アメリカイヌホオズキ 亜米利加犬酸漿

Flora of Mikawa
ナス科 Solanaceae ナス属
英 名 | eastern nightshade , eastern black nightshade , West Indian nightshade |
学 名 | Solanum emulans Raf. synonym Solanum adventitium Polg. synonym Solanum dillenianum Polgar synonym Solanum heterogonum Dunal synonym Solanum nigrum var. virginicum L. synonym Solanum americanum auct. non Mill. |














花 期 | 6~11月 |
高 さ | 5~100(30~60)㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 湿った開けた森林、川岸、野原、道端、乱れた地域 |
分 布 | 帰化種 カナダ(ブリティッシュコロンビアを除く)、USA(西部のカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、モンタナ州を除く全域)原産。 |
撮 影 | 幡豆町 11.11.2 |
アメリカイヌホオズキはナス科ナス属の雑草。学名がSolanum ptycanthumとされていたが、Solanum emulans Raf.に変更された。Solanum ptycanthumはSolanum americanumのsynonymとされた。アメリカイヌホオズキはカナダ南部、米国原産であり、西部沿岸地域を除き広く分布し、米国ではブラックナイトシェードグループで最も一般的な種である。英名はEastern nightshadeである。イギリス、スウェーデンなどに帰化し、日本にも帰化している。
特徴は分岐しない散形花序で、花数が少ない。花はやや大きい。葯は短く、花糸がやや長く、花柱がやや長い。果実は光沢が少なく、萼片はほぼ密着する。果実内の球状顆粒は6~9個程度と多い。種子は北米ではやや大きく、長さ1.6~1.8mm、果実の種子数も20~50(~60)個されるが、日本では長さ1~1.3mmと小さく、数が60~120個とされている。果実は毒があるともいわれ、deadly nightshade と呼ばれるが、これは違うものを指している。嗜好性についての多くの情報が得られるまで実を食べない方が賢明である。(全草にソラニンを含んでいるが、よく熟した果実には毒がないともいわれている。)
高さ1.0mまでの一年生草本~亜木質の多年生低木、基部で分枝する。茎は円柱形~うねがあり、緑色、軟毛があり、毛は単純で伏した単列の腺のない1~5細胞、長さは約0.2mm、新芽にはより密に軟毛がある。仮軸枝は2葉があり(difoliate)、葉は双生(geminate)ではない。葉は単純で、長さ4.5~10.5(~17.5)cm、幅2.0~6.3(~8.3)cm、卵形で薄い膜質、上下面がわずかに色が異なり、上面は緑色、下面は帯紫色、特に若い成長部ではその傾向が強く、上面は無毛~まばらに軟毛があり、茎の毛と同様の半透明で単純な単列の毛が伏せ、主に葉脈に沿って散在し、下面は無毛~まばらに毛があり、葉身と葉脈の両方に上面のものと同様の毛があり、主脈は4~6対。基部は漸尖形~鋭形、縁は波状の歯があり、まれに全縁、先は鋭形~尖鋭形。葉柄は長さ1.0~5.0cm、茎のものと同様の単純な単列の毛がある。花序は長さ1.0~2.5cm、側生し、節間につき、分岐せず、まれに2股に分岐し、先端近くに花が(2)3~6個、密につき(ほぼ散形)、まばらに毛があり、茎の毛と同様に単純な単列の毛が密にある。花序柄は長さ1.0~1.7cm、真っすぐ。小花柄は長さ8~10mm、基部の直径0.4~0.5mm、先端の直径0.5~0.6mm、真っ直ぐ広がり、基部に関節がある。小花柄の傷跡は約0~0.5mm間隔で存在する。蕾はほぼ球形、花冠は萼から、長さの1/3まで突出する。花は5数性、すべて完全花である。萼筒は長さ0.7~0.9mm、萼片は長さ0.8~2.2mm、幅0.7~1.3mm、卵形~細長く、先は鈍形であり、まばらに軟毛があり、茎に似た伏毛があるが、茎の毛より短い。花冠は直径8~10mm、星形、白色で基部近くの中央部は黄緑色、基部の1/3までで裂け、裂片は長さ3.0~4.0mm、幅1.0~1.2mm、花時に強く反り返り、後に広がり、縁と先端に沿って外面に密に毛があり、茎や葉のものと似た単列の単純な毛状突起があるが、より短い。雄しべは等長、花糸の筒部は小さく、毛があり、外面に開出する単列の単純な毛状突起がある。花糸の自由部分は長さ0.6~1.0mmで、筒と同様に毛がある。葯は長さ(1~)1.5~1.7mm、幅0.4~0.5mm、楕円形、黄色、先端には孔があり、孔は老化とともにスリット状に長くなる。子房は球形、無毛。花柱は長さ3.5~4.5mm、葯を超えず、密に毛があり、基部から1/3~1/2に、2~3細胞の単列の単純な毛状突起がある。柱頭は頭状、微細なパピラがあり、生きた植物では緑色である。果実は球形の液果、直径6~8mm、成熟すると鈍い紫黒色で不透明、果皮の表面は艶消しからわずかに光沢がある。果時の小花柄は長さ8~10mm、基部の直径は0.4~0.6mm、先端の直径は0.7~1.0mmで、反曲~後屈し、小花柄の間隔は0.5~2.5mmで、果実が成熟すると落ちる。果時に萼はやや増大し、萼筒は長さ1mm未満、萼片は長さ1.0~2.2mm、果実の表面に密着するか、成熟した果実ではわずかに広がる。種子は1果に20~50(~60)個、長さ1.6~1.8mm、幅1.0~1.2mmで、扁平、涙滴形、頂端近くにへそを持ち、褐色、表面に微細な穴があいており、種皮細胞は輪郭が五角形。球状顆粒(stone cells)は1果に6~9(10)個、直径約0.3mm。2n=2×=24 (Stebbins and Paddock 1949、S. americanum として; Mulligan 1961、S. americanum として; Soria and Heiser 1961、S. americanum として; Heiser et al. 1965、S. americanum として; Edmonds 1983、S. americanum として; Crompton and Bassett 1976、S. americanum として)。[Sandra Knapp etc.(2019)=GBIF: Database of Vascular Plants of Canada (VASCAN)]
※実測値の種子数は果径7㎜以上の数値、()内は果実の径が7㎜未満の全てを含めたとき。
アメリカイヌホオズキと思われる実測値は花の直径を除き、神奈川県植物誌のデータにほぼ一致し、花の直径が10mmを超えることを除き、各文献値の最小~最大の範囲に入る。
