スズメノヤリ 雀の槍

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Flora of Mikawa

イグサ科 Juncaceae スズメノヤリ属

学 名 Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom.
スズメノヤリ雌性期
スズメノヤリ雄性期
スズメノヤリ果期の初期
スズメノヤリ果期
スズメノヤリ種子を落とした後の裂開した果実
スズメノヤリ葉縁の毛
スズメノヤリ
スズメノヤリ葉
スズメノヤリ種子と種沈
スズメノヤリ種子
花 期 4~5月
高 さ 10~45㎝
生活型 1年草
生育場所 道端、草地
分 布 在来種   北海道、本州、四国、九州、朝鮮、ロシア
撮 影 蒲郡市形原町   02.3.9
和名は小さな毛槍のように見えることから。葉は縁に白毛が密生し、根生葉は長さ7~14㎝、幅2~3.5㎜。茎葉は2~3個つき、短い。茎頂に頭状花序が普通、1個つく。苞は長さ1~3(5)㎝、幅1~1.5(3)㎜。花被片は長さ3~3.5㎜、長楕円形、赤褐色、縁が白色膜質。開花の初期(雌性期)には、まず柱頭が3つに分かれた白い雌しべが伸び、その後、雄しべ6個の黄色の葯が大きく熟して花粉を出すようになる(雄性期)。葯は長さ(0.9)1.2~1.8㎜。花糸は長さ0.5~0.7㎜。この頃には雌しべは褐色にしなびてしまう。これを「雌しべ先熟花」といい、風媒花で多くみられる。虫媒花では逆に雄しべ先熟になるものが多い。蒴果は長さ2.4~2.8㎜、種子は3個入り、熟すと3裂開する。種子は長さ1.1~1.2㎜、熟すと頭部の方から黒褐色になり、種沈は長さ0.5~0.6(0.7)㎜、種子の約1/2長。2n=12。

スズメノヤリ属

  family Juncaceae - genus Luzula

 多年草、普通、房状になる(群生する)。根茎は短い。低出葉は無い。茎(culms)は普通、円柱形。葉はほとんど。根生。葉鞘は閉じ、葉耳は無い。葉身は披針形~線形、平ら、普通、樋状になり、縁には長い白色の縁毛があり、先はしばしば厚くなり(callous)、脈は普通、不明瞭。花序は頂生、集散花序~散形花序~散形花序状~円錐花序、ときに凝縮して、団散花序(glomerule)又は頭状花序(head)になる。下部の花序の基部に花序の苞(総苞片)がつく。花はしばしば、単生、基部に薄膜状の苞がつき、基部の2個の短い小苞を包む。小苞は縁が普通、裂け又は歯状になる。花被片は6個、2輪につく。雄しべは6個、普通、花被片より短い。花糸は細い。葯は長円形~線形。子房は1室。胚珠は3個、基部から直立し、胎座はごく短い。花柱は短い。蒴果は3バルブ、普通、球形。種子は3個、長円形、不明瞭な網状、しばしば、基部や先に付属体(種沈)をもつ。x=6。
 世界に約75(108)種あり、主に両半球の 寒冷地にあり、熱帯地域では高地に限られる。英名はwood-rush。

スズメノヤリ属の主な種と園芸品種

1 Luzula arcuata (Wahlenb.) Sw. ルズラ・アルクアタ
  synonym Juncus arcuatus Wahlenb.
 ロシア、ヨーロッパ、北アメリカに分布。英名はcurved wood-rush, curved mountain hair-rush。草むらに生える。
 単独またはマット状に生える。根茎から短い1~3㎝の匍匐枝が伸びて密集または緩やかな群落を形成する。草むらの基部は前年の幅1~3 mmの枯れた葉と鞘で覆われ、葉脈が明瞭で、光沢のある紫色~赤褐色。稈は草むらごとに数本、まれに1本で、長さ3~10(15)㎝、直立または上部でうなだれ、円柱形、葉鞘と苞を除き無毛、緑色または帯赤色。葉は主に根生し、茎葉は2~3枚、最上部の葉は通常、稈の中央より上にある。葉は(特に先端で)細管状または平ら。根生葉は長さ3~10㎝×幅1~2 mm、上半分が徐々に細くなり、中脈は多少明瞭、側脈は数本不明瞭で、縁は平滑または非常にまばらで低い鋸歯があり、数本の長い毛があり、緑色、黄緑色または帯赤色。花序は開いた1~2回分枝した集散花序で、いくつかの緩やかな小さな頭花または房がある。頭花または房には少数の花が付き (頭花または房あたり花が10 個を超えることはまれ)、大きさは様々で、長さ4~5㎜×幅4~5㎜を超えることはまれで、暗赤褐色。中央の房は通常、他の房より大きくない。花序の枝は細く、幅0.1~0.2㎜、弓状。花序は長さ3~6㎜の複数の苞で囲まれ、鞘は長さ1~3㎜、非常に短い卵形の葉身は赤褐色で、多少、無色で、縁には長さ約0.5㎜の多数の白毛がある。小苞は長さ0.5~1㎜、円形~卵形、丸みを帯びたほぼ鋭形で、暗赤褐色。花は放射相称、6(3 + 3)の花被片を持つ。花被片は等長で、長さ1.4~2.1㎜、披針形、鋭形、果実より長く、赤褐色、非常に狭い透明の縁と先を持つ。雄しべは6本。雌しべは3心皮と3個の柱頭を持つ。果実は蒴果、1室、3個の種子を含む。蒴果は広卵形、先はほぼ鋭形、非常に短い花柱を持ち、光沢のある赤褐色。種子は長さ1.0~1.2㎜、明確なエライオソームはない。この種子およびこの属のほぼすべての他の北極および高山の種では、エライオソームは発育不良で機能しない。

