シオガマギク 塩竈菊
Flora of Mikawa
ハマウツボ科 Orobanchaceae シオガマギク属
中国名 | 返顾马先蒿 fan gu ma xian hao 広義 |
学 名 | Pedicularis resupinata L. subsp. oppositifolia (Miq.) T.Yamaz synonym Pedicularis resupinata L. var. oppositifolia Miq. synonym Pedicularis resupinata L. 広義 |
花 期 | 8~9月 |
高 さ | 25~60㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山地の草地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国 |
撮 影 | 稲武町 06.9.16 |
シベリアシオガマ subsp. resupinata は日本(北海道北部)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタンに分布する。葉が全て互生し、披針形。花序が長い。広義にはsubsp. oppositifoliaを含めてシオガマギクという。
ミカワシオガマは東海地方の湿地に生える。葉、花が小型で、上唇の先が細く尖り、花色が濃い。
トモエシオガマ var. caespitosa は日本の亜高山、高山帯に分布する。花が上部に固まってつくのが特徴。
シオガマギク属
family Orobanchaceae - genus Pedicularis多年草又は1年草、まれに2年草。半寄生植物。葉は互生、対生、又は輪生、普通、羽状中裂~1・2回羽状全裂、まれに全縁又は歯状。下部の葉は普通、長い葉柄があり、上部の葉はしばしば、ほぼ無毛。花序は頂生又は花が腋生。苞は普通、葉状。咢は筒形又は鐘形、しばしば、±2唇形、普通、前側が深く分裂し、 (2~)5裂片がある。花冠は紫色、赤色、黄色、又は白色、強い2唇形。上唇(galea かぶと)はフードになり、葯を包み、横は扁平、丸く又は切形で、先には歯又は嘴がある。下唇は3裂し、普通、広がり、蕾では上唇の外側になる。雄しべは4個、2強雄しべ。花糸は無毛又は軟毛がある。葯は微突形又は微突形にならない。柱頭は頭状。蒴果は偏平又は扁平にならず、胞背裂開。種子は多数、網目があるか又は肋骨がある。
世界に約600種あり、北半球の極寒や高山地域に広く分布し、南西中国の山地に最も多い。中国に372種がある。
シオガマギク属の主な種
1 Pedicularis adunca M.Bieb. ex Steven ホソバシオガマ 細葉塩竈synonym Pedicularis rubinskii Kom.
synonym Pedicularis sachalinensis Miyabe & T.Miyake カラフトシオガマ
synonym Pedicularis adunca M.Bieb. ex Steven subsp. sachalinensis (Miyabe et T.Miyake) Ivanina カラフトシオガマ
synonym Pedicularis adunca M.Bieb. ex Steven var. sachalinensis (Miyabe et T.Miyake) Ohwi
ロシア、千島原産。2 Pedicularis apodochila Maxim. ミヤマシオガマ 深山塩竈
北海道、本州(中部地方以北)、千島列島原産。高山帯の砂礫地や乾いた草地に生える。
多年草。叢生し、高さ5~20㎝。茎は直立し、白色の長軟毛が散生する。根生葉は葉柄が長さ2~7㎝、葉身は長円形、長さ4~7㎝×幅1~3㎝、2回羽状全裂し、羽片は10~20対、羽状深裂し、裂片は細く、縁には少数の鋭鋸歯があり、両面ともほぼ無毛。茎葉は互生し、0~2個と少数で小さい。総状花序は頂生、花が10~20個つく。苞は葉状。花冠は長さ2~3㎝、上唇(galea かぶと)は長さ約1㎝、先には嘴は無く、丸く、先端の下部に2個の刺状突起がある。下唇は上唇よりやや短く、3深裂して水平に広がり、中裂片が小さい。萼は筒状、約・長さ1㎝×幅5mm、白色の軟毛があり、先は5中裂する。萼片は狭披針形、しばしば2~3裂し、縁に短鋭鋸歯がある。蒴果は扁卵形、長さ1~1.5㎝×幅4~5㎜。花期は6~7月。
2-1 Pedicularis apodochila Maxim. f. albiflora Ohba シロバナミヤマシオガマ 白花深山塩竈
白花品種。3 Pedicularis arctoeuropaea (Hultén) Molau & D. F. Murray
synonym Pedicularis sudetica subsp. arctoeuropaea Hultén
北アメリカ極北部、アラスカ、ユーラシア北部に分布。英名はsudetic lousewort。ツンドラの氾濫原と段丘に生える。総状花序、苞は黄白色の羊毛状毛があり、まれに無毛。萼は黄白色の羊毛状毛があり、まれに無毛、萼片は三角形、上部の縁に小円鋸歯がある。花冠の上唇(galea かぶと)は二色ではなく、縁は内側が全縁、上部には1個の歯がある。唇の外側はマゼンタ色で、紫色の斑点がある。花期は6~8月。
4 Pedicularis artselaeri Maxim. var. artselaeri ハガクレシオガマ 葉隠塩竈
中国(河北省、湖北省、陝西省、山西省、四川東省)原産。中国名は埃氏马先蒿 ai shi ma xian hao。湿った場所、岩の多い斜面、森林に生える。
多年草、高さ3~6㎝、乾燥するとわずかに黒くなる。根は肉質。茎は1~数本、叢生し、繊細で、披針形~卵形の膜質の鱗片と落下せずに枯れる葉柄に包まれ、軟毛がある。葉柄は長さ5.5~9㎝、繊細で、広がり、密に綿毛がある。葉身は長円状披針形、長さ7~10㎝×幅2~2.5㎝、下面は葉脈に沿って錆色の微細剛毛があり、上面にはまばらに長い軟毛がある。羽片は8~14対、卵形、羽状深裂し、欠刻状の歯がある。小花柄は長さ10㎝まで、細く、湾曲しており、絨毛がある。萼は長さ1.2~1.8㎝。萼片は5個、±等形、葉状。花冠は紫色、長さ3~4㎝、花冠筒部は直立し、萼の長さの1.5倍よりわずかに長い。上唇(galea:かぶと)は長さ約1.3㎝、先は鋭形または鈍形。下唇は上唇よりわずかに長く、裂片は丸く、±等形。花糸は毛がある。蒴果は萼に完全に囲まれており、卵形、長さ約1.3㎝。花期は5月。果期は 7~8月。
5 Pedicularis capitata Adams タマザキシオガマ 玉咲塩竈
ロシア、北アメリカ(アラスカ、カナダ)、グリーンランド原産。英名はcapitate lousewort。湿った北極および高山のツンドラ、ヒースランド、高山の斜面に生える。
高さ2~13.5㎝。 葉は根生し、2~3枚つき、葉身は卵形~楕円形、長さ10~40㎜ x 幅5~20㎜、2(~3)回羽状中裂、隣接する裂片の縁は重なり合わないか、上部で広範囲に重なり、鋸歯があり、表面は無毛または粗毛がある。茎葉は0~2枚、葉身は楕円形、長さ5~25㎜x幅5~10㎜、2回羽状中裂、隣接する裂片の縁は重なり合わないか、上部で広範囲に重なり、鋸歯があり、表面に剛毛が散在する。 総状花序は単純で、頭状、1~2個つき、根生葉を超え、それぞれ 2~8個の花がつく。苞は錐形~狭い披針形、長さ10~20(~50)㎜x幅6~8㎜、下部は分裂せず、上部は1~2回羽状中裂、下部の縁は全縁、上部は鋸歯があり、表面にはまばらに綿毛がある。小花柄は長さ2~3㎜。萼は長さ0~15㎜、粗毛があり、萼片は5個、三角形~へら形、長さ4~6mm、先には鋸歯があり、無毛。花冠は長さ19~40㎜、筒部は淡黄色、ときにクリーム色~ピンク色、長さ5~20㎜。上唇のかぶと(galea)は淡黄色、ときにクリーム色~ピンク色、先はときに紫色が散在し、長さ12~20㎜、嘴がなく、内側と上部の縁は全縁、先は外側の唇を超えてアーチ状になり、外側の唇は淡黄色、ときにクリーム色~ピンク色、長さ10~15㎜。 2n=16 (アジア)。花期は6~8月。
6 Pedicularis chamissonis Steven エゾヨツバシオガマ
日本(北海道)、ロシア原産。日本の本州中部の系統は日本固有に分化したヨツバシオガマであり、別種とされた。
【エゾヨツバシオガマとヨツバシオガマの違い】
● エゾヨツバシオガマ(Pedicularis chamissoni)
1)花冠筒部の下部が明らかに曲がる
2) 花序軸の多数の花の輪(節)6~8段 [3~20平均7.8 ± 3.8 (S.D)].
