アキノタムラソウ 秋の田村草
Flora of Mikawa
シソ科 Lamiaceae アキギリ属
中国名 | 鼠尾草 shu wei cao |
学 名 | Salvia japonica Thunb. |
花 期 | 7~11月 |
高 さ | 20~50㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山野の道端に普通 |
分 布 | 在来種 本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国 |
撮 影 | 幸田町 05.7.30 |
白花品種はシロバナアキノタムラソウという。
類似のナツノタムラソウやシマジタムラソウは雄しべが曲がらず、花冠の中間から外へ突き出る。
アキギリ属
family Lamiaceae - subfamiy Nepetoideae - tribe Mentheae(ハッカ連) - subtribe Salviinae - genus Salvia草本、亜低木、低木。葉は単葉、羽状複葉。花序は輪散花序、2個~多数の花が総状花序、穂状花序、まれに花が単性、腋生。小苞は小さい。萼は筒形~鐘形、のどの内側は有毛又は無毛、2唇形。上唇は全縁~2歯~3微突形。下唇は2歯。花冠は2唇形、花筒は真っすぐ、水平、上側へ曲がるか外側に広がり、内側に環状に有毛又は無毛。上唇は折れ、直線状又はかま形、先は全縁又は凹形。下唇は広がり、3裂。中裂片は最も広く、縁は全縁、先は凹形、縁毛又は小裂片が2個。側裂片は長楕円形又は円形、広がるか又は後屈する。雄しべは2個、花糸は短く、水平又は直立。葯隔(connective)は長く伸び、線形~T形。上側のアームには稔性、楕円形又は線形の葯室がつき、下側のアームは強く又は細く、稔性又は不稔の葯室があり、互いに分離又は結合する。花糸は短い。仮雄しべは2個、小形又は欠く。花柱は2裂、裂片は錐形、線形又は円形、等長。前側の裂片は大きく又は後側の裂片が不明瞭。花盤は前側がわずかに膨らみ又はリング形。小堅果は3稜形、卵j形又は長楕円形、無毛、平滑。
約900(~1100)種が世界の熱帯、温帯に分布する。中央アメリカ・南アメリカに約500種、アジア西部に約200種、アジア東部に約100種の主な3地域に分かれ、メキシコの高地にCalosphace亜属の約275種、トルコに約90種が多い国である。虫媒花、鳥媒花であり、186種以上の鳥類受粉が確認されている。
アキギリ属の亜属 subgenus、節 section
1 アキギリ亜属 Salvia subgenus Salvia: Old World ヨーロッパ、アジア種synonym アキノタムラソウ亜属Allagospadonopsis Briq:アキノタムラソウ (Salvia japonica)
S. sect. Eurysphace , S. sect. Physosphace ,S. sect. Hymenosphace , S. sect. Drymosphace , S. sect. Salvia[S. offieinalis L.] , S. sect. Drymosphaee Benth.[S. glutinosa L.] , S. sect. Gymnosphace(syn. subgenu Gymnosphace亜属)
2 スクラレア亜属 subgenus Sclarea: Old World ヨーロッパ、アジア種S. sect. Aethiopis , S. sect. Drymosphace , ect. Echinosphace , S. sect. Eremosphace , S. sect. Hemisphace , S. sect. Heterosphace , S. sect. Horminum , S. sect. Hymenosphace , S. sect. Macrocalyx , S. sect. Notiosphace , S. sect. Plethiosphace , S. sect. Sogdosphace
3 カロスパケ亜属 subgenus Calosphace: New World 約500種うちメキシコに300種 中央アメリカ・南アメリカ種
S. sect. Albolanatae , S. sect. Angulatae , S. sect. Axillares , S. sect. Biflorae , S. sect. Brandegeia , S. sect. Briquetia , S. sect. Caducae , S. sect. Calosphace(Heterotypic S. sect. Subrotundae) , S. sect. Coeruleae[S. atrocyanea , S. guaranitica] , S. sect. Corrugatae , S. sect. Curtiflorae , S. sect. Discolores , S. sect. Donnellsmithia , S. sect. Dusenostachys , S. sect. Ekmania , S. sect. Erythrostachys , S. sect. Farinaceae , S. sect. Flexuosae , S. sect. Flocculosae , S. sect. Floridae , S. sect. Fulgentes , S. sect. Hastatae , S. sect. Holwaya , S. sect. Incarnatae , S. sect. Insignifoliae , S. sect. Leucocephalae , S. sect. Longipes , S. sect. Membranaceae , S. sect. Microsphace , S. sect. Nobiles , S. sect. Pavonia , S. sect. Peninsulares , S. sect. Polystachyae , S. sect. Potiles , S. sect. Rubescentes , S. sect. Secundae , S. sect. Scorodonia , S. sect. Sigmoideae , S. sect. Siphonantha , S. sect. Standleyana , S. sect. Tomentellae , S. sect. Tubiflorae , S. sect. Uricae , S. sect. Wrightiana
Nothosectiones: S. nothosect. Angutes , S. nothosect. Flexucundae
S. sect. Echinosphace , S. sect. Pycnosphace , S. sect. Heterosphace[S.lyrata L.] , S. sect. Notiosphace , S. sect. Hemisphace)
※参考)Turner, B.L. 2013. Taxonomic overview of the Mexican species of Salvia sect. Flocculosae (Lamiaceae). Phytoneuron
アキギリ属の主な種と園芸品種
1 Salvia akiensis A.Takano, Sera et Kurosaki テリハナツノタムラソウ 照葉夏の田村草
日本(広島県、島根県)固有種。多年草。高さ30~40㎝。茎は直立し、4稜形、下向きの微細毛がある。根生葉は羽状複葉、小葉は1~2対つき、卵円形、先が円形、表面に光沢がある。茎葉は1対つき、その葉腋に花序をつけ、円錐花序状、花が仮輪に数個ずつつく。花は唇形。花冠は淡青紫色、長さ約11㎜、外面に白色の長軟毛が密生する。花冠内面の環毛は中央部近くにある(タジマタムラソウは内面の全面に細毛がある。ナツノタムラソウは花冠が濃紫色、長さ9~10㎜)。雄しべは2個、突き出る。雌しべは雄しべより長く突き出る。
2 Salvia argentea L. ビロードアキギリ
synonym Salvia alpestris Hausskn.
synonym Salvia macedonica Hausskn.
ヨーロッパ南部原産。英名はsilver sage , silver salvia , silver clary。
2年草または短命の多年草。茎は直立し、高さ60~90cm。根生葉は大きく広がり、高さ30~60㎝×幅約100㎝になり、葉は広卵形、長さ20~30㎝×幅約15㎝、両面に羊毛状の絹毛があり、ビロード状になり、初めは銀白色で、開花後は灰緑色に変わり、秋の涼しい季節には再び銀色に変わる。花茎は60~90㎝。花は筒状でフードがあり、白色で黄色やピンク色を帯びる。花期は6~7月。
品種) 'Artemis'
3 Salvia azurea Michx. ex Lam. サルビア・アズレア
USA原産。英名はpitcher sage , big blue sage , azure sage , giant blue sage , blue sage。高地の草原、空き地、崖の棚や頂上、サバンナ、高地の森の開口部、野原、柵沿い、鉄道、道端、開けた荒れた地域に生える。
多年生、広葉草本(forb)、 太く、しばしば木質の根茎をもつ。 茎は直立~斜上し、高さ1.5m以下、4角(かど)があり角は丸く、縦の竜骨があり、短い曲がった毛が密生し、ときに、基部でまばらになり、ときに、長い開出する毛が散在する。葉は対生、根生葉と茎下部の葉は花時には通常存在せず、短~長の葉柄があり、葉身は長さ3~7㎝、倒卵形~長円状倒卵形~倒披針形。茎葉は3~多数対つき、短い葉柄があり、葉身は長さ2~8㎝、線状披針形~披針形~倒披針形、基部は先細り、鋭く尖った先端に向けて傾斜し、縁は細かい鋸歯があるか~ほぼ全縁、上面にはまばらに毛があり、短い曲がった毛があるかまたはほぼ無毛、下面には密に毛があり、伏したまたは曲がった、ややフェルト状の短い毛があり、通常は無柄の腺もある。花序は頂生の穂状花序または輪生の花がつく総状花序 (verticillasters:輪散花序) で、通常は節ごとに1~4個の花がつく。花は長さ6㎜以下の小花柄につき、反曲する毛がある。苞は通常、宿存し、長さ2~8㎜、狭披針形~線形。 花 - 萼は花時に長さ4~7㎜、果時には6~10㎜に伸び、密に短毛があり、12~13脈があり、上唇は全縁、下唇は浅く2裂する。花冠は左右相称(zygomorphic)、2唇形、長さ10~25㎜、外面は短い毛が密生し、青色、しばしば下唇に淡色の模様があり、筒部は萼よりずっと長く、上唇は強くフード状になり、全縁または先端に非常に浅い切れ込み(ノッチ)がある。下唇は上唇よりもはるかに大きく、比較的よく発達した側裂片と幅の広い扇形の中裂片があり、これは先端に比較的深く切り込まれる。雄しべは2本、上唇で覆われている。果実 - 乾いた分離果は 4個の小堅果に分かれ、長さ2.0~2.8㎜、表面は褐色で平滑または微細な玉石状になり、ときに無柄の腺がある。花期は7~9月。
品種) 'Nekan' , 'September Snow'
4 Salvia blepharophylla Brandegee サルビア・ブレファロフィラ
メキシコ原産。英名はeyelash-leaved sage
高さ45~50㎝。地面を這う匍匐茎によって広がる。茎は直立し、赤色を帯びる。葉は卵形で、縁に小円鋸歯があり、まつ毛のような毛で縁取られ、eyelash-leaved sageと呼ばれる。輪散花序は長さ30㎝、緩く花が多段に輪生し、段の節間は約2.5㎝。花序柄は長さ15~20㎝。花は鮮やかな朱色、フードの小さな2唇形、長さ約2.5㎝、萼は緑色、ときに赤色を帯び、腺毛がわずかにある。花期は夏~秋。
品種) 'Diablo' , 'Painted Lady'
5 Salvia caudata Epling サルビア・コウダータ
メキシコ原産。英名は blue sky Mexican sage
大型、通常、高さ2~3m。茎は木質になる。葉は広卵形、基部は心形、暗緑色、縁は細鋸歯縁、先は尖鋭形、葉脈は明瞭。輪散花序は花が少なく、4輪生、ときに2輪生、花は濃青紫色、下唇の白班が大きく目立つ。萼は上側が暗紫色、下側は緑色~淡色。花期は夏。
品種) 'El Cielo Blue'
6 Salvia chamaedryoides Cav. サルビア・カマエドリオイデス
メキシコ原産。英名はgermander sage , Mexican blue sage , blue oak sage。別名はジャーマンダーセージ、メキシカンブルーセージ。標高2100~2800mの山地に生える。
多年草、高さ30~60㎝。茎は多数分枝し、低く四方に広がり、枝は直立~斜上して丸く叢生し、基部は木質になる。高さは45㎝まで。葉は対生し、楕円形、長さ2.5㎝以下、葉先は鈍形~円形、白色の細毛に被われ、銀灰緑色。頂生の輪散花序に花を数段、輪生する。花は2唇形、鮮やかな濃青色~濃青紫色、下唇は幅が広く、基部に2個の白色の斑紋があり、上唇は幅が狭く、直立し、内側が白色になる。萼は2唇形、緑色で先が紫色を帯び、白色の細毛がある。花期は5~11月。 品種) 'Marine Blue' , 'Superba'
7 Salvia chanryoenica Nakai チョウセンアキギリ 朝鮮秋桐
韓国固有産。慶尚北道、京畿道、江原道などに分布する。海抜1000m以上の山地の稜線部に近い日陰で湿気の多い場所に生える。若芽は食用とされ、観賞用に植えられる。
多年草。 茎は直立し、四稜形、わずかに分枝し、高さ40~50㎝、茎全体に褐色の毛が密生する。葉は対生し、葉身は単葉、楕円形~卵状長円形、長さ2.5~13㎝×幅が3~11㎝、先は鈍形、基部は心形、縁に鈍鋸歯があり、葉柄は長さ8~10㎝だが、根生葉はさらに長い。花は黄色、7~8月に開花し、上部の節に4~6個ずつ輪生する。小花序柄は長さ5~6㎜。花序は線形。萼は2唇形、外側に腺毛と多少の毛があり、花冠は先端が2裂し、萼の長さの約2倍、外側に多少、腺毛がある。雄しべは2本、花柱は長く外に突き出し、先端が2裂する。果実は痩果、9~10月に熟し、種子は平ら、広倒卵形、無毛。