1-1 Luzula arcuata (Wahlenb.) Sw. subsp. unalaschkensis (Buchenau) Hulten クモマスズメノヒエ 雲間雀の稗

  synonym Luzula unalaschkensis (Buchenau) Satake
  synonym Luzula kamtschadalorum (Sam.) Gorodkov

  synonym Luzula arcuata (Wahlenb.) Sw. var. unalaschkensis Buchenau

  synonym Luzula wahlenbergii auct. non Rupr.
 アジア東部、北アメリカに分布。
 匍匐枝は短く、(まれに)長さ15㎝以下。茎は緩く、群生し、普通、わずかに弓状になり、長さ15~30㎝、細い。葉は葉鞘が褐紫色、のど部は円く、密に軟毛がある。根生葉は平ら、長さ8~15㎝x幅3~5㎜、花序に届かず、縁には毛がある。茎葉は1~3個つき、根生葉より小さく、花序に届かない。花序は散房花序、下部の枝が最も長く、団散花序(glomerules)は8~15個(花が各々に3~5個、ときに1~2個に減る。)、花序柄があり、頭状花序又は穂状花序。枝はほとんどが同じ方向へアーチ状に曲がる(しばしば、先で分枝する)。下部の花序の苞は葉身が無い。苞と小苞は褐色、縁毛がある。花被片は淡褐色(縁に±縁毛があり、先は尖鋭形、普通、芒が目立つ)、長さ1.8~3㎜。葯は花糸の長さとほぼ同長。蒴果は褐色、楕円形、花被片より短い(嘴は短い)。種子は褐色(ほとんど毛は無く)、長さ約1㎜、種沈は普通、不明瞭。2n=36。花期と果期は夏。

2 Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom. スズメノヤリ 雀の槍

  synonym Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom. var. lanigera Nakai

  synonym Luzula campestris L. var. capitata Miq.
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、ロシアに分布。和名は小さな毛槍のように見えることから。
 葉は縁に白毛が密生し、根生葉は長さ7~14㎝、幅2~3.5㎜。茎葉は2~3個つき、短い。枝分れせず、花が数個ずつ固まってつく。茎頂に頭花が普通、1個つく。苞は長さ1~3(5)㎝、幅1~1.5(3)㎜。花被片は長さ3~3.5㎜、長楕円形、赤褐色、縁が白色膜質。開花の初期(雌性期)には、まず柱頭が3つに分かれた白い雌しべが伸び、その後、雄しべ6個の黄色の葯が大きく熟して花粉を出すようになる(雄性期)。葯は長さ(0.9)1.2~1.8㎜、花糸の2~3倍の長さがある。花糸は長さ0.5~0.7㎜。この頃には雌しべは褐色にしなびてしまう。これを「雌しべ先熟花」といい、風媒花で多くみられる。虫媒花では逆に雄しべ先熟になるものが多い。蒴果は長さ2.4~2.8㎜、種子は3個入り、熟すと3裂開する。種子は長さ1.1~1.2㎜、熟すと頭部の方から黒褐色になり、種沈は長さ0.5~0.6(0.7)㎜、種子の約1/2長。2n=12。

3 Luzula effusa Buchenau ニイタカヌカボシ 新高糠星
 中国(甘粛省、貴州省、河南省、湖北省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)、台湾、インド、ネパール、ブータン、マレーシア、ミャンマー、インドネシア、フィリピン、ニューギニア原産。中国名は散序地杨梅 san xu di yang mei。標高1500~3600mの斜面の森林、雑木林、竹林、湿地の川辺、歩道脇に生える。
 高さ20~70㎝。匍匐茎は短い。茎は円柱形で、直径1~6㎜。根生葉は数枚あるが、根生葉は他の葉より小さく、通常萎れて花時に残存する。茎葉は3~5枚。葉身は披針形~狭披針形で平ら、長さ5~18㎝×幅2~25㎜、縁にはまばらに細柔毛(pilose)があり、特に葉鞘との接合部近くに毛があり、先は栗褐色で尖鋭形。花序は2~3枚の上部の茎葉の葉腋に生じ、複複合(decompound)の散房状集散花序となる。苞は卵状披針形~披針形、長さ1.5~3(~6)㎜、縁にまばらに縁毛がある。花は単生。小花柄は散開し、長さ3㎝まで、不等長。小苞は2個、卵形、長さ1~1.5㎜×幅0.6~0.9㎜、縁は不規則に裂けまたは細柔毛がある。花被片は黄緑色~淡褐色または赤褐色~暗褐色、卵状披針形、長さ2~2.5㎜×幅0.8~1.2㎜、ほぼ等長または内花被片は外花被片よりわずかに長く、先は微突起。花糸は長さ0.8~1㎜。葯は長さ0.6~0.8㎜。柱頭は長さ0.8~1.6㎜。蒴果は3稜形の卵形、花被片よりわずかに長く、先は微突形。種子は赤褐色~栗褐色、楕円形、長さ1.3~1.6 mm、付属体はない。花期は5~6月。果期は6~8月。

