タツナミソウ 立浪草

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae タツナミソウ属

中国名 韩信草 han xin cao
学 名 Scutellaria indica L.
 synonym Scutellaria indica L. var. indica 狭義
タツナミソウの花序
タツナミソウの花序横
タツナミソウの花
タツナミソウの花冠の毛
タツナミソウの果実
タツナミソウの葉
タツナミソウ
タツナミソウの萼のスクテルム
タツナミソウの葉
タツナミソウの葉裏の腺点
タツナミソウの種子
花 期 5~6月
高 さ 12~28㎝
生活型 多年草
生育場所 丘陵の林縁
分 布 在来種 本州、四国、九州、朝鮮、中国
撮 影 蒲郡市形原町 12.5.5
タツナミソウはシソ科タツナミソウ属の多年草。
 広義には多年草。茎は暗紫色、1本~少数出て、高さ8~28㎝、斜上~直立、直径約1~1.2mm、角(かど)や先に毛が多い。葉柄は長さ0.4~1.4(~2.8)㎝。葉身は長さ0.8~2.6(~3)㎝×幅0.8~2.3㎝、基部は切形~くさび形、縁は円鋸歯、先は円形~鋭形。総状花序は頂生、長さ2~8(~12)㎝。苞は無柄、長さ3~6mm×幅1~2.5mm、縁は全縁。基部の苞は葉状、卵形、長さ1.7㎝以下、微軟毛があり、縁は円鋸歯縁。小花柄は長さ2.5~3mm、微軟毛がある。萼は長さ約2.5㎜、租毛があり、微軟毛がある。スクテルム(scutellum)は長さ約1.5mm、直立し、果時に長さ3mm以下に広がる。花冠は青紫色、長さ1~1.8㎝、外側にまばらに微軟毛があり、唇の内側に毛があり、のど部で幅約4.5mm。下唇の中裂片は暗紫色の斑点があり、円状卵形、中間でわずかにくびれ、先は凹形。側裂片は卵形。小堅果は栗色~暗褐色、卵形、長さ約1mm×幅1mm未満、疣状突起があり(tuberculate)、疣状突起は尖鋭形、先に微細な鈎の輪をもち、背側の基部近くに小鈍突起がある(umbonate)。花期と果期は2~6月。
品種) 'Kiescut'
 狭義のタツナミソウ(var. indica)、中国原産の长毛韩信草(var. elliptica)、缩茎韩信草(var. subacaulis)、アツバタツナミソウ(var. tsusimensis)の4変種とコバノタツナミ(f. parvifolia)の1品種に分類されている。タシロタツナミソウ、ホクリクタツナミソウ、シロバナタツナミソウは狭義のタツナミソウに含められた。
 狭義のタツナミソウは茎が高さ12~28㎝、角(かど)や先に微軟毛がある。葉は心状卵形~楕円形、長さ1.5~2.6(~3)㎝×幅1.2~2.3㎝、基部は円形~心形、先は鈍形~円形、微軟毛~剛毛があり、下面には密にある。総状花序は長さ4~8(~12)㎝。花冠は長さ1.4~1.8㎝。小堅果は長さ1.2~1.5㎜、疣状突起が密生する。2n=26。花期は5~6月。
 オカタツナミソウの花穂はタツナミソウより短く、茎の先に花が固まってつく。
 海岸近くに多いコバノタツナミ(S. indica f. parvifolia)はよく栽培されており小型、茎や葉にビロード状の短毛が密生する。また、葉の鋸歯が3~7対と少なく、葉の長さが5~15㎜と小さい。変種から品種に改められた。
 シソバタツナミ(S. laeteviolacea)は茎に上向きの短毛が生える。
 茎の毛が開出するトウゴクシソバタツナミやイガタツナミはPOWOではシソバタツナミに含められている。ホナガタツナミはシソバタツナミに似るが、オカタツナミソウのように茎の毛が下向きに曲がる。

タツナミソウ属

  family Lamiaceae - genus Scutellaria

 多年草又は亜低木、まれに低木、芳香は無い。葉は全縁~羽状中裂。花序は頂生又は腋生、総状花序又は穂状花序、又は偽総状花序(花が対生:総状花序状の二出集散花序で集散花序の花が1個、広義には総状花序に含める)。花序の葉は普通、先部で苞状。花は腋生、対生又はときに先で互生。萼は短く、筒状、背腹側で平らになり、2唇形。唇は全縁、閉じて、果時には縫合線に沿って基部まで分裂する。上唇は脱落性、やや横長の円形で凹面の帆状の突起物(スクテルム scutellum:小盤、小皿)をもち(属名は萼のこのスクテルムから)又はもたず、下側に明瞭な袋がある。花後に萼の上唇と下唇は合着して、花冠の落ちた開口は閉じ、上唇が大きくなり皿のように見える。果実が熟すと上唇は脱落し、下唇は果実が熟した後も宿存し、果実を載せる。花冠は2唇形。花冠筒部は突き出し、弓形になり又は類直立し、のど部まで次第に幅が広くなり、基部は曲がり、袋又は距になり、普通、外側に微細軟毛が環状になる。上唇は直立、かぶと形(galeate)。下唇は3裂し、中裂片が広く、平らになり、全縁。側裂片は上唇に結合し、ときに広がる。雄しべは4本、2強雄しべ、前側の2本が最も長く、上唇の下につく。葯は対が接近し、室の口に毛がある。後ろ側の対は目立つ2室があり、先は鋭形、前側の対は未熟により1室。花柱は錐形、先は不等に2裂。小堅果は扁球形~球形~卵形普通、疣状突起(tuberculate)に覆われ、内側の基部近くには小鈍突起がある(umbonate:ほぼ円形で、中央に小さな突起または隆起がある)。英名はskullcap。
 世界に約350(471)種があり、世界中に広く分布するが、熱帯アフリカには少数だけ。

タツナミソウ属の主な種と園芸品種

1 Scutellaria alpina L.  スクテラリア・アルピナ
 ヨーロッパ原産。英名はAlpine skullcap。標高(900)1200~2400(3100)山地の石灰岩地の岩場、石の多い草原に生える。観賞用に栽培され、園芸品種の色は豊富で、紫色、赤紫色、藤色、白色、クリーム色、黄色、2色などがある。
 高さ(4)10~28(45)cm、毛があり、根茎は長さ約20㎝、直径0.3(1)㎝、よく枝分かれまたは曲がりくねる。茎は1~10本あり、草質、斜上または直立し、単純または分枝し、ときに赤褐色またはワイン色になり、様々な長さの白色の毛で±密に覆われる。葉は灰緑色、長さ8~15(~27~38)㎜×幅(3)5~10(15)㎜、平ら、卵形、基部は円形~心形で、縁に疎に円鋸歯状鋸歯があり、外巻きせず、毛がある。下部~中間の葉は葉柄があり、葉柄は長さ2~6(8)㎜、上部の葉は無柄、先はほぼ鋭形。花序は長さ6(8)cm、頂生、穂状花序状の総状花序、密に腺毛があり、4個以上の輪散花序がつき、各輪に花が6~18個つき、花はそれぞれ2個ずつ対につく。苞は長さ5~12(20)㎜×幅(3)4~10(15) mm、無柄、覆瓦状、膜質、卵状尖鋭形、全縁、緑色~紫色または帯白色、毛があるか、またはほぼ無毛になり、縁毛がある。花は小花柄が長さ5㎜以下、±アーチ状にまがる。萼は長さ3.5~4(5)㎜、花時に開出し、花後に増大し、外側に腺毛があり、緑色またはワイン色。スクテルム(scutellum:上唇の小盤)は幅4(5)㎜、直立し、腺のない毛の部分がある。成熟した萼は長さ約4㎜、±垂れ下がり、開いたスクテルムは二重の翼状に似る。花冠は長さ15~25㎜、紫青色または±紫色、花冠筒部の先と上唇は帯白色で、これ以外の外面は短い白色の毛で覆われる。花冠筒部の基部は強くアーチ形で、残りは真っすぐ直立する。上唇はヘルメット形、中裂片が側裂片よりも大きい。下唇は開出または後屈し、上唇より大きい、±全縁。小堅果は長さ(1.5)2~5㎜、ほぼ三角形または±舟形、しわがあり、小さな星状毛があり、帯灰色または帯黒色。2n=22。
品種) 'Alba' , 'Arcobaleno' , 'Greencourt' , 'Moonbeam' , 'Rosea' , 'Sapphire'

2 Scutellaria altissima L. セイヨウナミキソウ 西洋波来草
 ヨーロッパ、コーカサス、トルコ原産。英名はSomerset skullcap , tall skullcap
 多年草。高さ40~100㎝。茎は分枝し、毛と腺毛があり、基部は木質になる。葉は対生、長い葉柄があり、葉身は長さ8㎝以下、広卵形、基部は切形~心形、円鋸歯縁。花柄は短い。花序は片側性(unilateral)の穂状花序状、小さい葉の葉腋に花が2個ずつつく。花は2唇形、長さ約1.5㎝。上唇は青色~紫色、、ビロード状。下唇は淡色~白色。花冠筒部は長く白色。雄しべは4本。萼は先端に長さ3~5mmの鱗片がある。果実は密にいぼがあり(tuberculate)、星状毛をもつ。 花期は6~8月。2n=34。

3 Scutellaria amabilis H.Hara ヤマジノタツナミソウ 山路の立浪草
 日本固有種(本州)丘陵~低山の林縁や林内に生える。シソバタツナミソウによく似ている。
 多年草。直立し、高さ15~25㎝。茎は4稜形、稜上に、上向きの曲がった細毛が生ある(毛が細かく、肉眼ではほとんど見えない)。葉柄は長さ1~2㎝、葉身は広卵形~卵心形、長さ1~2㎝×幅0.8~2㎝、質は薄く、縁に粗い(大きい)円鋸歯があり、基部は浅い心形、表面に毛はほとんどなく、両面に腺点がある。花序は短く、花はまばらに1~数対つく。花冠は長さ2~2.5cm、青紫色で基部で曲がって直立する。萼は長さ2.5~3mm、腺毛がある。種子は扁円形~楕円形、表面には円錐形で先の丸いいぼ状突起があり(tuberculate)、長さ約1.7mm。2n=26。

4 Scutellaria asperiflora Nakai ムラダチタツナミソウ 
 韓国固有種。山水と惠山鎭(ヘサンジン)の間の草むらに生える。
 2年生の木質の匍匐茎があり、1年草、亜低木。幹は基部から枝分かれし、ほとんどの枝は高さ37cm、様々な角度の4稜形、長い縁毛がある。葉柄は長さ1~3㎜、みぞがあり、毛がある。葉身は卵形~卵状長円形、長さ10~29㎜×幅5~22㎜、上面は粗く、緑色、下面は淡色、凹んだ腺点があり、それ以外は脈に毛があり、先は鈍形~鋭形、縁は円鋸歯状の歯があり、基部は切形~心形。花は腋生、単生、片側生、茎の中間の下~頂部までつく。小花柄は長さ5~6㎜、開いた毛むくじゃらであり、ほぼ水平のアーチ形。萼は花時に紫色、長さ3.5㎜、果時には長さ5~5.5㎜。花冠は基部が急に曲がり直立し、毛があり、長さ23~27㎜、紫色。雄しべは突き出さない。堅果はほぼ硬い突起状のパピラ(submuricato-papillosae)がある(Bot. Mag. (Tokyo) 35: 194, 1921)。

