ヤハズエンドウ 矢筈豌豆

Flora of Mikawa
マメ科 Fabaceae ソラマメ属
| 別 名 | カラスノエンドウ 烏野豌豆 |
| 中国名 | 窄叶野豌豆 zhai ye ye wan dou |
| 英 名 | common vetch, spring vetch, garden vetch |
| 学 名 | Vicia sativa L. subsp. nigra (L.) Ehrh. synonym Vicia angustifolia L. synonym Vicia angustifolia L. var. segetalis (Thuill.) W.D.J.Koch synonym Vicia sativa L. 広義 |










| 花 期 | 3~6月 |
| 高 さ | つる性で高さ10~30㎝ |
| 生活型 | 1年草または越年草 |
| 生育場所 | 日当たりの良い野原、道端、畑など |
| 分 布 | 在来種、北海道を除く日本全土、アジア、アフリカ、ヨーロッパ |
| 撮 影 | 幸田町 01.3.20 |
ヤハズエンドウはマメ科ソラマメ属の普通に見られる雑草。アジア、アフリカ、ヨーロッパの温帯に広く自生し、アメリカやオーストラリアなどに世界中に帰化、分布している。和名の由来は葉先が矢筈状に切れ込んでいることから。別名のカラスノエンドウの方が一般的であり、エンドウに似た小さい豆が黒く熟すのでこの名がついたといわれている。学名は広義にはVicia sativa L.であり、7亜種に分類され、日本、朝鮮、中国に分布するのはsubsp. nigra(狭義のヤハズエンドウ)である。
1 Vicia sativa L. ヤハズエンドウ 矢筈豌豆 [広義]
synonym Vicia segetalis Thuill.
日本(北海道を除く日本全土)、朝鮮、中国(安徽省、重慶市、福建省、甘粛省、広東省、貴州省、河北省、黒竜江省、湖北省、湖南省、江蘇省、内モンゴル自治区、四川省、新疆ウイグル自治区、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、インド、パキスタン、スリランカ、ネパール、ブータン、バングラデシュ、アッサム、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、湾岸諸国、サウジアラビア、イエメン、オマーン、トルコ、ロシア、シナイ半島、ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、アゾレス諸島、バレアレス諸島、バルト三国、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス、チェコ・スロバキア、デンマーク、東エーゲ海諸島、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、クレタ島、クリミア半島、クリル諸島、マデイラ諸島、オランダ、北コーカサス、ノルウェー、北西バルカン半島、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サルデーニャ、シチリア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカサス、ウクライナ)、北アフリカ(アルジェリア、エジプト、エリトリア、エチオピア、ケニア、リビア、モロッコ、スーダン、チュニジア、西サハラ)原産。英名はcommon vetch, spring vetch, garden vetch。広く導入され帰化し、分布域が広い。海抜3700mまでの野生地または耕作地、あるいは帰化の可能性のある森林、生垣、丘陵斜面、谷、草原、乾燥した牧草地、湿った草地、河川や小川の岸、河床、農場、果樹園、野原、耕作地、耕作地の縁、荒れ地、道端に生える。
1年草、高さ15~100cm。茎は分枝しないか,多数分枝し、傾伏または蔓性で、微軟毛または細柔毛がある。葉は偶数羽状複葉、長さ2~10cm。托葉は矛形、半矢じり形、または披針形、長さ約1.5mm、2~5個の歯があり、微軟毛がある。小葉は2~7対、線形~長楕状楔形~倒心形、長さ9~25mm×幅2~10mm、毛があり、先は鋭形、鈍形、切形、または凹形、微突があり、側脈は明瞭でなく、巻きひげは2~3分岐する。花は腋生、1~2(~4)個が束生する。萼は鐘形、毛があり、萼歯は萼筒より短い~長い。花冠は青紫色または紫色~赤色、長さ(8~)10~30mm。旗弁は長倒卵形または倒卵形、中央部で狭まり、翼弁とほぼ同長~翼弁より長く、翼弁は竜骨弁より長い。子房は短い柄があり、線形または紡錘形、微軟毛があるかまたは毛がある。胚珠は5~8個。豆果は黒色、褐黒色、褐色、または黄褐色、線形または線状長円形で、わずかに湾曲し、種子間でくびれるかまたはくびれず、長さ25~70mm×幅(2.5~)3~11mm、軟毛があるか無毛で、先には嘴がある。種子は4~8個、球形。花期は1~8月。果期は2~9月。 2n=10, 12, 14。
