テンツキ 点突
Flora of Mikawa
カヤツリグサ科 Cyperaceae テンツキ属
中国名 | 两歧飘拂草 liang qi piao fu cao |
英 名 | forked fimbry, common fringe-rush, tall fringe rush |
学 名 |
Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl. subsp. dichotoma 狭義 synonym Fimbristylis annua (All.) Roem. & Schult. synonym Fimbristylis tikushiensis Hayata synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl var. tentsuki T.Koyama |
果 期 | 7~10月 |
高 さ | (5)20~50(100)㎝ |
生活型 | 1年草又は短年の多年草 |
生育場所 | 田の畔、やや湿った草地 |
分 布 | 在来種 日本全土、世界に広く分布 |
撮 影 | 豊田市 07.8.27 |
1年草又は短年の多年草。高さ(5)20~50(100)㎝。叢生し、基部は太くなり、バルブ状にはならない。根茎はなく、全体に白色短毛が多いが、少ないものもある。茎は丈夫で、高さ(5)20~50(100)㎝、無毛~わずかに短毛がある。葉はほぼ2列性、茎よりやや短く~長い(普通、茎の長さの1/2程度)。葉鞘は革状、幅広、膜質、縁は淡褐色、表面はほぼ無毛、先はほぼ切形、縁毛がある。葉舌は短毛の線が入る。葉身は狭い線形~線形、幅(1.5)2~3(4)㎜、扁平~広い内巻き、ざらざらした微縁毛があり、先は鋭形~鈍形、背面は平滑~微細剛毛で覆われる。苞は3~4個つき、葉状、最も下側の1~2個が普通、花序より長い。花序は短毛がある~無毛、複合~単一のイグサ形花序、長さ5~9㎝、幅3~6㎝、開いて疎~小さく密集。花茎は細く、幅約1㎜、先ではわずかに扁平になる。小穂は単生、卵形~楕円形~長楕円形、長さ4~8(14)㎜、幅約2.5㎜、角はなく、淡鳶色~栗褐色、多数の花がつく。鱗片は褐色、卵形~楕円状卵形~長楕円形、雌鱗片の長さ2.2~4.2㎜、光沢があり、3~5脈があり、中肋は緑色で竜骨状(主軸突出形)、先は小突起となる。雄しべは1~2個、花糸は短い。痩果(小堅果)は長さ0.6~1.3㎜、広倒卵形~円形~倒三角形、断面はレンズ形、両面に各々(5)10~12本の縦肋があり、横に楕円状の窪みがあって細かい網目状、白色~帯褐色、熟してから古くなると次第に栗褐色になる。花柱は長く、扁平、基部が太く、上部に長縁毛があり、鱗片から少し突き出す。柱頭は2分岐し、下半部は並行につく白毛がある。痩果から花柱はとれやすい。2n=20, 30。果期は7~10月
多くの変種や品種に分類されている。ホソバテンツキ subsp. depauperata、ツクシテンツキ subsp. podocarpa、クグテンツキ var. diphylla などがある。オテンツキ var. tikushiensisは基本変種に含められた。
以下に同属の水田の畔に見られるものをあげる。
ヒデリコは小穂が小さな卵円形で水田にきわめて多い。
ヒメヒラテンツキは全体に無毛で柔らかく、花茎が扁平、水田に多い。
クロテンツキは全体に無毛、鱗片の中肋が竜骨状にならず、花柱が扁平でなく、柱頭にしか毛がない。また、葉身のない鞘状葉がある。
アゼテンツキやメアゼテンツキは全体に小型で、花柱の基部に長毛があり、アゼテンツキは鱗片の先に長い芒があり反曲する。
コアゼテンツキはさらに小型で、花柱基部の長毛がない。
オオアゼテンツキは最近、分布の拡大が明らかになってきたものであり、湿地などで確認されている。テンツキによく似ていて、鱗片が赤褐色であり、葉鞘の基部に白毛が多い。
テンツキ属
family Cyperaceae - genus Fimbristylis1年草又は多年草、中間サイズ、しばしば根茎がある。稈は普通、叢生、細く、3又は5角(かど)があり、又は平ら。葉は根生、ときに葉身の無い鞘になり、葉舌はあれば、膜質又は毛の房飾りがある。葉身は線形、まれに剣形、普通、背腹方向に扁平で薄い並列チャンネル(溝)を持つ(canaliculate)、しばしば、下面が細胞状の網目になる。花序は頂生、単純、複合(compound)又は複複合(decompound)のイグサ形花序(anthela)、まれに頭状又は1個の頂生の小穂に減じる。小穂は単生又は束生、卵形、楕円形、又は類球形、円柱形又は扁平、数個~多数の花をもつ。鱗片(glume:苞穎)は螺旋状に覆瓦状につき、2列生又は下部の鱗片だけが2列生で、先の鱗片は螺旋状に覆瓦状につき、しばしば、1本又はそれ以上の脈をもち、外側の竜骨を作り、ときに、突き出し、先の微突又は芒になる。花は両性。花被の剛毛(指針状花被片)は無い。雄しべは1~3本。花柱は小堅果の上に宿存せず、基部は拡大する。小堅果はときに、柄があり、両凸面形~3稜形(3面があり)~ほぼ円柱形、網目があるか、いぼ状突起があるか又は両方がある。
世界に200種以上があり、全世界、主に亜熱帯と熱帯に分布し、アジア南東部に分布の中心がある。
テンツキ属の主な種
1 Fimbristylis acuminata Vahl ハリテンツキ 針点突日本(沖縄)、中国(福建省、広東省、海南省)、台湾、インド、スリランカ、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア原産。中国名は披针穗飘拂草 pi zhen sui piao fu cao。低地の開けた湿った場所、砂土の草地、水辺、水辺の草地に生える。
1年草または短命の多年草。根茎は無い。稈はまばらに叢生し、高さ6~35㎝、細く、わずかに扁平、条線があり、平滑、無毛。 葉には葉身が無い。基部の鞘は鱗片状。先端の鞘は円筒形で、先は斜めの切形。苞は無い。 花序は単一の頂生の小穂であり、卵形~狭卵形、長さ5~10㎜×幅2~3 mm、数個~10個以上の花をつける。鱗片は緩く螺旋状に覆瓦状につき、緑白色、ときに側部に褐色の斑点があり、広卵~楕円形、長さ2.8~4㎜、厚い紙質、外面に緑色の竜骨を形成し、数本のかすかな脈があり、先は鈍形で微突形。 雄しべは2本。葯は線形。花柱は長く、扁平、まばらに縁毛があり、基部が膨らむ。柱頭は2岐、真っすぐ。小堅果は短い褐色の柄があり、球状倒卵形、長さ約1.5 mm、両凸形、横向きの波状網目がある。花期と果期は7~8月。
2 Fimbristylis aestivalis (Retz.) Vahl コアゼテンツキ 小畔点突
synonym Fimbristylis leiocarpa Maxim.
日本(本州)、中国(安徽省、重慶、福建省、広東省、広西省、貴州省、海南省、黒竜江省、湖北省、湖南省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ロシア(極東)、インド、スリランカ、ネパール、ブータン、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は夏飘拂草 xia piao fu cao。標高400~2200mの草原、湿地、水田に生える。アゼテンツキ類の中でもっとも小型。
1年草。根茎は無い。稈は密に叢生し、高さ3~25㎝、細長く、断面は扁平な3角形、平滑、基部に葉が少数つく。葉は稈より短い。葉身は糸状、幅0.5~1㎜、平ら、両面にまばらに毛があり、縁はわずかに内巻き。鞘は褐色、短くて白色の直軟毛がある。苞は3~5個、糸状で、花序より短いか長い、まばらに毛がある。花序は複合のイグサ形花序、緩い。花序枝(rays)は3~7本、長さ3cmまで、細い。小穂は単生、卵形~長円形~狭卵形、長さ2.5~6㎜×幅1~1.5㎜、多数の花をつける。鱗片は螺旋状に覆瓦状状につき、赤褐色、卵形~長円形、長さ約1㎜、膜質、3脈があり、外面に緑色の竜骨を形成し、先は微突形。雄しべは1本。葯は狭卵形。花柱は長く、扁平、基部が膨らみ、先には縁毛があり、柱基に毛はない。柱頭は2岐、短い。小堅果は黄色、ほぼ無柄、倒卵形、長さ約0.6㎜、両凸形、ほぼ平滑、またはときに非常に不明瞭な六角形の網目がある。花期は5~8月。
2-1 Fimbristylis aestivalis var. aestivalis コアゼテンツキ 小畔点突 狭義
synonym Fimbristylis aestivalis (Retz.) Vahl f. latifolia T.Koyama エチゴテンツキ
2-2 Fimbristylis aestivalis var. macrostachya Benth.フィリピン、オーストラリア原産。
2-3 Fimbristylis aestivalis var. trichopoda J.Kern
インド、ニューギニア原産。
3 Fimbristylis autumnalis (L.) Roem. et Schult. ヒメヒラテンツキ 姫平点突
日本(北海道、本州、四国、九州)、中国、台湾、北アメリカ、南アメリカ原産。中国名は秋飘拂草 qiu piao fu cao。英名はslender fimbry。別名はヒメテンツキ。田の畦、湿地に生える。和名は全体に繊細で、茎が扁平であることから。ヒデリコと同じような場所に生え、大きさも似ている。ヒデリコほどではないがよく見られる。原産地は南北アメリカであり、日本、朝鮮、中国、シリヤ、レバノンのものは帰化だとする見解がある。1年草又は多年草、高さ10~30㎝。全体に無毛。茎は扁平で、叢生する。ただし、茎が明瞭な3稜のものも混じることがある。葉は幅1.5~2.5㎜。苞葉は幅広く、扁平で、花序とほぼ同じ長さかやや短く、直立する。花序は複散形。小穂は長さ3~6㎜、稜角があり、披針形で、先が尖る。鱗片は長さ1.5~2㎜、褐色、中肋は緑色で、竜骨状となり、先が芒状に突き出す。果実は長さ約0.7㎜の倒卵形、断面は3稜形、熟すと淡褐色~白色になり、表面にこぶ状の突起がまばらにある。柱基は細長く無毛。花柱は長さ約1㎜。柱頭は3岐。果期は7~10月。
4 Fimbristylis bisumbellata (Forssk.) Bubani オオアゼテンツキ 大畔点突
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl subsp. bisumbellata (Forssk.) Luceno
日本(本州の関東地方、沖縄群島)、中国(安徽省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆、雲南省、浙江省)、台湾、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、トルクメニスタン、アフガニスタン、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、アフリカ、南西アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア原産。中国名は复序飘拂草 fu xu piao fu cao。標高100~1500mの川沿い、小川沿い、砂地や湿地、斜面の湿った場所に生える。1年草。稈は密に叢生し、高さ4~20㎝、細長く、断面は扁平な3角形、平滑、基部には葉が少ない。葉は稈より短い。鞘は黄緑色、さび色の斑点があり、短くて白色の直軟毛がある。葉身は幅0.7~1.5㎜、平らで、縁は先に縁毛があり、下面にときにまばらに毛がある。苞は2~5 個、葉状で直立し、基部の苞は1または 2個つき、花序と同長かそれより長い。花序は複合または複複合のイグサ形花序で、緩い。花序枝は4~10本、長さ4㎝まで、細い。小穂は単生、長円状卵形~卵形~長円形、長さ2~7㎜×幅1~1.8㎜、10~20個の花がつき、先は鋭形。鱗片は螺旋状に覆瓦状につき、褐色、広卵形、長さ1.2~2㎜、膜質、3脈があり、外面に緑色の竜骨を形成する。雄しべは1~2本。葯は狭長円形。花柱は長く、扁平、縁毛があり、基部が膨らむ。柱頭は2岐。小堅果は黄白色、非常に短い柄があり、広倒卵形、長さ約0.8㎜、両凸形、横長の網目がある。花期と果期は7月~月(~11)月。2n=10, 16, 20。
5 Fimbristylis campylophylla Tuyama ノジテンツキ 野路点突
synonym Fimbristylis campylophylla Tuyama var. pygmaea Tuyama コノジテンツキ
