チョウジタデ 丁字蓼

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Flora of Mikawa

アカバナ科 Onagraceae チョウジタデ属

別 名 タゴボウ
中国名 假柳叶菜 jia liu ye cai
学 名 Ludwigia epilobioides Maxim.
 synonym Ludwigia epilobioides Maxim. subsp. epilobioides
チョウジタデの花
チョウジタデの花
チョウジタデの茎
チョウジタデの果実
チョウジタデの紅葉
チョウジタデ
チョウジタデの葉表
チョウジタデの葉裏
チョウジタデの果実
チョウジタデの種子
花 期 8~10月
高 さ 30~70(130)㎝
生活型 1年草
生育場所 水田、湿地
分 布 在来種  日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア、ベトナム
撮 影 御津町内 01.9.13
全体にほぼ無毛。茎は4稜があり、太くて強く、暗紅色を帯びることが多く、よく分枝し、無毛又は細かい軟毛がある。葉は互生し、葉柄は長さ3~15㎜。葉身は長さ1~10㎝、幅4~25㎜の披針形~長楕円状披針形、全縁、基部は狭楔形、先は尖鋭頭。葉の側脈は8~13対、先端がつながり、縁に平行した葉縁脈は不明瞭。花は直径6~8㎜。萼片は4~5個、まれに6個、三角状、長さ1.5~4.5㎜,軟毛がある。花弁は黄色、4~5個、長さ1.8~2㎜、幅0.7~1.2㎜、倒卵形。花弁は萼片の長さと同じ程度。雄しべは花弁と同じ4~5個。花糸は長さ0.5~1.2㎜。葯は長さ0.4~0.7㎜。花粉は単一。花柱は長さ0.5~1.2㎜。柱頭は球形。蒴果は淡褐色、長さ1~2.8㎝、直径1~2㎜の類線形~円柱状、低い4稜があり、種子は室に1、2列に並ぶ。種子は長さ0.8~1.4㎜、淡褐色、暗赤褐色の筋があり、縦の隆起は不明瞭。2n=48。
 外来種のヒレタゴボウは茎に翼があり、花が大きく、4弁花。
 類似種のウスゲチョウジタデは茎や葉に細毛が生え、花は5弁でやや大きく、花床に白毛が密生し、茎はあまり紅色を帯びない。

チョウジタデ属

  family Onagraceae - genus Ludwigia

 1年草又は多年草、直立~平伏、節から根を出し、又は低木~まれに小高木。水面下の部分はしばしば膨れてスポンジ状、又は膨れた白色のスポンジ状の呼吸根(pneumatophores)をもつ。葉は互生[又は対生]、普通、全縁。托葉は有、退化し、脱落性。苞葉は2個、子房の基部又は基部近くにつくか、又は無い。花は完全な放射相称、上部の葉腋の穂状花序、総状花序につき、又は束生する。花筒(floral tube)は子房を超えて長くならない。萼片は(3~)4~5(~7)個、緑色、花後に宿存する。花弁は萼片と同数又は無く、黄色又は白色、早落性。雄しべは萼片の数と同数又は2倍。葯は多方向又はときに、底着。花粉は単集粒又は4集粒 又は多集粒。子房は萼片と同数の室をもち、まれにそれ以上の室をもち、先は平ら又は円錐形、しばしば花弁につく各雄しべの基部を取り囲んだ凹んだ蜜腺をもつ。柱頭は頭状又は半球形、全縁又は分裂し、上部の1/2~2/3が受容性。果実は倒卵形~円筒形の蒴果、不規則又は頂部の孔から、又はバルブ状の先の分かれた可動翼(flaps)により裂開する。種子は多数、室に1~数列につき、分離又は粉質又木質の内果皮に埋め込まれ、縫線(raphe)は小さく又は目立ち、ときに大きさが種子と等しくなる。2n=16, 32, 48, 64, 80, 96, 128。
 世界に82種があり、南極大陸を除いて、全世界に分布する。

チョウジタデ属の主な種と園芸品種

1 Ludwigia adscendens (L.) H.Hara ケミズキンバイ 毛水金梅
 日本(南西諸島)、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、湖南省、江西省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ネパール、スリランカ、パキスタン、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、アジア南部、アジア南東部、アフリカ、オーストラリア原産。中国名は水龙 shui long 。英名はwater-primrose。海抜1600メートル付近までの湿った湿地、水田、池、タンク、溝の端の水に浮遊する。
 多年草、匍匐性または浮遊性の茎を持ち、節から発根し、浮遊茎の節に白色の直立する短い(長さ1~3㎝)紡錘形の呼吸根(pneumatophores)が束生する。浮遊茎は長さ400㎝まで、地上茎は長さ20~60㎝、よく分枝し、先端は斜上し、無毛または密な絨毛がある。葉柄は長さ5~20㎜。葉身は長円形~ヘラ状長円形、長さ0.4~7㎝×幅0.7~3㎝、無毛、側脈は片側に6~13本、亜縁脈(submarginal vein)は目立たず、基部は狭い楔形または漸尖形、縁は全縁、先は鈍形~ほぼ鋭形。 萼片は5個、三角状尖鋭形、長さ5~11㎜、無毛または絨毛がある。花弁は乳白色、基部は黄色、倒卵形、長さ9~18㎜×幅6~10㎜。 雄しべは10本。花糸は白色、長さ2.5~4㎜。葯は長さ0.7~1.8㎜。花粉は単集粒(monads)。花柱は白色、長さ4~10㎜、無毛。 柱頭は円盤形。蒴果は薄褐色で暗褐色の肋を持ち、円筒形、円柱形、長さ1.2~2.7㎝×直径3~4㎜、無毛または絨毛があり、壁が厚く、遅く(tardily)不規則に裂開する。小花柄は長さ1.5~5.5cm。 種子は小室あたり1列につき、蒴果の壁に木質の内果皮が融合して一体化した立方体に埋め込まれ、淡褐色、長円形または楕円形、長さ1.1~1.3 mm、縫線(raphe)は目立たない。花期は4~11月。果期は5~11月。2n=32。

