タネツケバナ 種漬花
Flora of Mikawa
アブラナ科 Brassicaceae タネツケバナ属
英 名 | woodland bittercress, bittercress |
中国名 |
弯曲碎米荠 wan qu sui mi ji |
学 名 | Cardamine occulta Hornem. synonym Cardamine flexuosa auct. non With. |
果 期 | 4~6月 |
高 さ | (6)10~50㎝ |
生活型 | 1・2年草 |
生育場所 | 田、溝、湿地 |
分 布 | 在来種 日本全土 北半球全体 |
撮 影 | 豊橋市 02.3.21 |
根茎はない。茎は上向きに又は傾伏して直立し、ときに分枝し、茎の下部は紫色を帯びる。根生葉は花期にはなく、長さ(2.7)4~14(19)㎝の羽状複葉。葉柄は長さ0.7~5㎝。頂小葉は側小葉よりやや大きく、側小葉は長楕円形、2~7対(普通4対以上)つく。小葉柄は長さ0.3~1.7㎝。葉柄や葉縁などに毛がある。茎葉は3~15個つき、葉柄を含めて長さ(2)3.5~5.5(7)㎝。花は総状花序に多数つく。萼片は4個、長さ1.5~2.5㎜×幅0.7~1㎜。花弁は白色、4個、長さ2.5~4(5)㎜×幅1~1.7㎜。雄しべ6個まれに4個。雌しべ1個。長角果は長さ (0.8)1.2~2.8㎝×幅1~1.5㎜の細い円柱形、種子は両側に1列ずつ並び、両側で18~40個入り、熟すと下側から捲れ上がる。種子は扁平、熟すと淡褐色~褐色になり、長さ0.9~1.5㎜×幅0.6~1㎜。2n=64(8倍体)。
よく似たヨーロッパ原産の帰化種であるコタネツケバナは小型で、無毛、種子にひれ(鰭)があるのが特徴。
同じくヨーロッパ原産のミチタネツケバナは花期にも根生葉があり、果実が花のまわりに上向きに立ってとりまくようにつく。花の雄しべが普通4個。
水流のある場所に生えるオオバタネツケバナは茎が直立せず、紫色を帯びず、無毛。また、側小葉が少なく、頂小葉が際立って大きい。オオバタネツケバナとタネツケバナとの中間的な形質をもつものをミズタネツケバナに分ける説もある。
オランダガラシは水中に生え、若いときは側小葉が丸く、花期には卵形~惰円形になる。また、長角果の種子が2列。
タネツケバナ属
family Brassicaceae - genus Cardamine1年草、2年草、又は多年草で根茎や塊茎をもつ。毛状突起は無又は単純。茎は直立又は平伏、まれに葉が無くて花茎状。根生葉は葉柄があり、ロゼットが有又は無、単葉で全縁、歯状、又は1~3回羽状全裂又は掌状分裂し、ときに3小葉、羽状複葉、掌状複葉、又は2回羽状複葉。茎葉は互生(まれに、対生又は輪生)、単葉又は根生葉のように複葉、葉柄は有または無、基部はくさび形、漸尖形、耳形、又は矢じり形、縁は全縁、歯状、又は様々に分裂する。総状花序は苞が無く、まれに、全体に苞があるか、又は基部だけにあり、散房花序状又は円錐花序であり、果時に長くなる。果時の花柄は細く又は太く、直立、散開、又は下屈する。萼片は卵形~長円形、対の側萼片の基部は袋状になるか又はならず、縁はしばしば膜質。花弁は白色、ピンク色、紫色、又は青紫色、けっして黄色にはならず、まれに欠く。花弁の弁部は倒卵形、へら形、長円形、又は倒披針形、先は鈍形又は凹形。爪部は無いか又は弁部から強く分化し、萼片より長又は短。雄しべは6本で4強雄しべ、まれに4本で等長。葯は卵形、長円形、又は線形、先は鈍形。蜜腺は融合し、全て雄しべの基部を抱く。中間の蜜腺は2個、まれに4個又は欠く。側蜜腺は環状又は半環状。胚珠は子房に4~50個。果実は裂開性、長角果、線形、まれに狭長円形又は狭披針形、広い隔壁があり(latiseptate)、無柄。バルブは紙質、脈は無く、無毛(ごく稀に有毛)、平滑又はでこぼこにときどき膨れ、弾性的に求頂的に裂開し、螺旋状又は渦巻き状に巻く。レプルム(replum:果実のバルブを分ける薄い隔壁)は強く平らになり、隔壁は完全、膜質、半透明。花柱は明瞭又は廃れる。柱頭は頭状、全縁。種子は1列、翼は無く、まれに縁があり、又は翼があり、長円形又は卵形、扁平。種皮は平滑、小さな網状、小隆起状(colliculate)、又は波状、湿っると粘る又は粘らない。子葉は側位(accumben、ごく稀に背位(incumbent)。
世界に約200種があり、世界中に分布する。 日本には約20種が分布する。
タネツケバナ属の主な種と園芸品種
1 Cardamine anemonoides O.E.Schulz ミツバコンロンソウ 三葉崑崙草synonym Cardamine matsumurana Nemoto
synonym Cardamine anemonoides O.E.Schulz f. major Hiyama オオミツバコンロンソウ
日本固有種(本州の関東以西、九州)。山地の林内に生える。多年草。茎は直立し、高さ9~20㎝。根は肥厚し、白色の鱗片がある。全体に毛が少ない。葉は互生、茎の下部の葉はごく小さく、上部の葉は有柄、3出複葉(3小葉)で、小葉は卵状披針形~披針形、先は鋭形、縁は不揃いの鋭い鋸歯縁、ときに深く分裂する。短い総状花序に少数の花をつける。花は白色、直径約10㎜。萼片は長楕円形、長さ5㎜以下。花弁は咢片の長さの約2倍。雄しべ6本、4強雄しべ。子房は紅紫色~緑色。長角果は直立、線形、長さ約3.5㎝、無毛。花期は4~5月。
1-1 Cardamine anemonoides O.E.Schulz f. suavis (O.E.Schulz) Hiyama ヒトツバコンロンソウ 一葉崑崙草
葉が全て単葉のもの。葉は卵形~広披針形、先は鋭形、基部は広楔形、長さ10~35㎜×幅5~11㎜、葉縁に粗鋸歯があり、長さ5~12㎜の葉柄がある。2 Cardamine appendiculata Franch. et Sav. ヒロハコンロンソウ 広葉崑崙草
日本固有種(本州の中部地方以北)。山地の湿地、渓流沿いに生える。2年草。高さ30~60㎝。地下茎があり、横に広がる。葉は互生し、ほぼ無毛、奇数羽状複葉、葉軸と葉柄に狭い翼があり、葉柄の基部が耳状に茎を抱く。小葉は3~4対つき、長さ4~10㎝、卵状楕円形、縁に不規則な鋸歯があり、裂片の先は鈍頭又は鋭頭。茎の上部に総状花序を付け、花は白色の4弁花。雄しべ6個。雌しべ1個。長角果は無毛。種子は1列。花期は5~6月。
3 Cardamine arakiana Koidz. オオマルバコンロンソウ 大丸葉崑崙草
日本固有種(本州[京都府、兵庫県、三重県、岡山県、広島県]、四国[徳島県]、九州[宮崎県])
絶滅危惧種。丘陵地などの樹林下のやや湿った場所に生える。
多年草。高さ10~30㎝。根茎は短く、太い。茎は普通、下向きの毛があり、単純、ときに下部で分枝する。根生葉は長い葉柄があり、3小葉、ときに単葉、明瞭に小葉柄がある。頂小葉は円形~腎円形、長さ1.5~3㎝×幅1.5~4㎝、基部は心形、縁は低い円鋸歯。側小葉は頂小葉とほぼ同形で明らかに小さく、基部は浅い心形~切形。茎葉は根生葉より小さく、普通3小葉、ときに奇数羽状複葉、側小葉は1~2対で小さい。総状花序は頂生、数個~10個程度の花つける。萼片は無毛又はわずかに毛がある。花弁は白色、長さ4~5㎜、長角果は長さ20~27㎜、無毛。花期は(3)4~5月。2n=32。
4 Cardamine bellidifolia L. サジナズナ 匙薺
ロシア、ヨーロッパ北部、北アメリカ(カナダ、アラスカ、USA)、グリーンランド原産。標高0~2300mの苔むした地域、ツンドラ、源流の湿地、崖、崖錐の斜面、不毛のチャートの斜面、湿った岩の割れ目、岩の多い斜面、高山の小川、砂浜、湿った岩の多い川床に生える。
多年草(やや叢生、ほぼ花茎状)。 全体的に無毛。根茎は存在しない(てい幹には通常細く、まれに太い根茎状の枝がある)。茎は直立~斜上し、分枝し(数本)、高さ1~8(~14)㎝、無毛。根生葉はロゼットになり、単純、長さ(0.6~)1.2~5(~7)㎝。葉柄は長さ(3~)1~3.5(~5.5)㎝。葉身は通常卵形~長円形、まれに倒披針形~倒卵形、長さ(0.4~)0.8~1.7(~2.5)㎝×幅(2~)5~10(~16)㎜、基部は楔形~鈍形、縁は通常全縁、まれにわずかに波状(repand)または鈍い小歯(先は鈍形)。茎葉は0~1(~2)枚、単純で、短い葉柄があり、葉柄の基部は耳状にならず、葉身は根生葉に似るがが、はるかに小さい。総状花序は苞が無い。果時の小花柄は斜上~直立し、長さ3~6(~8)㎜。花: 萼片は長円形、長さ2~3(~4)㎜×幅0.8~1.5(~2)㎜、側対は基部が嚢状にならない。花弁は白色、倒披針形、長さ4~5.5(~7)㎜×幅1.3~2(~2.5)㎜ (爪部がなく、先は円形または凹形)。花糸は中央の対が長さ2.5~4㎜、側部の対は長さ2~3㎜。 葯は長円形、長さ0.5~0.9㎜。果実は線形、長さ(0.8~)1.3~2.8(~3.7)cm×幅1.3~2㎜。胚珠は子房あたり8~18個。花柱は長さ0.5~3㎜。種子は褐色、長楕円形、1.5~2㎜×0.9~1.2㎜。2n=16。花期は6~9月。
5 Cardamine californica (Nutt.) Greene カルダミネ・カリフォルニカ
