ガマ 蒲

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Flora of Mikawa

ガマ科  Typhaceae ガマ属

中国名

宽叶香蒲 kuan ye xiang pu

英 名

broadleaf cattail, bulrush

学 名 Typha latifolia L.
ガマ雄果穂
ガマ雄果穂拡大
ガマ柱頭のついた穂
ガマ柱頭の取れた穂
ガマ果実飛散中
ガマ種子
ガマ基部
ガマ
ガマとヒメガマの果実
ガマ果実
ガマ花粉
ガマ葉
花 期 6~8月
高 さ 1~2.5m
生活型 多年草
生育場所 池、沼、湿地、川
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、中国、ロシア、モンゴル、パキスタン、西南アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ
撮 影 蒲郡市   05.7.20
地下茎が横に広がって増える。茎は高さ1~2.5(3)m。花をつけるシュートは幅1~2㎝、茎は花穂近くで幅3~7㎜、頑強。葉は普通、新鮮なときに粉白を帯び、葉鞘の側面は紙質又は膜質、縁は狭く明瞭、頂部は次第に細くなり、葉身へと続き、明瞭な肩があり、まれに紙質の葉耳がある。葉鞘の粘液腺は普通、無色~不明瞭~欠く。葉は長さ45~95㎝、シュートの最も広い葉は新鮮なとき、幅10~23(29)㎜、乾くと5~20㎜、上部の葉身も幅がほぼ等しい。葉裏は凸面形、横断面は半円形。茎頂に花穂をつける。雌雄同株。上部の雄花穂は下部の雌花穂と離れず、接してつき、クローンでは 4(~8)㎝の長さの花序軸で離れてつくこともある。雄花穂は雌花穂とほぼ同長、長さ3.5~12㎝、花時の幅1~2㎝。基部又は中間部に脱落性の苞を1~3個つける。雄鱗片は無色~わら色、糸状、単一、長さ約4㎜、幅0.0.5㎜。雌花穂は花時に淡緑色、乾くと帯褐色、後に赤褐色又は帯黒色になり、果時にしばしば毛の先の白色のパッチでまだらになり、長さ5~25㎝、花時の幅5~8㎜、果時の幅24~36㎜、多数の雌花と不稔の雌花(カルポディア carpodium)が混在し、雌小苞は無い。雌花はcompound pedicelの上につき、compound pedicelは果時に剛毛状、同じ花穂につくものも変化し、長さ1.5~3.5㎜。雄花は長さ5~12㎜、雄しべが普通2個、まれに1又は3個。葯は長さ1~3㎜。葯室は黄色、先は暗褐色。花粉は4粒が合着した4集粒(tetrad)。雌花は花時に長さ2~3㎜、果時に長さ10~15㎜。柄の毛(pistil hair)は無色、集まると白色、大きくならない。雌小苞は無い。柱頭は残存性、花穂の表面の硬い層を形成し、花時に淡緑色、乾くと褐色になり、後に赤褐色又は先が普通、帯黒色になり、へら形~卵形~卵状披針形、長さ0.6~1㎜、幅0.2~0.25㎜。終期に果実が熟すと柱頭が取れ、果穂は淡褐色になり、カルポディアが柄の毛の間から見えるようになり、カルポディアはわら色、柱頭が無く、先が丸い。果実は小さな堅果状の披針形の袋果(follicle)、細長い柄がある。柄の基部に白色の長毛があり、風で飛散する。果皮は透明で、水中で縦に割れて1個の種子を放出する。種子は長さ約1㎜。2n=30。
 コガマはガマに似て、雄花穂と雌花穂が接している。ガマより小さく、葉は幅.4~9㎜。雌花穂は果期に長さ4.5~15㎝、幅10~20㎜、上端がやや幅広い円柱形、濃褐色。花粉が単粒。
 ヒメガマは雄花穂と雌花穂が離れてつき、雌花穂は果期に幅13~25㎜、円柱形、葉鞘の内面に褐色の粘液腺があり粘る。

