イヌビユ 犬覓
Flora of Mikawa
ヒユ科 Amaranthaceae ヒユ属
中国名 | 凹头苋 ao tou xian |
英 名 | livid amaranth, purple amaranth |
学 名 | Amaranthus blitum L. Amaranthus lividus L. Amaranthus lividus L. var. ascendens (Loisel.) Thell. Amaranthus ascendens Loisel. |
花 期 | 8~11月 |
高 さ | 20~30㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 道端、畑 |
分 布 | 帰化種 南アメリカ原産 |
撮 影 | 幸田町 09.8.17 |
ヨーロッパ、アジア、北アフリカ、南アメリカなど世界中で広く野生化している。
茎は太く、通常、赤味を帯び、根元から分枝する。葉は互生し、あまり大きくならず、長さ1~6㎝、幅0.5~4㎝の菱状卵形、基部は楔形、葉先がはっきり大きく凹む。葉柄は長く、普通は葉身の約2倍。雌花は花被片3個、柱頭3個。雄花は花被片3個、雄しべ3個。ヒユ科の果実は胞果であり、1個の種子を含み、果皮はゆるく種子を包む。成熟しても裂開しない。イヌビユの胞果は表面に浅いしわがあり、熟しても硬くならない。種子は直径約1(0.8~1.8)㎜の扁平な円盤形、黒色、光沢が強い。2n=34
最も普通に見られるホナガイヌビユ(アオビユ)は全体に大きく、葉の先がほとんど凹まず、凹んでもわずかである。葉の基部も楔形になることが少ない。また、花序の枝先が尖り、胞果の表面のしわが深い。
1年草。茎は直立又は傾伏。葉は互生、葉柄があり、全縁。花は単性、同株又は異株、腋生又は頂生、単性又は複合の密錐花序状(thyrsoid)の構造をもち、各花は1個の苞と2個の小苞をもち、薄膜質。花被片は5個、まれに1~4個、直立又は斜めに広がり、ときに、花後に基部で硬化し、緑色、等長又はほぼ等長、膜質。雄しべは5個、まれに1~4個。花糸は糸状、離生、偽仮雄しべは無い。葯は2室。子房は直立の胚珠を1個もつ。花柱は短いか又は欠く。柱頭は2又は3個、宿存し、錐形又は線形。胞果(utricle)は球形又は卵形、側面が扁平、膜状、蓋状に裂開(横周裂開 circumscissile)~不規則に裂開~非裂開で花被とともに落ちる。種子は黒色又は褐色、球形又はレンズ形、仮種皮は無い。
世界に40種があり、世界中に広く分布する。
USA,メキシコ原産。英名はcommon tumbleweed , umble pigweed , tumbleweed , prostrate pigweed , pigweed amaranth , white amaranth , white pigweed。
1年草、高さ0.1~1m、無毛または無毛になり、または粘性のある毛がある。雌雄同株。茎は普通、直立し、下部で斜上、まれにほとんど平伏し、多数、分枝し、藪状になり(大きなものは回転草tumbleweedsを形る)。葉柄は長さ5~40㎜。葉身は楕円形~倒卵形または細いスプーン形、基部はくさび形、先は鈍形~鋭形、縁は平らまたは±波状。茎葉は普通、落葉性、幅40~80㎜×幅15~30㎜、腋生の葉に置き換えられ、長さ7~20㎜×幅3~10㎜。 花序は腋生、束生だけ、緑色。苞は長さ1.5~4mm、花被の長さの1.5~2倍、披針形状線形~千枚通しのような形、先に±刺がある。雄花は雌花に混ざり、花被片は3個、雄しべ3本。雌花の花被片は3個、長さ0.7~2㎜、ほぼ等長、披針状長円形~線形、先は鋭形、柱頭は3個、直立する。 果実は横周裂開、長さ1.5~2㎜、花被の長さ以上あり、楕円状卵形、緑白色~褐色、特に先端近くにしわがある。種子は長さ0.8~1.1㎜、レンズ形、赤褐色、平滑、光沢がある。2n=32。花期は6~10月。
2 Amaranthus arenicola I.M.Johnst. ヒメアオゲイトウ
USA,メキシコ原産。英名sand amaranth , sandhill amaranth。
1年草、高さ4~100(200)㎝。雌雄異株。茎は直立、普通、多数分枝し、緑白色、ほぼ無毛。葉柄は長さ10~70㎜。葉身は長さ15~75㎜×幅5~30㎜、狭卵形~楕円形または披針形、基部はくさび形~ほぼ円形、先は±鋭形~鈍形、縁は全縁~不規則な波状。花序は頂生(および腋生)、直立~下向き、穂状花序状または円錐花序状、主軸は長さ15~60㎝×幅1.1~2.2㎝(花を含む)、緑色。雄花は苞が長さ2~3.5㎜、花被片より短く、先は鋭形~尖鋭形。雌花は苞が長さ(1.4)2~2.5㎜、花被の長さ以下、卵形~披針状卵形、先は鋭形~尖鋭形、中肋が短く伸び、刺はない。雄花の花被片は5個、長さ2~3.5㎜、ほぼ等長、先は鈍形~±鋭形、内側の花被片は±微突形、雄しべは5本。雌花は花被片が5個、長さ1.6~2.5㎜、スプーン形、先は鈍形、微突形。柱頭は2~3個、±直立する。胞果は横周裂開、長さ約2㎜、花被より短く、ほぼ球形、平滑、±褐色。種子は長さ0.9~1.2㎜、レンズ形、暗赤褐色、滑らか、光沢。花期は8~9月。
3 Amaranthus blitoides S.Watson アメリカビユ
synonym Amaranthus graecizans auct. non L
USA原産。英名はmat amaranth , prostrate pigweed , procumbent pigweed , prostrate amaranth , matweed。
1年草、高さ30~120 cm。雌雄同株。茎は平伏し、マット状になり、緑色またはたまに紫色、無毛。葉柄は長さ3~15㎜。葉身は(5)10~30(40)㎜×幅4~10(15)㎜、倒卵形~スプーン形、基部はくさび形、先は鈍形、円形、縁は全縁(±波状)。花序は腋生で束生、緑色。苞はほぼ葉状、長さ1.5~3㎜、長さが花被以上あり、狭卵形、先は鋭形。雄花は花被片が(3)4個、長さ1.5~2.5㎜、雄しべは(3)4~5本。雌花は花被片が4~5個、長さ1~3.5㎜、狭卵形~長円形、不等頂、外側の2花被片はその他の花被片より長く、長さ2~3㎜。柱頭は普通、3個、広がる。果実は横周裂開、長さ2~2.5㎜、ほぼ球形~倒卵形、緑色~たまに紫色、先近くにしわがある。種子は長さ1.3~1.7㎜、レンズ形、黒色。2n=32。花期は7~11月
4 Amaranthus blitum L. イヌビユ 犬覓
synonym Amaranthus ascendens Loisel.
synonym Amaranthus lividus L. var. ascendens (Loisel.) Thell.
synonym Amaranthus lividus L. f. rubens (Moq.) Hatus., nom. nud
synonym Amaranthus lividus L.
