ツリガネニンジン 釣鐘人参
Flora of Mikawa
キキョウ科 Campanulaceae ツリガネニンジン属
学 名 |
Adenophora triphylla (Thub.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara synonym Adenophora triphylla (Thub.) A.DC. 広義 synonym Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. subsp. aperticampanulata Kitam. |
花 期 | 8~10月 |
高 さ | 40~100㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山野に普通 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、千島、サハリン |
撮 影 | 蒲郡市柏原町 05.5.28 |
白花品はシロバナツリガネニンジン form. albiflora という。
ハクサンシャジン var. hakusanensis は北海道、本州(中部地方以北)に分布する、高山型。草高がやや低く、花序の花柄が短く、花が密集してつき、花冠が広鐘形。
サイヨウシャジン var. triphylla は本州(中国地方以西)、九州、沖縄、中国に分布する。Flora of China ではAdenophora tetraphyllaを採用し、中国名は轮叶沙参 (lun ye sha shen) 。花冠は小さく、長さ7~10㎜、幅2.5~7㎜、花冠の幅が狭く、先がやや狭まる筒形(壺形)~狭鐘形。萼裂片は線形、全縁。花柱は長さ14~20㎜、花冠から長く突き出る。2n=34。
フクシマシャジン Adenophora divaricata は本州(中部地方以北)、朝鮮、中国、ロシアに分布する。中国名は展枝沙参(zhan zhi sha shen)。葉が3輪生する。花は輪生せず、花冠は長さ15~22㎜の広鐘形、裂片は筒部の1/3~2/3の長さ。萼裂片は幅がやや広く、全縁。2n=34。
ツリガネニンジン属
family Campanulaceae - genus Adenophora多年草。根は普通、太くなり、形は様々、人参形、ほとんどが肉質。てい幹(caudex)はしばしば短く、ときに長く、分枝する。茎は直立、頻繁ではないが斜上する。根生葉はしばしばロゼットになり、普通、長い葉柄があり、心形。茎葉はほとんど互生し、まれに対生又は輪生する。花は集散花序につき、集散花序はときに1本の枝になり、1個の頂生の花と1個~数個の苞をもち、ときに団散花序になり、円錐花序をつくる。萼は子房上(epigynous)、まれに半子房上(semi-epigynous)、萼筒は形が様々、萼片は5個、全縁又は歯がある。花冠は常に子房上、鐘形、漏斗形、又は筒状、5浅裂又は5中裂。雄しべは5本。花糸はかなり幅広、基部で薄板(lamella)になり、薄板は密に絨毛の縁毛があり、敷石状、花盤を包み込む。葯は長い。花盤は普通、筒状、まれに環状。子房は下位、3室。胚珠は多数。花柱は花粉受容の毛(pollen-receiving hairs)をもつ。柱頭は3裂、裂片は狭く、反曲する。蒴果は3孔開、下部に宿存する咢片をもつ。種子は多数、楕円形、1角(かど)がある。
世界に約60種あり、東アジア~南アジアに分布し、1種がヨーロッパに広がる。
ツリガネニンジン属の主な種と園芸品種
1 Adenophora capillaris Hemsl.中国(重慶市、貴州省、河北省、河南省、湖北省、内モンゴル、陝西省、山東省、山西省、四川省、雲南省)原産。中国名は丝裂沙参 si lie sha shen。標高1100~3600mの森林、林縁、草地、草の茂った斜面に生える。
茎は1本、高さ0.5~1m、無毛または粗毛がある。茎葉は通常、無柄。葉身は卵状披針形、楕円状披針形、またはときに線形、長さ3~19㎝×幅0.2~5㎝、無毛または粗毛があり、縁は全縁または鋸歯があり(狭い場合は小歯があり)、先は尖鋭形。花序は長い枝を持ち、大きく緩い円錐花序を形成するが、ときに短い枝を持ち、狭い円錐花序をつくる。まれに偽総状花序に数個の花だけをつける。主軸と枝は糸状。花托筒は楕円形、またはときに卵形。萼片は広がるかまたは反り返り、糸状、長さ(3~)6~14(~20)㎜、縁はが全縁か、またはときに下部に1~数個の疣状小歯がある。 花冠は淡青色、淡紫色、または白色、ほぼ筒形、筒状漏斗形、またはつぼ形、長さ10~18㎜。花冠裂片は狭三角形、長さ3~4㎜。花盤は狭い筒状で、長さ2~5㎜、しばしば無毛。花柱は長さ15~25㎜、強く突き出る。蒴果は球形、楕円形、卵形、長さ4~9㎜×幅4~5㎜。 種子は褐色、楕円形、長さ1~1.6㎜、1本のうねがある。
1-1 Adenophora capillaris Hemsl. subsp. paniculata (Nannf.) D.Y.Hong et S.Ge ウスイロシャジン 薄色沙参
synonym Adenophora paniculata Nannf.中国(河北省、河南省、内モンゴル、陝西省、山西省)原産。中国名は细叶沙参 xi ye sha shen。標高1100~2800mの芝生の斜面に生える。
茎は無毛または毛がある。葉は線形、披針形、または広楕円形、幅0.2~7.5㎝、無毛、ときに上面にまばらに小剛毛があり(hispidulous)、下面にまばらに粗毛がある。萼片は長さ(2~)3~5(~7)㎜、縁は全縁。花冠は長さ10~14mm。蒴果は狭倒卵形、楕円形、または長円形、長さ7~11㎜×幅3~5㎜。 種子は長さ1.4~1.6㎜。花期は6~9月。果期は8~10月。
2 Adenophora divaricata Franch. et Sav. フクシマシャジン 福島沙参
synonym Adenophora divaricata Franch. et Sav. f. angustifolia Hiyama
synonym Adenophora divaricata Franch. et Sav. var. manshurica Kitag.
