ハリイ 針藺

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Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae ハリイ属

中国名 透明鳞荸荠 tou ming lin bi qi
稻田荸荠 dao tian bi qi  (var. japonica)
学 名 Eleocharis pellucida J. Presl et C. Presl
Eleocharis pellucida C.Presl var. japonica (Miq.) Ts.Tang et F.T.Wang
Eleocharis japonica Miq. [Illegitimate]
Eleocharis congesta D.Don sunsp. japonica (Miq.) T.Kyama
ハリイ不定芽
ハリイ小穂
ハリイ果実
ハリイ果実
ハリイ鱗片
ハリイ
ハリイ基部
ハリイ小穂2
ハリイ刺針状花被片
果 期 7~10月
高 さ 5~20㎝
生活型 短命な多年草、1年草
生育場所 水田、湿地
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、タイ、(ロシア、インド、マレーシア、ミャンマー、インドネシア、フィリピン)
撮 影 渥美半島 07.9.1
和名は茎が針のように細いことから。学名は多説あり、難しい。
 叢生して直立又は斜上し、茎の基部の鞘状葉は薄い赤紫色。花茎の先に1個だけの小穂をつけ、時に小穂の基部に不定芽をつける。小穂は長さ4~6(7)㎜、幅1.5~2㎜の狭卵形で先が尖る。鱗片は長さ1~1.5㎜、鈍頭で、紫褐色を帯びることがある。中肋は緑色。痩果は長さ0.8~1㎜、幅0.5~1㎜の卵形~倒卵形で、明瞭に隆起する3稜がある。刺針状花被片は6個つき、長さが不揃いで、長くても痩果よりやや長い程度。刺針状花被片の色は白緑色で、茶色にならず、逆刺は細くまばらにつく。柱基は横から見ると三角形の高さの方が幅より少し高い。雄しべ1、2個。柱頭は3岐。
 Eleocharis pellucida を変種に分けると次のとおりである。現在はvar. japonica を区別しない説が主流である。
 小穂は長さ(3)5~8㎜ 狭卵形~楕円状卵形~広卵形
   var. pellucida 痩果の長さが約1.2㎜
     刺針状花被片が痩果とほぼ同長 逆刺が密
   var. japonica  痩果の長さが0.8~0.9㎜
    刺針状花被片が痩果より短い 逆刺が疎
 よく似たオオハリイは全体にやや大きく、基部の鞘状葉は濃い赤紫色。刺針状花被片がやや淡褐色を帯び、痩果の1.5倍長あり、全て柱基の高さを越える。痩果も長さ約1㎜と大きい。先端に不定芽をつけることが多い。不定芽をつけたハリイはオオハリイとよく似てくると思われ、オオハリイを同種としたり、ハリイをオオハリイの亜種と考える説もある。
 マツバイはかなり小さく、小穂の小花の数も少ない。刺針状花被片の長さが痩果の長さの1.5~2倍。痩果は縦縞がやや隆起する格子状紋が表面にある。

ハリイ属

  family Cyperaceae - genus Eleocharis

 多年草又は1年草。根茎は短いか又は無く、匍匐枝は普通無い。稈は叢生又は1本。葉は葉身がなく、鞘は微突頭又はまれに、先に薄膜質の付属体をもつ。花序は縮小~1個の頂生の小穂になり、直立、まれに基部にむかごがあり(小植物をつける)、少数~多数の両性花をもつ。苞穎は放射状に覆瓦状又はまれに2列につき、長円形~長円状卵形~披針形~類円形、硬く又は膜質、無毛、普通、不明瞭だが側脈のある中脈があり、縁は普通、透明。基部の1~2個の苞穎は普通、空。花被の剛毛(指針状花被片)は (3~)6(~12)本、まれに欠き、後ろ向きの 小刺がある。雄しべは1~3本。花柱は細い。柱頭は2又は3個。小堅果は倒卵形、広倒卵形又は球状倒卵形、3面があり~両凸面形~平凸面形、平滑~網目状~海綿状~まれに穴があり、宿存する花柱の基部(柱基 style base)は広がり、三角形~円錐形~様々な形になり、ときにスポンジ状に厚くなる。
 世界に約250種があり、全世界に分布する。

ハリイ属の主な種

1 Eleocharis acicularis (L.) Roem. et Schult. チシママツバイ 千島松葉蔺
  synonym Eleocharis acicularis var. acicularis
 台湾、ロシア、カザフスタン、ベトナム、インドネシア、フィリピン、太平洋諸島、アジア西部、ヨーロッパ、アフリカ(モロッコ)、北アメリカ、南アメリカ原産。英名はdwarf hair-grass , needle spike-rush , least spikerush。日本の東北地方、徳島県などで見つかっている。
 多年草、根茎は幅0.2~0.5㎜、節間は長さ5~15㎜、鱗片は早落、まれに明瞭、半透明、長さ約2㎜。稈はときに弓なりになり、平滑又は3~12うねがあり、円柱形~ときにはっきり扁平になり、長さ 1~60㎝×幅0.2~0.5(~0.7)㎜、柔弱~堅い。上部の葉の鞘は宿存又は早落、下部の鞘はわら色~赤色、上部の鞘は無色~わら色~帯白色、密に被覆~顕著に膨らみ、しばしば内側が裂け、先は円形(~鋭形)。小穂は卵形~披針形~類円筒形、長さ2~8㎜×幅1~2㎜、先は鋭形。花の鱗片は4~25個、小軸の㎜につき4~6個、明るい赤褐色~紫褐色~わら色、中脈はしばしば緑色、卵形、長さ1.5~2.5(~3.5)㎜×幅1~1.5㎜、中肋は明瞭~不明瞭、先は鈍形~鋭形。花被の剛毛はほとんど無く、まれに2~4本、帯白色~帯淡褐色 、細く、不明瞭な後ろ向きの開出した小刺があり、長さは痩果より短~同長。雄しべは3本。葯は黄色~褐色、長さ0.7~1.5㎜。痩果(小堅果)は角(かど)+縦のうね約8~12本をもち、不明瞭~明瞭、狭~広倒卵形~倒ナシ形、長さは幅の2倍~かなり短く、長さ0.7~1.1㎜×幅0.35~0.6㎜、隔壁 trabeculae(=short horizontal ridges)は30~60個、明瞭又は混雑して不明瞭、trabeculaeの間はときに半透明。いぼは帯灰色~帯褐色、ピラミッド形~かなり窪み、長さ (0.05~)0.1~0.2㎜×幅0.15~0.25㎜。 2n = 20。(Flora of North America)
※マツバイ( E. yokoscensis)とチシママツバイ( E. acicularis)は小堅果と花被の剛毛が異なり、別種に分類される。マツバイの小堅果は表面に少数の横のtrabeculae (cross-walls) をもち、柱基は±長くて狭く、花被の剛毛は小堅果の長さの約2倍である。これに対し、チシママツバイの小堅果は表面に多数の横の trabeculaeをもち、柱基は±短くて幅が広く、花被の剛毛は小堅果の長さより短いか又は同長、まれに小堅果をわずかに超える(Flora of China)。