5 Scutellaria austrotaiwanensis T.H.Hsieh et T.C.Huang ヒメハイタツナミソウ 姫這立浪草

 台湾原産。中国名は南台灣黃芩。標高400~500mの急斜面や林縁に生える。
 多年草、高さ30㎝まで。茎は斜上または傾伏し、毛がある。葉は紙質、葉柄があり、葉柄は長さ4~6 mm。葉身は広卵形、長さ1~2.2㎝×幅1~2.2㎝、基部は切形、先は鈍形~円形、縁に4~5個の浅い円鋸歯がある。花序は頂生の総状花序、長さ4~15㎝。小花柄は捻じれ、ほぼ同一平面上にある。花は2唇形。花冠は紫青色の筒形、長さ1.0~1.2㎝、基部に膝状関節がある(geniculate)。花粉粒は3溝型(3-colpate) 、長球形(prolate)、長さ15~20μmx幅10~15μm、装飾は規則的な網目型~網目型で微細穿孔型(microperforate)。小堅果は円形、長さ1.3㎜×幅0.9㎜、種皮に短い鉤形(grappling-hook)の疣状突起があり、側部にへそがある。2n=26。

6 Scutellaria baicalensis Georgi コガネバナ 黄金花
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は黄芩 huang qin。別名はコガネヤナギ、オウゴン、バイカルタツナミソウ。和名は根の断面の鮮やかな黄色に由来する。根は生薬の黄芩(おうごん)として利用される。
 多年草。根茎は肉質、直径2㎝以下、分枝する。茎は株立になり、斜上し、高さ(15~)30~120㎝、多数、分枝し、ほぼ無毛又は前向き~開出する微軟毛がある。葉柄は長さ約2㎜、微軟毛がある。葉身は披針形~線状披針形、長さ1.5~4.5㎝×幅(0.3~)0.5~1.2㎝、紙質、無毛又はまばらに微軟毛があり、下面に密に凹んだ腺点があり、基部は円形、縁は全縁、先は鈍形。総状花序は頂生、長さ7~15㎝、基部の苞は茎葉に似る。茎上部の葉は卵状披針形~披針形、長さ4~11mm、ほぼ無毛。花柄は長さ約3mm、微軟毛がある。萼は果時に長さ約4mm、外側に密に微軟毛があり、内側は無毛、スクテルム(scutellum)は長さ約1.5mm、果時に長さ約4㎜。花冠は紫赤色~青色、長さ2.3~3㎝、外側に密に腺毛があり、内側の袋状の部分に毛がある。花冠筒部は基部近くで明瞭に曲がり、のど部は幅6mm以下。下唇の中裂片は三角状卵形、幅約7.5mm。小堅果は卵形、約・長さ1.5mm×幅1mm、小突起(tuberculate)があり、内側の基部近くには小鈍突起がある(umbonate)。花期は7~8月。果期は8~9月。
品種) 'Coelestina' , 'Oriental Blue'

7 Scutellaria barbata D.Don セイタカナミキソウ 背高波来草
  synonym Scutellaria rivularis Benth.
 日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ラオス、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム原産。中国名は半枝莲 ban zhi lian。熊本県の江津湖で最初に発見された外来種。Flora of ChinaやKewscienceでは日本も分布域に入れている。
 茎は直立、高さ12~35(~55)㎝、無毛又は上部にまばらに伏毛がある。葉柄は長さ1~3㎜、凹凸面、まばらに毛がある。葉身は三角状卵形~卵状披針形、長さ1.3~3.2㎝×幅0.5~1(~1.4)㎝、ほぼ無毛~脈にまばらに伏毛があり、基部は広くさび形~類切形、縁に離れた不明瞭な浅い歯があり、先は鋭形。総状花序は特徴がなく、頂生。花序の葉は茎葉に似て、基部で長さ8mm以下、上部ではかなり小さく、楕円形~狭楕円形、上面はまばらに毛があり、下面は脈上だけにまばらに毛がある。小苞は針状、長さ約0.5mm、花柄の中間につく。花は腋生。花柄は長さ1~2㎜、微軟毛がある。萼は長さ約2㎜、外側の脈沿いに微軟毛があり、縁に繊毛があり、果時に長さ4.5㎜以下、上唇のスクテルム(scutellum)は長さ約1mm、果時に長さ2㎜以下。花冠は紫青色、長さ0.9~1.3㎝、外側に毛があり、のど部の内側にまばらに直軟毛がある。花冠筒部は基部の前側に袋があり、中間で幅約1.5mm、次第に広がり、のど部で幅3.5mm以下。上唇は半円形、長さ約1.5㎜。下唇の中裂片は台形、約・長さ2.5㎜×幅4㎜、縁は全縁。側裂片は三角状卵形、長さ約1.5mm、先は鋭形。小堅果は褐色、扁球形、直径約1mm、疣状。花期と果期は4~7月。2n=26。

8 Scutellaria brachyspica Nakai et H.Hara オカタツナミソウ 丘立浪草
 日本固有種(本州、四国)。丘陵の林縁に生える。
 多年草。高さ10~50㎝。茎には下向きに曲がった毛が生える。葉は対生し、長さ1.5~5㎝。下から上へ葉が次第に小さくなるのではなく、上の方で密集し、上側の葉が大きくなるのが特徴。葉の両面に毛があり、葉裏には腺点がある。花序はタツナミソウより短く、茎の先に固まって花がつく。花の長さは約2㎝。下唇は折れ曲がり、弁の斑紋は薄く、ほとんど斑紋がない場合も見られる。萼は上下2唇に分かれ、上唇には大きな円形スクテルムが立つ。花後には上下唇は閉じてしまう。花冠や萼にも腺点や腺毛がある。果実は4分果、熟すと大きな萼の上唇が取れ、下唇が受皿のように残る。分果(小堅果)は長さ約2㎜、いぼ状突起が密生する。花期は5~6月。2n=26。

8-1 Scutellaria brachyspica Nakai et H.Hara f. albiflora Hayashi et Y.Kobay. シロバナオカタツナミソウ 

 白花品種。

9 Scutellaria costaricana H.Wendl. スクテラリア・コスタリカナ
 コスタリカ、ニカラグア、パナマ原産。英名はscarlet skullcap, Costa Rican skullcap。流通名は女王の木、王様の木。寒さ、暑さに弱い。花期は通年。寒い気候の地では1年草として栽培され、温室でも栽培される。
 亜低木または弱い低木、高さ0.3~2m。茎は微細な毛があり、頭状の腺のある開出毛があり、腺毛は長さ0.1~0.25㎜m、および/または腺毛がなく、開出または前向きの長さ0.02~0.25㎜の毛がある。葉柄は隣接する節間よりも短いかまたは長く、中間の葉は長さ0.7~5㎝の葉柄を持つ。葉身は長さ4.7~19㎝×幅1.5~8.5㎝、わずかにバイオリン形(pandurate)~楕円形または長円形、基部は非常に狭くなり不等の心形になり、先は尖鋭形で普通かま形、膜質。花序は総状花序、散房花序状、長さ2.2~14㎝(果時に25㎝まで)、花序軸は頭状の腺のある長さ0.1~0.25㎜の開出する腺毛、 および/または腺のない前向きの長さ0.025~0.25㎜の毛がある。 花は密集し、放射状に直立または成長するとわずかに開出する。苞は小花柄に伏せるか、花時に下向きに伸び、通常は宿存する。花は小花柄が長さ2.5~6㎜、花序と同様に毛がある。萼は長さ3~5㎜(果時に長さ7㎜まで)、スクテルムは高さ1~1.5㎜(果時に7㎜まで)。花冠は赤橙色、唇は黄橙色、筒部はほぼかぶと形(galea)、長さ(46~)50~65㎜、筒部は真っ直ぐ(まれに基部上1.5~3㎜でわずかに曲がる)、長さ4~11㎜×幅1~2㎜、円筒形、その後わずかに曲がる~ほぼ真っ直ぐで徐々に広がり(または±急に広がってから徐々に広がる)、口部で直径5~7.25㎜まで。上唇は長さ5~10㎜、下唇は長さ4~9.5㎜。堅果は薄茶色、長さ約2.75㎜、間隔の空いたパピラがあり、パピラは長さ0.025~0.05㎜(Manual de Plantas de Costa Rica)。
品種) 'Garbo'(PBR)淡黄色 , 'Monroe' (PBR) , フレーム , 'SCARLET'スカーレッテ

10 Scutellaria dependens Maxim. ヒメナミキ 姫浪来
 日本(北海道、本州、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は纤弱黄芩 qian ruo huang qin。
 多年草。直立し、高さ10~30(35))㎝。根茎をもつ。茎は無毛又は稜にまばらに毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ0.8~4mm、微軟毛があるかほぼ無毛。葉身は卵状三角形~三角形、長さ0.5~2.4㎝×幅3~12mm、膜質、上面にまばらに微軟毛があり、下面は脈上にだけ微軟毛があり、基部は浅い心形~切状心形、縁は不規則で浅い1~3個の歯があるかほぼ全縁、縁毛があり、先は鈍形~円形。総状花序は特徴がなく、頂生、初め上側に斜めに広がり、垂れ下がるようになる。小苞は針状、長さ約0.75㎜、花柄の基部に対につく。花は腋生。花柄は長さ2~3mm、伏せた微軟毛がある。萼は長さ1.8~2mm、脈が目立ち、脈と縁に繊毛があり、果時に長さ4mm以下。スクテルム(scutellum)は長さ約1mm、果時に長さ2㎜以下。花冠は白色又は白色で下唇が紫色(淡紫色~淡紅紫色を帯びた白色)、長さ5~6.5mm、外側に微軟毛があり、下唇の内側の中央だけに直軟毛がある。花冠筒部はわずかに曲がり、下唇は浅く3裂し、下唇の中裂片は上側に広がり、台形、約・長さ1.5㎜×幅2~2.5mm、凹形、淡紫色の斑点がある。側裂片は三角状卵形、上唇よりわずかに長い。小堅果は黄褐色、卵形、約・長さ0.7mm×幅0.5mm、いぼ状突起があり、内側はわずかに膨れ、基部近くに小鈍突起がある(umbonate)。花期と果期は6~9月。2n=28。

