ヨツバムグラ 四葉葎
Flora of Mikawa
アカネ科 Rubiaceae ヤエムグラ属
中国名 |
阔叶四叶律 kuo ye si ye lü |
学 名 |
Galium bungei var. trachyspermum (A.Gray) Cufod. synonym Galium trachyspermum A.Gray synonym Galium trachyspermum var. gracilens A.Gray ヒメヨツバムグラ synonym Galium venosum H.Lév. |
花 期 | 5~7月 |
高 さ | 20~50㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 丘陵地の森林または草原、開けた野原、川岸、田のあぜ、道端 |
分 布 | 在来種 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、山東省、四川省、浙江省)原産。 |
撮 影 | 設楽町 07.06.09 |
多年草。高さ20~50㎝。茎は下部で分枝して直立し、断面は四角形で、無毛。葉は長さ6~20㎜×幅2~8㎜、基部側が最も幅が広く、長楕円形~卵形(広楕円形~惰円形~卵形~倒卵形、または広披針形)、4個が偽輪生し、先がやや尖る。葉4個のうち1対は托葉である。葉縁と葉下面にやや長い毛が生え、葉の幅が広いのが特徴であるが、やや狭いこともある。花序の枝は短く、小花柄は花時に長さ約1㎜、果時に1~3㎜と短く、花が固まってほぼ頭状につくのも特徴。花冠は直径1~1.5(2)㎜、淡黄緑色、深く4裂まれに5裂し、裂片の先は鈍形(ヒメヨツバムグラは鋭形)。雄しべ4本。花冠の下に半球2個をつけた2室の子房が見える。子房の表面には白色の曲がった鱗状の突起(短い屈毛)がある。果実は分離果、分果は長さ1~1.5㎜[Flora of China:1~2㎜](写真は約2.3㎜)、白色の鱗片状毛(伏した乳頭状毛=短い屈毛)が密にあり、果柄は長くなる。花期は4~5月(日本では5~7月)。果期は4~7月。
1 Galium bungei Steud. トウヨツバムグラ 唐四葉葎 広義
synonym Galium gracile Bunge
日本、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は四叶律 si ye lü。
多年草、高さ5~50㎝、柔らかい帯赤色の塊茎又は糸状の根茎から直立する。茎はしばしば叢生し、4角(かど)があり、分枝せず又は少し分枝し、平滑、無毛で平滑、又は微直軟毛又は直軟毛があり、まれに後ろ向きの小刺があり、節に±小剛毛がある。葉は4輪生し、ほぼ無柄。葉身は乾くと紙質、卵状長円形~卵状披針形~披針状長円形~狭倒披針形、長さ(6~)8~20(~34)㎜×幅 (2~)3~7(~10)㎜、長さ/幅比は普通、3~5、無毛でときに中脈と縁付近に前向きの小刺があり、 又は全体に微直軟毛又は直軟毛があり、下面はときに腺点又は腺条線があり、基部は楔形、先は鋭形又はわずかに鈍形。1本の主脈と2本の側脈は普通、不明瞭。花序は頂生及び/又は腋生、集散花序~円錐花序、密集~緩く、集散花序に花が少数~数個つき、長さ1~5㎝。花序柄は無毛、平滑。苞は無~少数、へら形~狭楕円形、側部はやや扁平、長さ0.4~0.8㎜、無毛~小剛毛があり、平滑~いぼ状(tuberculate)。花冠は黄緑色又は白色、車形、直径1.5~2.5㎜、無毛になる。花冠裂片は4個、卵形~長円形、鋭形~尖鋭形。分果は楕円形、長さ1~2㎜、いぼ状(tuberculate)、刺状突起があるか、又は伏して曲がった~広がった鈎状の長さ約0.3㎜の突起状毛をもち、まれに無毛で平滑。花期は4~9月。果期は5~1月。
1-1 Galium bungei var. angustifolium (Loes.) Cufod. ガリウム・ブンゲイ・アングスティフォリウム
synonym Galium gracile var. angustifolium Loes.synonym Galium trachyspermum var. gracilens A.Gray
中国(安徽省、福建省、甘粛省、河北省、河南省、江蘇省、江西省、陝西省、山東省、山西省、浙江省)原産。中国植物誌では湖北省、湖南省、広西省、四川省、貴州省も分布域に含めている。中国名は狭叶砧草 xia ye zhen cao。英名はslender-leaf bedstraw。標高320~2200mの山や渓流の森林、低木林、草地に生える。ヒメヨツバムグラとされていたこともあるが、POWOではヒメヨツバムグラはヨツバムグラに含められ、ガリウム・アングスティフォリウムは中国固有とされている。
葉身は狭披針形または線状披針形、長さ1~3㎝×幅1~6㎜。花期は6~7月。果期は8~10月。
1-2 Galium bungei var. bungei トウヨツバムグラ 唐四葉葎 狭義
synonym Galium fukuyamae Masam. ノウコウムグラ
synonym Galium gracilens (A.Gray) Makino var. lutchuense (Nakai) T.Yamaz. リュウキュウヨツバムグラ
synonym Galium gracilens var. rotundifolium (Hayata) Hatus.synonym Galium lutchuense Nakai ex Kitag.