8 Salvia chinensis Benth. マルバノアキノタムラソウ 丸葉秋の田村草
synonym Salvia japonica Thunb. f. chinensis (Benth.) Kudo
中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、四川省、浙江省)、台湾原産。中国名は华鼠尾草 hua shu wei cao。標高100~500mの森林、丘の中腹または平原の草叢に生える。薬用に使われる。
1年草。茎は基部で直立または平伏し、高さ20~60㎝、毛または絨毛がある。葉は単葉または茎の基部では3小葉なる。葉柄は長さ0.1~7㎝。単葉の葉身は卵形~卵状楕円形、長さ1.3~7㎝×幅0.8~4.5㎝、脈の毛を除いて無毛、基部は心形~円形、縁は円鋸歯または鈍鋸歯がある。頂小葉は長さ2.5~7.5cm、小葉柄は長さ0.5~1.7㎝。花序は毛があり、輪散花序は花が6個つき、下部は間隔が広く、上部では密集し、長さ5~24㎝の有毛の末端総状花序または円錐花序を形成する。苞は披針形、長さ2~8㎜×幅0.8~2.3㎜。小花柄は長さ1.5~2㎜。萼は鐘形、長さ4.5~6㎜、紫色、脈には絨毛があり、喉部には密に粗毛が環状にある。萼筒は長さ4~4.5㎜、上唇は±半円形、約・長さ1.5㎜×幅3㎜、先は3微突形、下唇は上唇より長く、約・長さ2㎜×幅3㎜、歯は狭三角形で、先は尖鋭形。花冠は青紫色または紫色、長さ約1㎝、突き出し、毛がある。花冠筒部は内側に斜めの直軟毛が環状にあり、長さ約6.5mm、喉部の幅は3㎜まで。上唇は長円形、約・長さ3.5㎜×幅3.3㎜、広がる。下唇は約・長さ5㎜×幅7㎜、中裂片は倒心形、下向きに曲がり、約・長さ4mm×幅7㎜、縁には小円鋸歯があり、先は凹形、側裂片は半円形、幅約1.3㎜。雄しべはほぼ突き出る。花糸は長さ約1.8㎜。葯隔は長さ約4.5㎜、上腕は長さ約3.5mm。小堅果は褐色、楕円状卵形、約・長さ1.5㎜×幅0.8㎜。花期は8~10月。
9 Salvia clevelandii (Gray) Greene クレベランドセージ
USA(カリフォルニア州)、メキシコ(バハカリフォルニア州)原産。英名はfragrant sage , blue sage , Jim sage , Cleveland sage。標高1350m以下の低木の茂み(chaparral)、乾燥した斜面、海岸の低木林に生える。
低木、高さ1.5mまで、灰緑色。ほぼ全体に毛があり、毛は単純、下向きに曲がる。葉は長さ2~4㎝、葉身は楕円状卵形、しわがあり、基部は先細~ほぼ切形、縁の歯は小さくて円い。花序は1~3個の花が束生する穂状花序。苞は堅く、色が暗植、萼よりも小さい。花の萼は長さ8~10㎜、先端1/3~全てが紫色、上唇は全縁~細かく3裂する。花冠筒部は長さ12~18㎜、暗青紫、上唇は2裂し、長さ6~8㎜、下唇は長さ4~5㎜。雄しべ、花柱は突き出る。果実は長さ2~2.5㎜、褐色~灰色、一般にまだら模様になる。2n=30。花期は4~7月。
品種) 'Betsy Clebsch' , 'Winnifred Gilman'
ハイブリッド 'Allen Chickering' , 'Aromas' , 'Celestial Blue' . 'Pozo Blue' , 'Santa Cruz Dark', 'Whirly Blue'
10 Salvia clinopodioides Kunth サルビア・クリノポディオイデス
メキシコ原産。英名はMichoacan blue sage
高さ80~100㎝。葉は対生し、卵形、長さ12㎝×幅7㎝・以下、先は多少、尖り、縁は鋸歯縁、基部は円形または鋭形で狭くなり葉柄に続く、毛があり、ときに絹毛状になる。葉柄は長さ6㎝まで。花序は長さ30㎝以下の総状花序、(多数の花の)輪生に球形の仮輪が形成され、最大3㎝離れる。苞は宿存し、広卵形、丸みを帯び、長さ2.5㎝までで、毛で覆われる。花: 萼は長さ10㎜まで(果時に20㎜まで)、毛があり、筒部は鐘形、先が2唇に分かれ、上唇は多少、帽子状になり、先は微細な点になり、明瞭な7脈があり、下唇は上唇より短く、2つの尖った裂片に分かれる。花冠は濃青色の、花冠は長さ13~14mmの筒形で、先が2唇に分かれ、上唇は長さ6㎜で帽子状、下唇は長さ10~12㎜で不均等に分裂する。雄しべは2本、上唇に隠れる。萼片が長さ20㎜までで宿存し、果実を隠している。果実は暗い斑点のある明るい色の4個の小堅果(通常、すべて熟すわけではない)で構成される。
品種) 'Michoacan Blue'
11 Salvia coccinea Juss. ベニバナサルビア 紅花撒爾韮亜
subgenus Calosphace , section Subrotundae
北アメリカ(サウスカロライナ州~フロリダ州、テキサス州)、中央アメリカ(メキシコ、 西インド諸島)原産。英名は scarlet sage , Texas sage , tropical sage , wild salvia。別名はベニバナタムラソウ、コクネシア。
1年草又は2年草。茎は直立し、高さ70㎝以下、下向きの灰色の長軟毛が多い。葉柄は長さ0.5~2㎝。葉身は卵形~三角状卵形、長さ2~5㎝、幅1.5~4㎝。葉裏は灰色の短い綿毛があり、基部は心形~類切形、縁は鋸歯縁~鈍鋸歯縁、葉先は鋭形。花序は下向きの細かい白色の軟毛が密にある。茎頂の隙間の広い総状花序に4~多数の花が輪生する。苞は卵形、花柄より長く、縁毛がある。花柄は長さ2~3㎜。萼は筒状鐘形、長さ7~9㎜、細かい軟毛があり、微軟毛があり、黄色の腺毛が混じる。上唇は長さ約2.5㎜、幅約3㎜、縁毛があり、先は微突形。下唇は上唇と長さが近く、深く、2歯がある。花冠は筒状(tubular)スカーレット又は濃赤色、長さ2~2.3㎝、軟毛がある。筒部は長さ約1.6㎝。上唇は下唇より短い。下唇は長さ約7㎜、幅約8.5㎜。雄しべは長く突き出る。花糸は長さ約4㎜、細い。小堅果は黄褐色、黒色の斑点があり、倒卵形、長さ1.5~2.5㎜。
品種) 'Alba' , 'Brenthurst' , 'Bicolor' , 'Coconut Ice' , 'Coral Nymph' , 'DAnsalcin1' (PBR) , 'Dansalcin5' , 'Elstead Crimson' , 'Forest Fire' , 'Hummingbird' , 'Lactea' , 'Lady in Red' , 'Lavender Form' , 'Lavender Sprite' , 'Pseudococcinea' , Sallynia™ Salmon , 'Snow Nymph' , Summer Jewel™ Lavender , Summer Jewel™ Pink , Summer Jewel™ Red , Summer Jewel™ White , 'Yucatan' , 'Tavistock' , 'Vermilion' , 'White Nymph'
12 Salvia darcyi Compton サルビア・ダルシー
メキシコ原産。英名はGaleana red sage , Darcy's sage, Fiery sage, Red mountain sage
Salvia stoloniferaによく似るがSalvia stoloniferaは高さ60㎝まで、茎や葉の腺毛がまばら。花序の仮輪に花が1~4個。
半常緑、多年草、高さ60~80㎝、高くなると1.5m以上になる。茎や葉に密に腺毛がある。茎は直立し、明瞭な4稜形、紫褐色。葉は心形、緑色。花序の仮輪に花が4~6個つく。花は鮮やかな赤色。萼は紫褐色。花期は8~10月。
品種) 'Beauty Red' , 'Presidio' , 'Pscarl' , Vermilion Bluffs@
13 Salvia discolor Kunth サルビア・ディスコロール
ペルー原産。英名はAndean sage , Andean silver sage , black sage, silverleaf sage。アンデス山脈の標高約1000mの小さな谷に限定して生息する。種名はラテン語のdiscolor(異なる色)で、葉の上面と下面の色が異なることに因む。
常緑の多年生低木で、根元から大きく枝分かれし、高さ40~90㎝、断面が四角形の茎は若い枝を除いて帯白色の綿毛で覆われる。葉は対生し、葉柄は長さ約1.6㎝、白色の綿毛で覆われる。葉身は単葉、卵状披針形、先は尖り、縁は全縁、上面は濃い緑色で無毛、下面は帯白色の綿毛で覆われ、芳香があり、長さ4~8㎝×幅2~4㎝。花序は頂生、長さ20~25㎝、は、長さ2~3cmの短い花序柄の上に半垂れ下がった花のグループを持ち、花序軸上に比較的間隔をあけて渦巻き状につき、強い芳香を放つ。花序軸には腺が存在するため粘着性があり、そこに小さな昆虫が付着したままになることがよくある。2唇形の鐘形の萼は緑白色の綿毛で覆われ、上唇は卵形で先が尖り、下唇は2歯がある。花冠は黒紫色の、上唇は全縁、下唇は3裂し、中裂片が長くなる。蜜が豊富なこの花は多くの昆虫を引き寄せ、原産地ではハチドリによって受粉される。萼が紫色に染まり、寸法が小さい品種の'Purple Bracts'がある。芳香のある粘着性の葉と珍しい黒青色の蜜を含む花は品種のGiuseppe Mazzaである。自然界でも栽培でも珍しいこの植物は、特に装飾的で芳香のある葉と、珍しい色の花を持つ花序を備えているため、さらに普及する価値がある。熱帯および亜熱帯の気候帯ではほぼ継続的に開花し、温帯から温暖な気候帯では春から最初の寒さまで開花し、地上部に重大な損傷を与えることなく、約-4℃までの温度に耐えることができる。(参考5)
品種) 'Purple Bracts'
14 Salvia elegans Vahl パイナップルセージ
メキシコ原産。英名はpineapple sage , pineapple-scented sage。中国名は凤梨鼠尾草 feng li shu wei cao。別名はサルビア・エレガンス。
多年草、寒冷地では1年草として栽培されることが多く、高さ0.9~1.2m(自生地では亜低木高さ1.8~2.7m)。葉を傷つけるとパイナップルの香りがする。茎は4稜形。葉は対生、長さ5~7.5㎝、楕円形、鋸歯縁両面に軟短毛があり、薄緑色~黄緑色。穂状花序は頂生、長さ20㎝以下、仮輪は緩くつく。花は2唇形、明るい緋色(bright scarlet red)、普通、長さ2.5㎝以下。花期は8~10月。花や葉が食用とされる。小堅果はは小さい楕円形、暗褐色、熟すと数日で咢から落ちる。花期は9~11月。
品種) 'Frieda Dixon' , 'Honey Melon' , Rockin'@ Golden Delicious , 'Tangerine'
15 Salvia farinacea Benth. ブルーサルビア
USA原産。英名はmealy blue sage , mealycup sage , mealy sage。中国名は粉萼鼠尾草 fen e shu wei cao。別名はケショウサルビア、サルビア・ファリナセア。
多年草、半耐寒性の1年草として栽培される。直立又は不規則に広がり、高さ(30)50~70(90)㎝、普通、高さと同じ程度の幅になる。矮性の園芸品種もある。Mealy sageと呼ばれるのは咢片がファルト状の毛で覆われ、粉白色(ときに紫色)に見えるため。葉は対生、有柄、多数つき、ときに下部では多く、輪生に見えることもある。葉身は長さ8㎝以下、幅2㎝以下、楕円形~狭披針形、灰緑色、葉縁に歯が有又は無。花は茎上部に密集して輪生し、長さ7.5~23㎝の輪散花序(散形花序状の総状花序)を作り、花が10~16個程度つく。花は2唇形、暗青色又は白色、上唇は小さく、下唇は大きく、全部で5裂片、長さ1.6~1.8㎝。雄しべは2個。雌しべは1個。普通、セージの芳香がある。x=10。花期は4~10月。
品種) 'Augusta Duelberg' , 'Blue Bedder' , CathedralR Deep Blue , 'Cirrus' , 'Evolution' , 'Fairy Queen' , 'Gruppenblau' , 'Henry Duelberg' , 'Reference' , 'Rhea' , Sallyfun™ White , 'Silver White' , 'Strata' , 'Texas Violet' , 'Victoria Blue' , 'Victoria White'
16 Salvia filicifolia Merr. サルビア・フィリキフォリア
synonym Salvia japonica Thunberg var. filicifolia (Merrill) Metcalf & E. Peter.
中国(広東省、湖南省)原産。中国名は蕨叶鼠尾草 jue ye shu wei cao。岩場や砂地に生える。多年草。茎は直立またはわずかに斜上する。葉は3~4回羽状複葉、葉柄は長さ7~10㎝、葉身は広卵形、約・長さ7㎝×幅7㎝、小葉は多数あり、狭楕円形~線状披針形または倒披針形、縁は全縁または少数の小裂片状、長さ8~15㎜×幅2~4㎜、下面は無毛。輪散花序は花が6~10個つき、花序柄がある総状花序または円錐花序で長さ10~23㎝になる。花序軸は灰色の微軟毛と腺のある直軟毛がある。苞は線状披針形、長さ4~7㎜。小花柄は長さ1.5~2㎜、微軟毛がある。萼は筒状、長さ約7㎜、外側の脈に腺のある伏した剛毛(strigose)がある。萼筒は長さ約4㎜、喉の内側にまばらな絨毛が環状に生え、上唇は三角形または半円形、約・長さ2.5㎜×幅3.5㎜、縁は全縁。下唇は約・長さ2.8㎜×幅3.5㎜、浅い2歯があり、歯は三角形、先端は棘状。花冠は黄色、密に直軟毛がある。花冠筒部は内部に不完全な直軟毛の環があり、長さ約8㎜、基部の幅約1.5㎜。上唇は楕円形、約・長さ2.2㎜×幅1.8㎜。下唇は約・長さ2.5㎜×幅4㎜。雄しべが突き出る。花糸は長さ約2㎜。葯隔は長さ6~8㎜、無毛、上腕は長さ約5㎜、下部は長さ約1.8㎜。小堅果は褐色、楕円形、長さ約1.5㎜。花期は5~9月
17 Salvia fruticosa Mill. サルビア・フルティコサ
synonym Salvia triloba L.f.
