オニタビラコ 鬼田平子
Flora of Mikawa
キク科 Asteraceae オニタビラコ属
中国名 |
黄鹌菜 huang an cai |
英 名 | Oriental false hawksbeard |
学 名 | Youngia japonica (L.) DC. synonym Youngia japonica (L.) DC. subsp. elstonii (Hochr.) Babcock et Stebb. |
花 期 | 2~12月 |
高 さ | 10~150㎝ |
生活型 | 1又は2年草 |
生育場所 | 道端、草地 |
分 布 | 在来種(帰化種) 日本全土、朝鮮、中国、台湾、、アフガニスタン、インド、ブータン、東南アジア、オーストラリア |
撮 影 | 蒲郡市形原町 12.5.5 幸田町 20.3.21 |
学名がjaponicaであるが、分布域は広く。東南アジアやオーストラリアにも自生し、南北アメリカに広く、帰化している。おそらく、中国原産ではないかともいわれる。
蒲郡市東部の道端や空地などで見られるものは、開花が3月頃から始まるものも多く、比較的小型で茎葉がなく、花茎が1本だけのものと、茎が数本出るものがある。郊外のやや日陰には開花が遅くやや大型で、花茎が基部で紫色を帯び、分枝して数本~多数、直立するものがある。また、根茎があり多年草で葉が斜上~直立ぎみのものもある。この地域で3月に花が見られるものは葯筒の長さが約1㎜であり、葉の様子もアカオニタビラク subsp. elstonii であるが、花茎が多数のもの、多数で多年草のものがあり、花茎が1本のものは茎葉が0~少数であり、Flora of Chinaの解説とは完全には一致しない。また、花冠の先端が普通、橙色になり、まれに橙色にならないものもある。総苞片の下の少し離れた位置に披針形の副咢がある(calyculate)ものもある。葉の色は緑色、淡紫褐色の斑入り、部分的に赤色を帯びるものがある。葉先は顕著に鋭形のもの、先だけ鋭形のもの、円形のものが混在し、裂片のつく向きは上向き~下向きまで様々であり、基部の小さな裂片は三角形~狭三角形~披針形であり、葉柄に翼は無い。
オニタビラコ属は高さの低い多年草が多く、オニタビラコは多型であり、草丈も10~150㎝と様々である。Flora of Chinaでは1年草とし、日本では2年草とされていたが、台湾産のタカオタビラコsubsp. monticolaや九州に多いアオオニタビラコは多年草ともされている。
1.2年草[多年草]。高さ10~150㎝。花茎は1本又は少数、直立し、基部から分枝し、中間又は先だけ無毛又は基部にしばしば ±毛があり、葉が有又は無。根生葉は±倒披針形、長さ15(~20)㎝×幅4(~6)㎝以下、頭大羽状深裂又は頭大羽状全裂、まれに分裂せず、無毛又はやや有毛、基部は漸尖し、長い又は短い、狭い翼のある又は±翼の無い葉柄のような部分になり、縁には波状の歯がある。側裂片は少数~多数、卵形、菱形、又は楕円形、葉の基部に向かって次第に小さくなる。頂裂片は卵形、卵状披針形、又は倒卵形、側裂片よりかなり大きく、先は円形~鋭形。茎葉は根生葉に似ていて、茎の上部で急又は次第に小さくなり、苞になる。合成花序は散房花序~円錐花序状の散房花序、普通、多数の頭花がつく。頭花は小花を10~20個もつ。花序柄は毛管状。総苞は円筒形、長さ4~7㎜。総苞片は外側が無毛。外総苞片は卵形~三角形、最も長いものは1.5㎜未満、先は鋭形。内総苞片は内側に伏毛があり、中脈は頂点下が平らで、縁が±白色の薄膜質、先は鋭形。葯筒は暗褐色。花柱の枝は乾くと黄色。痩果は薄褐色~暗赤褐色~暗紫褐色、紡錘形、長さ1.5~2.5㎜、うねには細かい針骨があり(spiculate)、先は強く漸尖形。冠毛は白色、長さ2.5~3.5㎜。花期と果期は2~12月。2n=16。
中国には3亜種がある。
YListでは日本のものがアオオオニタビラコ、アカオニタビラコとして亜種に割り当てられているが、Flora of ChinaやFlora of North America の解説では色についての記載が無く、和名には違和感がある。
(1)アオオニタビラコ subsp .japonica
おそらく中国原産。世界中に分布。中国名は黄鹌菜(原亚种) huang an cai (yuan ya zhong)
1年草。普通、高さ10~90㎝。茎は単生又は少数、葉が無く苞だけをもつ又は基部の約1/3(~1/2)に1~2(又はそれ以上)個の葉をつける。根生葉はほとんど長さ15㎝×幅5㎝以下。総苞は長さ4~5㎜。外総苞片は1㎜未満。葯筒は普通、長さ1.7~2㎜。痩果は長さ1.5~2㎜。冠毛は長さ2.5~3.5㎜。花期と果期は2~12月。2n=16
(2)アカオニタビラコ subsp. elstonii
中国原産。中国名は卵裂黄鹌菜 luan lie huang an cai 。アメリカに帰化。
1年草。普通、高さ0.5~1.5m。茎はほとんどが1本、ほとんどよく発達した葉をもち、少なくとも茎の下半分につく。根生葉と下部の茎葉は長さ27㎝×幅7㎝以下、羽状深裂又は類頭大羽状深裂。側裂片は3~7対、間隔が開き、楕円形~三角形、葉の基部に向かって次第に小さくなり、最も下の裂片は普通、歯状になり、先は鋭形~鈍形。頂裂片は楕円形、先は鋭形。中間と上部の茎葉は下部の葉に似ているが、茎の上部では次第に小さく、分裂が少なくなり、次第に小さく苞になる。頭花は小花を約20個もつ。総苞は円筒形、長さ4~5.5㎜。外総苞片は長さ1㎜未満。葯筒は普通、長さ0.6~1㎜。痩果は長さ1.7~2㎜。冠毛は長さ3~3.5㎜。花期と果期は4~11月。
(3) オオバナオニタビラコ subsp. longiflora
中国、台湾原産。中国名は长花黄鹌菜 chang hua huang an cai。
1年草、普通、高さ30~90㎝、茎は単生又は少数、葉が無いか又は有る。根生葉は長さ23㎝×幅7㎝以下、頭大羽状浅裂、 頭大羽状深裂(lyrately pinnatipartite)、不明瞭な逆向き羽状浅裂、又は逆向き羽状深裂、側裂片は3~8対、対生~斜めの対生、楕円形。三角形、又は菱形、葉の基部に向かって次第に小さくなり、先は円形、鈍形、又は鋭形、頂裂片は楕円形~卵形、先は円形。茎葉は無いか又は根生葉に似るが茎の上部では次第に小さくなり、分裂しなくなる。頭花は小花を15~20個もつ。総苞は円筒形、長さ6~7㎜。総苞片は4列、外側は無毛。外総苞片は長さ1.5㎜以下。葯筒は普通、3~4㎜。痩果は暗紫褐色、長さ2~2.5㎜。冠毛は長さ約3.5㎜。花期と果期は3~8月。
