シャジクソウ 車軸草

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Flora of Mikawa

マメ科 Fabaceae シャジクソウ属

中国名 野火球 ye huo qiu
英 名 lupine clover
学 名 Trifolium lupinaster L.
シャジクソウ花序
シャジクソウ花序横
シャジクソウ花
シャジクソウ萼
シャジクソウ
シャジクソウの葉
花 期 6~8月
高 さ 15~50㎝
生活型 多年草
生育場所 乾いた山地の草原、海岸
分 布 在来種 北海道、本州(長野県、群馬県、宮城県)、アジア北東部、ヨーロッパ東部
撮 影 美ケ原高原  09.8.21
和名の由来は小葉が放射状につき、車軸状に見えることから。
 葉は互生し、小葉が3 ~5(7) 個の掌状複葉、輪生のように見える。小葉には多数の側脈と細かい鋸歯がある。茎頂の頭状花序に花を10~20個つける。花は濃紅紫色~白色の蝶形花、萼は上部が3裂し、針状に尖る。豆果は3~6個の種子を入れ、宿存する花冠と萼に包まれ、熟しても裂開しない。種子は長さ約1.5㎜。2n=48
 白花はシロバナシャジクソウ form. leucanthum という。
 シロツメクサ(クローバー)も同属であり、普通、小葉が3個である。4つ葉のクローバーもあり、5つ葉以上のものも稀にある。

シャジクソウ属

  family Fabaceae - genus Trifolium

 1年草又は多年草。無毛~有毛。茎は直立~斜上~平伏。葉は羽状3小葉又は掌状3(又は5~9)小葉。托葉は全縁又は歯があり、葉柄に部分的に着生する。小葉は歯があるか又は全縁。花序は腋生又は頂生。花は無柄又は短い花柄がある。花は頭状花序、短い総状花序、散形花序につき、又はまれに花が単生する。苞は小さいか又は無く、しばしば、歯状で膜質の総苞に合着する。萼は5~10[~30]脈があり、規則的又は2唇形、花後にときに強く膨れ、萼歯は等形又は不等形。花冠は宿存し、白色、ピンク色、紫色又は黄色、ときに、果時に膨れる。花糸はときに又は全て、先が膨れる。葯は均一。子房は胚珠を1~12個もつ、豆果は非裂開、枯れても落ちない萼と花弁に包まれる。種子は1個又は2(~9)個、卵形~球形~腎形。
 世界に約250種があり、温帯、亜熱帯のアフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパに分布する。

シャジクソウ属の主な種と園芸品種

1 Trifolium alexandrinum L. トリフォリウム・アレキサンドリヌム

 栽培種。英名は berseem clover , Egyptian clover。中国名は埃及车轴草 ai ji che zhou cao。中国(広東省、江蘇省)、台湾、インド、ネパール、オーストラリア、ヨーロッパ、北アフリカ、北米などで栽培され、帰化している。
 1年草。まばらに毛が生え~無毛になる。茎は直立または斜上し、長さ20~60cm、条線があり、基部で分枝する。葉は掌状3小葉、茎の下部では互生し、上部では対生する。葉柄は下部の葉では小葉と同長で、上部の葉ではより短い。托葉は披針形、その長さの半分は葉柄に接着し、脈が4~5本あり、淡緑色。縁にはまばらに縁毛があり、先は錐形。小葉は倒卵形または広楕円形~長円状披針形、長さ15~30(~50)mm×幅6~15mm、側脈が6~10本あり、基部は広楔形~鈍形、先の縁の1/2には鋸歯があり、先は鈍形で、まれに微凹形になる。花は頭花に多数つき、頭花は卵形または円錐形で、頂生または腋生、長さ12~25mm×幅10~15mm。花序柄は頭花の長さの1~2倍ある。総苞は短い苞から成り、基部で合着する。萼は長さ3.5~4mm、脈は10本。萼歯は不等長、羽毛状、下側の萼歯は萼筒と長さが等しく、他はより短い。花冠は乳白色、長さ8~13mm。豆果は長さ22~25mm。種子は1個、黄色、卵形。花期は4~5月。果期は5~6月。
品種) 'BL-22'

2 Trifolium angulatum Waldst. et Kit. クシバツメクサ 櫛葉詰草
 ヨーロッパ、ロシア、ジョージア原産。コーカサス山脈、アゾフ海南岸に分布する。英名はangled clover。休耕地、道端、塩分の多い場所に生える。
 無毛の1年草、高さ10~40cm、直立または斜上し、溝があり、上部で枝分かれする。茎は細く、直径2mm以下。托葉は披針形、細く、先端が鋭く尖る。葉は長い葉柄があり、下部では長さ8cm以下、上部では短い。小葉は小さく、長さ0.8~1.5cm×幅0.4~1.0cm、倒卵形、円形または先端がわずかに切れ込み、縁には細かい歯がある。頭花は葉腋につき、小花柄は通常、基部につく葉より短く、円形、成熟すると半円形になり、直径1.0~1.5cm。花は萼と同長の短い小花柄につき、花後に大きく後屈する。萼は長さ3~4mm、鐘形、萼歯は萼筒の長さの1~2倍の長さで、鋭く尖る。花冠は長さ5~7mm、帯赤色。旗弁は楕円形~長円形、先端は角張っており、縦方向に顕著な線が入り、翼弁や竜骨弁より長く、翼弁は下部に狭い部分がある。豆果は旗弁と同長、長円形~線形、3~4個の種子があり、種子間は狭まり、毛はない。花期は6月~7月。自家受粉、自殖。2n=16。

3 Trifolium angustifolium L. トガリバツメクサ 尖葉詰草
 ヨーロッパ、アジア南西部~中部、北アフリカ原産。英名はnarrow clover , narrow-leaf clover。世界中に分布し、米国南東部に帰化している。標高0~700mの荒地に生える。
 1年草、直立し、長さ10~30cm、伏毛があり、分枝しないかまばらに分枝する。葉は羽状複葉。小葉は3枚、線状披針形、長さ30~50mm×幅2~4mm、基部は楔形、縁は全縁、脈は細く、先は鋭形、表面には毛がある。葉柄は長さ20~30mm、小葉柄は約1mm以上。托葉は披針形~線形、長さ5~22mm、縁は全縁、先端は鋭形。花序は頂生、花が25~75個つき、穂状花序、円筒形または円錐形、長さ30~80mm×幅15~20mm。総苞は無く、小苞も無い。花序柄は長さ10~22mm。小花柄は真っすぐ、長さ0.5mm。花は長さ10~13mm。萼は筒形、長さ8~13mm、いぼ状突起があり、伏した硬い毛があり、10脈がある。萼筒は長さ3~5mm。萼片は不等長、外側の萼片は錐状剛毛、果時に星状に最も長く広がり、開口部は2唇形のカロシティ(callosities:たこ)で閉じられ、毛がある。花冠は長さ9~12mm。旗弁は卵状楕円形、長さ9~12mm×幅2~2.5mm、淡ピンク色、紫色、または白色、先端は鋭形。果実は横裂開し、卵形、長さ2.2~2.5mm、萼?、上部は革質である。種子は1個、卵形、長さ1.6~2mm、淡褐色または黄色で、平滑、光沢がある。2n=14, 16。花期は5~7月。

4 Trifolium arvense L. シャグマハギ 赤熊萩
 ヨーロッパ、アジア南西部~中部、北アフリカ原産。英名はhare-foot clover , hare-foot trefoil , rabbit-foot clover , stone clover。別名はシャグマツメクサ。雑草として世界中に広く分布している。北米全域に帰化している。標高0~1300mの荒れ地、道端、野原に生える。
 1年草、直立し、長さ5~30cm、伏した絨毛があり、上部で分枝する。葉は羽状複葉。小葉は3枚で、線状長円形~狭楕円形、長さ10~20mm×幅2~5mm、基部は楔形、縁は上部に小歯があり、脈は細く、先端は微突形、表面には毛がある。葉柄は長さ4~45mm。小葉柄は長さ1+mm。托葉は線状披針形~卵形長円形、長さ5~8mm、縁は全縁、先端は糸状である。花序は腋生または頂生、花が30~100個付き、卵形または円筒形、長さ10~23mm×幅9~12mm、果時には長くなる。総苞はない。小苞は鈍形、長さ約0.1mm。花序柄は長さ5~25mm。小花柄は真っすぐ、長さ約0.5mm。花は長さ5~8mm。萼は鐘形、長さ5~8mm、絨毛があり、脈は10本。萼筒は長さ1.2~1.8mm。萼片は剛毛で、ほぼ等長、紫色またはピンク色。開口部は開き、毛がある。花冠は長さ3~6mm、萼よりはるかに小さく、白色~ピンク色。旗弁は狭卵状楕円形、長さ5~5.5mm×幅1~1.5mm、先端は鈍形。果実は横に裂開し、卵形、長さ1.5~2mm、萼があり?、上部は革質。種子は1個、球形、長さ約1mm、黄色、平滑、光沢がある。2n=14。花期は5~7月。
4-1 Trifolium arvense L. f. albiflorum Sylven シロバナシャグマハギ