カリフォルニア州、メキシコ(バハカリフォルニア)原産。英名はmilkmaids , tooth wort。別名はミルクメイド。標高0~1400mの樹木が茂った渓谷、林床、日陰の斜面、開けた森、日陰の岩の裂け目、川岸と川底、峡谷、湿った丘の中腹、崖に生える。
多年草。 通常は無毛で、わずかに思春期が現れることはまれです。 根茎(塊状、壊れやすい)、球形から卵形またはほぼ長円形、直径(3~)~10㎜、(多肉質、地下深くにある)。 茎は直立し、分枝せず、高さ(20~)27~60(~70)㎝、通常は無毛で、まれに思春期があります。 根茎の葉は 3 (または 5~7) 小葉があり、 ときに単純、長さ8~25(~38)㎝、小葉は小葉柄があるかまたはほぼ無柄。 葉柄は長さ(5~)8~25(~32)㎝。 側小葉(存在する場合)は小葉柄があるかほぼ無柄になり、葉身は頂小葉に似ており、ときに小さくなる。頂小葉 (小葉柄は長さ(0.7~)2~5(~11)㎝)は葉身 (単純な葉の)が卵形~円形~広心形または腎形、長さ(1.5~)2.5~7.5(~10)㎝×幅(12~)20~90(~130)㎜、基部は鈍形から心形、縁は全縁または歯状から浅く曲がりくねり(多くの場合、縁で終わる脈に尖端があり、ときに脈に微細な毛がある)。茎葉は2~5枚、通常 3 (または 5)小葉、まれに単葉、葉柄があり、小葉は小葉柄があるかまたは無柄。 葉柄は 長さ1~5(~9) cm、基部には耳がない。 側小葉は無柄で、葉身は頂小葉に似ており、より小さく、縁は通常歯があり、まれに全縁。頂小葉は無柄または小葉柄があり、葉身は通常広卵形~ほぼ円形または披針形、まれに狭長円形、長さ1~7㎝ ×幅(5~)10~47(~65)㎜。 総状花序は苞が無い。果時の小花柄は斜上~散開し、長さ10~33(~41)㎜。 花: 萼片は (直立~斜上)、長円形、長さ3.5~4.5(~5.5)㎜×幅1.5~2(~2.5)㎜、側対は基部が嚢状になる。花弁は白色から淡いバラ色で、多くの場合広倒卵形、長さ8~13(~15)㎜×幅4~8㎜ (爪部があり、先は円形)。花糸の中央の対は長さ4~6.5㎜、側部の対は長さ3~4 mm。 葯は長円形、長さ1.2~1.7㎜。 果実は線形、長さ2.2~5.4(~6)㎝×幅2~3㎜。胚珠は子房あたり12~22個。花柱は長さ2~5(~6)㎜。 種子は暗褐色、長円形~広卵形、長さ1.7~2.8㎜×幅1.2~1.8㎜。2n=32。花期は1~5月。
品種) 'Humboldt High'
6 Cardamine changbaiana Al-Shehbaz オクヤマナズナ 奥山薺
synonym Cardamine resedifolia L. var. morii Nakai
朝鮮、中国(吉林省の長白山)原産。中国名は天池碎米荠 tian chi sui mi ji。標高2400~2500mの岩だらけの斜面に生える。
多年草、高さ2~8㎝、花茎状、全体が無毛。根茎は細く、直径0.4~0.7㎜。茎は直立し、葉がないか、まれに1枚の葉がつく。根生葉はロゼットになり、肉質。葉柄は長さ0.3~3.5㎝。葉身は単純またはまれに3裂し、広卵形、ほぼ心形、または長円形、長さ2~10㎜×幅1.5~8㎜、基部は心形または鈍形、縁は全縁または波状(repand)、先は円形または鈍形。茎葉はなく、まれに1枚つき、葉柄があり、根生葉に似るがより狭く、葉柄の基部は耳状ではない。総状花序は頂生し、花が2~5(~7)個つき、苞が無い。果時の小花柄は直立~直立斜上し、長さ2~7㎜、真っすぐ。萼片は長円形、長さ1.3~1.7㎜×幅0.6~0.8㎜。花弁は白色、倒卵形、長さ3~3.5㎜×幅1.5~1.8㎜、基部は先細り、長さ0.4~1㎜の爪部があり、先は円形、またはほぼ凹形。花糸は長さ1.4~2㎜。葯は長円形、長さ0.5~0.8㎜。胚珠は各子房に8~12個。果実は線形、長さ1~2cm×幅1.3~2㎜。子房柄(gynophore)は長さ0.3~1mm、バルブは平滑、無毛。花柱は長さ0.5~2㎜。種子は褐色、長円形~卵状長円形、長さ1.2~1.5㎜×幅0.8~1.1㎜、翼がなく、縁は無い。花期と果期は7~8月。
7 Cardamine circaeoides Hook.f. et Thomson タイワンユリワサビ 台湾百合山葵
synonym Cardamine reniformis Hayatasynonym Cardamine agyokumontana Hayata
中国(甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、湖南省、四川省、雲南省)、台湾、インド、シッキム、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は露珠碎米荠 lu zhu sui mi ji。標高400~3300mの渓谷、小川や溝沿い、岩場、雑木林、湿った牧草地、道端、森林に生える。
多年草、高さ(5~)9~36(~45)㎝、少なくとも葉にはまばらに、または密に毛羽立ちます。 根茎は細く、時には数本の匍匐茎がある。 茎は細く、直立または傾伏し、単純またはまれに中間より上部で分枝する。根生葉は肉質ではなく、単純であるか、まれに2~4小葉状。葉柄は長さ1~9(~12)㎝、無毛またはまれに縁毛がある。葉身または頂小葉は心形または卵形、まれにほぼ円形、長さ(0.7~)1.5~5.5(~6.7)㎝×幅(0.7~)1.5~4.3(~5)㎝、常に長さが幅より長く、直軟毛があるかまたは無毛、基部は心形、ときに鈍形、ほぼ切形、またはほぼ楔形で、縁はしばしば、わずかに波状の円鋸歯(repand-crenate)があり、ときに粗い円鋸歯、小円鋸歯があるか、またはほぼ全縁、しばしば、脈端が明瞭に微突形になり、先は鈍形。側小葉(存在する場合)は小葉柄があるかまたは無柄で、頂小葉よりもはるかに小さい。茎葉は1~4枚つき、単純またはそのうちのまれに1枚が2~3小葉があり、葉柄があり、またはまれに最上部がほぼ無柄。葉柄は長さ(0.4~)1~5(~6)㎝、基部の耳は長さ0.4~2㎜×幅0.2~0.4㎜、葉身は根生葉に似ており、心形、ときに卵形~卵状披針形、長さ1~3.5(~6)㎝×幅1~3(~3.5)㎝。果時の小花柄は長さ3~12(~15)㎜、斜上、散開、または反り返り、ときに偏側生(secund)、無毛、細い。萼片は卵形または長円形、長さ2~3.5㎜×幅0.8~1.5㎜、無毛、縁はしばしば膜質、基部は嚢状でない。花弁は白色、へら形、長さ(4~)5~7(~8)㎜×幅(1.5~)2~2.5(~4)㎜。中央の花糸の対は長さ(2.5~)3.5~5㎜、側部の花糸の対は長さ(2~)2.5~3.5㎜。葯は長円形、長さ0.5~1㎜。胚珠は各子房に20~42個。果実は線形、長さ1.3~3(~3.3)㎝×幅0.8~1.2(~1.5)㎜、バルブは円筒形または楕円形(torulose)、無毛。花柱は長さ(0.5~)1~2㎜。種子は褐色、卵形または広楕円形、長さ0.8~1.1㎜×幅0.6~0.9㎜、翼はない。花期と果期は2~7月。
8 Cardamine dentipetala Matsum. オオケタネツケバナ 大種漬花
synonym Cardamine scutata Thunb. [Kewscience]
※ Kewscience、The Plant List、GBIFではCardamine scutata Thunb. のsynonymとしている。
Flora of Chinaも果実に微軟毛や直軟毛(pilose)があるが、無毛になり又は直軟毛があるものもあるため、明瞭な差が無いとしている。
日本固有種(本州の主に日本海側、北部)山地の林下、林縁の湿り気のある場所に生える。
多年草。高さ20~50㎝。 オオバタネツケバナに似るが、高さも花もやや大きく、やや乾きぎみの場所にも生える。 茎は下部がやや地を這い、節から根を出し、上部は直立~斜上し、普通、毛があるが毛の量は多少がある。葉は長い葉柄があり、頭大羽状複葉。小葉の縁には少数の不規則な低い鋸歯がある。頂小葉は側小葉よりかなり大きく円形~広卵形、基部は切形~広楔形、小葉柄がある。側小葉は2~5対つき、基部は楔形、小葉柄は無い。花は白色。花弁は長さ4~6㎜。長角果は斜上してつき、真っすぐ、長さ2.5~3㎝、毛があることが多い。花期は4~6月
8-1 Cardamine dentipetala Matsum. var. longifructa (Ohwi) Hiyama ニシノオオタネツケバナ
synonym Cardamine longifructa Ohwi
本州の近畿地方以北に分布。
オオバタネツケバナ(ヤマタネツケバナ)に似てくるものがあるが、それよりも花が少し大形で、萼片に多少の毛があり、小葉の縁毛は明かに認められ(縁にほぼ一定間隔で短毛がある)、花柱は長さ0.8~2㎜。種子は長さ約1.5㎜などで区別ができる。
9 Cardamine diphylla (Michx.) A.W. Wood カルダミネ・ディフィラ
北アメリカ原産。英名は broadleaf toothwort , crinkle root , crinkle-root , crinkleroot , pepper root , twin-leaved toothwort , twoleaf toothwort , toothwort。標高50~1300mの樹木が茂った林内やと渓谷、崖、断崖、棚、日陰の斜面、牧草地、湿った野原、沖積土手、豊かな森林に生える。
