ノイバラ 野茨
Flora of Mikawa
バラ科 Rosaceae バラ属
別 名 | ノバラ |
中国名 | 野蔷薇 ye qiang wei |
英 名 | multiflora rose, baby rose, rambler rose |
学 名 | Rosa multifora Thunb. synonym Rosa polyantha Siebold et Zucc. |
花 期 | 5~6月 |
高 さ | 1~2m |
生活型 | 落葉低木 |
生育場所 | 原野、河原、山 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾 |
撮 影 | 新城市 05.5.29 |
落葉低木、高さ1~2m。茎は直立して分枝し、又は他のものに寄りかかって伸び、鉤形の刺が対につく。葉は互生し、葉柄を含めて長さ5~10㎝、小葉が(3)5~9個の奇数羽状複葉、根元の小葉の方が小さい。小葉は葉表に光沢がなく、長さ1~5㎝、幅0.8~2.8㎝の倒卵形~惰円形~卵形、先が鋭頭~鈍頭、基部は円形~楔形、、縁に鋭鋸歯がある。葉面は無毛、葉裏は毛が密生又は散生する。托葉はクシの歯状に切れ込み、普通、腺毛が密生し、腺毛が縁だけのものもある。円錐花序に花が多数つき、花数が少ないと散房花序になる。苞は早落性。花は直径1.5~2㎝の白色(まれに淡紅色を帯びる)の五弁花、花弁の先が凹む。花柄は長さ1.5~2.5㎝、軟毛があり、ときに腺毛も混じる。雄しべは多数。花柱は合着して柱状になり無毛。花托筒(萼筒)はつぼ形、無毛。萼片は広披針形、内面と縁に綿毛があり、小裂片があることも多く、腺毛があることもある。花托筒が多肉質になりバラ状果と呼ばれる偽果を作る。偽果は直径6~9㎜の類球形、秋に赤く熟し、光沢があり、冬まで残る。痩果は長さ約4㎜、偽果に5~12個入る。2n=14, 21。花期は5~6月。
ウスアカノイバラform. rosipetala 花が淡紅色の品種。
ミシマイバラ Rosa x misimensis 神奈川県で見つかったテリハノイバラとノイバラの推定雑種。 開花期が重複することが稀なので生じる機会は少ない。
テリハノイバラ Rosa luciae は茎が直立せず、地面を這う。花期がノイバラより遅く、花が大きい。葉は質が厚く、表面に光沢があり、葉裏も無毛。托葉は葉柄と合着した部分の幅が広く、縁は鋸歯状。
バラ属
family Rosaceae -genus Rosa茎やシュートをcaneともいう。低木、横に広がる又はよじのぼり、刺や剛毛状の刺、があり、まれに刺がなく、短毛、腺毛があり、又は無毛。葉は互生し、奇数羽状複葉、まれに単葉。托葉は沿着又は葉柄に付着し、まれに欠く。花は単生又は散房花序につき、まれに複合の散房花序や円錐花序につく。苞は1個~数個又は欠く。花托筒は球形、つぼ形、杯形、首が狭窄する。萼片は5個まれに4個、5数配列、外側2個、内側2個、中間に1個、縁は全縁、様々に羽状分裂する。花弁5個、まれに4個、覆瓦状、白色、黄色、ピンク色、赤色。花盤は花托筒の口につく。雄しべは多数、数個の輪状に、花盤につく。心皮は分離、多数まれに数個、花托筒の縁や基部につく。柄は無いかまれ。胚珠は下垂胚珠。花柱は頂生又は側生。果実はローズヒップ(rose hip:バラ状果)であり、つぼ状に肥大した肉質の花托の内側に痩果が付く集合果である。痩果は木質、多数、まれに数個つく。種子は垂れ下がる。x=7。2倍体2n=14~8倍体2n=56
世界に約270種の野生種があり、南半球を除く亜熱帯から寒帯まで幅広く分布している。
バラ属の主な種
1 Rosa × alba L. アルババラsynonym Rosa × alba var. typica Heinr.Braun
synonym Rosa × collina subsp. alba (L.) Čelak
synonym Crepinia × collina (Jacq.) Gand.
フランス、ハンガリー、スペイン、スイス原産。別名はロサ・アルバ。原種は不明の自然交雑種種。観賞用またはまれに香水製造のために栽培される。略号Sp A。ビーナスの誕生の絵のバラとして知られる。white rose of Yorkと呼ばれ、古くからヨーロッパで栽培されてきた、オールドローズのアルバ系の親となる。一季咲き、つる性。花は白色、半八重。雄しべは黄色。強い芳香がある。
低木、高さ2mまで。茎は直立またはわずかにアーチ形になる。刺は茎に不規則につき、通常は鉤状で均。小葉5~7枚つき、(広)卵形~広楕円形、先は鈍形~鋭形または短い尖鋭形、縁は単鋸歯、葉身は中程度の大きさ、上面は鈍い緑色、無毛、下面は淡灰緑色、毛がある。花は単生または3(~5)個まれにそれ以上つき、白色まれに淡ピンク色、花弁は通常八重または半八重、まれに一重。小花柄は通常果実と同じかそれより長く、有柄の腺がある。果実(存在する場合)は楕円形または卵形で、成熟すると赤色になり、通常は平滑。 通常、痩身は部分的にのみ発達する。植栽され、ときに帰化する。(Flora of Pakistan)。
品種) ロサ・アルバ・セミプレナ Sp A
2 Rosa acicularis Lindl. オオタカネバラ 大高嶺薔薇
synonym Rosa suavis auct. non Willd.
synonym Rosa alpina (Pall.) Pall.
日本(北海道、本州中北部)、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、陝西省、山西省、新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア、スウェーデン、カザフスタン、北アメリカ(アラスカ)原産。中国名は刺蔷薇 ci qiang wei。別名はオオタカネイバラ。標高400~1800mのカバノキ林、低木林、日当たりの良い斜面、道端に生える。
低木、高さ1~3m。小枝は赤褐色または紫褐色、円柱形、わずかに湾曲、無毛。 刺はまばらから密で、円柱形、真っ直ぐ、長さ4㎜まで、細く、小さな基部に向かって均等に先細になる。葉は葉柄を含めて長さ7~14㎝。托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は広卵形、下面に毛があり、縁には腺状の鋸歯があり、先は尖鋭形。葉軸と葉柄は毛と腺毛とまばらに刺がある。小葉は3~7個、広楕円形または長円形、長さ1.5~5㎝×幅0.8~2.5㎝、下面に毛があり、中脈と側脈は明瞭、上面は無毛で中脈と側脈はわずかに凹み、基部は円形まれに広楔形、縁は単純な鋸歯または不明瞭な重鋸歯があり、先は鋭形または丸みのある鈍形。花は単生、または2~3個、束生し、直径3.5~5㎝。小花柄は長さ2~3.5㎝、密に腺毛がある。苞は卵形または卵状披針形、縁は腺状の鋸歯または欠刻があり、先は尖鋭形または尾状です。花托筒は楕円形、通常は無毛、まれに腺毛がある。萼片は5個、披針形、葉状、外面に毛があり、腺があり、まばらに剛毛があり、内面に密に毛があり、縁は全縁。花弁は5個、ピンク色まれに白色、香りがあり、倒卵形、基部は広楔形、先は凹形。花柱は離生、雄しべより短く、毛がある。バラ状果(hip)は赤色、梨状、長い楕円形または倒卵形、直径1~1.5㎝、明瞭な首があり、光沢があり、無毛、またはまれにわずかに腺があり、萼片が宿存して直立する。花期は6~7月。果期は7~9月。2n=28, 56。
3 Rosa nipponensis Crép. タカネバラ 高嶺薔薇
synonym Rosa acicularis var. nipponensis (Crép.) Koehne
synonym Rosa suavis var. nipponensis (Crép.) Sugim.日本固有種。本州(中部以北)、四国(剣山、東赤石山)に分布する。別名はタカネイバラ。
低木。高さ1~2m。枝はよく分枝する。小枝は細く、赤紫色を帯び、帯白色の細い針状突起があり、のちに脱落する。葉は奇数羽状複葉。小葉は3~4対、長1~3㎝、長楕円形~惰円形、先は鈍形。短い小葉柄がある。葉軸は刺や腺毛が多い。托葉は膜質、中間まで葉柄に合着し、上部は耳状に広がり、先は鈍く、縁に腺毛がある。小花柄は腺毛がある。花は花弁5個、直径4~5㎝、紅紫色~淡紅色。花托筒(萼筒)は紡錘形、無毛。萼片は内面と縁に綿毛が密生する。雄しべは多数、長さ6~7㎜、花糸に白毛が密生する。花柱は白毛が密生し、花の喉部(花柱開口部)をふさぐ。偽果は洋梨形、長さ1.5~2㎝、黄赤色に熟す。2n=14。花期は6~7月。果期は8~9月。
品種) 'Alba' 白タカネバラ , 'Akanefuji'
4 Rosa arvensis Huds ロサ・アルベンシス
ヨーロッパ~トルコ原産。英名はfield rose , white-flowered trailing rose , hakespeare's musk 。標高(50)200~1700mの温帯多湿環境の落葉樹林の日陰の場所に生える。ヨーロッパでは普通に見られる。一季咲き。花は白色~乳白色、淡ピンク色、一重、直径3~5㎝。芳香が強い。ヒップは小さく赤色。アルベンシスRosa arvensisの系統のハイブリッドはエアシャー系と呼ばれる。
低木、高さ3mまで。つる性、茎はよじ登りまたは傾伏し、まれに直立し、やや放射状に伸び、長く、細く、無毛、緑色または帯赤色。刺は均質、湾曲し、後向き、断面がほぼ円形または楕円形、散在する。葉は落葉性、革質ではなく、通常、托葉状の刺(substipular aculeuses)を持たない。小葉は5~7個、長さ(1.5)2~3.5(4.5)㎝×幅(1)1.5~2.5㎝、楕円形または倒卵形、先は鈍形またはわずかに尖鋭形、上面は色が鈍く、若いうちは両面に毛があり、その後は中央部のみに毛があり、下側の脈 - 例外的に無毛になり- 、縁には7~20対の歯があり、単純、±不規則、またはまれに複合、幅が広く、下の歯は腺に置き換えられる。葉柄と葉軸は微軟毛があり、様々な長さの有柄の腺を持ち、いくつかは棘状で、小さく広く分散した刺があり、中脈にもある可能性がある。托葉は長さ8~20㎜×幅2.4~4.5㎜、わずかに散開し、縁には有柄の腺があり、耳の基部ではさらに毛が多い。花は1~3(~8)個、単生または集散花序につく。苞は0~1(2)個、脱落性、卵状披針形または披針形、有柄の腺があり、縁に毛がある。小花柄は長さ2.5~4(5)㎝、いくつかの有柄の腺があり、先には多数ある。花托は直径3~4.5㎜の花盤を備え、通常は円錐形、穴は幅0.4~0.7㎜。萼片は長さ6~10(14)㎜×幅3~6㎜、反り返り、脱落性、 卵状尖鋭形~卵状披針形、全縁、または外側の裂片は縁に長さ4㎜までの2~4個の裂片があり、外面は無毛になり、縁に有柄の腺があり、広く分散しているか、または無い。頂部の付属体は長さ0.7~4.5㎜。花冠は直径2.5~6㎝。花弁は長さ16~30㎜×幅12~28㎜、切れ込みは浅く、白色、爪部は帯黄色。花柱は柱状に溶接され、長さ4~6㎜、無毛。偽果は直径0.6~1.2㎝、最初は卵形で、成熟するとほぼ球形になり、無毛で、ときにいくつかの腺があり、帯赤色。2n=14 (2x)。
5 Rosa blanda Aiton ロサ・ブランダ
北アメリカの東部~中部が原産。英名はsmooth rose , meadow rose , wild rose , prairie rose。標高0~700mの茂み、草の生えた端、森の端、溝、川岸、砂利や砂地の平地に生える。
低木、茂みを形る。茎は直立またはアーチ状になり、高さ(50~)100~200㎝、まばらに分枝する。樹皮は若いときは緑色、年齢とともに赤色~橙赤色になり、下部は白っぽく、無毛になる。托葉の刺(infrastipular prickles)は存在せず、節間の刺(internodal prickles)はまれで、まばらで、上部の針状突起はまれ。 葉は長さ8.5~11㎝。 托葉は長さ(9~)15~25㎜×幅4~6㎜、耳は通常フレア状、(2.5~)4~6㎜、縁は全縁または鋸歯があり、疎~密な有柄の腺があり、表面は無毛、ときに毛があり、腺は無くまたは腺がある。葉柄と葉軸には小刺は稀か欠き、無毛または微軟毛~毛があり、無柄または有柄の腺があり、ときに腺がない。小葉は5~7(~9)枚。頂小葉は小葉柄が長さ5~9(~13)㎜、葉身は楕円形または卵形、ときに倒卵形、長さ(15~)25~40(~55)㎜×幅(8~)12~20(~30)㎜、膜質、縁は単鋸歯があり、歯は片側に10~26個、鋭形、ときに黒色の腺が先端にあり、先は鋭形、ときに鈍形、下面は淡緑色、無毛、ときに毛または細かい綿毛があり、腺は無く、上面は緑色、鈍く~±光沢があり、無毛で、ときに縁毛がある。花序は散房花序、花が1~5(~10)個つく。小花柄は直立し、細く、長さ14~25㎜、無毛、腺は無く、まれにまばらに有柄の腺がある。。苞は1~2個、卵状披針形、長さ14~20㎜×幅2~8㎜、縁は全縁、ときに波打ち、不規則な鋸歯があり、短い有柄の腺があり、表面は無毛、腺がある。花は直径3~6(~7)㎝、強い芳香がある。花托筒は卵形または球形、長さ4~5㎜×幅4.5~5㎜、無毛、腺が無く、まれに有柄の腺があり、首部は長さ(0~)0.5~0.8㎜×幅3~3.5㎜。萼片は通常直立し、通常、嘴帽子(beak-cap)を形成し、または±反り返った卵状披針形、長さ(12~)20~30㎜×幅2.5~3.5㎜、先端は長さ2.5~4㎜×幅0.5~1.5㎜、縁は全縁または羽状中裂し、外面は無毛 、有柄の腺があり、まれに腺が無い。花弁は一重、ピンク色またはバラ色、長さ13~26㎜×幅12~26㎜。雄しべは115本。心皮は32~55個。花柱は花盤(hypanthial disc:直径4㎜)の花柱開口部(stylar orifice:直径1.5㎜)を越えて1~2㎜ 突き出る。偽果(hip)は赤色、ほぼ球形~球形ときに楕円形、壺形、または梨形、長さ8~11㎜×幅8~11㎜、肉質、無毛、腺はなくまれにまばらに有柄の腺があり、首部は長さ(0~)0.5~1(~1.5)㎜×幅3.5~4.5㎜、萼片は宿存し、直立または反り返る。痩果は基底側膜胎座、26個つき、黄褐色、長さ3.5~4㎜×幅1.5~3㎜。 2n=14。花期は6~7月。
