ガマズミ 莢蒾

mark

flora of mikawa

レンプクソウ科 Adoxaceae ガマズミ属

別 名 アラゲガマズミ
英 名 linden arrowwood
中国名 荚蒾 jia mi
学 名 Viburnum dilatatum Thunb.
ガマズミの花序
ガマズミの花
ガマズミの若い茎
ガマズミの葉裏の腺点
ガマズミ葉柄と葉基部の腺体
ガマズミの果実
ガマズミの果実2
ガマズミ
ガマズミ葉
ガマズミ果実の核
花 期 5~6月
高 さ 2~6m
生活型 落葉低木
生育場所 山地の林内、林縁
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾
撮 影 幸田町   12.5.24
新城市   15.11.19(果実)
別名にアラゲガマズミとあるように毛が多い。幹は灰褐色、若い枝は灰緑色、1年目の小枝は灰褐色、開出毛と星状毛がある。古い小枝は暗紫褐色、小さな円形の皮目が散付する。冬芽は長さ3~5㎜の卵形、鋭頭、2対の鱗片がつく。鱗片には剛毛状の毛が密生し、星状毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ(2)10~30㎜、星状毛又は長さ1㎜以下の毛がある。托葉は無い。葉身は長さ3~10(13)㎝、幅2~(11) ㎝の広倒卵形~倒卵形~広卵形、紙質、葉先はやや鈍く尖る。葉裏は黄色を帯びたフォーク状毛や星状毛があり、帯黄色~無色の細かい腺点が散在する。葉表は伏毛があり、中脈は葉裏に突出し、側脈は6~8対、羽状脈、真っすぐかわずかに曲がり、枝分かれして歯に終わり、細脈は横断する。葉は分裂せず、基部は円形~鈍形~わずかに心形、ときに楔形、葉身基部の中脈の両側に1~3個の円形の大きな蜜腺がある。葉縁は鋸歯縁、先は鋭形。花は葉の展開後に開花する。花序は散形花序に似た複合の集散花序(多散花序 pleiochasium)であり、直径4~10㎝、短い小枝の先につき、対の葉がある。花序の最初の節には5柄が輪生し、剛毛状の毛と星状毛が密につき、装飾花はない。花柄は長さ1~2(4)㎝、苞や小苞は早落性、葉状、緑色、披針形、有毛。花は3~4列につき、芳香があり、短柄~無柄。萼は緑色、萼筒は長さ約1㎜、星状毛がある。萼片は卵形、長さ約0.5㎜、縁毛があり、先は鈍形。花冠は白色、直径5~8㎜、星状毛があり、筒部は長さ約1.5㎜、裂片は開き、卵円形、長さ1.5~2.5㎜、幅と長さはほぼ同長。雄しべは花冠から明瞭に突き出し、花糸は長さ4~6㎜。葯は黄白色、広楕円形、小さく、長さ約1㎜。花柱は花冠裂片から突き出し、柱頭は3裂する。果実は核果、赤色に熟し、楕円状卵形、長さ6~8㎜、幅4.5~6.5㎜。核は扁平、卵形、長さ5~6㎜、幅4~5㎜、背面に2本の浅い溝があり、腹面に3本の浅い溝があり、先は円く、基部は尖る。核の色は淡黄褐色だが果汁の赤色に染まりやすく、溝は浅く不明瞭、腹面の1本だけ明瞭。果実は赤色の酸味の強い果汁が多く、食べられる。
 ミヤマガマズミは標高のやや高いところに生え、葉の表面の毛が少なく、葉先が尾状にとがる。
 葉の幅が狭いのがコバノガマズミオトコヨウゾメ。コバノガマズミは葉柄が短くて托葉がある。
 オトコヨウゾメは葉柄が無毛又はまばらに長毛が生える程度。

ガマズミ属

 family Adoxaceae- genus Viburnum

 低木又は小高木、落葉、ときに常緑。小枝は無毛又は有毛、単純毛、束生又は星状毛、まれに鱗片状毛。冬芽は芽鱗があるか又は無い。葉は普通、対生、まれに3出し、単葉、葉柄があり、全縁~歯状~3~5裂。托葉は普通、小さいか又は無い。花序は頂生、又は短い枝の先につき、1又は2個の対の葉をもち、複合の散房花序状又は円錐花序状の集散花序。花は小さく、放射相称、ときに花序の縁の花が大きくなり、やや左右相称で不稔、まれに花序全体が不稔の花になる。苞や小苞は普通、小さく、早落性。咢は小さく、5歯。花冠は白色、まれに帯赤色、帯紫色又は帯緑色、車状~鐘形~高杯形~筒形、5裂片。雄しべは5個。花糸は糸状。葯は中着、縦に裂開し、内向き。子房は半下位、3室、2個の胚珠ももつ1室が稔性、2室は不稔。花柱は短い。柱頭はわずかに頭状~3裂。果実は1種子の核果、扁平の種子をもち、熟すと、赤色~帯紫色~黒色、まれに黄色。
 世界に約200種があり、アジアと南アメリカの温帯と亜熱帯地域に分布する。

ガマズミ属の主な種と園芸品種

1 Viburnum acerifolium L. ビブルヌム・アケリフォリウム
 北アメリカ(USA、カナダ)東部原産。英名はarrow-wood , mapleleaf viburnum 、 dockmackie。ブナやカエデ林の下層の向陽地または部分的に日陰の場所に生える。観賞用または生け垣用の植物として栽培され、秋には葉がパステルピンク、赤色、紫色などに紅葉する。
 落葉低木、吸枝(きゅうし)を出し、比較的小さく丸みを帯び、通常は高さ0.9~1.8m、幅0.6~1.2mになる。小枝はビロード状の毛がある。葉は対生し、葉身は卵形~円形、長さ5~12.5㎝、鈍緑色~緑色、カエデに似た粗い鋸歯があり、3裂し、毛があり、通常、葉の下面には黄色と小さな黒色の斑点がある。集散花序は長い花序柄持ち、頂部が平らで、直径7.5㎝までになり、小さな花が多数つく。花冠は直径約6㎜、白色、5裂片をもつ。果実は核果、エンドウ豆大、紫色~青黒色に熟す。花期は5月下旬~6月上旬。果期は晩夏。
品種) 'Little's Pink Blush'

2 Viburnum atrocyaneum C. B. Clarke ビブルヌム・アトロキアネウム
  synonym Viburnum calvum Rehder
  synonym Viburnum schneiderianum Handel-Mazzetti.
 中国(広西チワン族自治区、貴州省、四川省、西蔵、雲南省)、インド(アッサム)、ミャンマー、タイ原産。中国名は蓝黑果荚蒾 lan hei guo jia mi。標高1000~3200mの森林、低木林に生える。
 常緑低木、高さは3mまで。樹皮は灰褐色。当年枝は最初は紫色で、後に灰色黄色になり、星状毛があるかまたはほぼ無毛。前年の小枝は灰色~灰褐色、円柱形、無毛、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は卵状長円形、1対の分かれた芽鱗がある。鱗片は赤褐色、縁毛があり、先は鋭形。葉は通常対生し、ときに3輪生し、小枝の先に束生しない。托葉は無い。葉柄は緑色、細く、長さ6~12㎜、無毛。葉身は若いうちは紫色を帯び、後に下面は淡緑色になり、上面は濃緑色で光沢があり、広卵形~卵形~卵状披針形または菱状楕円形、まれに円形、長さ(0.8~)3~6(~10)㎝×幅1.5~3(~6.5)㎝、革質、両面とも無毛、中脈は下面に隆起し、側脈は5~8対、羽状、弓状になり、分枝し、縁近くで吻合し、下面で目立たず、上面で凹み、細脈は横方向にあり、下面で目立たず、上面でわずかに凹み、分裂せず、基部は広楔形、両側はしばしばわずかに非対称で、腺がなく、しばしば縁には離れた不規則な小歯があり、まれに全縁で、先は鈍形で微突形、まれに鋭形または凹形。 花は葉の展開後に花が現れる。花序は複合の散形花序状の集散花序、頂生し、直径2~6㎝。花序枝(rays)は輪生する。花序の最初の節は通常5~7本の花序枝をもち、緩く、無毛で、大きな不稔の装飾花はない。花序柄は長さ0.6~6㎝。苞は早落性、葉状、緑色、線形~線状披針形、無毛。小苞は鱗片状。 花は通常二次の花序枝につき、香りは無い。小花柄は長さ2~3㎜。萼は帯緑色、萼筒は倒錐形、長さ約1㎜、無毛。萼片は広三角形で、長さよりも幅が広く、非常に小さく、長さ約0.5㎜、萼筒のほぼ1/2の長さで、無毛、先は鈍形。花冠は白色、車形、直径約5㎜、無毛、花冠筒部は長さ約1㎜、花冠裂片は広がり、卵状円形、長さ約1.5㎜、筒部よりわずかに長く、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠よりわずかに短く、花冠筒部の基部近くにつく。花糸は長さ約2㎜。葯は黄色、卵形、長さ約1㎜。花柱は萼片とほぼ同長。柱頭はほぼ無柄。果実は赤くならず、青黒く成熟し、卵形または球形、長さ5~6㎜、基部は丸く、先は鋭形、無毛。核は球形、直径約5㎜、腹側に非常に浅い溝が1本あり、頂点は丸い。花期は4~6月。果期は7~10月。
 2品種がある。f. atrocyaneumはは常に葉が対生し、葉身は広卵形~卵形~卵状披針形または菱状楕円形。f. harryanum (Rehder) P. S. Hsuは葉が3輪生し、葉身が円形。

3 Viburnum betulifolium Batal. ニイタカガマズミ 新高莢蒾
  synonym Viburnum morrisonense Hayata
 中国(安徽省、甘粛省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省省、寧夏、陝西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は桦叶荚蒾 hua ye jia mi。標高1300~3500mの森林、低木林に生える。
 落葉低木または小高木。高さ5(~7)mまで。樹皮は淡褐色。当年の小枝は紫褐色、無毛、または帯黄褐色の星状毛がある。 前年の紫褐色または黒褐色の小枝は、円柱形、無毛で、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は卵状長円形、2対の離れた芽鱗がある。 鱗片は±外側に毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に束生しない。托葉は2個、宿存性、錐形、小さい。 葉柄は緑色、細く、長さ1~2(~3.5)㎝、まばらに長い毛があるかまたは無毛。 葉身は若いうちは緑色、広卵形~菱状卵形または広倒卵形、まれに楕円形~長円形、長さ3.5~8.5(~12)㎝× 3~5.5(~9)㎝、厚い紙質またはわずかに革質、下面は中脈と側脈に毛があって脈腋に星状毛があるか、または全体に星状毛がある。腺点は有または無。葉の上面は無毛または中脈に毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は(4~)5~6(~7)対あり、羽状、 真っ直ぐまたはわずかにアーチ形になり、分岐し、歯で終わり、下面で顕著に隆起し、上面で凹み、細脈は横向き、下面にわずかに隆起し、上面で凹み、分裂はなく、基部は広楔形~円形、まれに切形で、中脈の基部近くの両側に 0~3個の円形の腺体がある。葉縁は基部から上の1/3~1/2に円鋸歯があり、葉先は急な、短い尖鋭形~尖鋭形になる。花は葉の展開後に現れる。花序は複散形花序状の集散花序で、頂生または短い側小枝の先につき、1対の葉をもち、直径5~12㎝になる。花序枝(ray)は輪生する。花序の最初の節には通常7花序枝が密つき、通常は密または疎に黄褐色の星状毛があり、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は通常長さ1㎝未満。 苞と小苞は脱落性、葉状、緑色、披針形、まばらに毛がある。花は3次~5次の花序枝につき、香りがなく、小花柄は短いかまたは無柄。萼は緑色、筒状倒円錐形、長さ約1.5㎜m、黄褐色の腺点と疎~密な星状毛がある。萼片は広卵状三角形、長さ約1.5㎜、縁毛があり、先は鈍形。花冠は白色、車形、 直径約4㎜、無毛または星状毛ある。花冠筒部は長さ1~2㎜。花冠裂片は広がり、円状卵形、筒部の長さを越え、先は丸く、縁は全縁。 雄しべは通常花冠を超え、花冠の基部につく。花糸は長さ4~5㎜。葯は黄白色、広楕円形、長さ約1㎜。花柱は萼片から突き出る。柱頭は頭状。果実は赤色に熟し、ほぼ球形、長さ約6㎜、基部は丸く、先は丸く、無毛。核は扁平、卵形、長さ3.5~5㎜×幅3~4㎜、背側に2本の深い溝と 腹側に1~3本の溝があり、先は鋭形。花期は6~7月。果期は9~10月。2n=18, 20, 22。
品種) 'Hohuanshan'

4 Viburnum boninsimense (Makino) Koidz. ex Nakai トキワガマズミ 常磐莢蒾
  synonym Viburnum japonicum (Thunb.) Spreng. var. boninsimense Makino
 日本固有種。小笠原諸島、火山列島に分布。別名はシマハクサンボク。ハクサンボクの変種と分類されていた。学名はPOWO(Kew)に従う。トキワガマズの名で流通しているのは別種のビブルヌム・ティヌス Viburnum tinus L.である。
 高さ2mまで。葉柄は長さ2.5~4㎝。葉はハクサンボクより質が厚く、長さ9~11.5㎝×幅9~13㎝、ほぼ菱形またはほぼ菱状円形またはほぼ腎状円形、先は急に極短く突き出し、基部は切形~楔形または切形~ほぼ心形、縁は波状円鋸歯~不明瞭な波状円鋸歯。散房花序は密、不稔の装飾花は無い。花は白色、まれにピンク色、幅約6㎜。花冠裂片は5個、ほぼ円形。雄しべはハクサンボクより短い。果実は黒色に熟し、直径約1㎝。花期は春。

5 Viburnum brachyandrum Nakai シマガマズミ 島莢蒾
 伊豆諸島固有種。山野の日当りの良い道端や明るい林縁などに生える。
 落葉低木、高さ2~3m。枝は紫褐色、若いときに長い毛と星状直軟毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ1~1.5㎝、絨毛がある。葉身は広倒卵形~倒卵状円形~菱状円形、長さ8~13㎝、分裂は無く、葉先は急に鋭形、基部は円形~楔形、縁に三角状の歯があり、葉の質は厚く、やや光沢があり、下面に星状毛が多い。花序は比較的に大きい散房花序、短い花序柄があり、頂生または2葉のある短い小枝の先につき、若いときに長い毛と星状の直軟毛があり、花を多数つける。花は白色、直径約6㎜。雄しべは花冠裂片より短い。核果は広卵形、長さ6~8㎜、赤色に熟す。花期は4~5月。

6 Viburnum bracteatum Rehder ビブルヌム・ブラクテアツム
 USA(アラバマ州、ジョージア州、テネシー州)原産。英名は bracted arrowwood , limerock arrowwood。
 広葉落葉低木、高さ3mまで、直立して広がり、枝がアーチ状になる。樹皮は平滑、灰色。葉は単葉、対生し、円状卵形、長さ5~12㎝×幅1.3~7.5㎝、基部は心形またはほぼ心形、縁には粗い鋸歯があり、質が厚く、葉脈は5~6対あり、上面は暗緑色、光沢があり、下面の葉脈には毛がある。葉柄は長さ1.5~2㎝。秋には葉が黄色~青銅色になる。集散花序は頂生、頭部が広く平らで、直径4~8㎝、花序のすぐ下に目立つ苞を持つ。花は白色、5裂片があり、直径約8㎜、悪臭がある。果実は核果、長さ約1cm、楕円形、青黒色。2n=72。花期は5~6月。果期は9~10月。
品種) All That Glitters™ , All That Glows™ , 'Crimson Gem' , 'Emerald Luster' , 'Smvdbl'

7 Viburnum burejaeticum Regel et Herder カラスガマズミ 烏莢蒾
 朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は修枝荚蒾 xiu zhi jia mi。標高600~1400mの針葉樹と広葉樹の混交林に生える。
 落葉低木、高さ5mまで。樹皮は暗灰色がかる。当年の小枝は灰白色の星状綿毛がある。前年の小枝は黄白色、円柱形、無毛、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は裸、灰白色の星状綿毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ5~12㎜、灰白色の星状糸状体。 葉身は若いうちは緑がかった白色、広卵形から楕円形または楕円倒卵形、長さ(3~)4~6(~10)㎝×幅2~3㎝、紙質、最初は下面に密な星状毛があるが、後に中脈と側脈のみに毛があり、初めは上面にまばらな星状毛があるかまたは無毛、後に星状毛は中脈と側脈の上だけになり、中脈は下面に隆起し、側脈は5または6対、羽状、アーチ状になり、分枝し、縁近くで吻合するか、または歯で終わり、下面に隆起し、上面でわずかに凹み、細脈は横向き、下面にわずかに隆起するか目立たず、上面で目立たず、分裂は無く、基部は鈍形~円形、両側はしばしば不等で、腺がなく、縁は小鋸歯があり、先は鋭形、まれにわずかに鈍形になる。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生、直径4~5㎝、花序枝は輪生する。花序の最初の節は通常 5本の花序枝がつき、密で、灰白色の星状綿毛があり、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ2㎝まで、またはほとんど無い。苞は早落性、葉状、緑色、線形~線状披針形、星状毛がある。小苞は線形。花は主に二次の花序枝につき、香りはなく、無柄。萼は帯緑色。萼筒は長円状筒形、長さ約4㎜、無毛、またはまれにまばらに星状毛がある。萼片は三角形、小さく、長さ1~2㎜、無毛または星状縁毛が少数ありう、先は鈍形。花冠は白色、車形、 直径約7㎜、無毛。花冠筒部は長さ1~2㎜。花冠裂片は広がり、広卵形、長さ2.5~3㎜、筒部の長さのほぼ2倍の長さ、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠裂片をわずかに超え、花冠筒部の基部近くにつく。花糸は長さ約3㎜。葯は黄色、広楕円形、長さ約1㎜。花柱は萼片よりも高くなる。柱頭は頭状。果実は最初は赤色になり、黒色に熟し、楕円形~長円形、長さ約1㎝、基部は丸く、先は丸く、無毛またはまばらな星状毛がある。核は扁平、長円形、長さ9~10㎜×幅4~5㎜、背側に2本の溝と腹側に3本の溝があり、先は丸い。花期は4~5月。果期は 8~9月。

