キランソウ 金襴草、金瘡小草

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae キランソウ属

別 名 ジゴクノカマノフタ
中国名 金疮小草 jin chuang xiao cao
英 名 creeping bugleweed
学 名 Ajuga decumbens Thunb.
キランソウ通常花
キランソウ雌しべ
キランソウ紅色をやや帯びた花
シロバナキランソウ
キランソウ萼
キランソウ花冠
キランソウ分果
キランソウ
キランソウ2
キランソウの葉表
キランソウの葉裏
キランソウ果実
花 期 3~5月
高 さ 5~10㎝
生活型 多年草
生育場所 道端、土手
分 布 在来種 本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾
撮 影 蒲郡市形原町  02.5.4
キランソウは古くからの民間薬であり、鎮咳、去痰、抗菌などの作用が知られている。全草を乾燥したものを煎じたり、生葉が用いられる。日本では多年草であり、Flora of Chinaの1年草または2年草とは異なる。
 全体に毛が多い。根生葉が地面に張り付くように這って広がる。葉は長さ4~6㎝、幅1~2㎝の倒披針形、縁に粗い鋸歯があり、紫色を帯びることがある。花は青紫色~紫色で、長さ約1㎝の唇形花。上唇は長さ約1㎜、雄しべより短い。雄しべは4個で、うち下側の2個は短い。雌しべは1個、花柱の先は2裂し、上下に開く。子房は上から1/2まで4裂。果実は4分果、花冠が帽子のように残り、熟すと取れる。分果は長さ1.7~1.9㎜、乾くと表面が網目状になり、腹面に分果の大きさの2/3ほどの着点がある(キランソウ属の特徴)。2n=32。
 花冠が淡紅色の品種はモモイロキランソウ。白花品種はシロバナキランソウという。
 タチキランソウは奥三河で見られ、茎が立ち、花の上唇が2裂し、直立する。
 奥三河ではタチキランソウほどではなく、茎が短く立ち、少しだけ花の上唇が立っているものも見られる。キランソウは交配しやすく、雑種の可能性もある。
 ニシキゴロモは葉の鋸歯が細かく、葉脈が鮮やかな紫色になる。花柄が立ち、花が集まってつき、花の上唇が2裂して直立する。
 ツクバキンモンソウはニシキゴロモの変種で、上唇がキランソウに似て短い。

キランソウ属

  family Lamiaceae - genus Ajuga

 1年草、2年草又は多年草、まれに低木。葉は単葉、葉身は紙質、縁は歯状~欠刻状、まれにほぼ全縁。輪散花序(verticillasters)は花が2個~多数、偽穂状花序になる。花葉(floral leave:輪散花序をもつ葉)は茎葉に似るか又は次第に小さく苞になり、まれに似ていなくて、茎葉より大きい。花はほぼ無柄。萼は卵形~球形、鐘形~漏斗形、10脈があり、ときに不明瞭な付属脈をもつ。萼歯は5個、わずかに不規則。花冠は紫色~青色、まれに、黄色~白色、2唇形、しばしば、果時に宿存する。花冠筒部は真っすぐ~わずかに曲がり、基部はわずかに折れ曲がり、膨れ、のど部はわずかに広がり、環状に絨毛があり、まれに内側が無毛になる。上唇は真っすぐ、全縁~2裂する。下唇は大きく、3裂し、中裂片は倒心形~扇形に近く、側裂片は長円形。雄しべは4本、2強雄しべ、上唇から突き出し、蕾では内巻。前側2本は長く、花糸は真っすぐ~わずかに曲がる。葯は2室、先が合流する。花柱はほぼ等しく2分岐し、枝は錐形。小堅果は倒卵形、3稜形、背に網があり、側腹面は長さの1/2~2/3の着点=光輪(areole)をもち、エライオソームをもつ。
 世界に約40~50種あり、アジア、ヨーロッパに分布し、特に東部付近に多い。

キランソウ属の主な種と園芸品種

1 Ajuga boninsimae Maxim. シマカコソウ 島夏枯草
 日本固有種(小笠原諸島)。日当たりのよい湿った岩場に生える。別名はシマキランソウ。
 高さ15~40cmになり、全体に短毛があり、特に茎や花序などに、やや長い毛が密生する。葉は対生し、葉柄は長さ約0.5~2㎝。葉身は約長さ2~6㎝×幅1~3㎝、縁は波形の鋸歯があり、先は鈍形。枝先に付近の葉腋に花をつける。萼は鐘形、長さ6~7㎜、長い縮毛があり、5裂する。萼片は3角形、長さ約2㎜、先は鋭形。花冠は白色、筒部のある2唇形、長さ約1.5㎝、軟毛が密生する。上唇は長さ約2.5㎜、先が浅く2裂する。下唇は長さ約4㎜、中裂片は倒心形で大きい。雄しべは4本、うち2本が長い。小堅果は4個、長さ約2㎜、淡い茶色、背面に網目がある。花期は11~1月。