6 Rosa banksiae R.Br. モッコウバラ 木香薔薇
synonym Rosa banksiae var. normalis Regel 单瓣木香花(dan ban bai mu xiang)
中国原産。中国名は木香花 mu xiang hua 。英名はBanksian rose。世界中で広く栽培されている。花は白色、黄色。一重~半二重~二重、芳香の有無がある。常緑低木、蔓性、高さ6m以下。じ登り、高さ6mになる。古い枝は硬い刺があり、小枝は赤褐色、円柱形、無毛。刺は散在し、曲がり、短く、長さ5㎜以下、扁平で、基部は幅が広く、先は次第に北くなり、尖る。栽培種の小枝には刺がないものもある。葉は葉柄を含めて長さ4~6㎝。托葉は早落性、合着せず、線状披針形、膜質、全縁、尖鋭形。葉柄や中軸にまばらに短毛があり、普通、小刺は欠く。小葉は3~5個、まれに7個つき、楕円状卵形~長楕円状披針形、長さ2~5㎝、幅0.8~1.8㎝、革質、葉裏は脈に沿って短毛があり、中脈は明瞭。葉表は無毛、光沢があり、基部は類円形~広楔形、縁は、低い鋸歯縁、先は鋭形~わずかに鋭形。花は単一の散形花序又は散房花序に4~15個つき、直径1.5~2.5㎝。小花柄は長さ2~3㎝、無毛。苞は早落性、線状、小さい。花托筒は球形~卵形、無毛。萼片は5個、早落性、卵形、外面は無毛、内面は白色の短毛があり、全縁、先は長い尖鋭形。花弁は5個の半二重~二重、卵形、芳香は無く、白色又は黄色、卵形、基部は楔形、先は円形。心皮は多数、花柱は遊離し、雄しべよりかなり短く、密に短毛がある。ヒップ(バラ状果)はオレンジ色~黒褐色、球形~卵形、直径5~7㎜、無毛、落ちやすい萼片がつく。2n=14 , 28。 Flora of Chinaでは2変種とされていたが、現在では下位分類はない。
●var. banksiae 基準変種
花は花弁が5個の半二重~二重、芳香がない。
●var. normalis Regel 单瓣木香花(dan ban bai mu xiang)
花は5個の一重、芳香がある。
品種) var. normalis f. lutescens Voss
7 Rosa bracteata J.C.Wendl. カカヤンバラ
synonym Rosa bracteata J.C.Wendl. var. scabricaulis Lindl. ex Koidz
日本(八重山諸島)、中国(福建省、貴州省、湖南省、江蘇省、江西省、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は硕苞蔷薇 shuo bao qiang wei。別名はヤエヤマノイバラ。海抜300mまでの混交林、低木林、砂丘、川沿い、海岸、道端に生える。常緑低木、拡散し、高さ0.5~3m、長く這う枝がある。小枝は紫褐色、円柱形、丈夫、綿毛がある。刺はしばしば托葉の下に対につき、直線~わずかに湾曲し、長さ9㎜まで、扁平、より小さな刺と腺剛毛がしばしばあり、密または散在する。葉は葉柄を含めて長さ4~9cm。 托葉はほとんど離生、または葉柄に基部が付着し、密に毛があり、縁は櫛状で、密に腺毛がある。葉軸と葉柄にはまばらに毛があり、腺毛があり、短い刺がある。小葉は5~9枚、楕円形または倒卵形、長さ1~2.5㎝×幅0.5~1.5㎝、革質、下面は無毛または脈に沿った毛があり、上面は無毛、光沢があり、基部は広楔形またはほぼ円形、縁は円鋸歯があり、先は切形、丸みのある鈍形、またはわずかに鋭形。花は単生または2~3個が束生し、直径4.5~9cm。小花柄は長さ1㎝未満、密に絨毛があり、まばらに腺毛がある。苞は数個、大きく、広卵形、下面に密に綿毛があり、上面は無毛で、縁には不規則な欠刻状の鋸歯があり、不規則な切れ込みがあるかまたは櫛状である。花托筒は窪んだ球形、外面に密に黄褐色の毛と腺毛がある。萼片は5個、広卵形、外面に密に黄褐色の毛があり、内面にまばらに毛があり、先は尾状尖鋭形。花弁は5枚、白色または黄白色、倒卵形、基部は広楔形、先は凹形。花柱は離生、わずかに突き出し、雄しべよりわずかに短く、密に毛がある。偽果(hip)は球形、直径1.3~2.7㎝、密に黄褐色の毛があり、宿存性の反り返った萼片を持つ。花期は5~7月。果期は8~11月。
8 Rosa canina L. カニナバラ
ヨーロッパやアフリカ北西部、西アジアに分布する。別名はイヌバラ、ドッグ・ローズ。標高0~2000mのオーク林、シラカシ、松林などの縁に生える。西洋現代バラの台木として使われ、ローズヒップからエキスを抽出して利用する。
低木、高さ(0.5)1~3(6)m。茎は直立またはアーチ状で、多数あり、丈夫で、全体が帯緑色、刺(aculeuses)は長さ(3)5~8(10)㎜×幅 3~4(7)㎜、均質で、±湾曲し、沿下する基部と楕円形の断面を持ち、ときに刺がない。葉は無臭で、しばしば1~2個の托葉状刺(substipular aculeuses)がある。小葉は5~7枚、長さ(13)15~30(45)㎜×幅(6)15~20(35)㎜、卵状円形~卵形披針形、先は鋭形、基部は円形、上面と下面は無毛~毛があり、通常、腺がないかまたは中脈の一部のみにあり、縁の歯は単純または2重で、歯は一般に深くて狭い。葉柄は無毛または毛があり、ときに有柄の腺と小刺があり、葉軸および中脈に沿って広がる。托葉は形状が様々で、下面が無毛または毛があり - 各枝の最初と二番目の葉の托葉はときに下面に腺がある。下部の托葉は長さ(10)14~18㎜×幅3~6㎜、耳のつく領域がやや広い。上部の托葉は長さ(12)15~20㎜×幅4.5~9㎜、中央部分が広く、縁に腺があり、卵状披針形で先が鋭形の耳がある。下部の托葉ではより散開する。花は側枝の先に単生または集散花序につく。苞は1~2個、長さ(3.5)5~15㎜×幅(2)2.5~5㎜、卵状披針形、偽果が成熟する前に脱落し、托葉または1~3個の小葉を持つ葉に置き換わることもある。小花柄は長さ(8)10~19(30)㎜、平滑、または有柄の腺があり、ときに毛がある。花托は直径(3)3.5~4.8(6)㎜、高さ0.8~1.5(1.7)㎜の花盤を備え、円錐形で、偽果が成熟するとより平らになる。穴は(0.5)0.8~0.9(1.2)㎜。萼片は長さ(12)15~21㎜×幅3~5㎜、披針形、内側と縁に毛があり、外面は無毛、または有柄の腺があり、花後に反り返り、成熟する前に脱落する。外側の萼片は4~8(~12)個の側裂片を持ち、最も大きいものは長さ3~4㎜×幅0.3~0.5㎜。頂部の付属体は長さ3~9㎜×幅(0.4)0.7~1.5mm。花冠は直径(20)25~40㎜。花弁は長さ(8)12~20(25)㎜×幅(7)9~15(17)㎜、わずかにノッチがあり、淡いピンク色または白色。花柱は離生、または毛があり、長さ(0.5)0.8~2.5(3)㎜のほぼ倒円錐形の柱頭錐体(stigmatic cone)を形成する。偽果は長さ(8)10~18(23)㎜×幅(8)10~14(17)㎜、球形、壺形または楕円形、平滑、まれに有柄の腺と刺を持ち、ときに非常に肉質、暗赤色。2n=35 (5x)。
9 Rosa × centifolia L. セイヨウバラ 西洋薔薇
synonym Rosa gallica var. centifolia (L.) Sm.
synonym Rosa × provincialis var. centifolia (L.) Borkh.
synonym Rosa × burgundiaca Pers.synonym Rosa × carnea Dum.Cours.
南ヨーロッパで古くから栽培されている栽培種。英名は Provence rose , cabbage rose , Rose de Mai 。別名はキャベッジローズ、ケンティフォリアローズ、ロサ・ケンティフォリア。R. canina × R. gallica × R. moschataの交配種とされている。園芸種のケンティフォリア系の親となる。
低木、つる性、高さ1.5~2m。枝が長く垂れ下がる。葉は奇数羽状複葉。小葉は5~7枚、灰緑色。花は丸くカップ形~球形になり、非常に強い芳香がある。花弁は八重、多数、重なってつき、質が薄く、通常はピンク色、まれに白色、濃赤紫色になる。一季咲き。
主な品種) 'Bullata'(= 'Lettuce Rose' , 'À Feuilles de Laitue'), 'Centifola', 'Cristata'(='Chapeau de Napoleon'), 'Fantin-Latour', 'Petite de Hollande'(= 'Pompon des Dames'), 'Rose de Meaux'(= "Rosa pomponia"), 'Unique Blanche'(=d 'Mutabilis', 'White Provence', 'Vièrge de Cléry'), 'Village Maid'
10 Rosa chinensis Jacq. コウシンバラ 庚申薔薇
中国原産の古くからの栽培種。中国名は月季花 yue ji hua。英名はChinese rose, Bengal rose。別名はチョウシュンカ(長春花)、ロサ・キネンシス。和名の庚申(こうしん)とは干支(えと) の庚申(かのえ・さる)の日を意味し、ほぼ2ケ月に1回くる。花が庚申ごとに長期間咲き続けるという意味で、コウシンバラという。中国名の月季花も同様の意味。中国から古い時代に渡来し、日本でも古くから栽培されている。チョウシュンカ(長春花)は古名。中国の観賞用のバラで、世界中で広く栽培されている園芸種であり、バラの園芸品種の基になる重要な種でもある。四季咲きのもとになっている。また、花と実は古くから中国漢方薬とされている。園芸種は学名がRosa chinensis Jacq. var. chinensis と整理されている。貴州省、湖北省、四川省に自生する一重の5弁花を変種var. spontanea としている。
落葉低木、高さ1~2m。枝は紫褐色、円柱形、強健、ほぼ無毛。刺は多数~無いこともあり、曲がり、扁平。葉は葉柄を含んだ長さ5~11㎝。托葉はほとんど葉柄に接合し、上部の離れた部分は耳形、全縁、しばしば短い腺毛があり、先は尖鋭形。小葉は3~5個、まれに7個。葉裏は帯緑色、葉表は暗緑色、しばしば光沢があり、広卵形~卵状楕円形、長さ2.5~6㎝、幅1~3㎝、両面ともほぼ無毛、基部はほぼ円形~広楔形、縁は鋭鋸歯、先は長い尖鋭形~鋭形。花は4~5個、束生又はまれに単生。芳香はわずか又は無い。花は直径4~5㎝。花柄は長さ2.5~6㎝、ほぼ無毛又は短い腺毛がある。苞は1~3個つき、線形、無毛、縁は腺毛があるか全縁、先は鋭形。花托筒は卵状球形~洋梨形 、無毛。萼片は5個、早落性、卵形ときに葉状、表面は無毛、裏面は長軟毛が密生し、縁は少数分裂し、先は尾状。花弁は5個の半二重~二重、赤色~ピンク色~白色、基部は楔形、先は凹頭。花柱は突き出し、ほぼ雄しべと同長、短毛がある。バラ状果は赤色、卵形~洋梨形、直径1~2㎝。2n = 21, 28。
10-1 Rosa chinensis var. chinensis コウシンバラ 庚申薔薇
中国原産。中国名は月季花 yue ji hua 。英名はChinese rose, Bengal rose 。別名はチョウシュンカ(長春花)、ロサ・キネンシス。ピンク色~白色、半二重~二重、栽培種
10-2 Rosa chinensis var. spontanea (Rehder & E. H. Wilson) T. T. Yu & T. C. Ku ロサ・キネンシス・スポンタネア
中国(貴州省、湖北省、四川省)原産。中国名は单瓣月季花 dan ban yue ji hua。コウシンバラの野生の一重花枝は幅が広い。花は一重の5弁花、しばしば単生する。小葉は3~5個。花弁は赤色。萼片はしばしば全縁、まれに少数、分裂する。
10-3 Rosa chinensis var. semperflorens (Curtis) Koehne ロサ・キネンシス・センパーフローレンス
中国原産の栽培種。中国名は紫月季花 zi yue ji hua。枝は細く、刺が短い。小葉は5~7個、質が薄く、しばしば紫赤色に汚れる。花は単生又は2~3個束生。花弁は二重~半二重、濃赤色又は濃紫色。
品種)
- ロサ・キネンシス・アルバ Rosa chinensis alba (R. chinensis major alba)白花
- ロサ・キネンシス・メイジャー(マヨール) 'Major' 半つる性、四季咲き、濃紅色の半八重咲き
- ロサ・キネンシス・ミニマ Rosa chinensis minima ブッシュタイプで丈が低い
- ロサ・キネンシス・グリーンローズ 'Vridiflora' 緑色の八重花
11 Rosa × damascena Mill. ダマスクバラ
synonym Rosa × damascena var. typica Regel
synonym Rosa gallica var. damascena (Herrm.) Voss
synonym Rosa × bifera (Poir.) Pers.
synonym Rosa × semperflorens Loisel. & Michel
人工交配種。ガリカバラ Rosa gallica とモスカータバラ Rosa moschata の交雑種である。ダマスク系の元となる。初夏だけに咲く、一季咲き。花はピンク色、半八重。花から得られる香料のローズオイルのために栽培される。芳香はダマスク香といわれる。
茎は直立し、高さ1.5(-2)m。刺は通常、±湾曲し、弱く扁平、錐形になり、通常は有柄の腺および剛毛が混じる。小葉は無毛または上面に非常にまばらに毛があり、下面はより淡色で、軟毛がある。花は3~5個またはそれ以上つき、ピンク色、まれに白色、八重咲き、通常は香りがある。小花柄はかなり長く、有柄の腺で覆われる。花托筒は通常、有柄の腺で覆われる。偽果は球形または卵形で、しばしば未発達である(Flora of Pakistan)。
12 Rosa davurica Pall. ヤマハマナス 山浜茄子 広義
synonym Rosa cinnamomea var. davurica (Pall.) Rupr.