類似のコオニタビラコは全体に小形で、毛がほとんどなく、頭花がやや大きく、痩果が長さ約4㎜、冠毛がなく、2個の角がある。ヤブタビラコはやや毛が少なく、痩果が長さ約2.5㎜、冠毛がなく、赤褐色扁平。
多年草又は1年草[、2年草。直根をもつ]。花茎は無又は有、しばしばロゼットになり、無毛又はやや~まばらにクモ毛又は軟毛がある。合成花序は散房花序又は円錐状の散房花序、例外的に2次的な総状花序になる。頭花は小花が5~25個。総苞は円筒形、円筒状鐘形、鐘形又は広円筒形。総苞片は外面が無毛又はまれにややクモ毛があり、ごくまれに腺がある。外総苞片は少数~数個、求心的に長くなり、長さはせいぜい内総苞片の1/4(~1/2)[Flora of Noth Americaでは3~5+個のデルタ形~卵形の膜質の小苞=副咢Calyculiがあるとしている]。内総苞片は線状披針形、長さが等しく、中脈はほぼ先が鶏冠状で小角状になるか平らになる。花托は裸出、平ら~凸面、パレアは無い。小花は黄色。痩果は±紡錘形、円柱形、又は±円筒形、不明瞭に扁平又は類扁平、4~5本の主うねがあり、(1~)2本又はそれ以上の細い2次うねが伴い、普通、うねに細かい針骨(spiculate)があり、特に先にあり、先は漸尖又はまれに丈夫な短い嘴をもつ。冠毛は宿存し、白色、稀に、灰色~淡褐色になり、ザラつく。
世界に約30種あり、東アジアに分布する。
日本全土、朝鮮、中国、台湾、、アフガニスタン、インド、ブータン、東南アジア、オーストラリアに分布。おそらく中国原産と考えられている。中国名は黄鹌菜 huang an cai 。英名はOriental false hawksbeard , Oriental hawksbeard。
1年草。高さ10~150㎝。花茎は1本又は少数、直立し、基部から分枝し、中間又は先だけ無毛又は基部にしばしば ±毛があり、葉が有又は無。根生葉は± 倒披針形、長さ15(~20)㎝×幅4(~6)㎝以下、頭大羽状深裂又は頭大羽状全裂、まれに分裂せず、無毛又はやや有毛、基部は漸尖し、長い又は短い、狭い翼のある又は±翼の無い葉柄のような部分になり、縁には波状の歯がある。側裂片は少数~多数、卵形、菱形、又は楕円形、葉の基部に向かって次第に小さくなる。頂裂片は卵形、卵状披針形、又は倒卵形、側裂片よりかなり大きく、先は円形~鋭形。茎葉は根生葉に似ていて、茎の上部で急又は次第に小さくなり、苞になる。合成花序は散房花序~円錐花序状の散房花序、普通、多数の頭花がつく。頭花は小花を10~20個もつ。花序柄は毛管状。総苞は円筒形、長さ4~7㎜。総苞片は外側が無毛。外総苞片は卵形~三角形、最も長いものは1.5㎜未満、先は鋭形。内総苞片は内側に伏毛があり、中脈は頂点下が平らで、縁が±白色の薄膜質、先は鋭形。葯筒は暗褐色。花柱の枝は乾くと黄色。痩果は薄褐色~暗赤褐色~暗紫褐色、紡錘形、長さ1.5~2.5㎜、うねには細かい針骨があり(spiculate)、先は強く漸尖形。冠毛は白色、長さ2.5~3.5㎜。花期と果期は2~12月。2n=16。
【Flora of North America】 subsp. japonicaが多く、subsp. elstonii は少ない。
茎は柱状、中空。葉は葉柄が長さ1~10㎝、無毛、微軟毛があり、又は密に毛がある(毛はしばしば褐色を帯び、巻く)。葉身は長さ 3~12(~25)㎝×幅2~4(~6)㎝。側裂片は0~20個、下部で次第に小さくなる。頂裂片は楕円形、卵形、等卵形、又は長円状切形、側裂片より大きく、先は鈍形又は鋭形。花序柄は長さ1~5(~15)㎜。総苞片は3.5~6㎜、基部と中肋は± スポンジ状になり、外面は無毛、ほぼ無毛、又は有毛(毛は伏せ、光沢がある)。小花の花冠は主に長さ4.5~6.5㎜。葯は暗緑色(乾くと帯紫色)。花柱と花柱の枝は黄色。痩果は長さ1.5~2.5㎜、基部は中空、やや硬い。冠毛は長さ2.5~3.5㎜、総苞片をわずかに超す。2n=16。
synonym Youngia formosana (Hayata) H. Hara
synonym Youngia gracilis Miquel
おそらく中国原産。中国名は黄鹌菜(原亚种) huang an cai (yuan ya zhong)。
1年草。普通、高さ10~90㎝。茎は単生又は少数、葉が無く苞だけをもつ又は基部の約1/3(~1/2)に1~2(又はそれ以上)個の葉をつける。根生葉はほとんど長さ15㎝×幅5㎝以下。総苞は長さ4~5㎜。外総苞片は長さ1㎜未満。葯筒は普通、長さ1.7~2㎜。痩果は長さ1.5~2㎜。冠毛は長さ2.5~3.5㎜。花期と果期は2~12月。2n=16
【Flora of taiwan】
2年草。軟毛がある。茎は直立、しばしば基部で分枝する。高さ20~100㎝。根生葉は質が薄く、ロゼットになり、倒披針形、長さ8~25㎝×幅1.7~6㎝、鋭形、基部は狭くなり、葉柄になり、頭大羽状深裂、緩い微突形の歯があり、わずかに細かく縮れた微軟毛が両面にある。頂裂片は最も大きくデルタ状卵形、普通、先は円形。側裂片は次第に小さくなる。頭花は直径7~8㎜、多数、頂生の散房状円錐花序につく。花序柄は長さ6~25㎜、細い。総苞は長さ4~6㎜×幅3~4㎜、副咢をもつ(calyculate)。外総苞片は少数、内総苞片よりかなり小さく、卵形、長さ約0.5㎜。内総苞片は8個、披針形、鈍頭。小花は17~19個、長さ5~8㎜。痩果は長円形、長さ約1.8㎜、褐色、先は次第に狭くなり、11~13本のザラつくうねがある。冠毛は白色、長さ約3㎜、宿存性。
アオオニタビラコ×アカオニタビラコの交雑種
synonym Youngia lyrata Cass.
synonym Youngia thunbergiana DC. [GRIN]
synonym Youngia akaoni Seriz. f. luteoalba Seriz.
synonym Youngia akaoni Seriz.