多年草。 通常は無毛で、まれにまばらに毛がある。根茎(分節されず)、円筒形、直径2~10 mm、(やや均一、肉厚で壊れにくくはなく、歯状の葉の傷跡がある)。 茎は直立し、分枝せず、高さ(12~)15~35(~40)㎝、まれに上部にまばらに毛がある。根茎の葉は3小葉、長さ(5.5~)8~22(~26)㎝、小葉は葉柄状または無茎性。 葉柄は長さ(3~)4.5~16(~20)㎝。 側小葉はほぼ無柄または小葉柄があり、葉身はしばしば頂小葉に似ており、ときに基部は斜めになる。頂小葉は(小葉柄が長さ0.5~1.2cm)、葉身は卵形~楕円形~広卵形、長さ(2~)3.5~8(~10)㎝×幅(5~)20~65(~80)㎜、基部は楔形~鈍形、縁は粗い円鋸歯または歯があり(表面は微軟毛があり、毛状突起は長さ0.1㎜まで)。 茎葉は2(または3)枚 [(副)反対側]つき、3小葉、(根茎の葉に類似)、葉柄があり、小葉は小葉柄があるかまたはほぼ無柄。 葉柄は長さ(1~)2~4.5㎝、基部は耳状ではない。側小葉は頂小葉に似ている。頂小葉はほぼ無柄または小葉柄があり(長さ0.2~1㎝)、葉身は広楕円形~卵形、長さ(2~)4~8(~10)㎝ ×幅10~50㎜、縁は粗い歯または円鋸歯があり、(縁は微軟毛がある)。総状花序は苞が無い。果時の小花柄は斜上~散開し、長さ(10~)15~30 (~36) mm。花:萼片は長円形、長さ(4~)5~8㎜×幅 2~3㎜、側対は基部でわずかに袋状になる。花弁は白色またはピンク色~紫色、倒卵形~倒披針形、長さ(7~)9~15(~17)㎜×幅(3~)4~7㎜、(短い爪部があり、先は円形)。花糸は中央の対が長さ5~8㎜、側部の対が長さ3.5~6㎜。葯は線形~長円形、長さ2.5~3㎜。果実は線状披針形、長さ1.5~4cm×幅1.5~2.5㎜。胚珠は各子房に10~14個。花柱は長さ4~8(~10)㎜。種子(まれにできる)は褐色、長円形、長さ2~2.2㎜×幅1.2~1.5㎜(子葉が存在する)。2n=96。花期は4~6月。
品種) 'American Sweetheart' , 'Eco Cut Leaf' , 'Eco Moonlight'
10 Cardamine douglassii Britton カルダミネ・ドウグラシー
北アメリカ(USA、カナダ)原産。英名はlimestone bittercress , purple cress。標高は50~400mの豊かな森、断崖、低地の森林、岩だらけの丘陵地帯、氾濫原、湿原の浸出、湧水地帯に生える。
多年草。 全体に毛があり、または下部が無毛。根茎は(茎の基部の塊茎)、ほぼ球形(裂片は有または無)、直径(3~)4~10㎜、(多肉質)。 茎は直立し、分枝せず、高さ(7~)10~25(~30)㎝、疎~密に毛があり、または基部が無毛、(毛状突起は長さ(0.2~)0.3~0.6(~0.8)㎜)。 根茎の葉は単純で、(3~)5~15(~18)㎝。 葉柄は長さ(2~)4~12(~16)㎝。葉身はしばしば円形~心形、ときに腎形~卵形、長さ(1~)2~6㎝ ×幅(7~)17~50㎜、基部は鈍形~心形、縁はわずかに波状または全縁。茎葉は 3~6(~8)枚つき、単純、葉柄があるかまたは無柄。 (中央) 短い葉柄があり、または (上部) 無柄、基部は耳状ではない。葉身は長円形~卵形~披針形、長さ2~5㎝×幅5~25㎜、縁は全縁、わずかに波状、または粗い歯がある。総状花序は苞が無い。果時の小花柄は斜上~散開、長さ(10~)15~35(~50)㎜、まばらに毛があるかまたは無毛。花:萼片は長円形、長さ2.5~4(~6)㎜×幅1.5~2.5㎜、側対は基部が嚢状にならない(表面はしばしば毛がある)。花弁は通常バラ紫色~ピンク色、まれに白色、倒卵形、長さ(7~)8~13(~15)㎜×幅3~5㎜、(短い爪部があり、先は円形)。花糸は中央の対が長さ4~7㎜、側部の対は長さ2~4㎜。葯は長円形、長さ1.3~1.7㎜。果実は線形、長さ(1.5~)2~4㎝×幅1.5~2㎜。胚珠は各子房に10~16個。花柱は長さ2~5㎜。種子は褐色、長円形~卵形、長さ1.7~2.5㎜×幅1~5㎜。2n=56, 64, 96, 112, 144。花期は3~5月。
品種) 'Southern Lady' (Southern Lady Douglas's Toothwort)
11 Cardamine fallax (O.E.Schulz) Nakai タチタネツケバナ 立種漬花
synonym Cardamine parviflora auct. non L
synonym Cardamine scutata Thunb. subsp. fallax (O.E.Schulz) H.Hara
synonym Cardamine flexuosa With. var. fallax (O.E.Schulz) Nakai
synonym Cardamine flexuosa With. subsp. fallax O.E.Schulz
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国東部原産。中国名は小花碎米荠 xiao hua sui mi ji 。山地よりの原野や河原、溜池畔などに生える。
タチタネツケバナの学名は2007年にKarol Marholdらにより、Cardamine parviflora からCardamine fallaxに訂正され、lectotypeが示された。C. fallax は6倍体でC. parviflora L. は2倍体である。形態学的には茎葉の形状が異なる。C. parvifloraは羽状全裂pinnatisectで(下部の茎葉はめったに羽状複葉にならない)、裂片や小葉が倒披針形~線形、全縁又はほとんど全縁。これに対し、C. fallax は羽状複葉 pinnateで小葉柄があり、小葉が浅裂、羽状深裂~羽状全裂する。ジャニンジンの葉に似るが、ジャニンジンの葉の基部は耳形で茎を抱く。(参考9)
2年草。高さ15~50㎝。全体に短毛が多い。茎は直立又は下部から分枝し、下部は普通、帯暗紫色、短毛がある。根生葉はロゼットを作り、花期には普通、残る。茎下部につく茎葉は羽状複葉、葉の基部が耳状になって茎を抱くことはない。頂小葉は側小葉と同じ大きさ又はやや大きい。側小葉は(2)3~8対つき、明瞭な小葉柄をもち、狭長楕円形~倒卵形、普通、3深裂する。側小葉の小葉柄の基部の葉軸に、托葉状の付属物が不規則につくのが特徴であり、葉軸には短毛があり、基部ほど多い。茎の上部につく茎葉の側小葉はほとんど分裂せず、披針形~線状披針形で、茎の上部ほど小葉の幅が狭い。花序は頂生の円錐花序、直立し、ややまばらに花を多数つけ、花序軸は無毛。花は白色、直径約5㎜。咢片に少し毛がある。花弁は長さ3~4㎜、白色。雄しべは普通6本あり、4強雄しべ、2本は横に広がり短い。長角果は線形、長さ1~2.5㎝、無毛、2室ある。種子は室に1列に並び、広楕円形、長さ1~1.1㎜、表面は小隆起状(colliculate)。花期は3~6月。
12 Cardamine flexuosa With. オウシュウタネツケバナ 欧州種漬花
ヨーロッパ、トルコ、イラン、北アフリカ(モロッコ、アルジェリア)原産。英名は wavy bittercress , wood bitter-cress。
1年草又は短命の多年草、高さ10~50㎝、茎は細く、分枝し、基部にやや軟毛がある。根出葉はロゼット状、花期に無いか、まばら。葉は葉柄があり、羽状複葉(明瞭な頭大にならず、)、小葉は腎形~倒卵状くさび形、約・長さ10㎜×幅8㎜以下、普通分裂又は歯がある。茎葉は無柄又は短柄、茎の中部につく葉は著しく毛深い。。花は頂生の類散房花序状の総状花序につき、白色、開放花のみ。萼片は約・長さ1.5㎜×幅0.5㎜、楕円状長円形、帯緑色で縁が白色。花弁は長さ1.5~2.5㎜×幅約0.7㎜、長円形。雄しべは6本、花糸は長さ約0.5㎜。子房は約・長さ1㎜×幅0.3㎜、円筒形。果実は長角果、長さ10~25㎜×幅0.7~1㎜、線状長円形、無毛。種子は扁平な楕円形、約・長さ2.5㎜×幅1.5㎜、翼は無い。2n=4x=32。
13 Cardamine glechomifolia H.Lev. サイシュウタネツケバナ
韓国原産。
14 Cardamine heptaphylla (Vill.) O.E.Schulz カルダミネ・ヘプタフィラ
ヨーロッパ原産。英名はpinnate coralroot , bitter-cress。
地下根茎は直径4~10㎜、多肉質、水平に伸び、無毛、鈍形、半月形の短い鱗片で覆われ、鱗片は長さ1~2㎜x幅4~7㎜。茎は直立し、海綿状、高さ30~60(70)㎝、無毛になるかまたは非常にまばらに毛があり、単純で、曲がりくねる。根生葉は茎葉に似ており、しばしば無く、上部に2~4枚の葉が互生する。葉は大きく、複葉、ほぼ掌状複葉になる。下部の茎葉には5~9個の小葉がつき、小葉は卵状披針形~楕円形、長さ5~14(19)㎝×幅1.2~5.5(7)㎝、先は鋭形、縁には不規則な鋸歯がある。上部の茎葉には5~7個の小葉がつく。 花序は緩い総状花序、果時に長さ(6)8~15(17)㎝、葉があり、8~30個の派手な直径15~25㎜の杯形の花がつく。小花柄は細く、直立して開出し、ときに開出し、花時に長さ14~40㎜。萼片は4個、長さ(6.5)9~10㎜、先は鈍形、縁が帯白色、融合せず、細い筒状になる。花弁は4個、長さ1~2(2.3)㎝、爪部があり、白色、しばしば紫色~ピンク色になる。蜜腺は4個。雄しべ6本。子房は2個の融合した心皮がある。花柱は1本。柱頭は丸い。長角果は細長く、長さ4~8㎝x幅0.3~0.5㎝、直立し、バルブは平らで、裂開時には基部から外側に回転する。花柱は長さ(0.2)0.4~1.2㎝。種子は長さ3.5~4㎜x幅2.8~3㎜。2n=48。花期は4~7月。