2 Ludwigia decurrens Walter ヒレタゴボウ 鰭田牛蒡
 北アメリカ、南アメリカ原産。英名はwingleaf primrose-willow, winged water-primrose, erect primrose willow。中国名は翼莖水丁香 yi jing shui ding xiang。別名はアメリカミズキンバイ。 水田、湿地 に生える。
1年草。高さ30~150㎝。茎は直立~斜上、よく分枝し、断面が四角形、葉のつく下部に翼がある。この翼(ひれ)が和名の由来。葉は互生し、ほぼ無柄。葉身は無毛、柔らかく、長さ5~15㎝、幅1.5~3㎝の披針形~狭披針形、全縁、葉の幅が最も広いのは中間より基部に寄り、先は次第に細くなって尖り、基部は楔形~円形、柄状に急に細くなり、狭い翼状に茎の稜に流れる。花は葉腋に単生し、直径約2.5㎝。花弁は4個、黄色、広倒卵形。萼片は4個、長さ7~10㎜の卵形、先が長く尖る。雄しべ8個。蒴果は長さ10~20㎜、4稜形、先に大きな4個の萼片が残る。蒴果は完熟して褐色になり、萼片もなくなり、蒴果の側面が破れて多数の種子が落ちる。冬にほとんど種子がなくなった枯れた蒴果が残る。種子は長さ0.4~0.6㎜の類楕円形、淡褐色。花期は8~10月。2n=16。

3 Ludwigia epilobioides Maxim チョウジタデ 丁字蓼
 日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア、ベトナム原産。中国名は假柳叶菜 jia liu ye cai 。別名はタゴボウ。水田、湿地に生える。
 1年草。高さ30~70(130)㎝。全体にほぼ無毛。茎は4稜があり、太くて強く、暗紅色を帯びることが多く、よく分枝し、無毛又は細かい軟毛がある。葉は互生し、葉柄は長さ3~15㎜。葉身は長さ1~10㎝、幅4~25㎜の披針形~長楕円状披針形、全縁、基部は狭楔形、先は尖鋭頭。葉の側脈は8~13対、先端がつながり、縁に平行した葉縁脈は不明瞭。花は直径6~8㎜。萼片は4~5個、まれに6個、三角状、長さ1.5~4.5㎜,軟毛がある。花弁は黄色、4~5個、長さ 1.8~2㎜、幅0.7~1.2㎜、倒卵形。花弁は萼片の長さと同じ程度。雄しべは花弁と同じ4~5個。花糸は長さ0.5~1.2㎜。葯は長さ0.4~0.7㎜。花粉は単一。花柱は長さ0.5~1.2㎜。柱頭は球形。蒴果は淡褐色、長さ1~2.8㎝、直径1~2㎜の類線形~円柱状、低い4稜があり、種子は室に1、2列に並ぶ。種子は長さ0.8~1.4㎜、淡褐色、暗赤褐色の筋があり、縦の隆起は不明瞭。花期は8~10月。2n=48。

3-1 Ludwigia epilobioides Maxim. subsp. epilobioides チョウジタデ 丁字蓼

  synonym Ludwigia prostrata auct. non Roxb.

3-2 Ludwigia epilobioides Maxim. subsp. greatrexii (H.Hara) P.H.Raven ウスゲチョウジタデ

  synonym Ludwigia greatrexii (H.Hara) H.Hara
 日本固有亜種(本州関東地方以西、九州、沖縄)。
 1年草。高さ30~70㎝。茎と葉に細毛が生え、茎はあまり紅色を帯びない。葉は互生し、長さ7~8㎝、幅7~8㎜の披針形~長楕円状披針形、全縁。花は黄色、直径約8㎜。花弁は5個、長さ約4㎜、倒卵形、花弁の間に隙間があまりないことが多い。萼片は5個、長さ3~4㎜。花柄は無い。花床には白毛が密生する。蒴果は長さ約2㎝。花期は8~10月。