写真は草丈が30㎝程度と低く、よく分枝し横に広がった株である。葉にはまばらに毛があった。同じ花序でも花の大きさは同じでなく、かなり幅があり、平開した花冠の直径は6~12㎜であり、平均は9㎜でやや小さめ。花冠の裂片は通常、細いが、裂片の幅がやや広い花も稀に混じる。花冠の色はほとんど淡紫色で白色の花はわずか。果実はフケ状班紋(白色の斑点)が不明瞭で、直径5~8.5㎜。果実の萼片の基部が果実に付着し、反り返りは弱い。球状顆粒数はSandra Knapp etc.(2019)などでは6個以上、神奈川県植物誌やFlora of North Americaでは4個以上とされている。小さい果実でも4個以上必ずあるが、6個までであった。過去には8個のものも確認している。種子は神奈川県植物誌のデータよりやや大きいが、Flora of North AmericaやSandra Knapp etc.(2019)など米国やカナダのアメリカイヌホオズキの長さ1.4または1.5mm以上より明らかに小さい。神奈川県植物誌ではアメリカイヌホオズキ花序の花数が少ないことと花冠が小さいこと以外にはオオイヌホオズキとの違いがないとして、種子については言及していない。種子数はFlora of North AmericaやSandra Knapp etc.(2019)では20~50(~60)個としているが、神奈川県植物誌やGo Botany(Discover thousands of New England plant)では60以上としている。果径が7㎜以上だと種子数も60個以上あり、神奈川県植物誌のデータ範囲になった。
他のイヌホオズキ類との比較はイヌホオズキ類の比較表にまとめた。
ムラサキイヌホオズキ類似種は花が淡紫色を帯び、全体の外観もアメリカイヌホオズキによく似ている。茎など全体に紫色を帯び、果実はフケ状班紋がやや多く、大きくて光沢が強く、種子もやや大きい。
オオイヌホオズキは果実がよく似ていてアメリカイヌホオズキに間違いやすい。花が大きく、花柱が長く、花序の花数が5~8個と多く、種子が小さい。花が小さいものしかなく迷うときの判別には花柱や葯の長さの測定により確定できる。
イヌホオズキは花冠の切れ込みが浅くて裂片の幅が広い。また、果実に光沢がなく、球状顆粒を含まず、種子が長さ約2㎜と大きい。種子の大きさで確定できる。
テリミノイヌホオズキは花序の花数が多く、果実が早くから黒紫色になり、光沢が強い。花もよく淡紫色になり、アメリカイヌホオズキによく似ているため、果実がないと判別が難しい。花や果実や種子の大きさなどは変化が多く、文献値の最小~最大は広く、アメリカイヌホオズキがほとんど含まれてしまう。アメリカイヌホオズキなどとの区別は果実の萼片の後屈の強さ、緑の果実のフケ状班紋の量、果実の球状顆粒によって確認できる。球状顆粒はほとんどなく、あっても1~2個が多い。ただし、多くなる場合もあるとの報告がある。葉は上部のものが小さく、全縁に近くなることが多いが、下部でも同様の波状鋸歯になることもある。2型確認報告されており、テリミノイヌホオズキ(垂れ実型)とカンザシイヌホオズキ型がある。カンザシイヌホオズキ型は小果柄が上向きに立つので判別は簡単である。
草本または低木、一年生または多年生、直立し、無柄、高さ1mまで、無毛またはまばらにまたはまれに密に毛が生え、毛は分岐せず、長さ1mmまで、腺がない。葉は葉柄があり、葉柄は長さ1~5cm、葉身は単葉、卵形~楕円形、長さ4.5~10.5cm×幅2~6cm、縁は全縁~波状の歯があり、基部は漸尖形~円形。花序は腋外生(extra-axillary:葉腋でなく、茎の側面から突き出す)、分岐せず、散形花序状、花が(2~)3~6個つき、長さ1~2.5cm。小花柄は花時には真っ直ぐで広がり、果時には反曲~後屈し、長さ0.5~1cm、果実とともに落ちる。花は放射相称。萼は増大せず、無棘、長さ2~3mm、無毛~まばらに毛があり、萼片は果時に密着し、三角形。花冠は白色、ときに中央に黄色い星形があり、まれに紫色を帯び、星形で、直径0.5~1cm、花弁間組織はない。雄しべは等長。葯は楕円形、長さ1~1.5mm、先端の孔が裂けて縦方向に裂開する。子房は無毛。果実は鈍いまたはわずかに光沢のある紫黒色、球形、長さ0.5~1cm、無毛、果実1個につき6~9個の球状顆粒(sclerotic granules:硬粒)がある。種子は帯黄色、扁平、長さ1.5~2mm×幅1~1.5mm、細かい網目模様がある。2n=24(x=12)。花期は5~10月。
Solanum emulans は、S. ptychanthum Dunal (ptycanthum という綴りのバリエーション)と呼ばれることが多いが、この名前はテリミノイヌホオズキ(S. americanum)の同義語であり、誤り。Solanum emulans は、北アメリカ北東部のブラックナイトシェードグループで最も一般的な種である。この植物は、分岐しない花序、短い葯、密着した果実の萼片、および果実内の多数の球状顆粒によって、他の北米のナス科植物グループと区別できる(FNA)。
【神奈川県植物誌(アメリカイヌホオズキ Solanum ptycanthum Dunal ex DC.)の解説】
1年草と思われる。暖地で越冬することがあるかどうかは不明。1花序の花数が1~4花と少ないこと、花冠が径4~6mm と小さいこと、果実中に球状顆粒を4~10個含み、種子が長さ1~1.3mmと小さいことが特徴。果実は普通黒く熟し、光沢はやや鈍いが、ときに暗緑色に熟してしまうものもある。若い果実にはテリミノイヌホオズキのような白色ふけ状の斑紋はあまり見られない。花序の花数が少ないことと花冠が小さいこと以外にはオオイヌホオズキとの違いがない。明確に区別できるものかどうかは今後の検討課題である。北アメリカ原産の帰化植物。北アメリカのロッキー山脈の東側に広く分布し、日本各地の港湾や畑地に帰化している。アメリカイヌホオズキの和名は村田 (1956分地16:142)による。県内では県央や東部の市街地や荒地に普通にみられる。湘南植物誌I (1985)のコバノイヌホオズキは本種であった。また、湘南植物誌I (1985)や「神植誌88」のアメリカイヌホオズキには本種とテリミノイヌホオズキが含まれていた。レクトタイプの選定により、北アメリカでそれまでにS. americanumとされていたものはS. ptycanthumで、S. nodiflorum とされていたものがS. americanumになっている(Schilling 1981)。「長田帰化76」のアメリカイヌホオズキもS. americanum ではなくS. ptycanthumである。S. ptycanthum とS. americanumについてはSchllinge (1981)およびOgg et al. (1981)を参考にした[神奈川県植物誌2001から転載]。
【参考20;Sandra Knapp etc.(2019)の解説】=【GBIF: Database of Vascular Plants of Canada (VASCAN)の解説】(再掲)
高さ1.0mまでの一年生草本~亜木質の多年生低木、基部で分枝する。茎は円柱形~うねがあり、緑色、軟毛があり、毛は単純で伏した単列の腺のない1~5細胞、長さは約0.2mm、新芽にはより密に軟毛がある。仮軸枝は2葉があり(difoliate)、葉は双生(geminate)ではない。葉は単純で、長さ4.5~10.5(~17.5)cm、幅2.0~6.3(~8.3)cm、卵形で薄い膜質、上下面がわずかに色が異なり、上面は緑色、下面は帯紫色、特に若い成長部ではその傾向が強く、上面は無毛~まばらに軟毛があり、茎の毛と同様の半透明で単純な単列の毛が伏せ、主に葉脈に沿って散在し、下面は無毛~まばらに毛があり、葉身と葉脈の両方に上面のものと同様の毛があり、主脈は4~6対。基部は漸尖形~鋭形、縁は波状の歯があり、まれに全縁、先は鋭形~尖鋭形。葉柄は長さ1.0~5.0cm、茎のものと同様の単純な単列の毛がある。花序は長さ1.0~2.5cm、側生し、節間につき、分岐せず、まれに2股に分岐し、先端近くに花が(2)3~6個、密につき(ほぼ散形)、まばらに毛があり、茎の毛と同様に単純な単列の毛が密にある。花序柄は長さ1.0~1.7cm、真っすぐ。