オオイヌホオズキ 大犬酸漿

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Flora of Mikawa

ナス科 Solanaceae ナス属

英 名 divine nightshade
学 名 Solanum nigrescens Mart. et Gal.

 synonym Solanum nigrum var. nigrescens (M.Martens & Galeotti) Kuntze

オオイヌホオズキ花序
オオイヌホオズキ花序2
オオイヌホオズキ2個の散形花序
オオイヌホオズキの花
オオイヌホオズキの花2
オオイヌホオズキの淡紫色の花
オオイヌホオズキ花冠
オオイヌホオズキの果実
オオイヌホオズキ茎
オオイヌホオズキ
オオイヌホオズキ雄しべ雌しべ
オオイヌホオズキ種子と球状顆粒
オオイヌホオズキ葉表
花 期 7~10月
高 さ 30~80㎝
生活型 1年草又は多年草
生育場所 落葉樹林、針葉樹林、野原、湿地
分 布 帰化種  北アメリカ南部(アラバマ州、フロリダ州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、ノースメキシコ州、ノースカロライナ州、テキサス州)、メキシコ、中央アメリカ(ベリーズ、ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマ)、西インド諸島(ケイマン諸島、バハマ、キューバ、ドミニカ共和国、ジャマイカ、プエルトリコ、ハイチ、リーワード島、ウィンドワード諸島)、南アメリカ北部(エクアドル、コロンビア、ベネズエラ、仏領ギアナ、ガイアナ、トリニダード・トバゴ)原産。
撮 影 幡豆町  07.9.22
オオイヌホオズキはナス科ナス属の雑草。北アメリカ南部~南アメリカ北部に広く分布し、ハワイに帰化している。神奈川県植物誌では日本には広く帰化し、田の畔、草地、湿った場所に生えるとされている。Flora of North America(FNA)、SEInet、Flora de Nicaraguaなどに解説がある。2019年にSandra Knapp etc.(2019)により詳細な解説が示され、類似種との区別がより明確になった。
 1年草又は多年草、高さ30~80(~300)㎝。茎はときにやや暗紫色を帯び、稜があり、曲がった小さな刺がある。茎の基部は這い、先が立ち上がる。あまり立ち上がらず、長く這っていることも多い。葉は深く切れ込まず、浅い波状の鋸歯があることが多い。葉縁や葉裏には屈毛があり、脈上に屈毛が多い。花序は腋外生または葉に対生し、分岐せずまたはときに2股分岐し、散形花序状~総状花序状、花数が少ないと花がほぼ散状につき、多いと離れてつき総状になることが多い。ただし例外が多い。小花柄は果実とともに落ちる。花はやや大きく、白色~淡紫色、淡紫色になることも多い。花冠の切れ込みの深さは変化するが浅いことが多く、裂片は細く、やや縮れぎみなものもよく見られる。花柱や葯が他のイヌホオズキ類より長い。果実は熟す直前まで緑色のままで、やや光沢があり、フケ状班紋は少なく、完熟すると黒色になるが光沢はやや弱いときがあり、光沢がほとんどないものも見られる。果実中の種子はやや小さく、淡褐色。球状顆粒を4個以上もつ。n=12(2n=2×=24)。
【Sandra Knapp etc.(2019)の解説】
 高さ3mになる多年生草本で、ときに着生する。茎は円柱形または通常は角張った稜があり、緑色またはときに紫がかった緑色を帯び、通常は緩くやや絡み合い、無毛になるか~まばらに毛があり、前向きの長さ1mmまでの単純な腺の無い単列の毛があり、乾くと白色になり、通常はやや湾曲し、たまに古い茎では毛の基部が拡大して棘状突起を形成する。新芽にはより密に毛がある。仮軸枝は2葉がつき(difoliate)、双生(geminate)または双生ではなく、対になっている場合は大きさと形が同じである。