中国原産。中国名は卵裂黄鹌菜 luan lie huang an cai
1年草。普通、高さ0.5~1.5m。茎はほとんどが1本、ほとんどよく発達した葉をもち、少なくとも茎の下半分につく。根生葉と下部の茎葉は長さ27㎝×幅7㎝以下、羽状深裂又は類頭大羽状深裂。側裂片は3~7対、間隔が開き、楕円形~三角形、葉の基部に向かって次第に小さくなり、最も下の裂片は普通、歯状になり、先は鋭形~鈍形。頂裂片は楕円形、先は鋭形。中間と上部の茎葉は下部の葉に似ているが、茎に上部では次第に小さく、分裂が少なくなり、次第に小さく苞になる。頭花は小花を約20個もつ。総苞は円筒形、長さ4~5.5㎜。外総苞片は長さ1㎜未満。葯筒は普通、長さ0.6~1㎜。痩果は長さ1.7~2㎜。冠毛は長さ3~3.5㎜。花期と果期は4~11月。
synonym Youngia taiwaniana S. S. Ying
中国、台湾原産。中国名は长花黄鹌菜 chang hua huang an cai
1年草、普通、高さ30~90㎝、茎は単生又は少数、葉が無いか又は有る。根生葉は長さ23㎝×幅7㎝以下、頭大羽状浅裂、 頭大羽状深裂(lyrately pinnatipartite)、不明瞭な逆向き羽状浅裂、又は逆向き羽状深裂、側裂片は3~8対、対生~斜めの対生、楕円形。三角形、又は菱形、葉の基部に向かって次第に小さくなり、先は円形、鈍形、又は鋭形、頂裂片は楕円形~卵形、先は円形。茎葉は無いか又は根生葉に似るが茎の上部では次第に小さくなり、分裂しなくなる。頭花は小花を15~20個もつ。総苞は円筒形、長さ6~7㎜。総苞片は4列、外側は無毛。外総苞片は長さ1.5㎜以下。葯筒は普通、3~4㎜。痩果は暗紫褐色、長さ2~2.5㎜。冠毛は長さ約3.5㎜。花期と果期は3~8月。
多年草、高さ50㎝以下。主茎は長さ2~6㎜。花枝は1~数本、無毛又は基部にわずかに微軟毛がある。葉は根生又は種数の茎葉、根生葉はロゼットになり、狭い倒披針形、長さ3~25㎝×幅0.7~6㎝、先は鋭形、基部は狭くなり、葉柄になり、羽状中裂、緩く、先が点状の歯牙状。頂裂片は最も大きく、デルタ状卵形。側裂片は基部に向かって次第に小さくなり、若いときには両面に微軟毛があるが、成熟すると無毛又はわずかに微軟毛があり、特に下面でなる。花序は円錐花序~散房花序、多数の頭花がつき、花序軸は無毛又は基部にわずかな微軟毛がある。頭花は直径9~13㎜。花序柄は長さ5~28㎜、細い。総苞は副咢をもち(calyculate)、長さ4~6㎜×幅2~4㎜。総苞片は2列、外総苞片は5個、卵形、長さ約0.5㎜。内総苞片は8個、長さ4~6㎜、披針形、鈍頭。小花は頭花に17~20個、舌状、黄色、花冠は長さ約7.5㎜。痩果は長円形、長さ約2~2.5㎜、赤褐色~暗紫褐色、先は次第に細くなり、ごく短い嘴がつき、ザラつくうねがある。冠毛は白色、長さ約3㎜、宿存する。
【subsp. formosana 台灣黃鵪菜】
台湾の固有亜種。標高1500~2500mに普通に見られる。別種とされていたが、その後、Youngia japonica subsp. japonica と同一とされていた。Nakamura & al. (2012, 2013) によりYoungia japonica subsp. monticolaとされた(参考)。
根生葉は普通、ビロード状で厚い。花枝は高さ7~17㎝。頭花は直径1.2~1.5㎝。総苞は長5㎜。花冠は長さ約7.5㎜。痩果は赤褐色~暗紫色、長さ2~2.5㎜。
中国原産。中国名は红果黄鹌菜 hong guo huang an cai。
痩果が真っ赤色、先が細くなり、丈夫な長さ0.2~0.4㎜の嘴になる。冠毛は±脱落性。総苞は長さ4~6㎜、冠毛は長さ2.5~3㎜。
1年草、高さ30~100㎝、茎は単生、細く、直立、基部近くから分枝する。枝は密で等間隔に近くつき、まばらに軟毛があるか又は無毛。根生葉は倒披針形、長さ8㎝×幅3㎝以下、頭大羽状全裂(lyrately pinnatisect)、無毛又は軟毛があり、多細胞の毛をもち、基部は漸尖し、葉柄状の部分があり、縁には波状歯がある。側裂片は(1~)2~3対、楕円形~狭楕円形、上側の裂片は最も大きく、先は鋭形。頂裂片は広卵形~広三角形、側裂片よりかなり大きく、先は鋭形。茎葉は根生葉に似ているが、むしろ披針形で、茎の上部で次第に小さくなり、やがて苞状になる。合成花序は円錐花序状の散房花序、数個~多数の頭花をもつ。頭花は小花が10~15個。花序柄は毛管状。総苞は円筒形、長さ4~6㎜。総苞片は外面が無毛。外総苞片は三角状卵形、最も大きいものは長さ葯㎜、先は鋭形。内総苞片は約8個、内側に伏した軟毛があり、中脈は頂点下が平ら、縁は狭く白色の薄膜質になり、先は鋭形。葯筒は緑色。花柱の枝は乾くと黄色。痩果は赤色、広紡錘形、長さ2~2.5㎜、扁平、側うねがあり、縁の痩果では明瞭に広く、うねには細かい針骨(spiculate)があり、先は漸尖し、丈夫な長さ0.2~0.4㎜の嘴がある。冠毛は白色、長さ2.5~3㎜、脱落性。花期と果期は4~8月。2n=16。
痩果が真っ赤色、先が細くなり、丈夫な長さ0.2~0.4㎜の嘴になる。冠毛は±脱落性。総苞は長さ6~7㎜、冠毛は長さ3~4㎜。
1年草、高さ20~50㎜。茎は直立、基部近くから類開出状に分枝し、下部に多細胞の毛をもち、上部は無毛になるか又は無毛。根生葉は倒披針形、長さ5~10㎝×幅1.5~3.5㎝、頭大羽状深裂~頭大羽状全裂、両面とも無毛又は±多細胞の軟毛があり、基部は漸尖し、葉柄状の部分があり、縁は波状歯がある。側裂片は2~3対、楕円形~狭楕円形。頂裂片は三角形、先は尖鋭形。下部と中間の茎葉は根生葉に似る。上部の茎葉は±線形、サイズが小さくなり、不分裂又は基部近くで鋭く2分裂する。合成花序は円錐花序状の散房花序、数個~多数の頭花をもつ。頭花は小花が13~15個。花序柄は毛管状。総苞は円筒形、長さ6~7㎜。総苞片は外側が無毛。外総苞片は卵形、長さ1㎜未満、先は鋭形。内総苞片は約8個、内側に伏した軟毛があり、中脈は頂点下が平ら、縁は狭く白色の薄膜質になり、先は±鋭形。葯筒は緑色。花柱の枝は乾くと黄色。痩果は赤色、広紡錘形、長さ約2㎜、ほぼ扁平、うねには細かい針骨( spiculate)があり、先は漸尖し、丈夫な長さ0.2~0.4㎜の嘴がある。冠毛は白色、長さ3~4㎜、±脱落性。花期と果期は7~11月。
4 ハイブリッド
(1) x Ixyoungia sekimotoi Kitam. オニジシバリ
オオジシバリ×オニタビラコの交雑種。
(2) x Ixyoungia yendoi Kitam. オニヒメジシバリ
イワニガナ×オニタビラコの交雑種。