日本、朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、山西省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は山刺玫 shan ci mei。標高400~2500mの林縁の日当たりの良い場所、丘の上の草が茂った場所、斜面に生える。
低木、直立し、高さ約1.5m。小枝は紫褐色または灰褐色、円柱形、無毛。葉の下に対の刺があり、帯黄色、わずかに湾曲し、急に基部が広がる。葉は葉柄を含めて長さ4~10㎝。托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は卵形、下面に毛があり、縁には腺のある鋸歯があり、先は鋭形。葉軸と葉柄は毛と腺毛があり、まばらに刺がある。小葉は7~9個つき、長円形または広披針形、長さ1.5~3.5(~4)㎝×幅0.5~1.5㎝、下面は腺点が有または無、まばらにな微軟毛があるかまたは無毛で、中脈と側脈が明瞭、上面は無毛で中脈および側脈が凹み、基部は円形~広楔形、縁には重鋸歯があり、先は鋭形または丸みのある鈍形。花は単生、または2~3個、腋生で束生し、直径3~4㎝。小花柄は長さ5~8㎜、無毛または腺毛がある。苞は卵形、下面に毛と腺点があり、縁に腺のある鋸歯があり、先は尖鋭形。花托筒はほぼ球形、無毛。萼片は5個、披針形、葉状、外面にまばらに毛があり、短い腺毛があり、内面に毛があり、縁は不規則な鋸歯または腺毛がある。花弁は5枚、ピンク色、倒卵形、基部は広楔形、先は円形。花柱は分離、雄しべよりもはるかに短く、毛がある。バラ果は赤色、球形または卵形、直径1~1.5㎝、明瞭な首があり、無毛で、萼片が宿存し、直立する。花期は6~7月。果期は8~9月。
12-1 Rosa davurica var. alpestris (Nakai) Kitag. カラフトイバラ 樺太茨
synonym Rosa marretii var. alpestris (Nakai) Uyeki in Woody Pl. Distr. Chôsen: 51 (1940)
synonym Rosa marretii H.Lév. ロサ・マリエッティsynonym Rosa rubrostipullata var. alpestris Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 30: 242 (1916)
synonym Rosa davurica var. rubro-stipulata (Nakai) D.C.Son & Y.S.Kim. in Phytokeys 229:71-76 (2023)
日本(北海道東部が主)、朝鮮、サハリン原産。海岸~山地の草地や林縁、道端に生える。落葉低木、高さ0.6~2m。幹や枝は無毛で分枝点に1対の大きな刺がある(類似するオオタカネバラは幹や枝に小さな刺が多い)。広義のRosa davurica Pall.は小葉の形状が狭楕円形~広楕円形まで変化し、下面に腺が有または無である。この変種名は一般に、腺の無い小葉を持つ R. davurica である(Kitakawa 1979; Lee 2003; Ohba 2001)。さらに形態学的観察により、var. alpestris は var. davuricaと容易に区別される。腺の無い葉軸と葉柄をもち、萼片の外面はまばらに腺があるかまたは腺が無く、花は直径2~3㎝である。これに対し基本変種のvar. davuricaは小葉の下面に腺があり、葉軸と葉柄にも腺があり、萼片の外面には腺があり、花が直径4~5㎝と大きい。果実はほぼ球形、赤色に熟す。花期は6~7月。
現在の変種名はRosa davurica var.alpestris (Nakai) Kitag.は1979年に記載されたものであるが、 ICNの規則(Turland et al. 2018)に基づき、新しい組み合わせのRosa davurica var. rubro-stipulata (Nakai) D.C.Son & Y.S.Kim.が提案されている[ Phytokeys 229:71-76 (2023)]。
12-2 Rosa davurica var. davurica ヤマハマナス山浜茄子
synonym Rosa amblyotis C.A.Mey.synonym Rosa amblyotis subsp. jacutica (Juz.) Vorosch.
synonym Rosa davurica f. alba (Nakai) T.B.Lee
synonym Rosa davurica var. alba Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 30: 240 (1916)
synonym Rosa willdenowii Sprengel.(unplaced name)
synonym Rosa davurica var. glabra Liou, 光叶山刺玫 guang ye shan ci mei
synonym Rosa davurica var. setacea Liou,多刺山刺玫 duo ci shan ci mei
日本(北海道、本州の長野県、群馬県)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は山刺玫 shan ci mei。別名はミヤマバラ、コバノミヤマバラ。標高400~2500mの林縁の日当たりの良い場所、丘の上の草が茂った場所、斜面に生える。根や果実は薬用に使われる。枝にはまばらに刺がある。小葉は通常小さく、長さ1.5~3.4(~4)㎝、下面に腺点があり、まばらに毛があるかまたは無毛。葉軸と葉柄にも腺がある。萼片の外面には腺がある。花が直径4~5㎝と大きい。
12-3 Rosa davurica Pall. f. alba (Nakai) T.B.Lee シロバナヤマハマナス
下記の2変種はPOWOではvar. davuricaのsynonymとされている。(1) Rosa davurica var. glabra Liou
朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)原産。中国名は光叶山刺玫 guang ye shan ci mei。中国北東部で観賞用および様々なバラの接ぎ木用の台木として栽培される。多肉質の果実は食用となり、根、花、果実は薬用に使用される。
枝はまばらに刺がある。小葉は長さ4cmまで、下面に腺点がなく、脈に沿って無毛または毛がある。
(2) Rosa davurica var. setacea Liou,
中国()原産。中国名は多刺山刺玫 duo ci shan ci me、標高約900mの斜面に生える。
小枝には刺があり、刺は大きさが均一ではない。小葉は下面に腺点が有または無、通常は無毛で脈に沿ってのみ毛がある。
13 Rosa foetida Herrm. フォエティダバラ
synonym Rosa foetida var. bicolor (Jacq.) E.Willm. オーストリアンカッパーローズ
synonym Rosa foetida f. persiana (Lem.) Rehdersynonym Rosa foetida Herrmann var. persiana (Lemaire) Rehder [Flora of China]
東アジア、パキスタン原産。中国名は重瓣异味蔷薇 chong ban yi wei qiang wei。栽培されている。花は黄色、不快臭がある。黄色いハイブリッドモダンローズの交配種として使われる。フランスの育種家ペルネ-デュシェによって、1900年に最初の品種「ソレイユ・ドールSoleil d'Or (黄色の太陽)」が作り出された。青林檎のような芳香がある。低木、高さ1.5~3m。小枝は赤褐色で、細く、無毛。刺はまばらで、真っすぐで、長さ7㎜まで、基部で急に広がり、ときに小さな刺や剛毛が混じる。葉は葉柄を含めて長さ4~6㎝。托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は卵状披針形、縁は腺毛があり、先は尖鋭形。葉軸と葉柄には毛と腺毛がある。小葉は5~9枚、稀に11枚、上面は暗緑色、広卵形または倒卵形、下面はまばらに毛と腺毛があり、上面は毛があるかまたはほぼ無毛、基部はほぼ円形または広楔形、縁には重鋸歯があり、先は鋭形または切形。花は単生、まれに数個つき、八重咲き、直径4~6.5㎝。小花柄は長さ4~5㎝、無毛。苞が無い。花托筒は凹んだ球形、無毛。萼片は5個、長さは花托筒の約2倍の長さ、三角状披針形、葉状、外面にまばらな毛と腺毛があり、内面に密に絨毛があり、縁は全縁または外側の縁に少数の細い側付属体がある。花弁は5枚、濃黄色。花柱は離生、突き出ず、毛がある。果実は赤色、球形で、萼片が宿存し、直立する。
品種)
・ Rosa foetida 'Bicolor' オーストリアン・カッパー(Austrian Copper)
フォエティダの枝変わりで、花の表が朱色、裏が黄色。
・ロサ・フォエティダ・ ペルシアーナ Rosa foetida 'persiana'
・Rosa 'Harison's Yellow' はおそらくRosa foetidaと Rosa pimpinellifolia の交雑種
14 Rosa fujisanensis (Makino) Makino フジイバラ 富士茨
synonym Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. var. fujisanensis Makino
synonym Rosa oligantha (Franch. et Sav.) Koidz. var. fujisanensis (Makino) Koidz.
日本固有種。本州の中部地方と紀伊半島、四国北部に分布する。山地の日当たりのよい場所に生える。落葉低木、高さ2~3m。他のノイバラ類よりも幹が太くなり、ときに直径15㎝になる。全体に無毛。托葉は合着し、縁が羽状に裂けず、縁には腺になった鋸歯があり、上部が反り返る。葉は互生し、短い葉柄があり、葉柄を含め長さ6~10㎝の奇数羽状複葉。小葉は3~4対つき、広楕円形~楕円形、小葉身は長さ3~5cm、縁には細かい鋸歯があり、頂小葉の先は尖鋭形、側小葉の先は鋭形、葉質は薄く、上面は濃緑色、光沢があり、下面は淡緑色。葉軸には小さな刺と腺毛がある。円錐花序を頂生し、数個の花をつける。花は白色、直径2.5~3㎝。花弁は5個、平開し、先は凹形。バラ状果は赤色に熟し、卵状球形、直径約1㎝。花期は6~7月。果期は10~11月。
15 Rosa gallica L. ガリカバラ
ヨーロッパ、西アジア原産。英名はGallic rose , French rose ,rose of Provins。別名はフランスバラ。標高30~1350mの生垣と小道の端に生える。
つる性、一季咲き。茎には刺と腺毛がある。花は強い芳香があり、香料系の品種に重要な役割を持つ。
低木、高さ1mまで。茎は直立、柔軟、斜上し、緑色または帯赤色。若い茎は、円形または半円形の断面の針を持ち、不均一~いくつかの大きな刺は最も大きい刺は長さ5㎜×幅2.2㎜、わずかに湾曲し、他の刺は長さ2~3㎜×幅0.6~1.2㎜、真っ直ぐで、針、有柄の腺と腺剛毛が混在または混在せず、大きさが異なり、古い茎では刺だけ、または刺がないものがある。葉には通常、托葉状の刺(substipular aculeuses)がない。小葉は3~5(7)個、長さ(2)2.5~7㎝×幅1.8~4㎝、卵形~円形、先は鈍形または鋭形、基部はほぼ心形、革質、上面は粗くて光沢があり、下面は微軟毛があり、縁は単鋸歯または重鋸歯があり、しばしば歯に腺と縁毛のある歯をもつ。葉柄と葉軸には微軟毛があり、有柄の腺と広く散在する小刺を持ち、中脈にもある可能性がある。托葉は長さ1.6~2.5㎝×幅0.5~1.4㎝、徐々に広がり、上面は無毛、下面は毛があり、および腺状の縁を持ち、耳はわずかに広がる。花序は花が1(2)個つく。苞は0~2個、長さ1.5㎝未満、脱落性。小花柄は長さ2~6㎝、直立し、有柄の腺があり、その多くは刺状で、ときにいくつかは針状になる。花托は直径5.5~6.5(11)㎜の花盤がつき、わずかに円錐形、穴は幅2.5~3.5(7)㎜。萼片は長さ1.6~3.5㎝×0.5~1.1㎝、卵形~卵状披針形、先に微軟毛があり、無毛で中央と基部に有柄の腺があり、花後に反り返り、偽果が成熟する前に脱落する。外側の萼片は、長さ2~5㎜の3~7個の側裂片がある。頂部の付属体は長さ0.5~1.5㎜、全縁またはやや羽状中裂し、ときに葉状になる。花冠は直径5~6㎝、一重または八重(花弁は10枚以上)。花弁は幅2.5~4㎝、あまり切れ込みが浅くなく、紫ピンク色(濃ピンク色)~淡ピンク色。葯は曲がっていることが多い。花柱は離性、毛があり、集団になり、凸状の柱頭円錐体(stigmatic cone)を形成し、柱頭は様々な高さで、花盤から5~7㎜上がり、内部の雄しべの高さを超えない。偽果は直径8~11㎜、卵形、革質で、一般に熟すと落ちる帯赤色の有柄の腺を備える。2n=28(4x)。
16 Rosa gigantea Collett ex Crep. ギガンテアバラ
synonym Rosa odorata var. gigantea
中国(雲南省)、インド(アッサム州)、ミャンマー、ブータン、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は大花香水月季(da hua xiang shui yue ji )。江蘇省、四川省、雲南省、浙江省で栽培されている。標高1400~2700mの混交林、雑木林、丘の中腹の低木、牧草地、草が茂った斜面、道端に生える。独特の中国バラの香り「ティーの香り」を付与する元になっている。剣弁咲きの祖。
常緑または半常緑の低木で、よじ登ったり、這い登ったりして、長い這う枝を持つ(大形で長さ20m以上にもなり、幹は太いものは直径50㎝にもなる)。枝は丈夫で無毛。 とげは散在し、湾曲し、長さ7㎜まで、頑丈で平らで、幅広い基部に向かって徐々に細くなる。葉は葉柄を含めて長さ15~25㎝。托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は耳状、無毛、縁または基部のみに腺があり、先は尖鋭形。葉軸と葉柄はまばらに短い刺があり、腺毛がある。小葉は5~9枚、楕円形~卵形または長円状卵形、長さ2~7(8)㎝×幅1.5~3㎝、革質、両面とも無毛、基部は楔形またはほぼ円形、縁は伏した鋸歯があり、先は鋭形または尖鋭形。花は単生、または2~3個束生し、非常に香りがよく、直径8~10㎝。小花柄は長さ2~3㎝、無毛または腺毛がある。苞は1~3個つき、線形、縁は全縁またはまばらに腺があり、先は漸尖形。花托筒は凹んだ球形。萼片は5個、披針形、外面は無毛、内面に密に絨毛があり、縁は全縁、稀に少数の羽状裂片があり、先は長く尖鋭形、花後は反曲し、脱落性。花弁は5枚、白色、香りがあり、倒卵形、基部は楔形、先は凹形。花柱は離生、突き出し、雄しべとほぼ同長で、毛がある。バラ状果は赤色(黄色~橙色)、窪んだ球形、まれに梨形、直径2.5~3.5㎝、無毛。花期は6~9月。2n=21。
17 Rosa gracilipes Chrshan. トウサンショウバラ 唐山椒薔薇
synonym Rosa pimpinellifolia auct. non L.
ロシア原産。開花中は装飾的で、栽培種は特に豊富に咲く。
小さな低木、高さ通常は50~75㎝、まれに高さ100~120(~150)㎝、枝が多い。茎は明るい灰色、刺が密にある。刺は真っ直ぐで、多数あり、様々なサイズになる。小葉は5~11個、長さ5~20㎜、円形~楕円形、上面が濃緑色、下面は明るく、縁には鋸歯がある。花は単生し、白色または淡いクリーム色(乾燥時)、直径2~5cm、花弁は一重。 果実は球形または扁球形、直径は1~1.5 cm、暗褐色~ほぼ黒色、乾くと硬い。花期は6月。果期は8~9月。
18 Rosa hirtula (Regel) Nakai サンショウバラ 山椒薔薇
synonym Rosa roxburghii Tratt. var. hirtula (Regel) Rehder et E.H.Wilson
日本固有種。富士山や箱根周辺にのみに分布する。富士山付近の不老山が有名。別名はハコネサンショウバラ 箱根山椒薔薇。国の絶滅危惧Ⅱ類 (VU)だが、庭木や盆栽として栽培されている。和名は葉や刺がサンショウに似ていることからサンショウバラという。落葉小高木、高さ5~6m。幹は樹皮が灰褐色、古くなると薄く裂けて剥がれる。枝はよく分枝し、稲妻形に屈曲し、若いときはやや紫褐色を帯び、強い刺がある。刺は後屈又は真っすぐ。葉は互生(少数束生)し、長さ7~15㎝、奇数羽状複葉、小葉が(2)4~9対つく。小葉は長さ1~3㎝、楕円形~卵状長楕円形、葉縁には鋭い鋸歯があり、両面に短軟毛があり、先は鋭形~鈍形。葉軸は細かい刺と毛があり、上面が樋状に窪む。托葉は葉柄に合着し、幅が狭く、上部の裂片は披針形。花は枝先の葉腋に単生し、直径5~6㎝。花柄や花托筒には刺が密生する。萼片は5個、縁に不規則な切れ込み状の付属片がつく、外面は刺があり、内面は淡色平滑、宿存性。花弁は5個(一重)、ピンク色、先が切れ込みハート形、縁は平滑~不規則に小さく切れ込む。果実は偽果、扁球形、直径約2㎝、果柄、果実に刺が密生する。花期は5~6月。
品種) 羽衣はサンショウバラの八重の変異種
19 Rosa indica L. ウエンイバラ
synonym Rosa cymosa Tratt. [Flora of China]
中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ラオス、ベトナム原産。中国名は小果蔷薇 xiao guo qiang wei。標高200~1800mの丘、開けた斜面、川沿い、道端に生える。
常緑低木、つる性または低木、高さ2~5m。小枝は円柱形、無毛または毛があり、刺は散在し、鉤状で長さ6㎜まで、扁平、基部が広く徐々に先細になる。葉は葉柄を含めて長さ5~10㎝。托葉は早落性、離生、線形、膜質、縁は全縁、先は尖鋭形。葉軸と葉柄は無毛または毛があり、しばしばまばらに刺があり、まれに腺毛がある。小葉は3~5枚、まれに7枚、卵状披針形または楕円形、長さ2.5~6㎝×幅0.8~2.5㎝、革質、両面とも無毛、中脈に沿って下面に微軟毛があり、または両面に密に微軟毛があり、中脈が目立ち、上面に光沢があり、基部は円形、縁は鋭い細鋸歯があり、先は尖鋭形。花は多数、直径2~2.5㎝、複散房花序につく。小花柄は長さ約1.5㎝、若いときは毛があり、無毛になる。苞は披針形、縁はまばらに腺毛があり、先は尖鋭形。花托筒は球形または卵形で無毛。萼片は5 個、脱落性、卵形、外面はほぼ無毛、まれに剛毛があり、内面にまばらに白色の綿毛があり、縁はしばしば羽状に裂け、先は尖鋭形。花弁は5枚、香りがあり、白色または黄色、倒卵形、基部は楔形、先は凹形。花柱は離生、わずかに突き出し、雄しべとほぼ同長で、密に白色の毛がある。偽果は赤色、黒色、紫色、または黒褐色、球形、直径4~7㎜。花期は5~6月。果期は7~11月。
20 Rosa koreana Kom. コウライバラ 高麗薔薇
synonym Rosa ussuriensis Juz.
朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省)、ロシア原産。中国名は长白蔷薇 chang bai qiang wei。標高600~1200mの森林の縁、低木林、斜面の岩場に生える。
低木、小さく、高さ約1m、密集する。小枝は密で、濃紫赤色で、各節の下に対の刺があり、円柱形で真っ直ぐな剛毛状の長さ6㎜の細い刺が密に散在し、刺の基部は急に広がり楕円形になる。当年の枝はまばらに刺がある。葉は葉柄を含めて長さ4~7㎝。 托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は卵状披針形、無毛、縁に腺にある鋸歯がある。葉軸と葉柄にはまばらに刺と腺がある。小葉は7~11(~15)個、楕円形~倒卵状楕円形または長円形、長さ6~15㎜×幅4~8㎜、下面はほぼ無毛、または脈に沿ってまばらに毛があり、まれにまばらに腺があり、上面は無毛、基部は円形または広楔形、 縁は鋭い腺のある鋸歯があり、部分的に重鋸歯になり、先は丸みのある鈍形。花は腋生、単生し、直径2~3㎝。小花柄は長さ1.2~2㎝、腺毛がある。苞は無い。花托筒は長円形。萼片は5個、披針形、外面は無毛、内面にまばらに毛があり、腺はなく、まれに縁にまばらに腺があり、先は長い尖鋭形または尾状尖鋭形。花弁は5枚、ピンク色を帯び、倒卵形、基部は楔形、先は凹形。花柱は離生、雄しべよりかなり短く、わずかに突き出す。偽果は橙赤色、長円形、長さ1.5~2㎝、光沢があり、萼片は宿存し、直立する。花期は5~6月。果期は7~9月。
21 Rosa laevigata Michx. ナニワイバラ 難波茨
synonym Rosa laevigata var. rosea Makino ハトヤイバラ
synonym Rosa laevigata f. semiplena T.T.Yu & T.C.Ku
中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、南陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ベトナム原産。中国名は金樱子 jin ying zi。200~1600mの茂み、低木林、開けた山地、開けた野原、農地に生える。大阪の商人が中国から輸入し、販売したためナニワイバラという。花は白色。ハイブリッドはHybrid Laevigata)Hlaev。常緑低木、つる性、高さ5mまで。小枝は紫褐色、円柱形、丈夫。刺は散在し、湾曲し、長さ4 mmまで、扁平、幅広い基部から徐々に先細になる。剛毛は腺があり、若い茎に密生し、長さ4mmまで。葉は葉柄を含めて長さ5~10cm。托葉は早落性、離生または基部が葉柄に付着し、披針形、腺のある鋸歯があり、先は尖鋭形。葉軸と葉柄には短い刺があり、腺剛毛がある。小葉は3枚、まれに4枚、楕円状卵形、倒卵形、または披針状卵形、長さ2~6㎝×幅1.2~3.5 cm、革質、若い時は下面に微小な刺があり、若い時には中脈に沿って腺剛毛があり、無毛になり、上面は無毛、基部は広楔形、縁は鋭い鋸歯がり、先は鋭形、または丸みを帯びた鈍形。花は腋生、単生し、直径5~10cm。小花柄は長さ1.8~2.5(~3)㎝、腺剛毛が密にある。苞は無い。花托筒は卵形で、密に腺剛毛がある。萼片は5個あり、宿存性、花弁よりわずかに短く、卵状披針形、葉状、外面は無毛、内面に密に毛があり、縁は全縁、しばしば腺剛毛がある。花弁は5枚(f. laevigata)、半八重(f. semiplena)または八重、白色、広倒卵形、基部は広楔形、先は凹形。花柱は離生、雄しべよりもはるかに短く、毛がある。偽果は紫褐色、梨形または倒卵形、まれにほぼ球形、直径0.8~1.5㎝、密に腺剛毛があり、宿存する直立した萼片を持つ。花期は4~6月。果期は7~11月。
POWOでは下位分類を認めていない。
21-1 Rosa laevigata Michx. f. rosea (Makino) Makino ハトヤイバラ
synonym Rosa laevigata var.roseaナニワイバラの変種(栽培種) 、花がピンク色。和名は本種が埼玉県鳩ヶ谷で主に生産販売されたことによる。
22 Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. テリハノイバラ 照葉野茨
synonym Rosa wichuraiana Crep.synonym Rosa kokusanensis Nakai コクザンイバラ
synonym Rosa taisensis Nakai タイセイトウバラ
日本(本州の宮城県以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、フィリピン原産。中国名は光叶蔷薇(guang ye qiang wei )。
花は白色。ローザ・ウイクライアナRosa wichuraiana Crep. の学名は使われなくなくなった。園芸品種の系統は旧学名のウクライアーナ系とされている。園芸種の台木にも使われる。ランブラーや多くのクライマー品種などのつるバラの祖。
落葉低木。茎は鉤形の刺があり、地を這って伸び、立ち上がらない。葉は互生し、長さ4~9㎝、奇数羽状複葉、小葉が2~4対つく。頂小葉と側小葉はほぼ同大。小葉は長さ1~2㎝の惰円形~広倒卵形、両面とも無毛、厚みがあり革質、ほぼ円頭、ときに鋭頭のものもあり、縁に鋭く粗い鋸歯がある。葉表に光沢があり、葉裏は淡緑色、白色を帯びない。葉軸や葉裏の主脈には腺毛がまばらに生える。托葉はやや厚みがあり、幅が広く、上部の裂片は三角形状、縁は鋸歯状、鋸歯の先に腺がある。花托筒(萼筒)は楕円形、無毛。萼片は内面に短毛が密生し、縁に毛が見え、腺毛はあっても少なく、先に腺がある小裂片が出ることが多い。花は枝先に数個集まってつき、やや大きく、直径3~3.5(4.5:実測)㎝。花柄は無毛。花弁5個。雄しべは多数。花柱は合着し、有毛。バラ状果(偽果)は直径6~8㎜の卵球形、赤色に熟す。痩果(種子)は長さ4~5㎜。花期はノイバラより遅く、ミヤコイバラやアズマイバラと同時期に開花する。花期は6~7月。
var. luciae 花が白色、直径2~3㎝
var. rosea 台湾に自生する。花がピンク色、直径約1.5㎝。
ヤエテリハノイバラf. plena
トゲナシテリハノイバラf. ohwii
ウィクラナ・クライマー唐子咲(セミダブル)
22-1 Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. f. glandulifera (Koidz.) H.Ohba リュウキュウテリハノイバラ
synonym Rosa wichuraiana Crep. var. glandulifera (Koidz.) Honda
九州南部、沖縄に分布する。花柄や萼に腺毛が密生する。22-2 Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. f. ohwii (Oishi) Yonek. トゲナシテリハノイバラ
synonym Rosa wichuraiana Crep. f. ohwii Oishi22-3 Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. f. plena (Honda) Yonek. ヤエテリハノイバラ
synonym Rosa wichuraiana Crep. var. plena Honda22-4 Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. var. formosana Cardot タイワンハマイバラ
synonym Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. var. rosea H.L.Li
22-5 Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. x R. onoei Makino var. oligantha (Franch. et Sav.) H.Ohba テリハアズマイバラ
22-6 Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crep. x R. rugosa Thunb. テリハノハマナシ
23 Rosa maximowicziana Regel ツルノイバラ 蔓野茨
synonym Rosa maximowicziana var. coreana (R.Keller) Kitag. オオノイバラ
synonym Rosa maximowicziana Regel var. pilosa (Nakai) Naka
朝鮮、中国(遼寧省、山東省)、ロシア原産。中国名は伞花蔷薇 san hua qiang wei。低木地、開けた斜面、川沿い、道端に生える。低木、小型、長い這う枝がある。小枝は円柱形。刺は散在し、湾曲し、長さ6㎜まで、扁平、広い基部から徐々に先細になる。ときに剛毛や小刺がある。葉は葉柄を含めて長さ4~11㎝。托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は披針形で、縁には不規則な鋸歯があり、腺毛がある。小葉は7~9枚、まれに5枚、上面は濃緑色、卵形、楕円形、または長円形、長さ1.5~3(~6)㎝×幅1~2㎝、下面は無毛、または中脈に沿ってまばらに毛があるか、または短い刺と腺毛があり、上面は無毛 、基部は広楔形またはほぼ円形、縁は鋭い鋸歯があり、先は鋭形または尖鋭形。花は散房花序に数個つき、直径3~3.5㎝。小花柄は長さ1~2.5㎝、腺毛がある。苞は長い卵形、縁には腺毛がある。花托筒は卵形、外面に腺毛がある。萼片は5枚、脱落性、三角状卵形、両面に毛があり、外面に腺毛があり、縁は全縁で、ときに1または2裂し、先は長い尖鋭形。花弁は5枚、白色またはピンク色を帯び、倒卵形、基部は楔形、先は丸みのある鈍形。花柱は柱状に合着し、突き出し、雄しべとほぼ同長で、無毛。偽果は黒褐色、卵形、直径8~10㎜、光沢がある。花期は6~7月。果期は9月。2n=14。
24 Rosa mollis Sm. ロサ・モリス
ヨーロッパ、西アジア原産。英名はSoft downy-rose。標高300~400mの茂み、川岸、道端、生い茂った牧草地に生える。 低木、大きな茂みを形成する。根茎がある。茎は通常、広がってアーチ状になり、直立し、高さ80~150(~200)㎝。上部の枝は直立または広がり、樹皮は露出すると赤みを帯び、若いときや日陰になると白粉で覆われる。托葉の刺(infrastipular prickles)は1対、直立し、長さ5~6㎜×幅3~4㎜、長さは±均一、節間の刺(internodal prickles)は同様かそれより小さく、針状突起が混在する。葉は落葉性、長さ8~11(~14)㎝。托葉は長さ15~20㎜×幅5~10㎜、耳は長さ5~8㎜、縁は無毛または縁毛があり、上面は通常微軟毛~細綿毛があり、ときに無毛、腺は無い。葉柄と葉軸には小刺がなく、毛があり、腺はない。小葉は(5~)7個、腺は潰すと樹脂の香りがする。頂小葉は小葉柄が長さ10~17㎜、葉身は楕円形~卵形、長さ12~35㎜×幅10~18㎜、基部は楔形、ときに円形、縁は単~重鋸歯があり、歯は片側に14~18個、先は鋭形、ときに円形、下面は綿毛があり、樹脂腺があり、ときに腺が無く、上面は薄緑色、鈍く、無毛、またはほとんどに細かい綿毛がある。 花序は円錐花序で、花が1~2(~5)個つく。花は直径4~5㎝。小花柄は直立またはわずかに反り返り、長さ(5~)15~35㎜、わずかに有柄の腺があるかまたは腺がない。苞は(1~)2個、卵状披針形、長さ10~12㎜×幅4~5㎜、縁は不規則な腺のある鋸歯があり、表面は無毛または毛があり、腺は無い。花は直径3~4.5㎝。花托筒は球形、長さ5~7㎜×幅5~7㎜、有柄の腺または剛毛があり、首がない。萼片は広がり、卵状披針形、長さ20~25㎜×幅(4~)5㎜、全縁、先端は長さ8~10㎜×幅0.5~1㎜、外面に密な腺または有柄の腺がある。花弁は濃ピンク色、稀に白色、長さ9~16㎜×幅10~16㎜。心皮は50~65個、花柱は羊毛状毛があり、花盤(hypanthial disc)(直径5㎜)の花柱開口部(stylar orifice) (直径 3.5㎜) を越えて1.5㎜突き出る。偽果は赤色~帯紫色、球形~扁球形、長さ11~16㎜×幅12~15(~20)㎜、無毛、ときに剛毛があり、有柄の腺がある。萼片は宿存し直立する。痩果は60個、濃黄褐色(tan)~黒色、長さ4~5㎜×幅1.5~2㎜。2n=28, 35, 42。花期は6~7月。
25 Rosa morrisonensis Hayata ニイタカイバラ 新高茨
synonym Rosa sericea Lindl. var. morrisonensis (Hayata) Masam.