11 Scutellaria formosana N. E. Brown  スクテラリア・フォルモサナ
 中国(福建省、広東省、広西省、海南省、江西省、雲南省)原産。中国名は蓝花黄芩 lan hua huang qin。標高500~900mの森林の日陰の地域に生える。
 多年草。根茎は木質。茎は高さ約30㎝、斜上し、基部の節から根を張り、少数の分枝または単一で、ほぼ無毛または密に毛があり、帯紫色。葉柄は長さ0.8~1.2㎝、ほぼ無毛、腺毛がある。葉身は卵形~卵状披針形、長さ3~8㎝×幅1.5~3.3㎝、革質で、上面は光沢があり、下面はときに帯紫色になり、無毛またはときに密に毛があり、特に下面に点在し、基部は広楔形、縁は3または4個の波状鋸歯があり、先は鈍形~尖鋭形。総状花序は対生し、頂生、長さ7~17㎝。苞は狭菱形、長さ約2㎜、毛がある。小花柄は長さ約4㎜、密に毛がある。萼は長さ約3㎜。果時に長さ約4㎜、外側に毛があり、腺がある。スクテルム(scutellum)は広がり、半円形で、長さ2㎜以下。花冠は青色で、長さ約2.5㎝、外側に腺毛がある。花冠筒部は長さ約2㎝、基部は曲がっており、喉部は幅6㎜以下、基部近くの内側に絨毛がある。上唇は三角状卵形で、幅約8㎜。下唇の中裂片はほぼ円形、直径約4.5㎜、凹形。側裂片は卵形で、幅約3㎜。小堅果にはいぼ状突起がある。花期は8~9月。果期は10~11月。
品種) 'China Blue'
11-1 Scutellaria formosana var. formosana
 中国(福建省、広東省、海南省、江西省、雲南省)原産。中国名は蓝花黄芩 lan hua huang qin。標高500~900mの森林の日陰の地域に生える。
 茎は無毛。葉は無毛、斑点がありまたはときに下面に葉脈に沿ってまばらに毛がある。
11-2 Scutellaria formosana var. pubescens C.Y.Wu & H.W.Li
 中国(広西チワン族自治区、海南省)原産。中国名は多毛蓝黄芩 duo mao bian zhong。森林に生える。
 茎には毛がある。葉はとくに下面に密に毛がある。

12 Scutellaria galericulata L. スクテラリア・ガレリクラタ
 中国、カザフスタン、キルギスタン、モンゴル、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、 西南アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は盔状黄芩 kui zhuang huang qin。英名はcommon skullcap , marsh skullcap , hooded skullcap。バイカリン(baicalin)が含まれ、薬用に使われる。
 多年草、根茎がある。茎は直立、高さ35~40㎝、わずかに溝があり、角(かど)に下向きの毛がまばらにある以外は無毛、基部に葉はつかず、上部では多数、分枝する。葉柄は長さ2~7mm。葉身は長円状披針形、長さ1.5~6㎝×幅0.8~3㎝、基部の葉は大きく、膜質~紙質、毛があり、基部は浅い心形、縁は円鋸歯縁、先は鋭形。花は茎に先部に腋生、偏側生。 花柄は長さ 約2mm、密に下向きの毛がある。萼は長さ約3.5mm、外側に密に白色の毛があり、果時に長さ5mm以下。スクテルム(scutellum)は長さ約0.8mm、直立し、果時に長さ1.5mm以下になる。花冠は紫色~青色、長さ約1.8㎝、外側に腺毛があり、唇には部分的に微軟毛がある。花冠筒部は基部にわずかに袋があり、のど部は幅3.5~5mm。上唇は半円形、幅約2.5mm。下唇の中裂片は三角状卵形、先は凹形。側裂片は長円形、幅約1.5mm。小堅果は黄色、3稜形、卵形、直径約1mm、疣状突起があり(tuberculate)、内側の中間に小鈍突起がある(umbonate)。花期は6~7月。果期は7~8月。
品種) 'Corinne Tremaine' (v)

13 Scutellaria guilielmii A.Gray コナミキ 小浪来
 日本(本州、九州、沖縄)、、韓国(済州島)、中国原産。中国名は连钱黄芩 lian qian huang qin。
 多年草、根茎がある。茎は直立~平伏して斜上、高さ12~35㎝、上部には無毛~まばらに直軟毛があり、分枝する。葉は上部では次第に小さく、狭くなる。葉柄は長さ4~14㎜、基部では長さ1.2~3㎝、ほぼ無毛又は密に直軟毛がある。葉身は円状卵形~狭卵形、基部では広卵状円形~類腎形、長さ0.7~1.7㎝×幅0.7~2.6㎝、草質、まばらに伏した直軟毛があり、基部は心形~類切形、縁には粗い4~6円鋸歯があり、先は鈍形~円形。花は頂生又は腋生、直立、後に垂れ下がる。花柄は長さ2~4mm、細かい腺のある直軟毛がある。萼は長さ約3mm、外側に直軟毛があり、果時に長さ4mm以下になる。スクテルム(scutellum)は長さ約0.6mm、果時に長さ約2mmになる。花冠は紫色でのど部が白色になり、長さ約5mm、外側にまばらに毛があり、内側の基部に微軟毛がある。花冠筒部は直立し、前部がわずかに広がり、次第に広がり、のど部で幅約2mmになる。上唇は直立、円形、先は凹形。舌唇は下向きに広がる。中裂片は半円形、約・長さ1.2mm×幅2.2mm。側裂片は長円状卵形、ほぼ全縁、上唇につく。小堅果は橙褐色、扁球形、翼を含めて直径約2mm、外側に密に疣状突起があり(tuberculate)、中間近くに小鈍突起があり(umbonate)、内側の小鈍突起(umbo)の周りに密に刺があり、 赤道面(equatorial plane)に幅約0.5mmの翼が輪になり、縁は不規則な櫛状になる。

14 Scutellaria incana Biehler スクテラリア・インカナ
 USA(アラバマ州、アーカンソー州、コロンビア特別区、フロリダ州、ジョージア州、イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、メリーランド州、ミシガン州、ミシシッピ州、ミズーリ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州、オハイオ州、ペンシルベニア州、サウスカロライナ州、テネシー州、バージニア州、ウェストバージニア州、ウィスコンシン州)原産。英名はdowny skullcap , hoary skullcap。高地の森林に生育する。森林、および川岸、道端に生える。
 茎は直立し、高さ60~90(100)㎝、通常、花序より下は単純、わずかに軟毛があり、上向きに曲がる毛がある。葉柄は長さ長さ1~3㎝。葉は対生し、披針状卵形~卵形または菱状卵形で、長さ5~10㎝×幅2.5~5㎝、縁は基部付近を除いて鋸歯があり、基部は鈍形、広円形またはほぼ心形、先は鋭形、ほぼ無毛で脈に伏毛がある。花序は数個~多数の総状花序がある。各花序には10~20個以上の花が付く。苞は全て小さくなり、全縁で、密着した灰白色の毛のある萼とほぼ同長。萼は密~疎に灰白軟毛(canescent)があり、腺がないかまたは腺点がある(有柄の腺が存在することもある)。花冠は長さ18~21(25)㎜、青色~ラベンダーブルー色。花期は6~9月上旬。
品種) 'Prairie Snow' , 'White Sky'

14-1 Scutellaria incana var. australis (Epling) J.L.Collins ex D.B.Poind.

 アラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、ミシシッピ州、ノースカロライナ州に分布する。
 茎は灰白軟毛があり、花序の枝、小花柄、萼には有柄の腺がある。萼と苞には密に腺点がある。花冠は長さ15~20㎜。
14-2 Scutellaria incana var. incana
 アラバマ州、アーカンソー州、コロンビア特別区、ジョージア州、イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、メリーランド州、ミシガン州、ミシシッピ州、ミズーリ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、オハイオ州、ペンシルベニア州、テネシー州、バージニア州、ウェストバージニア州、ウィスコンシン州に分布する。南アパラチア山脈にはほとんど分布しない。
 葉の下面には柔らかい絨毛がある。萼と苞には腺がない。

14-3 Scutellaria incana var. punctata (Chapm.) Mohr

 アラバマ州、ジョージア州、ケンタッキー州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州、バージニア州、ウェストバージニア州にかけて分布する。
 茎は無毛(まれに微軟毛がある)。葉脈にまばらに毛が生えている以外は葉の下面は無毛。萼と苞には腺がない。

15 Scutellaria indica L. タツナミソウ 立浪草 [広義]
 日本(本州、四国、九州)中国、台湾、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は韩信草 han xin cao。
 多年草。茎は暗紫色、1本~少数出て、高さ8~28㎝、斜上~直立、直径約1~1.2mm、角(かど)や先に毛が多い。葉柄は長さ0.4~1.4(~2.8)㎝。葉身は長さ0.8~2.6(~3)㎝×幅0.8~2.3㎝、基部は切形~くさび形、縁は円鋸歯、先は円形~鋭形。総状花序は頂生、長さ2~8(~12)㎝。苞は無柄、長さ3~6mm×幅1~2.5mm、縁は全縁。基部の苞は葉状、卵形、長さ1.7㎝以下、微軟毛があり、縁は円鋸歯縁。小花柄は長さ2.5~3mm、微軟毛がある。萼は長さ約2.5㎜、租毛があり、微軟毛がある。スクテルム(scutellum)は長さ約1.5mm、直立し、果時に長さ3mm以下に広がる。花冠は青紫色、長さ1~1.8㎝、外側にまばらに微軟毛があり、唇の内側に毛があり、のど部で幅約4.5mm。下唇の中裂片は暗紫色の斑点があり、円状卵形、中間でわずかにくびれ、先は凹形。側裂片は卵形。小堅果は栗色~暗褐色、卵形、長さ約1mm×幅1mm未満、疣状突起があり(tuberculate)、疣状突起は尖鋭形、先に微細な鈎の輪をもち、背側の基部近くに小鈍突起がある(umbonate)。花期と果期は2~6月。
品種) 'Alba' , 'Kiescut'
 4変種、1品種に分類されている。
15-1 Scutellaria indica var. elliptica Y.Z.Sun ex C.H.Hu
 中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、浙江省)原産。中国名は长毛韩信草 chang mao bian zhong。標高0~900mの斜面、道端、草原に生える。
 茎は高さ8~16㎝、密に白色の細柔毛がある(pilose)。葉は楕円形~楕円状卵形、長さ1~2.5㎝×幅0.8~1.8㎝、基部は円形~切形、先は鋭形、密に白色の細柔毛がある。総状花序は長さ4~8(~12)㎝。花冠は長さ1.4~1.8㎝。
15-2 Scutellaria indica L. var. indica タツナミソウ 立浪草 狭義
  synonym Scutellaria taiwanensis S.S.Ying
  synonym Scutellaria tashiroi Hayata タシロタツナミソウ 田代立浪草
  synonym Scutellaria tashiroi Hayata var. haianshanensis T.Yamaz.

  synonym Scutellaria indica var. satokoae Wakas. & Naruh. ホクリクタツナミソウ

  synonym Scutellaria indica f. alba M.Kim
  synonym Scutellaria indica f. leucantha T.Yamaz. シロバナタツナミソウ
 日本(本州、四国、九州)、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は韩信草 han xin cao。標高0~1500mの丘陵地、草原、空き地、道端、まばらな森林に生える。外傷の民間療法として使用される。POWOではタシロタツナミソウ、ホクリクタツナミソウ、シロバナタツナミソウを含めている。
 茎は高さ12~28㎝、角(かど)や先に微軟毛がある。葉は心状卵形~楕円形、長さ1.5~2.6(~3)㎝×幅1.2~2.3㎝、基部は円形~心形、先は鈍形~円形、微軟毛~剛毛があり、下面には密にある。総状花序は長さ4~8(~12)㎝。花冠は長さ1.4~1.8㎝。小堅果は長さ1.2~1.5㎜、疣状突起が密生する。2n=26。花期は5~6月。

