ウメ  梅
[英名] Chinese plum, Japanese apricot
[中国名]

梅 mei

[学名] Armeniaca mume (Siebold et Zucc.) de Vriese
Prunus mume Sieb. et Zucc.
バラ科 Rosaceae  アンズ属(スモモ属)
三河の植物観察
ウメの花
ウメの花の裏
ウメの花横
ウメの淡紅色の花
ウメの果実
ウメの葉裏の毛
ウメの幹
ウメの地衣類のついた幹
ウメ
ウメ蕾
ウメ枝
ウメ葉
ウメ葉の鋸歯
 学名はYList に従いArmeniaca mumeとした。梅は日本では中国原産説の栽培種とするのが通説であるが、Flora of Chinaでは日本、朝鮮原産としている。
 全国で果樹として栽培されている。花を観賞するため、庭や公園にもよく植えられ、有名な梅園も多い。梅の木は庭や畑などに多く、植物の観察会でも目にすることが多い。ウメはスモモ属(サクラ属ともいう)に分類されていることが多いが、狭義にアンズ属(Armeniaca)とする見解もある。ウメの栽培は古く、多数の園芸品種がある。園芸品種についてはウメ(園芸品種)を参照。
 幹は暗灰色で、割れ目が入る。老木は樹幹に地衣類のウメノキゴケがついていることが多く、ヨウラクランクモランが見られることもある。新枝は緑色。葉は互生し、長さ4~9㎝の倒卵形~楕円形、葉先が尖り、縁には細かい鋸歯がある。葉の両面に毛が多く、脈の白毛が目立つ。葉柄は長さ1~2㎝、蜜腺が葉身の基部又は葉柄にある。葉の展開前に開花する。花は普通、白色の5弁花、紅色や淡紅色もある。花弁の先は円形。雌しべ1個。雄しべ多数。萼筒が短く、萼片は反り返らない。花柄はほとんどない。果実は直径2~3㎝の核果。核は扁平な惰円形、表面にしわがあり、小さな穴が多数ある。2n=16 , 24
 アンズ(apricot)Armeniaca vulgaris var. ansu は、幹が赤褐色、新枝は紫褐色。葉は鈍鋸歯縁。花は淡紅色。萼片が反り返る。花柄はごく短い。
 スモモ(prune, plum)は幹が紫褐色。花が白色。萼片は反り返らず、平開する。花柄は長さ約1.5㎝。
 モモ(モモ属)は幹が暗紫褐色、サクラのような横長の皮目がある。花は淡紅色、白色や紅色もある。萼片は反り返らない。花柄はほとんどない。
 ヤマザクラなどのサクラ属は花弁の先が凹み、花柄が長く、萼片が反り返らない。核の表面に溝がない。
 カラミザクラ もサクラ属である。別名シナノミザクラといい、暖地桜桃ともよばれ、1本の木で結実する。花が3月に咲き、果実がやや大きい。
 日本のサクランボはサクラ属のセイヨウミザクラ Cerasus avium (L.) Moench であり、西アジア原産。日本には明治時代に渡来したといわれている。花弁の先は凹まず、萼片が反り返り、花柄が長い。
[花期] 2~3月
[樹高] 5~6m
[生活型] 落葉小高木~高木
[生育場所] 果樹園、公園、庭
[分布] 在来種 日本、朝鮮原産
帰化種 中国中部原産
[撮影] 西尾市  12.3.7
 梅(うめ)は栽培起源がわからないほど、古くから親しまれてきた花木である。日本では弥生時代前期の古墳から梅の遺物が発見されている。弥生時代前期は紀元前11世紀~4世紀(約2300(約2900~紀元前200年頃という説もある)といわれている。この時代に稲は中国から日本に渡来したとされている。それ以前の遺跡から梅は発見されていないため、この時代に梅が日本へ渡来したとするのが通説である。ただし、台湾、大分県、宮城県の一部の山間に野性の梅がみられ、これを自生とする説もある。Flora of Chinaでは中国で広く栽培されている栽培種を Armeniaca mume var. mume とし、中国ではこの野生種は確認されていないが、日本、朝鮮、台湾には野生種があると解説している。中国の自生種は別の3変種である。
 中国では殷(縄文時代晩期) の遺跡から梅の核が発見され、梅の栽培は3000年以上の歴史があると推定されている。
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<ウメの分類>
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ウメの分類は属を広義のスモモ属(広義のサクラ属)とする説と狭義にアンズとウメを含むアンズ属 Armeniaca とする説がある。GRINやThe pant Listではスモモ属の Prunus mumeとし、YlistやFlora of Cninaではアンズ属の Armeniaca mume を採用している。スモモ属 Prunusとした場合は広義なのか狭義なのかわかりにくい。
【広義のスモモ属 Prunus(=広義のサクラ属 Cerasus)中の亜属】
モモ亜属 Subgenus Amygdalus 、スモモ亜属 Subgenus Prunus 、アンズPrunus vulgarisなどを分けた)、サクラ亜属 Subgenus Cerasus 、ニワウメ亜属 Subgenus Lithocerasus 、ウワミズザクラ亜属 Subgenus Padus 、バクチノキ亜属 Subgenus Laurocerasus