Youngia lyrata (= Y. pseudosenecio) と Y. longiflora (= Y. taiwaniana)はY. japonica subsp. elstonii とY. japonica subsp. longifloraとして扱われ、それぞれ、広義のY. japonica,であり、Babcock and Stebbins (Publ. Carnegie Inst. Washington 484:97-98. 1937).に従う。Y. japonica subsp. longiflora はかなり、特徴のある分類群である一方、 Y. japonica subsp. japonicaとY. japonica subsp. elstoniiの間の境界は頻繁に変遷があり、分布パターンも散在であり、疑問がある。(Flora of China)
2013年にUrbatschらがsubsp. japonica から subsp. elstonii (as Y. thunbergiana)を区別した。subsp. elstoniiは4~10+個の茎葉をもち[節間長さ1㎝以下によって離れる](これに対し、subsp. japonicaは茎葉が1~2個)。葉身は斜上~開出する裂片をもち(これに対し、subsp. japonicaは逆向き羽状分裂)、裂片の縁は普通、離れた鋸歯と歯の先端に剛毛があり、剛毛の尖りは1㎜より長い(これに対し、subsp. japonicaは全縁、鋸歯又は小さな丸い裂片をもち、最も長い剛毛の尖りは普通、1㎜より短い。)(参考4)
Youngia japonicaは現在は汎熱帯性の雑草と考えられている。北アメリカの植物相の中ではBabcock and Stebbinsがsubsp. elstonii,と呼んだものに一致するものは比較的、少ない。これはほとんど根生葉と同じ大きさの茎葉をもち、頭花のつく花序の下部の枝の基部に分裂する苞もつ。北アメリカのほとんどがsubsp. japonicaであり、茎葉はかなり小さく又は無く、頭花のつく花序の苞がある。(Flora of North America)
アカオニタビラコ、アオオニタビラコはそれぞれ、YListではsubsp. japonica、subsp. elstoniとされたが以前にアオオニタビラコといわれていたものは次のとおりで、subsp. japonicaとは異なる。
1 Youngia atripappa (Babcock) N. Kilian蒲郡市東部の道端や空地などで見られるものは、開花が3月頃から始まるものも多く、比較的小型で茎葉がなく、花茎が1本だけのものと、茎が数本出るものがある。郊外のやや日陰には開花が遅くやや大型で、花茎が基部で紫色を帯び、分枝して数本~多数、直立するものがある。また、根茎があり多年草で葉が斜上~直立ぎみのものもある。この地域で3月に花が見られるものは葯筒の長さが約1㎜であり、葉の様子もアカオニタビラク subsp. elstonii であるが、花茎が多数のもの、多数で多年草のものがあり、花茎が1本のものは茎葉が0~少数であり、Flora of Chinaの解説とは完全には一致しない。また、花冠の先端が普通、橙色になり、まれに橙色にならないものもある。総苞片の下の少し離れた位置に披針形の副咢がある(calyculate)ものもある。葉の色は緑色、淡紫褐色の斑入り、部分的に赤色を帯びるものがある。葉先は顕著に鋭形のもの、先だけ鋭形のもの、円形のものが混在し、裂片のつく向きは上向き~下向きまで様々であり、基部の小さな裂片は三角形~狭三角形~披針形であり、葉柄に翼は無い。
オニタビラコ属は高さの低い多年草が多く、オニタビラコは多型であり、草丈も10~150㎝と様々である。Flora of Chinaでは1年草とし、日本では2年草とされていたが、台湾産のタカオタビラコsubsp. monticolaや九州に多いアオオニタビラコは多年草ともされている。
1.2年草[多年草]。高さ10~150㎝。花茎は1本又は少数、直立し、基部から分枝し、中間又は先だけ無毛又は基部にしばしば ±毛があり、葉が有又は無。根生葉は±倒披針形、長さ15(~20)㎝×幅4(~6)㎝以下、頭大羽状深裂又は頭大羽状全裂、まれに分裂せず、無毛又はやや有毛、基部は漸尖し、長い又は短い、狭い翼のある又は±翼の無い葉柄のような部分になり、縁には波状の歯がある。側裂片は少数~多数、卵形、菱形、又は楕円形、葉の基部に向かって次第に小さくなる。頂裂片は卵形、卵状披針形、又は倒卵形、側裂片よりかなり大きく、先は円形~鋭形。茎葉は根生葉に似ていて、茎の上部で急又は次第に小さくなり、苞になる。合成花序は散房花序~円錐花序状の散房花序、普通、多数の頭花がつく。頭花は小花を10~20個もつ。花序柄は毛管状。総苞は円筒形、長さ4~7㎜。総苞片は外側が無毛。外総苞片は卵形~三角形、最も長いものは1.5㎜未満、先は鋭形。内総苞片は内側に伏毛があり、中脈は頂点下が平らで、縁が±白色の薄膜質、先は鋭形。葯筒は暗褐色。花柱の枝は乾くと黄色。痩果は薄褐色~暗赤褐色~暗紫褐色、紡錘形、長さ1.5~2.5㎜、うねには細かい針骨があり(spiculate)、先は強く漸尖形。冠毛は白色、長さ2.5~3.5㎜。花期と果期は2~12月。2n=16。
中国には3亜種がある。
YListでは日本のものがアオオオニタビラコ、アカオニタビラコとして亜種に割り当てられているが、Flora of ChinaやFlora of North America の解説では色についての記載が無く、和名には違和感がある。
(1)アオオニタビラコ subsp .japonica
おそらく中国原産。世界中に分布。中国名は黄鹌菜(原亚种) huang an cai (yuan ya zhong)
1年草。普通、高さ10~90㎝。茎は単生又は少数、葉が無く苞だけをもつ又は基部の約1/3(~1/2)に1~2(又はそれ以上)個の葉をつける。根生葉はほとんど長さ15㎝×幅5㎝以下。総苞は長さ4~5㎜。外総苞片は1㎜未満。葯筒は普通、長さ1.7~2㎜。痩果は長さ1.5~2㎜。冠毛は長さ2.5~3.5㎜。花期と果期は2~12月。2n=16
(2)アカオニタビラコ subsp. elstonii
中国原産。中国名は卵裂黄鹌菜 luan lie huang an cai 。アメリカに帰化。
1年草。普通、高さ0.5~1.5m。茎はほとんどが1本、ほとんどよく発達した葉をもち、少なくとも茎の下半分につく。根生葉と下部の茎葉は長さ27㎝×幅7㎝以下、羽状深裂又は類頭大羽状深裂。側裂片は3~7対、間隔が開き、楕円形~三角形、葉の基部に向かって次第に小さくなり、最も下の裂片は普通、歯状になり、先は鋭形~鈍形。頂裂片は楕円形、先は鋭形。中間と上部の茎葉は下部の葉に似ているが、茎の上部では次第に小さく、分裂が少なくなり、次第に小さく苞になる。頭花は小花を約20個もつ。総苞は円筒形、長さ4~5.5㎜。外総苞片は長さ1㎜未満。葯筒は普通、長さ0.6~1㎜。痩果は長さ1.7~2㎜。冠毛は長さ3~3.5㎜。花期と果期は4~11月。
(3) オオバナオニタビラコ subsp. longiflora
中国、台湾原産。中国名は长花黄鹌菜 chang hua huang an cai。