品種) 'Apta' , 'Ardente' (PBR) , 'Barvicos' (PBR) , 'Berninova' (PBR) , 'Carole' , 'Caroline' , 'Delphi' , 'Granit' (PBR) , 'Ina' , 'Jade' (PBR) , 'Nickel' (PBR) , 'Platine' (PBR) , 'Rubis' (PBR) , 'Safran' , 'Spido' (PBR) , 'Spinelle' (PBR) , 'Topaze' (PBR) , 'Vaguada' (PBR) , 'Massa' (PBR)
1-1 Vicia sativa subsp. amphicarpa (L.) Batt.
synonym Vicia amphicarpa L.
ヨーロッパ(アルバニア、バレアレス諸島、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス島、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、イタリア、クレタ島、クリミア半島、北西バルカン半島、ポルトガル、シチリア、スペイン、トランスコーカサス、)、アフリカ(アルジェリア、エジプト、リビア、モロッコ、チュニジア、)、南西アジア(アフガニスタン、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、トルコ、)原産。英名はSubterranean Vetch。乾燥した石灰質の草原、低木の間、乾燥温帯のオーク林からブナ帯にかけて生育する。
1年草。地下茎があり、閉鎖花を付ける。茎は長さ20~80cm。葉は羽状複葉、小葉は3~4対つき、線状楔形。萼歯は萼筒より短い。旗弁は紫色のスミレ色。豆果は長さ3~3.5cm×幅4~5mm、平滑、ほぼ無毛、暗褐色、8~10個の種子を持つ。種子は長さ3.8~4mm×幅4.5~5mm。花期は5~6月。果期は7~8月。昆虫により受粉または自家受粉。繁殖は種子による。2n=14。
1-2 Vicia sativa subsp. cordata (Wulfen ex Hoppe) Batt.
synonym Vicia cordata Wulfen ex Hoppe
ヨーロッパ(アルバニア、イタリア、バレアレス諸島、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス島、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、クレタ島、クリミア半島、マデイラ諸島、北コーカサス、北西バルカン半島、ポルトガル、サルデーニャ、シチリア、スペイン、トランスコーカサス)、アフリカ(アルジェリア、エジプト、リビア、モロッコ)、南西アジア(トルクメニスタン、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、トルコ、シナイ)原産。英名はCommon vetch。標高0~900(~1600)mの湿った牧草地、開けた森林地帯、さまざまな撹乱された場所に生える。
まばらに毛のある1年草。茎は長さ80cmまで。葉は羽状複葉。小葉は長円形または倒卵状楔形、切形~縁があり、毛がある。花は1~2(~4)個、一緒につく。萼歯は萼筒より長い。花冠は長さ18~22mm。旗弁は赤紫色。 翼弁は暗赤色。豆果は長さ30~50mm×幅4.5~6mm、種子間はくびれず、暗褐色またはほぼ黒色、通常は無毛。 種子は長さ3~4.5mm。花期は3~6月。2n=10。
1-3 Vicia sativa subsp. devia J.G.Costa
マデイラ諸島原産。
1-4 Vicia sativa subsp. incisa (M.Bieb.) Arcang.
synonym Vicia incisa M.Bieb.