2 Eleocharis acutangula (Roxb.) Schult.  ミスミイ
  synonym Eleocharis fistulosa Link ex Roem. et Schult.
 日本(本州の栃木県・千葉県以西、四国、九州、沖縄)、中国、香港、台湾、インド、ネパール、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、アフリカ、南アメリカ、メキシコ、マダガスカル原産。中国名は锐棱荸荠 rui leng bi qi 。浸水フィールド、湿った場所、溜池、水田、休耕田などに生える。
 多年草、匍匐枝は細い。稈は直立、淡緑色、叢生し、高さ30~75㎝×太さ (1~)3~4㎜、鋭い3稜があり、平滑、無毛、横の隔壁は無い。葉鞘は2~3個、最も基部の鞘は褐色、苞穎状。茎葉の鞘は筒形、長さ5~15㎝、基部は暗赤色~暗紫色、口部は斜めの切形、先は鋭形。小穂は淡緑色、円筒形、長さ1.5~4㎝×幅3~5㎜、花が多数つき、先は尖鋭形。最も基部の苞穎は空、広卵形、小穂の基部全体を抱く。稔性の苞穎は緩く覆瓦状につき、広卵形、約長さ4.5㎜×幅3.5㎜、紫赤色の細点があり、中央が灰黄色、類革質、目立つ中脈を含めて数本の脈をもち、縁は膜質、先は円形。花被の剛毛は6本、最も長いものは小堅果の長さの約1.5倍、後ろ向きの小刺がある。柱頭は3個。小堅果は淡黄色、広倒卵形~倒卵形、約長さ2㎜×幅1.5㎜、両凸面形、浅い穴があり、横に配置した長円形~線形の表皮細胞の13~15本の縦の列をもち、先はわずかにくびれ、目立つ厚い環をもつ。宿存する柱基は類デルタ形、スポンジ状でなく、基部は幅が小堅果の幅の約3/5。.花期と果期は6~9月。

3 Eleocharis atropurpurea (Retz.) J. et C.Presl  クロミノハリイ 黒実の針蔺
 全世界に広く分布。中国名は紫果蔺 zi guo lin 。水田、水田の縁、湿った場所に生える。
 1年草。根茎と匍匐枝は無い。稈は帯緑色、叢生し、高さ2~15㎝、毛のように細く、直立し、円柱形、不明瞭な縦のうねがある。葉鞘は1~2個、基部は紫赤色、先は帯緑色、筒状、長さ0.5~1.5㎝、口部は斜めの切形、先は鈍形~鋭形。小穂は卵形、球形、又は長円状卵形、長さ2~5.5㎜×幅1.5~2.5㎜、花が多数あり、先は鈍形。基部の2苞穎は空。もっとも基部の苞穎は小穂の基部の1/2以上を抱く。稔性の苞穎は中間が緑色で両側が血赤色、緩く覆瓦状につき、長円形~楕円形、約長さ1㎜×幅0.5㎜、膜質、中脈は不明瞭、縁は狭く透明、先は鈍形~類円形。花被の剛毛は4(~6)本、無色~白色、小堅果の長さよりわずかに短~長、疎に後ろ向きの小刺がある。柱頭は2個。小堅果は初め赤紫色, その後、暗紫色になり、倒卵形~広倒卵形、長さ0.3~0.6㎜×幅約 0.4㎜、両凸面形、平滑で光沢がある。宿存する柱基は皿形(patelliform) 、中間にいぼがあり、基部は後屈せず、小堅果の長さの約1/6、幅は小堅果の約1/4。花期と果期は6~10月。 2n = 20。
3-1 Eleocharis atropurpurea (Retz.) J. et C.Presl var. hashimotoi Ohwi  クロミノハリイ 狭義

4 Eleocharis attenuata (Franch. et Sav.) Palla  セイタカハリイ 背高針藺
  synonym Eleocharis attenuata (Franch. et Sav.) Palla var. major (H.Hara) Masam.
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、韓国、中国、ロシア、ベトナム、パプアニューギニア原産。中国名は渐尖穗荸荠 jian jian sui bi qi 。愛知県の絶滅危惧Ⅱ類。谷戸田の畔、河川堤防の湿った場所などに生える。
 1 年草又は多年草。明らかな匍匐枝はない。茎は束生して株をつくり、細い円柱形、高さ30~50㎝×直径約0.7㎜。葉は茎の基部について葉鞘のみに退化し、赤褐色。花期は7~10月。小穂は茎の先端に1個つき、幅広、長卵形~卵形、長さ7~10㎜×直径3~4㎜、淡褐色。鱗片は広卵形、長さ約2.5㎜、鈍頭、全体に薄質で淡色である。果実は倒卵形、3稜があり、淡茶色に熟す。刺針状花被片は6 個、果実よりわずかに長く、逆向きの小刺がある。(レッドデータブック愛知)
4-1 Eleocharis attenuata (Franch. et Sav.) Palla f. laeviseta (Nakai) H.Hara  チョウセンハリイ
  synonym Eleocharis attenuata (Franch. et Sav.) Palla var. laeviseta (Nakai) H.Hara
4-2 Eleocharis attenuata var. erhizomatosa Tang & F. T. Wang,
 中国に分布。中国名は无根状茎荸荠 wu gen zhuang jing bi qi

