ヤブタビラコ 藪田平子

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae ヤブタビラコ属

中国名

矮小稻槎菜 ai xiao dao cha cai

学 名 Lapsanastrum humile (Thunb.) J.H.Pak et K.Bremer
 synonym Lapsana humilis (Thunb.) Makino
ヤブタビラコの花
ヤブタビラコの花2
ヤブタビラコの総苞
ヤブタビラコの葉
ヤブタビラコ
ヤブタビラコ果実
花 期 4~6月
高 さ 10~50㎝
生活型 1又は2年草
生育場所 道端、草地
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国
撮 影 蔵王山 05.4.10
タンポポ亜科に属し、全体に柔らかで、茎、葉に軟毛があり、切ると白い乳液が出る。根生葉は長さ3.5~26㎝、幅1.2~4㎝、深裂し、先端部が最も大きく、縁がやや角張る。花は直径約8㎜の黄色、花弁は12~20個。総苞は花が終わると丸くなり、次第に大きくなって垂れ下がる。草むらの中に生え、丸い垂れさがった総苞だけが見えることも多い。総苞外片は小さく、長さ約1㎜、総苞内片は6~7(8)個。痩果は長さ約2.5㎜(実測2.2~2.5㎜)で、冠毛も突起もない。名のように藪にも生育するが、日当たりのよい畦道にも多い。畦道にある小さいものはコオニタビラコと似ているため、混同しやすい。混成していることもよくある。2n=16。(コオニタビラコとヤブタビラコの比較参照)
 コオニタビラコは無毛で、花がやや大きく、花弁が少ない。また、花後も総苞が細く、円柱形であり、痩果も細長く、先端に2個の突起がある。
 オニタビラコは全体に毛が多く、葉の先がとがり、痩果に冠毛がある。

ヤブタビラコ属

  family Asteraceae - genus Lapsanastrum

 1年草又は短命の多年草、ロゼットになる。葉は羽状深裂又は羽状全裂。頭花は普通、下向き、果時に6~20個の小花をもつ。総苞は花時に狭円筒形、果時に幅が広くなり、幅7㎜未満、無毛。外総苞片は内総苞片よりかなり短い。内総苞片は線状披針形~披針形、等長、果時に幅が広くなる。花托は裸。小花は黄色。痩果は楕円形、類扁平、5本の主うねをもち、それぞれに2次うねが1(2)本つき、先は切形だが、0又は(1~)2~4本の主うねの先が伸び、長さ0.2~2.2㎜の細い鈎状の付属体になる。冠毛は無い。
 世界に4種あり、日本、朝鮮、中国に分布する。

ヤブタビラコ属の主な種と園芸種

1 Lapsanastrum apogonoides (Maxim.) Pak et K.Bremer コオニタビラコ 小鬼田平子

 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は稻槎菜 dao cha cai。英名はJapanese nipplewort。別名はタビラコ。水田、畔道に生える。
 多年草。高さ8~15㎝。全草がほぼ無毛。根生葉は柔らかく、長さ4~25㎝×幅1~2㎝、羽状に深裂し、先端の裂片が最大。黄色の頭花の直径は大きいもので約1㎝。舌状花は8~13個程度。総苞は円柱形、花後も丸くならない。総苞内片は5個。痩果は長さ約4㎜、先端に2個の角状突起がある。角状突起は熟した頃にはわからなくなってしまうこともあり、未熟なものを確認すると確実である。3月初めの開花初期は花茎が短く、葉がロゼット状になっている。4月の盛期以降になると葉の立ち上がったものも多くなり、花茎も分岐して立ち上がる。2n=44。花期は3~5月。

2 Lapsanastrum humile (Thunb.) Pak et K.Bremer ヤブタビラコ 藪田平子
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は矮小稻槎菜 ai xiao dao cha cai。道端、草地に生える。名のように藪にも生育するが、日当たりのよい畦道にも多い。
 1年草、2年草。高さ10~50㎝。全体に柔らかで、茎、葉に軟毛があり、切ると白い乳液が出る。根生葉は長さ3.5~26㎝×幅1.2~4㎝、深裂し、先端部が最も大きく、縁がやや角張る。花は直径約8㎜の黄色、花弁は12~20個。総苞は花が終わると丸くなり、次第に大きくなって垂れさがる。草むらの中に生え、丸い垂れさがった総苞だけが見えることも多い。総苞外片は小さく、長さ約1㎜、総苞内片は6~7(8)個。痩果は長さ約2.5㎜、冠毛も突起もない。2n=16。花期は4~6月。

3 Lapsanastrum takasei (Sasaki) Pak et K.Bremer ヤノネジシバリ 
 台湾原産。中国名は台湾稻槎菜 tai wan dao cha cai。標高1800~2800mの湿った山の斜面に生える。
 短命の多年草、高さ10cmまで、ロゼットをつくる。直根は二次葉のロゼットを生じる根を側シュートがある。茎は少なく、鞭毛状(flagelliform)、非常に細く、地上を這い、長さ50㎝まで、まばらに直軟毛があり、節は5~10㎝間隔で、不定根と1枚の葉がある。花茎はロゼットと匍匐性の茎の葉腋から生じ、長さ7㎝以下、非常に細長く、斜上し、単純またはまれに2深裂し、±葉は無い。ロゼットの葉は倒披針形、長さ4~9㎝×幅1~2㎝、羽状全裂し、葉軸は有翼または無翼、直軟毛があり、基部は漸尖し、葉柄状になり、縁は波状の歯がある。側裂片は4~7対、卵形~三角形、または菱形で、基部は葉柄状に次第に小さくなり、先は円形~鋭形で先端が点状になる。頂裂片は広卵形~ほぼ円形で、側裂片よりもはるかに大きい。匍匐性の茎の葉はロゼット葉に似る。頭花は花茎ごとに1~2個つき、頭花は10小花をもつ。総苞は円筒形、長さ約7㎜、果時に幅約4㎜。外総苞片は5個、披針形、最長のものは長さ約1㎜。内総苞片は8個。痩果は主肋から先端が突き出る鈎は無い。花期と果期は6~8月。2n=16。

4 ハイブリッド

(1) Lapsanastrum humile (Thunb.) Pak et K.Bremer x Youngia japonica (L.) DC. ヤブオニタビラコ

 ヤブタビラコ×オニタビラコ

参考

1) GRIN
 Lapsanastrum
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=17858
2) Kewscience
 Lapsanastrum
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:981299-1
3) Flora of North America
 Lapsanastrum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=202453
4)Flora of China
 Lapsanastrum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=202453