8 Viburnum carlesii Hemsl. チョウジガマズミ 広義
 本州(中国地方)、四国、九州、中国、朝鮮。

8-1 Viburnum carlesii Hemsl. var. carlesii オオチョウジガマズミ 大丁字莢蒾

 日本(対馬)、朝鮮原産。花は密につき、やや大きく、外側がピンク色を帯びる。
 落葉低木、多数、分枝する。茎、葉、および花序に星状直軟毛(stellate-pilose)とふけ状微軟毛(fururaceous puberulent)がある。葉は卵状円形~広卵形、先は急に鋭形、長さ3~7㎝×幅2.5~6㎝、基部は円形~浅い心形、縁は微突のある歯があり、側脈が4~6対ある。葉柄は長さ3~5㎜。花序は集散花序、短い花序柄があり、幅2~5㎝、2葉のある短い小枝の上につく。萼の拡大部は5裂する。花冠は白色または淡ローズ色、花冠筒部は長さ1~1.3㎝、花冠裂片は筒部の長さの約半分。果実は楕円形、長さ約8㎜、黒色。花期は4~5月。
品種) 'Aurora' , 'Charis' , 'Compactum' , 'Diana' , 'Donard Pink' , 'Maat Select' , 'Marlou' , Spice Baby™ , Spice Ball™ , Spice Girl™ , Sugar n' Spice™

8-2 Viburnum carlesii Hemsl. var. bitchiuense (Makino) Nakai チョウジガマズミ 丁字莢蒾

  synonym Viburnum bitchiuense Makino
 日本(本州の中国地方、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省)原産。中国名は备中荚蒾 bei zhong jia mi。標高700~1300mの森林に生える。
 落葉低木、高さ3mまで。樹皮は褐灰色。当年枝は帯灰色の星状毛があり、前年の小枝は帯灰色、無毛で、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は裸で、帯灰色の星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に束生しない。托葉はない。葉柄は緑色、丈夫で、長さ4~12㎜、帯灰色の星状毛がある。葉身は若いうちは緑白色、卵形~楕円状卵形、長さ4~10㎝×幅2~6㎝、紙質、下面に特に脈に沿って星状毛があり、上面にまばらに単純毛と星状毛があり、無毛になり、中脈が下面に隆起し、側脈が4~5対あり 羽状、わずかに弓状、分枝し、縁近くで吻合するか、またはまれに歯で終わり、下面に盛り上がり、上面で凹み、細脈は横むき、下面で明瞭、上面で目立たず、分裂せず、基部は円形~心形、腺は無く、縁には小歯があり、先は鋭形。 葉の展開後に花が現れる。花序は複合散形花序状の集散花序、頂生、直径約6cm、花序枝が輪生する。花序の最初の節は通常、4~7本の花序枝がつき、密に灰白色の星状毛があり、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ1~4cm。苞は早落性、葉状、緑色、卵形~楕円形、星状毛がある。小苞は鱗片状。 花は2次または3次の花序枝につき、香りがあり、無柄または短い小花柄がある。萼は帯緑色または帯赤色。萼筒は長円状筒形、長さ0.7~1㎜、無毛。萼片は卵形、非常に小さく、長さ0.5~1㎜、無毛、先は鈍形。 花冠はピンク色を帯び、 高杯形(hypocrateriform)、直径約1㎝、無毛。花冠筒部は長さ8~10㎜。花冠裂片は広がり、広卵形、長さ5~6㎜×幅3~5㎜、先は丸く、縁は全縁。 雄しべは花冠筒部の中央またはその下につき、長さ約5㎜。花糸は長さ2~4㎜。 葯は黄色、楕円形、長さ約2mm。 花柱は萼片とほぼ同長。柱頭は頭状。 果実は最初は赤色になり、後に黒色に熟し、長さ1.1~1.4㎝の楕円形、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。 核は扁平、楕円形、長さ6~8㎜×幅約4㎜、背側に2本の溝と、腹側に3本の溝を持ち、先は丸い。花期は3~5月。果期は6~9月。2n=18(16)。

9 Viburnum cassinoides L. ビブルヌム・カッシノイデス

  synonym Viburnum nudum L. var. cassinoides (L.) Torr. & A. Gray

 北アメリカ東部原産。英名はwitherod viburnum , withe-rod , witherod , northern wild raisin, swamp haw。標高の高い湿った森林、露頭、小川や池沿いなどに生える。
 落葉低木、高さ1~3mになる。頂芽と側芽は対生し、狭楕円形~線形、非常に柔軟で、粗い質感をもつ。芽は本質的に裸芽であり、典型的な芽鱗はアカ状の質感の小さな錆び褐色の皮状の鱗で覆われた2つの細長く変形した葉のような鱗片で置き換えられる。蕾が開くと、2個の鱗片は落ちるのではなく、典型的な葉状に広がる。小枝は細く、樹皮は明るい灰褐色、ほとんどが無毛だが、若い小枝は頂芽の近くふけ状になる。花芽は頂生し、1対の柔軟な鱗片が短くて幅広で花序芽を取り囲む。葉は対生し、単葉、羽状脈があり、質は硬めから革質 (サンゴ質)。葉柄は長さ0.5~2㎝、溝があり、ときにわずかに翼がある。 葉身は長さ2.5~15㎝×幅1.5~6㎝、無毛、暗緑色、上面には光沢があり、下面はわずかに淡色。北部地域の野生の葉の形は非常に多様である。通常、葉身は楕円形または倒披針形だが、狭披針形~倒卵形まで変化する。葉の基部は楔形~円形、葉先は鈍形、鋭形、または急に先細りになり、狭く鈍い先端になる。葉縁は全縁、波状、歯状、または粗い鋸歯状である。 未熟な葉には鋭い鋸歯があるが、葉が広がるにつれて歯は不明瞭になる。秋には葉がオレンジ色から赤色または赤紫色に変わる。花序は頂生の複集散花序、頂部が平らで分枝し直径3~10㎝、花が多数つく。花序の花はすべて稔性、ほぼ同じ大きさで、わずかに不快な臭いがある。花は両性 小さい。萼は5裂片を持ち、緑色。花冠は白色、短い鐘形、 5裂片をもつ。雄しべは5本、花冠から1~3.5㎜、突き出る。雌しべは1個、下部に子房がある。果実は液果状の核果、楕円形~卵形、長さ6~9㎜、若いときは緑白色で、すぐに明るいピンク色に変わり、青黒色に熟し、粉白を帯びる。果実は甘く食用となる。晩秋になると、朽ちた葉や落ちた果実が独特の甘い香りを放つ。花期は初夏。果期は夏中旬~下旬(~冬)。
品種) Buccaneer™ , Challenger™ , 'Deep Pink' , Defender™ , Endeavor™ , Freedom™ , 'Hillier Form' , Lil Ditty® , 'Nanum' , 'Sear Charm' , 'Summer Hill'

10 Viburnum cylindricum Buchanan-Hamilton ex D. Don ビブルヌム・キリンドリクム

 中国(甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、四川省、西蔵、雲南省)、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア原産。中国名は水红木 shui hong mu。標高500~3300mのまばらな森林、低木林に生える。
 常緑低木または小高木、高さ8(~15)mまで。樹皮は淡褐色。当年の小枝は帯緑色、無毛、または最初はまばらに星状毛がある。前年の小枝は灰褐色、円柱形、無毛、まばらで小さな丸い皮目を持つ。冬芽は披針状三角形で、一対の離れた鱗片がある。鱗片は無毛または星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先端に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ1~3.5(~5)㎝、無毛または星状毛がある。葉身は若いうちは緑色、楕円形~長円形、または卵状長円形、長さ8~16(~24)㎝×幅3~10㎝、革質、下面は通常無毛で、帯赤色または黄色の小さな腺点が散在し(ときに圧縮され、フケ状鱗片のように見え)、上面は無毛、中脈は下面に隆起し、側脈は3~5(~8)対、羽状、弓状、まれに分岐し、縁付近で吻合し、または一部が歯で終わり、下面で隆起し、上面でわずかに凹み、細脈は横方向、下面で目立ち、上面で目立たず、葉状ではなく、基部は徐々に鋭形~円形、基部近くの中脈の両側に1~数個の腺体があり、縁は全縁または不規則に浅い歯があり、先は尖鋭形または鋭形。 葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生、直径4~10(~18)㎝。花序枝が輪生する。花序の最初の節は通常7本の花序枝がつき、緩く、無毛または星状毛があり、ときに小さな腺を持ち、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ1~6㎝。 苞は通常、早落性、葉状、白緑色、線状披針形、約・長さ3㎜×幅1㎜以下、無毛。小苞は鱗片状。 花は通常、3次の花序枝につき、香りがなく、無柄でもなく、短い小花柄がある。萼は帯緑色。萼筒は卵状円形または倒円錐形、長さ約1.5㎜、ときに小さな腺点がある。萼片は非常に小さく目立たず、無毛で、先は円形。花冠は白色または帯赤色、鐘形、長さ4~6㎜、小さなふけ状鱗片腺(lepidote glands)がある。花冠筒部は長さ3~5㎜、花冠裂片は直立し、円状卵形、長さ約1㎜、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠より長く、花冠の基部近くにつく。花糸は長さ3~4㎜。葯は紫色、長円形、長さ1~1.8㎜。花柱は萼片を超える。柱頭は頭状。果実は最初は赤色になり、青黒色の卵形に成熟し、長さ約5㎜、基部は丸く、先は丸く、無毛。核は扁平、卵形、約・長さ4㎜×幅3.5~4㎜、背側に2本の浅い溝と腹側に1本の浅い溝があり、先は丸い。花期は6~7月。果期は8~10月。2n=18。
品種) 'Chino-crug'

11 Viburnum davidii Franchet ビブルヌム・ダビディー
 中国(四川省)原産。中国名は川西荚蒾 chuan xi jia mi。標高1800~2400mの山地に生える。
 常緑の低木で、高さ10mにもなる。樹皮は灰褐色。当年の小枝は紫褐色で、隆起した皮目を持ち、無毛。前年の小枝は灰白色を帯び、円柱形、無毛、多数の大きな丸い皮目を持つ。冬芽は卵形で、1対の離れた鱗片がある。鱗片は赤褐色、無毛、先は鋭形。葉は常に対生し、小枝の先端に集まらない。托葉は無い。葉柄は紫色、丈夫、長さ0.8~2.5(~3)㎝、無毛。 葉身は若いうちは紫色、楕円形~倒卵形~楕円形、長さ6~14×幅4~7cm、厚い革質、光沢があり、しわが目立つ、下面は脈腋にのみ帯黄色の星状毛があり、上面は無毛、中脈は下面に隆起し、3脈があり、羽状脈があり、弓状、まれに分岐し、縁近くで吻合し、下面に隆起し、上面で凹み、細脈は横方向、下面で目立ち、上面で深く凹み、顕著にしわがあり、分裂はない、基部は広楔形~ほぼ円形、腺はなく、縁は全縁またはときに小数の不規則な歯が中央部分より上にあり、先は短い尖鋭形。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生、直径4~6㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節は5~6本の花序枝を持ち、長さ1~3cm、密で無毛で、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ(1~)1.5~3(~3.5)㎝。苞は早落性、葉状、緑色、線形~線状披針形、無毛。小苞は鱗片状。 花は二次花序枝につき、香りはなく、非常に短い小花柄を持つ。萼は帯緑色。萼筒は鐘形、長さ約1㎜、無毛。萼片は披針形、非常に小さく、萼筒の長さの約1/2、無毛、先は鋭形。花冠は白色、車形、直径約5㎜、無毛。花冠筒部は長さ約1㎜。花冠裂片は広がり、円形、直径約2㎜、長さは筒部の2~4倍、先は円形、全縁。雄しべは花冠の長さの約1/2の長さで、花冠筒部の基部近くにつく。花糸は長さ約2㎜。葯は帯赤黒色、ほぼ球形で、直径1㎜未満。花柱は萼片とほぼ同長。柱頭はほぼ無柄。果実は赤色にならず、青黒色、卵形または楕円状長円形に成熟し、約・長さ6㎜×幅4㎜、基部は丸く、先は鋭形、無毛。核は球形、直径4~5㎜、腹側に小さく浅い溝が1本あり、先は丸い。花期は6月。果期は9~10月。2n=18。
品種) 'Angustifolium' , 'Longleaf'

12 Viburnum dentatum L. ビブルヌム・デンタツム
 USA、カナダ原産。英名はarrow-wood , arrow-wood viburnum , southern arrow-wood , smooth arrowwood。別名はビバーナム・デンタタム。耐寒性もあり丈夫なことから、生垣に植栽され、園芸品種も多い。
 低木、高さ1~5m、吸枝を出す。樹皮は灰褐色または帯赤色。葉は対生し、葉柄は長さ8~25 mm、無毛または星状毛があり、通常は無托葉。葉身は披針状卵形~卵形~円形、長さ(3)4~10㎝、先は鋭い鋭形または短い尖鋭形~広く円形、脈は6~10対あり、ときに脈腋に毛があり、縁に鋭い歯があり、上面は光沢のある緑色、下面は淡色。秋の紅葉は黄色~あずき色~紫赤色。集散花序は大部分に5~7花序枝があり、頭が平らで、幅5~8㎝。花序柄は長さ3~6㎝。花托筒は無毛、まばらに腺があり、または剛毛がある。花冠は白色。雄しべは黄色、花冠から突き出る。柱下体(stylopodium)は毛がある。果実は暗紫色~青黒色に熟し、ほぼ球形~卵形、長さ5~10㎜。核は楕円形、丸みがあり、片側に深い溝がある。2n=36, 54, 72。花期は5~7月。
品種) Autumn Jazz® , Black Forest™ , Blue Blaze = 'Blubzam' , Blue Muffin = 'Christom' , Cardinal™ , Chicago Lustre® , 'Christom' , Cream Puffs™ , Crimson Tide™ , Fireworks™ , 'Golden Arrow' , Grow Low™ , Indian Summer™ , Little Joe™ , 'Moonglow' , 'Morton' , Northern Burgundy® , 'October Glory' , 'Osceola' , Papoose™ , Pathfinder = 'Patzam' , Pathfinder™ , 'Patzam' , 'Perle Bleu' , 'Ralph Senior' , Raspberry Tart™ , Red Feather™ , Red Regal™ , 'Synnestvedt' , Tecumseh™ , Tonawanda™ , Vanilla Cupcakes™ , var. pubescens 'Longifolium' , 'White and Blue'

13 Viburnum dilatatum Thunb. ガマズミ 莢蒾
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は荚蒾 jia mi。英名はlinden arrowwood。別名にアラゲガマズミとあるように毛が多い。
 落葉低木。高さ2~6m。幹は灰褐色、若い枝は灰緑色、1年目の小枝は灰褐色、開出毛と星状毛がある。古い小枝は暗紫褐色、小さな円形の皮目が散付する。冬芽は長さ3~5㎜の卵形、鋭頭、2対の鱗片がつく。鱗片には剛毛状の毛が密生し、星状毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ (2)10~30㎜、星状毛又は長さ1㎜以下の毛がある。托葉は無い。葉身は長さ3~10(13)㎝、幅2~(11)㎝の広倒卵形~倒卵形~広卵形、紙質、葉先はやや鈍く尖る。葉裏は黄色を帯びたフォーク状毛や星状毛があり、帯黄色~無色の細かい腺点が散在する。葉表は伏毛があり、中脈は葉裏に突出し、側脈は6~8対、羽状脈、真っすぐかわずかに曲がり、枝分かれして歯に終わり、細脈は横断する。葉は分裂せず、基部は円形~鈍形~わずかに心形、ときに楔形、葉身基部の中脈の両側に1~3個の円形の大きな蜜腺がある。葉縁は鋸歯縁、先は鋭形。花は葉の展開後に開花する。花序は散形花序に似た複合の集散花序(多散花序 pleiochasium)であり、直径4~10㎝、短い小枝の先につき、対の葉がある。花序の最初の節には5柄が輪生し、剛毛状の毛と星状毛が密につき、装飾花はない。花柄は長さ1~2(4)㎝、苞や小苞は早落性、葉状、緑色、披針形、有毛。花は3~4列につき、芳香があり、短柄~無柄。 萼は緑色、萼筒は長さ約1㎜、星状毛がある。萼片は卵形、長さ約0.5㎜、縁毛があり、先は鈍形。花冠は白色、直径5~8㎜、星状毛があり、筒部は長さ約1.5㎜、裂片は開き、卵円形、長さ1.5~2.5㎜、幅と長さはほぼ同長。雄しべは花冠から明瞭に突き出し、花糸は長さ4~6㎜。葯は黄白色、広楕円形、小さく、長さ約1㎜。花柱は花冠裂片から突き出し、柱頭は3裂する。果実は核果、赤色に熟し、楕円状卵形、長さ6~8㎜、幅4.5~6.5㎜。核は扁平、卵形、長さ5~6㎜、幅4~5㎜、背面に2本の浅い溝があり、腹面に3本の浅い溝があり、先は円く、基部は尖る。核の色は淡黄褐色だが果汁の赤色に染まりやすく、溝は浅く不明瞭、腹面の1本だけ明瞭。果実は赤色の酸味の強い果汁が多く、食べられる。花期は5~6月。
品種) 'Asian Beauty' , Cardinal Candy™ , 'Catskill' , 'Erie' , 'Henneke' , 'Iroquois' , 'Michael Dodge' , 'Mt. Airy' , 'Sealing Wax' , Tandoori Orange™

13-1 Viburnum dilatatum Thunb. f. heterophyllum (Nakai) Sugim. ヘンヨウガマズミ 変葉莢蒾

 花の付かない枝の葉が長楕円形になる品種。

13-2 Viburnum dilatatum Thunb. f. microphyllum (Nakai) Sugim. ハコネガマズミ 箱根莢蒾

 ガマズミの葉が極端に小さくなる品種。

13-3 Viburnum dilatatum Thunb. f. nikoense (Hiyama) H.Hara ニッコウガマズミ 日光莢蒾

  synonym Viburnum wrightii Miq. f. nikoense Hiyama 
 葉裏全体にまばらに長さ0.5~1㎜の粗い開出毛が生え、宿存する品種。当初はニッコウミヤマガマズミとされた。

13-4 Viburnum dilatatum Thunb. f. xanthocarpum Rehder キミノガマズミ 黄実の莢蒾

 ガマズミの果実が黄色の品種。

14 Viburnum erosum Thunb. コバノガマズミ 小葉の莢蒾
  synonym Viburnum matsudae Hayata
  synonym Viburnum erosum Thunb. var. punctatum Franch. et Sav.
  synonym Viburnum erosum Thunb. var. osumianum Hiyama
  synonym Viburnum erosum var. vegetum Nakai イヌガマズミ
 本州(福島県以西)、四国、九州、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は宜昌荚蒾 yi chang jia mi。山地、丘陵に生える。
 落葉低木、高さ2~4m。樹幹は灰褐色、枝は褐色ときに赤色を帯び、4稜があり、粗い毛があり、星状毛が密生する。葉は対生し、長さ4~9㎝の卵形~楕円状披針形。葉先は尖り、基部は広い楔形、縁には鋭い鋸歯があり、星状毛が多い。葉の両面に単毛と星状毛が生え、裏側の葉脈に沿って、長い粗毛や小さな腺点もある。ただし、葉の形や毛の量には変異が多い。葉柄は短く6㎜以下、長毛と星状毛が密生する。葉の基部に線形の托葉が生えるのが特徴である。ただし、落ちてしまうことも多い。直径3~7㎝の散房花序に白色の小花を多数つける。花冠は直径約5㎜で、先は5裂し、平開する。雄しべ5個。花序柄にも星状毛が多い。果実は長さ5~7㎜の卵球形の核果、赤色に熟す。核は長さ5~7㎜。花期は4~5月。
 葉の表面がほぼ無毛でやや光沢があるもをテリハコバノガマズミという。これを母種としたり又は var. erosum とし、毛のあるものを var. punctatum とすることもあったが、コバノガマズミにテリハコバノガマズミ を含めるのが普通である。イヌガマズミは中国地方や九州に分布し、葉が大きく、星状毛が少ないもの。