5 Eleocharis congesta D.Don  オオハリイ  大針藺  広義
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、インド、ネパール、ヒマラヤ、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、ジャワ島、ボルネオ島、スマトラ島、スラウェシ島、カロリン諸島原産(Kew science)。中国名は密花荸荠 mi hua bi qi 。英名はspikerush。湿地、水田などに生える。
 多年草。高さ20~30㎝。匐枝は出さず叢生し、茎は直立~斜上し、やや外側に軽く反り、基部が濃い赤紫色を帯びて、鞘状葉はハリイより長い。小穂は長さ6~8㎜、幅2.5~2.8㎜程度が多い。小穂の基部に不正芽をよく付ける。鱗片は赤紫色、長さ2~2.5㎜で、中肋は緑色。痩果は長さ1~1.2㎜、稜が少し隆起する3稜形。刺針状花被片は6個つき、痩果より明らかに長く、痩果の1.5~2倍長、淡褐色を帯び、逆刺がやや密につく。柱基は横から見ると三角形の高さの方が幅より少し高い。雄しべは2~3個。花期は6~9月。
 ハリイは全体に小さく、基部も薄い赤紫色である。刺針状花被片が短く、長くても痩果をやや超える程度。
5-1 Eleocharis congesta D.Don var. congesta  オオハリイ
  synonym Eleocharis pellucida J. et C.Presl 
5-1-1 Eleocharis congesta D.Don var. congesta f. dolichochaeta T.Koyama  オオハリイ 狭義

5-2 Eleocharis congesta D.Don var. subvivipara (Boeck.) T.Koyama  ヤリハリイ 槍針
  synonym Eleocharis congesta D.Don var. nipponica (Makino) Ohwi 藺
  synonym Eleocharis congesta D.Don subsp. subvivipara (Boeck.) T.Koyama
 エゾハリイに似ているが、小穂が線状披針形~線状円筒形、長さ0.6~1㎝×幅1.5~2mm。クローン株をよく作る。

5-3 Eleocharis congesta D.Don var. thermalis (Hulten) T.Koyama  エゾハリイ 蝦夷針藺
  synonym Eleocharis japonica Miq. var. thermalis (Hulten) H.Hara 
  synonym Eleocharis congesta D.Don var. thermalis (Hulten) T.Koyama f. soranumensis Koji Ito
 日本(北海道、本州、四国、九州)に分布。溜池畔、湿地に生える。
 1年草又は多年草。抽水~沈水状態でも生育する。匍匐枝はない。ハリイより小型で不定芽(クローン株)も生じにくい。 稈は叢生し、細く、直立~斜上し、高さ5~10㎝、基部は帯淡褐色~帯淡赤褐色。小穂は披針形~狭卵形、長さ3~5㎜、花はややまばらにつく。鱗片は卵形、長さ1.8~2㎜、鈍頭、濃赤褐色~紫褐色。小堅果は倒卵形、長さ1~1.2㎜、横断面は鈍3稜形、濃いオリーブ色。 刺針状花被片は6本、小堅果と同長か又はやや長く、後ろ向きの小刺がある(下向きにザラつく)。 柱基は扁三角錐形、幅は小堅果の幅の2/3~3/4、長さは幅より少し短い。柱頭は3こ。雄しべは1~2個。2n=20。 花期は9~10月。

6 Eleocharis dulcis (Burm.f.) Trin. ex Hensch.  イヌクログワイ 犬黒慈姑
 日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、スリランカ、パキスタン、ミャンマー、タイ、べトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア北部、太平洋諸島、熱帯アフリカ、マダガスカル、インド洋諸島原産。中国名は荸荠 bi qi 。英名は Chinese water-chestnut , ground-chestnut , waternut。塊茎が食べられる (water chestnut) ため栽培される。野原の縁などに生える。
 多年草。匍匐枝は細く、しばしば先が塊茎で終わる。稈は直立、灰緑色、叢生し、高さ15~60㎝×太さ1.5~3㎜、円筒形、平滑、無毛、表面は横の隔壁をもち、節は乾くと明瞭。葉鞘は2~3個、灰黄色~紫赤色~褐色、長さ2~20㎝、口部は斜めの切形、先は鋭形。小穂は淡緑色、円筒形、長さ1.5~4 ㎝×幅6~7㎜、花が多数つく。基部の2苞穎は空、小穂の基部全体を抱く。稔性の苞穎は灰緑色、緩く覆瓦状につき、広長円形~卵状長円形、長さ 3~5㎜×幅2.5~3.5(~4) ㎜、類革質、淡褐色の細点と細かい条線があり、縁は淡黄色で膜質、先は鈍形。花被剛毛は7本、小堅果の長さの約1.5倍、後ろ向きの小刺がある。柱頭は3個。小堅果は熟すと褐色、広倒卵形、約長さ2.5㎜×幅1.8㎜、両凸面形、本質的に平滑だが、かすかに細かい多孔質で六角形~長円形の表皮細胞をもち、先はくびれないが、厚い環をもつ。宿存する柱基は三角状漸尖形、扁平、スポンジ状でなく、基部は小堅果の幅の約1/2。花期と果期は5~10月。 2n = 38, ca. 108. 。
6-1 Eleocharis dulcis (Burm.f.) Trin. ex Hensch. var. tuberosa (Roem. et Schult.) T.Koyama  シナクログワイ

7 Eleocharis engelmannii Steud.  エンゲルマンハリイ
 北アメリカ原産。英名はEngelmann’s spike-rush 。
7-1 Eleocharis engelmannii Steud. f. detonsa (A.Gray) Svenson  シバヤマハリイ
  synonym Eleocharis engelmannii Steud. var. detonsa A.Gray