4 Ludwigia glandulosa Walter ミソハギダマシ
 北アメリカ原産。英名はcylindricfruit primrose-willow。
 多年草、細長い。匍匐茎は長さ5~20㎝、太さ0.4~0.8㎜。 茎は直立し、わずかにうねがあり、通常よく分枝し、高さ10~80(~100)㎝、しばしば、葉腋から沿下して伸びる伏した小剛毛(strigillose)の隆起線をもつ。葉は互生する。托葉は卵状三角形、長さ0.15~0.35㎜×幅0.05~0.25㎜、多肉質。 匍匐茎:葉柄は漸尖し、長さ0.3~1cm、葉身は狭楕円形、長さ1.5~3.5(~5.5)㎝×幅0.5~1.3(~2)㎝。 主茎:葉柄は長さ0~1.5㎝、葉身は通常狭楕円形~楕円形、ときに線形、長さ3~12 ㎝×幅0.3~2.1㎝、基部は漸尖形、縁はほぼ全縁、胞状腺(hydathodal glands)がしばしば見られ、先は鋭形~非常に狭い鋭形、表面は密なパピラのある伏した小剛毛があり、下面の脈は無毛、またはまばらに微細な伏した小剛毛がある。側枝の葉は通常小さくなり、長さ0.8~4.5㎝×幅0.2~1㎝。苞はかなり小さくなる。花序は開き、葉がつく総状花序または穂状花序があり、花は葉腋に単生し、しばしば密集し、特に枝に密集する。小苞は子房の基部の小花柄の上につき、または基部から上部2㎜までにつき、狭披針形~ほぼ線形、長さ0.4~1㎜×幅0.1~0.4㎜、先は尖鋭形、表面はほぼ無毛。花: 萼片は斜上し、薄緑色、卵状三角形、長さ1.1~2.3㎜×幅1~1.8㎜、縁は全縁、微小な伏した小剛毛で縁取られ、先は短い尖鋭形または鋭形、表面は無毛。花弁は無い。花糸はほぼ半透明、長さ0.6~1.1㎜。葯は長さ0.3~0.5㎜×幅0.3~0.6㎜。花粉は4集粒 (tetrads)。子房はほぼ円筒形、長さ2~5㎜×幅0.8~1.9㎜。蜜腺盤(nectary disc)は子房の先で0.3~0.4㎜隆起し、薄緑色、直径0.6~1.8㎜、4裂し、無毛または微細なパピラがある。花柱は淡緑色、長さ0.3~0.8㎜、無毛、柱頭は広こん棒形~ほぼ球形、長さ0.2~0.5㎜×幅0.2~0.5㎜、葯を超えて突き出さない。蒴果はほぼ円筒形、ほぼ円柱形~不明瞭な4稜形で4本の浅い溝があり、長さ2~8(~9)㎜×幅1.3~2(~3)㎜、壁が硬く、不規則に裂開し、小花柄は長さ0~0.3(~0.5)㎜。子は淡褐色、先端がわずかに尖った腎臓形、長さ0.5~0.8㎜×長さ0.3~0.4㎜、表面細胞は円柱状で、種子の長さに対して平行または横に長く伸る。2n=32。
4-1 Ludwigia glandulosa subsp. glandulosa
 USA東南部に分布する。標高0~300mの道路脇の溝、湿地、池の境界、湿った牧草地、湿地、沖積氾濫原、泥炭湿原、湿った松林、湿地帯の森林、荒地に生える。
 茎は通常赤緑色、高さ(20~)40~80(~100)㎝。 葉:葉柄は長さ0.1~1.5㎝、葉身は楕円形から極狭楕円形、主軸上のものは長さ3.2~12㎝×幅0.4~2.1㎝、枝上のものは1~4.5×0.3~1㎝。 花序:小苞は子房の基部または基部から2㎜上部に付着し、まれに小花柄にあり、長さ0.5~1㎜×幅0.2~0.4㎜。花:萼片は長さ1.3~2.3㎜×幅1.2~1.7㎜、先は尖鋭形。 蜜腺盤は無毛。花柱は長さ0.3~0.5㎜、柱頭は直径0.3~0.5㎜。蒴果はほぼ円柱形、長さ(4~)5~8(~9)㎜×幅1.6~2(~3)㎜。小花柄は長さ0~0.4(~0.5)㎜。種子は長さ0.5~0.7㎜×幅0.3~0.4㎜、表面細胞は種子の長さに平行に伸びる。花期は6~9月。

4-2 Ludwigia glandulosa subsp. brachycarpa C. I. Peng

 ルイジアナ州、オクラホマ州、テキサス州に分布。標高0~200mの溝、低い牧草地、海岸の草原、砂質の森の浸出場所、花崗岩の露頭の湿った陥没穴、古い粘土原に生える。
 茎は稀に赤緑色、高さ10~55(~90)㎝。葉:葉柄は長さ0~1㎝、葉身は線形~楕円形から線形、時には非常に狭い楕円形、主軸上のものは長さ3~5(~7)㎝×幅0.3~0.5(~1)㎝、枝上のものは長さ0.8~3.6㎝×幅0.2~ 0.3(~0.8)㎝。 花序:子房の基部に付着するブラクテオール、長さ0.4~0.8㎜×幅0.1~0.2㎜。花:萼片は長さ1.1 ~ 1.9㎜×幅1 ~ 1.8㎜、先は鋭形または短い尖鋭形。蜜腺盤は不明瞭、微細なパピラがある。花柱は長さ0.4~0.8㎜。柱頭は直径0.2~ 0.3㎜。 蒴果は不明瞭な4稜形、長さ2~5㎜×葉q場1.3~2mm。小花柄は長さ0~0.2mm。種子は長さ0.6~0.8㎜×幅0.3~0.4㎜、表面細胞は種子の長さに対して横方向に伸びる。花期は4~11月。