14-1 Viburnum erosum Thunb. f. aurantiacum Hayashi タカオコバノガマズミ 高尾小葉の莢蒾

 果実が橙黄色に熟すのもの。

14-2 Viburnum erosum Thunb. f. sikokianum (Koidz.) H.Hara シコクガマズミ 四国莢蒾

14-3 Viburnum erosum Thunb. f. taquetii (H.Lev.) Sugim. サイゴクガマズミ 西国小葉の莢蒾

  synonym Viburnum erosum Thunb. var. taquetii (H.Lev.) Rehder
 葉が細長い卵状披針形、縁に粗い欠刻状の鋸歯があるもの。

14-4 Viburnum erosum Thunb. f. xanthocarpum (Sugim.) H.Hara キミノコバノガマズミ 黄実の小葉の莢蒾

 果実が黄色に熟すもの。

15 Viburnum erubescens Wall. ex DC. ビブルヌム・エルベスケンス
 中国(甘粛省、貴州省、湖北省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー原産。中国名は红荚蒾 hong jia mi。標高(1500~)2400~3500mの森林、低木林に生える。
 落葉低木または小高木、高さ6mまで。樹皮は淡褐色。当年小枝は星状毛があるかまたは無毛。 前年の小枝は灰褐色または帯灰白色、円柱形、無毛、まばらに小さな丸い皮目を散在する。冬芽は卵状長円形で、2対の離れた鱗片がある。鱗片は赤褐色、星状毛があり、先は鋭形。葉は常に対生し、小枝の先端に集まらない。托葉は無い。葉柄は紫色で丈夫、長さ1~2.5㎝、星状毛があるかまたは無毛。葉身は若いうちは緑色、楕円形または長円状披針形~狭長円形、まれに卵状心形、またはわずかに倒卵形、長さ(2~)6~14㎝×幅1~9㎝、紙のような、中脈および側脈に背軸に星状の思春期があり、向軸に無毛 または正中静脈に思春期、中静脈は背軸方向に隆起、側脈は4~9対、羽状、わずかにアーチ形、分枝し、大部分が歯で終わる、下面に隆起、上面に凹み、細脈は横方向、両面にわずかに凹み、分裂せず、基部は楔形または鈍形~円形または心形で、腺はなく、縁は基部を除いて小鋸歯があり、先は尖鋭形または鋭形~鈍形。花は葉の展開と同時に現れる。花序は円錐花序、短い小枝の先端に1対の葉とともに出て、通常うなずき、長さ(5~)7.5~10㎝×幅3~4㎝、花序枝(ray)は対生し、十字対生。花序の最初の節には2本の花序枝があり、緩く、星状毛があるかまたは無毛で、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ2~6㎝。苞は早落性、葉状、帯赤色、線形~線状披針形、無毛。小苞は直形。花は1次から3次までの花序枝につき、香りがあり、無柄または短い小花柄がある。萼は帯赤色。萼筒は長さ2.5~3㎜、通常は無毛、ときに小さな赤褐色の腺がある。萼裂は卵状三角形、非常に小さく、長さ約0.5㎜、無毛または星状毛があり、先は鈍形。花冠は白色で外側がピンク色、またはピンク色、高杯形(hypocrateriform)、直径約8㎜、無毛。花冠筒部は長さ5~6㎜、花冠裂片は広がり、卵形、長さ2~3.5㎜、先は円形、縁は全縁。 雄しべは花冠より短く、花冠筒部の頂部につく。花糸は非常に短い。葯は黄白色、わずかに突き出し、長さ約1mm。花柱は萼片を超える。柱頭は頭状。果実は赤紫色に成熟し、後に黒色を帯び、楕円形、長さ6.5~8.5㎜×幅4.5~6㎜、基部は丸く、先は丸く、無毛。核は扁平、倒卵形、長さ7~9㎜×幅4~5㎜、腹側に幅の広い深い溝が1本あり、先は丸い。花期は4~6月。果期は8月。2n=48, 64。
品種) 'Foster' , 'Lloyd Kenyon' , 'Milke Danda' , 'Ward van Teylingen'

16 Viburnum farreri Stearn ビブルヌム・ファレーリ
 中国(甘粛省、青海省、新疆ウイグル自治区。 甘粛省、河北省、河南省、青海省、山東省)原産。中国名は香荚蒾 xiang jia mi。別名はニオイガマズミ。標高1600~2800mの森林に生える。広く栽培されている。
 落葉低木、高さ5mまで。樹皮は灰褐色。当年の小枝は緑色、無毛。前年の小枝は赤褐色、後に灰褐色または灰白色になり、円柱形、無毛、まばらに小さな丸い皮目を散在する。冬芽は楕円形、2~3対の離れた鱗片があり、鱗片は赤褐色、縁毛があり、先は鋭形。葉は常に対生し、葉は常に対生し、小枝の先端に集まらない。托葉は無い。葉柄は紫色で丈夫、長さ(1~)1.5~3㎝、若い時は上面の縁に毛がある。葉身は若いうちは紫緑色、楕円形または菱状倒卵形、長さ4~8㎝×幅1~2.5㎝、紙質、下面の葉脈の上にわずかに毛あり、若いうちは上面にまばらに細くて短い毛があり、後に両面とも無毛になるが、脈腋に星状毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は5~7対、羽状、真っ直ぐまたはわずかにアーチ状、分岐し、歯で終わり、下面に隆起し、上面で凹み、細脈は横向き、目立たないか、両面でわずかに凹み、分裂せず、基部は楔形~広楔形、腺はなく、縁は基部を除いて三角状鋸歯があり、先は鋭形。花は葉の展開より先に現れる。花序は円錐花序、新しい葉を生じる短い小枝の先につき、長さ3~5㎝×幅2.5~3.5㎝。花序枝は対生し、十字対生。花序の最初の節には2本の花序枝があり、多数の花がつき、若いときはまばらに毛があり、無毛になり、大きな不稔の装飾花は無い。 花が開いたばかりのときの花序柄は非常に短く、後に徐々に伸びる。苞は早落性、葉状、帯赤色、線状披針形、縁毛があり、無毛。小苞は線形。花は1次から3次までの花序枝につき、香りがあり、無柄。 萼は赤みを帯び、萼筒は筒状倒円錐形、長さ約2㎜、無毛。萼片は卵形、非常に小さく、長さ約0.5㎜、無毛、先は鈍形。 花冠はつぼみの時はピンク色、開くと白色、高杯形、直径約1㎝、無毛。花冠筒部は長さ7~10㎜、上部がわずかに広がる。花冠裂片は広がり、広卵形、約・長さ4㎜×幅3㎜、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠より短く、花冠筒部の中央より上に通常異なる高さでつく。花糸は非常に短いかまたは無い。葯は黄白色、ほぼ球形、直径約1.5㎜。花柱は萼片を超えない。柱頭は3裂。果実は最初は黄色になり、赤紫色を帯びた長円形に熟し、長さ8~10㎜×幅約6㎜、基部は丸く、先は丸く、無毛。核は扁平、長円形、約・長さ7㎜×幅5㎜、腹側に深い溝が1本あり、先は丸い。花期は4~5月。果期は6~7月。2n=16, 32。
品種) 'Album' , 'Bowles's Variety' , 'Candidissimum' , 'December Dwarf' , F13 , 'Farrer's Pink' , 'Fioretta' , 'Joni' , 'Nanum'

17 Viburnum foetidum Wall ビブルヌム・フォエティヅム
 中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)、台湾、インド(アッサム)、ブータン、バングラディシュ、ラオス、ミャンマー、タイ原産。中国名は臭荚蒾 chou jia mi。標高600~3100mの森林、低木林に生える。
 落葉性、直立性またはつる性の低木、高さ4mまで。樹皮は淡褐色。当年の小枝は黄褐色の星状毛がある。前年の小枝は紫褐色、円柱形、無毛で、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は長円形、2対の離れた鱗片があり、鱗片は卵状披針形、星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先端に集まらない。托葉はしばしば無い。葉柄は赤紫色、丈夫、長さ5~10㎜、星状毛があり、葉身は若いときは褐色がかった緑色、卵形~楕円形~長円形または倒卵形、長さ4~10㎝×幅1.5~2.5㎝、紙質~厚い紙質、下面は中脈および側脈上に星状毛があり、まれに密な星状綿毛があり、上面は中脈上に密に毛あるが、他の部分は無毛、中脈は下面に隆起し、側脈は2~4対あり、最下位の対はしばしば葉身の上部まで伸び、したがって三行脈(triplinerved)となり、羽状、アーチ状、分岐し、歯で終わり、下面に顕著に隆起し、上面にわずかに凹み、 細脈は横向きで、下面に顕著に隆起し、上面でわずかに凹み、分裂はないか、またはときにほぼ3裂し、基部は楔形~円形、基部近くの中脈の両側に0または1個の円形の腺体があり、縁はほぼ全縁または大きな歯があり、先は鋭形~短い尖鋭形。葉の展開後に花が現れる。花序は側枝の先端に直径5~8cmの散形花序状の集散花序を形成する。花序枝は輪生する。花序の最初の節には4~8本の花序枝があり、密に星状毛と赤褐色の腺点があり、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ(0.5~)2~5㎝。苞と小苞は遅い脱落性または宿存性、葉状、緑色、線状披針形、まばらに毛がある。花は通常二次の花序枝につき、香りはなく、短い小花柄があるかまたは無柄。萼は緑色。萼筒は筒形、長さ約1.5㎜、星状毛がある。萼片は卵状三角形、非常に短く、長さ約0.3㎜、星状毛があり、先は鋭形。花冠は白色、車形、直径約5㎜、まばらに毛がある。花冠筒部は長さ2~2.5㎜。花冠裂片は広がり、円状卵形、長さ約1.5㎜、花冠筒部を超え、先は円形、縁には非常に微細な腺のある縁毛がある。雄しべは花冠と等しいかわずかに超え、花冠の基部につく。花糸は長さ約3㎜。葯は黄白色の楕円形で、長さ1㎜未満。花柱は萼片を超える。柱頭は頭状。果実は赤色に熟し、卵状楕円形、扁平、長さ6~8㎜×幅4~5㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。核は扁平、楕円形、約・長さ6㎜×幅4㎜、背側に2本の浅い溝と腹側に3本の浅い溝があり、先は丸い。花期は5~8月。果期は8~10月。2n=16。
品種)  'Contentin'
17-1 Viburnum foetidum var. foetidum
 中国(西蔵)、インド(アッサム)、ブータン、バングラディシュ、ラオス、ミャンマー、タイ原産。中国名は臭荚蒾 chou jia mi。標高1200~3100mの森林縁辺の低木林に生える。
 小枝は明らかに伸びない。葉は卵形~楕円形~長円状菱形、縁は浅い歯があるかまたは全縁。花序柄は長さ(0.5~)2~5cm。

17-2 Viburnum foetidum var. ceanothoides (C.H.Wright) Hand.-Mazz.

 中国(貴州省、四川省、雲南省)に分布。中国名は珍珠荚蒾 zhen zhu jia mi。標高900~2600mの密林、低木林に生える。
 小枝は±長い。葉は倒卵形で、上部の縁には大きな歯がある。花序柄は長さ1~2.5(~8)㎝。

17-3 Viburnum foetidum Wall. var. rectangulatum (Graebn.) Rehder タイワンヨウゾメ

 中国(広東省、広西省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)、台湾原産。中国名は直角荚蒾 zhi jiao jia mi。標高600~2400mの森林、低木林に生える。
 小枝は長い。葉は卵形~楕円形~長円状菱形で、縁は浅い歯があるかまたは全縁。花序柄は非常に短く長くても2cmまで、または無い。2n=18。

18 Viburnum formosanum (Hance) Hayata タカサゴガマズミ 高砂莢蒾

  synonym Viburnum luzonicum Rolfe var. formosanum (Hance) Rehde

 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、湖南省、江西省、四川省、浙江省)、台湾原産。中国名は台中荚蒾 tai zhong jia mi。標高100~1100mの森林、低木林に生える。
 落葉性の低木または小高木、高さ4mまで。樹皮は淡褐色。当年の小枝は密に黄褐色の星毛がありまたは無毛。前年の小枝は灰黒色、円柱形、無毛、まばらに小さな丸い皮目を持つ。冬芽は卵形で、2対の離れた鱗片があり、鱗片は黄褐色の星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、細く、長さ5~15㎜、まばらまたは密な星状の思春期。 葉身は若いうちは緑色、卵形、長さ5~10㎝×幅3~5㎝、厚い紙質、下面の中脈と側脈の上ににまばらに伏毛があり、脈腋にまばらに星状毛があり、上面は光沢があり、まばらに中脈の上にだけ伏毛があり、中脈は下面に盛り上がり、側脈は7~8対あり、羽状、真っ直ぐまたはわずかにアーチ形になり、まれに分岐し、歯で終わり、下面に顕著に盛り上がり、上面で凹み、細脈は横向き、下面にわずかに盛り上がり、上面で凹み、葉は分裂せず、基部は円形、またはわずかに心形 、基部近くの中脈の両側に0または1個の円形の腺体があり、基部を除いて縁には鋸歯があり、先ほ急に尾状になる。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序で、短い側枝の先端につき、1対の葉をもち、直径 3~4㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節には4または5本の花序枝がつき、密集し、疎または密に星状毛がありで、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ1~1.5㎝。苞と小苞は早落性、葉状、緑色、披針形、毛がある。花は二次の花序枝につき、香りはなく、短い小花柄がある。萼は黄緑色。萼筒は筒状、長さ約1.5㎜、星状毛があるかまたは無毛。萼片は広卵形、長さ約0.5㎜、縁毛があり、先は鈍形。花冠は白色、車形、 直径約4.5㎜、無毛。花冠筒部は長さ約1㎜。花冠裂片は広がり、倒卵形、長さ約1.5㎜、筒部を超え、先は円形、縁はわずかにギザギザになる。雄しべは花冠と同長かそれよりわずかに長く、花冠の基部につく。花糸は長さ約2.5㎜。 葯は黄白色、楕円状卵形、長さ約0.7㎜。花柱は萼片を超える。柱頭は頭状。果実は卵形、赤色に熟し、長さ約8㎜、基部は丸く、頂点は丸く、無毛。核は扁平、長円形、長さ約6㎜、背側に浅い溝が2本、腹側に浅い溝が3本あり、先は丸い。花期は4~5月。果期は8~10月。

19 Viburnum furcatum Blume ex Maxim. ムシカリ
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、ロシア原産。標準和名のムシカリより別名オオカメノキでよく呼ばれる。山地に生える。
 高さ3~6m。幹は暗灰褐色。葉は対生し、長さ6~20㎝の円形~広卵形、基部は心形。葉脈は裏面に出っ張って目立ち、縁の鋸歯は不揃い。葉裏と葉柄には星状毛が生え、葉表は無毛。枝先に散房花序をつける。花序は枝分かれし、中心部には小さな両性花、周りに大きな装飾花をつける。装飾花は5裂し、裂片はほぼ同じ大きさ。果実は長さ8~10㎜、広惰円形、夏の終りから秋(8~10月)に赤く熟し、次第に黒くなる。核は長さ6~7㎜、1本の縦溝がある。花期は4~6月。
品種) 'Pink Parasol'

20 Viburnum grandiflorum Wall. ex DC. ビブルヌム・グランディフロルム
 中国(西蔵)、インド、ブータン、ネパール、パキスタン原産。中国名は大花荚蒾 da hua jia mi。標高2800~4300mの森林に生える。
 落葉性の低木または小高木、高さ5mまで。 樹皮は灰褐色。当年の小枝は緑色、無毛、またはときに毛がある。前年の小枝は灰色または褐色で、小柱状(trabeculate)で無毛で、まばらに小さな丸い皮目が散在する。冬芽は楕円形で、2~3対の離れた鱗片があり、鱗片は赤褐色、縁毛があり、先は鋭形。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は紫色で丈夫、長さ1~1.5cm、まばらに星状毛があるかまたは無毛。葉身は若いときは紫緑色、楕円形~長円形、稀に楕円形または倒卵形~楕円形、長さ6~10×幅2.5~4cm、紙質、下面に密に毛があり、上面にまばらに毛があり、後に毛は脈上と下面の脈腋のみになり、中脈は下面に隆起し、側脈は6~10対あり、羽状、真っ直ぐまたはわずかにアーチ形になり、分岐し、歯で終わり、下面に隆起し、上面で凹み、細脈は横方向、不明瞭か、両面にわずかに凹み、葉の分裂はなく、基部は楔形で、腺はない、 縁は基部を除いて円鋸歯状の鋸歯があり、先は尖鋭形。花は葉の展開より先に現れる。花序は円錐状花序、葉のない短い枝の先に密集しつき、長さ2~7㎝×幅3~4㎝。花序枝は対生し、十字対生。花序の最初の節には2本の花序枝がつき、緩く、絹毛があり、大きな不稔性の装飾花はなく、卵形~円状卵形の鱗片で囲まれる。外側の鱗片はほぼ葉状で、長さ約1㎝まで、濃い褐色、有毛または無毛。内側の鱗片は両面の縁に綿毛があり、花序が開くと鱗片は脱落する。花が開いたばかりのときの花序柄は非常に短く、後に徐々に伸びる。苞は早落性、葉状、赤みを帯び、長円形~線形、長さ1㎝まで、最初は銀白色で、後に無毛になる。小苞は長楕円形~線形。花は1次から3次までの花序枝につき、香りがあり、無柄。萼は赤みを帯びる。萼筒は筒状、長さ約3㎜、無毛。萼片は三角形、小さく、長さ約1㎜、無毛、先は鈍形。花冠は外側がピンク色、内側が白色、高杯形、直径約1㎝、無毛。花冠筒部は長さ1㎝まで。花冠裂片は広がり、広卵形、長さ4~5㎜、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠より短く、花冠筒部の中央またはそれより上につき、通常は異なる高さになる。花糸は長さ約3㎜。 葯は黄色、楕円形、長楕円形、長さ約2㎜。花柱は萼片を超える。柱頭は円盤形、2裂する。果実は最初は黄色に変わり、帯紫赤色、楕円形または長円形に熟し、約・長さ12㎜×幅8㎜、通常1個の花序だけが成熟し、基部は丸く、先は丸く、無毛。核はわずかに扁平、長円形、長さ9~11㎜×幅5~6㎜、腹側に深い溝が1本あり、先は丸い。花期は5月。果期は6~7月。2n=16。
品種) 'De Oirsprong' , 'Snow White'