synonym Fimbristylis drizae J.H.Kim et M.Y.Kim日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮原産。開けたシルト質または砂質の湿った場所、とくに池や湖の縁に渇水や用水に伴う水位低下で出現する湿った裸地、ときに休耕田に生える。コノジテンツキは裸地化した期間が短い場所で開花結実した小型のノジテンツキの個体である。
無毛の草本で、根茎のない房があり、高さ7~40㎝。根はひげ根、赤褐色。稈は平滑、長さ8~25㎝×太さ0.8㎜、断面は五角形、基部に葉身のない鞘があり、葉身のない鞘は円筒形、稈を緩く包み、長さ4.0~5.5cm、口部はほぼ平切形~弱い斜め、先は円形~鈍形、赤褐色の小さな点があり、先端の縁は非常に狭い膜質、結合側の縁は浅いV字型の膜質。葉は数枚~多数、稈とほぼ同じかそれより高く、まれに稈より低いものもある。葉身は線形、平ら、しばしばわずかに螺旋状に捻じれ、長さ10~40㎝×幅1~3㎜、先は鋭形。花序は頂生、単純またはほぼ複合花序、長さ1.2~4.5㎝×幅0.8~5.5㎝。花序枝は2~9本、広い角度で斜上する。苞は数個つき、最大5~6個、剛毛であり、長さ10~14㎜、直立または斜上する。花序あたり小穂は(2~)10~32個つく。花序柄は、ときに成熟すると開出~垂れ下がる。小穂は単生し、赤褐色、卵形、長さ5.5~7.0(~8.5)㎜×幅2.5~3.5㎜、先は円形~鈍形。花の鱗片(floral scales)は多数つき、密に螺旋状につき、長さ約2㎜、長円形、先は円形~鈍形、中肋は披針形、帯緑色またはわら色、中肋の両側は褐赤色、縁は膜質。雄しべは1本、まれに2本。葯は長さ0.45~0.50㎜。柱頭は2裂、非常にまれに3裂し、パピラがあり、長さ約1㎜、通常花柱より長い。花柱は無毛、長さ0.7~0.8㎜、花柱の基部は三角形で細く、痩果の切形の軸と接合する。痩果は丸みを帯びた広倒卵形、長さ0.75~0.80㎜×幅 0.5~0.7㎜、最大幅は中央頂点のわずかに上にあり、痩果の基部は丸い円盤状、不均等な両凸形で、背側が腹側よりも膨れ、三角状台形の突起が側部のうねに沿って一列に密に配置され、基部で狭い翼に接合し、うね間の広い表面は垂直な約12列の小さな横長の表皮細胞があり、小さなこぶ状の突起が点在する。花期と果期は8~10月。
※ クロテンツキFimbristylus diphylloides Makinoのシノニムとして扱われてきたノジテンツキF.campylophylla Tuyamaが独立種に戻された。ノジテンツキはクロテンツキから、雄ずいが通常1個(極稀に2個)であること、痩果が円頭であること、熟した花序柄がしばしば開出から垂下すること、花茎基部の鞘状葉の口部が平切形に近い緩やかな斜切形であること等で区別される(参考6)。
6 Fimbristylis complanata (Retz.) Link ノテンツキ 野点突 広義
日本(本州、四国、九州、沖縄)、韓国、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、ブータン、インド、スリランカ、ネパール、 パキスタン、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、熱帯アフリカ、南西アジア(イエメン)、北オーストラリア、中南米、インド洋諸島、太平洋諸島原産。中国名は扁鞘飘拂草 bian qiao piao fu cao。標高100~3000mの谷、草原、川辺、平原、斜面、溝、湿地、渓谷沿いなどの湿った場所に生える。
多年草。 根茎は長いか短いか、またはほとんど存在しない。稈は株立、高さ(10~)20~70㎝、扁平な3~4角(かど)があり、条線があり、ときに先端に翼があり、基部に多数の葉がつく。葉は稈より短い。鞘は両側が扁平で、外側が膜質でさび色、内側に竜骨があり、口部は斜めに裂け、縁毛がある。葉舌は非常に短く、縁毛がある。葉身は幅1~5㎜、平らで厚い紙質、縁は先に細かい小鋸歯があり、先は鋭形。苞は2~4個、直立し、花序よりもはるかに短い。小苞は剛毛状で、基部が広い。花序は単純、複合、または複複合のイグサ形花序、長さ7.5~10.5㎝×幅4~7㎝。花序枝は3~4本、長さ1~7㎝、扁平、ザラつく。花序当たりの小穂は多数つき、単生し、長円形~卵形~狭卵形、長さ5~9㎜×幅1.2~2㎜、花が5~13個つき、先は鋭形。鱗片は褐色、卵形、長さ約3㎜、1脈があり、外側に黄緑色の竜骨が形成され、突き出し、微突になり、先は鋭形。雄しべは3本。葯は長円形、長さ1㎜またはそれ以上、花糸の長さの約1/4の長さで、先は鋭形。子房は長円形、3面形。花柱は3稜形、無毛、基部が円錐形に膨らむ。柱頭は3岐、花柱と±同長。小堅果は白色または黄白色、倒卵形~広倒卵形、長さ約1.5㎜、鈍角で3面があり、横長の網目がある。花期と果期は6~10月。
6-1 Fimbristylis complanata (Retz.) Link f. complanata オオヒラテンツキ 大平点突
synonym Fimbristylis complanata var. complanata日本(沖縄)、韓国、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、ブータン、インド、スリランカ、ネパール、 パキスタン、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、熱帯アフリカ、南西アジア(イエメン)、北オーストラリア、中南米、インド洋諸島、太平洋諸島原産。中国名は扁鞘飘拂草 bian qiao piao fu cao。標高500~3000mの 谷、草原、川辺などの湿った場所に生える。
根茎は長いまたは短い、ときにほぼ屈地性(diageotropic)。稈は高さ50~7㎝、丈夫。葉身は幅3~5㎜。花序は複複合のイグサ形花序。花期と果期は7~10月。
6-2 Fimbristylis complanata (Retz.) Link f. exaltata T.Koyama ノテンツキ 野点突 狭義
synonym Fimbristylis complanata (Retz.) Link var. kraussiana sensu Ohwi, non C.B.Clarke
synonym Fimbristylis complanata (Retz.) Link var. exaltata (T.Koyama) Y.C.Tang ex S.R.Zhang et T.Koyama
日本(本州、四国、九州)、韓国、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、浙江省)、台湾原産。中国名は矮扁鞘飘拂草 ai bian qiao piao fu cao。標高100~800mの小川沿い、水辺、野原、斜面、溝、湿地、渓谷沿いに生える。根茎は短いかほとんどなく、細い。 稈は高さ(10~)20~50㎝、細い。葉身は幅1~2.5㎜。花序はほぼ単純または複合のイグサ形花序。花期と果期は6~9月。
7 Fimbristylis cymosa R.Br. シオカゼテンツキ 潮風点突
日本、朝鮮、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、浙江省)、台湾、インド、スリランカ、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、アジア南西部、オーストラリア、アフリカ、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ原産。中国名は黑果飘拂草 hei guo piao fu cao。英名はtropical fimbry, St. John's sedge, hurricane sedge, hurricanegrass。別名はシバテンツキ。標高400mまでの道路沿いの乾いた砂地、海岸の岩場、川沿いの砂利の多い場所、海岸の砂地に生える。
多年草。 根茎は短い。稈は株立し、高さ10~60cm、平らで鈍角の3角形、基部が厚い場合もあり、葉は多数つく。葉身は幅1~4㎜、厚く、平らで、非常に硬く、縁は細かく鋸歯状で、先端は鋭形。苞は1~3個、花序より短い。花序は単純または複複合のイグサ形花序、頭状で数本の短い花序枝があるか、または開き、数本の長い花序枝をもつ。小穂は多数、単生または束生し、長円形~卵形、長さ3~6㎜×幅1.5~2.5㎜、密に多数の花がつき、先は鈍形。鱗片は褐色、卵形~広卵形、長さ1.2~2㎜、膜質、外面に3脈があり、縁は広く透明、先は鈍形。雄しべは3本。葯は線形。花柱は細く、縁毛はなく、基部がわずかに太くなる。小堅果は成熟すると紫黒色、倒卵形~広倒卵形、長さ0.7~1㎜、三面形または両凸形、不明瞭な疣状突起があり、正方形または横長の網目があるが、ときにほぼ平滑。花期と果期は6~10月(FOC)。2n=10, 32, 46(南アメリカ), 58(FNA)。柱頭はアメリカ産は2岐、オセアニア産は2または3岐。Kewscienceでは2亜種としている。
7-1 Fimbristylis cymosa R.Br. subsp. cymosa シオカゼテンツキ
synonym Fimbristylis cymosa R.Br. var. cymosasynonym Fimbristylis cymosa R.Br. f. depauperata (T.Koyama) T.Koyama ex Yonek. クジュウクリテンツキ
synonym Fimbristylis cymosa subsp. spathacea (Roth) T.Koyamasynonym Fimbristylis cymosa R.Br. var. spathacea (Roth) T.Koyama
synonym Fimbristylis spathacea Roth日本(本州の関東以南、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、浙江省)、台湾、インド、スリランカ、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、アジア南西部、オーストラリア、アフリカ、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ原産。中国名は黑果飘拂草 hei guo piao fu cao。海面に近い海抜の道路沿いの乾いた砂地、海岸の岩場に生える。Flora of Chinaではvar. spathaceaとvar. spathaceaと区別されていたが、基本種に含められている。
稈は断面が扁平な鈍角の3角形で、基部は太いまたは太くない。葉は非常に硬く、幅1.5~4㎜。イグサ形花序は開きまたは頭状に密集し、数本の短い~長い花序枝をもつ。小穂は単生または2~3個束生する。柱頭は2または3岐。小堅果は倒卵形~広倒卵形、両凸形または3面がある。花期と果期は6~10月。2n=10。
7-1(2) Fimbristylis cymosa R.Br. var. spathacea (Roth) T.Koyama シオカゼテンツキ
synonym Fimbristylis cymosa R.Br. subsp. spathacea (Roth) T.Koyama
日本、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、浙江省)、台湾、インド、スリランカ、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、アフリカ原産。中国名は佛焰苞飘拂草 fo yan bao piao fu cao。海抜400m付近までの川沿いの砂利の多い場所、砂浜に生える。 稈は断面が鈍角の3角形、基部は太くない。葉は硬く、幅1~3㎜。イグサ形花序は開き、数本の長い花序枝をもつ。小穂は単生または2~3個集合する。柱頭は2(または3)岐。小堅果は倒卵形~広倒卵形、両凸形、まれに三面形。花期と果期は7~10月。2n= 32。7-2 Fimbristylis cymosa R.Br. subsp. umbellatocapitata (Hillebr.) T.Koyama タマテンツキ
synonym Fimbristylis cymosa var. umbellatocapitata Hillebr.synonym Fimbristylis spathacea Roth var. umbellatocapitata (Hillebr.)T.Koyama
synonym Fimbristylis cymosa auct. non R.Br.synonym Fimbristylis cymosa var. microcephala F.Br.