2 Ajuga ciliata Bunge アジュガ・シリアータ
 日本、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、湖北省、陝西省、山東省、山西省、四川省、浙江省)原産。中国名は筋骨草 jin gu cao。標高300~2500mの川岸、湿った草原、森林の湿った地域、密生した草地に生える。
 多年草。茎は直立、高さ25~40㎝、紫赤色又は緑赤色。葉柄は長さ1㎝又はそれ以上、ときに紫赤色になり、抱茎、灰色の長軟毛又は縁だけに毛がある。葉身は卵状楕円形~狭楕円形、長さ4~7.5㎝×幅3.2~4㎝、剛毛又は頂軟毛があり、基部は楔形状で沿下し、縁は不規則な重鋸歯、縁毛があり、先は鈍形~鋭形。花序は頂生、長さ5~10㎝、輪散花序が密につく。花葉はときに紫赤色、卵形、長さ1~1.5㎝、基部は楔形、縁は全縁~わずかに欠刻し、先は鋭形。萼は漏斗状鐘形、長さ7~8㎜、無毛。萼歯は長軟毛があり、縁毛があり、狭三角形、萼の長さの1/2又はそれ以上、先は鋭形、規則的。花冠筒部は萼の長さの2倍又はそれ以上、長軟毛、微軟毛があり、内側に絨毛が環状にある。上唇は真っすぐ、先は円く、凹形。下唇は大きく、長く、中裂片は倒心形、側裂片は線状長円形。小堅果は外側が中間で膨れ、着点(areole)は内側のほとんど全体を被う。花期は4~8月。果期は7~9月。

2-1 Ajuga ciliata var. chanetii (H.Lév. & Vaniot) C.Y.Wu & C.Chen

  synonym Ajuga chanetii H.Lév. & Vaniot
 中国(甘粛省、河北省、陝西省)原産。中国名は陕甘变种 shan gan bian zhong。標高約1800mの低い草地に生える。
 植物は灰色の絨毛が密集する。萼歯は絨毛の縁毛があり、毛は花冠筒部の毛より長い。花冠筒部は帯白色。拡大部は青色または紫色。
2-2 Ajuga ciliata var. ciliata
 朝鮮、中国(甘粛省、湖北省、陝西省、山東省、山西省、四川省、浙江省)原産。中国名は筋骨草 jin gu cao。標高300~1800mの川岸、湿った草原、森林の湿った地域に生える。溶血、扁桃炎、咽頭痛に薬用として使用される。
 植物は、茎の若い部分に灰色の絨毛がある以外は、細柔毛(pilose)または伏剛毛(strigose)がある。
2-3 Ajuga ciliata var. glabrescens Hemsl.
  synonym Ajuga ciliata f. glabrescens (Hemsl.) Kudô
 中国(甘粛省、湖北省、陝西省、四川省)原産。中国名は微毛变种 wei mao bian zhong。標高1100~2500mの草地の斜面、森林に生える。
 葉身は無毛、ほぼ無毛、または微軟毛があり、広楕円形~楕円条卵形。萼はまばらに微軟毛があるかまたはほぼ無毛。花冠は白色~淡バラ色または赤色。
2-4 Ajuga ciliata var. hirta C.Y.Wu & C.Chen
 中国(四川省)原産。中国名は长毛变种 chang mao bian zhong。標高約2000mの森林に生える。
 植物は絨毛がある。葉身は長さ5~8(~13)㎝×幅3~4.5(~8)㎝、紙質、下面は紫赤色。萼歯は三角形~狭三角形、縁は絨毛の縁毛がある。

2-5 Ajuga ciliata Bunge var. villosior A.Gray ex Nakai カイジンドウ 甲斐神頭

 日本(北海道、本州、沖縄)に分布。やや乾いた明るい落葉樹林に生える。ジンドウはリンドウを指し、甲斐竜胆とも書かれる。
 多年草、全体に多細胞の白色の毛がある。茎は直立し、高さは30~40㎝、基部は赤紫色を帯び、4本の縦稜がある。葉は対生し、上部の葉は狭卵形、鈍頭。中部の葉は卵形~広卵形、長さ3~8㎝×幅2~4.5㎝、縁にはまばらに粗い鋸歯がある。茎下部の葉は小さく鱗片状。茎の上部の穂状花序に2唇形の花を密に多数つける。花は青紫色~紅紫色、長さ1~1.2㎝。花期は5~6月。

3 Ajuga decumbens Thunb. キランソウ 金襴草
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、青海省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は金疮小草 jin chuang xiao cao 。英名はcreeping bugleweed。別名はジゴクノカマノフタ。標高400~2300mの川辺、道端、湿った草地の斜面、竹林の湿地に生える。中国では1年草、2年草とされ、日本では多年草。
 1年草、2年草、または多年草、匍匐茎を持つ。茎は高さ5~10(~30)cm、特に若い部分は白色の絨毛または羊毛状絨毛(lanate-villous)を持つ。根生葉は多数、茎葉より長い。葉柄は長さ1~2.5cmまたはそれ以上、狭い翼があり、紫緑色または帯緑色、絨毛を持つ。葉身は長さ3~6(~14)㎝×幅1.5~2.5(~5)cm、まばらに伏剛毛(strigose)~細柔毛(pilose)があり、基部は漸尖状沿下し、縁毛があり、先は鈍形~円形。輪散花序は多数花がつき、基部は広く間隔をあけてつき、先は断続的な穂状花序に密集し、長さ7~12㎝。先の花葉は苞状、披針形。小花柄は短い。萼は漏斗形、長さ5~8㎜、縁には細柔毛がある。萼歯は三角形、萼の長さの半分までの長さ。花冠は筒状、真っすぐで、基部がわずかに膨れ、長さ8~10㎜、細柔毛があり、内部の絨毛は環状になる。上唇は真っすぐで、円形、先は凹形。下唇の中裂片は狭い扇形~倒心形、側裂片は長円形~ほぼ楕円形。小堅果の着点(areole)は小堅果の背側の長さの約2/3までの長さ。花期は3~7月。果期は5~11月。
3-1 Ajuga decumbens var. decumbens キランソウ 金襴草 狭義

