チチコグサ 父子草

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae  チチコグサ属

中国名 细叶鼠麴草 xi ye shu qu cao
英 名 Japanese cudweed ,father-and-child plant
学 名 Euchiton japonicus (Thunb.) Holub
 synonym Gnaphalium japonicum Thunb.
チチコグサの紅色の強い花序
チチコグサの花序
チチコグサの花
チチコグサの花
チチコグサの総苞
チチコグサ果実の冠毛
チチコグサ茎
チチコグサ
チチコグサ根生葉
チチコグサ根生葉裏
チチコグサ根生葉のロゼット
チチコグサ根生葉の葉表が白いロゼット
チチコグサ痩果
花 期 5~10月
高 さ 5~30㎝
生活型 多年草
生育場所 道端、草地、荒地
分 布 在来種 日本全土、朝鮮、中国、台湾、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア
撮 影 幸田町  12.5.24
和名はハハコグサに対してつけられた。ハハコグサ属からチチコグサ属 Euchiton に分離された。
 葡枝を出して、増える。茎は細く、曲がってしまうことが多く、綿毛がある。根生葉は花期にも残り、長さ2.5~10㎝の線状披針形、葉表には綿毛が生え、葉裏には綿毛が密生する。葉表の毛の量は多いものと少ないものがある。茎葉は線形で2~4個、上部ほど小さい。頭花は花序の柄が短く、茎の先に頭状に丸く固まってつく。披針形の苞葉が花序の下に接して放射状に3~4個つく。頭花の中央部は数個の両性花、周囲には多数の雌花が並び、ともに結実する。花冠は先が紅紫色を帯び、葯は黄色。総苞は細長い。総苞片は膜質、若いときは紅紫色~淡褐色、後に褐色を帯び、先は鈍形。痩果は長く、長さ0.8~1.0㎜、表面に乳頭状突起があり、長さ約3㎜の冠毛が1列につく。冠毛の基部は離性。2n=28。
 類似の外来種には、チチコグサモドキウラジロチチコグサウスベニチチコグサタチチチコグサなどがあり、同じような場所によく生え、混生するのはウラジロチチコグサである。ウラジロチチコグサは葉の幅が広い。

チチコグサ属

  family Asteraceae - genus Euchiton
 
 1年草又は多年草、しばしばロゼットになり、匍匐枝を出すし、腺の無い綿毛をもつ。葉は根生葉と茎葉、互生し、葉柄は無又は偽葉柄があるり、全縁。頭花は円盤型頭花(disciform)、ほぼ鐘形、まれに狭い卵形、単生又は頂部に束生し、ときに下部に腋生の密散花序(束生)する。総苞片は2~5列につき、長さは外から内に増加し、総苞片の下部は草質、縁は透明、中間部分はときに着色する。小花は全て筒状、外側の小花は糸状、雌性、花冠が3~4裂する。内側の小花は両性、普通、雌性小花よりはるかに少なく(Euchiton umbricolaを除いて)、花冠に帯紫色の5裂片をもつ。葯には短い尾がある。花柱の枝は線形、先は切形。痩果は扁平な楕円形、長さ0.6~1.5㎜、普通、多数のごく微細な対のパピラをもち、ときに短毛がある。冠毛は全縁又は基部に短い縁毛があり、小グループで個々に落ち、又は1単位として落ちる。x=14。
 世界に約17種があり、オーストラリア、ニュージーランド、ニューギニア、東南アジアに分布する。
 旧ハハコグア属(Gnaphalium)のGnaphalium sect. Euchiton (Cass.) DC.から属として独立した。
 旧ハハコグサ属(Gnaphalium)約200種はヒメチチコグサ属(Gnaphalium)49種、ハハコグサ属( Pseudognaphalium)86種、チチコグサ属(Euchiton)17種、ウスベニチチコグサ属(Gamochaeta)48種、オマロテカ属(Omalotheca)4種に分けられた。