5 Trifolium aureum Pollich テマリツメクサ 手毬詰草
  synonym TTrifolium campestre C.C.Gmel.
  synonym TTrifolium agrarium L.
  synonym TTrifolium strepens Crantz
 ヨーロッパ、アジア南西部(トルコ、イラン、レバノン・シリア)原産。英名はlarge hop trefoil , large trefoil , large hop clover , golden clover , Hop clover。中国名は黄车轴草 huang che zhou cao 。栽培され逸出が見られる。日本全土、中国(河北省、江蘇省、陝西省)、北米、ニュージーランドなどに帰化している。道端、雑草が生い茂る場所に生える。
 1年草。伏した微軟毛を持つ。茎は直立または斜上し、中間部で分枝し、長さ(10~)20~50cm。葉は掌状3小葉。托葉は披針形、長さ1~1.5cm、脈は明瞭、長さの約半分は葉柄に合着し、先は長い尖鋭形。葉柄は下部の葉では長さが小葉と等しく、上部の葉では短い。小葉は倒卵状長円形~狭楕円形、ほぼ小葉柄は無く、長さ10~23mm×幅5~8mm、薄紙質、側脈は10~18対、基部は楔形、縁は基部で全縁で上部には鋸歯があり、先は鈍形、まれに凹形。花は25~40個が、球形から短円筒形の総状花序に密に覆瓦状につき、花序は長さ1.5~2cm、腋生および頂生。花序柄は総状花序と同長かまたは長い。総苞および苞はない。小花柄は長さ約1mm、花後に後屈する。萼は長さ2~2.5mm、脈は5本。萼筒は短く、下側の3萼歯は上側の2萼歯の長さの2~2.5倍ある。花冠は黄色、後に褐色になり、長さ6~8mm。旗弁は楕円形。子房は長い柄があり、長円形。花柱は子房より長い。豆果は狭卵形、長さ2.5~3mm、柄があり、先端は宿存する花柱を持つ。種子は1個、黄褐色、楕円形、長さ1~1.2mm。花期と果期は6~7月。

6 Trifolium campestre Schreb. クスダマツメクサ 薬玉詰草

 ヨーロッパ、アジア南西部、北アフリカ原産。英名はgreat hop trefoil , hop clover , hop trefoil , large hop clover , large hop clover。中国名は草原车轴草 cao yuan che zhou cao。世界に広く帰化している。荒地、道端に生える。
 1年草。高さ20~40㎝。茎は有毛~無毛、よく分枝し、直立~斜上又は平伏する。葉,は互生し、3小葉。托葉は長さ5~8㎜、卵形~惰円形、先は尖り、下半部が葉柄に沿着する。葉柄は小葉の長さ以下。側小葉は無柄、頂小葉は葉柄が長さ3~7㎜。小葉は長さ6~16㎜、幅4~8㎜、側脈は5~8(12)対、基部は楔形、縁は基部が全縁、先部は鋸歯縁。長さ8~13㎜、幅7~10㎜の球形~円筒状の花序に花が20~40個、瓦状に密生してつく。花柄は長さ1~3㎝。小花柄は長さ1~1.8㎜。萼は初期には緑色、開花すると花冠の色に近くなり、長さ1.5~2(2.8)㎜、膜質、5脈があり、先が5裂し、上側の2個の裂片は下側の3個の裂片より短い。花冠は長さ(3)4~6㎜、黄色、後に褐色になる。旗弁に明瞭な縦脈がある。豆果のさやは長さ約3㎜。種子は1個入り、褐色、長さ1~1.5㎜。2n=14。花期は5~6月。

7 Trifolium carolinianum Michx. チゴツメクサ 稚児詰草
 USA南部原産。英名はCarolina clover , wild white clover 。標高0~400mの乾燥した畑、芝生、開けた森、乱れた地面、岩の多い斜面の砂質土に生える。
 1年草、長さ5~30cm、軟毛あり。匍匐、斜上、または直立し、分枝する。葉は掌状3小葉。托葉は卵形、長さ0.6~1cm、縁は全縁または鋸歯があり、先は尖鋭形。葉柄は長さ2~5cm。小葉柄は長さ1mm。小葉は3枚、葉身は倒卵形、長さ0.6~1.4cm×幅0.3~1.1cm、基部は楔形、葉脈は中程度に太く、縁には小歯があり、先は円形、ときに微凹形、下面の葉脈を除いて無毛。花序は腋生または頂生、花が5~40個つき、球形、長さ1~2cm×幅1~2cm。総苞は微小。花序柄は花の下部に関節があり、長さ3.5~10cm、花序は横向きまたは逆さまに生じる。小花柄は反り返り、長さ2~3mm。小苞は卵形または披針形、長さ0.5mm。花は長さ4.5~7mm。萼は通常ピンク色~赤紫色、鐘形、2唇形、長さ3~4mm、細柔毛があり、脈は5本、わずかに裂片に分岐し、萼筒は長さ0.8~1mm、萼片は不等長、外側の3萼片は披針形または線形、長さ0.8~1mm、絨毛があり、内側の2萼片は広三角形、長さ2.5~3mm、開口部は開いている。花冠は乳白色、しばしば、淡紫色~ピンク色を帯び、古くなると暗色化し、長さ4~4.5mm、旗弁は広卵状菱形、長さ4~4.5mm×幅3.8~4mm、先は円形、わずかにギザギザに裂ける。豆果は長円形、長さ3~4mm。種子は2~4個、黄褐色~褐色、球形~ミトン形(mitten-shaped:親指だけが別の手袋形)、長さ1.1~1.6mm、しわがある。2n=16。花期は4~6(7)月。

8 Trifolium cernuum Brot. ウナダレツメクサ 項垂れ詰草
  synonym Trifolium minutum Coss.
  synonym Trifolium parviflorum Perreym.
  synonym Trifolium perreymondii Gren.
  synonym Trifolium serrulatum Lag.
 ヨーロッパ(アゾレス諸島、コルシカ島、フランス、マデイラ諸島、ポルトガル、スペイン)、北アフリカ(モロッコ、)原産。英名はdrooping clover , nodding clover。標高0~150mの道端、芝生に生える。日本でも帰化が確認されている。
 1年草、長さ5~40cm、無毛。茎は匍匐、斜上、または直立し、分枝する。葉は掌状3小葉。托葉は三角形~披針形、長さ0.9~1cm、縁は全縁、先は長い尖鋭形で後屈する。葉柄は長さ1~10cm。小葉柄は長さ1mm以下。小葉は3枚、葉身は倒卵形または倒心形、長さ0.4~1.5cm×幅0.4~1cm、基部は楔形、脈は明瞭、反り返り、縁は粗い歯状、先は円形、切形または凹形、表面は無毛。花序柄は長さ0.6~1.5cm、上部ほど短くなる。花序は腋生または頂生、花は8~20個つき、凹んだ球形、長さ0.9~1.1cm×幅0.8~1cm。総苞はない。小花柄は果時には反り返り、長さ0.5~2mm。小苞は披針形で長さ1mm。花は長さ4~5.5mm。萼は筒状鐘形、長さ4mm、無毛、脈は10本。萼筒は長さ2~2.2mm、萼片はほぼ等長、三角状錐形、縁は緑色、ピンク色、または紫色、開口部は開く。花冠はピンク色、長さ4~5mm。旗弁は倒卵形、長さ4~5mm×幅1~2mm、先は深く凹形。豆果は卵状楕円形、長さ4mm。種子は1~4個、黄色、卵形、長さ0.8~1mm、微細なパピラがある。2n=16。花期は5~7月。

9 Trifolium dubium Sibth. コメツブツメクサ 米粒詰草
 ヨーロッパ、西アジア、北アフリカ原産。英名はlesser trefoil , low hop clover , shamrock , small clover , small hop clover , small trefoil , suckling clover , yellow clover , small hop clover。中国名は钝叶车轴草 dun ye che zhou cao 。別名はコゴメツメクサ、キバナツメクサ。
 1年草。高さ20~40㎝。茎は横に広がり、上向きの伏毛がある。葉は3小葉、葉柄は短く、長さ2~5㎜。小葉は長さ0.5~1㎝の楕円形~倒卵形。葉脈ははっきり見え、側脈は平行。花序は長さ1~2㎝の花序枝の先につき、直径約7㎜の小さな黄色の蝶形花が5~15個つく。旗弁は広被針形。萼は5裂し、上側(背側)の裂片2個は短く、下側(腹側)の裂片が萼筒より長い。豆果は宿存する花冠と萼に包まれ、淡褐色になり、その時期になるとしばしば葉が赤くなる。豆果には1種子が入る。2n=16, 28, 32。花期は5~7月。