ガマ属

  family  Typhaceae - genus  Typha

 多年草、沼地や水中に生え、匍匐する根茎をもつ。葉は互生、直立し、2列、線形、普通、スポンジ状、全縁、基部に鞘がある。花は単性、小さく、多数、円筒形の穂状花序に密に密集し、下部が雌性、上部が雄性。苞は葉状。花被は無い。雄花は1~3個の雄しべからなり、普通、花糸の基部が合着し、毛の囲まれる。葯は2半葯(thecous)、底着、縦に裂開する。花糸は短い。花粉粒は単集粒(monads)又は4集粒(tetrads)。雌花は子房が1室、長い細管状の柄につき、多数の細かい毛があり又は基部に小苞がある。花柱は細管状。柱頭は広がり又はへら形。胚珠は1個。不稔の子房は花柱をもたない。果実は小さく、柄と一緒に落ちる。
 世界に約16種があり、熱帯と温帯地域に分布する。

ガマ属の主な種と園芸品種

1 Typha angustifolia L.  ホソバガマ
 日本、中国、台湾、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、パキスタン、インド、ネパール、ミャンマー、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、 南西アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、北アメリカ原産。中国名は水烛 shui zhu 。英名は cattail , lesser reed-mace , lesser-bulrush , nailrod , narrow-leaf cattail , small reed-mace
 ヒメガマに似るが、粘液腺がない。
品種) 'Zebratails' , 'Variegata'

2 Typha domingensis Pers. ヒメガマ 姫蒲
  synonym Typha angustifolia auct. non L.
  synonym Typha angustata Bory et Chaub.
  synonym Typha angustifolia L. var. angustata (Bory et Chaub.) Jord. 
  synonym Typha australis Schumach. et Thonn. 
 日本、韓国、中国、台湾、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、パキスタン、インド、ネパール、スリランカ、ミャンマー、ベトナム、 インドネシア、マレーシア、フィリピン、南西アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ原産。中国名は长苞香蒲 chang bao xiang pu 。英名はsouthern cattail, cattail, lesser reed-mace
 多年草。高さ0.7~2.5(4)m。雄花穂と雌花穂が離れ、間の緑色の軸が見えるのが特徴。粉白を帯びない。花をつけるシュートは幅1~2㎝、茎は花穂近くで幅3~4㎜。葉鞘の側面は膜質、縁は広く明瞭、膜質の葉耳があり、頂部は次第に細くなり、葉身へと続く。葉身の基部の1~10㎝と全縁の葉鞘の内面に短い線状の橙褐色の粘液腺(mucilagegland)があり、粘る。葉は長さ40~150㎝、幅3~8㎜、シュートの最も広い葉身の幅は新鮮なとき6~18㎜、乾くと5~15㎜。葉身の先は花序とほぼ同じ高さになる。雄花穂は雌花穂と離れ、軸が (0~)1~8㎝見える。雄花穂は雌花穂の長さの約1.4倍(長さ7~30㎝)、花時の幅約1㎝、1~2個の苞がつき、苞は長さ35㎝以下。雄鱗片はわら色~ほとんど明橙褐色、同じ花穂でも変化し、線形~楔形、しばしば先が不規則に切れ込み、長さ3~4㎜、幅0.3㎜。花時の雌花穂は新鮮なとき明かるいシナモンブラウン色、帯白色の斑(乾くと帯褐色)があり、後に橙色~褐色になるが。果時には通常、柱頭と同じように淡色になり、しばしば、小苞が落ちてなくなる。雌花穂は長さ5~23(35)㎝、花時に幅5~6㎜、果時に幅15~25㎜、基部に1個の苞があり、多数の雌花が小苞と不稔の雌花(カルポディウム carpodium)の間に散在する。雌花はcompound pedicelの上につき、compound pedicelは止めくぎ似ており、果時に長さ約0.6~0.9㎜。雌花の基部に雌小苞があり、開花前に花穂の表面を形成し、後にわずかに柱頭が突き出て、わずかに毛(pistilhair)が突き出る。雌小苞の色はわら色~明るいオレンジブラウン、柱頭と同色かより淡色、不規則な狭へら形~広へら形~披針形、長さ0.8㎜、幅0.1~0.3㎜、大部分が柱頭より幅が広く、先は同じ花序や異なる株で変化し、鋭形~尖鋭形。雄花は長さ約5㎜、雄しべ3個、まれに2個。葯は長さ(1.4)2~2.5㎜、葯室は黄色、先は明るいオレンジブラウン、花粉粒は単粒。雌花は花時に長さ約2㎜、果時に長さ8~9㎜(長さ3~6㎜の細い柄を含む。)、長毛がある。長毛(pistil-hair)は集まるとわら色~オレンジブラウン、頂端下に1個の明るいオレンジブラウンのたいてい大きくなった細胞をもつ。花柱は長さ05~1.5㎜。柱頭はしばしば果時に脱落し、花時には直立し、長くなり、曲がって表面のマットを形成する。花時の新鮮なときは白色、後に明るいオレンジブラウン、狭線形~披針形、長さ0.8~1..5㎜幅約0.1㎜、普通、花柱より太い。カルポディウム(carpodium)は毛からわずかに突き出し、普通、果時の花穂の表面で明瞭、わら色、オレンジ色の斑点があり、先は広く丸い。果実は細長い柄のある小さな堅果状の紡錘形の袋果(follicle)、柄の基部に長毛がある。果皮は透明で、水中で縦に割れて1個の種子を放出する。種子は長さ約1㎜。2n=30  ホソバガマ Typha angustifolia L.はヒメガマに似て粘液腺がない。学名は従来ヒメガマに使われていた。ホソバヒメガマはユーラシア大陸原産であるが、北アメリカにも分布が広がっており、カリフォルニアではヒメガマ×ホソバヒメガマ×ガマの3種交雑体が普通であるという。花期は6~8月。