20-1 Viburnum grandiflorum f. foetens (Decaisne) N. P. Taylor & Zappi

 インド、ネパール、パキスタンに分布する。
 純白またはピンクがかった花冠を持つ無毛の形態の品種。中国に分布するのは f. grandiflorum のみ。
品種) 'Desmond Clarke'

21 Viburnum henryi Hemsley ビブルヌム・ヘンリー
 中国原産(福建省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、江西省、陝西省、四川省、浙江省)。中国名は巴东荚蒾 ba dong jia mi。標高900~2600mの 鬱蒼とした森林、湿った草の茂った斜面に生える。
 常緑または半常緑の低木または小高木、高さ7mまで。樹皮は淡褐色。 当年の小枝は紫褐色または緑色で無毛。前年の小枝は灰褐色で、円柱形、無毛で、小さな丸い皮目が散在sる。冬芽は長円形で、2対の離れた鱗片があり、鱗片は黄色の星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色または帯赤色、丈夫で、長さ1~2㎜、無毛。 葉身は若いうちは紫緑色、倒卵形~長楕円形~長楕円形、または狭い長楕円形、長さ5~10(~13)㎝×幅2~4㎝、ほぼ皮質、下面の脈腋に星状毛があり、脈腋に鳥足状の穴(pedate holes)があり、上面は無毛で光沢があり、中脈は下面に隆起し、側脈は5~7対、羽状、わずかにアーチ形になり、まれに分岐し、部分的に歯で終わり、下面に隆起し、上面で押し込まれ、細脈は横方向、両面で目立たず、葉の裂片はなく、基部は楔形~円形 、腺はなく、中央から上の縁には鋸歯があり、先は鋭形~尖鋭形。葉の展開後に花が現れる。花序は円錐花序、頂生、長さ4~9㎝×幅5~8cm。 花序枝は対生し、十字対生。花序の最初の節には2本の花序枝がつき、緩く、無毛で、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ2~4㎝、細い。苞と小苞は遅い脱落性、または宿存性で目立ち、葉状、緑白色、線条披針形、無毛。花は2次および3次の花序枝につき、香りがあり、無柄。萼は赤色を帯びる。萼筒は筒形~倒円錐状筒形、長さ約2㎜、無毛。萼片は広三角形、長さ約1㎜、無毛、先は鈍形。花冠は白色、車形、直径約6㎜、無毛またはほぼ無毛。花冠筒部は長さ約1㎜。花冠裂片は広がり、卵状円形、長さ約2㎜、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠裂片と同じかわずかに超え、花冠筒部の頂部につく。花糸は長さ約2㎜。葯は黄白色、長円形、長さ約1mm。花柱は萼片とほぼ同長。柱頭は頭状。果実は最初赤くなり、紫黒色、楕円形に熟し、長さ8~9㎜×幅約6㎜、基部は丸く、頂点は丸く、無毛。核はわずかに扁平、楕円形、長さ7~8㎜×幅約4㎜、腹側に深い溝があり、先は丸い。花期は6月。果期は8~9月。2n=48。

22 Viburnum integrifolium Hayata ニイタカホソバガマズミ 新高細葉莢蒾

  synonym Viburnum foetidum Wall. var. integrifolium (Hayata) Kaneh. et Hatus.

 台湾原産。中国名は全叶荚蒾 quan ye jia mi。標高1600~2000の山地に生える。
 落葉低木、高さ4mまで。樹皮は淡褐色。 当年の枝は灰褐色、四稜形、帯黄色の星状毛があり、無毛になり、小さな皮目を持つ。前年の小枝は灰黄色、円柱形、無毛、まばらに小さな丸い皮目を持つ。冬芽は長円形で、2対の離れた鱗片があ、鱗片は卵状披針形、無毛になる。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ5~10㎝、星状毛がある。葉身は若いうちは緑色、乾燥すると黒褐色、長楕形または長円状披針形~線状披針形、長さ5~11㎝×幅1.5~2.8㎝、厚い紙質、下面に小さな褐色の点が散在し、両面とも無毛、中脈は下面に隆起し、側脈は4~6対、羽状、弓状になり、まれに分岐し、縁近くで吻合し、下面に隆起し、上面で押し込まれ、細脈は横向き、下面にわずかに隆起し、上面で押し込まれ、葉は分裂せず、基部は楔形、腺はなく、縁は不規則に波状になり(repand)、歯状ではなく、先は急に狭くなり、長い尾状になる。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序で、頂生または枝の先端につき、直径2.5~5㎝、1対の葉を持つ。花序枝は輪生する。花序の最初の節に5本の花序枝がつき、花序枝は様々な次数であり、細く、密で、星状毛があり、赤褐色の腺点があり、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ2~2.5㎝。苞と小苞は早落性、緑色、線状披針形、膜質、無毛。 花は2次および3次の花序枝につき、香りはなく、長い小花柄があるかまたは無柄。萼は緑色。萼筒は筒形、長さ約1㎜、赤茶色の腺点がいくつかある。萼片は卵形、長さ約0.8㎜、無毛、先は鋭形。 花冠は白色、車形、直径約4㎜、無毛。花冠筒部は長さ約1mm。花冠裂片は広がり、卵形、長さ約1.2㎜、筒部を超え、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠の下にあり、花冠の基部につく。花糸は長さ約3㎜。葯は黄白色、広楕円形、長さ約1mm。花柱は萼片を超えない。柱頭は頭状。果実は赤色の卵形に熟し、長さ7.5㎜、基部は丸く、頂点は丸く、無毛。核は扁平、卵形、約・長さ6㎜×幅4㎜、背側が隆起し、腹側がわずかに窪んでいて、先は丸い。花期は6月。果期は8~9月。

23 Viburnum japonicum (Thunb.) Spreng. ハクサンボク 白山木

  synonym Viburnum japonicum (Thunb.) Spreng. var. fruticosum Nakai コハクサンボク

 日本(本州の山口県、伊豆半島、伊豆諸島、九州、沖縄)、台湾原産。中国名は日本莢迷 ri ben jia mi。英名はJapanese viburnum。別名はイセビ。沿海地の林内に生える。
 常緑低木~小高木、高さ2~6m。幹は灰黒色。全体に無毛。葉柄は長さ2~3㎝、普通、赤紫色を帯び、腺点がある。托葉はない。葉は対生し、広卵形、長さ5~20㎝、幅4~15㎝の菱状卵形~菱状倒卵形、先が短く尖り、基部は広楔形、革質。葉縁は上部に粗い浅鋸歯。葉表は緑色、光沢があり、葉裏は細かい腺点が多数あり、基部に大きな腺点が2~3個ある。新枝の先に直径6~15㎝の散房花序をつける。花序の柄は長さ1~4㎝、基部に1~2対の葉がつく。花は多数つき、白色、悪臭がある。花冠は直径5~8㎜、5深裂し、平開し、裂片は長さ2~3㎜の卵形~惰円形。雄しべは5個、裂片より短い。子房は長さ1~2㎜。花柱は短い。萼片は5個、小さく、三角形。苞は長さ1~2㎜、線形、早落性。核果は長さ7~9㎜の惰円形、10~12月に赤色に熟す。核は長さ約7㎜の惰円形。花期は3~5月。
品種) 'Variegatum'

24 Viburnum koreanum Nakai ヒロハガマズミ 広葉莢蒾
 日本(北海道)、朝鮮、中国(吉林省)原産。中国名は朝鲜荚蒾 chao xian jia mi。標高約1400mの針葉樹林、林縁に生える。
 落葉低木、、高さmまで。樹皮は淡褐色。当年小枝は緑褐色、後に灰褐色、無毛。 前年の小枝は灰褐色、円柱形、無毛、まばらに小さな丸い皮目を散在する。冬芽は卵形、一対の合着した鱗片があり、鱗片は無毛。葉は常に対生し、小枝の先端に集まらない。托葉は2個、錐形。葉柄は緑色、細長く、長さ0.5~2(~2.5)㎝、まばらに毛があり、無毛になる。葉身は若いうちは緑色、ほぼ円形または広卵形、長さ3~13㎝×幅2~10㎝、紙質、下面に微小な腺点があり、葉脈上および脈腋に帯黄色の毛があり、若いときは上面は無毛またはまばらに毛があり、無毛になり、下面に中脈が隆起し 、3~5掌状脈があり、脈は真っ直ぐまたはわずかにアーチ形になり、分岐し、歯で終わり、下面に顕著に隆起し、上面で凹み、細脈は横方向で、下面にわずかに隆起し、上面で凹み、葉は3(~5)裂、ときに枝の先の葉は分裂せず、基部は円形~切形または浅い心形、葉柄の近くの両側に腺体が1個あり、縁は不規則な歯があり、葉の先は鋭形。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序で、短い枝の先につき、直径2~4㎝、1対の葉をもつ。花序枝は輪生する。花序の最初の節には5~7本の花序枝がつき、密集し、花が5~30個つき、無毛で、しばしば微細な腺点があり、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ1.5~4㎝、細い。苞と小苞は早落性、葉状、緑色、線状披針形、無毛。 花は一次の花序枝につき、香りはなく、短い小花柄がある。 萼は緑色。萼筒は倒円錐形、長さ約1㎜、無毛。 三角形の葉、長さ約0.6㎜、無毛、先端は鈍形。 花冠は白色、車形、直径6~8㎜、無毛。花冠筒部は長さ約1.2㎜。花冠裂片は広がり、卵形~楕円形、長さ2.5~3㎜、筒部を超え、先は円形、縁は全縁。 雄しべは花冠より短く、花冠の基部近くにつく。花糸は長さ1~1.3㎜。葯は黄白色の楕円形、長さ0.6~0.8㎜。 花柱は萼片をわずかに超える。柱頭は2裂。果実は黄赤色または暗赤色に熟し、ほぼ楕円形、長さ7~11㎜×幅5~7㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。核は卵状長円形、約・長さ7㎜×幅5.5㎜、背側に2本の浅い溝と腹側に1本の広い溝があり、先は丸い。花期は6~7月。果期は8月~9月。

25 Viburnum luzonicum Rolfe ルソンガマズミ
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、江西省、雲南省、浙江省)、台湾、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は吕宋荚蒾 lü song jia mi。標高100~700mのまばらな森林、低木林、道端に生える。
 落葉性の低木または小高木。高さ3mまで。樹皮は淡褐色。 当年の小枝は黄褐色の星状毛がある。前年の小枝は暗紫褐色で、円柱形、まばらに星状毛があり、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は卵状長円形で、2対の離れた鱗片がある、鱗片は黄褐色の星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、細く、通常長さ3~10(~15)㎜、黄褐色の星状毛がある。葉身は若いときは黄緑色、卵形、楕円状卵形、または卵状披針形~長円形、ときにはほぼ菱形、長さ4~9(~11)㎝×幅 2~5㎝、紙質~厚い紙質、下面にまばらに星状毛またはフォーク状の毛があり、上面は中脈上に透明な腺点とフォーク状の毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は5~9対あり、羽状、真っ直ぐまたはわずかにアーチ形になり、まれに分岐し、歯で終わり、下面に顕著に盛り上がり、上面で凹み、細脈は横方向で、下面にわずかに盛り上がり、上面で凹み、分裂せず、基部は広い楔形~ほぼ円形、基部近くの中脈の両側に0~2個の円形の腺体があり、縁には鋸歯があり、縁毛があり、先は尖鋭形~鋭形。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序で、通常は短い側枝の先につき、一対の葉をもち、または枝の頂部にあり、直径は3~5cm。花序枝は輪生する。花序の最初の節には5本の花序枝があり、密な黄褐色の星状毛があり、またはフォーク状または単純な毛が混在し、大きな不稔の装飾花はない。花序柄は通常非常に短いか、ほとんど無いが、まれに長さ1.5㎝になる。苞と小苞は脱落性、葉状、緑色、披針形、毛がある。花は3次と4次の花序枝につき、香りはなく、無柄または短い小花柄がある。萼は黄緑色。萼筒は卵状円形、長さ約1㎜、黄褐色の星状毛がある。萼片は卵状披針形、長さ約0.5㎜、縁毛があり、先は鈍形。花冠は白色、車形、直径4~5㎜、外側は星状毛がある。花冠筒部は長さ約1.5㎜。花冠裂片は広がり、卵形、筒部を越え、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠より短いかわずかに長く、花冠の基部につく。花糸は長さ約2㎜。葯は黄白色、広楕円形、長さ約0.8㎜。花柱は萼片をわずかに超える。柱頭は不明瞭に3裂する。果実は赤色に熟し、卵形、長さ5~6㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。核は強く扁平、卵形、長さ4~5㎜×幅3~4㎜、背側に3本の浅い溝と腹側に2本の浅い溝を持ち、基部は切形、先は鋭形。花期は4~6月。果期は8~10月。

26 Viburnum lantana L. ランタナガマズミ
 ヨーロッパ、西アジア、コーカサス、北アフリカ原産。英名はmealytree , twistwood , wayfaring-tree。ときに栽培したものが逸出する。
 低木、高さ5mまで。若い茎、葉柄、および下部表面には細かく、緩く、灰色の星状毛がある。葉柄は長さ1~3㎝。葉は長円形~卵形、長さ5~12㎝、先は鋭形または鈍形、縁に細かい鋸歯があり、基部は円形または心形。集散花序は短い花序柄があり、約7本の花序枝が放射状につく。花冠は幅5~8㎜。果実は核果、赤色、後に暗色に熟し、直径8~10㎜。核は両側に溝がある。2n=18。花期は6月。
品種) 'Aureum' , 'Aureum' , 'Candy' , 'Discolor' , 'Gold Edge' , 'Lanceolatum' , 'Macrophyllum' , 'Mohican' , 'Rugosum' , 'Variefolium'(v) , 'Variegatum' (v) , 'Versicolor' , 'Xanthocarpum'

27 Viburnum lentago L. ビブルヌム・レンタゴ
 USA、カナダ原産。英名はblack haw , nannyberry , sheepberry , sweet viburnum。広葉樹林の開口部、沼地、沼地、湿った牧草地、湖畔、川岸に生える。
 落葉低木または小高木、通常、直立し、高さ3~7.5(9)m、幅1.8~3.6mになる。茎の下部は直径14㎝までになる。下部の樹皮は濃い灰色になり、深い市松模様の溝ができる。小枝は灰褐色で細くて真っすぐ。葉は単葉、対生し、葉柄は長さ1.3~3.1㎝、不規則な翼がある。葉身は披針状楕円形~楕円形、長さ5~10㎝×幅3.1~5.6㎝、先は急に長く尖り、鋭形、基部は円形、縁には短く鋭い細かい歯が密にあり、上面は濃緑色、光沢があり、下面は淡色、ほぼ平滑か小さなフケ状鱗片に覆われる。当年枝の先に頭が平らな集散花序をつけ、花序は直径5~10(12.5)㎝、香りのない小さな白色の花を密に多数つける。花序軸は無毛で緑色~赤色になる。花はクリーム白色で直径約6㎜。萼は短い萼筒と5個の小さな三角形の萼片がある。花冠は鐘形~受け皿形、裂片は5個、円形で広がる。雄しべは5本あり、花筒の口をはるかに超えて伸びる。葯は黄色。中央には、短い花柱が1個ある。果実はわずかに扁平な楕円形、多肉質の液果状の核果で、長さ8~13㎜、緑色から紫赤色に変化し、その後、青黒色に熟す。種子は1個含まれる。花期は5~6月。
品種) 'Deep Green' , 'Homefree' , 'Sphaerocarpum'

28 Viburnum macrocephalum Fortune ビブルヌム・マクロケファルム
 中国(安徽省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、浙江省)原産。中国名は绣球荚蒾 xiu qiu jia mi 。英名はChinese snowball。標高400~1000mの森林、山の斜面の藪に生える。普通に栽培されている。
 落葉または半常緑の低木、高さ4mまで。樹皮は灰褐色または灰白。 当年の小枝は密に灰白色または黄白色の星状毛があり、無毛になる。前年の小枝は灰褐色または灰白色、円柱形、無毛で、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は裸で、密に灰白色または黄白色の星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。 托葉は無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ1~1.5cm、灰白色または黄白色の星状毛がある。葉身は若いうちは緑白色、卵形~楕円形または卵状楕円形、長さ5~11㎝×幅2~5㎝、紙質、下面に星状毛があり、上面は最初は密に星状毛があり、後に中脈の上のみ星状毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は5~6対あり、羽状、弓形になり、分枝し、縁付近で吻合し、下面に隆起し、上面でわずかに窪み、細脈は横向き、下面にわずかに隆起または不明瞭、上面では目立たない、葉は分裂せず、基部は円形、またはときにわずかに心形で、腺はなく、縁は歯があり、先は鈍形またはわずかに鋭形。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生、直径8~15㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節には5本の花序枝がつき、密で、灰白色または黄白色の星状毛があり、全体が大きな不稔の花、または8~18個の大きな不稔の放射状の花を持つ稔性の花で構成される。花序柄は長さ1~2cm。 苞は早落性、葉状、緑色、線状披針形、星状毛がある。小苞は線形。 花は3次の花序枝につき、香りはなく、無柄かまたは短い小花柄がある。不稔の花:萼は稔性の花に似ている。花冠は白色、車形、直径1.5~4cm、無毛。花冠裂片は円状倒卵形、先は円形。雄しべと雌しべが発達していない。稔性の花: 萼は帯緑色。萼筒は筒状、長さ約2.5㎜、無毛。萼片は長円形、小さい、長さ約2㎜、萼筒とほぼ同長、無毛、先は鈍形。花冠は白色、車形、直径10~12㎜、無毛。花冠筒部は長さ約1㎜。花冠裂片は広がり、円形倒卵形、長さ約2㎜、筒部より長く、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠裂片よりわずかに高く、花冠筒部の基部近くにつく。花糸は長さ約3㎜。葯は黄色、ほぼ球形、小さい。花柱は萼片をわずかに上回るか、それに等しい。柱頭は頭状。果実は最初は赤くなり、黒色になり、楕円形になり、長さ約12㎜、基部は丸く、先は丸く、無毛。核は扁平、長円形、長さ10~12㎜×幅6~8㎜、背側に2本の浅い溝と腹側に3本の浅い溝があり、先は丸い。花期は4~5月。果期は9~10月。2n=18。
品種) 'Sterile'