品種) 'Big White' , 'Helen Myers'
15 Cardamine hirsuta L. ミチタネツケバナ 道種漬花
ヨーロッパ原産。中国名は碎米荠 sui mi ji 。英名はhairy bittercress, hairy shotweed , common bittercress 。日本、中国、インド、シッキム、スリランカ、トルクメニスタン、ラオス、パキスタン、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ニューギニア、南西アジアなどに帰化。1970年ころに日本に侵入したと考えられている。
1年草。高さ (3)10~35(45)㎝ 。道端などやや乾燥した場所に生え、増加傾向にあり、非常に多い場所もある。茎は普通、直立し、下部には下向きの毛があるが、上部には毛がなく、全体に毛がほとんどない。茎の上部には葉が少なく、下部に集まってつき、根生葉がロゼットに密につき、果期にも根生葉が残る。葉は長さ(1.5)2.5~10(13)㎝、羽状深裂し、小葉は普通4~7対つき、広惰円形、頂小葉が最も大きい。葉柄は長さ0.5~5㎝、葉柄や葉裏に粗毛があり、葉柄基部に刺毛状の毛が散生する。花は白色の4弁花。花弁の長さ2.5~4.5(5)㎜×幅0.5~1.1㎜。雄しべは、普通4個まれに5~6個(温度により変わる)。花柱は長さ0.1~0.6(1)㎜。萼片は4個、長さ1.5~2.5㎜×幅0.3~0.7㎜。果実は長さ(0.9)1.5~2.5(2.8)㎝×幅(0.8)1~1.4㎜、花のまわりに上向きに立ってとりまくようにつく。よく熟すと鞘が紫色になり、パチンとはじけて種子をはね飛ばし、さやがコイル状になる。種子は1列に14~40個入り、長さ0.9~1.3(1.5)㎜×幅0.6~0.9(1.1)㎜、淡黄緑色~淡黄褐色、扁平な惰円形。 2n=2x=16。花期は2~4月。
16 Cardamine impatiens L. ジャニンジン 蛇人参
日本(北海道、本州、四国、九州)、韓国、中国、ロシア、ブータン、インド、ネパール、パキスタン、シッキム、カシミール、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は弹裂碎米荠 tan lie sui mi ji。英名はnarrow-leaf bittercress。日陰、水辺、道端、野原、やや湿った場所などに生える。
2年草、まれに1年草、高さ(12~)20~65(~90)㎝、無毛、まれに、まばらに基部近くに軟毛がある。茎は直立、基部は1本、普通、上部で分枝し、角(かど) があり、ときに屈曲する。根生葉はロゼットになり、しばしば花時までに枯れる。葉柄は長さ1~4㎝、耳形ではなく、葉身は羽状全裂で複葉になる。茎葉は茎に15個以下つく。葉柄は耳形、長さ2~6㎝。耳は披針形~線形、長さ1~8(~10)㎜×幅(0.1~)0.3~1.8(~2.2)㎜、しばしば、縁毛がある。葉身は長さ(1~)3~18(~22)㎝×幅(0.6~)1~5.5(~7)㎝、羽状全裂。頂裂片は円形、倒卵形、卵形、又は披針形、長さ1~4(~5)㎝×幅0.5~1.7㎝、小葉柄は長さ5㎜以下、全縁又は強く、3~5(~9)歯があるか又は分裂し、側裂片は中脈の各側に(4~)6~11本つき、長円形、披針形、又は卵形、無柄又は長い小葉柄があり、頂裂片より小さい。縁は歯状、類不規則に切れ込み、またはまれに全縁。最上部の葉は裂片が狭い。果時の小花柄は散開又は斜上し、長さ3.5~12(~15)㎜、細い。萼片は長円形、長さ1.2~2(~2.5)㎜×幅0.7~1(~1.2)㎜。花弁は白色、倒披針形、長さ1.5~4(~5)㎜×幅0.6~1.2㎜、まれに欠く。雄しべは6本。花糸は長さ 2~3(~4) ㎜。葯は卵形、長さ0.3~0.5㎜。胚珠は子房に10~30個、果実は線形、長さ(1~)1.6~3(~3.5)㎝×幅0.9~1.5㎜。バルブは無毛又はまれに直軟毛があり、でこぼこにときどき膨れる。花柱は長さ0.6~1.6(~2)㎜。種子は褐色、長円形、長さ1.1~1.5㎜×幅0.8~1㎜、扁平、ときに先に狭い翼がある。花期と果期は2~7月。2n=16, 32。
16-1 Cardamine impatiens L. var. eriocarpa DC. ケジャニンジン 毛蛇人参
synonym Cardamine impatiens L. var. dasycarpa (M.Bieb.) T.Y.Cheo et R.C.Fang
果実に毛があるもの。16-2 Cardamine impatiens L. var. tenuissima Honda ホソバジャニンジン 細葉蛇人参
synonym Cardamine impatiens L. var. longipes Hatus17 Cardamine kiusiana H.Hara タカチホガラシ 高千穂芥子
synonym Cardamine yezoensis Maxim. var. kiusiana (H.Hara) Ohwi
日本固有種(四国、九州)。山地の林縁、沢の縁などのやや湿った場所に生える。多年草。高さ15~40㎝、茎は直立し、ほぼ無毛。葉は奇数羽状複葉、小葉は3~5対、頂小葉と側小葉の大きさがほぼ等しく、小葉柄は明瞭。総状花序はややまばら。花は白色、直径8~10㎜。長角果は線形、無毛。花期は5~6月。
18 Cardamine kokaiensis Yahara, Soejima, Kudoh, Šlenker et Marhold コタネツケバナ 小種漬花
synonym Cardamine parviflora auct. non L.学名はC. parvifloraとされてきたが、2018年にCardamine kokaiensis がCardamine parviflorからはっきり区別され、コカイタネツケバナとされ、コカイタネツケバナはコタネツケバナと同一であり、和名もコタネツケバナとなった。
日本(本州)、中国(浙江省)、ロシア原産。別名はヒメタネツケバナ、コカイタネツケバナ。湿った場所に生える。
2年草。高さ10~20㎝、タネツケバナに似るが、小型で茎や葉に毛が無い。茎は直立~斜上又は倒伏し、無毛若しくは茎下部に小刺毛がまばらに生える。茎中部の茎葉には明瞭な小葉柄がなく、葉軸に小片はない。花柄は4.5㎜以下で短い。花の直径2~3㎜。花には開放花(chasmogamous)と閉鎖花(cleistogamous,)がある。開放花は冠水しない環境下で生育・開花し、花弁が発達し、萼より大きくなり、目立ち、雄しべは6個、4強雄しべである。閉鎖花は冠水状態で生育した場合に見られ、花弁が退化し無花弁花となり、側部の短雄しべ2個が欠損し、雄しべは4個となる。中間型の花弁が短い閉鎖花もできる。種子の周りに狭い膜質の翼がある。2n=4x=32。
19 Cardamine komarovii Nakai サジガラシ
朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、遼寧省)原産。中国名は翼柄碎米荠 yi bing sui mi ji。標高700~1000mの川沿い、湿った地域に生える。
多年草、高さ12~75㎝。根茎は短くて丈夫。茎は直立し、基部は単純で、上部で分枝し、細かい条線があり、毛があるかまたは無毛になる。根生葉はロゼットになる。葉柄は長さ2~5㎝、基部に翼があり、無毛または直軟毛がある。葉身は広心形またはほぼ円形、長さ1.5~4㎝×幅1.5~3.5㎝、縁は粗い歯があり、歯はほぼ微突形。茎葉は3~8枚、単葉。葉柄は翼があり、長さ(0.5~)1~4㎝、基部に耳があり抱茎、耳は長円形または披針形、長さ2~10㎜×幅0.5~4㎜、全縁。 葉身は心形または広卵形、長さ(2~)3~7.5(~9)㎝×幅(1.2~)2.5~6㎝、少なくとも葉脈と縁に沿って直軟毛があり、まれに無毛、基部は心形、縁は粗く不規則な歯があり、ときに丈夫の葉が欠刻状になり、先は尖鋭形または鈍形。 総状花序は苞が無い。果時の小花柄は散開または斜上し、長さ1~2.5㎝、細く、直軟毛があるかまたは無毛。萼片は長円形、長さ2.5~3㎜×幅1.2~1.6㎜、無毛または直軟毛があり、基部には嚢がない。花弁は白色、広倒卵形、長さ3~4㎜×幅約1.5㎜、先は円形。花糸は長さ2~3㎜。葯は長円形、長さ約1.5㎜。胚珠は1つの子房につき6~12個。果実は線形、長さ2~4cm×幅約1㎜、子房柄(gynophore)は丈夫、長さ0.2~0.7㎜、バルブは無毛またはまばらに直軟毛があり、円筒形または楕円形(torulose)ではなく、尖鋭形。花柱は長さ2~3㎜、細い。種子は褐色、長円形、長さ1.5~2㎜×幅1~2㎜。果期は6月。
20 Cardamine leucantha (Tausch) O.E.Schulz コンロンソウ 崑崙草
synonym Cardamine koreana (Nakai) Nakai
