オモダカ 面高

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Flora of Mikawa

オモダカ科 Alismataceae オモダカ属

別 名 ハナグワイ
中国名 野慈姑 ye ci gu
英 名 threeleaf arrowhead, swamp-potato
学 名 Sagittaria trifolia L.
Sagittaria sagittifolia L. subsp. leucopetala (Miq.) Hartog
オモダカ雄花序
オモダカ雌花序
オモダカ果実
オモダカ葉
オモダカ
オモダカ花
オモダカ葉先
花 期 8~10月
高 さ 20~80㎝
生活型 多年草
生育場所 水田、沼、湿地、ため池
分 布 在来種 日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア、ウクライナ、南アジア
撮 影 豊川市  09.9.3
食用のクワイはオモダカの栽培品種で、塊茎が2~3倍あるもの。
 オモダカは秋に匍匐枝を出し、塊茎をつけて越冬する。沈水葉(水中葉)は線形。水上葉は長さ7~15㎝の三角状矢じり形で、下の2個の側裂片が頂裂片より長くなり、先が鋭く尖る。花は総状花序につき、3個ずつ輪生する。花は単性花で、花序の上部に黄色の雄しべが目立つ雄花、下部に雌花がつく。雄花だけの花序や雌花だけの花序もある。雄花、雌花とも直径約2㎝。花弁は3個。果実は扁平な痩果が多数集合して球形になり、表面にとげがある。痩果は長さ3~5㎜、扁平、翼がある。2n=22
 類似のアギナシは匍匐枝を出さず、葉腋に多数の球芽をつけ、葉の側裂片の尖った先が丸くなる。

オモダカ属

  family  Alismataceae - genus  Sagittaria

 水生の草本、しばしばストロンを出し、塊根をもつ。葉は気中、浮遊、又は沈水、線形、披針形、深い心形又は矢じり形。花序は普通、3個の花が輪生し、各花は3個の苞をもつ。花は単性又は雑性花(polygamous:単性花と両性花をもつ)、上部の花は雄性、長くて細い花柄をもち、下部の花は雌性又は両性、短くて太い花柄をもつ。雄しべは(6~)9本~多数。心皮は多数、螺旋状につき、それぞれ1胚珠をもつ。花柱は先端又はほぼ内側につく。痩果は側部が扁平、縁に普通、翼があり、先端又は側部の花柱の嘴をもつ。
 世界に約30種があり、熱帯と温帯に分布する。

オモダカ属の主な種と園芸品種

1 Sagittaria aginashi Makino  アギナシ 顎無し
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、ロシア原産。溜池畔、湿地、休耕田、用水路などに生える。
 多年草。高さ30~80cm。葉腋に多数の球芽つけて繁殖し、ストロンはない。葉は根生し、長い葉柄がある。 葉身は矢じり形、頂裂片は披針形~線形、長さ7.5~17.5㎝、先は鈍形。側裂片は頂裂片より少し短く、先は鈍形、両面とも無毛。花茎は高さ30~80㎝、輪生総状花序をつける。雌花は下部にあり少数、花柄は長さ10~20mm。苞は3個、狭卵形。萼片3個、卵円形で長さ5~6mm。 花弁3個、仮雄蕊があり、雌蕊は多数、花柱は短く先は曲がる。 雄花は花序の上部に多数つき、花柄は10~30mm。花弁3個で円形、長さ10~13mm。雄蕊は多数、葯は黄色、花糸は扁平で線形。 痩果は広い翼があり、倒卵形、全長3~3.5mm。花期は7~10月

2 Sagittaria graminea Michaux
 北アメリア(カナダ、USA)、南アメリカ(キューバ)原産。英名はcoastal arrowhead , delta arrowhead , grass-leaf arrowhead , slender arrowhead , grassy arrowhead 。
 多年草、高さ100㎝以下。根茎は粗い。ストロンは無い。球茎は無い。葉は水中又は水面上に出る。沈水葉(submersed)は下面に角(かど)があり、上面は平らな葉状柄があり(phyllodial)、長さ6.4~35㎝×幅0.5~4㎝。水上葉(emersed)は三角形の長さ6.5~17㎝の葉柄をもち、葉身は線形~線状倒披針形長さ2.5~17.4㎝×幅0.2~4㎝。花序は総状花序又は円錐花序、1~12輪からなり、水上に出て、長さ2.5~21㎝×幅1~8㎝。花序柄は長さ6.5~29.7㎝。苞は全長の1/4以上に渡って合着し、広錐形~披針形、長さ20~50㎜、粗く、パピラは無い。果時の花柄は開出し、円筒形、長さ0.5~5㎝。花は直径2.3㎝以下。咢片は反曲~開出し、花を包まない。 花糸は広がり、葯より短く、軟毛がある。雌花は花柄があり、不稔の雄しべの輪は無い。果時の頭状花序は直径0.6~1.5㎝。痩果は倒披針形、外側の竜骨はなく、長さ1.5~2.8㎜×幅1.1~1.5㎜、嘴があり、面に、いぼは無く、外側の翼は0~1個、±全縁、腺が1~2個、嘴は側部に直立し、長さ0.2㎜。亜種が3種ある。
品種) 'Crushed Ice'
2-1 Sagittaria graminea subsp. graminea
 北アメリア(カナダ、USA)、南アメリカ(キューバ)原産
 葉状柄は幅1㎝以下。花序は総状花序、雌花の花柄は長さ0.5~3㎝。2n = 22。
2-2 Sagittaria graminea subsp. weatherbiana (Fernald) R. R. Haynes & Hellquist  ナガバオモダカ 長葉面高
   basionym Sagittaria weatherbiana Fernald
 USA原産。英名は grass-leaf arrowhead , grass-leaved arrowhead ,delta arrowhead 。別名はジャイアント・ サジタリア。
 世界各地で、水草として栽培され、日本でも、栽培されたものが逸出している。丈夫で増えて困り、害草になっている。
  雌雄異株、単性花。雌株のみが帰化している。2n=22。花期は5~9月。
 葉状柄(phyllodia )は幅1~2.5㎝。花序は総状花序。雌花の花柄は長さ2.1~5㎝。 2n = 22。

