ヒメオドリコソウ 姫踊子草
Flora of Mikawa
シソ科 Lamiaceae オドリコソウ属
英 名 | purple dead-nettle , red dead-nettle, red archangel/td> |
学 名 | Lamium purpureum L. |
花 期 | 3~10月 |
高 さ | 10~45㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 道端、草地 |
分 布 | 帰化種 ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産 |
撮 影 | 幡豆町 06.3.25 |
ヒメオドリコソウはシソ科オドリコソウ属の道端などで見られる雑草。明治中頃に渡来したもの。茎は四角形で、下向きの白毛が生える。暖かい場所では冬にも花が見られる。
1年草。高さ10~45㎝。茎は基部で分枝し、四角形で、しばしば紫色を帯び、下向きの白毛が生える。暖かい場所では冬にも花が見られる。葉は長さ1~5㎝、三角状卵形、鈍頭、基部は心形、縁は規則的な円鋸歯(やや不規則)~円鋸歯状鋸歯、脈が深く、花期に赤紫色を帯び、有柄。葉裏は軟毛が密生してやや白く、腺点がある。苞は葉に似るが、基部が円形又は切形、有柄又は上部ではほぼ無柄。花序はかなり密。萼は長さ5~7㎜、筒状鐘形、軟毛がある。萼歯は5個、萼筒の長さとほぼ同長、果時に広がり、裂片の先がとがり、裂片の先に延びるように脈が隆起し、脈の一部が紫褐色になる。花冠は長さ10~15㎜、ピンク紫色、花冠の下唇は長さ1.5~2.5㎜、花冠筒部は萼より長く、基部近くに毛の輪をもつ。雄しべ4個。花粉は橙色。花柱は先が2裂する。小堅果は約長さ2.3㎜×幅1.3㎜、3稜があり、頭部はほぼ平ら、平滑、オリーブ色~褐灰色、しばしば、白色の斑点があり、基部に大きな種沈がつく。2n=18。花期は3~10月。
ホトケノザより花が小さく、頭頂部にはあまりつかない。よく似ていて葉の鋸歯が深く切れ込むものはモミジバヒメオドリコソウ(別名キレハヒメオドリコソウ)。
ヒメオドリコソウ Lamium purpureum L.には4変種がある。モミジバヒメオドリコソウはヒメオドリコソウの変種 var. hybridum とされることもある。
1 Lamium purpureum L. ヒメオドリコソウ 姫踊子草
synonym Lamiopsis purpurea (L.) Opiz
ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産。英名はpurple dead-nettle , red dead-nettle, red archangel。日本、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリアなどに帰化している。明治中頃に日本に渡来した。道端や草地に生える。
1年草。茎は直立または傾伏し、単純または分枝し、高さ(5~)10~30(~55)㎝、直径1~2 mm、無毛~ほぼ無毛、まれに毛が密生する。葉: 葉柄は長さ(0.5~)1~4(~6.5)cm、長さは通常葉身よりも長く、上部の葉は無柄。葉身は心形~菱形~腎形、上部の葉は卵形または倒卵形、基部が心形または切形、先は鋭形、縁はかすかに円鋸歯~深く不規則に欠刻状に切込みがあり、両面は軟毛~伏剛毛がある(strigose)。茎葉は長さ0.5~3.5(~6)㎝、葉形指数(index:葉長/葉幅)は(0.6~)0.9-1.1(~1 5) 花葉(floral leaves;輪散花序をもつ葉)は長さ0.5~4(~7)㎝、葉形指数は(0.7~)0.8~1.1(~1.5)。輪散花序は4~8個、密集または間隔が離れてつき、各輪に花が(4~)12~18(~20)個つく。苞はときに葉と区別するのが難しく、長さは(1~)2~3(~5)㎜、幅約0.5㎜、粗毛があり、短い腺毛が常に存在するわけではない。萼は通常10本の明瞭な脈を持ち、ときにそれ以上の脈があり、主な脈はしばしば紫色になり、長さ0.5~0.8(~1)㎝、花後は長くなり、基部はほぼ無毛で、先に向かってより密に毛が生える。萼歯は萼筒と同長またはそれより短く、狭三角形で、縁に短い腺毛があるが、常にあるとは限らない。。