synonym Fimbristylis cymosa var. pycnocephala (Hillebr.) Kük.
synonym Fimbristylis pycnocephala Hillebr.
synonym Fimbristylis umbellatocapitata Steud.
日本(宮古島以南の琉球列島)、中国、台湾、マレーシア、オーストラリア原産。英名はtropical fimbry, button sedge, mau'u 'aki'aki sedge。海岸に面した岩場や家畜の放牧に供されている半自然草地に生える。岩場に生育する個体はサイズが大きく、生育も良好であることから、タマテンツキは潮風 という環境圧に対する耐性が極めて大きい環境圧耐性型植物であり、耐塩性のある塩生植物である。
葉は叢生し、高さ4~30㎝。花茎は高さ約60㎝まで。花序の枝が短く、小穂は花茎の先端に直径5~10㎜の球状の頭状花序に集まる。痩果は暗褐色~灰褐色。
8 Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl テンツキ 点突 広義
日本全土、世界に広く分布。中国名は两歧飘拂草 liang qi piao fu cao。英名はforked fimbry, common fringe-rush, tall fringe rush。
1年草又は短年の多年草。高さ(5)20~50(100)㎝。叢生し、基部は太くなり、バルブ状にはならない。根茎はなく、全体に白色短毛が多いが、少ないものもある。茎は丈夫で、高さ(5)20~50(100)㎝、無毛~わずかに短毛がある。葉はほぼ2列性、茎よりやや短く~長い(普通、茎の長さの1/2程度)。葉鞘は革状、幅広、膜質、縁は淡褐色、表面はほぼ無毛、先はほぼ切形、縁毛がある。葉舌は短毛の線が入る。葉身は狭い線形~線形、幅(1.5)2~3(4)㎜、扁平~広い内巻き、ざらざらした微縁毛があり、先は鋭形~鈍形、背面は平滑~微細剛毛で覆われる。苞は3~4個つき、葉状、最も下側の1~2個が普通、花序より長い。花序は短毛がある~無毛、複合~単一のイグサ形花序、長さ5~9㎝、幅3~6㎝、開いて疎~小さく密集。花茎は細く、幅約1㎜、先ではわずかに扁平になる。小穂は単生、卵形~楕円形~長楕円形、長さ4~8(14)㎜、幅約2.5㎜、角はなく、淡鳶色~栗褐色、多数の花がつく。鱗片は褐色、卵形~楕円状卵形~長楕円形、雌鱗片の長さ2.2~4.2㎜、光沢があり、3~5脈があり、中肋は緑色で竜骨状(主軸突出形)、先は小突起となる。雄しべは1~2個、花糸は短い。痩果(小堅果)は長さ0.6~1.3㎜、広倒卵形~円形~倒三角形、断面はレンズ形、両面に各々(5)10~12本の縦肋があり、横に楕円状の窪みがあって細かい網目状、白色~帯褐色、熟してから古くなると次第に栗褐色になる。花柱は長く、扁平、基部が太く、上部に長縁毛があり、鱗片から少し突き出す。柱頭は2分岐し、下半部は並行につく白毛がある。痩果から花柱はとれやすい。2n=20, 30。果期は7~10月。
8-1 Fimbristylis dichotoma subsp. dichotoma テンツキ 点突 狭義
synonym Fimbristylis annua (All.) Roem. & Schult.
synonym Fimbristylis tikushiensis Hayata
synonym Fimbristylis dichotoma var. tikushiensis (Hayata) T.Koyama in J. Jap. Bot. 63: 91 (1988) オテンツキ
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl f. diphylla Ohwi, excl. basion.
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl f. tomentosa Ohwi, excl. basion.
synonym Fimbristylis diphylla (Retz.) Vahlsynonym Fimbristylis diphylla var. gracilis (R.Br.) Benth.
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl var. diphylla (Retz.) T.Koyama f. tomentosa (Vahl) Ohwi ケテンツキ
日本全土、韓国、中国、台湾、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、キルギス、ウズベキスタン、タイ、ベトナム、パプアニューギニア、オーストラリア、インド洋諸島、太平洋の島々、南西アジア、アフリカ、マダガスカル、中央アメリカ、北アメリカ、南アメリカに分布。海抜2100メートル付近までの水田、開けた草原、湿地の浅瀬に生える。稈は高さ(5~)15~50cm。 葉は稈よりわずかに短いか、場合によってはわずかに長い。 葉身は線形、幅1~2.5mm。 花序は複合のイグサ形花序、またはまれに単純なイグサ形花序。小穂は長さ4.5~8.5mm。雌鱗片は長さ2.2~3 mm。小堅果は倒卵形~広倒卵形、長さ0.6~1.2mm、縦に5~11列の横長の長円形の表皮細胞があり、先は丸い~鈍形。花果期は7~10月。2n=10, 20。
8-2 Fimbristylis dichotoma subsp. depauperata (R.Br.) J.Kern ホソバテンツキ 細葉点突
synonym Fimbristylis depauperata R.Br.synonym Fimbristylis dichotoma f. depauperata (R.Br.) Ohwi
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl var. tentsuki T.Koyama f. gracillima T.Koyama
中国、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア原産。中国名は矮两歧飘拂草 ai liang qi piao fu cao。標高0~900mの 閉ざされた森林、ユーカリ林、樹木が茂った草原の湿地などの小道に沿って生える。1年草、高さ10~50㎝。葉は上面は毛が多く、縁には縁毛がある。葉鞘は毛があり、葉舌の口部には長い毛がある。花序は単純または複合で、少数~数個の小穂がつく。小穂は淡褐色で膨らむ。苞の基部には長毛が密生する。鱗片は非常に広い卵形で、長さよりも幅が広く、上端に細かい繊毛があり、明瞭な竜骨と竜骨の両側にかすかな脈がある。柱基は平らで融合し、長い毛がある。小堅果は強い光沢があり、パピラの列がある。花期は2~8月(オーストラリア)
8-3 Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl subsp. podocarpa (Nees et Meyen) T.Koyama ツクシテンツキ 筑紫点突
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl subsp. tashiroana (Ohwi) T.Koyama
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl var. tashiroana (Ohwi) Ohwi
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl var. pallidisquama Ohwisynonym Fimbristylis podocarpa Nees et Meyen
synonym Fimbristylis affinis J. et C.Presl
synonym Fimbristylis tashiroana Ohwi
日本(九州)、朝鮮、中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、江西省、雲南省)、台湾、インド、モーリシャス、スリランカ、パキスタン、ネパール、ブータン、バングラデシュ、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、マリアナ諸島、カロリン諸島、ウォリス・フツナ諸島、トゥブアイ島、サモア、オーストラリア、アフリカ、マダガスカル原産。中国名は绒毛飘拂草 rong mao piao fu cao。標高100~2100mの農地、浅瀬、開けた荒地、斜面の草地に生え、日本では温泉噴気孔付近の草地に生える。
根茎は発達せず、稈は密に束生し、高さ(5~)25~60(~100)cmで、しばしば密に毛がある。葉は稈より短い。葉身は狭い線形、幅(0.5~)1~2mm、両面にしばしば直軟毛がある。小穂は長さ(0.8~)0.9~1.4㎝。雌鱗片は長さ3.8~4.2㎜。小堅果は倒卵形、球形、または±倒三角形、長さ1.2~1.3㎜、横長の長円状四角形の表皮細胞の垂直な15~24列を持ち、先は鈍形~ほぼ切形。柱頭は2岐。花果期は7(~8)月。2n=30。
8-3-1 Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl subsp. podocarpa (Nees et Meyen) T.Koyama f. cincta (Ohwi) Ohwi ケツクシテンツキ
synonym Fimbristylis tashiroana Ohwi f. cincta (Ohwi) Ohwisynonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl var. cincta (Ohwi) Ohwi
8-4 Fimbristylis dichotoma var. floribunda (Miq.) T.Koyama クグテンツキ 莎草点突
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl f. floribunda (Miq.) Ohwi
synonym Fimbristylis diphylla (Retz.) Vahl var. floribunda Miq.日本(本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮に分布。畦や水田の土手、湿った草地に生える。テンツキに似るが、それよりも大型。
根茎は発達せず叢生し、高さ30~100㎝。基部の鞘は淡褐色、有毛または無毛。葉は幅3~5mm、やや革質、硬く、やや厚い。花序はやや大型の複合のイグサ形花序。苞は1~2枚つき、花序より長い。花序は頂生し、多数の花序枝を出し、それぞれに4~10個の小穂がつく。小穂は花期には長卵形だが、熟と卵状披針形となり、長さ6~10mm、褐色、10~14個の花がつく。鱗片は広卵形、長さ約2.5mm、淡褐色、先は鋭形で微突形。痩果は黄白色、倒卵形、長さ1~1.5mm、表面に横長の格子紋がある。柱頭は2岐。花柱は扁平で繊毛がある。果期は8~10月。
