ヒナギキョウ 雛桔梗

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Flora of Mikawa

キキョウ科 Campanulaceae ヒナギキョウ属

中国名 蓝花参 lan hua shen
英 名 southern rockbell
学 名 Wahlenbergia marginata (Thunb.) A.DC.
ヒナギキョウ花
ヒナギキョウ花横
ヒナギキョウ白花
ヒナギキョウ果実
ヒナギキョウ果実の上部
ヒナギキョウ葉
ヒナギキョウ
ヒナギキョウの葉表
ヒナギキョウの葉裏
ヒナギキョウの種子
花 期 4~9月
高 さ 20~40㎝
生活型 多年草
生育場所 日当たりのよい道端
分 布 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、スリランカ、カンボジア、マーレーシア、ミャンマー、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド
撮 影 蒲郡市形原町  01.9.02
ヒナギキョウ属は日本には1種だけ。和名の由来はキキョウに似て小さいことから。道端でよく目にすることができ、花期が長く春から秋まで見られる。
 茎は稜があり、細く、根元で枝分かれする。葉は互生し、根元の葉は無柄~長さ7㎜以下の短柄、落ちやすい。葉身は長さ20~40㎜、幅2~8㎜のへら形~倒披針形~惰円形~線形、波状の鋸歯がある。上部の茎葉は幅が狭い。花は頂生ときに側生、長さ10~20㎝の長い花茎の先に1個ずつ花をつける。花冠は長さ3~12㎜、広鐘形、5裂する。まれには4裂の場合もあり、白花も見られる。萼も5裂し、裂片は披針形。雄しべ5個。花柱の先は3裂する。子房下位。蒴果は直立し、長さ3~8㎜、萼裂片が残り、熟すと上部が縦に3裂する。種子は長さ0.3~0.5㎜、黄褐色~暗褐色、平滑。2n=36, 72。
 キキョウソウ Triodanis perfoliata やヒナキキョウソウTriodanis biflora は帰化種。キキョウソウ属であり、閉鎖花をつける。蒴果は側面に穴が開き、種子がこぼれる。
 タニギキョウ Peracarpa carnosa は山地の木陰などに群生し、花が白色。葉が卵円形、葉柄が長い。

ヒナギキョウ属

  family Campanulaceae - genus Wahlenbergia

 多年草又は1年草、まれに亜低木又は低木。葉は茎葉としばしば根生葉がロゼットになり、互生、まれに対生、普通、葉柄が無い。花は小~中型、無柄又は花柄があり、頂生又は腋生、単生又は密穂花序につき、円錐花序になり、又は束生する。萼片は典型的に5個、花冠は青色又は白色、鐘形又は漏斗形、浅裂、裂け、又は分裂し、裂片は5個。雄しべは5本。花糸は分離、基部は三角状に広がり、広がった部分に縁毛がある。葯は密着する。子房は下位、2~3(~5)室。柱頭は2~3(~5)裂、裂片は線形。蒴果は先で胞背裂開する。種子は多数又は少数。
 世界に約260種があり、主に南半球に分布し、特に南アフリカに多く、北~西ヨーロッパ、南アジア、南アメリカ北部に広がる。

ヒナギキョウ属の主な種

1 Wahlenbergia albomarginata Hook.
 ニュージーランド原産。英名はHarebell。
 多年草、根生のロゼット葉をもち、ときに長い茎に葉が互生する(日陰形)。葉は多少、葉柄があり、全縁または歯状~波状で、葉身は長さ10㎜×幅2㎜~長さ40㎜×幅10㎜、線形~楕円形、または卵形~倒卵形で、基部は次第に狭くなり、葉柄は葉身と同長またはそれ以上ある。花は狭い鐘状車形、花冠は淡い亜麻色(flax blue)~淡青紫色、しばしば、白色の帯と濃色の葉脈があり、またはすべて白色になり、直径10~25㎜、長さ10~20㎜。花冠筒部は長さ4㎜×幅3㎜~長さ10㎜×幅6㎜、花冠裂片は長さ6㎜×幅3㎜~長さ12㎜×幅5㎜。花柱の長さは花冠筒部と同長で、裂片は2~3個。萼片は花冠の長さより短い。蒴果はドーム状の円筒形、長さ6~8㎜×幅約4mm。種子は長さ0.5 mm、楕円形、平滑、成熟すると光沢のある褐色になる。通常、自然の生息地では昆虫によって受粉されるが、栽培で種子を付けることはほとんどない。花期は11~4月。果期は12~4月。
品種) 'Blue Mist'

