イヌヤマハッカ 犬山薄荷

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae ヤマハッカ属

学 名 Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara
 synonym Isodon inflexus var. umbrosus (Maxim.) Kudô
イヌヤマハッカ花序
イヌヤマハッカ蕾
イヌヤマハッカ花前
イヌヤマハッカ花
イヌヤマハッカ萼歯
イヌヤマハッカ萼歯2
イヌヤマハッカ未熟な果実
イヌヤマハッカ萼歯3
イヌヤマハッカ茎
イヌヤマハッカ
イヌヤマハッカ花柄の密毛
イヌヤマハッカ熟した果実
イヌヤマハッカ小堅果
イヌヤマハッカ葉表
イヌヤマハッカ葉裏
イヌヤマハッカ葉裏の主脈の毛
花 期 9~10月
高 さ (20)60~80㎝
生活型 多年草
生育場所 林内、林縁
分 布 在来種(日本固有種) 本州(関東地方西南部~中部地方東南部)
撮 影 茶臼山周辺  17.09.13(花)
          17.10.11(果実)
イヌヤマハッカはシソ科ヤマハッカ属の多年草。
 多年草、高さ60~80㎝。茎は4稜形で、下向きの毛が生える。葉は対生し、葉柄は長さ0.5~2㎝。葉身は長さ3~10㎝、幅1~3(3.5)㎝の長楕円形~披針形、縁は鈍鋸歯~鋭鋸歯、葉先は鋭形、葉の基部は楔形~広楔形~切形、翼のついた葉柄に続く。葉表にまばらに毛が生え、葉裏の中央脈には曲がった毛が生え、葉裏には腺点がある。花序柄は紫褐色を帯び、開出する(または下向きに曲がる:f. lilacinus )短毛が密生する。花は総状花序状につく。苞は幅が広く、卵形~楕円形。萼は2唇形、短毛が密生し、萼歯は三角形、先は鋭形、上側の萼歯が下側よりやや長く、ほとんど同じ長さの時もある。花冠は短毛があり、青紫色~淡紅色または白色、長さ8~9(12~13:var. excisinflexus)㎜、上唇は浅く4裂し、班紋はなく、下唇の縁が内巻きになって舟形に突き出す。雄しべ、雌しべとも花冠より短く、舟の中に納まる。葯は黒褐色。果実は4分果、萼に2~4個の果実が入り、初め白色、熟すと萼とともに褐色になり、ほぼ平滑、数が少ないとやや大きくなる。2n=24。花期は9~10月。
 多数の変種や品種に分類されているが、POWOでは下位分類を認めていない。YListでは以下が掲載されている。

(1) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. excisinflexus (Nakai) K.Asano タイリンヤマハッカ 大輪山薄荷

  synonym Isodon kameba Okuyama ex Ohwi var. excisinflexus (Nakai) Okuyama

 本州(東北~北陸地方、日本海岸)に分布。  カメバヒキオコシより大形。花冠が長さ12~13㎜。葉の3裂が完全ではない。

(2) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara f. albiflorus Tuyama シロバナノイヌヤマハッカ 白花犬山薄荷

 白花品種。

(3) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara f. lilacinus Asai ウスイロイヌヤマハッカ 薄色犬山薄荷

 淡紅色品種。青紫色のイヌヤマハッカに混成する。花序柄の短毛は開出する直毛ではなく、曲がる。

(4) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara f. glabricalyx Sugim. メイヌヤマハッカ

 詳細不明。

(5) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. hakusanensis (Kudo) K.Asano ハクサンカメバヒキオコシ 白山亀葉引き起こし

  synonym Isodon kameba Okuyama ex Ohwi var. hakusanensis (Kudo) Okuyama ex Ohwi

 本州(長野県~滋賀県)に分布。山地の林内、林縁に生える。
 葉の中央裂片が幅広く、鋸歯があり、2段になる。
 多年草、高さ50~150㎝。茎は4稜形、下向きの短毛が生える。葉は対生し、長さ5~12㎝、の広卵形、鋭い鋸歯がある。葉先が3裂し、中央裂片が幅広く、鋸歯があり、先だけ細長く尖り、2段になる。葉柄は長く、根元にいくほど狭くなる翼がある。枝先に花穂を出し、唇形花を多数つける。花穂軸の苞葉は卵形。花柄には開出毛が密生する。花冠は青紫色、2唇形、上唇は4裂し、下唇はボート形。萼は2唇形、上唇は3裂、下唇は2裂し、萼歯は上側の萼歯が三角形で、下側の萼歯は短い。2n=24。花期は9~10月。