小花柄は長さ8~10mm、基部の直径0.4~0.5mm、先端の直径0.5~0.6mm、真っ直ぐ広がり、基部に関節がある。小花柄の傷跡は約0~0.5mm間隔で存在する。蕾はほぼ球形、花冠は萼から、長さの1/3まで突出する。花は5数性、すべて完全花である。萼筒は長さ0.7~0.9mm、萼片は長さ0.8~2.2mm、幅0.7~1.3mm、卵形~細長く、先は鈍形であり、まばらに軟毛があり、茎に似た伏毛があるが、茎の毛より短い。花冠は直径8~10mm、星形、白色で基部近くの中央部は黄緑色、基部の1/3までで裂け、裂片は長さ3.0~4.0mm、幅1.0~1.2mm、花時に強く反り返り、後に広がり、縁と先端に沿って外面に密に毛があり、茎や葉のものと似た単列の単純な毛状突起があるが、より短い。雄しべは等長、花糸の筒部は小さく、毛があり、外面に開出する単列の単純な毛状突起がある。花糸の自由部分は長さ0.6~1.0mmで、筒と同様に毛がある。葯は長さ(1~)1.5~1.7mm、幅0.4~0.5mm、楕円形、黄色、先端には孔があり、孔は老化とともにスリット状に長くなる。子房は球形、無毛。花柱は長さ3.5~4.5mm、葯を超えず、密に毛があり、基部から1/3~1/2に、2~3細胞の単列の単純な毛状突起がある。柱頭は頭状、微細なパピラがあり、生きた植物では緑色である。果実は球形の液果、直径6~8mm、成熟すると鈍い紫黒色で不透明、果皮の表面は艶消しからわずかに光沢がある。果時の小花柄は長さ8~10mm、基部の直径は0.4~0.6mm、先端の直径は0.7~1.0mmで、反曲~後屈し、小花柄の間隔は0.5~2.5mmで、果実が成熟すると落ちる。果時に萼はやや増大し、萼筒は長さ1mm未満、萼片は長さ1.0~2.2mm、果実の表面に密着するか、成熟した果実ではわずかに広がる。種子は1果に20~50(~60)個、長さ1.6~1.8mm、幅1.0~1.2mmで、扁平、涙滴形、頂端近くにへそを持ち、褐色、表面に微細な穴があいており、種皮細胞は輪郭が五角形。球状顆粒(stone cells)は1果に6~9(10)個、直径約0.3mm。2n=2×=24 (Stebbins and Paddock 1949、S. americanum として; Mulligan 1961、S. americanum として; Soria and Heiser 1961、S. americanum として; Heiser et al. 1965、S. americanum として; Edmonds 1983、S. americanum として; Crompton and Bassett 1976、S. americanum として)。
Solanum emulans は、長さ1.0~1.5mmの小さな葯、S. americanum に比べて比較的長い0.6~1.0mmの花糸、S. americanum よりも長い萼片が S. americanum のように強く反り返るのではなく果実に密着していること、果実の先端で小花柄が太くなること(S. americanum と異なる)、成熟した果実とともに小花柄が落ちること(S. americanum では花序に花柄が残る)により、北米の他のモレロイド植物(Morelloid cladeの植物:black nightshades または Maurella(Morella))と区別できる。Solanum emulans の果実には常に4~9(10)個の球状顆粒(stone cells:石細胞)があるが、S. americanum には石細胞がないか、最大でも4個である。 Solanum emulans は、葯が短いこと、萼片が通常より短いこと、花序が通常分岐しないことで、S. interius および S. nigrescens と区別できる。ときに移入される S. nigrum と同所的である場合、葯の長さと果実内の球状顆粒の数に基づいて S. emulans を簡単に区別できるが、S. emulans の葉は一般に薄く、裏面は紫がかっていることが多い。グレートプレーンズ(Great Plains:北米の Rocky 山脈東方から Mississippi 川に至る大平原地帯)では、形態的に類似する S. interius の方が S. emulans よりも一般的である一方、アメリカ合衆国の南東部およびメキシコ湾岸では S. americanum の方が一般的である。Solanum emulans はカリブ海では知られていない。S. emulans は18世紀からヨーロッパの植物園で栽培されていたようだが、最初に移入された場所を超えて逃げ出して帰化はしていない。ヨーロッパの標本は石油工場や衣料工場の近くの地域で見つかったものが少なく、どうやら存続していないようである(Polgar 1926)。Constantine Rafinesque は、新しい分類群に関する多数の記述の中で特定の標本を挙げておらず、彼が北米に保管していた植物標本は彼の死後広く散逸し、破壊されたと考えられている(Pennell 1944; Warren 2004)。ウィーン植物標本館(W acc. # 0009388)の標本は S. emulans の記述に該当し、「Solanum Virginicum / Amer. Bor. Rafinesque」というラベルと1828年の日付が記されており、この名前の元となった資料である可能性がある。ここではこれを新基準標本として選択した。これは、この標本(または他の標本)が Rafinesque によって S. emulans の記述に使用されたという証拠が序文にないためである。S. ptychanthum いう名前は北米でこの種に使われてきたが(例えば、Schilling 1981、Voss et al. 1993、Jones 2005)、その名前のタイプはS. americanumの植物に対応している(S. americanum の説明を参照)。Solanum emulans は長い間無視されてきたが、序文でRafinesqueは明らかに「ニューイングランドとケンタッキー」の分類群を指しており、人々はこれを「S. virginicum」と呼んでいた。おそらくリンネの S. nigrum var. virginicum であり、S. virginicum L. (インド産のとげのあるナス科植物 S. virginianum L. の非合法な名前で綴り方が違うもの、Jarvis 2007 を参照) はない。そして彼の説明は、北米東部に広く分布するこの小花のモレロイド植物と一致している。序文には「北東州産で、通常 S. Virg. [virginianum] と間違われるが、表面は平滑でより小さく、花は白く小さく、液果は豆状」とある。この分類群に対応する標本は、オックスフォード大学の Dillenian 植物標本室に多名式(Solanum nigrum vulgari simile、caulibus exasperatis Dill. elth. 368、t. 275、f. 256) で収蔵されており、Solanum nigrum var. virginicum (Linnaeus 1753) について引用された唯一の要素である図版に対応している。D'Arcy (1974 a) は Solanum adventitium のタイプとして「ハンガリー、Polgar s. n. (MPU)」を挙げているが、産地や番号は明記していない。これは、単一の明確な標本を引用するほど具体的ではないと考えており、原典と矛盾する可能性が高いため、ここでは S. adventitium を選別標本とする。S. adventitium の原典で、Polgar (1926) は、1915年から1919年の間に「Meller'schen Oelfabrik」と「Gueterbahnhof」(どちらもハンガリー、ジェーエル) で収集した自身のコレクションをいくつか引用しているが、数も植物標本集も引用していない。彼は、植物が 1919年10月までに両方の産地から姿を消したと述べているが、やはり植物標本集は引用していない。彼の植物標本はBPに保管されており、私たちは、1916年から1919 年の間にジェールの貨物倉庫で収集された植物標本の中の S. adventitium とラベル付けされた彼の多数のコレクションの1つを、レクトタイプ(BP-352743)として選定した。[GBIF: Database of Vascular Plants of Canada (VASCAN)]