花冠は赤紫色、まれに白色、長さ(0.5~)0.8~1.8(~2)㎝、花冠筒部は急に広がり、長さ(0.5~)0.8~1(~1.3)㎝、常に萼から突き出るわけではなく、外側は基部が無毛、唇に向かって微軟毛があり、内側は通常、基部から1~2㎜の位置の背側に垂直な毛の輪がある。上唇はアーチ形、長さ(1~)2~3(~4)㎜×幅(1~)2~3㎜、先は丸く、縁は全縁~かすかに波打ち、外側には毛があり、内側は無毛。下唇は上唇とほぼ同長で、上唇に対して直角になり、無毛。側裂片は丸く、長さ0.8~1.3㎜、歯は長さ約0.5㎜。中裂片は長さ1.5~2.5㎜×幅2.5~4.5㎜、2深裂し、縁は波打つ。前側の雄しべは長さ(4~)5~6㎜、後側の雄しべより約1~2㎜短く、約1㎜m低くつく。花糸は通常、腺毛がない。葯は長さ(0.8~)1~1.3㎜×幅約0.5㎜。花粉は赤橙色。花盤は幅約0.3㎜。花柱は花冠とほぼ同長、無毛。小堅果は長さ2~3(~3.3)㎜×幅(1~)1.3~1.5(~2)㎜。[A taxonomic revision of Lamium (Lamiaceae) ; J. Mennema 1989の解説]
レバノン・シリア、トルコ原産。レバノンの山岳地帯ではそれほど珍しくない。標高1700~2300m岩の多い斜面、ときに草原に生える。
茎は高さ(<)5(~10)㎝。葉身は心形~(上部で)菱形、かすかに円鋸歯があり、両面に毛がある。茎葉は長さ約0.5㎝、葉形指数は1.0~1.2。花葉(floral leaves;輪散花序をもつ葉)は長さ約1㎝、葉形指数は1.2~1.3。輪散花序は密集し、ほとんどが閉花性。萼片は長さ0.5~0.8㎝、萼歯は短く、萼筒は萼歯の1.5~2倍の長さ。通常の花の花冠は長さ約1.5㎝、閉花性の花冠は著しく短く、内部に毛の輪が見られる。小堅果は長さ1.5(~2.8)㎜×幅1.3~1.5㎜。花期は5~9月。
synonym Lamium purpureum subsp. incisum (Willd.) Hartm.
synonym Lamium aeolicum Lojac.
synonym Lamium confusum Martrin-Donos
synonym Lamium felixii L.C.Lamb.
ヨーロッパ、レバノン・シリア、トルコ、アルジェリア原産。海抜0~2000mの耕作地、庭、道端、荒れ地、山の岩、森林などに生える。
茎は高さ(10~)20~30(~55)㎝。葉身は心形~上部で卵形または倒卵形、縁は深く不規則に切れ込みがあり、両面に毛がある。茎葉は長さ(0.5~)1~3.5(~6)㎝、指数(index)は(0.7~)0.9~1.1(~1.3)。花の葉(floral leaves)は長さ(1~)1.5~4(~7.5)㎝、指数(index)は(0.8~)0.9~1.1(~1.3)。輪散花序は密集する。萼は長さ(0.5~)7.5(~1)㎝、萼歯は萼部と同長かまたはそれより短い。花冠は長さ(1~)1.5(~2)㎝、花冠筒部は萼から突出し、内部の毛の輪毛は有または無。小堅果は長さ(2.5~)2.8~3(~3.3)㎜×幅(1.3~)1.5(~2)㎜。
ヨーロッパ(ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、フォロア、ドイツ、オランダ、ヨーロッパロシア、スウェーデン、スイス原産。英名はnorthern dead-nettle。低地の耕作地、庭、道端、空き地に生える。
1年草、高さ40㎝以下、ホトケノザより丈夫、綿毛がある。葉はやや三角形状の丸味のある卵形、縁には切れ込み又は鋸歯がある。苞は抱茎でなく、最下部の苞に短柄がある。花は花冠が長さ15㎜以下。花冠筒部は基部近くで急にくびれない。下唇は長さ約4㎜。萼は花時に長さ8~12㎜、伏毛があり、萼歯は普通、萼筒より長く、果時に広がる。小堅果は倒三角形、背側は凸面、腹側は屋根状、先は切形、底部は狭く、基部に橙色の種沈(curncula)がつき、長さ2~2.8㎜×幅1.1~1.3㎜、表面はいぼがあり、わずかに光沢があり、帯灰色。2n=36。Lamium amplexicaule(ホトケノザ)とLamium purpureum(ヒメオドリコソウ)のハイブリッド起源とされている。花期は5~9月。
synonym Lamium purpureum f. albiflorum H.Lindb.