(1) Scutellaria indica L. f. amagiensis Sugim. シロバナタツナミソウ 白花立浪草

  synonym Scutellaria indica L. f. leucantha T.Yamaz.
 白花品種。

(2) Scutellaria indica L. var. satokoae Wakasugi et Naruh. ホクリクタツナミソウ 北陸立浪草

 POWO、The plant Listでは別種と認めていない。葉や花はタツナミソウの変異の中であるが、小堅果が大きい。2004年に報告されたデワノタツナミソウ(S. muramatsui)との混同もあったとされている。デワノタツナミソウは茎の毛が短く下向きであり、花の下唇の斑点がない。
 本州(新潟県以西の日本海側)に分布。
 茎は高さ10~20cm、茎の基部が長く這い、開出する長毛が密生する。葉は3角状卵形、長さ20~25mm×幅15~25mm、先は鈍形、両面に軟毛があり、下面に腺点がある。花序は長さ3~5㎝。花冠は赤紫色~紫色、長さ18~19mm、下唇には小さな斑点があるが、ない場合もある。小堅果は長さ1.5~1.7mmと大きい。2n=26。花期は5~6月。

15-3 Scutellaria indica f. parvifolia Makino コバノタツナミ 小葉の立浪

  synonym Scutellaria indica L. var. parvifolia (Makino) Makino シロバナコバノタツナミ
  synonym Scutellaria parvifolia (Makino) Koidz.
 日本(本州、四国、九州)、中国、台湾原産。中国名は小叶韩信草 xiao ye bian zhong。日本で最も普通に栽培されている。別名はビロードタツナミ。
 茎は高さ8~16(~20)㎝、多数、分枝し、角(かど)や先に微軟毛がある。葉は心状卵形~卵形、長さ0.8~1.5㎝×幅0.8~1㎝、基部は切形~くさび形、先は鋭形。総状花序は長さ4~8(~12)㎝。花冠は長さ1~1.5㎝。花期は開花期以降も閉鎖花をつける。2n=26。
品種) 'Alba' , 白覆輪 , 獅子葉

(1) Scutellaria indica L. var. parvifolia (Makino) Makino f. alba (H.Hara) H.Hara ex Murata et T.Yamaz. シロバナコバノタツナミ 

 コバノタツナミの白花品種。別名はシロバナビロードナミキ。
品種) 'Alba'

(2) Scutellaria indica L. var. parvifolia (Makino) Makino f. lilacina (H.Hara) H.Hara ex Murata et T.Yamaz. ウスベニコバノタツナミ 

 淡紅色の品種。別名はベニバナビロードナミキ

15-4 Scutellaria indica var. subacaulis (Y.Z.Sun ex C.H.Hu) ined.

  synonym Scutellaria indica f. subacaulis Y.Z.Sun ex C.H.Hu
 日本、中国(福建省、広東省、河南省、湖南省、江蘇省、江西省、雲南省、浙江省)に分布。中国名は缩茎韩信草 suo jing bian zhong。標高0~1500mの岩場に生える。日本が分布域に入れられているが、報告が見当たらない。
 茎は高さ8~10㎝、伏剛毛がある(strigose)。葉は先に密集し、円状卵形~三角状卵形、長さ1.6~4(~5.2)㎝×幅1.2~4(~4.4)㎝、基部は心形、先端は鈍形で伏剛毛がある。総状花序は密、長さ2~3.5(~6)㎝。花冠は長さ1.4~1.8㎝。

15-5 Scutellaria indica var. tsusimensis (H.Hara) Ohwi アツバタツナミソウ 厚葉立浪草

  synonym Scutellaria tsusimensis H.Hara
 日本(対馬)、朝鮮に分布。別名はオオバタツナミソウ。山地の林縁に生える。
 多年草、高さ10~30㎝。葉柄は長さ1~2.5㎝、葉身は長さ3~4㎝×幅3~4㎝、毛がある。花冠は紫色または淡紫色、長さ約2㎝。花期は5~6月。2n=26。

16 Scutellaria insignis Nakai ヒカゲナミキソウ 日陰浪来草
 朝鮮固有種。京畿道以南の中部地域に分布する。山地の森林の半陰地域に生える。
 多年草。根茎は直径7㎜未満、横に長く伸び、うねに毛がある。茎は4稜形、高さ40~70cmに達し、分枝しない。葉は対生、葉柄は長さ3㎜以下、葉身は長さ4~10cm×幅1.2~4.5cm、楕円形または卵状楕円形、下面に毛がわずかにあり、上面は無毛、縁に大きい鋸歯がある。最上部の葉は被針形または卵状被針形、先が長く尖鋭形。花序は頂生の総状花序、上向きに直立する。苞は長さ5~10㎜、線状被針形または被針形。花序柄は長さ約4㎜。花は長さ3.5㎝以上あり、薄青色。萼は長さ約4㎜、花後は長さ7㎜になる。花冠筒部は外側に毛と腺毛がある。上部が2唇形である。下唇に紫色の斑点がある。果実は小花柄と萼片に包まれ、4つに分かれる。花期は5~6月。

17 Scutellaria lateriflora L. スクテラリア・ラテリフロラ
 北アメリカ原産。英名はblue skullcap , mad dog skullcap , side-flowering skullcap。Scutellaria galericulatと同じようにバイカリン(baicalin)が含まれ、薬用に使われる。標高500m以下の湿地、湿草原に生える。
 高さ20~60㎝、根茎は細い。茎は無毛またはまばらに毛があり、毛は長さ0.5㎜未満、斜上または上向きに巻き上がり、通常、腺毛はない。葉: 根生葉は通常 無い。株の茎葉は葉柄が長さ10~20㎜。丈夫の茎葉は卵形~披針形、縁に歯があり、基部は円形~切形、先は鋭形。花序は総状花序または穂状花序、苞があり、苞は長さ8㎜未満。花は小花柄が長さ1~3㎜。萼は長さ1.5~3㎜、上唇は後部がドーム形。花冠は長さ6~8㎜、青色、下唇は青色、内面は無毛またはまばらに軟毛がある。果実はほぼ球形、褐色。花期は5~7月。

18 Scutellaria iyoensis Nakai ハナタツナミソウ 花立浪草
 日本固有種(本州の中国地方、四国)。山地の林下に生える。
 多年草。高さ10~40㎝。茎は直立し、上向きの毛がある。葉は狭卵形~広披針形、長さ3~6㎝×幅1~2.5㎝、両面に著しい腺点があり、上面の中脈上に細毛がある。花序は頂生、片側性、花が直立する。花冠は青紫色、大きく、長さ27~32㎜。花期は5~6月。2n=26。
18-1 Scutellaria iyoensis Nakai f. albiflora Honda シロバナハナタツナミソウ 白花花立浪草
 白花品種。

19 Scutellaria javanica Junghuhn スクテラリア・ジャバニカ
 中国(海南島)、インドネシア、フィリピン原産。中国名は爪哇黄芩 zhao wa huang qin。英名はMalaysian Skullcap。標高1200mの森林近くの草原に生える。
 多年草、直立し、高さ1mまでになる。茎には微軟毛があるか、またはほぼ無毛になる。葉柄は長さ0.8~1.2㎝、葉身は卵状披針形~楕円状披針形、長さ4~9.5㎝×幅1.5~4㎝、茎の先端では小さくなり、±革質、上面は無毛、下面は脈に沿って微細な微軟毛があるがそれ以外は腺があり、側脈は縁まで伸びず、基部は広楔形、縁は(4~)6~8個の波打つ歯があり、先は尾状尖鋭形。総状花序は片側生、頂生し、長さ7~14㎝。苞は披針形、長さ3~6㎜×幅1~1.25㎜、縁毛があり、先は鋭形。小花柄は長さ5~6㎜、微軟毛がある。萼片は長さ3~3.5㎜、細かい微軟毛があり、縁毛がある。スクテルム(scutellum)は半円形、長さ2~2.5㎜、果時に長さ約4.5㎜になる。花冠は暗紫色で、長さ3.1㎝まで。花冠筒部は長さ約2.5㎝、基部で曲がり、中央より上は徐々に広がり、喉部で幅8㎜まで、外側に微軟毛があり、内側の基部1/4に絨毛がある。拡大部の内側は無毛、上唇は直立し、広三角形~卵形で幅約9㎜、基部は急に狭くなる。下唇は広がり、卵状円形。側裂片は三角形、幅約2.5㎜。小堅果は不明。花期は4~5月。
品種) 'Veranda'

20 Scutellaria kikai-insularis Hatus. ex T.Yamaz. キカイタツナミソウ 喜界立浪草

 日本固有種(鹿児島県喜界島)。喜界町指定の天然記念物。別名はヒメタツナミソウ。水はけの良い林縁に生える。
 多年草、高さ約5㎝、ごく矮性。茎は細く、分枝し、下部が蔓状に這い、上部は斜上~直立する。茎、葉、花など全体に白色の細毛がある。葉は対生し、長い葉柄がある。葉身は卵形、長さ5~9mm、縁は片側に2~3個の粗い円鋸歯がある。花は淡紫白色。

21 Scutellaria kiusiana H.Hara ツクシタツナミソウ 筑紫立浪草
  synonym Scutellaria laeteviolacea Koidz. var. discolor (H.Hara) H.Hara
 日本固有種(本州の中国地方西部、四国北部、九州)。常緑樹林内に生える。
 多年草。高さ10~30cm。茎は4稜形、基部を除いて上向きの曲がった毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ1~3㎝、白色の毛がある。葉身は長卵形~三角状長卵形、長さ1.5~4㎝×幅1~2.5cm、茎上部ほど小さくなり、縁は4~7対の円鋸歯縁、両面の脈上にと縁に曲がった毛があり、腺点はない。葉の上面は濃緑色、しばしば、脈沿いに淡緑色の斑が入り、下面は紫色を帯びることもある。花序は長さ2~5cmの総状花序。花は直立し、花冠は紫色、長さ1.5~2㎝。萼にはまばらに毛がある。上唇の半円形のスクテルム(scutellum)は直立する。

21-1 Scutellaria kiusiana H.Hara f. albiflora H.Hara シロバナツクシタツナミ 白花筑紫立浪草

 白花品種。

22 Scutellaria kuromidakensis (Yahara) T.Yamaz. ヤクシマシソバタツナミ 屋久島紫蘇葉立浪

  synonym Scutellaria laeteviolacea Koidz. var. yakusimensis auct. non (Masam.) H.Hara

  synonym Scutellaria kiusiana H.Hara var. kuromidakensis Yahara

 日本固有種(屋久島)。別名はヤクシマナミキ、ヤクシマタツナミ。
 多年草。高さ5~10㎝。茎はしばしば倒伏する。葉はやや多数つき、葉柄は長さ約1㎝。葉身は三角状卵形、長さ1~2㎝×葉0.8~1.5㎝、縁には粗い鈍鋸歯がある。花は頂生の花序に5~15個程度つく。花冠は青紫色、長さ約1.5㎝、ほぼ直立する。