【SEInet;Solanum ptychanthum Dunalの解説】
Eastern Black Nightshade, nightshade, West Indian nightshade, West Indian nightshade。米国北東部および隣接するカナダの維管束植物
枝分かれする1年生、15~60cm、無毛またはやや剛毛または特に上部に内曲した微軟毛がある。葉は葉柄があり、葉身は卵形~三角形、不規則に鈍い歯があるか、またはほぼ全縁、長さ2~8cm×幅1~5.5cm。花序柄は多数あり、斜上し、長さ3cmまで。小花柄は密に束生し(散形花序を形成し)、少なくとも果時に大部分が後屈し、成熟すると萼は長さ2~3mm、萼片はしばしば不等長であり、ときに後屈する。花冠は白色またはわずかに青みがかり、幅5~10mm。果実は球形で黒色、直径8mm、少なくとも若いうちは有毒。種子は多数、しばしば種子の半分の長さのほぼ球形の球状顆粒(concretions)が1~10個ある。倍数体系列は x=12 に基づく。生息地が乱れた世界各地に生息する雑草で、非常に多様化しているが、多くの試みにもかかわらず、まだ満足のいくほど個別の分類群に分けられていない。ここで説明されている北米原産の植物は、これまでのところすべて二倍体である。種レベルでのこれらの最も古い名前は、S. ptychanthum Dunal (S. americanum Mill.、おそらく誤用) である可能性がある。変種レベルでは、名前は S. nigrum var. virginicum L となる。典型的なヨーロッパの S. nigrum は、主に大西洋岸の港湾周辺でのみ見られる。これは六倍体で、より毛が多く、(毛は短く、±広がり、やや粘性がある)で、より総状花序状(それでもコンパクト)に近い花序がある。
【Go Botany Discover thousands of New England plants:Solanum ptychanthumの解説】
北アメリカ原産。英名はeastern black nightshade , West Indian nightshade。帰化し、荒地、草地に生える。
1年草、高さ5~100(30~60)㎝。茎は直立し、普通、上部で多数、分枝し、ほとんど毛がない。(広く分枝するともいわれる。)葉は互生し、卵形又は菱形(diamond-shaped)、薄い緑色で、柔らかく、厚さが薄く半透明に近い。小さな花が小さな散形花序(小花柄は1点につく)に普通、1~4個集まってつく。花柄は短く、葉腋でなく、茎の側面から突き出す。5裂し、萼片が5個ある萼は果実が大きくなっても大きくならない。花冠は白色又は淡紫色。5個の細い裂片がトマトの花のような星形をなす。葯は短く長さ1.3~2㎜。花の中心部は黄色の円柱状になる。果実は漿果(berry)、初め緑色~暗褐色~黒色に変わり、成果の直径5~9㎜。種子は50~110個、長さ1.4~1.8㎜。花期は6~11月。
【Arkansas Native Plant Societyの解説】
この一年生または短命の多年生種は、白っぽく、むしろ節くれだった、枝分かれした主根を持つ。茎は若いうちは直立しているが、分裂して長くなると低く成長する。成熟した植物は、いくつかの細い茎を持ち、高さ15cm以上しかなく、幅90cmになる。花は6~10月にかけて咲き、果実は霜が降りるまで続く。植物全体のでは葉が互生するが、節では1~2本の枝と葉が輪生し、葉がつかないこともある。茎は緑色(老化すると灰褐色)、無毛またはわずかに毛があり(羊毛状)、断面は丸い。葉は単葉、ほとんどが互生し、葉柄があり、広披針形~三角形、先は尖鋭形、先端は鈍く、基部は円形~楔形。葉柄は葉身の延長によって部分的に翼状になる。葉は長さ7.5cm(長さ1.8cmの葉柄を含む)×幅5cm・まで、中央とその下が最も広く、上面は緑色、下面は明るい緑色、茎と同様に、無毛からわずかに毛があり、縁は全縁から広く波打つか、鈍い歯がある。花序は、枝(腋生や頂生ではなく)に直接生える小さな散形花序から成る。花序柄は長さ1.8cm以上で枝からまっすぐ伸び、小花柄は長さ8mmまで、下向きにアーチ状になる。散形花序には2~6個(多くの場合3個)の花が付く。花序柄と小花柄には羊毛状毛がある傾向がある。萼は筒形、5個の短い三角形の萼片を持つ。花期には、垂れ下がった花の星形の花冠は強く反り返る。花冠は幅6+mmあり、花冠裂片は5個、狭三角形、全体的に鈍い白色で、中央から光沢のある明るい緑色が広がる。雄しべは葯が明るい黄色、リング状に輻合し、花柱をしっかりと囲んで隠しており、花冠中心から突き出し、小さなこぶ状の柱頭のみが葯から露出する。葯には花粉を放出するための頂端に孔がある(poricidal dehiscence)。採餌蜂が花に止まると、その羽音が葯を振動させ、花粉が頂端孔から放出され、蜂が集めるか、空気中に放出される。花粉は粘着性のある柱頭に簡単に付着し、花は蜜を出さない。受精した花は晩秋まで球形の液果を垂らして実らせる。丈夫な植物であれば 100 個以上の液果をつける可能性がある。最初はまだら模様の淡い緑色だが、成熟すると真っ黒になりり、緑色の星のような萼片は、光沢のある6mmの果実の基部に残る。液果には、ゼラチン状の透明液体の中に、直径1.6mmまでの円盤状の黄褐色の種子が 75 個以上含まれる。
【THE BIOLOGY OF CANADIAN WEEDSの(1985)の解説】
Solanum ptycanthumは1年生植物、稀に短命の多年生植物、高さ1mまでになり、直立し、まばらにまたは自由に枝分かれする。茎は緑色または緑紫色で、丸くまたは角張り、無毛である。葉は長さ10cm、幅9cmまでになり、三角状卵形または楕円形、鋭形、表面はほぼ無毛で少数の無腺の毛がある。花序は散形花序で、最大6個の花がつく。萼は花時に長さ1~3mm、萼片は萼筒とほぼ同長で、成熟した液果に付着または広がる。花冠は星形、白色に黄色の星があり、幅約8mm、葯は黄色で長さ1~2mm。花粉は直径20~22µmで、3溝型(tricolporate)である。成熟した果実は球形、光沢があり、紫黒色。果実は通常、小花柄と花序柄の接合部で分離し、直径7~9mm、球状顆粒(sclerotic granules)が6~15個ある(直径約0.5mmの小さな硬い内包物が果実の肉質の基質中に存在する)。種子は最大100個で、長さ1.5~1.8mm、幅1.3mm、薄褐色である。2n=24(カナダ産のeastern black nightshade(かつてeastern black nightshadeの名称はSolanum americanum Millに使用されていた(Mullign 1961; Crompton and Bassett 1976))。