3) 葉の羽片は深く分裂
●ヨツバシオガマ(Pedicularis japonica
1) 花冠筒部の下部が真っすぐ又はわずかに曲がる
2) 花序軸の花の輪(節)の数は比較的少ない3~4段 [2~9平均4,1 ±1.4 (S.D)]
3)葉の羽片は浅く分裂
※花冠上唇の嘴の長さはヨツバシオガマは長いがエゾヨツバシオガマは変異が多い。
6-1 Pedicularis chamissonis Steven var. chamissonis エゾヨツバシオガマ 蝦夷四葉塩竈
ロシア(アリューシャン列島)原産。花冠の上唇の嘴部は長さ2~3㎜で太くて短い。
高さ10~40㎝。葉は普通、4個輪生、、ときに5~6個輪生し、長円状披針形、長さ3~7.5㎝×幅1~3.5㎝、羽状全裂し、裂片はさらに羽状深裂する。下部の葉柄は長いが、上部の葉はほとんど無柄。花は茎の上部に4輪生し、(2~)4~8(~10)段につく。花冠は紅紫色、下部が筒形、上部は2唇形、筒部の下部が横向きに明らかに曲がる。上唇はフード形、先端の嘴は短く長さ2~3㎜。下唇は3深裂する。
6-1-1 Pedicularis chamissonis Steven var. chamissonis f. albiflora Tatew. ex H.Hara シロバナエゾヨツバシオガマ 白花蝦夷四葉塩竈
白花品種。6-2 Pedicularis chamissonis Steven var. hokkaidoensis T.Shimizu キタヨツバシオガマ 北四葉塩竈
synonym Pedicularis chamissonis Steven f. fauriei (Bonati) Petitm. ex H.Hara
北海道、本州(飯豊山以北)に分布。高山帯の草原に生える。高さ20~60㎝。花序は長く、7~12段つき、細毛が密生する。花は赤紫色、上唇の嘴部分はヨツバシオガマよりやや短い。
6-2-1 Pedicularis chamissonis Steven var. hokkaidoensis T.Shimizu f. leucantha Horii シロバナヨツバシオガマ 白花四葉塩竈
6-3 Pedicularis chamissonis Steven var. rebunensis T.Yamaz. レブンシオガマ 礼文塩竃
礼文島に固有。キタヨツバシオガマや、ヨツバシオガマより鮮やかな花色で、草丈が高く、花序につく花数も多い。多年草。高さ70~100㎝。葉は5~6輪生し、数段つき、羽状全裂、裂片には浅い切れ込みがある。花序には細毛があり、花数が多く、花が15~30段、輪生し、下から上に咲き上がる。花冠は鮮やかな紅紫色、2唇形。上唇は色がやや濃く、細く、鋭く尖って下向きに曲がり、下唇は幅が広く、3裂して広がる。
6-3-1 Pedicularis chamissonis Steven var. rebunensis T.Yamaz. f. alba T.Yamaz. シロバナレブンシオガマ 白花礼文塩竃
白花品種。7 Pedicularis flava Pall. モウコシオガマ 蒙古塩竃
中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は黄花马先蒿 huang hua ma xian hao 。岩が多い草が茂った斜面、弱アルカリ性の牧草地に生える。
多年草、高さ8~25㎝、乾いても黒くならない。根茎は丈夫。茎は1~数本あり、縦の条線または溝があり、軟毛があり、基部に多数の宿存する鱗片がある。葉は根生葉と茎葉、多数、密につく。葉柄は長さ4.5㎝以下、毛がある。葉身は披針状長円形~線状長円形、長さ9㎝×幅3㎝・以下、下面は中脈に帯白色の毛があり、上面はまばらに小羊毛状毛があり(lanulose)、羽状全裂し、裂片は6~12対、狭卵形~披針形または三角形、羽状深裂し、重歯があり、歯はカロース(callose)。花序はコンパクトな穂状花序で、長さ4~15㎝、密に帯白色の絨毛がある。下部の苞は葉状、上部の苞は3裂し、帯白色の毛がある。萼は長さ1.4㎝以下、網状脈はなく、密に帯白色の絨毛がある。萼片は5個、不等長で、長さが幅より長い。花冠は黄色、長さ1.4~1.8㎝、筒部は直立する。ガレアはかま形、長さはほぼ筒部と同長、嘴は短く、先端は切形。下唇は長さがほぼガレアまで。花糸は毛がある。蒴果は長い卵形で、扁平、約・長さ1.5㎝×幅7㎜、長い尖頭形。花期は6~7月。果期は7~8月。
8 Pedicularis gloriosa Bisset et S.Moore ハンカイシオガマ 樊噌塩竃
日本固有種(本州(関東地方~東海地方)
多年草、高さ30~90㎝。茎は数本。葉は対生し、葉柄は長さ10~20㎝。葉身は下部に集まってつき、卵形~広卵形、長さ10~30㎝×幅4~5㎝、羽状全裂し、裂片は不規則に中裂~深裂し、鋸歯があり、両面に毛がまばらにある。上部で分枝し枝先に長さ3~7㎝の穂状花序に花をつける。萼は鐘形、先は5裂。花冠は紅紫色、長さ2.5~3㎝、長い筒形、先は2唇形。上唇は舟形で湾曲し、上半部は太くて先は円く、下側に白毛が密生する。下唇は横に開き、3中裂し、約長さ1.4㎝×幅1㎝、上唇とほぼ同長。蒴果は卵円形、長さ7~10㎜×幅6~9㎜、先は鋭く尖る。花期は8~9月。
8-1 Pedicularis gloriosa Bisset et S.Moore f. albiflora Takeda シロバナノハンカイシオガマ 白花樊噌塩竃
白花品種。9 Pedicularis grandiflora Fisch. オオシオガマギク 大塩竃菊
中国(吉林省、内モンゴル)、ロシア原産。中国名は野苏子 ye su zi ma xian hao 。標高300~400mの湿地帯の牧草地に生える。
KewscienceではPedicularis resupinata L.のsynonymとしている。
多年草、高さは1mを超え、しばしば、多数分枝する。根は束生し、±多肉質。茎は丈夫、中空で、うねがあり、密に細かい伏毛がある。根生葉は早く枯れ、葉柄は長さ7㎝以下、葉身は卵状長円形、長さ23㎝以下、2回羽状全裂し、裂片は披針形、羽状深裂~羽状全裂、歯があり、歯は白色でカロース(callose)。花序は長い総状花序、求心性、緩い。苞はほぼ三角形で目立たない。萼は長さ約8㎜。萼片は5個、等長、三角形、鋸歯がある。花冠は紫色、長さ2.5~3.5㎝。 唇弁は±輻合する。ガレアはかま形、縁に密にひげがある。下唇はガレアよりわずかに短い。花糸は無毛。 蒴果は卵形、約・長さ1.3㎝×幅9㎜、尖頭形。花期は7~8月。果期は8~9月。
10 Pedicularis ikomai Sasaki イコマソウ 生駒草
synonym Pedicularis nanfutashanensis T.Yamaz.