1年草、普通、高さ30~90㎝、茎は単生又は少数、葉が無いか又は有る。根生葉は長さ23㎝×幅7㎝以下、頭大羽状浅裂、 頭大羽状深裂(lyrately pinnatipartite)、不明瞭な逆向き羽状浅裂、又は逆向き羽状深裂、側裂片は3~8対、対生~斜めの対生、楕円形。三角形、又は菱形、葉の基部に向かって次第に小さくなり、先は円形、鈍形、又は鋭形、頂裂片は楕円形~卵形、先は円形。茎葉は無いか又は根生葉に似るが茎の上部では次第に小さくなり、分裂しなくなる。頭花は小花を15~20個もつ。総苞は円筒形、長さ6~7㎜。総苞片は4列、外側は無毛。外総苞片は長さ1.5㎜以下。葯筒は普通、3~4㎜。痩果は暗紫褐色、長さ2~2.5㎜。冠毛は長さ約3.5㎜。花期と果期は3~8月。
類似のコオニタビラコは全体に小形で、毛がほとんどなく、頭花がやや大きく、痩果が長さ約4㎜、冠毛がなく、2個の角がある。ヤブタビラコはやや毛が少なく、痩果が長さ約2.5㎜、冠毛がなく、赤褐色扁平。
オニタビラコ属
family Asteraceae - genus Youngia多年草又は1年草[、2年草。直根をもつ]。花茎は無又は有、しばしばロゼットになり、無毛又はやや~まばらにクモ毛又は軟毛がある。合成花序は散房花序又は円錐状の散房花序、例外的に2次的な総状花序になる。頭花は小花が5~25個。総苞は円筒形、円筒状鐘形、鐘形又は広円筒形。総苞片は外面が無毛又はまれにややクモ毛があり、ごくまれに腺がある。外総苞片は少数~数個、求心的に長くなり、長さはせいぜい内総苞片の1/4(~1/2)[Flora of Noth Americaでは3~5+個のデルタ形~卵形の膜質の小苞=副咢Calyculiがあるとしている]。内総苞片は線状披針形、長さが等しく、中脈はほぼ先が鶏冠状で小角状になるか平らになる。花托は裸出、平ら~凸面、パレアは無い。小花は黄色。痩果は±紡錘形、円柱形、又は±円筒形、不明瞭に扁平又は類扁平、4~5本の主うねがあり、(1~)2本又はそれ以上の細い2次うねが伴い、普通、うねに細かい針骨(spiculate)があり、特に先にあり、先は漸尖又はまれに丈夫な短い嘴をもつ。冠毛は宿存し、白色、稀に、灰色~淡褐色になり、ザラつく。
世界に約30種あり、東アジアに分布する。
オニタビラコ属の主な種
1 Youngia japonica (L.) DC. オニタビラコ 鬼田平子 [広義]日本全土、朝鮮、中国、台湾、、アフガニスタン、インド、ブータン、東南アジア、オーストラリアに分布。おそらく中国原産と考えられている。中国名は黄鹌菜 huang an cai 。英名はOriental false hawksbeard , Oriental hawksbeard。
1年草。高さ10~150㎝。花茎は1本又は少数、直立し、基部から分枝し、中間又は先だけ無毛又は基部にしばしば ±毛があり、葉が有又は無。根生葉は± 倒披針形、長さ15(~20)㎝×幅4(~6)㎝以下、頭大羽状深裂又は頭大羽状全裂、まれに分裂せず、無毛又はやや有毛、基部は漸尖し、長い又は短い、狭い翼のある又は±翼の無い葉柄のような部分になり、縁には波状の歯がある。側裂片は少数~多数、卵形、菱形、又は楕円形、葉の基部に向かって次第に小さくなる。頂裂片は卵形、卵状披針形、又は倒卵形、側裂片よりかなり大きく、先は円形~鋭形。茎葉は根生葉に似ていて、茎の上部で急又は次第に小さくなり、苞になる。合成花序は散房花序~円錐花序状の散房花序、普通、多数の頭花がつく。頭花は小花を10~20個もつ。花序柄は毛管状。総苞は円筒形、長さ4~7㎜。総苞片は外側が無毛。外総苞片は卵形~三角形、最も長いものは1.5㎜未満、先は鋭形。内総苞片は内側に伏毛があり、中脈は頂点下が平らで、縁が±白色の薄膜質、先は鋭形。葯筒は暗褐色。花柱の枝は乾くと黄色。痩果は薄褐色~暗赤褐色~暗紫褐色、紡錘形、長さ1.5~2.5㎜、うねには細かい針骨があり(spiculate)、先は強く漸尖形。冠毛は白色、長さ2.5~3.5㎜。花期と果期は2~12月。2n=16。
【Flora of North America】 subsp. japonicaが多く、subsp. elstonii は少ない。
茎は柱状、中空。葉は葉柄が長さ1~10㎝、無毛、微軟毛があり、又は密に毛がある(毛はしばしば褐色を帯び、巻く)。葉身は長さ 3~12(~25)㎝×幅2~4(~6)㎝。側裂片は0~20個、下部で次第に小さくなる。頂裂片は楕円形、卵形、等卵形、又は長円状切形、側裂片より大きく、先は鈍形又は鋭形。花序柄は長さ1~5(~15)㎜。総苞片は3.5~6㎜、基部と中肋は± スポンジ状になり、外面は無毛、ほぼ無毛、又は有毛(毛は伏せ、光沢がある)。小花の花冠は主に長さ4.5~6.5㎜。葯は暗緑色(乾くと帯紫色)。花柱と花柱の枝は黄色。痩果は長さ1.5~2.5㎜、基部は中空、やや硬い。冠毛は長さ2.5~3.5㎜、総苞片をわずかに超す。2n=16。
1-1 Youngia japonica (L.) DC. subsp. japonica アオオニタビラコ 青鬼田平子
synonym Youngia fastigiata (Blume) Candollesynonym Youngia formosana (Hayata) H. Hara
synonym Youngia gracilis Miquel
おそらく中国原産。中国名は黄鹌菜(原亚种) huang an cai (yuan ya zhong)。
1年草。普通、高さ10~90㎝。茎は単生又は少数、葉が無く苞だけをもつ又は基部の約1/3(~1/2)に1~2(又はそれ以上)個の葉をつける。根生葉はほとんど長さ15㎝×幅5㎝以下。総苞は長さ4~5㎜。外総苞片は長さ1㎜未満。葯筒は普通、長さ1.7~2㎜。痩果は長さ1.5~2㎜。冠毛は長さ2.5~3.5㎜。花期と果期は2~12月。2n=16
【Flora of taiwan】
2年草。軟毛がある。茎は直立、しばしば基部で分枝する。高さ20~100㎝。根生葉は質が薄く、ロゼットになり、倒披針形、長さ8~25㎝×幅1.7~6㎝、鋭形、基部は狭くなり、葉柄になり、頭大羽状深裂、緩い微突形の歯があり、わずかに細かく縮れた微軟毛が両面にある。頂裂片は最も大きくデルタ状卵形、普通、先は円形。側裂片は次第に小さくなる。頭花は直径7~8㎜、多数、頂生の散房状円錐花序につく。花序柄は長さ6~25㎜、細い。総苞は長さ4~6㎜×幅3~4㎜、副咢をもつ(calyculate)。外総苞片は少数、内総苞片よりかなり小さく、卵形、長さ約0.5㎜。内総苞片は8個、披針形、鈍頭。小花は17~19個、長さ5~8㎜。痩果は長円形、長さ約1.8㎜、褐色、先は次第に狭くなり、11~13本のザラつくうねがある。冠毛は白色、長さ約3㎜、宿存性。
1-2 Youngia japonica (L.) DC. nothosubsp. intermedia (Seriz.) アイオニタビラコ
synonym Youngia x intermedia Seriz.アオオニタビラコ×アカオニタビラコの交雑種
1-3 Youngia japonica (L.) DC. subsp. elstonii (Hochr.) Babcock et Stebb. アカオニタビラコ 赤鬼田平子