8 Eleocharis equisetiformis (Meinsh.) B.Fedtsch.  スジヌマハリイ
  synonym Eleocharis valleculosa Ohwi 
  synonym Eleocharis valleculosa Ohwi var. valleculosa  日本産
  synonym Eleocharis valleculosa Ohwi f. setosa (Ohwi) Kitag.
  synonym Eleocharis valleculosa Ohwi var. setosa Ohwi  中国産
  日本(本州の神奈川県以北、九州)、朝鮮、中国原産。湖沼やため池の縁などの浅い水中、湿地などに生える。
 Flora of ChinaではEleocharis valleculosa Ohwiとし、中国産をvar. setosa 、日本・韓国産をvar. valleculosaとし、日本・韓国産は花被の剛毛が無いとしている。しかし、日本産でも花被の剛毛が4~5本あるものがあり、区別できない。
 多年草、根茎と匍匐枝をもつ。稈は1本又は叢生し、高さ6~50㎝×太さ1~3[日本30~60㎝×幅1.5~2]㎜、円柱形、数本の鋭いうねをもつ。葉鞘は1~2個、基部は紫赤色、筒形、長さ3~10㎝、口部は切形。小穂は長円状卵形~狭長円状卵形、まれに楕円形~長円形、長さ0.7~2[1~2.5]㎝×幅2.5~3.5㎜、花が多数つく。基部の2個の苞穎は空、小穂の基部の1/2~1/3で茎を抱き、稔性の苞穎は帯緑色~淡色、両側に狭い淡血赤色の帯をもち、卵形~長円状卵形、約長さ3㎜×幅1.7㎜、縁は広く透明、先は鈍形。花被の剛毛は4本(日本、韓国産は無)、小堅果よりはっきり長く、わずかに曲がり、広がらず、密に後ろ向きの小刺がある。柱頭は2個。小堅果は帯黄色、球状倒卵形、約長さ1㎜×幅1㎜、両凸面形、平滑、宿存する花柱の基部は広卵形、小堅果の長さの約1/3、幅は約1/2、スポンジ状。花期と果期は6~8月[7~9]。

9 Eleocharis erythropoda Steud.  オウギシマヒメハリイ
 北アメリカ原産。英名はbald spikerush

10 Eleocharis geniculata (L.) Roem. et Schult.  タマハリイ 
  synonym Eleocharis capitata R.Br., excl. basion.
  synonym Eleocharis caribaea (Rottb.) S.F.Blake
 日本(沖縄)、中国、台湾、インド、スリランカ、アフガニスタン、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、インドネシア、マレーシア、南西アジア、ヨーロッパ南部、アフリカ、オーストラリア、中央アメリカ、北アメリカ、南アメリカ、マダガスカル、太平洋諸島に分布。中国名は黑籽荸荠 hei zi bi qi 。英名はspike-rush 。海抜近くの小道の縁の浅い水辺、砂地の海岸などに生える。
 1年草。根茎と匍匐枝は無い。稈は叢生~密に双生、高さ3~45㎝×太さ約0.5㎜、柔らかく、少数の縦のうねと溝がある。葉鞘は2個、基部は帯赤色で先はわら色長さ1~1.5㎝、口部は斜めの切形、先は尖鋭形。小穂は球形~卵形、長さ3~5㎜×幅3~3.5㎜、密に多数の花がつく。基部の3~4個の苞穎は空。基部の2個の苞穎は対生し、小穂の基部約1/2を抱く。稔性の苞穎は淡さび色、±淡色になり、広楕円形、長さ1.6~2㎜×幅1~1.2㎜、中脈は不明瞭、縁は狭く透明、先は円形。花被の剛毛は6~8本、さび色、小堅果よりわずかに短く、疎に短い後ろ向きの小刺がある。花柱は2個。小堅果は暗紫色、広倒卵形~球状卵形、長さ0.7~1.1㎜×幅約0.6㎜、両凸面形、平滑で光沢があり。宿存する柱基は淡色、窪んだ円錐形、長さは小堅果の長さの1/5~1/4、幅は1/7~1/4、両側が基部でわずかに 後屈する。花期と果期は1~4月。2n = 30.。

11 Eleocharis kamtschatica (C.A.Mey.) Kom. ヒメハリイ 姫針藺   [広義]
 日本(北海道、本州の東海地方以北)、朝鮮、中国、ロシア、北アメリカ原産。中国名は大基荸荠 da ji bi qi。海岸近くの湿地に生える。
 多年草。根茎は長い。稈は高さ20~50㎝×太さ1.5~3㎜、円柱形、目立つ鈍いうねと縦の溝があり、乾くと、表面に横の隔壁がある。葉鞘は1~2個、帯褐色、筒形、長さ6~7㎝又はそれ以上。口部はわずかに斜めの切形、先は三角形の微突形。小穂は卵形~狭卵形、長さ8~20㎜×幅3~5㎜、多数の花があり、先は鈍形。 最も基部の苞穎は空、小穂の基部の1/2以上を抱く。稔性の苞は淡血赤色~わら色で 淡血赤色の線を±もち、きつく覆瓦状につき、長円形~卵状長円形、約長さ4㎜×幅1㎜、中脈は不明瞭、縁は広く~狭く透明、先は鈍形。花被の剛毛(刺針状花被片)は4~5本だが、ときに痕跡又は欠き(クロハリイ)、小堅果の長さより短~同長、密に後ろ向きの小刺がある。柱頭は2個。小堅果は初め黄色、その後、黄褐色(tawny)になり、倒卵形~広倒卵形~類球形、長さ1~1.5㎜×幅約1㎜、両凸面形、平滑で光沢がある。宿存する柱基は卵形~僧帽形(mitriform)、大きく細胞質のスポンジ状、長さは小堅果の2/3又はそれ以上、幅は小堅果の幅とほぼ等しい。花期と果期は7~10月。2n = 38-40, 44, 56.。
 Flora of Chinaでは分けていないが、品種としてヒメハリイとクロハリイに分けている。
 クロハリイは花被の剛毛(刺針状花被片)が痕跡又は欠く。
11-1 Eleocharis kamtschatica (C.A.Mey.) Kom. f. kamtschatica  ヒメハリイ 姫針藺
 花被の剛毛(刺針状花被片)は4~5本
11-2 Eleocharis kamtschatica (C.A.Mey.) Kom. f. reducta (Ohwi) Ohwi  クロハリイ 黒針藺
 花被の剛毛(刺針状花被片)が痕跡又は欠く。