台湾北東部原産。中国名は生驹氏马先蒿 sheng ju shi ma xian hao。Pedicularis ikomae Sasakiは不明種、おそらく誤り。標高約3500mの頂上付近の岩の多い山の斜面に生える。
多年草、高さ25~27㎝。茎は5~10本、叢生し、暗褐色、毛がある。葉は4枚輪生し、葉柄は長さ3~5㎜、葉身は楕円形~心形、長さ約2.5㎝×幅1.5~2㎝、羽状深裂し、裂片は斜め、鋸歯がある。花序は総状花序、密で、花が3~5個つく。苞は葉状、長さ約1.1㎝××幅4~5㎜、先は3裂する。小花柄は長さ約2㎜。萼は±袋状になり、長さ約1.2㎝、萼片は2個、舟状、約・長さ8㎜×幅5㎜、静に沿ってわずかに細かい毛がある。花冠は紫色、円筒形、約・長さ3.1㎝×幅1.2㎝。上唇(galea かぶと)は短い嘴があり、下唇は丸く、中裂片は側裂片より小さく幅はわずか3㎜、側裂片は丸く、大きい。 雄しべは(4~)5本。花糸には密に毛がある。花期は8月。
11 Pedicularis ishidoyana Koidz. et Ohwi ハルザキシオガマ 春咲塩竈
synonym Pedicularis artselaeri Maxim. var. koraiensis Hurus.
朝鮮原産。
茎には細かい毛があり、主茎は短い。根の先端に葉が密生する。葉は1回羽状複葉、長い楕円形~披針形、羽状浅裂~羽状中裂、縁に鋸歯があり、葉柄は長さ10~15㎝。花は淡赤紫色で下部から出る。小花柄は長さ約6㎝。萼は長い円筒形、5脈と外側に細毛があり、先は5裂する。萼片は倒披針形または先が線形、側面に歯があり、筒部の長さの約1/3。花冠は2唇形、上唇は弓状に前に曲がり、先端が少し凹み、下唇は3裂し、裂片はいずれも円形と倒卵形で、縁には毛がある。果実は蒴果。花期は5~6月。
12 Pedicularis iwatensis Ohwi イワテシオガマ 岩手塩竈
synonym Pedicularis gloriosa Bisset et S.Moore var. iwatensis (Ohwi) Ohwi
日本固有種(岩手県、秋田県)。ブナ林内の急斜面や沢沿いに生える。多年央。高さ50~80㎝。茎は斜上し、やや細く、剛毛を散生する。葉は対生し、基部に集まり、葉柄は長さ15~25㎝。葉身は卵形、長さ15~20㎝、羽状全裂し、裂片はさらに羽状深裂し、大きく尖った鋸歯があり、上面はほとんど無毛、下面に毛が散生する。まばらに分枝した枝先の花序に花をつける。花冠は紫紅色、長さ約4㎝、先は2唇形。上唇は舟形で湾曲し、下唇は開いて3裂する。花期は8~9月。
13 Pedicularis japonica Miq. ヨツバシオガマ 四葉塩竈
synonym Pedicularis chamissonis Steven var. japonica (Miq.) Maxim.
synonym Pedicularis chamissonis Steven subsp. japonica (Miq.) Ivanina
日本固有種(北海道、本州の東北南部~中部地方以北)
多年草、高さ10~30㎝。 葉は4個まれに3~6個、輪生し、羽状深裂し、羽片は浅裂又は歯状。茎頂の花茎に数段に花輪をつける。花冠は下部が筒型、筒部は真っすぐ又はわずかに曲がり、先が2唇形、上唇は紅紫色で先端が嘴状に長く先が垂れ下がり、嘴部は長さ4~5㎜。下唇は大きく3裂して垂れ下がる。萼は先が5裂する。花期は7~8月。
13-1 Pedicularis japonica Miq. f. rostrata クチバシシオガマ 嘴塩竈
synonym Pedicularis chamissonis Steven var. japonica (Miq.) Maxim. f. rostrata T.Yamaz.
synonym Pedicularis chamissonis Steven var. longirostrata T.Yamaz.
本州中部の特に南部に多く分布する。上唇の嘴が長さ7~9㎜と長く、基部の上側にくびれがある品種とされているが区別が難しい。
14 Pedicularis karoi Freyn サワシオガマ 沢塩竈
synonym Pedicularis palustris subsp. karoi (Freyn) P. C. Tsoong
中国(黒竜江省北西、内モンゴル北東部)、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ中部~北部原産。中国名は卡氏沼生马先蒿 ka shi zhao sheng ma xian hao。湿地帯の牧草地、平らな沼地、水の多い溝に生える。
Flora of ChinaではPedicularis palustrisの亜種としている。
一年草。花冠は長さ1.3~1.6㎝。
15 Pedicularis keiskei Franch. et Sav. セリバシオガマ 芹葉塩竈
日本固有種(本州中部地方)
多年草、高さ20~40㎝。地下茎は短く、地を這い、茎は根際で分枝し、直立する。花時に根出葉はない。葉柄は長さ4~10㎜。葉は対生し、質が薄く、長さ4~8㎝、幅2~4㎝の卵状長楕円形、羽状に全裂し、裂片は披針形、さらに羽状に中裂する。花は上部の葉腋に1個ずつつく。花冠は緑白色、2唇形、筒部が淡緑色、裂片が白色、長さ約2㎝。下唇は広く開き先が3裂し、上唇は先が細長く嘴状に尖る。雄しべは4個、上唇内にある。蒴果は長さ12~15㎜の三角状披針形、鋭尖頭、熟すと褐色になり、上側が裂開する。花期は8~9月。
16 Pedicularis koidzumiana Tatew. et Ohwi ベニシオガマ 紅塩竈
日本(利尻山)、樺太原産。山の岩地に生える。
多年草。茎は高さ3~7㎝。葉は小さく、根出葉の葉柄は長さ1~2㎝。葉身は長さ1~2㎝、羽状全裂し、裂片には尖った鋸歯がある。花序は頂生、短く、数個の花を密につける。花冠は紅紫色、先端の下側に2個の棘状突起があり、下唇は上唇より短い。花期は7月頃。(2012年調査では確実な自生を確認できていない)
17 Pedicularis labradorica Wirsing チシマシオガマ 千島塩竈
中国、モンゴル、ロシア、アジア極地、ヨーロッパ極地、北アメリカ極地原産。中国名は拉不拉多马先蒿 la ba la duo ma xian hao。標高300~900mの苔むした地衣類が生い茂るヒースとツンドラに生える。
2年草、高さ10~30㎝。 茎は直立し、硬く、毛があり、多数分枝する。枝は互生し、まれに対生する。葉は互生または±対生し、葉柄は長さ2~10m。葉身は線状披針形、長さ1.5~6㎝、下面に腺毛があり、上面は無毛、羽状中裂または先にだけ重歯がある。裂片は鋸歯があるか、または上部の裂片には重歯がある。花序は総状花序。苞は葉状。小花柄は長さ約1㎜。萼は長さ6~7㎜、±革質、無毛またはまばらに毛があり、前方で深く裂ける。萼片は3個、不等長、全縁。花冠は黄色、ときにガレアが赤色または紫色を帯び、長さ1.8~2㎝。筒部は萼の約1/2の長さ、無毛。ガレアは先がわずかに曲がり、先の両側に1個の披針形の縁歯がある。下唇はガレアとほぼ同長、縁毛がある。花糸は2本に毛があり、他の2本は無毛。蒴果は広披針形、先は鋭形。花期は8月。果期は9月。2n=16。
18 Pedicularis lanata Willd. ex Cham. et Schltdl. アイザワシオガマ 相沢塩竈
synonym Pedicularis kanei Durand
synonym Pedicularis lanata f. lanata
synonym Pedicularis willdenowii Vved.