 ※スモモ亜属の中から ウメやアンズなどをウメ亜属 Subg. Armeniacaとして独立する説もある。
 ※亜属を属とする説もある。

 被子植物(Angiosperm)-真正双子葉類(Eudicots)-コア真正双子葉類(Core eudicots)-バラ上群(Superrosids)-バラ類(Rosid)-窒素固定クレード(nitrogen‑fixing clade)-バラ目(Rosales)-バラ科 (Rosaceae)-サクラ亜科(Amygdaloideae =スモモ亜科Prunoideae)-サクラ属=スモモ属(Prunus)-スモモ亜属(Subgenus Prunus)=ウメ亜属(Subgenus Armeniaca)
  スモモ亜属の中のアンズ節を亜属又は属(Armeniaca)とする見解もある。
  スモモ亜属中の節
   ①アンズ節(Section Armeniaca) Apricot Trees; アンズ(アプリコット)、ウメ
     芽型は内巻き。花は1~3個束生。花軸は極短。果実は有毛まれに無毛、白紛状で無い。
   ②スモモ節 Section Prunus - Old World Plum Trees; 約16種 ニホンプラム
     芽型は内巻き。花は1~3個束生。果実は平滑、しばしば白紛状。
   ③Section Prunocerasus (meaning prune-cherry)約14種, プラム New World Plum Trees
     以前はサクラ亜属(Subgenus Cerasus)に入れられていた。
     芽型は内巻き。花は3~5個束生。果実は平滑、しばしば白紛状。
 英語ではウメをplumと呼ぶため、スモモとウメを混同しやすい。
 最近の研究ではウメ、スモモ、アンズはお互いに交雑することはあるが、明確に種として分化しているといわれている(筑波大学 林恭平博士の研究)。
  アンズArmeniaca vulgaris Lam.= Prunus armeniaca L. var. ansu Maxim.
  スモモ Prunus salicina Lindl.
  ウメ Armeniaca mume (Siebold et Zucc.) de Vriese= Prunus mume Sieb. et Zucc.
      Armeniaca mume Siebold et Zucc var. mume
【アンズ属 Armeniaca】 広義のスモモ属(サクラ属)Prunusの亜属にあたる
高木まれに低木、落葉。枝は刺がなくまれに刺がある。冬芽は腋生、単生、頂部に冬芽はできない。托葉は無。葉は単葉、互生、若いときに巻き込む。葉柄に普通、2個の蜜腺がある。葉縁は単鋸歯又は重鋸歯。花序は明瞭な腋生、花が1~3個つく。花は両性、正常、単性又は3個束生、葉の展開前に又はまれに葉と一緒に開花する。花柄はほとんど無いか非常に短く、まれに長いものもある。花托筒は果時には早落する。萼片は5個、覆瓦状。花弁5個、花托筒の口部につき、覆瓦状。雄しべは15~ 45個。花糸は離生、糸状。心皮は1(又は2)個。子房は上位、有毛、1室。胚珠は2個、並列、下垂。花柱は頂生、長い。果実は核果、側面が圧縮、有毛まれに無毛、縦に明瞭な溝がある。中果皮は多肉質又は肉質、熟しても割れず、まれに乾き、熟すと割れる。内果皮は堅く、2バルブ、両側から圧縮され、表面は平滑、凸凹、網状、まれに小穴があり、中果皮から離れ又はつく。種子は苦い又は甘い。アジア東部~南西に約11種分布する。