4 Luzula formosana Ohwi シマヌカボシソウ 島糠星草
 台湾原産。標高2500mの阿里山に生える。Luzula plumosa E. Mey.のsynonymとする見解もある。果実が著しく鈍頭のもの。
 匍匐性の根茎があり、緩く匍匐茎長さ0~2㎝。茎は高さ(9)10~20(37)㎝、細く、離れて1~2葉がある。根出葉は長さ3~8㎝、長く直立し、草質、平らな線状披針形、幅(1.5)3~5㎜、広い縁にはまばらに毛が生え、短い尖鋭形の先はカルスになり、鞘は褐色。花序は(単純~)複合、枝は3~6本が細く、1~3本が強く、長さ1~5㎝、最後に再分枝する。2次小花柄/1次小花柄の比は0~0.6。下部の1次小花柄は直立~斜上~開出。花は長さ3㎜、幅の広い卵形の鱗片葉があり、上部は鈍形、通常は浸食され歯状になる。花被片は披針状卵形、長さ2.4~3.3㎜、栗色、帯白色の薄膜質の縁があり、外花被片は少し長く尖り、内花被片は非常に鋭い。雄しべは6本、長さ約2㎜。葯は長さ0.4~0.7㎜。花糸は葯より長く、葯の長さ/花糸の長さ・比は0.3~0.7、黄色、長円状披針形、鈍形。蒴果は長さ4㎜、卵状円錐形鈍形、急に微突形、バルブは広卵形、鈍形、鈍い黄色。蒴果の長さ/花被片の長さ・比は1.1~1.9。種子は長さ1㎜、楕円形、明るい褐色の斑点状、種子の付属体は長さ0.6~1.6㎜。種子の長さ/付属体の長さ・比は0.8~1.5。湾曲した黄色の長さ3㎜の柄があり、種子の尾は先が曲がる。

5 Luzula jimboi Miyabe et Kudo ジンボソウ 神保草 広義
  synonym Luzula rostrata var. jimboi (Miyabe & Kudo) Ebinger

  synonym Luzula elata var. nasuensis Satake ナスヌカボシソウ

 日本(北海道、本州北部)、サハリン、カムチャッカ半島に分布。和名は地質学者の神保子虎に因む。

5-1 Luzula jimboi Miyabe et Kudo subsp. jimboi ジンボソウ 神保草 狭義

  synonym Luzula elata Satake セイタカヌカボシソウ
  synonym Luzula rostrata auct. non Buchenau
 日本(北海道、本州の中部地方以北)に分布。別名はセイタカヌカボシソウ(背高糠星草)。ヌカボシソウに似る。
 走出枝をもち、まれに類群生し、走出枝は長さ15㎝以下。ミヤマヌカボシソウに似るが、ミヤマヌカボシソウは走出枝が短い。茎葉は線状長円形、±縁が平行~倒披針形、上半分で幅が最も広く、急に先が狭まる。最も幅の広い茎葉は幅3.5~7㎜、長さは幅の8~25倍、先は急に尖頭形。花被片は等長、長さ1.6~3.1㎜。蒴果が長さ3.5~4㎜。種子は球形。種枕が長さ1.5~2㎜。種子の2倍には達しないが、セイタカヌカボシソウは種枕が種子の長さの2倍長。葯長/花糸長の比は0.4~1.8(ヌカボシソウが0.6~2.3)。

5-2 Luzula jimboi Miyabe et Kudo subsp. atrotepala Z.Kaplan ミヤマヌカボシソウ 深山糠星草

  synonym Luzula rostrata auct. non Buchenau 
 日本(本州北部)に分布。花被片は紫色~黒栗色、普通、長さ1.6~2.5㎜、縁は膜質。葯は花糸よりかろうじて短い。種子は種沈より長く、種沈は長さ0.2~0.9㎜。
 多年草、高さ9~30㎝、無毛、走出枝があり、まれに類群生し、走出枝は長さ8㎝以下。茎は基部に多数つき、茎葉が2~3個つき、茎葉は平ら。根生葉は長さ2.5~13.5㎝×幅1.5~4.5㎜。茎葉は長さ5~10㎝×幅(2.0~)3.5~ 5.0㎜、縁にまばらに有毛~類無毛、硬くなった先の微突形の突起は無い。花序は頂生、複合、まれに小数が単純、2次花柄/1次の花柄の比は(0 .2~ ) 0.3~1.4、1次の花柄は5~12個、直立~わずかに下向き、まれに、後屈する。花は1次の花柄又は2次の花柄に単生する。基部の苞は長さ3㎝以下、花序の長さより短い。小苞は長さ09~2.1㎜。花被片は等長、長さ1.6~2.5(~2.8)㎜、披針形、尖鋭形、全縁、紫色~黒栗褐色、狭い透明の縁が有又は無。雄しべは6個。葯は長さ0.3~0.9㎜、卵状線形、花糸より短い。葯長/花糸長の比は0.4~0.9。蒴果は卵形、類切形~微突形、花被片より明瞭に突き出て、麦わら色~薄褐色。種子は楕円形長さ1.0~1.4㎜×幅0.9~1.1㎜、先に付属体(種沈)があり、種沈は長さ0.2~0.9(~1.4)㎜、種子/種沈の比は1.4~6。

6 Luzula kjellmanniana Miyabe et Kudo  チシマスズメノヒエ 千島雀の稗

  synonym Luzula multiflora (Ehrh.) Lejeune var. kjellmanniana (Miyabe et Kudo) Sam.

  synonym Luzula multiflora (Ehrh.) Lejeune subsp. kjellmanniana (Miyabe et Kudo) Tolm.

