ウスベニチチコグサ 薄紅父子草

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae ウスベニチチコグサ属

中国名 合冠鼠麴草 he guan shu qu cao
英 名 purple cudweed ,purplish cutweed ,purple everlasting ,spoon-leaf cudweed
学 名 Gamochaeta purpurea (L.) Cabrera
Gnaphalium purpureum L.
Gamochaeta ustulata (Nuttall) Holub
ウスベニチチコグサの花
ウスベニチチコグサの花序
ウスベニチチコグサの総苞
ウスベニチチコグサの茎
ウスベニチチコグサ根元
ウスベニチチコグサ
ウスベニチチコグサの葉表
ウスベニチチコグサの葉裏
ウスベニチチコグサの痩果
花 期 4~5(6)月
高 さ 10~40(~50)[60]㎝。
生活型 1年草(ときに冬1年草)
生育場所 道端、荒地、草地
分 布 帰化種 南・北アメリカ原産
撮 影 蒲郡市形原町  02.5.11
アメリカ原産で、世界各地に広く帰化している。2015年にウスベニチチコグサによく似たキヅキチチコグサGamochaeta argyrineaが愛知県でも報告された。キヅキチチコグサは花時に根生葉があり、内総苞片の先が切形~円形。
 根はひげ根と直根。茎は太く、根元から分枝して直立~傾伏斜上し、密だが緩くフェルト状又はフェルト状の綿毛で覆われる。葉は根生葉と茎葉。根生葉と下部の茎葉は普通、花期の前に枯れる。根生葉は長さ1.6~12.5㎝、茎葉は長さ1~6㎝、幅5~14㎜、倒披針形~へら形、縁がときに波打つ。面は2色。下面は密な白色のフェルト状。上面は普通、まばらなクモの巣状の毛がある(毛の基部の細胞は宿存し、広がり、ガラス状)、ときに、無毛になる。茎葉は10~18個。頭花は初め、連続した穂状につき、花序は長さ1~4(~5)㎝×幅(5~)10~15㎜。後に、団散花序(glomerule)が離れてとびとびにつき(団散花序は広く離れてつき、苞があり、下部はしばしば長い花序柄の上につく)。総苞はこま状円筒形、長さ4~4.5㎜、基部にまばらにクモ毛がある。総苞は4~5列。外総苞片は卵状三角形、長さは無い総苞片の1/3~2/3、先は鋭形~尖鋭形。無い総苞片は三角状披針形(普通、条線があり)、薄片は帯紫色(蕾で)~帯白色~銀色(果実で)、先は鋭形(尖鋭形ではない)。両性小花は頭花に3~4個つく。花冠は上部が普通、帯紫色。痩果は(タン色)、長さ0.6~0.7㎜、パピラがある。冠毛は1列につき、長さ約3㎜、基部が合着し、痩果から離れてもばらばらにならない。 2n = 14, 28。
 チチコグサは小型で茎が細く、花序の柄が短く、花序の下に苞葉が放射状につく。葉が細く、根生葉がある。
 チチコグサモドキは全体の綿毛が柔らかく、総苞の先が尖り、総苞片が紅紫色にならない。
 タチチチコグサは総苞片が紅紫色にならない。茎上部の葉が細く、葉表の緑色がやや濃い。
 ウラジロチチコグサは総苞片が蕾の頃に紅紫色になり似ている。花序が長く、総苞片の先が鈍く、表面に毛が無い。葉表の毛がほとんどなく、葉裏が著しく白い。ただし、葉表に毛があり、見分けがつかないほど似ていることがある。花期にも根生葉があることで見分ける。
 セイタカハハコグサは花序の枝が横に出て、頭花が帯黄褐色~帯褐紫色。

ウスベニチチコグサ属

  family Asteraceae - genus Gamochaeta

 1年草又は多年草。葉は互生し、平ら、綿毛が両面にあり、全縁。頭花は円盤型頭花(disciform 中心小花は両性又は機能が雄性、周辺小花は筒状雌性)、普通、連続する又は途切れる穂状花序の中の団散花序(glomerule)につき、ときに、円錐花序につく。総苞片は帯褐色、紙質、機械組織(stereome)は分かれていない。花托は平ら、パレアは無い。周辺小花は紫色、糸状。中心小花は両性、紫色。葯は平らな付属体をもつ。花柱の枝は切形、先に毛がある。痩果は長円形、球形の対の毛をもつ。冠毛は剛毛、毛細管、ひげ状の剛毛、環状に合着する。
 世界に約53種あり、カリブ海沿岸諸国 、中央アメリカ、北アメリカ、南アメリカに分布する。いくつかの種がアジア、ヨーロッパ、オーストラリアに帰化している。