12 Eleocharis kuroguwai Ohwi  クログワイ 黒慈姑
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、朝鮮原産。
 多年草、高さ40~70㎝。長い根茎をのばし、その先に直径6~10㎜の黒い塊根をつけ、クワイのように食べられ、これが和名の由来となっている。茎は株状になって直立し、内部は中空、多数の横の隔膜があり、断面は円形。小穂は長さ約3㎝の円柱形、茎頂に1個ずつつく。苞はない。花は両性花、雌性先熟。発芽様式などの違いにより、水田型とため池型2つの生態形が知られている。花期は7~10月。
13 Eleocharis mamillata H.Lindb.  オオヌマハリイ 大沼針藺  [広義]
 北アメリカ、ヨーロッパ原産。英名はMamillate Spike-rush , soft-stem spikerush
13-1 Eleocharis mamillata H.Lindb. var. cyclocarpa Kitag.  オオヌマハリイ
  synonym Eleocharis mamillata H.Lindb. subsp. ussuriensis (Zinserl.) T.V.Egorova
  synonym Eleocharis ussuriensis Zinserl. 
  synonym Eleocharis mamillata H.Lindb. f. ussuriensis (Zinserl.) Y.L.Chang

14 Eleocharis margaritacea (Hulten) Miyabe et Kudo   シロミノハリイ 白実針藺
  synonym Scirpus margaritaceus Hulten
 日本(本州の岩手県以北、北海道)、ロシア原産。湿原に生える。
多年草、高さ25~50㎝。茎は針のように細く、多数、叢生、直立する。果実が白色。

15 Eleocharis maximowiczii Zinserl. 
  synonym Eleocharis pellucida J. et C.Presl var. thermalis (Hulten) H.Hara
  synonym Eleocharis pellucida J. et C.Presl var. maximowiczii (Zinserl.) Ohwi 
  synonym Eleocharis congesta D.Don var. maximowiczii (Zinserl.) T.B.Lee 
  synonym Eleocharis thermalis (Hulten) T.V.Egorova
 中国、ロシア原産。中国名は细秆荸荠 xi gan bi qi 。エゾハリイ(Eleocharis congesta var. thermalis )をEleocharis maximowiczii に含める見解もある(YList)が、KewscienceはFlora of Chinaでは含めていない。沼地、湿った草地、湿った小道の縁、水田に生える。
 多年草。稈は斜上又は直立、淡緑色、密に叢生し、高さ8~25㎝、細く、4角(かど)があり、溝がある。葉鞘は赤紫色。小穂は卵形~卵状円筒形、長さ2.5~6㎜、少数の花をもち、ときに、最も下の苞穎に2次の不稔の小穂をつけ、先は鋭形~まれに鈍形。最下の苞穎は空、小穂の基部の1/2以上を抱く。稔性の苞穎は広い中央の帯びが緑色で両側が暗褐色、緩く覆瓦状につき、卵形~楕円形、長さ約2㎜、縁は広く透明、先は鈍形。花被剛毛は6本、小堅果よりわずかに短く、密に後ろ向きの小刺がある。柱頭は3個。小堅果はオリーブ色、倒卵形、長さ0.9~1㎜×幅約0.5㎜、鈍い3面があり、平滑。宿存する柱基はデルタ形~短い円錐形、長さ1~2㎜×幅約3㎜。花期と果期は6~7月。

16 Eleocharis ochrostachys Steud.  トクサイ 砥草藺
 日本(沖縄)、中国、台湾、インド、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、太平洋諸島原産。中国名は假马蹄 jia ma ti 。水田、池の縁、湿った場所に生える。
 多年草。匍匐枝は細い。稈はわら色、叢生し、高さ35~75㎝×太さ2~3㎜、太く、円柱形だが、ときに先部に不明瞭な3角(かど))があり、横の隔壁は無く、乾くと表面に縦の溝がある。葉鞘は2~3個、紫赤色、筒形、長さ6~18㎝、口部は斜めの切形、先は鋭形。小穂は淡色、円筒形、長さ2~4㎝×幅約4㎜、少数の花をもち、先は円形~鈍形。最下の苞穎は空、広卵形、小穂の基部全体を抱く。稔性の苞穎はわら色~淡褐色、緩く覆瓦状につき、広長円形、約長さ5㎜×幅3㎜、類革質、紫色の細点があり、多数の脈があり、中脈は不明瞭、縁は透明、先は円形~鈍形。花被剛毛は6~7本、小堅果の長さの約2倍、後ろ向きの小刺がある。柱頭は(2~)3個。小堅果は淡黄色、熟すと褐色に変わり、広倒卵形、約長さ2㎜×幅1.5㎜、扁平な両凸面形、縦の条線があり、横向きの線状長円形の表皮細胞の25~32列をもち、先はくびれず、厚い環をもつ。宿存する柱基は狭くて長いピラミッド形、基部は小堅果の幅の約1/2。花期と果期は9~10月。

17 Eleocharis ovata (Roth) Roem. et Schult.  マルホハリイ 丸穂針藺
  synonym Eleocharis soloniensis (Dubois) H.Hara 
 日本(北海道、本州の中部地方以北)、中国、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は卵穗荸荠 luan sui bi qi 。英名はovoid spikerush。湿地に生える。
 1年草。根茎と匍匐枝は無い。稈は密に叢生し、高さ4~50㎝、細く、円柱形、平滑、少数の縦のうねがある。葉鞘は1~3個、基部はわずかに赤色、先は帯緑色~わら色、筒形、長さ0.5~3㎝、口部は斜めの切形、先は鋭形~微突形。小穂は卵形~広卵形、長さ4~8㎜×幅3~4㎜、多数の花をもち、先は鋭形。基部の2苞穎は空。最も基部の苞穎は小穂の基部の3/4近く~全体を抱く。稔性の苞穎は中央が帯緑色で両側が血赤色、緩く覆瓦状につき、卵形~長円状卵形~広卵形、約長さ1.5㎜×幅0.5㎜、膜質、縁は狭く透明、先は鋭形~鈍形。花被剛毛は6本、小堅果の長さの約1.5倍(柱基を含み)、後ろ向きの小刺がある。柱頭は2個。小堅果は最初白色、、熟すと帯褐色に変わり、倒卵形、約長さ0.8㎜×幅0.5㎜、背面の凸面が目立ち、腹面はわずかに凸面、平滑。宿存する柱基はデルタ形、長さは小堅果の約1/3、幅は約1/2、背腹側が扁平、スポンジ状でなく、表面に乳頭( mammillate)は無く、先は尖鋭形。花期と果期は8~12月。