南アメリカ原産。中国名は凹头苋 ao tou xian。英名はlivid amaranth, purple amaranth。ヨーロッパ、アジア、北アフリカ、南アメリカなど世界中で広く野生化している。
1年草、高さ20~30㎝。茎は太く、通常、赤味を帯び、根元から分枝する。葉は互生し、あまり大きくならず、長さ1~6㎝、幅0.5~4㎝の菱状卵形、基部は楔形、葉先がはっきり大きく凹む。葉柄は長く、普通は葉身の約2倍。雌花は花被片3個、柱頭3個。雄花は花被片3個、雄しべ3個。ヒユ科の果実は胞果であり、1個の種子を含み、果皮はゆるく種子を包む。成熟しても裂開しない。イヌビユの胞果は表面に浅いしわがあり、熟しても硬くならない。種子は直径約1(0.8~1.8)㎜の扁平な円盤形、黒色、光沢が強い。2n=34。花期は8~11月。
5 Amaranthus caudatus L. ヒモゲイトウ
熱帯アメリカ原産の世界的な栽培種。中国名は老枪谷 lao qiang gu 。英名はfoxtail , foxtail amaranth , Inca-wheat , love-lies-bleeding , purple amaranth , red-hot-cattail , tassel-flower , velvet-flower
茎は直立、緑色、高さ約1.5m、強く、角(かど)があり、わずかに分枝又は分枝せず、成長すると無毛。葉柄は緑色、長さ1~15㎝、軟毛がある。葉身は緑色又は赤色、菱状卵形又は菱状披針形、長さ4~15㎝×幅2~8㎝、両面とも無毛、基部は楔形、縁は全縁又は波打ち、先は尖鋭形又は鈍形。複合の密錐花序状構造、頂生、垂れ下がり、多数、分枝し、多数の穂状花序からなる。苞は赤色、披針形、長さ約3㎜、透明、外側に中脈をもち、先は微突頭。花被片は赤色、果実より短く、長さ2~2.5㎜、透明、縁が重なり、中脈がある。雌花の花被片は長楕円形。雌花の花被片は長楕円状披針形。雄しべは5個。柱頭は3個、長さ1㎜以下。胞果は上が赤色、類球形、直径約3㎜、花被より長く、横周裂開(circumscissile)。種子は薄黄褐色、類球形。花期は7~8月。果期は9~10月。2n=32, 64。
品種) 'Albus' , 'Crimson' , 'Fat Spike' , 'Green Cascade' , 'Green Feathers' , 'Green Necklace' , 'Pony Tails' , 'Queue de Renard Blanc' , 'Queue de Renard Rouge' , 'Red Octopus' , 'Ribbons and Beads' , 'Viridis'
6 Amaranthus crassipes Schltdl. サジビユ
メキシコ、西インド諸島、南アメリカ原産。 英名はClubfoot amaranth , spreading amaranth , tropical spreading amaranth。
1年草、高さ0.1~0.6m、無毛。茎は平伏または弱く斜上し、若いときに直立し、主に基部から分枝する。葉柄は葉身のほぼ1/2の長さ。葉身は広楕円形、倒卵形、円形、または倒披針形、長さ(0.5~)1~3(~4.5)㎝ ×幅0.3~2(~2.5)㎝、基部はくさび形、縁は全縁、平坦または波状、先は広い円形または凹形。花序は腋生で束生、基部から先までつき、花序軸はかなり太くなり、膨らんだように見え、成熟すると硬くなる(A.scleropoidesとA.crassipesのみ)。雌花の苞は、竜骨があり(A.scleropoidesとA.crassipesのみが苞に竜骨がある)、三角形、長さ0.5~0.9mm。雌花は花被片が(4~)5個、狭いへら形、爪部があり、小さな広がった拡大部があり、等長またはほぼ等長、長さ2~3㎜、先は丸く、短突起があり、爪部は成熟すると硬く薄膜質になる。花柱の枝は広がる。柱頭は普通2(~3)個、ほとんど無柄。雄花は雌花と混ざってつき、花被片は5個、膜質、雄しべは3(~5)本。胞果は倒卵形~扁倒卵形、長さ1.4~2㎜、花被片より短く、著しく刺で覆われ(muricate)(特に上部の遠位1/2)、非裂開。種子は暗褐色または赤黒色~黒色、扁平な卵形~広いレンズ状、直径1~1.4㎜、光沢がある。花期は夏~秋。
7 Amaranthus cruentus L. スギモリゲイトウ
synonym Amaranthus hybridus L. subsp. cruentus (L.) Thell.
synonym Amaranthus paniculatus L.
synonym Amaranthus hybridus L. subsp. cruentus (L.) Thell. var. paniculatus (L.) Thell.
メキシコ、中央アメリカ(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア)原産。中国名は老鸦谷 lao ya gu 、繁穗苋。中国では栽培が多く、種子を食用、酒用に使う。南アメリカ、北アメリカでも栽培が盛ん。英名はred amaranth , African-spinach , blood amaranth , bush greens , caterpillar amaranth , grain amaranth , purple amaranth。
1年草。全体にほとんど無毛、わずかに上部が有毛、特に若い時に多い。茎は直立、緑色又は赤紫色、上部の花序付近で分枝し、又はほとんど分枝しない。高さ0.4~2m。葉柄は葉身の長さの1/2~同長。葉身は菱状卵形~卵形~広披針形、長さ3~15(~20)㎝×幅1.5~10(~15)㎝、たまに強健なものはもっと大きくなり、基部は楔形~広楔形、縁は全縁、平ら、先は鋭形~類鈍形~凹形で微突頭。花序は複合の密錐花序状構造、直立し、反曲又は下向き、普通、暗赤色、紫色又は濃ビーツ赤色(beet-red)、それほど多くはないが、ほとんど緑色又は帯緑色のこともあり、少なくとも上部は葉が無く、大きく、丈夫。苞は狭いへら形、長さ2~3㎜、花被片と同長又はわずかに長く、先は短い刺状。雌花は花被片5個、長楕円形~披針形、爪部は無く、等長又はほぼ等長、長さ1.5~3㎜、先は鋭形。花柱は分枝し、直立又はわずかに反曲する。柱頭は3個。雄花は花序の先につき、花被片5個、雄しべは(4~)5個。胞果は倒卵形~長倒卵形、長さ2~2.5㎜、平滑又はわずかに上部にしわがあり、きちんと横周裂開する(circumscissile)。種子は普通、白色または象牙色、赤色又は黄色を帯び、ときに暗褐色~暗赤褐色になり、広いレンズ形~楕円状レンズ形、直径1.2~1.6㎜、平滑又は不明瞭な細点がある。2n=34。花期は7~10月。
品種) 'Alegria' , 'Amont' , 'Autumn's Touch' , 'Bronze Standard' , 'Chihuahuan' , 'Foxtail' , 'Golden Giant' , 'Hot Biscuits' , 'Marvel Bronze' , 'Mayo Grain' , 'Mexican Grain' , 'Oeschberg' , 'Pigmy Torch' , 'Plenitude' , 'Red Cathedral' , 'Red Cathedral Superior' , 'Red Fox' , 'Southern Tepehuan Baute' , 'Split Personality' , 'Twin Towers Green' , 'Twin Towers Red' , 'Velvet Curtains'
8 Amaranthus deflexus L. ハイビユ
南アメリカ原産。英名はlow amaranth , Argentina amaranth , perennial pigweed , large-fruit amaranth。
短命の多年草、平伏~やや斜上し、高さ(8)12~45(80)㎝。茎は数ほん、細い~やや丈夫、普通、基部から上に向かって多数分枝し、多少、角(かど)張り、緑~帯赤色、下部は無毛だが、普通、中間の下から上に向かって、帯黄色の曲がりくねったまたは縮れた多細胞の毛が増える。葉は中程度から多少、密に縁と下面(特に主脈)に同様の多細胞の毛があり、長い葉柄がある(葉柄は長さ6~25㎜、まれに、葉身の長さを超える)。葉身は約・長さ1~4.5㎝×0.5~2.5㎝、広卵形~披針形(最も普通には菱状卵形)、基部は類切形~短いくさび形、先は類鋭形~鈍形、ときに浅い小凹形で微突形。花は緑色、細くて緩く~丈夫で密な頂生および腋生の穂状花序につき、穂状花序は長さ2~10㎝×幅5~12(20)㎜、まれではなく、かなり短くて丈夫な枝と最も下側に密な花序をもち、ほぼ球形の集団になり、直径1cm以下。雄性と雌性の花が混生し、雄花は普通、かなり少ない。苞と小苞は三角状卵形~卵状披針形、淡色の膜質で、短く突き出る帯緑色の中肋があり、小苞は普通、花被の長さの約半分である。花被片は2~3個、長さ1.5~2㎜、線状へら形~長円状へら形、鈍形~類鋭形、雄と雌は似ているかまたは雄は短く、やや鋭く、淡色の膜質で、薄い~厚い緑色の中肋があり、短く淡色の微突が突き出る。柱頭は2~3個、淡色、細く、屈曲性、長さ約0.4㎜。蒴果は楕円体、ときに、上部がくびれ、長さ1.75~3㎜、明らかに花被を超え、ほとんど扁平でなく、平滑、比裂開または熟すと不規則に破裂する。種子は扁楕円形、約・長さ1~1.2㎜×直径0.7~0.8㎜、黒色、光沢があり、ほぼ平滑、境界は光沢がなく、わずかにしわが寄る。
9 Amaranthus dubius Mart. ex Thell. ハリビユモドキ 針覓擬
メキシコ、西インド諸島、南アメリカ原産。英名はred spinach , Chinese spinach , spleen amaranth , hon-toi-moi , yin choy , hsien tsai , Arai keerai 。日本でもまれに野生化したものが見られる。
1年草。高さ0.3~1m。無毛または上部にまばらに毛がある。茎は直立し、緑色、分枝する。葉は下部の葉柄が葉身の長さと同じかそれより長く、上部では短くなる。葉身は菱状卵形または卵形~楕円形、長さ3~12㎝×幅2~8㎝、基部は広くさび形、縁は全縁、先はわずかに尖鋭形~鈍形、かすかに凹形、微突形になる。花序は頂生の円錐花序および腋生の穂状花序。円錐花序は直立するか、またはしばしば垂れ下がり、緑色、密、枝分かれし、少なくとも上部に葉がない。苞は長さ2㎜より短く、花被片より短く、先に刺がある。雌花は花被片が5個、長円条へら形~長円形、爪部はなく、長さ1.5~2㎜、先は鋭形、しばしばごく短い微突がある。花柱の枝は強く広がり、果実の本体よりも短い。柱頭は3個、雄花は普通、花序の枝の先端に束生し、ときに下部の団散花序(glomerule)に集まる(A.spinosusのように)。花被片は5個、等長またはほぼ等長。雄しべ5本。胞果は卵形またはほぼ球形、直径1.5~2㎜、花被片よりわずかに短く、平滑から不規則なしわがあり、裂開は通常の横周裂開。種子は暗赤褐色から黒色、ほぼ球形またはレンズ形、直径0.8~1㎜、光沢があり、平滑。2n=64。花期は熱帯では夏~秋、亜熱帯では様々。
10 Amaranthus fimbriatus (Torr.) Benth. ex S.Watson ヤナギバビユ 柳葉覓
USA、メキシコ原産。英名はfringed amaranth , fringed pigweed。
1年草。高さ30~100㎝。雌雄同株。茎は直立または斜上し、普通、枝分かれし、緑色または紫色、無毛。葉柄は長さ8~40㎜。葉身は長さ(10)20~60(100)㎜×幅1~5(10)㎜、線形~狭い披針形、基部は狭いくさび形、先は鋭形、縁は全縁。花序は腋生および頂生、穂状花序状、しなやか~±下向き、主軸は長さ10~30㎝×幅1~2㎝(花を含む)、緑銀色~ピンク紫色。苞は長さ1~1.8㎜、花被より短く、膜質、卵形~披針状卵形。雄花は普通、花序の先端につき、花被片は5個、雄しべは(2)3本。雌花は花被片が5個、±等長、長さ1.5~3.3mm、後屈し、扇形、先は鈍形、縁は細かい歯~微細な歯がある。柱頭は3(4)個、直立~±開出する。胞果は横周裂開、長さ1.3~2㎜、ほぼ球形から卵形、緑色~黄褐色(tan)、特に先端近くにしわが寄る。種子は長さ0.9~1㎜、レンズ形、丸く、暗赤褐色~黒色、平滑、光沢がある。2n=34。花期は8~11月
。
11 Amaranthus hybridus L. ホソアオゲイトウ 細青鶏頭
synonym Amaranthus hybridus L. subsp. cruentus (L.) Thell. var. patulus (Bertol.) Thell.