3 Typha latifolia L.  ガマ 蒲
 北海道、本州、四国、九州、中国、ロシア、モンゴル、パキスタン、西南アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ原産。中国名は宽叶香蒲 kuan ye xiang pu 。英名はbroadleaf cattail, bulrush
 多年草。高さ1~2.5m。地下茎が横に広がって増える。茎は高さ1~2.5(3)m。花をつけるシュートは幅1~2㎝、茎は花穂近くで幅3~7㎜、頑強。葉は普通、新鮮なときに粉白を帯び、葉鞘の側面は紙質又は膜質、縁は狭く明瞭、頂部は次第に細くなり、葉身へと続き、明瞭な肩があり、まれに紙質の葉耳がある。葉鞘の粘液腺は普通、無色~不明瞭~欠く。葉は長さ45~95㎝、シュートの最も広い葉は新鮮なとき、幅10~23(29)㎜、乾くと5~20㎜、上部の葉身も幅がほぼ等しい。葉裏は凸面形、横断面は半円形。茎頂に花穂をつける。雌雄同株。上部の雄花穂は下部の雌花穂と離れず、接してつき、クローンでは 4(~8)㎝の長さの花序軸で離れてつくこともある。雄花穂は雌花穂とほぼ同長、長さ3.5~12㎝、花時の幅1~2㎝。基部又は中間部に脱落性の苞を1~3個つける。雄鱗片は無色~わら色、糸状、単一、長さ約4㎜、幅0.0.5㎜。雌花穂は花時に淡緑色、乾くと帯褐色、後に赤褐色又は帯黒色になり、果時にしばしば毛の先の白色のパッチでまだらになり、長さ5~25㎝、花時の幅5~8㎜、果時の幅24~36㎜、多数の雌花と不稔の雌花(カルポディア carpodium)が混在し、雌小苞は無い。雌花はcompound pedicelの上につき、compound pedicelは果時に剛毛状、同じ花穂につくものも変化し、長さ1.5~3.5㎜。雄花は長さ5~12㎜、雄しべが普通2個、まれに1又は3個。葯は長さ1~3㎜。葯室は黄色、先は暗褐色。花粉は4粒が合着した4集粒(tetrad)。雌花は花時に長さ2~3㎜、果時に長さ10~15㎜。柄の毛(pistil hair)は無色、集まると白色、大きくならない。雌小苞は無い。柱頭は残存性、花穂の表面の硬い層を形成し、花時に淡緑色、乾くと褐色になり、後に赤褐色又は先が普通、帯黒色になり、へら形~卵形~卵状披針形、長さ0.6~1㎜、幅0.2~0.25㎜。終期に果実が熟すと柱頭が取れ、果穂は淡褐色になり、カルポディアが柄の毛の間から見えるようになり、カルポディアはわら色、柱頭が無く、先が丸い。果実は小さな堅果状の披針形の袋果(follicle)、細長い柄がある。柄の基部に白色の長毛があり、風で飛散する。果皮は透明で、水中で縦に割れて1個の種子を放出する。種子は長さ約1㎜。2n=30。花期は6~8月。
品種) 'Variegata' (v)