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は白花碎米荠 bai hua sui mi ji。
ヒロハコンロウソウに似るが、小葉の先が鋭く尖り、葉柄の基部は茎を抱かない。
多年草、高さ25~75㎝、疎~密に絨毛がある。根茎は這い、細く、鱗片やストロンは無い。茎は単純、曲がりくねる。茎葉は4~7個つき、葉柄を含んで、長さ(8~)10~20(~25)㎝。葉柄は長さ(1~)2~8(~10)㎝、基部は耳状にならない。頂小葉は披針形、楕円形、又は卵状楕円形、長さ(3~)4~9(~13)㎝×幅(0.6~)1~3.5(~4)㎝、上面は短い剛毛又は微軟毛があり、下面は直軟毛又は長い剛毛があり、小葉柄は長さ5~3(~20)㎜、基部はくさび形、縁には前向きの縁毛があり、不規則な鋸歯、重鋸歯、又は類歯状、先は尖鋭形、まれに鋭形。側裂片は2~3対、まれに最上部の葉は3小葉、頂小葉に似ていて、小さく、無柄、基部はくさび形、ときに斜め。総状花序は花が12~24個つく。果時の花柄は散開又は斜上、長さ(0.5~)1~1.8(~2.3)㎝、直軟毛又は微軟毛があり、細い。萼片は長円形、長さ(2~)2.5~3.5㎜×幅0.9~1.5㎜、縁は膜質、外側には直軟毛がある。花弁は白色、へら形~長円状倒披針形、長さ6~8㎜×幅2~3.5(~4)㎜、基部は楔形で爪部は無く、先は円形。中央の花糸の対は長5~6㎜、側対は長さ4~5㎜。葯は長円形、長さ0.8~1.3㎜。胚珠は子房に6~12個。果実は線形、長さ(1~)1.5~3㎝×幅1~1.5㎜、子房柄(gynophore)は長さ0.3~0.8(~1)㎜。バルブは平滑、まばらに毛があるか又は無毛。花柱は細く、長さ(2~)3~5㎜。種子は褐色、長円形、長さ1.5~2.2㎜×幅0.8~1.2㎜、狭い翼があるか又は翼が無い。花期は4~7月。果期は5~8月。2n=16。
20-1 Cardamine leucantha (Tausch) O.E.Schulz var. glaberrima F.Maek. ex H.Hara ハダカコンロンソウ
21 Cardamine lyrata Bunge ミズタガラシ 水田芥子
日本(関東地方以西)、韓国、中国、ロシア原産。中国名は水田碎米荠 shui tian sui mi ji 。英名はChinese-ivy , Japanese cress。
多年草、高さ(20~)30~70(~80)㎝、全体に無毛。根茎は短く、太く、鱗片は無い。根茎又は茎の下部~中間の節から長さ80㎝以下のストロンを出す。茎は直立、単純、条線があり、角(かど)があり、葉が8~15個つく。ストロンの葉は単葉、まれに耳状の小葉の対を基部にもつ。葉柄は長さ3~12㎜。葉身はほぼ円形、心形、又は腎形、長さ(0.7~)1~2.2(~3)㎝×幅0.7~2(~2.3)㎝、縁は波状又は全縁、先は円形。茎葉は無柄、中間の茎葉は長さ(1.5~)3~5(~7)㎝、頂小葉は円形、卵形、まれに長円形、長さ1~3㎝×幅(0.8~)1~3㎝、小葉柄は長さ(0.3~)0.5~1.5(~2)㎝、基部は心形、類切形、又は鈍形、縁は波状又はほぼ全縁、先は円形。側小葉は2~5対つき、頂小葉より小さく、卵形、ほぼ円形、又は長円状卵形、側小葉の下部の対は耳状、節又は節のすぐ上につき、しばしば葉の基部が抱茎に見える。果時の花柄は長さ(0.7~)1~2(~2.5)㎝、細く、散開し、普通、真っすぐ。萼片は卵形、長さ3~3.5㎜×幅1~1.5㎜、縁は膜質。側萼片の対は類袋状。花弁は白色、倒卵形、長さ7~10㎜×幅3~4㎜、爪部は無く、先は円形又は凹形。花糸はわずかに広がり、中央の対は長さ4~5㎜、側対は長さ2.5~3.5㎜。葯は狭長円形、長さ1~1.5㎜。胚珠は子房に14~18個。果実は線形、強く扁平、長さ(1.5~)2~3(~3.5)㎝×幅1.5~2㎜。バルブは平滑、無毛。花柱は細く、長さ1.5~3㎜。種子は褐色、長円形、長さ2~3㎜×幅1~2㎜、全周に幅1㎜以下の翼がある。花期は4~6月。果期は5~7月。
22 Cardamine macrophylla Willd. ソコライソウ
synonym Cardamine sachalinensis Miyabe et T.Miyake
日本、中国(安徽省、甘粛省、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、青海省、陝西省、山西省、四川省、新疆、西蔵、雲南省、浙江省)、モンゴル、ロシア、インド、ネパール、ブータン、シッキム、カシミール、パキスタン、カザフスタン原産。中国名は大叶碎米荠 da ye sui mi ji 。英名はlarge-leaved pachyphragma。別名はアカバナコンロンソウ。標高500~4200mの湿った森林、川岸、ツンドラ、岩の隙間、牧草地、湿った森林、茂み、川辺、谷、渓谷、山の斜面、岩の間に生える。
多年草、高さ(20~)30~95(~115)cm。 根茎は匍匐性で、鱗片状ではなく、細長いまたは頑丈で、塊状の節があり、直径2~10(~30)㎜、匍匐性ではない。 茎は太い、または細く、直立し、上部で単純またはほとんど枝分かれせず、無毛、多毛、または毛深い。 根茎の葉は長さ(4~)10~40(~50)㎝。 葉柄は長さ(1~)3~20(~25)㎝。頂小葉は披針形、楕円形、長円形、卵形、または倒卵形、長さ(1~)2~15(~25)㎝×幅(0.5~)1~3.5(~5)㎝、無柄または小葉柄があり、基部は楔形、縁は鋸歯、円鋸歯、 歯状、またはまれに 3~5裂し、先は尖鋭形、鋭形、またはほぼ鈍形。側小葉は(1~)2~6対、頂小葉に似ているが、より小さい。茎葉は3~12(~18)枚。葉柄は長さ(1~)2~5(~6.5)㎝、基部に耳は無い。 頂小葉は狭卵形、披針形、楕円形、または長円形、まれに倒卵形または線状倒卵形、長さ(2~)4~12(~20)㎝×幅1~4(~5)㎝、無毛または毛があり、無柄または長さ1㎝以下の小葉柄があり、基部は楔形、縁は繊毛があり円鋸歯、鋸歯または小鋸歯があり、まれにほぼ全縁または重鋸歯があり、先は鋭形、まれに尖鋭形。側小葉は2~7(~11)対、無柄または小葉柄があり、基部は楔形または斜めに沿下し、頂小葉に似ているが、それよりわずかに小さい。総状花序は花が10~30個。果時の小花柄は斜上、またはまれに散開し、長さ(0.3~)0.8~2.5(~3.1)㎝、真っ直ぐで頑丈。萼片は長円形、長さ3.5~6.5(~8)㎜×幅1.5~3㎜。花弁は紫色または薄紫色、倒卵形またはへら形、長さ(0.8~)1~1.7㎝×幅3.5~8㎜、先は円形、まれにほぼ凹形。中央の花糸の対は長さ7~9(~11)㎜、外側の花糸の対は長さ6~7㎜。 葯は長円形、長さ1~2(~2.5)mm。 胚珠は各子房に8~12(~16) 個。 果実は線形、長さ(2.2~)2.5~6(~7)㎝ ×幅1.5~2.5(~3)㎜。子房柄(gynophore)は長さ0.5~3mm、バルブは平滑、まばらに毛があるかまたは無毛。花柱は長さ(1~)2~6.5(~9)㎜。 種子は褐色、卵形または長円形、長さ(1.5~)2~3(~4)㎜×幅1~1.7(2)㎜。花期は(3~)4~10月。果期は5~10月。2n=64, 80, 96。
品種) 'Bright and Bronzy'
23 Cardamine niigatensis H.Hara コシジタネツケバナ
synonym Cardamine scutata Thunb. var. koshiensis Ohwi et Okuyama
新潟県の豪雪地帯に分布。クローン繁殖性が卓越している。24 Cardamine nipponica Franch. et Sav. ミヤマタネツケバナ 深山種漬花
日本(北海道、本州の中北部)、台湾原産。中国名は日本碎米荠 ri ben sui mi ji多年草、高さ3~10㎝、全体に無毛。根茎は細く、多数分枝、し前年の葉柄の残りをもつ。茎は直立、2又は3葉をもつ。根生葉はロゼットになり、(3 又は)5-又は 7-小葉をもつ。葉柄は長さ0.7~2.5㎝、頂小葉は類円形、広卵形、又は楕円形、長さ1.5~6㎜×幅1~4㎜、基部は楔形又は鈍形、縁は全縁、先は鋭形で類微突形。側裂片は(1~)2~4対、ほぼ無柄、倒卵形、基部は楔形、縁は全縁、頂裂片よりわずかに小さい。茎葉は3又は5小葉。葉柄は長さ4~11㎜、基部は耳状又は抱茎。耳は披針形又は歯状、長さ0.2~2㎜×幅0.1~0.4㎜、先は鋭形又は類尾状。頂小葉は狭倒披針形又は線形、長さ2~10㎜×幅0.5~1㎜。側小葉は2対、頂小葉に似るが小さい。総状花序は花が3~6個、苞は無い。果時に花序軸は曲がりくねる。果時の花柄は散開又は斜上し、長さ3~8㎜、真っすぐ。萼片は長円形、長さ1.7~2.2㎜×幅約0.8㎜。花弁は白色、へら形、長さ5~6㎜×幅約1.5㎜、先は円形。中央の花糸の対は長さ約2.5㎜、側対は長さ約1.5㎜。葯は卵形長さ0.4~0.5㎜。胚珠は子房に10~16個。果実は線形、長さ1.5~3㎝×幅0.8~1.2㎜。バルブは平滑、無毛。花柱は長さ0.8~2㎜。種子は褐色、長円形、長さ 1~1.5㎜×幅0.6~0.9㎜、先に翼がある。花期と果期は7~8月。
25 Cardamine occulta Hornem. タネツケバナ 種漬花
synonym Cardamine parviflora auct. non L.