10 Trifolium fragiferum L. ツメクサダマシ 詰草騙し
  synonym Trifolium bonannii J. Presl & C. Presl
  synonym Trifolium neglectum C. A. Mey.
 中国(新疆ウイグル自治区)、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、パキスタン、インド、イラン、イラク、レバノン、シリア、パレスチナ、サウジアラビア、トルコ、ヨーロッパ全域、北アフリカ(アルジェリア、チュニジア、エジプト、エリトリア、エチオピア、リビア、モロッコ)原産。英名はstrawberry clover。中国名は草莓车轴草 cao mei che zhou cao。アルカリ性土壌、湿地、溝、道端に生える。
 多年草で、匍匐茎を持ち、無毛または有毛。茎は平伏または傾伏し、長さ10~30(~50)cmで、節から根を張る。葉は掌状複葉3小葉、長い葉柄がある。托葉は線状披針形~披針状卵形、長さ1~2cm、膜質、基部は鞘状で、先端は尖鋭形~錐形。小葉は倒卵形~倒卵状楕円形、±無柄、長さ(5~)10~25mm×幅5~15mm、無毛または脈上にまばらに毛が生え、側脈は10~15本、基部は広楔形、先は円形で微凹形。花は10~30個、半球形または卵形の頭花に密集してつき、長さ0.8~2.5cm。花序柄は腋生で、長さは葉柄の2倍以下。総苞片は融合し、裂片は披針形、全縁または歯がある。萼は2唇形、果時には強く膨らみ、脈は網目状。萼歯は糸状で、上側の2萼歯は下側の3萼歯より長く、上側の2萼歯と萼筒の上部1/2には密に絹毛がある。花冠は白色またはピンク色で、長さ6~8mm。旗弁は長円形。子房は線形。豆果は卵状長円形、膨らんだ萼に包まれる。種子は1~2個、褐色、腎形。花期は5~8月。

11 Trifolium fucatum Lindl. ヤマブキツメクサ 山吹詰草
  synonym Trifolium flavulum Greene
 USA原産。英名はbull clover, puff clover, sour clover。標高0~1000mの湿地、牧草地、道端に生える。
 1年草、長さ10~80cm、無毛または無毛になる。茎は直立または斜上し、分枝しないかまたは密に2股分枝する。葉は掌状。托葉は卵形または披針形、長さ1~3cm、縁は全縁または歯があり、先は普通尖鋭形、ときに2裂する。葉柄は長さ3~15cm。小葉柄は長さ1~1.5mm。小葉は3枚。葉身は広倒卵形、円形、または菱状倒卵形、長さ0.8~4cm×幅0.7~3cm、基部は広楔形、脈は不明瞭、小葉の縁付近は厚くなり、縁は離れた歯~密に小鋸歯状の歯があり、先は円形またはわずかに微凹形、表面は無毛またはほぼ無毛。花序柄は長さ3~13cm。花序は頂生または腋生、花が10~30個つき、ほぼ球形または球形、長さ1~4cm×幅1~4cm。総苞は広椀形、長さ4~15mm、裂片は3~8個、披針形、先は尖鋭形、分裂しないかまたは2~3裂する。小花柄は真っすぐ、長さ1mm。小苞は離生または合着し、広卵形、長さ1mm。花は長さ10~27mm。萼は鐘形、長さ3~8mm、無毛、10脈がある。萼筒は長さ1.5~2.5mm。萼片は5~10個、不等長、分裂しないかまたは3裂し、長い尖鋭形、開口部は開く。花冠は乳白色~黄色、成熟するとピンク色~紫色になる。竜骨弁はまれに暗紫色になり、長さ10~27mm。旗弁は広卵形、果時に膨れ、上部は捻じれず、長さ10~27mm×幅6~15mm、先端は丸く、ギザギザになる。豆果は柄があり、線形、長さ7~8mm。種子は3~8個、灰色、まだらになり、球形、直径1.6~2mm、網目がある。2n=16。花期は4~6月。

12 Trifolium glomeratum L. ダンゴツメクサ 団子詰草
 ヨーロッパ、アジア南西部、北アフリカ原産。英名はball clover , bush clover , cluster clover , smooth-head trefoil。標高0~500mの道端、芝生、薄い草地に生える。
 1年草、長さ10~30cm、無毛。茎は平伏、傾伏、または斜上し、分枝する。葉は掌状複葉。托葉は卵形、長さ1~1.5cm、縁は全縁、先は錐状剛毛。葉柄は長さ0~7cm。小葉柄は長さ0.5mm以下。小葉は3枚、小葉の葉身は倒卵形または倒心形、長さ0.6~1.5cm×幅0.4~1cm、基部は楔形、脈は上部で肥厚し、縁には棘状鋸歯があり、先は微凹形または円形、表面は無毛。花序柄は無いかまたは長さ0.1cm以下。花序は腋生、花がほぼ30個つき、球形、長さ0.8~1cm×幅0.8~1cm。総苞は無い。小花柄は真っすぐ、長さ0.2mm以下。小苞は線形、長さ0.5mmまで。花は長さ6~8.5mm。萼は筒状倒円錐形、長さ3~4mm、無毛、脈が10~12本ある。萼筒は長さ1.5~2mm。萼片は等形、三角状卵形、果時には広がるか反り返り、開口部は開く。花冠はピンク色、長さ6~8mm。旗弁は倒卵形、長さ6~8mm×幅1~2mm、先は鋭形。豆果は倒卵形、長さ2~3mm。種子は2個、褐色、腎形、長ささ1mm、いぼ状突起がある。2n=14, 16。花期は5~6月。

13 Trifolium gordeievii (Kom.) Z.Wei トリフォリウム・ゴルデェイエビー

 中国(黒龍江省、吉林省)、ロシア(極東)原産。中国名は延边车轴草 yan bian che zhou cao。標高500~800mの寒帯の針葉樹林、岩の多い渓畔に生える。
 多年草、絨毛があり~無毛。茎は長さ40~80cm、傾伏の匍匐茎または平伏せ・斜上し、細く、分枝する。葉は掌状3小葉で、ごく短い葉柄があり~無柄。托葉は披針形、膜質、全縁、その長さの大部分は葉柄に付着し、基部は鞘状、先は錐形。小葉は倒卵形~楕円形、長さ(5~)8~15(~18)mm×幅4~8(~12)mm、下面には細かい軟毛があり、上面は無毛、側脈は18~24対、両面で明瞭、歯の中に伸び、基部は広楔形、先は円形で微凹形。花は1~3個、腋生の散形花序につく。総苞はない。花序柄は葉より短いかまたは等しい。苞は小さく、早落性。小花柄は長さ(3~)5~7(~9)mm。萼は長さ8~9mm×幅約2mm、脈は10本。萼歯は錐形で、萼筒の長さの2~3倍。花冠は白色またはピンク色、後に赤色~紫色になり、長さ14~16mm。旗弁は倒披針状楕円形、爪部は短い。翼弁と竜骨弁はやや短く、長い爪部は拡大部の長さと等しい。子房は短く柄を持つ。豆果は卵状長円形、長さ8~9mm×幅約3mm、扁平で、先端は鉤状の嘴を持つ。種子は1個または2(~4)個、広卵形。花期は6~9月。

14 Trifolium hirtum All. ビロードアカツメクサ 天鵞絨赤詰草
  synonym Trifolium hispidum Desf.
 地中海地域原産。英名はrose clover。別名はローズクローバー。標高50~800mの野原、道端に生える。米国では1940年代にカリフォルニアで初めて栽培され、飼料用植物や路傍の芝生の窒素源として利用されていた。日本、北米、オーストラリアなどに帰化している。
 1年草、湾曲して斜上し、高さ10~35cm、密に開出する毛があり、分枝する。葉は羽状3小葉。小葉は倒卵形~長円形、長さ8~25mm×幅5~13mm、基部は楔形、縁は上部に小歯があり、脈は明瞭、間隔は密に並び、先端は円形、表面には密に開出する毛がある。葉柄は長さ5~50mm。小葉柄は長さ約0.5mm。托葉は披針状卵形、長さ8~18mm、縁は全縁、先端には長い剛毛がある。花序は枝先に頂生し、花が10~50個つき、球形または卵形、長さ15~25mm×幅15~25mm、成熟すると果時の萼中に関節離脱する(disarticulating)。総苞は拡大した托葉である。小苞はない。小花柄はない。花は長さ10~17 mm。萼は鐘形、長さ7~11mm、細柔毛があり、脈は20本、萼筒は長さ2~5mm。萼片はほぼ等長、下側の萼片はやや長く、開口部は開き、細柔毛がある。花冠は長さ10~14mm、ピンク色~紫赤色。旗弁は披針形、長さ10~14mm×幅1~2 mm、先端は鋭形~尖鋭形。果実は横裂開、卵形、長さ2~3 mm、上部は革質。種子は1個、球状楕円形、長さ1.5~2mm、黄褐色(tan)または褐色、平滑、光沢がある。花期は4~6月。

