, slender lespedeza。標高0~1000mの乾燥した高地の森林、開拓地や境界、牧草地、古い畑、浸食された尾根、道端、松原、湿地、サバンナ、小草原に生える。
 草本植物。茎は斜上または直立し、束生し、長さ30~160cm。最初は杖状で、先で分枝し、絨毛があるか、または伏毛がある。托葉は錐形~狭三角形、長さ6mmまで。葉柄は7~12mmで、葉軸より長い。小葉は葉身が狭楕円形~線形、基部は鈍形または楔形、先は小突起形、下面には伏毛があり、上面は通常、まばらに伏毛があり、ときに無毛になる(無毛ではない)。側小葉は頂小葉に似ている。頂小葉の葉身は長さ10~35mm×幅3~5mm、長さは幅の3~7倍。総状花序は4~14個の花が上部に密集し、花は開放花または閉鎖花となる。花序柄は基部につく葉より短いかまたは等しい。小花柄は長さ0.5~2mm。小苞は萼筒より短い。開放花は長さ5~7mm。萼は長さ3~4.5mm。萼筒は長さ1mm。萼片は4個、側萼片は狭三角形、長さ1~1.5 mm、基部は合着する。花冠はピンク色~紫色。翼弁は長さ5~6mm。竜骨弁は長さ4.5~5mm。開放花の豆果は、ほぼ円形、長さ4~7mm、萼から突出する。閉開花は萼から突出し、萼は豆果の長さの1/5~2/5、開放花に似ていて、長さ3.5~5mm。柄の長さは1mm。2n=20。花期は:晩夏~秋。

27 ハイブリッド
(1) Lespedeza × acuticarpa Mack. & Bush
 USAに分布。L. violacea と L. virginicaの自然交雑種。

(2) Lespedeza × bicoloba S.Akiyama ヤマツクシハギ 山筑紫萩

 日本(本州)に分布。ヤマハギ(L. bicolor)とツクシハギ(L. homoloba)の自然交雑種。

(3) Lespedeza × cyrtobuergeri S.Akiyama et H.Ohba オクタマハギ 奥多摩萩

 日本に分布。キハギ(L. buergeri)とマルバハギ(L. cyrtobotrya)の自然交雑種。

(4) Lespedeza × cyrtoloba S.Akiyama マルバツクシハギ 丸葉筑紫萩

 日本(本州)に分布。マルバハギ(L. cyrtobotrya)とツクシハギ(L. homoloba)の自然交雑種。
(5) Lespedeza × intermixta Makino ツルメドハギ 蔓蓍萩
  synonym Lespedeza latissima (Matsum.) Nakai 
 日本、韓国に分布。メドハギ(L. cuneata)とネコハギ(L. pilosa)の自然交雑種。
(6) Lespedeza × kagoshimensis Hatus. シロヤマハギ 城山萩
  synonym Lespedeza argyrophylla Hatus. コシキジマハギ
 鹿児島県(甑島列島)固有種。キハギ(L. buergeri)とサツマハギ(L. thunbergii subsp. satsumensis)の自然交雑種。やや乾燥した岩場に生える。
 落葉性低木、高さ1~3m。ツクシハギ(L. homoloba)に似るが、葉は濃緑色、灰色のビロード状の毛があり、葉裏の中脈には毛が密。豆果は大きく、長さ10~15㎜。

(7) Lespedeza × macrovirgata Kitag. オオマキエハギ 大蒔絵萩

  synonym Lespedeza virgata (Thunb.) DC. var. macrovirgata (Kitag.) Kitag
 日本、朝鮮、中国(遼寧省南部)に分布。イヌハギ(L. tomentosa)とマキエハギ(L. virgata)の自然交雑種。Flora of Chinaではマキエハギの変種としている。中国名は大细梗胡枝子 da xi geng hu zhi zi。
 マキエハギに似るが、小葉はしばしば卵状長円形、頂小葉は長さ3~3.5cm×幅1~1.5cm、下面に開出毛がある。花期の花序柄は比較的太く、糸状ではなく、毛が開出する。萼は長さ約7mm。花期は7~9月。果期は9~10月。
(8) Lespedeza × miquelii S.Akiyama ナガサキハギ 長崎萩
 日本(本州)に分布。ヤマハギ(L. bicolor)とマルバハギ(L. cyrtobotrya)の自然交雑種。

(9) Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii × L. homoloba Nakai ビッチュウツクシハギ 備中筑紫萩