29 Viburnum mongolicum (Pall.) Rehder イワガマズミ 岩莢蒾
 中国(甘粛省、河北省、河南省、内モンゴル、寧夏、青海省、陝西省、山西省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は蒙古荚蒾 meng gu jia mi。標高800~2700mのまばらな森林に生える。
 落葉低木、高さ2mまで。樹皮は灰色がかった黄色。 当年の小枝は黄白色の星状綿毛がある。前年の小枝は黄白色、非常に丸く、無毛、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は裸で、黄白色の星状綿毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。 葉柄は緑色、丈夫、長さ4~10㎜、黄白色の星状綿毛がある。葉身は下面が灰緑色で、若いときは上面が黄緑色、広卵形~楕円形、まれにほぼ円形、長さ2.5~5(~6)㎝×幅1.5~3㎝、紙質、下面は星状毛があり、上面は星状毛または二股の毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は4~5対、羽状、弓状、分枝し、縁近くで吻合し、下面に隆起し、上面でわずかに押し込まれているか目立たず、細脈は横向き、両面とも不明瞭、分裂せず、基部は円形または楔形状円形、 腺はなく、縁には小円鋸歯があり、歯の先端は微突形、先は鋭形または鈍形。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生し、直径1.5~3.5㎝。花序枝は輪生する。花序の第1節は5本以下の花序枝を持ち、花は数個、黄白色の星状綿毛があり、大きな不稔性の装飾花は無い。花序柄は長さ5~10㎜。苞は早落性、葉状、緑色、線形~線状披針形、星状毛がある。 小苞は線形。花は主に一次花序枝につき、香りはなく、無柄。萼は帯緑色。萼筒は長円状筒形、長さ3~5㎜、無毛。萼片は広がり、非常に小さく、長さ0.5~1㎜、無毛、先は鈍形。花冠は黄白色、筒状鐘形、直径約3㎜、無毛。花冠筒部は長さ5~7㎜。花冠裂片は広がり、円状卵形、長さ約1.5㎜、筒部より短く、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠とほぼ同長で、花冠筒部の基部近くにつく。花糸は長さ約6㎜。葯は黄色、楕円形、長さ約2㎜。花柱は萼片よりも高い。柱頭は頭状。果実は最初は赤くなり、黒色になり、楕円形になり、長さ約1cm、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。核は扁平、長円形、約・長さ8㎜×幅5~6㎜、背側に2本の浅い溝と腹側に3本の浅い溝があり、先は丸い。花期は5~7月。果期は7~9月。2n=18(16)。

30 Viburnum nudum L. ビブルヌム・ヌドゥム
 USA原産。英名はpossum haw , smooth witherod。別名は風鈴ガマズミ、ビブルナム・ヌダム。
 落葉低木、高さ1~4m。茎は斜上または直立し、丸い。樹皮は平滑、剥離せず、褐色。枝は斜上し、小枝は褐色または灰色、無臭、円柱形、直径2~4㎜、平滑または皮目があり、無毛または無柄の褐色の鱗片をもちフケ状、中程度~密に先に分布し、腺は無い。髄は白色、連続し、節の隔壁はない。 樹液は半透明。芽 は頂芽と腋芽が存在し、茎に沿って散在し、頂芽は長くなる。芽鱗は2個あり、バルブ状で、無柄の赤橙色または褐色の鱗片でフケ状になり、全体に密にあり、腺は無い。葉痕は薄い三日月形。 維管束痕は3個。葉は対生し、単葉、螺旋状に配置され、節ごとに2枚つき、茎から散開する。托葉は無い。葉は葉柄があり、葉柄に溝があり、長さ0.3~1.5㎝、短くて分枝していない直立または開出した毛があり、または無柄鱗片でフケ状になり、中程度または密に、全体に分布し、無毛にならず、腺はない。 葉身は下面は薄緑色、上面は緑色、披針形または倒披針形または楕円形または長楕円形または卵形、左右対称、長さ2~13cm×幅1.5~5cm、紙質、基部は鋭形または楔状、縁は全縁または立体的(3-D) または円鋸歯状、波状、先は尖鋭形または鋭形。葉の下面は無毛またはフケ状で、無柄の赤橙色または褐色の鱗片があり、中程度に密で、全体に分布し、無毛にならず、腺は無い。葉の上面は無毛またはフケ状で無柄の赤橙色または褐色の鱗片がまばらに全体に分布し、腺は無い。花序は両性、複合、頂生の散形花序状の集散花序、褐色フケ状。花序柄は長さ0.8~3㎝、暗赤橙色の無柄の腺を持つ。苞は無柄、線状三角形、先は鋭形、尾状、フケ状で無柄の赤橙色または褐色の鱗片を伴い。中程度の密で、全体に分布し、腺はない。小苞は0または1個、花柄の基部または花柄の先端にあり、線状三角形、先は鋭形、フケ状、腺は無く、早落性。花は昨シーズンに形成され、両性、萼片と花弁は容易に区別でき、5数性、芳香は無い。萼は放射相称、筒形、萼片が融合し、宿存性。 萼片は5個、三角形、縁は全縁、先は鈍形、外面は無毛、腺は無い。 花冠は放射相称、花弁が融合し、脱落性、外芽と内面は白色。花弁は5個、長さ1.5~2㎜、縁は全縁、先は鋭形または鈍形、外面は無毛、腺は無く、内面は無毛、腺は無い。雌しべは合成心皮。心皮は1個、小室は3個で、2個は不稔、1個は稔性。柱頭は1個で、3裂し、子房の上の短い柱下体(stylopodium)の上につく。花柱は1本、短く、円錐形、無毛。子房は下位。胎座は中軸または側膜。雄ずい群は花冠着生(epipetalous)、突き出し、半茎状(haplostemous)。 雄しべは5本。葯は黄色、無毛、腺はない。花糸は真っすぐ、白色、無毛で、花弁の基部につく。果実は核果、暗青色、卵形、長さ6~10㎜×幅5~6㎜、無毛またはまばらに赤橙色または褐色の無柄の鱗片を持ち、全体に分布し、腺は無く、粉白色を帯びる。種子は1個、黄色、レンズ形、長さ5~6㎜×幅4~5㎜、無毛、腺は無く、小膿疱状。花期は5~7月。
品種) American withe rod , Brandywine = 'Bulk' , 'Bulk' , 'Callaway Large Leaf' , 'Callaway Small Leaf' , 'Count Pulaski' , 'Earth Shade' , 'Longwood' , 'Moonshine' , 'Pink Beauty' , 'Winterthur'

31 Viburnum obovatum Walter ビブルヌム・オブオバツム
 USA原産。英名はsmall-leaf viburnum , small viburnum , Walter's viburnum。日当たりの良い場所や森林地帯の池や沼などに生える。
 半常緑低木、寒冷地では落葉する。高さ3~4.5m、9mになることもある。幹が複数あることが多い。若い枝にはかなり赤みがかった毛羽立ちがある。葉は濃緑色、光沢があり、長さ2~5cm×幅1~3㎝、倒卵形~へら形で、先端に向かって最も幅が広くなる。花は非常に多数つき、小さくクリーム白色、香りがない。果実は楕円形で、最初は赤く、その後光沢のある黒色に熟す。花期は4月中旬~下旬。果期は秋。
品種)  'Densa' , 'Mrs. Schiller's Delight' , 'Reiflers Dwarf'.

32 Viburnum odoratissimum Ker Gawl. サンゴジュ 珊瑚樹 広義
  synonym Viburnum awabuki K.Koch
 日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン原産。中国名は珊瑚树 shan hu shu
品種) 'Emerald Lustre'

32-1 Viburnum odoratissimum Ker Gawl. var. awabuki (K.Koch) Zabel サンゴジュ 珊瑚樹

 日本(本州の関東南部以西、四国、九州、沖縄)台湾、フィリピン原産。中国名は日本珊瑚树 ri ben shan hu shu。沿海地に生える。和名は真っ赤な実が珊瑚のように見えることから。古くから防火樹とされ、生垣として植えられることが多い。
 常緑高木、高さ5~20m。幹は灰褐色。葉は対生し、長さ7~20㎝、幅4~8㎝の惰円形~長楕円形、厚い革質、全縁~低い波状鋸歯縁、先が尖り、基部は楔形。側脈は5~8対。葉表は光沢があり、葉裏に細かい腺点が密生し、脈腋に毛叢がある。葉柄は長さ1~3㎝、赤色を帯びる。花は長さ5~16㎝の円錐花序に多数つく。花冠は白色、長さ3~4㎜の鐘形、先が5裂し、直径6~8㎜。雄しべ5個、花冠から突き出る。果実は長さ7~9㎜の惰円形~卵形の核果、熟すと赤くなり、最後には黒くなる。核は長さ6~7㎜、深い縦溝が1本ある。2n=40。花期は6月。
品種) 'Chindo' , 'Emerald Lustre'

32-2 Viburnum odoratissimum Ker Gawl. var. odoratissimum タイワンサンゴジュ 台湾珊瑚树

 日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は珊瑚树 shan hu shu。
 葉柄が緑色。葉の側脈が4~6対。花冠が長さ2.5㎜より短い。2n=32。

32-3 Viburnum odoratissimum Ker Gawl. var. arboricola (Hayata) Yamam. ヤドリサンゴジュ

  synonym Viburnum arboricola Hayata
 台湾原産。台湾珊瑚树 tai wan shan hu shu。標高1500~2500mの森林に生える。
 葉柄は緑色。 葉身は鈍く、楕円形~長円形、紙質~ほぼ革質、側脈は6~9対。花序軸には帯褐色の星状毛がある。花冠は鐘形、花冠筒部は長さ約1.5㎜。

33 Viburnum oliganthum Batalin  ビブルヌム・オリガンスム
  synonym Viburnum stapfianum H. Leveille
 中国(貴州省、湖北省、四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は少花荚蒾 shao hua jia mi。標高1000~2200mの森林、低木林に生える。
 常緑低木または小高木、高さ6mまで。樹皮は灰褐色。 当年の枝は褐色で、丸い皮目がある。 前年の枝は灰褐色または黒色で、円柱形、無毛、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は長円形で、2対の離れた鱗片があり、鱗片は褐色、星状毛があり、先は鋭形。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は赤紫色、丈夫、長さ5~15㎜、星状毛があるかまたは無毛。 葉身は若いうちは緑色、上面は濃い緑色で光沢があり、倒披針形~線状倒披針形または倒卵状長円形、稀に倒卵形、長さ5~10(~13)㎝×幅(1.5~)2~3.5㎝、ほぼ革質または革質、ごくまれに厚い紙質、両面とも無毛、中脈は両面で特に上面で隆起し、側脈は5または6対、羽状、弓形、分枝し、縁近くで吻合し、下面でわずかに目立ち、上面でわずかに押し込まれ、細脈は横方向、両面で不明瞭、葉は分裂せず、基部は楔形~鈍形まれにほぼ円形、腺はなく、縁は基部から1/3~1/2以上離れて浅い鋸歯があり、先は急に狭くなり、尖鋭形から長い尖鋭形、短いまたは長い尾状になる。葉の展開後に花が現れる。花序は円錐形で、短い枝の先端につき、1対の葉を持ち、長さ2.5~4.5(~10)㎝×幅2~4㎝m。花序枝は対生し、十字対生。花序の最初の節には2本の花序枝がつき、緩く、無毛で、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ(1.2~)2.5~7㎝、細くて扁平、紫赤色、まばらに黄褐色がかった星状毛がある。苞は宿存性、葉状、紫赤色、線形~線状披針形、無毛。 小苞は宿存性、鱗片状。花は1次と2次の花序枝につき、香りはなく、無柄。 萼は赤紫色。萼筒は筒状倒円錐形、長さ約2 mm、無毛。萼片は三角卵形、長さ約0.5 mm、無毛、先は鋭形。 花冠は白または赤みを帯び、漏斗形、直径約6mm、無毛。花冠筒部は長さ6-8 mm。花冠裂片は広がっており、広卵形、長さ約2 mm、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠より短く、花冠部筒の頂部につく。花糸は非常に短い。葯は紫赤色を帯びた長円形、長さ約1.5mm。花柱は萼片を超える。柱頭は頭状。果実は最初赤くなり、成熟すると黒褐色、楕円形、長さ6~7㎜×幅4~5㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。核は扁平、楕円形、約・長さ6㎜×幅4 ㎜、腹側に幅が広い深い溝が1本あり、先は丸い。花期は4~6月。果期は6~8月。
品種) 'Kyo Kanzashi'

34 Viburnum opulus L. セイヨウカンボク 西洋肝木 広義
 日本、朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、江蘇省、江西省、吉林省、遼寧、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆、西浙江省)、ロシア、コーカサス、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はcrampbark , Guelder-rose。中国名は欧洲荚蒾 ou zhou jia mi。標高1000~ 2200mの森林、低木林、藪に生える。
 落葉低木、高さ6mまで。樹皮は暗灰色、薄いかまたは厚く、コルク質またはそうでない。当年枝は帯緑褐色、ときに帯赤色、無毛または毛があり、顕著に隆起した皮目を持つ。前年の小枝は帯黄色または赤褐色、円柱形、無毛、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は卵形、有柄、長さ4~6㎜、2対の合着した鱗片をもち、内側の鱗片は膜質で、基部は筒部に合着する。 鱗片は無毛。 葉は常に対生し、小枝の先に束生しない。托葉は2個、宿存性、錐形、長さ1~5㎜。 葉柄は緑色または赤みを帯び、丈夫で、長さ1~5㎝、無毛または毛があり、頂部付近に2~4個以上の円板状の腺体がある。葉身は若いうちは緑色、円状卵形~広卵形または倒卵形、長さ6~12㎝×幅5~10㎝、紙質、下面に開出する毛があり、特に脈と脈腋に毛があり、上面はほぼ無毛、中脈は下面に隆起し、3掌状脈があり、脈は真っ直ぐでまたはわずかにアーチ形になり、分枝し、歯で終わり、下面に顕著に隆起し、上面で窪み、細脈は横向き、下面にわずかに隆起し、上面で窪み、通常は3裂し、枝の頂部の葉はときに分裂せず、基部は円形~切形または浅い心形で、腺は無い、中裂片はしばしば最大になり、縁は不規則な歯状、裂片の先は鋭形、側裂片葉があり、ときに外側に向かってわずかに広がる。小枝の上部につく葉は、しばしば狭くて長く、楕円形~長円状披針形で切り込まれず、縁はまばらに円鋸歯があるかまたは浅く3裂する。裂片は全縁またはほぼ全縁で、側裂片は短く、中裂片は細長くなる。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生、直径5~12㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節には6~8本の花序枝がつき、密、無毛または単純毛があり、5~10個の大きな不稔の装飾花が付くか、または全体が大きな不稔の花で構成される。花序柄は丈夫で、長さ2~5㎝、無毛または毛がある。苞と小苞は脱落性、葉状、緑色、披針形、無毛またはまばらに毛がある。花は2次および3次の花序枝につき、香りはなく、短い小花柄がある。不稔の花は萼が稔性の花と似ており、花冠は白色、直径1.3~2.5㎝、長い小花柄がある。花冠裂片は広倒卵形で、先は円形、不均等な形をし、雄しべと雌しべが発達していない。稔性の花は萼が緑色。萼筒は倒円錐形、長さ約1㎜、無毛。萼片は三角形、長さ約0.6㎜、無毛、先は鈍形。 花冠は白色、車形、直径4~5mm、外側は無毛、内側には毛がある。花冠筒部は長さ1~2㎜、花冠裂片は広がるか反り返り、ほぼ円形、直径1~1.5㎜、大きさはわずかに不均等、先端は丸く、縁は全体。 雄しべは花冠を著しく超え、花冠の基部近くにつく。花糸は長さ約4㎜。葯は黄白色または紫色、長さ約1mm。花柱は萼片をわずかに超える。柱頭は2裂。果実は初め黄色になり、赤色に熟し、ほぼ円形、直径8~10(~12)㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。核は扁平、ほぼ円形、直径7~9㎜、溝がなく、先は丸い。花期は6~7月。果期は9月~10月。2n=18。
品種) 'Xanthocarpum' , 'Xanthocarpum Compactum'

34-1 Viburnum opulus L. var. opulus セイヨウカンボク 西洋肝木 狭義

 中国(浙江省)、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、コーカサス、ヨーロッパ原産。中国名は欧洲荚蒾 ou zhou jia mi。英名はcrampbark , European cranberry-bush , guelder-rose , snowballbush。標高1000~1600mの森林に生える。
 樹皮は薄く、コルク質ではない。 花序は5~10個の大きな不稔性の装飾花を持つか、または全体が大きな不稔性の花で構成される。葯は黄白色。
品種) 'Amy's Magic Gold' , 'Andrews' , 'Apricot' , 'Aureum' , 'Bullatum' , 'Compactum' , 'Flore Pleno' (d) , 'Fructu Luteo' , 'Fructuluteo' , 'Harvest Gold' , 'Kaleidoscope' (v) , 'Lady Marmalade' , 'Leonard's Dwarf' , 'Losely's Compact' , 'Mardsjo' , 'Nanum' , 'Notcutt's Variety' , 'Park Harvest' , 'Pink Sensation' , 'Roseum'ロゼウム=セイヨウテマリカンボク , 'Roseum' (aka 'Sterile') , 'Sterile' , 'Sterile Compactum' , 'Summer Gold' , 'Sunshine'

35 Viburnum parvifolium Hayata ヒメガマズミ 姫莢蒾
 台湾原産。中国名は小叶荚蒾 xiao ye jia mi。標高2200~3300mの山地に生える。
 落葉低木、高さ2mまで。樹皮は淡褐色。当年の小枝は密に黄褐色がかった星状毛があり、微細な帯褐色の腺点がある。前年の小枝は暗褐色、円柱形、無毛で、明るい丸い皮目が散在する。冬芽は長円形で、2対の離れた鱗片があり、鱗片は卵状披針形、星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は赤みがかった紫色、丈夫、長さ4~6㎜、密に星状毛を持ち、微細な帯褐色の腺点がある。 葉身は若いうちは緑色、長円形または円形、まれに卵形、長さ0.8~3㎝×幅0.7~2㎝、厚い紙質、下面にまばらに星状毛があり、微細な帯褐色の腺点があり、脈上にはより密に毛が生え、上面は脈上のみに星状毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は3または4対、最も下の対は葉身の上部まで伸び、ほぼ三行脈(triplinerved)、羽状、アーチ状になり、分岐し、歯で終わり、下面に顕著に隆起し、上面で押し込まれ、細脈は横方向、下面に隆起し、上面で押し込まれ、葉の裂片はなく、基部は広楔形~円形、腺がなく、縁は基部を除いて離れた鋸歯があり、先は円形またはわずかに鋭形。葉の展開後に花が現れる。花序は複散形花序状の集散花序で、頂生または小枝の先端につき、1対の葉を持ち、直径約2.5㎝、果時には6cm程度になる。花序枝は輪生する。花序の最初の節には5本の花序枝がつき、密集し、密に星状毛と微細な帯褐色の腺点があり、大きな不稔の装飾花はない。花序柄は長さ約5㎜。苞と小苞は早落性、緑褐色、線状披針形、膜質、まばらに縁毛がある。花は1次および2次の花序枝につき、香りはなく、無柄か、または短い小花柄がある。萼は緑色。萼筒は筒状、長さ約1㎜、少数の毛と帯褐色の腺点がある。萼片は広三角形、長さは萼筒の長さの約1/2、無毛、微細な帯褐色の腺点があり、先は鈍形。 花冠は白色、車形、直径5~6㎜、無毛。花冠筒部は長さ約1mm。花冠裂片は広がり、円形、長さ約2mm、花冠筒部を超え、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠の下にあり、花冠の基部につく。花糸は長さ約 2.5㎜。 葯は黄白色、広楕円形、長さ約1mm。花柱は萼片を超える。柱頭は頭状、3裂する。果実は赤色に熟し、扁平、長円形または円形、長さ8~10㎜×幅5~7㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛または腺点がある。核は扁平、卵形、約・長さ6.5㎜×幅4㎜、腹側はわずかに凹んで浅い溝が 1本あり、先はわずかに鋸歯状になる。花期は6~7月。果期は11月。