synonym Amaranthus hybridus L. subsp. hypochondriacus (L.) Thell. var. erythrostachys auct. non Thell.
synonym Amaranthus patulus Bertol.
北アメリカ、南アメリカ原産。中国名は绿穗苋 lü sui xianslim。 英名はamaranth, smooth pigweed, green amaranth。
1年草。高さ0~120(200)㎝。明治時代に日本に渡来し、爆発的に増え、どこでも普通に見られる。茎は直立し、緑色~紅色を帯びる。葉は長さ(3)5~12㎝、幅(1)2~6㎝の卵形、葉表の色が淡く、表と裏の色の差がほとんどない。葉表には毛は少なく、裏面の脈上に毛がある。葉柄は長さ3~7㎝と長い。花穂(花序の小枝)は長さ2.5~7(12)㎝、幅0.5~1㎝の緑色円柱状。雌雄同株、雄花と雌花が混在する。雄花の花被片5個、長さ2~3㎜、雄しべ5個。雌花の花被片5個、長さ1.5~2.5(3)㎜の鉾状惰円形~線形、1個が長いことがある。柱頭3裂。胞果は長さ1.5~2.2㎜、熟すと帽子が取れるように横に裂開する。小苞の長さは花被片の約1.5倍。種子は直径0.9~1.4㎜、光沢があり、白色を帯びた象牙色~赤褐色~黒色。2n=24,32,33,34。花期は8~10月。
花穂は普通、緑色だが、紅紫色になるものがあり、ムラサキアオゲイトウと呼ばれている。
12 Amaranthus hypochondriacus L. シロミセンニンコク 白実仙人穀
synonym Amaranthus leucocarpus S.Watson
北アメリカ原産。英名はPrince’s-feather , Prince-of-Wales-feather , prince’s-feather amaranth。 中国名は千穗谷 qian sui gu 。
1年草。無毛又は丈夫は中程度に毛があり、しばしば成長すると無毛になる。茎は普通、直立、緑色又は赤紫色、花序の中で主に分枝し、下部はほとんど1本、高さ0.4~2(~2.5)m。上部の葉柄は葉身の長さと同長又はわずかに短く、下部では長くなる。葉身は菱状卵形~広披針形、長さ4~12㎝×幅2~7㎝、丈夫な株では大きくなり、基部は楔形~広楔形、上部の葉では狭い楔形、縁は全縁、先は楔形~鈍形~不明瞭な凹形、微突形。花序は主に頂生、しばしば、上部の葉腋に小数の穂状花序をもち、硬く、直立し、暗赤色~紫色~濃ビーツ赤色(beet-red)、頻度は多くないが、帯黄色や帯緑色になり、少なくとも上部では葉が無く、普通、丈夫。苞は披針形~線状錐形、類刺状、長さ3~6(~8)㎜、花被片の長さの2倍以下、堅い。 雌花は花被片が普通、5個、下部の花被片は披針形、上部の花被片は卵状楕円形~楕円形、爪部は無く、不等長~たまにほぼ等長、長さ1.3~3(~3.5)㎜、先は鋭形。 花柱は分枝し、広がる。柱頭は3個。雄花は花序の枝先に束生する。花被片は3~5個。雄しべは3~5個。胞果は扁卵形~長い卵形、長さ(1.5~)2~3㎜、花被片と等長又はほぼ等長、平滑、又は蓋はわずかにしわがあり又は小さないぼ状、きちんと横周裂開する。種子は白色、象牙色、ピンク白色又は黒色~暗赤褐色、類球形~レンズ形、直径1~1.4㎜、平滑、光沢がある。2n=32, 34。花期は7~10月。
品種) 'Bolivia' , 'Green Thumb' , 'Guarijio Grain' , 'Manna de Montana' , 'New Mexico' , 'Pygmy Torch' , 'Rio San Lorenzo' , 'Red Fox'
13 Amaranthus palmeri S.Watson オオホナガアオゲイトウ 大穂長青鶏頭
メキシコ、アリゾナ州、カリフォルニア州、ネバダ州、ニューメキシコ州、テキサス州原産。英名はcarelessweed , dioecious amaranth , Palmer's amaranth , Palmer amaranth , Palmer's pigweed。
1年草。高さ20~200(250)㎝。雌雄異株。茎は直立し、分枝は有または無、緑色、ほぼ-無毛。葉柄は長さ60~90㎜。葉身は長さ15~150㎜×幅10~35㎜、卵形~菱状卵形~披針形、基部はほぼくさび形、先はほぼ鈍形~鋭形、縁は全縁。花序は頂生、単純または円錐花序状、+-しなやか~垂れ下がり、主軸は長さ10~35(50)cm×幅1~1.8(2.5)cm(花を含む)、緑色。雄花は苞が長さ4~6㎜、外側の花被片の長さ以上あり、刺状。雌花は苞が長さ4~6㎜、花被の長さの1.3~2倍あり、刺状、披針状の卵形。雄花は花被片が5個、不等長、外側の花被片は長さ(2.5)3~6㎜、尖鋭形、先端に刺があり、内側の花被片は長さ2.5~3 mm、鈍形、ノッチがあり、雄しべは5本。雌花は花被片が5個、不等長、外側の花被片は長さ3~4㎜、披針形、ほぼ尖鋭形、内側の花被片は長さ1.7~2.5㎜、倒卵形~スプーン形、円形~±ノッチがあり、微突形、柱頭は2(3)個、広がる。果実は横周裂開、長さ1.5~2㎜、花被より短く、ほぼ球形~倒卵形、褐色~たまに赤褐色、平滑または先端付近が粗い。種子は幅1~1.4㎜、レンズ状、楕円形~倒卵形、暗赤褐色~黒色、平滑、光沢がある。2n=32 , 34。花期は8~11月。
14 Amaranthus powellii S.Watson ホナガアオゲイトウ 穂長青鶏頭
synonym Amaranthus hybridus auct. non L.