ウスベニチチコグサ属の主な種

1 Gamochaeta argyrinea G.L.Nesom  キヅキチチコグサ
 北アメリカ原産。英名は silvery cudweed , silvery everlasting。道端、道端、芝地、開けた林、砂又は粘土質土壌、荒地に生える。ウスベニチチコグサとよく混同される。愛知県でも確認されている。ウスベニチチコグサは花期に根生葉が無い。
 1年草(冬1年草)。高さ12~40㎝、普通、ひげ根をもち、まれに直根がある。茎は傾伏~斜上、密に白色のフェルト状になり(white-pannose)、毛は普通、個々に明らかで、めったに布のようにはならない。葉は根生葉と茎葉、花期に根生葉はある。葉身は倒披針形~倒披針状長円形~倒披針状倒卵形、長さ1.5~5(~8)㎝×幅5~12(~18) ㎜、 (上部では次第に小さくなり)、面は2色、下面は密に白色のフェルト状、上面にはまばらにクモ毛がある(10倍で明瞭)。頭花は初め、連続した円筒状花序につき、花序は長さ1.5~5㎝×幅10~12㎜(圧搾される)。後に、ときに間隔が開き、長さ5~18㎝×幅10~12㎜(圧搾され、下部の節から腋生の団散花序を生じる)。総苞は鐘形、長さ3~3.5㎜、基部はまばらにクモの巣状になる。総苞片は4~6列、外総苞片(黄褐色、半透明、暗褐色にはならない)は卵形~卵状披針形、長さは内総苞片の1/3~4/5、先は鋭形~尖鋭形。内総苞片は楕円状長円形~長円形、薄片はしばしば紫色を帯びる(機械組織/薄片の接合部の周り、他は透明でわずかに帯褐色)、先は切形~円形、微突頭(果時に外側へわずかに屈曲する)。雌性小花は花冠の上部が紫褐色~黄褐色。中心小花は両性、4~5(~6)個、全ての花冠は上部が紫褐色~黄褐色。痩果は(タン色)長さ0.5~0.6㎜。花期は3~6(10)月。

【キヅキチチコグサとウスベニチチコグサの区別】
a.根生葉は宿存し、花時に緑色。茎葉は倒披針形~倒披針状長円形~倒披針状倒卵。葉の上面の毛が基部から先まで糸状。総苞は高さ3~3.5㎜。内総苞片は薄片が長円形、先が切形~円形、微突頭。両性の小花は頭花に 4~5(~6)個。・・・・・・・・・・・・キヅキチチコグサGamochaeta argyrinea
a. 根生葉は花時に普通、枯れて落ちる。茎葉はへら形。葉の上面の毛は基部の細胞が広がり、ガラス質。総苞は高さ4~4.5㎜。内総苞片は薄片が三角形、先は鋭形だが微突形ではない。両性小花は頭花に3~4個。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウスベニチチコグサGamochaeta purpurea

2 Gamochaeta calviceps (Fernald) Cabrera  タチチチコグサ 立父子草
  synonym Gnaphalium calviceps Fernald 
 南アメリカ、北アメリカ原産。中国名は直茎合冠鼠麴草 zhi jing he guan shu qu cao 。英名はlinearleaf cudweed ,narrowleaf purple everlasting。別名はホソバノチチコグサモドキ。日本には大正時代に渡来し、全国的に帰化している。チチコグサモドキやウラジロチチコグサなどと混生していることも多い。道端、荒地に生える。
 1年草。高さ8~45(55)㎝。茎は基部でよく分枝し、茎や葉裏には白い綿毛が密生し、葉の表面にも綿毛が生える。根生葉は花期には無い。葉は互生し、長さ2~6㎝、幅2~9㎜の倒披針形~さじ形、先がやや尖り、茎上部の葉は幅が狭い。葉腋から短い枝を出し、小さな頭花を多数つける。花序は初め長さ2~4㎝の穂状、後に長さ4~18㎝の円錐状になる。総苞は長さ3~3.5㎜、下部が膨らみ、先は急に細くならない。総苞片は5~7列、白色~黄褐色~褐色、先が鋭く尖り、綿毛が生える。外総苞片は内総苞片の1/3~1/2長、花冠は白色~紫色を帯び、先端が濃色。周囲の雌花は多数、両性の中心花は2~4個。痩果は長さ0.4~0.5㎜の惰円形、乳頭状突起がある。冠毛は長さ約2㎜、1列につき、取れやすい。冠毛の基部は合着する。花期は4~9月。