15 Trifolium hybridum L. タチオランダゲンゲ 立阿蘭陀紫雲英
 ヨーロッパ(アルバニア、ブルガリア、東ヨーロッパのロシア、フランス、ギリシャ、イタリア、クレタ島、クリミア半島、北コーカサス、北西バルカン半島、スペイン、トランスコーカサス、ヨーロッパのトルコ)、アジア南西部(イラン、イラク、トルコ)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ)原産。英名はalsike clover , hybrid clover , Swedish clover。世界中で栽培され、日本、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、内モンゴル、寧夏、陝西省、山西省、新疆)、インド、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、オーストラリア、南アフリカ、南北アメリカなどに広く帰化している。中国名は杂种车轴草 za zhong che zhou cao。世界中で栽培されている。森林の縁、草地、道端などに栽培、逸出、帰化している。
 多年草、無毛または無毛になる。茎は少数~数本、直立または斜上し、長さ15~60cm、垂直にうねがある。葉は掌状3小葉。托葉は卵形~卵状披針形、基部は長さの約1/3が融合し、自由部は長い尖鋭形、先端は錐形。葉柄は下部の葉では非常に長く、上部では次第に縮小する。小葉柄は長さ1~1.5mm。小葉は広楕円形~卵状楕円形または倒卵形で長さ1~3cm×幅1~2cm、側脈は15~20対。基部は広楔形、縁は全縁または小歯状、先は鈍形、まれに凹形。花序は腋生および頂生、球形の散形花序、長さ1~2.5cm、花が10~50個つく、花序柄は隣接する葉より長く、総苞はない。苞は披針形、長さ0.5~1mm。小花柄は長さ3~5mm、花後に後屈する。萼は主脈5本、副脈5本があり、歯は錐形、萼筒の長さの1~2倍。花冠はピンク色~白色、長さ7~10mm、旗弁は楕円形、翼弁や竜骨弁より長い。子房は線形、胚珠は2個。豆果は楕円形。種子は2個、褐色~帯赤色、卵形、いぼ状突起がある。花期は6月~10月。

15-1 Trifolium hybridum subsp. anatolicum (Boiss.) M.Hossain

  synonym Trifolium anatolicum Boiss.
 ブルガリア、ギリシャ、イラン、イラク、トルコ原産。アルゼンチンに帰化している。
 茎は短く、木質で、基部から豊富に発生する。var. anatolicumとvar. minutumに分けられる(参考13 2024)。POWOには記載がない。

(1) Trifolium hybridum subsp. anatolicum (Boiss.) M.Hossain var. anatolicum 変種 anatolicum

 茎は長さ5~10cmで、木質部は茎だけでなく、花枝にも目立つ。小葉は長さ5~10mm。葉は基部に密集し、茎を覆い隠さない。

(2) Trifolium hybridum L. subsp. anatolicum (Boiss). Hossain var. minutum M.Keskin 変種 minutum

 茎はほとんどないか、時には少数の花枝が目立つ。木質の茎は葉の下に目立つ。小葉は長さ1~3mmで、基部に密集し、ドーム状に基部を覆う。
【解説】茎は不明瞭で、太く木質、長さ1~4cmであるが、葉が密集しているために見えにくい。花の咲く枝は長さ1~5(~10)cm。葉は束生する。小葉はほぼ円形またはわずかに倒卵形~倒心形、直径1~3mm、縁に微細な鋸歯があり、脈はほとんど目立たず、数も少ない。葉柄は疎に毛がある。托葉は基部が膜質、長さ1cmまで、上部の托葉は緑色で長さ0.5mm。小花柄は毛があり、長さ5mm。萼は5脈があり、ほぼ膜質、他の5副脈は不明瞭である。萼筒は基部に毛がある。萼歯は萼筒と同長で、先端は鈍形。萼は長さ3mm。苞は膜質、長さ1mm。花冠は長さ5~6mm、ピンク色~薄紫色である。種子は2個、長さ1.5mm、ほぼ円形で、球形ではなく窪んでいる。豆果は太い脈があり、萼筒よりわずかに長く、短毛がある。花序柄は長さ1~5cmで、毛がある。

15-2 Trifolium hybridum subsp. elegans (Savi) Asch. & Graebn.

  synonym Trifolium elegans Savi
 ブルガリア、フランス、ギリシャ、イタリア、クリティ、モロッコ、北西バルカン半島、スペイン、トルコ原産。バルト諸国、東ヨーロッパのロシア、ドイツ、イギリス、ポーランドに帰化している。道端、荒れ地にはえる。スイスでは時折みられる外来種。  茎は匍匐し、円形に広がり、中空ではなく中実、脈は無いかまたは不明瞭、長さ25cm以下、先端に向かって軟毛が生える。小葉は長さ最大2cm。花序は直径1~1.5cm。花冠は初め淡ピンク色で、後に濃ピンク色になり、長さ5~7mm、萼の4~5倍の長さになる。(© Flora Helvetica 2018など)
15-3 Trifolium hybridum subsp. hybridum
 ヨーロッパ(アルバニア、ブルガリア、東ヨーロッパのロシア、フランス、ギリシャ、イタリア、クレタ島、クリミア半島、北コーカサス、北西バルカン半島、スペイン、トランスコーカサス、ヨーロッパのトルコ)、アジア南西部(イラン、イラク、トルコ)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ)原産。牧草地や道端、歩道沿いで栽培され、しばしば帰化している。
 茎は長く、直立~斜上または傾伏し、中空、明瞭な脈があり、通常、長さ25cm以上あり、枝分かれは少なく、基部は木質ではない。小葉は長さ4cmまで。花序は直径2cm以上ある。花は最初は白色、後にピンク色になり、長さ7~12mmになる。花冠は萼片の6~7倍の長さである。2n=16。(© Flora Helvetica 2018)

16 Trifolium incarnatum L. ベニバナツメクサ 紅花詰草
 地中海沿岸地域原産。英名は carnation clover , crimson clover , Italian clover , scarlet clover。中国名は绛车轴草 jiang che zhou cao。別名はクリムソンクレーバー、ストロベリーキャンドル、ストロベリークローバー。牧草地、草地、道端に生える。
 1年草。高さ20~60㎝。牧草又は花卉として栽培されたものが逸出し、野生化している。全体に白色の軟毛がある。葉は3小葉のクローバー形。小葉は長さ1.5~3.5㎝。花穂は直径約2㎝の円柱形、蝶形花を50~80(120)個、密につける。花柄は長さ2.5~7㎝。花冠は長さ10~15㎜ 、赤色、ピンク、白色。種子は1個、緑褐色。花期は4~6月。
品種) 'Cardinal' , 'Crimson Cones' , 'Linkarus' (PBR)

17 Trifolium lupinaster L. シャジクソウ 車軸草
  synonym Trifolium pacificum Bobrov
  synonym Trifolium lupinaster L. f. alpinum (Nakai) M.K.Park ex W.T.Lee 
 日本(北海道、本州の長野県、群馬県、宮城県)、アジア北東部、ヨーロッパ東部原産。中国名は野火球 ye huo qiu。和名の由来は小葉が放射状につき、車軸状に見えることから。乾いた山地の草原、海岸に生える。
 多年草、高さ15~50㎝。葉は互生し、小葉が3 ~5(7) 個の掌状複葉、輪生のように見える。小葉には多数の側脈と細かい鋸歯がある。茎頂の頭状花序に花を10~20個つける。花は濃紅紫色~白色の蝶形花、萼は上部が3裂し、針状に尖る。豆果は3~6個の種子を入れ、宿存する花冠と萼に包まれ、熟しても裂開しない。種子は長さ約1.5㎜。2n=48。花期は6~8月。

17-1 Trifolium lupinaster L. f. leucanthum (Makino) Honda  シロバナシャジクソウ

  synonym Trifolium lupinaster L. f. albiflorum (Ser.) P.Y.Fu et Y.A.Chen

 白花品種。

18 Trifolium medium L. オオバノアカツメクサ 大葉の赤詰草
 アジア(ロシア、カザフスタン、イラン、トルコ)、ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、バルト三国、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、チェコ・スロバキア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、クルィム、オランダ、北コーカサス、ノルウェー、北西バルカン半島、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカサス、トルコ、ウクライナ)原産。英名は mammoth clover , zigzag clover 。中国名は中间车轴草 zhong jian che zhou cao。栽培され、栽培後も宿存する。日本、中国(河北省、陝西省)、バーモント州、ニューヨーク州、南アフリカなどに帰化している。
 多年草。根茎があり、軟毛がある~無毛になる。茎は傾伏または斜上し、長さ20~50cm。枝は屈曲する。葉は掌状3小葉で、下部では葉柄が長く、上部では葉柄が短い。托葉は線状披針形、長さの約半分は葉柄に合着し、自由部分は尖鋭の披針形。小葉は楕円形~広披針形、長さ15~55mm×幅6~20mm、側脈は10~12本で弓状に伸び、分枝し、縁には小さな歯があり、基部は円形、縁は全縁~不明瞭な鋸歯があり、先は鈍形~鋭形。花は多数、球形~広卵形の頭状花序につき、花序は頂生、単生または対につき、無柄または短い花序柄を持つ。萼は長さ5~6mm、脈は10本あり、萼歯は錐形、不等、下側の萼歯が最も長い。花冠は紫色、長さ15~18mm。旗弁は長円形。豆果は卵形。種子は1個、褐色で角張っている。花期は5~7月。果期は6~8月。

