オオイヌタデ 大犬蓼

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Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae イヌタデ属

中国名 马蓼 ma liao
英 名 curlytop knotweed , pale knotweed , pale persicaria , pale smartweed , pink knotweed , dock-leaved smartweed , willow weed
学 名 Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre

 synonym Polygonum lapathifolium L.

 synonym Persicaria lapathifolia subsp. lapathifolia

 synonym Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre var. lapathifolia

 synonym Persicaria nodosa (Pers.) Opiz

 synonym Persicaria lapathifolia (L.) Gray subsp. nodosa (Pers.) A.Love

 synonym Persicaria tomentosa var. glabrior Lunell

 synonym Polygonum lapathifolium var. salicifolium Sibthorp

オオイヌタデの花
オオイヌタデ花2
オオイヌタデの托葉鞘
オオイヌタデ葉裏の縁
オオイヌタデ葉裏の腺点
オオイヌタデ葉表の中央脈の毛
オオイヌタデ
オオイヌタデ花序
オオイヌタデの葉
オオイヌタデ果実
花 期 6~10月
高 さ 80~200㎝
生活型 1年草
生育場所 湿った場所、道端、氾濫原、荒地、耕作地
分 布 在来種  日本全土、朝鮮、中国、台湾、アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ、オーストラリア原産
撮 影 幸田町 11.9.24
オオイヌタデは畑や道端などに見られるイヌタデ属の雑草。
 USAのDaniel E. Athaら(2010)により学名が整理された。これによりUSAや東アジアに見られる類似種、ハルタデ(Persicaria extremiorientalis)、ヨウシュハルタデ(Persicaria maculosa)、オオイヌタデ(Persicaria lapathifolia)、アメリカサナエタデ(Persicaria pensylvanica)を明確に区別した。ただし、サナエタデ(Persicaria tomentosa)やキヌタデ(Persicaria lanata)など他にも類似種がある。
 USAのDaniel E. Athaら(2010)により学名が整理された。これによりUSAや東アジアに見られる類似種、ハルタデ(Persicaria extremiorientalis)、ヨウシュハルタデ(Persicaria maculosa)、オオイヌタデ(Persicaria lapathifolia)、アメリカサナエタデ(Persicaria pensylvanica)を明確に区別した。ただし、サナエタデ(Persicaria tomentosa)やキヌタデ(Persicaria lanata)など他にも類似種がある。サナエタデはWFO Plant List(2022)ではオオイヌタデのsynonymとされている。
 日本(全土)、朝鮮、中国、台湾、アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ、オーストラリア原産。 中国名は马蓼 ma liao。英名はcurlytop knotweed , pale knotweed , pale persicaria , pale smartweed , pink knotweed。標高0~1500(~1800)mの湿った場所、道端、氾濫原、荒地、耕作地に生える。
 1年草、高さ(5~)10~100(~180)㎝。ときに根は下部の節から生じる。根茎や匍匐茎は無い。茎は直立~斜上し、単純または分枝し、赤色を帯びることが多く、うねがほとんどなく、茎の下部は節が膨らみ(生育する場所による)、無毛、またはまれに、上部に伏した毛があり、ときに腺点または有柄の腺があり、茎面に暗紫色の細点が多い。托葉鞘(ocrea)は帯褐色、円筒形、長さ4~24(~35)㎜、紙質、基部が膨らみ、縁は切形、縁は縁毛が無くまたは長さ1㎜までの剛毛の縁毛があり、表面は無毛、まれに剛毛があり、腺は無い。葉柄は長さ0.1~1.6㎝、通常は剛毛があり、ときに無毛。葉身はときに上面に暗色の三角形または三日月形のしみがあり、狭披針形~広披針形、長さ4~12(~25)㎝×幅(0.3~)0.5~4(~6)㎝、基部は漸尖~楔形、縁は無毛または前向きの長さ0.2mmの剛毛があり、先は尖鋭形、側脈は20~30対、上面は主脈上に剛毛があり、下面は無毛または羊毛状毛(lanate)またはくも毛があり、無毛の場合は下面に腺点がある。花序はほとんどが頂生し、ときには腋生し、ほとんどアーチ状またはうなずき、通常途切れがなく、長さ3~8(~10)㎝×幅5~12㎜。花序柄は長さ2~25㎜、しばしば有柄の腺がある。鞘状苞(ocreolae)は通常重なり、面は無毛、頂部の縁は縁毛が無いか、または長さ0.4㎜までの剛毛の縁毛があり、先は尾状または長い尖鋭形。小花柄は斜上し、長さ0.5~2.3㎜。 花は小束(ocreate fascicle)あたり4~14個つき、同型花柱性(homostylous)。花被は緑白色~ピンク色、無毛、腺点は無くまたは腺点があり、大部分が筒部と内花被片につき、花被はほとんど大きくならない。花被片は4(~5)個、その長さの約1/4~1/3の長さで合着し、倒卵形から楕円形、長さ2.5~3㎜、脈が目立ち、2~3個の外花被片の脈は上部で顕著に2股に分かれて錨形(anchor-shaped)になり、全縁、先は鈍形~円形。雄しべは5~6本、突き出ない。葯はピンク色または赤色、楕円形。花柱は2(~3)本、基部で合着する。痩果は花被に包まれるか、先が突き出して露出し、褐色~黒色、扁平な円盤形(両面が少し窪む両凹レンズ形)またはまれに3稜形、長さ1.5~3.2㎜×幅1.6~3㎜、光沢があるかまたは無くて鈍い、平滑。2n=22。花期は(4~)7~11月(Flora of North Americaなど)。