23 Scutellaria kujuensis Kadota & Mas. Saito クジュウナミキ 九重浪来

 日本固有種(大分県九重山)。常緑樹林ときにスギ林のうす暗い林下に生える。
 多年草。根茎は水平に走り、よく分枝する。茎は直立し、高さ10~15㎝、開出毛と腺毛で全体が密に覆われる。茎葉は葉柄が長さ1.5~2.5㎝.開出毛と腺毛で密に覆われる。葉身は広三角状卵形、暗緑色、上面は中脈と側脈に沿ってわずかに赤紫色の班が入り、下面は暗赤色、長さ1.5~3.5㎝×幅1.5~2.5㎝、縁に4~7個の粗い歯があり、基部は浅い心形~切形~広くさび形。花序は総状花序、頂生、長さ2~4㎝、花が4~8個つく。苞は草質、狭楕円形、長さ2~5mm、短い柄があり、全縁~浅く3裂。花柄は長さ2~4mm、密に開出毛と腺毛で覆われ、小苞は欠く。萼筒は長さ約2mm、密に絨毛があり、開出する腺毛をもつ。スクテルム(scutellum)は円く、花時に長さ1mm、果時に長さ2㎜。花冠は淡ピンク色、長さ7~9㎜、基部から斜めに広がり、基部に袋は無く、急に曲がらない。上唇は楕円形、長さ2mm。下唇はわずかに3裂し、長さ8mm、幅10mm、中裂片だけに紫色の斑点がある。雄しべは4本、2強雄しべ、花冠につく。上側の2雄しべは葯が2室、花糸の分離部分は長さ6㎜、下半部が広がり、花冠につく。下側の2雄しべは葯が1室、白色の長い直軟毛があり、花糸の分離部分は長さ4mm、下半部に白色の長い直軟毛があり、花冠につく。雌しべは長さ約7mm、先が小さく2裂する。花盤は円筒形、基部に橙色の蜜腺がある。小堅果は4個、扁球形、直径約1mm、褐色、小さな円錐形の突起(mammillae)で覆われる。

24 Scutellaria laeteviolacea Koidz. シソバタツナミ 紫蘇葉立浪
 日本(本州の福島県以西、 四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は光紫黄芩 guang zi huang qin。
 茎には上向きの曲がった短毛が密にあり、葉の下面に腺点がない[不明瞭な腺があるともされる]。
 多年草、根茎をもつ。茎は紫色を帯び、高さ5~15㎝[Flora of China:9~20(~30)㎝]、直立~斜上、直径約1.5㎜、細かい上向きの毛があり、基部で分枝又は分枝しない。葉は[2]3~4対つき、先に密集し、根生葉は落葉性。葉柄は長さ1~3㎝[Flora of China:1~2㎝]、基部の葉柄が最も長く、先では短いかほとんど無くなる。葉身は三角状卵形~円状卵形、長さ長さ1.5~4cm×幅1~3cm、紙質、上面は無毛、下面は帯紫色、無毛、腺は無く[不明瞭な腺があるともされる]、脈に細かい毛があり、基部は円形~広くさび形~浅い心形、縁は円鋸歯、先は円形。総状花序は頂生、長さ1~6㎝[Flora of China:3.5~9㎝]。苞は帯紫色、狭菱形~卵形、長さ2~3.5mm。花柄は長さ約1.5mm、密に腺のある微軟毛がある。萼は長さ約2.5mm、果時に広がり、長さ5mm以下になり、密に腺のある微軟毛がある。スクテルム(scutellum)は長さ約1.5mm、果時に長さ3㎜以下。花冠は赤紫色又は紫色、長さ1.5~2㎝、外側にまばらに微軟毛があり、基部は曲がり、直軟毛があり、のど部の幅5㎜以下。下唇の中裂片は卵形、先は凹形、紫色の斑点がある。側裂片は長円形。小堅果は暗栗褐色、卵形、長さ1.5~1.7mm(Flora of China:約0.7mm)、疣状突起があり(tuberculate)、内側の基部近くに小鈍突起がある(umbonate)。花期は5~6月[Flora of China:3~4月。果期は4~5月]。

24-1 Scutellaria laeteviolacea var. laeteviolacea シソバタツナミ 紫蘇葉立浪 狭義

  synonym Scutellaria abbreviata H.Hara トウゴクシソバタツナミ

  synonym Scutellaria laeteviolacea var. abbreviata (H.Hara) H.Hara トウゴクシソバタツナミ

  synonym Scutellaria kurokawae H.Hara イガタツナミ
  synonym Scutellaria laeteviolacea var. kurokawae (H.Hara) H.Hara
  synonym Scutellaria simplex Migo
 日本(本州の福島県以西、 四国、九州)、朝鮮、中国原産。
【Scutellaria laeteviolacea var. laeteviolaceaに統合された変種】
 トウゴクシソバタツナミ、アオシソバタツナミ、イガタツナミ

(1) Scutellaria laeteviolacea Koidz. var. abbreviata (H.Hara) H.Hara トウゴクシソバタツナミ 東国紫蘇葉立浪

  synonym Scutellaria abbreviata H.Hara
  synonym Scutellaria maekawae H.Hara f. abbreviata (H.Hara) Murata
 本州(中部地方~東北地方南部)、四国(愛媛県)に分布。山地の林内や林縁に生える。
 シソバタツナミの変種、以前は茎に生える毛が下向きに曲がるホナガタツナミの品種とされていたことがある。全体的に毛が多く、茎の毛は長めの開出毛が多いなどの特徴がある。  多年草。茎は直立し、高さ5~20㎝、白色の開出毛が密に生える。葉は対生し、葉柄があり、葉身は卵形~長卵形、長さ2.5~4.5㎝×幅1.8~3.8㎝、基部はやや心形、縁には低い鈍鋸歯があり、両面に毛が多く、上面は紫斑の現れるものもあり、下面は腺が無く、花後に紫色が濃くなる場合が多い。

(2) Scutellaria laeteviolacea Koidz. var. abbreviata (H.Hara) H.Hara f. concolor Honda アオシソバタツナミ

(3) Scutellaria maekawae H.Hara var. kurokawae (H.Hara) Murata イガタツナミ 伊賀立浪

  synonym Scutellaria laeteviolacea Koidz. var. kurokawae (H.Hara) H.Hara

  synonym Scutellaria kurokawae Hara
 和名は三重県伊賀で発見されたことに由来する。
 シソバタツナミに似て、毛が開出し、節間が長い特徴がある。葉の両面に腺点がない。花冠の色が上唇、下唇は淡青色で、下唇弁の中央が濃い青色で、斑点状にならない。斑点になるものもある。

24-2Scutellaria laeteviolacea Koidz. var. maekawae (H.Hara) H.Hara ホナガタツナミソウ 穂長立浪草

  synonym Scutellaria Maekawae Hara in Journ. Jap. Bot. 12: 798, f. 41 (1936)
 日本(本州)、四国に分布。やや湿った林内に生える。
 茎は直立し、高さ7~20㎝、下向きに曲がった短毛が生えるのが特徴。ただし、開出ぎみにつく場合もある。葉は対生し、葉柄は長さ1~3㎝。大きな葉は茎の下部に集まってつき、茎上部の葉は小さく、長さ1.5~7㎝×幅1.4~4㎝の卵形~長卵形、縁に鈍鋸歯がある。葉の両面に毛が散生し、両面に腺点は無く、紫色を帯びることが多い。茎頂に長さ2~8㎝のやや長い花序をつけ、花は基部で垂直に曲がり、直立する。花冠は紫色、長さ2㎝。花冠や萼には毛と腺毛が密生する(J. Jap. Bot. 59: 174 (1984))。花期は6月。
 茎は穂状花序をもち、高さ7~20㎝、鋭角の四角形でうねに向かって、後ろ向きの毛があり、基部は普通、紫色を帯び、ときに分枝し、下部の節間は通常中央で短縮され、上部の節間は長く、そのため下部の葉は一見するとほぼロゼット状である。最下の葉は小さい。下部の葉は卵状心形~卵形、先は円形、基部は心形、縁は大きな円鋸歯があり、長さ1~3㎝×幅1.5~2.5㎝、上面は縁まで濃い緑色で、まばらに毛があり、脈はわずかに凹み、下面は淡緑色または脈に帯紫色の毛がある。葉柄は長さ1.5~2.5㎝、後ろ向きの毛がある。上部の葉は小さい卵形、長さ約1㎝。総状花序は長さ2~8㎝、厚く毛があり、花序軸には後ろ向きの毛がある。小花柄は短毛がある。苞は最小のものが長さ1㎝までになり、下部の苞は小さい卵形で、大きい円鋸歯があり、短い葉柄があり、上部の苞は全縁。萼は長さ約2.5㎜、腺のある細柔毛または毛があり。萼片は長さ約1.5㎜、果時にはほぼ後屈し、長さ5㎝に大きくなる。花は美しい。花冠は長さ20~22㎜、外側に微細な毛があり、ときに部分的に腺毛がある。花冠筒部の基部は曲がり、その上部はほぼ直立し、基部は白色で上部はスミレ色~紫色で膨れる。上唇は淡紫色、3裂し、中央裂片は先が凹形。下唇は長さ7~9㎜、幅約4㎜、上部は長さがほぼ等しく、先は切形、紫色、中央部分は白色で紫色の細点がある。種子は長さ1.5㎜、どこにでも疣状突起がある(Journ. Jap. Bot. 12: 798,f. 41 (1936))。

25 Scutellaria longifolia Benth. スクテラリア・ロンギフォリア
 メキシコ、エルサルバドル、グアテマラ原産。英名はhummingbird plant , red fountains skullcap。
 高さは1mまたはそれ以上。茎は多数、細くて長く、四角形、赤みを帯び、毛がある。葉は対生し、単葉、赤みがかった葉柄があり、葉身は披針形、基部はわずかに心形、先は尖鋭形、縁は鋸歯があり、上面は光沢のある暗緑色、下面は赤みがかる。頂生の花序は長さ10~20㎝、多数の花がつき、花序軸の周りに配置され、下から上に開花する。花は赤色のプレクトランサス(plectrantus)またはスカルキャップ(skullcap)の花で、長さ2~3㎝の筒形、濃い赤色、細い毛で覆われる。花は融合した花弁で構成されており、底部に小さな薄いアーチがあり、上部に向かって広がって2唇形の花冠が形成され、上部の花びらは互いに接着されたままになり、一種のヘルメットを形成し、下の部分は完全に広がる。 萼の上唇には、一種のこぶや盾のように保護する小さな構造のスクテルム(scutellum)があり、このタイプの植物がスカルキャップとして知られる。開花は年に数回行われ、それぞれの花が数週間咲き続けるため、ハチドリや蝶が豊富な食料源を得ることがでる。果実は2つの凹んだ部分で構成され、下側の部分には1~2個の種子が含まれ、上側の部分は蓋のように閉じてヘタを上に保ち、冠状に見えるので、実が乾くとカメレオンの頭のようになる。乾燥する前は、果実は緑色で赤みがかった冠があり、乾燥すると非常に明るいクリーム色に変わる。種子は球形、直径約1㎜、黒色で一見平滑に見えるが、拡大して見ると表面全体が小さな丸い飾りで覆われているのがわかる。
品種) 'Red Fountains' , 'Purple Fountains'

26 Scutellaria longituba Koidz. ムニンタツナミソウ 無人立浪草
 日本固有種(笠原諸島)。林内や岩石地に生える。花冠が細長く、弧状に垂れる。
 多年草。夏に地上部は一時枯れ、晩秋に芽を出す。日当たりのよい裸地に生えるものは高さ15~25㎝、又は樹陰地では高さ40~70cm。茎は直立し、短毛が生える。葉は十字対生し、長い葉柄がある。葉身は縁に波形の鋸歯があり、陰地の葉は大きく、質も薄く柔らかく、裸地の葉は質がやや厚くなる。茎頂に総状花序をつけ、多数の花を斜上する。花冠は白色、長さ4~5cm。花冠筒部が細くて非常に長く、花冠拡大部がやや下向きに垂れる。萼は鐘形。雄しべは4個、下側の2個がやや短い。花期は3~5月。果期は5~6月。