19 Trifolium multistriatum W.D.J.Koch トリフォリウム・ムルティストゥリアトゥム

  synonym Trifolium vessiculosum subsp. multistriatum (W.D.J.Koch) Gibelli & Belli

 ブルガリア、ギリシャ、イタリア北西部、バルカン半島原産。英名はmany- striped clover。
 特徴:萼筒は細長く、不明瞭な横脈がある。萼歯は基部に縁毛がない。萼は果時に膨れない。
 高さ20~80cm、茎は直立または斜上し、無毛。頭花は長さ85mm×幅35mm・以下、初めは卵形、後にほぼ円筒形になり、花序柄は長さ14cmまで伸びる。花は帯白色またはピンク色で、長さ13~15mm、萼より長い。小花柄は短く、開花後に多少広がる。萼は先が狭まり、萼の縦脈は明瞭で、果時には太くなり、横脈はないか、または小さな横脈がある。萼歯は全て等形、錐形、長さ5~6mm、果時には反り返る。托葉は膜質、急に狭くなって錐形の裂片になる。小葉は楕円形、長さ50mm×幅17mm・以下、通常は白色の斑点があり、鋭い歯があり、先端は多少尖る。頭花は長さ25~50mmで、結実中に伸長し、萼歯の基部には縁毛がない。

20 Trifolium pannonicum Jacq. ハンガリークローバー
 ヨーロッパ(アルバニア、ベラルーシ、ブルガリア、チェコ・スロバキア、フランス、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、バルカン半島北西部、ポーランド、ルーマニア、トルコ、ウクライナ)、北アフリカ(モロッコ)原産。英名はHungarian clover。牧草地、森林伐採地、ステップ、乾燥斜面に生える。幅広い土壌および気候条件に適応する。
 多年草、直根をもち、多数の側根がある。茎は高さ40~80cm、直立または斜上し、毛があり、条線があり、枝分かれは少ない。托葉は線形~長円形、やや紙質、緑色の脈があり、長さの約半分で葉柄と統合し、自由部分は千枚通し形(awl-shaped)である。葉は、下部の葉では長い柄を持ち、上部に向かうにつれて次第に短くなる。最上部の葉はほとんど葉柄がない。下部の葉の小葉は長さ約1cm、楕円形または倒卵形。中部および上部の葉は長円形~披針形で小型、長さ3.0~8.0cm×幅1.0~2.0cm、先端は鈍形またはわずかに切れ込みがあり、最上部の葉はときに先端が尖る。頭花は茎の先に単生し、卵形または長円形で、後に長くなり、花が多数つき、長さ4~7cm×幅3~4cm、短いまたは長い花序柄につき、しばしば最上部の対生葉が基部につく。花は長さ2.5cmまで、白色~クリーム色。萼は初め円筒形で後に鐘形になる。萼筒は10脈があり、毛があり、長さ4~5mm、萼裂は千枚通し形、鋭く尖り、萼筒の長さの2倍までになる。花冠は萼の2倍の長さで、旗弁は長円形、翼弁や竜骨弁よりはるかに長い。果時の萼の口は2個の肥厚部で閉じられ、萼片は星のように広がる。豆果の莢は紙質で先は革質、1種子をもつ。花期は6~8月。この植物は自家不和合性、他家受粉である。2n=48, 49, 60, 65, 126, 128, 130, 180。
品種) 'White Tiara'

21 Trifolium pratense L. ムラサキツメクサ 紫詰草
 ヨーロッパ、アジア、北アフリカ原産。英名はChilean clover , cowgrass clover , mammoth red clover , medium red clover , peavine clover , purple clover , red clover。中国名は红车轴草 hong che zhou cao。別名はアカツメクサ(赤詰草)。明治初期に牧草として輸入され、野生化したもの。全体がシロツメクサ(クローバー)より大きい。世界中で栽培され、広く帰化している。日当たりのよい平地に生える。
 多年草、高さ20~60㎝。葉は3出複葉、花序の直下に1対が対生し、他は互生。小葉は長さ1.5~3.5(5)㎝、幅1~2㎝、先が尖り、毛が散生し、普通、V字形の班紋があり、縁に細かい鋸歯がある。球形の花序が頂生し、花柄は短く、シロツメクサのように長くならない。花冠は長さ12~18㎜。萼は筒形で、先が5裂し、最下片は長い。托葉は葉に合着し、先が尖る。果実は白毛の密生する萼から頭部だけを覗かせ、宿存する花冠に全体を包まれている。種子を1個入れ、裂開しない。花期は5~8月。
 白花のものはセッカツメクサという。
品種) 'Aberclaret' (PBR) , 'Agil' (PBR) , 'Astur' (PBR) , 'Atlantis' (PBR) , 'Bonus' (PBR) , 'Callisto' , 'Diadem' (PBR) , 'Dicar' , 'Dolly North' , 'Ganymed' (PBR) , 'Garant' (PBR) , 'Harmonie' (PBR) , 'Ice Cool' , 'Magellan' (PBR) , 'Merviot' , 'Monsun' (PBR) , 'Nina' , 'Pastor' (PBR) , 'Purple Heart' , 'Purple Velvet' , 'Ravvi' (PBR) , 'Sangria' (PBR) , 'Speech House' (v) , 'Splash' , 'Sprite' (v) , 'Susan Smith' (v) , 'Taifun' (PBR) , 'Trevvio' (PBR)

21-1 Trifolium pratense L. f. albiflorum Alef.  シロバナアカツメクサ


22 Trifolium repens L. シロツメクサ 白詰草
 ヨーロッパ、アジア、北アフリカ原産。英名は Dutch clover , ladino clover , white clover , white Dutch clover , white clover。中国名は白车轴草 bai che zhou cao。別名はクローバー。日当たりのよい平地に生える。江戸時代にオランダからガラス器を運んできたとき、壊れないように詰められてきた草というのは有名な話である。牧草として世界中に広がっている。
 多年草、匍匐性、長さ10~40cm。茎は地を這い、無毛または無毛になり、分枝し、節から根を出して広がる。葉は3出複葉、両面とも無毛、5~20㎝の長柄がある。小葉は3枚、倒卵形、倒心形、または円形、長さ6~40mm×幅4~25mm、しばしば淡い斑紋があり、基部は楔形、縁は上部に小鋸歯があり、脈は中程度に突出し、先端は円形、凹形、または微凹形。小葉柄は長約1mm。托葉は披針形、長さ9~13mm、縁は全縁、先端は短錐形、葉に合着する。花序は腋生、花が20~50(80)個つき、球形。花序柄は葉柄より長く、匍匐茎から直立し、長さ15~35mm。総苞はない。苞は披針形で長さ1~2mm、白色。小花柄は細く、果時には強く反り返り、長さ3~5mm。花は筒状の蝶形花、長さ8~13mm。萼は鐘形、長さ3~5mm、無毛、脈は6~10本、萼筒は長さ1.5~2.5mm、萼片は5個、大きさは不等~等形、内側の萼片は三角状披針形で萼筒より小さく、先が鋭く、開口部は開口する。萼片の基部にしばしば赤い班紋が出る。花冠は長さ4~12mm、萼の長さの1~2倍で白色、しばしばピンク色を帯びる。旗弁は卵状披針形または長円形、長さ4~12mm×幅1~4mm、先端は丸い。豆果は線状長円形、長さ4~5mm、宿存する花冠と萼に包まれ、熟しても裂開しないまたは縦に裂開する。種子は3~4個、卵状腎形、長さ約1mm、黄色、赤褐色、または薄褐色、平滑、光沢がある。花期は(4)5~8月。2n=16, 28, 32, 48, 64。
 非常に多型性の強い種であり、種内分類群が多数記載されている。POWOでは6亜種が認められている。その中間型も多数存在する。栽培され、多数の品種がある。
品種) 'Abercrest' , 'Aberdai' , 'Aberdale' , 'Aberherald' , 'Aberlasting' (PBR) , 'Abervantage' , 'Alberta' , 'Alice' , 'Apis' (PBR) , 'Aran' , 'Arthur's Folly' (v) , 'Atropurpureum' , 'Aureum' , 'Avoca' , 'Barblanca' (PBR) , 'Bianca' (PBR) , 'Brianna' (PBR) , 'Cherhill' , 'Chieftain' (PBR) , 'Coolfin' (PBR) , 'Crusader' (PBR) , 'Cynthia' , 'Dark Dancer' , Dark Debbie = 'Trifpot001' (PBR) , 'Debbie' , 'Donna' , 'Douglas Dawson' , 'Dragon's Blood' , 'Estelle' (PBR) , 'Euromic' (PBR) , 'Excalibur' , 'Giga' (PBR) , 'Gold Net' , 'Good Luck' , 'Grasslands Bounty' (PBR) , 'Grasslands Demand' (PBR) , 'Green Ice' , 'Gwenda' , 'Harlequin' (v) , 'Hiccups' (v) , 'Hullavington' , 'Isabella' (PBR) , 'Jessica' (PBR) , 'Josephine' (PBR) , 'Liflex' (PBR) , 'Menna' , 'Milagro' (PBR) , 'Mrs Minnie Jones' , 'Olwen' , 'Pale Centre' , 'Pentaphyllum' , 'Piccolo' , 'Prop' , 'Purp' , 'Purple Velvet' , 'Purpurascens , 'Purpurascens Quadrifolium' , 'Quadrifolium' , 'Quinquefolium' , 'Rabbani' (PBR) , 'Rgt Gabby' (PBR) , 'Riesling' (PBR) , 'Saint Patrick' , 'Shannel Pinnate' , 'Silvester' (PBR) , 'Siwan' , 'Stephanie' , 'Tara' , 'Tetraphyllum Purpureum' , 'Trifpot001' (PBR) , 'Trifpot002' (PBR) , 'Trifpot003' (PBR) , 'Trinity' , 'Triple' (PBR) , 'Variegatum' (v) , 'Velvet and Baize' (v) , 'Violin' (PBR) , 'Wheatfen' , 'William'