8-5 Fimbristylis dichotoma subsp. glauca (Vahl) T.Koyama
synonym Fimbristylis glauca Vahl
インド、スリランカ原産。
8-6 Fimbristylis dichotoma subsp. ophiticola (Britton) Zavar
synonym Fimbristylis ophiticola Britton
キューバ原産。
9 Fimbristylis diphylloides Makino クロテンツキ 黒点突
synonym Fimbristylis brevicollis Kukenthal
本州(伊豆諸島を含む関東以西)、九州、沖縄、朝鮮、中国原産。中国名は拟二叶飘拂草 ni er ye piao fu cao。和名の由来は小穂が暗褐色であることから。氾濫原、水田の畔、低地の河畔、湿地などの湿った草地に生える。
※ クロテンツキFimbristylus diphylloides Makinoのシノニムとして扱われてきたノジテンツキF.campylophylla Tuyamaが独立種に戻された。ノジテンツキはクロテンツキから、雄ずいが通常1個(極稀に2個)であること、痩果が円頭であること、熟した花序柄がしばしば開出から垂下すること、花茎基部の鞘状葉の口部が平切形に近い緩やかな斜切形であること等で区別される。これによりクロテンツキの解説も訂正された(参考6)。
1年草又は多年草、無毛、株立し房、高さ(5~)10~45㎝。根はひげ根で褐色。古い枯れ葉は基部に繊維状に残り、ときに古い枯れた根茎も宿存する。根茎は非常に短く、直立し、しばしば不明瞭。稈は平滑、長さ12.5~30.0㎝×太さ0.7㎜、断面は五角形で、基部に葉身のない鞘がある。葉身の無い鞘は3個、最下の鞘は鱗片状、わずかに膜質で、わずかに後ろに反り返る。最上部の鞘は円筒形、口部が斜めの切形、上端の縁は狭い膜質、先は鋭形、結合側の縁は鋭いV字形、膜質。葉は数枚~多数つき、稈よりも低~高。葉身は直立し、線形、縁は平らまたは外巻、先は鈍形または鋭形、長さ9~40㎝×幅1.0~1.8㎜、一般に螺旋状に捻じれない。花序は頂生、単純またはほぼ複合のイグサ形花序、長さ1.0~4.5㎝×幅0.7~2.5㎝、花序枝は(0~)1~8本、熟すとほぼ直立~斜上し(assurgent)、長さは不均等。苞は数個、3~4個つき、剛毛状、長さ5~14㎜、直立または斜上する。花序ごとに小穂は(1~)2~15個つく。花序柄は熟すと花柄が直立~斜上する。小穂は単生、褐色、楕円形、先は鋭形、長さ4.5~6.0㎜×幅1.5~2.5㎜。花の鱗片(floral scales)は多数、密に螺旋状に配列し、長さ1.7~2.0㎜、楕円状卵形、先は微突形~円形、外面に3脈があり、低い竜骨を形成し、脈は帯緑色またはわら色、竜骨の両側は赤褐色、花の鱗片の縁は狭く帯白色、膜質。雄しべは1または2本(しばしば同じ小穂に見られる)、葯は長さ0.55~0.65㎜。柱頭は2裂、まれに3裂し、パピラがあり、長さ0.8㎜。 花柱は無毛、柱頭より長く、長さ0.8~1㎜、基部の幅はほとんど広くばらない。痩果は長さ0.7~0.9㎜×幅0.6~0.7㎜、広倒三角状倒卵形、最大幅は先近くにあり、先はほぼ切形またはわずかに丸く、突然くびれて小さな嘴となり、基部は次第に狭くなり、痩身の端は円盤状になり、不均等な両凸形、背側は腹側よりも膨らんでいて、側方の隆起は F. campylophyllaよりも鈍く、かろうじて疣状突起があり、翼は無く、うね間の広い表面には垂直に約10~12列の横長の長円形の表皮細胞が並び、疣状突起はほとんど無い。花期と果期は7~11月。(参考6)。1年草又は多年草、2n=20。
10 Fimbristylis dipsacea (Rottb.) C.B.Clarke アオテンツキ 広義
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、黒竜江省、湖南省、雲南省、浙江省)、ロシア、インド、スリランカ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア、アフリカ、南アメリカ原産。中国名は起绒飘拂草 qi rong piao fu cao。標高100m以下の畑の縁、川沿いの湿った草が茂った場所、湿地、池の縁に生える。
1年草。根茎は無い。稈は株立し、高さ2.5~15㎝、細く、平滑。葉は稈と同長またはそれより短い。鞘は錆色で、薄い膜質で無毛で、口部は斜めに裂ける。葉身は毛管状、長さ2.5~15㎝ ×幅0.2~0.5㎜、内巻き~ほぼ平坦。苞は3~10個、剛毛状、基部の苞は1~2個で、ときに花序を超える。花序は単純またはほぼ複合のイグサ形花序で、少数~多数の小穂を持つ。花序枝は3~10本、細く、不等長で、広がる。小穂は単生、まれに2個束生し、長円形、長円状卵形、またはほぼ球形、長さ3~6㎜×幅2~6㎜、多数の花がつく。鱗片は白色または淡い麦わら黄色、長円形、長円状卵形、または楕円形、長さ約1㎜ (芒を除く)、薄い膜質、1 脈があり、外面に緑色の竜骨を形成し、先は鈍形で芒がある。雄しべは1~2本。 葯は狭い卵形~長円形。花柱は基部がわずかに太くなる。柱頭は2岐。小堅果は褐色、長円形、光沢があり、横長の六角形の網目またはほぼ線形の水平な線があり、各縁には5~9個の早落性のこん棒形の腺細胞がつく。花期と果期は3~11月。
10-1 Fimbristylis dipsacea var. dipsacea。
中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、 インド、スリランカ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、アフリカ、北オーストラリア、南アメリカ原産。中国名は起绒飘拂草 qi rong piao fu cao。標高100m以下の畑の縁、川沿いの湿った草が茂った場所、湿地、池の縁に生える。
葉はしばしば稈と同長またはそれより短い。鱗片は白色、楕円形、先は長く湾曲した芒をもつ。雄しべは1または2本。花期と果期は3~11月。2n=10。
10-2 Fimbristylis dipsacea (Rottb.) C.B.Clarke var. verrucifera (Maxim.) T.Koyama アオテンツキ 青点突
synonym Fimbristylis verrucifera (Maxim.) Makinosynonym Fimbristylis dipsacea (Rottb.) C.B.Clarke subsp. verrucifera (Maxim.) T.Koyama
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、黒竜江省、湖南省、浙江省)、ロシア (極東)原産。中国名は疣果飘拂草 you guo piao fu cao。畑の縁、湿った場所、水辺に生える。葉は稈より短い。鱗片は白色~淡麦わら黄色、長円形~長円状卵形、先には短く真っ直ぐな芒がある。雄しべは1本。花期と果期は8~11月。
11 Fimbristylis eragrostis (Nees et Meyen) Hance カゼクサテンツキ 風草点突
中国、台湾、インド、ニコバル島、ネパール、ブータン、スリランカ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ニューギニア、オーストラリア原産。中国名は知风飘拂草 zhi feng piao fu cao。12 Fimbristylis fimbristyloides (F.Muell.) Druce トモエバテンツキ 巴葉点突
synonym Fimbristylis straminea Turrill
日本(沖縄)、朝鮮、中国(広東省、広西チワン族自治区、雲南省、浙江省)、インド、ネパール、ブータン、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア原産。中国名は矮飘拂草 ai piao fu cao。斜面に生える。
1年草。 稈は叢生し、高さ5~13cm、根生葉を持つ。葉は稈の長さの1/2よりわずかに長い。 葉身は線形、幅1~1.5㎜、わずかに湾曲、縁には縁毛があり、先は鋭形。苞は2枚以上つき、葉状、長さ0.5~1.8㎝×幅1㎜未満、剛毛があり、先は尖鋭形。花序は単純またはまれにほぼ複合のイグサ形花序。花序枝は長さ1~3cm、毛がある。小穂は単生、卵形~広卵形、長さ4~5㎜×幅約1.5㎜、わずかに扁平、基部の1~3個の鱗片は空。鱗片は褐色、卵形、長さ2.5~3㎜、膜質、腺点は密ではなく、毛があり、外面の中脈がわずかな竜骨を形成し、突出して微突になる。 空の鱗片は稔性の鱗片より短く、芒は長い。雄しべは3本。子房は白色、円筒形、3面がある。花柱は淡褐色、長さ約2㎜、基部が膨れる。柱頭は3岐。小堅果は淡黄色~ほぼ白色色で、非常に短い柄があり、倒卵形、三面があり、疣状突起があり、基部は切形。花期と果期は8月。
13 Fimbristylis fusca (Nees) C.B.Clarke オノエテンツキ
日本(四国、九州)、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖南省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ネパール、アンダマン諸島、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア原産。中国名は暗褐飘拂草 an he piao fu cao。標高100~2000mの山の頂上、草の茂った斜面、草原、耕地に生える。
多年草、根茎性。 稈は房状で高さ20~40㎝、根元の葉がつきます。 葉身は線形、長さ5~35cm×幅1~3mm、両面に毛があり、先端は鋭形。苞は2~4個、葉状、長さ0.8~1.5㎝、毛があり、基部は非常に広く、先は漸尖し短突起になる。花序は複合のイグサ形花序。花序枝は多数、毛がある。小穂は単生し、狭卵形~狭長円状卵形、長さ6~10㎜、先は漸尖し、基部の2または3個の鱗片は空になる。稔性の鱗片は褐色~ほぼ黒褐色、卵状披針形、長さ4~5㎜、厚い紙質、毛があり、1脈があり、外面に竜骨を形成し、縁はときに透明で、先には短突起がある。雄しべは3本。花柱は長さ4~5㎜、基部が膨らむ。柱頭は3岐。小堅果は淡褐色または白色、ほぼ無柄、倒卵形、長さ約0.9㎜、3面があり、疣状突起がある。花期と果期は6~9月。
14 Fimbristylis hookeriana Boeck
