ガマ科 Typhaceae
分類 | 被子植物(angiosperms)-単子葉類(monocots)-ツユクサ類(Commelinids)-イネ目(Poales) |
APGⅢにより、ミクリ属(Sparganium)はガマ科へ含められ、ミクリ科(Sparganiaceae)はなくなった。ミクリ科はミクリ属の1属だけからなる。 | |
分布 | 北半球の温帯及びアジアからアフリカの熱帯地方にかけガマ属、ミクリ属、2属約35種が分布し、日本にはガマ属3種(ガマ、コガマ、ヒメガマ)、ミクリ属8種が自生する。 |
特徴 | 多年草。淡水湿原~ わずかに汽水性湿原、しばしば抽水生。根茎があり、花は有茎、平滑、無毛。葉は根生又は茎生、2列、ほとんどが直立、斜上し、葉鞘があり、縁は明瞭に重なる。頂部は次第に細くなり、葉身へと続くか又は葉耳がある。葉身はゆるい螺旋状につき、捻じれ、狭線状漸尖形、先は鋭形、通気組織がある。花序は1個、頂生、直立、茎葉と同長又は茎葉が突き出、円柱形、穂状花序状(以下穂状花序)。雄性の穂状花序の花は早落性、軸は残る。雄性の穂状花序は雌性の穂状花序の先につく。若い穂状花序は初期に、葉が縮小したと思われる脱落性の苞に包まれる。雌性の穂状花序は1個の苞がつき、雄性の穂状花序には1個から数個つく。雄性の穂状花序の軸には多くの単一又は分枝する鱗片が花の間につく。雌性の穂状花序の軸には多くの突起(compound
pedicel)があり、露出した果穂では明瞭であり、それぞれが数個の花をつける。いくつかの種では、花に細い小苞が基部にある。花は単性、雌雄同株、単性の穂状花序に密に多数つき、小さく、風媒花(柱頭は花粉が落ちる前、数日間、受容能がある)。花被はおそらく、雄鱗片や雌花の子房柄の毛に変わっている。雄花は有柄、雄しべは1個~数個、花糸は合着、葯は底着、結合部の先が広がる。雌花は子房下生(子房上位)、有柄(柄は多数の直線状の毛があり、花後に広がり、果実の風散布に働く)。雌しべ1個、1心皮、子房は1室、頂生胎座、胚珠1個、花柱は1個、分裂しない。柱頭は1個、帯白色又は緑色、乾くと褐色になり、片側、平滑。無配偶子の花が多数つき、子房は花後にカルポディウム(carpodium
pl. carpodia)に変わる。果実は袋果(follicle)、紡錘形、果皮は透明、水中で縦に割れ、種子を離す。種子は胚乳がでんぷん質、油性。
胚は円筒形。 【ガマ属】 単子葉植物 多年草、水生~湿地生。匍匐する根茎があり、シュートは直立し、ほとんど分枝しない。茎は上部ではやや扁平になり、通気組織はない。葉は宿存性、互生し、直立し、二列生、線形、普通、海綿質、全縁、基部は葉鞘。葉鞘の裏面に隠れた粘液腺が多数あり、ときに葉身の基部にもある。花は単性、小さく、多数つき、花被が無い。花序はガマの穂とよばれる円柱形の穂状花序、上部は雄性の穂状花序、下部は雌性の穂状花序。雄花は雄しべ1~3個、花糸は普通、基部で合着し、毛で取り巻かれ、葯は底着葯、2葯室、縦に裂開する。花粉粒は単粒又は4集粒。雌花は子房が1室、長い毛管状の柄の先につき、基部に多数の細かい毛(pistil hair)と小苞がある。花柱は毛管状。柱頭は拡大し又はへら形。胚珠は1個。カルポディウム(carpodium pl. carpodia)といわれる花柱がつかない不稔の雌花がある。果実は小さく、柄とともに落ちる。X=15 |
栽培 | ガマ、ヒメガマは水質浄化などを目的にため池などに植栽されている。観賞用に使うこともある。 |
ガマ属 | ガマ | Typha latifolia L. |
コガマ | Typha orientalis C.Presl. | |
ヒメガマ | Typha domingensis Pers. | |
ミクリ属 | タマミクリ | Sparganium glomeratum (Beurl. ex Laest.) Neuman |
ナガエミクリ | Sparganium japonica Rothert | |
ヒメミクリ | Sparganium subglobosum Morong | |
ヤマトミクリ | Sparganium fallax Graebn. |