ギリシャ、イタリア、アルバニア、トルコ、シリア、レバノン、イスラエル、キプロス、リビア原産。英名はGreek sage , Greek-oregano , three-lobe sage。別名はギリシアセージ。
多年草または亜低木、高さ50~80(120)㎝。茎は木質になる。枝は先まで腺毛があり、粘り、若いシュートは直立し、綿毛(woolly hairs)に覆われる。葉は十字対生し、しばしば、おもな葉の下に1~2対の小さな葉をつけ、卵形~楕円形、縁に歯があり、上面は緑色、下面は帯白色、縁が波打ち、ほとんどが長さ50㎜、基部にかなり小さな2個の裂片をもつ。花はピンク色、ライラック色、ときに白色、長さ16~25㎜、各輪に4~6個の花が輪生し、苞がつく。花冠は2唇形、上唇はヘルメット形、下唇は3裂し、中裂片が大きい。萼は短い尖った腺のある萼片が5個あり、花後に大きくならない。雄しべは2本、曲がり、花冠上唇のヘルメットの中につく。果実は4個、3角(かど)のある平滑な痩果。花期は4~5月(参考5)。
品種) 'Greek Skies'
18 Salvia gesneriflora Lindl. & Paxton サルビア・ゲスネリフロラ
メキシコ原産。英名はMexican Scarlet Sage。標高2500~3000mに生える。
多年草または亜低木、野生では高さ7.6mになる。栽培では風で倒れ、高さ1.5m以下であるが、毎年厳しい剪定(地面近くの葉の節まで)を行うことで1.8mまでに成長する。少なくとも基部は木質になる。葉は単葉(または羽状分裂する)、心形、中程度の緑色で、葉に強い芳香がある。花序は長さ20~30㎝、花が密な間隔で渦巻き状につく。花は2唇形、大きく、長さ3.8㎝まで、鮮やかな橙赤色。萼は長さ3.8㎝まで、黄緑色で紫色を帯び、腺がある。花期は晩冬~初春。
品種) 'Compact Form' , 'Green Calyx Form' , 'Mole Poblano' , 'Mountain Form' , 'Tequila'
19 Salvia glabrescens (Franch. et Sav.) Makino アキギリ 秋桐
synonym Salvia glabrescens (Franch. et Sav.) Makino f. robusta (Koidz.) Murata
synonym Salvia nipponica Miq. var. glabrescens Franch. et Sav.日本(本州中部地方~近畿地方)固有種。別名はミヤマアキギリ(深山秋桐)。山地の木陰に生える。秋にキリに似た花をつけるところから秋桐といい、葉の形が三角形で琴の糸をささえる琴柱(ことじ)に似ているところから、コトジソウともいわれる。
多年草、高さ20~50㎝。茎は4稜形、下部は這い、上部は直立する。全体に毛があるが、茎や花序には腺毛がない。葉は対生して葉柄がある。葉柄は長さ2~8㎝。葉身は長さ6~10㎝×幅4~7㎝、三角状矛形、先は鋭形、縁に粗い鋸歯がある。花が数個つく輪散花序が多段につき、頂生する穂状花序状の総状花序に多数の花をつける。花は唇形、外面には細かい毛がある。萼は2唇形、長さ1.1~1.3㎝、腺点があり、脈上に白色の長毛がある。花冠は2唇形、長さ2.5~3㎝、紅紫色、無毛、上唇は真っすぐ直立し、下唇より長く、下唇は3裂して垂れ下がり、中裂片が大きい。筒部の内面に広く毛があり、毛は先が尖り、表面はザラつく。雄しべは2本、仮雄しべは2本。葯は赤紫色。葯隔は糸状に長く伸びる。雌しべは花冠から長く突き出て、先が淡紅紫色になり、柱頭が2裂する。花期は(8)9~10月。
品種) 'Alba' , 'Autumn Equinox' , 'Momobana' , 'Shi Ho'
19-1 Salvia glabrescens (Franch. et Sav.) Makino var. purpureomaculata (Makino) K.Inoue シボリミヤマアキギリ 絞深山秋桐
synonym Salvia glabrescens (Franch. et Sav.) Makino f. purpureomaculata (Makino) Honda
花は長さ約3㎝、黄色に淡紅色を帯びる。19-2 Salvia glabrescens (Franch. et Sav.) Makino var. repens (Koidz.) Kurosaki ハイコトジソウ這琴柱草
synonym Salvia nipponica Miq. var. repens (Koidz.) Kudosynonym Salvia nipponica Miq. f. repens Koidz.
20 Salvia greggii A. Gray サルビア・グレッギー
USA,メキシコ原産。英名はautumn sage , San Antone-oregano , cherry sage。
多年草、亜低木状、常緑~半常緑、高さ0.3~0.9(1.2)m。若い茎は角(かど)があり、緑色、古い茎は下部が木質になり、毛はほとんど枝分かれのない単毛。葉は対生し、鈍い粉白色を帯びた緑色、やや革質、楕円形、長さ5㎝以下(普通2.5㎝以下)、ほとんど無毛~短毛があり、小さい。スパイシーな香りがあ、著しい腺点があり、縁は全縁。総状花序はは頂生、短い穂状花序、筒状の花が束生する。花は唇形、大きさや色は様々であり、長さ(6)15~25㎜、野生では普通、緋色~赤色、栽培種ではローズ色、白色、ピンク色、ラベンダー色、アプリコット色、紫色もある。花冠内部の基部には乳頭状突起は無い。虫媒花、鳥媒花であり、ハチドリも蜜を吸いに来る。果実は目立たない紙質の蒴果、4小堅果。花期は(3~)6~11月。
品種) 'Alba' , 'Annie' , 'Big Pink' , 'Black Cherry' , 'Burgundy Seduction' , 'Caviar' , 'Cherry Chief' , 'Cold Hardy Pink' , 'Coral' , 'Crimson and Black' , 'Dark Dancer' , Desert Blaze™ , 'Diane' , 'Flame' , 'Furman's Red' , 'Hot Pink' , 'Iced Lemon' , 'Lara' , 'Lipstick' , 'Los Lisios' , 'Lycioides' , Mesa™ Azure , Mesa™ Purple , Mesa™ Rose , Mesa™ Scarlet , 'Moonlight' , Navajo™ Bright Red , Navajo™ Cream , Navajo™ Dark Purple , Navajo™ Pink , Navajo™ Rose , 'Peach' , 'Pink Preference' , Puebla™ Cherry , Puebla™ Light Orange , Puebla™ Rose , Puebla™ White , 'Pumpkin' , 'Purple' , 'Purple Pastel' , 'Raspberry' , 'Raspberry Delight' , 'Raspberry Royale' , 'Rodbaston Goldfish' , 'Rose Pink' , 'Rosea' , SallyG™ Flamingo , SallyG™ Fuchsia , SallyG™ Groovy Magenta , SallyG™ Magenta , SallyG™ Red Tower , SallyG™ Vanilla , 'San Takao' , 'Sierra Linda' , 'Sierra Pink' , Stampede™ Cherry , Stampede™ Citron , Stampede™ Lavender , Stampede™ Punch , 'Stormy Pink' , 'Strawberry Delight' , 'Strawberry Fayre' , 'Sungold' , 'Teresa' , 'Wild Thing'
21 Salvia guaranitica A.St.-Hil. ex Benth サルビア・ガラニチカ
synonym Salvia coerulea Benth.南アメリカ原産。英名はblue anise sage , anise-scented sage , Brazillian blue sage。別名はサルビア・グアラニティカ、メドーセージ。
落葉低木。高さ90~150㎝。茎は断面が四角、腺毛が密生する。葉は長さ5~12㎝、先が尖り、基部は切形。下部の葉は長さ5㎝ほどの葉柄がある。花は穂状花序につき、長さ3~5㎝の濃い青紫色の唇形花。上唇はフード状で大きく、下唇は短い。萼は黒色を帯び、先が2裂し、下側の先がさらに浅く2裂する。2n=88(x=11、 8倍体)。花期は7~10月。
subgenus Calosphace-sect. Coeruleae セージの一種であり、香りが強い。花壇に観賞用によく植えられ、逸出したものが見られる。園芸品種も多い。品種のBlack and Blueは萼が黒くなり、Omaha Goldは葉に斑が入る。メドーセージともいわれるが、メドーセージは流通業者がMeadow Sageと誤ってつけた名前であり、Meadow Sageはメドウセージといわれ、別種のSalvia pratensis。学名はKewscience ではSalvia guaranitica としている。
品種) 'Argentina Skies' , 'Black and Blue' , 'Blue Enigma' , 'Costa Rica Blue' , 'Kobalt' , Nectar Blue™ , 'Omaha Gold' , 'Sapphire Blue' , 'Violet Eyes'
22 Salvia hayatana Makino ex Hayata ヤンバルタムラソウ
synonym Salvia hayatae Makino ex Hayata excl. syn.
synonym Salvia arisanensis Hayata アリサンタムラソウ
台湾原産。中国名は阿里山鼠尾草 a li shan shu wei cao。KewscienceやFlora of ChinaではSalvia hayatae Makino ex Hayataとしている。
1年草。 茎は高さ20~45㎝、後ろ向きの微軟毛がある。 葉はほとんど根生で、1~2回羽状複葉。葉柄は長さ1~2.5㎝。頂小葉は長さ0.8~2.5㎝×幅0.7~2㎝、±膜質、上面に細かい伏した剛毛があり(strigose)、下面は無毛、脈に沿って毛があり、基部は斜めの楔形~浅い心形、縁は不規則な小裂片~粗い円鋸歯があり、先は鋭形~鈍形。 側小葉はほぼ無柄、ほぼ円形、かなり小さい。 花序は腺のある直軟毛が密にあり、輪散花序には2~5個の花がつき、下部の輪散花序は間隔が広く、上部では密集しており、全体で頂生の総状花序または円錐花序となり、花が約15~16個つき、長さ約14㎝。苞は披針形、小花柄より短い。小花柄は長さ2~3㎜。萼は筒状、長さ約5㎜、果時に長さ6~6.5㎜、脈上に微軟毛があるかまたはほぼ無毛、内側は無毛で、萼筒は長さ約3.3㎜、上唇は広亜三角形、下唇は2裂し、歯は狭三角形、先は尖鋭形。花冠は長さ約6.5㎜、わずかに突き出し、まばらに毛がある。花冠筒部は内側に毛が環状につき、長さ約4.5㎜、基部の幅は約1㎜、環状の毛のところでわずかにくびれ、環状の毛の上で次第に広がり、喉部は幅1.5㎜までになる。上唇は真っ直ぐ、長さ約1㎜。下唇は長くなり、約・長さ2.5㎜×幅3.5㎜、側裂片は卵形。 雄しべはほぼ突き出す。花糸は長さ約1.5㎜。葯隔は長さ約3㎜、下腕は長さ約3㎜ 上腕の長さの約1/2。花柱は含まれ突き出さない。小堅果は帯褐色、長円形、約・長さ1.5㎜×幅0.5㎜。 フロリダ そしてfr. 4月~5月。
22-1 Salvia hayatae var. pinnata (Hayata) C. Y. Wu ケタムラソウ 毛田村草
synonym Salvia keitaoensis Hayatasynonym Salvia scapiformis Hance var. pinnata Hayata
台湾原産。中国名は羽叶变种 yu ye bian zhong。
葉は1回羽状複葉。
23 Salvia involucrata Cav. サルビア・インボルクラータ
メキシコ原産。英名はrosy-leaf sage , roseleaf sage , rosebud sage。別名はローズリーフセージ。多年草、半耐寒性、高さ1~1.5(~4)m、茎の基部は木質化する。葉柄は長い。葉身は長さ4~6(~10)㎝、卵形、鋸歯縁、先葉鋭形、基部は楔形~わずかに心形、軟毛がある。葉柄や葉脈は花に似たビート(砂糖大根の)赤色を帯びることがある。花序は頂生、総状花序、多数の花がつく。苞はローズピンク色、対につき、花を3個包み、球形又は卵形の蕾になり、早落性、花が開花すると落ちる。花は2唇形、ピンク色~ビート(砂糖大根の)赤色、長さ5㎝以下。開花期は7月末~11月。他の種とハイブリッドを容易に作る。
品種) 'Bethellii'[AGM] , 'Boutin'[AGM] , 'Deschamsiana'(明るいローズ色 ) , 'El Butano' , 'El Cielo' , Hildago , 'Hadspen' , .'Pink Icicles' , 'Rosebud Salvia'
ハイブリッド'Joan' , 'Ripe Rasberry'(矮性) , 'Mulberry Jam'(1.8m以下)
24 Salvia iodantha Fernald サルビア・イオダンタ