北アメリカ、グリーンランド、ユーラシア北部に分布。英名は woolly lousewort , bumble-bee flower。和名は千島で初めて発見した相沢氏に因む。
多年草、茎は直立、1本、高さ5~10(~25)㎝。黄白色の直根をもつ。全体に白色の羊毛状の毛が厚くあり、特に開花前の若い時に白毛が目立つ。葉は大きな根生葉と小さな茎葉がある。根生葉は多数、輪生し、長い葉柄があり、葉身は槍形、2回羽状複葉。茎葉は分裂が少ない。花序は茎頂部に直立し、花が密に多数つき、白色の羊毛状の毛が目立つ。花は2唇形、花冠は長さ約2㎝、暗ピンク色、~ピンク紫色、ときに白色。蒴果は長さ8~13㎜、扁平で嘴がある。種子は表面にハチの巣状の模様がある。花期は6~8月。果期は8月。
19 Pedicularis lunaris Nakai ナギナタシオガマ 薙刀塩竈
朝鮮原産。
花序を持つ茎は高さ15~57㎝、1本、直立し、開出する白色の毛がある。葉は無柄、互生し、披針形、羽状中裂、裂片は類重鋸歯状、両面に毛があり、長さ3~10㎝×幅1~3㎝、先は鋭形、基部は抱茎。花序には葉がつく。花は腋生、無柄、上向きつく。咢は卵形、先には5歯があり、毛がある。咢歯は三角状披針形。花冠は黄白色、長さ38~48㎜、外側に長毛がある。crenulateは傾き、嘴は無く(erostris)、縁を超える。花柱と花糸は平滑。咢は果時に大きくなる。蒴果は卵形、微突形、長さ13㎜、幅8~10㎜。
20 Pedicularis mandshurica Maxim. マンシュウシオガマ 満州塩竈
synonym Pedicularis mandshurica var. coreana (Bonati) Hurus. イワシオガマ 岩塩竈
朝鮮、中国(河北省、遼寧省)原産。中国名鸡冠子花 ji guan zi hua ma xian hao。乾いた芝生の斜面、湿った場所に生える。多年草、高さ25~35㎝、乾燥すると黒色になる。根は多肉質。茎は直立または斜上し、中空で分枝がなく、まばらに毛があり、古くなると光沢がある。根生葉は多数、葉柄は長さ6.5㎝以下、葉身は卵状披針形~披針形、長さ約12㎝×幅2.5~3.5㎝、羽状深裂~羽状全裂、羽片は線状披針形、縁は重歯状~羽状深裂~歯状。花序は総状花序、緩い。花序軸には密に毛が生えている。苞は葉状、白色の綿毛があり、下部の苞は花よりもはるかに長い。萼は長さ1.1~1.5㎝、最初は綿毛があり、後に無毛になる。萼片は5個、葉状で不等長。花冠は黄色、長さ2.2~3㎝。上唇(ガレア)はかま形、先は嘴状、2個の歯と不明瞭な小歯がある。下唇は ガレアとほぼ同長、縁毛がある。花糸は2本に毛があり、2本は無毛。蒴果は円筒状披針形、長さ1.2~1.8㎝。花期は5~7月。果期は7~8月。
21 Pedicularis nipponica Makino オニシオガマ 鬼塩竈
日本固有種(本州中部地方以北の日本海側)
多年草、高さ30~70㎝。茎は太く、茎や葉など全体に白い軟毛が密生する。葉は根元に大きな葉が集まってつき、長卵形、羽状に全裂する。茎葉は全裂せず、縁は鋸歯状で、上部ほど小さくなり、苞へと続く。花は長さ3.5~4㎝の唇形花。淡赤紫色、まれに白花もある。花冠の上唇は舟形、下唇は3裂する。花期は8~9月。
21-1 Pedicularis nipponica Makino f. alba M.Mizush. et Yokouchi シロバナオニシオガマ 白花鬼塩竈
白花品種。22 Pedicularis novaiae-zemliae (Hultén) Kozhevn.
synonym Pedicularis sudetica subsp. albolabiata Hultén
アジア、北アメリカ極部地方原産。湿ったツンドラ、湿った茂み、高山帯のタイガ(taigas)に生える。
総状花序は頂生、苞は無毛または白色、葉状。萼は無毛または白色の葉状で、萼片は三角形、縁は上部に鋸歯がある。花冠のガレアは二色、基部はピンク色、縁は内側が全縁で上部に1歯がある。外側の唇は白色、まれにピンク色、紫色の斑点がある。花期は6~8月。
23 Pedicularis ochiaiana Makino ヤクシマシオガマ 屋久島塩竃
日本固有種(屋久島)。高地のやや湿り気のある草地に生える。
多年草、高さ20~50㎝。茎は直立またはやや斜上し、濃紅色、下部には曲毛がある。葉は対生し、葉身は長さ7~11㎝、2回羽状全裂し、縁には重鋸歯がある。下部の葉は大きいが上部の茎葉は小さく、両面に毛がまばらにつく。花序は頂生、長さ3~5㎝、3~5個つき、花は各花序に5~10個つく。花冠は淡紅色、長さ2.5~3㎝、上唇は先に嘴は無く、下唇は広く開いて中間近くまで3裂する。
24 Pedicularis oederi Vahl キバナシオガマ 黄花塩竈
synonym Pedicularis oederi Vahl subsp. heteroglossa auct. non (Prain) Pennell
synonym Pedicularis oederi Vahl var. heteroglossa auct. non Prain日本(大雪山)、中国、ブータン、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は欧氏马先蒿 ou shi ma xian hao 。日本では絶滅危惧ⅠB類。高山の牧草地、牧草地、湿った石灰岩の岩、ツンドラ、草の茂った斜面に生える。
多年草、高さ5~10(~20)㎝、乾燥すると黒色になる。茎は基部で分枝し、4稜形、通常、花茎状、羊毛状毛がある。葉はほとんど根生し、葉柄は長さ5㎝以下、毛があり、葉身は線状披針形~線形、長さ1.5~7㎝、下面にときに脈に毛があり、上面は通常無毛で、羽状全裂し、裂片は10~30対、しわがあり、卵形~長円形、歯がある。茎葉は上部で互生し、1~2枚つき、根生葉に似ているが、小さい。花序は長さ約 5(~10)㎝、花を10数個、密につける。苞は線状披針形~線形、花と同長~短く、通常は羊毛状毛がある。萼は長さ0.9~1.2㎝。萼片は5個、±等長。花冠は2唇形、黄色で、ガレアは紫色、ときに下唇に紫色の斑点があり、長さ約2.5cm、花冠筒部は先がかま形、長さ1.2~1.6㎝、先は鈍形または±鋭形。ガレアは長さ 0.7~1.4㎝、前部が丸い。下唇は長さ5~7㎜×幅0.7~1.4㎝、3裂し、中裂片は丸く、側裂片より小さい。 花糸は前側の対には毛がある。柱頭は含まれているか、またはわずかに突き出る。蒴果は長卵形~卵状披針形、長さ1.8㎝×幅7mm・以下。花期は6~9月。果期は7~10月。2n=16。
24-1 Pedicularis oederi subsp. heteroglossa (Prain) Pennell ウルップシオガマ
synonym Pedicularis heteroglossa (Prain) Pusalkar & D.K.Singh in Edinburgh J. Bot. 67: 58 (2010)
synonym Pedicularis oederi subsp. heteroglossa (Prain) Pennellsynonym Pedicularis oederi Vahl var. yezoana (Nakai) Hurus. ウルップシオガマ
synonym Pedicularis oederi subsp. oederi var. heteroglossa Vahl,ヒマラヤ(インドのガールワル~ブータン)、南東チベットに分布。標高3600~5100m地帯に生える。