synonym Fimbristylis chalarocephala Ohwi & T. Koyama
朝鮮、中国、インド、ブータン、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン原産。中国名は金色飘拂草 jin se piao fu cao。
15 Fimbristylis kadzusana Ohwi イッスンテンツキ 一寸点突
日本固有種。本州(千葉県、静岡県西部、愛知県東部)に分布。湧水湿地の半裸地状の場所に生える。愛知県の絶滅危惧ⅠA類、国の絶滅危惧ⅠA類に指定されている。
1年草。茎は束生し、高さ10~25㎝。葉は叢生し、線形、長さ3~8㎝×幅約1㎜。鞘は無毛。小穂は頂生し、1~6 個つき、ほぼ無柄~有柄、柄は長さ約5㎝、長楕円形、長さ5~12㎜、褐色、光沢がない。鱗片は長楕円形、やや太い緑色の中肋が短く突出する。果実は熟すと黒褐色、広倒卵形でレンズ状、長さ約1㎜。花期は9~10月。
16 Fimbristylis leptoclada Benth. チャイロテンツキ 広義
日本(琉球列島)、中国(福建省、広東省)、スリランカ、バングラデシュ、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ナンセン諸島、パプアニューギニア原産。中国名は细茎飘拂草 xi jing piao fu cao。海抜近くの 乾燥した砂地、道路沿いの草地に生える。 多年草、根茎がある。稈は房状(株立)で、高さ15~60㎝、太さ0.2~1.5㎜、3角があり、平滑~ザラつく。根生葉は少ない。 鞘は淡色透明~淡褐色、長さ1.5~4㎝、先は斜め。葉舌は無い。葉身は糸状、長さ10~30cm×幅0.3~0.5㎜、縁は±内曲し、先は鈍形。苞は1~3個、鱗片状または剛毛状、基部は長さ0.5~2㎝。花序は単純なイグサ形花序または頭状花序、長さ5~20㎜×幅5~8㎜。花序枝(存在する場合)は長さ2㎝まで。小穂は花序あたり3~12個、2~8個が束生し、楕円形、長さ2.2~3.5㎜×幅1.5~2㎜。鱗片は小穂あたり10~15個が、螺旋状に複瓦状につき、褐色、広卵形、 長さ1~1.5㎜×幅0.7~1.3㎜、腺点が密にあり、先に房状へりの縁毛があり、3脈があり、背面に鈍角(かど)の淡褐色の竜骨を形成し、縁は膜質で淡透明、先は円状切形、浅く凹形で微突がある。雄しべは1~2本。葯は長さ約0.5㎜。柱頭は3岐。小堅果はクリーム色、倒卵形、長さ0.7~0.9㎜×幅0.5~0.7㎜、3面があり、疣状突起がある。花期と果期は7~10月。
16-1 Fimbristylis leptoclada var. leptoclada
16-2 Fimbristylis leptoclada var. etuberculata J.Kern
ニューギニアに分布。16-3 Fimbristylis leptoclada Benth. var. takamineana (Ohwi) T.Koyama チャイロテンツキ
synonym Fimbristylis takamineana Ohwi日本(石垣島)に分布。
17 Fimbristylis littoralis Gaudich. ヒデリコ 日照子
synonym Fimbristylis miliacea auct. non (L.) Vahl, nom. rejic.
本州、四国、九州、沖縄、世界の熱帯~暖帯に広く分布。中国名は水虱草 shui shi cao。英名はgrass-like fimbristylis, lesser fimbristylis。日当たりのよい畔、湿地に生える。
1年草、高さ10~60㎝。茎は無毛、扁平な四稜形。葉は左右から内側に折りたたまれ、上部でくっつく剣形と呼ばれるアヤメ科の植物の葉と同じ形である。複散形の花序に多数の小穂をつける。小穂は長さ2.5~4㎜の卵円形、褐色。苞は小さく目立たない。鱗片は長さ1~1.3㎜、紫褐色。果実は白色~淡黄色、長さ約0.6㎜の倒卵形で、表面にはこぶ状の突起があり、鈍い3稜がある。柱頭は3岐。柱基はやや膨らむが果実に残らない。2n=10。果期は7~10月。
17-1 Fimbristylis littoralis var. littoralis
日本(本州、四国、九州、沖縄) 、韓国、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西省、貴州省、海南省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、青海省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ブータン、スリランカ、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、南西アジア、インド洋諸島、アフリカ、マダガスカル、オーストラリア、太平洋諸島、中央アメリカ、北アメリカ、南アメリカに分布。中国名は水虱草 shui shi cao。英名はgrass-like fimbristylis, lesser fimbristylis。標高100~2000mの畑の縁、開けた斜面、水辺の泥だらけの場所、草地、水田の縁に生える。
、鱗片は栗色、長さ1~1.3㎜。花期と果期は5~10月。
17-2 Fimbristylis littoralis Gaudich. var. koidzumiana (Ohwi) T.Koyama タイワンヒデリコ 台湾日照子
synonym Fimbristylis littoralis Gaudich. subsp. koidzumiana (Ohwi) T.Koyama
synonym Fimbristylis koidzumiana Ohwisynonym Fimbristylis miliacea (L.) Vahl subsp. koidzumiana (Ohwi) T.Koyama
日本(徳之島、沖縄島、石垣島、西表島)、台湾、ベトナム、カロリン諸島に分布。中国名は小泉氏飘拂草 xiao quan shi piao fu cao。稈は先がザラつく。鱗片は暗褐色、長さ3.5~6mm。
18 Fimbristylis longispica Steud. ナガボテンツキ 長穂点突
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl subsp. longispica (Steud.) T.Koyama
日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、江蘇省、遼寧省、陝西省、山東省、雲南省、浙江省)、ミャンマー原産。中国名は长穗飘拂草 chang sui piao fu cao。別名はオオテンツキ。海抜600m付近までの海岸、丘のふもとの湿った場所に生える。多年草。 根茎は短い。稈は房状(株立)になり、高さ25~60cm。葉は稈より短い。葉身は幅1.5~2.5㎜、ほぼ無毛、縁はしばしば内巻きし、先は鈍形。苞は2または3枚つき、葉状で、最下の苞は通常花序より長く、先は鈍形。花序は複合~複複合、または単純なイグサ形花序。花序枝は3~6本。小穂は単生し、狭長円形、長円形、長円状卵形、または卵形、長さ0.6~2cm、先は鋭形~鈍形。鱗片は広卵形で舟形、長さ約3㎜、無毛、3~5本の褐色~淡褐色の脈があり、先は微突形。雄しべは3本。花柱は小堅果よりわずかに長く、基部はわずかに幅が広く、先には縁毛がある。柱頭は2岐。小堅果は淡褐色~褐色、無柄、球状倒卵形、長さ1.2~1.5㎜、両凸形、六角形の網目がある。花期と果期は8~9月。(Flora of China)
18-1 Fimbristylis longispica var. longispica
日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、ミャンマー原産。中国名は长穗飘拂草 chang sui piao fu cao。海岸近くの湿地に生える。
多年草、茎は叢生し、高さ50~80㎝、直立してやや硬く、全体無毛。葉は茎より短く、葉身は幅2~4㎜、ほぼ無毛、花序は大型で、複合または複複合のイグサ形花序(2~3回分枝し小穂をつける)。小穂は黄褐色であまり暗い褐色にならず、狭長円形~長円状卵形、長さ0.7~2㎝。苞は花序より長い。小堅果は黄褐色、倒卵形、長さ約1㎜、格子紋は小さくやや正方形。果期は8~10月。
18-2 Fimbristylis longispica Steud. var. boninensis (Hayata) Ohwi ムニンテンツキ 無人点突
synonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl subsp. longispica (Steud.) T.Koyama var. boninensis (Hayata) T.Koyama
日本(小笠原諸島)に分布。 山地の日当たりのよい林縁や裸地に生える。葉は根生し、叢生し、高さ30~40㎝、幅3~4㎜、無毛、表面に光沢があり、縁に細鋸歯がある。鞘は薄い膜質で表面には毛が密生し、先は斜めの切形。花茎は高さ40~50㎝、茎頂に大きなイグサ形花序をつける。花期は5~6月。
18-3 Fimbristylis longispica Steud. var. hahajimensis (Tuyama) Ohwi ハハジマテンツキ 母島点突
synonym Fimbristylis hahajimensis Tuyamasynonym Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl subsp. longispica (Steud.)T.Koyama var. hahajimensis (Tuyama) Ohwi
小笠原諸島(母島)に分布。小型。葉は無毛、叢生し、高さ15~20㎝、幅1~2㎜、先は尖る。花茎は葉より高く、高さ40~50㎝、茎頂にイグサ形花序をつける。小穂は数個~多数束生し、球形になる。花期は5~6月。
19 Fimbristylis microcarya F.Muell コゴメテンツキ 小米点突 広義
台湾~熱帯アジア、オーストラリア、カロリン諸島、西アフリカ、熱帯アフリカ原産。中国名は台北飘拂草 tai bei piao fu cao。
19-1 Fimbristylis microcarya F.Muell. var. microcarya コゴメテンツキ 小米点突
synonym Fimbristylis taiwanica Ohwisynonym Fimbristylis autumnalis (L.) Roem. et Schult. subsp. taiwanica(Ohwi) T.Koyama
synonym Fimbristylis autumnalis (L.) Roem. et Schult. var. microcarya (F.Muell.) Kuk.