チチコグサ属の主な種

1 Euchiton involucratus (G.Forst.) Anderb. ニイタカチチコグサ 新高父子草

  synonym Gnaphalium involucratum G.Forst.
  synonym Euchiton pulchellus Cass.  モリチチコグサ

  synonym Gnaphalium involucratum G.Forst. var. ramosum DC. モリチチコグサ

 台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は星芒鼠麴草 xing mang shu qu cao。英名はcommon cudweed。草が茂った開けた場所、しばしば、湿っていたり濡れた場所に生える。USA(カリフォルニア州、マサチューセッツ州)に帰化している。
 2年草または多年草、高さ30~40c、ひげ根、普通、匍匐枝は無い[オーストラリアとニュージーランドにはあると報告されている]。地上茎は直立し、単純、薄く、宿存する白色の綿毛がある。根生葉は開花前に枯れる。茎葉は6~10枚つき、葉身は線形~線状倒披針形または線状披針形、長さ3~8cm×幅2~3㎜(茎の中央で最大)、基部はほぼ抱茎(拡大しない)、縁は外巻き、下面は銀色、綿毛があり、上面は緑色 、ほぼ無毛(光沢がある)。苞は頭花の基部に3~5個つき、長さ10~15㎜、頭花を超え、短いものもつく。頭花は直径10~15mmの半球形に束生する(ときに腋生の束生も伴う)。総苞は長さ4~4.5mm。総苞片は黄褐色~または帯バラ色(光沢)、長円形、先は円形~鈍形。雌性の小花は80~150個つく。両性の小花は3~5(~7)個。冠毛は剛毛、離生または基部でまとまり(グループに分かれる)。花期は7~10月。

2 Euchiton japonicus (Thunb.) Anderb. チチコグサ 父子草
  synonym Gnaphalium japonicum Thunb
 日本全土、朝鮮、中国、台湾、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア原産。中国名は细叶鼠麴草 xi ye shu qu cao 。英名はJapanese cudweed ,father-and-child plant。道端、草地、荒地に生える。
 多年草。高さ5~30㎝。葡枝を出して、増える。茎は細く、曲がってしまうことが多く、綿毛がある。根生葉は花期にも残り、長さ2.5~10㎝の線状披針形、葉表には綿毛が生え、葉裏には綿毛が密生する。葉表の毛の量は多いものと少ないものがある。茎葉は線形で2~4個、上部ほど小さい。頭花は花序の柄が短く、茎の先に頭状に丸く固まってつく。披針形の苞葉が花序の下に接して放射状に3~4個つく。頭花の中央部は数個の両性花、周囲には多数の雌花が並び、ともに結実する。花冠は先が紅紫色を帯び、葯は黄色。総苞は細長い。総苞片は膜質、若いときは紅紫色~淡褐色、後に褐色を帯び、先は鈍形。痩果は長く、長さ0.8~1.0㎜、表面に乳頭状突起があり、長さ約3㎜の冠毛が1列につく。冠毛の基部は離性。2n=28。花期は5~10月。

ヒメチチコグサ属

  family  Asteraceae - genus   Gnaphalium

 1年草 [2年草又は多年草]、高さ (1~)3~30㎝、普通、直根があり、ときにひげ根をもつ。茎は普通、1本、直立 (しばしば、基部から傾伏~斜上する枝をもち、羊毛状の綿毛があり、腺は無い)。葉はほとんどが茎葉、互生し、ほぼ無柄。葉身は倒披針形~へら形~線形、基部は±楔形、全縁、面は同色、灰色、綿毛がある。頭花は円盤型頭花(disciform:中心小花は両性又は機能が雄性、周辺の筒状小花は雌性)、普通、束生(葉腋又は苞腋に)し、ときに穂状花序状の団散花序(glomerules.)につく。総苞は狭鐘形~広鐘形、長さ2.5~4㎜。総苞片は3~5列につき、普通、白色~黄褐色~褐色(不透明又は透明、しばしば光沢があり、機械組織は普通、上部に腺がある)、ほぼ等長~不等長、先は紙質(内総苞片は狭長円形、普通、先が白色、上部~外側に突き出る)。花托は平ら、平滑、パレアは無い。 周辺(雌性)称花は40~80個 (両性小花より多数)、花冠は帯紫色又は帯白色。内側の(両性)称花は4~7個。花冠は帯紫色又は帯白色。痩果は長円形、面は普通、無毛、ときに微細なパピラがある。冠毛はすぐに落ち、8~12本の分離したひげ状の剛毛であり、1列につく。x=7。
 世界に約49種[Flora of North America:38]あり、北アメリカ、メキシコ、南アメリカ、アジア、アフリカ、オーストラリアに分布する。