葉は単葉で、長さ(1.5)4~10.5(15)cm、幅(0.5)2~5(7.5)cm、楕円形~楕円状卵形、膜質、上面には長さ1mmまでの単純な腺の無い単列毛がまばら~中程度にあり、これらは葉脈上と下面により密にあり、主な葉脈は5~6対、基部は急に細くなり、通常は葉柄に沿下し、縁は全縁~波状または歯状で、歯は不規則で間隔が不均一、しばしば葉身の基部半分で大きくなり、先は鋭形またはときに尖鋭形。葉柄は長さ0.5~2cm、茎や葉と同様にまばらに毛がある。花序は長さ1~3.5cm、側生および節間に生じ、分岐しないまたはときに2股分岐し、(2)5~10個の花が先に密にあるか(ほぼ散形)、または花序の齢によって花序軸に間隔をあけてつき、茎と同様に前向きの腺のない単純毛がまばらにある。花序軸は長さ0.3~1cm。花序柄は長さ1~2.5cm、細く、広がる。小花柄は長さ0.4~0.7cm、細く、糸状、花時に広がり、基部は直径約1mm、先は直径約0.5mm、花序軸と同様にまばらに毛がある。花芽は楕円形、先端は鈍形。花冠は開花よりかなり前に萼筒から強く突出する。花は5数性、全て完全である。萼筒は長さ1~1.2mmの円錐形、萼片は長さ0.5~0.8(1)mm、幅0.5~1mm、広三角形~三角形、先端は鋭形またはたまにやや丸みを帯びる。花冠は直径8~10mm、白色または稀に淡紫色で、裂片の基部近くの中央部分は緑色または黄緑色(非常にまれに暗紫色)で、星形、基部まで約3/4の長さで裂片が分かれ、裂片は長さ3~4mm、幅1.5~2mm、狭三角形、後屈または開出し、外側に密にパピラがあり、パピラは長さ約0.1mm、先端と縁にはより密にある。雄しべは等長、花糸の筒部は微細、花糸の自由部分は長さ0.5~2mm、内側に密に毛があり、絡み合った単純な毛状突起がある。葯は長さ2~2.8(3)mm、幅1~1.1mm、黄色、楕円形または狭楕円形、基部は矢じり形、先端に孔があり、孔は老化とともに長くなって裂け目になる。子房は球形、無毛。花柱は長さ3.5~5mm、通常やや湾曲し、しばしば開花前に蕾から突出し、基部の2/3(葯円錐の内側の部分)に密に毛があり、葯円錐から突出する。柱頭はわずかに頭状、表面にはパピラがあり。果実は球形の液果、直径6~8mm、成熟すると鈍い緑色~紫黒色になり、不透明で、果皮は薄く、通常つや消しだがわずかに光沢があることもある。果時の小花柄は先端で直径約1mm、著しく木質化せず、広がり、成熟果実とともに落ちるか、またはたまに花序軸に残る。果時の萼は増大せず、萼筒は長さ約1mm、萼片は長さ0.5~1.1mm、広がって果皮に密着し、ごくたまにいくらか反り返る。種子は1果あたり(5)10~50個、長さ1.2~1.5mm、幅1~1.1mm、涙滴形、淡褐色~黄色、表面に微細な穴があり、種皮細胞は正方形または五角形で、ほぼ頂点近くのへそは細長い長方形になる。球状顆粒(stone cells)は4~13個、ほとんどの場合5個または6個、やや大きく、直径約0.5mm。2n=2×=24。花期は7~10月。
(Heiser 1955 では S. costaricense、Heiser et al. 1965 では S. amethystinum)。
【Flora of North Americaの解説】
 多年草、直立またはやや乱雑に広がって伸び、無棘、長さ3mまで、ほぼ無毛から中程度の毛があり、毛は分岐せず、長さ1mmまで、腺は無い。葉は葉柄があり、葉柄は長さ0.5~2cm。葉身は単葉、卵形~卵状楕円形、長さ4~10.5cm×幅2~5cm、縁は全縁または浅い波状の歯があり、基部は沿下する。花序は腋外生または葉に対生し、分岐せず、散形花序状~総状花序状、長さ1~3.5cm、花が(2~)5~10個つく。花序柄は広がり、花時に長さ0.5~1cm、果時には長さ1~1.5cm。花は放射相称、萼は花後に増大せず、無棘、長さ1~2mm、まばらに毛があり、萼片は三角形。花冠は白色、稀に紫色を帯び、しばしば中央が緑色または帯紫色の星形になり、星形で、直径1~1.5cm、花弁間組織はまばら。雄しべは等長。葯は楕円形、長さ2~3mm、先端の孔が縦方向に開いて裂開する。子房は無毛。液果は鈍緑色または帯紫色、球形、直径0.5~0.8cm、無毛で、(4~)5~6(~13)個の球状顆粒(sclerotic granules:硬質顆粒)がある。種子は黄褐色、扁平、長さ1.2~1.5mm×幅1~1.1mm、細かい穴がある。2n=24。花期は1年中。