台湾(玉山)原産。中国名は玉山蔷薇 yu shan qiang wei。標高3200~4200mの高山地域に生える。低木、小さく、高さ1~2m。小枝は無毛、刺は葉の下に1対つき、真っすぐ、長さ1.3㎝、扁平、ときに剛毛が密にある。葉は葉柄を含めて長さ3~5㎝。 托葉は葉柄に付着し、自由部分は長円状披針形、無毛、縁は全縁またはまばらに円鋸歯と腺があり、先は尖鋭形。葉軸と葉柄には短い刺が少数あり、腺毛がある。小葉は7~11(~13)個つき、倒卵形または長円形、長さ6~12㎜×幅5~8㎜、無毛、基部は円形または広楔形、縁は上部に鋭い鋸歯があり、下部は全縁、先は丸い鈍形または切形。花は短い枝の先に単生、腋生で、直径2.5㎝。小花柄は長さ1~1.5cm、無毛またはほぼ無毛。苞は無い。花托筒は梨形または長円形、無毛。萼片は4個、披針形、外面は無毛、ときにまばらに腺があり、内面に密に毛が生え、縁は全縁、先は長い尖鋭形。花弁は4枚、白色、やや長い倒卵形、基部は楔形、先は円形。花柱は離生、突き出し、雄しべよりもはるかに短く、太く、絨毛がある。バラ状果は赤色、梨形または倒卵形、直径6~8(~15)㎜、萼片が宿存し、広がる。小花柄は長さ約1.5㎝、無毛。花期は6~7月。
26 Rosa moschata Mill. モスカータバラ
アフガニスタン、イラン原産。別名はムスクローズ。標高250~900mのブドウ畑の縁、溝などに生える。ハイブリッドムスク系の親となる。地中海地方(ヨーロッパ、アジア)原産ともいわれ、フフェニキアバラとガリカとの自然交雑種から選抜したものがモスカータバラともいわれている。花は白色~ピンク色、ムスクの香がする。果実のつきがよく、ヒップから油が得られる。
低木、高さ3mまで。茎は直立し、太く、無毛で、緑色または赤みがかる。刺は均質で、分散し、湾曲し、後ろ向き、ほぼ三角形で断面が楕円形~長円形、樹齢 2年以上の茎では丈夫。葉は常緑。革質でなく、通常、托葉状の刺(substipular aculeuses)は無い。小葉は5~7(9)個、長さ2.5~5(7)㎝×幅1.5~3㎝、卵状披針形、尖鋭形、若いうちは毛があり、のちに下面の中脈のみに毛があり、縁に20~28対の歯があり、歯は単純で幅が広く、しばしば下部の歯には腺がある。葉柄と葉軸は無毛または微軟毛があり、有柄の腺があり、一部刺状(spinescent)で、小さく広く散在し、中脈に沿って広がる。托葉は長さ14~22㎜×幅3~5㎜、縁に有柄の腺があり、耳の基部に毛があり、これらはわずかに散開する。花は散房花序に(2)3~10個つき、直径約5㎝、ムスクの香がする。苞は1~2個、長さ6~16(20)㎜×幅4~6(9)㎜、落葉性、卵状披針形または披針形、縁には有柄の腺と毛がある。小花柄は長さ2.5~3(4)㎝、有柄の腺があり、先に向かって多くなる。花托は直径2.5~4.5㎜の花盤を備え、通常は円錐形、穴は幅0.5~0.8mm。萼片は長さ14~26 ×幅3.5~4.5 mm、卵状披針形、反り返り、脱落性。内側の萼片は全縁、外面が無毛になる。外側の萼片は縁の裂片が長さ2.5~10㎜、しばしば1回羽状分裂し、外面と縁に有柄の腺があり、ときに小刺が点在する。頂部の付属体は長さ6~12㎜、剛毛状。花冠は直径3~6㎝。花弁は幅18~35mm、浅く(low-cut)、白色。花柱は柱状にはんだ付けされ、長さ(3)6~8.5㎜、通常、無毛、まれに基部に毛があり、果時に宿存する。偽果は直径8~9mm、卵形、無毛、帯赤色。2n=14 (2x)。
27 Rosa moyesii Hemsley & E. H. Wilson ロサ・モエシー
中国(陝西省、四川省、雲南省)原産。中国名は华西蔷薇 hua xi qiang wei。標高2700~3800mの低木林、斜面に生える。鮮やかな赤色でハイブリッド・モエシー Hmoy系、シュラブ S系などの親として交配に使われる。<
低木、高さ1~4m。小枝は円柱形、無毛またはまばらに微軟毛があり、刺はなく、またはある場合は、葉の下で対になり、真っ直ぐまたはわずかに湾曲し、長さ5㎜、頑丈で扁平、広い基部から先が細くなる。葉は葉柄を含めて長さ7~13㎝。 托葉は幅広く、大部分が葉柄に付着し、自由部分は長い卵形、無毛、縁に腺状の鋸歯があり、先は鋭形。葉軸と葉柄は毛、腺毛があり、まばらに小さな刺がある。小葉は7~13個、卵形、楕円形、または長円形、長さ1~5㎝×幅0.8~2.5㎝、下面に密に毛があり、または目立つ脈に沿ってのみ毛があり、上面は無毛、基部はほぼ円形または広楔形、縁は鋭い単鋸歯があり、先は鋭形または丸みのある鈍形。花は単生または2~3 個、束生し、直径 4~6㎝。小花柄は長さ1~3㎝、通常は密に柄のある腺があり、まれに無毛になる。苞は1~2個、長円状卵形、長さ2㎝以下、縁には腺毛があり、先は鋭形または尖鋭形。花托筒は卵形。萼片は5個、卵形、葉状、外面は無毛、または基部に少数の腺のある剛毛があり、内面は毛がり、羽状に裂ける。花弁は5枚、濃赤色、広倒卵形、基部は広楔形、先は凹形。花柱は離生、雄しべより短く、毛がある。果実は紫赤色または橙赤色、球状卵形、長さ5㎝まで、直径 1~2㎝、先に短い首があり、腺毛があり、萼片が宿存し、直立する。花期は6~7月。果期は8~10月。
28 Rosa multiflora Thunb. ノイバラ 野茨
synonym Rosa polyantha Siebold et Zucc.
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は野蔷薇 ye qiang wei。英名はmultiflora rose, baby rose, rambler rose。花は白色5弁花。房咲き性があり、園芸品種の接ぎ木の台木として使われる。 ポリアンサ(Polyantha)系やランブラー系の親として交配に使われる。原野、河原、山に生え、日本の低地で普通に見られる。
落葉低木、高さ1~2m。茎は直立して分枝し、又は他のものに寄りかかって伸び、鉤形の刺が対につく。葉は互生し、葉柄を含めて長さ5~10㎝、小葉が(3)5~9個の奇数羽状複葉、根元の小葉の方が小さい。小葉は葉表に光沢がなく、長さ1~5㎝、幅0.8~2.8㎝の倒卵形~惰円形~卵形、先が鋭頭~鈍頭、基部は円形~楔形、、縁に鋭鋸歯がある。葉面は無毛、葉裏は毛が密生又は散生する。托葉はクシの歯状に切れ込み、普通、腺毛が密生し、腺毛が縁だけのものもある。円錐花序に花が多数つき、花数が少ないと散房花序になる。苞は早落性。花は直径1.5~2㎝の白色(まれに淡紅色を帯びる)の5弁花、花弁の先が凹む。小花柄は長さ1.5~2.5㎝、軟毛があり、ときに腺毛も混じる。雄しべは多数。花柱は合着して柱状になり無毛。花托筒(萼筒)はつぼ形、無毛。萼片は広披針形、内面と縁に綿毛があり、小裂片があることも多く、腺毛があることもある。花托筒が多肉質になりバラ状果と呼ばれる偽果を作る。偽果は直径6~9㎜の類球形、秋に赤く熟し、光沢があり、冬まで残る。痩果は長さ約4㎜、偽果に5~12個入る。2n=14, 21。花期は5~6月。
28-1 Rosa multiflora var. multiflora ノイバラ 狭義
synonym Rosa multiflora var. carnea Thory サクライバラ
synonym Rosa multiflora var. platyphylla Thory サクライバラ
synonym Rosa multiflora Thunb. var. carnea Thory f. platyphylla (Thory) Rehder et E.H.Wilson ゴヤバラ
synonym Rosa multiflora f. inermis (Hisauti) Sugim. トゲナシノイバラ
synonym Rosa multiflora var. quelpaertensis (H.Lév.) Nakai コバノイバラ
synonym Rosa multiflora f. rosipetala (Honda) Yonek ウスアカノイバラ
花が白色で小さい。28-2 Rosa multiflora Thunb. var. adenochaeta (Koidz.) Ohwi ツクシイバラ 筑紫茨
synonym Rosa multiflora Thunb. var. carnea Thory f. cathayensis (Rehder et E.H.Wilson) Kitam., excl. basion.
日本(四国、九州)、朝鮮、中国に分布する。基本種より全体にやや大きい。小葉は5~7個、、濃緑色で粗い鋸歯があり、光沢があり、下面の毛は少なく、葉軸は無毛で腺毛がある。花は直径3~5㎝と大きく、淡紅色または白色。花序や花柄、萼に赤色の長い腺毛が密生する、特に花序に多い。偽果は長さ8~10㎜、直径5~8㎜。花期は5~6月。
28-3 Rosa multiflora var. cathayensis Rehder & E.H.Wilson
synonym Rosa cathayensis (Rehder & E.H.Wilson) L.H.Bailey
synonym Rosa gentiliana H.Lév. & Vaniotsynonym Rosa multiflora Bunge
中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、河南省、江西省、陝西省、山東省、浙江省)、ブータン原産。中国名は粉团蔷薇 fen tuan qiang wei。標高300~2000mの茂み、低木、斜面、川沿いに生える。
花は直径4㎝まで、ピンク色。2n=14, 28。
29 Rosa nipponensis Crép タカネバラ 高嶺薔薇
synonym Rosa acicularis Lindl. var. nipponensis (Crep.) Koehne
日本固有種。本州(尾瀬から中部地方の高山、富士山)、四国(剣山、東赤石山)に分布する。針葉樹林帯、ハイマツ帯の日当たりのよい場所に生える。1864年に富士山で最初に発見された。現在も富士山の5合目付近で夏に花が見られる。高さ1~2m。枝はよく分枝する。小枝は細く紅紫色を帯び、白色を帯びた細い針状刺が密にあり。のちに脱落する。托葉は中間まで葉柄に合着し、幅が広く、膜質、耳の先は鋭形、縁に腺のある鋸歯がある。葉は奇数羽状複葉。葉柄や葉軸に細い刺と腺毛がまばらにある。小葉は7~9個、長さ2~3㎝×幅1~1.7㎝、長円形~楕円形、短い小葉柄があり、縁に刺状鋸歯があり、質は薄く、上面は緑色、下面は緑白色、主脈上に伏した軟毛があり、細い刺と腺毛がまばらにある。小枝の先に1~2個の花をつける。小花柄は細く、長さ3~5㎝、密~疎にやや長い腺毛がある。花は直径は3.5~4㎝。萼は暗紅紫色、萼筒は狭紡錘形、長さ6~7㎜、萼片は狭披針形、長さ2~3㎝、花時に平開し、内面と外面の縁に白色の綿毛が密にある。花弁は5個、紅紫色、広倒卵、長さ約2㎝、ほぼ水平に開出し、基部はくさび形。雄しべは多数、長さ6~7㎜、葯は黄色。花柱は白色の毛が密にあり、花柱開口部を塞ぐ。偽果は倒卵状狭紡錘形、長さ1.5~2㎝、黄赤色に熟し、先に萼片が宿存する。花期は6~7月。果期は8~9月。
品種) 茜富士Rosa nipponensis 'Akanefuji'はタカネバラの園芸品種。花は直径約3㎝、深紅色。
30 Rosa nipponensis Crép. タカネバラ 高嶺薔薇
synonym Rosa acicularis var. nipponensis (Crép.) Koehne
synonym Rosa suavis var. nipponensis (Crép.) Sugim.
日本固有種。本州(中部以北)、四国(剣山、東赤石山)に分布する。別名はタカネイバラ。日当たりのよい場所に生える。
低木。高さ1~2m。枝はよく分枝する。小枝は細く、赤紫色を帯び、帯白色の細い針状突起があり、のちに脱落する。葉は奇数羽状複葉。小葉は3~4対、長1~3㎝、長楕円形~惰円形、先は鈍形。短い小葉柄がある。葉軸は刺や腺毛が多い。托葉は膜質、中間まで葉柄に合着し、上部は耳状に広がり、先は鈍く、縁に腺毛がある。小花柄は腺毛がある。花は花弁5個、直径4~5㎝、紅紫色~淡紅色。花托筒(萼筒)は紡錘形、無毛。萼片は内面と縁に綿毛が密生する。雄しべは多数、長さ6~7㎜、花糸に白毛が密生する。花柱は白毛が密生し、花の喉部(花柱開口部)をふさぐ。偽果は洋梨形、長さ1.5~2㎝、黄赤色に熟す。2n=14。花期は6~7月。果期は8~9月。
品種) 'Alba' 白タカネバラ , 'Akanefuji'
31 Rosa nitida Willd. ロサ・ニティダ
北アメリカ原産。英名はred-spined rose , shining rose。標高0~400mのトウヒ林の湿った縁、沼地、湿地、岩棚、湿った茂み、池や小川の縁、海岸、岩や草が茂った丘や断崖に生える。耐寒性があり、-40℃の極寒地にも耐える。
低木または亜低木、群生する。茎は広がり、平伏または直立する、高さ20~80(~100)㎝、明瞭に分枝する。樹皮は暗褐色、無毛。托葉の刺(infrastipular prickles)がときにあり、対になり、直立または下り、まれに湾曲し、錐形、長さ6㎜×幅6㎜、基部は無毛、節間の刺(internodal prickles)は通常密で、針状突起が混じり、直立または下り、錐形、円柱形、長さ2~7㎜×幅2㎜、腺は無い。葉は長さ3~10㎝。托葉は長さ10~14㎜×幅4~5.5㎜、耳はフレア状、長さ4~5㎜、縁は全縁または腺のある鋸歯があり、腺は無くまたは先端に腺があり、上面は無毛、腺は無い。 葉柄と葉軸には小刺があり、無毛、まれに微軟毛があり、腺は無い。小葉は(5~)7~9個。頂小葉は小葉柄が長さ3~5(~9)㎜、葉身が狭楕円形または披針形、まれに卵形、長さ13~27(~40)㎜×幅7~17㎜、膜質、縁は単鋸歯、腺は無く、まれに先端に腺があり、片側に12~17個の歯があり、ときに先端に腺があり、先は鋭形~ほぼ尖鋭形、下面は緑色、無毛または毛があり、腺は無く、上面は濃緑色、秋には赤紫色になり、光沢があり、無毛。花序は散房花序、花が1~3個つく。小花柄は直立または反り返り(果実が成熟するにつれて)、細く、長さ13~25㎜、無毛、密に長い有柄の腺がある。苞は1または2個、披針形、長さ9~18㎜×幅3.5~7㎜、縁は全縁、まれに鋸歯があり、少数の先端に腺があり、先は裂け目が深さ2~3.5㎜、表面は無毛、腺は無い。花は直径4~5㎝。花托筒は球形またはほぼ球形、長さ3~4㎜×幅3~5㎜、無毛、密に有柄の腺があり、首がない。萼片は反り返り、披針形、長さ14~22㎜×幅2~3㎜、先端は長さ5~10㎜×幅0.5~1㎜、縁は全縁、外面は無毛、密に有柄の腺がある。花弁は一重、ピンク色~バラ色、長さ19~23㎜×幅20~23㎜。心皮は20~24個、花柱は花盤(hypanthial disc)(直径4㎜)の花柱開口部(stylar orifice) (直径 1.5~2㎜) から 外側に0.5~1㎜突き出す。偽果(hip)は赤色~暗赤色、球形からくぼんだ球形、長さ8~10㎜×幅7~10㎜、肉質、無毛、密な有柄の腺があり、首は無い。萼片は脱落性、直立または反り返って広がる。痩果は基底、10~14個、黄褐色、古くなるとともに暗色になり、長さ2.6~2.8㎜×幅 1.6~1.8㎜。 2n=14。花期は7~8月。
32 Rosa omeiensis Rolfe ロサ・オメイエンシス
synonym Rosa sericea subsp. omeiensis (Rolfe) A.V.Roberts
synonym Rosa sericea var. omeiensis (Rolfe) G.D.Rowley
synonym Rosa sericea f. pteracantha Franchetsynonym Rosa sericea var. pteracantha (Franch.) Bean
synonym Rosa omeiensis f. pteracantha (Franch.) Rehder & E.H.Wilson
synonym Rosa omeiensis f. glandulosa T.T.Yu & T.C.Kusynonym Rosa omeiensis var. paucijuga T.T.Yu & T.C.Ku
中国(甘粛省、貴州省、湖北省、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省、内モンゴル)、ブータン原産。中国名は峨眉蔷薇 e mei qiang wei。標高700~4000mのモミの森、茂み、低木地、牧草地、丘の斜面、斜面に生える。
低木、直立し、高さ1~4m。小枝は細い。刺は無または有、有る場合は葉の下で対になり、円柱形、真っ直ぐ、長さ7mmまで、基部が急に広がりまたは翼状の刺があり、長さ1.5㎝、直径3㎝以下。剛毛は無いかまたは密にある。葉は葉柄を含めて長さ3~6㎝。托葉はほとんど葉柄に付着し、自由部分は三角状卵形、縁は鋸歯があるかまたは全縁で、ときに腺がある。葉軸と葉柄には少数の小さな刺がある。小葉は(5~)9~13(~17)枚、長円形または楕円状長円形、長さ8~30㎜×幅4~10㎜、下面は無毛または毛があり、腺は有または無、上面は無毛、中脈が凹み、基部は丸みのある鈍形または広楔形、縁は鋭い鋸歯があり、先は鋭形または丸みのある鈍形。花は単生し、腋生、直径2.5~3.5cm。小花柄は長さ6~20㎜、無毛。苞は無い。花托筒は倒卵形または梨形、無毛。萼片は4個、披針形、外面は無毛、内面にまばらに毛が生え、縁は全縁、先は尖鋭形または長い尾状。花弁は4枚、白色、倒三角状卵形、基部は広楔形、先は凹形。花柱は離生、雄しべより短く、絨毛がある。偽果は明るい赤色~濃赤色または黄色、倒卵形または梨形、直径8~15㎜、無毛または腺毛があり、宿存する直立した萼片を持つ。小花柄は黄色、偽果に向かって先細り、長さ6~20㎜、丈夫、肉質、無毛。花期は5~6月。果期は7~9月。
4亜種が示されているが、POWOでは下位分類を認めていない。
(1) f. omeiensis
小葉の下面に毛があるかほぼ無毛で腺がない。
(2) f. glandulosa T. T. Yü & T. C. Ku
小葉の下面に密に腺がある。
(3) f. pteracantha Rehder & E. H. Wilson
枝に紫色の幅広で平らな翼のような刺がある。
(4) f. paucijuga T. T. Yü & T. C. Ku
小葉が5~9枚しかなく無毛。果実の小花柄がわずかに膨らむ、中間型。
33 Rosa nutkana C. Presl ロサ・ヌトカーナ
北アメリカ西部原産。英名はNootka rose, Nutka rose , bristly rose, wild rose。落葉低木、高さ0.5~2m。刺は茎に対につき、真っすぐ、曲がることもある。葉軸には毛や腺毛がある。小葉は2~3対、わずかに毛があり、頂小葉は長さ15~50(60)㎜、広楕円形~卵形、中間以下で幅が最も広く、葉先は鈍形。花は1~6個ずつつき、直径5~8㎝、芳香が強い。花柄は長さ1~2㎝、無毛、腺毛、有毛など変化がある。花托筒は普通、幅5~7㎜、無毛又は腺毛があり、首部は幅3~6㎜。萼片は非常に長く、花弁より長く、中間で細くなり、腺毛がある。花弁は長さ15~25㎜、ピンク色。雌しべは普通30~60個。偽果は幅(10)13~20㎜、球形、萼片が残り直立する。食べられるが苦い。痩果は普通、長さ4.5~6㎜。n=21。花期は5~6月。
34 Rosa onoei Makino ヤブイバラ 藪茨 [広義]
synonym Rosa hakonensis var. onoei (Makino) Koidz.