メキシコ原産。英名はScandent Mexican sage , Mexican fuchsia sage。別名はガーデン・セージ。
多年草、基部は木質になり、高さ1.2~2.4(3)m。茎は直立し、分枝し、有毛又はわずかに有毛。葉は長さ5~7.5㎝×幅1~4㎝、卵形~披針形、基部は円形~心形、縁には前向きの尖った歯があり、細かく波打ち、下面はときに細かい毛があり、淡色、先は鋭形。花序は長さ約15㎝、輪散花序に花が12個以下、密に輪生する。萼は2裂、裂片の先は短い尖鋭形。花は長さ2.5㎝以下、濃赤紫色、花冠筒部は長さ1~1.8㎝、真っすぐ。S. purpleaに非常によく似ている。花が濃赤紫色。萼裂片が鋭形にならず、葉が広卵形にほとんどならない。
品種) 'Louie Saso' , 'Pink Mink'
25 Salvia isensis Nakai ex H.Hara シマジタムラソウ 島路田村草
synonym Salvia omerocalyx Hayata var. isensis (Nakai ex H.Hara) Okuyama
日本固有種。本州(岐阜県、愛知県、三重県)に分布。多年草、高さ20~80㎝。茎は直立し、断面が四角形、短毛及び腺毛が多く、下部に開出する長毛がある。葉は茎の下部に集まることが多く、対生し、1~2回羽状複葉。小葉は卵形、先端の小葉が大きく、先が鈍頭、葉脈は深く、縁は鈍鋸歯。葉柄に長毛が生える。花茎の先に長い穂状の花序を伸ばし、淡青紫色の花をまばらに輪生する。花茎にも毛が多く、腺毛もある。花はナツノタムラソウ似る。花冠は長さ8~10㎜、外面に長毛があり、筒部の中央内面に輪状に毛がある。雄しべは2個、花冠内部の毛付近につき、長く、花冠から真っすぐ突き出る。花柱は1個、柱頭は2分岐。萼は長さ5~6㎜、腺毛がある。果実は4分果。分果は長さ約1.2㎜。花期は7~8月。
26 Salvia japonica Thunb. アキノタムラソウ 秋の田村草
synonym Salvia rosulata Nakai
本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国原産。中国名は鼠尾草 shu wei cao。秋の名が付けられているが、夏(7月)から咲き始める。
多年草、高さ20~50㎝。茎に短毛と腺毛があり、さわると粘る。葉は対生し、単葉~奇数羽状複葉で、小葉は1~7個。小葉は長さ2~5㎝の広卵形が普通だが、幅は変化が多い。茎上部に長い花穂をのばし、長さ約1.5㎝の淡紅紫色の唇形の花を5~15段ほど、輪生する。雄しべ2本が上唇にほとんど付着し、初めは伸びているが、下向きに曲がる。萼は2唇形、縦脈が隆起し、腺毛がある。萼の下唇は先が2裂することもある。果実は4分果、萼の底部につく。花期は7~11月。
26-1 Salvia japonica Thunb. f. albiflora Hiyama シロバナアキノタムラソウ 白花秋の田村草
白花品種。
26-2 Salvia japonica var. formosana Murata タイワンタムラソウ 台湾田村草
synonym Salvia matsudae Kudosynonym Salvia formosana (Murata) T.Yamaz. var. matsudae (Kudo) T.C.Huang et J.T.Wu
台湾原産。中国名は蕨葉紫花鼠尾草。中国名が臺灣紫花鼠尾草であるタイワンハルノタムラソウ(Salvia muratae)と区別できないとの見解もある。葉は根生と茎生、1~2回羽状複葉、表面に短毛があり、上面の脈にわずかに毛がありまたはまばらに直軟毛がある。頂羽片は楕円形~卵形~広卵形、縁に規則的な鋸歯があり、基部は楔形~浅い心形、花は淡紅紫色。[Acta Phytotax. Geobot. 14: 189 (1952)]。
26-3 Salvia japonica Thunb. f. lanuginosa (Franch.) E.Peter ケブカアキノタムラソウ 毛深秋の田村草
萼や花柄、花序軸などに腺毛が混じるもの。26-4 Salvia japonica Thunb. f. polakioides (Honda) T.Yamaz. イヌタムラソウ 犬田村草
synonym Salvia longipes (Nakai) Satake愛知県北設楽郡(三河国三輪村)で採取されたもの。
小花柄が長く、雄しべは花糸が短く、花筒外に出ない。雌しべが緑化し、異常発育する傾向がある。
27 Salvia koyamae Makino シナノアキギリ 信濃秋桐
日本(長野県、群馬県)固有種。山地の木陰に生える。キバナアキギリに似るが腺毛があり、葉が心形。
多年草、高さ50~80㎝。茎は基部で倒伏し、節から根を出し、全体(茎、葉、花序、花)に腺毛が多い。葉は長い葉柄があり、芳香がある。葉身は心形で長さ8~20㎝、先は尖鋭形、縁には鋸歯があり、両面には軟毛がある。花は頂生の総状花序に花をまばらにつける。花は2唇形。花冠は淡黄色で長さ2~3㎝。花期は8~10月。
28 Salvia leucantha Cav. アメジストセージ
メキシコ、南アメリカ原産。英名はMexican bush sage , velvet sage。別名はサルビア・レウカンサ。
多年草、常緑亜低木、高さ60~120(~180)㎝。茎は4稜形、若いうちは白色の羊毛状の毛が厚くつく。葉は対生、線形~長楕円状披針形、長さ6~9㎝×幅1.5~2㎝、灰緑色、ビロード状、下面は帯白色、密に毛がある。穂状花序(総状花序)は頂生、細長く、長さ15~30.5㎝、葉の上にアーチ状になり、白毛に覆われ、花が密につく。花序柄は長さ10~15㎝。花は白色の花冠と紫色の萼の2色になる(園芸品種では花がピンク色、マゼンタ色もある)。萼は鐘形、紫色~ラベンダーブルー色、長さ約1㎝、密に羊毛状の毛がある(ビロード状)。花冠は白色、長さ(1.8)2.5~5㎝×幅約0.7㎝、ビロード状の毛がある。花期は8~11月
品種) 'Danielle's Dream' , 'Danielle's Dream' , 'Delilah' , 'Eder' , 'Greenwood' , 'Midnight' , 'Purple Velvet' , 'San Marcos Lavender' , 'Santa Barbara' , 'White purple'
29 Salvia leucophylla Greene サルビア・レウコフィラ
USA(カリフォルニア州)、メキシコ(バハカリフォルニア州)原産。英名はSan Luis purple sage , purple sage , gray sage 。
低木、平伏~直立、高さ1.5m以下、毛が密生し、分枝する。葉は長さ2~8㎝。葉身は披針状長円形、しわがあり、基部は+-切形~+-心形、縁はたまに下に巻き、歯は小さく、円い。花序は幅1.5~4㎝。苞は卵形、萼より小さい。萼は長さ8~12㎜上唇は全縁、先が尖るが、刺は無い。下唇は普通無毛。花冠筒部は長さ6~13㎜、ローズラベンダー色。上唇は長さ6~8㎜、下唇より短いか又は同長。雄しべは突き出る。果実は長さ2~3㎜、褐色又は暗灰色。2n=30。花期は4~6月。
品種) 'Amethyst Bluff' , 'Pinkie' , 'Point Sal' , 'Point Sal Spreader' , 'Tilden Prostrate'
30 Salvia lutescens (Koidz.) Koidz ウスギナツノタムラソウ 薄黄夏の田村草 広義
basionym Salvia japonica var. lutescens Koidz.日本固有種。本州、四国に分布。
Kewscienceには掲載されていない。Ylistでは以下の変種に分類し、GBIFでは以下の変種を認めず全て基準種に含めている。 多年草、高さ25~50㎝。茎にはわずかに開出毛があるだけでほとんど毛がない。葉は3出複葉または1~2回羽状複葉、裂片は長さ2~5㎝、縁には鋸歯がある。花は頂生の総状花序に多数つく。花冠は唇形、淡黄色、長さ約10㎜。花期は5~6月。
30-1 Salvia lutescens (Koidz.) Koidz. var. lutescens ウスギナツノタムラソウ 薄黄夏の田村草
synonym Salvia omerocalyx Hayata var. intermedia (Makino) F.Maek. f. lutescens (Koidz.) Ohwi
三重県、滋賀県、奈良県に分布。花は淡黄色。 葯隔の基部に直軟毛がある。
30-2 Salvia lutescens (Koidz.) Koidz. var. crenata (Makino) Murata ミヤマタムラソウ 深山田村草
synonym Salvia omerocalyx Hayata var. crenata (Makino) F.Maek.synonym Salvia lutescens (Koidz.) Koidz. f. crenata (Makino) G.Nakai
本州(埼玉県、神奈川県、山梨県。長野県、岐阜県、福井県)に分布する。ナツノタムラソウとの中間的なものも見られる。 茎は花時に直立し、花後は通常は傾伏し、しばしば節に不定芽を生ずるが、匍匐性ではない。花序軸や萼に白軟毛が密生し、腺毛が混じることが多い。頂小葉は広卵形~円状卵形、先が鈍形または円形。花は淡紫色。葯隔の基部は通常、無毛、ときに毛がまばらにある。30-2-1 Salvia lutescens (Koidz.) Koidz. var. crenata (Makino) Murata f. leucantha Murata シロバナミヤマタムラソウ 白花深山田村草
白花品種。30-3 Salvia lutescens (Koidz.) Koidz. var. intermedia (Makino) Murata ナツノタムラソウ 夏の田村草
synonym Salvia lutescens (Koidz.) Koidz. f. lobatocrenata (Makino) G.Nakai
synonym Salvia omerocalyx Hayata var. intermedia (Makino) F.Maek.
日本固有種。本州(神奈川県、東海地方、近畿地方)に分布。林内、林縁に生える。多年草。高さ20~70㎝。茎は花時に直立し、花後は通常は傾伏し、しばしば節に不定芽を生ずるが、匍匐性ではなく、断面が四角形、無毛又は軟毛が生える。葉は対生し、1~2回(稀に3回)羽状複葉。小葉は卵形~楕円状卵形~披針形、頂小葉は卵形~長円形、ときに菱形、先は鋭形、縁は鈍鋸歯、上面には短軟毛が散生し、下面には腺点がある。葉柄は長さ3~7㎝、基部に長軟毛が開出する。花茎の先に長さ10~20㎝の穂状の花序を伸ばし、花をまばらに輪生する。花穂軸は無毛又は開出する軟毛があり、稀に腺毛が混じる。花冠は長さ8~10㎜、青紫色(濃紫色)、外面に短毛がある。萼は花時に長さ3~4㎜の鐘形、先は2唇形、開出する軟毛があり、ときに腺毛が混じる。萼は果時には大きくなり、長さ約6㎜になる。葯隔の基部は通常、無毛、ときに毛がまばらにある。果実は4分果。花期は6~8月。
30-3-1Salvia lutescens (Koidz.) Koidz. var. intermedia (Makino) Murata f. albiflora Murata シロバナナツノタムラソウ 白花夏の田村草
白花品種。30-4 Salvia lutescens (Koidz.) Koidz. var. stolonifera G.Nakai ダンドタムラソウ
日本(愛知県、岐阜県、長野県および伊豆半島の一部)固有変種。多年草。茎は高さ25~50㎝ になり、花後、基部から傾伏し、途中から根を出し、茎の基部からも長い走出枝を出す。葉は対生し、大きいものは2~3 対で茎の中部につき、1~3回羽状複葉、小葉は卵形 ~倒卵形、長さ1.5~3㎝、先端は鋭頭~鈍頭、基部は広い、または狭いくさび形、辺縁には欠刻状 の鋸歯がある。花期は6~8月、茎や枝の先に長い穂状の花序を作る。花はややまばらに輪生し、萼は長さ5~6㎜、花冠は淡青紫色、長さ1㎝ 内外、筒部内面の中央に輪状に毛があり、雄しべは曲がらず、花外に突き出す。葯隔の基部は通常、無毛、ときに毛がまばらにある。(愛知県レッドリスト)
31 Salvia lyrata L. サルビア・リラータ
USA(ペンシルバニア州、コネチカット州、イリノイ州、ミズーリ州、フロリダ州、テキサス州)原産。英名はcancerweed , lyre-leaf sage。高地の森や藪、ときに雑草が生い茂る場所に生える。
多年草、高さ30~60㎝。根はひげ根。主な葉は根生葉、ロゼットになり、外形は長円形または倒卵状長円形、長さ1~20㎝、羽状に深く裂け、裂片は円形(まれに分裂せず)、葉柄は長さ3~10㎝。茎葉は1(~3)対つき、はるかに小さく、短い葉柄があるかまたは無柄。 一次の花序は膨張は長さ10~30㎝、少数の輪散花序は広く離れてつき、花は約6個。 萼は花時に長さ約1cm、上唇は切形、3芒があり、筒部とほぼ同長、下唇はそれより長い。花冠薄青色または薄紫色、長さ2~2.5 ㎝、唇弁は筒部よりもはるかに短い。2n=36。花期は(4)5~6月。
品種) 'Burgundy Bliss' , 'Purple Knockout' , 'Purple Prince'(パープル・プリンス:葉脈が赤紫色) , 'Purple Volcano'(パープル・ボルケーノ:葉が濃紫色)
32 Salvia macrophylla Benth. サルビア・マクロフィラ
南アメリカ(ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー)原産。英名はblackcurrant sage。標高1400~2400mの道端に生える。ハーブ園でよく栽培され、香料や解熱剤として使用されている。