synonym Youngia pseudosenecio (Vaniot) C.Shihsynonym Youngia lyrata Cass.
synonym Youngia thunbergiana DC. [GRIN]
synonym Youngia akaoni Seriz. f. luteoalba Seriz.
synonym Youngia akaoni Seriz.
中国原産。中国名は卵裂黄鹌菜 luan lie huang an cai
1年草。普通、高さ0.5~1.5m。茎はほとんどが1本、ほとんどよく発達した葉をもち、少なくとも茎の下半分につく。根生葉と下部の茎葉は長さ27㎝×幅7㎝以下、羽状深裂又は類頭大羽状深裂。側裂片は3~7対、間隔が開き、楕円形~三角形、葉の基部に向かって次第に小さくなり、最も下の裂片は普通、歯状になり、先は鋭形~鈍形。頂裂片は楕円形、先は鋭形。中間と上部の茎葉は下部の葉に似ているが、茎に上部では次第に小さく、分裂が少なくなり、次第に小さく苞になる。頭花は小花を約20個もつ。総苞は円筒形、長さ4~5.5㎜。外総苞片は長さ1㎜未満。葯筒は普通、長さ0.6~1㎜。痩果は長さ1.7~2㎜。冠毛は長さ3~3.5㎜。花期と果期は4~11月。
1-4 Youngia japonica (L.) DC. subsp. longiflora Babcock et Stebb. オオバナオニタビラコ 大花鬼田平子
synonym Youngia longiflora (Babcock et Stebb.) C.Shihsynonym Youngia taiwaniana S. S. Ying
中国、台湾原産。中国名は长花黄鹌菜 chang hua huang an cai
1年草、普通、高さ30~90㎝、茎は単生又は少数、葉が無いか又は有る。根生葉は長さ23㎝×幅7㎝以下、頭大羽状浅裂、 頭大羽状深裂(lyrately pinnatipartite)、不明瞭な逆向き羽状浅裂、又は逆向き羽状深裂、側裂片は3~8対、対生~斜めの対生、楕円形。三角形、又は菱形、葉の基部に向かって次第に小さくなり、先は円形、鈍形、又は鋭形、頂裂片は楕円形~卵形、先は円形。茎葉は無いか又は根生葉に似るが茎の上部では次第に小さくなり、分裂しなくなる。頭花は小花を15~20個もつ。総苞は円筒形、長さ6~7㎜。総苞片は4列、外側は無毛。外総苞片は長さ1.5㎜以下。葯筒は普通、3~4㎜。痩果は暗紫褐色、長さ2~2.5㎜。冠毛は長さ約3.5㎜。花期と果期は3~8月。
1-5 Youngia japonica (L.) DC. subsp. monticola Koh.Nakam. et C.-I.Peng タカサゴオニタビラコ 高砂鬼田平子
synonym Youngia japonica (L.) DC. subsp. formosana (Hayata) Kitam. タカオタビラコ
台湾原産。多年草、高さ50㎝以下。主茎は長さ2~6㎜。花枝は1~数本、無毛又は基部にわずかに微軟毛がある。葉は根生又は種数の茎葉、根生葉はロゼットになり、狭い倒披針形、長さ3~25㎝×幅0.7~6㎝、先は鋭形、基部は狭くなり、葉柄になり、羽状中裂、緩く、先が点状の歯牙状。頂裂片は最も大きく、デルタ状卵形。側裂片は基部に向かって次第に小さくなり、若いときには両面に微軟毛があるが、成熟すると無毛又はわずかに微軟毛があり、特に下面でなる。花序は円錐花序~散房花序、多数の頭花がつき、花序軸は無毛又は基部にわずかな微軟毛がある。頭花は直径9~13㎜。花序柄は長さ5~28㎜、細い。総苞は副咢をもち(calyculate)、長さ4~6㎜×幅2~4㎜。総苞片は2列、外総苞片は5個、卵形、長さ約0.5㎜。内総苞片は8個、長さ4~6㎜、披針形、鈍頭。小花は頭花に17~20個、舌状、黄色、花冠は長さ約7.5㎜。痩果は長円形、長さ約2~2.5㎜、赤褐色~暗紫褐色、先は次第に細くなり、ごく短い嘴がつき、ザラつくうねがある。冠毛は白色、長さ約3㎜、宿存する。
【subsp. formosana 台灣黃鵪菜】
台湾の固有亜種。標高1500~2500mに普通に見られる。別種とされていたが、その後、Youngia japonica subsp. japonica と同一とされていた。Nakamura & al. (2012, 2013) によりYoungia japonica subsp. monticolaとされた(参考)。
根生葉は普通、ビロード状で厚い。花枝は高さ7~17㎝。頭花は直径1.2~1.5㎝。総苞は長5㎜。花冠は長さ約7.5㎜。痩果は赤褐色~暗紫色、長さ2~2.5㎜。
2 Youngia erythrocarpa (Vaniot) Babcock et Stebb. アカミオニタビラコ 赤実鬼田平子
synonym Youngia rubida Babcock et Stebb.中国原産。中国名は红果黄鹌菜 hong guo huang an cai。
痩果が真っ赤色、先が細くなり、丈夫な長さ0.2~0.4㎜の嘴になる。冠毛は±脱落性。総苞は長さ4~6㎜、冠毛は長さ2.5~3㎜。
1年草、高さ30~100㎝、茎は単生、細く、直立、基部近くから分枝する。枝は密で等間隔に近くつき、まばらに軟毛があるか又は無毛。根生葉は倒披針形、長さ8㎝×幅3㎝以下、頭大羽状全裂(lyrately pinnatisect)、無毛又は軟毛があり、多細胞の毛をもち、基部は漸尖し、葉柄状の部分があり、縁には波状歯がある。側裂片は(1~)2~3対、楕円形~狭楕円形、上側の裂片は最も大きく、先は鋭形。頂裂片は広卵形~広三角形、側裂片よりかなり大きく、先は鋭形。茎葉は根生葉に似ているが、むしろ披針形で、茎の上部で次第に小さくなり、やがて苞状になる。合成花序は円錐花序状の散房花序、数個~多数の頭花をもつ。頭花は小花が10~15個。花序柄は毛管状。総苞は円筒形、長さ4~6㎜。総苞片は外面が無毛。外総苞片は三角状卵形、最も大きいものは長さ葯㎜、先は鋭形。内総苞片は約8個、内側に伏した軟毛があり、中脈は頂点下が平ら、縁は狭く白色の薄膜質になり、先は鋭形。葯筒は緑色。花柱の枝は乾くと黄色。痩果は赤色、広紡錘形、長さ2~2.5㎜、扁平、側うねがあり、縁の痩果では明瞭に広く、うねには細かい針骨(spiculate)があり、先は漸尖し、丈夫な長さ0.2~0.4㎜の嘴がある。冠毛は白色、長さ2.5~3㎜、脱落性。花期と果期は4~8月。2n=16。
3 Youngia rubida Babc. & Stebbins ヨウンギア・ルビア
中国原産。中国名は川黔黄鹌菜 chuan qian huang an cai。痩果が真っ赤色、先が細くなり、丈夫な長さ0.2~0.4㎜の嘴になる。冠毛は±脱落性。総苞は長さ6~7㎜、冠毛は長さ3~4㎜。