27 Scutellaria moniliorhiza Kom. ジュズネナミキソウ 数珠根浪来草
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は念珠根茎黄芩 nian zhu gen jing huang qin。日本で栽培種として流通している。別名はジュズネノタツナミソウ、ジュズネタツナミソウ。
 多年草、根茎は白色、数珠形、塊茎状の直径6㎜以下の節間をもち、ストロンを出す。茎は紫色を帯、直立、高さ(12~)20~36㎝、節に白色の直軟毛がある他は無毛。葉柄長さ1.5~4mm、上側の溝の縁に白色の直軟毛があり、下側は無毛。葉身は卵形~卵状長円形、長さ0.8~2.3㎝×幅3~13mm、上面は無毛又はまばらに白色の直軟毛があり、下面は帯紫色、脈上にまばらに直軟毛があり、密に腺があり、基部は円形~浅い心形、縁に3~7個の円鋸歯があり、先は鋭形~鈍形。総状花序は特徴がなく、頂生。小苞は線形、花柄の基部1/3に対につく。花は少数、腋生。花柄は長さ約4mm、まばらに毛がある。萼は長さ3(~4)mm、無毛又はわずかに微軟毛があり、縁に白色の直軟毛があり、果時にわずかに大きくなり、長さ5mm以下になる。スキューテラ(scutellum)は長さ約1mm、果時に長さ約1.5㎜。花冠は青色、長さ約3.2㎝、外側に微軟毛があり、上唇と下唇の側裂片内側の接続部分に白色の絨毛がある。花冠筒部は基部の前側に袋があり、中間で幅約2mm、次第に広がり、のど部で幅8mm以下。下唇の中裂片は類円形、幅1㎝以下、先は凹形。側裂片は卵形、幅約2.5mm、先は凹形。小堅果は帯褐色、楕円形、約・長さ1mm×幅0.75mm、疣状突起がある(tuberculate)。花期は7~8月。果期は8~9月。

28 Scutellaria muramatsui H.Hara デワノタツナミソウ 出羽の立浪草

 日本固有種(本州の中国地方(岡山県、広島県)、近畿地方以北の日本海側)。2004年に記載された種。低山地の林内や林縁、渓流沿いや渓流の岩上などに生える。
 多年草。高さ10~30cm。地下茎が這い小さく群生する。茎は直立し、ごく短い下向きの毛がある。葉は卵形~三角状卵形、長さ2~3.5㎝×幅1~2.5㎝、基部は心形~広くさび形、縁は鈍鋸歯があり、先は鈍形、上面にまばらに毛があり、下面は脈上に毛があり、腺点がある。花序は長さ3~5㎝、花を4~10個ほぼ直立する。花冠は紫色、長さ1.5~1.8㎝、下唇に斑がないのが特徴。花期は5~6月。2n=26。

29 Scutellaria orientalis L. スクテラリア・オリエンタリス
 モロッコ、スペイン、東エーゲ海諸島、ギリシャ、クリム、レバノン・シリア、トルコ、ロシア、北コーカサス、トランスコーカサス、アルバニア、ブルガリア、ユーゴスラビア原産。英名はyellow-flowered skull cap , yellow helmet flower。通常は石灰岩の上にある岩場または砂地の丘陵斜面に生える。非常に変異の多く、非常に多形性が高く、16種の亜種と1種の変種が分類されている。
 多年草、叢生し、茎は傾伏し、基部は木質、茎は長さ30㎝までになる。葉は広卵形~卵状長円形、長さ1~1.5㎝、深く切れ込み~羽状全裂し、裂片は披針形~線形、上面は濃緑色、下面は灰白色の綿毛があり、縁は多少、反り返る。花は長さ1.5~3㎝、ときにはそれ以上になり、長く、黄色で、上唇または下唇に赤い斑点があるか赤色を帯び、ときに全体がピンク色、鮮やかな赤色、または紫色になる。
品種) 'Eastern Star' , 'Eastern Sun' , 'Eastern Sun Select'
29-1 Scutellaria orientalis subsp. alpina (Boiss.) O.Schwarz
 東エーゲ海諸島、ギリシャ、トランスコーカサス、トルコに分布。標高3350mまでの石灰岩または火山斜面に生える。
 亜種 alpina はロックガーデンに適した植物で、幅20㎝までマット状に成長し、卵形で深い鋸歯のある葉と黄色い花をつける。

29-2 Scutellaria orientalis subsp. pectinata (Montbret & Aucher ex Benth.) J.R.Edm

 トルコ西部に分布する。
 亜種 pectinata は、栗色と黄色の2色の鮮やかな花を咲かせる。

29-3 Scutellaria orientalis subsp. hispanica (Boiss.) Greuter & Burdet

 スペイン原産。標高1450~2400mの石の多い地形、裂け目、岩場、特に石灰岩に生える。
 高さ5-20(30)cm、細かい綿毛があり、帯灰色。根は長さ約20㎝、茎は直径約2㎝、多数枝分かれし、曲がりくねり、平伏する。茎は多数、±4稜形、平伏・斜上し、ほぼ木質、分枝し、最も若いもを除き、単純であるか少数の対生する枝があり、密に綿毛がある。葉は約・長さ20㎜×幅8㎜、±楕円形、縁は円鋸歯状歯または羽状中裂し、歯は6対以下、基部は切形~楔形または漸尖形、±硬く、縁は外巻きし、上面は暗緑色で毛があり、下面は綿毛があり帯灰色。葉柄は長さ8~12㎜。花序は長さ約7㎝、頂生の穂状花序状の総状花序、2~12個の花で構成され、1~6個の輪生に配置され、それぞれ2個の花が対生し、多面的で、縦方向に4列を形り、密集する。苞は長さ6~12㎜×幅4~8(10)㎜、葉とは大きく異なり、全縁、卵形または卵状披針形、草質、紫色~淡緑色、綿毛状の毛があり、先は鋭形、無柄で覆瓦状。萼は花時に長さ約2㎜、果時には長さ4.5㎜までになる。スクテルム(scutellum)は長さ5㎜、ときに青みがかる。花冠は長さ(15)20~30㎜、黄色、橙色または帯赤色、紫色もある。花冠筒部は基部がアーチ形。上唇はヘルメット形、ときに青みがかり、かすかな裂片が3個ある。下唇は小さく、±開き、ほぼ全縁。小堅果は長円形、毛がある。2n=22。

30 Scutellaria pekinensis Maxim. ペキンタツナミソウ [広義]
 日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は京黄芩 jing huang qin
 1年草。茎は高さ24~40㎝、直立し、直径0.8~1.5㎜、基部は紫色を帯び、ほぼ無毛~密に毛がある。葉柄は長さ(0.3~)0.5~2㎝、基部は紫色を帯びる。葉身は卵形~三角状卵形、長さ1.4~1.7㎝×幅1.2~3.5㎝、草質~膜室、基部は切形~ほぼ円形、縁は浅く鈍い歯状~欠刻歯状、先は鋭形~円形。総状花序は頂生、長さ4.5~11.5㎝。苞は小さく、狭披針形、長さ3~7㎜×幅1~2mm、縁は全縁。下部の苞は葉状、長く、まばらに毛がある。花柄は長さ約2.5mm、密に上向きの白色の毛がある。萼は長さ約3mm、果時に4mmいかになり、脈に直軟毛があるか、又は開出する腺毛があるか、密に毛がある。スクテルム(scutellum)は長さ約1.5 mm、果時に長さ4mm以下になる。花冠は靑紫色、長さ(1~)1.7~2.5㎝、外側に腺毛があり、内側は無毛、基部はわずかに前に曲がり、のど部は幅5mm以下。下唇の中裂片は広卵形、わずかに中間でくびれ、先は凹形。側裂片は卵形。小堅果は栗色又は暗褐色、卵形、直径約1mm、疣状突起があり(tuberculate)、内側の基部に小鈍突起がある(umbonate)。花期は6~8月。果期は7~10月。

30-1 Scutellaria pekinensis var. grandiflora C.Y.Wu & H.W.L

 中国(四川省)原産。中国名は大花 da hua bian zhong。標高約2600mの草地の斜面に生える。
 茎は緑色で、軟毛がある。葉には目立つ紫黒色の腺があり、欠刻状の歯状。萼は腺毛があり、外側に軟毛がある。花冠は長さ2.5㎝まで。

30-2 Scutellaria pekinensis Maxim. var. pekinensis ペキンタツナミソウ 北京立浪草

 中国(河北省、河南省、吉林省、陝西省、山東省、浙江省)原産。中国名は京黄芩 jing huang qin。標高600~1800mの石の多い斜面、湿った谷、森林に生える。
 茎は緑色、基部は紫色を帯び、上向きの白色の毛があり、基部近くにもまばらにある。葉柄には前向きの毛がある。葉身は草質、まばらに伏した微軟毛があり、下面の脈上に密にある。萼は密に毛がある。花冠は長さ1.7~1.8㎝。

30-3 Scutellaria pekinensis var. purpureicaulis (Migo) C.Y.Wu & H.W.Li

 中国(安徽省、福建省、湖北省、江蘇省、山東省、浙江省)原産。中国名は紫茎 zi jing bian zhong。 標高200~2200mの丘陵地帯に生える。
 茎は全体的に紫がかっており、密に毛が生える。葉はまばらに絨毛があり、下面には葉脈に沿って密に毛がある。萼には腺毛がある。花冠は長さ1.7~2.2㎝。

30-4 Scutellaria pekinensis Maxim. var. transitra (Makino) H.Hara ヤマタツナミソウ 山立浪草

  synonym Scutellaria ussuriensis (Regel) Kudô var. transitra (Makino) Nakai

  synonym Scutellaria transitra Makino
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は短促变种 duan cu bian zhong。山地の木陰に生える。
 茎は緑色、ほぼ無毛又は毛がまばら。葉はまばらに剛毛があり、下面の脈上にときに細かい毛がある。花は直立せず、茎から約60度で斜上する。 萼は腺毛がある。花冠は長さ1.7~2.2㎝。2n=28。

30-5 Scutellaria pekinensis Maxim. var. ussuriensis (Regel) Hand.-Mazz. エゾタツナミソウ 蝦夷の立浪草

  synonym Scutellaria ussuriensis (Regel) Kudô
  synonym Scutellaria dentata H.Lév.
 日本(北海道、本州中部以北)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は黑龙江变种 hei long jiang bian zhong。
 茎は緑色、基部は紫色を帯び、ほぼ無毛又はまばらに毛がある。葉は膜質、上面は無毛又は剛毛があり、下面は脈上にまばらに絨毛がある。萼は脈にまばらに絨毛がある。花冠は長さ1.7~2.2㎝。

31 Scutellaria playfairii Kudô タイワンヒメタツナミソウ 台湾姫立浪草

  synonym Scutellaria tashiroi Hayata var. playfairii (Kudô) T.Yamaz.