ブルガリア、東エーゲ海諸島、ギリシャ、イタリア、クリム島、トルコ原産。英名はincised vetch。湿った木の下に生える。
1年草、長さ60~80cm、蔓性。小葉は4~5対、下部の小葉は切れ込みがあり、上部の小葉は広倒卵形。萼歯は筒部とほぼ同長。花は腋生、1~2個つく。花冠は長さ20~23mm。旗弁は紫色、翼弁は旗弁より濃色。豆果は長さ約40mm×幅5~6mm、無毛。種子は長さ5~7mm。花期は4~5月。2n=14。
1-5 Vicia sativa subsp. macrocarpa (Moris) Arcang.
synonym Vicia macrocarpa (Moris) Bertol.
バレアレス諸島、ブルガリア、コルシカ島、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、イタリア、バルカン半島北西部、サルデーニャ島、シチリア島、スペイン、トルコ、北アフリカ(アルジェリア、リビア、モロッコ、チュニジア)原産。標高0〜900(〜1600)mの湿った草地、開けた森林地帯、および様々な撹乱された生息地に生える。
茎は長さ80cm。葉は上部に分岐した巻きひげを持つ。小葉は3~8対、長さ6~20(~30)mm×幅1~7mm、長円状楔形~倒心形、先は凹形または切形。托葉は鋸歯があり、通常、黒色の斑点がある。花は1~2(~4)個つく。萼歯は萼筒と同長か、それより長い。花冠は長さ18~30mm。旗弁はピンク色~暗赤紫色。翼弁はより暗色。豆果は幅8~10(~12)mm、網状脈があり、種子間は狭まらず、暗褐色~黒色、ほぼ無毛。種子は長さ5.5~8mm。花期は3~6月。2n=12。
1-6 Vicia sativa subsp. nigra Ehrh. ヤハズエンドウ 矢筈豌豆
synonym Vicia nigra (Ehrh.) Dubois
synonym Vicia sativa L. var. nigra L.
synonym Vicia sativa L. var. angustifolia (L.) Wahlenb.
synonym Vicia amphicarpa f. albiflora (Merino) Merino
日本(北海道を除く日本全土)、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、インド、パキスタン、スリランカ、ネパール、ブータン、バングラデシュ、アッサム、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、サウジアラビア、トルコ、オマーン、ヨーロッパ、北アフリカ原産。中国名は窄叶野豌豆 zhai ye ye wan dou 。英名はnarrow-leaved vetch , common vetch , garden vetch。別名はカラスノエンドウ(烏野豌豆)、ピーピーグサ、ピーピーマメ、シービービー。分布域が広く、平地や山沿いの野原や道端、土手などに普通にみられる。
1年草又は越年草。つる性、高さ10~30㎝。葉の先端が2~3個に分岐した巻きひげとなる。葉は偶数羽状複葉で、小葉は8~16個。小葉は有毛、先端が矢筈やはず)状に浅く凹む。茎上部の葉先が鋭頭となるものが多く、中間的なものも多い。小葉の幅は狭く、幅1~4mm。学名のangustifoliaも幅の狭い葉をもつという意味である。托葉は深い切れ込みがあり、褐色の腺点(花外蜜腺)がつくのが特徴である。花は比較的に小さく長さ(0.8~)1.2~1.8㎝、紅紫色。旗弁の裏は色が薄い。花柄はほとんど無い。萼は先が5裂して先が尖り、萼歯は萼筒より短い。豆果は細く、長さ3~5㎝×幅4~6mm、5~10個の種子をもち、熟してくると暗褐色~帯黒色のV字状になり、完熟するとねじれて裂開し、種子をはじきとばす。種子は直径約3㎜の球形、次第に褐色が濃くなり、黒色の班点がある。2n=10, 12, 14。花期は3~6月。
1-7 Vicia sativa subsp. sativa オオヤハズエンドウ 大矢筈豌豆
synonym Vicia communis Rouy
synonym Vicia sativa var. linearis Lange
synonym Vicia sativa subvar. minor Pérez Lara
synonym Vicia sativa var. minor Gaudin
synonym Vicia obcordata Rchb.