日本(本州中部以北)、朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、山東省、山西省)、ロシア原産。中国名は展枝沙参 zhan zhi sha shen。標高400~1800mの森林、低木地帯、芝生の斜面に生える。根は直径1.5~3.5㎝。茎は1本で、高さ1mまで、単純、±白色の絨毛があり、まれに無毛。茎葉は3~5輪生し、無柄。葉身は菱形、広楕円形、楕円形、楕円状披針形、または披針形、長さ3.5~11㎝×幅1.5~6㎝、両面とも無毛、または脈に沿って小剛毛があり(hispidulous)、基部は鈍形または楔形、縁は粗い鋸歯があり、先は鈍形、鋭形、または尖鋭形。 花序の枝(それぞれに 1~数個の集散花序を持つ)は通常、輪生し、ときにいくつか(まれにすべて)が互生し、大きな円錐花序を形成する。花序の枝は長さ2~10㎝。小花柄は長さ0.5~1cm、無毛。花托筒は倒円錐形または倒卵状倒円錐形、無毛。 萼片は披針形、楕円状披針形、または線状披針形、長さ5~10㎜×幅1~2.5㎜、縁は全縁。花冠は青色または薄紫色、鐘形、長さ15~22㎜。花冠裂片は三角状円形、長さは筒部の長さの1/3~2/3、両面とも無毛。花盤は筒形、長さ1.8~2.5㎜。花柱は花冠とほぼ同長、またはわずかに突き出る。蒴果は倒卵形または広楕円形、長さ5~7×幅3~6mm。種子は金褐色、楕円形、長さ2~2.5㎜、1本のうねがある。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=34。
2-1 Adenophora divaricata Franch. et Sav. f. albiflora Hayashi シロバナフクシマシャジン 白花福島沙参
白花品種。3 Adenophora gmelinii (Biehler) Fisch マンシュウナガバシャジン満州長葉沙参
synonym Adenophora coronopifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ヤナギバシャジン
韓国、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は狭叶沙参 xia ye sha shen。標高2600m以下の森林、茂み、背の高い草の群落、牧草地、草の茂った斜面に生える。根は約40㎝くらいまで伸びます。 茎は1つの根から 1本または数本、高さ80㎝まで、単純で、通常は無毛、ときに小剛毛がある。根生葉の葉身は三角形または菱状卵形、基部は浅い心形、縁は円鋸歯がある。茎葉は無柄。葉身は線形、またはあまり多くはないが披針形、長さ4~9㎝×幅0.2~1.3㎝、無毛、縁は全縁または鋸歯がある。集散花序は1個の花をつけ、偽総状花序を(pseudoraceme)形成するか、または下部の集散花序が数個の花をつけ、非常に狭い円錐花序を形成するか、またはまれに単生の花を頂生する。花托筒は倒卵状長円形、無毛、またはまれに細かくザラつく(scaberulose)。萼片は線状披針形、長さ4~10㎜×幅1.5~2㎜。 花冠は青色または淡紫色、広鐘形、長さ1.6~2.8㎝。花冠裂片は卵状三角形、長さ6~8㎜、まれに三角形で長さがたった約4㎜。花盤は円筒形、長さ1.3~3.5㎜、無毛またはまばらに毛がある。花柱は花冠よりわずかに短く、まれに花冠と同長になる。蒴果は楕円形、長さ8~13㎜×幅4~7㎜。種子は黄褐色、楕円形、長さ約1.8㎜。花期は7~9月。果期は8~10月。2n=34, 68。
4 Adenophora grandiflora Nakai キキョウソバナ 桔梗岨菜
朝鮮原産。金剛山に生える。
多年草の根が残る。花序のある茎は高さ70㎝になる。茎葉はまばらにつき、葉柄があり、葉柄は長さ1~2㎝。上部の茎葉は無柄。 葉身は卵状披針形、先は尖鋭形、不規則な鋸歯があり、毛がある。花序は 数百個が集まる。花は散在し、うなずき、苞は披針形、全縁~小鋸歯があり、無柄。小花柄は中間の萼裂と同長。萼片は披針形、全縁。花冠は鐘形、青色、長さ4cm、先は5裂して開き、直径3㎝。花冠の裂片は卵形、先が尖る。雄しべは5本、花糸の基部は広がり、中央まで輻合し、先端は反り返り、離生の葯は長さ3~4㎝。花柱は花冠筒部と同長~わずか超える。柱頭は3分岐して、反り返り、太い。蒴果は3室。
5 Adenophora hatsushimae Kitam. ツクシイワシャジン 筑紫岩沙参
日本固有種(宮崎県、熊本県)。山地の岩上に生える。
多年草、高さ30~60㎝。根生葉は長い葉柄がある。茎葉は互生し、葉身は卵形~披針形、基部は心形、先は鋭形、縁に鋸歯があり、面に短毛がある。花序は頂生。花は下向きに咲き、濃青紫色、長さ約1㎝。イワシャジンに似るが、花色が濃く、中から白い雄しべが突き出る。花期は8~10月。
6 Adenophora maximowicziana Makino ヒナシャジン 雛沙参
日本固有種(四国の愛媛県、高知県)。石灰岩地に生える。
多年草。高さ40~60㎝。茎は細く、崖から垂れ下がり、又は草地では斜上する。 葉は互生し、根生葉は長い葉柄があり、卵形。茎葉は互生し、線状披針形、長さ8~20㎝。 花序は頂生、長さ3~6㎝、やや疎らに数個~多数の花を下向きにつける。花柄は細くて長い。花は白色、狭い釣鐘形。花柱は花冠から長く突き出る。花期は8~9月。
7 Adenophora morrisonensis Hayata ニイタカシャジン 新高沙参 広義
台湾原産。中国名は台湾沙参 tai wan sha shen。標高700~3500mの森林または藪の縁、日陰のガレ場に生える。てい幹は水平の枝が互生する膜質の鱗片を持つ。茎は一つの根から1~数本、高さ10~30㎝、単純、ときに、途中で分枝し、無毛またはまばらに粗毛がある。 根生葉は葉身が卵状三角形、基部はほぼ切形。茎葉は無柄、下部の葉は葉柄が長さ1㎝まで。葉身は線状披針形または楕円形、長さ3~8㎝×幅0.4~2.5㎝、両面とも無毛、またはまばらに微軟毛があり、基部は楔形、縁は円鋸歯または歯があり、先は尖鋭形。花は1~2個、頂生、または偽総状花序にそれ以上つき、または数個の偽総状花序が狭い円錐花序を形成する。小花柄は長さ1.5~3㎝まで伸びる。花托筒は倒卵形または倒円錐形、無毛。萼片は錐形、長さ10~15㎜×幅1~1.5㎜、縁には数対の小歯がある。 花冠は青紫色または薄紫色、鐘形、長さ2.8~3.5㎝。花冠裂片は三角形、筒部の長さの1/2の長さ。花盤は環状で、高さは1㎜未満。花柱は花冠より短い。蒴果は楕円形、長さ10~16㎜×幅6~7㎜。 種子は黄褐色、楕円形、長さ1.2~1.5㎜、1本のうねがある。花期は7~11月。果期は9~11月。2n=34。
7-1 Adenophora morrisonensis Hayata subsp. morrisonensis ニイタカシャジン 新高沙参
台湾原産。中国名は台湾沙参 tai wan sha shen。標高700~3500mの森林または藪の縁に生える。植物は無毛またはまばらに毛がある。花は偽総状花序または狭い円錐花序に数個~多数つく。
7-2 Adenophora morrisonensis Hayata subsp. ueharae (Yamam.) Lammers タイザンイワギキョウ
synonym Adenophora ueharae Yamam.台湾原産。中国名は玉山沙参 yu shan sha shen。標高3000~3500mの日陰のガレ場に生える。