USA、メキシコ原産。英名はPowell's amaranth , green amaranth。
1年草。高さ25~150(200)㎝。雌雄同株。茎は直立、分枝が有または無、紫色の縞模様のある緑色、ほぼ無毛。葉柄は長さ30~60㎜。葉身は長さ30~80㎜×幅20~50㎜、楕円形~菱形~広披針形、基部はくさび形、縁は全縁、先はほぼ鈍形。花序は頂生、直立、普通、少数の堅い直立した枝をもち(十分に枝分かれした、密な円錐花序)、長さ(3)4~12㎝×幅1.2~1.6㎝(花を含む)、緑色~淡緑色。苞は長さ4.5~6(8)mm、花被の長さの2~3(4)倍、刺のような、狭三角形~披針形。雄花は普通、花序の先につき、花被片が3~5個、ほぼ等長、披針形、鋭形、雄しべは3~5本。雌花は花被片が3~5個、不等長、最も長い花被片は長さ2.3~3.5㎜、その他は長さ1.2~2㎜、長円形~披針条線形、先は鋭形~芒状、柱頭は2~3個、広がる。果実は横周裂開または非裂開、長さ2~3㎜、卵形、普通、花被片より長く、±先端近くにしわが寄り、非裂開のときはほぼ平滑、灰クリーム色~薄褐色。種子は長さ0.9~1.3 mm、レンズ形、楕円形、卵形、暗褐色~黒色、平滑、光沢がある。2n=32,34。花期は6~10月
15 Amaranthus retroflexus L. アオゲオトウ 青鶏頭
熱帯アメリカ原産又は北アメリカ原産。中国名は反枝苋 fan zhi xian。英名はredroot amaranth, redroot pigweed。別名はアオビユ。
1年草。高さ15~150(200)㎝。茎は直立し、緑色~紅色。葉は長さ2~15㎝、幅1~7の菱状卵形、ほとんど無毛。葉柄は長さ2.5~8㎝。花穂(花序の小枝)は緑色で、長さ5~5(10)㎝、幅1.2~2.5㎝の円柱状。花穂の間隔がやや広く、横にも開く。花序軸には縮れ毛がある。雄花は等長の花被片4~5個、長さ2~3㎜、雄しべ(3)4~5個。雌花は花被片5個、長さ2~3.2㎜、長さがほぼ等しいさじ形で、上部の幅が広く、果実より明らかに長いのが特徴である。小苞は先が刺状になり、長さ (2.5)4~6(8)㎜、長さが花被片の1.5~3倍ある。花柱3個。胞果は長さ1.7~2.5㎜、熟すと横に裂開する。種子は長さ1~1.3㎜、光沢があり、暗褐色~黒色の円盤状。花期は8~10月。
16 Amaranthus spinosus L. ハりビユ 針覓
熱帯アメリカ原産。中国名は刺苋 ci xian。英名はspiny amaranth , thorny amaranth。
1年草。高さ40~80㎝。茎は直立する。葉は互生し、長さ2~10㎝、幅1.5~5㎝の狭卵形~菱状卵形、鈍頭、長さ4~9㎝の長柄がある。葉腋に長さ8~15(25)㎜の2個の鋭い刺があるのが特徴。茎頂に分枝した花序をつける。花穂(花序の小枝)は長さ3~17㎝、幅4~13㎜と長く、球状に集まった花が数珠状につき、茎のかなり下部の葉腋まで球状に集まった花がつく。胞果は長さ1.5~2.2㎜、花被片とほぼ同長で、柱頭が長い。小苞の長さは花被片以下と短い。種子は直径0.8~1.0㎜の暗褐色~黒色の円盤状。2n=34,68。花期は8~10月。
17 Amaranthus tricolor L. ヒユ 覓 [広義]
synonym Amaranthus tricolor L. var. inamoenus (Willd.) Thell.
synonym Amaranthus mangostanus L.
synonym Amaranthus inamoenus Willd.
synonym Amaranthus gangeticus L.
熱帯アジア原産。中国名は苋 xian。英名はedible amaranth , bireum , tampala , tandaljo , or tandalja bhaji , callaloo , Joseph's coat。
茎は緑色又は赤色、高さ80~150㎝、丈夫、しばしば分枝する。葉柄は緑色又は赤色、長さ2~6㎝。葉身は緑色、赤色、紫色又は黄色、卵形~卵状菱形~披針形、長さ4~10㎝×幅2~7㎝、無毛、基部は楔形、縁は全縁又は波打ち、先は鈍形又は凹頭で微突端。花は葉腋に密に束生又は先の穂状花序につく。雄花と雌花は同じ花序につく。苞と小苞は卵状披針形、長さ2.5~3㎜、透明、先は長く尖る。雄しべ3個。柱頭は3個。胞果(utricle)は花被に包まれ、卵状長楕円形、長さ2~2.5㎜、横周裂開(circumscissile)。種子は褐黒色、類球形又は倒卵形、直径約1㎜。花期は5~8月。果期は7~9月。2n=34,68,85。
品種) 'Aurora' , 'Aurora Yellow' , 'Carnival' , 'Dwarf Fountain' , 'Early Splendor' , 'Hartman's Giant' , 'Illumination' , 'Joseph's Coat' , 'Kahulu' , Merah' , 'Molten Fire' , 'Perfecta' , 'Puteh' , 'Red Army' , 'Red Leaf' , 'Splendens' , 'Tete d'elephant', 'Tricolor Perfecta' , 'Yellow Splendor'
17-1 Amaranthus tricolor L. var. mangostanus (L.) Aellen ヒユ 狭義
食用品種をヒユと呼ぶ。
17-2 Amaranthus tricolor L. subsp. tricolor ハゲイトウ 葉鶏頭
synonym Amaranthus gangeticus L.
synonym Amaranthus tricolor L. var. gangeticus (L.) Fiori
おそらく熱帯アジア原産
葉は赤色、黄色、3色など鮮やかな色になり、葉の観賞用に栽培される。葉の観賞時期は8~11月下旬。多数の品種があり、矮性品種もある。
17-3 Amaranthus tricolor var. salicifolius ヤナギバケイトウ
葉が細長い。
18 Amaranthus tuberculatus (Moq.) J.D.Sauer ヒユモドキ 覓擬
synonym Amaranthus rudis J.D.Sauer
synonym Amaranthus tuberculatus (Moq.) J.D. Sauer var. rudis (J.D. Sauer) Costea & Tardif
USA原産。英名はroughfruit amaranth , rough-fruited water-hemp , tall waterhemp , common waterhemp。
1年草。高さ50~150(200)㎝。雌雄異株。茎は直立または斜上し、分枝またはたまに分枝せず、緑色または紫色、ほぼ無毛。葉柄は長さ20~60㎜。葉身は長さ15~150㎜×幅5~30㎜、卵形、長円形、上部では楕円形~狭披針形、基部は狭いくさび形、縁は全縁、先は鈍形~鋭形。花序は頂生、ほぼ直立、線形の穂状花序~密な円錐花序、主軸はたまに間隔が開き、葉は有または無、長さ3~15㎝×幅0.5~1.2㎝、緑色~紫色。雄花は苞が長さ1.5~2㎜、花被より短く、三角状卵形、中肋はあまり目立たない。雌花は苞が長さ1.5~2.2㎜、花被の長さと同じで、刺のような、披針状卵形。雄花は花被片が5個、ほぼ等長、内側の花被片は長さ2~2.5㎜、楕円状倒卵形、鈍形またはノッチがある。外側の花被片は長さ2.5~3㎜、披針状楕円形、先は尖鋭形で微突形、雄しべは5本。発達した雌花は花被片が1~2個だけで、その他は無くなる。柱頭は3個、直立する。果実は横周裂開、長さ1.5~2㎜、卵形、しわがあり、緑褐色または帯赤色。種子は長さ0.8~1㎜、レンズ形、楕円形~倒卵形~暗赤褐色、平滑、光沢がある。2n=34。花期は7~10月。
19 Amaranthus viridis L. ホナガイヌビユ 穂長犬覓
synonym Amaranthus gracilis Desf. ex Poir.