36 Viburnum phlebotrichum Siebold et Zucc. オトコヨウゾメ
 日本固有種。本州(北陸地方を除く)、四国、九州に分布。山地の樹林内、林縁に生える。和名はガマズミのことをヨウゾメとも呼ぶことからともいわれるが、よくわかっていない。
 落葉低木、高さ1~3m。幹は灰褐色。葉は対生し、葉身は長さ4~9㎝、幅2~4㎝の卵形~楕円状披針形、先が尖り、基部は広楔形~円形、鋭鋸歯。葉が乾燥すると黒色になる。葉柄は長さ3~8㎜、赤色を帯びることが多く、無毛、まれに毛が多いものもある。托葉は無い。葉表はほぼ無毛、主脈上に長い絹毛がある。葉裏は主脈に長い絹毛があり、星状毛はあっても少ない。枝先の散房花序に白色の花をまばらにつけ、花が紅色を帯びることも多い。花柄が細くやや垂れ、花序の花数がやや少ない。花序の柄は長さ2~3㎝、赤色を帯び、基部に葉が1対つく。苞は長さ3~5㎜の線形、早落性。花冠は直径6~9㎜、5中裂する。雄しべも雌しべも花冠よりかなり短い。萼片は5個、小さい三角形。果実は長さ5~8㎜の惰円形の核果、9~10月頃に赤く熟す。核は長さ5~7㎜の広卵形。花期は4~5月。

36-1 Viburnum phlebotrichum Siebold et Zucc. f. xanthocarpum Hayashi キミノオトコヨウゾメ

 果実が黄色に熟す。

36-2 Viburnum phlebotrichum Siebold et Zucc. x V. wrightii Miq. オトコヨウゾメ×ミヤマガマズミ


37 Viburnum plicatum Thunb. オオデマリ 大手毬 広義
 日本、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は粉团 fen tuan。標高200~3000mの混交林、雑木林に生える。
 落葉低木、高さ3m。樹皮は淡褐色。当年の小枝は密または疎に黄褐色の星状毛がある。前年の小枝は灰褐色または灰黒色で、円柱形、まばら毛があるかまたは無毛で、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は披針状三角形で、一対の側着する鱗片を持つ。鱗片はまばらに黄褐色の星状毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ1~2cm、薄く星状毛がある。葉身は若いうちは緑色、広卵形、円状倒卵形、または倒卵形、稀にほぼ円形、長さ4~12㎝×幅(2~)3~7㎝、紙質、下面に密に綿毛があり、またはときに、側脈の上だけに毛があり、上面にまばらに伏毛があり、 中脈上はより密であり、中脈は下面に隆起し、側脈は6~12(~17)対、羽状、わずかにアーチ形になり、分枝し、歯で終わり、下面に顕著に隆起し、しばしば上面で深く凹み、細脈は横方向、わずかに下面に隆起し、上面で凹み、裂片はなく、基部は円形または広楔形で、ごくわずかに心形で、腺はなく、縁は不規則な鋸歯があり、先は円形または急に狭くなり、わずかに微突形。 葉の展開後に花が現れる。花序は複合の散形花序状の集散花序で、球形または平ら、1対の葉を持つ短い側枝の先につき、直径5~10㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節は3~8本の花序枝を持ち、密で、微細または密に黄褐色の星状毛があり、全体で大きな不稔の花となり、または6~8個の大きな不稔の周辺花を持つ稔性の花で構成される。花序柄は長さ1.5~4cm。 苞は早落性、葉状、緑色、披針形、長さ1.5~6㎜、まばらに毛がある。小苞は鱗片状。花は4次の花序枝につき、香りがなく、無柄または短い小花柄がある。不稔の花:萼が稔性の花に似ている。花冠は白色、車形、直径1.5~4cm。花冠裂片は倒卵形またはほぼ円形、ときに4個だけになり、しばしばサイズが等しくなく、1個の非常に小さな裂片があり、先は円形。 雄しべと雌しべは発達しない。 稔性の花: 萼は帯緑色または帯赤色。萼筒は倒円錐形、長さ約1.5㎜、無毛または星状毛がある。萼片は三角形、長さ約0.5㎜、無毛、先は±鋭形。花冠は黄白色、車形、直径2~3㎜、無毛。花冠筒部は長さ1~1.5㎜。花冠裂片は広がるか、わずかに反り返り、広卵形、長さは幅とほぼ同じ、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠を超え、花冠の基部近くにつく。花糸は長さ3~4.5㎜。葯は黄色、長楕形またはほぼ円形、長さ約1㎜。花柱は萼片をわずかに超える。柱頭は3裂。果実は初めは赤色になり、黒色に熟し、広卵形または倒卵形、長さ5~6.5㎜×幅3~4㎜、基部は丸く、先は丸く、無毛。核は扁平、楕円形、長さ4~5.5㎜×幅2.5~3㎜、腹側に広い溝があり、両端が鈍形。花期は4~5月。果期は8~9月。2n=18, 72。
品種) First EditionsR Opening Day™ , 'Grandiflorum' , 'Janny' , 'Janny's Special' , 'Jww5' (PBR) , Kilimanjaro® , 'Leach's Compacta' , 'Magician' , 'Nanum' , Newport® , 'Pink Sensation' , 'Popcorn' , 'Prostratum' , 'Rosace' , 'Roseace' , 'Roseum' , 'Sawtooth' , 'Sterile' , 'Watanabe' , 'Weeping Magic'
 ヤブデマリ(ヤエザキチャボヤブデマリ、チャボヤブデマリ)、ケナシヤブデマリ、ナガバヤブデマリの系統はPOWO(Kew)では基本変種(var. plicatum)に含めらている。YListではヤブデマリを変種としている。
37-1 Viburnum plicatum var. plicatum オオデマリ 基本変種
  synonym Viburnum tomentosum Thunb. ヤブデマリ
  synonym Viburnum plicatum var. tomentosum Miq. ヤブデマリ
  synonym Viburnum plicatum f. tomentosum (Miq.) Rehder

  synonym Viburnum plicatum f. glabrum (Koidz. ex Nakai) Rehder in Bibliogr. Cult. Trees: 604 (1949)

  synonym Viburnum plicatum subsp. glabrum (Koidz. ex Nakai) Kitam. ケナシヤブデマリ

  synonym Viburnum plicatum Thunb. var. glabrum (Koidz. ex Nakai) H.Hara ケナシヤブデマリ

  synonym Viburnum plicatum var. lanceatum (Rehder) Rehder in J. Arnold Arbor. 26: 78 (1945) ナガバノヤブデマリ

  synonym Viburnum plicatum var. plenum Miq. in Ann. Mus. Bot. Lugduno-Batavi 2: 266 (1866)

  synonym Viburnum plicatum f. plenum (Miq.) Honda in Acta Phytotax. Geobot. 20: 18 (1962) ヤエザキチャボヤブデマリ

 日本、中国(安徽省、福建省、北広東省、北東広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、南陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾に分布。中国名は粉团 fen tuan。標高200~1800mの混交林、雑木林に生える。栽培されている。POWO(Kew)、Flora of Chinaではヤブデマリ等を含んだ広義。
 側脈は10~12(~17)対。花序は花序枝が6~8本あり、微細な黄褐色の星状毛があり、全体的に大きな不稔の装飾花で構成される。萼筒は無毛。
 次の2形が認識されている。典型的な形態 (f. plicatum) はその花序全体が大きな不稔性の装飾花だけで構成され、栽培によってのみ知られるもの。Viburnum tomentosum Thunbergは4~6 個の大きな不稔性の花を持つ。後者は、安徽省、福建省、広東省北部、広西東省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省南部、四川省、台湾、雲南省、浙江省の標高200~1800mの混交林や茂みで発生する。

37-1-1 Viburnum plicatum Thunb. var. plicatum f. plicatum オオデマリ 大手毬 狭義

 Flora of Chinaで (f. plicatum) として示され、その花序全体が大きな不稔性の装飾花だけで構成され、栽培によってのみ知られるもの。英名はJapanese snowball。
品種) 'Chyverton' , 'Grandiflorum' , 'Mary Milton' , Newport = 'Newzam' , 'Newzam' , 'Pink Sensation' , 'Popcorn' , 'Rosace' , 'Rotundifolium' , Triumph = 'Trizam' , 'Trizam'

37-1-2 Viburnum plicatum Thunb. var. plicatum f. glabrum (Koidz. ex Nakai) Rehder ケナシヤブデマリ 毛無藪手毬

  synonym Viburnum plicatum f. glabrum (Koidz. ex Nakai) Rehder
  synonym Viburnum plicatum subsp. glabrum (Koidz. ex Nakai) Kitam.

  synonym Viburnum plicatum Thunb. var. glabrum (Koidz. ex Nakai) H.Hara

 北海道、本州(日本海側)に分布する。ヒロハヤブデマリともいう。
 葉がほぼ無毛、葉幅が広く、毛がない。

37-2 Viburnum plicatum var. formosanum Y. C. Liu & C. H. Ou タイワンヤブデマリ

 台湾原産。中国名は台湾蝴蝶戏珠花 tai wan hu die xi zhu hua。標高1800~3000mの混合林に生える。
 側脈は6~9対ある。花序は花序枝を3~5本もち、密に黄褐色の星状毛があり、稔性の花で構成されているが、3~5個の大きな不稔の周辺小花がある。萼筒は星状毛がある。
37-3 Viburnum plicatum var. parvifolium Miq. コヤブデマリ 小藪手毬
  synonym Viburnum plicatum Thunb. f. parvifolium (Miq.) Rehder 
  synonym Viburnum tomentosum var. parvifolium (Miq.) Rehder
 日本(本州の静岡県以西、四国、九州 )に分布。山地の湿潤な落葉広葉樹林内に生える。
 葉の大きさがヤブデマリより明瞭にちいさく、花序の不稔の装飾花が1~2個と少ない。ただし、分布の重なる地域では、両者の中間型がみられる。  落葉低木~小高木。高さ2~6m。若枝と花序に星状毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ0.5~1㎝、葉身は長さ2~5㎝×幅1~2㎝、倒卵状楕円形~卵状楕円形状、基部は円形、縁には粗い鋸歯があり、先は尖鋭形、上面は緑色、無毛、下面は帯白緑色で、初め葉脈上に星状毛が散生するが、のち無毛になり、側脈は8~12対で縁に達し、上面で凹み、下面に突出する。花序や花はヤブデマリと似ている。枝先の散房花序を出し、白色の小さな両性花を多数つける。両性花のまわりに不稔の白色の装飾花を1~2個つける。装飾花冠は5深裂して平開し、5個の裂片の1個だけが特に小さい。核果は長さ約5㎜、楕円形、熟してくると赤色になり、完熟すると黒色になる。花期は5~6月。果期は8~10月。

37-3-1 Viburnum plicatum Thunb. var. parvifolium Miq. f. plenum Honda ヤエザキチャボヤブデマリ 

37-3-2 Viburnum plicatum Thunb. var. parvifolium Miq. f. watanabei Honda チャボヤブデマリ 矮鶏藪手鞠

 別名はヒメヤブデマリ、イッサイコデマリ。 四季咲矮性で高さ1m程度。盆栽に使われる。
品種) ‘Pink Beauty'

37-4 Viburnum plicatum Thunb. var. tomentosum Miq. ヤブデマリ 藪手毬、藪手鞠

  synonym Viburnum plicatum Thunb. f. tomentosum (Miq.) Rehder
  synonym Viburnum tomentosum Thunberg
  synonym Viburnum plicatum f. lanceatum (Rehder) Rehder
  synonym Viburnum plicatum var. lanceatum (Rehder) Rehder
  synonym Viburnum plicatum f. latifolium Miquel

  synonym Viburnum tomentosum var. lanceatum Rehder ナガバノヤブデマリ

 日本(本州の関東以西、四国、九州)、中国(安徽省、福建省、広東省北部、広西東省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省南部、四川省、台湾、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は蝴蝶戏珠花 hu die xi zhu hua。英名はdoublefile viburnum。湿った林内、林縁に生える。
 落葉低木~小高木、高さ2~6m。幹は灰黒色。枝を水平に広げる。葉は対生し、長さ5~12㎝×幅3~7㎝の惰円形~広惰円形、側脈は7~12対、葉脈が深く、明瞭。葉裏や葉柄に星状毛がある。水平に広がった枝に上向きに並んで、散房花序をつける。散房花序は直径5~10㎝。直径約5㎜の小さな両性花のまわりに、直径約3㎝の大きな不稔の装飾花を(2~)4~6個程度つける。装飾花は5裂し、裂片の1(ごくまれに2)個がきわめて小さいため、裂片は4個に見える。果実は長さ5~6.5㎜、幅3~4㎜の倒卵状球形の核果で、熟すと赤くなり、次第に黒くなる。核は長さ4~5.5㎜×幅2.5~3㎜、つぶれた楕円形、幅の広い溝が1本ある。花期は4~6月。
品種) 'Angie' , 'Brockhurst' , 'Cascade' , 'Dart's Red Robin' , 'Dart's Red Robin' , 'Elizabeth Bullivant' , 'Fireworks' , 'Grandiflorum' , 'Igloo' , 'Igloo' , 'Jww1' (PBR) , 'Jww5' , 'Kern's Pink' , Kilimanjaro = 'Jww1' (PBR) , Kilimanjaro Sunrise = 'Jww5' , 'Lanarth' , 'Lanarth' , 'Magic Puff' , 'Mariesii' , 'Mariesii' , 'Mary Milton' , 'Molly Schroeder' , 'Molly Schroeder' , 'Nanum Semperflorens' , 'Nanum Semperflorens' , 'Pink Beauty' , 'Pink Beauty' , 'Rowallane' , 'Rowallane' , 'Saint Keverne' , 'Shasta' , 'Shasta' , 'Shasta Varigata' (v) , 'Shoshoni' , 'Shoshoni' , 'St. Keverne' , 'Summer Pastel' , 'Summer Snowflake' , 'Summer Snowflake' , 'Tennessee' , Wabi-Sabi™ , 'Weeping Magic'

38 Viburnum propinquum Hemsl. オイワケガマズミ
 中国(重慶、福建省、甘粛省、広東省、広西省、貴州省、南西省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は球核荚蒾 qiu he jia mi。標高400-1300mの森林、低木林に生える。
 常緑の低木、高さは2mまで。樹皮は灰褐色。 当年の小枝は赤褐色で光沢があり、小さな顕著な皮目があり、無毛。前年の小枝は帯灰色、無毛で、小さな丸い皮目が散在する、冬芽は卵状長円形で、1対の離れた鱗片があり、鱗片は赤褐色、無毛、先は鋭形。 葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、細長く、長さ1~2㎝、無毛。 葉身は若いうちは紫色で、卵形から卵状披針形、または楕円形~楕円状長円形、または線状披針形または倒披針形、長さ3~9(~11)㎝×幅1~4.5㎝、革質、下面はときに脈腋に星状毛があり、上面は無毛、中脈は下面に隆起し、三行脈(triplinerved,)、脈は葉の中央以上に達し、羽状、アーチ状になり、分枝し、縁付近で吻合し、下面に隆起し、上面で埋め込まれ、細脈は横向き、下面で目立ち、上面では目立たなず、分裂せず、基部は円形または楔形 、両側はわずかに非対称で、腺はなく、縁は通常遠く離れた鋸歯があり、先は尖鋭形または鋭形。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生し、直径(2~)4~7㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節には通常7本の花序枝がつき、緩く、無毛で、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ1.5~2.5(~4)㎝、細い。苞は早落性、葉状、緑色、線形~線状披針形、無毛。 小苞は鱗片状。花は3次の花序枝につき、香りは無い。小花柄は長さ1~2㎜、細い。 萼は帯緑色。萼筒は倒円錐形、長さ約0.6㎜、無毛。萼片は広三角状卵形、非常に小さく、長さ約0.4㎜、無毛、先は鈍形。花冠は緑白色、車形、直径約4㎜、外側は無毛、内側は基部に長い毛がある。花冠筒部は長さ約1㎜。花冠裂片は広がり、広卵形、長さ約1㎜、筒部とほぼ同長、先は円形、縁は全縁。 雄しべは通常花冠よりわずかに長く、花冠筒部の基部近くにつく。花糸は長さ2~3㎜。 葯は黄色、ほぼ球形、長さ約1㎜。花柱は萼片とほぼ同長。柱頭はほぼ無柄。果実は赤くならず、青黒色に熟し、光沢があり、ほぼ球形または卵形、長さ(3~)5~6㎜×幅(3~)3.5~4㎜、基部は丸く、先端は鋭形、無毛。核は球形、約・長さ4㎜×幅3㎜、非常に小さく、腹側に浅い溝が1本あり、または溝がなく、先は丸い。花期は3~5月。果期は5~10月。
品種) 'Lanceolatum'

39 Viburnum prunifolium L. ビブルヌム・プルニフォリウム
 北アメリカ東部原産。英名はblackhaw , black haw , blackhaw viburnum , sweet haw , stag bush。別名はブラックホー、スムースブラックホー。草原、小川や小川沿い、フェンスの列に沿って生える。
 落葉低木または小高木。高さ6mに達し、幹は単一または複数。樹皮は灰色で、小さな正方形に裂ける。茎は硬く、アーチ状になり、短い側芽が主茎に対して直角になる。葉は対生し、葉柄があり、葉身は楕円形~卵形、縁には細かい鋸歯があり、質は比較的薄く、上面は暗緑色、下面は淡緑色、無毛か、またはわずかに褐色のフケ状になる。しばしば、葉柄や葉の縁は赤みを帯びる。 花は頂生の頂部が平らな丸い円錐花序に多数つき、香りがない。花序は直径11.4㎝以下。花冠は白色~クリーム色、5裂片がある。果実は核果、青黒色~黒色に熟す。 核果は冬の終わりまで木に残り、鳥や小型哺乳類の餌になる。可食であり、生食、ジャムやドライフルーツとして使用される。花期は春。果期は秋。
品種) Crimson Robe™ , 'Early Red' , Fall Fire™ , Forest Rouge™ , 'Gladwyne' , Guardian™ , Knighthood = 'Knizam' , 'Mrs Henry's Large' , 'Mrs. Henry Large' , Ovation™ , 'Summer Magic' , 'Wilson'