植物は粗毛がある。花は1~2個が頂生する。
8 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. ヒメシャジン 姫沙参
日本固有種(本州の東北地方南部~中部地方)。亜高山、高山の岩場に生える。多年草。高さ10~40㎝。葉は普通、互生し、対生する場合もあり、長さ3~7㎝、幅0.5~2㎝の披針形、葉縁に細かい鋸歯があり、先が尖る。花冠は長さ1.5~2.5㎝の鐘形、先が5裂する。雌しべの先は花冠とほぼ同じ長さ~やや突き出る。萼片は幅が狭く、線形、鋸歯がある。2n=34。花期は7~9月。
8-1-1 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. nikoensis f. nikoensis ヒメシャジン 姫沙参
synonym Adenophora nikoensis Franch. et Sav. f. linearifolia Takeda
日本固有種、本州(東北地方南部~中部地方)に分布。亜高山、高山の岩場に生える。多年草、高さ10~40㎝。葉は普通、互生し、対生する場合もあり、長さ3~7㎝、幅0.5~2㎝の披針形、葉縁に細かい鋸歯があり、先が尖る。花冠は長さ1.5~2.5㎝の鐘形、先が5裂する。雌しべの先は花冠とほぼ同じ長さ~やや突き出る。萼片は幅が狭く、線形、鋸歯がある。2n=34。花期は7~9月。
8-1-2 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. nikoensis f. globiflora Hiyama マリシャジン 毬沙参
花冠の幅が広く、花冠が球形に近いもの。8-1-3 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. nikoensis f. hispidula T.Shimizu ケヒメシャジン
8-1-4 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. nikoensis f. nipponica (Kitam.) H.Hara ミヤマシャジン 深山沙参
synonym Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. stenophylla (Kitam.) Ohwi
synonym Adenophora nipponica Kitam.synonym Adenophora nikoensis Franch. et Sav. f. stenophylla (Kitam.) H.Hara
ヒメシャジンの萼片が全縁の品種。8-2 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. persicaria Ohwi ex T.Shimizu et J.Okazaki ヒメイワシャジン
8-3 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. petrophila (H.Hara) H.Hara ミョウギシャジン 妙義沙参
synonym Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don var. moiwana (Nakai) H.Hara f. petrophila (H.Hara) T.Shimizu
synonym Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don var. moiwana (Nakai) H.Hara f. linearifolia T.Shimizu
synonym Adenophora petrophila (H.Hara) H.Harasynonym Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schu
北海道、本州(岩手県、宮城県、群馬県、埼玉県)に分布。和名は妙義山に因む。山地~高山の岩場などに生える。
多年草、高さ20~40㎝。根茎はやや太い。茎は斜上~横に伸び、先は垂れ下がる。垂れ下がる。 葉は3輪生または対生し、葉身は披針形、先がかま形に湾曲し、縁に鋸歯がある。花は総状花序に1~数個つき、下向きに咲く。萼片は無毛、普通、全縁ときに細鋸歯がある。花冠は淡紫色、壷形、長さ2~3㎝、先が5裂する。花柱は花冠より少し突き出る。花期は8~9月。
8-4 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. teramotoi (Hurus. ex T.Yamaz.) J.Okazaki et T.Shimizu シライワシャジン 白岩沙参
synonym Adenophora teramotoi Hurus. ex T.Yamaz.本州(南アルプス)に分布する。石灰岩地の岩場に生える。
高さ30~60㎝。茎は斜上する。葉は互生し、線形~狭披針形。花序は横に張り出し、花冠は淡紫色。花柱は花冠より長く突き出る。花期は8~9月。
8-4-1 Adenophora nikoensis Franch. et Sav. var. teramotoi (Hurus. et T.Yamaz.) J.Okazaki et T.Shimizu f. hispidula (T.Shimizu) Yonek. ケシライワシャジン 毛白岩沙参
synonym Adenophora teramotoi Hurus. et T.Yamaz. var. hispidula T.Shimizu
葉の裏面に粗毛があるもの。9 Adenophora palustris Kom. ヤチシャジン 谷地沙参
日本(岐阜県、岡山県、広島県)、韓国、中国原産。中国名は沼沙参 zhao sha shen 。愛知県では設楽町西部で1か所で確認されていたが絶滅した。
多年草。茎は直立し、高さ60~100㎝、紫色を帯び、無毛。茎葉は互生し、無柄。葉身は楕円形~長楕円形、長さ3~6㎝、やや厚く、鋸歯縁。茎の先端に数個の花を下向きにつける。花柄はごく短く、基部に卵形~広披針形の小苞がある。萼片は5個、卵形、長さ3~4㎜、全縁で開出しない。花冠は漏斗状鐘形、淡紫色、長さ1~1.5㎝、先は5裂する。花柱はやや突出する。花期は8月(レッドデータブック愛知)。
9-1 Adenophora palustris Kom. f. nivea K.Torii et Asai シロバナヤチシャジン 白花谷地沙参
白花品種。
10 Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don モイワシャジン 藻岩沙参
synonym Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don var. moiwana (Nakai) H.Hara
synonym Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don var. heterotricha (Nakai ex H.Hara) H.Hara
synonym Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don var. curvidens (Nakai) Kitag.