22-1 Trifolium repens subsp. macrorrhizum (Boiss.) Ponert

  synonym Trifolium macrorrhizum Boiss.
 アフガニスタン、イラン、パキスタン、トルコ原産。Trifolium macrorrhizum Ulbr.(synonym Trifolium amabile var. hemsleyiとは異なる。)
22-2 Trifolium repens subsp. nevadense (Boiss.) Coombe
  synonym Trifolium nevadense Boiss.
 スペイン原産。イベリア半島の固有種。山岳地帯にのみに生える。
 小葉は長さ3~8(10)mm×幅3~8(10)mm。花序の直径は10~25mm。萼歯は等形、立方形。旗弁は長さ5.7~9.8mm。2n=32。[Flora Iberica]
22-3 Trifolium repens subsp. ochranthum Nyár.

  synonym Trifolium repens var. ochranthum (Nyár.) K.Malý ex Asch. & Graebn.

 北西バルカン半島、ルーマニア原産。
22-4 Trifolium repens subsp. orphanideum (Boiss.) Coombe
  synonym Trifolium orphanideum Boiss.
 ギリシャ、クレタ島、レバノン・シリア、トルコ原産。
22-5 Trifolium repens subsp. prostratum (Schur) Nyman
  synonym Trifolium prostratum Biasol. ex W.D.J.Koch

  synonym Trifolium repens var. biasolettii (Steud. & Hochst.) Asch. & Graebn.

 アルバニア、コルシカ、フランス、ギリシャ、レバノン・シリア、北西バルカン半島、サルデーニャ、シチリア、トルコ原産。
 花は小さくて淡ピンク色。花序は花序柄に毛が明瞭にある。小花柄は長さが萼より短い~ほぼ同長。葉柄と花序柄は基本亜種repensに比べて一般に短い。葉柄は一般に地面に伏せまたは半直立する。葉は葉柄と小葉に明瞭に毛があり、長さ10(~15)mmである。
22-6 Trifolium repens subsp. repens シロツメクサ 狭義
  synonym Trifolium repens subsp. giganteum (Lagr.-Foss.) Ponert

  synonym Trifolium repens var. giganteum Lagr.-Foss. オオシロツメクサ

  synonym Trifolium repens var. rubrum Clute
  synonym Trifolium repens var. silvestre Alef.
 ヨーロッパ(アルバニア、アルタイ、オーストリア、アゾレス諸島、バレアレス、バルト三国、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、コルシカ、チェコ・スロバキア、デンマーク、東エーゲ海諸島、フィンランド、フランス、フェロー諸島、ドイツ、イギリス、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、クレタ島、クリミア半島、マデイラ諸島、オランダ、北コーカサス、ノルウェー、北西部バルカン半島、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サルデーニャ、シチリア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカサス、ウクライナ、ヨーロッパロシア)、アジア(モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、パキスタン、インド、ネパール、ブータン、トルコ、イラン、イラク、パレスチナ、)、北アフリカ原産(エジプト、アルジェリア、エチオピア、ケニア、モロッコ、タンザニア、チュニジア、ジンバブエ)原産。広域に分布する基本亜種。さらにvar. giganteumとvar. repensに分けられるが、POWOでは分けていない。
 花は白色、ときにピンク色。花序柄は無毛または無毛になる。小花柄は長さが萼の長さの2倍に達する。葉は葉柄が無毛、長さ15(~20)cm以下。小葉は長さ10~20+mmである。葉柄は一般に直立する。var. giganteumに対するvar. repensは小葉が長さ5~30mm×幅5~25mm、頭状花序の直径は15~26mm、旗弁は長さ6~10.7mm。萼は上部の萼歯が一般に下部の萼歯より長い。
 花がピンク色のものをモモイロツメクサという。POWOでは品種に分類していない。

(1) Trifolium repens var. giganteum Lagr.-Foss. オオシロツメクサ

  synonym Trifolium repens subsp. giganteum (Lagr.-Foss.) Ponert
  synonym Trifolium repens L. f. giganteum Lagreze-Fossat
 沿岸地域に、より一般的に分布する。POWOでは基本亜種に含めている。
 シロツメクサの大型種。花や葉など全体に大きい。小葉は長さ15~50mm×幅12~36mm。花序は直径23~40mm。旗弁は長さ8.9~11.7mmである。

(2) Trifolium repens L. f. roseum Peterm. モモイロツメクサ 桃色詰草

 シロツメクサの花が淡紅色の品種。シロツメクサに混じって稀に見られる。萼片の縁の紅色もやや強い。花の色以外はシロツメクサと変わりがない。

23 Trifolium resupinatum L. ヒナツメクサ 雛詰草
 ヨーロッパ(アルバニア、バレアレス諸島、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス島、東エーゲ海諸島、エジプト、フランス、ギリシャ、イタリア、クリチ、クリム、マデイラ諸島、北コーカサス、北西バルカン半島、ルーマニア、サルデーニャ、シチリア、スペイン、トランスコーカサス、トルコ・ヨーロッパ地域、西ヒマラヤ)、アジア(インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、湾岸諸国、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、トルコ)、北アフリカ(アルジェリア、モロッコ、チュニジア、リビア)原産。英名はannual strawberry clover , bird-eye clover , Persian clover , reversed clover , reversed trefoil , shaftal clover。別名はペルシャクローバー。北米東部および中西部、そして世界中で雑草化している。アメリカ合衆国で飼料作物として広く利用されるようになったのは1920年代後半からである。標高50~200mの湿地、芝生、道端、野原、荒れ地に生える。アフガニスタンとパキスタンでは、ペルシャクローバーの若い芽は野菜として生食されるか、乾燥後に利用される。ペルシャクローバーは糖蜜性も高い。
 1年草。茎は斜上、直立、匍匐または傾伏し、長さ20~60cm、無毛または無毛になり、分枝する。葉は羽状複葉。小葉は3枚つき、倒卵形、卵形、楕円形、または菱形、長さ10~30mm×幅5~30mm、基部は楔形、縁には棘状の歯があり、脈は中程度に目立ち、先端は円形または広鋭形、下面には毛があり、上面は無毛。葉柄は長さ5~200mm。小葉柄は長さ約1mm。托葉は披針形または卵形、長さ5~18mm、縁は全縁、先端は尖鋭形で糸状。花序は腋生、花が15~30個つき、ほぼ球形で球形になり、果時には萼片が星状に広がり、長さ5~16mm×幅8~15mm。目立たずに狭い縁で総苞を形成し、縁は幅約0.2mm。小苞は小さいか、存在しない。花序柄は長さ10~60mm。小花柄はわずかに反り返り、長さ約0.5mm。花は倒伏し、長さ5~6 mm。萼片は管状鐘形で、果実で膨らみ、著しく非対称な二葉で、向軸裂片の間には切れ込みがあり、長さ2.5~3mm、果実で長さ8~11mm、有毛、短毛、または無毛。葉脈は10本で、側脈で繋がる。筒部は長さ2mm、果実で長さ7~9mm、裂片は直立し、三角形で、その後、分岐して線状披針形で不等長、緑色、開口部は開口する。花冠は長さ5~8mm、ピンク色から紫色、旗状部は長楕円形で長さ5~8×長さ2mm、先端は窪み、鋸歯状になる。​​果実はレンズ形で長さ1.8~2.2mm、萼片より小さい。種子は1個、卵形で長さ1.5~1.9mm、暗紫色、オリーブグリーン、黄色、または赤褐色、平滑、鈍色。2n=14, 16, 32。花期は6~7月。

23-1 Trifolium resupinatum L. var. majus Boiss. オオヒナツメクサ 大雛詰草

  synonym Trifolium resupinatum proles suaveolens (Willd.) Rouy
  synonym Trifolium suaveolens Willd.
 アフガニスタン、ギリシャ、イラン、パキスタン原産。
 軟種子変種。直立性で太く中空の茎を持ち、茎は長さ80cmまでになる。種子収量が低い。高品質の飼料を生産し、サイレージにも利用できる。