 Solanum nigrescens は、中央アメリカと北部南アメリカ、カリブ海に広く分布し、メキシコ湾岸に沿って米国南東部まで北上し、やや内陸まで広がっている。S. americanum と同所性がある場合、葯が長く、果実が鈍い緑色または帯紫色で、広がった萼片に付着していることにより区別できる。ルイジアナ州の稲作畑とサトウキビ畑で雑草として採取され、暫定的に中国種 S. merrillianum T. N. Liou と特定された植物は、S. americanum と S. nigrescens の中間的な存在で、最近の雑種集団である可能性がある(S. Knapp 他 2019)。 Solanum nigrescens はS. douglasiiとは葯が短く、葯の長さに比べて花糸が長い点で区別できる。さらに、S. douglasii は通常ロッキー山脈の西側に見られるのに対し、S. nigrescens は米国南東部に生息する。S. nigrescens と S. interius の分布は重なっている(たとえば、テキサス州)。Solanum nigrescens は、通常鋭い萼片、より小さな種子、および果実のより多数の球状顆粒によって S. interius と区別できる(S. interiusは小花柄の関節が基部からかなり上にあり、種子が長さ1.8~2mm。萼片が不等長で最も長い萼片が披針形で長さ2~5mm)。Solanum nigrescens は、より細い花序柄と小花柄、より小さな種子、および果実の球状顆粒によって S. nigrum と異なる。[Flora of North America]
【SEInetの解説】
 1年生、非在来種。亜低木または果実をつける1年草または多年草、高さ60~200cm。茎は鋭い角(かど)~狭い翼があり、よく枝分かれし、疎~密に灰色の毛に覆われ、毛は密に伏せまたはほぼ伏せ、無毛で、塊茎や匍匐茎はない。葉は互生し、卵形~披針形、長さ1~9cm、基部は楔形~ほぼ切形、縁は粗い波状の歯~ほぼ全縁、葉柄は長さ10~25mm。花は白色、ラベンダー色またはラベンダー色を帯び、中央に緑の斑紋があり、花冠は車形、直径7~20mm、5深裂し、先端は多少、尖る、萼は車状鐘形、長さ2~3mm、5歯がある、雄しべは5本、花冠筒部に付き、花糸は短い。葯は黄色、長楕円形、直立し、長さ3~4mm、花柱の周囲に収束するが結合しない(輻合する)。花糸は非常に短い。花柱は長さ4~5mm、下部に微軟毛がある、花は散形花序状の集散花序に数個つき、花序柄は長さ1~3cm。小花柄は細く、長さ5~12mm。果実は液果、帯白色~帯緑色、成熟すると黒色、直径6~9mm、平滑、無毛、萼に覆われず、またはゆるく覆われ、宿存する。種子は淡黄色で、長さ1~1.5mm、多数。生態: 標高 1,500~6,000 フィート (457~1,829 m) の岩の多い斜面や峡谷、低木地帯に生息。開花は3~10月。分布: ニューメキシコ、アリゾナ、カリフォルニア、オレゴン、メキシコ。注記: この種については、古いテキストではS. douglasiiを参照。編集者: LCrumbacher 2012 語源: Solanum はラテン語で「静める」という意味で、一部の種の麻薬性に関連しているが、nigrescens の意味は不明。
【Flora de Nicaraguaの解説】