25 Pedicularis pacifica (Hultén) Kozhevn.
synonym Pedicularis sudetica subsp. pacifica Hultén
アジア、アラスカに分布する。北極の海岸、高山の牧草地、川岸、タイガに生える。
花序は総状花序。苞は無毛またはまばらに直軟毛がある。萼は無毛またはまばらに直軟毛がある。萼片は錐形、上部の縁に小鋸歯がある。花冠はガレアが紫色~赤紫色、縁は内側が全縁、上部に1個の歯があり、外側の唇は紫色~赤紫色で、紫の斑点はない。花期は6~8月。2n=16(2x)。
26 Pedicularis palustris L.
synonym Pedicularis palustris subsp. palustris
中国(新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ中部~北部、カナダ原産。中国名は沼生马先蒿 zhao sheng ma xian hao。英名はmarsh lousewort , swamp lousewort。湿地帯、沼地の牧草地、平らな沼地、溝に生える。
2年草、ときに一年草、高さ30~60㎝、無毛。 茎は直立し、通常多数分枝する。枝は硬く、互生し、まれに偽対生または偽輪生する。葉は互生または対生し、まれに輪生し、短い葉柄があるかまたは無柄。葉身は三角状披針形~線形、ほぼ無毛、羽状全裂し、裂片は線形~披針形、羽状中裂~歯がある。花序は総状花序。苞は葉状。小花柄は長さ1~2㎜。萼は長さ7~8㎜。萼片は2個、円鋸歯~鋸歯がある。花冠は紫色、長さ1.3~2.5㎝、筒部は直立し、萼のほぼ2倍の長さで、無毛。ガレアは直立し、先の両側に1個の錐形の縁歯がある。下唇はガレアよりわずかに長く、縁毛がある。花糸は無毛。 蒴果は斜めの卵形、尖頭形。花期は8月。果期は9月。2n=16。
26-1 Pedicularis palustris subsp. palustris
中国(新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ中部~北部、カナダ原産。中国名は沼生马先蒿 zhao sheng ma xian hao。英名はmarsh lousewort , swamp lousewort。湿地帯、沼地の牧草地、平らな沼地、溝に生える。
26-2 Pedicularis palustris subsp. borealis (J.W.Zetterst.) Hyl.
synonym Pedicularis palustris var. borealis J.W.Zetterst.フィンランド、フェロー諸島、北欧ロシア、ノルウェー、スウェーデンに分布。
27 Pedicularis refracta (Maxim.) Maxim. ツクシシオガマ 筑紫塩竈
日本固有種(九州)。日当たりのよい草地に生える。
1年草。高さ20~40㎝。全体に長い白色の長毛がある。基部の葉は長い葉柄をもつ。葉は普通、4個輪生し、羽状深裂し、裂片には鋭い鋸歯がある。花は茎や枝の上部に先に3~4個ずつ輪生し、横向きにつく。花冠は紅紫色、長さ1.6~2㎝。花冠の上唇は舟形、下唇は3裂して開く。花期は4~6月。
27-1 Pedicularis refracta (Maxim.) Maxim. f. albiflora T.Watan. ex T.Yamaz. シロバナツクシシオガマ 白花筑紫塩竈
白花品種。28 Pedicularis resupinata L. シオガマギク 塩竈菊 広義
synonym Pedicularis resupinata L. var. oppositifolia Miq.
日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン原産。
多年草。高さ30~70㎝、乾いても黒色にならない。根はひげ根が束せいする。茎はしばしば1本、直立、先で多数、分枝し、まばらに毛があるか又はほぼ無毛。茎葉は多数つき、葉柄があり、又は最上部は無柄。葉柄は長さ(0~)2~12㎜、無毛又は毛がある。葉身は卵形~長円状披針形、長さ2.5~5.5㎝×幅1~2㎝、膜質~紙質、無毛又はまばらに毛があり、基部は広楔形~円形、縁は円鋸歯又は鋸歯縁、先は尖鋭形。花は腋生。花柄は短いか又は無い。咢は長さ6~9㎜、無毛になり、裂片2個は広く、全縁。花冠はピンク色~紫色又は帯黄色、長さ2~2.5㎝、筒部は真っすぐ、長さ1.2~1.5㎝。かぶと(galea)はかま形、嘴は円錐形、長さ約3㎜。下唇はかぶとよりわずかに長く、縁毛がある。花糸2本は毛があり、2本は無毛。蒴果は斜め、長円形状披針形、長さ1.1~1.6㎝、咢よりわずかに長い。花期は6~8月。果期は7~9月。2n=16 , 32。
28-1 Pedicularis resupinata L. subsp. resupinata シベリアシオガマ
日本(北海道北部)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン原産。植物体はまばらに毛があるか又は無毛。葉が全て互生し、披針形。花序が長い。花冠はピンク色~紫色。蒴果は斜めの長円状披針形、わずかに咢より長い。広義にはsubsp. oppositifoliaを含めてシオガマギクという。
28-1-1 Pedicularis resupinata L.Pedicularis resupinata L. subsp. resupinata var. umbrosa (Kom.) Nakai ヒカゲシオガマ
28-1-2 Pedicularis resupinata L.Pedicularis resupinata L. subsp. teucriifolia(M.Bieb. ex Steven) T.Yamaz. ビロードシオガマ
synonym Pedicularis resupinata L. var. teucriifolia (M.Bieb. ex Steven) Maxim.