synonym Cardamine manshurica (Kom.) Nakai
synonym Cardamine flexuosa auct. non With. 汎ユーラシア種
synonym Cardamine flexuosa With. var. debilis (D.Don) T.Y.Cheo et R.C.Fang
synonym Cardamine scutata auct. non Thunb.synonym Cardamine scutata Thunb. subsp. flexuosa sensu H.Hara
synonym Cardamine debilis D.Donsynonym Cardamine autumnalis Koidz.
日本、中国、インド、熱帯アジアなど東アジア原産。英名はAsian wavy bitter cress ,common bittercress , greater bittercress , wavy bittercress , wood bittercress , woodland bittercress 。水田など農耕地周辺に生える。タネツケバナは形態的な変異が非常に多い種である。
タネツケバナはDNA解析によりCardamine flexuosaとは別種とされ(Lihova 2006)、東アジア原産のCardamine occultaとされている。 Cardamine flexuosaは生育地も林縁であり、染色体数も2n=32である。
1年草又は2年草。高さ10~40㎝。根茎はない。茎は直立、斜上、上向きに又は傾伏して直立し、ときに分枝し、茎の上部は無毛又はまれにまばらに毛があり、茎の下部は紫色を帯びる。根生葉はロゼットを作らず、花期にはなく、長さ(2)4~10 (14) ㎝の羽状複葉。葉柄は長さ0.7~5㎝。頂小葉は側小葉より大きく(側小葉の長さの1.7倍以下、通常、1.5倍以下)、長さは幅の2倍以内。側小葉は長楕円形、2~7対(普通4対以上)つき、鋭頭、縁に深い波状鋸歯がある。小葉柄は長さ0.3~1.7㎝。葉柄や葉縁などに毛がある。茎葉は3~15個つき、葉柄を含めて長さ(2)3.5~5.5(7)㎝。花は総状花序に多数つく。花柄は長さ4.5㎜以上。萼片は4個、長さ1.5~2.5㎜、幅0.7~1㎜。花弁は白色、4個、約長さ3~4 ㎜、幅1~1.7㎜(咢片の幅の2倍以上)。雄しべ6個まれに4個。雌しべ1個。長角果は長さ1.5~2.3㎝、幅1~1.5㎜の細い円柱形、種子は両側に1列ずつ並び、両側で18~40個入り、熟すと下側から捲れ上がる。種子は扁平、熟すと淡褐色~褐色になり、長さ0.9~1.5㎜、幅 0.6~1㎜、翼は無い。2n=64(8倍体)。花期は3~6月。2n=8x=64。
1年草、高さ40㎝以下。根茎は無く、ひげ根をもつ。花のつく茎は直立又は傾伏し、節から根を出し、全体にほぼ無毛(多少有毛)。葉は上面が無毛、ときに縁に縁毛がある。根生葉は少数つき、ロゼットにならず、宿存しない。茎葉は長さ(2~)4~7個つき、根生葉より大きく、長さ(1.5~)3~7㎝、羽状複葉又は羽状分裂、側小葉は (2~)3~4対、頂小葉は大きく、しばしば3裂する。総状花序は花が少数~多数。咢片は長さ1.3~2㎜、たまに少し毛がある。花弁は長さ約3㎜、白色。花柱は長さ約1㎜。果実は曲がりくねった花序軸から45°~90°傾き、同じ花序の開いた花を超えないか、ほとんど超えず、長さ1.5~2.3㎝×幅1~1.5㎜。花柄は3~8㎜。種子は長さ約0.8~1㎜。(Flora of Victoria)
26 Cardamine parviflora L カルダミネ・パルビフローラ
ユーラシア、北アフリカ、北アメリカ原産。中国名は小花碎米荠 xiao hua sui mi ji 英名はsmallflowered bittercress , sand bittercress。
1年草、細く、無毛又は全体にまばらに軟毛がある。根茎は無い。茎は1本又は基部から少数~数本、直立、ときに屈曲し、しばしば上部で分枝し、高さ(5~)10~30(~40)㎝。根生葉はしばしば、花時に枯れ、普通、ロゼットにならず、羽状複葉、長さ(2~)4~10㎝、小葉は(5 又は) 7~13(~17)個つき、小葉柄は無又は有。葉柄は長さ0.5~2.5(~4.5)㎝。側小葉は頂小葉に似るが、ときに小さい。頂小葉は無柄又は長さ0.5㎝以下の小葉柄があり、葉身は線形~長円形~倒披針形~倒卵形、又はほぼ円形、長さ(0.1~)0.3~1㎝×幅1~7㎜、基部はくさび形、縁は全縁又は3(~5)歯があるか又は-分裂する。茎葉は5~10(~14)個つき、小葉は(5~)9~15(~17)個、 有柄。小葉は無柄。葉柄は長さ0.3~1㎝、基部は耳状にならない。側小葉は頂小葉に似ていて、ときに小さくなる。頂小葉の葉身は糸状、線形、又は狭長円形、長さ0.3~1(~1.6)㎝×幅0.3~3㎜、縁は普通、全縁、まれに1~3歯がある。総状花序は苞がない。果時の花柄は散開又は斜上し、長さ4~10㎜。萼片は長円形、長さ1~1.5(~2)㎜×幅0.3~0.5㎜、側対の基部に袋はなく、縁は膜質。花弁は白色、倒披針形、長さ(1.5~)1.8~2.5(~3)㎜×幅0.4~0.8(~1)㎜。花糸は長さ1.4~2.5㎜。葯は卵形、長さ0.2~0.4㎜。果実は線形、(でこぼこにときどき膨れ)、長さ(0.5~)1~2(~2.5)㎝×幅0.6~0.9㎜。胚珠は子房に20~50個。花柱は長さ0.3~0.7(~1)㎜。種子は淡褐色、長円状卵形、長さ0.6~0.9㎜×幅0.4~0.6㎜、 (狭い縁が有又無)。 2n=16。花期は3~6月(Flora of North America)。
27 Cardamine pentaphylla (L.) Crantz カルダミネ・ペンタフィラ
ヨーロッパ(オーストリア、フランス、スペイン、イタリア、スイス、ドイツ、ユーゴスラビア)原産。英名はshowy toothwort , five-leaflet bitter-cress
茎は高さ25~50㎝、分枝はなく、角(かど)があり、下部には密に毛がある。 匍匐性の茎に肉質の歯状の鱗片葉がある。根生葉はほとんど無い。茎葉は大部分が3枚、互生し、掌状複葉、小葉(3~)5個が放射状につき、小葉は披針形。総状花序に紫色、ピンク色、または白色の花がつく。花期は4~5月。長角果は線形、長さ33~70㎜x幅2.5~4㎜、花柱は長さ5~12(16)㎜、果時の小花柄は長さ11~25(33)㎜。種子は多数、ほぼ卵形、長さ3~4㎜x幅2~2.5㎜、薄褐色。
品種) 'Alba'
28 Cardamine pratensis L. ハナタネツケバナ 花種漬花
日本(北海道)、韓国、中国(黒竜江省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、西蔵)、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は草甸碎米荠 cao dian sui mi ji 。英名はcuckoo-flower , lady's-smock , meadow cress , spinks。別名は。湿った草原、川または小川のほとりに生える。
多年草、高さ(8~)15~55(~80)㎝、無毛、またはまれに基部にまばらに毛がある。根茎は塊茎になり直径5㎜まで、匍匐茎は無い。茎は直立し、単純、葉は2~12(~18)枚。根茎の葉は長さ30㎝まで。葉柄は長さ(1~)2~7(~10)㎝。頂小葉は円形または広倒卵形、直径0.3~2㎝、葉柄は長さ1.5㎝まで、基部は円形、まれにほぼ腎形、または楔形で、縁は波状、先は円形。 羽軸の両側にある側小葉は(0または)2~8(~15)個、頂小葉とほぼ同じかそれより小さく、円形、卵形、または倒卵形、小葉柄があるかまたは無柄、縁は円鋸歯状または波状である。茎葉は長さ2~17㎝の葉柄を含み、羽状全裂し、無毛。 葉柄の基部に耳はない。頂裂片は線形、長円形、卵形、または披針形、長さ1~2.5(~3.5)㎝×幅5~8(~10)㎜、小葉柄があるかまたは無柄。側裂片は葉軸の両側に4~7(~13)個あり、頂裂片に似ており、基部は小葉柄があるかまたは無柄で沿下し、縁は全縁またはまれに歯がある。 果時の小花柄は直立斜上またはほぼ散開し、長さ(0.5~)1.2~2.5(~3)㎝、細い。萼片は長円形または卵形、長さ(2.5~)3~5(~6)㎜×幅1~2㎜、直立または広がり、基部は嚢状、縁は膜質。 花弁は紫色またはライラック色、まれに白色、倒卵形、長さ(0.6~)0.8~1.5(~1.8)㎝×幅3~7.5(~10)㎜、爪部があり、先は円形、または凹形。中央の花糸の対は長さ5~10㎜、側部の花糸の対は長さ3~6㎜。葯は狭い長円形、長さ(0.8~)1.2~2㎜。 胚珠は1つの子房につき20~30個。 果実は線形、長さ(1.6~)2.5~4.5(~5)cm×幅(1.2~)1.5~2.3㎜、バルブは無毛。花柱は長さ(0.5~)1~2.2(~2.7)㎜、丈夫。種子は薄褐色、長円形、長さ1.2~1.8(~2)㎜×幅1~1.4㎜。花期は5~7月。果期は6~8月。2n=16, 24, 28-34, 38-44, 48, 56, 96。
品種) 'Diane's Petticoat' , 'Edith' (d) , 'Flore Pleno' (d) , 'Flore Pleno' white-flowered (d) , 'Improperly Dressed' , 'Pink Giant' , 'Salzach' , 'William' (d)
28-1 Cardamine pratensis subsp. picra De Langhe & D'hose
synonym Cardamine nemorosa Lej.