5 Ludwigia grandiflora (Michx.) Greuter et Burdet オオバナミズキンバイ 大花水金梅

 北アメリカ、南アメリカ原産。英名はUruguayan Hampshire-purslane , large-flower primrose-willow
 陸上茎には開出した軟毛が密生する。葉は互生し、葉身は長さ3~10(13)㎝の長楕円形~倒披針形~広倒卵形、葉縁に細毛があり、葉表面には軟毛が散生し、葉裏には軟毛が多い。葉身基部は楔形、先は鋭頭、先端には腺点がある。 葉柄は上部ではほとんどなく、長さ(0)1~20(33)㎜、基部に楕円形の小さな托葉がつく。 水中茎は無毛、沈水葉も無毛、葉身は円形~倒卵形、鈍頭、先端に腺体は無い。花は単生し、長さ13~25(47)㎝の花柄があり、黄色で大きい。萼片は5個、長さ8~12(15) ㎜、鋭頭、有毛。花弁は5(6)個、鮮橙黄色、長さ15~18(20) ㎜の倒卵形、先はやや凹む。果実は長さ13~25(27)㎜、有毛。種子は長さ0.8~1㎜。2n=48(6倍体)。

5-1 Ludwigia grandiflora (Michx.) Greuter et Burdet subsp. grandiflora オオバナミズキンバイ

5-2 Ludwigia grandiflora (Michx.) Greuter et Burdet subsp. hexapetala (Hook. et Arn.) G.L.Nesom et Kartesz ウスゲオオバナミズキンバイ

 多年草。基準変種のオオバナミズキンバイより萼片、花弁、花柱が平均して長く、茎・葉の毛が少ない。ミズキンバイやケミズキンバイと交雑する可能性が指摘されている。
同株内でも浮葉型から抽水型(水深0.3~1.5m付近)があり、陸域では陸上型(水深0.1~0.5 m付近)に変化する。萼片は長さ0.8~1.9㎝。花弁は長さ1.5~3.0㎝。花柱は長さ5.8~10.0㎝、cm)が亜種2n=80(10倍体)。花期は6~10月。

6 Ludwigia hyssopifolia (G.Don) Exell タゴボウモドキ 田牛蒡擬

  synonym Ludwigia micrantha (Kunze) H.Hara 
 中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、アジア南東部、アフリカ、太平洋諸島、南アメリカ原産。中国名は草龙 cao long 。チョウジタデに酷似するが、雄しべが8本である。日本に帰化している。湿った開けた荒地、小川の縁、道端の溝、農地、開けた湿った林に生える。
 1年草。直立、ときに基部が木質で多年草になる。しばしば、水中では沈水枝に長い呼吸根( pneumatophores)をもつ。茎は高さ50~300㎝、分枝し、新しい枝や花序に微軟毛がある、葉柄は長さ3~18㎜。葉身は披針形、長さ2~9㎝×幅0.5~2㎝、ほぼ無毛又は微軟毛があり、側脈は各側に7~15対、亜葉縁脈(submarginal vein)は不明瞭、葉の基部は狭楔形、先は尖鋭形。萼片は4個、披針形、長さ2~4㎜、細かい微軟毛がある。花弁は黄色、橙黄色に退色し、楕円形、長さ2~3㎜×幅1~2㎜。雄しべは萼片の数の2倍(8本)つく。葯は長さ0.4~0.6㎜、花粉は単一。花柱は長さ1~1.5㎜。柱頭は扁球形。蒴果は円筒形、類円柱形、上部の1/6~1/3で大きくなり、長さ1.5~3㎝、細かい微軟毛があり、壁が比較的に薄く、ほぼ無柄。種子は上部の膨らんだ蒴果中の室に2列又はそれ以上の列に並び、分離し、淡褐色、卵形、長さ0.3~0.5㎜、縫線(raphe)は狭い。下部の蒴果の中の種子は室に1列につき、比較的硬い内果皮の立方体の中に埋め込まれ、褐色、長さ0.7~0.9㎜、縫線は種子の幅の約1/3.花期と果期は1~2月。2n=16。

7 Ludwigia inclinata (L.f.) M.Gomez
  synonym Ludwigia inclinata var. verticillata
 南アメリカ原産。英名はYellow ludwigia , Cuban Ludwigia。ラグーンや沼地に生える。
 水草、無毛、茎は分枝し、下部の節で発根する。根生葉は輪生し、長さ0.8~3.5×幅0.2~0.7cm、線形または長円状披針形。上部の茎葉は葉柄があり、葉身は長さ1~10㎝×幅0.3~0.5cm、長円形~倒卵形~倒披針形。小花柄は長さ2~70㎜。萼片は4個、長さ8~14㎜、卵形または楕円形。花弁は長さ12~25㎜、黄色。雄しべは8または4本。蜜腺盤(nectary disc)は平ら。蒴果は倒円錐形、長さ1.5~3cm×幅0.1~0.5㎝、無毛。 種子は各小室に0~多列。 n=8。(.Flora Mesoamericana)。花期は3月、6月、11月。果期は3月、11月。
品種)  'Crystal' , 'Cuba' , 'Cuely' , 'Pantanal' , 'Red'