 アジア東北部、アラスカ、カナダ(ブリティッシュコロンビア州、ノースウエスト準州、ユーコン準州)原産。英名はtundra woodrush。標高50~2000mのツンドラに生える。
 稈は緩く叢生し、薄緑色、長さ15~25㎝。葉: 鞘は基部が鈍い灰褐色、先が緑色になり、喉部は無毛。根生葉は基部が平らで、先に溝が入り、長さ4~16㎝×幅3~8㎜、先は急に尖り、カルスがあり無毛。花序は非対称の外観。団散花序(glomerules)は(1~)2~5個、中央の団散花序は無柄またはほぼ無柄、長さ3~9㎜x幅2.5~6㎜。毛細管の枝は2~8本、一方向に弓なりになり、長さ3.5㎝まで。下部の花序の苞は葉身がない。花: 花被片は帯褐色の半透明(先は不規則に裂けるかまたは全縁)、長さ2~3㎜、先は不規則に裂けるかまたは全縁。葯は花糸と同長かそれ以上。蒴果は淡栗褐色で、幅広の3角(かど)があり、花被片より短い。種子はほとんどが未成熟で、褐色(毛はわずか)、3角(かど)があり、長さ0.9~1.1㎜、毛はわずか、種沈はほとんど見えない。2n=36。花期と果期は夏。

7 Luzula lutescens (Koidz.) Kirschner et Miyam. アサギスズメノヒエ 浅葱雀の稗

  synonym Luzula multiflora (Ehrh.) Lejeune var. lutescens (Koidz.) Satake

 日本(北海道、本州、四国)に分布。低山~亜高山の山野に生える。蒴果が黄色を帯びるもの。
 高さ20~40㎝。根生葉は多数つき、長さ6~15㎝×幅2~5㎜。茎葉は1~2個つき、長さ5~10㎝、白色の長い縁毛がある。花序に頭花が2~3個つく。頭花は花が2~3個つき、長い花序柄がある。小苞は縁がやや毛状に裂ける。花被は褐色。葯は長円形、花糸と同長またはそれ以下。蒴果は帯黄色、花被より少し長い。種枕は種子の長さの約1/2。種子は円形~広倒卵形、長さ約1.3㎜。花期は5~7月。

8 Luzula luzuloides (Lam.) Dandy & Wilmott ルズラ・ルズロイデス
  synonym Luzula albida (Hoffm.) DC
  synonym Juncus albidus Hoffm.
  synonym Juncus luzuloides Lam.
 ヨーロッパ原産。英名はforest wood-rush , white wood-rush
 根茎は細く、幅1~1.5㎜。走出枝は幅1~1.5㎜。茎は群生し、長さ45~70㎝。葉の鞘はのど部に密に縁毛がある。根生葉の葉身は長さ30㎝×幅7㎜以下、密に縁毛がある。茎葉の葉身は長い漸尖形、先が細く、まばらに縁毛がある。花序は散形花序様(anthelate 藺状花序)、下部の花序の苞は葉状、花序の長さとほぼ等長、先は漸尖形。苞は帯褐色~透明、先は裂ける。小苞は縁が全縁~歯状~かすかに縁毛がある。花は2~8個、束生する。花被片は帯白色~帯ピンク色、外花被片は竜骨があり、長さ1.7~2.1㎜。内花被片長さ2.2~3㎜。葯は花糸の長さの約4倍。柱頭は花柱より短い。蒴果は帯赤色、長さ1.5~1.8㎜、嘴は長さ0.4~0.6㎜。種子は暗褐色、光沢があり、楕円形、長さ0.8~1.1㎜。種沈は長さ0.1~0.2㎜。2n=12 (Europe)。花期と果期は春~夏。
品種) 'Schneehaschen'