台湾~熱帯アジア、オーストラリア、カロリン諸島、西アフリカ、熱帯アフリカ原産。中国名は台北飘拂草 tai bei piao fu cao。19-2 Fimbristylis microcarya F.Muell. var. tainanensis (Ohwi) H.Y.Liu タイワンテンツキ
synonym Fimbristylis tainanensis Ohwisynonym Fimbristylis complanata (Retz.) Link var. tainanensis (Ohwi) Ohwi et T.Koyama
synonym Fimbristylis autumnalis (L.) Roem. et Schult. subsp. tainanensis (Ohwi) T.Koyama
synonym Fimbristylis autumnalis (L.) Roem. et Schult. var. tainanensis (Ohwi) T.Koyama
台湾に分布。開けた湿った場所に生える。Flora of Chinaでは基本種に含める。20 Fimbristylis nutans (Retz.) Vahl ウナズキテンツキ 頷点突
中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、湖南省)、台湾、インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア、カロリン諸島原産。中国名は垂穗飘拂草 chui sui piao fu cao。別名はウナヅキテンツキ。石垣島、西表島に記載があるが、自生と認められていない。濡れた場所に生える。
1年草または短命の多年草。根茎は極端に短いか、または無い。稈は密に叢生し、高さ15~85㎝、ほぼ円筒形、硬く、条線があり、平滑、無毛で、基部に葉鞘がある。葉には葉身が無く、鞘は褐色、基部の葉は鱗片状、先の葉は円筒形、縁は膜質、先は斜めの切形。苞は1個、鱗片状、卵形、長さ2~4.5㎜、先は微突形。花序は単一の頂生の小穂になり、卵形~楕円形~長円状卵形、長さ5~15㎜×幅2~5㎜、わずかにうなずき、10個~多数の花をつける。鱗片はかなり密に螺旋状に覆瓦状につき、褐色で錆色の短い線があり、広卵形~ほぼ楕円形、長さ3~5㎜、紙質、脈は多いが背面がかすかで、先は円形で微突形。雄しべは3本。葯は線形。花柱は長くて扁平、基部はわずかに膨らみ、先にはまばらな縁毛がある。柱頭は2岐、短い。小堅果は白色、非常に短い褐色の柄があり、倒卵形、長さ1.2~1.5㎜、平らな両凸形~ときにほぼ平凸形で、横方向の波状網目と疣状突起の縁がある。花期と果期は7~8月。
21 Fimbristylis ochotensis (Meinsh.) Kom. アカンテンツキ 阿寒点突
synonym Fimbristylis dichotoma var. ochotensis (Meinsh.) T.Koyama
日本(北海道)、千島列島、ロシア(カムチャッカ半島)。別名はオホーツクテンツキ。亜寒帯の海岸の砂地や火山地に生える。1年草、丈が低い小型の植物で、全体に毛があり、枯れた葉鞘に覆われる。花茎は高さ約5㎝。葉は線形、幅1~1.5㎜、花茎より短い。花序は単純なイグサ形花序。小穂は単生と束生が混じり、1~5個、頭状につき、卵形~卵状楕円形、長さは幅の1.8~2倍。鱗片は灰褐色、先は鋭形でときに短い芒を持つ。痩果は長さ1~1.2㎜、表面には隆起する楕円形の格子紋がある。花柱はやや扁平、無毛。柱頭は2岐。
22 Fimbristylis ovata (Burm.f.) J.Kern ヤリテンツキ 槍点突⇒Abildgaardia ovata (Burm.f.) Kral
synonym Fimbristylis monostachya (L.) Hassk.synonym Fimbristylis ovata (Burm.f.) J.Kern
テンツキ属(Fimbristylis)からヤリテンツキ属(Abildgaardia)に変更された。
日本、韓国、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖南省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ブータン、インド、パキスタン、スリランカ、タイ、 ベトナム、ラオス、マレーシア、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、南西アジア (イエメン)、熱帯アフリカ、中南米、太平洋諸島原産。中国名は独穗飘拂草 du sui piao fu cao。標高100~1400mの草原、道端、荒れ地、湿った開けた丘の中腹、川沿い、日当たりの良い乾燥した斜面、草の茂った斜面に生える。
多年草。 根茎は短い。 稈は房状で、高さ15~35㎝、細い。 葉は稈と同じ長さの1/2~2/3。 葉身は幅0.5~1㎜、先は鋭形。苞は1~3個、鱗片状だが最下の苞はときに葉状になり、長さ0.5~1.8㎝、先に長さ2~3㎜の芒がある。花序は単一の頂生小穂に削減され、卵形、楕円形、または長円状卵形、長さ7~13㎜×幅約5㎜、わずかに扁平、基部の鱗片は2列生、先の鱗片は螺旋状に覆瓦状につく。鱗片は黄緑色、広卵形~卵形、長さ3~6㎜、革質、光沢があり、外面に3脈があり、中脈が目立ち、突き出し、微突になる。雄しべは3本。花柱は3面があり、基部が膨らむ。柱頭は3岐。小堅果は短い柄があり、倒卵形、長さ約2㎜、3面があり、目立つ疣状突起がある。花期と果期は6~9月。2n=10。
23 Fimbristylis pauciflora R.Br. イシガキイトテンツキ 石垣糸点突
synonym Fimbristylis hainanensis Tang & F.T.Wang
日本(琉球列島)、中国(海南島)、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ニューギニア、オーストラリア(ノーザンテリトリー、クイーンズランド州、西オーストラリア州)、キャロライン諸島原産。中国名は海南飘拂草 hai nan piao fu cao。低地の池のそばの湿った場所に生える。
多年草。 根茎はほとんど発達しない。稈は密に房状で、高さ5~18㎝、細くて短く、偏平な円筒形、平滑で無毛、基部に少数の鞘がある。葉には葉身が無い。鞘は褐色、円筒形、先は漸尖し、縁は膜質、口部は斜めの切形。苞は無い。 花序は1個の頂生の小穂であり、狭長円形~こん棒状長円形、長さ3.5~4.5㎜×幅1~1.5㎜、花は少数つき、基部の鱗片は空になる。鱗片は淡色、さび色の短い線があり、長円形~長円状卵形、長さ3~3.2㎜、7~9本の脈があり、中脈の背面はは緑色、先は鈍形で、微突形ではない。雄しべは3本。葯は線形。花柱は長くて扁平、まばらに縁毛があり、基部はわずかに幅広になる。柱頭は3岐、まばらにパピラがある。小堅果は白色、倒卵形、長さ約0.8㎜、ほぼ三面があり、まばらな小疣状突起があり、ほぼ六角形の網目を持つ。花期と果期は8~9月。
24 Fimbristylis pierotii Miq. ノハラテンツキ 野原点突
synonym Fimbristylis jindoensis J.H.Kim et M.Y.Kim
日本(本州の西部、四国、九州、沖縄)、韓国、中国(安徽省、福建省、河南省、江蘇省、山東省、雲南省、浙江省)、インド、ネパール、フィリピン原産。中国名は东南飘拂草 dong nan piao fu cao。海抜3000m付近までの道端、針葉樹林、山頂の日当たりの良い乾燥した場所に生える。
多年草。根茎は直径2㎜まで、匍匐性、卵形の鱗片で覆われる。稈は単独で、高さ13~35㎝、断面は扁平な3角形、先はザラつき、4~6枚の葉と基部に2個のほぼ葉のない鞘がある。葉は稈よりも短~ほぼ同長。鞘は錆び色で、内側は膜質、縁毛はなく、口部は斜めに裂ける。葉舌は無い。葉身は幅1.2~2㎜、縁は平らから内曲し、細かい小鋸歯があり、先は鋭形。苞は1~3個、錐形または鱗片状で、花序より短く、先には長い芒がある。花序は単純な花序で、長さ1.5~2.5㎝、2~7個の小穂がある。小穂は長円形、楕円形、または卵形、長さ6~10㎜×幅2.5~4mm、9花がつき、先が鋭形。鱗片は栗褐色、広卵形、長さ約4㎜、3脈があり、背面に緑色の竜骨を形成し、縁は膜質で白色、先は鈍形~ほぼ鋭形。基部の2個の鱗片は、先に短い硬い微突がある。雄しべは3本。葯は線状長円形、長さ約2㎜、長さは花糸の長さの約1/4。子房は長円形、3面があり、基部がわずかに狭い。花柱は3面があり、縁毛がなく、基部は円錐形。柱頭は3岐、花柱とほぼ同長。小堅果は褐色、広倒卵形、長さ約1mmまたはそれ以上、平ら~凸形、細かい小疣状突起がある。花期と果期は5~9月。
25 Fimbristylis polytrichoides (Retz.) Vahl タカオテンツキ
synonym Fimbristylis polytrichoides (Retz.) Vahl var. takaoensis (Hayata) T.Koyama
中国(福建省、広東省、海南省)、台湾、インド、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア、熱帯アフリカ、マダガスカル原産。中国名は细叶飘拂草 xi ye piao fu cao。海面近くの海沿いの湿った塩辛い場所、水田に生える。26 Fimbristylis quinquangularis (Vahl) Kunth イヌヒデリコ 犬日照子
synonym Fimbristylis fauriei Ohwi
synonym Fimbristylis miliacea (L.) Vahl, nom. utiq. rejic.