8 Ludwigia longifolia (DC.) H.Hara ナガバミズキンバイ  長葉水金梅

 南アメリカ原産。オーストラリアに帰化。英名はlongleaf primrose willow , longleaf primrose-willow。千葉県で確認されている。
 1年草、高さ3mまで、無毛。茎は4角(かど)があり、翼がつく。葉は互生し、線形~長円状披針形、長さ10~20 cm×幅5 ~ 25 mm、茎の上部に向かうにつれて小さくなる。花は上部の葉腋に単生する。小苞は披針形、子房の基部または小花柄の上部にある。萼片は4~5個、卵形。花弁は4~5個、長さ20~25㎜、黄色。雄しべは8本または10本。果実は長円形~狭長円形、長さ10~35mm×直径4~8㎜、4稜形、容易に裂開する。 各小室に数列の種子があり、離生。花期は夏~冬。

9 Ludwigia octovalvis (Jacq.) P.H.Raven キダチキンバイ 木立金梅

 日本(四国、九州、沖縄)、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、江西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、アジア南部、アジア南西部、オーストラリア、ニュージーランド、太平洋諸島、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、中央アメリカ、西インド諸島原産。中国名は毛草龙 mao cao long 。英名はMexican primrose-willow , narrow-leaf water-primrose , seedbox , water-primrose , willow primrose。海抜2200m付近の小川、池、または湖沿いの湿気のある場所から濡れた場所に生え、しばしば、荒らされた場所や耕作された場所に生える。
 多年草、丈夫で、直立し、ときに基部が木質、または低木。 茎は高さ25~400 cm、よく分枝し、少なくとも茎の上部に密に広がる毛があり、または微軟毛があるかまたはほぼ無毛。 葉柄は長さ1~10㎜。 葉身は線形~ほぼ卵形、長さ1~14㎝×幅0.3~4cm、側脈は片側11~20本、亜縁脈(submarginal vein)が目立ち、基部は狭い~広い楔形、先は漸尖形。萼片は4個、卵形または披針形、長さ6~15㎜。 花弁は黄色、広倒卵形、長さ6~17㎜×幅5~17㎜。 雄しべは8本。花糸は長さ1~4mm。葯は長さ1.2~4㎜。花粉は4集粒(tetrads)。花柱は長さ1.5~3.5㎜。柱頭はほぼ球形で、浅く4裂する。蒴果は淡褐色で8本の暗色の肋を持ち、円筒形、円柱形、長さ1.7~4.5cm×直径2~8㎜、壁が薄く、容易かつ不規則に胞背裂開する。小花柄は長さ1~10㎜。 種子は小室あたり 2列以上で、分離、褐色、長さ0.6~0.75㎜、縫線が膨らみ、種子本体と同じ大きさで、横方向に均一に隆起する。花期と果期は1~12月。2n=32, 48。
 Flora of ChinaやFlora of North Americaでは変種や亜種に分類せず、含めているが、Kewscienceでは3亜種に分けている。YListでは2変種に分けている。

9-1 Ludwigia octovalvis subsp. octovalvis ウスゲキダチキンバイ 狭義

  synonym Ludwigia octovalvis (Jacq.) P.H.Raven var. octovalvis [YList]

 北アメリカ、中央アメリカ、西インド諸島、南アメリカ原産。南アフリカ、南アジアに帰化。

9-2 Ludwigia octovalvis subsp. brevisepala (Brenan) P.H.Raven

 アフリカ、アジア南西部原産。
 GBIFでは基準亜種に含める。

9-3 Ludwigia octovalvis subsp. sessiliflora (Micheli) P.H.Raven キダチキンバイ 狭義

  synonym Ludwigia octovalvis (Jacq.) P.H.Raven var. sessiliflora (Micheli) Shinners [YList]

  synonym Ludwigia pubescens (L.) H.Hara var. villosa (Lam.) H.Hara
  synonym Ludwigia pubescens (L.) H.Hara
 日本(四国、九州、沖縄)、中国、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、アジア南部、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ原産。

10 Ludwigia ovalis Miq. ミズユキノシタ 水雪の下
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は卵叶丁香蓼 luan ye ding xiang liao 。水辺に生え、水の中にも生える。
 多年草。高さ10~40㎝。全体に柔らかく、無毛。茎は赤褐色、泥上を這い、節から根を出して広がり、よく分枝する。葉は互生し、長さ0.5~2.5㎝、幅0.4~2㎝の広卵形、全縁。葉表は黄緑色、葉裏は紅紫色。葉脈がはっきり見え、側脈が4~7対、葉縁がやや波打つ。花は葉腋に単生する。花は花弁がなく、萼片は4個、長さ1~3㎜、三角形、淡黄色。雄しべ4個。蒴果は長さ3~5㎜、幅2.5~3.5㎜の楕円状球形。種子は長さ0.7~0.9㎜、赤褐色。花期は7~9月。