synonym Adenophora moiwana Nakaisynonym Adenophora curvidens Nakai
synonym Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don subsp. subulata (Kom.) Vorosch.
synonym Adenophora subulata Kom.synonym Adenophora koreana Kitam. コウライシャジン
synonym Adenophora kayasanensis Kitam. カヤサンシャジン
日本(北海道、本州の東北地方)、韓国、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は长白沙参 chang bai sha shen。和名は札幌市の藻岩山に因む。変化が多く、多形であり、コウライシャジン、カヤサンシャジンなど多くの異名がある。牧草地、草地、林縁などに生える。多年草、根はニンジン形、長さ6~9㎝×幅1.5~1.9㎝。茎は1本、高さ1m以下、単純、無毛、頻度は低いが、後ろ向きの小剛毛がある。根出葉が腎形又は卵心形で長い柄がある。茎葉は(全て又は少数)、3~5輪生又はほぼ輪生し、まれに互生又はほぼ互生、無柄又は短柄がある。葉身は楕円形、卵形、披針形、又は狭披針形、長さ3.5~16㎝×幅0.6~4.2㎝、両面とも無毛、基部はくさび形又は鈍形、縁は粗い鋸歯、先は鋭形又は腺鋭形。花序はピラミッド形、互生する集散花序をもち、短く、ほぼ直立、あるいは花がときに比較的、少なく、偽総状花序(pseudoraceme)を作る[日本産]。花托筒は倒卵形、倒円錐形、又は楕円形、無毛又はいぼ状。萼片は披針形又は狭三角形、長さ3~6㎜×幅0.8~2㎜、鋸歯がない。花冠は青紫色又は青色、漏斗形状鐘形[日本産は淡紫色又は白色、広鐘形]、長さ1.3~2㎝。花冠裂片はデルタ形又は扁三角形、長さ3~8㎜×幅6~7.5㎜。花盤は環状~短い筒状、長さ0.5~1.5㎜。花柱は長さ1.5~2.4㎝、±突き出る。蒴果は倒卵形、楕円形、又はほぼ球形、長さ6~8㎜×幅4~5㎜。種子は暗褐色、光沢があり、楕円形、わずかに扁平、長さ1.8~2㎜、平滑。花期は7~8月(日本では7~9月)。果期は8~9月。2n=34, 68, 72。
品種) 'Alba' , 'White Blaze'
11 Adenophora potaninii Korshinsky ヤブツリガネニンジン 藪釣鐘人参
中国(甘粛省、河北省、河南省、遼寧省、内モンゴル、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、山西省、四川省)原産。中国名は泡沙参 pao sha shen 。英名はbush ladybells。標高3100m以下の日当たりの良い草の茂った斜面、日陰の斜面の草の間、低木、まばらな森林、石の多い場所または岩の隙間、まれに森林に生える。茎はしばしば10本で、高さ30~100㎝、単純で、通常は密集していますが、まれに後ろ向きの小剛毛があり、非常にまれにほぼ無毛になる。茎葉は無柄または短い葉柄がある。葉身は倒卵形、卵状楕円形、または長円形(ときに線状楕円形または線形)、長さ2~7㎝×幅0.5~4㎝、両面とも小剛毛があり、基部は鈍形または楔形、縁には2~数個の大きな歯があり、先は鈍形、鋭形、または短い尖鋭形。 花序は通常基部で分枝し、円錐花序を作るが、ときに数個の花が団散花序(glomerate)になり、偽総状花序(pseudoraceme)になる。小花柄は1㎝未満。花托筒は倒卵形または球状倒卵形、無毛、基部は丸いか、または±鈍形。萼片は三角状錐形、長さ3~9㎜、縁には1~2対の長い小歯がある。 花冠は紫色、青色、または青紫色、まれに白色、鐘形、長さ1.5~2.5㎝。花冠裂片は卵状三角形、長さ5~8㎜。花盤は筒形、長さ2~2.6(~3)㎜、少なくとも先に毛がある。花柱は花冠とほぼ同長か、またはわずかに長い。蒴果は球状楕円形または楕円形、長さ7~11㎜×幅4~6㎜。種子は黄褐色、楕円形、長さ約1.4㎜、1本のうねがある。花期は7~10月。果期は10~11月。2n=34, 102。
品種) 'Alba' , 'Lilacina Flora Plena'
11-1 Adenophora potaninii subsp. potaninii
中国(甘粛省、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、山西省、四川省)原産。中国名は泡沙参 pao sha shen。標高1000~3100mの日当たりの良い草が茂った斜面に生え、頻度は少ないが低木や森林にも生える。
茎葉は無柄、まれに下部の葉はに短いく葉柄がある。
11-2 Adenophora potaninii subsp. wawreana (Zahlbr.) S.Ge & D.Y.Hong エダウチシャジン枝打沙参
synonym Adenophora wawreana A.Zahlbr.中国(河北省、河南省、遼寧省、内モンゴル、山西省)原産。中国名は多歧沙参 duo qi sha shen 多歧沙参 duo qi sha shen。標高2000m以下の日陰の斜面、低木林、まばらな森林、主に石の多い場所や岩の隙間にある草の間に生える。
茎葉は通常、葉柄があるが、ときに葉柄が非常に短い場合もある。同じ株であっても、葉身は変異が大きく、線形~卵形まである。
12 Adenophora polyantha Nakai ハナシャジン 花沙参
韓国、中国(安徽省、甘粛省、河北省、河南省、江蘇省、遼寧省、内モンゴル、寧夏、陝西省、山東省、山西省)原産。中国名は石沙参 shi sha shen。標高2000m以下の日当たりの良い芝生に生える。