9 Luzula multiflora (Ehrh.) Lejeune ヤマスズメノヒエ 山雀の稗

 日本(北海道、本州、四国、九州)、アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アフリカに分布。中国名は多花地杨梅 duo hua di yang mei 。英名はcommon woodrush , heath wood-rush 。
 スズメノヤリに似ているが、花序が枝分かれした枝先に頭状花序が数個~多数つく。頭状花序に花が2~8(10)個ずつ固まってつく。雌性期には雌しべだけが花の先から見える。雄性期には黄色の葯が目立つ。葯は花糸とほぼ同長。花被片は6個、長さ2~4㎜、褐色。蒴果は長さ2.5~3㎜、(黄褐色)褐色~赤褐色、花被片より少し長い。種子は長さ約1.3㎜の広倒卵形。種沈は長さ約0.5㎜、種子の約1/2長。
 世界の分布域が広く、2n = 24と2n =36のものがあり、形態には幅がある。
 密に房状になり高さ16~35㎝。走出枝はほとんど無いか又は無い。茎は円柱形。根生葉は数個つく。茎葉は1~3個つき、葉身は線状披針形、長さ4~11㎝×幅2~4㎜、普通、先に硬い部分を除いて軟毛があり、先は鈍形。花序は類散形花序、花が5~9(~12)個束生する。基部の総苞片は長さ2~5㎝。束生した花は直立した枝先につき、花序柄があり、卵形~狭卵形~類無柄~類球形、花が4~10個つく。花柄は基部に1~2個の苞をもつ。小苞は広卵形、長さ約2㎜。花被片は淡褐色~赤褐色、全て、披針形又は内花被片が卵形~楕円形、長さ2.5~3㎜×幅約0.9㎜、類等長、縁は透明。花糸は長さ0.6~0.8㎜。葯は長さ1~1.5㎜。花柱は長さ0.7~0.9㎜、子房とほぼ等長。柱頭は螺旋状に曲がり、長さ1.4~1.8㎜。蒴果は褐色~赤褐色~黒褐色、倒卵形~広楕円形~卵形、花被の長さより短いか又はほぼ等しく、先は微突形。種子は楕円形、長さ約1.2㎜、種沈は基部につき、種子の長さの1/2以下。花期は5~7月。果期は7~8月。2n=24, 36。(Flora of China)
 多年草、根茎は短い。茎は高さ10~30㎝。根生葉は長さ5~15㎝×幅2~5㎜、線形、縁に白毛が生える。茎葉は1~2個、長線形、根生葉より小型、縁に白毛が生える。花序は数個~多数の頭花からなる。花被片は卵状披針形、鋭頭、背面は褐色、縁は薄膜質。雄しべは6個、長さは花被片の2/3。葯は長楕円形、花糸とほぼ同長。蒴果は卵形、黄褐色、花被片よりやや長い。種子は長さ約1.3㎜の広倒卵形。種沈は長さ約0.5㎜、種子の約1/2長。(神奈川県植物誌2001)
 茎は密~疎に群生し、高さ10~40㎝。根生葉は長さ3.5~12㎝×幅2~~6㎜。茎葉は花序の高さとと等しいか又は突き出る。花序は団散花序(glomerule)が3~16個(各々花が8~16個)、1~2個はほぼ無柄、他は明瞭に花序柄があり、ほとんどが円筒形、2次の枝がときにあり、普通、真っすぐ、直立する。下部の花序の苞は花序の高さとほとんど同じ~突き出る。花被片は淡褐色~栗褐色~帯黒色、縁が2~4㎜、透明。外花被片と内花被片はほぼ等長又は外花被片がわずかに長く、(外花被片は尖り、、内花被片は尖るか又は切形で微突形)。葯は花糸の長さの2倍以上では無い。柱頭は長さ0.8~1.5㎜。花柱は果実には残らない。蒴果は淡褐色~褐色~黒色、球形、花被片の長さより短い~等しい。種子は長さ1.1~1.7㎜。種沈は長さ0.2~0.6㎜。(Flora of North America)

9-1 Luzula multiflora subsp. frigida (Buchenau) V. I. Krecztowicz

 ユーラシア、グリーンランド、北アメリカに分布。
 茎葉は2~3個、重ならない。下部の花序の苞は花序より短い。花被片はすべてが暗褐色~栗色~帯黒色、外花被片は先が尖り、内花被片は切形で、微突形。蒴果は暗栗色~帯黒色、花被片と同長か又はわずかに突き出る。種子は長さ1.1~1.4㎜。種沈は長さ0.2~0.3㎜。2n= 36。花期と果期は夏。
9-2 Luzula multiflora subsp. multiflora
 ユーラシア、北アメリカ分布。
 茎葉は2~3個、重ならないかまれにしか重ならない。下部の花序の苞は花序の長さと等しいか又はめったに超えない。花被片はすべてわら色~褐色、長さ2.8~3.6㎜、先は尖る。蒴果は淡褐色~褐色、花被片より短い。種子は長さ1.1~1.5㎜、種沈は長さ0.3~0.6㎜。2n=24。花期と果期は春~夏。
9-3 Luzula multiflora subsp. kobayasii (Satake) Hulten,
 アラスカ、アジア東部に分布。
 茎葉はよく、重なる。下部の花序の苞は葉の広さにほぼ等しく、花序よりはきり長い。花被片はすべて栗色、長さ約4㎜、先は尖る。蒴果は栗褐色、花被片より短い。種子は長さ1.5㎜、種沈は長さ0.2~0.3㎜。花期と果期は夏。

10 Luzula nipponica (Satake) Kirschner et Miyam. ミヤマスズメノヒエ 深山雀の稗

  synonym Luzula sudetica DC. var. nipponica Satake
 日本(北海道、本州の中部以北)に分布。亜高山帯に生える。茎は高さ15~20㎝。葉は短く、幅2~3㎜、縁毛はまばら。花序は黒褐色、頭状花序に花が1~5個つく。花被片は長さ約2㎜。蒴果は長さ2.1~2.3㎜、花被と同長以下。種子は長さ1~1.1㎜、種枕は種子の1/3以下。2n=12。花期は4~7月。

11 Luzula nivea (Nathh.) DC. ルズラ・ニベア
 ヨーロッパ原産。英名は snow-white wood-rush , snowy wood-rush , lesser wood-rush,
 常緑多年草。緩く群生し、高さ45~75㎝、幅30~60㎝になる。根生葉は長さ20~30㎝×幅3~4㎜、白色の長い縁毛がある。花序は高さ50~70㎝、基部の花序の苞は長さ10~12㎝。花は白色、多数、束生する。葯は長さ1.8~2.2㎜、帯褐色。花糸は長さ1.5~1.9㎜。花柱は長さ2.2~2.6㎜。柱頭は長さ1~1.3㎜。花期は(4)5~7月。
品種) 'Lucius' , 'Schattenkind'