南アメリカ原産。中国名は皱果苋 zhou guo xian。英名はgreen amaranth, slender amaranth, pigweed。別名はアオビユ。
世界に広く分布し、原産地ははっきりしないが、南アメリカ原産と推定されている。
1年草。高さ40~90㎝。茎は直立し、分枝する。葉は互生し、長さ2~8㎝、幅1.5~5㎝の三角状卵形~菱状卵形、基部は楔形になることは少なく、やや楔形のほぼ切形。葉先は鈍頭、少し凹む場合もある(下の写真)。葉柄は長さ3~8㎝、葉身の0.5~1.5倍の長さ。茎頂に分枝した花序をつける。花序の枝先が上を向いて尖るのが特徴。ホナガイヌビユと名がつけられているが、初期には花序が短いものが普通である。雄花と雌花が混生する。胞果は長さ1.2~1.5㎜、表面に、はっきりしたしわがあり、熟すと淡褐色~褐色になり硬くなる。胞果は花被片よりやや長く、小苞は小さく目立たない。種子は直径1~1.2㎜の黒褐色~黒色の円盤状で、表面の光沢は他のヒユに比べ鈍い。2n=34。花期は6~11月
20 Amaranthus blitum L. x A. viridis L. アイノコイヌビユ
イヌビユとホナガイヌビユの雑種。
21 Amaranthus x ozanonii Thell. アレチアオゲイトウ
synonym Amaranthus x galii Sennen et Gonzalo ex Pritzter
synonym Amaranthus × ralletii Contré
メキシコ原産。 A. retroflexus とA. hybridusの交雑種。
22 その他
品種) 'Annapurna' , 'Autumn Palette' , 'Bolivia 153' , 'Burgundy' , 'Dark Foxtail' , 'Flaming Fountains' , 'Garnet Red' , 'Golden' , 'Green Cathedral' , 'Hopi Red Dye' , 'Intense Purple' , 'Magic Fountains' , 'Mercado' , 'New Mexico' , 'Opopeo' , 'Plainsman' , 'Popping' , 'Tarahumara Okite' , 'Trompe d'Elephant'
Amaranthus
Amaranthus Linnaeus
Amaranthus hybridus
Key to Amaranthus
茎は太く、通常、赤味を帯び、根元から分枝する。葉は互生し、あまり大きくならず、長さ1~6㎝、幅0.5~4㎝の菱状卵形、基部は楔形、葉先がはっきり大きく凹む。葉柄は長く、普通は葉身の約2倍。雌花は花被片3個、柱頭3個。雄花は花被片3個、雄しべ3個。ヒユ科の果実は胞果であり、1個の種子を含み、果皮はゆるく種子を包む。成熟しても裂開しない。イヌビユの胞果は表面に浅いしわがあり、熟しても硬くならない。種子は直径約1(0.8~1.8)㎜の扁平な円盤形、黒色、光沢が強い。2n=34
最も普通に見られるホナガイヌビユ(アオビユ)は全体に大きく、葉の先がほとんど凹まず、凹んでもわずかである。葉の基部も楔形になることが少ない。また、花序の枝先が尖り、胞果の表面のしわが深い。
ヒユ属
family Amaranthaceae - genus Amaranthus1年草。茎は直立又は傾伏。葉は互生、葉柄があり、全縁。花は単性、同株又は異株、腋生又は頂生、単性又は複合の密錐花序状(thyrsoid)の構造をもち、各花は1個の苞と2個の小苞をもち、薄膜質。花被片は5個、まれに1~4個、直立又は斜めに広がり、ときに、花後に基部で硬化し、緑色、等長又はほぼ等長、膜質。雄しべは5個、まれに1~4個。花糸は糸状、離生、偽仮雄しべは無い。葯は2室。子房は直立の胚珠を1個もつ。花柱は短いか又は欠く。柱頭は2又は3個、宿存し、錐形又は線形。胞果(utricle)は球形又は卵形、側面が扁平、膜状、蓋状に裂開(横周裂開 circumscissile)~不規則に裂開~非裂開で花被とともに落ちる。種子は黒色又は褐色、球形又はレンズ形、仮種皮は無い。
世界に40種があり、世界中に広く分布する。
ヒユ属の主な種と園芸品種
1 Amaranthus albus L. ヒメシロビユ 姫白覓USA,メキシコ原産。英名はcommon tumbleweed , umble pigweed , tumbleweed , prostrate pigweed , pigweed amaranth , white amaranth , white pigweed。
1年草、高さ0.1~1m、無毛または無毛になり、または粘性のある毛がある。雌雄同株。茎は普通、直立し、下部で斜上、まれにほとんど平伏し、多数、分枝し、藪状になり(大きなものは回転草tumbleweedsを形る)。葉柄は長さ5~40㎜。葉身は楕円形~倒卵形または細いスプーン形、基部はくさび形、先は鈍形~鋭形、縁は平らまたは±波状。茎葉は普通、落葉性、幅40~80㎜×幅15~30㎜、腋生の葉に置き換えられ、長さ7~20㎜×幅3~10㎜。 花序は腋生、束生だけ、緑色。苞は長さ1.5~4mm、花被の長さの1.5~2倍、披針形状線形~千枚通しのような形、先に±刺がある。雄花は雌花に混ざり、花被片は3個、雄しべ3本。雌花の花被片は3個、長さ0.7~2㎜、ほぼ等長、披針状長円形~線形、先は鋭形、柱頭は3個、直立する。 果実は横周裂開、長さ1.5~2㎜、花被の長さ以上あり、楕円状卵形、緑白色~褐色、特に先端近くにしわがある。種子は長さ0.8~1.1㎜、レンズ形、赤褐色、平滑、光沢がある。2n=32。花期は6~10月。
2 Amaranthus arenicola I.M.Johnst. ヒメアオゲイトウ
USA,メキシコ原産。英名sand amaranth , sandhill amaranth。
1年草、高さ4~100(200)㎝。雌雄異株。茎は直立、普通、多数分枝し、緑白色、ほぼ無毛。葉柄は長さ10~70㎜。葉身は長さ15~75㎜×幅5~30㎜、狭卵形~楕円形または披針形、基部はくさび形~ほぼ円形、先は±鋭形~鈍形、縁は全縁~不規則な波状。花序は頂生(および腋生)、直立~下向き、穂状花序状または円錐花序状、主軸は長さ15~60㎝×幅1.1~2.2㎝(花を含む)、緑色。雄花は苞が長さ2~3.5㎜、花被片より短く、先は鋭形~尖鋭形。雌花は苞が長さ(1.4)2~2.5㎜、花被の長さ以下、卵形~披針状卵形、先は鋭形~尖鋭形、中肋が短く伸び、刺はない。雄花の花被片は5個、長さ2~3.5㎜、ほぼ等長、先は鈍形~±鋭形、内側の花被片は±微突形、雄しべは5本。雌花は花被片が5個、長さ1.6~2.5㎜、スプーン形、先は鈍形、微突形。柱頭は2~3個、±直立する。胞果は横周裂開、長さ約2㎜、花被より短く、ほぼ球形、平滑、±褐色。種子は長さ0.9~1.2㎜、レンズ形、暗赤褐色、滑らか、光沢。花期は8~9月。
3 Amaranthus blitoides S.Watson アメリカビユ
synonym Amaranthus graecizans auct. non L
USA原産。英名はmat amaranth , prostrate pigweed , procumbent pigweed , prostrate amaranth , matweed。
1年草、高さ30~120 cm。雌雄同株。茎は平伏し、マット状になり、緑色またはたまに紫色、無毛。葉柄は長さ3~15㎜。葉身は(5)10~30(40)㎜×幅4~10(15)㎜、倒卵形~スプーン形、基部はくさび形、先は鈍形、円形、縁は全縁(±波状)。花序は腋生で束生、緑色。苞はほぼ葉状、長さ1.5~3㎜、長さが花被以上あり、狭卵形、先は鋭形。雄花は花被片が(3)4個、長さ1.5~2.5㎜、雄しべは(3)4~5本。雌花は花被片が4~5個、長さ1~3.5㎜、狭卵形~長円形、不等頂、外側の2花被片はその他の花被片より長く、長さ2~3㎜。柱頭は普通、3個、広がる。果実は横周裂開、長さ2~2.5㎜、ほぼ球形~倒卵形、緑色~たまに紫色、先近くにしわがある。種子は長さ1.3~1.7㎜、レンズ形、黒色。2n=32。花期は7~11月
4 Amaranthus blitum L. イヌビユ 犬覓
synonym Amaranthus ascendens Loisel.
synonym Amaranthus lividus L. var. ascendens (Loisel.) Thell.
synonym Amaranthus lividus L. f. rubens (Moq.) Hatus., nom. nud
synonym Amaranthus lividus L.
南アメリカ原産。中国名は凹头苋 ao tou xian。英名はlivid amaranth, purple amaranth。ヨーロッパ、アジア、北アフリカ、南アメリカなど世界中で広く野生化している。
1年草、高さ20~30㎝。茎は太く、通常、赤味を帯び、根元から分枝する。葉は互生し、あまり大きくならず、長さ1~6㎝、幅0.5~4㎝の菱状卵形、基部は楔形、葉先がはっきり大きく凹む。葉柄は長く、普通は葉身の約2倍。雌花は花被片3個、柱頭3個。雄花は花被片3個、雄しべ3個。ヒユ科の果実は胞果であり、1個の種子を含み、果皮はゆるく種子を包む。成熟しても裂開しない。イヌビユの胞果は表面に浅いしわがあり、熟しても硬くならない。種子は直径約1(0.8~1.8)㎜の扁平な円盤形、黒色、光沢が強い。2n=34。花期は8~11月。
5 Amaranthus caudatus L. ヒモゲイトウ
熱帯アメリカ原産の世界的な栽培種。中国名は老枪谷 lao qiang gu 。英名はfoxtail , foxtail amaranth , Inca-wheat , love-lies-bleeding , purple amaranth , red-hot-cattail , tassel-flower , velvet-flower
茎は直立、緑色、高さ約1.5m、強く、角(かど)があり、わずかに分枝又は分枝せず、成長すると無毛。葉柄は緑色、長さ1~15㎝、軟毛がある。葉身は緑色又は赤色、菱状卵形又は菱状披針形、長さ4~15㎝×幅2~8㎝、両面とも無毛、基部は楔形、縁は全縁又は波打ち、先は尖鋭形又は鈍形。複合の密錐花序状構造、頂生、垂れ下がり、多数、分枝し、多数の穂状花序からなる。苞は赤色、披針形、長さ約3㎜、透明、外側に中脈をもち、先は微突頭。花被片は赤色、果実より短く、長さ2~2.5㎜、透明、縁が重なり、中脈がある。雌花の花被片は長楕円形。雌花の花被片は長楕円状披針形。雄しべは5個。柱頭は3個、長さ1㎜以下。胞果は上が赤色、類球形、直径約3㎜、花被より長く、横周裂開(circumscissile)。種子は薄黄褐色、類球形。花期は7~8月。果期は9~10月。2n=32, 64。
品種) 'Albus' , 'Crimson' , 'Fat Spike' , 'Green Cascade' , 'Green Feathers' , 'Green Necklace' , 'Pony Tails' , 'Queue de Renard Blanc' , 'Queue de Renard Rouge' , 'Red Octopus' , 'Ribbons and Beads' , 'Viridis'
6 Amaranthus crassipes Schltdl. サジビユ
メキシコ、西インド諸島、南アメリカ原産。 英名はClubfoot amaranth , spreading amaranth , tropical spreading amaranth。
1年草、高さ0.1~0.6m、無毛。茎は平伏または弱く斜上し、若いときに直立し、主に基部から分枝する。葉柄は葉身のほぼ1/2の長さ。葉身は広楕円形、倒卵形、円形、または倒披針形、長さ(0.5~)1~3(~4.5)㎝ ×幅0.3~2(~2.5)㎝、基部はくさび形、縁は全縁、平坦または波状、先は広い円形または凹形。花序は腋生で束生、基部から先までつき、花序軸はかなり太くなり、膨らんだように見え、成熟すると硬くなる(A.scleropoidesとA.crassipesのみ)。雌花の苞は、竜骨があり(A.scleropoidesとA.crassipesのみが苞に竜骨がある)、三角形、長さ0.5~0.9mm。雌花は花被片が(4~)5個、狭いへら形、爪部があり、小さな広がった拡大部があり、等長またはほぼ等長、長さ2~3㎜、先は丸く、短突起があり、爪部は成熟すると硬く薄膜質になる。花柱の枝は広がる。柱頭は普通2(~3)個、ほとんど無柄。雄花は雌花と混ざってつき、花被片は5個、膜質、雄しべは3(~5)本。胞果は倒卵形~扁倒卵形、長さ1.4~2㎜、花被片より短く、著しく刺で覆われ(muricate)(特に上部の遠位1/2)、非裂開。種子は暗褐色または赤黒色~黒色、扁平な卵形~広いレンズ状、直径1~1.4㎜、光沢がある。花期は夏~秋。
7 Amaranthus cruentus L. スギモリゲイトウ
synonym Amaranthus hybridus L. subsp. cruentus (L.) Thell.
