ガクアジサイ 額紫陽花

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Flora of Mikawa

アジサイ科 Hydrangeaceae アジサイ属

別 名 ハマアジサイ、イオウトウアジサイ
中国名 山绣球 shan xiu qiu
英 名 lacecap hydrangea
学 名

Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. form. normalis (E.H.Wilson) H.Hara

 synonym Hydrangea macrophylla (Thunberg) Seringe 広義
ガクアジサの花序
ガクアジサの花序横
ガクアジサの両性花
ガクアジサの両性花
ガクアジサの装飾花
ガクアジサの幹の上部
ガクアジサの幹
ガクアジサ
ガクアジサ葉
ガクアジサの葉裏
花 期 6~7月
高 さ 1~2m
生活型 半常緑または落葉低木
生育場所 沿海地の林内、林縁、
分 布 在来種 日本固有種。本州(房総半島、三浦半島、伊豆半島)、伊豆諸島、火山列島(北硫黄島、硫黄島、南硫黄島)に分布
撮 影 西尾市(栽培種)  03.7.12
ガクアジサイはアジサイの原種で日本に自生する。花序の周囲の花が萼片の大きい装飾花で、中央は小さな両性花が多数つく。同じような園芸品種も多数あり、ガクアジサイと呼ばれる。最近ではアジサイ Hydrangea macrophyllaは下位分類を認めず広義に扱われ、Hydrangea macrophylla form. normalis(ガクアジサイ) およびHydrangea macrophylla form. macrophylla(ホンアジサイ)はHydrangea macrophyllaのsynonymとされている。
広義のアジサイ Hydrangea macrophylla
 自生のガクアジサイやガクアジサイから生じたホンアジサイが野生の原種と考えられている。古くから栽培され、広義には日本原産のアジサイ栽培種の総称であり、花序周囲の花が萼片の大きい装飾花で目立つガクアジサイ Hydrangea macrophylla form. normalisと全てが装飾花だけのホンアジサイ Hydrangea macrophylla form. macrophyllaを含めた栽培種である。
 半常緑または落葉低木、株立し、高さ1.5~3m、密に分枝して樹冠が丸くなる。分蘖(ぶんけつ)性(suckering habit:ひこばえを出す)がある。小枝は無毛で柔軟性があり、まだらになり、脆い。葉は若い木の枝先につき、葉柄は短く長さ4㎝未満、無毛。葉身は楕円形~卵形~倒卵形~長円状披針形、長さ(5~)10~20㎝×幅(3~)5~15㎝、先は(短い)尖鋭形、基部は楔形、縁に粗い鋸歯があり、質が厚く、両面は無毛、脂じみ(greasy)、上面は緑色、無毛で光沢があり、下面は網状脈が目立ち、、淡緑色で光沢はない。散房花序状の集散花序は幅広く、頂部が平らまたは凸形で、多数枝分かれし、毛があり、直径20㎝までで、通常は大部分が装飾花(不稔の花)からなり[mophead hydrangea]、ときに外側の輪が装飾花(不稔の花)で中央が両性花(稔性の花)となる[lacecap hydrangea]。装飾花(不稔の花)は萼片が花弁状、広がり、広楕円形~倒卵形、長さ1~2㎝、ピンク色、青色、白色、または帯緑色。花冠は直径約3mm。萼片は5個、花弁は5個、小さく、曲がり、ピンク色または青色。雄しべは10本、長さ2~6㎜。花柱は(2)3(4~5)個、基部で密着し、長さ1~2㎜。子房は花時には萼筒に囲まれ、後に突出する。蒴果は長さ約5㎜。

(1) Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. normalis (E.H.Wilson) H.Hara ガクアジサイ 額紫陽花

 本州(房総半島、三浦半島、伊豆半島)、伊豆諸島、火山列島(北硫黄島、硫黄島、南硫黄島)に分布。中国名は山绣球 shan xiu qiu。英名はlacecap hydrangea。別名はハマアジサイ、イオウトウアジサイ。沿海地の林内、林縁に生える。KewscienceではHydrangea macrophyllaのsynonymとしている。
 栽培種のアジサイの原種で日本に自生する。花序は額咲き型(lacecap form)の集散花序、周囲の花が萼片の大きい装飾花で、中央は小さな両性花が多数つく。同じような園芸品種も多数あり、ガクアジサイと呼ばれる。
 半常緑低木。高さ1.5~3m。幹は灰褐色~灰色、惰円形の皮目がまばらにあり、古くなると縦に筋状の浅い割れ目が入る。葉は十字対生し、葉柄は長さ1.5~3.5㎝。葉身は質が厚く、長さ10~18㎝×幅6~10㎝の長楕円形~卵状惰円形、基部は楔形~円形、縁は三角状鋸歯があり、先は尖鋭形、上面は無毛、緑色で光沢が強く、下面は無毛または脈腋に短い縮毛がある。花序は頂生し、直径10~20㎝の散房花序状の集散花序(額咲き)、花序の周囲には装飾花、中央に多数の両性花を密集してつく。装飾花はほぼ4数性、萼片は3~5個つき、白色~青紫色~薄紫色、長さ1.5~2.5㎝の広卵形~円形。両性花はほぼ5数性、長さ約1.5㎜の倒円錐形、萼片は4~5個、花弁は5個、長さ約3㎜の卵状長楕円形、雄しべ10本。花弁より長い。子房下位。花柱は3~4本。蒴果は長さ6~9㎜の卵形~惰円形、萼と花柱が

(2) Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. macrophylla ホンアジサイ 本紫陽花

 ガクアジサイを母種とし日本で生まれ、花序全体が装飾花(テマリ咲き)となった栽培品種。英名はmophead hydrangeas。別名はホンアジサイ。野生でもガクアジサイの近くにわずかに見られる。古くから栽培され、奈良時代にはあったといわれる。日本全土で栽培され、セイヨウアジサイの元になった。
 落葉広葉低木。園芸品種。直立して株立ちし、高さ1~2m。樹皮は灰褐色。若枝は緑色で太い。葉は単葉、十字対生し、葉柄は無毛、長さ1.5~3.5㎝。葉身は 長さ8~20㎝×幅5~15㎝、広卵形~楕円形、基部は広い楔形、葉縁にはやや大きい三角状の鋸歯があり、先は尖鋭形、質はやや厚く、上面は緑色、光沢があり、下面は淡緑色、脈上に毛がある。 枝先の散房花序に多数の花を密につける。花序は球形、直径約20㎝。装飾化の色は淡い青紫色から淡緑色、淡紅色など、品種により変化がある。雄しべと雌しべが退化しているため果実はつかない。
 セイヨウアジサイ Hydrangea macrophylla form. hortensia はヨーロッパで品種改良されたアジサイであり、園芸品種が多数ある。
 ヤマアジサイ Hydrangea serrata var. serrata は本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮に分布し、山林内のやや湿ったところに群生する。葉は先が長く尖る。装飾花は三河地域のものは白色がほとんど、直径1.5~3㎝。両性花は花筒が長さ約1.5㎜、花弁5個、雄しべ10個。2n=36。
 ベニガク Hydrangea serrata var. serrata 'Beni-gaku'は日本で江戸時代から栽培されている栽培種。葉はヤマアジサイに似ている。花は装飾花が白色から次第に紅色に変わり、萼片に鋸歯がある。
 アマチャ Hydrangea serrata 'Amacha' は装飾花の萼片が円形に近く、先が丸く、萼片が重なり合う。以前はHydrangea serrata (Thunb.) Ser. var. thunbergii (Siebold) H.Ohbaとされていた。