  synonym Ajuga decumbens Thunb. f. albiflora Honda シロバナキランソウ 白花金襴草

  synonym Ajuga decumbens Thunb. f. condensata Makino ウズキランソウ

  synonym Ajuga decumbens Thunb. var. glabrata Hatus., nom. nud. テリハキランソウ

 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、青海省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾原産。中国名は金疮小草 jin chuang xiao cao。標高400~1400mの川岸、道端、湿った草地の斜面に生える。薬用として使用される。Flora of Chinaでは花が白色または白緑色としている。別名はシロバナキランソウ。日本では多年草である。
 1年草または2年草、多年草、高さ5~10(~30)㎝。茎は直立し、まれに垂れ下がり、全体に毛が多い。根生葉が地面に張り付くように這って広がる。葉は長さ4~6㎝、幅1~2㎝の倒披針形~ほぼ長円形、縁に不規則に歯があり、紫色を帯びることがある。花は(青紫色~紫色、または)白色または白緑色、長さ1.5~2㎝の唇形花。上唇は長さ約1㎜、雄しべより短い。雄しべは4個で、うち下側の2個は短い。雌しべは1個、花柱の先は2裂し、上下に開く。子房は上から1/2まで4裂。果実は4分果、花冠が帽子のように残り、熟すと取れる。分果は長さ1.7~1.9㎜、乾くと表面が網目状になり、腹面に分果の大きさの2/3ほどの着点がある(キランソウ属の特徴)。2n=32。花期は3~5月。

(1) Ajuga decumbens Thunb. f. purpurea Honda モモイロキランソウ

 花冠が淡紅色の品種
3-2 Ajuga decumbens var. oblancifolia C.Y.Wu & S.Chow
 中国(貴州省、四川省)原産。中国名は狭叶变种 xia ye bian zhong。標高1500~2300mの竹林の湿地、道端に生える。
 茎は斜上~平伏し、長さ10~20㎝。葉身はへら形~倒卵状披針形、縁は不規則に波打円つ鋸歯状~ほぼ全縁。花冠は青紫色または赤紫色、長さ0.8~1㎝。

4 Ajuga dictyocarpa Hayata オニキランソウ 鬼金襴草
  synonym juga elatior Ohwi
 日本(沖縄)、中国、台湾、ベトナム原産。中国名は网果筋骨草 wang guo jin gu cao。湿った草地に生える。
 多年草。斜上し、ときに匍匐枝を出す。茎は高さ20~30㎝、軟毛があり、先で分枝する。葉柄は狭い翼があり、長さ1~3㎝。葉身は倒卵形~長円状倒卵形、まれに三角状倒卵形、長さ3~4(~10)㎝×幅2(~5)㎝、ほぼ無毛、中肋に軟毛があり、基部は楔形~沿下し、縁は粗い歯状~不規則な円鋸歯、まばらに縁毛があり、先は鈍形~類円形。輪散花序はは長さ12個又はそれ以上つき、頂生の穂状花序になり、長さ5~12㎝、先の花葉は苞状、卵形~卵状披針形、縁は歯状~全縁、最も小さい苞は約長さ8㎜×幅4㎜。萼は鐘形、長さ3.5~4.5㎜×幅3~3.5㎜、萼歯は卵状三角形、萼の長さの1/2以下、縁毛があり、まばらに絨毛がある。花冠は白色、筒形、真っすぐ、わずかに折れ曲がり、長さ6~8㎜、筒部は無毛。拡大部は±絨毛があり、内側に絨毛が環状にある。上唇は半円形、2裂する。下唇は突出し、中裂片は狭い心形、約・長さ2㎜×幅1.5㎜、先は凹形。側裂片は長円形、約・長さ1.5㎜×幅1㎜。小堅果の着点(areole)は小堅果の内側の長さの2/3以下。花期と果期は3~6月。

5 Ajuga genevensis L. アジュガ・ジェネベンシス
 ヨーロッパ原産。英名はerect bugle , upright bugle , blue bugle , Geneva bugleweed , blue bugleweed。ヨーロッパに広く分布。乾燥した草原、ブドウ畑、畑に生える。A. reptansに似るが、ランナーはなく、しばしば側方ロゼットがある。
 多年草。根は非常に短く、多数の枝分かれがある。茎は高さ8~40㎝、直径0.2~0.5㎝、基部から分岐するか、または単純、断面は明瞭な4角形があり、4面全てに密に毛があり、基部には単純な繊維または毛が 2列に対生して散在し、繊維が層状になる。葉は長さ1.5~10㎝×幅0.8~5㎝、狭披針形、披針形、楕円形、菱形、茎につくかまたは楔形になり、全体または下半分のみ全縁、上部は鋭いまたは鈍い鋸歯があり(jagged)、先端は尖るかまたは丸く、上面と縁は1層のみまたは密に毛の層で覆われ、ほとんど繊維状で、長さ0.8~2.5㎝×幅0.8~1.2㎝に達し、花序の上部にかろうじて達し、披針形または楕円形、全縁~鋸歯または3角形(3-sided)があり、中間の葉がより長く、上部の葉は花と同長か短く、散在または厚く単純に繊維まで。苞は緑色または青色。花は多花の花序軸(vertebrae)中の茎の上半分に短く分枝または3分岐して円錐状に集まり、非常に短い小花柄につくかまたは無柄。萼は長さ4~8㎜、萼歯は5個、三角形で不均等に狭くなりまたはわずかに丸みを帯び、単純毛と腺毛がある。花冠筒部は全縁、長さ8~18㎜。上唇は縮小し、下唇は3角形(3-sided)、中裂片はすぐ円形になり、無毛、または両面が密度の異なる明るい毛で覆われ、側面が細くなるかわずかに丸みを帯び、縁に沿って溝があり、白色、ピンク色、青色で濃青色の脈がある。堅果は長さ1.8~2.2㎜×幅0.8~1.8㎜、半円形で、表面には網状のしわがある。2n=32。花期は4~6月。
品種) 'Alba' , 'Hohentwiel' , 'Pink Beauty' , 'Tottenham'