11 Ludwigia palustris (L.) Elliott セイヨウミズユキノシタ 西洋水雪の下

 ヨーロッパ、西アジア、コーカサス、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ原産。英名はmarsh seedbox , Hampshire-purslane , marsh ludwigia , marsh-purslane , water-purslane。標高0~1000[~2700]mの道路脇の溝、湿った牧草地、乾いた池の底、池の縁、沼地、川、沖積砂州に生える。
 しばしば這い、節から根を張り、マットを形成する。茎は平伏または傾伏し、先が斜上し、ほぼ円柱形、または、葉腋から沿下する盛り上がった線があり、よく分枝し、高さ10~50(~70)㎝、無毛、または葉の縁と花序に微小な伏した小剛毛(strigillose)がある。葉は対生する。托葉は狭いデルタ形、長さ0.05~0.1㎜×幅0.05~0.1㎜。葉柄は狭い翼があり、長さ0.1~2.5㎝、葉身は狭~広楕円形または卵状楕円形、長さ0.5~4.5㎝×幅0.3~2.3㎝、基部は急に漸尖し、縁は全縁で細かい伏した小剛毛があり、先はほぼ鋭形、表面は無毛。 苞は小さくならない。花序は葉のある穂状花序または総状花序で、花は通常平伏する茎の葉腋に対につく。小苞は子房の基部または基部から2.5㎜上部につき、ほぼ線形、長さ0.3~1(~1.8)㎜×幅0.1~0.8㎜。花:萼片は斜上し、緑色、卵状三角形、長さ1.1~2㎜×幅1~2.1㎜、縁には細かい小鋸歯があり微細な毛があり、先は尖鋭形、ときに先端が鈍く、表面は無毛。花弁は無い。花糸は半透明、長さ0.4~0.6mm、葯は長さ0.2~0.4㎜×幅0.3~0.6㎜。花粉は単独で放出される。子房は長円形、長さ1.5~3.5㎜×幅1~2㎜、ほぼ無毛。 蜜腺盤(nectary disc)は子房の先に0.15~0.3㎜隆起し、緑色、直径1~2㎜、4裂し、無毛。花柱は淡緑色、長さ0.3~0.7㎜、無毛、柱頭はほぼ球形または頭状、長さ0.4~0.6㎜×幅0.2~0.4㎜、葯を超えて突き出さない。蒴果は長円状倒卵形、4角(かど)があり、わずかに毛があり、長さ(1.6~)2~5㎜×幅1.5~3(~3.5)㎜、壁は薄く、不規則に裂開または単位として裂開し、小花柄は長さ0~0.5mm。種子は黄褐色、楕円形、長さ0.5~0.7㎜×幅0.3~0.4㎜、表面細胞は横に伸びる。2n=16。花期は2~10月。

12 Ludwigia peploides (Kunth) P.H.Raven  ミズキンバイ 広義
 日本(本州、四国、九州)、中国、オーストラリア、北アメリカ、南アメリカ、西インド諸島。英名はwater primrose。ヨーロッパなどに帰化。  平伏し、しばしば絨毛がある。節で根を張るか浮遊し、気孔は水没部分に限定される。花茎が斜上する。葉は互生し、通常、倒披針形~倒卵形、通常長さ1~10㎝×幅4~30㎜、基部が先細になる。葉柄は長さ2~30㎜。花は上部の葉腋に単生する。小苞は三角形で、子房の中央近くにある。萼片は5個、三角形。花弁は長さ10~20㎜、黄色、基部の色が濃い。雄しべは10本。果実は円柱形、長さ10~30㎜×直径2~4㎜、10本のうねがあり、壁が厚く、裂開が遅い。 種子は各小室に 1列につく、内果皮に埋め込まれる。花期は夏~秋。

12-1 Ludwigia peploides (Kunth) P.H.Raven subsp. peploides コバノミズキンバイ

 オーストラリア、北アメリカ、南アメリカ原産。英名はfloating primrose willow , clovestrip , creeping water-primrose , water-primrose。標高0~900[~3000]mの流れの遅い川、小川、運河、溝沿いの湿った場所に生える。しばしば水生雑草として主要な水路に生える。
 全体にほぼ無毛。茎は無毛またはまばらに絨毛がある。 葉は互生または束生します。 托葉は対称。 根出葉の葉柄は長さ0.3~0.8cm、上部の葉の葉柄は長さ0.2~2.5cm。葉身は長さ0.8~4(~8.5)[(2)3~8(11)]cm、広惰円形~円形、先はときに腺のある微突形、表面は光沢があり無毛、まれに縁毛があるか、または微細な透明の点(pellucid-punctate)がある。 花:萼片は長さ6~10㎜。花弁は5個、長さ9~13㎜。短い花糸の葯は長さ0.5~1.1㎜、長い花糸の葯は長さ0.8~1.2㎜。子房は長さ6~14㎜、先は切形、無毛または毛が散在する。柱頭は通常葯と同長で、まれに葯を超えて突き出る。蒴果は長さ10~17(~25)㎜×幅2~3㎜、円柱形~5稜形、小花柄は長さ10~35mm。種子は1室あたり7~14 個。2n=16。花期は夏~初秋。