28-1-2-1 Pedicularis resupinata L.Pedicularis resupinata L. subsp. teucriifolia(M.Bieb. ex Steven) T.Yamaz. var. caespitosa Koidz. トモエシオガマ
日本の亜高山、高山帯に分布する。花が上部に固まってつく。28-2 Pedicularis resupinata L. subsp. oppositifolia (Miq.) T.Yamaz. シオガマギク 塩竈菊
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国に分布。多年草、高さ25~60㎝。茎は直立し、ほとんど枝分かれしない。葉は下部では対生し、上部では互生し、葉身は狭卵形、長さ4~9㎝×幅1~2㎝、基部は円みのある切形、縁は規則的な重鋸歯、先は鋭形。花は茎頂や枝先に密集して、苞状の葉腋につく。咢は2裂し、咢片は長さ6~7㎜×幅3~4㎜、全縁。花冠は紅紫色、長さ約2㎝、筒部は真っすぐ、上部は2唇形。上唇のかぶとは筒状の鎌形、先は嘴状に尖り、先端に小さな歯がある。下唇は広がって浅く3裂する。雄しべは下側2本がやや長い。蒴果は3角状卵形~長卵形、長さ10~12㎜×幅約5㎜、先は鋭形。種子は多数。花期は8~9月。
28-2-1 Pedicularis resupinata L. subsp. oppositifolia (Miq.) T.Yamaz. f. albiflora (Honda) H.Hara シロシオガマ
28-2-2 Pedicularis resupinata L. subsp. oppositifolia (Miq.) T.Yamaz. f. alborosea Hiyama ウスベニシオガマ
28-3 Pedicularis resupinata L. var. microphylla Honda ミカワシオガマ
synonym Pedicularis resupinata L. subsp. oppositifolia (Miq.) T.Yamaz. var. microphylla Honda
東海地方の三河を中心に分布する。草地でなく、湿地に生える。葉は小さく、長さ1~2㎝、幅4~7㎜、重鋸歯があり、互生する。花冠も小型で、上唇の先は細く尖り、先はほとんど分裂しない。上唇から雌しべが突き出す。28-4 Pedicularis resupinata L. subsp. galeobdolon (Diels) P. C. Tsoong
中国に分布。中国名は鼬臭返顾马先蒿 you xiou fan gu ma xian hao 。植物体は無毛。葉は長さ3~5㎝。花冠は黄色、嘴は長さ約2㎜。蒴果は斜めの線状披針形、咢の長さの約2倍又はそれ以上。花期は5~7月。
28-5 Pedicularis resupinata L. subsp. crassicaulis (Vaniot ex Bonati) P. C. Tsoong
中国に分布。中国名は粗茎返顾马先蒿 cu jeng fan gu ma xian hao植物体は密に毛がある。葉は短く、長さ2.5~3.5㎝。花冠はピンク色~紫色。嘴は短く、切形。蒴果は卵形、長さ約1.2㎝。花期は5~6月。
28-6 Pedicularis resupinata L. subsp. lasiophylla P. C. Tsoong
中国に分布。中国名は毛叶返顾马先蒿 mao ye fan gu ma xian hao植物体は密に毛がある。葉は長さ4~5.5㎝。花冠はピンク色~紫色。嘴は円錐形、長い。蒴果は斜めの長円状披針形、長さ1.1~1.6㎝。花期は7~8月。
29 Pedicularis rubens Stephan ex Willd. コウアンソウ
中国(北河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、北東内モンゴル)、モンゴル、ロシア原産。中国名は红色马先蒿 hong se ma xian hao 。草原、木がうっそうと茂った斜面に生える。
多年草、高さ10~35㎝、乾くと黒色になるかまたはならない。根は束生し、線形、長さ8㎝まで。茎は1本で、溝があり、帯白色の毛の線があり、基部に±宿存する残存鱗片がある。葉はほとんどが根生し、葉柄は長さ7㎝以下、帯白色の毛がある。葉身は狭長円形~長円状披針形、長さ10㎝×幅3㎝以下~それ以上、2~3回羽状全裂し、裂片は線形、欠刻状の歯があり、歯はカロース(callose)になる。花序は総状花序、長さ10㎝以上になる。苞は葉状、帯白色の絨毛が密生する。萼は長さ1.3㎝以下、密に帯白色の絨毛があり、密に網状脈がある。萼片は5個、不等長、2対の側裂片が輻合し、全縁、先は2裂する。花冠はローズ色、長さ約2.7㎝。筒部は長さ約1.4㎝、無毛。ガレアは先が±かま形、筒部とほぼ同長、嘴は短く、先は斜めの切形、わずかに2個の錐形の歯があり、いくつかの小さな歯がある。下唇はガレアよりわずかに短い。花糸にはまばらに毛がある。花期は6~7月。果期は7月~8月。2n=16。
30 Pedicularis sceptrum-carolinum L. ハタザオシオガマ 旗竿塩竈
日本、韓国、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ中部~北部原産。中国名は旌节马先蒿 jing jie ma xian hao。英名はMoor-king lousewort。湿地の森、湿った土手、湿地の牧草地に生える。
多年草、高さ60㎝以下、無毛またはまばらに繊毛がある。茎はしばしば単茎である。根生葉はロゼットになる。葉柄は長さ12㎝以下。葉身は倒披針形~線状長円形、長さ30㎝×幅4㎝・以下、羽状中裂~羽状全裂し、裂片は7~17対、卵形~長円形、羽状浅裂し、欠刻状重歯があり、歯は白色で、カロース(callose)。 茎葉は少数つき、互生または3枚が偽輪生し、根生葉に似ているが、小さい。花序は長さ20㎝以上になる。花はしばしば偽対生または偽輪生し、緩くつく。苞は広卵形。萼は長さ1~1.5㎝。萼片は鋸歯状。花冠は黄色、ときに下唇とガレアの先が紫赤色になり、長さ3.8㎝以下、ガレアを除いて無毛。筒部は長さ約1.5㎝、唇は輻合する。ガレアはかま形、縁に沿って密にひげがある(花冠以外のは無毛)。下唇は中裂片が全縁。花糸は先が無毛。蒴果は球形、直径約2㎝、短い微突がある。花期は6~8月。果期は8~9月。2n=32。
30-1 Pedicularis sceptrum-carolinum L. var. sceptrum-carolinum
中国、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ原産。中国名は旌节马先蒿 jing jie ma xian hao
茎や葉はほぼ無毛。
30-2 Pedicularis sceptrum-carolinum L. var. pubescens Bunge ハタザオシオガマ 狭義
synonym Pedicularis sceptrum-carolinum L. subsp. pubescens (Bunge) P.C.Tsoong
朝鮮、中国、ロシア原産。有毛旌节马先蒿 you mao jing jie ma xian hao 。茎や葉が有毛。
31 Pedicularis schistostegia Vvedensky ネムロシオガマ 根室塩竈
synonym Pedicularis venusta (Bunge) Schangin ex Bunge var. schmidtii T.Ito
日本固有種(北海道の根室地方、礼文島)。海岸近くの岩場や草地に生える。多年草。高さ15~30㎝。茎は太く、茎や葉に白色の軟毛が密生する。葉は互生し、羽状全裂し、裂片はさらに深裂して鋭い鋸歯があり、人参の葉に似る。花は茎の上部に密集して多数つく。花冠は白色~淡黄色、2唇形。上唇は下唇より長く、下向きに曲がる。花は下から上に咲き上がるが、上から見ると上唇は右に少し曲がってつき、カザグルマの羽根のようにみえる。