アジア(モンゴル、ロシア、インド、スリランカ、アッサム、ネパール、ブータン、バングラデシュ、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、イラン、イラク、レバノン、シリア、パレスチナ、湾岸諸国、サウジアラビア、イエメン、オマーン、トルコ)、ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、バレアレス諸島、ベルギー、ブルガリア、コルシカ島、チェコスロバキア、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、クレタ島、クリミア半島、オランダ、北コーカサス、北西バルカン半島、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サルデーニャ、シチリア、スペイン、スイス、トランスコーカサス、ウクライナ)、アフリカ(エジプト)原産。中国、台湾、ベトナム、ミャンマー、オーストラリア、アフリカ、ヨーロッパ西北部、南北アメリカなど世界に広く帰化している。
小葉は倒卵形~倒心形、比較的幅広く、幅5~10mm。花は比較的大きく、長さ2~3cm、2~3色。旗弁は斜め上向きにつき、通常は翼弁や竜骨弁よりも色が明るい。萼の長さ14~17mmで、萼歯は萼筒と少なくとも同長さである。成熟した豆果は扁平、幅は6~12mm、種子の間でやや狭まり、黄色~黄褐色~淡褐色~暗褐色、明瞭な毛がある。花期は5~10月。2n=12。( Flora Helvetica 2018など)
全体に大型で、毛が多く、萼歯が萼筒より長く、豆果が黄色~褐色。FNA(Flora of North America)アメリカではVicia sativaを2変種、 var. sativa(オオヤハズエンドウ)とvar. angustifolia(ヤハズエンドウ)の2変種にわけ、花の長さはそれぞれ、18~30mm、10~18(~20)mmとしている。
以下はYListに掲載されているが、POWOにはないもの。
別名はホソバカラスノエンドウ
小葉が細く、先が尖るもの。
小型のスズメノエンドウやその中間の大きさのカスマグサは托葉に腺点がない。花の大きさが似ていて托葉に腺点がないアレチノエンドウ(barn vetch)という帰化種もある。
1 Vicia sativa L. ヤハズエンドウ 矢筈豌豆 [広義]
synonym Vicia segetalis Thuill.
日本(北海道を除く日本全土)、朝鮮、中国(安徽省、重慶市、福建省、甘粛省、広東省、貴州省、河北省、黒竜江省、湖北省、湖南省、江蘇省、内モンゴル自治区、四川省、新疆ウイグル自治区、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、インド、パキスタン、スリランカ、ネパール、ブータン、バングラデシュ、アッサム、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、湾岸諸国、サウジアラビア、イエメン、オマーン、トルコ、ロシア、シナイ半島、ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、アゾレス諸島、バレアレス諸島、バルト三国、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス、チェコ・スロバキア、デンマーク、東エーゲ海諸島、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、クレタ島、クリミア半島、クリル諸島、マデイラ諸島、オランダ、北コーカサス、ノルウェー、北西バルカン半島、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サルデーニャ、シチリア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカサス、ウクライナ)、北アフリカ(アルジェリア、エジプト、エリトリア、エチオピア、ケニア、リビア、モロッコ、スーダン、チュニジア、西サハラ)原産。英名はcommon vetch, spring vetch, garden vetch。広く導入され帰化し、分布域が広い。海抜3700mまでの野生地または耕作地、あるいは帰化の可能性のある森林、生垣、丘陵斜面、谷、草原、乾燥した牧草地、湿った草地、河川や小川の岸、河床、農場、果樹園、野原、耕作地、耕作地の縁、荒れ地、道端に生える。