12-2 Ludwigia peploides (Kunth) P.H.Raven subsp. stipulacea (Ohwi) P.H.Raven ミズキンバイ 水金梅

  synonym Ludwigia stipulacea (Ohwi) Ohwi

  synonym Ludwigia adscendens (L.) H.Hara var. stipulacea (Ohwi) H.Hara

  synonym Ludwigia adscendens (L.) H.Hara subsp. stipulacea (Ohwi) H.Hara

 日本(本州、四国、九州)、中国原産。中国名は黄花水龙 huang hua shui long 。湿地、水辺に生える。
 多年草。高さ10~60㎝。全体に無毛。茎は陸上では地表を這って伸び、節から根を出し、水中に伸びた茎は水に浮いて通気根は普通なく、ときに水中に通気根を出す。水中に浮かぶ茎は長さ300㎝以下。地上では花期に横に這った茎の節から分枝して直立~斜上し、長さ10~60㎝、無毛。葉は互生し、葉柄は長さ2~3.5㎜。葉身は長さ2.5~10㎝、幅1~3.2㎝の長惰円形、側脈は7~11対、亜葉縁脈は明瞭でなく、基部狭い楔形、先は鋭尖頭~鋭頭。萼片は5個、先の尖った三角形、長さ6~12㎜、無毛又は有毛。花弁は(4)5個、鮮黄色、基部に暗色の斑点があり、長さ9~17㎜、幅5~11㎜の倒卵形。雄しべ(8~)10個、花糸は長さ2.5~5㎜、鮮黄色。葯は長さ1~1.8㎜、淡黄色。花粉は単一体。花柱は黄色、長さ2.5~5㎜、下半部に長毛が密生する。柱頭は深く5裂する。蒴果は淡褐色、円柱形、4~5稜があり、基部で急に狭くなり、先が少し細く、長さ1.2~4㎝、直径2~5㎜、無毛、厚壁、果実のまま落下する。果柄は長さ2~6.5㎝。種子は各室に1列、淡褐色、長さ1.1~1.3㎜、縦溝は目立たない。花期は(5)6~9月。2n=16。

12-3 Ludwigia peploides (Kunth) P. H. Raven subsp. glabrescens (Kuntze) P. H. Raven

 USA中部~東部原産。英名はfloating primrose-willow , floating seedbox。標高0~900[~3000]mの流れの遅い川、小川、運河、溝沿いの湿った場所に生える。しばしば、水生雑草として主要な水路に生える。
 茎は無毛。 葉は互生し、通常は束生しない。托葉は対称。根生葉は葉柄が長さ0.7~2.5㎝。上部の葉は葉柄が長さ0.7~6㎝、葉身は長さ(2~)4~10㎝、先は腺の無い微突形、表面は光沢があり、無毛。葯はほぼ均等、長さ1.2~1.4㎜。子房は長さ14~20㎜、先はやや幅広で、無毛または散在する毛がある。柱頭は通常葯を超えて突き出し、まれに葯と同長になる。蒴果は長さ25~40㎜×幅3~4㎜、小花柄は35~90㎜。種子は1室あたり16~18個。2n=16。花期は夏~初秋。

12-4 Ludwigia peploides subsp. montevidensis (Sprengel) P. H. Raven

 南アメリカ原産。北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアに帰化。標高0~500[~2000]mの流れの遅い川、小川、運河、溝沿いの湿った場所に生える。しばしば水生雑草として主要な水路に生える。
 茎は平伏し、通常、絨毛が密に生えるが、まれに絨毛がまばらになる。毛はしばしば、新鮮なときに粘り、水に浸かった茎ではほぼ無毛、節で根を張るか浮遊し、気孔は水没部分に限定される。 葉は互生し、ときに束生する。托葉はしばしば非対称になる。根出葉は葉柄が長さ(0.5 ~)0.8~1.6㎝、上部の葉の葉柄は長さ0.5~2.8㎝。葉身は倒披針形~倒卵形、長さ(0.4~)1~6(~9.5)㎝×幅4~30㎜、基部は漸尖形、先は腺のある微突形、表面は光沢がなく、通常は密に微細剛毛があり(hirtellous)、まれに下面が無毛になる。花茎は上に伸びる。花は上部の葉腋に単生する。小苞は三角形、子房の中央近くにある。 萼片は5個、三角形。花弁は長さ10~20mm、黄色、基部の色が濃い。雄しべは10本。短い花糸上の葯は長さ(0.7~)0.9~1.8㎜、長い花糸上の葯は長さ(0.8~)1.1~2.2㎜。子房は長さ6~10㎜、先は切形、密に微細剛毛があり、ときに先の1/2のみにあり、柱頭は通常葯と同長で、まれに葯を超えて突き出る。蒴果は円柱形、長さ(20~)24~32 ×幅2~4 mm、10本のうねがあり、壁が厚く、裂開が遅い。小花柄は長さ7~38(~60)mm。 種子は1室に1列、内果皮に埋め込まれ、1室あたり10~15個。2n=16(32)。花期は夏~初秋。
 