31-1 Pedicularis schistostegia Vvedensky f. rubriflora Ohba ex T.Yamaz. カフカシオガマ
礼文島のみに生える。紅花品種。32 Pedicularis scopulorum A.Gray
synonym Pedicularis sudetica subsp. scopulorum (A. Gray) Hultén
USA(コロラド州、ニューメキシコ州、ワイオミング州)原産。英名はRocky mountain lousewort , alpine lousewort 。標高3100~3700mの高山のツンドラ草原に生える。
花序は総状花序。苞は白色、葉状。萼は白色の羊毛状毛がある。萼片は三角形、縁は上部が全縁。花冠はガレアが紫色~マゼンタ色、縁は内側が全縁、上部は1歯があるかまたは全縁、外側の唇は淡紫色~赤紫色で、紫色の斑点は無い。花期は7~8月。
33 Pedicularis spicata Pall. ホザキシオガマ 穂咲塩竈
日本(北海道の十勝地方、白山)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は穗花马先蒿 sui hua ma xian hao。
1年草、高さ20~30(~40)㎝、乾くと黒色になるか又はならない。根は円錐形、木質。茎は1本~数本、外側の茎は平伏又は斜上し、先で分枝し、毛の4ラインがある。葉はしばしば4個輪生。根生葉は±ロゼットになり茎葉より小さく、花時に脱落する。茎葉は葉柄が長さ1㎝以下、狭い翼があり、毛がある。葉身は長円状披針形~線状狭披針形、長さ7㎝×幅1.3㎝以下、下面は脈に白色の絨毛があり、上面はまばらに白色の毛があり、羽状中裂~羽状深裂。裂片は9~10対、卵形~長円形、歯又は欠刻状の歯があり、歯はカロース(callose)がある。花序は穂状花序、長さ12㎝以下、基部は途切れる。下部の苞は葉状、上部の苞は菱状卵形又は扇形、白色の絨毛がある。花は小さい。萼は鐘形、長さ3~4㎜、前側がわずかに裂け、膜質。萼裂片は融合し、3個に見え、不等長、後ろ側の萼片は三角形、側対より小さい。花冠は赤色、筒部は基部で90度曲がり、長さ1.2~1.8㎝。かぶとは長さ3~4㎜、前部は±鋭形。下唇は長さ6~10㎜、中裂片は倒卵形、側裂片より小さい。花糸2本は毛があり、2本は無毛。蒴果は斜めの卵形~披針状卵形、長さ6~10㎜×幅約4㎜、先は鋭形~微突頭。花期は6~9月。果期は8~10月。
33-1 Pedicularis spicata subsp. spicata
日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は穗花马先蒿 sui hua ma xian hao。
上部の苞は葉状又は菱状卵形。2本の花糸は密に絨毛があり、2本は無毛。蒴果は狭卵形、長さ6~7㎜、先は鋭形。
33-2 Pedicularis spicata subsp. bracteata P. C. Tsoong
中国原産。中国名は显苞穗花马先蒿 xian bao sui hua ma xian hao 。
上部の苞は強く大きくなり、扇形、長さ10㎜×幅8㎜以下。花糸の2本は長軟毛があり、2本は無毛。蒴果は狭卵形、長さ6~7㎜、先は鋭形。花期は6月。
33-3 Pedicularis spicata subsp. subsp. stenocarpa P. C. Tsoong
中国原産。中国名は狭果穗花马先蒿 xia guo sui hua ma xian hao 披針状卵形、長さ8~10㎜、長く尖鋭形。果期は9月。34 Pedicularis sudetica Willd. ヤチシオガマ 谷地塩竈
ユーラシア、北アメリカ原産。英名はfernweed , Sudeten lousewort , Sedetic lousewort , Sudetic lousewort 。
高さ2~45㎝。 葉は根生し、1~20枚つき、葉身は楕円形~披針形、長さ10~110㎜x幅3~26㎜、1~2回羽状中裂し、隣接する裂片の縁は重なり合わないか、上部でわずかに重なり、表面は無毛。茎葉は0~5枚、葉身は披針形~楕円形、長さ20~90㎜x幅2~20㎜、1~2回羽状中裂し、隣接する裂片の縁は重なり合わないか、上部でわずかに重なり、単または重鋸歯があり、表面は無毛、下面は脈に沿っていくらかの毛がある 。総状花序は単純で 1~4個つき、根生葉を超え、各花序に10~50個の花がつく。苞は線形~錐形~菱形、長さ2~15㎜x幅1~4㎜、分裂せず長い耳部が有または無、または1回羽状中裂し、縁は全縁、鋸歯状、または小鋸歯状、表面は無毛、白色または黄白色の羊毛状毛があり、またはまばらな直軟毛がある。小花柄は長さ1~2.5㎜。萼は長さ7~13㎜、無毛~羊毛状毛~黄白色の羊毛状毛があるか、またはまばらな直軟毛がある。萼片は5個、錐形または三角形、長さ1.5~5㎜、先は全縁~小円鋸歯~小鋸歯があり、無毛、ときに縁毛がある。花冠は長さ16~21mm、筒部はピンク色、紫色、またはマゼンタ色、長さ9~11㎜。かぶと(galea)は紫色、マゼンタ色、または二色、長さ7~12㎜、嘴がなく、縁は内側が全縁、歯が1個または上部が全縁、先は頂点は外側の唇の上にアーチ状になり、唇の外側は紫色の斑点がある白色またはピンク色、または紫色またはマゼンタ色、長さ4~8㎜。
34-1 Pedicularis sudetica subsp. interior (Hultén) Hultén
極部に近いアジア、USA、カナダに分布。標高0~2100mのタイガの沼地と沼地、北方の茂み、高山と北極のツンドラに生える。花序は総状花序。苞は白色の葉状。萼は白色の羊毛状毛があり、萼片は錐形、縁は全縁または上部に鋸歯がある。花冠はガレアが紫色~赤紫色、縁は内側が全縁、上部に1個の歯があり、外側の唇は淡紫色~マゼンタ色、紫色の斑点は有又は無。2n=16((アジア)。花期は6~8月。
34-2 Pedicularis sudetica subsp. sudetica
ヨーロッパに分布。
35 Pedicularis tatarinowii Maxim. ナンマンシオガマ
synonym Pedicularis myriophylla var. tatarinowii (Maxim.) Hurusawa
中国原産。中国名は塔氏马先蒿 ta shi ma xian hao。標高2000~2300mの高山の牧草地に生える。
一年草、高さ50㎝以下、通常±木質、乾いても黒くならない。根は長さ10㎝以下、木質。茎は1~数本、直立または外側の茎は±斜上または平伏し、しばしば赤紫色で硬く、咲で多数分枝し、4列の毛がある。根出葉が早く枯れる。茎葉は(2~3~)4個輪生し、短い葉柄がある。葉身は卵状長円形~長円状披針形、長さ2~3.5(~7)㎝×幅0.8~1.5(~3)㎝、羽状全裂し、裂片は5~10(~15)対、披針形、羽状中裂~羽状深裂、歯がある。花序は総状花序。苞は葉状、花よりも短い。 萼は長さ約8㎜、膜質、前方にわずかに裂け、萼片は5個、狭披針形、鋸歯がある。花冠は紫赤色。筒部は先でわずかに曲がり、萼よりわずかに長い。ガレアは先が強く曲がり、不明瞭なとさかがある。嘴は下向きに曲がり、長さ約2㎜。下唇はガレアより長い。花糸は毛があるか、または後側の対は無毛になる。蒴果は斜めの卵形、約・長さ1.6㎝×幅7.5㎜、萼をわずかに超える。花期は7~8月。果期は8~9月。
36 Pedicularis transmorrisonensis Hayata ニイタカシオガマ 新高塩釜
synonym Pedicularis refracta (Maxim.) Maxim. var. transmorrisonensis (Hayata)Hurus.