12 Luzula oligantha Sam. タカネスズメノヒエ 高嶺雀の稗
 日本(北海道、本州の中部地方以北、四国の剣山)、朝鮮、中国、インド、ネパール、ロシアに分布。中国名は华北地杨梅 hua bei di yang mei 。高山帯に分生え、小型。
 多年草、房状になり、高さ8~20㎝。走出枝は短い。茎は円柱形、直径約1㎜。根生葉は数本つく。歯鞘にはまばらに毛がある。葉身は線状披針形、平ら、長さ4~8㎝×幅2~4㎜、縁には先の硬い部分(callus)を除いてまばらに軟毛があり、葉先は鈍い。茎葉は1又は2個つく。花序は散形花序、基部の総苞片は長さ1.4~3㎝、花序より短い。頭状花序は4~12個つき、花が3~7個ずつつく。頭状花序の花序柄は不等長又は無柄。小苞は広卵形、縁は類全縁。花被片は暗褐色、披針形、長さ1.8~2.1㎜×幅0.8~1㎜、類等長、先は鋭形。花糸は普通、葯より長い。葯は長さ約0.8㎜。花柱は子房より短い。柱頭は長さ1.5~1.8㎜。蒴果は断面が三角形の楕円形、長さ1.8~2㎜、先は微突形。種子は楕円形、長さ約1.2㎜、種枕は不明瞭。2n=36。花期は6~7月。果期は7~8月。

13 Luzula pallidula Kirschner オカスズメノヒエ 丘雀の稗
  synonym Luzula campestris DC. var. yakusimensis Masam.

  synonym Luzula pallescens auct. non (Wahlenb.) Sw., nom. illeg.

 日本(北海道、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア、北ヨーロッパに分布。北アメリカに帰化。
 根茎は太い。茎は群生し、長さ9~35㎝。根生葉は長さ6~11.5㎝×幅1.5~4㎜、先は硬くならず(not callous)、控えめに縁毛がある。花序は散形花序状の円錐花序、団散花序は4~30個(各々9~24個の花をもつ)つく。中央の団散花序は無柄又はほぼ無柄、円筒形、長さ6~10㎜×幅4㎜、枝は真っすぐ、直立、長さ3㎝以下。下部の花序の苞は目立ち、葉状、花序の長さと同長~かなり長い。苞は透明、ときに紫色の斑が入る。小苞は縁が歯状~裂ける。花被片は全体に透明~わら色、又は中央が褐色で縁や先が透明、長さ1.5~2.6㎜。外花被片は内花被片より長く、内花被片の先には芒がある。葯は花糸の長さの1.5倍以下。蒴果は薄~濃帯赤色、光沢があり、球形、普通、内花被片と同長。種子は半透明の褐色、楕円形、長さ0.7~1㎜。種沈は長さ0.2~0.3㎜(種沈長/種子長=1/4以下 神奈川県植物誌2001)。2n=12。花期と果期は初夏~晩夏。(Fllora of North America)

14 Luzula parviflora (Ehrh.) Desv. セイタカコゴメヌカボシ 背高小米糠星

  synonym Luzula parviflora (Ehrh.) Desv. subsp. fastigiata (E.Mey.) Hamet-Ahti

 千島列島、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)、北アメリカ(アラスカ、カナダ、USA)、グリーンランド、に分布。中国名は小花地杨梅 xiao hua di yang mei 。英名はsmall-flower wood-rush。標高0~3300mの温帯から亜高山帯の北方林の牧草地、湿地やツンドラ、柳の林、草地の斜面に生える。
 匍匐茎は長さ5cm以下または無い。稈は緩く叢生し、長さ(20~)30~100㎝、基部はしばしば赤みを帯び、基部の節間ではしばしば赤みが明瞭である。葉の鞘状の喉部は長く柔らかい毛がある。根生葉の葉身は長さ12~17㎝×幅5~10㎜で、大部分は無毛。茎葉は3~6枚、鈍い黄色または帯青色~灰緑色~光沢のある明るい緑色、長さ7~9㎝×幅3~5㎜、先は鋭形~尖鋭形。花序はイグサ形花序(anthelate)、少数~多数花が付き、長さ4~20㎝×幅4~12㎝。主枝は90°未満に広がり、緩やかで、しばしば弓状になる。花序の下部の苞は不明瞭~葉状、長さ5(~8)㎝まで。苞の縁は全縁から不規則に裂ける。小苞は透明(clear)または褐色で、縁は全縁から裂傷がある。花は (1~)2~4個、密集または開く。花被片は淡褐色~褐色、広披針形、長さ1.8~2.5㎜、先は鋭形で反り返らない。葯は花糸と同長か短い。柱頭は花柱よりかなり長い。蒴果は麦わら色~暗褐色~帯黒色、球形で直径2.5㎜未満、花被片と同程度か一般に長く、嘴はない。種子は褐色~褐赤色または紫色、楕円形、長さ1.1~1.5㎜。2n=24。花期と果期は6~8月。

15 Luzula pilosa (L.) Willd. ヘアリー・ウッドラッシュ
  synonym Juncus pilosus L.
 ヨーロッパ北部、アジア西部原産。英名はhairy wood-rush。
 高さ15~40㎝。葉は約幅5~10㎜、長毛があり、先が尖らない。花序は疎、多数の花が上向きにつく。花はほぼ全て単生、ときに2~3個、束生し、ほとんどが長い花柄をもつ。花被片は長さ約4㎜、黄褐色~暗褐色、縁が膜質、外側の花被片は先が尖り、内側の花被片は先が鈍い。蒴果は卵形、熟すと、明らかに花被片より長い。種子は種沈をもつ。花期は4~5月。
品種) 'Grunfink' , 'Igel'