40 Viburnum rhytidophyllum Hemsley ビブルヌム・リティドフィルム
 中国(貴州省、湖北省、陝西省、四川省)原産。中国名は皱叶荚蒾 zhou ye jia mi。標高700~2400mの森林、藪に生える。
 常緑の低木または小高木、高さ4mまで。樹皮は灰褐色。 当年の枝は丈夫で、密に黄白色、黄褐色、または赤褐色の星状綿毛がある。前年の赤褐色または灰黒色の小枝は、円柱形、無毛、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は裸で、黄褐色、または赤褐色の星状綿毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。 托葉は無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ1.5~3(~4)㎝、黄白色、黄褐色、または赤褐色の星状綿毛が厚くある。葉身は若いうちは黄白色、黄褐色、または赤褐色、、後に上面は濃い緑色になり、卵状長円形~卵状披針形、まれに披針形、長さ8~18(~25)㎝×幅(1.5~)2.5~8㎝、 革質、下面は強いしわがあり、明瞭な網目があり、上面は光沢があり、若いときはまばらに星状毛があり、無毛になり、中脈は下面に隆起し、側脈は6~8(~12)対、羽状、弓状、分枝し、縁近くで吻合し、歯で終わることは非常にまれ、下面に隆起し、上面にわずかに隆起し、細脈は横向き、下面で目立ち、上面で不明瞭、葉は分裂せず、基部は円形またはわずかに心形、腺はなく、縁は全縁または不明瞭な歯があり、先はわずかに鋭形または鈍形。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生、直径7~12㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節には通常7本の花序枝を持ち、密集し、黄白色、黄褐色、または赤褐色の星状綿毛があり、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は丈夫で、長さ1.5~4(~7)㎝。苞は早落性、葉状、緑色、線形~線状披針形、星状毛がある。小苞は線形。花は3次の花序枝につき、香りがなく、ほぼ無柄かまたは短い小花柄がある。萼は帯緑色。萼筒は筒状鐘形、長さ2~3㎜、黄白色の星状綿毛がある。萼片は広三角状卵形、非常に小さく、長さ0.5~1㎜、まばらに星状の思春期があり、先は鈍形、わずかに縁毛がある。花冠は白色、蕾と外側はピンク色で、車形、直径5~7㎜、無毛。花冠筒部は長さ3~4㎜。花冠裂片は広がり、円状卵形、長さ2~3mm、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠を超え、花冠筒部の基部近くにつく。花糸は長さ約6㎜。葯は黄色、広楕円形、長さ約1mm。 花柱は萼片をわずかに超える。柱頭は頭状。果実は最初は赤くなり、黒色に熟し、広楕円形、長さ6~8㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛またはまばらに星状毛がある。核は扁平、広楕円形、長さ6~7㎜×幅4~5㎜、背側に2本の溝と腹側に3本の溝を持ち、先は丸い。 花期は4~5月。果期は9~10月。2n=18。
品種) 'Aldenham' , 'Crathes Castle' , 'Cree' , 'Green Trump' , 'Roseum' , 'Variegatum' (v) , 'Wisley Pink'

41 Viburnum rufidulum Raf. ビブルヌム・ルフィドゥルム
 USA原産。英名はrusty blackhaw , blue haw , rusty nanny-berry , southern black haw。別名はサザンブラックホー。岩の多いまたは乾いた森、渓谷、岩の多い空き地、茂みに生える。
 落葉低木または小高木で、吸枝を出し、通常高さ3~6m。葉は光沢のある、革質、卵形~倒卵形、長さ10㎝まで、暗緑色。 葉裏、芽、若い茎は錆び褐色の毛で覆われる。 花序は派手な丸い集散花序、直径12.5㎝まで、の小さな白色の花が多数つく。果実は楕円形、暗青色、長さ9㎜まで。秋には葉が赤紫色に色づく。果実は食べられる。花期は4~5月。果期は9~10月。
品種) 'Royal Guard'

42 Viburnum sargentii Koehne カンボク 肝木
  synonym Viburnum opulus L. var. sargentii (Koehne) Takeda
  synonym Viburnum opulus L. var. calvescens (Rehder) H.Hara 

  synonym Viburnum opulus L. subsp. calvescens (Rehder) Sugim. [FOC]

 日本(北海道、本州の中部以北)、朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、江蘇省、江西省、吉林省、遼寧省、陝西省、山東省、山西省、四川省、浙江省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は鸡树条 ji shu tiao。英名はSargent Viburnum。別名はケナシカンボク。標高1000~2200mの森林、低木、藪に生え、日本では、山地の湿気のある場所に生える。セイヨウカンボクの葯は黄色、樹皮のコルク質がやや薄い。
 低木、高さ3~5m。樹皮はコルク質が発達し、暗灰褐色で厚く、縦に不揃いに割れ目が入る。小枝は赤褐色で無毛。冬芽は枝に対生してつき、卵形~狭卵形、枝先には仮頂芽が2個つく。芽鱗は帽子形、無毛。葉痕は三日月形、維管束痕は3個。托葉は短い(ほとんどが長さ約5㎜)。葉は対生し、葉柄があり、葉柄の上部に腺体がある。葉身は広卵形~倒卵状円形、長さ5~11㎝、先が大きくやや深く3裂し3本の脈が目立ち、縁に浅い不規則な鋸歯がある。散形花序には5~10個の不稔の装飾花があり、小さな両性花の周囲に大きな装飾花が縁どる。両生花は直径約4㎜。装飾花は直径約2㎝。花はともに白色。葯は紫色。果実は球形、赤色に熟す。2n=18。花期は5~7月。果期は9月。 品種) 'Chiquita' , 'Flavum' , 'Onondaga' , 'Susquehanna'

42-1 Viburnum opulus L. var. sargentii (Koehne) Takeda f. flavum (Rehder) H.Hara キミノカンボク 黄実の肝木

42-2 Viburnum opulus L. var. sargentii (Kohne) Takeda f. hydrangeoides (Nakai) H.Hara テマリカンボク 手毬肝木

  synonym Viburnum sargentii Kohne f. sterile (Makino) H.Hara
 花序の花は装飾花だけで、手毬のように丸く咲く。実は結ばない。葉柄に蜜腺がある。観賞用に栽培される。

42-3 Viburnum opulus L. var. sargentii (Koehne) Takeda f. puberulum (Kom.) Sugim. ケカンボク 毛肝木

  synonym Viburnum sargentii Koehne var. puberulum (Kom.) Kitag.
 無毛のカンボクに対し、枝や葉柄が有毛、葉の下面も毛が開出する。

43 Viburnum setigerum Hance  ビブルヌム・セティゲルム
 中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は 茶荚蒾 cha jia mi。標高(200~)800~1700mの森林、低木林に生える。
 落葉低木、高さ4mまで。樹皮は淡褐色。 冬芽と葉は、乾燥すると黒色、黒褐色、または灰黒色になる。当年の小枝は灰黄色、無毛。 前年の小枝は灰色、灰褐色、または紫褐色で、無毛、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は長円形で、通常は長さ5 mm未満、最大でも1㎝で、2対の離れた鱗片があり、外側のものは内側のものの1/3~1/2の長さであり、鱗片は無毛。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、細く、長さ1~1.5(~2.5)㎝、まばらに伏した長い毛状または無毛。 葉身は若いうちは緑色、卵形~長楕円形~卵形~披針形、まれに卵形~楕円形~卵形、7~12(~15)×3~5.5cm、紙質、下面は中脈と側脈お上だけに帯黄色の長い伏毛があり、上面は長い毛があり、無毛になり、中脈は下面に隆起し、側脈は6~8対あり、羽状、真っ直ぐで、まれに分岐し、歯で終わり、下面に顕著に隆起し、上面でわずかに凹み、細脈は横向きで下面にわずかに隆起して上面で凹み、葉は分裂せず、葉状ではない、基部は円形 、基部近くの中脈の両側に1~2個の円形の腺体があり、縁は基部を除いて離れた鋸歯があり、葉先は尖鋭形。 葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の複合集散花序であり、しばしばうなずき、頂生し、直径2.5~4(~5)㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節は通常5本の花序枝がつき、密集し、無毛またはまばらに長い伏毛があり、大きな不稔の装飾花は無い。花序柄は長さ1~2.5(~3.5)㎝。苞と小苞は脱落性、葉状、緑色、披針形、無毛。花は3次の花序枝につき、香りはなく、短い小花柄があるか無柄。萼は緑色。萼筒は筒状、長さ約1.5㎜、無毛。萼片は卵形、長さ約1㎜、無毛、先は鈍形。 花冠は白色、車形、直径4~6㎜、無毛。花冠筒部は長さ1~2㎜。花冠裂片は広がり、卵形、長さ約2.5㎜、筒部を超え、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠とほぼ同じ高さになり、花冠の基部につく。花糸は長さ約3㎜。葯は黄白色、球形で、非常に小さく、長さ1㎜未満。花柱は萼片を超えない。柱頭は頭状。果実は赤色に熟し、卵形、長さ9~11㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。核は非常に扁平になり、卵形、長さ8~10㎜×幅5~7㎜、ときにもっと小さく、たまに卵状長円形になり、直径わずか4~5㎜、腹側がわずかに窪み、先は丸い。花期は4~5月。果期は9~10月。2n=18。
品種) 'Aurantiacum'

44 Viburnum sieboldii Miq. ゴマギ 胡麻木
 日本固有種。本州(関東地方以西)太平洋岸、九州、沖縄に分布。英名はsiebold's arrowwood。別名はゴマキ。沿海地の林内に生える。
 落葉高木、高さ2~7m。幹は樹皮が褐灰色、古くなると粗い割れ目が入る。冬芽は2対つき、外側1対は早落性。葉痕は三角形~皿形。維管束痕は3個。若枝は緑色、白毛が密生し、後に褐灰色になる。葉柄は長さ5~20㎜、有毛、上面に広い溝がある。托葉は稀。葉は対生し、葉身は長さ6~15㎝、幅2~9㎝、長楕円形~倒卵形~稀に倒披針形、基部は楔形~円形、先は円頭~鈍頭、先端がときにごく短い尾状になる。葉縁は上部に明瞭な鋸歯があり、基部近く(基部から1/3~1/4))には無い。葉質はやや硬く、ごわごわし、脈は葉縁に達し、凹んで裏面に突き出し、側脈は6~12対。葉表は暗緑色、無毛。葉裏は淡緑色、脈上や脈腋に星状毛があり、毛の量には個体差がある。花序は枝先につき、長さ4~7㎝、幅6~14㎝の円錐花序、多数の花を密につける。花序の柄は長さ4~7㎝。花柄は軸に対生し、普通、有毛。萼は長さ0.7~1㎜、上部がわずかに5裂する。花冠は白色、高杯状、先が5深裂して平開し、直径7~9㎜、裂片は長さ2~3㎜の卵形、円端、筒部は長さ約.5㎜。苞は長さ1~3㎜の卵状被針形。雄しべは5個、花冠から突き出る。花糸は長さ3~4㎜。葯は長さ1.3~1.5㎜の楕円形。雌しべは1個、柱頭はほぼ無柄。子房は長さ2.5~3㎜の長楕円形。果実は核果、長さ8~10㎜の楕円形、種子が1個入り、熟し始めると赤色になり、熟すと黒色になる。核は長さ7~8㎜の卵状楕円形、腹側に深い縦溝が1個ある。花期は4~6月。果期は8~10月。
品種) 'Ironclad' , 'Seneca' , 'Seneca' , 'Wavecrest'

44-1 Viburnum sieboldii Miq. var. obovatifolium (Yanagita) Sugim. マルバゴマキ 丸葉胡麻木

  synonym Viburnum sieboldii Miq. subsp. obovatifolium (Yanagita) Kitam.

 日本海側の多雪地帯に分布。山地に生える。別名はオオバゴマキ、ヒロハゴマキ。
 落葉低木。葉が大きく、幅が広い。

45 Viburnum suspensum Lindl. ゴモジュ 胡麻樹、御門樹
 日本(沖縄、奄美大島)固有種。中国名は聖瑞花、山丹花。別名コウルメ、タイトウガマズミ。暖地で庭木として栽培され、誤ってゴマノキともいわれている。
 高さ2~3m。樹皮は灰褐色、いぼ状の皮目がある。葉は対生し、葉柄は長さ葯㎝。葉身は倒卵形~楕円形、長さ4~8㎝、ほぼ無毛、質が厚い革質、低い鋸歯縁~円鋸歯縁、基部は楔形~広楔形、~円形、先は鈍頭~円頭、葉の上面は緑色~濃緑色、下面は淡色、脈が隆起する。花序は頂生、小さな密な円錐花序に花が多数つく。萼は浅い杯形、咢歯は5個、先は円形。花冠は白色~淡ピンク色(蕾のときに先部と基部がピンク色を帯び)、高杯形、筒部はやや先太の円筒形、先は5裂して開出し、直径1㎝以下。裂片は円形。雄しべは5本、雄しべは花冠筒部の口部につく。花柱は短い。果実は核果、赤色に熟す。花期は12~3(4)月。果期は5~6月。

46 Viburnum sympodiale Graebn. コニシガマズミ

  synonym Viburnum furcatum Blume ex Maxim. var. melanophyllum (Hayata) H.Hara

  synonym Viburnum melanophyllum Hayata 
 中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は合轴荚蒾 he zhou jia mi。標高800~2600mの森林、藪に生える。
 落葉性の低木または小高木、高さ10mまで。樹皮は灰褐色。当年の小枝は黄褐色の鱗片で覆われ(lepidote)またはフケ状の(furfuraceous)星状毛がある。前年の小枝は赤褐色または灰褐色、円柱形、無毛、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は裸で、フケ状の星状毛がある。葉はしばしば小枝の先に集まる。托葉は2個、、錐形、長さ2~9㎜、基部はしばしば葉柄に付着し、ときに無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ1.5~3(~4.5)㎝、黄褐色の星状毛がある。葉身は若いうちは緑褐色、卵形~楕円状卵形または円状卵形、長さ6~13(~15)㎝×幅3~9(~11)㎝、紙質、下面は黄褐色の鱗片で覆われまたはフケ状の星状があり、特に脈に沿ってあり、上面は無毛または脈上に星状毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は6~8対、羽状、弓状になり、分枝し、縁付近で吻合し、下面に隆起し、上面でわずかに凹み、細脈は横向き、両面で目立ち、分裂は無く、基部は円形、まれに浅い心形で、腺がなく、縁は不規則な鋸歯があり、先は尖鋭形または鋭形。花は葉の展開と一緒に現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生、直径5~9㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節には通常5本の花序枝を持ち、密集し、ほぼ無毛になり、黄褐色の鱗片に覆われ、またはフケ状の星状毛を持ち、縁に大きな白色の不稔の放射状の装飾花がつく。花序柄はない。苞は早落性、葉状、緑色、卵形~楕円形、星状毛がある。小苞は鱗片状。花は3次の花序枝につき、香りがあり、ほぼ無柄または短い小花柄がある。不稔の花: 萼は稔性の花に似ており、直径 2.5~3 cm。花冠の裂片は倒卵形で、大きさが不均等であることが多い。 雄しべと雌しべが発達していない。 肥沃な花: 萼は帯緑色。萼筒はほぼ球形、長さ約2㎜、無毛。萼片は卵状円形、非常に小さく、長さ0.5~1㎜、まばらに星状毛があり、頂点は鈍形。花冠は白色または帯赤色、車形、直径5~6㎜、無毛。花冠筒部は長さ約2mm。花冠裂片は広がり、卵形、筒部の長さの約2倍の長さ、頂点は丸く、縁は全縁。 雄しべは花冠より短く、花冠筒の基部近くに挿入されています。花糸は長さ約1㎜。葯は黄色、卵形、長さ約1㎜。花柱は萼片を超えない。 柱頭は頭状。果実は最初は黄色に変わり、その後赤色になり、熟すと紫黒色、卵形、長さ8~9㎜、基部が丸く、頂部が丸く、無毛。核はわずかに扁平、長円形、約・長さ7㎜×幅5㎜、背側に1本の浅い溝と腹側に1本の溝を持ち、先は丸い。花期は4~5月。果期は8~9月。

47 Viburnum taitoense Hayata  タイトウガマズミ 台東莢蒾
 中国(広西チワン族自治区、湖南省)、台湾原産。中国名は台东荚蒾 tai dong jia mi。標高1600~3000mの岩の多い低木林、山の谷の川沿いに生える。
 常緑の低木、高さは2mまで。樹皮は灰褐色。 当年の枝は紫褐色、密集またはまばらに星状毛がある。前年の小枝は灰黄色または灰白色、無毛で、顕著に隆起した皮目を持つ。冬芽は披針形、2対の離れた鱗片があり、鱗片は無毛。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ6~10(~15)㎜、星状毛がある。葉身は若いうちは緑色、上面は濃い緑色で光沢があり、長円形、長円状披針形、または卵状長円形、長さ5~9㎝×幅2~3㎝、厚い紙質またはわずかに革質、下面は脈腋に星状毛があり、上面は無毛 、中脈は下面に隆起し、側脈は5または6対、羽状、弓形になり、分枝し、縁付近で吻合し、下面に顕著に隆起し、上面で凹み、細脈は横向き、下面にわずかに隆起し、上面は不明瞭、葉は分裂せず、基部は広楔形またはほぼ円形、 腺はなく、縁部を除いて縁に鋸歯があり、先は短い鋭形か、または円形。葉の展開後に花が現れる。花序は円錐花序、頂生、約・長さ3㎝×幅2㎝、花序枝は対生、十字対生。 花序の最初の節には2本の花序枝がつき、花は少数、星状毛があり、大きな不稔性の装飾花は無い。花序柄は長さ約2cm、細い。苞と小苞は遅い脱落性、葉状、帯緑色、線状披針形、星状毛がある。花は1次と2次の花序枝につき、香りは無い。小花柄は長さ3~4㎜。萼は赤色を帯びる。萼筒は筒状鐘形、長さ約2㎜、無毛またはまばらに星状毛がある。萼片が三角形、長さ約1mm、少数の星状縁毛があり、先は鈍形。花冠は白色、漏斗形、直径約6㎜、無毛。花冠筒部は長さ5~9㎜。花冠裂片は広がり、卵形~ほぼ球形、長さ2~3㎜、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠より短く、花冠筒部の頂部につく。花糸は非常に短い。葯は黄白色、長円形、長さ約1mm。花柱は長く、細く、明らかに萼片を超える。柱頭は頭状。果実は赤色に熟し、卵状楕円形、長さ7~9㎜×幅約6㎜、基部は丸く、頂点は丸く、無毛。核は扁平、楕円形、約・長さ7㎜×幅5㎜、腹側に深い溝があり、頂点は丸い。花期は3~4月。果期は9~11月。

48 Viburnum tashiroi Nakai オオシマガマズミ 大島莢蒾
  synonym Viburnum luzonicum Rolfe var. tashiroi (Nakai) Hatus.

  synonym Viburnum mullaha Buch.-Ham. ex D.Don var. tashiroi (Nakai) Hatus.