【狭義のスモモ属 Prunus】 スモモ亜属をスモモ属としアンズ属Armeniacaを含めない狭義
高木まれに低木、落葉。枝はときに、刺のような先ンある。冬芽は腋生、卵形、頂生しない。托葉は膜質、早落性。葉は単葉、互生、若いときに巻き込む(又は二つ折り)、有柄又は無柄。蜜腺が葉柄の先や葉身の基部につく。葉身は様々な円鋸歯又は粗い鋸歯縁。花序は明らかな腋生、花が1~3個、束生する。芳は小さく、早落性。花は葉の展開と同時又はより早く開花する。花托筒は鐘形。萼片は5個、覆瓦状。花弁5個、白色ときに紫色の脈があり、まれに帯緑色、花托筒の拡大部につき、覆瓦状。雄しべは20~30個、2輪につく。花糸は不等長。心皮は1個。子房上位、1室、無毛とき軟毛がある。胚珠は2小、下垂。花柱は頂生、長い。果実は核果、しばしば白紛状、普通、縦の溝がある。中果皮は肉質、熟しても割れない。内果皮(核)は側面が圧縮され、平滑、まれに溝やしわがある。x=8。
 アジア、ヨーロッパ、北アメリカに約30種が分布する。
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【中国の梅】
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 中国語では梅(mei)、果実は梅子(meizi)という。梅の木は普通、寿命が長く、古木が中国中で見かけられる。黄梅県にある黄梅(Huangmei (Yellow Mei))は金朝時代からの樹齢1600年の古木で、今でも花が咲く。殷(紀元前14~12世紀)の遺跡からウメの核が発掘され、栽培の歴史は3000年以上前からと推定されている。Flora of China ではウメを Armeniaca mume (Siebold et Zucc.)とし中国で広く栽培されている栽培種をvar. mumeとしている。これが日本、朝鮮、台湾のものと同じであり、中国では野生種は確認されていない。

 3つの自生の変種に分類されている。
1.梅(標準変種) var. mume:栽培種であり、野生種は知られていない。
    Flora of Chinaでは日本、朝鮮の原産としている。
   葉身は卵形~披針形、薄い。花柄は長さ1~3㎜。内果皮(核)は楕円形、基部が楔形。
   栽培されている。
 ※台湾の野生種はPrunus mume var. formosana と呼ばれている。
2.毛茎梅(mao jing mei) var. pubicaulina :海抜約2500mの山中 W Yunnan (Yunlong Xian).
   小枝や葉柄は白色の短毛を密生する(incanous)
3.厚叶梅(hou ye me) var. pallescens :四川省、雲南省の海抜1700~3100mの森林の斜面、河畔
  葉身は卵形~卵状楕円形、厚い、類革質。花柄は長さ5㎜を越えない。
  内果皮は類球形、基部は鈍形~円形。
4.长梗梅(chang geng mei )var. cernua :雲南省の海抜1900~2600mの山道や川沿いの斜面、疎林
  葉身は倒卵形~倒卵状倒披針形。花柄は1㎝以下(普通0.5㎝を越えない)。

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