特徴は分岐しない散形花序で、花数が少ない。花はやや大きい。葯は短く、花糸がやや長く、花柱がやや長い。果実は光沢が少なく、萼片はほぼ密着する。果実内の球状顆粒は6~9個程度と多い。種子は北米ではやや大きく、長さ1.6~1.8mm、果実の種子数も20~50(~60)個されるが、日本では長さ1~1.3mmと小さく、数が60~120個とされている。果実は毒があるともいわれ、deadly nightshade と呼ばれるが、これは違うものを指している。嗜好性についての多くの情報が得られるまで実を食べない方が賢明である。(全草にソラニンを含んでいるが、よく熟した果実には毒がないともいわれている。)
高さ1.0mまでの一年生草本~亜木質の多年生低木、基部で分枝する。茎は円柱形~うねがあり、緑色、軟毛があり、毛は単純で伏した単列の腺のない1~5細胞、長さは約0.2mm、新芽にはより密に軟毛がある。仮軸枝は2葉があり(difoliate)、葉は双生(geminate)ではない。葉は単純で、長さ4.5~10.5(~17.5)cm、幅2.0~6.3(~8.3)cm、卵形で薄い膜質、上下面がわずかに色が異なり、上面は緑色、下面は帯紫色、特に若い成長部ではその傾向が強く、上面は無毛~まばらに軟毛があり、茎の毛と同様の半透明で単純な単列の毛が伏せ、主に葉脈に沿って散在し、下面は無毛~まばらに毛があり、葉身と葉脈の両方に上面のものと同様の毛があり、主脈は4~6対。基部は漸尖形~鋭形、縁は波状の歯があり、まれに全縁、先は鋭形~尖鋭形。葉柄は長さ1.0~5.0cm、茎のものと同様の単純な単列の毛がある。花序は長さ1.0~2.5cm、側生し、節間につき、分岐せず、まれに2股に分岐し、先端近くに花が(2)3~6個、密につき(ほぼ散形)、まばらに毛があり、茎の毛と同様に単純な単列の毛が密にある。花序柄は長さ1.0~1.7cm、真っすぐ。小花柄は長さ8~10mm、基部の直径0.4~0.5mm、先端の直径0.5~0.6mm、真っ直ぐ広がり、基部に関節がある。小花柄の傷跡は約0~0.5mm間隔で存在する。蕾はほぼ球形、花冠は萼から、長さの1/3まで突出する。花は5数性、すべて完全花である。萼筒は長さ0.7~0.9mm、萼片は長さ0.8~2.2mm、幅0.7~1.3mm、卵形~細長く、先は鈍形であり、まばらに軟毛があり、茎に似た伏毛があるが、茎の毛より短い。花冠は直径8~10mm、星形、白色で基部近くの中央部は黄緑色、基部の1/3までで裂け、裂片は長さ3.0~4.0mm、幅1.0~1.2mm、花時に強く反り返り、後に広がり、縁と先端に沿って外面に密に毛があり、茎や葉のものと似た単列の単純な毛状突起があるが、より短い。雄しべは等長、花糸の筒部は小さく、毛があり、外面に開出する単列の単純な毛状突起がある。花糸の自由部分は長さ0.6~1.0mmで、筒と同様に毛がある。葯は長さ(1~)1.5~1.7mm、幅0.4~0.5mm、楕円形、黄色、先端には孔があり、孔は老化とともにスリット状に長くなる。子房は球形、無毛。花柱は長さ3.5~4.5mm、葯を超えず、密に毛があり、基部から1/3~1/2に、2~3細胞の単列の単純な毛状突起がある。柱頭は頭状、微細なパピラがあり、生きた植物では緑色である。果実は球形の液果、直径6~8mm、成熟すると鈍い紫黒色で不透明、果皮の表面は艶消しからわずかに光沢がある。果時の小花柄は長さ8~10mm、基部の直径は0.4~0.6mm、先端の直径は0.7~1.0mmで、反曲~後屈し、小花柄の間隔は0.5~2.5mmで、果実が成熟すると落ちる。果時に萼はやや増大し、萼筒は長さ1mm未満、萼片は長さ1.0~2.2mm、果実の表面に密着するか、成熟した果実ではわずかに広がる。種子は1果に20~50(~60)個、長さ1.6~1.8mm、幅1.0~1.2mmで、扁平、涙滴形、頂端近くにへそを持ち、褐色、表面に微細な穴があいており、種皮細胞は輪郭が五角形。球状顆粒(stone cells)は1果に6~9(10)個、直径約0.3mm。2n=2×=24 (Stebbins and Paddock 1949、S. americanum として; Mulligan 1961、S. americanum として; Soria and Heiser 1961、S. americanum として; Heiser et al. 1965、S. americanum として; Edmonds 1983、S. americanum として; Crompton and Bassett 1976、S. americanum として)。[Sandra Knapp etc.(2019)=GBIF: Database of Vascular Plants of Canada (VASCAN)]
アメリカイヌホオズキの調査結果
葉の質が薄く、花が散形状につき少なく、果実の光沢が少なく、萼片が反り返りが少ないアメリカイヌホオズキを採取し、神奈川県植物誌、FNA(Flora of North America)、Sandra Knapp etc.(2019)=VASCAN、SEInet、Go Botany、Can. J. Plant Sci.(1985)のデータと比較した。アメリカイヌホオズキの各文献値との比較
神奈川県植物誌 | Flora of North America | Sandra Knapp etc.(2019) | SEInet | Go Botany | Can. J. Plant Sci.(1985) | 文献値 最小~最大 | 実測 | |
花序の花 個 | 1~4 | (2~)3~6 | (2~)3~6 | - | 1~4 | - | 1~6 | 1~5 |
花径 ㎜ | 4~6 | 5~10 | 8~10 | 5~10 | - | 約8 | 4~10 | 6~12 |
花柱 ㎜ | 2~3 | - | 3.5~4.5 | - | - | - | 2~4.5 | 2.1~2.8 |
葯 ㎜ | 1~1.5 | 1~1.5 | (1~)1.5~1.7 | - | 1.3~2 | 1~2 | 1~2 | 1.4~1.6 |
果実光沢 | やや鈍 | 鈍~微光沢 | 無~微光沢 | - | - | - | 無~微光沢 | やや鈍 |
果径 ㎜ | 7~10 | 5~9 | 6~8(~12) | 約8 | 5~9 | 7~9 | 5~10(~12) | 5~8.5 |
種子数 個 | 60~120 | 20~50(~60) | 20~50(~60) | - | 50~110 | 100以下 | 20~120 | (12)69~118 |
種子長 ㎜ | 1~1.3 | 1.5~2 | 1.6~1.8 | - | 1.4~1.8 | 1.5~1.8 | 1~2 | 1.2~1.5 |
球状顆粒 個 | 4~10 | (4)6~9(10) | 6~9(10) | 1~10 | - | 6~15 | (1~)4~10(~15) | 4~6 |
アメリカイヌホオズキと思われる実測値は花の直径を除き、神奈川県植物誌のデータにほぼ一致し、花の直径が10mmを超えることを除き、各文献値の最小~最大の範囲に入る。
