クロテンツキ 黒点突

mark

Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae  テンツキ属

中国名 拟二叶飘拂草 ni er ye piao fu cao
学 名 Fimbristylis diphylloides Makino

 synonym Fimbristylis brevicollis Kukenthal

クロテンツキの穂
クロテンツキの小穂2
クロテンツキの鞘状葉
クロテンツキ
クロテンツキ鱗片と果実
クロテンツキ果実
果 期 7~10月
高 さ (5~)10~45㎝
生活型 1年草又は多年草
生育場所 水田の畔、低地の河畔、湿地
分 布 在来種  本州(関東以西)、九州、沖縄、朝鮮、中国
撮 影 豊田市 07.8.27
和名の由来は小穂が暗褐色であることから。
 1年草又は多年草、無毛、株立し房、高さ(5~)10~45㎝。根はひげ根で褐色。古い枯れ葉は基部に繊維状に残り、ときに古い枯れた根茎も宿存する。根茎は非常に短く、直立し、しばしば不明瞭。稈は平滑、長さ12.5~30.0㎝×太さ0.7㎜、断面は五角形で、基部に葉身のない鞘がある。葉身の無い鞘は3個、最下の鞘は鱗片状、わずかに膜質で、わずかに後ろに反り返る。最上部の鞘は円筒形、口部が斜めの切形、上端の縁は狭い膜質、先は鋭形、結合側の縁は鋭いV字形、膜質。葉は数枚~多数つき、稈よりも低~高。葉身は直立し、線形、縁は平らまたは外巻、先は鈍形または鋭形、長さ9~40㎝×幅1.0~1.8㎜、一般に螺旋状に捻じれない。花序は頂生、単純またはほぼ複合のイグサ形花序、長さ1.0~4.5㎝×幅0.7~2.5㎝、花序枝は(0~)1~8本、熟すとほぼ直立~斜上し(assurgent)、長さは不均等。苞は数個、3~4個つき、剛毛状、長さ5~14㎜、直立または斜上する。花序ごとに小穂は(1~)2~15個つく。花序柄は熟すと花柄が直立~斜上する。小穂は単生、褐色、楕円形、先は鋭形、長さ4.5~6.0㎜×幅1.5~2.5㎜。花の鱗片(floral scales)は多数、密に螺旋状に配列し、長さ1.7~2.0㎜、楕円状卵形、先は微突形~円形、外面に3脈があり、低い竜骨を形成し、脈は帯緑色またはわら色、竜骨の両側は赤褐色、花の鱗片の縁は狭く帯白色、膜質。雄しべは1または2本(しばしば同じ小穂に見られる)、葯は長さ0.55~0.65㎜。柱頭は2裂、まれに3裂し、パピラがあり、長さ0.8㎜。 花柱は無毛、柱頭より長く、長さ0.8~1㎜、基部の幅はほとんど広くばらない。痩果は長さ0.7~0.9㎜×幅0.6~0.7㎜、広倒三角状倒卵形、最大幅は先近くにあり、先はほぼ切形またはわずかに丸く、突然くびれて小さな嘴となり、基部は次第に狭くなり、痩身の端は円盤状になり、不均等な両凸形、背側は腹側よりも膨らんでいて、側方の隆起は F. campylophyllaよりも鈍く、かろうじて疣状突起があり、翼は無く、うね間の広い表面には垂直に約10~12列の横長の長円形の表皮細胞が並び、疣状突起はほとんど無い。花期と果期は7~11月。(参考6)。1年草又は多年草、2n=20。
※クロテンツキFimbristylus diphylloides Makinoのシノニムとして扱われてきたノジテンツキF.campylophylla Tuyamaが独立種に戻された。ノジテンツキはクロテンツキから、雄ずいが通常1個(極稀に2個)であること、痩果が円頭であること、熟した花序柄がしばしば開出から垂下すること、花茎基部の鞘状葉の口部が平切形に近い緩やかな斜切形であること等で区別される。これによりクロテンツキの解説も訂正された。
 ヒデリコの小さい株と似ていて、見過ごしやすい。ヒデリコは小穂が球形に近い卵円形。
 テンツキは全体に大きく、微毛が多い。小穂が細長く、長卵形、光沢がある。花柱が長く、鱗片から少し突き出し、白毛がある。