 台湾原産。中国名は伏黄芩 fu huang qin。岩場に生える。
 多年草。茎は這い、高さ15~30㎝、直径1~2㎜、前向きの毛が密にあり、稀にほぼ無毛、枝は屈曲する。葉柄は長さ2~4㎜。葉身は卵形~ほぼ円形、長さ0.9~1.6㎝×幅0.7~1.5㎝、±革質、基部は浅い心形~ほぼ切形、先は円形。総状花序は頂生し、長さ4~6.5(~20)㎝、腺毛がある。苞は楕円形~広卵形、長さ2~3㎜、基部は漸尖し、縁は全縁~浅い鋸歯があり、先は鈍形。小花柄は長さ2~3㎜、毛がある。萼片は長さ約2㎜、果時に3㎜まで。スクテルム(scutellum)は長さ約0.5㎜、果時には2.5mm、腺毛がある。花冠は長さ2~2.6㎝、外側に軟毛があり、下唇の内側にも軟毛がある。花冠筒部はわずかに曲がり、喉部の幅は約2.5㎜。下唇の中裂片は円形状卵形、側面がわずかに狭まり、先は円形。側裂片は長円形、中裂片の約1/2の長さ。小堅果は卵形、約・長さ1㎜×幅1㎜未満、疣状小突起があり、外側が凹状で、中央部に小鈍突起がある(umbonate)。花期と果期は10月。
31-1 Scutellaria playfairii var. playfairii
 台湾に分布。中國名は伏黄芩 fu huang qin。岩場に生える。  葉身は上面に剛毛があり、下面には密に帯黄色の微軟毛がある。

31-2 Scutellaria playfairii Kudô var. procumbens (Ohwi) C.Y.Wu et H.W.Li ハイタツナミソウ 這立浪草

 台湾原産。中国名は少毛变种 shao mao bian zhong。
 葉身は上面が無毛、下面にまばらに伏毛がある。

32 Scutellaria regeliana Nakai  ホソバナミキ 細葉浪来
 朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、吉林省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア原産。中国名は狭叶黄芩 xia ye huang qin。標高500~1000mの河岸、湿地帯に生える。
 茎は上向きに曲がった毛があり、特に、稜にある。葉の上面は密に剛毛があり、下面は密に微軟毛とまばらに細かい顆粒状の腺がある。
 多年草、根茎があり、匍匐茎を持つ。茎は直立し、高さ26~30㎝、たまに基部から長い平伏する枝が出る。葉柄は長さ0.5~1㎜、密に短毛がある。葉身は披針形~三角状披針形、長さ1.7~3.3㎝×幅3~6㎜、基部は浅い心形~ほぼ切形、縁は全縁で内巻きし、先は鈍形。花は茎の先端の腋生、片側生。小花柄は長さ約4㎜、密に微軟毛がある。萼は長さ約4㎜、外側に密に軟毛があり、果時に長さ6㎜までになる。スクテルム(scutellum)は長さ約0.5㎜、果時には長さ1㎜以下になる。花冠は紫色、長さ2~2.5㎝、外側に軟毛があり、内側の先にはまばらに細柔毛があり、喉部は幅8㎜まで。下唇の中裂片ははぼ扁円形、幅約9㎜、縁は全縁。側裂片は長円形、幅約3.5㎜。小堅果は黄褐色、卵形、約・長さ1.25㎜×幅1㎜、疣状突起があり、基部は背側に小鈍突起がある(umbonate)。花期は6~7月。果期は7~9月。

32-1 Scutellaria regeliana Nakai var. ikonnikovii (Juz.) C.Y.Wu et H.W.Li メホソバナミキ 

  synonym Scutellaria ikonnikovii Juz.
 中国(黒龍江省、吉林省、内モンゴル)、モンゴル、ロシア原産。中国名は塔头 ta tou bian zhong。標高約500mの川岸、湿地のスゲ草地に生える。
 茎には特に角に沿ってのみごく短い上向きの伏毛がある。葉は無毛または上面にまばらに細かい伏剛毛があり、下面の脈と縁に伏したごく短い軟毛があり、他はまばらに細かい顆粒状の腺がある。
32-2 Scutellaria regeliana var. regeliana
 朝鮮、中国(河北省、黒龍江省、吉林省、内モンゴル)、ロシア原産。狭叶黄芩 xia ye huang qin。標高500~1000mの河岸、湿地帯に生える。
 茎には特に角に沿って上向きに湾曲した毛がある。葉は上面に密に伏剛毛、下面に密に微軟毛があり、まばらに細い顆粒状の腺がある。

33 Scutellaria resinosa Torr. スクテラリア・レシノサ
 USA原産。英名はsticky skullcap , resinous skullcap , prairie skullcap。乾燥した草原地帯に生える。
 多年草、高さ20~25㎝。茎は多数、硬く、細く、4稜形、灰色の短毛がある。葉は対生、短柄~無柄。葉身は卵形~楕円形、長さ8~13mm×幅6~13mm、帯灰色の短毛があり、縁は全縁、先は円形、茎上部の葉は小さい。茎の1/2以上の上部の葉腋に、節に2個ずつ花がつく。咢は2深裂し、短い毛と樹脂腺点がある。花冠は2唇形、長さ13mm~18㎜、濃青色~紫色、下唇に白色のパッチがあり、微細な毛がある。雄しべは4本、上唇の下につく。小堅果は4個、にきびのような疣に覆われる。各小堅果に種子は1個。
品種) 'Smokey Hills'

34 Scutellaria rubropunctata Hayata アカボシタツナミソウ 赤星立浪草

  synonym Scutellaria formosana N.E.Br. var. rubropunctata (Hayata) Kudô

  synonym Scutellaria indica auct. non L.  アカボシタツナミソウ
 日本固有種(南西諸島)。林縁、草地に生える。和名は葉の下面に赤褐色の腺点があることから名付けられた。
 多年草、高さは20~50(100)cm。茎は下部が地を這い、上部は直立し、白色の伏毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ0.5~2㎝。葉身は三角状卵形、長さ1~6㎝×幅0.5~5.5㎝、基部は広くさび形~浅い心形、縁には鈍い鋸歯があり、先は鈍形、両面に短毛が散生~密生し、下面には赤褐色の腺点が密にある。茎や枝の頂部の長さ2~5㎝の総状花序(偽総状花序)に花がつく。花冠は淡紫色~青紫色、長さ1.3~1.5㎝。萼は花時に長さ約2mm、果時に長さ約5mm。小堅果は卵球形、鈍い円錐状の突起がある。花期は1~5月。2n=26。

34-1 Scutellaria rubropunctata Hayata var. minima T.Yamaz. ヒメアカボシタツナミ 姫赤星立浪

  synonym Scutellaria rubropunctata Hayata var. yakusimensis (Masam.) Yahara

 屋久島の固有種。別名はヤクシマナミキ。
 小型。葉は卵形、基部は円形~楔形。

34-2 Scutellaria rubropunctata Hayata var. naseana T.Yamaz. アマミタツナミソウ 奄美立浪草

 鹿児島の沖永良部島、奄美大島、与論島に分布する。
 茎に開出毛があり、葉は卵形、基部は切形~円形または楔形。

34-3 Scutellaria rubropunctata var. rubropunctata アカボシタツナミソウ 赤星立浪草 狭義


35 Scutellaria scordiifolia Fisch. ex Schrank マンシュウナミキソウ 満州浪来草

  synonym Scutellaria scordiifolia Fisch. ex Schrank var. puberula Regel ex Kom.

  synonym Scutellaria scordiifolia Fisch. ex Schrank var. subglabra Kom.

  synonym Scutellaria polyphylla Juz.
 日本、中国、ロシア原産。中国名は并头黄芩 bing tou huang qin。
 多年草、根茎がある。茎は帯紫色、高さ12~36㎝、ほぼ無毛~上向きに曲がった毛があるか又は上部に密に剛毛がある。葉柄は長さ1~3㎜、毛がある。 葉身は線形~三角状卵形、長さ1.5~3.8㎝× 幅0.2~1.4㎝、上面は無毛か、密に剛毛があるか、密に伏毛があり、下面は中脈の上にまばらに伏した微軟毛があるか、又は中脈と脈にまばらに毛があり、ときにほぼ無毛になり、腺点は有又は無、縁に浅い歯があるか又はたまにほぼ全縁になる。総状花序は特徴が少なく、頂生、偏側生=片側性(secund)。小苞は針状、長さ約1㎜、花柄の基部近くに、対につく。花は腋生。花柄は長さ2~4㎜、毛がある。萼は長さ3~4mm、外側に毛があり、縁毛があり、果時に長さ4.5mm以下になる。 スクテルムは長さ約1㎜、果時に長さ2㎜以下になる。花冠は青紫色、長さ2~2.2㎝、外側に毛があり、内側は無毛。花冠筒部の前側に袋状の曲がりがあり、基部は幅約2mm、次第に広がり、のど部で幅6.5mm以下になる。 下唇の中裂片は円状卵形、幅約7mm、先は凹形。側裂片は卵形、幅約2.5㎜、先は凹形。小堅果は楕円形、約・長さ1.5mm×幅1mm、疣状小突起があり(tuberculate)、内側の基部近くに小鈍突起がある(umbonate)。花期は6~8月。果期は8~9月。
品種) 'Seoul Sapphire' , Sky’s Edge™

35-1 Scutellaria scordiifolia Fisch. ex Schrank var. ammophila (Kitag.) C.Y.Wu et W.T.Wang モウコナミキソウ 蒙古浪来草

 中国原産。中国名は喜沙变种 xi sha bian zhong。
 茎は稜にまばらに下向きの微軟毛がある。葉は披針状線形~線形、幅0.2~0.6㎝。

36 Scutellaria shikokiana Makino ミヤマナミキ 深山浪来
 日本固有種(本州の関東地方以西、四国、九州)。山地の木陰に生える。
 高さ5~15㎝。細長い地下茎を出す。茎は直立し、4稜形、上部に開出毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ1.5~2.5㎝。葉身は広卵形~3角状卵形、長さ2~3㎝、質は薄く、基部は切形、縁に粗い4~7対の鋸歯があり、先は鋭形~鈍形。花序は頂生し、花を2個ずつ数段、まばらにつける。萼には開出毛がある。花冠は白色、長さ7~8mm、下唇は上唇よりもはるかに大きく、斑点がある。花期は7~8月。2n=28。

36-1 Scutellaria shikokiana Makino var. pubicaulis (Ohwi) Kitam. ケミヤマナミキ 毛深山浪来

  synonym Scutellaria shikokiana Makino f. pubicaulis Ohwi
 四国(香川県・愛媛県)・九州(大分県・宮崎県・熊本県・鹿児島県)に分布する。
 全体に曲がった細毛が多い。