フランス、ベルギー原産。
品種) 'Plena' (d)
29 Cardamine prorepens Fisch. ex DC. ハイタネツケバナ 這種漬花
韓国、中国(黒竜江省、吉林省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア原産。中国名は浮水碎米荠 fu shui sui mi ji 。標高1000~1700mの川や小川のほとり、牧草地に生える。
多年草、高さ15~50(~60)㎝、無毛または有毛。 根茎は平伏し、匍匐性。 茎は丈夫、直立または傾伏し、単純で、無毛または軟毛があり、葉は2~5(~8)枚つく。根茎につく葉は3~11小葉、長さ2~12㎝。 葉柄は長さ(0.5~)1.5~8(~10)㎝。頂小葉は卵形、長円形、または狭倒卵形、長さ0.5~2(~3)㎝×幅4~13(~20)㎜、葉柄は長さ2~10㎜、縁は円鋸歯または波状。側小葉は1~5対、しばしば無柄で、頂小葉に似ているが、より小さい。茎葉は3~5小葉、しばしば無毛。 葉柄は長さ7cmまで、基部に耳は無い。頂小葉は楕円形、長円形、または菱形、長さ1~3.5(~5)㎝×幅0.5~1.8(~2.5)㎝、小葉柄は長さ2.5㎝まで、基部は楔形または鈍形、縁は離れた円鋸歯、歯、または波状、先は鈍形。側小葉は斜めの卵形または長円形で、無柄または短い小葉柄があり、頂小葉と似ている。総状花序は花が5~15個。果時の小花柄は長さ0.5~3cm。 萼片は卵形、長さ3~4.5㎜×幅1~2㎜。花弁は白色、狭倒卵形、長さ0.9~1.5cm×幅5~7mm、基部は楔形、先は円形、またはほぼ凹形。中央の花糸の対は長さ5~7㎜、側部の花糸の対は長さ3~5.5㎜。葯は長円形、長さ1~1.8㎜。胚珠は1つの子房につき12~16個。果実は線形、長さ1.5~4㎝×幅1.5~2㎜、バルブは平ら、無毛、または直軟毛がある。花柱は細く、長さ2~4㎜。種子は褐色、卵形またはほぼ長円形、長さ1.5~2.2㎜×幅1~1.6㎜、翼は無い。花期は5~7月。果期は7~8月。
30 Cardamine schinziana O.E.Schulz エゾノジャニンジン 蝦夷の蛇人参
synonym Cardamine yezoensis Maxim. var. schinziana (O.E.Schulz) Ohwi
北海道の日高地方、国後島原産。蛇紋岩地帯に多い。高さ20~40㎝。全体に無毛。茎は普通、無毛。葉は頭大羽状複葉、無毛、根生葉は各小葉(裂片)が円形~広卵形、鈍頭で、縁に鋸歯がある。茎葉は小さく、小葉が5~11個で無柄、長楕円形~披針形、縁には欠刻状の歯がある。花序は花数が少ない。花は十字花、白色、直径7~8mm。萼片は線状長楕円形、長さ約2㎜。花弁は白色、倒卵状長楕円形、長さ約5㎜。4強雄しべ。子房に毛がある。長角果は斜上し、線形、長さ約2㎝、有毛または無毛。果柄は果体とほぼ同長。花期は5~6月。
30-1 Cardamine schinziana O.E.Schulz f. lasiocarpa (H.Hara) H.Hara ケエゾノジャニンジン
synonym Cardamine schinziana O.E.Schulz var. lasiocarpa (H.Hara) Koidz.別名はアポイジャニンジン。
31 Cardamine scutata Thunb. オオバタネツケバナ 大葉種漬花
synonym Cardamine flexuosa With. subsp. regeliana (Miq.) O.E.Schulz
synonym Cardamine scutata Thunb. var. longiloba P.Y.Fusynonym Cardamine scutata Thunb. var. latifolia (Maxim.) H.Hara
synonym Cardamine scutata Thunb. subsp. regeliana (Miq.) H.Hara
synonym Cardamine regeliana Miq.
synonym Cardamine flexuosa With. var. regeliana (Miq.) Matsum.
synonym Cardamine flexuosa With. var. latifolia (Maxim.) Makino
日本全土、韓国、中国、台湾、ロシア原産。中国名は圆齿碎米荠 yuan chi sui mi ji。英名はJapanese bittercress。湿った場所や水流のある場所に生える。
学名は長い間、Cardamine scutata又はCardamine regelianaとされてきたが、以下の説によりCardamine scutataとされた。
Cardamine scutataは日本で採集した植物に1794年にThunb.が命名したものであり、Cardamine regelianaはカムチャッカ半島でMiq. が1865年に名付けたものである。原記載はどちらもオオバタネツケバナを指している。しかし、Cardamine scutataのタイプ標本がオオバタネツケバナか、タネツケバナかを決定できるものではないため、混乱が生じた。原記載はオオバタネツケバナを指しているため、タイプ標本が明確にオオバタネツケバナではないという証拠がない限り、Cardamine scutataを学名とするべきである。(参考5)
1年草又は2年草、まれに短命の多年草、高さ (5~)15~50(~70)㎝、無毛又はまばらに直軟毛がある。茎は直立、基部は1本、上部は単純又は分枝、屈曲しない。根生葉はロゼットにならず、しばしば花時までに枯れる。葉柄は長さ3.5㎝以下。葉身は羽状全裂、側裂片は1~4対、頂小葉は類腎形、類円形、菱状卵形、又は広倒卵形、側裂片よりかなり大きく(1.5倍以上長く)、長さ(1~)1.5~2.5㎝×幅0.7~2㎝、波状、円鋸歯、又は3~5分裂する。側裂片は小葉柄があり、又はほぼ無柄、長円形、卵形、又はほぼ円形。茎葉は根生葉に似ている。葉柄は長さ3㎝以下、基部は耳状でない。側裂片は1~5対、頂裂片よりかなり小さい。頂裂片は長さ(0.7~)2~5(~6.5)㎝×幅(0.5~)1.5~4(~5)㎝、波状、円鋸歯又は粗く3~5(~7)分裂する。総状花序は花序軸が真っすぐ。果時の花柄は散開又は斜上し、長さ(0.3~)0.6~1.4(~1.8)㎝、細い。萼片は長円形、長さ1.5~2.5(~3)㎜×幅(0.7~)0.9~1.4㎜。花弁は白色、へら形、長さ2.5~4.5(~6)㎜×幅(1~)1.5~2.5㎜。雄しべは6本。花糸は長さ2~3.5㎜。葯は卵形、長さ0.3~0.6㎜。胚珠は子房に20~40個。長角果は線形、長さ(0.9~)1.5~2.8(~3.5)㎝×幅 (0.8~)1~1.4 ㎜。バルブは無毛又はまばらに微軟毛又は直軟毛があり、でこぼこにときどき膨れ、熟すと下側から裂開する。花柱は長さ(0.3~)0.6~1.5㎜。種子は片面に1列ずつ入り褐色、長円形又は類四角形、長さ0.9~1.5㎜×幅0.6~0.9㎜、翼は無く、狭い縁が有又は無。花期は4~7月。果期は5~8月。2n=32(4倍体)。
32 Cardamine tanakae Franch. et Sav. ex Maxim. マルバコンロンソウ 丸葉崑崙草
日本固有種(本州、四国、九州)。山地の林内に生える。2年草。高さ10~20㎝。全体に毛が生え、コンロンソウより小型。葉は長さ5~13㎝の奇数羽状複葉、小葉は3~7個つき、頂小葉が最も大きい。葉柄の基部は耳状に茎を抱くことが多い。小葉は長さ1~3㎝の円形~惰円形、有柄、葉縁に粗い不規則な鋸歯がある。茎の上部に短い総状花序をつけ、花は直径約1㎝の白色4弁花。花弁は長さ5~7㎜。コンロンソウより花期がやや早い。長角果は長さ18~25㎜の線形、毛が密生し、種子が1列に入る。花期は4~5月。