写真は草丈が30㎝程度と低く、よく分枝し横に広がった株である。葉にはまばらに毛があった。同じ花序でも花の大きさは同じでなく、かなり幅があり、平開した花冠の直径は6~12㎜であり、平均は9㎜でやや小さめ。花冠の裂片は通常、細いが、裂片の幅がやや広い花も稀に混じる。花冠の色はほとんど淡紫色で白色の花はわずか。果実はフケ状班紋(白色の斑点)が不明瞭で、直径5~8.5㎜。果実の萼片の基部が果実に付着し、反り返りは弱い。球状顆粒数はSandra Knapp etc.(2019)などでは6個以上、神奈川県植物誌やFlora of North Americaでは4個以上とされている。小さい果実でも4個以上必ずあるが、6個までであった。過去には8個のものも確認している。種子は神奈川県植物誌のデータよりやや大きいが、Flora of North AmericaやSandra Knapp etc.(2019)など米国やカナダのアメリカイヌホオズキの長さ1.4または1.5mm以上より明らかに小さい。神奈川県植物誌ではアメリカイヌホオズキ花序の花数が少ないことと花冠が小さいこと以外にはオオイヌホオズキとの違いがないとして、種子については言及していない。種子数はFlora of North AmericaやSandra Knapp etc.(2019)では20~50(~60)個としているが、神奈川県植物誌やGo Botany(Discover thousands of New England plant)では60以上としている。果径が7㎜以上だと種子数も60個以上あり、神奈川県植物誌のデータ範囲になった。
他のイヌホオズキ類との比較はイヌホオズキ類の比較表にまとめた。
ムラサキイヌホオズキ類似種は花が淡紫色を帯び、全体の外観もアメリカイヌホオズキによく似ている。茎など全体に紫色を帯び、果実はフケ状班紋がやや多く、大きくて光沢が強く、種子もやや大きい。
オオイヌホオズキは果実がよく似ていてアメリカイヌホオズキに間違いやすい。花が大きく、花柱が長く、花序の花数が5~8個と多く、種子が小さい。花が小さいものしかなく迷うときの判別には花柱や葯の長さの測定により確定できる。
イヌホオズキは花冠の切れ込みが浅くて裂片の幅が広い。また、果実に光沢がなく、球状顆粒を含まず、種子が長さ約2㎜と大きい。種子の大きさで確定できる。
テリミノイヌホオズキは花序の花数が多く、果実が早くから黒紫色になり、光沢が強い。花もよく淡紫色になり、アメリカイヌホオズキによく似ているため、果実がないと判別が難しい。花や果実や種子の大きさなどは変化が多く、文献値の最小~最大は広く、アメリカイヌホオズキがほとんど含まれてしまう。アメリカイヌホオズキなどとの区別は果実の萼片の後屈の強さ、緑の果実のフケ状班紋の量、果実の球状顆粒によって確認できる。球状顆粒はほとんどなく、あっても1~2個が多い。ただし、多くなる場合もあるとの報告がある。葉は上部のものが小さく、全縁に近くなることが多いが、下部でも同様の波状鋸歯になることもある。2型確認報告されており、テリミノイヌホオズキ(垂れ実型)とカンザシイヌホオズキ型がある。カンザシイヌホオズキ型は小果柄が上向きに立つので判別は簡単である。
アメリカイヌホオズキの各文献の解説
【Flora of North Americaの解説】草本または低木、一年生または多年生、直立し、無柄、高さ1mまで、無毛またはまばらにまたはまれに密に毛が生え、毛は分岐せず、長さ1mmまで、腺がない。葉は葉柄があり、葉柄は長さ1~5cm、葉身は単葉、卵形~楕円形、長さ4.5~10.5cm×幅2~6cm、縁は全縁~波状の歯があり、基部は漸尖形~円形。花序は腋外生(extra-axillary:葉腋でなく、茎の側面から突き出す)、分岐せず、散形花序状、花が(2~)3~6個つき、長さ1~2.5cm。小花柄は花時には真っ直ぐで広がり、果時には反曲~後屈し、長さ0.5~1cm、果実とともに落ちる。花は放射相称。萼は増大せず、無棘、長さ2~3mm、無毛~まばらに毛があり、萼片は果時に密着し、三角形。花冠は白色、ときに中央に黄色い星形があり、まれに紫色を帯び、星形で、直径0.5~1cm、花弁間組織はない。雄しべは等長。葯は楕円形、長さ1~1.5mm、先端の孔が裂けて縦方向に裂開する。子房は無毛。果実は鈍いまたはわずかに光沢のある紫黒色、球形、長さ0.5~1cm、無毛、果実1個につき6~9個の球状顆粒(sclerotic granules:硬粒)がある。種子は帯黄色、扁平、長さ1.5~2mm×幅1~1.5mm、細かい網目模様がある。2n=24(x=12)。花期は5~10月。
Solanum emulans は、S. ptychanthum Dunal (ptycanthum という綴りのバリエーション)と呼ばれることが多いが、この名前はテリミノイヌホオズキ(S. americanum)の同義語であり、誤り。Solanum emulans は、北アメリカ北東部のブラックナイトシェードグループで最も一般的な種である。この植物は、分岐しない花序、短い葯、密着した果実の萼片、および果実内の多数の球状顆粒によって、他の北米のナス科植物グループと区別できる(FNA)。
【神奈川県植物誌(アメリカイヌホオズキ Solanum ptycanthum Dunal ex DC.)の解説】
1年草と思われる。暖地で越冬することがあるかどうかは不明。1花序の花数が1~4花と少ないこと、花冠が径4~6mm と小さいこと、果実中に球状顆粒を4~10個含み、種子が長さ1~1.3mmと小さいことが特徴。果実は普通黒く熟し、光沢はやや鈍いが、ときに暗緑色に熟してしまうものもある。若い果実にはテリミノイヌホオズキのような白色ふけ状の斑紋はあまり見られない。花序の花数が少ないことと花冠が小さいこと以外にはオオイヌホオズキとの違いがない。明確に区別できるものかどうかは今後の検討課題である。北アメリカ原産の帰化植物。北アメリカのロッキー山脈の東側に広く分布し、日本各地の港湾や畑地に帰化している。アメリカイヌホオズキの和名は村田 (1956分地16:142)による。県内では県央や東部の市街地や荒地に普通にみられる。湘南植物誌I (1985)のコバノイヌホオズキは本種であった。また、湘南植物誌I (1985)や「神植誌88」のアメリカイヌホオズキには本種とテリミノイヌホオズキが含まれていた。レクトタイプの選定により、北アメリカでそれまでにS. americanumとされていたものはS. ptycanthumで、S. nodiflorum とされていたものがS. americanumになっている(Schilling 1981)。「長田帰化76」のアメリカイヌホオズキもS. americanum ではなくS. ptycanthumである。S. ptycanthum とS. americanumについてはSchllinge (1981)およびOgg et al. (1981)を参考にした[神奈川県植物誌2001から転載]。
【参考20;Sandra Knapp etc.(2019)の解説】=【GBIF: Database of Vascular Plants of Canada (VASCAN)の解説】(再掲)
高さ1.0mまでの一年生草本~亜木質の多年生低木、基部で分枝する。茎は円柱形~うねがあり、緑色、軟毛があり、毛は単純で伏した単列の腺のない1~5細胞、長さは約0.2mm、新芽にはより密に軟毛がある。仮軸枝は2葉があり(difoliate)、葉は双生(geminate)ではない。葉は単純で、長さ4.5~10.5(~17.5)cm、幅2.0~6.3(~8.3)cm、卵形で薄い膜質、上下面がわずかに色が異なり、上面は緑色、下面は帯紫色、特に若い成長部ではその傾向が強く、上面は無毛~まばらに軟毛があり、茎の毛と同様の半透明で単純な単列の毛が伏せ、主に葉脈に沿って散在し、下面は無毛~まばらに毛があり、葉身と葉脈の両方に上面のものと同様の毛があり、主脈は4~6対。基部は漸尖形~鋭形、縁は波状の歯があり、まれに全縁、先は鋭形~尖鋭形。葉柄は長さ1.0~5.0cm、茎のものと同様の単純な単列の毛がある。花序は長さ1.0~2.5cm、側生し、節間につき、分岐せず、まれに2股に分岐し、先端近くに花が(2)3~6個、密につき(ほぼ散形)、まばらに毛があり、茎の毛と同様に単純な単列の毛が密にある。