37 Scutellaria strigillosa Hemsl. ナミキソウ 浪来草
  synonym Scutellaria scordiifolia Fisch. ex Schrank var. pubescens Miq.

  synonym Scutellaria scordiifolia Fisch. ex Schrank subsp. strigillosa (Hemsl.) H.Hara

  synonym Scutellaria strigillosa f. albiflora Kawano  シロバナナミキソウ 白花浪来草

  synonym Scutellaria strigillosa f. hirta (F.Schmidt) H.Hara ケナミキソウ 毛浪来草

  synonym Scutellaria taquetii H.Lév. & Vaniot
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は沙滩黄芩 sha tan huang qin。海岸の砂地に生える。
 多年草。根茎は節からストロンを生じる。茎は紫色を帯び、直立~わずかに曲がり、高さ8~24(~35)㎝、まばらに、上向きに曲がった剛毛状の毛(strigose-pubescent)~租毛があり、とくに節や稜に多い。葉柄は茎の下部で長さ5~6.5mm、 上部で長さ1~2mm、租毛がある。葉身は楕円形、まれに狭楕円形、長さ1~2.5㎝×幅3~15㎜、質が薄く、紙質、密に伏した剛毛があり(strigose-hirsute)、下面は密に凹んだ腺点があり、基部は浅い心形~類切形、縁には浅くて鈍い歯があり、ときに鋸歯縁~ほぼ全縁、先は鈍形~円形。総状花序は特徴がなく、頂生する。小苞は針状、長さ約1㎜、花柄の基部1/4につく。花は腋生。花柄は長さ2.5~3.5(~5) mm、密に伏毛がある。萼は長さ3~3.5㎜、密に剛毛があり、果時に長さ6mm以下。スクテルム(scutellum)は目立たず、長さ1㎜に満たず、果時に長さ約1.5㎜。花冠は紫色、長さ 1.6~1.8(~2.4)㎝、外側に腺毛があり、内側は無毛。花冠筒部は基部の前側がわずかに袋状になり、中間で幅1.5(~2.5)mm、上部で次第に広がり、のど部で幅5(~6)mm以下。下唇の中裂片は上唇より長く、広卵形、幅約8㎜、先は凹形。側裂片は上唇より短く、狭卵形、先は類切形。小堅果は黄褐色、ほぼ球形、直径約1.25mm、密にいぼ状突起に覆われ(tuberculate)、内側に小鈍突起がある(umbonate)。花期と果期は5~10月。2n=30。

38 Scutellaria suffrutescens S.Watson スクテラリア・スフルテスケンス

 メキシコ原産。英名はMexican skullcap , Cherry Skullcap
多年草、高さ15~22.5㎝。茎は4稜形、よく分枝し、低くマウンド状に広がり、基部は木質。葉は小さく、短い葉柄がある。葉身は楕円状円形、濃緑色~灰緑色、先は鈍形~円形、わずかに毛がある。花はキンギョソウに似て、小さい2唇形、長さ1.8㎝以下、ピンク色~ローズ色~赤色、花期は5~10月、咲き続ける。
品種) 'Texas Red' , 'Texas Rose'

39 Scutellaria taiwanensis C.Y.Wu タイワンタツナミソウ 台湾立浪草
  synonym Scutellaria lilungensis S.S.Ying
 台湾原産。中国名は台湾黄芩 tai wan huang qin。阿里山の森林に生える。
 多年草。茎は高さ10~24㎝、基部の直径1~1.5㎜、微細粗毛があり(hirtellous)、分枝しないか少数分枝する。葉柄は長さ4~8.5㎜、葉身は上面は黄緑色または帯紫色、菱状卵形~卵形、長さ1.5~3.5㎝×幅0.9~1.5㎝、草質、上面にはまばらに伏剛毛があり、下面は無毛、葉脈と縁に細かい伏剛毛があり、基部は楔形~切形、縁は浅く2~4鋸歯があり、先は鋭形~鈍形。総状花序は頂生またはほぼ頂生、長さ1.5~2.7㎝、苞は卵形~菱状卵形、長さ4~7㎜、基部は楔形~円形、縁は全縁で縁毛があり、先は鋭形。小花柄は長さ2.5~3㎜、密に腺のある微細粗毛がある。萼は長さ約2.5㎜、果時には長さ3.5mmまでになり、密に腺がある微細粗毛がある。スクテルム(scutellum)は広がり、半円形、長さ約2㎜、果時には長さ3.5㎜まで広がる。花冠は長さ1.7~2㎝、外側に微軟毛があり、下唇内側にもまばらに微軟毛があり、基部は前側に方で嚢状の膝関節があり、直立し、喉部は幅3㎜以下。下唇の中裂片は三角形状卵形、約・長さ3㎜×幅4.5㎜、基部は急に狭まり、先は凹形。側裂片は卵形で、幅約1.5㎜、先は鈍形。小堅果は卵形、約・長さ1㎜×幅0.6㎜、疣状突起があり、基部近くの背側に小鈍突起がある(umbonate)。花期は3~4月。

40 Scutellaria tarokoensis T.Yamaz. タロコタツナミソウ 太魯閣立浪草
  synonym Scutellaria tashiroi Hayata var. tomentosa (Ohwi) T.Yamaz.
 台湾原産。中国名は太鲁阁黄芩 tai lu ge huang qin。
 茎に上向きに曲がった短い毛が密着して生える。葉柄は長さ2~3(~5)㎜。葉身は革質、長さ0.5~2㎝×幅0.4~1.5㎝、広三角状卵形~三角状卵円形、上面は密にザラツキ、下面は灰色がかった綿毛が密生し、長い毛が生える。花序は頂生の総状花序。花筒が細く、長さ18~20㎜。兜(ガレア)の3~4倍の長さがある。

41 Scutellaria tsusimensis H.Hara  アツバタツナミソウ 厚葉立浪草
  synonym Scutellaria indica L. var. tsusimensis (H.Hara) Ohwi
 日本(対馬)、朝鮮原産。広島県でも発見されたが、再確認が必要とされた。コナラ、アベマキの乾いた林内、林縁、道端に生える。
 多年草。高さ10~30㎝。茎は直立し、密に粗い毛がある。葉は円形~広卵形、茎上部の葉が大きく、長さ3~4㎝×幅3~4㎝、基部は心形、先は円形~鈍形、両面に租毛があり、質が厚く、葉脈が上面で凹み、下面に隆起し、下面はときに紫色を帯びる。花は青紫色、変異が多い。花期は4~5(6)月。2n=26。

42 Scutellaria tuminensis Nakai  カントウナミキソウ 
 中国(吉林省)、ロシア原産。中国名は图们黄芩 tu men huang qin。標高0~600mの川沿いの草地に生える。
 根茎は白色。茎は紫色で、高さ35㎝まで、細かい毛があり、節に毛がある。葉は短い葉柄~ほぼ無柄、葉身は卵形~長円形、長さ2~3㎝×幅約1.3㎝、下面に細かい腺あり、基部は不明瞭なほぼ矛形、白色の微細粗毛があり(hirtellous)、先はやや鈍形。花は単生で腋生。小花柄は長さ約2㎜、開出する腺絨毛がある。萼は倒円錐状鐘形で、開出する腺絨毛があり、長さ4~5㎜。花冠は紫青色、長さ1.4(~2.5)㎜。花冠筒部は細く、徐々に広がり、外側に腺毛がある。下唇は上唇より長い。雄しべはわずかに突き出す。葯は細柔毛(pilose)があり、中身は見えない。

43 Scutellaria viscidula Bunge キバナオウゴン 黄花黄金
 中国(河北省、内モンゴル、山東省、山西省)原産。中国名は粘毛黄芩 zhan mao huang qin。標高700~1400mの砂利の多い荒地、草原に生える。
 多年草。根茎は直径2.5~4(~18)㎜。茎は直立~斜上し、高さ8~24cm、±密に後向きの毛があり、ときに開出する腺毛があり、多数分枝する。葉柄は長さ0~2㎜。葉身は披針形~線形、長さ1.5~3.2㎝×幅2.5~8㎜、上面はまばらに伏毛があるかまたはほぼ無毛、下面には±毛があり、密に黄色の腺があり、基部は切形~広楔形、縁は全縁で密に繊毛があり、先は鈍形。総状花序は頂生、長さ4~7㎝、大部分が腺細柔毛/軟毛がある。下部の苞は茎葉に似る。上部の葉は楕円形~楕円状卵形、長さ4~5㎜。小花柄は長さ約3㎜。萼は長さ約3㎜、果時には6㎜まで。スクテルム(scutellum)は長さ1~1.5㎜で、果時には長さ約4㎜。花冠は黄白色または白色、長さ2.2~2.5㎝、外側には±密に腺毛があり、内側の袋状部分には細柔毛(pilose)があり、基部近くで顕著に曲がる。喉部は幅7㎜まで。下唇の中裂片はほぼ円形、直径約1.3㎝。側裂片は卵形、幅約3㎜。小堅果は黒色、卵形で、疣状突起があり、基部近くで背側に小鈍突起がある(umbonate)。花期は5~8月。果期は7~8月。

44 Scutellaria yezoensis Kudô  エゾナミキ 蝦夷浪来
  synonym Scutellaria strigillosa Hemsl. var. yezoensis (Kudô) Kitam.
 日本固有種(北海道、本州の青森県、長野県)。湿地に生える。ナミキソウに似るが大型で、全体に毛が少なく、茎の毛は稜上にのみあり、葉先が鋭形になるのが特徴。
 多年草、高さ30~40㎝。茎は4稜形、軟らかく、稜上だけに上向きの毛がある。葉は対生し、短柄がある。葉身は長卵形、長さ3~5cm×幅1~2.5cm、先は鋭形、ときに鈍形。茎の上部の対生する数段の葉腋に、花が1個ずつつき、双生する。花柄は茎にほぼ垂直(水平)につく。花はやや下向きにつき、すぐに上に曲がり、ほぼ水平に前に突き出る。花冠は青紫色、長さ2~2.5cm、普通、下唇に2本の白い筋がある。(下唇が大きく、前に突き出るものと、やや小さく下へ曲がるものがある)。花期は6~9月。

45 その他ハイブリッド Scutellaria × hybrida
品種) 'Amazing Grace' , 'Barberry' (PBR) , 'Brilliant Red' , 'Dark Violet' , 'Flame' (PBR) , 'Flamingo' (PBR) , Lemon Mist Yellow = 'Suntutuki' , 'Mood Indigo' , 'Scarlet' (PBR) , Scooter® Barberry , Scooter® Flame , Scooter® Flamingo , Scooter® Garbo , Scooter® Scarlet , 'Skuttlebutt Violet' , 'Summer Blue' , 'Suntutuki' , 'Texas Rose' , 'Violet Cloud' , 'Yascut'=Sherbert Lemon

参考

1) Flora of China
 Scutellaria
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129910
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Scutellaria
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30003498-2
3) 植物研究雑誌 12: 798, f. 41 (1936)
 Scutellaria maekawae H.Hara ホナガタツナミ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/12/11/12_12_11_1818/_pdf/-char/ja
4) 植物研究雑誌 93(1): 18–22(2018)
 九州産タツナミソウ属(シソ科)の1新種,クジュウナミキ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-1_18-22.pdf
5) Scutellaria asperiflora Nakai, 1921
https://kbr.go.kr/home/rsc/rsc01002v.do?data_gbn_cd=BIO&ktsn_no=120000063131&menuKey=448
6) 植物学雑誌 Bot. Mag. (Tokyo) 35: 194, 1921
 Takenoshin Nakai;Labiatæ Coreanæ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/35/419/35_419_191/_pdf/-char/ja
7) 植物地理・分類研究 第57巻第1号 p28-34 2009年
 日本産タツナミソウ属タツナミソウ亜属(シソ科)の核型
https://core.ac.uk/download/pdf/196744828.pdf
8) Korean Journal of Plant Taxonomy
 Key to Korean Scutellaria taxa
https://www.e-kjpt.org/m/journal/view.php?number=4884
9) Taiwania
 Scutellaria austrotaiwanensis Hsieh & Huang
https://taiwania.ntu.edu.tw/pdf/tai.1997.42.109.pdf
10) WFO
 Scutellaria costaricana H.Wendl.
https://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-0000307741
11) The Jepson Herbarium - University of California, Berkeley
 Scutellaria lateriflora
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=43900
12) Alpine Garden Society Plant Encyclopaedia
 Scutellaria orientalis
http://encyclopaedia.alpinegardensociety.net/plants/Scutellaria/orientalis