33 Cardamine tenuifolia Hook.
オーストラリア(南オーストラリア州、タスマニア州、ビクトリア州)原産。英名はslender bitter-cress。沼地や小川に点在する。大きな花と緩くて細長い花序が特徴。
多年草、高さ50㎝以上、無毛、しばしば、茎の下部から多数の細いひげ根を生じる。茎が弱く、地を這う。葉は主に茎葉で6枚以上つき、長さ6cmまで(下部の葉は宿存しない)、羽状複葉、1~5対の側羽片をもち、頂部および側部の羽片は糸状。総状花序は緩い。萼片は長さ2.5~4(~5)㎜。花弁は長さ(5~)7~12㎜、白色。花柱は成熟すると、主に長さ2~4㎜。果実は直立して開出~広がり、長さ20~40㎜×幅約1.5㎜。小花柄は長さ30㎜まで。種子は長さ約1.5㎜。花期は晩春~夏。
33 Cardamine trifida (Lam. ex Poir.) B.M.G.Jones ミヤウチソウ 宮内草
synonym Cardamine tenuifolia (Ledeb.) Turcz.
synonym Cardamine schulziana Baehni
日本(北海道)、朝鮮、中国(黒竜江省、吉林省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア、カザフスタン原産。中国名は细叶碎米荠 xi ye sui mi ji 。英名はthree-leaved cuckoo flower。別名はホソバコンロンソウ。湿った牧草地や斜面、日陰の場所、森林、低木の間に生える。
多年草、高さ(7~)12~30㎝。根茎は短く、長さ0.5~10㎝の細い葉柄が多数あり、塊茎で終わる。塊茎は多肉質で帯白色、葉身が変形したもので、球形、卵形、またはほぼ腎形、長さ7mmまで、ときにわずかに平らになり3~7個の歯がある。茎は直立し、単純、無毛。 根茎につく葉は3出複葉、2回3出複葉、または掌状の5小葉。葉柄は長さ3~15cm。頂小葉は披針形、広卵形、またはほぼ円形、長さ2㎝×幅1.3㎝・以下。葉柄は長さ6㎜まで、基部は楔形、縁は円鋸歯、または3個のほぼ披針形または卵形の裂片に切れ込み、基部は楔形または心形。茎葉は1~3枚、ときに2枚でほぼ対生し、しばしば茎の上部1/3に限定され、少なくとも縁に沿って微細にザラつき、毛状突起は長さ0.1㎜まで、まれにまた直軟毛があり、毛状突起は長さ0.4㎜まで。葉柄は長さ0.4~2cm。頂小葉は線形または狭披針形、長さ0.5~5㎝×幅1~6㎜、基部は楔形または漸尖形、縁は全縁または3歯または3裂し、先は鋭形で微突形。側小葉は1対または2対で、頂小葉に似ているかまたは全縁。 総状花序は花が5~20個。果時の小花柄は斜上し、長さ0.7~1.3㎝。萼片は長円形、長さ3.5~5㎜×幅1.5~2㎜、無毛。 花弁は紫色またはピンク色、まれに白色、倒卵形またはへら形、長さ8~11(~14)㎜×幅3.5~5㎜、先は円形。花糸は中央の対が長さ4~6㎜、細い。側対は長さ3.5~4.5㎜。 葯は長さ1.1~1.5㎜の狭長円形。胚珠は1つの子房につき10~16個。果実は線形、長さ2~3.5cm×幅1.2~1.6㎜、バルブは無毛。花柱は長さ1.5~4㎜。 種子は褐色、長円形、長さ1~1.3㎜×幅0.8~1㎜。花期は5~6月。果期は6~7月。2n=32, 48。
34 Cardamine umbellata Greene チシマタネツケバナ
synonym Cardamine kamtschatica (Regel) Piper
synonym Cardamine unalaschcensis Andrz. ex Ledeb.
ロシア、北アメリカ原産。英名はumbel bittercress 。標高0~1800mの小川の土手、ツンドラ、高山の斜面、湿地、湿った湿地帯、苔むした地域、砂浜の砂利と砂地、高山の小川の縁に生える。
多年草。 通常は無毛。 根茎はしばしば細長く、通常は細く、まれに肥厚し、直径1~2(~5)㎜(多肉質ではない)。 茎(単純または基部から少数~数本)は、直立~斜上し、(曲がりくねらず)、基部で分枝せず、ときに上部で分枝し、高さ(3~)8~25(~30)㎝。根生葉(ときに花時に枯れ)、ロゼットになり、羽状複葉、(3または)5または7(または9)小葉、長さ2~5(~9)㎝、小葉は小葉柄があるかまたはほぼ無柄。側小葉は短い小葉柄があるかまたはほぼ無柄で、葉身は通常広卵形、まれに広倒卵形または円形で、頂小葉より小さく、縁は通常全縁、まれにわずかに3(または5)裂または円鋸歯がある。頂小葉はほぼ無柄、葉身は腎形または円形、長さ0.4~0.8(~1.2)㎝×幅5~9(~16)㎜、縁は全縁または3(または5)裂または円鋸歯状。茎葉は、3~5(~7)枚、3~7(または9)小葉、小葉柄があり、小葉はほぼ無柄または無柄、基部には耳はない。 側小葉: 葉身は狭倒卵形、倒披針形~線形、縁は頂小葉に似る。頂小葉の葉身は狭倒卵形、卵形、倒披針形、披針形、長円形、縁は通常全縁、ときに3裂または円鋸歯がある。総状花序は苞が無い(ほぼ散形花序状、花が2~8(~14)個、花序軸は通常長さ3~20㎜)。果時の小花柄は直立~斜上し、長さ3~8(~10)㎜。花: 萼片(帯緑色または帯紫色)、長円形、長さ1~2㎜×幅0.5~1㎜、側対は基部が袋状にならない。花弁は白色、狭倒卵形、長さ2.5~5㎜×幅1~3㎜。果実は線形、(円筒形または楕円形:torulose)、長さ(1.3~)1.8~2.5(~3)㎝×幅0.8~1.5(~2)㎜。(バルブは無毛またはまばらに毛がある)。花柱は長さ0.5~2㎜。種子は褐色、長円形、長さ1~1.5㎜×幅0.8~1㎜。2n=32, 36, 48。花期は6~9月。
35 Cardamine valida (Takeda) Nakai アイヌワサビ
synonym Cardamine yezoensis auct. non Maxim.
日本(北海道の中央部、東部と岩手県)、サハリン原産。
高さ30~80㎝。エゾワサビに比べて頂小葉が小さく、他の小葉とすべての小葉の大きさが等しく、小葉柄が無。
九州に生えるタカチホガラシ、本州中部の亜高山帯に生えるオクヤマガラシもよく似ている。タカチホガラシは小葉に明確な柄があることでほかの2種から見わけられるが、タカチホガラシは小型であること以外、アイヌワサビと明確な識別点が見つけられない。
36 Cardamine victoris N.Busch カルダミネ・ビクトリス
ロシア(極東部)原産。濡れた場所に生える。
無毛。 根茎は細く白色。茎は単純。 葉は狭線形。花序は花が3~6個つく。萼片は長楕形~倒卵形、縁が狭く白色になる。弁は倒卵形、白色の爪部があり、長さ5~6.5㎜×幅2~2.5㎜。長角果は平らで長く、嘴は長さ3㎜まで。
37 Cardamine yezoensis Maxim. エゾワサビ 蝦夷山葵
synonym Cardamine akitensis Mochizuki ツルワサビ
synonym Cardamine fauriei Franch.
synonym Cardamine amariformis Nakai マンシュウタネツケバナ
synonym Cardamine pseudowasabi H.C.Shin et Y.D.Kim コウライユリワサビ
synonym Cardamine torrentis Nakai オクヤマガラシsynonym Cardamine yezoensis Maxim. var. torrentis (Nakai) Ohwi オクヤマガラシ
日本(北海道、本州の東北地方)、朝鮮、サハリン原産。山地の川沿いなどの湿地に生える。高さ20~40㎝。ストロンを出す。根茎、茎、葉にワサビのような辛味があるこ。葉は柄があり、頭大羽状複葉、頂小葉はほぼ円形で目だって大きく、側小葉は1~2対、1対が多く、上部の葉は側小葉が無い。総状花序は密。花は白色、直径約8㎜。長角果は線形、無毛。花期は5~6月。
参考
1) Flora of ChinaCardamine
Cardamine
Cardamine
Cardamine
総説 日本産アブラナ科タネツケバナ属雑草の生物学
Cardamine occulta Hornem.
檜山庫三*牧野標本館雑記(10)
ヒトツバコンロンソウ、オオミツバコンロンソウ、ニシノオオタネツケバナ
Cardamine californica
日本の野生植物総点検プロジェクト タネツケバナ属 Cardamine
神奈川県のタネツケバナ類(堀内 洋)
花の適応進化の遺伝的背景に迫る:「咲かない花」閉鎖花を例に