23-2 Trifolium resupinatum var. resupinatum ヒナツメクサ 雛詰草 狭義

  synonym Trifolium bicorne Forssk.
  synonym Trifolium formosum Curtis ex Ser.
  synonym Trifolium resupinatum var. gracile Rouy

  synonym Trifolium resupinatum var. microcephalum Zohary コバナヒナツメクサ

 ヨーロッパ(アルバニア、バレアレス諸島、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス島、東エーゲ海諸島、エジプト、フランス、ギリシャ、イタリア、クリチ、クリム、マデイラ諸島、北コーカサス、北西バルカン半島、ルーマニア、サルデーニャ、シチリア、スペイン、トランスコーカサス、トルコ・ヨーロッパ地域、西ヒマラヤ)、アジア(インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、湾岸諸国、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、トルコ)、北アフリカ(アルジェリア、モロッコ、チュニジア、リビア)原産。
 種子が硬い変種。匍匐性で茎が細く小型で、種子を多く産出するため、乾燥地の牧草地でよく利用され、地域によっては自然放牧においても重要な役割を担う。

24 Trifolium rubens L. トリフォリウム・ルーベンス
 ヨーロッパ、トルコ原産。英名はred feather clover , red trefoil , ruddy clover。別名はレッドフェザークローバー。丘陵地帯~山岳地帯(亜高山帯)の温暖な地域の藪の多い斜面、草地に生える。
 高さ20~60cm。茎は一般に分枝せず、直立し、無毛である。小葉は長さ6cm以下で、狭楕円形、縁に歯があり、下面の中脈に沿って長い剛毛があるが、それ以外は無毛。托葉は草質、緑色、無毛であり、葉柄と融合して葉柄よりも長くなる。花は紫赤色~ピンクモーブ色、ほぼ無柄で、頂生のブラシ状の頭状花序につく。花序柄は長い。花序はしばしば対につき、長円状円筒形、直径2~3cm。花は下部から咲き、上部の萼歯がブラシ状に見える。萼筒は無毛、15~20本の脈がある。萼歯は非常に不揃いで、縁毛があり、剛毛がある。下側の萼歯は萼筒より長い。2n=16。花期は6~7月。[Flora Helvetica]
品種) 4 LuckR Red Green , 'Drama' , 'Frosty Feathers' , 'Peach Pink' , 'Peachy Pink' , 'Red Feathers'

25 Trifolium setiferum Boiss. オオトックリツメクサ 大徳利詰草

  synonym Trifolium rumelicum (Griseb.) Halácsy
 ヨーロッパ南西部(アルバニア、ブルガリア、ギリシャ、イタリア、バルカン半島北西部、ルーマニア、シチリア島)、トルコ原産。英名はbristly clover, bristly trefoil。標高150~600mの低木林に生える。
 特徴:萼筒は球形で、不明瞭な横脈がある。萼歯は基部に縁毛状突起がある。
 高さ50cmまで、匍匐性になる。最上部の葉は対生し、花序柄は葉と同長かそれ以上の長さがある。頭花は長さ20~25mm×幅15~20mm、球形で、果時にほぼ卵形になる。花はピンク色、後に褐色に褪色し、長さ12~15mm。旗弁は尖り、萼より明らかに長く、花後に多少後屈する。萼筒は球形、果時に膨らみ、無毛、20本以上の脈があり、横脈は不明瞭である。萼歯は長さ4~6mm、錐形、果時に後屈し、基部に縁毛がある。花の苞は錐形、萼筒より長い。托葉は膜質、急に長く尖り、白色、無毛。葉は3小葉、小葉は卵状長円形、基部は楔形、先端は棘があり、鋭い歯があり、通常は白い斑紋があり、両面とも無毛。
 Trifolium setiferum(オオトックリツメクサ)、Trifolium vesiculosum(トックリツメクサ)、Trifolium multistriatumの3種はよく似ており、混同されてきた。3種とも花序は多数花で、長い花序柄があり、総苞はなく、花は白色またはピンク色で、短い小花柄があり、萼より明らかに長い。萼には20本の縦脈がある。萼歯は錐形である。葉は無毛である。小葉は楕円形で、棘状の鋸歯がある。
【日本で確認されている】
 1年草。茎は地上を這い、ところどころの節から根を出し、斜上する。葉は長い柄を持ち、上部にいくにしたがい葉柄は短くなる。葉は3小葉。小葉は楕円形、両面とも無毛、縁には細かく鋭い鋸歯がある。托葉は披針形、長さ1.5~2㎝、多数の脈がある。花序は球形~広卵形、直径約2㎝、花序柄は長さ1.5~4㎝。花冠は長さ1.2~1.5㎝,淡紅色、ほとんど無柄。旗弁は長円形、先は細く尖り、翼弁や竜骨弁より長い。萼は長さ8~9㎜,20~30脈が目立つ。萼筒は萼片と同長またはやや長く,萼片はしだいに細くなり先は鋭く尖る。苞は披針形、萼筒とほぼ同長、花後に萼筒は膨らみトックリ状となり萼片はやや反り返る。[参考8]

26 Trifolium striatum L. ハクモウアカツメクサ 白毛赤詰草
 ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、バレアレス諸島、ベルギー、ブルガリア、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス、チェコ・スロバキア、デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、クリミア、マデイラ諸島、オランダ、北コーカサス、北西バルカン半島、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サルデーニャ、シチリア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカサス、ウクライナ)、アジア南西部(イラン、イラク、トルコ)、北アフリカ(アルジェリア、チュニジア、モロッコ)原産。英名はknotted clover , striate clover。標高0~700mの撹乱された地域に生える。米国では雑草として散発的に見られる。日本でも帰化が確認されている。
 通常1年草、まれに2年草。茎は直立、斜上または傾伏し、長さ10~50cm、開出する絨毛があり、基部から分枝する。葉は3出複葉。小葉は3枚、倒卵形~長円形、長さ9~16×幅4~10mm、基部は楔形、縁は鋸歯状、脈は細く、先端は鈍形、倒心形または窪み形、表面には毛がある。葉柄は長さ5~50mm、葉柄は約0.5mm。托葉は披針形~卵形、長さ9~11mm、縁は全縁、先端は鋭尖形~尖頭形、剛毛があり、繊毛がある。花序は腋生または頂生、単生または対生、花が20~60個つき、卵形または長円形、長さ6~10×幅8~16mm。総苞は無く、托葉のある偽総苞が基部につく。小苞は無い。花序柄は長さ0~10mm。小花柄は無い。花は長さ5~7mm。萼は楕円形~つぼ形、長さ3~4mm、毛があり、脈は10本。萼筒は長さ2~3mm。萼片は直立または広がり、長さは不等長。外側の萼片は錐形、最長の萼片は萼筒の長さと等しく、開口部は開く。花冠は長さ25~35mm、ピンク色。旗弁は長円形、長さ2.5~3.5mm×幅1.5~2 mm、先端は微凹形。果実は横裂開し、卵形、長さ2~2.5mm、上部は革質。種子は1個、球形~卵形、長さ1~1.5mm、黄褐色または赤褐色で、平滑、光沢がある。2n=14。花期は5~7月。

27 Trifolium subterraneum L. ジモグリツメクサ 地潜り詰草
 地中海地域原産原産。英名はsub clover , subterranean clover , subterranean clover。標高0~900mの牧草地、道端、撹乱された場所に生える。米国では1921年頃に米国農務省(USDA)によって牧草作物として初めて導入され、米国西部および南部で牧草作物として利用され、雑草化している。日本、インド、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、南米などに帰化している。
 1年草、匍匐~斜上し、長さ10~80cm、無毛または伏した軟毛があり、分枝する。葉は掌状。小葉は3枚、広倒心形、長さ8~28mm×幅10~30mm、基部は楔形、間隔が広く、縁はほぼ全縁で上部にわずかに歯があり、脈は繊細、先端は凹形、表面には伏した絹毛がある。葉柄は長さ10~200mm。小葉柄は長さ約1mm。托葉は長さ5~30mm、卵形、縁は全縁またはわずかに歯があり、縁毛があり、先端は鋭形~尖鋭形。花序は腋生で球形または円筒形、長さ5~15mm×幅8~15mm、果時にはイガ状(bur-like)になる。総苞は杯形、苞は±合着し、長さ5~15mm、無毛または不明瞭に毛があり、裂片が8~12個あり、卵形で鋭い歯がある。小苞はない。花序柄は長さ15~74mm、果時には湾曲し、地中に生長する。小花柄はない。外側の2~8個の花は稔性、萼筒の先端にはしばしば紫色の帯があり、花冠は長さ7~10mm、白色、ピンク色、またはピンクの縞模様があり、旗弁は楕円形、長さ7~10mm×幅1.5~2mm、先端は円形。内側の多数の花は不稔性で、萼は柄状で、先端に4~5本の剛毛がある。花冠はなく、反り返って果実を囲むように、いが(burs)を形成し、花序柄が伸びて地中に潜る。果実は倒卵形、長さ3~4mm。種子は1個、楕円形、長さ2.6~3mm、紫黒色、平滑で鈍い。2n=16。花期は4~6月。
T 品種) 'Uniwager'