台湾原産。中国名は台湾马先蒿 tai wan ma xian hao 。日本のツクシシオガマPedicularis refracta の系統に近く、変種にまとめるべきだとする見解もある。
一年草、高さ25~30(~40)㎝、基部が±木質。茎は分枝せず、節間は8㎝以下、毛の線がは4列ある。葉は4枚輪生し、葉柄は長さ約3㎜、葉身は卵状長円形~披針状長円形、長さ2㎝×幅1㎝・以下、下面に毛があり、わずかに曲がりくねり、上面にまばらに毛があり、羽状深裂~ほぼ羽状全裂、裂片は5~7対、長円状三角形、歯の先端が鋭く尖る歯があり、歯はカロース(callose)。花序は総状花序、基部で途切れる。苞は葉状。小花柄は長さ1~2㎜、無毛。萼は前方に1/2裂け、白色の絨毛がある。萼筒は長さ4.5~5.5㎜×幅約2.5㎜、萼片は5個、不等長、長さ約0.5㎜、後側の1個の萼片は三角形、側萼片は不明瞭。花冠は赤色、筒部は基部がわずかに反り、長さ7~9㎜、先がわずかに広がる。ガレアは直立、長さ5~6㎜、前部はほぼ切形。下唇は広がり、縁は微細不整歯、中裂片は卵形で、側裂片よりもはるかに小さい。花糸は2本の基部にまばらに毛があり、2本は無毛。 蒴果は3/5が開花後に大きくなる萼に囲まれ、短い披針状三角形、長さ約1㎝。種子は暗色、約・長さ1㎜×幅0.7mm。
37 Pedicularis venusta (Bunge) Schangin ex Bunge オトメシオガマ 乙女塩釜
中国(黒竜江省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア原産。中国名は秀丽马先蒿 xiu li ma xian hao。牧草地、しばしばアルカリ性の場所に生える。多年草、高さ10~40㎝。 茎は通常単一で、直立し、分枝せず、しばしば、細く、長い羊毛状毛がある。根生葉は葉柄が葉身の長さの1/2から同長、毛がある。葉身は披針形、羽状全裂し、裂片は長円形、羽状深裂し、歯があり、歯はカロース(callose)。茎葉は根生葉に似るが、小さく、上部の葉は短い葉柄がある。花序は長円形、密または細長い穂状花序、しばしば、ザラつく長い羊毛状毛がある。下部の苞は萼の長さとほぼ等しく、葉状で、中央のものは羽状に3~5裂する。小花柄は±なし。萼は鐘形、長さ8~10mm、±革質。萼片は5個、幅広の三角形で、長さよりも幅が広い。花冠は黄色、長さ2~2.5cm、筒部は直立し、先は鎌形で、ガレアより短い。ガレアは短く、嘴がない。下唇はガレアよりわずかに短く、縁毛は無い。 花糸は2本に毛があり、2本は無毛。蒴果は扁平、斜めの長円形、長さ1~1.2㎝、尖頭形。花期は6~7月。果期は7~8月。2n=16。
38 Pedicularis verticillata L. タカネシオガマ 高嶺塩釜
synonym Pedicularis hallaisanensis Hurus. タンナシオガマ
日本(北海道、本州)、中国、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。
1年草。全体に小型、高さ5~15㎝。花がミヤマシオガマに似、葉がヨツバシオガマに似ている。
多年草、高さ(5~)15~35㎝、乾いても黒色にならない。根は±紡錘形。茎は1本~7本以上まで、中央は直立し、外側は斜上し、4ラインの毛をもつ。葉は普通、4個輪生する。根生葉は多数、宿存する。葉柄は長さ約3㎝以下、白色の絨毛がある。葉身は長円形~線状披針形、長さ2.5~3㎝×幅1~1.2(~1.8) ㎝、± 下面はわずかに毛があり、羽状中裂~羽状全裂、裂片は6~10対、線状長円形~三角状卵形、±欠刻状の歯があり、歯は白色でカロース(callose)がある。茎葉は根生葉に似ているが、葉柄が短いか又はほぼ無柄で、葉身が小さい。花序は総状花序、普通、密。苞は葉状、基部の花よりかなり長く、白色の毛がある。咢は普通、赤色、卵形、長さ約6㎜、膜質、密に絨毛があり、深く前側が裂ける。裂片は3~5個、不等長、3裂のとき、後方にグループになり、鋸歯がある。花冠は紫色、長さ約1.3㎝。筒部は基部で90度曲がる。かぶとはわずかにかま形、長さ約5㎜、前が丸い。下唇はかぶととほぼ同長。中裂片は側裂片の対よりかなり小さく、円形。前側の花糸の対は毛がある。蒴果は披針形、長さ1~1.5㎝×幅4~5㎜、微突頭。種子は長さ約1.8㎜。花期は6~8月。果期は7~9月。2n=12 + 0--2f。
38-1 Pedicularis verticillata subsp. verticillata タカネシオガマ
日本(北海道、本州)、中国、モンゴル、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は轮叶马先蒿 lun ye ma xian hao 。
植物は少なくとも部分的に無毛。花冠は小さい。蒴果は狭い。咢片は普通3個。葉は幅1~1.2㎝、羽状深裂~羽状全裂、裂片は幅1~2㎜。
38-1-1 Pedicularis verticillata L. f. albiflora Makino シロバナタカネシオガマ 白花高嶺塩釜
白花品種。38-2 Pedicularis verticillata subsp. latisecta (Hulten) P. C. Tsoong
中国、ヨーロッパ原産。中国名は宽裂轮叶马先蒿 kuan lie lun ye ma xian hao植物は少なくとも部分的に無毛。花冠は小さい。蒴果は狭い。咢片は普通3個。葉は幅1.2~1.8㎝、分裂が深くなく、羽状中裂、裂片は幅3~4㎜。
38-3 Pedicularis verticillata subsp. tangutica (Bonati) P. C. Tsoong
中国原産。中国名は唐古特轮叶马先蒿 tang gu te lun ye ma xian hao植物は全体に毛がある。葉と咢片は普通、白色、小鋸歯状小歯があり、歯はカロースがある。咢片は普通、5個。花冠は大きい。蒴果は幅が広い。
39 Pedicularis yezoensis Maxim. エゾシオガマ 蝦夷塩竈
日本固有種(北海道、本州中部地方以北)。花が黄白色。葉が互生し、縁が浅裂して重鋸歯。
多年草、高さ15~60㎝。茎は根元で分かれ、上部ではほとんど枝分かれせず、直立する。葉は下部で対生、上部では互生し、長さ2~6㎝の三角状披針形、重鋸歯縁、基部は切形。葉柄は長さ1~2㎝。花は横向きにつき、白色~白黄色のねじれた唇形花。花冠は長さ約1.5㎝。蒴果は長さ約1㎝。花期は7~8月。
39-1 Pedicularis yezoensis Maxim. var. pubescens H.Hara ビロードエゾシオガマ
全体に毛が多く、ビロード状。参考
1) Flora of ChinaPedicularis
Pedicularis
Moor-king
ネムロシオガマの紅花品
白山におけるホザキシオガマの発見。
大陸辺縁における異所的種分化過程の解明に向けて~シオガマギク属植物を用いて~
Taxonomic Reyivalof Pedieularis japonica from P. chamissoniss(Orobanchace)
Pedicularis lunaris,