1年草、高さ15~100cm。茎は分枝しないか,多数分枝し、傾伏または蔓性で、微軟毛または細柔毛がある。葉は偶数羽状複葉、長さ2~10cm。托葉は矛形、半矢じり形、または披針形、長さ約1.5mm、2~5個の歯があり、微軟毛がある。小葉は2~7対、線形~長楕状楔形~倒心形、長さ9~25mm×幅2~10mm、毛があり、先は鋭形、鈍形、切形、または凹形、微突があり、側脈は明瞭でなく、巻きひげは2~3分岐する。花は腋生、1~2(~4)個が束生する。萼は鐘形、毛があり、萼歯は萼筒より短い~長い。花冠は青紫色または紫色~赤色、長さ(8~)10~30mm。旗弁は長倒卵形または倒卵形、中央部で狭まり、翼弁とほぼ同長~翼弁より長く、翼弁は竜骨弁より長い。子房は短い柄があり、線形または紡錘形、微軟毛があるかまたは毛がある。胚珠は5~8個。豆果は黒色、褐黒色、褐色、または黄褐色、線形または線状長円形で、わずかに湾曲し、種子間でくびれるかまたはくびれず、長さ25~70mm×幅(2.5~)3~11mm、軟毛があるか無毛で、先には嘴がある。種子は4~8個、球形。花期は1~8月。果期は2~9月。 2n=10, 12, 14。
品種) 'Apta' , 'Ardente' (PBR) , 'Barvicos' (PBR) , 'Berninova' (PBR) , 'Carole' , 'Caroline' , 'Delphi' , 'Granit' (PBR) , 'Ina' , 'Jade' (PBR) , 'Nickel' (PBR) , 'Platine' (PBR) , 'Rubis' (PBR) , 'Safran' , 'Spido' (PBR) , 'Spinelle' (PBR) , 'Topaze' (PBR) , 'Vaguada' (PBR) , 'Massa' (PBR)
1-1 Vicia sativa subsp. amphicarpa (L.) Batt.
synonym Vicia amphicarpa L.
ヨーロッパ(アルバニア、バレアレス諸島、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス島、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、イタリア、クレタ島、クリミア半島、北西バルカン半島、ポルトガル、シチリア、スペイン、トランスコーカサス、)、アフリカ(アルジェリア、エジプト、リビア、モロッコ、チュニジア、)、南西アジア(アフガニスタン、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、トルコ、)原産。英名はSubterranean Vetch。乾燥した石灰質の草原、低木の間、乾燥温帯のオーク林からブナ帯にかけて生育する。
1年草。地下茎があり、閉鎖花を付ける。茎は長さ20~80cm。葉は羽状複葉、小葉は3~4対つき、線状楔形。萼歯は萼筒より短い。旗弁は紫色のスミレ色。豆果は長さ3~3.5cm×幅4~5mm、平滑、ほぼ無毛、暗褐色、8~10個の種子を持つ。種子は長さ3.8~4mm×幅4.5~5mm。花期は5~6月。果期は7~8月。昆虫により受粉または自家受粉。繁殖は種子による。2n=14。
1-2 Vicia sativa subsp. cordata (Wulfen ex Hoppe) Batt.
synonym Vicia cordata Wulfen ex Hoppe
ヨーロッパ(アルバニア、イタリア、バレアレス諸島、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス島、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、クレタ島、クリミア半島、マデイラ諸島、北コーカサス、北西バルカン半島、ポルトガル、サルデーニャ、シチリア、スペイン、トランスコーカサス)、アフリカ(アルジェリア、エジプト、リビア、モロッコ)、南西アジア(トルクメニスタン、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、トルコ、シナイ)原産。英名はCommon vetch。標高0~900(~1600)mの湿った牧草地、開けた森林地帯、さまざまな撹乱された場所に生える。
まばらに毛のある1年草。茎は長さ80cmまで。葉は羽状複葉。小葉は長円形または倒卵状楔形、切形~縁があり、毛がある。花は1~2(~4)個、一緒につく。萼歯は萼筒より長い。花冠は長さ18~22mm。旗弁は赤紫色。 翼弁は暗赤色。豆果は長さ30~50mm×幅4.5~6mm、種子間はくびれず、暗褐色またはほぼ黒色、通常は無毛。 種子は長さ3~4.5mm。花期は3~6月。2n=10。
1-3 Vicia sativa subsp. devia J.G.Costa
マデイラ諸島原産。
1-4 Vicia sativa subsp. incisa (M.Bieb.) Arcang.
synonym Vicia incisa M.Bieb.