synonym Rosa lucieae var. onoei (Makino) Momiy. ex Ohwi
日本固有種(本州の関東地方以西、四国、九州)。別名はニオイイバラ、イヌニオイイバラ、ヤクシマイバラ。落葉低木で、茎は斜上する。枝には鉤形の刺または真っすぐな刺がある。托葉は縁に腺のある鋸歯がある。小葉は5~7個、小葉は小さく、質が薄くまたは厚く、上面は黄緑色、下面は中脈上と葉軸に通常、伏毛があり、ときに無く、白色を帯びる。頂小葉は側小葉より大きく、卵状披針形~披針形、長さ1.5~3㎝、先は漸尖し尾状に尖り、縁には鋭鋸歯がある。花序には1~10数個の花がつく。花序軸に伏毛がある。小花柄は長さ5~10㎜で、横に開き、伏毛または腺毛がある。萼にはふつう伏毛があり、萼筒は卵状紡錘形、萼裂片は卵状披針形。花は直径約1.5~3cm、白色、芳香がある。花弁は5個、倒卵形、先は凹形。花柱は柱状で綿毛がある。花期は5~7月。
34-1 Rosa onoei Makino var. onoei ヤブイバラ 藪茨
synonym Rosa luciae Franch. et Rochebr. ex Crep. var. onoei (Makino) Momiy. ex Ohwi
synonym Rosa luciae Franch. et Rochebr. ex Crep. subsp. onoei (Makino) Kitam.
synonym Rosa micro-onoei Nakaisynonym Rosa yakualpina Nakai et Momiy.
synonym Rosa onoei Makino var. mikawana Momiy. ex S.Akiyama, Omori et H.Ohba ミカワイバラ 三河茨
本州(近畿地方以西)、四国、九州に分布する。刺は鉤状。頂小葉は側小葉より大きく、卵状被針形~披針形、先は尾状に長く尖る。葉裏の脈上に伏毛がある。托葉の腺毛が目立つ。花は数個集まってつき、直径約1.5㎝。花序軸と花柄には腺毛と伏毛がある。萼片の外面にも伏毛があるミカワイバラはヤブイバラ Rosa onoei var onoei の異型(heterotypic)とされ、ヤブイバラに含められる。
34-2 Rosa onoei Makino var. hakonensis (Franch. et Sav.) H.Ohba モリイバラ 森茨
synonym Rosa hakonensis (Franch. et Sav.) Koidz.synonym Rosa luciae Franch. et Rochebr. ex Crep. subsp. hakonensis (Franch. et Sav.) Kitam.
synonym Rosa jasminoides Koidz.synonym Rosa luciae Franch. et Rochebr. ex Crep. var. hakonensis Franch. et Sav.
本州(関東地方以西)、四国、九州に分布する。生育地が標高のより高い所にある。枝に長さ3~7㎜の真っすぐな刺がある。葉は質が薄く、頂小葉がやや側小葉より大きく、楕円形~広卵形、両面、葉軸とも無毛、葉裏が明瞭に白色を帯びる。花は直径約2.5㎝、普通、1個ずつつき、小花柄が長く、腺毛が密生する。
34-3 Rosa onoei Makino var. oligantha (Franch. et Sav.) H.Ohba アズマイバラ 東茨
synonym Rosa luciae auct. non Rochebr. et Franch. ex Crep.
synonym Rosa oligantha (Franch. et Sav.) Koidz.synonym Rosa lucieae var. yokoscensis Franch. & Sav.
本州(関東地方~豊川市)に分布。
主幹が太くなく、茎が直立又は斜上し、ものに寄りかかって伸びる。刺は鉤形。葉は互生し、長さ5~8㎝の奇数羽状複葉、小葉は2~3対つき、頂小葉が側小葉より大きく、葉軸はほぼ無毛、腺毛が散生することもあり、小刺がある。小葉は先が鋭尖頭、長さ2~4㎝、卵状惰円形、側小葉は小さい。葉質がテリハノイバラ程ではないがやや厚く、両面とも無毛、葉表にやや光沢があり、葉裏は淡緑色~やや白色を帯び、葉縁に鋭い鋸歯がある。托葉は葉柄に合着し、幅が狭く、上部の裂片は披針形、縁に腺毛がある。枝先の花序に2~10数個の花をつけ、花数が多いと円錐花序になる。花柄には腺毛はなく、あってもごくわずか。花は直径2~3㎝。花弁は5個、倒卵形~広倒卵形、凹頭、白色。雌しべの花柱は合着し、毛が密生する。萼片は内面と縁に毛が密生し、腺のある小裂片がある。偽果は直径7~8㎜、球形、赤色に熟す。花期は6~7月。
34-4-1 Rosa onoei Makino var. oligantha (Franch. et Sav.) H.Ohba f. rosea Yonek. アケボノオオフジイバラ
synonym Rosa luciae Franch. et Rochebr. ex Crep. var. luciae f. rosea Hayashi
35 Rosa paniculigera (Koidz.) Makino ex Momiy. ミヤコイバラ 都茨
synonym Rosa luciae Franch. et Rochebr. ex Crep. var. paniculigera (Koidz.) Momiy. ex Ohwi
本州(新潟、長野県以西)、四国、九州に分布する。幹は直立し、他のものに寄りかかって伸び、刺は鉤形、枝は長くなると垂れ下がり、枝には大きな鉤形の刺の他に小さな刺があり、普通、腺毛が多い(花柄に腺毛が多いが、枝に小刺が見られないものも多い)。葉は互生し、長さ5~12㎝の奇数羽状複葉、小葉が2~4対つき、頂小葉は側小葉とほぼ同大~枝先の葉ではやや大きいものがある。葉の質はやや厚いものもあり、薄いものもある。小葉は長さ2~3㎝の倒卵状楕円形~長楕円形、両面とも無毛、頂小葉の先は尖り、まれに長く尖るものもある。側小葉の先は鈍形~円形。葉軸には小さな刺と腺毛がある。葉表はやや光沢があり、葉の裏面は白色を帯び、白色をほとんど帯びないものも見られる(交雑の可能性もある)。葉軸には小さな刺と腺毛がある。托葉は葉柄に合着し、合着部分の幅が普通、狭く(やや幅広のものもよく見られる)、上部の裂片は披針形、縁に腺毛があり、腺毛の量は多いものや少ないものがある。枝先の円錐花序に花が多数つき、花が少ないときは散房状。花序軸や花柄には普通、腺毛があり、ときに無いものもある。花は直径2~3㎝。雄しべは多数。花柱は合着し、有毛。萼片は5個、内面と縁に綿毛があり、縁に腺毛があり、腺毛の多いものは外面にも腺毛がある。小裂片があることもある。萼縁の腺毛は蕾が開き始めないと見えないことも多い。偽果は直径6~7㎜、赤色に熟す。花期は6~7月。
35-1 Rosa paniculigera (Koidz.) Makino ex Momiy. f. rosiflora Horino ウスアカミヤコイバラ
36 Rosa pendulina L. ロサ・ペンドゥリナ
synonym Rosa alpina L.
ヨーロッパの中部~南部に分布。英名は Alpine rose , mountain rose。標高(850)1500~2500(2800)mの山地や亜高山の開けた場所、藪、岩の裂け目、低木林や斜面に生える。
低木、高さ0.2~1.5(2)m、匍匐茎状の根茎を持つ。茎は直立または斜上し、様々に分枝し、通常、赤みがかり、光沢がある。果実の多いものは通常、偽果が成熟すると葉を落とす。刺は無く、または茎の下部と中部に真っ直ぐな刺(aculeuses)が1cmあたり最大2~5個あり、ときに2個の双生の托葉状の刺(substipular aculeuses)がある。小葉は(5)7~9枚つき、長さ(12)15~36(46)㎜×幅(7)12~24 mm、卵状円形~卵状披針形、先は鈍形または鋭形、基部はわずかに楔形、上面と下面は一次脈と二次脈を除いて無毛、それらは無毛または毛があり、しばしば、腺があり、縁は深い重鋸歯があり、まれに単純で腺毛がある。葉柄は無毛で、葉軸に有柄の腺と剛毛状の刺がある。托葉は長さ8~25㎜×幅(3)5~10(12)㎜、様々な形であり、下部の葉に腺があり、下面と縁に非常に腺があり、幅広の楕円形の耳がある。中部の葉の下面には散在する腺と、狭く、披針形で散開する耳がある。上部の葉は腺が通常縁にのみあり、狭い三角形の耳がある。花は芳香があり、1(2)個、葉腋につき、しばしば托葉に退化し、例外的に長さ9~17㎜×幅3~6㎜の苞があり、卵状披針形で小歯がある。小花柄は長さ(0.7)1.3~2.5㎝、真っすぐまたは湾曲し、花後はさらにアーチ状になり、平滑または腺剛毛がある。花托は直径3.5~5㎜の花盤がつき、平ら、穴は1.5~2.5㎜。萼片は長さ(15)17~23(30)㎜×幅2.8~3.5(4)㎜、披針形、全縁、平滑または背面と縁に腺があり、宿存し、花時に直立開出し、その後反り返り、偽果が成熟すると、直立する。頂部の付属体は長さ4.5~6.5(10)㎜×幅0.6~1.5(2.3)㎜、卵状披針形、小歯状または全縁、例外的に1~2個の側裂片があり、小さくて狭い。花冠は直径3~4.5㎝。花弁は長さ1.5~2.5㎝×幅0.8~2㎝、わずかに切れ込むものから全縁、ピンク色~紫色、爪部は淡色または帯黄色。花柱は離生、非常に毛深く、花盤全体を覆う高さ1 ~ 2.5㎜の半球状の柱頭錐体(stigmatic cone)を形成する。偽果は長さ12~19㎜×幅7~10㎜、倒梨形(obpyriform)~フラスコ形(lageniform)、垂れ下がり、平滑または腺剛毛があり、帯赤色。2n=28, 42; n=14。
37 Rosa persica Michaut ex Juss. ロサ・ペルシカ
synonym Rosa persica J.F.Gmel.
synonym Hulthemia persica (Michaut ex Juss.) Bornm.
synonym Hulthemia berberifolia (Pall.) Dumort.