28 Trifolium suffocatum L. カタバミツメクサ 酢漿草詰草
 地中海沿岸地域、イラン、イギリス原産。英名はsmall cluster clover , suffocated clover , suffocated trefoil。標高400m未満の草原、道端に生える。米国西海岸、オーストラリアなどに帰化している。
 1年草、匍匐~横向き~直立する。茎は長さ約10cmで、時にはほとんど無毛、無毛またはまばらに毛がある。葉は掌状の3出複葉で、茎葉、長い葉柄がある。小葉は倒卵形、楔形、長さ3~12mm×幅2~10mm、無毛、微細な歯があり、先端は切れ込みがある。托葉は卵形、自由部は尖鋭形、花序の大部分を覆い隠し(包み)、薄膜質または膜質である。花序はほとんど花が1~15個で、互いに密集し、腋生の散形花序、長さ3~7mm×幅5~8mm、無柄。花は無柄またはほぼ無柄である。萼は長さ3~5mm、まばらに細柔毛があるかまたは無毛、萼筒は円筒形、10脈があり、喉部は開き、萼歯は披針形、ほぼ等長、萼筒より短いかまたは同長、鈍く、果時に反り返る。花冠は萼より小さく、長さ(2.5)3~4mm、白色、宿存する。旗弁は倒卵形。豆果は卵形、長さ3~5mm、萼筒に包まれる。種子は2個、レンズ形~腎形、長さ約0.8mm、帯黄色、不明瞭ないぼ状突起がある。2n=16。花期は3~4月(オーストラリアでは10月~12月)。

29 Trifolium tomentosum L. フウセンツメクサ 風船詰草
 ヨーロッパ南西部(アルバニア、アゾレス諸島、バレアレス諸島、カナリア諸島、コルシカ島、キプロス島、東エーゲ海諸島、フランス、ギリシャ、イタリア、クリティ、マデイラ諸島、北西バルカン半島、パレスチナ、ポルトガル、サルデーニャ、シチリア、スペイン、トランスコーカサス)、アジア西部(トルコ、イラン、イラク、レバノン・シリア、)、シナイ半島、北アフリカ(アルジェリア、エジプト、リビア、モロッコ、スーダン、チュニジア)原産。英名はwoolly clover , woolly-head clover。草原、砂地、道路脇、アルバニーの茂みに生える。
 1年草、高さ0.1~0.2m。茎は直立、斜上または傾伏、無毛またはわずかに毛がある。葉は長い無毛の葉柄を持つ。小葉は長さ4~12(~15)mm、倒卵形~長円状楔形、下面に±毛がある。托葉は卵形、緑色または緑色の縞模様がある。花序:頭花は直径6~7(~8)mm、多数の花が付き、花序柄がある。花はピンク色。花時には萼は筒形。果実の萼片は著しく非対称で2唇形、10脈がある。萼歯は果時に非常に不均等で、細柔毛状洋毛がある。花弁:旗弁は卵形。豆果は卵形~球形、1~2個の種子がある。花期は11月。[e-Flora of South Africa]

30 Trifolium willdenovii Spreng. ツバツメクサ 燕詰草
  synonym Trifolium tridentatum Lindl.
  synonym Trifolium aciculare Nutt.
  synonym Trifolium watsonii Lojac.
 北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。英名はtomcat clover , thimble clover。標高0~2500mの道端、牧草地、芝生、丘陵地、渓流沿い、オークの茂る林に生える。
 1年草、長さ10~60cm、無毛。茎は直立し、分枝する。葉は掌状複葉。托葉は披針形または卵形、長さ1~2cm、縁は歯状またはギザギザに裂け、先は尖鋭形。葉柄は長さ1~8cm。小葉柄は長さ0.5mm。小葉は3枚、葉身は線形、披針形、または楕円形、長さ1~5cm×幅0.2~1.5cm、基部は楔形、脈は細かく、縁は鋸歯状、先は鋭形、鈍形、または微凹形、表面は無毛。花序柄は長さ2~15cm。花序は腋生または頂生、花は10~50個つき、球形または卵形、長さ1~3.5cm×幅1~3cm。総苞は扁平または椀形、長さ3~9mm、折りたたむと、下部以外花を隠さず、長さの1/4~1/3の切れ込みがある。小花柄は直立し、長さ0.5mm。小苞はない。花は長さ12~20mm。萼は筒状鐘形、内側の萼片の間の切れ込みは長さ6~9mm、無毛、脈は10~15本、萼筒は長さ3~7mm、萼片は不等、三角形または錐形、普通3裂または先の下に肩があり、開口部は開く。花冠は普通白色、紫色の斑点があるが、ときにラベンダー色やピンク色になり、または全体が白色で、長さ10~18mm。旗弁は狭長円形、長さ12~20mm×幅3~4mm、先は鈍形または微凹形。豆果は楕円形、長さ3mm。種子は1~2個、黄色でまだら、球状楕円形、長さ1.5~2.5mm、平滑。2n=16。花期は3~7月。

31 Trifolium vesiculosum Savi トックリツメクサ 徳利詰草
 ヨーロッパ、ロシア、トルコ原産。英名はarrowleaf clover。別名はアローリーフクローバー。標高0~300mの野原、​​道端、森林の開けた場所に生える。飼料作物として1963年に最初に導入され、米国南部および西部で栽培されている。
 特徴:広く分布する種。萼筒は球形で、明瞭な横脈を有する。萼歯の基部には繊毛がない。
 1年草、直立または斜上し、長さ15~70cm、無毛で分枝する。葉は羽状複葉。小葉は3枚で、倒卵形~長円形、楕円形または披針形で、長さ5~40mm×幅5~15mm、基部は楔形、縁は棘状小歯状、脈は突出して太くなり、先は小突起形、表面は無毛。葉柄は長さ5~100mm。小葉柄は長さ約1mm。托葉は線状~披針形、長さ10~35mm、縁は全縁、先は錐形または剛毛である。花序は頂生または腋生で、50~100個以上の花がつき、球形、卵形、または長円形、長さ30~60mm×幅20~35mm。総苞はない。小苞は披針形、長さ6~7mm、萼とほぼ同長で、先は尖鋭形である。花序柄は長さ10~120mm。小花柄はない。花は長さ12~16mm。萼はつぼ形、対称的、果時には膨らみ、長さ6~10mm、無毛、脈が20~36本あり、果時に横に繋がり、萼筒は長さ3~5mm、萼片は後屈し、錐形、等長で萼筒と同長、開口部は狭くなる。花冠は長さ12~15mm、白色、ピンク色に変化する。旗弁は卵形、広い爪部があり、長さ12~15mm×幅2~4 mm、条線があり、先端は鋭形~鋭尖形。果実は楕円形、長さ2.5~3.5mm、萼より小さい。種子は2~3個、卵形、長さ1~1.5mm、褐色、粗くなる。2n=16。花期は6~8月。
品種) 'Apache' , 'Blackhawk'

32 その他
品種) 'Angel Clover Chocolate' , 'Isabella' , 'Spring' , 'White Bunnies'

参考

1) GRIN
 Trifolium
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=12357
2) Flora of China
 Trifolium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=133620
3) Trifolium - Michigan Flora
 Trifolium (Trifolium arvense , Trifolium aureum , Trifolium campestre Trifolium depauperatum , Trifolium dubium , Trifolium fucatum , Trifolium hybridum , Trifolium incarnatum ,
 Trifolium pratense , Trifolium repens )
https://michiganflora.net/genus.aspx?id=Trifolium
4)World Flora Online
 Trifolium
http://worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000039133;jsessionid=260E20F05FF0A50577296BEFCB99FEA2
5)Flora of Victoria
 Trifolium
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/0291c1b2-a1fc-4461-9449-54e99eed2db7
6) Trifolium - PlantNET - FloraOnline
 Trifolium
http://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=gn&name=Trifolium
7)The Jepson Herbarium
 Jepson eFlora: Key page Key to Trifolium
http://ucjeps.berkeley.edu/cgi-bin/get_IJM.pl?key=10383
8)神奈川県植物誌調査会ニュース第83号
 マメ科の日本新産帰化植物 2種 p993
 オオトックリツメクサ(松本雅人氏 新称)Trifolium setiferum Boss
https://flora-kanagawa2.sakura.ne.jp/fk/fk83.pdf
9)Flora of Oregon
 Trifolium
https://oregonflora.org/taxa/index.php?taxon=1551
10)Italian Botanist 2: 7–27 (2016)
Distribution and taxonomy of the Italian clovers belonging to Trifolium sect. Vesicastrum subsect. Mystillus (Fabaceae)
 Trifolium setiferum Boiss p16
https://italianbotanist.pensoft.net/article/10361/
11)Mittelmeer- und Alpenflora
 Trifolium 3種の比較
https://www.mittelmeerflora.de/Zweikeim/Fabaceae/tris_vesi_agg.htm
12)Feedipedia
 Persian clover (Trifolium resupinatum)
https://www.feedipedia.org/node/244
13)Front Life Sci RT 5(2) 2024 140-154
 Trifolium hybridum L., Sp. Pl. 2: 766 (1753)
https://www.researchgate.net/figure/Trifolium-konyaensis-M-Keskin-A-Flowering-branch-B-A-stipule-C-The-basal-leaf_fig1_383406141