茎は1つの根から1本または数本、高さ20~100㎝、しばしば単純で、無毛または小剛毛がある。根生葉は腎形、基部は心形、縁には不規則な鋸歯がある。 茎葉は無柄、葉身は卵形、披針形、または楕円形、ときに線状披針形、長さ2~10㎝×幅0.5~2.5㎝、無毛または小剛毛があり、縁は歯が離れた鋸歯がある。集散花序は単生の花をもち、偽総状花序(pseudoraceme)を形成し、または狭い円錐花序に短い花序の枝を持つ。小花柄は通常長さ1㎝未満。花托筒は倒円錐形、通常毛があり、まれに無毛。萼片は三角状披針形、長さ3.5~7㎜×幅1~2㎜、縁は全縁。 花冠は紫色または暗青色、鐘形、喉部でわずかにくびれ、長さ1.4~2.2㎝。 花冠裂片はしばしば反り返り、短く、長さは花冠全長の1/4まで。花盤は筒形、長さ(2~)2.5~4㎜、しばしばまばらに微軟毛がある。花柱は通常わずかに突き出し、ときに花冠と同長になる。蒴果は卵状楕円形、長さ5~12㎜×幅4~7㎜。 種子は黄褐色、卵状楕円形、わずかに扁平、長さ約1.2㎜。花期は8~10月。2n=34, 68。
12-1 Adenophora polyantha subsp. polyantha コハナシャジン 小花沙参
synonym Adenophora polyantha Nakai var. glabricalyx Kitag. コハナシャジン
synonym Adenophora obovata Kitam.韓国原産。中国名は石沙参 shi sha shen。標高2000m以下の日当たりの良い芝生の斜面に生える。
茎と葉は無毛または微軟毛がある。萼裂片はほとんどが無毛、またはまばらに小剛毛がある。蒴果は長さ5~7㎜。2n=34。花期と果期は8~10月。
12-2 Adenophora polyantha subsp. scabricalyx (Kitagawa) J. Z. Qiu & D. Y. Hong
中国(安徽省、甘粛省、河北省、河南省、江蘇省、遼寧省、内蒙古、寧夏回族自治区、山西省、山東省、山西省)原産。中国名は毛萼石沙参 mao e shi sha shen。標高1500m以下の日当たりの良い草原に生える。茎と葉は±小剛毛がある。萼裂片は小剛毛があり、まれに無毛、蒴果は長さ6~12㎜。花期および果期は8~10月。2n=68。
13 Adenophora remotidens Hemsl. アデノフォラ・レモティデンス
朝鮮原産。英名はIncheon ladybell。
14 Adenophora remotiflora (Siebold et Zucc.) Miq. ソバナ 岨菜
日本(本州、四国、九州)、韓国、中国、ロシア原産。中国名は薄叶荠苨 bao ye ji ni 。山地の林縁、崖などに生える。多年草。高さ50~100㎝。茎は直立又は斜上する。普通は無毛、ときに毛が生える。葉は互生し、長さ5~10㎝、幅3~8㎝の卵形~広披針形、粗い鋸歯があり、長い柄がある。頂部の円錐花序にまばらに花をつけ、花は垂れ下がり、下向きに咲く。花冠は淡紫色、長さ2~3㎝、先端が広がった鐘形、先が5裂する。雄しべ5個。花柱は花冠より突き出ないことが多いが、突き出ることもある。柱頭は3裂する。萼裂片は披針形、鋸歯は無い。2n=34,36。花期は8~9月。
14-1 Adenophora remotiflora (Siebold et Zucc.) Miq. f. angustifolia Makino ホソバソバナ 細葉岨菜
14-2 Adenophora remotiflora (Siebold et Zucc.) Miq. f. hirsuta (Honda) Sugim. ex Yonek. ケソバナ 毛岨菜
synonym Adenophora remotiflora (Siebold et Zucc.) Miq. var. hirsuta Honda
14-3 Adenophora remotiflora (Siebold et Zucc.) Miq. f. leucantha Honda シロソバナ 白岨菜
synonym Adenophora remotiflora (Siebold et Zucc.) Miq. f. albiflora Y.N.Lee
15 Adenophora stenanthina (Ledeb.) Kitag. ナガバモウコシャジン 長葉蒙古沙参
中国(甘粛省、河北省、吉林省、内モンゴル、寧夏、青海省、陝西省、山西省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は长柱沙参 chang zhu sha shen。標高4000m以下の針葉樹林、低木林、草原、草が茂った斜面、砂地に生える。根はニンジンに似ており、最大10㎝×0.7~0.8㎝。 茎は数本、叢生し、長さ40~120㎝、ときに上部で分枝し、通常は微細にザラつく。根生葉は葉柄がある。、葉身は心形、または基部が切形で、縁は深く不規則な鋸歯がある。茎葉は無柄、葉身は糸状、線形、楕円形、披針形、または卵形、長さ2~10㎝×幅0.1~2㎝、両面とも細かくザラつくか、またはほぼ無毛、縁は全縁またはまばらな小鋸歯がある。花序は偽総状花序または円錐花序。花托筒は倒卵形、楕円形、または鐘形、無毛。 萼片は錐形または狭い三角形、長さ1.5~5(~7)㎜、縁は全縁または小歯がある。花冠は淡青色~暗青色、青紫色、または紫色、ほぼ筒形または筒状鐘形、長さ10~17㎜×幅5~8㎜。花盤は狭い筒形、長さ4~7㎜、無毛または絨毛がある。花柱は長さ1.8~2.2㎝。 蒴果は楕円形、長さ7~9㎜×幅3~6㎜。花期は7~9月。果期は8~9月。2n=34。
16 Adenophora stenophylla Hemsl. イトバシャジン 糸葉沙参
中国(黒竜江省、吉林内モンゴル)、モンゴル原産。中国名は扫帚沙参 sao zhou sha shen。乾いた草原に生える。
1つの根から多数の茎を出し、高さ25~50㎝、しばしば、細い枝をもち、密に小剛毛があるか、または無毛。 根性葉の葉身は卵状円形、基部は円形。茎葉は無柄、葉身は針状~線状長円形、最大・長さ6㎝×幅0.5㎝、無毛または小剛毛があり、縁は全縁またはまばらな鋸歯がある。花序は枝が細く、直立し、狭い円錐花序を形り、まれに数個だけの花が偽総状花序につく。小花柄は細い。花托筒は倒卵状長円形、無毛。萼片は錐形、長さ3~4㎜、縁は全縁、または1~2対の疣状小歯状突起(verrucose denticles)がある。花冠は青色または青紫色、鐘形、長さ8~13㎜m。花冠裂片は卵状三角形、長さ3~3.5㎜。花盤は筒形、長さ1~1.5㎜、無毛またはまばらに微軟毛がある。花柱は花冠よりわずかに短い。蒴果は楕円形、長さ4~8㎜×幅2.3~5㎜。種子は黄褐色、楕円形、わずかに扁平、長さ約1㎜。花期は7~9月。果期は9月。2n=34。