 高さ1mまでの棘のない草本植物。茎は円柱形またはやや角(かど)があり、無毛または微軟毛があり、単純で反り返った腺の無い毛がある。葉は単生または対生、卵形~披針形、長さ2~8cm、先は尖り、基部は鈍形または狭まり、縁はほぼ全縁または波状の歯があり、ほぼ無毛または微軟毛がある。葉柄は長さ3cmまで、微軟毛があり、無毛になり、先に翼がある。花序は散形花序状で、側生し、軟毛があり、花序柄は長さ1~3cm、分岐しない。小花柄は長さ4~10mm。萼は長さ約1mm、萼片は長さの1/2までで、ほぼ切形~三角形。花冠は直径6~15mm、白色、しばしば目立つ目があり、長さの半分以上まで分裂し、裂片は披針形または長円形で、微軟毛がある。葯は長さ1.7~4mm。液果は球形、直径4~8mm、無毛、熟すと緑色または部分的に黒色になり、果時の小花柄はわずかに長く、細いが、先端部はやや太くなり、曲がる。種子は直径1.2~1.5mm、レンズ形。花期は1年中。果期は7月~2月。標高800~1500mの撹乱地域に生える。
 この種は S. americanum によく似ているが、花が大きく、葯も大きく、果実が直立せず、反り返っている点が異なる。花序の部分がより毛深い傾向がある。同じように使用され、毒性があると疑われている。どちらの種も二倍体である。ここで S. nigrescens とされている植物の中には、実際には S. macrotonum Bitter と呼ばれるべき倍数体であるものもあるかもしれない。
【神奈川県植物誌 2001】
 1年草または多年草、暖地では冬になってもよく開花し、ときに越冬して大きな株になっている。茎はやや軟らかく、 はじめ直立するが、大きく成長した株では基部が倒伏して、長さ2~3mに達する。枝は角ばり、しばしば稜上に刺状の突起が出ることがある。花序は5~8花、花数が多くなると基部の小花柄1~2個は離れてつき、花序はやや総状となる。花冠は径8~12mmあり、基部近くまで切れ込み、裂片の幅は狭い。葯は長さ2~3mm,花柱は長さ4~6mmある。果実はほぼ球形で径7~10mm、 黒色で光沢がやや鈍く、よく熟すまでは果肉は緑色。1つの果実中に種子は60~120個、 球状顆粒は4~10個を含む。種子は淡黄褐色で長さ1~1.3mm。県内ではもっとも普通にみられるイヌホオズキ類で、市街地だけでなく、河川敷、畑地、やや山よりの林縁などいたるところにみられる。国内の分布は明らかでないが、本州以南の各地に広く帰化していると思われる。花序がやや総状となるためにイヌホオズキと誤同定されるケースが多い。勝山(2000 FK (49): 570-571)では北アメリカ西海岸のS. douglasii Dunalである可能性を示したが、その後、南アメリカ原産でフロリダ(D'Aacy 1974) やハワイ (Wagner et al. 1990)に帰化しているS. nigrescens Mart. & Gal.の記載に最もよく合うことがわかった。花冠が小さくなり、花序の花数が少なくなるとアメリカイヌホオズキS. ptycanthumに近くなる。果実や種子の性質はアメリカイヌホオズキS. ptycanthumとほとんど区別がない。あるいはS. ptycanthumの変異の範囲として扱った方が良いのかもしれない。晩秋から初冬にかけて花が紫色になる。

オオイヌホオズキの調査結果


 次表に実測値を示し、神奈川県植物誌、FNA(Flora of North America)、Sandra Knapp etc.(2019)の解説のデータと比較した。花序が2股分岐しているものも混じるため、同じ南アメリカ原産で合衆国西海岸やオーストラリアの東海岸などに帰化している2股分岐するSolanum furcatum(South American black nightshade , forked nightshade)も花が大きく、球状顆粒をもつため、比較した。
Solanum nigrescens
オオイヌホオズキ
神奈川県植物誌
Solanum nigrescens
Flora of North America
Solanum nigrescens
Sandra Knapp etc.(2019)
Solanum nigrescens
文献値範囲の最大
Solanum furcatum
Sandra Knapp etc.(2019)
実測値
オオイヌホオズキ
実測値