中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖南省、江西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、スリランカ、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、ネパール、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア、インド洋諸島、南西アジア、アフリカ、マダガスカル原産。中国名は五棱秆飘拂草 wu leng gan piao fu cao。標高800~2100mの沼地に生える。
27 Fimbristylis schoenoides (Retz.) Vahl カギテンツキ 鈎点突
中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、江西省、雲南省、浙江省)、台湾、ブータン、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ラオス、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、北オーストラリア、熱帯アフリカ原産。中国名は少穗飘拂草 shao sui piao fu cao。標高300~800mの小川、側溝、道路、水田などの湿った場所に生える。
28 Fimbristylis sericea (Poir.) R.Br. ビロードテンツキ 天鵞絨点突
日本(本州の富山県以西、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾、インド、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、アフリカ、オーストラリア原産。中国名は绢毛飘拂草 juan mao piao fu cao。海岸の砂地に生える。
多年草、高さ10~20㎝。茎は太く、葉は硬く、白い毛が密生しているので、ビロードの名がつけられている。葉は茎より短く、根元に集まってつき、幅1.5~2㎜の線形。茎の先に3~15個の小穂を固まってつける。小穂は長さ0.6~1㎝、幅約4㎜の狭卵形。鱗片は広卵形で、短い芒がある。果実は広倒卵形、レンズ形で、表面は平滑。柱頭は2岐。果期は7~10月。
29 Fimbristylis shimadana Ohwi シラホテンツキ 白穂点突
台湾原産。中国名は白穗飘拂草 bai sui piao fu cao。
30 Fimbristylis sieboldii Miq. ex Franch. et Sav. イソヤマテンツキ 磯山点突
synonym Fimbristylis ferruginea (L.) Vahl var. sieboldii (Miq. ex Franch. et Sav.) Ohwi
本州(千葉県、石川県以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は锈鳞飘拂草 xiu lin piao fu cao。潮のかかるような岩場や砂浜に生える塩生植物。多年草。高さ10~40㎝。葉は茎より短く、幅1~1.5㎜と細い。花序は枝分かれしない。小穂は4~5個つき、褐色~濃褐色で、長さ5~15㎜の長楕円形。鱗片は褐色で、細かい毛が生え、鋭頭。果実は表面が平滑で熟すと褐色~濃褐色になる。楕円形で、断面はレンズ型。花柱には長い毛が密に生える。果期は8~10月。
30-1 Fimbristylis sieboldii Miq. ex Franch. et Sav. subsp. anpinensis (Hayata) T.Koyama シマテンツキ 島点突
synonym Fimbristylis ferruginea auct. non (L.) Vahlsynonym Fimbristylis ferruginea (L.) Vahl var. anpinensis (Hayata) H.Y.Liu
synonym Fimbristylis sieboldii Miq. ex Franch. et Sav. var. anpinensis (Hayata) T.Koyama
31 Fimbristylis squarrosa Vahl アゼテンツキ 畔点突
synonym Fimbristylis aestivalis (Retz.) Vahl var. squarrosa (Vahl) T.Koyama
synonym Fimbristylis aestivalis (Retz.) Vahl subsp. squarrosa (Vahl) T.Koyama
日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河北省、黒竜江省、河南省、江蘇省、山東省、台湾、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、ロシア、インド、ネパール、ブータン、フィリピン、インドネシア、イラン、アフリカ、オーストラア、ニュージーランド原産。中国名は畦畔飘拂草 qi pan piao fu cao。ヨーロッパ、南アメリカに帰化。標高100~2200mの水辺、濡れた場所に生える。1年草。稈は密に房状に茂り、高さは6~25cmで、細く、扁平、基部には葉がほとんど無い。葉は稈より短い。鞘は淡褐色で、直軟毛が密にある。葉身は幅1㎜未満、平らで、両面に毛がある。苞は3~7枚つき、葉状、花序より短いかわずかに長い。花序は単純、複合、または複複合のイグサ形花序。花序枝は少数~多数、長さ3㎝まで。 小穂は単生、卵形~狭卵形または長円形、長さ3~7㎜×幅1.2~3㎜、多数の花をつけ、広がった包が有(squarrose)または無。鱗片は螺旋状に覆瓦状につき、黄褐色、長円形~長円状卵形、長さ1.5~2㎜(芒を含む)、膜質、3脈があり、外面(背面)に緑色の竜骨があり、先は鈍形で芒があり、芒は長く反り返るか、または短く真っ直ぐ、またはわずかに反り返るのいずれかである 。雄しべは1本。葯は長円形、先端には短突起がある。花柱は長く、扁平、基部が膨らみ、長い糸状の垂れ下がった毛が小堅果の上部を覆い、頂端に縁毛がある。柱頭は2。小堅果は黄白色、短い柄があり、倒卵形、長さ0.5~1㎜、両凸形、ほぼ平滑、または非常に不明瞭な六角形の網目を持つ。花期は9月。
31-1 Fimbristylis squarrosa Vahl f. tenuissima T.Koyama エゾアゼテンツキ 蝦夷畔点突
KewscienceではFimbristylis squarrosaのsynonymとしている。32 Fimbristylis stauntonii Debeaux et Franch. ハタケテンツキ 畑点突
日本、朝鮮、中国(安徽省、甘粛省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、遼寧省、陝西省、山東省、四川省、浙江省)原産。中国名は烟台飘拂草 yan tai piao fu cao。海抜700メートル付近までの耕作地、湿った砂地、草の間に生える。
1年草。根茎は無い。稈は叢生し、高さ4~40㎝、直立またはまれに湾曲し、断面は扁平な3角形、条線があり、無毛で、基部の葉は少ない。葉は稈より短い。鞘は淡褐色、長さ0.5~7cm、向軸方向に膜状、口部は斜めに裂ける。葉舌は非常に短く、縁毛があり、先は切形。葉身は幅1~2.5㎜、先は漸尖し、平らで無毛で、先は鋭形。苞は2または3枚、葉状で、花序よりわずかに長いか短い。小苞は錐形または鱗片状で、基部は広がり、先に芒がある。花序は単純または複合のイグサ形花序(anthela)、長さ1~7㎝×幅1.5~7㎝。花序柄(ray)は少なく、長さ1~7㎝、細く、±広がる。小穂は単生し、広卵形~長円形、長さ3~7㎜×幅1.5~2.5㎜、多数の花がつき、基部は楔形、先は鋭形、鈍形、または円形。鱗片はさび色、長円状披針形、膜質、1脈があり、外面に緑色の竜骨を形成し、先には真っ直ぐな微突がある。雄しべは1本。葯は長さ約0.4㎜、先は尖鋭形。花柱は亜円筒形、無毛、基部がわずかに膨らむ~球形になり。 柱頭は2~3岐。小堅果は黄白色、長楕円形、長さ約1㎜、ほぼ円柱形、横長の長円形(格子状)の網目がある。花期と果期は7~10月。
32-1 Fimbristylis stauntonii var. stauntonii ハタケテンツキ 畑点突 狭義
本州(東京都、埼玉県、栃木県、群馬県)、九州、朝鮮、中国に分布。柱頭は、花後に果実に残らない。
32-2 Fimbristylis stauntonii Debeaux et Franch. var. tonensis (Makino) Ohwi ex T.Koyama トネテンツキ 利根点突
synonym Fimbristylis tonensis Makino in Bot. Mag. (Tokyo) 9: 260 (1895)
synonym Fimbristylis stauntonii Debeaux et Franch. subsp. tonensis (Makino) T.Koyama
日本(本州の関東地方~近畿地方)に分布。干上がったため池の岸などに生える。国の絶滅危惧Ⅱ類、愛知県の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。1年草。茎は細く、束生し、やや扁平で、高さ7~30㎝。葉は叢生し、線形、幅約2.5㎜。花序は複散形状で、花序枝は長さ2~3.5㎝。苞は2~3枚つき、葉状、花序より短い。小穂は単生し、長円状卵形、長さ3~5㎜×直径約2.5㎜、黄褐色~赤褐色。鱗片は卵状披針形、長さ1.5~2㎜、先は短い鋭形。果実は短い円柱形、長さ約1㎜、花柱は宿存し、花後に伸長して鱗片より長くなり、小穂は毛に包まれたように見える。花期は 8~10月。
33 Fimbristylis subinclinata T.Koyama チッポンテンツキ 知本点突
台湾原産。中国名は知本飘拂草 zhi ben piao fu cao。海面に近くの川沿いの乾燥した砂草原に生える。
34 Fimbristylis tetragona R.Br. シカクテンツキ 四角点突
中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省)、台湾、インド、スリランカ、ネパール、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア原産。中国名は四棱飘拂草 si leng piao fu cao。標高100~200メートル以下の湿地に生える。
35 Fimbristylis thomsonii Boeck. オニテンツキ 鬼点突
日本(沖縄)、中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、台湾、インド、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア原産。中国名は西南飘拂草 xi nan piao fu cao。標高100~3100mの芝生の斜面に生える。