花序柄は長さ1.0~1.7cm、真っすぐ。小花柄は長さ8~10mm、基部の直径0.4~0.5mm、先端の直径0.5~0.6mm、真っ直ぐ広がり、基部に関節がある。小花柄の傷跡は約0~0.5mm間隔で存在する。蕾はほぼ球形、花冠は萼から、長さの1/3まで突出する。花は5数性、すべて完全花である。萼筒は長さ0.7~0.9mm、萼片は長さ0.8~2.2mm、幅0.7~1.3mm、卵形~細長く、先は鈍形であり、まばらに軟毛があり、茎に似た伏毛があるが、茎の毛より短い。花冠は直径8~10mm、星形、白色で基部近くの中央部は黄緑色、基部の1/3までで裂け、裂片は長さ3.0~4.0mm、幅1.0~1.2mm、花時に強く反り返り、後に広がり、縁と先端に沿って外面に密に毛があり、茎や葉のものと似た単列の単純な毛状突起があるが、より短い。雄しべは等長、花糸の筒部は小さく、毛があり、外面に開出する単列の単純な毛状突起がある。花糸の自由部分は長さ0.6~1.0mmで、筒と同様に毛がある。葯は長さ(1~)1.5~1.7mm、幅0.4~0.5mm、楕円形、黄色、先端には孔があり、孔は老化とともにスリット状に長くなる。子房は球形、無毛。花柱は長さ3.5~4.5mm、葯を超えず、密に毛があり、基部から1/3~1/2に、2~3細胞の単列の単純な毛状突起がある。柱頭は頭状、微細なパピラがあり、生きた植物では緑色である。果実は球形の液果、直径6~8mm、成熟すると鈍い紫黒色で不透明、果皮の表面は艶消しからわずかに光沢がある。果時の小花柄は長さ8~10mm、基部の直径は0.4~0.6mm、先端の直径は0.7~1.0mmで、反曲~後屈し、小花柄の間隔は0.5~2.5mmで、果実が成熟すると落ちる。果時に萼はやや増大し、萼筒は長さ1mm未満、萼片は長さ1.0~2.2mm、果実の表面に密着するか、成熟した果実ではわずかに広がる。種子は1果に20~50(~60)個、長さ1.6~1.8mm、幅1.0~1.2mmで、扁平、涙滴形、頂端近くにへそを持ち、褐色、表面に微細な穴があいており、種皮細胞は輪郭が五角形。球状顆粒(stone cells)は1果に6~9(10)個、直径約0.3mm。2n=2×=24 (Stebbins and Paddock 1949、S. americanum として; Mulligan 1961、S. americanum として; Soria and Heiser 1961、S. americanum として; Heiser et al. 1965、S. americanum として; Edmonds 1983、S. americanum として; Crompton and Bassett 1976、S. americanum として)。
特徴と標本
Solanum emulans は、長さ1.0~1.5mmの小さな葯、S. americanum に比べて比較的長い0.6~1.0mmの花糸、S. americanum よりも長い萼片が S. americanum のように強く反り返るのではなく果実に密着していること、果実の先端で小花柄が太くなること(S. americanum と異なる)、成熟した果実とともに小花柄が落ちること(S. americanum では花序に花柄が残る)により、北米の他のモレロイド植物(Morelloid cladeの植物:black nightshades または Maurella(Morella))と区別できる。Solanum emulans の果実には常に4~9(10)個の球状顆粒(stone cells:石細胞)があるが、S. americanum には石細胞がないか、最大でも4個である。 Solanum emulans は、葯が短いこと、萼片が通常より短いこと、花序が通常分岐しないことで、S. interius および S. nigrescens と区別できる。ときに移入される S. nigrum と同所的である場合、葯の長さと果実内の球状顆粒の数に基づいて S. emulans を簡単に区別できるが、S. emulans の葉は一般に薄く、裏面は紫がかっていることが多い。グレートプレーンズ(Great Plains:北米の Rocky 山脈東方から Mississippi 川に至る大平原地帯)では、形態的に類似する S. interius の方が S. emulans よりも一般的である一方、アメリカ合衆国の南東部およびメキシコ湾岸では S. americanum の方が一般的である。Solanum emulans はカリブ海では知られていない。S. emulans は18世紀からヨーロッパの植物園で栽培されていたようだが、最初に移入された場所を超えて逃げ出して帰化はしていない。ヨーロッパの標本は石油工場や衣料工場の近くの地域で見つかったものが少なく、どうやら存続していないようである(Polgar 1926)。Constantine Rafinesque は、新しい分類群に関する多数の記述の中で特定の標本を挙げておらず、彼が北米に保管していた植物標本は彼の死後広く散逸し、破壊されたと考えられている(Pennell 1944; Warren 2004)。ウィーン植物標本館(W acc. # 0009388)の標本は S. emulans の記述に該当し、「Solanum Virginicum / Amer. Bor. Rafinesque」というラベルと1828年の日付が記されており、この名前の元となった資料である可能性がある。ここではこれを新基準標本として選択した。これは、この標本(または他の標本)が Rafinesque によって S. emulans の記述に使用されたという証拠が序文にないためである。S. ptychanthum いう名前は北米でこの種に使われてきたが(例えば、Schilling 1981、Voss et al. 1993、Jones 2005)、その名前のタイプはS. americanumの植物に対応している(S. americanum の説明を参照)。Solanum emulans は長い間無視されてきたが、序文でRafinesqueは明らかに「ニューイングランドとケンタッキー」の分類群を指しており、人々はこれを「S. virginicum」と呼んでいた。おそらくリンネの S. nigrum var. virginicum であり、S. virginicum L. (インド産のとげのあるナス科植物 S. virginianum L. の非合法な名前で綴り方が違うもの、Jarvis 2007 を参照) はない。そして彼の説明は、北米東部に広く分布するこの小花のモレロイド植物と一致している。序文には「北東州産で、通常 S. Virg. [virginianum] と間違われるが、表面は平滑でより小さく、花は白く小さく、液果は豆状」とある。この分類群に対応する標本は、オックスフォード大学の Dillenian 植物標本室に多名式(Solanum nigrum vulgari simile、caulibus exasperatis Dill. elth. 368、t. 275、f. 256) で収蔵されており、Solanum nigrum var. virginicum (Linnaeus 1753) について引用された唯一の要素である図版に対応している。D'Arcy (1974 a) は Solanum adventitium のタイプとして「ハンガリー、Polgar s. n. (MPU)」を挙げているが、産地や番号は明記していない。これは、単一の明確な標本を引用するほど具体的ではないと考えており、原典と矛盾する可能性が高いため、ここでは S. adventitium を選別標本とする。S. adventitium の原典で、Polgar (1926) は、1915年から1919年の間に「Meller'schen Oelfabrik」と「Gueterbahnhof」(どちらもハンガリー、ジェーエル) で収集した自身のコレクションをいくつか引用しているが、数も植物標本集も引用していない。彼は、植物が 1919年10月までに両方の産地から姿を消したと述べているが、やはり植物標本集は引用していない。彼の植物標本はBPに保管されており、私たちは、1916年から1919 年の間にジェールの貨物倉庫で収集された植物標本の中の S. adventitium とラベル付けされた彼の多数のコレクションの1つを、レクトタイプ(BP-352743)として選定した。[GBIF: Database of Vascular Plants of Canada (VASCAN)]