1年草、高さ20~50㎜。茎は直立、基部近くから類開出状に分枝し、下部に多細胞の毛をもち、上部は無毛になるか又は無毛。根生葉は倒披針形、長さ5~10㎝×幅1.5~3.5㎝、頭大羽状深裂~頭大羽状全裂、両面とも無毛又は±多細胞の軟毛があり、基部は漸尖し、葉柄状の部分があり、縁は波状歯がある。側裂片は2~3対、楕円形~狭楕円形。頂裂片は三角形、先は尖鋭形。下部と中間の茎葉は根生葉に似る。上部の茎葉は±線形、サイズが小さくなり、不分裂又は基部近くで鋭く2分裂する。合成花序は円錐花序状の散房花序、数個~多数の頭花をもつ。頭花は小花が13~15個。花序柄は毛管状。総苞は円筒形、長さ6~7㎜。総苞片は外側が無毛。外総苞片は卵形、長さ1㎜未満、先は鋭形。内総苞片は約8個、内側に伏した軟毛があり、中脈は頂点下が平ら、縁は狭く白色の薄膜質になり、先は±鋭形。葯筒は緑色。花柱の枝は乾くと黄色。痩果は赤色、広紡錘形、長さ約2㎜、ほぼ扁平、うねには細かい針骨( spiculate)があり、先は漸尖し、丈夫な長さ0.2~0.4㎜の嘴がある。冠毛は白色、長さ3~4㎜、±脱落性。花期と果期は7~11月。
4 ハイブリッド
(1) x Ixyoungia sekimotoi Kitam. オニジシバリ
オオジシバリ×オニタビラコの交雑種。
(2) x Ixyoungia yendoi Kitam. オニヒメジシバリ
イワニガナ×オニタビラコの交雑種。
オニタビラコの亜種
【subsp. japonicaとsubsp. elstoni)の区別】Youngia lyrata (= Y. pseudosenecio) と Y. longiflora (= Y. taiwaniana)はY. japonica subsp. elstonii とY. japonica subsp. longifloraとして扱われ、それぞれ、広義のY. japonica,であり、Babcock and Stebbins (Publ. Carnegie Inst. Washington 484:97-98. 1937).に従う。Y. japonica subsp. longiflora はかなり、特徴のある分類群である一方、 Y. japonica subsp. japonicaとY. japonica subsp. elstoniiの間の境界は頻繁に変遷があり、分布パターンも散在であり、疑問がある。(Flora of China)
2013年にUrbatschらがsubsp. japonica から subsp. elstonii (as Y. thunbergiana)を区別した。subsp. elstoniiは4~10+個の茎葉をもち[節間長さ1㎝以下によって離れる](これに対し、subsp. japonicaは茎葉が1~2個)。葉身は斜上~開出する裂片をもち(これに対し、subsp. japonicaは逆向き羽状分裂)、裂片の縁は普通、離れた鋸歯と歯の先端に剛毛があり、剛毛の尖りは1㎜より長い(これに対し、subsp. japonicaは全縁、鋸歯又は小さな丸い裂片をもち、最も長い剛毛の尖りは普通、1㎜より短い。)(参考4)
Youngia japonicaは現在は汎熱帯性の雑草と考えられている。北アメリカの植物相の中ではBabcock and Stebbinsがsubsp. elstonii,と呼んだものに一致するものは比較的、少ない。これはほとんど根生葉と同じ大きさの茎葉をもち、頭花のつく花序の下部の枝の基部に分裂する苞もつ。北アメリカのほとんどがsubsp. japonicaであり、茎葉はかなり小さく又は無く、頭花のつく花序の苞がある。(Flora of North America)
subsp. japonica | subsp. elstoni | subsp. longiflora | |
高さ | 10~90(100)㎝ | 50~150㎝ | 30~90㎝ |
茎の数 | しばしば分枝し、数本 | ほとんど1本 | 1~少数 |
根生葉の大きさ | 長さ15㎝×幅5㎝以下 | 長さ27㎝×幅7㎝以下 | 長さ23㎝×幅7㎝以下 |
茎葉 | 基部約1/3(~1/2) 1~2 |
下部の1/2以下 4~10+ |
0~少数 |
茎葉の形 | 小さく、ほとんど苞 | 根生葉と同じ、次第に小さくなり、苞状 | 小さく、ほとんど苞 |
葉の裂片 | 上向き~横向き | 下向き? | 横向き~下向き |
葉の裂片の数 | 3~7対 | 3~7対 | 3~8対 |
裂片の微突の長さ | 1㎜以下 | 1㎜以上 | 不明 |
頂裂片の先 | 円形(鈍形~鋭形) | 鋭形 | 円形 |
頭花の直径 | 7~8㎜ | 7~10㎜ | 15㎜以下 |
小花の数 | 10~20(17~19)個 | 約20個 | 15~20個 |
総苞の長さ、幅 | 4~5(6)×3~4㎜ | 4~5.5㎜ | 6~7(8)㎜ |
総苞片の列 | 2列 | 2列 | 4列 |
外総苞片の長さ | (約0.5)1㎜未満 | 1㎜未満 | 1.5㎜以下 |
葯筒の長さ | 1.7~2㎜ | 0.6~1㎜ | 3㎜以下 |
痩果の色 | 褐色 | 1.5~2㎜ | 暗紫褐色 |
痩果の長さ | 1.5~2㎜ | 1.5~2㎜ | 2~2.5()2.6㎜ |
冠毛の長さ | 2.5~3.5㎜ | 3~3.5㎜ | 約3.5㎜ |
花期 | 12~2月 | 4~11月 | 3~8月 |
アカオニタビラコ、アオオニタビラコはそれぞれ、YListではsubsp. japonica、subsp. elstoniとされたが以前にアオオニタビラコといわれていたものは次のとおりで、subsp. japonicaとは異なる。
アオタビラコ | アカオニタビラコ | アイオニタビラコ | |
日本内の分布 | 九州中部以南 | 関東地方北部以北 | 本州中部以西 |
生活型 | 多年草 | 2年草 | - |
生育地 | 道端など攪乱地 | 自然度が高い場所 | - |
茎の色、太さ | 緑色、細い | 紫色、太い | - |
茎の毛 | 少ない | 多い | - |
茎の数 | 基部から多数 | ほとんど1本 | - |
茎葉 | ほとんど0 | 数個 | - |
茎葉の形 | 小さく、ほとんど苞 | 根生葉と同じ、次第に小さくなり、苞状 | - |
葉色 | 緑色 | 赤い斑が入る | - |
頂裂片の先 | 鋭形 | 円形~鈍形 | - |
頭花の直径 | 8~13㎜ | 7~10㎜ | - |
オニタビラコ属の他の多年草
中国、インド、ブータン原産。中国名は纤细黄鹌菜 xian xi huang an cai
多年草。高さ20-40 cm 。
2 Youngia bifurcata Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は顶凹黄鹌菜 ding ao huang an cai
多年草。高さ12-13 cm
3 Youngia cineripappa (Babcock) Babcock & Stebbins
中国、インド、ミャンマー、ベトナム原産。中国名は鼠冠黄鹌菜 shu guan huang an cai
多年草。高さ40-150 cm 。冠毛は帯灰色、長さ4~5㎜。