茎は高さ(5~)15~30(~0)cm。葉身は心形~(下部)腎形、上部の葉身は卵形~倒卵形、かすかに円鋸歯があり、毛があり、特に上部に多い。茎葉は長さ(0.5~)1.5~2(~5)cm、指数は(0.8-)1.0~1.1(~1.5)cm、花葉は長さ(1~)1.5~2(~5)cm、指数は(0.8~)0.9~1.3(~1.5)cm。輪散花序は密集する。萼片は長さ0.5~0.8cm、歯は普通、筒部と同長。花冠は長さ(1~)1.3~1.5(~2)cm、筒部はほとんど萼片から突出せず、内部の輪毛は常に存在する。小堅果は長さ(2~)2.3~2.5(~2.8)×幅(1~)1.3~1.5mm。
synonym Lamium purpureum var. hybridum (Vill.) Vill.
synonym Lamium dissectum With
synonym Lamium hybridum subsp. dissectum (With.) Gams
synonym Lamium incisum var. cryptanthum Pau
ヨーロッパ(オーストリア、バルト諸国、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナリア諸島、ヨーロッパロシア、チェコスロバキア、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、マデイラ諸島、オランダ、ポーランド、ポルトガル、サルデーニャ、スペイン、スウェーデン、スイス)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ)原産。北アメリカ、日本、ニュージーランドなどに帰化。英名はcut-leaved deadnettle , hybrid deadnettle。別名はキレハヒメオドリコソウ。ヨーロッパで普通に見られ、アメリカなどに帰化している。Lamium bifidum Cirilloと Lamium purpureum(ヒメオドリコソウ)の交雑起源とされていたが、ホトケノザとヒメオドリコソウの交雑起源ともいわれている。POWOでは独立種としているが、ヒメオドリコソウの変種や亜種とする見解もある。
1992年に初めて横浜市で確認され、現在では関東から九州に帰化している。三河地域にもかなり見られるようになっており、蒲郡市、岡崎市、幸田町、豊田市で確認している。特に幸田町、岡崎市などでは多く、大群生が見られ、ヒメオドリコソウより多くなっているところも多い。
1年草(越年草 winter annual)、高さ10~30㎝。不快な匂いがある。わずかに毛があり、茎は4稜形、斜上する。葉柄は細く、長さ4㎝以下。葉身は長さ1.5~4㎝×幅2~5㎝(花葉はしばしば小さい)、広卵形~ほとんど腎形、不規則な深い歯(欠刻状の歯状)又は円鋸歯があり、毛があり、基部は心形又は類心形。苞は葉に似るが、葉柄が短く、葉身は長さ3.5㎝×幅5㎝以下、基部が切形、葉柄に沿下する。萼は長さ8~10㎜、白毛と腺点があり、萼歯は萼筒と同長、錐形、明瞭な縁毛があり、萼片の先が尖り、萼片の先に延びるように脈が隆起し、脈の一部が紫褐色になる。花冠は長さ10~15㎜、淡紅色(ピンク色)、蕾もピンク色、花冠筒部は内側にほとんど不明瞭な毛の輪をもつ。花冠に濃色の斑紋があるものと不明瞭なものがある。上唇は長さ3~4㎜、外側に開出する直軟毛がある。下唇は長さ約2㎜、深く凹形。果実は4分離果、上から見ると十字に4個に分かれる。小堅果は倒卵形、背側はわずかに凸面、両腹側は平らで屋根形、角(かど)が鋭く、基部は狭く膜質、長さ2.1~2.4㎜×幅1.1~1.3㎜、帯白色の斑紋(いぼ)があり、光沢が鈍く、灰褐色、基部に種沈がつく。2n=36。花期は11~7月。6月末でも花が満開の場所もあるほどである。
【変種とする解説】