常緑多年草。高さ120㎝まで、茎は多数、不規則に傾伏~直立し、根を出し、大きく叢生し、基部は多少、木質になる。葉は三角形、長さ10~20㎝×幅8~15㎝、心形、灰緑色で白色の葉脈があり、下面は紫色、腺が密にあり、粘り、芳香がある。長い総状花序に花をつける。花冠は鮮やかな青色、長さ2.5㎝、上唇は下唇より小さく、下唇には2個の白い斑紋(蜜標)がある。花期は夏。
品種) 'Cabrillo Blue' , 'Purple Leaf' , 'Tall Form' , 'Upright Form'
33 Salvia madrensis Seem. サルビア・マドレンシス
メキシコ原産。英名はforsythia sage , big yellow sage , Mexican yellow sage。別名はイエローマジェスティ。標高1200~1500mのに砂漠または乾燥した低木地帯に生える。
常緑亜低木、高さ1.5~2(3)m。茎は明瞭な4稜形、太さ2.5㎝以上になり、稜が太いうね(翼)状になり、毛が密生する。葉は葉柄があり、対生し、狭卵形~卵形~卵状三角形~心形、長さ5~18㎝、基部は切形~心形、先は鋭形、芳香があり、上面は暗緑色、脈が凹み表面が粗く、下面は白緑色、脈が盛り上がる。穂状花序は頂生、直立し、長さ30㎝以下、花を輪散花序に多数つける。萼は黄緑色、2唇形、黄褐色の腺毛が密にある。花冠は黄色、長さ2.5~3㎝、2唇形、下唇は3裂し、内側が白色。花筒は長く、真っすぐ、水平~やや斜上。花期は10~11月。
品種) 'Dunham' , 'Golden Fountain' , 'Red Neck Girl' , 'Yellow Majesty'
34 Salvia mellifera Greene サルビア・メリフェラ
USA,メキシコ原産。英名はblack sage。沿岸セージスクラブ(sage scrub)とシャパラル植物群落(chaparral)に生える。
低木、高さ1~2.5m、樹冠は丸みを帯び、小枝は灰色の綿毛~ほぼ無毛。葉は葉身が長さ3~6㎝、長円状楕円形~長円状披針形、先は鈍形、中間より下部が狭くなる、上面はしわがあり、暗緑色、下面は灰色の細かい綿毛があり、縁は円鋸歯縁。花序は断続的な穂状花序、団散花序(glomerules)は幅2~4㎝、間隔は2~6㎝離れる。苞は帯緑色~帯紫色、苞は成熟すると反り返る。萼は小さく、長さ5.5~8㎜、苞にやや隠れる。花は淡青色、ときにバラ色を帯び、長さ10~12mm。花冠筒部は長さ5.5~9㎜m、上唇は長さ2~3 mm、下唇は長さ4~5㎜。雄しべが花冠を越えて少し突き出す。
品種) 'Green Carpet'
35 Salvia merjamie Forssk. サルビア・メルジャミエ
アフリカ(エリトリア、エチオピア、ケニア、ソマリア、タンザニア、ウガンダ)、中東(サウジアラビア、イエメン)原産。標高1800~3900mの草地、森林の端、岩の露頭、玄武岩の斜面、休耕地に生える。
多年草、高さ0.5mまで(ソマリア)。木質の根を持つ 葉は主に茎につく。根生葉は短柄から長柄まであり、 茎葉は短葉柄~無柄。葉身は長円形、楕円形または卵形、単純または±羽状全裂し、長さ40~100㎜×幅4~25㎜、上面は丘状に隆起し(bullate)、先は円形~尖鋭形、縁には不規則な円鋸歯がある。集散花序は花が(1~)3個つく。小苞は無い。果時の萼は長さ7~10㎜。上唇はほぼ鋭形、最終の先端で分裂し、長さ0.3~0.5㎜の内側に曲がった側裂片と小さな中裂片がある。下唇は披針形の長さ約3.5㎜の裂片をもつ。花冠は青紫色(bluish violet)、紫色(purple)または白色、長さ8~12mm、または、雌花や閉鎖花でははるかに小さい。上唇はわずかに鎌形で、長さは下唇と同じか、ときにそれよりも長くなる。下唇は中裂片が嚢状になる。雄しべの花糸は長さ約2㎜。下側の半葯は不稔、で、手斧形(hatchet-shaped)である。葯隔は長さ約10㎜。小堅果は長さ1.8~2.5㎜×幅1.3~1.5㎜、褐色、しばしば、微細ないぼ状突起があり、濡れると粘液を生じる。
品種) 'Mint Sauce'
36 Salvia mexicana L. サルビア・メキシカナ
メキシコ原産。英名は Mexican sage。乾燥した亜熱帯地域から熱帯地域の林縁や明るい林などに生える。
多年草、亜低木、高さ1~4m。茎には細かい密な帯灰色の毛がある。葉は卵状長円形で長さ6~15cm×幅は5~8cmで、上部の葉は小さくなります。 葉身は先が鋭形または短い尖鋭形、基部は円形、暗緑色で、上面には細かい毛があり、下面に、不明瞭~密な細かな綿毛がある。花序は頂生の総状花序、長さ20~40cm、8個以上の仮輪があり、1つの仮輪に花が6~12個つく。下を抱く苞は小さく、早落性。萼は長さ16~20㎜、しばしば、濃紫色(deep purple- violet)になる。花は鮮やかな青紫色(rich violet-blue)または濃青色、長さ16~40㎜、萼を越えて花冠筒部が突き出る。花は強い芳香は無い。2n=22。花期は9~11月。
品種) 'Azure' , 'Byron Flynt' , 'Colima' , 'Huntington Garden' , 'La Placita' , 'Limelight' , 'Lollie Jackson' , 'Lolly' , 'Major' , 'Port de Zorro' , 'Russell's Form' , 'Snowflake' , 'Tula'
37 Salvia microphylla Kunth チェリーセージ
メキシコ、グアテマラ原産。英名はbaby sage , mountain sage , Graham's sage, blackcurrant sage。
常緑多年草。高さ1~1.3m、幅1m。多数、分枝し、芳香のある灌木状、高さ1.5m以下、短毛があり、若い時は毛が多い。葉柄は長さ1~3㎝。葉身は長さ1~5(~7~9)㎝、幅0.5~ 2.5(~3~5)㎝、ときに、花のつくシュートでは小さく、長さ10㎜以下、幅7㎜以下になり、卵形~卵状長楕円形~楕円形、下面には灰色の密綿毛と脈上に毛があり、円鋸歯縁又は小さい葉は小円鋸歯縁。葉の基部は楔形~円形、葉先は鈍形~鋭形。花序は高さ4~10㎝、腺毛が密にあり2花が直立する。花柄は細く、しばしば長い。苞は長さ4~6㎜×幅3~4㎜、幅広い卵形小さく、早落性。萼は長さ10~13㎜、筒状鐘形、腺と微軟毛があり、普通、上部が紫色を帯び、上唇は下唇よりわずかに長く、歯は筒部の長さの約1/2。花冠は長さ2~3㎝ の、深紅色(crimson)、上唇は花筒にほぼ平行、外面は有毛、ときに先側に毛が多い。花筒は杯形、長さ9~16㎜、幅3~6㎜、下唇は上唇より長い。花冠の基部に1対の陥入(invaginations)[ 又は乳頭状突起(papillae)ともいう]がある。雄しべは2個、上部の葯隔は長く、幅広、花糸は短い。萼の基部に2個の心皮軸(花托 gynobase)があり、その上に将来、小堅果となる胚珠を2個ずつつける。 園芸品種によっては小堅果ができないものもある。 花期は8~10月。葉はもむと強いクロフサスグリに似た香り(blackcurrant scent)がある。園芸種は晩春と秋に咲き、穏やかな気候では晩春から秋を通して開花する。(参考 Flora of Newzealandなど)
Salvia microphyllaは容易に交雑するSalvia greggiiにしばしば間違われる。S. microphyllaの葉は鋸歯があり、花冠の内部に対の乳頭突起がある。Salvia greggiiは葉幅が狭く、楕円形、縁が平滑。Salvia microphyllaの方が日陰につよい。Salvia microphyllaの園芸種はSalvia greggii 園芸種よりやや大きいものが多い。
品種) 'Baby Doll' , 'Berzerkeley' , 'Cerise' , 'Cerise Velvet' , 'Cerro Potosi' , 'Coral Baby') Sage , 'Cyclamen') , 'Dieciocho de Marzo' , 'Hoja Grande' , 'Honey Rose' , 'Huntington’s Red' , 'Kew Red' , 'La Trinidad' (aka La Trinidad Pink) , 'Lutea' , 'Margaret Arnold' , 'Maroon' , 'Orange Door' , 'Oxford' , 'Pink Blush' , 'Pleasant View' , 'Red Beacon' , 'Red Velvet' , 'Rodbaston Red' , 'Rodbaston Romance' , 'Rodbaston Rosy Cheeks' , 'Roy Cheek' , 'Royal Bumble' , 'Royal Bumble' , 'Ruby EverRed' , 'San Carlos Festival' , 'Tough Powis Beet' , 'Trebah' , var. microphylla 'La Foux' , var. microphylla 'Newby Hall' , 'Wild Watermelon' , 'Hot Lips'ホットリップス(チェリーセージ) ハイブリッド
37-1 Salvia microphylla var microphylla
高さ約1.2m以下、基部が少し木質化し、かなり枝が広がる。葉は普通、長さ2.5㎝以下、卵形~楕円形、先は鋭形又は鈍形。花序は総状花序、長さ10~20㎝、花は2個対につく。花は赤色、var neurepiaより小さい。花冠の基部に2個の小さなパピラがある。
37-2 Salvia microphylla var neurepia
synonym Salvia grahamii Benth.
葉は大きく、長さ5㎝以下、楕円形、先は鈍形又は鋭形。この形はUSAでGraham’s Sageと呼ばれていた。広く栽培されている。
37-3 Salvia microphylla Benth. var. wislizeni A. Gray
synonym Salvia lemmonii A. Gray
この形は最も安定した特性を持つ。枝は広がらず、冬に葉が落ちやすい。葉は三角形、先は尖鋭形~鋭形。苞は浅い心形。花はより密につき、赤色~マゼンタ色。
38 Salvia miltiorrhiza Bunge タンジン 丹参
中国(安徽省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、陝西省、山東省、山西省、浙江省)原産。中国名は丹参 dan shen 。英名はred sage, Chinese sage, tan shen。別名はカラコトジソウ。標高100~1300mの丘の中腹、川沿い、森に生える。日本には自生しないが、Flora of Chinaでは日本も分布域に入れられている。根が薬用に使われ、丹参は生薬名である。
多年草。 主根は肥厚し、多肉質で、外側は緋色。茎は直立し、高さ40~80㎝、絨毛があり、よく分枝する。 葉は単葉から奇数羽状複葉。 葉柄は長さ1.3~7.5㎝、密に後ろ向きの絨毛があり、小葉柄は長さ2~14㎜。小葉は 3~5(~7)個、長さ1.5~8㎝×幅1~4㎝、葉身または小葉は円形~広披針形、直軟毛があり、下面に密にあり、縁には円鋸歯があり、先は鋭形~尖鋭形形。 花序には密な絨毛または腺のある絨毛がある。輪散花序は6個~多数の花がつき、基部では離れていて、先では密集し、頂生または腋生の総状花序で長さ4.5~17㎝になる。苞は披針形。小花柄は長さ3~4㎜。 萼は鐘形、帯紫色、長さ約1.1㎝、開花後にわずかに広がり、まばらな絨毛または腺状絨毛があり、縁に縁毛がある。上唇は全縁、三角形、約・ 長さ4㎜×幅8㎜、先は3微突形。下唇は上唇とほぼ同じ長さで、2歯がある。花冠は紫青色または白色、長さ2~2.7㎝、腺毛があり、上唇に密にあります。筒部の内側に細かい直軟毛の不完全な環があり、突き出し、拡大部より短く、基部で幅2㎜、喉部で幅8㎜まで。上唇は長さ1.2~1.5㎝、鎌形。下唇は短く、中裂片は長さ約5㎜×幅10㎜以下、2小裂片がある。側裂片は円形、幅約3㎜。花糸は長さ3.5~4㎜。葯隔は長さ1.7~2㎝。花柱はかなり突き出る。小堅果は楕円形、約・長さ3.2㎜×幅1.5㎜。花期は4~8月。果期は9~10月。
38-1 Salvia miltiorrhiza var. miltiorrhiza
synonym Salvia anomala Vaniot
中国(安徽省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、陝西省、山東省、山西省、浙江省)原産。中国名は丹参 dan shen。標高100~1300mの丘の中腹、川沿い、森の中の草が茂った場所に生える。冠状動脈疾患の治療に使用される。
葉は奇数羽状複葉。小葉は卵形~楕円状卵形~広披針形。
38-2 Salvia miltiorrhiza var. charbonnelii (H.Lév.) C.Y.Wu
synonym Salvia charbonnelii H. Léveillé
中国(河北省、河南省、湖北省、山西省)原産。中国名は单叶变种 dan ye bian zhong。丘の中腹、芝生のある場所に生える。
葉は単葉で、ときに3小葉。葉身または小葉は円形~ほぼ円形。
39 Salvia muratae T.Yamaz. タイワンハルノタムラソウ 台湾春の田村草
synonym Salvia formosana (Murata) T.Yamaz.