3 Gamochaeta coarctata (Willd.) Kerguelen ウラジロチチコグサ
  synonym Gamochaeta spicata (Klatt) Cabrera
  synonym Gnaphalium coarctatum Willd.
  synonym Gnaphalium spicatum Lam.
 南アメリカ(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ)原産。英名はelegant cudweed , shiny cudweed , American everlasting 。中国名は里白合冠鼠麴草 li bai he guan shu qu cao。
 昭和40年代後半に知られるようになり、現在では日本全土で見られるようになっている。和名の由来は葉の表面には毛が少なく、裏に白い綿毛が密生することから。道端、空地、草地に生える。
 2年草。高さ20~80㎝。茎は白色の綿毛が密生し、根元で多数分枝して直立する。花期にも根生葉があり、ロゼットは地面に張りつき、踏みつけられる場所でも見られる。葉は幅の広いへら形、葉の表面は毛が少なく、毛が全くないものは濃緑色で光沢があり、葉裏は白色の綿毛が密生して著しく白い。葉縁は細かく波状に縮れる。根生葉の葉表は薄らと毛があり、光沢がほとんどないことも多い。茎葉は6~10個つく。長さ2~20㎝の長い穂状花序を茎上部につけ、壺形の頭花を多数つける。頭花の中心部には2~3個の両性花、周囲には多数の雌花がつく。総苞は長さ2.5~3㎜、上部が細い。総苞片は4~5列、鈍頭、蕾や若いときは紅紫色を帯びる。痩果は長さ0.5~0.6(実測0.61~0.66)㎜の長楕円形、乳頭状突起があり、冠毛は1列につく。冠毛は長さ約2㎜、基部が合着し、痩果から離れてもばらばらにならない。2n=28。花期は5~8月。

4 Gamochaeta pensylvanica (Willd.) Cabrera  チチコグサモドキ 父子草擬
  synonym Gnaphalium pensylvanicum Willd.
  synonym Gnaphalium peregrinum Fernald
  synonym Gnaphalium purpureum var. spatulatum (Lam.) Baker
 南アメリカ原産。英名はPennsylvania cudweed 。中国名は匙叶合冠鼠麴草 shi ye he guan shu qu cao 。英名はPennsylvania cudweed ,Pennsylvania everlasting ,wandering cudweed。大正末から昭和初期に渡来し、現在は全国的に普通に見られる。道端、荒地、草地、畑地にっ生える。
 1,2年草。高さ10~50㎝。全体に柔らかで、弱々しく見える。茎は直立し、緩くクモの巣状の綿毛がある。葉は幅が広く、長さ2~7㎝、幅4~16㎜のスプーン形~倒披針形、先があまり尖らない。葉のコントラストは弱く、緩くクモの巣状の綿毛がある。苞葉は頭花の固まりの基部につく。花序は長さ1~12㎝、幅10~15㎜の穂状、頭花の固まりが離れてとびとびにつく。総苞は長さ3~3.5㎜、カップ形~鐘形、先が急に細くなり、柔らかな綿毛がある。総苞片は3~4列につき、外総苞片は三角状卵形、内総苞片の1/2~2/3長、先が尖る。内総苞片は惰円形、鈍頭~鋭頭、やや紫色~褐色を帯びることが多く、まれに透明、ときに金色。雌花は普通、先が紫色を帯びる。中心花(両性花)は3~4個、先が紫色を帯びる。痩果は長さ0.4~0.5㎜、表面に乳頭状突起がある。冠毛は長さ約2㎜、1列につき、基部が合着する。2n=28。花期は4~9月。