6 Ajuga incisa Maxim. ヒイラギソウ 柊草
 日本固有種(本州の関東地方~中部地方)。山地の半日陰の草地に生える。英名はblue enigma。
 多年草、群生し、高さは30~50㎝。 茎は4稜形、直立して走出枝を出さない。葉は対生し、葉柄は長さ3~5㎝。葉身は卵形~広卵形、長さ5~10㎝×幅3~6㎝、鋭い欠刻状の切れ込みがあり、 ヒイラギの葉に似ているのが和名の由来。花は茎上部の葉腋に3~5段につく。萼は5裂。花冠は薄青紫色(白色、紅色)、長さ2~3㎝、2唇形、筒部が長く、花冠の外側には短毛がある。花期は4~6月。2n=32。
品種) 'Bikun' (v) , 'Blue Enigma' , 'Blue Ensign' , 'Frosted Jade'

6-1 Ajuga incisa Maxim. f. albiflora T.Yamaz. シロバナヒイラギソウ 白花柊草

 白花品種。

6-2 Ajuga incisa Maxim. f. rosea Honda ベニバナヒイラギソウ 紅花柊草

 紅花品種。

7 Ajuga japonica Miq. オウギカズラ 扇葛
 日本固有種(本州、四国、九州)。山地のやや湿った林下、林縁に生える。
 茎は高さ8~20㎝、毛は少なく、まばらに縮毛があり、基部の節から長い走出枝を出す。葉は対生し、葉柄は長さ2~5㎝。葉身は5角状心形、長さ2~5㎝×幅1.5~3.5㎝、不揃いの波状の数個の浅い切れ込みがある。走出枝の葉はやや小形。花は茎上部の葉腋にややまばらに数個つき、長さ約2.5cm。萼は5裂し、裂片は鋭尖形。 花冠は長い筒部がある2唇形、淡青紫色、濃紫色の筋が入る。上唇は浅く2裂し、長さ約4㎜。唇は3裂して開出し、中央裂片は大きく、長さ約7㎜、先が浅く2裂する。小堅果は倒卵形、長さ約2.5㎜、網目がある。花期は4~5月。
  ヒイラギソウ(A. incisa)やカイジンドウ(A. ciliata var. villosior) に葉の形が似るが、これらは走出枝を出さない。

7-1 Ajuga japonica Miq. f. albiflora Honda シロバナオウギカズラ 白花扇葛

 白花品種。

8 Ajuga linearifolia Pamp. ホソバルリカコソウ 細葉瑠璃夏枯草
   synonum Ajuga pachyrrhiza Kitag.
 中国(河北省、湖北省、遼寧省、陝西省、山西省)原産。中国名は线叶筋骨草 xian ye jin gu cao。標高700~900mの乾燥した草地の斜面、渓谷に生える。
 多年草、直立し、分枝し、茎は高さ25~40㎝、白色の腺毛絨毛または腺のある羊毛状毛があり、赤紫色、若い枝は緑色。葉はほぼ無柄、葉身は線状披針形~線形、長さ4~9㎝×幅0.5~1.5㎝、表上面にはまばらに伏剛毛があり、下面は脈上に毛があり、基部は漸尖して沿下し、抱茎、縁は±欠刻状の切れ込みがある~波打ち、絨毛の縁毛があり、先は円形。輪散花序は不明瞭な頂生の穂状花序を形成する。萼片は漏斗形、長さ6~7㎜、萼歯は狭三角形~線状披針形、萼の長さの3/5までの長さで、先は尖鋭形、縁は密に絨毛の縁毛がある。花冠は白色または帯青色、紫青色の斑点があり、筒状で直立し、突き出ず、まばらに微軟毛があり、内部に絨毛が環状に生える。上唇は真っ直ぐで丸く、先は凹形。下唇は長さ6~8㎜、中裂片は扇形、先は円形~凹形、側裂片は線状長円形。小堅果の着点(areole)は小堅果の背側とほぼ同長。花期は4~5(~11)月。果期は6(~11)月。