18 Eleocharis palustris (L.) Roem. et Schult.  クロヌマハリイ 黒沼針藺   [広義]
 日本(北海道、東北地方)、中国、モンゴル、ネパール、ロシア、カザフスタン、アフガニスタン、南西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、大西洋諸島、北アメリカ原産。中国名は沼泽荸荠 zhao ze bi qi 。英名はcommon spike-rush , creeping spike-rush , marsh spike-rush。渓谷に浅い水際、湿った草地、運河の水中に生える。
 多年草。根茎は這う。稈は少数、叢生し、高さ10~100㎝×太さ2~3㎜、少数のうねと縦の溝があり、いぼがある。葉鞘は1~2個、基部は血赤紫色、筒形、長さ3~7㎝、口部はわずかに斜めの切形。小穂は長円形~狭長円形~楕円形、長さ0.6~2.5㎝×幅3~5㎜、多数の花があり、先は鈍円形。基部の2苞穎は空。最も基部の苞穎は小穂の基部の1/2又はそれ以上を抱く。稔性の苞穎は中間に狭い緑色の帯と両側に暗血赤色をもち、卵形~卵状披針形、長さ3~4㎜×幅1~1.5㎜、膜質、縁は広く透明、先は鈍形。花被の剛毛(花被片)は4~6本、小堅果の長さより短~わずかに長、わずかに曲がり、外側に広がり、密に後ろ向きの小刺がある。柱頭は2個。小堅果は初め帯黄色、その後、帯褐色になり、倒卵形~広倒卵形~球状卵形、長さ1.2~1.4㎜×幅0.8~1㎜、不等の両凸面形、平滑又はまれにわずかに著しい網目がある。宿存する柱基(style base)は卵状長円形~長円状円錐形、長さが幅よりかなり長く、小堅果の長さの1/2~3/5倍、幅は約1/2、スポンジ状、先は鈍形~円形。花期と果期は6~7月。2n = 15, 16。
18-1 Eleocharis palustris (L.) Roem. et Schult. var. major Sonder  クロヌマハリイ
  synonym Eleocharis palustris (L. Roem. et Schult. subsp. intersita (Zinserl.) T.Koyama
  synonym Eleocharis intersita Zinserl.
  synonym Eleocharis palustris (L.) Roem. et Schult. var. kurilensis A.E.Kozhevn.

19 Eleocharis parvinux Ohwi  コツブヌマハリイ 小粒沼針藺
  synonym Eleocharis palustris (L.) Roem. et Schult. var. parvinux (Ohwi) T.Koyama 
  synonym Eleocharis palustris (L.) Roem. et Schult. subsp. parvinux (Ohwi) T.Koyama 
 日本固有種(関東地方)。低地の池沼畔、湿った草地に生える。
 多年草。匍匐枝がある。稈は円柱形。稈頂に小穂を1 個つける。小穂は長楕円形~広披針形。痩果は倒卵形、両凸面形。柱基は三角形、果実の幅の1/以下。刺針状花被片は4本、逆向きのザラつきがあり、長さは痩果の2~3倍。 雄しべは3個。柱頭は2個。花期は5~7月頃。

20 Eleocharis parvula (Roem. et Schult.) Link ex Bluff, Nees et Schauer  チャボイ
 日本(本州、四国、九州)、中国、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、ベトナム、インドネシア、マレーシア、ヨーロッパ、北アフリカ、南北アメリカ、中央アメリカ原産。中国名は矮秆荸荠 ai gan bi qi 。英名はdwarf hair-grass , dwarf spike-rush , little-head spike-rush , small spike-rush。
 塩性湿地に群生する。
 1年草、高さ3~7㎝。茎は円筒形、隔壁がなく、束生する。匐枝の先に長さ2~3㎜の披針形~鉤形の塊茎を秋につける。葉は茎と同長かやや短く、円筒形で先が次第に細くなり、先端が尖る。小穂は茎頂に1個つける。小穂は長さ2~3㎜の惰円形~長卵形、茎より幅が明らかに太く、小花3個をもつ。鱗片は長さ約1.8㎜、膜質、中肋は緑色、先端に達しない。柱基は特に膨らまず、痩果との間は漸次移行し、膨らまない。刺針状花被片は4個、痩果とほぼ同長、小逆刺がある。痩果は3稜形、長さ約1㎜、藁色。葯は長さ約1㎜、黄色。2n=8,10。花期は6~10月。

21 Eleocharis pellucida J. Presl et C. Presl ハリイ
  synonym Eleocharis pellucida C.Presl var. japonica (Miq.) Ts.Tang et F.T.Wang
  synonym Eleocharis japonica Miq. [Illegitimate]
  synonym Eleocharis congesta D.Don sunsp. japonica (Miq.) T.Kyama
 日本、南西諸島、朝鮮、中国、台湾、ロシア(千島列島、プリモーリエ)、インド、ヒマラヤ、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、フィリピン、マレーシア(マラヤ)、ジャワ島、小スンダ列島、ボルネオ島、スラウェシ島原産(Kew science)。中国名は透明鳞荸荠 tou ming lin bi qi。
 短命な多年草、1年草。高さ5~20㎝。叢生して直立又は斜上し、茎の基部の鞘状葉は薄い赤紫色。花茎の先に1個だけの小穂をつけ、時に小穂の基部に不定芽をつける。小穂は長さ4~6(7)㎜、幅1.5~2㎜の狭卵形で先が尖る。鱗片は長さ1~1.5㎜、鈍頭で、紫褐色を帯びることがある。中肋は緑色。痩果は長さ0.8~1㎜、幅0.5~1㎜の卵形~倒卵形で、明瞭に隆起する3稜がある。刺針状花被片は6個つき、長さが不揃いで、長くても痩果よりやや長い程度。刺針状花被片の色は白緑色で、茶色にならず、逆刺は細くまばらにつく。柱基は横から見ると三角形の高さの方が幅より少し高い。雄しべ1、2個。柱頭は3岐。花期は7~10月。

