ヒメガマ 姫蒲

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Flora of Mikawa

ガマ科 Typhaceae ガマ属

中国名 长苞香蒲 chang bao xiang pu
英 名 southern cattail, cattail, lesser reed-mace
学 名 Typha domingensis Pers.

 synonym Typha angustifolia L. var. angustata (Bory et Chaub.) Jord.

 synonym Typha angustifolia auct. non L.
ヒメガマの穂
ヒメガマの果穂
ヒメガマのカルポディウム
ヒメガマの種子
ヒメガマ葉鞘の先端
ヒメガマ葉鞘の内面の粘液腺
ヒメガマ茎断面
ヒメガマ
ヒメガマ果実
ヒメガマ果実2
ヒメガマ花粉
花 期 6~8月
高 さ 0.7~2.5(4)m
生活型 多年草
生育場所 池、沼、湿地、川
分 布 在来種 日本全土、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、アジア、アフリカ、オーストラリア、南北アメリカ
撮 影 豊川市  12.7.4
世界の熱帯、亜熱帯、温帯に広く分布する。海岸の造成地のやや湿った場所に生えていた。
 雄花穂と雌花穂が離れ、間の緑色の軸が見えるのが特徴。粉白を帯びない。花をつけるシュートは幅1~2㎝、茎は花穂近くで幅3~4㎜。葉鞘の側面は膜質、縁は広く明瞭、膜質の葉耳があり、頂部は次第に細くなり、葉身へと続く。葉身の基部の1~10㎝と全縁の葉鞘の内面に短い線状の橙褐色の粘液腺(mucilage gland)があり、粘る。葉は長さ40~150㎝×幅3~8㎜、シュートの最も広い葉身の幅は新鮮なとき6~18㎜、乾くと5~15㎜。葉身の先は花序とほぼ同じ高さになる。雄花穂は雌花穂と離れ、軸が(0~)1~8㎝見える。雄花穂は雌花穂の長さの約1.4倍(長さ7~30㎝)、花時の幅約1㎝、1~2個の苞がつき、苞は長さ35㎝以下。雄鱗片はわら色~ほとんど明橙褐色、同じ花穂でも変化し、線形~楔形、しばしば先が不規則に切れ込み、長さ3~4㎜×幅約0.3㎜。花時の雌花穂は新鮮なとき明かるいシナモンブラウン色、帯白色の斑(乾くと帯褐色)があり、後に橙色~褐色になるが。果時には通常、柱頭と同じように淡色になり、しばしば、小苞が落ちてなくなる。雌花穂は長さ5~23(35)㎝、花時に幅5~6㎜、果時に幅15~25㎜、基部に1個の苞があり、多数の雌花が小苞と不稔の雌花(カルポディウム carpodium)の間に散在する。雌花はcompound pedicelの上につき、compound pedicelは止めくぎ似ており、果時に長さ約0.6~0.9㎜。雌花の基部に雌小苞があり、開花前に花穂の表面を形成し、後にわずかに柱頭が突き出て、わずかに毛(pistil hair)が突き出る。雌小苞の色はわら色~明るいオレンジブラウン色、柱頭と同色かより淡色、不規則な狭へら形~広へら形~披針形、長さ0.8㎜、幅0.1~0.3㎜、大部分が柱頭より幅が広く、先は同じ花序や異なる株で変化し、鋭形~尖鋭形。雄花は長さ約5㎜、雄しべ3個、まれに2個。葯は長さ(1.4)2~2.5㎜、葯室は黄色、先は明るいオレンジブラウン色、花粉粒は単粒。雌花は花時に長さ約2㎜、果時に長さ8~9㎜(長さ3~6㎜の細い柄を含む。)、長毛がある。長毛(pistil-hair)は集まるとわら色~オレンジブラウン色、頂端下に1個の明るいオレンジブラウン色のたいてい大きくなった細胞をもつ。花柱は長さ05~1.5㎜。柱頭はしばしば果時に脱落し、花時には直立し、長くなり、曲がって表面のマットを形成する。花時の新鮮なときは白色、後に明るいオレンジブラウン、狭線形~披針形、長さ0.8~1.5㎜×幅約0.1㎜、普通、花柱より太い。カルポディウム(carpodium)は毛からわずかに突き出し、普通、果時の花穂の表面で明瞭、わら色、オレンジ色の斑点があり、先は広く丸い。果実は細長い柄のある小さな堅果状の紡錘形の袋果(follicle)、柄の基部に長毛がある。果皮は透明で、水中で縦に割れて1個の種子を放出する。種子は長さ約1㎜。2n=30。
 ホソバガマ Typha angustifolia L.はヒメガマに似て粘液腺がない。学名は従来ヒメガマに使われていた。ホソバヒメガマはユーラシア大陸原産であるが、北アメリカにも分布が広がっており、カリフォルニアではヒメガマ×ホソバヒメガマ×ガマの3種交雑体が普通であるという。
 ガマの雌花穂は果期に長さ5~25㎝、幅24~36㎜、円柱形。葉の幅も幅10~23(29)㎜。花粉は4粒が合着する4集粒。
 コガマはガマに似て、雄花穂と雌花穂が接している。ガマより小さく、葉は幅.4~9㎜。雌花穂は果期に4.5~15㎝、幅10~20㎜、上端がやや幅広い円柱形、濃褐色。花粉が単粒。