9 Ajuga makinoi Nakai タチキランソウ 立金襴草
 日本固有種(本州の関東~中部)別名はエンシュウニシキソウ。
 多年草。高さ5~20㎝。茎が立ち、全体の様子はキランソウよりニシキゴロモに似ている。株が大きくなって横に広がるとキランソウに似てくる。茎は1~数本、斜上又は倒伏し、普通、紫色を帯びる。全体に白毛が散生する。花期の葉は長さ4~6㎝、幅1~2㎝の倒披針形。夏には葉が大きくなる。葉の鋸歯は少なく、普通、三角状になり、葉先はやや尖る。葉表には毛がほとんどなく、光沢があり、葉裏は紫色を帯びる。花は濃紫色の唇形花。まれに桃色の花も見られる。花冠は筒部が長さ約10㎜。花はキランソウに似ているが、上唇がニシキゴロモに似て、2裂して直立し、長さ2~3㎜。まれに2裂しない1枚の場合もある。萼は先が5裂し、毛が多い。雄しべ4個、うち、下側の2個は短い。雌しべ1個。花柱は先が2裂し、上下に開く。果実は4分果。2n=32。葉色や葉形には変化がある。葉脈が紅紫色を帯びてるものと帯びないものがる。花期は4~5月

10 Ajuga multiflora Bunge ルリカコソウ 瑠璃夏枯草
 朝鮮、中国(安徽省、河北省、黒龍江省、江蘇省、遼寧省、内モンゴル)、ロシア原産。中国名は多花筋骨草 duo hua jin gu cao。斜面、茂み、川岸の草原にまばらに生える。
 多年草。茎は直立し、分枝せず、高さ6~23㎝。根生葉はしばしばロゼット状で、葉柄があり、上部の葉は無柄~葉柄があり、ときに互生する。葉柄は長さ0.7~2㎝。葉身は披針形~卵状長円形、長さ1.5~4㎝×幅1~1.5㎝、上面に密に絨毛状伏剛毛があり、下面にまばらに絨毛の縁毛があり、縁も絨毛縁毛がある。頂部の輪散花序は密集し、長さ3~10㎝の密な穂状花序を形成する。頂花葉は縮小し、披針形~卵形、縁はほぼ全縁または全縁。萼片は広鐘形、長さ5~7㎜、羊毛状絨毛がある。萼歯は規則的で、錐形状三角形、萼の2/3の長さまで、先は鋭形、絨毛状縁毛がある。花冠は青紫色または青色、筒形、長さ1~1.8㎝、微軟毛があり、内部に絨毛が環状につく。上唇は真っすぐで、2個の円形裂片がある。下唇の中裂片は扇形で、側裂片は長円形。小堅果は中間で背側に膨らみ、着点(areole)は小堅果の背側の長さの2/3 まで。花期は4~5月。果期は5~6月。
10-1 Ajuga multiflora var. multiflora

  synonym Ajuga multiflora var. leucantha Nakai シロバナルリカコソウ

  synonym Ajuga multiflora Bunge f. rosea Y.N.Lee モモイロルリカコソウ

  synonym Ajuga multiflora var. brevispicata C.Y.Wu & C.Chen センザンルリカコソウ

 朝鮮、中国(安徽省、河北省、黒龍江省、江蘇省、遼寧省、内モンゴル)、ロシア原産。中国名は多花筋骨草 duo hua jin gu cao。まばらな草地の斜面、茂み、川岸の草原に生える。韓国では利尿剤として薬用に使用される。
 植物の高さは6~20㎝。茎は密に羊毛状絨毛を持つ。基部の茎葉は葉柄があり、先の葉は無柄。葉身は楕円状長円形~楕円状卵形で、縁はわずかに波打つ~波打つ円鋸歯。花序は長さ約10㎝、密に羊毛状絨毛を持つ。花葉は茎葉に似ており、先では小さくなり、披針形~卵形になる。花冠は長さ1~1.2㎝。

(1) Ajuga multiflora Bunge var. brevispicata C.Y.Wu et C.Chen センザンルリカコソウ

 中国(遼寧省)原産。中国名は短穗变种 duan sui bian zhong。POWOでは基本変種のsynonymとされる。
植物の高さは約12㎝。茎は密に長い絹毛がある。上部の葉は互生し、長い葉柄があり、披針形~長円状披針形。花序は長さ3~4㎝、で密に長い絹毛がある。花葉は披針形、長い絹毛がある。
10-2 Ajuga multiflora Bunge var. serotina Kitag. アキノルリカコソウ
 中国(黒龍江省、遼寧省)原産。中国名は莲座变种 lian zuo bian zhong。
 高さ13~23㎝。根生葉はロゼットにつき、卵状長円形。上部の葉は広卵形~類円形、粗い鋸歯がある。花葉は広卵形~類柄円形、粗い歯がある。花冠は長さ1.8㎝以下。