17 Adenophora stricta Miq. トウシャジン 唐沙参
韓国、中国(安徽省、重慶市、福建省、甘粛省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)原産。中国名は沙参 sha shen 。別名はマルバノニンジン。標高3300m以下の牧草地、森林縁、低木地、開けた山の斜面、森林、草の間、岩の隙間に生える。日本へは薬用として中国から渡来した。野生化したものは見られない。
茎は高さ40~80 cm、単純で、しばしば小剛毛または絨毛があり、まれに無毛。根出葉は葉柄が長く、卵形[腎状円形]、基部は心形。茎葉は互生し、無柄(下部の葉はときに、葉柄に非常に短い翼がある)。葉身は楕円形または狭卵形[広卵形]、長さ3~11㎝×幅1.5~5㎝、まばらに小剛毛、粗毛があるか、または無毛で、基部は楔形、先は鋭形または短い尖鋭形、鋸歯縁。花はしばしば、偽総状花序につき、または花序が短い枝を持ち、非常に狭い円錐花序につくが、非常にまれに長い枝と円錐花序が多数ある。小花柄は長さ5㎜未満。花托筒は倒卵形または倒円錐形、微軟毛があり、いぼ状の毛(verrucose-hairy)があるか、またはあまり多くはないが無毛。萼片は典型的には錐形、まれに線状披針形、長さ6~8㎜×幅1~1.5㎜、縁は全縁。花冠は青色または紫色、広鐘形、長さ1.5~2.5cm、無毛または少なくとも外側の脈に沿って粗毛がある。花冠裂片は5個、三角状卵形、筒部の長さの約1/2の長さ。雄しべ5本。花盤は短い筒形、長さ1~2.5㎜、無毛。花柱は通常、花冠よりわずかに長い(まれに短い)。子房下位。蒴果は楕円状球形(ごくまれに楕円形)、長さ6~10㎜。種子は褐黄色、わずかに扁平、長さ約1.5㎜。花期は8~10月。2n=34。
17-1 Adenophora stricta subsp. stricta
韓国、中国(安徽省、福建省、河南省、湖南省、江蘇省、江西省、浙江省)原産。中国名は沙参 sha shen。低地から中高地の草の間、岩の隙間に生える。
茎と葉は小剛毛がある(hispidulous)。萼は常に、そしてしばしば密に小剛毛がある。花冠は密または疎に粗毛があり、まれに外側が無毛になる。2n=34。
17-1-1 Adenophora stricta Miq. f. albiflora Migo シロバナトウシャジン 白花唐沙参
17-2 Adenophora stricta subsp. aurita (Franchet) D. Y. Hong & S. Ge
中国(四川省)原産。中国名は川西沙参 chuan xi sha shen。標高2100~3300mの牧草地、林縁、低木林に生える。萼裂片は幅1~1.8㎜。花冠は長さ2~2.5㎝。花盤は長さ1.8~2.5㎜。
17-3 Adenophora stricta subsp. confusa (Nannfeldt) D. Y. Hong
中国原産。中国名は昆明沙参 kun ming sha shen。標高1000~3200mの開けた山の斜面、森林に生える。
茎と葉は無毛またはまばらに粗毛がある。萼は通常無毛。
17-4 Adenophora stricta subsp. sessilifolia D. Y. Hong
中国(重慶市、甘粛省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、陝西省、四川省、雲南省)原産。中国名は无柄沙参 wu bing sha shen。標高600~2000mの森林縁の牧草地または草が茂った場所に生える。
茎と葉は小剛毛がある。萼はほとんど小剛毛があるかまたは細かくザラつき(scaberulose)、それほど頻繁ではないが無毛になる。花冠は通常無毛か、外側の脈に沿って少数の毛があるだけである。
17-5 Adenophora stricta Miq. var. lancifolia Honda ナガバノニンジン 長葉の人参
Adenophora stricta Miq.のsynonym。18 Adenophora takedae Makino イワシャジン 岩沙参
日本固有種(本州中部~東海地方)。別名はイワツリガネソウ。岩場に生える。よく栽培されている。
多年草。高さ20~70㎝。根茎は太い。 根生葉は長い葉柄があり、卵形。茎葉は互生し、狭披針形~広線形、長さ7~15㎝、縁には鋸歯がある。総状花序は頂生し、花が約10個、下向きにつく。花柄は細く、長さ2~5㎝。萼片は5個、長さ5~8㎜、線形、微細な突起がある。花冠は放射相称、青紫色、まれに白色、長さ1.5~2.5㎝、直径1.5~2.5㎝釣鐘形、先が5浅裂する。雄しべは5本。子房は下位、3室。花柱は花冠から突き出ない。柱頭は3裂。 果実は蒴果。花期は8~10月。
18-1 Adenophora takedae Makino var. howozana (Takeda) Sugim. ex J.Okazaki ホウオウシャジン 鳳凰沙参
南アルプスに分布。鳳凰三山の岩場に生える。多年草、高さ20㎝程度でイワシャジンに比べて小型。茎葉は広線形。花が多数つく。花期は8~9月。
19 Adenophora tashiroi (Makino et Nakai) Makino et Nakai シマシャジン 島沙参
日本(長崎県平戸、五島列島)、朝鮮(済州島)原産。海岸近くの岩場、草地に生える。多年草。高さ10~30㎝。茎の基部はしばしば倒伏する。葉は互生し、卵形~広卵形、質がやや厚く、光沢があり、長さ2~3㎝、縁には鋸歯がある。花は単生あるいは総状花序又は複総状花序につく。 萼片は披針形、全縁。花冠は青紫色~淡紫色、鐘形。花柱は花冠から突き出ず、突き出てもほぼ同長かわずかに突き出る程度。花期は8~11月。
20 Adenophora trachelioides Maxim. アツバソバナ 厚葉岨菜