synonym Amaranthus paniculatus L.
synonym Amaranthus hybridus L. subsp. cruentus (L.) Thell. var. paniculatus (L.) Thell.
メキシコ、中央アメリカ(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア)原産。中国名は老鸦谷 lao ya gu 、繁穗苋。中国では栽培が多く、種子を食用、酒用に使う。南アメリカ、北アメリカでも栽培が盛ん。英名はred amaranth , African-spinach , blood amaranth , bush greens , caterpillar amaranth , grain amaranth , purple amaranth。
1年草。全体にほとんど無毛、わずかに上部が有毛、特に若い時に多い。茎は直立、緑色又は赤紫色、上部の花序付近で分枝し、又はほとんど分枝しない。高さ0.4~2m。葉柄は葉身の長さの1/2~同長。葉身は菱状卵形~卵形~広披針形、長さ3~15(~20)㎝×幅1.5~10(~15)㎝、たまに強健なものはもっと大きくなり、基部は楔形~広楔形、縁は全縁、平ら、先は鋭形~類鈍形~凹形で微突頭。花序は複合の密錐花序状構造、直立し、反曲又は下向き、普通、暗赤色、紫色又は濃ビーツ赤色(beet-red)、それほど多くはないが、ほとんど緑色又は帯緑色のこともあり、少なくとも上部は葉が無く、大きく、丈夫。苞は狭いへら形、長さ2~3㎜、花被片と同長又はわずかに長く、先は短い刺状。雌花は花被片5個、長楕円形~披針形、爪部は無く、等長又はほぼ等長、長さ1.5~3㎜、先は鋭形。花柱は分枝し、直立又はわずかに反曲する。柱頭は3個。雄花は花序の先につき、花被片5個、雄しべは(4~)5個。胞果は倒卵形~長倒卵形、長さ2~2.5㎜、平滑又はわずかに上部にしわがあり、きちんと横周裂開する(circumscissile)。種子は普通、白色または象牙色、赤色又は黄色を帯び、ときに暗褐色~暗赤褐色になり、広いレンズ形~楕円状レンズ形、直径1.2~1.6㎜、平滑又は不明瞭な細点がある。2n=34。花期は7~10月。
品種) 'Alegria' , 'Amont' , 'Autumn's Touch' , 'Bronze Standard' , 'Chihuahuan' , 'Foxtail' , 'Golden Giant' , 'Hot Biscuits' , 'Marvel Bronze' , 'Mayo Grain' , 'Mexican Grain' , 'Oeschberg' , 'Pigmy Torch' , 'Plenitude' , 'Red Cathedral' , 'Red Cathedral Superior' , 'Red Fox' , 'Southern Tepehuan Baute' , 'Split Personality' , 'Twin Towers Green' , 'Twin Towers Red' , 'Velvet Curtains'
8 Amaranthus deflexus L. ハイビユ
南アメリカ原産。英名はlow amaranth , Argentina amaranth , perennial pigweed , large-fruit amaranth。
短命の多年草、平伏~やや斜上し、高さ(8)12~45(80)㎝。茎は数ほん、細い~やや丈夫、普通、基部から上に向かって多数分枝し、多少、角(かど)張り、緑~帯赤色、下部は無毛だが、普通、中間の下から上に向かって、帯黄色の曲がりくねったまたは縮れた多細胞の毛が増える。葉は中程度から多少、密に縁と下面(特に主脈)に同様の多細胞の毛があり、長い葉柄がある(葉柄は長さ6~25㎜、まれに、葉身の長さを超える)。葉身は約・長さ1~4.5㎝×0.5~2.5㎝、広卵形~披針形(最も普通には菱状卵形)、基部は類切形~短いくさび形、先は類鋭形~鈍形、ときに浅い小凹形で微突形。花は緑色、細くて緩く~丈夫で密な頂生および腋生の穂状花序につき、穂状花序は長さ2~10㎝×幅5~12(20)㎜、まれではなく、かなり短くて丈夫な枝と最も下側に密な花序をもち、ほぼ球形の集団になり、直径1cm以下。雄性と雌性の花が混生し、雄花は普通、かなり少ない。苞と小苞は三角状卵形~卵状披針形、淡色の膜質で、短く突き出る帯緑色の中肋があり、小苞は普通、花被の長さの約半分である。花被片は2~3個、長さ1.5~2㎜、線状へら形~長円状へら形、鈍形~類鋭形、雄と雌は似ているかまたは雄は短く、やや鋭く、淡色の膜質で、薄い~厚い緑色の中肋があり、短く淡色の微突が突き出る。柱頭は2~3個、淡色、細く、屈曲性、長さ約0.4㎜。蒴果は楕円体、ときに、上部がくびれ、長さ1.75~3㎜、明らかに花被を超え、ほとんど扁平でなく、平滑、比裂開または熟すと不規則に破裂する。種子は扁楕円形、約・長さ1~1.2㎜×直径0.7~0.8㎜、黒色、光沢があり、ほぼ平滑、境界は光沢がなく、わずかにしわが寄る。
9 Amaranthus dubius Mart. ex Thell. ハリビユモドキ 針覓擬
メキシコ、西インド諸島、南アメリカ原産。英名はred spinach , Chinese spinach , spleen amaranth , hon-toi-moi , yin choy , hsien tsai , Arai keerai 。日本でもまれに野生化したものが見られる。
1年草。高さ0.3~1m。無毛または上部にまばらに毛がある。茎は直立し、緑色、分枝する。葉は下部の葉柄が葉身の長さと同じかそれより長く、上部では短くなる。葉身は菱状卵形または卵形~楕円形、長さ3~12㎝×幅2~8㎝、基部は広くさび形、縁は全縁、先はわずかに尖鋭形~鈍形、かすかに凹形、微突形になる。花序は頂生の円錐花序および腋生の穂状花序。円錐花序は直立するか、またはしばしば垂れ下がり、緑色、密、枝分かれし、少なくとも上部に葉がない。苞は長さ2㎜より短く、花被片より短く、先に刺がある。雌花は花被片が5個、長円条へら形~長円形、爪部はなく、長さ1.5~2㎜、先は鋭形、しばしばごく短い微突がある。花柱の枝は強く広がり、果実の本体よりも短い。柱頭は3個、雄花は普通、花序の枝の先端に束生し、ときに下部の団散花序(glomerule)に集まる(A.spinosusのように)。花被片は5個、等長またはほぼ等長。雄しべ5本。胞果は卵形またはほぼ球形、直径1.5~2㎜、花被片よりわずかに短く、平滑から不規則なしわがあり、裂開は通常の横周裂開。種子は暗赤褐色から黒色、ほぼ球形またはレンズ形、直径0.8~1㎜、光沢があり、平滑。2n=64。花期は熱帯では夏~秋、亜熱帯では様々。
10 Amaranthus fimbriatus (Torr.) Benth. ex S.Watson ヤナギバビユ 柳葉覓
USA、メキシコ原産。英名はfringed amaranth , fringed pigweed。
1年草。高さ30~100㎝。雌雄同株。茎は直立または斜上し、普通、枝分かれし、緑色または紫色、無毛。葉柄は長さ8~40㎜。葉身は長さ(10)20~60(100)㎜×幅1~5(10)㎜、線形~狭い披針形、基部は狭いくさび形、先は鋭形、縁は全縁。花序は腋生および頂生、穂状花序状、しなやか~±下向き、主軸は長さ10~30㎝×幅1~2㎝(花を含む)、緑銀色~ピンク紫色。苞は長さ1~1.8㎜、花被より短く、膜質、卵形~披針状卵形。雄花は普通、花序の先端につき、花被片は5個、雄しべは(2)3本。雌花は花被片が5個、±等長、長さ1.5~3.3mm、後屈し、扇形、先は鈍形、縁は細かい歯~微細な歯がある。柱頭は3(4)個、直立~±開出する。胞果は横周裂開、長さ1.3~2㎜、ほぼ球形から卵形、緑色~黄褐色(tan)、特に先端近くにしわが寄る。種子は長さ0.9~1㎜、レンズ形、丸く、暗赤褐色~黒色、平滑、光沢がある。2n=34。花期は8~11月
。
11 Amaranthus hybridus L. ホソアオゲイトウ 細青鶏頭
synonym Amaranthus hybridus L. subsp. cruentus (L.) Thell. var. patulus (Bertol.) Thell.