11 Ajuga nipponensis Makino ジュウニヒトエ 十二単
   synonum Ajuga labordei Vaniot  シンチクキランソウ
 日本(本州、四国)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は紫背金盘 zi bei jin pan。全体に白毛が多く、花穂が長く伸び多数の花をつける。花が葉腋につくのではなく、長さ4~6㎝の穂状花序に花が多数つく。
 1年草又は2年草。茎はまれに、平伏又は斜上し、高さ(8~)10~20㎝又はそれ以上、樹枝状毛又は長軟毛があり、基部は帯紫色。根生葉は無いかまたは少数。葉柄は長さ1~1.5㎝、根生葉では長さ2.5㎝以下、狭い翼があり、ときに紫緑色。葉身は倒卵形、広楕円形~類円形又はへら形、長さ2~4.5㎝×幅1.5~2.5㎝、まばらに剛毛又は長軟毛があり、基部は楔形で沿下し、縁は歯状~波状円鋸歯、縁毛があり、先は鈍形。 輪散花序は多数、花がつき、先の輪散花序は頂部の穂状に密集する。先の花葉は苞状、卵形~広披針形、長さ0.8~1.5㎝、縁は全縁~欠刻状。萼は鐘形、長さ3~5㎜、先や縁には絨毛がある。萼歯は三角形、萼の長さの1/2以下、先は尖鋭形。花冠は帯青色又は青紫色、まれに帯白色、暗色の線をもち、筒形、長さ(6~)8~11㎜、基部はわずかに膨れ、まばらに軟毛があり、内側に絨毛が環状にある。上唇は真っすぐ、2裂する。下唇の中裂片は扇状、先は切形~凹形。側裂片は狭い長円形。小堅果の着点(areole)は小堅果の内側の長さの3/5以下。花期は4~6月(中国東部)、11~3月(中国南西部)。果期は1~5月。

11-1 Ajuga nipponensis Makino f. nivea Hiyama シロバナジュウニヒトエ 白花十二単

 白花品種。

12 Ajuga pygmaea A.Gray ヒメキランソウ 姫金襴草
 日本(九州、沖縄)、中国(江蘇省)、台湾原産。中国名は台湾筋骨草 tai wan jin gu cao。
 多年草、高さ2~5(10)㎝、平伏し、匍匐枝を出す。匍匐枝の節間は4~6㎝。葉はロゼットになり、葉柄がある。葉身はへら形、長さ2~3㎝×幅 4~6㎜、やや肉質で厚く、まばらに剛毛があり、基部は楔形、沿下し、縁は1又は2の波状の歯があり、縁毛があり、先は広い鈍形~円形。花葉は似る。花はスカイブルー色、葉腋に単生する。萼は鐘形、長さ約4㎜、10脈があり、萼歯は長円形、萼の長さの約1/2、鈍形、縁毛があり、長軟毛がある。花冠は長さ8~12㎜、筒形。筒部は真っすぐ、長軟毛があり、内側に絨毛が環状にある。上唇は真っすぐ、2裂し、裂片は角形。下唇は上唇の長さの2~3倍、中裂片は狭い倒卵状三角形、基部は切形、先は凹形。側裂片は四角形、ほとんど中裂片と同長。小堅果は長さ約2㎜、着点(areole)は小堅果の長さの2/3以下。花期は3~4(~6)月。

13 Ajuga pyramidalis L. アジュガ・ピラミダリス
 ヨーロッパ原産。英名はpyramidal bugle。
 多年草、高さ5~20㎝。根生葉はロゼットになり、葉柄があり、茎葉よりかなり大きい。茎は硬い上向きの毛があり、4稜形で、対生する単葉をつける。茎葉は卵形、両面に毛があり、縁はわずかに波状。花序は葉状の苞をもち、各花の基部を抱く。苞は花序の先に向かって次第に小さくなり、常に花より長く、上部の苞はしばしば紫色を帯びる。花序はピラミッド形の頂生の穂状花序であり、花が腋生して輪生する。萼は5裂する。花冠は青紫色、長い筒部と2唇をもつ。上唇はごく短く、下唇は3裂する。雄しべは4本、2本は長く、2本は短い。雄しべ群は2個の融着した心皮からなり、果実は4室の分離果。花は両性、左右相称、蜜を生じ、マルハナバチや蝶などの花粉媒介者を引き付ける。花期は6~8月。2n=32。
品種) 'Green Crispa' , 'Metallica Crispa' , 'Metallica Crispa Purpurea' , 'Metallica Crispa Rubra' , 'Purple Crispa'