中国(安徽省、河北省、江蘇省、遼寧省、内モンゴル、山東省、浙江省)原産。中国名は荠苨 ji ni。標高2400m以下の山や丘の斜面、草原、森林の縁に生える。茎は1本、高さ40~120㎝×直径1㎝まで、しばしば±ジグザグに捻じれ、ときに分枝する。茎葉は互生し、葉身は卵形または楕円形、長さ3~13㎝×幅2~8.5㎝、基部は心形、切形、鈍形、または楔形、縁は鋸歯または重鋸歯があり、先は鈍形~短い尖鋭形。葉柄は長さ1~6㎝、ときに翼がある。花序の枝はほとんどが長く水平に広がり、大きな円錐花序を形成するが、短い場合はたまに、狭い円錐花序を形成する。花托筒は広円錐形。萼片は楕円形または披針形、長さ4~13㎜×幅2~4㎜、縁は全縁(まれに縁毛がある)。花冠は青色、青紫色、または白色、鐘形、長さ2~2.5㎝。葉は広楕円形、幅5~7㎜、先は鋭形。花盤は筒状、長さ2~3㎜。花柱は花冠と同長。蒴果は卵状円錐形、約・長さ7㎜×幅5㎜。種子は黄褐色、両端が黒色、狭い長円形、わずかに扁平、長さ0.8~1.5㎜。花期は7~8月。果期は8~9月。2n=34, 36。
21 Adenophora tricuspidata (Fisch. ex Roem. et Schult.) A.DC. コウアンシャジン 興安沙参
中国(黒竜江省、内モンゴル)、ロシア原産。中国名は锯齿沙参 ju chi sha shen。湿った草原、ダケカンバの森、日当たりの良い草の茂った斜面に生える。茎は1つの根から1本ときに2本の場合もあり、高さ70~100㎝、単純で無毛。茎葉は無柄で無毛。葉身は狭楕円形または卵状楕円形、長さ2.5~8㎝×幅0.6~2㎝、基部は鈍形または楔形、縁は鋸歯状、先端は鋭形。 花序の枝(集散花序)は非常に短く、わずか長さ2~3㎝ で、2~数個の花があり、いくつかは狭い円錐花序を形成します。小花柄が非常に短い。花托筒は球状卵形または球状倒円錐形、無毛。 萼片はしばしば反り返り、卵状三角形、長さ3~6㎜×幅1~2㎜、基部で重なり、縁には2まれに3~4対の長い小歯状突起(denticles)があり、先は尖鋭形。花冠は青色または青紫色、広鐘形、長さ1~2cm、花冠裂片は広卵状三角形、筒部の長さの約1/2の長さ、先は鈍形。花盤は短い筒形、長さ1~2㎜、無毛。花柱は花冠より短い。蒴果はほぼ球形。花期は7~9月。2n=34。
22 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. サイヨウシャジン 細葉沙参 広義
synonym Adenophora tetraphylla (Thunb.) Fisch. [Flora of China]
日本(本州の中国地方以西、九州、沖縄)、韓国、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、黒竜江省、河南省、湖南省、江蘇省、江西省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、山東省、山西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ロシア、アムール、ラオス、ベトナム原産。中国名は轮叶沙参 lun ye sha shen。別名はナガサキシャジン。南部では低く、標高2000mまでの草が茂った場所、低木地帯に生える。根はニンジンに似ており、長さ7~16㎝×幅1.5~1.8㎝。 茎は高さ1.5mまで、単純で無毛、あまり多くはないが白色。茎葉は3~6輪生、無柄またはほぼ無柄。葉身は広~狭楕円形、線状披針形、または線形、長さ1.8~10㎝×幅0.2~3.2㎝、両面はまばらに微軟毛がある (puberulent)かまたは無毛、基部は楔形または漸尖形、縁は鋸歯または小鋸歯があり、先は尖鋭形、鋭形、または鈍形。花序は細い円錐花序で、枝(集散花序)はほとんどが垂直になる。花托筒は倒円錐形または鐘形、無毛。 萼片は錐形、線形または線状三角形、長さ1.5~4㎜、縁は全縁。花冠は青色~紫色、筒形または狭い漏斗形、ときに喉部でわずかにくびれ、長さ7~10㎜。花冠筒部は直径2.5~7㎜。花冠裂片は三角形、長さ1~2㎜。花盤は狭い筒形で、長さ2~4㎜。花柱は長さ14~20㎜、強く突き出る。蒴果は倒卵形または広倒卵形、長さ5~8㎜×幅3~6mm。種子は黄褐色、長円形、わずかに扁平、長さ1~1.5㎜。花期は(2~)3~11月。果期は5月~11月。2n=34, 34+2B。
kewsienceでは亜種、変種を認めていない。YListでは以下の変種などを認めている。サイヨウシャジンは花冠の先端が狭くなる(壺形~狭鐘形)ことと、花柱が花冠の長さに近いほど明瞭に突け出ることなどによりツリガネニンジンと区別されるが、変異がある。
22-1 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. triphylla サイヨウシャジン 細葉沙参
synonym Adenophora tetraphylla (Thunberg) Fischer本州(中国地方以西)、九州、沖縄、中国に分布する。Flora of China ではAdenophora tetraphyllaを採用し、中国名は轮叶沙参 (lun ye sha shen) 。花冠は小さく、長さ7~10㎜、幅2.5~7㎜、花冠の幅が狭く、先がやや狭まる筒形(壺形)~狭鐘形。萼裂片は線形、全縁。花柱は長さ14~20㎜、花冠から長く突き出る。2n=34。
22-1-1 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. triphylla f. alba Hatus. シロバナリュウキュウシャジン 白花琉球沙参
22-2 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara ツリガネニンジン 釣鐘人参
synonym Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. subsp. aperticampanulata Kitam.