ダグラスイヌホオズキ類似種
花序の花 個 5~8 (2)5~10 (2)5~10 (2)5~10 6~14 3~8 2~9
花径 ㎜ 8~12 10~15 8~10 8~15 12~20 7~15.5 7~17
花柱 ㎜ 4~6 - 3.5~5 3.5~6 6.0~6.5 3.3~4.7 3.6~4.7
葯  ㎜ 2~3 2~3 2~2.8(3) 2~3 2.3~3.3(~3.6) 2.2~2.8 2.3~2.9
果実光沢 やや鈍 やや鈍~鈍 やや鈍 やや鈍
果径 ㎜ 7~10 5~8 6~8 5~10 6~8 5~10 5~9
種子数 個 60~120 - (5)10~50 (5)10~120 30~40 (9)69~110 (20)63~125
種子長 ㎜ 1~1.3 1.2~1.5 1.2~1.5 1~1.5 1.8~2.0 1.1~1.5 1.1~1.5
球状顆粒 個 4~10 (4)5~6(13) (4)5~6(13) 4~10(~13) 2~13 5~12 0~4(7)
  ①種子数は果径7㎜以上の数値を示した。
  ②ダグラスイヌホオズキ類似種の()は花が未確認のもの。
 神奈川県植物誌、FNA(Flora of North America)、Sandra Knapp etc.(2019)の数値の最大から最小値を採用すれば、花冠の直径の範囲がやや広いが、ほぼ合致している。果実がやや大きく、直径5~10mm、種子数が(9)69~110個であり、果実の大きさと種子数は神奈川県植物誌のデータに合致しているが、FNA(Flora of North America)、Sandra Knapp etc.(2019)では果実が小さく、種子数も少なく、相違があるが、最大から最小値を採用すれば合致する。種子は他のイヌホオズキ類より小さく、長さ1~1.5㎜である。花序が大きい時に花序が2股分岐して2つの明瞭な散状花序をもつものが稀にあった。これはSolanum furcatum の特徴であるが、オオイヌホオズキでも稀にあり、比較した。Solanum furcatumは花が大きく、花柱が長く、種子が大きく、異なるものである。
 調査結果の球状顆粒数は0~12個あり、オオイヌホオズキの(4)5~6(13)個に合致しない。オオイヌホオズキと混同されてきたSolanum douglasiiはCANOTIA 5 (1)2009年の解説では球状顆粒数が0~5個であるため、 花冠の中心が帯褐色になり、球状顆粒が0~4個のものはSolanum douglasiiであろうと推定し、ダグラスイヌホオズキ類似種とし、イヌホオズキ類の比較表にまとめた。Solanum douglasiiはSandra Knapp etc.(2019)の解説では花柱が6.5~7.5mmと長く、葯も長さ(2.5~)3~4.5と長く、果実の種子数は50個を超え、種子は長さ1.5~1.9mm、球状顆粒数は(2~)6~8個としている。これによれば、球状顆粒が0~4個のものはSolanum douglasiiとは異なるものである。FNA(Flora of North America)の解説でもSolanum douglasiiは種子が長さ1.5~2mmと長い。また、葯が長く、わずかに先細りで、花糸が非常に短く、蕾は先が狭くなる、という特徴もある。観察したオオイヌホオズキによく似たダグラスイヌホオズキ類似種は種子がほとんどオオイヌホオズキと同じで、ダグラスイヌホオズキより明らかに小さく、花冠の中心が帯褐色になるものがあり、葯がやや長くてわずかに先細りになり、果実の種子数が50以上あり、球状顆粒数は0~4(7)個ある。
 オオイヌホオズキ(S. nigrescens)はS. douglasiiに類似するほか、イヌホオズキ(S. nigrum)、アメリカイヌホオズキ(S. emulans)、テリミノイヌホオズキ(S. americanum)、S. interius、S. macrotonum、S. chenopodioidesなどが類似種である。FNAに他種との判別方法が示されている。