中国(新疆ウイグル自治区)、アフガニスタン、イラン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン原産。英名はPersica Roses。乾燥した砂漠などに生える。
Rosa persica は、かつては別のハルテミア属に分類されフルテミア・ペルシカ(Hulthemia persica)とされた。葉が托葉のない単葉(ほとんどのバラは羽状複葉)であり、花の中央部に暗色の目があり、ヒップにも長い針状の刺があるのが特徴である。Hulthemia berberifoliaもよく似ており、以前は別種として分類されていたが、現在ではRosa persica Michaut ex Juss. に含められている。
低木、高さ15~35(50)㎝、全体が無毛(H. berberifolia タイプ)または葉や若い枝にビロード状の毛がある(H. persicaタイプ)。茎は曲がりくねって分枝する。若いシュートは棒状、ほぼ単純または分枝する。刺は単生、または2~3本が集団になり、葉の基部に常に対にほぼ対生し、堅く、広がり、わずかに鈎状(hamately)に曲がり、帯白色。葉は単葉、革質、無毛、卵形または楕円形で基部がしばしば心形( H. berberifolia タイプ)になり、まれに倒卵形または楔形(H. persicaタイプ)で、非常に短い葉柄または無柄で、先が鈍形、下部が全縁、通常は深い欠刻状の歯があり、少数の離れた歯がある。托葉は無い。花は単生し、頂生の花の直径は2.5~3.5㎝。花托筒は球形または扁球形、上部がくびれ、剛毛がある。萼片は全縁、長円状披針形、鋭形、凸面状、両面に細かい毛があり、しばしば外側にはまばらに剛毛があり、果時に宿存し、真っ直ぐに広がる。花弁は二分岐し、黄金色(黄色)、基部に暗紫色~暗赤色の斑点[花の中央にブロッチ(blotch)と呼ばれる暗色部分の目]があり、広倒卵形、頂部にかすかにノッチがある。雄しべは黒紫色。果実は長さ約10㎜、直径12㎜、多少、密に直立した針状の刺(acicular prickles)があり、紫色で、熟すと乾燥して褐色になる。種子は長円形、長さ約5㎜、暗褐色、光沢がある。花期は4~6月。
品種) 'Bright as a Button' , 'Eye of the Tiger' , 'For Your Eyes Only' , 'Roses with eyes'
38 Rosa phoenicia Boiss フェニキアバラ
東エーゲ海諸島、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、トルコ原産。英名はPhoenician rose。標高30~1100mの湿った場所の林内や林縁に生える。フェニキアバラとガリカとの自然交雑種から選抜したものがモスカータバラともいわれる。
低木、高さ3~5m、つる性の枝がある。刺はかなり丈夫で、長さ3~6㎜、鉤状、幅広の基部を持ち、±均一。葉は落葉性、紙質。小葉は(3~)5個、楕円形~広楕円形、長さ2~4.5㎝x幅1.5~2.7㎝、先は鈍形~ほぼ鋭形、基部は円形、縁は単鋸歯または重鋸歯、通常両側に10~17個の歯があり、離れ、幅広、まばらに毛があり 上面はくすんだ緑色、密に毛があり(たまに無毛になり)、下面は淡灰緑色、葉軸には毛があり、刺がある。托葉は短い尖鋭形の耳をもち、腺のある小鋸歯がある。花は密な散房花序につき、通常は10~20個集まり、苞があり、苞は通常明らかに小鋸歯があり、毛がある。花は直径2~5㎝。小花柄は長さ1~3.5㎝、まばらに毛があり、腺剛毛がある。外側の萼片は羽状中裂し、長さ1.3~2㎝、先端が広がり、裂片は広く、基部は短く狭く漸尖し、通常は毛があり、背面に腺があり、花後に反り返り、すぐに脱落する。花弁は長さ1.4~2.1㎝×幅1.2~1.5㎝、白色、基部がほのかにピンク色であることが多い。花柱は合着し、長さ0.6㎝以下の無毛になる柱になる。花盤は±平坦、幅広で、狭い開口をもつ。バラ状果は長さ1~1.2㎝、卵形、通常は平滑で、赤色。花期は5~6月。
39 Rosa pricei Hayata タツタカイバラ
台湾原産。中国名は太鲁阁蔷薇 tai lu ge qiang wei。標高1500~2000mに生える。
低木、直立する。小枝は若いときは黄褐色、無毛。刺は点在し、長さ3㎜まで、湾曲し、徐々に先細りになって基部は幅が広く、ときに剛毛があり、腺がある。葉は葉柄を含めて長さ5~8cm。 托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は三角形、両面とも無毛、縁には腺毛があり、先は尖鋭形。葉軸と葉柄は無毛で、まばらに短い刺がある。小葉は5~7枚、卵形~楕円形、長さ1~2㎝×幅0.6~0.8㎝、わずかに革質、両面無毛、基部は丸く、縁は単純な鋸歯状で、特に上部 1/2 は先端が尖っています。 花は集散花序に数個、直径1.5~2cm。小花柄は長さ0.8~1.5㎝、毛と腺毛がある。苞は長さ約5㎜。花托筒は卵状球形、長さ約2.5㎜、しばしば腺剛毛がある。萼片は5枚、反り返り、花弁とほぼ同長、披針形、外面は無毛、ときに腺剛毛があり、内面に微軟毛があり、縁は全縁、先は漸尖する。花弁は5枚、白色、倒卵形、基部は広楔形、先は凹形。花柱は柱状に合着し、雄しべよりわずかに長く、絨毛がある。偽果は不明。
40 Rosa roxburghii Tratt. イザヨイバラ 十六夜薔薇
中国原産。中国名は缫丝花 sao si hua。英名はchestnut rose , chinquapin rose。花が八重で、花弁が密集し、一部欠けるため、これを十六夜の月にたとえたのが名の由来。貝原益軒の『花譜』(1694, 中巻)にはヲランダイバラ(繅絲花)、宝永6年(1709年)刊の『大和本草』(大和本草巻之十二 木之下)ラザイバラ(いざよいばら)、元禄8(1695年)の花壇地錦抄には12種のバラが掲載され、山桝荊(サンショウイバラ)や「らうざ」などその中にある。花譜の繅絲花(をらんだいばら)は中国名の缫丝花と一致し、イザヨイバラであろうとされている。これらからザヨイバラは江戸時代頃に渡来したと推定されている。Flora of China やGRINでは日本も原産地としている。
落葉低木。高さ1~2.5m。樹皮は灰褐色、小枝は斜上~広がり、紫褐色、円柱形、縁に対の小刺があり、小刺はほぼ真っすぐ、やや平たく、急に狭くなり、基部が広い。葉は葉柄を含めて長さ5~11㎝。托葉はほとんど葉柄につき、分離した部分は錐形、、縁に腺のある毛をもち、葉軸や葉柄は小さな刺が散在する。小葉は9~15個、楕円形又は長楕円形、まれに倒卵形、長さ1~2㎝×幅0.6~1.2㎝、無毛、下面は脈が目立ち、網脈も明瞭、基部は広楔形、縁は鋭い、単鋸歯、先は鋭形又は円状鈍形。花は単生、又は枝先に2~3個、束生し、直径4~6㎝。花柄は短い。苞は2又は3個つき、小さく、縁には腺毛がある。花托筒は扁球形、剛毛が密生する。萼片は5個、普通、広卵形、外面は密に刺があり、内側は綿毛があり、羽状に分裂し、先は尖鋭形。花弁は5個、芳香があり、ピンク色~ローズ紫色~帯赤色、倒卵形。心皮は花托筒の基部の広がった円環面の上にある。花柱は離生、突き出ず、雄しべより短く、有毛。ヒップは緑赤色、扁球形、直径1.5~2㎝、刺が密にあり、直立した萼片が宿存する。食べられ、栄養価が高い。花期は3~7月。果期は8~10月。
40-1 Rosa roxburghii f. roxburghii イザヨイバラ
中国原産。中国名は 缫丝花 sao si hua。花が八重~半八重、直径5~6㎝、花の一部が欠ける。
40-2 Rosa roxburghii f. normaris ヒメサンショウバラ
英名はSingle Chestnut Rose。花がピンク色、一重、直径4~6㎝。中国から古い時代に渡来したとされ、イザヨイバラの原型とされている。
41 Rosa rubiginosa L. ロサ・ルビギノーサ
synonym Rosa eglanteria L. ロサ・エグランテリア
ヨーロッパ~コーカサス・ヒマラヤ原産。別名はスイートブライヤー
低木、高さ(2)3mまで。茎は直立または斜上し、丈夫、地面から遠く離れたところに花のつく枝をもち、枝は帯赤色または帯緑色、短い。花茎の刺(aculeous)は長さ5~8㎜×幅(3.5)8~10㎜、真っ直ぐまたは曲がり、古い刺は湾曲したものから鉤状まで、基部が沿下し扁平、ときに長さ1~3㎜x幅0.2㎜の針状突起が混在し、花茎の端に頻繁に見られる。葉はリンゴの香りがあり、托葉状の刺(substipular acules)が0~1(2)個ある。小葉は5(7)個、長さ(14)16~28(32)㎜×幅11~18(22)㎜ (しばしば、長さ/幅の比は2未満)、楕円形~円形、先は鈍形またはわずかに鋭形、基部は円形、上面は無毛または無毛になり、下面は毛があり、抜け毛と豊富な腺があり、よく目立ち、褐色で、重鋸歯があり、歯に腺があり、小葉の中央の歯は幅広で浅い歯があり、下部側は上部の1~2倍長い。葉柄は微軟毛があり、有柄の腺があり、発達した刺はしばしば葉軸と中脈まで広がる。托葉は長さ11~17㎜×幅5~9㎜、耳の付着領域より少し幅が広く、無毛またはほとんど毛がなく、下面に腺は有または無、縁には大きな腺があり、耳は卵状披針形、鋭形、やや散開する。花は多数の花の花序につき、まれに単生する。苞は長さ(6)8~13(18)㎜×幅5~7(10)㎜、卵状披針形、通常脱落する。小花柄は長さ7~13(18)㎜、有柄の腺と針状突起があり、まれに平滑。花托は直径3.2~5㎜の円盤がつき、平ら、穴は直径0.7~1.2㎜。萼片は長さ9~15(17)㎜×幅3~5㎜、披針形、背面と縁に有柄の腺があり、花後は反り返り、成熟すると開出または直立し、果実が赤くなるまで宿存する。外側の萼片は4~7(~9)個の短い側裂片があり、幅0.6~0.9㎜、羽状中裂し、ときに腺毛をもつ。頂部の付属体は長さ3~5(6)㎜×幅0.5~0.7㎜。花冠は直径2~3.5㎝。花弁は5個、長さ10~14㎜×幅10~13㎜、通常、萼片より短く、浅く、濃いピンク色、基部はクリーム色。花柱は離生、通常は羊毛状の剛毛があり、花盤の開口部を閉じる長さ2~3㎜の密で円錐形の柱頭の錐体(stigmatic cone)を形成する。偽果は長さ10~16㎜×幅8~13㎜、つぼ形またはほぼ球形、萼片の下で鋭く狭くなり、暗赤色、平滑または腺剛毛がある。2n=35(5x)。
42 Rosa rugosa Thunb. ハマナス 浜茄子、浜梨
synonym Rosa maikwai H.Hara マイカイ 攻魂
synonym Rosa rugosa Thunb. f. plena (Regel) Byhouwer 八重咲ハマナス
synonym Rosa rugosa Thunb. var. plena Regel北海道、本州(日本海側は鳥取県以北、太平洋側は茨城県以北)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は玫瑰 mei gui。英名はrugosa rose ,Japanese rose。別名ハマナシ。よく栽培されている。
落葉低木、高さ1~1.5m。茎には鋭い刺が密にある。全体に短毛が多い。葉は互生し、長さ9~11㎝の奇数羽状複葉。小葉は3~4対つき、長さ3~5㎝の楕円形~卵状長楕円形。葉の先はあまり尖らず、葉の基部は広い楔形。托葉は膜質で大きい。枝先に直径6~10㎝の紅色の花をつける。花弁は5個。果実は直径2~2.5㎝の扁球形で秋に赤く熟す。2n=14。
42-1 Rosa rugosa Thunb. f. alba (Ware) Rehder シロバナハマナス 白花浜梨
ハマナスの白花品種白花八重咲ハマナスRosa rugosa albo-plena
品種) 'Maikai'マイカイ(玫瑰):ハマナスよりも濃い赤紫色の八重咲き品種。花には芳香がある。ハマナスに比べ刺が少く、特に花枝では葉柄基部にl対の刺があるだけのことが多い。小葉はやや小形で長く、先が鋭形、色も淡く光沢がなく、質が薄く、しわが少ない。
43 Rosa sambucina Koidz. ヤマイバラ 山茨
synonym Rosa sambucina Koidz. var. pubescens Koidz.
日本(本州の愛知県以西、四国、九州)、台湾原産。中国名は山蔷薇 shan qiang wei 。別名はタカサゴヤマイバラ,タイワンヤマイバラ。日本原産のものをvar. sambucina とし、台湾原産を var. pubescensと変種に分けることもある。山の乾燥した場所に生える。落葉低木、高さ1~2m。半蔓性で下向きの鉤形の強い刺がある。葉は互生し、小葉が2~3対の大きな奇数羽状複葉。小葉は長さ5~10㎝の長楕円形~惰円形、先が鋭く尖り、縁に鋭鋸歯がある。葉の表面は無毛で、光沢があり、裏面はやや白色を帯びる。托葉は幅が狭く、縁に腺毛がある。花は直径4~5㎝の白色の五弁花。花柄は長さ3~5㎝、短い腺毛や軟毛がある。萼にも腺毛と綿毛がある。偽果は直径8~10㎜の扁球形、秋に赤く熟す。花期は5~6月。
44 Rosa sericea Lindley ロサ・セリケア
synonym Rosa tetrapetala Royle
synonym Rosa wallichii Trattinnick
synonym Rosa sericea f. glabrescens Franch.