synonym Adenophora izuensis H.Ohba et S.Watan.北海道、本州、四国、九州、千島、サハリンに分布。
茎は白毛が生え、切ると乳液が出る。茎葉は(2)3~4個が輪生し、長さ4~8㎝の卵状楕円形~披針形。葉の先が尖り、縁に粗い鋸歯があり、短い柄がある。葉の幅には変化が多く、一定しない。根生葉は長柄があり、ほぼ円形、基部は心形、普通、花期にはない。花は互生又は輪生し、細い小柄の先に釣り下がって下向きに咲く。花冠は変化が多く、長さ15~20㎜のやや膨らんだ鐘形が多く、まれに膨らまないものもあり、先が5裂する。花柱は花冠から普通、長く突き出る。ただし、花柱が短いものもある。萼片は線形、縁にまばらに小さな鋸歯がある。果実は蒴果、冬にわら色になり、釣り下がって残り、上側が裂開して種子を少しずつ落とす。種子は長さ約1.5㎜、片側に狭い翼がある。2n=34
品種) 'Alba'
22-2-1 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara f. albiflora (Tatew.) H.Hara シロバナツリガネニンジン 白花釣鐘人参
白花品種。別名はシロバナハクサンシャジン。葉や茎の緑色が母種よりやや薄い。花冠は白色、先が5裂し、裂片の内側が緑色を帯びる。22-2-2 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara f. canescens(Franch. et Sav.) Kitam. シラゲシャジン 白毛沙参
22-2-3 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara f. leucantha H.Hara シロバナツリガネニンジン 白花釣鐘人参
22-2-4 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara f. procumbens T.Shimizu ハイツリガネニンジン 這釣鐘人参
22-2-5 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara f. rotundifolia Hiyama マルバノハマシャジン
22-2-6 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara form. violacea (H.Hara) T.Shimizu ハクサンシャジン 白山沙参
北海道、本州中部以北に分布。高山型。別名はタカネツリガネニンジン。最近は品種としない。葉は鋸歯が鋭く尖る。花冠の幅が広い広鐘形で、花序の花柄が短く、花が密集してつく。花柱は花冠から長く突き出る。
22-3 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. insularis (Kitam.) Kitam. リュウキュウシャジン 琉球沙参
変種として認めない(The Plant List)。22-4 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. puellaris (Honda) H.Hara オトメシャジン 乙女沙参
変種として認めない(The Plant List)。22-5 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. sasamotoi Sugim. シキネシャジン 式根沙参
伊豆諸島、式根島に分布。22-6 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. verticillata (Fisch.) ニオイシャジン 匂い沙参
synonym Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. angustifolia (Regel) Kitam.
synonym Adenophora verticillata Fisch.synonym Adenophora triphylla auct. non (Thunb.) A.DC.
synonym Adenophora tetraphylla auct. non (Thunb.) Fisch.
韓国、中国、モンゴル、ロシア原産。Flora of ChinaではAdenophora tetraphyllaに含める。
一般に丈が高く、高さ150cm位になる。葉は質がやや厚くて硬く、1節に 3~6個輪生する。花序は細長く、枝は通常完全に輪生する。花は多数つき、小さく、長さ1~1.3㎝。萼裂片は極めて小さく、短く、のみ形をなし、全縁、先はやや肉太くなり、黒色を帯び、長さは1~2.5㎜程度。花冠は筒状鐘形~鐘形、濃碧色。
22-6-1 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. verticillata (Fisch.) f. hirsuta (F.Schmidt) Kitam. ケニオイシャジン 毛匂い沙参
23 Adenophora uryuensis Miyabe et Tatew. シラトリシャジン 白鳥沙参
synonym Adenophora pereskiifolia (Fisch. ex Roem. et Schult.) Fisch. ex G.Don var. uryuensis (Miyabe et Tatew.) Toyok. et S.Nosaka
日本固有種(北海道西部、雨竜地方)。蛇紋岩地に生える。北海道天塩山地の白鳥山で採取され、命名された。別名はウリュウシャジン(雨竜沙参)。高さは10~20㎝。花盤長が1㎜以下の短い花盤を持つ。モイワシャジンによく似ており、モイワシャジンの変種とされたこともあるが、2n=34(2倍体)であり、モイワシャジンの2n=68(4倍体)とは異なり、外部形態にも差異がある。
外部形態および染色体数の両方に明瞭な差異が、シラトリシャジン(A. uryuensis)とモイワシャジン(A.pereskiifolia var. heierotricha)の間で見られる。シラトリシャジン(Adenophora uryuensis Miyabe et Tatew.)は染色体数が2n=34の2倍体であり、萼片は卵形または広披針形で、花盤が短く(長さ1mm 以下)、花柱は花冠より短く、花冠裂片は花冠全長の半分の長さで切り裂かれるのが特徴である。A.pereskiifolia var .heterotricha は染色体数 2n=68 の四倍体で、萼片が披針形または狭披針形、花盤が杯形(長さ1~3㎜)であるのが特徴である。花柱は花冠より長く、花冠裂片は浅く裂け、長さは花冠全長の3分の1である(参考7)。
24 Adenophora wulingshanica D.Y.Hong ムレイシャジン 霧霊沙参
中国(北京北東部)原産。中国名は雾灵沙参 wu ling sha shen。標高1200~1700mの茂み、草が茂った斜面、まれに森林の道端、石灰岩の上にはえる。
茎は1つの根から1~2本、高さ50~120㎝、単純、無毛、または非常にまばらに小剛毛がある(hispidulous)。茎葉は3~4輪生または亜輪生し、短い葉柄がある。葉身は卵形、楕円形、または楕円状線形、長さ5~13㎝×幅0.4~4.5㎝、両面とも無毛または脈に沿ってまばらに小剛毛があり、縁は規則的または不規則な歯または鋸歯がある。花序は集散花序からなる円錐花序で、ときに枝はほぼ垂直になる。小花柄は通常長さ1cm未満。花托筒は楕円形または倒卵状倒円錐形、無毛。 萼片は糸状錐形、長さ5~10㎜×幅1㎜未満、縁には1~2対の小歯状突起(denticle)がある。花冠は青色または紫青色、漏斗形、長さ1.8~2.5cm。花冠裂片は卵状三角形、長さ5~6㎜。花盤は短い筒形、長さ0.8~1.5㎜、無毛。花柱は花冠よ少し短い。蒴果は長円形、約・長さ10㎜×幅4~5㎜。 種子は橙黄色、楕円形、長さ約1.5㎜。花期は8~9月。果期は9~10月。2n=34。
25 その他ハイブリッド
品種) 'Afterglow' , 'Amethyst' , 'Gaudi Violet'
参考
1) Flora of ChinaAdenophora
Adenophora
Adenophora
Adenophora grandiflora NAKAI p188-189
Adenophora grandiflora NAKAI p188-189
ヒメシャジン群の分類学的研究 シラトリシャジンについて
ニオイシャジン小記(北川政夫)