synonym Galium bungei var. miltorrhizum (Hance) K.S.Jeong & Pak ケナシヨツバムグラ
synonym Galium miltorrhizum var. lutchuense (Nakai ex Kitag.) H.Hara
synonym Galium trachyspermum var. miltorrhizum (Hance) T.Yamaz. in J. Jap. Bot. 66: 51 (1991)ケナシヨツバムグラ
synonym Galium pogonanthum Franch. & Sav.synonym Galium pogonanthum Franch. et Sav. var. trichopetalum (Nakai) H.Hara オオヤマムグラ
synonym Galium pogonanthum Franch. et Sav. var. yakumontanum T.Yamaz. ヤクシマヤマムグラ
synonym Galium pogonanthum Franch. et Sav.日本、朝鮮、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、遼寧省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省、山東省、山西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾に分布。中国名は四叶律 si ye lü。標高100~2600mの丘陵地や山地の森林または牧草地、開けた野原、農地、溝の側に生える。
茎は無毛。葉身は下部が卵状披針形、上部は漸尖形。花序は円錐花序で緩い。花冠は無毛。果実には密に鈎状小刺(刺毛)がある。開花期は4~9月。果期は5~1月。
1-3 Galium bungei var. hispidum (Matsuda) Cufod. ケヨツバムグラ 毛四葉葎
synonym Galium gracile f. hispidum Matsuda in Bot. Mag. (Tokyo) 26: 130 (1912)
synonym Galium trachyspermum f. hispidum (Matsuda) Ohwi [Ylist] in Bull. Natl. Sci. Mus. Tokyo 33: 86 (1953)
synonym Galium trachyspermum var. hispidum (Matsuda) Kitag.synonym Galium martini H.Lév. & Vaniot
日本(本州西部、九州)、朝鮮南部、中国(安徽省、福建省、甘粛省、河南省、湖北省、江蘇省、陝西省、山西省、四川省、雲南省、浙江省)原産。中国名は硬毛四叶律 ying mao si ye lü。標高100~3400mの山の斜面の森林または草原、河岸、開けた野原に生える。POWOでは中国固有種としている。
茎は開出する軟毛があり、毛状突起は茎の直径より短い。葉にも毛がある。花期は4~6月。果期は5~9月。
1-4 Galium bungei var. punduanoides Cufod.
中国(甘粛省、江蘇省、四川省、雲南省)原産。中国名は毛四叶律 mao si ye lü。標高900~3600mの山地の森林、茂み、または草原、開けた野原、川岸に生える。
茎は軟らかく、硬い毛があり、毛状突起は茎の直径より長い。花序はしばしば密集し、頂生する。花期は6~7月。果期は7~8月。
1-5 Galium bungei var. setuliflorum (A.Gray) Cufod. ヤマムグラ 山葎
synonym Galium pogonanthum var. setuliflorum (A.Gray) H.Harasynonym Galium setuliflorum (A.Gray) Makino
synonym Galium pogonanthum f. nudiflorum (Makino) Ohwi ケナシヤマムグラ
synonym Galium trachyspermum var. setuliflorum A.Graysynonym Galium koreanum (Nakai) Nakai
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(江蘇省、山西省)原産。中国名は毛冠四叶律 mao guan si ye lü。山地のやや乾いた場所に生える。YListでは学名をGalium pogonanthum Franch. et Sav.としているが、これはPOWOではGalium bungei var. bungeiのsynonymである。