【SEInet;Solanum ptychanthum Dunalの解説】
Eastern Black Nightshade, nightshade, West Indian nightshade, West Indian nightshade。米国北東部および隣接するカナダの維管束植物
枝分かれする1年生、15~60cm、無毛またはやや剛毛または特に上部に内曲した微軟毛がある。葉は葉柄があり、葉身は卵形~三角形、不規則に鈍い歯があるか、またはほぼ全縁、長さ2~8cm×幅1~5.5cm。花序柄は多数あり、斜上し、長さ3cmまで。小花柄は密に束生し(散形花序を形成し)、少なくとも果時に大部分が後屈し、成熟すると萼は長さ2~3mm、萼片はしばしば不等長であり、ときに後屈する。花冠は白色またはわずかに青みがかり、幅5~10mm。果実は球形で黒色、直径8mm、少なくとも若いうちは有毒。種子は多数、しばしば種子の半分の長さのほぼ球形の球状顆粒(concretions)が1~10個ある。倍数体系列は x=12 に基づく。生息地が乱れた世界各地に生息する雑草で、非常に多様化しているが、多くの試みにもかかわらず、まだ満足のいくほど個別の分類群に分けられていない。ここで説明されている北米原産の植物は、これまでのところすべて二倍体である。種レベルでのこれらの最も古い名前は、S. ptychanthum Dunal (S. americanum Mill.、おそらく誤用) である可能性がある。変種レベルでは、名前は S. nigrum var. virginicum L となる。典型的なヨーロッパの S. nigrum は、主に大西洋岸の港湾周辺でのみ見られる。これは六倍体で、より毛が多く、(毛は短く、±広がり、やや粘性がある)で、より総状花序状(それでもコンパクト)に近い花序がある。
【Go Botany Discover thousands of New England plants:Solanum ptychanthumの解説】
北アメリカ原産。英名はeastern black nightshade , West Indian nightshade。帰化し、荒地、草地に生える。
1年草、高さ5~100(30~60)㎝。茎は直立し、普通、上部で多数、分枝し、ほとんど毛がない。(広く分枝するともいわれる。)葉は互生し、卵形又は菱形(diamond-shaped)、薄い緑色で、柔らかく、厚さが薄く半透明に近い。小さな花が小さな散形花序(小花柄は1点につく)に普通、1~4個集まってつく。花柄は短く、葉腋でなく、茎の側面から突き出す。5裂し、萼片が5個ある萼は果実が大きくなっても大きくならない。花冠は白色又は淡紫色。5個の細い裂片がトマトの花のような星形をなす。葯は短く長さ1.3~2㎜。花の中心部は黄色の円柱状になる。果実は漿果(berry)、初め緑色~暗褐色~黒色に変わり、成果の直径5~9㎜。種子は50~110個、長さ1.4~1.8㎜。花期は6~11月。
【Arkansas Native Plant Societyの解説】
この一年生または短命の多年生種は、白っぽく、むしろ節くれだった、枝分かれした主根を持つ。茎は若いうちは直立しているが、分裂して長くなると低く成長する。成熟した植物は、いくつかの細い茎を持ち、高さ15cm以上しかなく、幅90cmになる。花は6~10月にかけて咲き、果実は霜が降りるまで続く。植物全体のでは葉が互生するが、節では1~2本の枝と葉が輪生し、葉がつかないこともある。茎は緑色(老化すると灰褐色)、無毛またはわずかに毛があり(羊毛状)、断面は丸い。葉は単葉、ほとんどが互生し、葉柄があり、広披針形~三角形、先は尖鋭形、先端は鈍く、基部は円形~楔形。葉柄は葉身の延長によって部分的に翼状になる。葉は長さ7.5cm(長さ1.8cmの葉柄を含む)×幅5cm・まで、中央とその下が最も広く、上面は緑色、下面は明るい緑色、茎と同様に、無毛からわずかに毛があり、縁は全縁から広く波打つか、鈍い歯がある。花序は、枝(腋生や頂生ではなく)に直接生える小さな散形花序から成る。花序柄は長さ1.8cm以上で枝からまっすぐ伸び、小花柄は長さ8mmまで、下向きにアーチ状になる。散形花序には2~6個(多くの場合3個)の花が付く。花序柄と小花柄には羊毛状毛がある傾向がある。萼は筒形、5個の短い三角形の萼片を持つ。花期には、垂れ下がった花の星形の花冠は強く反り返る。花冠は幅6+mmあり、花冠裂片は5個、狭三角形、全体的に鈍い白色で、中央から光沢のある明るい緑色が広がる。雄しべは葯が明るい黄色、リング状に輻合し、花柱をしっかりと囲んで隠しており、花冠中心から突き出し、小さなこぶ状の柱頭のみが葯から露出する。葯には花粉を放出するための頂端に孔がある(poricidal dehiscence)。採餌蜂が花に止まると、その羽音が葯を振動させ、花粉が頂端孔から放出され、蜂が集めるか、空気中に放出される。花粉は粘着性のある柱頭に簡単に付着し、花は蜜を出さない。受精した花は晩秋まで球形の液果を垂らして実らせる。丈夫な植物であれば 100 個以上の液果をつける可能性がある。最初はまだら模様の淡い緑色だが、成熟すると真っ黒になりり、緑色の星のような萼片は、光沢のある6mmの果実の基部に残る。液果には、ゼラチン状の透明液体の中に、直径1.6mmまでの円盤状の黄褐色の種子が 75 個以上含まれる。
【THE BIOLOGY OF CANADIAN WEEDSの(1985)の解説】
Solanum ptycanthumは1年生植物、稀に短命の多年生植物、高さ1mまでになり、直立し、まばらにまたは自由に枝分かれする。茎は緑色または緑紫色で、丸くまたは角張り、無毛である。葉は長さ10cm、幅9cmまでになり、三角状卵形または楕円形、鋭形、表面はほぼ無毛で少数の無腺の毛がある。花序は散形花序で、最大6個の花がつく。萼は花時に長さ1~3mm、萼片は萼筒とほぼ同長で、成熟した液果に付着または広がる。花冠は星形、白色に黄色の星があり、幅約8mm、葯は黄色で長さ1~2mm。花粉は直径20~22µmで、3溝型(tricolporate)である。成熟した果実は球形、光沢があり、紫黒色。果実は通常、小花柄と花序柄の接合部で分離し、直径7~9mm、球状顆粒(sclerotic granules)が6~15個ある(直径約0.5mmの小さな硬い内包物が果実の肉質の基質中に存在する)。種子は最大100個で、長さ1.5~1.8mm、幅1.3mm、薄褐色である。2n=24(カナダ産のeastern black nightshade(かつてeastern black nightshadeの名称はSolanum americanum Millに使用されていた(Mullign 1961; Crompton and Bassett 1976))。