synonym Amaranthus hybridus L. subsp. hypochondriacus (L.) Thell. var. erythrostachys auct. non Thell.
synonym Amaranthus patulus Bertol.
北アメリカ、南アメリカ原産。中国名は绿穗苋 lü sui xianslim。 英名はamaranth, smooth pigweed, green amaranth。
1年草。高さ0~120(200)㎝。明治時代に日本に渡来し、爆発的に増え、どこでも普通に見られる。茎は直立し、緑色~紅色を帯びる。葉は長さ(3)5~12㎝、幅(1)2~6㎝の卵形、葉表の色が淡く、表と裏の色の差がほとんどない。葉表には毛は少なく、裏面の脈上に毛がある。葉柄は長さ3~7㎝と長い。花穂(花序の小枝)は長さ2.5~7(12)㎝、幅0.5~1㎝の緑色円柱状。雌雄同株、雄花と雌花が混在する。雄花の花被片5個、長さ2~3㎜、雄しべ5個。雌花の花被片5個、長さ1.5~2.5(3)㎜の鉾状惰円形~線形、1個が長いことがある。柱頭3裂。胞果は長さ1.5~2.2㎜、熟すと帽子が取れるように横に裂開する。小苞の長さは花被片の約1.5倍。種子は直径0.9~1.4㎜、光沢があり、白色を帯びた象牙色~赤褐色~黒色。2n=24,32,33,34。花期は8~10月。
花穂は普通、緑色だが、紅紫色になるものがあり、ムラサキアオゲイトウと呼ばれている。
12 Amaranthus hypochondriacus L. シロミセンニンコク 白実仙人穀
synonym Amaranthus leucocarpus S.Watson
北アメリカ原産。英名はPrince’s-feather , Prince-of-Wales-feather , prince’s-feather amaranth。 中国名は千穗谷 qian sui gu 。
1年草。無毛又は丈夫は中程度に毛があり、しばしば成長すると無毛になる。茎は普通、直立、緑色又は赤紫色、花序の中で主に分枝し、下部はほとんど1本、高さ0.4~2(~2.5)m。上部の葉柄は葉身の長さと同長又はわずかに短く、下部では長くなる。葉身は菱状卵形~広披針形、長さ4~12㎝×幅2~7㎝、丈夫な株では大きくなり、基部は楔形~広楔形、上部の葉では狭い楔形、縁は全縁、先は楔形~鈍形~不明瞭な凹形、微突形。花序は主に頂生、しばしば、上部の葉腋に小数の穂状花序をもち、硬く、直立し、暗赤色~紫色~濃ビーツ赤色(beet-red)、頻度は多くないが、帯黄色や帯緑色になり、少なくとも上部では葉が無く、普通、丈夫。苞は披針形~線状錐形、類刺状、長さ3~6(~8)㎜、花被片の長さの2倍以下、堅い。 雌花は花被片が普通、5個、下部の花被片は披針形、上部の花被片は卵状楕円形~楕円形、爪部は無く、不等長~たまにほぼ等長、長さ1.3~3(~3.5)㎜、先は鋭形。 花柱は分枝し、広がる。柱頭は3個。雄花は花序の枝先に束生する。花被片は3~5個。雄しべは3~5個。胞果は扁卵形~長い卵形、長さ(1.5~)2~3㎜、花被片と等長又はほぼ等長、平滑、又は蓋はわずかにしわがあり又は小さないぼ状、きちんと横周裂開する。種子は白色、象牙色、ピンク白色又は黒色~暗赤褐色、類球形~レンズ形、直径1~1.4㎜、平滑、光沢がある。2n=32, 34。花期は7~10月。
品種) 'Bolivia' , 'Green Thumb' , 'Guarijio Grain' , 'Manna de Montana' , 'New Mexico' , 'Pygmy Torch' , 'Rio San Lorenzo' , 'Red Fox'
13 Amaranthus palmeri S.Watson オオホナガアオゲイトウ 大穂長青鶏頭
メキシコ、アリゾナ州、カリフォルニア州、ネバダ州、ニューメキシコ州、テキサス州原産。英名はcarelessweed , dioecious amaranth , Palmer's amaranth , Palmer amaranth , Palmer's pigweed。
1年草。高さ20~200(250)㎝。雌雄異株。茎は直立し、分枝は有または無、緑色、ほぼ-無毛。葉柄は長さ60~90㎜。葉身は長さ15~150㎜×幅10~35㎜、卵形~菱状卵形~披針形、基部はほぼくさび形、先はほぼ鈍形~鋭形、縁は全縁。花序は頂生、単純または円錐花序状、+-しなやか~垂れ下がり、主軸は長さ10~35(50)cm×幅1~1.8(2.5)cm(花を含む)、緑色。雄花は苞が長さ4~6㎜、外側の花被片の長さ以上あり、刺状。雌花は苞が長さ4~6㎜、花被の長さの1.3~2倍あり、刺状、披針状の卵形。雄花は花被片が5個、不等長、外側の花被片は長さ(2.5)3~6㎜、尖鋭形、先端に刺があり、内側の花被片は長さ2.5~3 mm、鈍形、ノッチがあり、雄しべは5本。雌花は花被片が5個、不等長、外側の花被片は長さ3~4㎜、披針形、ほぼ尖鋭形、内側の花被片は長さ1.7~2.5㎜、倒卵形~スプーン形、円形~±ノッチがあり、微突形、柱頭は2(3)個、広がる。果実は横周裂開、長さ1.5~2㎜、花被より短く、ほぼ球形~倒卵形、褐色~たまに赤褐色、平滑または先端付近が粗い。種子は幅1~1.4㎜、レンズ状、楕円形~倒卵形、暗赤褐色~黒色、平滑、光沢がある。2n=32 , 34。花期は8~11月。
14 Amaranthus powellii S.Watson ホナガアオゲイトウ 穂長青鶏頭
synonym Amaranthus hybridus auct. non L.