多年草、高さ10~40㎝。茎は叢生し斜上して細く、平滑、基部で多数分枝する。葉は1対が大きく、1対が小さく、4個輪生する。葉は披針形~楕円形、ヨツバムグラより狭く、長さ10~20㎜×幅1~5㎜、葉縁と下面の中脈に短毛があり、葉形がやや歪である。花はごく細い集散花序に疎に2~3個つき、花は直径1.5~3㎜。小花柄は細く、長さ5~10㎜。花冠は淡緑色~黄白色~白色、4裂(まれに5裂)し、裂片は外面に白毛が生え、先は鋭形で先端に嘴状の小突起がある。ただし、花冠に白毛のない花(ケナシヤマムグラ)も混じることがある。白毛は花冠の下側に隠れるため、蕾を見ると確認しやすい(Flora of China:花冠裂片には少なくとも蕾の段階でまばらに毛がある)。花はヨツバムグラやヒメヨツバムグラより早く見られなくなる。果実は2分果。果柄は長さ5~10㎜。分果は長さ1~1.3㎜、白色の鱗状の逆刺(伏した乳頭状毛)がある。2n=22。花期は5~7月[ヨツバムグラ小記1950]。
1-6 Galium bungei var. trachyspermum (A.Gray) Cufod. ヨツバムグラ 四葉葎
synonym Galium trachyspermum A.Gray [Ylist]synonym Galium gracilens (A.Gray) Makino ヒメヨツバムグラ
synonym Galium trachyspermum var. gracilens A.Gray ヒメヨツバムグラ
synonym Galium venosum H.Lév.synonym Galium musyaense Masam.
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、山東省、四川省、浙江省)原産。中国名は阔叶四叶律 kuo ye si ye lü 。海抜800m付近以下の丘陵地の森林または草原、開けた野原、川岸、田のあぜ、道端に生える。YListではヒメヨツバムグラをGalium gracilens (A.Gray) Makinoとしているが、POWOではこれをヨツバムグラ含めている。
多年草。高さ20~50㎝。茎は下部で分枝して直立し、断面は四角形で、無毛。葉は長さ6~20㎜×幅2~8㎜、基部側が最も幅が広く、長楕円形~卵形(広楕円形~惰円形~卵形~倒卵形、または広披針形)、4個が偽輪生し、先がやや尖る。葉4個のうち1対は托葉である。葉縁と葉下面にやや長い毛が生え、葉の幅が広いのが特徴であるが、やや狭いこともある。花序の枝は短く、小花柄は花時に長さ約1㎜、果時に1~3㎜と短く、花が固まってほぼ頭状につくのも特徴。花冠は直径1~1.5(2)㎜、淡黄緑色、深く4裂まれに5裂し、裂片の先は鈍形(ヒメヨツバムグラは鋭形)。雄しべ4本。花冠の下に半球2個をつけた2室の子房が見える。子房の表面には白色の曲がった鱗状の突起(短い屈毛)がある。果実は分離果、分果は長さ1~1.3(~1.5)㎜[Flora of China:1~2㎜]、白色の鱗片状毛(伏した乳頭状毛=短い屈毛)が密にあり、果柄は長くなる。花期は4~5月(日本では5~7月)。果期は4~7月。
YListの分類
1 Galium bungei Steud. トウヨツバムグラ 唐四葉葎日本、朝鮮、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、黒竜江省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、遼寧省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省、山東省、山西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾に分布。中国名は四叶律 si ye lü。標高100~2600mの丘陵地や山地の森林または牧草地、開けた野原、農地、溝の側に生える。
多年草、高さ5~50㎝、柔らかい帯赤色の塊茎又は糸状の根茎から直立する。茎はしばしば叢生し、4角(かど)があり、分枝せず又は少し分枝し、平滑、無毛、節に±小剛毛がある。葉は4輪生し、ほぼ無柄。葉身は乾くと紙質、卵状披針形、上部は漸尖形、長さ(6~)8~20(~34)㎜×幅 (2~)3~7(~10)㎜、長さ/幅比は普通、3~5、無毛でときに中脈と縁付近に前向きの小刺があり、 又は全体に微直軟毛又は直軟毛があり、下面はときに腺点又は腺条線があり、基部は楔形、先は鋭形又はわずかに鈍形。1本の主脈と2本の側脈は普通、不明瞭。花序は頂生及び/又は腋生、円錐花序、緩く、集散花序に花が少数~数個つき、長さ1~5㎝。花序柄は無毛、平滑。苞は無~少数、へら形~狭楕円系、側部はやや扁平、長さ0.4~0.8㎜、無毛~小剛毛があり、平滑~いぼ状(tuberculate)。花冠は黄緑色又は白色、車形、直径1.5~2.5㎜、無毛。花冠裂片は4個、卵形~長円形、鋭形~尖鋭形。分果は楕円系、長さ1~2㎜、いぼ状(tuberculate)、刺状突起があるか、又は伏して曲がった~広がった鈎状の長さ約0.3㎜の突起状毛をもち、まれに無毛で平滑。花期は4~9月。果期は5~1月。
2 Galium gracilens (A.Gray) Makino ヒメヨツバムグラ 姫四葉葎
synonym Galium trachyspermum var. gracilens A.Graysynonym Galium musyaense Masam.
synonym Galium bungei Steud. var. angustifolium (Loes.) Cufod.