13 Ludwigia perennis L. ホソバタゴボウ 細葉田牛蒡
  synonym Ludwigia parviflora Roxb.
  synonym Ludwigia linearis auct. non Walter 
  synonym Ludwigia caryophyllea (Lam.) Merr. et Metcalf 
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、江西省、雲南省)、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、インドネシア、フィリピン、ニューカレドニア、アジア南東部、アジア南西部、アフリカ、マダガスカル原産。中国名は细花丁香蓼 xi hua ding xiang liao 。別名はコバノタゴボウ、ホソバチョウジタデ。日本の本州の一部に帰化している。海抜1200m付近までの氾濫原、道路側溝、ぬかるみ、放棄された水田などの湿った場所に生える。
 1年草、直立し、直根がある。茎は高さ20~100㎝、枝分かれしており、ほぼ無毛または若い部分に微軟毛がある。葉柄は長さ2~15㎜、翼がある。 葉身は狭い楕円形~披針形、長さ1~11㎝×幅0.3~2.7㎝、側脈は片側に6~12本、亜縁脈(submarginal vein)は目立たず、基部は狭い楔形、先はほぼ鋭形。萼片は4個まれに5個、デルタ形、長さ(1.3~)2~3.5㎜、無毛またはわずかに微軟毛がある。花弁は黄色、楕円形、長さ1~3㎜×幅0.7~2㎜。雄しべは萼片と同数、またはまれにそれ以上ある。花糸は長さ0.3~0.7㎜。葯は長さ0.5~0.7㎜。花粉は4集粒(tetrads)。花柱は長さ0.7~1.5㎜。柱頭は球形。蒴果はうなずくことが多く、淡褐色、倒披針形、円柱形、長さ3~16(~19)㎜×直径2.5~5㎜、薄壁、容易かつ不規則に胞背裂開し、無毛または微軟毛があり、無柄または小花柄は長さ6㎜まで。種子は各室に2列またはそれ以上、離生、褐色で、褐色の細い線が入り、長さ0.3~0.5㎜、縫線(raphe)は非常に狭く目立たない。花期と果期は7~11月。2n=16。

14 Ludwigia repens J.R.Forst. アメリカミズユキノシタ
 北アメリカ、南アメリカ、 西インド諸島(バハマ、キューバ、イスパニョーラ島、ジャマイカ)原産。英名はcreeping primrose-willow , red ludwigia , primrose-willow。 標高0~1200[~1600]mのプール、湖、沼地、小川や道路脇の溝などの泥や湿った砂地の端、湿った土壌に生える。日本やバングラデシュに帰化している。
 沈水~抽水性の水草。節から這って根を張り、しばしば緩いマットを形成する。茎は平伏し、先で斜上~ほぼ直立し、円柱形、まばらに分枝し、長さ30~80㎝、無毛、または葉の縁と花序に微小な伏した小剛毛(strigillose)ある。葉は対生する。托葉は狭三角形、長さ0.05~0.1㎜×幅0.05~0.1㎜。 葉柄は狭い翼があり、長さ0.3~2.3㎝、葉身は狭楕円形~広披針楕円形~ほぼ円形、長さ0.8~4.5㎝×幅0.4~2.7㎝、基部は漸尖し、縁は全縁またはときに排水腺(hydathodal glands)をもち、先は鋭形または尖鋭形、まれに鈍形、表面は光沢があり 、ほぼ無毛、または疎~密なパピラのある伏した小剛毛(strigillose)がある。 苞はあまり小さくならない。花序はときに花が少なく、直立した総状花序で、花は平伏する茎の葉腋に対につく。小苞は小花柄1~5㎜下部~子房の基部に対が対生してつき、披針形~狭い長円状披針形またはほぼ線形、長さ1~5(~8)㎜×幅0.2~1㎜、先は鋭形、表面にはわずかに微細な伏した小剛毛がある。花:萼片は斜上し、淡緑色、卵状三角形~狭卵状三角形、長さ1.8~5㎜×幅1.5~3.5㎜、縁には微細な伏した小剛毛があり、先は尖鋭形~細長い尖鋭形、表面は無毛。花弁は4個、早落性、倒披針形~楕円状長円形、長さ1.1~3㎜×幅0.4~1.4㎜、基部は漸尖し、先は鈍形、しばしば同じ花でもサイズや形状が異なることがある。花糸は淡黄色、長さ0.5~1.5㎜、基部近くでわずかに膨らみ、葯は長さ0.4~0.9㎜×幅0.3~0.8㎜。花粉は単独または4集粒(tetrads)で放出される。子房は倒円錐状円筒形、かろうじて4角(かど)~ほぼ円柱形、長さ2~6㎜×幅2.5~3.5㎜。 蜜腺盤(nectary disc)は子房の頂部で0.3~0.8㎜隆起し、黄色、直径1.1~3㎜、4裂し、無毛。花柱は淡黄色、長さ0.6~0.9㎜、無毛、柱頭は淡黄色、広頭状、長さ0.3~0.5㎜×幅0.3~0.8㎜、通常葯を越えて突き出さない。蒴果は細長い倒ピラミッド形、4角(かど)があり、角がときに丸く、長さ4~10㎜×幅2.5~4㎜、壁が硬く、不規則に裂開し、ときに有毛。小花柄は長さ0.1~3㎜。種子は黄褐色、楕円形、長さ0.6~0.8㎜×幅0.3~0.5㎜、表面細胞は横に伸びる。2n=48。花期は3~11月(1年中)。

15 ハイブリッド
(1) Ludwigia × kentiana
 L. palustris × L. repens
品種) 'Mullertii'

(2) Ludwigia x taiwanensis C.I.Peng  タイワンミズキンバイ 台湾水金梅
 中国、台湾に分布。中国名は台湾水龙 tai wan shui long
 Ludwigia adscendens × L. peploides subsp. stipulaceaの自然交雑種。

参考

1) Flora of China
 Ludwigia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=119063
2) GRIN
 Ludwigia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=7018
3)Flora of North America
 Ludwigia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=112065
4)Plants of the World Online | Kewscience
 Ludwigia
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000954-2