オオハルタデ 大春蓼

mark

Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae イヌタデ属

別 名 ハルタデ(標準)、ハチノジタデ、ケハルタデ
学 名 Persicaria extremiorientalis (Vorosch.) Tzvelev

 synonym Persicaria maculosa Gray subsp. hirticaulis (Danser) S.Ekman et T.Knutsson var. pubescens (Makino) Yonek.

 synonym Persicaria maculosa var. pubescens (Makino) Yonek.

 synonym Persicaria mitis var. pubescens (Makino) Hiyama オオハルタデ

 synonym Polygonum persicaria subsp. hirticaulis Danser オオハルタデ

オオハルタデの花
オオハルタデの花
オオハルタデの小苞
オオハルタデの托葉鞘
オオハルタデの茎
オオハルタデ葉裏の脈の毛
オオハルタデ
オオハルタデ花序柄の腺
オオハルタデ果実
オオハルタデ3稜形の果実
オオハルタデ葉
オオハルタデ葉裏
花 期 6~10月
高 さ 60~100㎝
生活型 1年草
生育場所 畑、水田の畦、道端、草地
分 布 在来種 日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア、カザフスタン、タジキスタン、トルクメンスタン、ウズベキスタン、インドネシア、アフリカ、ヨーロッパ
撮 影 幸田町  01.9.15
ハルタデの変種に分類されていたが、現在ではハルタデの中に含められている。ハルタデはDaniel E. Athaら(2010)により学名が整理され、Persicaria extremiorientalis (Vorosch.) Tzvelevとされた。
 ハルタデには夏から秋にかけて開花 して植物体が大型になる型があり、この型が変種オオハルタデとして扱われたが、葉緑体DNAとアイソザイム変異の調査研究によりオオハルタデとハルタデには差がなく、生物学的に異なる分類群とは認められないとの結論が報告されている。イヌタデやオオイヌタデでは早く発生 した個体ほど草丈が大きくなる傾向があるが、ハルタデは発生の時期による草丈の差は無く、遅く発生した個体では茎が太く、節が膨れる傾向がある。
 ハルタデの開花は春から夏までであるが、オオハルタデは夏から秋に花がつき全体に大きい。オオイヌタデと同様に大豆畑などの雑草になっており、オオイヌタデとよく似ていて、花序の紅色が強い。ハルタデは痩果に特徴があり、円盤形(レンズ形)の痩果の中央の基部が膨れることで明確に区別できる。また、托葉鞘の縁毛が長さ1~3(~5)㎜と長い。
【ハルタデの解説】
 1年草。高さ(10)30~100(~230)㎝。茎は分枝して、直立し、普通、赤紫色を帯び、直軟毛または上向きの伏した毛があり(ときに毛の基部がいぼ状になり)又はほぼ無毛になる。葉は互生し、下部で最も大きく、上部では小さくなり、長さ4~20(~28)㎝×幅0.5~2(~7)㎝、広披針形~狭卵形、葉先は鋭形、葉の基部は楔形、上面は緑色、中央に黒い斑紋が出ることが多く、側脈はアーチ状で12~35対、両面に伏した剛毛があり、主脈には特に多く幅が広い三角状の剛毛があり、下面は明るい緑色、腺点がなくまたは不明瞭な腺点(または微細なパピラ)があり、葉縁は全縁、長さ0.5~1.1㎜の伏した剛毛の縁毛がある。葉柄は長さ5~8(~30)㎜、上向きの伏した剛毛がある。托葉鞘は長さ1.3~2.5㎝、膜質、外面は小剛毛がありまれに無毛、先(縁)には長さ1~3(~5)㎜の縁毛がある。花序は腋生および頂生、葉がある。花序柄は通常、有柄の腺があり(ときに腺が非常に微細またはほとんど欠け)、ときに腺が短く伏す。総状花序は花が密につき、長さ(1.5~)3~5(~8)㎝の円柱状、ほぼ直立、又は垂れ下がることもある。花序柄は有柄の黄色の腺毛と長毛がある。花被は長さ約2㎜、花時に白色、すぐに大きくなり淡紅色になり、筒部は花披の長さの1/5~1/3、先は4~5裂する。花被片は花時に長さ約1.5㎜。花柱は2(3)本(下部1/2が合着)。雄しべは5本。痩果を包んで残る花被は中央部がやや盛り上がり、脈は不明瞭で、先が2分岐するが、釣針形にならず、花被に腺がない。痩果は褐色~黒褐色、光沢があり、ときに光沢がなく、長さ2~2.5㎜、普通、扁平なほぼ円形で中央の基部が膨れ(tumescent)、先に短い微突起があり、ときに3稜形の痩果も混じる。2n=22, 44。花期は4~10月。

 オオイヌタデサナエタデは花序がやや太く、花が白色で密につくことが多い。托葉鞘の縁毛は無いか又は長さ1㎜以下。花序柄に腺毛がある。葉裏や花被に明瞭な黄色の腺点がある。花被に包まれた痩果は扁平で、表面が普通、平ら、中の痩果は表面が少し窪む両凹レンズ形。ただし、外観がオオイヌタデ似たハルタデは花が白色、花序柄の腺毛が目立ち、葉裏も腺点やや不明ながら認められ、托葉鞘の縁毛もやや短くまばらなことがある。イヌタデ Persicaria longiseta もよく似ているときがある。