日本(本州、四国、九州)、中国原産。別名はコバノヨツバムグラ(小葉の四葉葎)。日本に広く分布する普通種で、土手、丘陵に生える。YListではGalium gracilens (A.Gray) Makinoとしているが、これはPOWOではGalium bungei var. trachyspermum (A.Gray) Cufod.(ヨツバムグラ)の異名としている。
日本(本州、四国、九州)、中国原産。別名はコバノヨツバムグラ(小葉の四葉葎)。日本に広く分布する普通種で、土手、丘陵に生える。YListではGalium gracilens (A.Gray) Makinoとしているが、これはPOWOではGalium bungei var. trachyspermum (A.Gray) Cufod.(ヨツバムグラ)の異名としている。
多年草、長さ55㎝以上に達する。茎は叢生し、しばしば、密で多数、直立し、しばしば、非常に細く、四角(かど)があり、平滑、節間が長い。葉は4輪生し、直立・開出または開出、または多少反り返り、線状披針形~披針形または長楕円状披針形、先は鋭形、下部は先細り、無柄または非常に短い葉柄があり、前向きの細柔毛の縁毛があり、上面は非常に薄く細柔毛があり(pilose)、下面の中脈に細柔毛があり、長さ14㎜×幅4.5㎜以下、ときに、長さ20㎜×幅6㎜になり、根生葉は短く、卵形または楕円形。集散花序は側生および頂生し、小さい。花序柄は細く(gracile)、長くは無い。苞は線形または広線形。小苞はしばしば微細。花は微細、淡緑色、幅1㎜、またはもう少し幅があり、小花柄がある。小花柄は細く(gracile)、糸状、無毛、しばしば果実よりも長く、しばしば果時に散開する。花冠は開出し、4深裂し、無毛。花冠裂片は卵形で、先は単に鋭形または尖り気味(acutish )。雄しべは4本、短い。花糸は糸状。花柱は2本、下半分が合着する。柱頭は頭状。果実は密に小鱗片状細柔毛(squamuloso-pilose)=伏した乳頭状毛があり、斜上する亜鈎状の(subuncinate)の短毛があり、長さ1㎜[Bot. Mag. (Tokyo) 17: 74 (1903)]。花期は5~7月。
ヒメヨツバムグラ Galium gracilens (A.Gray) Makino は下田産が基で全体痩せて小さい。葉は小さく、披針形~長楕円形、通常、長さ5~12㎜×幅1~3㎜。小花柄は纖細で長さ1~5㎜。花冠は直径約1㎜。果実も小さく、長さ0.7~1㎜、伏した乳頭状毛を有する 。本州から南へ台湾、朝鮮、中国中部にわたり知られている 。他種より各部が小さいので分るが、時によく生長した果期の標本ではリュウキュウヨツバムグラやケナシヤマムグラとの区別が難しい場合がある[原寛:ヨツバムグラ小記]。
2-1 Galium gracilens (A.Gray) Makino var. lutchuense (Nakai) T.Yamaz. リュウキュウヨツバムグラ 琉球四葉葎
synonym Galium lutchuense Nakaisynonym Galium miltorrhizum Hance var. lutchuense (Nakai) H.Hara
基準標本はWright採集の奄美大島、カケロマ島及びアクミ島産である。琉球及び台湾から知られている。POWOではGalium bungei var. bungeiの異名としている。ヨツバムグラより小花柄が長く、長さ(1~)2~5㎜あり花序は 往々重なって大きくなり散開する点で異なり、一方 G. miltorrhizumとは果実に伏した乳頭状毛 を有する点で異なり両者の中間の性質を示している。
3 Galium pogonanthum Franch. et Sav. ヤマムグラ 山葎
synonym Galium bungei Steud. var. setuliflorum (A.Gray) Cufod.
