ツルボラン科 Asphodelaceae

分類 被子植物(angiosperm)-単子葉類(Monocots) -キジカクシ目=アスパラガス目(Asparagales)
   旧分類のユリ科から分割された。APG IIではススキノキ属のみで構成されていたが、APG IIIでは旧ツルボラン科と旧キスゲ科が含められ、ススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)とされていたが、APGⅣ(2016年)でツルボラン科 (Asphodelaceae) に改められた。
 旧ツルボラン科AsphodelaceaeはAsphodeloideae(ツルボラン亜科)だけの科であり、Asphodelaceaeはこれを指すことが多い。

【ツルボラン科の亜科】
Asphodeloideae(ツルボラン亜科)、Hemerocallidoideae(キスゲ亜科)、Xanthorrhoeoideae(ススキノキ亜科)
分布 アフリカ、オーストラリア世界の温帯から熱帯にかけて約33属900種が分布する。
特徴 ツルボラン科Asphodelaceaeの現在のメンバーの3亜科はかなり異なり、3亜科を結びつける特徴は少ない。アントラキノンの存在は1つの特徴である。多年草。葉はロゼット状。花序は葉の無い花茎(scape)につく。花は葉柄があり、3数性、雄しべ6個。子房上位。果実は乾いた蒴果。
①Asphodeloideae(ツルボラン亜科)20属約800種
 多年草、しばしば膨れた、塊茎もち、黄色の汁をもつ。茎はあれば多肉質というより繊維質や木質になる。葉は根生し、ロゼット状、ほとんどが多肉質、しばしば縁に刺がある。花序は単一又は複合、長い花序柄がある。花は規則的、花被片は2輪に3個ずつつき、しばしば筒形又は星形に統合する。雄しべは6個、2輪に3個ずつ、子房の下につく。子房は上位、3室。果実は主に乾いた胞背裂開蒴果。

 Aloe(アロエ属) , Aloiampelos , Aloidendron , Aristaloe , Asphodeline , Asphodelus(ツルボラン属) , Astroloba , Bulbine(ブルビネ属) , Bulbinella(ブルビネラ属) , Chortolirion , Eremurus , Gasteria(ガステリア属) , Gonialoe , Haworthia(ハオルシア属) , Haworthiopsis , Jodrellia , Kniphofia(シャグマユリ属) , Kumara , Trachyandra , Tulista

②Hemerocallidoideae(キスゲ亜科)20属約100種
 ユリのような無毛の多年草。短い根茎がある。葉は互生、根生し、基部は鞘状、無柄。鞘は筒状にならない。葉身は単葉、線形~披針形、平ら、平行脈。花序は葉のない花茎(scape)に頂生、複合の集散花序であるかたつむり形花序(かたつむり状集散花序bostryx) 。花は不規則、左右相称、3数性、花冠筒部はあり、鐘形~漏斗形。花被片は6個、2輪につき、合着、花弁状、華やか、典型的には赤橙色~黄色、ときに花被片の先に毛状突起(TAT:tepal apex trichomes )がある。雄しべ6個。葯は背着、丁字着、内向。雌しべ1個、3心皮。子房は上位。胚珠は多数。中軸胎座。果実は胞背裂開蒴果、革質。種子は多数。X=11

 Pasithea , Phormium(マオラン属) , Agrostocrinum , Geitonoplesium , Thelionema , Rhuacophila , Herpolirion , Stypandra , Eccremis Bake , Dianella(キキョウラン属) , Simethis , Hemerocallis(ワスレグサ属) , Tricoryne , Corynotheca , Caesia , Hodgsoniola , Arnocrinum , Stawellia , Hensmania , Johnsonia

③Xanthorrhoeoideae(ススキノキ亜科)1属約28種
 多年草、茎は樹枝状又は地下性、木質、葉の基部により密に覆われる。葉は頂部の樹幹で密集し、狭い線形、先が細くなり、菱形~楔形(横断面)。縁に微細な毛状突起があり、まれに毛があり、葉の基部は広く、ときに厚くなる。花序は円柱状の穂状花序状、木質の花茎につく。花は束生し、束が螺生し、束の基部に苞がつき、詰まった苞により囲まれ、それが花の間の隙間につまり、穂状花序の表面を形成する。花は放射相称、3数性、両性、いずれも稔性、又は未生育。花被片は6個、離生、2輪につき、外花被片は紙質又は薄膜質。内花被片は膜質、先が突き出る。雄しべは6個、花被片より長い。花糸は扁平。葯は背着、2室、内向、縦の隙間から裂開。中隔蜜腺(septal nectary)は豊富な蜜を出す。子房は上位、3室。胚珠は室に数個。花柱は1個。柱頭は全縁ときに溝がある。果実は蒴果、鈍形又は尖り、堅くなった花柱の基部がつく。種子は室に1又は2個、卵形、普通、半つや消しの黒色、まれに卵形で光沢がある(1種だけで見られる)。
 Xanthorrhoea(ススキノキ属)
用途 ユウスゲ、ヤブカンゾウなどが観賞用によく栽培されている。アロエは薬用につかわれる。
アロエ属 キダチアロエ Aloe arborescens Mill.
キキョウラン属 ディネラ・クラリティー・ブルー Dinella 'Clarity Blue'
キツネオラン属 キバナキツネオラン Eremurus stenophyllus (Boiss. & Buhse) Baker subsp. stenophyllus
ブルビネラ属 ブルビネラ・フロリブンダ Bulbinella floribunda (Aiton) T.Durand & Schinz
ワスレグサ属 ニッコウキスゲ(ゼンテイカ) Hemerocallis middendorffii Trautv. et C.A.Mey. var. esculenta (Koidz.) Ohwi
ノカンゾウ Hemerocallis fulva var. angustifolia Baker
ハマカンゾウ Hemerocallis fulva (L.) L. var. littorea (Makino) M. Matsuoka et M. Hotta
ヒメカンゾウ Hemerocallis dumortieri C.Morren
ヘメロカリス Hemerocallis spp.
ヤブカンゾウ Hemerocallis fulva L. var. kwanso Regel
ユウスゲ Hemerocallis thunbergii Barr