3 Sagittaria guayanensis Kunth
 中国、台湾、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、カンボジア、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、アフリカ原産。中国名は冠果草 guan guo cao
3-1 Sagittaria guayanensis Kunth subsp. lappula (D.Don) Bogin  オモダカモドキ

4 Sagittaria latifolia Willd.
 北アメリカ(カナダ、USA、メキシコ)原産。英名はwapato , broad leaf arrowhead , common arrowhead , duck-potato , muskrat-potato
品種) 'Flore Pleno' (d)

5 Sagittaria montevidensis Cham. et Schltdl.  タイリンオモダカ
 南アメリカ原産。英名はgiant arrowhead , California arrowhead.北アメリカ、アフリカに帰化。

6 Sagittaria natans Pall.  カラフトグワイ
 日本、韓国、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ原産。中国名は浮叶慈姑 fu ye ci gu


7 Sagittaria platyphylla (Engelm.) J.G.Sm.  ヒロハオモダカ
 北アメリカ(USA、メキシコ)、南アメリカ(パナマ)原産。英名はdelta arrowhead

8 Sagittaria pygmaea Miq.  ウリカワ 瓜皮
 日本(本州の福島県以西、四国、九州、沖縄)、韓国、中国、台湾、タイ、ベトナム原産。中国名は矮慈姑 ai ci gu。英名はdwarf arrowhead, pygmy arrowhead 。
 多年草。高さ10~30㎝。地中に白色の長い匐枝を出し、その先端に塊茎をつけて増える。葉はすべて根元につき、長さ8~16㎝、幅4~8㎝の線形。雌雄同株、単性花。花は1~2段に輪生する。雄花は数個つき、有柄。雌花は1個、まれに2個つき、無柄。上段の花輪には雌花はつかない。花の直径は約2㎝。花弁は白色、3個。萼片は緑色、3個。雄花の雄しべ12~14個。雌花の雌しべは多数。痩果は長さ3~5㎜、幅3~3.5㎜、扁平、不規則に裂けた翼がある。2n=22。花期は7~9月。

9 Sagittaria sagittifolia L.  セイヨウオモダカ
 中国、ロシア、西アジア、コーカサス、ヨーロッパ原産。英名はarrowhead , Old World arrowhead

10 Sagittaria subulata (L.) Buchenau  アメリカウリカワ
 北アメリカ(USA)、南アメリカ(コロンビア)原産。英名はnarrow-leaf arrowhead

11 Sagittaria trifolia L.  オモダカ 面高
  synonym Sagittaria trifolia L. var. angustifolia (Siebold) Kitag. 
 日本全土、朝鮮、中国、台湾、ロシア、ウクライナ、南アジア原産。中国名は野慈姑 ye ci gu。英名はthreeleaf arrowhead , swamp-potato , Chinese arrowroot 。別名はハナグワイ。
 多年草。高さ20~80㎝。秋に匍匐枝を出し、塊茎をつけて越冬する。沈水葉(水中葉)は線形。水上葉は長さ7~15㎝の三角状矢じり形で、下の2個の側裂片が頂裂片より長くなり、先が鋭く尖る。花は総状花序につき、3個ずつ輪生する。花は単性花で、花序の上部に黄色の雄しべが目立つ雄花、下部に雌花がつく。雄花だけの花序や雌花だけの花序もある。雄花、雌花とも直径約2㎝。花弁は3個。果実は扁平な痩果が多数集合して球形になり、表面にとげがある。痩果は長さ3~5㎜、扁平、翼がある。2n=22。花期は8~10月。
品種) 'Caerulea'  クワイ
※  synonym Sagittaria trifolia L. var. edulis (Siebold ex Miq.) Ohwi  クワイ
      synonym Sagittaria trifolia L. subsp. leucopetala (Miq.) Q.F.Fang  クワイ 
      synonym Sagittaria sagittifolia L. subsp. leucopetala (Miq.) Hartog  クワイ
    'Sinensis'  シナクワイ
      synonym Sagittaria trifolia L. var. sinensis (Sims) Makino  シナクワイ
    'Suita Kuwai'
11-1 Sagittaria trifolia L. f. longiloba Makino  ホソバオモダカ
11-2 Sagittaria trifolia L. var. alismifolia (Makino) Makino  ヒトツバオモダカ

参考

1) Flora of China
 Sagittaria  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129016
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Sagittaria  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30006593-2
3)GRIN
 Sagittaria  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10644
4)Flora of North America
 Sagittaria  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=129016
5)植物研究雑誌 1(2): 43-44(1916)
 牧野富太郎 : オモダカ並にクワイの葉
6) )植物研究雑誌 92(4): 184-192(2017)
 志賀 隆 等,加藤 将,薄葉 満,山ノ内崇志,倉園知広,平澤優輝,山崎真実 :
 岩手県夜沼(国内新産地)から見つかったカラフトグワイ(オモダカ科)のDNA塩基配列に基づく種同定