16 Luzula piperi (Coville) M.E.Jones コゴメヌカボシ 小米糠星

  synonym Luzula parviflora (Ehrh.) Desv. var. jezoensis Satake

 北海道、ロシア、カナダ、USAに分布。英名はPiper's wood rush。
 根茎は短く、水平。茎は密に群生し、長さ10~30(~35)㎝。根生葉の葉身は緑色、長さ5~10㎝×幅2~4㎜、硬く、基本的に無毛。茎葉は2~3個つき、長さ3~7㎝×幅3~5㎜。花序は枝が90°以内で開き、疎、下部の花序の苞は葉状、長さ0.8~1.5㎝。苞と小苞は褐色、先が透明、縁に強く、縁毛がある。花は単生又は2~3個、束生する。花被片は暗褐色、長さ1~2.5㎜、ほぼ等長、先は鋭形、反曲しない。葯はほぼ花糸の長さと同長。柱頭は花柱の長さの5倍。蒴果は暗褐色、楕円形、長さ2.5㎜以下、花被片より長く、嘴は無い。種子は薄黄褐色、披針形、端が狭く、長さ1.2㎜。2n=24。花期と果期は夏。

17 Luzula plumosa E.Mey. ヌカボシソウ 糠星草 広義

  synonym Luzula pilosa Willdenow var. plumosa (E. Meyer) Franchet.

 日本、中国(安徽省、甘粛省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、山西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、インド、シッキム、ネパール、ブータン原産。中国名は羽毛地杨梅 yu mao di yang mei。標高1100~3000mの斜面の森林の縁、道端、水辺に生える。  多年草、房状(株立)になり、高さ8~25㎝。匍匐茎は短い。茎は円柱形で条線がある。根生葉は葉身が線状披針形で平ら、長さ8~18㎝×幅2~5㎜、縁はまばらに毛があり、先は尖鋭形で厚いカルスがある。茎葉は1~3枚つき、根生葉より小さく、葉鞘は密に長毛がある。花序は散形花序状または散房花序状の集散花序で、基部の総苞片は葉状で長さ1~3㎝。花は単生、小苞は2個、卵形、長さ1.5~2㎜×幅約1.2㎜、縁はまばらに縁毛または不規則に裂け(lacerate)、先は鋭形。花被片は淡褐色で、卵状披針形~披針形で、長さ3~4㎜×幅1~1.2㎜、不揃いで、内花被片は外花被片よりわずかに長く、先には芒がある。雄しべは6本。葯は長さ約1mm。花糸はほぼ等長。花柱は子房より短く、柱頭は長さ1.5~2 mm。蒴果は黄緑色で、3稜形の卵形、長さ3.2~4mm。種子は赤褐色、卵形~楕円形、長さ1~1.4 mm、付属体は先端で湾曲し、長さ約1mm。花期は3~4月。果期は5~6月。
 ヌカボシソウL. plumosaとジンボソウL. jimboiはよく似ている。
 葯長/花糸長の比はヌカボシソウが0.6~2.3、ジンボソウは0.4~1.8で重なっている。

ヌカボシソウとジンボソウの比較


(a) 茎葉は線状長円形、± 縁が平行~倒披針形、上半分で幅が最も広く、急に先が狭まる。最も幅の広い茎葉は幅3.5~7㎜、長さは幅の8~25倍、先は急に尖頭形。花被片は等長、長さ1.6~3.1㎜。走出枝をもち、まれに類群生し、走出枝は長さ15㎝以下
 ..................................ジンボソウ L.jimhoi 

(b)茎葉は狭披針形、下半分で最も幅が広く、先で次第に狭まり、普通、幅2~4.5㎜、普通、長さは幅の20~50倍、先は鋭形~ほとんど尖鋭形。花被片は等長~類等長、長さ2.6~4.5㎜。群生又は短い走出枝をもち、走出枝は長さ3㎝以下。

 ..................................ヌカボシソウ L. plumosa 

17-1 Luzula plumosa E.Mey. subsp. dilatata Z.Kaplan クロボシソウ 黒星草

  synonym Luzula rufescens auct. non Fisch. ex E.Mey.
 北海道、本州、四国、九州に分布。高山に生える。
 高さ15~48㎝。少し叢生し、匍匐茎はほぼ長さ1~11㎝。根生葉は広線形、幅3~13㎜、白色の長い縁毛がある。花序枝は複合~たまにわずかに複複合、少数の3次枝を持つ。2次小花柄/1次小花柄の比は0.3~1.8。下部の1次小花柄はほとんど斜上~開出する。花被は普通、濃赤褐色。花被片は長さ2.6~4.2㎜、全縁。葯は線形、長さ0.8~1.5㎜。葯の長さ/花糸の長さ・比はほとんど1.0~2.3。蒴果は長さ3~4㎜、蒴果の長さ/花被片の長さ・比は0.9~1.3。種子の付属体は長さ0.2~1.3㎜。種子の長さ/付属体の長さ・比は1.4~3.0(~6.0)。