synonym Rosa sericea f. glandulosa T.T.Yu & T.C.Ku
中国(貴州省、四川省、西蔵省、雲南省)、インド、シッキム、ブータン、ミャンマー原産。中国名は绢毛蔷薇 juan mao qiang wei。標高は2000~4400mのまばらな森林、森林縁、低木、谷の斜面、乾いた谷、崖、山頂、砂利、乾燥した日当たりの良い場所に生える。
低木は直立し、高さ1~2mになる。小枝は丈夫。刺は存在しないか、葉の下に対になり散在し、円柱形、長さ1.2cmまで、細いものから頑丈で、急に基部が広くなり、または翼のような刺があり、長さ1.2㎝で直径3.5㎝まで。ときに剛毛が密になる。葉は葉柄を含めて長さ3.5~8cm。托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は耳状、有毛または無毛、縁には腺がある。葉軸と葉柄には毛があり、ときにまばらに刺と腺毛がある。小葉は(5~)7~11(~13)個、卵形または倒卵形、稀に倒卵状長円形、長さ8~20㎜×幅5~8㎜、下面に絹毛状絨毛がありまたはほぼ無毛~無毛、腺は有または無、上面は無毛、しわがあり、基部は広楔形、縁は上部に鋸歯があり、下部は全縁、先は丸みのある鈍形または鋭形。花は腋生に単生し、直径2.5~5cm。 小花柄は長さ1~2cm、無毛。 苞は無い。花托筒は倒卵形または球形、無毛。萼片は4個、卵状披針形、外面にまばらに毛があるかまたは無毛、上面に絨毛があり、縁は全縁、先は尖鋭形または鋭形。花弁は4枚、白色、広倒卵形、基部は広楔形、先は凹形。花柱は離生、雄しべより短く、わずかに突き出し、絨毛がある。偽果は赤色または紫褐色、倒卵形または球形、直径8~15㎜、無毛、萼片は宿存し、直立する。小花柄は長さ1~2㎝、無毛、通常は肉質ではない。花期は5~6月。果期は7~8月。2n=14。
2変種がある。
44-1 Rosa sericea var. sericea
44-2 Rosa sericea var. hookeri Regel
茎には腺毛があり、粘性がある。小葉の下面、ときに小花柄と花托が多少、腺がある。
以下の4品種はPOWOでは認められていない
(1) Rosa sericea f. sericea
小葉は下面に毛があり、腺は無い。
(2) Rosa sericea f. grandulosa T. T. Yü & T. C. Ku
小葉は下面に毛があり、腺がある。(3) Rosa sericea f. glabrescens Franchet
小葉は下面が無毛またはほぼ無毛(4) Rosa sericea f. pteracantha Franchet (loc. cit.) ロサ・セリケア・プテラカンサ
synonym R. sericea var. pteracantha (Franch.) Boulengersynonym R. omeiensis f. pteracantha (Franch.) Rehd. & Wils
幅広で平らな翼のような刺のある枝がある。この品種はロサ・オメイエンシス(Rosa omeiensis)に含められた。45 Rosa spinosissima L. ロサ・スピノシッシマ
synonym Rosa pimpinellifolia ロサ・ピンピネリフォーリア [Flora Iberica]
ヨーロッパ、西アジア原産。英名はburnet rose , Scotch rose。別名はスコッチローズ。花は白色、直径2~4㎝、一重。ヒップは熟すと暗赤色~黒色になる。低木、高さ0.2~0.6(1)m、匍匐茎状の根茎を持つ。茎は直立または斜上し、様々な枝分かれがあり、赤色を帯びる。刺は不均一、豊富(1cmあたり4~10個)、長さ5.5~12㎜×幅2.4~6.5 mm、丈夫で、真っ直ぐ、またはわずかに湾曲して扁平。他のものは長さ2~6㎜×幅0.6~1mm、真っ直ぐで断面が円形で、各シュートの基部に針状突起と有柄の腺が混在し、短い刺(長さ0.3~1㎜)で、前向きで通常、断面が円形である。古い茎は最も大きい刺だけをもつか、または、完全に平滑。葉にはしばしば2~3(4)個の托葉状の刺(substipular acules)がある。小葉は(5)7~9(11)枚つき、長さ6~10(16)㎜×幅4~10(13)㎜、卵状楕円形またはほぼ円形、先は鈍形、基部は円形またはやや楔形、上面は無毛、下面は褐色の腺は無く、単純で均質な小歯状で、大きい歯と小さい歯が互生するか、または重鋸歯がある。後者の重鋸歯では腺で終わることが多い。若い葉には例外的に無毛の葉柄があり、やや微軟毛があり、有柄の腺と発達した刺をもち、葉軸に沿って伸びる。托葉は長さ(4)5~10㎜×幅2~4㎜、耳に向かって徐々に広がり、無毛、縁に腺があり、下側に腺は有または無、耳は卵状披針形、全縁またはわずかに歯があり、散開する。花は短い側枝の先に単生し、苞はないか、小さな苞がつく。小花柄は長さ0.9~2.5(3.2)㎝、平滑または腺剛毛があり、ときに先が若干肥厚する。花托は直径3.2~5㎜の円盤がつき、平らで穴は1.7~2.7㎜。萼片は長さ8~14㎜×幅2~4㎜、披針形、全縁または短い側裂片があり、無毛または外面と縁に多数の有柄の腺を持ち、花後は直立または開出し、果実が成熟するまで宿存する。頂生の付属体は長さ0.8~3(4)㎜×幅0.3~0.5㎜。花冠は直径3~4㎝。花弁は幅1.5~1.9㎝、先にわずかにノッチがあるかまたは全縁、白色、黄色の爪部がある。葯は楕円形。花柱は離生、毛がある。半球状の円錐形の中につき、くぼみ、長さ1~2 ㎜、花盤の開口部を閉じる。果実(偽果)は直径(4)6~16㎜、ほぼ球形、まれに多少凹みまたは梨形になり、平滑または腺剛毛があり、暗赤色~ほぼ黒色。2n=28 (4x)。
品種) ダブルホワイトRosa Spinosissima double white 白色、半八重
アルタイカ Rosa spinosissima altaica 大型
46 Rosa taiwanensis Nakai タイワンイバラ 台湾茨
台湾原産。中国名は小金樱子 xiao jin ying zi。標高2500m以下の山地に生える。
低木、よじ登る。小枝は細く、刺が散在し、鈎状。葉は葉柄を含めて長さ5~15㎝。托葉は1/2以上葉柄に付着し、自由部分は三角形~線形、縁は縁毛状鋸歯があり、腺毛があり、先は尖鋭形。葉軸と葉柄はほとんどが無毛で、まばらに刺があり、まばらに短い有柄の腺がある。小葉は5~7枚、楕円形または卵形、長さ1.5~3.6㎝×幅0.8~1.5㎝、頂小葉は側小葉より大きく、両面とも無毛または中脈に沿ってまばらに毛があり、基部は鈍形~鋭形、縁は特に上部1/2で鋸歯状になり、先は鋭形または尖鋭形~鈍形。大きな頂生の散房花序に花が多数つく。花は直径約2.5㎝。小花柄は長さ約1㎝、毛があり、短い有柄の腺がある。苞は線形、縁は縁毛がある。花托筒は球形、腺毛がある。萼片は5枚、脱落性、反り返り、花弁より短く、卵状長円形、下面に毛があり、有柄の腺があり、上面に綿毛があり、縁は全縁、またはたまに、小さな線形の裂片があり、先は鋭形。花弁は5枚、白色、広卵形、先が凹形。花柱は柱状に合着し、突き出し、雄しべより長く、絨毛がある。偽果は赤色、球形、直径6~8㎜。
47 Rosa transmorrisonensis Hayata ニイタカモリイバラ 新高森茨
synonym Rosa multiflora Thunb. var. formosana Cardot
台湾、フィリピン原産。中国名は高山蔷薇 gao shan qiang wei。別名はタイワンノイバラ。標高約2400mの高山地域に生える。常緑低木、矮性。 小枝は無毛。 刺はまばらまたは葉の下に対につき、長さ7㎜まで、扁平。托葉は主に葉柄に付着し、遊離部分は披針形、長さ約1㎝、両面とも無毛またはまばらに毛があり、縁は糸状に切れ込み、腺毛がある。葉軸と葉柄は毛、腺毛があり、まばらに刺がある。 小葉は5~7枚、まれに3枚、楕円形または長円形、長さ5~25㎜×幅5~15㎜、下面に中脈に沿って微軟毛があり、上面は無毛、ときにまばらに腺毛があり、縁には鋭い単鋸歯があり、先は丸みのある鈍形、鋭形、または切形。花は単生または3~5個が集散花序につき、直径1.8~2.5cm。小葉柄は長さ約1.5㎝、腺毛が有または無。苞は無い。花托筒はほぼ球形~つぼ形、無毛。萼片は5個、三角状卵形、外面に軟毛と腺毛があり、内面に綿毛があり、縁は不規則に細かく切れ込み、腺毛があり、先は尖鋭形。花弁は5枚、白色、倒卵形、約・長さ10㎜×幅5㎜、先は凹形。花柱は柱に合着し、雄しべとほぼ同長、絨毛がある。果実はほぼ球形、直径約6㎜。
48 Rosa villosa L. ロサ・ヴィローサ
synonym Rosa pomifera Herrm. ロサ・ポミフェラ
ヨーロッパ、中央・西アジア原産。英名はapple rose。別名はアップルローズ。標高(800)1100~1900(2250)mの山地および亜高山帯に生える。石灰岩土壌を好む。ローズヒップの収穫のために栽培される。
低木、ストロンを出し、密なコロニーを形成し、高さ0.25~1.5(2)m。茎は直立して丈夫で、緑色または赤色を帯び、若いものは白粉で覆われる。刺は長さ(3)5~8(10)㎜×幅(1)3~7㎜、ときに欠き、均質、薄く、開出し、真っすぐ~上向き、短枝および節の隣の枝分かれにつき、基部が丸くまたは沿下する。葉は樹脂状の匂いがあり、しばしば1~2個のほぼ托葉状の刺がある。小葉は3~5(7)個つき、長さ14~36(40)㎜×幅(7)9~22㎜、倒卵形、卵形または楕円形、先は鈍形、基部は円形、縁は重鋸歯があり、両面に疎に毛があり、まれにほぼ無毛、下面には帯黄色または帯赤色の腺があり、脈上はより豊富で明瞭。葉柄と葉軸は非常に多くの腺と短い刺を持ち、中脈に沿って広がる。托葉は長さ11~20(26)㎜×幅5~9(12)㎜、様々で、下部の苞は先に向かって徐々に幅が広くなり、真っ直ぐな耳を持つ。上部の苞は花序の付着部分の下が最も幅が広く、短く、すべて縁に腺があり、下面は綿毛と腺があり、ときに針状突起があって面は無毛またはほぼ無毛。花は通常、葉腋に単生し、まれに散房花序につき、直径4~5(8)㎝。苞は0~2個あり、長さ5~17㎜×幅3.5~10㎜、卵状披針形。小花柄は長さ3~10(12)㎜、直立し、有柄の腺が密にあり、針状突起がある。花托は3~5㎜の盤を備え、平坦またはわずかに円錐形、穴は1.5~2㎜。萼片は長さ13~20(26)㎜×幅2.5~3.5㎜、披針形、背面に豊富な有柄の腺とときに短い針状突起をもち、縁に毛があり、花後に直立し、基部が肥厚し、果実が分解するまで宿存する。外側の萼片は0~3(~5)個の側裂片を持ち、不等で、長さ2~5(7)㎜×幅0.4~1.3㎜、頂部の付属体は長さ3~6(12)㎜×幅(0.3)0.8~2.5㎜。花冠は直径25~45(50)㎜。花弁は5個、長さ12~24㎜×幅14~30㎜、紫色または濃いピンク色(淡ピンク色)。花柱は離生、羊毛状の毛がある。バラ状果は長さ10~22㎜×幅7~14㎜(栽培種では約3㎝)、球形~楕円形またはつぼ形、暗赤色、有柄の腺があり、その全体にまたは基部にのみ多数の針状突起があり、まれに平滑。2n=28; (4x)。
品種) Duplex( Wolley-Dod's Rose):半二重、Rosa villosaと他の4倍体との交雑種
49 Rosa virginiana Mill. ロサ・ヴァージニアナ
北アメリカ東部原産。 英名はVirginia rose。標高0~200mの草原、森、崖、海岸ヒース地と草原、溝、古い野原、湿ったトウヒ林の端、岩棚、湿った茂み、沼地、小川、海岸などに生える。ヨーロッパ(オーストリア、フランス、イギリス)に帰化している。
低木、密な茂みと生垣のクラスターを形成する。茎は直立~斜上し、高さ(20~)100~300㎝、密に分枝する。 樹皮は赤色~赤紫色、無毛。節のすぐ下につく托葉の刺(infrastipular prickles)は対または1個つき、通常は湾曲し、ときに直立または下がり、密着し、丈夫で、長さ6~10㎜×幅4~10㎜、基部は無毛、節間の刺(internodal prickles)または針状突起(aciculi)はまれで、小さく、ときには無い。葉は長さ5~8(~11)cm。 托葉は長さ14~25㎜×幅4~9㎜、耳はフレア状、長さ3~5㎜、縁は波状、不規則な腺のある鋸歯があり、表面は無毛、腺は無い。葉柄と葉軸にはときに刺と針状突起があり、無毛または微軟毛があるか、またはまばらに毛があり、有柄の腺がある。小葉は5~7(~9)個。頂小葉は小葉柄が長さ6~14mm、葉身は狭楕円形~卵形、長さ17~32㎜×幅6~16㎜、膜質、基部は楔形、縁は単~重鋸歯があり、歯は片側に10~18(~23)個 、歯先の腺は有または無、先は鋭形ときに鈍形、下面は淡緑色、無毛または毛があり、腺は無く、上面は濃緑色、秋には紫赤色に変わり、光沢があり、無毛。花序は散房花序、花が1~6(~15)個つく。小花柄は直立し、細長いものから太いものがあり、長さ7~14(~25)mm、無毛、疎~密に有柄の腺がある。苞は2個、広披針形、長さ16~25㎜×幅4~6㎜、縁は全縁、ときに鋸歯があり、歯に腺があり、表面は毛が少なく無毛、腺は無い。花は直径4.3~5.5[7.5]㎝。花托筒はほぼ球形または窪んだ球形、ときに球形、長さ3.5~5.5㎜×幅5.5~6.5㎜、無毛、有柄の腺があり、首はない。萼片は広がるか反り返り、披針形、長さ20~40㎜×幅2.5~4㎜m、先端は長さ6~12㎜×幅0.5~2㎜、縁は通常羽状中裂し、まれに全縁、内側の2個の萼片は通常全縁、外面は無毛、密に有柄の腺、または腺のある剛毛がある。花弁は一重、ピンク色から濃いバラ色、まれに白色、長さ22~26㎜×幅25~30㎜。雄しべは140本。心皮は26~40(~65)個。花柱は花盤(hypanthial disc:直径3~5㎜)の花柱開口部(stylar orifice)(直径1.5~3㎜)を越えて長さ1~2.5㎜突き出す。バラ状果(偽果)は橙赤色~赤色または赤黒色、球形から凹んだ球形(扁球形)、長さ8~12㎜×幅9~13㎜、肉質、無毛、有柄の腺があり、首は無い。萼片は脱落性、直立する。痩果は大部分が基底胎座で、少数が基底側膜胎座、8~14個、黄褐色、長さ3~4㎜×幅1.5~3.5㎜。2n=28。花期は6~8月上旬。
50 Rosa xanthina Lindl. キバナハマナス 黄花浜茄子
synonym Rosa xanthinoides Nakai
中国(甘粛省、河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、陝西省、山東省、山西省)原産。中国名は黄刺玫 huang ci mei。英名はManchu rose。低木林地帯、開けた斜面に生える。中国の北部および北東部では頻繁に栽培されている。
低木、直立し、高さ2~3m。小枝は拡散し、密、無毛、古くなると丈夫になる。刺は葉の下に対になることがあり、他では頻繁に対生し、真っ直ぐ、長さ1.2㎝まで、頑丈で扁平、基部が楕円形に急に広がり、小さな刺や剛毛は無い。葉は葉柄を含めて長さ3~5㎝。托葉は主に葉柄に付着し、自由部分は線状披針形、縁は鋸歯があり、腺がある。葉軸と葉柄にはまばらに毛があり、ときに小さな刺がある。小葉は7~13枚、広卵形またはほぼ円形まれに楕円形、長さ6~18㎜×幅5~10㎜、若いときは下面にまばらに毛があり、無毛になり、上面は無毛、基部は広楔形~ほぼ円形、縁は円鋸歯または鈍い鋸歯があり、先は丸みのある鈍形。花は葉生に単生し、直径3~4(~5)㎝。小花柄は長さ1~1.5㎝、無毛、腺はない。苞は無い。花托筒はほぼ球形または倒卵形、外面は無毛。萼片は5個、披針形、外面は無毛、内面にまばらに毛があり、縁は全縁、先は尖鋭形。花弁は5枚または八重、黄色、広倒卵形、基部は広楔形、先は凹形。花柱は離生、雄しべよりかなり短く、わずかに突き出し、絨毛がある。バラ状果は紫褐色または黒褐色、ほぼ球形または倒卵形、直径8~10㎜、無毛、萼片は宿存し反り返る。小花柄は長さ1~1.5㎝、無毛。花期は4~6月。果期は7~8月。2n=14。
品種) カナリー バード(Canary Bird) Rosa xanthina 'Canary Bird' Sは1907年 イギリスで発見され、Rosa hugonisとRosa xanthinaの交雑種と推定されている(起源不明ともされる)。花は黄色、直径約5㎝、一重咲き、微香。
51 交雑種
(1) Rosa x iwara Siebold ex Regel コハマナス
synonym Rosa x yesoensis (Franch. et Sav.) Makino
ノイバラ×ハマナス。別名はコハマナシ
(2) Rosa 'Macrantha' (Rosa× macrantha) ロサ マクランサ
synonym Rosa × waitziana var.(nothovar) macrantha
原種が不確定の栽培種。
花はローズ色、一重~半二重、大輪。ガニカバラの変種(Rosa gallica var. macrantha)、ガリカバラRosa gallicaとカニナバラ(イヌバラ=ドッグ・ローズ)Rosa caninaの交雑種のRosa × waitziana の偽変種nothovar などと推定されている。
(3) Rosa x makinoana H.Ohba ヤブテリハノイバラ
テリハノイバラ×ヤブイバラ。別名はコバノテリハイバラ、 ヒメテリハイバラ。
(4) Rosa x mikawamontana Mikanagi et H.Ohba ヤマミヤコイバラ
ミヤコイバラ×ヤマイバラ
(5) Rosa x misimensis Nakai ミシマノイバラ
テリハノイバラ×ノイバラ
(6) Rosa x momiyamae H.Ohba ミヤコテリハノイバラ
テリハノイバラ×ミヤコイバラ
(7) Rosa x pulcherrima Koidz. オオサクラバラ
ノイバラ×アズマイバラ。別名はノアズマイバラ
(8) Rosa x pulcherrima Koidz. nothovar. kanaii H.Ohba ドウリョウイバラ
ノイバラ×モリイバラ
(9) Rosa x pulcherrima Koidz. nothovar. multionoei H.Ohba ヤブノイバラ
ノイバラ×ヤブイバラ
(10) Rosa x uchiyamana Makino カイドウバラ
(11)コウシンバラ×ノイバラ
参考
1) Rose Classifications - American Rose SocietyRosa
Rosa
RHS Find a Plant.
Rosa
マイカイ(攻現) Rosa maikwai Hara
Rosa sericea Lindl.
Hulthemia persica