4 Youngia conjunctiva Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は甘肃黄鹌菜 gan su huang an cai
多年草。高さ4-12 cm
5 Youngia cristata C. Shih & C. Q. Cai,
中国原産。中国名は角冠黄鹌菜 jiao guan huang an cai
多年草。高さ3-5 cm
6 Youngia fusca (Babcock) Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は厚绒黄鹌菜 hou rong huang an cai
多年草。高さ20-40 cm
7 Youngia gracilipes (J. D. Hooker) Babcock & Stebbins
中国、インド、ブータン、ネパール原産。中国名は细梗黄鹌菜 xi geng huang an cai
多年草。高さ 3-10[-15] cm
8 Youngia hastiformis C. Shih
中国原産。中国名は顶戟黄鹌菜 ding ji huang an cai
多年草。高さ10-30 cm
9 Youngia henryi (Diels) Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は长裂黄鹌菜 chang lie huang an cai
多年草。高さ15-80 cm 。茎は単生。冠毛は白色、長さ4.5~5㎜。
10 Youngia heterophylla (Hemsley) Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は异叶黄鹌菜 yi ye huang an cai
1年草、多年草。高さ30-110 cm
11 Youngia kangdingensis C. Shih
中国原産。中国名は康定黄鹌菜 kang ding huang an cai
多年草。高さ7-20 cm
12 Youngia lanata Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は绒毛黄鹌菜 rong mao huang an cai
多年草。高さ9-30 cm
13 Youngia mairei (H. Leveille) Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は东川黄鹌菜 dong chuan huang an cai
多年草。高さ15-25 cm
14 Youngia paleacea (Diels) Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は羽裂黄鹌菜 yu lie huang an cai
多年草。高さ30-100 cm 葉柄に翼がある。
15 Youngia pilifera C. Shih
中国原産。中国名は糙毛黄鹌菜 cao mao huang an cai
多年草。高さ8-30 cm
16 Youngia racemifera (J. D. Hooker) Babcock & Stebbins
中国、インド、ブータン、ネパール原産。中国名は总序黄鹌菜 zong xu huang an cai
多年草。高さ20-70 cm 。冠毛は淡褐色、長さ7~9㎜。
17 Youngia prattii (Babcock) Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は川西黄鹌菜 chuan xi huang an cai
多年草。高さ15-60 cm 。茎は単生。葉先が長く尖る。冠毛は白色、長さ4~5㎜。花期は6~9月。
18 Youngia sericea C. Shih
中国原産。中国名は绢毛黄鹌菜 juan mao huang an cai
多年草。高さ3-6 cm
19 Youngia simulatrix (Babcock) Babcock & Stebbins
中国、インド、ネパール原産。中国名は无茎黄鹌菜 wu jing huang an cai
多年草。高さ5(-8) cm
20 Youngia szechuanica (E. S. Soderberg) S. Y. Hu
中国原産。中国名は少花黄鹌菜 shao hua huang an cai
多年草。高さ15-40 cm 。冠毛は黄褐色。
21 Youngia terminalis Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は大头黄鹌菜 da tou huang an cai
多年草。高さ20-50 cm。茎は非常に細く、上部で分枝。
22 Youngia wilsonii (Babcock) Babcock & Stebbins
中国原産。中国名は栉齿黄鹌菜 zhi chi huang an cai
多年草。高さ13-40 cm
23 Youngia yilingii C. Shih
中国原産。中国名は艺林黄鹌菜 yi lin huang an cai
多年草。高さ3-10 cm
参考
1) Flora of ChinaYoungia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=135219
2)GRIN Youngia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=13000
3) Plants of the World Online | Kew ScienceYoungia
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30147267-2
4) Cichorieae PortalYoungia japonica subsp. monticola
http://cichorieae.e-taxonomy.net/portal/cdm_dataportal/taxon/9546b1bc-094d-40de-bffd-131121414ba2
Youngia japonica subsp. elstonii
http://cichorieae.e-taxonomy.net/portal/cdm_dataportal/taxon/12721677-a453-49bb-9c92-f38e19230df6
5)Atlas of Living AustraliaYoungia japonica (L.) DC.
https://bie.ala.org.au/species/https://id.biodiversity.org.au/node/apni/2888317
6) Flora of TaiwanYoungia japonica subsp. japonica
http://efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=100&taxon_id=242426452