 日本(奄美大島、徳之島)固有種。山地の林縁に生える
 落葉低木、高さ3~5m。葉はシマガマズミより小さく、対生し、やや円い卵形、基部は円形~浅い心形、縁に低い鋸歯があり、先は急に短く鋭形~尖鋭形、質が薄く、表面は光沢があり、腺点があって粘る。花序は側枝に頂生し、花が多数つく。花は白色で芳香がある。雄しべが短い。果実は赤色に熟す。

49 Viburnum tinus L. ビブルヌム・ティヌス
 地中海地域原産。英名はLaurustinus , laurustinus viburnum , laurestine。中国名は地中海荚蒾 di zhong hai jia mi。別名はビバーナム・ティヌス 、トキワガマズミ、常緑ガマズミ。トキワガマズミの名で流通している栽培種。園芸品種も多数ある。和名のトキワガマズミは小笠原諸島に自生するViburnum boninsimense (Makino) Koidz. ex Nakaiであり、混同されている。
 常緑低木、高さ2~5m、若いシュートや葉を除いて無毛。葉柄は長さ 0.7~3(~4)㎝、帯紫色、露出した茎にしばしば剛毛がある。葉身は長さ5~13(~15)㎝×幅2~6(~7)㎝、卵形~卵状長円形~楕円形、全縁、下面の腋毛を除いて無毛 、ときに中脈上と両面の中脈の下部に剛毛があり、上面はやや光沢があり、基部は広楔形~円形、先は鈍形~鋭形。花序は散房花序直径約8㎝以下。枝と苞と萼は帯紫色又は赤紫色、無毛又はまばらに星状毛がある。花には±芳香がある。萼片は長さ約1㎜、三角形。雄しべは花冠より長く、葯は長さ約1㎜、広長円形。核果は長さ6~7㎜、萼を超え、広卵形、光沢のある暗青色。花期は3~4月。
品種) 'Bewley's Variegated' (v) , 'Bridixhuit' (PBR) , 'Clyne Castle' , 'Compactum' , 'Eve Price' , 'Exbury' , 'French White' , 'French White' , 'Grandiflora' , 'Gwenllian' , 'Israel' , 'Ladybird' , 'Lisarose' (PBR) , 'Lisspurp' , 'Little Bognor' , 'Lucidum' , 'Lucidum Variegatum' (v) , 'Macrophyllum' , 'Magraf' , 'Peter's Purple' , 'Pink Parfait' , 'Pink Prelude' , 'Prostratum' , 'Purpureum' , 'Pyramidale' , 'Sappho' , Spirit = 'Anvi' (PBR) , 'Spring Bouquet' , 'Tuscan Dream' (PBR) , 'Variegatum' (v) , 'Villa Noailles'

50 Viburnum trilobum Marshall アメリカカンボク
  synonym Viburnum opulus L. var. americanum Aiton
 USA、カナダ原産。英名はAmerican cranberry-bush , highbush cranberry。
 低木、高さ1~5m。葉は対生し、葉柄があり、葉身は長さ5~10㎝、幅は長さと同じかそれより広く、3裂けし、形がカエデに似て、基部は円形~切形 (真っすぐに切り取られる)、裂片の先は尖り、縁に粗い歯があり、掌状脈があり、 下面にわずかに毛が生える。葉柄は長さ1~3㎝、上部近くに1~6個の大きな腺体がある。腺体は柄があり、ほとんどが幅よりも高さが高く、上部が丸い。 花は枝分かれした集散花序につく。集散花序は頂部が平らで、幅5~10㎝、大きな不稔性の花(装飾花)がはるかに小さな稔性の花を囲む。稔性の花は5裂し、白色、幅5㎜まで、筒形で、内部にはまばらに毛が生える。雄しべは5本、花冠から突き出す。 花糸は白色。葯はタン色(tan)~黄色。 柱頭は3裂する。不稔性の花は辺縁につき、5裂し、白色、幅1.5~2.5㎝、わずかに不規則。 果実は液果状(核果)、束生し、明るい赤色、幅10~15㎜、丸く、1個の種子をもつ。 小枝は丈夫でうねがあり、丸い。花期は(4~)6~7月。
品種) 'Alfredo' , 'Andrews' , 'Bailey Compact' , 'Bailey's Compact' , 'Compactum' , 'Dart's Graduate' , 'Dart's Sunny Boy' , 'Hahs' , 'Hans' , 'Jewell Box' , 'Phillips' , Redwing® , 'Spring Green Compact' , 'Spring Red' , 'Spring Red Compact' , 'Wentworth'

51 Viburnum urceolatum Siebold et Zucc. ヤマシグレ 山シグレ
  synonym Viburnum taiwanianum Hayata

  synonym Viburnum urceolatum f. procumbens (Nakai) H.Hara ミヤマシグレ

  synonym Viburnum urceolatum var. procumbens Nakai
 日本(本州の近畿以西、四国、九州)、中国(福建省、広東省、北東広西チワン族自治区、貴州省、湖南省、西江西省、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は壶花荚蒾 hu hua jia mi 。標高600~2600mの森林に生える。
 落葉低木、高さ3(~4)mまで。樹皮は灰褐色。 当年の小枝は帯灰白色または灰褐色の星状綿毛がある。前年の小枝は暗紫褐色~帯黒色、円柱形、無毛で、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は裸で、灰白色または灰褐色の星状綿毛がある。葉は常に対生し、小枝の先に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、細く、長さ1~4㎝、灰白色または灰褐色の星状毛がある。葉身は若いうちは緑白色、卵状披針形または卵状長円形、長さ7~15(~18)㎝×幅4~6㎝、紙質、下面に脈に沿って星状毛があり、上面は中脈の上に毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は4~6対あり、羽状、アーチ状になり、分岐し、縁近くで吻合し、下面に顕著に隆起し、上面でわずかに窪み、細脈は横向き、下面で目立ち、上面では目立たない、葉は分裂せず、基部は楔形、円形、またはわずかに心形、腺はなく、縁はしばしば基部を除いて小鋸歯があり、先は尖鋭形~狭く尾状になる。葉の展開後に花が現れる。花序は複散形花序状の集散花序で、短い枝の先端につき、1~2対の葉を持ち、直径約5㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節には4または5本の花序枝がつき、密で帯赤色のまばらな星状毛があり、大きな不稔性の装飾花はない。花序柄は紫色、長さ3~7(~8.5)㎝。苞は宿存性、葉状、帯赤色、披針形~卵形、まばらに星状毛がある。小苞は線形。花は主に3~4次の花序枝につき、香りはなく、短い小花柄がある。萼は帯赤色。萼筒は筒状、長さ約2㎜、無毛。萼片はほぼ三角形~卵形、非常に小さく、長さ0.5~1㎜、無毛、先は鈍形、わずかに縁毛がある。花冠は外側が紫赤色、内側は白色、つぼ形または筒状鐘形、直径約3㎜、無毛。花冠筒部は長さ2~4㎜。花冠裂片は広がるか直立し、広卵形、筒部の長さの1/5~1/4、先は円形、縁にはパピラがある。雄しべは花冠より明らかに高くなり、花冠筒部の基部近く、またはときに中央より下にわずかに異なるレベルでつき、長さは不等で、最長約6㎜。花糸は長さ3~4㎜。葯は黄色、楕円形、長円形、長さ約1.5㎜。花柱は萼片よりも高くなる。柱頭は頭状。 果実は最初赤くなり、黒色に熟し、楕円形、長さ6~8㎜×幅5~6㎜、基部は丸く、頂部は丸く、無毛。 核は扁平、楕円形、長さ4~5㎜×幅3~4㎜、背側に2本の浅い溝と腹側に3本の溝があり、基部は丸く、頂部は丸い。花期は6~7月。果期は9~10月。2n=18。

51-1 Viburnum urceolatum Siebold et Zucc. f. procumbens (Nakai) H.Hara ミヤマシグレ 深山シグレ

  synonym Viburnum urceolatum Siebold et Zucc. var. procumbens Nakai
 幹の下部が長く地上を這い根を出し、先は立ち上がって、高さ0.5~1mになる。基本種との中間もある。POWOでは基本種に含める。

52 Viburnum utile Hemsley ビブルヌム・ウイティレ
 中国(貴州省、河南省、湖北省、湖南省、陝西省、四川省)原産。中国名は烟管荚蒾 yan guan jia mi。標高500~1800mの林縁、藪に生える。
常緑の低木で、高さは2メートルまで。 樹皮は灰褐色。 当年の枝は無光沢、黄褐色または灰白色の星状綿毛がある。 前年の小枝は赤褐色、円柱形、無毛で、小さな丸い皮目が散在する。冬芽は裸で、黄褐色または灰白色の星状綿毛がある。葉は常に対生し、小枝の先端に集まらない。托葉は無い。葉柄は緑色、丈夫、長さ5~10(~15)㎜、帯灰白色または黄色~帯白色の星状綿毛がある。葉身は若いうちは緑白色で、濃い緑色になり、光沢があり、無毛、または暗緑色になり、上面にまばらに星状毛が生え、卵状長円形~卵状披針形、長さ2~5(~8)㎝×幅1~2.5(~3.5)㎝ 、革質、下面の脈にはときにさび色の星状毛があり、中脈は下面に隆起し、側脈は5または6対、羽状、弓状になり、分岐し、縁近くで吻合し、下面にわずかに隆起し、上面ではわずかに隆起または目立たない。細脈は横方向、両方で不明瞭。葉は分裂せず、基部は円形または狭くなり、腺はなく、縁は全縁、またはまれに不明瞭な歯があり、わずかに内巻きし、先は円形~わずかに鈍形、ときに凹形。葉の展開後に花が現れる。花序は散形花序状の集散花序、頂生し直径5~7㎝。花序枝は輪生する。花序の最初の節は5本の花序枝を持ち、密集し、帯灰白色または帯黄白色の星状綿毛があり、大きな不稔の装飾花はない。花序柄は丈夫で、長さ1~3cm。苞葉は早落性、葉状、緑色、線形~線状披針形、星状毛がある。小苞は線形。花は通常、2次および3次の花序枝につき、香りがなく、無柄。萼は帯緑色。萼筒は筒状、長さ約2mm、無毛。 葉は卵状三角形、非常に小さく、長さ0.5~1㎜、無毛または小数の星状縁毛があり、先は鈍形で、わずかに縁毛がある。花冠は白色、つぼみの時は赤みを帯び、車形、直径6~7㎜、無毛。花冠筒部は長さ2~3㎜。花冠裂片は広がり、円状卵形、長さ約2 mm、筒部とほぼ同長かわずかに長く、先は円形、縁は全縁。雄しべは花冠の裂片とほぼ同じ長さで、花冠筒の基部近くにつく。花糸は長さ約4㎜。葯は黄色、ほぼ球形、長さ約1㎜。花柱は萼片とほぼ同長。柱頭は頭状。 果実は初めは赤色になり、黒色に熟し、楕円状長円形~楕円形、直径(6~)7~8㎜、基部は丸く、先は丸く、無毛。核はわずかに扁平、楕円形または倒卵形、長さ(5~)7㎜×幅(4~)5㎜、背側に2本の非常に浅い溝と腹側に3本の溝があり、先は丸い。花期は3~4月。果期は8月。2n=18。

53 Viburnum wrightii Miq. ミヤマガマズミ 深山莢蒾
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、ロシア原産。英名はleatherleaf , Wright Viburnum。山地の林内、林縁に生える。
 落葉低木、高さ2~5m。幹は灰褐色。葉は対生し、長さ6~14㎝、幅4~9㎝の倒卵形~広倒卵形、葉の基部は広楔形~切形、葉先が急に尾状に尖る。片側の鋸歯は15~20個。葉表は長毛を散生するか又はほとんど無毛、葉裏は腺点があり、葉脈に沿って、長い毛が生え、脈腋に星状毛の毛叢がある。葉柄は赤色を帯びることが多く、長さ9~20㎜、長い絹毛が散生する。托葉はない。茎頂に幅6~10㎝の散房花序を出し、白色の花を多数つける。花序軸には長毛があり、まばらに星状毛がある。花冠は直径5~7㎜、先が5裂する。雄しべ5個。花柱1個。果実は長さ6~9㎜、広卵形の核果、赤く熟す。核は長さ4~6㎜、卵円形。2n=36。花期は5~6月。
品種) 'Hessei'
 POWO(Kew)では以下の変種などを認めていない。

53-1 Viburnum wrightii Miq. f. minus (Nakai) Sugim. コミヤマガマズミ 小深山莢蒾

 ミヤママガマズミとオトコヨウゾメの雑種がかなりあるとの報告があり(北村・村田, 1971 ;大場1989)、両者が混在する西日本にみられるコミヤマガマズミを北村・村田(1971)は両種の雑種であると解釈している(参考10抜粋)。

53-2 Viburnum wrightii Miq. var. lucidum Hatus. テリハミヤマガマズミ 照葉深山莢蒾

 ミヤマガマズミに比べ葉の表面がほとんど無毛で非常に光沢が強い。

53-3 Viburnum wrightii Miq. var. stipellatum Nakai オオミヤマガマズミ 大深山莢蒾

  synonym Viburnum wrightii Miq. f. eglandulosum (Nakai) Hiyama
  synonym Viburnum wrightii Miq. f. sylvestre (Koidz.) Hiyama
  synonym Viburnum wrightii Miq. var. sylvestre Koidz.

  synonym Viburnum wrightii Miq. var. stipellatum Nakai f. kaiense Hiyama

 北海道、本州、四国、九州に分布。ミヤマガマズミより標高の高い場所に生える。
 葉は脈が密にあり、鋸歯が細かく鋭く、片側の鋸歯は25程度ある。葉の上面全体に微小な単純毛があり、分岐毛が混じる。

54 ハイブリッド
(1) Viburnum x hizenense (Hatus.) Hatus. ヒゼンガマズミ
  synonym Viburnum dilatatum Thunb. var. hizenense (Hatus.) Ohwi 
 ハクサンボクとミヤマガマズミとの自然交雑種
(2) Viburnum x kiusianum Hatus. オニコバノガマズミ 
 ハクサンボクとコバノガマズミとの自然交雑種。

(3) Viburnum × bodnantense Aberc. ex Stearn ビブルナム・ボドナンテンセ
 V. farreri × V. grandiflorumの人工交配種。英名はbodnant viburnum。花はピンク色、芳香がある。
品種) 'Charles Lamont' , 'Dawn' , 'Deben'

(4) Viburnum × burkwoodii Burkwood & Skipwith ビブルナム・バークウディー

 V. carlesii × V. utileの人工交配種。英名はburkwood viburnum。花はピンク白色、甘い芳香がある。
品種) American Spice™ , 'Anika' , 'Anne Russell' , 'Annika' , 'Burkwoodii' , 'Carlotta' , 'Chenaultii' , 'Compact Beauty' , 'Conoy' , 'Fulbrook' , 'Mohawk' , 'Park Farm Hybrid' , 'Sarcoxie'

(5) Viburnum × carlcephalum Burkwood ex Rullo ビブルナム・カールセファラム

 V. carlesii × V. macrocephalumの人工交配種。英名はfragrant snowball。花は白色。
品種) 'Cayuga' , 'Van der Maat' , 'Variegatum' (v)

(6) Viburnum × globosum ビブルナム・グロボスム
 V. davidii × V. calvum=V. atrocyaneumの人工交配種。葉は暗緑色。花は白色。
品種) 'Jermyns Globe'

(7) Viburnum × hillieri
 V. erubescens × V. henryiの人工交配種。英名はhillieri viburnum。葉が銅色。花はクリーム白色、芳香がある。
品種) 'Winton'(AGM)

(8) Viburnum × rhytidophylloides Suringar
 人工交配種 V. rhytidophyllum × V. lantana。
品種) 'Alleghany' , Dart's Duke = 'Interduke' , Emerald Envy™ , 'Fenceline' , 'Holland' , 'Interduke' , Red Balloon™ , 'Rhytana' , 'Willowwood'

(9) その他ハイブリッド hybrid
品種) 'Anvi' (PBR) , 'Chesapeake' , 'Chippewa' , 'Cornubia' , 'Decker' , 'Emerald Triumph' , 'Eskimo' , First Editions® , 'Forrerican Didissimum' , 'Fragrant Cloud' , Handsome Devil™ , 'Huron' , 'Jermyn's Globe' , 'Le Bois Marquis' (PBR) , 'Lord Byron' , 'Nantucket' , 'Oneida' , 'Pragense' , 'Prairie Classic' , 'Regenteum' , 'Royal Guard' , Shiny Dancer™ , Summer Reflection™ , 'Winton' ,

参考

1) Flora of China
 Viburnum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=134551
2)Viburnum - Michigan Flora
 Viburnum
https://www.michiganflora.net/genus.aspx?id=Viburnum
3)GRIN
 Viburnum
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=12699
4)Flora of New Zealand
 Viburnum
http://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Viburnum.html
5)Viburnum - Flora Iberica
 Descripcion del genero (pdf) Viburnum L.,
http://www.floraiberica.es/PHP/cientificos_.php?gen=Viburnum
6) Flora of New Zealand | Taxon Profile
 Viburnum tinus L
http://www.nzflora.info/factsheet/Taxon/Viburnum-tinus.html
7) Biodiversity Heritage Library(BHL)
 Flora of Japan(1953) 2.Viburnum ,p834
https://www.biodiversitylibrary.org/item/95083#page/1060/mode/1up
8) Ghent University Botanical Garden Arboretum Wespelaar
Viburnum L. (Adoxaceae) VEGETATIVE KEY TO SPECIES IN CULTIVATION
https://www.arboretumwespelaar.be/userfiles/file/pdf/Key_Viburnum_JDL.pdf
9) Bot. Mag. (Tokyo) 16: 157 BOTANICAL MAGAZINE Vol.16 p153-162 (1902)
 T, Makino ;Observations on the Flora of Japan.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/16/186/16_186_153/_pdf/-char/ja
10) 群馬県立自然史博物館研究報告 3 :51-56, 1999
 群馬県産ガマズミ類の花序あたりの着花数と花期(予報)
https://www.gmnh.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/bulletin03_7.pdf