(6) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. latifolius Okuyama コウシンヤマハッカ 甲信山薄荷

  synonym Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. komaensis (Okuyama) K.Asano

  synonym Isodon kameba Okuyama ex Ohwi var. latifolius (Okuyama) Okuyama

 本州(山梨県、長野県南部、静岡県、愛知県)に分布する。和名はイヌヤマハッカの変種で、甲信地方に多いことから。山地の林内、林縁に生える。葉先は3裂しない。同じイヌヤマハッカの変種のカメバヒキオコシの葉が3裂しないタイプであり、葉幅が4㎝以上と広い。萼の下唇の萼歯が低い。
 葉は対生し、柄があり、長さ5~10㎝、幅4~7㎝の卵形~狭卵形、鋭鋸歯縁、葉の基部は広楔形~切形、葉先が普通、長く尖り、葉先が3裂しない。葉幅がやや狭いもの(狭卵形)や、葉先が長く尖らないものや、やや浅く3裂するなどの変異も見られる。花は茎頂の総状花序に多数つく。花柄が長く、やや垂れ下がりぎみに花がつく。萼は2唇形、上側の3裂する萼歯(3歯の間の切れ込みの深さ約2㎜)の方が下側の萼歯(2歯の間の切れ込みの深さ1~1.5㎜)より長い。花冠は長さ9~11㎜、短毛があり、青紫色、上唇は4裂し、班紋はなく、下唇の縁が内巻きになって舟形に突き出す。雄しべ、雌しべとも花冠より短くて突き出ない。果実は4分果(3分果のことも多い)、褐色、長さ1.7~2.1㎜、鈍い3稜のある類球形。2n=24。花期は9~10月。

(7) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. latifolius Okuyama f. albescens (Okuyama) Okuyama ex K.Asano シロバナコウシンヤマハッカ 白花甲信山薄荷

  synonym Isodon kameba Okuyama ex Ohwi var. latifolius (Okuyama) Okuyama f. albescens Okuyama

 白花品種。

(8) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. leucanthus (Murai) K.Asano f. kameba (Okuyama ex Ohwi) K.Asano カメバヒキオコシ 亀葉引き起こし

  synonym Isodon kameba Okuyama ex Ohwi
  synonym Isodon excisus auct. non (Maxim.) Kudo
 本州(東北地方南部~中部地方東北部)に分布。和名は葉の形が亀のしっぽに似ていることからつけられている。
 多年草、高さ50~100㎝。茎は4稜形、下向きの短毛が生える。葉は対生し、長さ5~10㎝、幅4~9㎝の広卵形~卵形で、鋭い鋸歯がある。葉先が3裂し、中央が尾状に細長く伸びる。葉柄は長く、根元にいくほど狭くなる翼がある。枝先に花穂を出し、唇形花を多数つける。花穂軸の苞葉は卵形。花柄には開出毛が密生する。花冠は青紫色、2唇形、上唇は4裂し、下唇はボート形。萼は2唇形、上唇は3裂、下唇は2裂し、萼歯は三角形で上側の萼歯が長い。2n=24。

(9) Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. leucanthus (Murai) K.Asano f. leucanthus (Murai) K.Asano シロバナカメバヒキオコシ 白花亀葉引き起こし

  synonym Isodon kameba Okuyama ex Ohwi f. leucanthus (Murai) Okuyama
 本州(東北地方南部~中部地方)に分布。
 カメバヒキオコシの白花品種。

三河地方のイヌヤマハッカの 類似種

 茎は4稜形、下向きの毛が生える。葉は葉先が普通、尖り、基部は翼状になり、葉柄へと続く。花冠は青紫色でヤマハッカのような斑紋が無い。萼は鐘形、2唇形。
 イヌヤマハッカとコウシンヤマハッカはよく似ている。違いは葉の幅がコウシンヤマハッカの方が広い。また、葉の鋸歯がややイヌハッカの方が鈍い。
、萼歯がコウシンヤマハッカの方が短い。

1 Isodon shikokianus (Makino) H.Hara var. intermedius (Kudo) Murata  タカクマヒキオコシ 高隅引き起こし

  synonym  Isodon lanceus (Nakai) Kudo
   本州(福島県以西の太平洋岸)、四国、九州に分布。葉幅が狭く、萼などに腺毛がある。
 高さ40~80㎝。茎は4稜形、下向きの毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ0.5~3㎝。葉身は長さ3~10㎝、幅1~3㎝、披針形~広披針形、ときに長卵形~卵形、先は尖り、基部は楔形、翼状になり、葉柄へと続く。葉表は無毛~有毛があり、葉裏の中脈は無毛、腺点は不明瞭。花は茎頂の総状花序に多数つく。花柄や小花柄には微細な腺毛が密生する。苞は長楕円形~広披針形。萼は微細な腺毛があり、2唇形。萼歯は先端が細長く、上側の3裂する萼歯の方が下側の萼歯より短い。花冠は長さ8~10(11)㎜、腺毛があり、青紫色、上唇は4裂し、班紋はなく、下唇の縁が内巻きになって突き出す。雄しべ、雌しべとも花冠より短く突き出ない。果実は4分果。

参考

1) 神奈川県植物誌 2001
  (5a)イヌヤマハッカ p1202
2)山に咲く花 p156
3) Taxonomy - GRIN-Global Web v 1.9.8.2
 Isodon
http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxonomylist.aspx?category=species&type=genus&value=Isodon&id=6105
4) 植物和名ー学名インデックス YList  
http://ylist.info/