2 Wahlenbergia marginata (Thunb.) A.DC. ヒナギキョウ 雛桔梗
 日本(本州(関東地方以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、スリランカ、カンボジア、マーレーシア、ミャンマー、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド原産。中国名は蓝花参 lan hua shen。英名はsouthern rockbell。
 多年草。高さ20~40㎝。茎は稜があり、細く、根元で枝分かれする。葉は互生し、根元の葉は無柄~長さ7㎜以下の短柄、落ちやすい。葉身は長さ20~40㎜、幅2~8㎜のへら形~倒披針形~惰円形~線形、波状の鋸歯がある。上部の茎葉は幅が狭い。花は頂生ときに側生、長さ10~20㎝の長い花茎の先に1個ずつ花をつける。花冠は長さ3~12㎜、広鐘形、5裂する。まれには4裂の場合もあり、白花も見られる。萼も5裂し、裂片は披針形。雄しべ5個。花柱の先は3裂する。子房下位。蒴果は直立し、長さ3~8㎜、萼裂片が残り、熟すと上部が縦に3裂する。種子は長さ0.3~0.5㎜、黄褐色~暗褐色、平滑。2n=36, 72。花期は4~9月。

3 Wahlenbergia procumbens (L.f.) A.DC. ワーレンベルギア・プロクンベンス

 南アフリカ原産。英名は wild violet , mat Capebell。平地の全体に水の多い場所に生える。
 無毛またはほぼ直軟毛がある。茎は這い、分枝する。葉は対生または輪生、卵形、楕円形または倒卵形、先は鈍形、縁はほぼ全縁。小花柄は頂生および腋生、葉より1~4倍長い。萼筒は卵形、裂片とほぼ同長、無毛、または短い伏毛がある。花冠は長さが萼の3倍。蒴果は亜球形。
品種) 'Spici Bell' (PBR)

4 Wahlenbergia rivularis Diels ワーレンベルギア・リブラリス
 南アフリカ原産。英名はwhite african bluebell , small river buttercup。中湿性草原、草原、川岸、林縁に生える。
 多年草、直立性、高さ0.4~0.7m。葉は多数、卵形~狭卵形~楕円形~披針形、最大長さ40㎜x幅20㎜、先は鈍形~鋭形、縁は平らで、まばらに毛が生える。緩い花序で、花に小花柄がある。花冠は明瞭な筒部を持ち、花冠は約・長さ20㎜×幅15㎜、クリーム色または淡黄色、外面には藤色の中脈がある。花期は1~3月。
品種)  'Snow-cap'

5 Wahlenbergia undulata (L.f.) A.DC. ワーレンベルギア・アンデュラタ

 アフリカ南部、マダガスカル原産。英名はAfrican bluebell , wavy-leaf bluebell , pale bluebell , African bellflower 。標高2000m以上の草原、しばしば岩が多い場所や季節的に湿る場所に生える。栽培され、道端や耕地にも生える。
 多年草または1年草、高さ20~90㎝。 茎は無毛か、下部に毛があることが多い。葉は茎の下部に密集し、ほぼ線形~狭披針形、長さ10~70㎜、無柄、中肋は下面に隆起し、側脈は不明瞭、縁は全縁または歯があり、明らかに波打つ。花序は緩い。花冠は鐘形、深く5裂し、白色~クリーム色~青色~藤色、または紫色。蒴果は長さ3~12㎜、約10脈があり、3バルブを備え、長さ1~3㎜。花期は9~3月。
品種) 'Melton Bluebird'

6 その他ハイブリッド
品種) 'Blue Melody' , 'Tasmanian Skies'

参考

1) Flora of China
 Wahlenbergia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=134719
2)GRIN
 Wahlenbergia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=12760
3)Kewscience
 Wahlenbergia
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:332055-2
 Wahlenbergia undulata
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:145987-1
4) Flora of New Zealand
 Wahlenbergia albomarginata
http://www.nzflora.info/factsheet/Taxon/Wahlenbergia-albomarginata.html