ブルガリア、東エーゲ海諸島、ギリシャ、イタリア、クリム島、トルコ原産。英名はincised vetch。湿った木の下に生える。
1年草、長さ60~80cm、蔓性。小葉は4~5対、下部の小葉は切れ込みがあり、上部の小葉は広倒卵形。萼歯は筒部とほぼ同長。花は腋生、1~2個つく。花冠は長さ20~23mm。旗弁は紫色、翼弁は旗弁より濃色。豆果は長さ約40mm×幅5~6mm、無毛。種子は長さ5~7mm。花期は4~5月。2n=14。
1-5 Vicia sativa subsp. macrocarpa (Moris) Arcang.
synonym Vicia macrocarpa (Moris) Bertol.
バレアレス諸島、ブルガリア、コルシカ島、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、イタリア、バルカン半島北西部、サルデーニャ島、シチリア島、スペイン、トルコ、北アフリカ(アルジェリア、リビア、モロッコ、チュニジア)原産。標高0〜900(〜1600)mの湿った草地、開けた森林地帯、および様々な撹乱された生息地に生える。
茎は長さ80cm。葉は上部に分岐した巻きひげを持つ。小葉は3~8対、長さ6~20(~30)mm×幅1~7mm、長円状楔形~倒心形、先は凹形または切形。托葉は鋸歯があり、通常、黒色の斑点がある。花は1~2(~4)個つく。萼歯は萼筒と同長か、それより長い。花冠は長さ18~30mm。旗弁はピンク色~暗赤紫色。翼弁はより暗色。豆果は幅8~10(~12)mm、網状脈があり、種子間は狭まらず、暗褐色~黒色、ほぼ無毛。種子は長さ5.5~8mm。花期は3~6月。2n=12。
1-6 Vicia sativa subsp. nigra Ehrh. ヤハズエンドウ 矢筈豌豆
synonym Vicia nigra (Ehrh.) Dubois
synonym Vicia sativa L. var. nigra L.
synonym Vicia sativa L. var. angustifolia (L.) Wahlenb.
synonym Vicia sativa L. subsp. angustifolia (L.) Gaudin var. segetalis (Thuill.) Ser.
synonym Vicia angustifolia L. var. segetalis (Thuill.) W.D.J.Koch
synonym Vicia angustifolia L.synonym Vicia amphicarpa f. albiflora (Merino) Merino
synonym Vicia angustifolia f. albiflora Merino シロバナヤハズエンドウ
synonym Vicia angustifolia var. minor (Bertol.) Ohwi ホソバヤハズエンドウ
synonym Vicia angustifolia subsp. segetalis (Thuill.) Nyman日本(北海道を除く日本全土)、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、インド、パキスタン、スリランカ、ネパール、ブータン、バングラデシュ、アッサム、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、サウジアラビア、トルコ、オマーン、ヨーロッパ、北アフリカ原産。中国名は窄叶野豌豆 zhai ye ye wan dou 。英名はnarrow-leaved vetch , common vetch , garden vetch。別名はカラスノエンドウ(烏野豌豆)、ピーピーグサ、ピーピーマメ、シービービー。分布域が広く、平地や山沿いの野原や道端、土手などに普通にみられる。
