オオアオスゲ 大青菅

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Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae スゲ属

学 名 Carex lonchophora Ohwi

 synonym Carex leucochlora var. lonchophora (Ohwi) Akiyama

 synonym Carex breviculmis R.Br. var. lonchophora (Ohwi) T.Koyama

オオアオスゲの雄小穂
オオアオスゲの雌小穂
オオアオスゲ果胞
オオアオスゲ
オオアオスゲ葉表
オオアオスゲ葉裏
オオアオスゲ果実
果 期 4~5月
高 さ 30~60㎝
生活型 多年草
生育場所 疎林の林床、林縁
分 布 在来種 日本固有種(本州の関東地方以西)
撮 影 静岡県 15.4.28
多年草、高さ30~60cm。密に叢生し、匐枝は無い。茎は直立し、断面は三角形、基部の鞘は淡褐色、脈が隆起して太く、光沢はない。葉は茎と同長以下、幅の広い葉は幅4~6㎜に達する。頂小穂は1個、雄性、線形、長さ1~3㎝、稀に雌花部が上部につく。側小穂は雌性、長さ1~3㎝の円柱形、2~5個つき、上部のものは近接し、下部のものは離れてつく。苞は花序より長く、苞の基部は明瞭な鞘がある。鞘は上部のものは長さ0.4~0.8㎝程度、下部のものは長さ1~2㎝、長いものは3㎝近くになる。雌鱗片の芒は長い。果胞は嘴が長く、長さ3~3.5㎜、毛が多く、太くて明瞭な脈があり、口部は2歯。果苞は熟しても緑色、緑色のうちに落果する。果期は4~5月。
 アオスゲ Carex breviculmis は道端で普通に見られる。根茎は短く、密に叢生する。茎は細く、鈍い3稜形。基部の鞘はやや光沢のある褐色、古くなると繊維状に分解する。葉は普通、茎と同長、幅2~3㎜。茎の先に2~5個の直立した小穂をつける。苞は花序と同長~やや長く、苞の基部はほとんど無鞘、あっても長さ約1㎜が多い。最上部の雄小穂は棍棒状で、長さ1~2㎝。側小穂は雌性、長さ1~2㎝、幅3~4㎜の円柱状。根際に雌小穂をつけることはほとんどない。雌小穂の先端に小さな雄小穂をつけることもよくある。果胞は長さ2.5~3㎜、不明瞭な脈があり、短毛が散生し、口部は2歯。鱗片は凹頭~鋭頭、長い芒がある。果実は倒卵形、3稜形で、柱基はやや大きな付属体となる。柱頭は3岐。
 メアオスゲ Carex candolleana は葉の幅が1~2(5)㎜、雄小穂が線形、雌小穂は花が少なく、長さ1㎝以下、根際に雌小穂がつくことがある。また、苞の鞘が長く、はっきり認められる。
 イトアオスゲは葉の幅が1~2㎜。雄小穂が線形で、ときにきわめて短いことがあり、雌小穂は花が少なく、鱗片の芒が短い。
 ヌカスゲ Carex mitrata は葉の幅が1.5~2㎜、苞が短く、雄小穂がきわめて細く、鱗片に芒がない。ノゲヌカスゲやメアオスゲより出穂期が早い。
 ノゲヌカスゲ Carex mitrata var. aristata は基部の鞘が長く、雄小穂が細くて短く、苞の鞘が長さ約3㎜ある。
 オオアオスゲはハマアオスゲ(Carex fibrillosa)の親類で苞の鞘部が長いのと、果穂が互に離れているので、一寸Carex chinensis Retz.に似ているが、果胞はハマアオスゲと余り違いはない。(参考1)

参考

1)植物研究雑誌7(5): 163–168(1931)
 大井次三郎 : 日本産スゲ属新種報知
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/7/5/7_7_5_952/_article/-char/ja/
2)植物研究雑誌11(9): 662–663(1935)
 奥山春季 : 尾瀬地方産スゲ属新種
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/11/9/11_11_9_1589/_article/-char/ja/
3)植物研究雑誌17(6): 332–334(1941)
 中井猛之進 : キノクニスゲとタケシマカンスゲとは別種である
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/17/6/17_17_6_2533/_article/-char/ja