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(江蘇省、山西省)原産。中国名は毛冠四叶律 mao guan si ye lü。山地のやや乾いた場所に生える。YListでは学名をGalium pogonanthum Franch. et Sav.としているが、これはPOWOではGalium bungei var. bungeiのsynonymであり、Galium bungei Steud. var. setuliflorum (A.Gray) Cufod.がヤマムグラである。多年草、高さ10~40㎝。茎は叢生し斜上して細く、平滑、基部で多数分枝する。葉は1対が大きく、1対が小さく、4個輪生する。葉は披針形~楕円形、幅がヨツバムグラより狭く、長さ10~20㎜×幅1~5㎜、葉縁と下面の中脈に短毛があり、葉形がやや歪である。花はごく細い集散花序に2~3個つき、花は直径1.5~3㎜。小花柄は細く、長さ5~10㎜。花冠は淡緑色~黄白色~白色、4裂(まれに5裂)し、裂片は外面に白毛が生え、先は鋭形で先端に嘴状の小突起がある。ただし、花冠に白毛のない花(ケナシヤマムグラ)も混じることがある。白毛は花冠の下側に隠れるため、蕾を見ると確認しやすい(Flora of China:花冠裂片には少なくとも蕾の段階でまばらに毛がある)。花はヨツバムグラやヒメヨツバムグラより早く見られなくなる。果実は2分果。果柄は長さ5~10㎜。分果は長さ1~1.3㎜、白色の鱗状の逆刺(伏した乳頭状毛)がある。2n=22。花期は5~7月。
3-1 Galium pogonanthum Franch. et Sav. f. nudiflorum (Makino) Ohwi ケナシヤマムグラ 毛無山葎
synonym Galium pogonanthum Franch. et Sav. var. nudiflorum (Makino) H.Hara
ヤマムグラの花冠に白毛のない品種。POWOではヤマムグラに含める。3-2 Galium pogonanthum Franch. et Sav. var. trichopetalum (Nakai) H.Hara オオヤマムグラ 大山葎
synonym Galium pogonanthum Franch. et Sav. f. trichopetalum (Nakai) Ohwi本州の中国地方、四国に分布する。POWOではヤマムグラではなく、トウヨツバムグラ(Galium bungei var. bungei)の異名としている。
茎に開出毛が多く、葉にも毛が多いもので、ヤマムグラと同じで花冠に刺毛があるのが基準形であるが、ときに無毛のもの もある。
3-3 Galium pogonanthum Franch. et Sav. var. yakumontanum T.Yamaz. ヤクシマヤマムグラ 屋久島葎
synonym Galium yakusimense auct. non Masam.屋久島の固有の変種。POWOではトウヨツバムグラ(Galium bungei var. bungei)の異名である。
基本種と比べ、全体に軟弱で、高さが低く、葉が幅広く小さい。花冠に毛がない。
4 Galium trachyspermum A.Gray ヨツバムグラ 四葉葎
synonym Galium bungei Steud. var. trachyspermum (A.Gray) Cufod.
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、山東省、四川省、浙江省)原産。中国名は阔叶四叶律 kuo ye si ye lü 。海抜800m付近以下の丘陵地の森林または草原、開けた野原、川岸、田のあぜ、道端に生える。
多年草。高さ20~50㎝。茎は下部で分枝して直立し、断面は四角形で、無毛。葉は長さ6~20㎜×幅2~8㎜、基部側が最も幅が広く、長楕円形~卵形(広楕円形~惰円形~卵形~倒卵形、または広披針形)、4個が偽輪生し、先がやや尖る。葉4個のうち1対は托葉である。葉縁と葉下面にやや長い毛が生え、葉の幅が広いのが特徴であるが、やや狭いこともある。花序の枝は短く、小花柄は花時に長さ約1㎜、果時に1~3㎜と短く、花が固まってほぼ頭状につくのも特徴。花冠は直径1~1.5(2)㎜、淡黄緑色、深く4裂まれに5裂し、裂片の先は鈍形(ヒメヨツバムグラは鋭形)。雄しべ4本。花冠の下に半球2個をつけた2室の子房が見える。子房の表面には白色の曲がった鱗状の突起(短い屈毛)がある。果実は分離果、分果は長さ1~1.3㎜[1.4~1.5㎜、Flora of China:1~2㎜]、白色の鱗片状毛(伏した乳頭状毛=短い屈毛)が密にあり、果柄は長くなる。花期は4~5月(日本では5~7月)。果期は4~7月。
4-1 Galium trachyspermum A.Gray f. hispidum (Matsuda) Ohwi ケヨツバムグラ 毛四葉葎
synonym Galium bungei Steud. var. hispidum (Matsuda) Cufod.synonym Galium trachyspermum A.Gray var. hispidum (Matsuda) Kitag.