14 Ajuga reptans L. セイヨウジュウニヒトエ 西洋十二単

  synonym Ajuga tenorii C.Presl イタリア原産。
 北ヨーロッパ原産。英名はcommon bugle ,carpet bugle。別名はツルジュウニヒトエ。
 多年草。高さ10~15㎝。地上をはう茎を伸ばして広がる。葉は対生し、倒卵形~楕円形、長さ2~14㎝×幅5~50㎜、表面は無毛又は無毛になり、基部は漸尖形、先は鈍形、縁は全縁~円鋸歯に浅い鋸歯がある。根生葉は長い柄がある。頂部に高さ約30㎝の花茎を出し、対生する葉状の苞の腋に青紫色の唇形花を多数、穂状に付ける。ツルカコソウとよく似ている。ツルカコソウは茎の毛も多く、葉の鋸歯が少なく、浅い。萼裂片が花冠の裂片近くに達する。花期は4~6月。
品種) 'Green Crispa' , 'Metallica Crispa' , 'Metallica Crispa Purpurea' , 'Metallica Crispa Rubra' , 'Purple Crispa' , 'Alba' , 'Arboretum Giant' , 'Arctic Fox' (v) , 'Argentea' , 'Atropurpurea' , 'Binblasca' (PBR) , 'Binparcol' , 'Binsugplu' (PBR) , Black Scallop = 'Binblasca' (PBR) , 'Blue Skies' , 'Blueberry Muffin' , 'Braunherz' , 'Brean Down' , 'Bronze Beauty' , 'Burgundy Glow' (v) , 'Burgundy Lace' , 'Burgundy Red' , 'Carol' , 'Caroli' , 'Catlin's Giant'カトリンズ・ジャイアント , 'Cavalier' , 'Choc Ice' , 'Chocolate Chip' , 'Compacta' , 'Cristata' , 'Delight' (v) , 'Delightful' , 'Dixie Chip' , 'Ebony' , 'Emerald Chip' , 'Ermine' (v) , 'Evening Glow' , 'Flisteridge' , 'Gaiety' , 'Golden Beauty' , 'Golden Beauty' (v) , 'Golden Glow' (v) , 'Green Splash' (v) , 'Grey Lady' , 'Harlequin' (v) , 'J.S. Black Fox' , 'John Pierpoint' , 'Julia' , 'Jumbo' , 'Jungle Beauty' , 'Jungle Beauty Improved' , 'Jungle Bronze' , 'Kerichen' , 'Klose's White' , 'Kurt's Compact' , 'Lush Blue' , 'Macrophylla' , 'Mahogany' , 'Min Crispa Red' , 'Mini Crisp Red' , 'Mini Crispa Red' , 'Multicolor' (v) , 'Nana Compacta' , 'Palisander' , 'Pallida' , Party Colors = 'Binparcol' (v) , 'Pat's Selection' (v) , 'Pink Beauty' , 'Pink Elf' , 'Pink Fantasy' , 'Pink Lightning' , 'Pink Silver' , 'Pink Splendour' , 'Pink Surprise' , 'Pink Towers' , 'Planet Zork' (v) , 'Purple Brocade' , 'Purple Torch' , 'Purpurea' , 'Rainbow' , 'Rosea' , 'Rowden Amethyst' , 'Rowden Appleblossom' , 'Rowden Blue Mist' , 'Rowden Royal Purple' , 'Royalty' , 'Silver Beauty' , 'Silver Carpet' , 'Silver Queen' , 'Stolzle' , 'Texas Tough' , 'Toffee Chip' (PBR) (v) , 'Tortoiseshell' (v) , 'Tricolor' , 'Valfredda' , 'Vanilla Chip' (v) , 'Variegata' (v) , 'Wild Purple'
A. tenorii系品種) ‘Burgundy Glow’, 'Dixie Chip' , 'Piotrek01' , Princess Nadia = 'Piotrek01' (v) , 'Valfredda'= 'Chocolate Chip'
14-1 Ajuga reptans f. albiflora
 白花品種。
品種) 'Alba' , 'Sanne' , 'Schneekerze' , 'Silver Shadow'

15 Ajuga shikotanensis Miyabe et Tatew. ツルカコソウ 蔓夏枯草

  synonym Ajuga pallescens (Maxim.) Nakai 
 本州、南千島に分布する。日当りのよい草原に生える。
 多年草。茎は直立し、4稜形、毛があり、高さ10~30㎝。茎の先に花穂をつける。葉は対生し、葉柄があり、葉身は長さ6~10㎝、羽状複葉、3~7小葉。小葉はへら形または卵形、縁は波状鋸歯があり、縁毛がある。苞の腋に輪散花序をつけ、花を数個輪生し、集散花序を直立する。花は淡青紫色の唇形花。花冠は上唇が2裂し短く、下唇が3裂し、大きい。雄しべ3本。花が終わると茎の下部から長い走出枝を出し、その先に来年の新株をつくる。果実は楕円形~広披針形、長さ約2㎜。冠毛がある。花期は5~6月。

15-1 Ajuga shikotanensis Miyabe et Tatew. f. hirsuta (Honda) Murata ケブカツルカコソウ 毛深蔓夏枯草

  synonym Ajuga shikotanensis Miyabe et Tatew. var. hirsuta (Honda) H.Hara

 本州(関東、中部地方)千島(色丹島)に分布。
 高さ10~30㎝。茎は下部が倒伏し、上部が直立する。葉は長さ2~5㎝の卵形。茎の上部の苞葉の腋に淡紫色の唇形花を付ける。花はウツボグサにあまり似ず、同属のキランソウに似ている。花冠は長さ約1㎝、淡紫色、上唇はほとんどない。花期は5~6月。

16 Ajuga spectabilis Nakai コウリョウソウ
 朝鮮固有種。英名はshowy bugleweed, spectabilis bugleweed。腐葉質が豊富な半陰の森内に生える。
 一見鈍形でヒイラギソウ(Ajuga incisa)に似ているように見えるが、葉は基部で楔形になる。根茎は這い、匍匐茎(stolons)を出す。茎は高さ50㎝、無毛、丈夫。葉は対生し、根生葉は不明、下部の茎葉は萎れ小さく、上部の茎葉は広楕円形、先は鋭く尖り、粗く不規則な鋸歯と縁毛があり、上面にはまばらに縁毛があり、下面は淡色で他はまばらに毛があり、基部は短い葉柄に向かって狭くなり、長さ17㎝×幅9㎝まで。穂状花序は単生、頂生、密で、ときに葉があり、長さ3㎝。小花柄は無毛~まばらに縁毛がある。萼は倒卵形、まばらに細柔毛があり、10脈があり、長さ2.5㎜。裂片は線形、3脈があり、長さ5㎜。花冠は青紫色、花冠筒部は長さ15㎜、先は次第に膨らみ、上唇は鈍形、縁に白色の縁毛があり、長さ1.5㎜×幅3㎜。下唇は3裂し、中裂片は広卵形でわずかに凹形。雄しべの花糸は離生。葯は黒色。花柱はわずかに突き出し、無毛、先端は2裂、後側の枝は長い。種子は未知。[Bot. Mag. (Tokyo) 30: 290 (1916)]。花期は4~7月。果期は8月。