 日本(九州)に分布。ミヤギノハギ(Lespedeza thunbergii subsp. thunbergii)とツクシハギ(L. homoloba)の自然交雑種。
(10) Lespedeza maruyamana Murata アヤコハギ
 島根県の畑で発見されたマキエハギの形質ももつマキエハギと不明種の自然交雑種。学名は有効ではない。
 小葉が細く、長さ5~18㎜×幅3~8㎜。葉柄や花序柄も細い。果実は広楕円形、長さ約4㎜×幅2.5㎜。果実の表面に密に伏毛があり、網目模様か見えない。

参考

1) Flora of China
 Lespedeza
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=118322
2) GRIN
 Lespedeza
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=6750
3) レッドデータブックあいち2009
 クロバナキハギ
https://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/yasei/rdb/ikansoku/plants_196.pdf
4)USDA Forest Service
 Lespedeza bicolor
https://www.fs.fed.us/database/feis/plants/shrub/lesbic/all.html
 Lespedeza cuneata
https://www.fs.fed.us/database/feis/plants/forb/lescun/all.html
5)植物学雑誌 Bot.Mag.(Tokyo) 37: 437 en69-en82(1923)
Bot. Mag. (Tokyo) 42:456. 1928  Notulæ ad Plantas Japoniæ et Coreæ XXX Takenoshin Nakai
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/37/437/37_437_en69/_pdf/-char/ja
6)植物学雑誌 Bot. Mag. (Tokyo) 42:456.(1928)
  Lespedeza satsumensis Nakai
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/42/502/42_502_490/_pdf/-char/ja
7)植物研究雑誌 journ. jap. Bot. 56: 239-244,(1981)
 ミヤギノハギとケハギ-ミヤギノハギの起源について 大橋広好
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/37/437/37_437_en69/_pdf/-char/ja
8)植物研究雑誌 58巻 4号 p.97-104 (1983 )
ハギ属ヤマハギ節の雑種について (2) ツクシハギとビッチュウヤマハギの雑種
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/61/4/61_61_4_7865/_pdf/-char/ja
9)植物研究雑誌 J.Jap.Bot.61: 124 (1986)
大橋広好 ミヤギノハギとケハギ再考ーケハギの分類学的位置および学名に関して
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/61/4/61_61_4_7865/_pdf/-char/ja
10)植物研究雑誌 J.Jpn.Bot.74:268-281(1999)
 A New Species of Lespedeza(Leguminosae)from Japan
https://www.researchgate.net/profile/Hiroyoshi-Ohashi/publication/334611960_Lespedeza_hisauchii_JJB745_268-281_1999/links/5d35c299a6fdcc370a559478/Lespedeza-hisauchii-JJB745-268-281-1999.pdf
11) 鹿児島大学リポジトリ
 マルバハギとサツマハギの中間型
35_maruno_HQ.pdf
12)鹿児島大学リポジトリ
Lespedeza : Sects. Macrolespedeza and Heterolespedeza from Japan, Corea and Formosa Memoirs of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University volume6 , number1 , p1-17
http://jairo.nii.ac.jp/0016/00012807
13)Lespedeza 鹿児島大学リポジトリ
 Lespedeza: Sects. Macrolespedeza and Heterolespedeza from Japan, Corea and Formosa Sumihiko HATUSIMA
https://ir.kagoshima-u.ac.jp/record/3771/files/KJ00000010713.pdf
14)植物分類雑記19
 アヤコハギ(丸山薪称)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunruichiri/39/4-6/39_KJ00001078622/_pdf
15)改訂レッドリスト付属説明資料
 植物Ⅰ(維管束植物)平成22年3月環境省自然環境局野生生物課
https://paperzz.com/download/6148643
16)Phytokeys 185(1):43-53 (2021)
Lespedeza danxiaensis (Fabaceae), a new species from Guangdong, China, based on molecular and morphological data
https://www.researchgate.net/publication/356244413_Lespedeza_danxiaensis_Fabaceae_a_new_species_from_Guangdong_China_based_on_molecular_and_morphological_data
17)AOB PLANTS, Volume 13, Issue 2, April 2021
Historical migration and taxonomic entity of Korean endemic shrub Lespedeza maritima (Fabaceae) based on microsatellite loci
https://academic.oup.com/aobpla/article/13/2/plab009/6144582
18)Korean Journal of Plant Taxonomy 49(4):300-318(2019)
Taxonomic study on infraspecific taxa of Lespedeza maximowiczii and hybrids with related species
https://www.researchgate.net/publication/338452347_Taxonomic_study_on_infraspecific_taxa_of_Lespedeza_maximowiczii_and_hybrids_with_related_species