類似種の区別

(1) Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre オオイヌタデ
 高さ(5~)10~100(~180)㎝。茎は節間がほぼ無毛、上部に伏した毛があり、ときに腺点または有柄の腺があり、赤色を帯びることが多く、ときに帯赤色の斑点があり、うねがほとんどなく、節は膨らむ(生育する場所による)。葉は側脈が20~30対、上面に暗色の斑紋があり、両面とも通常無毛または下面に腺点が明瞭にあり、または羊毛状毛(lanate)~くも毛があり、縁毛は無~長さ0.2㎜。托葉鞘は面が無毛、縁は無毛まれに長さ1㎜以下の微毛がある。苞は無毛、先は尾状または長い尖鋭形。花序は長さ3~8(~10)㎝、先が垂れ下がる。花は小束あたり4~14個つく。花被片は4(~5)個、緑白色~ピンク色、腺点がありまたは無く、果時の花被片の脈の先は錨形。痩果は円盤形[両面が少し窪む両凹レンズ形]またはまれに3稜形。花期は(4~)7~11月。2n=22。n=11。
(2) Persicaria tomentosa (Schrank) E.P.Bicknell サナエタデ
 WFO Plant List(2022)ではこの種はオオイヌタデ(Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre)のsynonymとされている。
 高さ30~50(~90)㎝。茎は無毛、緑色または紅色を帯び、ときに帯赤色の斑点があり、節が高くなる。葉は側脈が7~15対、縁に剛毛があり、上面にはまばらに毛があり、下面は通常ほぼ無毛で脈上に伏毛があり、黄色の腺点が密生するか、または初め、白色の綿毛が有り、下面に綿毛が密生するものあり。托葉鞘は面が通常無毛または綿毛が有り、縁は無毛~微毛。花序は長さ1~4(5)cm、直立し、先が垂れない(ときに晩期に垂れる)。花序柄はときに有柄の腺がある。苞は無毛、漏斗形。花被片は4または5個、淡紅色~白色、腺点があり、脈の先は錨形。痩果は表面が少し窪む両凹レンズ形、基部が膨れない。花期は5~10月。2n=22。
(3) Persicaria pensylvanica (L.) M.Gomez アメリカサナエタデ
 高さ10~200㎝。根は基部の節から発生することもある。茎はうねがあり、無毛または上部に伏毛があり、上部に腺は無くまたは有柄の腺がある。葉柄は長さ0.1~2(~3)㎝、無毛または伏毛がある。葉身はときに、上面に暗色の斑紋を持ち、上面は無毛または伏毛があり、下面は腺は無くまたは腺点があり、ときに上面にも腺点があり、縁には前向きのザラつきがある。托葉鞘は帯褐色、表面が無毛または伏毛があり、腺は無く、基部が膨れ、縁は縁毛が無くまたは長さ0.5㎜の剛毛がある。花序は長さ0.5~5㎝、直立または先が垂れる。花序柄は無毛または有毛、通常は有柄の腺がある。鞘状苞(ocreolae)は重なり、縁毛が無くまたは長さ0.5㎜までの剛毛の縁毛がある。花は小束(ocreate fascicle)あたり2~14個つく。花被は緑白色~バラ色、無毛、腺点はなく、花後に大きくなる。花被片は5個、脈は顕著、錨形ではなく(鉤状に曲がらない)。痩果は円盤形、まれに 3稜形、中央のこぶ(hump)がなく、表面が少し窪む両凹レンズ形。花期は5~12月。2n=88。
(4) Persicaria extremiorientalis (Vorosch.) Tzvelev ハルタデ
 高さ(10)30~100(~230)㎝。茎は通常、赤紫色を帯び、直軟毛があり、まれに伏した基部の広い長さ1~5㎜の剛毛がある。葉は側脈が(6~)12~35対、両面ともほぼ無毛、上面に不明瞭な暗色の斑紋(ときに明瞭)があり、葉縁の剛毛は長さ0.5~1.1㎜、下面に腺はなく、微細なパピラがある。托葉鞘は外面に剛毛があり、縁の剛毛は長さ1~5㎜。花序柄は通常短い有柄の腺がある。花序は長さ3~5(~8)㎝、直立または先が垂れ下がる。花被は淡紅色、紫色、まれに緑白色。果時に花被片の脈は、乾いても明瞭に隆起せず、脈の先は二股に分岐するか、または分岐しない。分岐している場合は、片方の枝のみが弱く反り返る(両方ではない)。痩果はレンズ形(まれに三稜形)、基部に膨れ(tumescent)=こぶ(hump)がある。花期は4~10月。2n=22 , 44。
(5) Persicaria maculosa Gray subsp. maculosa ヨウシュハルタデ
 高さ(10)30~70(80)㎝、茎は無毛。 葉柄は長さ5~8㎜、伏した小剛毛がある。葉は両面が無毛または下面に伏した剛毛があり、上面に暗色の斑紋があり、腺は無く、葉縁の剛毛は長さ0.2~0.5㎜。 托葉鞘まばらに剛毛があり、縁毛は長さ0.4~3(~5)㎜。花序柄は無毛まれに有柄の腺がある。花序は長さ1~4(6)cm、直立する。花被片は通常5個、ピンク色~赤紫色~暗紫色、果時に乾くと脈が顕著に隆起し、脈の先は二股分岐が有または無、有の場合は、片方の枝のみが弱く反り返る(両方ではない)。痩果は類円形又は広卵形、レンズ形または三稜形(凹面)、基部で最も幅が広いが、膨れない。花期は6~7月。2n=22, 40,42, 44。