17 Ajuga taiwanensis Nakai ex Murata ヤエヤマキランソウ 八重山金襴草
   synonum Ajuga macrosperma auct. non Wall.
   synonum Ajuga bracteosa auct. non Wall.
 日本(南西諸島)、台湾、フィリピン原産。別名はヤエヤマジュウニヒトエ。
 多年草。高さ5~15㎝。茎は基部から長さ10~30㎝の枝を1本~数本伸ばし、有花茎を直立~斜上し、灰白色の長軟毛又は綿毛状長軟毛がある。葉は倒卵状楕円形~へら形、長さ5~15㎝×幅1.5~3㎝、最下の葉は小さく、縁には波状の鈍い鋸歯があり、先は鈍形~円形、両面に多細胞の長毛を散生する。花は上部の葉腋に1~6個つく。花冠は2唇形、淡紅色~白色、筒部は長さ4~5㎜。上唇は長さ約1㎜、先が浅く2裂する。下唇は長さ2~3㎜、3裂する。小堅果は4個、楕円形、長さ1.2~1.5㎜、隆起した網目がある。花期は12~5月。

18 Ajuga yesoensis Maxim. ex Franch. et Sav. ニシキゴロモ 錦衣

 日本固有種(北海道、本州の主に日本海側、四国)。別名はキンモンソウ。
 多年草。高さ5~15㎝。茎は根元から1~数本、直立し、やや縮れた毛が散生する。葉は対生し、葉柄は長さ1~2㎝。葉身は長さ2~6㎝、幅1~3㎝の倒卵形~長倒卵形、縁に浅い鋸歯があり、鋸歯の先や葉先は鈍頭。葉表には光沢はなく、葉脈が鮮やかに紫色になり、これが和名の由来である。葉裏は紫色を帯びる。葉腋に花を2~6個ずつつけ、茎が短く、花が固まってつく。花は淡紫色~淡紅紫色の唇形花。筒部は長さ10~11㎜。上唇弁は長さ2~3㎜、2裂して直立する。下唇弁は3裂して大きい。雄しべは4個。萼は長さ約6㎜、先が5裂し、毛がある。花期は4~5月。

18-1 Ajuga yesoensis Maxim. ex Franch. et Sav. f. albiflora Honda シロバナニシキゴロモ 白花錦衣

 白花品種。日本海側に多い。

18-2 Ajuga yesoensis Maxim. ex Franch. et Sav. var. tsukubana Nakai ツクバキンモンソウ 筑波金紋草

   synonum Ajuga tsukubana (Nakai) Okuyama
 本州(主に太平洋岸)、四国に分布する。
高さ5~15㎝。茎は紫色を帯びて立ち上がる。葉は対生し、葉柄は長さ1~2㎝、紫色を帯びる。葉身は長さ2~6㎝、幅1~3㎝の長楕円形~広卵形。葉表は葉脈が濃紫色、毛が散生し、光沢はない。葉裏は紫色を帯び、毛が散生する。花は葉腋に2~6個ずつつき、淡紅紫色~白色の唇形。花冠の上唇がごく浅く、2裂し、普通、長さ約1㎜と短く、雄しべが花冠の外に出ている。まれに上唇弁が約2㎜の長いものも見られる。下唇は3裂して大きい。 花期は4~5月。

18-3 Ajuga yesoensis Maxim. ex Franch. et Sav. var. tsukubana Nakai f. alba Sugim. ウドキランソウ


19 ハイブリッド
(1) Ajuga x bastarda Makino キランニシキゴロモ
 キランソウとニシキゴロモの雑種
(2) Ajuga x mixta Makino ジュウニキランソウ
 キランソウとジュウニヒトエ の雑種
(3) その他
品種) 'Blueberry Muffin' , 'Brockbankii' , 'Jungle Beaty' , 'Little Court Pink' , 'Monmotaro San' , 'Pink Lightning' (v) , 'Pink Spires' , 'Rose Glow' , 'Sparkler' (v) , Sugar Plum = 'Binsugplu' (PBR) (v) , 'Variegated Glacier' (v)

参考

1) Flora of China
 Ajuga
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=100916
2) GRIN
 Ajuga
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=342
3)Flora of Victoria
 Ajuga reptans L.
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/215d3308-b434-43e0-8ce6-93d5c79599c1
4)Online Virtual Flora of Wisconsin
 Ajuga reptans L.
http://wisflora.herbarium.wisc.edu/taxa/index.php?taxon=2470
5)Plants of the World Online | Kew Science
 Ajuga
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:20646-1
6) Missouri botanical garden - Plant Finder
 Ajuga reptans 'Valfredda' CHOCOLATE CHIP
https://www.missouribotanicalgarden.org/PlantFinder/PlantFinderDetails.aspx?taxonid=254287&isprofile=0&
7) Bot. Mag. (Tokyo) 30: 290 (1916)
 Ajuga (Genevenses) spectabilis, NAKA
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/30/356/30_356_274/_pdf/-char/ja
8) BGFlora.eu
 Ajuga genevensis L.
https://www.bgflora.eu/Ajuga%20genevensis%20L.%20EN.html