synonym Salvia ranzaniana Makino var. formosana Murata
synonym Salvia formosana (Murata) Yamazaki var. formosana (Murata) Yamazaki
台湾原産。中国名は臺灣紫花鼠尾草。よく似たタイワンタムラソウ(S. matsudae = Salvia japonica var. formosana)は中国名が蕨葉紫花鼠尾草。区別が困難ともいわれる。KewscienceやFlora of Chinaには掲載されていない。YListに掲載されている。混同されていることがある台湾鼠尾草 tai wan qin zhu caoはタイワンアキギリSalvia nipponica Miq. var. formosana (Hayata) Kudo(synonym Salvia formosana Hayata)であり、花が黄色である。サルビア・フィリキフォリア Salvia filicifoliaも花が黄色。
日本のハルノタムラソウ(S. ranzaniana)に較べると、萼が小さく、葉のきれこみが浅く、鋸歯の先がまるく、明らかに区別できる。萼筒内面の毛は細長く、ハルノタムラソウより長い。 この点はむしろ同じ台湾の S. keitaoensisや S. arisanensisに近い。村田氏はハルノタムラソウ(S. ranzaniana)と後2者との違いに種子の大きさを重視したが、個体変異の幅を調べないとなんともいえない。
タイワンハルノタムラソウ(S. ranzaniana var. formosana) は分布の上からも形態の上からも、日本のハルノタムラソウと直接関係させるよりも,ケタムラソウ(S. keitaoensis=Salvia hayatae var. pinnata)や アリサンタムラソウ(Salvia arisanensis)に近縁で、それらと地理的分化を起した独立種とみるのが適当と思うタイワンハルノタムラソウ(S. ranzaniana var. formosana) は、南湖大山のものをもとに報告されたもので,特徴として花が濃紫色であり、苞葉の幅が狭いことをあげている。 しかし私のみた所では南湖大山のものは花が淡紫色であってその点は特徴とならない。 しかし台湾北部の山地にみられるこの類は一般に葉が細い傾向があり、南湖大山のものも苞葉だけでなく葉もやや細長い。その極端な形が S. matsudae Kudoであり,松田英二氏が控控山で、採集したもので,基準標本は東大にある。 この極端形は広東、龍門県従化、三角山から報告された Salvia japonica var. filicifolia(サルビア・フィリキフォリア Salvia filicifolia)と区別できない。南湖大山のものはそれほど極端に葉が細くないが、この一群に入れてもよいのではないかと思う。 また南湖大山の1000m付近には普通の S.japonicaがある。[参考9]。 多年草、直立し、高さ60cmほどになる。葉は、両面の脈に短毛またはまばらに柔毛があり、小葉の形は様々で、卵形~広卵形、基部は楔形~心形、縁には鋸がある。根生葉は1~2回羽状複葉、小葉が7~13個あり、茎葉は1回羽状複葉、ときに単葉。花は輪散花序 (輪状集散花序)または円錐花序、細長い総状花序になる。萼は筒状、長さ2~4㎜、短い毛で覆われる。花冠は唇形、暗紫色、長さ約1.2㎝、筒の内側に毛の環がある。小堅果は褐色、楕円形。花期は6月~9月。[Salvia formosana var. formosana]
40 Salvia napifolia Jacq. サルビア・ナピフォリア
トルコ、東エーゲ海諸島原産。英名はturnip-leaved sage。別名はカブラバサルビア。海抜0~900mのマキの低木地帯、岩の多い斜面、荒れた道端に生える。 ライラックセージ(Salvia verticillata ) の近縁種で外見はとても似ている。上部の葉は単葉だが、下部の葉が複葉になり葉がカブ(turnip) に似ていることから別名はカブラバサルビアともいう。
小さくて叢生し、茎は緑色、多数、直立し、高さ30~60㎝。葉は大きく、基部は心形、柔らかく、薄く毛で覆われる。花序は長さ約30㎝、輪散花序は間隔が開き、花が多数密集してつき、複数の花序が同時に咲く。花は小さく、淡いラベンダー色~青紫色(purple-violet)、萼と花冠の長さがほぼ同じで、全長約1.3㎝。萼は暗紫色~赤紫色。花期は7~10月。
品種) 'Baby Blue'
41 Salvia nemorosa L. サルビア・ネモローサ
ヨーロッパ、アジア西部~中部原産。英名はwoodland sage , Balkan clary , May night sage , violet sage。
多年草、根はひげ根。茎は基部が木質化し、多数、上部で分枝し、群生し、高さ30~(70)90㎝、幅60㎝以下、柔らかい絨毛がある。葉は主に茎葉、卵状披針形~披針状三角形~長円形、長さ5~10㎝、基部は切形~ほぼ心形、上面はしわがあり、無毛になり、緑色~灰緑色、下面は灰白色、傷つけると芳香がある。花序は頂生、長さ10~20㎝の穂状花序状の総状花序、葉の上に直立して、高く伸び、花が密につく。萼は絨毛があり、長さ6~8㎜、上唇は小さな3歯があり、下唇の披針形の裂片より短い。花冠は青色~ラベンダー色~紫青色、長さ9~12㎜。花冠筒部は萼より短い。苞葉(bracteal leaf)は小さく長さ4~10㎜、青紫色(anthocyanic)。花期は6~9月。2n=12 ,14。S. pratensisと容易に交雑する。
品種) 'Amethyst' , 'Blue Marvel' , 'Brightness' , 'East Friesland'イーストフリーズランド='Ostfriesland' , 'Flor Sal Roz' , 'Lubecca' , Lyrical™ Blues , 'Mainacht'='May night' , Marcus , 'New Dimension Blue' , 'New Dimension Rose' , 'Phoenix Pink' , 'Porzellan' , 'Pusztaflamme' , 'Rose Queen' , 'Rosenwein' , 'Schneehugel'='Snow Hill' , 'Sensation Rose' , 'Sensation Sky Blue'
42 Salvia nipponica Miq. キバナアキギリ黄花秋桐
日本固有種。本州、四国、九州に分布。英名はJapanese woodland Sage。別名はコトジソウ。山地の林内に生える。
多年草。高さ20~40㎝。茎は4稜形、開出する軟毛が生え、基部はやや倒れ、先は直立し、枝分かれは少ない。葉は対生し、長さ5~10㎝×幅4~7㎝の三角状鉾形、基部が耳状に張り出す。葉縁には不揃いの三角状の鋸歯がある。葉柄は長さ3~15㎝。花は穂状花序につき、黄色の唇形花がつく。花冠は長さ2.5~3.5㎝。花冠や萼にも開出毛が生える。先が淡紅紫色の雌しべが花冠より長く突き出し、先は2分岐する。花期は8~10月。
品種) 'Fuji Snow'
42-1 Salvia nipponica Miq. var. formosana (Hayata) Kudo タイワンアキギリ 台湾秋桐
synonym Salvia formosana Hayata台湾原産。中国名は台湾鼠尾草 tai wan qin zhu cao 。
多年草。 茎は高さ20~50㎝。後ろ向きの棘状粗毛があり、分枝しない。茎には対の葉が多数つく。葉柄は長さ1~10㎝、後屈する棘状の粗毛がある。葉身は三角状卵形~三角状矛形、長さ2~7(~9)㎝×幅1.3~6(~7)㎝、微細な剛毛があり(hispid)、腺があり、基部は矛形~ほぼ切形、縁は不規則な歯または鋸歯があり、先は尾状尖鋭形。花序は密に後ろ向きの棘状疎毛があり、輪散花序には花が2~6個、やや広い間隔でつき、長さ約6㎝の頂生の総状花序になる。苞は卵形~狭卵形、長さ6~12mm。小花柄は長さ3~5㎜。萼は鐘形、長さ約9㎜、開花後に拡大し、脈に沿って密に粗毛があり、まばらに腺があり、長さの約1/3までが2唇になり、上唇は広三角形、縁は全縁、先は円形。花冠は黄色、赤い斑点があり、長さ2.2~2.4㎝、毛がある。花冠筒部は横方向に直軟毛が環状になり、長さ約1.3㎝。上唇は長円形、長さ約1.9㎝。下唇は上唇とほぼ同長、中裂片は扁円形、側裂片は狭い三角形。花糸は長さ約4㎜。葯隔は長さ約8㎜、上腕は長さ約5.5㎜、下腕は長さ約2.5㎜。花柱はかなり突き出る。小堅果は不明。花期は7~8月。
42-2 Salvia nipponica Miq. var. kisoensis K.Imai キソキバナアキギリ木曽黄花秋桐
日本固有種。本州(長野県、岐阜県、愛知県)に分布。花期がキバナアキギリ(8~10月)より早い。岐阜県には多く、長野県では絶滅危惧種ⅠB類に指定されている。多年草、高さ20~40㎝。茎は直立し、あまり枝分かれしない。葉は対生し、三角状鉾形、基部が耳状に張り出す。鋸歯は不揃いの三角状。長い葉柄がある。唇形花が茎頂の穂状花序につく。花冠は長さ約3㎝、淡黄色。花冠や萼に開出毛が生える。淡紅紫色の雌しべが長い花冠から突き出す。柱頭は2分岐。花期は6月中旬~7月中旬。
42-3 Salvia nipponica Miq. var. trisecta (Matsum. ex Kudo) Honda ミツデコトジソウ 三手琴柱草
本州西部~九州原産。全体にやや小型。茎は長く這う。葉は基部が浅裂し三角状鉾形で、ときに深~全裂し、基部の三角形の側裂片が大きい。43 Salvia officinalis L. セージ
地中海尾沿岸、アフリカ原産。英名はcommon sage , sage。中国名は撒尔维 sa er wei ya。別名はヤクヨウサルビア。
多年草。茎は直立、基部は木質になり、小さな白色の綿毛があり、多数、分枝する。葉柄は長さ0~3㎝。葉身は長楕円形~楕円形~卵形、長さ1~8㎝幅0.6~3.5㎝、紙質、細かいしわがあり、微細な白色の綿毛があり、基部は円形又は類切形、縁は小円鋸歯、先は鋭形~微突形、まれに鋭形。 輪散花序は花が2~18個、頂部の総状花序は長さ4~18㎝、上部の苞は広卵形、先は尖鋭形。花柄は長さ約3㎜。萼は鐘形、花時に長さ1~1.1㎝、果時には1.5㎝以下になり、脈や縁に微細な綿毛があり、まばらに黄金色の腺があり、紫色を帯び、長さの約1/2が2唇になる。上唇は浅い3歯あり、歯は錐(きり)形。下唇の歯は三角形、先は尖鋭形。花冠は紫色~青色、長さ1.8~1.9㎝、微細な綿毛がある。筒部の内側に不完全な長軟毛の環があり、真っすぐ、長さ約9㎜。上唇は真っすぐ、倒卵形、約長さ6㎜×幅5.5㎜。下唇は約・長さ1㎝×幅1㎝。花糸は長さ約5㎜。葯隔は長さ約3㎜、腕は等長。小堅果は暗褐色、類球形、直径約2.5㎜。花期は4~6月。2n=14。
品種) 'Albiflora' , 'Aurea' , 'Berggarten' , 'Berggarten Variegated' , 'Blackcurrant' , 'Crispa' , 'Extrakta' , 'Ginger' , 'Icterina' , 'Kew Gold' , La Crema™ , 'Minimus' , 'Nazareth' , 'Purpurascens' , 'Purpurascens Variegata' , 'Purpurea' , 'Robin Hill' , 'Rosea' , 'Rotmuhler' , 'Sage of Bath' , 'Selsley Splash' , 'Tricolor' , 'Tricolor' , 'Woodcote'
44 Salvia omeiana E. Peter サルビア・オメイアナ
中国(四川省)原産。中国名は峨嵋鼠尾草 e mei shu wei cao。標高1400~3100mの森林の縁、丘の斜面に生える。
多年草。 茎は直立し、高さ40~100㎝、丈夫で、直径6mmまで。 基部、線条、思春期または無毛下にある。 茎葉身は広心状卵形から速立卵形、長さ10~16㎝×幅6.5~14.5㎝、上面にまばらに細かい伏した剛毛があり(strigose)、下面は紫色、葉脈に沿ってまばらに微軟毛があり、まばらに帯黄色の腺があり、基部は心形~ほぼ矛形、縁には重円鋸歯または歯があり、先は尖鋭形または尾状尖鋭形。輪散花序の仮輪は2(~6)個の花がつき、間隔が広く、総状花序状の円錐花序になる。花序軸に腺毛があるかまたはほぼ無毛。苞は披針形~広卵形、長さ5~8(~10)㎜×幅1.5~3㎜。小花柄は長さ約2㎜、腺毛があるかまたはほぼ無毛。萼は狭鐘形、長さ1~1.5㎝、脈上に腺のある直軟毛があり、まばらに帯黄色の腺がある。上唇はほぼ切形、全縁、先の微突は長さ1~2㎜。下唇は上唇より長く、歯は三角形で、先は尖鋭形。果時の萼は拡張し、幅約1.3㎝。花冠は黄色、長さ2.5~3.5㎝、外側は微軟毛があり、筒部は先で軸方向に徐々に広がり、基部から上向きに曲がり、長さ約2~3.5㎝。上唇は広卵形、長さ7~8㎜×幅約3.5㎜、下唇は上唇より長く、中裂片は倒心形、約・長さ4㎜×幅6mm、側裂片は幅約3㎜。花糸は長さ約6㎜、葯隔は弓形、長さ約6㎜、腕はほぼ同長。花柱は突き出る。小堅果は倒卵形、直径約3㎜、褐色。花期は7~9月。