USA、メキシコ原産。英名はPowell's amaranth , green amaranth。
1年草。高さ25~150(200)㎝。雌雄同株。茎は直立、分枝が有または無、紫色の縞模様のある緑色、ほぼ無毛。葉柄は長さ30~60㎜。葉身は長さ30~80㎜×幅20~50㎜、楕円形~菱形~広披針形、基部はくさび形、縁は全縁、先はほぼ鈍形。花序は頂生、直立、普通、少数の堅い直立した枝をもち(十分に枝分かれした、密な円錐花序)、長さ(3)4~12㎝×幅1.2~1.6㎝(花を含む)、緑色~淡緑色。苞は長さ4.5~6(8)mm、花被の長さの2~3(4)倍、刺のような、狭三角形~披針形。雄花は普通、花序の先につき、花被片が3~5個、ほぼ等長、披針形、鋭形、雄しべは3~5本。雌花は花被片が3~5個、不等長、最も長い花被片は長さ2.3~3.5㎜、その他は長さ1.2~2㎜、長円形~披針条線形、先は鋭形~芒状、柱頭は2~3個、広がる。果実は横周裂開または非裂開、長さ2~3㎜、卵形、普通、花被片より長く、±先端近くにしわが寄り、非裂開のときはほぼ平滑、灰クリーム色~薄褐色。種子は長さ0.9~1.3 mm、レンズ形、楕円形、卵形、暗褐色~黒色、平滑、光沢がある。2n=32,34。花期は6~10月
15 Amaranthus retroflexus L. アオゲオトウ 青鶏頭
熱帯アメリカ原産又は北アメリカ原産。中国名は反枝苋 fan zhi xian。英名はredroot amaranth, redroot pigweed。別名はアオビユ。
1年草。高さ15~150(200)㎝。茎は直立し、緑色~紅色。葉は長さ2~15㎝、幅1~7の菱状卵形、ほとんど無毛。葉柄は長さ2.5~8㎝。花穂(花序の小枝)は緑色で、長さ5~5(10)㎝、幅1.2~2.5㎝の円柱状。花穂の間隔がやや広く、横にも開く。花序軸には縮れ毛がある。雄花は等長の花被片4~5個、長さ2~3㎜、雄しべ(3)4~5個。雌花は花被片5個、長さ2~3.2㎜、長さがほぼ等しいさじ形で、上部の幅が広く、果実より明らかに長いのが特徴である。小苞は先が刺状になり、長さ (2.5)4~6(8)㎜、長さが花被片の1.5~3倍ある。花柱3個。胞果は長さ1.7~2.5㎜、熟すと横に裂開する。種子は長さ1~1.3㎜、光沢があり、暗褐色~黒色の円盤状。花期は8~10月。
16 Amaranthus spinosus L. ハりビユ 針覓
熱帯アメリカ原産。中国名は刺苋 ci xian。英名はspiny amaranth , thorny amaranth。
1年草。高さ40~80㎝。茎は直立する。葉は互生し、長さ2~10㎝、幅1.5~5㎝の狭卵形~菱状卵形、鈍頭、長さ4~9㎝の長柄がある。葉腋に長さ8~15(25)㎜の2個の鋭い刺があるのが特徴。茎頂に分枝した花序をつける。花穂(花序の小枝)は長さ3~17㎝、幅4~13㎜と長く、球状に集まった花が数珠状につき、茎のかなり下部の葉腋まで球状に集まった花がつく。胞果は長さ1.5~2.2㎜、花被片とほぼ同長で、柱頭が長い。小苞の長さは花被片以下と短い。種子は直径0.8~1.0㎜の暗褐色~黒色の円盤状。2n=34,68。花期は8~10月。
17 Amaranthus tricolor L. ヒユ 覓 [広義]
synonym Amaranthus tricolor L. var. inamoenus (Willd.) Thell.
synonym Amaranthus mangostanus L.
synonym Amaranthus inamoenus Willd.
synonym Amaranthus gangeticus L.
熱帯アジア原産。中国名は苋 xian。英名はedible amaranth , bireum , tampala , tandaljo , or tandalja bhaji , callaloo , Joseph's coat。
茎は緑色又は赤色、高さ80~150㎝、丈夫、しばしば分枝する。葉柄は緑色又は赤色、長さ2~6㎝。葉身は緑色、赤色、紫色又は黄色、卵形~卵状菱形~披針形、長さ4~10㎝×幅2~7㎝、無毛、基部は楔形、縁は全縁又は波打ち、先は鈍形又は凹頭で微突端。花は葉腋に密に束生又は先の穂状花序につく。雄花と雌花は同じ花序につく。苞と小苞は卵状披針形、長さ2.5~3㎜、透明、先は長く尖る。雄しべ3個。柱頭は3個。胞果(utricle)は花被に包まれ、卵状長楕円形、長さ2~2.5㎜、横周裂開(circumscissile)。種子は褐黒色、類球形又は倒卵形、直径約1㎜。花期は5~8月。果期は7~9月。2n=34,68,85。
品種) 'Aurora' , 'Aurora Yellow' , 'Carnival' , 'Dwarf Fountain' , 'Early Splendor' , 'Hartman's Giant' , 'Illumination' , 'Joseph's Coat' , 'Kahulu' , Merah' , 'Molten Fire' , 'Perfecta' , 'Puteh' , 'Red Army' , 'Red Leaf' , 'Splendens' , 'Tete d'elephant', 'Tricolor Perfecta' , 'Yellow Splendor'
17-1 Amaranthus tricolor L. var. mangostanus (L.) Aellen ヒユ 狭義
食用品種をヒユと呼ぶ。
17-2 Amaranthus tricolor L. subsp. tricolor ハゲイトウ 葉鶏頭
synonym Amaranthus gangeticus L.
synonym Amaranthus tricolor L. var. gangeticus (L.) Fiori
おそらく熱帯アジア原産
葉は赤色、黄色、3色など鮮やかな色になり、葉の観賞用に栽培される。葉の観賞時期は8~11月下旬。多数の品種があり、矮性品種もある。
17-3 Amaranthus tricolor var. salicifolius ヤナギバケイトウ
葉が細長い。
18 Amaranthus tuberculatus (Moq.) J.D.Sauer ヒユモドキ 覓擬
synonym Amaranthus rudis J.D.Sauer
synonym Amaranthus tuberculatus (Moq.) J.D. Sauer var. rudis (J.D. Sauer) Costea & Tardif
USA原産。英名はroughfruit amaranth , rough-fruited water-hemp , tall waterhemp , common waterhemp。
1年草。高さ50~150(200)㎝。雌雄異株。茎は直立または斜上し、分枝またはたまに分枝せず、緑色または紫色、ほぼ無毛。葉柄は長さ20~60㎜。葉身は長さ15~150㎜×幅5~30㎜、卵形、長円形、上部では楕円形~狭披針形、基部は狭いくさび形、縁は全縁、先は鈍形~鋭形。花序は頂生、ほぼ直立、線形の穂状花序~密な円錐花序、主軸はたまに間隔が開き、葉は有または無、長さ3~15㎝×幅0.5~1.2㎝、緑色~紫色。雄花は苞が長さ1.5~2㎜、花被より短く、三角状卵形、中肋はあまり目立たない。雌花は苞が長さ1.5~2.2㎜、花被の長さと同じで、刺のような、披針状卵形。雄花は花被片が5個、ほぼ等長、内側の花被片は長さ2~2.5㎜、楕円状倒卵形、鈍形またはノッチがある。外側の花被片は長さ2.5~3㎜、披針状楕円形、先は尖鋭形で微突形、雄しべは5本。発達した雌花は花被片が1~2個だけで、その他は無くなる。柱頭は3個、直立する。果実は横周裂開、長さ1.5~2㎜、卵形、しわがあり、緑褐色または帯赤色。種子は長さ0.8~1㎜、レンズ形、楕円形~倒卵形~暗赤褐色、平滑、光沢がある。2n=34。花期は7~10月。
19 Amaranthus viridis L. ホナガイヌビユ 穂長犬覓
synonym Amaranthus gracilis Desf. ex Poir.
南アメリカ原産。中国名は皱果苋 zhou guo xian。英名はgreen amaranth, slender amaranth, pigweed。別名はアオビユ。
世界に広く分布し、原産地ははっきりしないが、南アメリカ原産と推定されている。
1年草。高さ40~90㎝。茎は直立し、分枝する。葉は互生し、長さ2~8㎝、幅1.5~5㎝の三角状卵形~菱状卵形、基部は楔形になることは少なく、やや楔形のほぼ切形。葉先は鈍頭、少し凹む場合もある(下の写真)。葉柄は長さ3~8㎝、葉身の0.5~1.5倍の長さ。茎頂に分枝した花序をつける。花序の枝先が上を向いて尖るのが特徴。ホナガイヌビユと名がつけられているが、初期には花序が短いものが普通である。雄花と雌花が混生する。胞果は長さ1.2~1.5㎜、表面に、はっきりしたしわがあり、熟すと淡褐色~褐色になり硬くなる。胞果は花被片よりやや長く、小苞は小さく目立たない。種子は直径1~1.2㎜の黒褐色~黒色の円盤状で、表面の光沢は他のヒユに比べ鈍い。2n=34。花期は6~11月
20 Amaranthus blitum L. x A. viridis L. アイノコイヌビユ
イヌビユとホナガイヌビユの雑種。
21 Amaranthus x ozanonii Thell. アレチアオゲイトウ
synonym Amaranthus x galii Sennen et Gonzalo ex Pritzter
synonym Amaranthus × ralletii Contré
メキシコ原産。 A. retroflexus とA. hybridusの交雑種。
22 その他
品種) 'Annapurna' , 'Autumn Palette' , 'Bolivia 153' , 'Burgundy' , 'Dark Foxtail' , 'Flaming Fountains' , 'Garnet Red' , 'Golden' , 'Green Cathedral' , 'Hopi Red Dye' , 'Intense Purple' , 'Magic Fountains' , 'Mercado' , 'New Mexico' , 'Opopeo' , 'Plainsman' , 'Popping' , 'Tarahumara Okite' , 'Trompe d'Elephant'
参考
1) Amaranthus in Flora of China @ efloras.orgAmaranthus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=101257
2) Amaranthus in Flora of North America @ efloras.orgAmaranthus Linnaeus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=101257
3) The Jepson HerbariumAmaranthus hybridus
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=12924
4)Key to Amaranthus - Jepson HerbariumKey to Amaranthus
http://ucjeps.berkeley.edu/cgi-bin/get_IJM.pl?key=9077
5)GRIN
List of Species Records in GRIN https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=484
6)Plants of the World Online | Kew Science
Amaranthushttp://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:327362-2
7)World Flora Online<
Amaranthushttp://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000001466