5 Gamochaeta purpurea (L.) Cabrera  ウスベニチチコグサ 薄紅父子草
  synonym Gnaphalium purpureum L.
  synonym Gnaphalium purpureum var. purpureum L.
 北アメリカ(カナダ, USA , メキシコ)、南アメリカ(ブラジル、エクアドル、ペルー、パラグアイ、ウルグアイ、ニカラグア、イスパニョーラ島)原産。英名はpurple cudweed ,purplish cutweed ,purple everlasting ,spoon-leaf cudweed。中国名は合冠鼠麴草 he guan shu qu cao 。世界各地に広く帰化している。道端、荒地、草地に生える。
 1年草(ときに冬1年草)。高さ10~40(~50)[60]㎝。根はひげ根と直根。茎は太く、根元から分枝して直立~傾伏斜上し、密だが緩くフェルト状又はフェルト状の綿毛で覆われる。葉は根生葉と茎葉。根生葉と下部の茎葉は普通、花期の前に枯れる。根生葉は長さ1.6~12.5㎝、茎葉は長さ1~6㎝、幅5~14㎜、倒披針形~へら形、縁がときに波打つ。面は2色。下面は密な白色のフェルト状。上面は普通、まばらなクモの巣状の毛がある(毛の基部の細胞は宿存し、広がり、ガラス状)、ときに、無毛になる。茎葉は10~18個。頭花は初め、連続した穂状につき、花序は長さ1~4(~5)㎝×幅(5~)10~15㎜。後に、団散花序(glomerule)が離れてとびとびにつき(団散花序は広く離れてつき、苞があり、下部はしばしば長い花序柄の上につく)。総苞はこま状円筒形、長さ4~4.5㎜、基部にまばらにクモ毛がある。総苞は4~5列。外総苞片は卵状三角形、長さは無い総苞片の1/3~2/3、先は鋭形~尖鋭形。無い総苞片は三角状披針形(普通、条線があり)、薄片は帯紫色(蕾で)~帯白色~銀色(果実で)、先は鋭形(尖鋭形ではない)。両性小花は頭花に3~4個つく。花冠は上部が普通、帯紫色。痩果は(タン色)、長さ0.6~0.7㎜、パピラがある。冠毛は1列につき、長さ約3㎜、基部が合着し、痩果から離れてもばらばらにならない。 2n = 14, 28。花期は4~5(6)月。

6 Gamochaeta sylvatica (L.) Fourr.  エダウチチチコグサ 枝打父子草
  synonym Gnaphalium sylvaticum Linnaeus
 中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は林地合冠鼠麴草 lin di he guan shu qu cao 。開けた林、沼地の多い林、岩の多い斜面、森林の中の空地、畑地、林縁、ぬかるんだ土手、荒地に生える。日本では寒冷地の北海道、青森県などで帰化が確認されている。
 多年草。根茎は短い。茎は高さ20~60㎝、主に単生又は少数、帯白色~灰色の綿毛又は短軟毛がある。葉は緑色又はまれに灰緑色、線形~線状披針形、幅5~8㎜、上面はほぼ無毛又は±伏した長軟毛があり、脈は1本。頭花は円筒形又は鐘形、長さ5~7㎜×幅3~5㎜、葉腋と複合の穂状の合成の先に集まってつく。上部の葉は穂状の合成花序の最も上では普通、不明瞭。総苞片は20~25個、に、褐色がかった灰色又はわら色、ときに、帯緑色、条線の上部に明瞭な褐色の斑点がある。外総苞片は楕円形、内総苞片より短く、有毛。痩果は帯褐色、長円状のプリズム形。冠毛は25~35本、細く、白色、円鋸歯状の毛であり、花冠と同長、基部は合着し、輪になる。花期は6~9月。2n = 56。

参考

1) Flora of Noth America
  Gamochaeta
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=113220
2)GRIN
  Gamochaeta
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=4835
3)Flora of North America
 Gamochaeta
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=113220
4) Plants of the World Online | Kew Science
  Gamochaeta
 http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:330075-2
5) The Jepson Herbarium
 Gamochaeta argyrinea
 https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=81020
6)BRIT.ORG/SIDA 21(2): 717–741. 2004
 NEW SPECIES OF GAMOCHAETA (ASTERACEAE: GNAPHALIEAE)
 FROM THE EASTERN UNITED STATES AND COMMENTS ON SIMILAR SPECIES
 http://www.guynesom.com/Gamochaetaargychio.pdf