22 Eleocharis retroflexa (Poir.) Urb.  カヤツリマツバイ 広義
 日本(沖縄)、中国、インド、ネパール、スリランカ、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島、オーストラリア、アフリカ、熱帯アメリカ原産。中国名は贝壳叶荸荠 bei ke ye bi qi 。野原の湿った場所に生える。
 1年草。根はひげ根。根茎と匍匐枝は無い。稈はしばしば反曲し、叢生し、高さ2~16㎝、まれにそれ以上、糸状、柔らかく、5又はまれに4角(かど)がある。葉鞘は1~2小、短赤色、筒形、長さ2~12㎜、最も基部の鞘は葉身が無い。茎葉の鞘は普通、先に苞穎に似た葉身をもつ。小穂は紫赤色、卵形、約長さ4㎜×幅2㎜、わずかに扁平、少数の花をもち、ときに増殖する。最も基部の苞穎は空、類楕円形、小穂の基部全体を抱く。稔性の苞穎は緑色、広卵形、長さ2.8~3㎜×幅1.8~2 ㎜、草質、中央に竜骨をもち、縁は膜質、縁は透明、先は鋭形~鈍形。花被の剛毛は6本、小堅果の長さにほぼ等しく、外側の列の剛毛は小堅果より短く、後ろ向きの小刺がある。柱頭は3個。小堅果は帯黄色、広倒卵形、約長さ1.5㎜×幅1㎜、3面があり、角(かど)は明瞭な肋骨があり、網目~深い穴の網目があり、等直径の表皮細胞をもち、先は広切形でくびれない。宿存する柱基はピラミッド状尖鋭形、基部は小堅果の幅と同じ~わずかに狭い。花期と果期は7~11月。
22-1 Eleocharis retroflexa (Poir.) Urb. subsp. chaetaria (Roem. et Schult.) T.Koyama  カヤツリマツバイ
  synonym Eleocharis chaetaria Roem. et Schult. c islands

23 Eleocharis tenuis (Willd.) Schult.  イトハリイ 糸針藺
 北アメリカ原産。英名はslender spikerush , dog's hair

24 Eleocharis tetraquetra Nees  マシカクイ 真四角藺
 日本、中国、台湾、ロシア、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、アフガニスタン、パキスタン、タイ、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア北部原産。中国名は龙师草 long shi cao 。池や溝の縁、川岸に生える。
 多年草。匍匐枝は短いか又は無い。稈は叢生、高さ25~90(~100)㎝×太さ約1㎜、鋭い4角(かど)があり、無毛。葉鞘は2~3個、筒形、長さ7~10㎝、基部は紫赤色、先部は灰緑色、口部は切形、先は短い三角形で微突形。小穂は褐緑色、長円状卵形、± 狭卵形、又は長円形、長さ7~20㎝×幅3~5㎜、わずかに斜め、多数の花がつき、先は鈍形~鋭形。基部の3個の苞穎は空、最も基部の苞穎は小穂の基部全体を抱き、稔性の苞穎は中間が緑色、両側が淡さび色、きつく覆瓦状につき、長円形で舟形、長さ3~4㎜×幅1~1.5㎜、紙質、縁は狭く透明、先は鈍形。花被の剛毛は6本、帯赤色~帯褐色、小堅果の長さ(柱基を含め)と同長、疎~密に後ろ向きの小刺がある。柱頭は3個。小堅果は熟すと淡褐色、短く太い柄があり、倒卵形~広倒卵形、長さ約1.2㎜×幅1.5㎜、扁平な3面がある。宿存する柱基は側面が扁平、デルタ形小堅果の長さの1/2~2/3、幅約3/4、表面にはときに乳頭があり(mammillate)、先は尖鋭形。花期と果期は9~11月。

25 Eleocharis tsurumachii Ohwi  カドハリイ 角針藺
  synonym Eleocharis tetraquetra Nees var. tsurumachii (Ohwi) Ohwi 
  synonym Eleocharis tetraquetra Nees f. tsurumachii (Ohwi) T.Koyama
 日本固有種(霞ヶ浦周辺の旧玉造町、旧桜川村)
 稈は光沢があり柔らかい。鞘は上部近くまで赤色を呈する。鱗片は先端が円形。柱基は果体の半長。刺針状花被片の小刺は逆向き。越冬芽は10月上旬までに地下走出枝の節に1~5個が圧着~やや 開出して形成される。越冬芽は卵形~長卵形、鋭尖頭、長さ3~7㎜×幅1.5~ 2.0㎜、越冬芽とほぼ同長の鱗片に包まれる。
 マシカクイの越冬芽は地下走出枝の節に1個がほぼ圧着し、線形で鋭頭、長さ10~20㎜×幅0.3~1.0㎜、基部の鱗片は越冬芽の半長~3/4(小形の越冬芽では同長のこ とがある)。
 柱基の長さや越冬芽の違いによりシカクイとは別種とされる。

26 Eleocharis wichurae Boeck.  シカクイ 四角藺
  synonym Eleocharis tetraquetra Nees var. wichurae (Boeck.) Makino
 日本全土、朝鮮、中国、シベリア原産。中国名は羽毛荸荠 yu mao bi qi 。低地の日当たりのよい湿地に生える。
 多年草、高さ30~60㎝。匍匐枝は短いか又は無。稈は密に叢生し、平滑、4角(かど)鋭い[4角の中の1角は稜の出っ張りが少ない]。葉鞘は1~2個、帯赤色~帯紫色、口部はごく斜めの切形。小穂は茎頂に1個だけつき、小穂は初め帯褐色で、淡緑色になり、卵形~狭卵形~長円形、長さ8~15㎜×幅3~5㎜[長さ1~2.5㎝の長楕円形]、わずかに斜め、多数の花があり、先は鋭形。基部の2個の苞穎は空、最も基部の苞穎は小穂の基部全体を抱き、稔性の苞穎は中間が淡緑色で、両側にさび色の条線があり、きつく螺旋状に覆瓦状につき、長円形~楕円形で舟形、長さ4~6㎜×幅2~2.5㎜、膜質、中脈は細く、不明瞭、縁は広く透明、先は鈍形~円形。花被の剛毛は6本、さび色、柱基を含めた果実の長さと同長、羽毛(plumose )は開出毛[下向きの小刺毛が密生する]。柱頭は3個。小堅果は淡オリーブ色、熟すと帯褐色に変わり、短い柄があり、倒卵形~広倒卵形、約長さ1.5㎜×幅2㎜[長さ1.5~2㎜]、鈍い3面があり、わずかに扁平、両面とも平滑、先はくびれない。宿存する花柱の基部(柱基)はよく膨れ、狭卵形、長さと幅が小堅果と同じ又はほぼ同じで、側部は扁平、密に乳頭があり(mammillate)、先は鋭形~鈍形。花期と果期は7~9月[7~10月]。[ ]内は日本の参考の数値