品種) 'Crug Thundercloud'
45 Salvia omerocalyx Hayata タジマタムラソウ 但馬田村草
日本(京都府、兵庫県、鳥取県)固有種。やや乾いた半日陰の安山岩、蛇紋岩、花崗岩などさまざまな岩石地に生える。
多年草、高さ10~35㎝。茎は1本又は少数分枝し、葉をほとんどつけず、花茎となる。葉は頭大羽状複葉。頂裂片は長楕円形~卵状長楕円形、長さ2~7㎝×幅1.3~5㎝、側羽片は1~2対つき、小さく、波状鋸歯縁。花序は頂生し、輪散花序の間隔は密で、花を密につける。萼の内側の全面に微細な毛がある。花冠は紫色、長さ10~13㎜。雄しべは2個、長く突き出る。
45-1 Salvia omerocalyx Hayata var. prostrata Satake ハイタムラソウ 這田村草
福井県、滋賀県の固有変種。茎が匍匐し、まばらに葉をつける。
46 Salvia patens Cav. ソライロサルビア
メキシコ原産。英名は gentian sage , spreading sage。
塊茎をもち、温室で育てやすい。よく栽培されている品種は高さ30~60㎝。葉は矛形、ミスルトウグリーン(mistletoe-green )。花序は長さ15~30㎝又はそれ以上、間隔を開けて花がつく。花は純青色、長さ2.6㎝。萼は長さ約1.3㎝。種のpatensはspreadingを意味する。
品種) 'Alba' , 'Blue Angel' , 'Cambridge Blue' , 'Chilcombe' , 'Guanajuato' , 'Lavender Lady' , OceanaR Blue , 'Patio Deep Blue' , 'Patio Sky Blue' , 'Pink Ice'
,
47 Salvia plebeia R.Br. ミゾコウジュ 溝香薷
日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、ロシア、インド、アフガニスタン、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、タイ、ベトナム、オーストラリア原産。中国名は荔枝草 li zhi cao 。
1年草又は2年草。茎は直立し、高さ15~90㎝、頑健、多数、分枝し、灰色の軟毛がある。葉柄は長さ4~15㎜。葉身は楕円状卵形~楕円状披針形、長さ2~6㎝×幅0.8~2.5㎝、上面はまばらに小さな剛毛がある。下面は細かい軟毛があり、まばらに黄褐色の腺があり、基部は円形~楔形、縁は円鋸歯~歯状~鋸歯状、先は鈍形~鋭形。花序は密に軟毛があり、花が6個つく輪散花序、多数つき、総状花序又は円錐花序になり、長さ10~25㎝。苞は披針形。花柄は長さ約1㎜。咢は鐘形、長さ約2.7㎜、軟毛があり、まばらに黄褐色の腺がある。長さの1/3まで分裂し、2唇になる。上唇は3小歯状、下唇は深い2歯となり、歯は三角形。花冠は帯赤色~帯紫色~紫色~青紫色~青色、まれに白色、長さ約4.5㎜。花冠筒部は無毛、内面に毛の環がある。上唇は長楕円形、約長さ1.8㎜×幅1㎜、密に微軟毛がある。下唇は約長さ1.7×幅1㎜、中裂片は広倒卵形。雄しべはわずかに突き出る。花糸は長さ約1.5㎜。葯隔は長さ約1.5㎜、弓形になり、腕はほぼ等しい。小堅果は倒卵形、直径約0.4㎜。花期は4~5月。果期は6~7月。
47-1 Salvia plebeia R.Br. f. leucantha Kawas. シロバナミゾコウジュ 白花溝香薷
白花品種。48 Salvia pratensis L. メドウセージ
ヨーロッパ、西アジア、北アメリカ原産。英名はmeadow clary , meadow sage。
多年草、高さ30~70(90)㎝。茎は4稜形、柔らかい腺毛をもつ。葉はほとんど基部のロゼットに根生し、茎葉は対生し、葉柄がある。葉身は長い卵形、長さ15㎝以下、基部は心形、しわがあり、縁は重円鋸歯~鋸歯縁。苞は小さい。、花序は穂状花序状の総状花序、長さ30.5㎝以下。花冠は左右相称、暗紫色、長さ20~30㎜、2唇形、5裂、筒部が長い。上唇は弓状に曲がり、三日月形、下唇は3裂し、中裂片は側裂片より大きい。咢は鐘形、5裂、普通、先が紫色。雄しべは2個。雌しべ群は2個の果実は融合した心皮からなり、花冠より長く、4~6個の花が輪生し、間隔の開いた緩い穂状花序を形成する。果実は4分離果。花期は6~8月。2n=16。
品種) 'Atroviolacea' , Ballet™ Rose Rhapsody , Ballet™ Swan Lake , Ballet™ Sweet Esmeralda , Ballet™ Twilight Serenade , 'Baumgartenii' , 'Haematodes' , 'Lapis Lazuli , 'Lupinoides' , 'Mitsommer' ('Midsummer') , 'Pink Delight' , 'Rosea' , 'Rosenkavalier', 'Rubicunda','Tenorii','Variegata'
48-1 Salvia pratensis subsp. haematodes
品種) 'Indigo' , 'Pink Forms'
49 Salvia pygmaea Matsum. ヒメタムラソウ 姫田村草
日本(南西諸島)固有種。根生葉は頭大2回羽状複生。
49-1 Salvia pygmaea Matsum. var. simplicior Hatus. ex T.Yamaz. アマミタムラソウ
頂小葉が大きく、長さ2~3㎝(ヒメタムラソウは長さ1~2㎝)。50 Salvia ranzaniana Makino ハルノタムラソウ 春の田村草
日本(本州、四国、九州)固有種。
多年草。茎は直立し、高さ10~20㎝。葉は茎の基部に集中してロゼット状につき、下部の葉柄ほど長く、開出毛がある。葉身は1~2回羽状複葉、小葉の縁には少数の鋸歯がある。花茎は普通、1本又は少数、分枝する。萼は2唇形、長さ5~8㎜、しばしば紫色を帯び、上唇は浅く2裂し、下唇は3裂し、筒部の内面には中央付近に環毛がある。花冠は白色、長さ約8㎜。花糸の先端の葯隔はT字形、その片側に細長い葯をつける。果実は4分離果。花期は4~6月。
51 Salvia reflexa Hornem. イヌヒメコヅチ
USA,メキシコ原産。英名はlanceleaf sage , narrow-leafed sage , Rocky Mountain sage , blue sage , lambsleaf sage , sage mint , mintweed。アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、南アフリカに帰化している。日本でも野生化している。
1年草、高さ30~60㎝、分枝する。茎には小さな下向きに曲がった毛がる。葉柄は主に長さ8~20㎜。葉は槍状線形~披針形長さ3~5㎝×幅4~12㎜、全縁又は少数の低い歯があり、基部は次第に狭くなる。総状花序は直立し、長さ5~10㎝、節間は8~15㎜、苞状の葉は槍形~線形、長さ1~3㎜。花は節に2(4)個つく。咢は花時に長さ6~7㎜、脈上だけに小毛があり、上唇は全縁、5脈があり、萼筒の長さの半分。花冠は青色、長さ8~12㎜、花冠筒部は萼の長さより短い。 2n=20。
52 Salvia roemeriana Scheele サルビア・ロエメリアナ
USA(テキサス州、アリゾナ州)、メキシコ原産。英名はcedar sage。
多年草、高さ70㎝。葉は円状または腎状心形、幅2.5~5㎝、粗い波状の歯または円鋸歯状の欠刻がある。下部の葉は側小葉が2~3個ある。花序は緩く、細長い総状花序。萼はやや毛があり、長さ約15㎜、花は濃緋色、狭い筒状漏斗形、花の長さは25~35㎜。花は二形性。完全花は春と秋に花が咲き、実を結ぶ。閉鎖花は夏に現れる。
品種) 'Hot Trumpets'
53 Salvia scapiformis Hance タカサゴタムラソウ 高砂田村草
中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖南省、江西省、浙江省)、台湾、フィリピン原産、中国名は地梗鼠尾草 di geng shu wei cao 。標高100~1200mの丘の頂上、谷、川辺、荒地、森林に生える。
多年草。茎は細く、高さ20~26㎝、まばらに伏した微軟毛があるかまたは無毛。葉は根生またはほぼ根生し、まれに茎にあり、ほとんどが単葉で、ときに、2小葉または3小葉である。葉柄は長さ2.5~9㎝。葉身は心状卵形、長さ2~4.3㎝×幅1.3~3.6㎝、下面は紫色、無毛、脈上に毛があり、基部は心形、縁は波状の円鋸歯があり、頂小葉は側小葉よりも大きい。花序は微軟毛があり、輪散花序は花が6~10個、広い間隔で、長さ10~20㎝の頂生の総状花序または円錐花序につく。苞は卵状披針形、長さ2~5㎜。 小花柄は長さ約1.5㎜。萼は緑色、筒状、長さ約4.5㎜、乾燥すると外側が赤みを帯び、ほぼ無毛、まばらに帯黄色の腺がある。上唇は半円状三角形、縁は全縁、先は微突形。下唇には浅い2個の歯があり、歯は三角形。花冠は紫色または白色、長さ約7㎜、毛があり、花冠筒部は内側に細かい直軟毛が環状にあり、わずかに突き出し、幅約0.8㎜、喉の部分がわずかに広がる。上唇は真っすぐ、下唇は長い。雄しべは突き出す。花糸は長さ約1㎜。葯隔は長さ2~4㎜、上腕は長さ約1.5㎜、下腕は長さ約0.9㎜、先の葯細胞は無く、分離する。小堅果は褐色、狭い卵形、長さ約1.3㎜、先は鋭形。花期は4~5月。
54 Salvia sclarea L. オニサルビア
ヨーロッパ、アジア西部、パキスタン原産。英名はclary , clary sage。別名はクラリセージ。民間療法として種子がよく目の疾患に用いられた。乾燥した草地に生える。
2年草、高さ50~150㎝、茎は粗く開出する毛があり(そして上部に腺がある)、上部で自由に分枝し、枝は散在する花の仮輪と、目立つ、丸みを帯びた卵形で、尾状尖鋭形形、しばしば乾くとアントシアン色になる長さ1~3㎝の苞葉をもつ。 最下部の葉は長い葉柄があり、しわがあり、卵形~卵状長円形、基部はほぼ心形、鋸歯または重鋸歯があり、葉身は長さ7~20㎝。茎葉は次第に小さくなり、葉柄が少なくなり、小さな植物ではしばしば茎葉が少数になる。萼は腺と粗い毛があり、上唇には芒のある長さ1.5~3㎜の側歯があり、中央の短い歯からよく分かれる。花冠は青色(白色)または黄色の斑紋があり、長さ1.5~3㎝、上唇は強くアーチ形になり、花冠筒部よりも長く、下唇を超える。雄しべは突き出る。 2n=22。花期は6~7月(Manual of Vascular Plants of Northeastern US and Canada Source)。
2年草または短命の多年草。茎は太くて丈夫で断面が四角形で、長い白毛と腺毛がある花序領域の下部が密に細かい毛で覆われる。葉は広卵形~卵状長円形、長さ10~20㎝x幅5~10㎝、しわがあり、鋸歯状の不規則な刻みがあり(serrate-erose)、基部が鋭形、円形、または心形で、有毛~ほぼ羊毛状。葉柄は長さ4~10㎝。花序は円錐花序、6~10花の多数の輪散花序が離れてつく。苞または花葉(floral leaves)は大きく、緑色、白色またはピンク色、膜質、尖頭形、花の長さと同じかそれより長い。小花柄は長さ2~3㎜、広がって直立する。萼は卵状鐘形、花時に長さ約10㎜、果時に長さ約13㎜、腺毛と毛があり、柄の無い腺がある。上唇には3本の棘状の歯がある。下唇には2本の狭い卵形の棘状の歯がある。花冠は白色、薄紫色またはクリーム色、長さ20~30㎜。上唇はかま形。筒部は長さ約10㎜、便腹形(ventricose)、小鱗片がある(squamulate)。雄しべは長い葯隔と不稔の斧形の下部の半葯をもつ。小堅果は4個、約・長さ3㎜x幅2mm、±球形、かすかに三稜形、丸みを帯び、淡褐色で、暗色の脈がある(Flora of Pakistan)。
品種) 'Piemont' , 'Vatican White'
55 Salvia sonomensis Greene サルビア・ソノメンシス
USA(カリフォルニア)固有種。英名はSonoma sage , creeping sage。標高2000m以下のチャパラル(chaparral)、オーク林、黄松林、乾燥した斜面に生える。
亜低木、平伏せし、マットを形成する。茎は高さ40㎝まで。葉は通常、長さ3~6㎝×幅 5~15㎜。葉身は披針状楕円形~倒卵形で、しわがあり、上面に微細な毛があり、下面は白色、密に反り返った毛があり、縁の歯は細かく、丸い。花序は花茎があり、密散花序は幅1~1.5cm。苞は長さ1cm未満、披針形。 花: 萼は長さ5~10㎜、上唇は3裂、小さく、先端は刺が無い。花冠筒部は長さ5~15㎜、青色~ライラック色または紫色、上唇は2裂、長さ1~3㎜、下唇は長さ3~7㎜。 雄しべ、花柱は突き出る。果実は長さ2.5㎜、長円形、褐色。2n=30。花期は3~7月。
品種) 'Cone Peak' , 'Farmar-Bower', 'John Farmar-Bowers'(白色) 'Serra Peak'.