ヒメチチコグサ属の主な種

1 Gnaphalium polycaulon Pers. インドチチコグサ 印度父子草

  synonym Gnaphalium multicaule Willd.
  synonym Gnaphalium niliacum Raddi ex Spreng.
  synonym Gnaphalium strictum Roxb
 中国、台湾、インド、パキスタン、タイ、アフリカ(エジプト)、熱帯アメリカ、オーストラリア原産。中国名は多茎鼠麴草 duo jing shu qu cao。英名はIndian cudweed。道端の湿った日当たりの良い場所や草地、耕作地やその周辺などに生える汎熱帯性雑草。Flola of ChinaやKewscienceでは日本も分布域に入れられている。
 1年草、矮性、直立~傾伏、密に白色の羊毛状綿毛があり、特に上部に多い。 茎は細く、単純またはよく分枝し、高さ8~25㎝、直径 0.5~1.5㎜。 葉は無柄、灰緑色、へら形または倒披針形~長楕円形、長さ1.5~4.5㎝×幅3~8㎜、両面に薄く伏した綿毛があり、縁と中肋下部はときに紫色を帯び、基部は狭く、葉柄状、縁は波打ち、先は鈍形で短突起がある。頭花は2~5個、茎や枝先の長さ2㎝以下の穂状花序につき、鐘形、長さ2.5~3㎜×幅2~2.5㎜、基部から2/3まで密に羊毛状の毛がある。総苞片は3列、緩く、覆瓦状、次第に先が淡褐色になり、中部は赤紫色、基部は緑色、乾燥すると褐色、楕円状卵形~楕円形~線状長円形、長さ1.6~2.2㎜×幅0.5~0.8㎜、薄膜質、先は鋭形。花托は直径約1.3㎜、穴がある。周辺小花は多数、花冠は緑黄色、糸状、長さ約1.2㎜、先は微細に2~3裂し、紫色を帯びる。 中心小花は5~6個、緑黄色、筒状、約・長さ1.5㎜×幅0.5㎜、先端に5個の歯があり、歯は紫色を帯びる。雄しべは黄色、長さ約0.6㎜、葯は基部で矢じり状になり、花柱の周りで筒部に合着する。花柱は白色、長さ約1.6㎜、花柱の枝は線形、橙黄色になる。子房はオリーブ色、円筒形、長さ約0.5㎜。痩果は淡褐色、長円状四角形、長さ約0.5㎜、細かな点々がある。冠毛は帯白色、長さ約1.2㎜、剛毛は5~8本、離生、別々に落ちる。花期は1~4月。2n=14。

2 Gnaphalium tranzschelii Kirp. ホウキハハコグサ
  synonym Filaginella tranzschelii (Kirp.) Holub
 中国名は湿生鼠麴草。Kewscience, Flora of ChinaではGnaphalium uliginosumに含めている。

3 Gnaphalium uliginosum L. ヒメチチコグサ 姫父子草
  synonym Gnaphalium mandshuricum Kirp.
  synonym Gnaphalium tranzschelii auct. non Kirp.
  synonym Gnaphalium tranzschelii Kirp. ホウキハハコグサ
 日本(北海道、本州北部)、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、カザフスタン、パキスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は湿生鼠麴草 shi sheng shu qu cao 。英名はcudweed , low cudweed , marsh cudweed , mouse-ear , low cudweed。湿地、川岸、湿った草地、塩分土壌、道端、カラマツ林に生える。
 1年草。茎は直立、高さ12~35㎝、普通、基部から分枝し、ときに単純、密~緩く白色の羊毛状の毛がある。葉は根生葉と茎葉、白色の羊毛状の毛がある。根生葉と下部の茎葉は花時前に枯れる。中間の茎葉は多数、線形~倒披針形、長さ2~5㎝×幅1.5~3(~5)㎜、基部は漸尖形、無柄、先は鈍形。団散花序(glomerules.)状の頭花は多数、束生し、腋生及び枝先につき、基部につく葉を超える。総苞はほぼ球形、直径2~4㎜。総苞片は帯褐色又は緑色、先がしばしば淡色になる。外総苞片は鈍形。周辺小花は雌性、花冠は糸状、長さ約1.5㎜。中心小花は長さ約1.5㎜。痩果は長円形、長さ0.5~0.7㎜、パピラがあるか又は無毛。冠毛は目立つ細管状の剛毛、白色、ばらばらに落ちる。花期は7~10月。2n=14, 56。

参考

1) GRIN
 Gnaphalium
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=5040
2) Kewscience
 Gnaphalium
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:981299-1
 Erechtites hieraciifolius (L.) Raf. ex DC.
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:1152557-2
3) Flora of North America
 Gnaphalium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=113778
4)Flora of China
 Gnaphalium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=113778
5)Flora of Pakistan
 Gnaphalium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=113778
6)Flora of Victoria
 Euchiton
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/2c69edfb-0e7e-4f09-a5ee-d1c3ca13e550
7)Flora of North America
 Euchiton
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=112265