26-1 Eleocharis wichurae Boeck. f. petasata (Maxim.) H.Hara  ミツカドシカクイ 三つ角四角藺
  synonym Eleocharis petasata (Maxim.) Zinserl.
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシアに分布。湿地に生える。
 多年草、高さ30~60㎝。短い匍匐枝を出し、株は叢生する。茎は断面が鋭三角形。茎頂に1個の小穂をつけ、小穂は長さ8~17㎜。鱗片は長さ3~4㎜、先端が円頭。痩果は長さが1.2~1.5㎜。 刺針状花被片は長さが果実の約1.5倍、下向きの小刺毛が密生する。花期は7~10月。

26-2 Eleocharis wichurae Boeck. f. teres (H.Hara) Ohwi  イヌシカクイ 犬四角藺
 本州、九州、沖縄に分布。日当たりのよい湿地、水田などに生える。
 シカクイに似るが、匍匐枝はほとんど生じない。茎は円柱形、明瞭な稜はない。鱗片は鈍頭~やや鋭頭、シカクイよりやや幅が広い。刺針状花被片はシカクイよりも短い。花期は7~9月。

26-3 Eleocharis wichurae Boeck. f. vivipara Y.Ueno  コモチシカクイ
 茎の上で小穂中の種子の一部が発芽し、1~数個の新苗をつける(芽生する)もの

26-4 Eleocharis wichurae Boeck. var. liukiuensis (Makino) Ohwi  オキナワイヌシカクイ
 別名はリュウキュウハリイ

27 Eleocharis yokoscensis (Franch. et Sav.) Tang et F.T.Wang  マツバイ 松葉藺
  synonym Eleocharis acicularis (L.) Roem. et Schult. var. longiseta Svenson
  synonym Eleocharis acicularis (L.) Roem. et Schult. f. longiseta (Svenson) T.Koyama
  synonym Eleocharis acicularis (L.) Roem. et Schult. subsp. yokoscensis (Franch. et Sav.) T.V.Egorova 
  synonym Eleocharis svensonii Zinserl.
 日本全土、朝鮮、中国、シベリア原産。中国名は牛毛毡 niu mao zhan 。水田、湿地に生える。
 1年草、高さ3~8㎝。細い根茎があり、叢生し、群生する。茎は細い糸状で、1個の小穂をつける。葉は退化し、鞘となり、長さ0.5~1.5㎝。小穂は長さ2~4㎜の狭卵形、3~4個程度の小花からなる。鱗片は円頭、中肋は緑色。痩果は長さ約1㎜、幅0.4~0.5㎜の長卵形、表面に格子状紋があり、縦縞がやや隆起する。柱基はややつぶれた三角錐状、柱頭は3分岐。刺針状花被片は2~4個つき、小逆刺があり、長さは痩果の1.5~2倍。花期は7~9月。

28 ハイブリッド
(1) Eleocharis x choseiensis Yashiro  コシカクイ 
 シカクイ(E. wichurai)とオオハリイ(E. congesta f. dolichochaeta)の交雑種
(2) Eleocharis x myogiensis Yashiro  ミョウギノハリイ
 カドハリイ( Eleocharis tsurumachii) と ミツカドシカクイ(E. petasata f. petasata)の推定交雑種
(3) Eleocharis x naritaensis Yashiro  コセイタカハリイ
 セイタカハリイ(Eleocharidem attenuata)×ハリイ(E. congesta var. japonica) の交雑種
(4) Eleocharis x quaesita Kitag.  キタヌマハリイ
  synonym Eleocharis palustris (L.) Roem. et Schult. var. quaesita (Kitag.) T.Koyama
 ヌマハリイとクロヌマハリイ の交雑種。
(5) Eleocharis x subangulata T.Koyama  オキナワハリイ
 ハリイとマシカクイの交雑種
(6) Eleocharis x yezoensis H.Hara  ヒメシカクイ
 ハリイとシカクイの交雑種
(7) Eleocharis congesta D.Don var. japonica (Miq.) H.Hara x var. thermaris (Hulten) T.Koyama  カズサハリイ

参考

1) Flora of China
 Eleocharis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=111420
2) GRIN
 Eleocharis  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=4164
3)Flora of North America
 Eleocharis  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=111420
4)Plants of the World Online | Kewscience
 Eleocharis  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30003459-2
5)植物研究雑誌 第86巻 第4号(平成23年8月)J. Jpn. Bot. 86: 210–218 (2011)
 Two New Hybrids of Eleocharis (Cyperaceae) from Chiba  Katsuhiro Yashiro
 セイタカハリイ、コシカクイ  
http://www.jjbotany.com/
6) レッドデータブックふくしま
 スジヌマハリイ  
http://is2.sss.fukushima-u.ac.jp/fks-db//txt/51603.002/html/00168.html
7)植物研究雑誌 第92巻 第3号 2017年6月J. Jpn. Bot. 92(3): 157–164 (2017)
 Eleocharis ×myogiensis (Cyperaceae): A New Hybrid from Myoginohana Marsh, L
  ミョウギノハリイ  
http://www.jjbotany.com/
8)分類 第15巻2号 日本植物分類学会誌 15(2) 159-161(2015)
 カドハリイの越冬芽の形態と分類学的ノート  
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunrui/15/2/15_KJ00010115720/_pdf
9)植物研究雑誌第51巻第7号昭和51年7月 p198
 シカクイの芽生品(上野雄規)  
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_051_198_198.pdf