17-2 Luzula plumosa E.Mey. subsp. plumosa ヌカボシソウ 糠星草

  synonym Luzula japonica Buchenau

  synonym Luzula plumosa E.Mey. var. macrocarpa (Buchenau) Ohwi, excl. typo

  synonym Luzula plumosa E.Mey. var. brevipes (Franch. et Sav.) Ebinger

 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、インド、ブータン、ネパールに分布。中国名は羽毛地杨梅 yu mao di yang mei。
 高さ6~22(25)㎝。根茎は細い。匍匐茎は常に0㎝ときに0~1(~3)㎝。根出葉は長さ8~18㎝、幅1.5~5㎜の広線形、葉の縁にまばらに白い毛が生える。茎葉は根生葉より小さい。茎は細く、直立し、先端の集散花序に単生花をつける。花序枝は単純~複合。2次小花柄/1次小花柄の比は0.1~1.0。下部の1次小花柄はほとんど斜上~開出。花被片は内花被片3個と外花被片3個の計6個、同長で、長さ2.6~3.8(2.8~4.5)㎜の披針形。小苞2個が花被片の外側に接してつく。雄しべ6個。葯は長さ0.6~1.2(~1.4)㎜、葯/花糸の長さ比は0.6~1.2。雌しべ1個。蒴果は長さ3~4㎜、蒴果の長さ/花被片の長さ・比は0.9~1.3(0.8~1.1)、緑褐色、丸みを帯びた三角垂形、種子が3個入る。種子は長さ1~1.6㎜の広楕円形、種沈が上側に伸びてつく。種沈は長さ0.3~1.6(0.6~1.7)㎜、種子の長さ/付属体の長さ・比は普通1.0~2.2(0.9~2.2)。2n=46。花期は4~5月。

17-3 Luzula plumosa subsp. reflexa (Ebinger) Z.Kaplan

  synonym Luzula plumosa var. reflexa Ebinger
 中国(チベット自治区、雲南省、貴州省、中国南東部)原産。
 高さ17~41㎝。根生葉は幅3~10㎜。匍匐茎は長さ0~1.5㎝。花序枝は重く複合~複複合、数本の3次枝を持つ。2次小花柄/1次小花柄の比は0.5~1.3。下部の1次小花柄はしばしば後屈する。花被片は長さ2.8~4.1㎜。葯は長さ(0.7)0.9~1.2㎜。葯の長さ/花糸の長さ・比は0.6~1.2。蒴果の長さ/花被片の長さ・比は0.9~1.3。種子の付属体は長さ0.3~1.1㎜。種子の長さ/付属体の長さ・比は1.0~4.3。

18 Luzula sylvatica (Huds.) Gaudin  オオスズメノヤリ 大雀の槍
  synonym Juncus sylvaticus Huds.
 ヨーロッパ、アジア南西部原産。英名は greater wood-rush , great wood-rush。
 スズメノヤリ属の中で最も大きい。ときに走出枝を出す。茎は高さ30~80㎝、やぶ状になる。葉は明るい緑色、光沢があり、平ら、線形、約長さ10~30㎝×幅1㎝、冬にも緑色、少なくとも帯緑色、まばらに白色の縁毛がある。花は開いた円錐花序に3~4個ずつ、密に束生し、小さく、栗褐色。花被片は長さ3~3.5㎜。風媒花であり、虫媒花でもある。蒴果は3バルブ。種子は長円形、不明瞭な網状、しばしば種沈をもつ。2n=12。花期は4~6月。
品種) 'A. Rutherford' , 'Aurea' , 'Aureomarginata' , 'Auslese' ,'Barcode' (v) , 'Bromel' , 'Hohe Tatra' , 'Marginata' (v) , 'Onderbos' , 'Schattenlicht' , 'Schmalhanschen' , 'Select' , 'Solar Flair' , 'Starmaker' , 'Taggart's Cream' (v) , 'Tauernpass' , 'Tatra Gold' , 'Thierry's Cream' (v) , 'Waldler' , 'Waulkmill Bay' , 'Wintergold'

19 Luzula × borreri Bromf. ex Bab.
 Luzula forsteri x Luzula pilosa
品種) 'Botany Bay' (v)

20 その他
品種) 'Engel' , 'Mount Dobson' , 'Ruby Stiletto'

参考

1) Flora of North America
 Luzula
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=119122
2) Flora of China
 Luzula
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=119122
3) The Jepson Herbarium
 Luzula piperi (Coville) M.E. Jones
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=32166
4)GRIN
 Luzula
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=7042
5)植物リスト
 福井県 イグサ科
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/shizen/rdb/syokubutu_list_d/fil/483_syoku_p533.pdf
6)Acta Phytotax. Geobot. 1: 79 (1932)
Symbolae ad FIbram''ASiae''Orientalis IV.- Luzula formosana Ohwi
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunruichiri/1/1/1_KJ00001078746/_pdf
7) Taxonomic and nomenclatural notes on Luzula subg. Pterodes - Preslia
 Preslia, Praha, 73: 59-71, 2001
 Taxonomic and nomenclatural notes on Luzula subg. Pterodes
http://www.preslia.cz/archive/Preslia_73_2001_59-71.pdf
8)Preslia, Praha, 73; 59-71 (2001)  Taxonomic and nomenclatural notes on Luzula subg. Pterodes (Juncaceae)
https://www.researchgate.net/profile/Zdenek-Kaplan/publication/257993502_Taxonomic_and_nomenclatural_notes_on_Luzula_subg_Pterodes_Juncaceae/links/5885ecd492851c21ff4d2bb4/Taxonomic-and-nomenclatural-notes-on-Luzula-subg-Pterodes-Juncaceae.pdf