カヤ 榧

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Flora of Mikawa

イチイ科 Taxaceae カヤ属

別 名 ホンガヤ
中国名 日本榧树 ri ben fei shu
英 名 Japanese torreya, Japanese-nutmeg
学 名 Torreya nucifera (L.) Sieb. et Zucc.
カヤ枝先
カヤ葉表の基部
カヤ葉裏の基部
カヤの仮種皮につつまれた種子
カヤの種子
カヤ幹
カヤ
カヤ葉
カヤ葉表
カヤ葉裏
花 期 5月
高 さ 15~25m
生活型 常緑高木
生育場所 丘陵~山地
分 布 在来種 本州(宮城県以南)、四国、九州、朝鮮
撮 影 設楽町  12.3.22
日本、朝鮮に自生し、中国などで栽培されている。昔からよく栽培され、各地に天然記念物に指定された巨木があり、名古屋城には国指定の天然記念物のカヤの木がある。三河には市町村指定の天然記念物が10本以上あり、幹周が5mを超えるものも数本ある。
1 黄柳野のカヤの木 市指定天然記念物
 新城市黄柳野字郷ヶ平
 昭和34年指定 樹高13.5m 幹周 5.6m
2 島田のカヤの木 市指定天然記念物
 新城市愛郷字多々目木
 昭和35年指定 樹高20m 幹周 5.6m
3 田津原のカヤ 市指定天然記念物
 豊田市田津原町日向
 昭和59年指定 樹高20m 幹周 5.1m

 樹形は円錐形、巨木になると丸くなる。樹皮は灰白色、縦に浅く割れ目が入り、細かく剥がれ落ちる。若枝は無毛、初めは緑色で、年を経て赤褐色に変わる。葉は硬い革質、長さ18~25㎜、幅約3㎜の扁平な線形、螺旋状に互生又は十字対生し、基部で捻じれてほぼ2列に並ぶ。葉先が鋭く尖り、触ると痛い。短い葉柄があり、葉枕に続く。葉表は濃緑色、葉裏は気孔帯の白色の2本線が目立つ。雌雄別株まれに同株。雄花は前年枝の葉腋に多数つき、長さ約1㎝の惰円形、黄緑色。雌花は新枝の基部につき、緑色。果実でなく、肉質の仮種皮に包まれた核果状の種子ができる。仮種皮に包まれた種子は長さ2~3㎝の惰円形、熟して裂開し、落下するまで緑色である。落下すると仮種皮は取れやすく、中の種子は褐色。2n=22
 イチイは葉幅が約2㎜と狭く、葉裏の気孔帯の2本線の幅が広く、淡緑色で、あまり目立たない。葉に触っても痛くない。熟すと仮種皮が紅色になる。
 イヌガヤはイヌガヤ科であり、低木~小高木、葉が長く、葉幅も3~4㎜と広く、葉質はカヤとイチイの中間の硬さ。熟すと外種皮が紅紫色になる。
 モミツガはマツ科であり、球果である。葉先が円く、先端に小さい凹みがある。モミは若枝の葉先が2裂し、針状に尖り、球果が大きい。ツガは球果が小さい。

カヤ属

  family  Taxaceae - genus Torreya

 高木、常緑、雌雄異株 (たまに、雌雄同株)。枝は輪生小枝はほぼ対生又は類輪生、基部に宿存しない芽鱗片をもつ。冬芽は十j対生の芽鱗を数対もつ。葉は十字対生又はほぼ対生、2列につき、線形~線状披針形、基部は捻じれ、革質、上面はわずかに凸面、中脈は±不明瞭、下面は2本の気孔帯(stomatal band)をもち、維管束の外側に樹脂道(resin canal)があり、基部は沿下し、先は鋭い尖鋭形。花粉錘(Pollen cones).は腋生、単生、短い花序柄があり、楕円形~短い円柱形。小胞子葉(microsporophylls) は4~8輪につき、各輪に4小胞子葉をもつ。花粉嚢(pollen sacs)は (3~)4個、縁につき、垂れ下がる。果実のような種子(Seed-bearing structures) は葉腋に対につき、無柄、それぞれ、十字対生の苞を2対と1個の側苞をもつ。胚珠は1個、直立。仮種皮は多肉質、仮種皮の基部に宿存する苞をもつ。種子は2年目の秋に熟し、仮種皮に完全に包まれる。雌性配偶体(female gametophyte)組織は反芻するか又はしない。子葉は2枚、地下発芽。2n=22。
 世界に6種、日本、中国、USAに分布する。