1年草又は越年草。つる性、高さ10~30㎝。葉の先端が2~3個に分岐した巻きひげとなる。葉は偶数羽状複葉で、小葉は8~16個。小葉は有毛、先端が矢筈やはず)状に浅く凹む。茎上部の葉先が鋭頭となるものが多く、中間的なものも多い。小葉の幅は狭く、幅1~4mm。学名のangustifoliaも幅の狭い葉をもつという意味である。托葉は深い切れ込みがあり、褐色の腺点(花外蜜腺)がつくのが特徴である。花は比較的に小さく長さ(0.8~)1.2~1.8㎝、紅紫色。旗弁の裏は色が薄い。花柄はほとんど無い。萼は先が5裂して先が尖り、萼歯は萼筒より短い。豆果は細く、長さ3~5㎝×幅4~6mm、5~10個の種子をもち、熟してくると暗褐色~帯黒色のV字状になり、完熟するとねじれて裂開し、種子をはじきとばす。種子は直径約3㎜の球形、次第に褐色が濃くなり、黒色の班点がある。2n=10, 12, 14。花期は3~6月。
1-7 Vicia sativa subsp. sativa オオヤハズエンドウ 大矢筈豌豆
synonym Vicia communis Rouy
synonym Vicia sativa var. linearis Lange
synonym Vicia sativa subvar. minor Pérez Lara
synonym Vicia sativa var. minor Gaudin
synonym Vicia obcordata Rchb.
アジア(モンゴル、ロシア、インド、スリランカ、アッサム、ネパール、ブータン、バングラデシュ、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、イラン、イラク、レバノン、シリア、パレスチナ、湾岸諸国、サウジアラビア、イエメン、オマーン、トルコ)、ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、バレアレス諸島、ベルギー、ブルガリア、コルシカ島、チェコスロバキア、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、クレタ島、クリミア半島、オランダ、北コーカサス、北西バルカン半島、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サルデーニャ、シチリア、スペイン、スイス、トランスコーカサス、ウクライナ)、アフリカ(エジプト)原産。中国、台湾、ベトナム、ミャンマー、オーストラリア、アフリカ、ヨーロッパ西北部、南北アメリカなど世界に広く帰化している。
小葉は倒卵形~倒心形、比較的幅広く、幅5~10mm。花は比較的大きく、長さ2~3cm、2~3色。旗弁は斜め上向きにつき、通常は翼弁や竜骨弁よりも色が明るい。萼の長さ14~17mmで、萼歯は萼筒と少なくとも同長さである。成熟した豆果は扁平、幅は6~12mm、種子の間でやや狭まり、黄色~黄褐色~淡褐色~暗褐色、明瞭な毛がある。花期は5~10月。2n=12。( Flora Helvetica 2018など)
全体に大型で、毛が多く、萼歯が萼筒より長く、豆果が黄色~褐色。FNA(Flora of North America)アメリカではVicia sativaを2変種、 var. sativa(オオヤハズエンドウ)とvar. angustifolia(ヤハズエンドウ)の2変種にわけ、花の長さはそれぞれ、18~30mm、10~18(~20)mmとしている。
以下はYListに掲載されているが、POWOにはないもの。
(1) Vicia sativa L. subsp. nigra (L.) Ehrh. f. normalis (Makino) Kitam. ツルナシヤハズエンドウ
synonym Vicia angustifolia L. var. segetalis (Thuill.) Koch f. normalis (Makino) Ohwi
巻きひげのないもの(2) Vicia sativa L. subsp. nigra (L.) Ehrh. var. minor (Bertol.) Gaudin ホソバヤハズエンドウ
synonym Vicia angustifolia L. var. minor (Bertol.) Ohwi別名はホソバカラスノエンドウ
小葉が細く、先が尖るもの。
(3) Vicia angustifolia L. var. segetalis (Thuill.) Koch f. albiflora Honda シロバナヤハズエンドウ 異分類
白花品種。小型のスズメノエンドウやその中間の大きさのカスマグサは托葉に腺点がない。花の大きさが似ていて托葉に腺点がないアレチノエンドウ(barn vetch)という帰化種もある。