56 Salvia spathacea Greene ハミングバードセージ
USA(カリフォルニア)固有種。英名は California hummingbird sage , hummingbird sage , pitcher sage。海抜0~600mの沿岸のオークの森、 低木の茂み(chaparral)、海岸のセージ低木地帯の日陰の斜面に生える。その魅力的な花穂と心地よい香りのために庭園で栽培される。
常緑の多年草 高さ0.3~1.5m。茎は基部が木質になり、根茎によって広がりる。花がないとき、植物は高さ50㎝未満に成長し、直径1.3mにもなる広大な葉の塊を形成する。ほとんどのセージとは異なり、開花茎は各株から個別に生成され、分岐することはほとんど無い。茎は非常に顕著な四角い断面を持ち、植物全体が波状の腺毛で覆われる。葉は鮮やかな緑色、は長さ8~20㎝、揉んだり触れたりすると非常に良い香りがし、基部は長楕円形~ほぼ矢尻形で、しわが寄り、葉の縁には円鋸歯があり、毛で覆われ、触ると柔らかく、毛は葉の下面に密集する傾向がある。穂状花序状の茎に長さ15~30㎝×直径6㎝の輪散花序を直立し、茎の上半分の各節に花がつく。花は暗赤色、フルーティーな芳香がある。花期は3~5月。
品種) 'Avis Keedy' , 'Powerline Pink'
57 Salvia splendens Sellow ex Roem. et Schult. ヒゴロモソウ緋衣草
南アメリカ(ブラジル)原産。英名はbonfire salvia、scarlet sage。中国名は一串红 yi chuan hong。別名はサルビア(撒爾韮亜)、オオバナベニサルビア。
亜低木状の多年草。高さ90㎝以下。葉柄は長さ3~4.5㎝、無毛。葉身は卵形~三角状卵形、長さ2.5~7㎝、幅2~4.5㎝、無毛、裏面には腺点があり、基部は切形~ほぼ円形、縁は鋸歯縁、先は尖鋭形。輪散状に2~6個の花がつき、長さ20㎝以下の総状花序になる。苞は卵形、赤色、蕾を包み、先は尾状尖鋭形。花柄は長さ4~7㎜、腺毛がある。萼は赤色、鐘形、花時に長さ約1.6㎝。花後に長さ2㎝以下に伸び、赤色の腺があり、脈に毛があり、長さ1/3まで2唇形。上唇は三角状卵形、長さ5~6㎜、幅10㎜、先は微突形。下唇は上唇よりわずかに長く深く、2歯があり、歯は三角形。花冠は筒状、スカーレット色、長さ4~4.2㎝、短毛がある。筒部はのど部でわずかに広がる。上唇は、直線状、やや中くぼ、長楕円形、長さ8~9㎜、幅約4㎜。下唇は上唇より短い。花糸は長さ約5㎜。小堅果は暗褐色、楕円形、長さ約3.5㎜、先は不規則なひだ状、縁(又は中脈に)に狭い翼がある。
品種) Ablazin'™ Purple , Ablazin'™ Tabasco , 'Blaze of Fire' , 'Blue Ribbons' , 'Bonfire' , 'Carabiniere' , 'Caribbean Coral' , 'Carabinier scarlet' , 'Cleopatra' , 'Dancing Flames' , 'Early Bird' , 'Early Bonfire' , 'Elk Mauve' , 'Elk Purple Mardi Gras' , 'Empire Purple' , 'Farao Mixed' , 'Faye Chappell' , 'Fizz Cream' , 'Fizz Grape' , 'Fizz Peach' , 'Fizz Raspberry' , 'Fizz Strawberry' , 'Flare' , 'GoGo Purple' , 'GoGo Scarlet' , Grandstand™ Blue Bicolor , Grandstand™ Lavender , Grandstand™ Purple , Grandstand™ Red , Grandstand™ Red Lipstick Pink , Grandstand™ Salmon , 'Helen Dillon' , 'Hot Jazz special' , 'Hotline Blue' , 'Jewelled Towers' , 'Jimi’s Good Red' , 'Kaleidoscope' , 'Lighthouse Purple' , 'Lighthouse Red' , 'Little Red Riding Hood' , 'Little tango' , 'Louie's Orange Delight' , 'Lumina' , 'Maestro' , 'Paul' , 'Peach' , 'Phoenix Bright Lilac' , 'Piasa Pink' , 'Picante' , 'Piccolo Scarlet' , 'Rambo' , 'Red Arrow' , 'Red Hot Sally' , 'Rocket' , 'Rookie Scarlet' , 'Sahara Red' , 'Salsa Burgundy' , 'Salsa Light Purple' , 'Salsa Scarlet' , 'Sangria' , 'Sao Borja' , Saucy™ Coral , Saucy™ Red , Saucy™ Wine , 'Scarlet Fire' , 'Scarlet O'Hara' , 'Scarlet Queen' , 'St. John's Fire' , 'Strawberry Sundae' , 'Tango' , 'Uli' , Van Houttei' , 'Van Houttei Big Pink' , 'Van Houttei Elk White' , 'Van Houttei Tall Pink' , 'Vanguard' , 'Variegated Mauve' , 'Vista Lavender' , 'Vista Mix' , 'Vista Purple' , 'Vista Red' , 'Vista Red And White' , 'Vista Rose' , 'Vista Salmon' , 'Vista White' , 'Whopper Lighthouse' , 'Yvonne's Salvia'
58 Salvia transsylvanica Schur サルビア・トランシルバニカ
ロシア、ルーマニア原産。
多年草、高さ60~90㎝、幅45~75㎝、小さく叢生し、耐寒性、冬に落葉する。葉はロゼットを形成し、大きく、深緑色でフェルト状。花は穂状花序状の総状花序に密につく。花序は長さ10~20㎝、大きな葉がつき、高さ60~90㎝になる。花は小さな2唇形、ラベンダーブルー色。花期は6~9月。 品種) 'Blue Cloud' , 'Blue Spires'
59 Salvia umbratica Hance マンシュウアキギリ 満州秋桐
中国(安徽省、甘粛省、河北省、湖北省、陝西省、山西省)原産。中国名は荫生鼠尾草 yin sheng shu wei cao 。標高600~2000mの丘の中腹、谷に生える。
1年草または2年草。 茎は直立し、高さ1.2 mまで、絨毛があり、ときに腺のある絨毛がある。葉柄は長さ1~9cm。 葉身は三角形から卵形三角形、長さ3~16 ×幅2.3~16 cm、向軸方向に思春期または微小梨状、背軸方向にまばらに黄褐色の腺状、葉脈上に絨毛があり、基部は心形~ほぼ切形、基部の裂片は卵形、先は鋭形~鈍形、縁には重円鋸歯または歯があり、先は尖鋭形~尾状尖鋭形。花序には絨毛があり、腺毛がある。 輪散花序の仮輪には2花がつき、間隔が広く、頂生と腋生の総状花序。上部の苞は披針形、長さ3~6㎜×幅1~3㎜。 小花柄は長さ約2㎜。萼は鐘形、長さ7~10㎜、花後にわずかに広がり、絨毛があり、2唇形、長さの1/3まで分裂し、上唇は約・長さ3㎜×幅6㎜、先は3微突形。下唇は上唇よりやや大きく、歯は斜めの三角形、先は鋭形。花冠は青紫色または紫色、長さ2.3~2.8㎝、わずかに毛がある。花冠筒部は内部に直軟毛の不完全な環があり、狭く、基部に向かって円筒形で、突き出した部分は急に広がり、上向きに曲がり、喉部で幅7㎜までになる。上唇は長円状倒心形、長さ8㎜×幅6~7㎜m。下唇は長さ約7㎜×幅12㎜以下、側裂片は月形(lunate)、幅約3㎜。花糸は長さ約5㎜、無毛。葯隔は長さ約7.5㎜、弓形、上側の腕は長さ約4㎜、下側の腕は長さ約3.5㎜。花柱は長さが上側の花冠の唇まで~突き出す。小堅果は楕円形。花期は8~10月。
60 Salvia verbenaca L. ミナトタムラソウ 港田村草
地中海沿岸地域原産。英名はclary , clary sage , salvia , verbena sage , vervain sage , vervain salvia , wild clary , wild sage。オーストラリア南部で野生化。別名はサルビア・ベルベナカ。
多年草、高さ30~50(~70)㎝。ロゼットから茎を直立し、茎は4稜形、有毛、茎の上部ではしばしば、粘性がある。葉は対生し、卵形~楕円形、長さ2.5~10㎝、縁は不規則に分裂し、不規則な鋸歯がある。茎頂及び枝先に花序をつける。仮輪は6~10個。花柄はほとんど無い。萼は帯紫色~緑色、長さ3.5~9㎜、5裂。花は2唇形、長さ7~13㎜、紫色~青色~ピンク色。果実は4小堅果。種子は広卵形、褐色、長さ2~3㎜×幅1.8~2㎜、平滑。
61 Salvia verticillata L. ライラックセージ
ヨーロッパ、ロシア、西アジア原産。英名はlilac sage , whorled clary。ヨーロッパ北部や北アメリカに帰化している。畑や荒地に生える。
多年草、高さ40~80㎝。葉は広卵状長円形~三角形、長さ5~10㎝、粗く不規則な鋸歯があり、基部は切形またはしばしばほぼ心形、まばらに微細剛毛があり(hirsutulous)、長い葉柄がある。花序は通常数個、10~20㎝、間隔が開き、節あたり花が12~30個つく。萼はほぼ筒状、花時に長さ約6㎜、上唇は短く3裂し、筒部長さの1/4~1/3の長さで下唇とほぼ等長。花冠は青色(白色)、長さ10~15mm、上唇は基部が狭くなる。2n=16。花期は7~9月。
品種) 'Alba' , 'Purple Rain'
62 Salvia viridis L. ムラサキサルビア
synonym Salvia viridis L. var. horminum (L.) Battandier et Trabut
synonym Salvia horminum L.
地中海沿岸地域原産。英名はannual clary , bluebeard , wild clary , green-topped sage, painted sage。別名はペインテッドセージ。
1年草、高さ30~60㎝。上部の苞が着色し、大きく、目立ち、紙質、紫色、ローズ色、ピンク色、白色など、暗色の羽状脈がある。花は小さな2唇形、クリーム色で上唇が苞の色を帯びる。花期は6~8月。
品種) 'Blue' , 'Blue Denim' , 'Blue Monday' , 'Colour Blend' , 'Marble Arch Blue' , 'Marble Arch Mix' , 'Marble Arch Rose' , 'Oxford Blue' , 'Pink Sunday' , 'White Swan'
63 Salvia ×jamensis J. Compton サルビア・ヤメンシス
メキシコ原産。チェリーセージSalvia microphylla と Salvia greggii の自然交雑種。
品種) 'Betty' , 'California Sunset' , 'Coral Sunrise' , 'Devantville' , 'Dark Dancer' , 'El Durazno' , 'Flammenn' , 'Golden Elk' , Heatwave™ Blast , Heatwave™ Blaze , Heatwave™ Flare , Heatwave™ Glimmer , 'Hot Lips'ホットリップス , 'James Compton' , 'La Luna' , 'La Siesta' , 'Lemon Sorbet' , 'Los Lirios' , 'Maraschino' , 'Melen' , 'Moonlight over Ashwood' , 'Moonlight Serenade' , 'Nachtvlinder' , 'Pat Vlasto' , 'Peggy' , 'Pleasant Pink' , 'Pluenn' , 'Plum Wine' , 'Raspberry Royale' , 'San Isidro Moon' , 'Shell Dancer' , 'Sierra San Antonio' , 'Silas Dyson' , 'Trenance' , 'Yellow Pink'
64 Salvia x sakuensis Naruh. et Hihara サクキバナアキギリ
キバナアキギリとシナノアキギリの自然交雑種。
65 Salvia ×superba Stapf サルビア・スペルバ
Salvia × sylvestrisシルベストリスとSalvia villicaulisビリカウリス(synonym Salvia amplexicaulis Lam.アンプレクシカウリス)の交雑種と考えられているが、確証はない。
多年草、直立し、群生し、高さ(35~50~)60~90㎝。葉は長楕円形、円鋸歯縁。花茎は長さ40㎝。頂生の長い総状花序に花が多数、つく。花は2唇形、長さ約12㎜、青紫色~紫色~淡ピンク色。花期は3~11月。
品種) 'Adora Blue' , 'Blue Queen'( deep violet ) , 'Blue Hill' , 'Bordeaux'ボルドー , Bordeau™ Deep Blue , 'East Friesland' , 'Edula Blue' , 'May Night' , 'Merleau' . Merleau™ Blue , 'Merleau Rose' , MerleauR White , 'Rose Queen'(rose-pink) , 'Rubin'[AGM] , 'Superba'
66 Salvia x sylvestris L. サルビア・シルベストリス
栽培種。S. nemorosa と S. pratensisの交配種。英名はwoodland sage
品種) 'Blauhugel' , 'Blue Queen' , 'Caradonna' , 'Dwarf Blue Queen' , 'Lye End' , 'Mainacht' , 'Marcus' , 'May Night' , 'Pink Dawn' , 'Rhapsody in Blue' , 'Rose Queen' , 'Rugen' , 'Schneehugel' , 'Snow Hill' , 'Tanzerin' , 'Viola Klose' , 'Wesuwe'
67 その他ハイブリッド
'Amber' , 'Amistad' , 'Anthony Parker' , 'Aromas' , 'Bee's Bliss' , 'Betsy's Purple' , 'Big Swing' , 'Black Knight' , 'Blauhugel' , 'Blue Chiquita' , 'Cabrillo Sunrise' , 'Cabrillo Sunset' , 'Caroline' , 'Celestial Blue' , 'Cherry Queen , 'Christine Yeo' , 'Dancing Flame' , 'Dancing Flames' , 'Dara's Choice' , 'Dear Anja' , 'Eveline' , 'Gracias' , 'Indigo Spires' , 'Jean's Purple Passion' , 'Katheena' , 'Lalarsha' , 'Madeline' , 'Marine Blue' , 'Mrs Beard' , 'Mulberry Jam' , 'Nachtvlinder' , 'Phyllis Fancy' , 'Pinokkio' , 'Pozo Blue' , 'Purple Majesty' , 'Purple Queen' , 'Raspberry Ripple' , regla 'Jame' , regla 'Mount Emory' , regla 'Royal' , 'Rodbaston Breeze' , 'Rodbaston Currant Purple' , 'Rodbaston Dainty Purple' , 'Rolando' , 'Royal Crimson Distinction' , 'Rugan' , 'Scarlet Spires' , 'Sensation Deep Blue' , 'Silas Dyson' , 'Silke's Dream' , 'Silver Sabre' , 'Starlight' , 'Strybing Purple Velvet' , 'Ultra Violet' , 'Waverly' , 'Wendy's Wish' , WindwalkerR Royal Red ,
参考
1) Flora of ChinaSalvia
Salvia
Chromosomes of Salvia
Salvia clevelandii
Salvia discolor
New World Salvias For Cultivation in Southern Arizona
佐竹義輔 イヌノタムラソウについて
台湾・琉球の植物補遺 (6)(山崎敬)
SALVIA merjamie Forssk.