4 Typha laxmannii Lepech.  モウコガマ
  synonym Typha laxmannii Lepech. var. davidiana (Kronf.) C.F.Fang
  synonym Typha davidiana (Kronf.) Hand.-Mazz.
 日本、中国、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、パキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は无苞香蒲 wu bao xiang pu

5 Typha minima Hoppe  チャボガマ
  synonym Typha orientalis C.Presl 
  synonym Typha japonica Miq. 
 中国、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、パキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は小香蒲 xiao xiang pu

6 Typha orientalis C. Presl コガマ 小蒲
 日本()、韓国、中国、台湾、モンゴル、ロシア、ミャンマー、フィリピン、オーストラリア原産。中国名は东方香蒲 dong fang xiang pu 。英名は broadleaf cumbungi, lesser reed-mace 。
 ガマに似て、ガマより小さく、雄花穂と雌花穂が接している。
 多年草。茎は高さ1.3~2m、丈夫。葉は長さ40~70㎝、幅4~9㎜、葉裏は凸面状、横断面は半円形。雄花穂は長さ2.7~9㎝、基部又は中間部分に1~3個の脱落性の苞がある。葉鞘に粘液腺はない。雌花穂は雄花穂と離れず接し、果時に長さ4.5~15㎝、幅10~20㎜、上端がやや幅広い円柱形、濃褐色、基部に1個の脱落性の苞がある。雄花は雄しべ3個、まれに2又は4個、葯は長さ約3㎜。花粉は黄色、単粒、直径15~20μm。雌花は小苞がなく、子房は紡錘形~披針形、1室、子房柄は長さ約2.5㎜、細い。花柱は長さ1.2~2㎜。柱頭はへら形、長さ0.5~0.8㎜。子房柄の毛(絹毛)は花柱とほぼ同長。果実は小さな堅果状の楕円形の袋果(follicle)、果皮は透明で、水中で縦に割れて種子を放出する。種子は長さ約1㎜。2n=60(X=15)。  ガマの雌花穂は果期に長さ5~25㎝、幅24~36㎜、円柱形。葉の幅も幅10~23(29)㎜。花期は6~8月。

7 ハイブリッド
(1) Typha x suwensis T.Shimizu  アイノコガマ
 ガマ×コガマ
(2) Typha angustifolia x T. latifolia (T. glauca)
(3) Typha domingensis x T. latifolia
(4) Typha angustifolia x T. domingensis

参考

1) Flora of China
 Typha  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=134063
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Typha  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30003823-2
3)GRIN
 Typha  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxon/taxonomysimple
4)Flora of North America
 Typha  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=134063
5) 植物研究雑誌 10(12): 783-791(1934)
 木村雄四郎,長町田鶴子 : 日本産蒲黄に就て 邦産薬用植物生産概況(其六)
6) 植物研究雑誌 49(2): 54-62(1974)
 佐橋紀男,幾瀬マサ : ガマの花粉4集粒における数種の移行形列について