カヤ属の主な種と園芸品種

1 Torreya nucifera (L.) Siebold et Zucc.  カヤ 榧
 日本(本州の宮城県以南、四国、九州)、朝鮮原産。中国名は日本榧树 ri ben fei shu。英名はJapanese torreya, Japanese-nutmeg。別名はホンガヤ。中国などで栽培されている。
常緑高木。高さ15~25m。樹形は円錐形、巨木になると丸くなる。樹皮は灰白色、縦に浅く割れ目が入り、細かく剥がれ落ちる。若枝は無毛、初めは緑色で、年を経て赤褐色に変わる。葉は硬い革質、長さ18~25㎜、幅約3㎜の扁平な線形、螺旋状に互生又は十字対生し、基部で捻じれてほぼ2列に並ぶ。葉先が鋭く尖り、触ると痛い。短い葉柄があり、葉枕に続く。葉表は濃緑色、葉裏は気孔帯の白色の2本線が目立つ。雌雄別株まれに同株。雄花は前年枝の葉腋に多数つき、長さ約1㎝の惰円形、黄緑色。雌花は新枝の基部につき、緑色。果実でなく、肉質の仮種皮に包まれた核果状の種子ができる。仮種皮に包まれた種子は長さ2~3㎝の惰円形、熟して裂開し、落下するまで緑色である。落下すると仮種皮は取れやすく、中の種子は褐色。2n=22。花期は5月。
品種) 'Aurea Variegata' , 'Prostrata'

1-1 Torreya nucifera Siebold et Zucc. f. igaensis (Doi et Morikawa) Kitam.  コツブガヤ
  synonym Torreya nucifera Siebold et Zucc. var. igaensis (Doi et Morikawa) Ohwi
1-2 Torreya nucifera Siebold et Zucc. f. macrosperma (Miyoshi) Kusaka  ヒダリマキガヤ
  synonym Torreya nucifera Siebold et Zucc. var. macrosperma (Miyoshi) Koidz.
1-3 Torreya nucifera Siebold et Zucc. f. nuda (Miyoshi) Kusaka  ハダカガヤ
  synonym Torreya nucifera Siebold et Zucc. var. nuda (Miyoshi) Makino
1-4 Torreya nucifera Siebold et Zucc. f. sphaerica (Kimura) Yonek.  マルミガヤ
1-5 Torreya nucifera Siebold et Zucc. var. radicans Nakai  チャボガヤ
  synonym Torreya ascendens Nakai ex Uyeki 

2 Torreya californica Torr. アメリカガヤ
 カリフォルニア州原産。英名はCalifornia torreya , California nutmeg , California nutmeg tree
 高木、高さ20~25m、幹は直径90~120㎝。樹冠は円錐形、古くなると頭が丸くなる。枝は広がるかわずかに垂れる。2年枝は赤褐色。葉は長さ3~8㎝、下面には2本の深く凹んだ粉白色の気孔帯があり、上面は平ら、つぶすと刺激臭がある。花粉錘(pollen cones)は帯白色。種子(仮種皮を含む)は長さ2.5~3.5㎝、仮種皮は薄緑色、条線は紫色。2n =16.。
品種) 'Hergest Croft', 'Spreadeagle' , 'Spread Eagle' , 'Variegata'

3 Torreya taxifolia Arnott  フロリダガヤ
 USA原産。英名はFlorida torreya , gopherwood , stinking-cedar。
 高木、高さ13(~18) m。幹は直径80㎝以下。樹冠はかなり開いた円錐形。枝は広がるかわずかに垂れ、2年目の枝は黄緑色、黄褐色、又は灰色。葉は長さ1.5~3.8㎝、下面は2本の凹んだ帯白色の気孔帯をもち、上面は丸く、つぶすと悪臭がある。花粉錘(pollen cones)は淡黄色。種子(仮種皮を含む)は長さ2.5~3.5㎝、仮種皮は粉白色、暗緑色、条線は紫色。
品種) 'Argentea'

参考

1) Flora of China
 Torreya
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=133154
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Torreya
 http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331128-2
3)GRIN
 Torreya
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=12203
4)Flora of North America
 Torreya
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=133154