多年草。 根茎は短い。 稈は房状で、高さ(11~)25~70cm、平らで鈍角の3角、条線があり、基部に多くの葉がつきます。 葉は稈よりわずかに短く、稈の長さの1/4~1/2まで。 鞘は茶色、背軸は膜状でさび色、先端は切形。 葉身は幅2~4.5 mm、平らで硬く、縁には細かい鋸歯があり、先端は鋭形です。苞は2~3個、葉状、花序よりはるかに短い。小苞は錐形、基部は広くなる。花序は複合または複複合のイグサ形花序。花序枝は2~4本、長さ0.7~3.5 cm、わずかに扁平。小穂は単生、長円形~楕円形、長さ5~10㎜×幅2~3㎜、花は7~10個以上つき、先は鋭形。鱗片は栗褐色、卵形、長さ2.2~3.5㎜、5~7脈があり、外面に鈍い竜骨を形成し、中脈は緑色で突出して微突になり、縁は膜質、先は鋭形。雄しべは3本。葯は狭長円形、長さ約2㎜、花糸の長さの約2倍。子房は長円形、ほぼ三面形、基部はわずかに狭くなる。花柱は3面があり、縁毛はなく、基部が長円状円錐形に膨らむ。柱頭は3岐、花柱よりわずかに長い。小堅果は黄白色~黄色、倒卵形、長さ約2㎜、鈍角の3面形、横長の長円状の網目と疣状突起がある。花期と果期は5~6月。
36 Fimbristylis tristachya R.Br. フィブリスティリス・トリスタチャ 広義
日本、韓国、中国、台湾、インド、バングラデシュ、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は三穗飘拂草 san sui piao fu cao。斜面、谷、川辺、野原、塩性海洋性湿地に生える。
多年草。 根茎は短い。 稈は密に叢生し、高さ20~90㎝×幅1~1.5㎜、扁平な3角形、平滑で条線があり、基部に葉はほとんどない。葉は稈より短い。葉身は幅1.5~2㎜、硬く、内巻き、縁は先に縁毛がある。苞は1個 、葉状、花序よりはるかに短く、直立し、縁毛がある。花序は単純なイグサ形花序で、小穂が3~6個ある。小穂は卵形~長円状卵形、長さ8~22㎜×幅4~6㎜、円柱形、多数の花がつく。鱗片は螺旋状に覆瓦状にき、褐色の短い錆色の線があり、卵形~広卵形、長さ5~6㎜×幅4~4.5㎜、ほぼ革質、多数の脈があり、外面の中脈はわずかに竜骨状で、先は鈍形で微突形。 雄しべは3本。葯は線形、長さ2~2.5㎜。花柱は長さ約3.5㎜、扁平、縁毛があり、基部がわずかに膨れる。柱頭は2岐。 小堅果は黄褐色、柄があり、倒卵形、長さ約2㎜、扁平な両凸形、わずかに光沢があり、六角形の網目がある。花期と果期は6~10月。
36-1 Fimbristylis tristachya R.Br. var. tristachya 狭義
中国、バングラデシュ、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は三穗飘拂草 san sui piao fu cao。
36-2 Fimbristylis tristachya R.Br. var. pacifica (Ohwi) T.Koyama イソテンツキ 磯点突
synonym Fimbristylis pacifica Ohwi J. Jap. Bot. 14: 576 (1938)
synonym Fimbristylis subbispicata Nees et Meyen var. pacifica (Ohwi) Ohwi
synonym Fimbristylis tristachya R.Br. subsp. pacifica (Ohwi) T.Koyama
日本(伊豆諸島、四国、九州、屋久島、種子島、トカラ列島)原産。別名はイトテンツキ 根茎は全くないか非常に短く、稈は高さ10~30㎝、数本、細く、鈍角で、扁平な3角傾、条線がある。葉は稈よりかなり短い~短く、狭くて平ら、幅0.5~0.7㎜、無毛、上縁がわずかにザラつく、鞘は短く鉄さび色、膜質、無毛、先は斜めの切形。イグサ形花序は小穂が1個または非常にまれに2個。苞は無またはあり苞が花序をを超えることもある。小穂は長円形または狭長円形、平滑、長さ7~15㎜×幅2.5~3㎜、密に花がつき、わら色。鱗片は卵形~楕円形、膜質、わら色で、先に錆び色の斑点があり、先は鈍形で微突があり、または多数の細い条線があり、上部の背側に肋があり、長さ3~4㎜、無毛。痩果は倒卵形、角が鋭く扁平、両凸形で先は帯白色、帯褐色の柄があり、下の突起は長さ1㎜、最外細胞は微細な6角形で縁はかろうじて盛り上がり、先端は網目状。花柱は長さ3~3.5㎜、扁平、花柱の基部は盛り上がり、上縁には縁毛がある。柱頭は2岐。雄しべは2本。葯は線形、長さはかろうじて1㎜、先は短い尖形。果期は8~9月。36-3 Fimbristylis tristachya R.Br. var. subbispicata (Nees) T.Koyama ヤマイ 山藺
synonym Fimbristylis subbispicata Nees [Flora of China]synonym Fimbristylis gynophora C.B.Clarke
synonym Fimbristylis japonica Siebold & Zucc. ex Steud
日本全土、朝鮮、千島列島、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河北省、河南省、湖南省、江蘇省、遼寧省、陝西省、山東省、山西省、西沙昆道、浙江省)、台湾、ベトナムに分布。双穗飘拂草 shuang sui piao fu cao。海抜1200m付近までの斜面、谷、湿地、川辺、水辺、海岸、塩性湿地に生える。海岸近くの平地から山地まで広く分布する。和名は山に生えるイグサの意味から。
1年草。 稈は灰緑色、叢生、高さ7~60㎝、細長く、扁平な3角形、平滑で条線があり、基部には少数の葉がある。葉は稈より短い。葉身は幅約1㎜、平らだがときに内巻きし、わずかに硬く、縁は先端に縁毛がある。苞は無いか、または1個だけ、線形、長さ0.7~10㎝、直立し、花序より長い。花序は1(または2)個の頂生の小穂に減少する。小穂は卵形、長円状卵形、または狭長円状卵形、長さ8~30㎜×幅4~8㎜、円柱形、多数の花がつく。果実が熟すと、下部の方から鱗片が立ち、果実が落ちる。鱗片は螺旋状に覆瓦状につき、褐色で短いさび色の線があり、卵形~広卵形~ほぼ楕円形、長さ5~7㎜、膜質、外面に多数の脈があり、竜骨状ではなく、頂部は鈍形で微突形。雄しべは3本。葯は線形、長さ2~2.5㎜。花柱は長く、扁平、縁毛があり、基部がわずかに膨らむ。柱頭は2岐。小堅果は褐色、長さ約0.5㎜の明らかな柄があり、球状倒卵形(倒広卵形)、長さ(1~)1.5~1.7㎜、平らな両凸形(レンズ形)、わずかに光沢があり、六角形の網目がある。花期は6~8月。果期は9~10月。2n=10。
37 Fimbristylis umbellaris (Lam.) Vahl ハナシテンツキ 葉無点突
synonym Fimbristylis globulosa (Retz.) Kunth
synonym Fimbristylis globulosa (Retz.) Kunth var. austrojaponica Ohwi
沖縄(石垣・西表・与那国島)、中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省、四川省、雲南省)、台湾、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、パプアニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、太平洋諸島原産。中国名は伞形飘拂草 san xing piao fu cao。標高100~800mの湿地、水田、湿った草原に生える。多年草。 根茎は短く水平で、茶色がかった鱗片で覆われています。 稈は密に房状で、高さ17~90㎝、太さ1~5㎜、鈍角の3角形、平滑または条線があり、無毛で、基部に2~3個の葉身のない鞘がある。栄養シュートの葉は通常、短い葉身があり、鞘は円筒形、長さ2~19㎝、口部は斜めの切形。葉舌は毛の輪にまで減じ、存在ない。葉身は線形、長さ7~25㎝×幅1~2㎜。苞は2または3個、狭披針形~披針形、最長の苞は長さ5~11㎜、縁はザラつく。花序は単純または複合のイグサ形花序、長さ1.5~10㎝×幅1.3~7㎝。一次花序枝は2~10本、長さ0.7~5㎝、不等長。小穂は花序当たり3~40個、単生し、卵形、広卵形、広楕円形、または球状楕円形、長さ3~8㎜×幅3~4㎜、円柱形、密に多数の花がつき、先は鈍形。鱗片は多数、螺旋状に覆瓦状につき、黄色がかったさび色または褐色、卵形~卵状楕円形、長さ1.8~2.7㎜×幅1~1.5㎜、膜質、3脈があるが外面にほとんど竜骨がなく、先は鈍形~微突形。雄しべは 2~3本。葯は長さ約 0.5㎜。花柱は3面または3裂し、無毛、基部が広がる。柱頭は(2または)3岐。小堅果は帯黄色、短い柄があるかまたは無柄、倒卵形~倒卵状球形、長さ0.8~1㎜×幅0.5~0.7㎜、3面があるかときにわずかに扁平、不明瞭な網目があり(cancellate)、横長の長円形の細胞をもちまたはまれにまばらな疣状突起がある。花期と果期は8~10月。2n=6。
38 Fimbristylis velata R.Br. メアゼテンツキ 雌畔点突
synonym Fimbristylis squarrosa Vahl var. esquarrosa Makinosynonym Fimbristylis squarrosa Vahl subsp. esquarrosa (Makino) T.Koyama
synonym Fimbristylis makinoana Ohwisynonym Fimbristylis aestivalis (Retz.) Vahl var. esquarrosa (Makino) T.Koyama
synonym Fimbristylis aestivalis (Retz.) Vahl subsp. squarrosa (Vahl) T.Koyama f. esquarrosa (Makino) T.Koyama
日本全土、朝鮮、中国、台湾、インドネシア、ラオス、フィリピン、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュジーランド原産。中国名は短尖飘拂草 duan jian piao fu cao。水田、湿地、草地に生える。テンツキよりかなり小型で、小穂が細長い。和名はアゼテンツキに似て鱗片の芒が外に曲がらず、小穂がとげとげしくないことによる。1年草、高さ10~25㎝。葉は幅約0.5㎜の糸状で、茎よりかなり短く、根元に集まる。茎の先に葉状の苞を3~5個出し、その間に花序をつける。花序は2回分岐し、枝の先端に小穂を1個ずつつける。小穂は長さ4~5㎜、幅1~1.5㎜の披針形。果実は長さ約0.7㎜の倒卵形。柱基は上部につぶれた卵形状で柱基全体に長毛があり、花柱にもまばらに毛がある。鱗片は長楕円形で、中肋の先端は短い芒になり、反曲しない。ただし、小穂の下部の芒は熟すと反曲することもある。花期は8~10月。
39 ハイブリッド
(1) Fimbristylis x inbanumensis Yashiro, nom. nud. インバテンツキ
(2) Fimbristylis x itaru-itoana T.Koyama ナガボトネテンツキ
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参考
1) Flora of ChinaFimbristylis
Fimbristylis
Fimbristylis
Fimbristylis
Fimbristylis
ノジテンツキ(カヤツリグサ科)の復権
小山鍛夫:日本に於けるテンツキ(カヤツリゲサ科)の諸型について
大井次三郎:本邦産てんつき属ノ分類
海岸風衝草地におけるタマテンツキの分布とそれを規制する要因