日本(本州西部、九州)、朝鮮南部、中国(安徽省、福建省、甘粛省、河南省、湖北省、江蘇省、陝西省、山西省、四川省、雲南省、浙江省)原産。中国名は硬毛四叶律 ying mao si ye lü。標高100~3400mの山の斜面の森林または草原、河岸、開けた野原に生える。POWOでは中国固有種としている。茎は開出する軟毛があり、毛状突起は茎の直径より短い。葉にも毛がある。花期は4~6月。果期は5~9月。
4-2 Galium trachyspermum A.Gray var. miltorrhizum (Hance) T.Yamaz. ケナシヨツバムグラ 毛無四葉葎
synonym Galium bungei var. miltorrhizum (Hance) K.S.Jeong & Paksynonym Galium miltorrhizum Hance
synonym Galium trachyspermum A.Gray var. nudicarpum Honda
日本(本州の中部地方以西、四国、九州)、朝鮮、中国原産。POWOではトウヨツバムグラ Galium bungei var. bungeiの異名とされている。
多年草。葉は卵状長楕円形~卵形で4枚輪生する。 果実に鉤状毛がほとんどないもの。
1年草または2年草。根茎は細く、紙質の繊維状。通常高さ10~18㎝。茎は直立するか、または果時に傾伏し、通常は二股に分枝し、帯赤色のひげ根の先端から分枝し、直径0.1~0.2美織、角(かど)は細く、4角(かど)があり、無毛。葉は4枚輪生し、単葉で、托葉はなく、2枚の葉が他の葉より大きい。葉柄は長さ0.5㎝未満で、下部の葉はほぼ無柄、1脈があり、卵状倒卵形または広披針形、長さ8~24㎜×幅5~7(8)㎜、先は尖頭形で非常に短い長さ0.1㎜の無色の小突起があり、基部は漸尖形、上面は光沢がなく鈍く無毛、下面も無毛、目立たないザラつく腺細胞があり、まれに上下の脈に乳頭状突起があり、縁は全縁、ほぼ反曲しまたは狭く外巻きし、無毛または縁に少数~数個の微細な毛がある。花序は頂生および/または腋生、集散花序~円錐花序、密~緩く、集散花序は主に2~3花または少数~数個の花がつく。花序柄は直立し、細く、4稜形、無毛、花時に長さ0.3~1.2㎝、果時に長さ1.5~3.0㎝、ときに腺細胞がある。小花柄は直立、毛細管状、細く無毛、長さ0.1~0.2㎝。苞はない。花は小さく、両性、萼はない。花冠は黄緑色、輻状花冠(rotate)、直径1.0~2.2㎜、無毛、4裂する。花弁は卵形または長楕円形、先は鋭形、短く漸尖して外側に曲がり、縁は全縁。雄しべは4本、花糸は細く、花冠に付生し、無毛、長さ0.1~0.3㎜。葯は卵形~楕円形、 長さ0.1~0.2㎜。子房は球形、長さ0.9~1.5㎜×幅1.5~2.3㎜、2個の分果からなり、表面は一般に鈍く、無毛。花柱は長さ0.3~0.5㎜、2分岐する。柱頭は頭状。果実は分離果、分果は長さ1.5~2.3㎜、腎形、無毛、まれに短い乳頭状突起があり、紫色~褐色。種子は腎形、黄色~黄褐色。花期は4~9月(Korean J. Pl. Taxon. 2017)。
類似種
ウスユキムグラ(Galium shikokianum Nakai = synonym Asperula trifida Makino)は葉の形がヨツバムグラに非常に似ていて、誤認することがある。葉の下面脈上と葉縁にのみ細柔毛があり、ヨツバムグラでは葉の両面全体に粗毛が散生する。ウスユキムグラは花冠に短いが筒部があり(クルマバソウ属)、分果の表面が平滑。ホソバノヨツバムグラは湿地に生え、葉の先が丸く、花冠は3裂する。
愛知県の絶滅危惧Ⅱ類に指定されているキクムグラは葉の先端が刺状に短く尖り、花序の基部に小さな苞がある。
他に関東地方でしか見られないヤブムグラもある。