茎は長さ10~20(~25)㎝。葉身は心形~(下部)腎形で、深く不規則に欠刻状の切れ込みがあり、両面に軟毛~伏剛毛(strigose)がある。茎葉は長さ0.5~1.5㎝、葉形指数は(0.6~)0.9~1.1(~1.3)。花葉(floral leaves)は長さ1~1.5(~2)㎝、指数は(0.7~)1.0(~1.2)。輪散花序は密集している。萼片は長さ(0.5~)0.8㎝、歯は筒部より短いことが多い。花冠は長さ(0.5~)0.8~1.3㎝、花冠筒部は通常萼片から突出せず、通常、内部に輪状に生える毛がある。小堅果は長さ(2.3~)2.5㎜×幅1.3~1.5㎜。
ヒメオドリコソウは明治中頃に渡来し、どこでも見られるようになっているが、これによく似て葉の鋸歯が深く切れ込むものである。葉の色はヒメオドリコソウほど紫色が強くなく、ホトケノザと同じような色をしている。ホトケノザより花が短く、ヒメオドリコソウより花が長く、中間の形態をしている。花は下唇の形がホトケノザとやや異なり、花の色もうすく、ツボミがピンク色である。花色は淡紅色が普通であり、淡青色のものも見られる。
A taxonomic revision of Lamium (Lamiaceae) ; J. Mennema
1年草。高さ10~45㎝。茎は基部で分枝し、四角形で、しばしば紫色を帯び、下向きの白毛が生える。暖かい場所では冬にも花が見られる。葉は長さ1~5㎝、三角状卵形、鈍頭、基部は心形、縁は規則的な円鋸歯(やや不規則)~円鋸歯状鋸歯、脈が深く、花期に赤紫色を帯び、有柄。葉裏は軟毛が密生してやや白く、腺点がある。苞は葉に似るが、基部が円形又は切形、有柄又は上部ではほぼ無柄。花序はかなり密。萼は長さ5~7㎜、筒状鐘形、軟毛がある。萼歯は5個、萼筒の長さとほぼ同長、果時に広がり、裂片の先がとがり、裂片の先に延びるように脈が隆起し、脈の一部が紫褐色になる。花冠は長さ10~15㎜、ピンク紫色、花冠の下唇は長さ1.5~2.5㎜、花冠筒部は萼より長く、基部近くに毛の輪をもつ。雄しべ4個。花粉は橙色。花柱は先が2裂する。小堅果は約長さ2.3㎜×幅1.3㎜、3稜があり、頭部はほぼ平ら、平滑、オリーブ色~褐灰色、しばしば、白色の斑点があり、基部に大きな種沈がつく。2n=18。花期は3~10月。
ホトケノザより花が小さく、頭頂部にはあまりつかない。よく似ていて葉の鋸歯が深く切れ込むものはモミジバヒメオドリコソウ(別名キレハヒメオドリコソウ)。
ヒメオドリコソウの下位分類
ヒメオドリコソウ Lamium purpureum L.には4変種がある。モミジバヒメオドリコソウはヒメオドリコソウの変種 var. hybridum とされることもある。
1 Lamium purpureum L. ヒメオドリコソウ 姫踊子草
synonym Lamiopsis purpurea (L.) Opiz
ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産。英名はpurple dead-nettle , red dead-nettle, red archangel。日本、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリアなどに帰化している。明治中頃に日本に渡来した。道端や草地に生える。
1年草。茎は直立または傾伏し、単純または分枝し、高さ(5~)10~30(~55)㎝、直径1~2 mm、無毛~ほぼ無毛、まれに毛が密生する。葉: 葉柄は長さ(0.5~)1~4(~6.5)cm、長さは通常葉身よりも長く、上部の葉は無柄。葉身は心形~菱形~腎形、上部の葉は卵形または倒卵形、基部が心形または切形、先は鋭形、縁はかすかに円鋸歯~深く不規則に欠刻状に切込みがあり、両面は軟毛~伏剛毛がある(strigose)。茎葉は長さ0.5~3.5(~6)㎝、葉形指数(index:葉長/葉幅)は(0.6~)0.9-1.1(~1 5) 花葉(floral leaves;輪散花序をもつ葉)は長さ0.5~4(~7)㎝、葉形指数は(0.7~)0.8~1.1(~1.5)。輪散花序は4~8個、密集または間隔が離れてつき、各輪に花が(4~)12~18(~20)個つく。苞はときに葉と区別するのが難しく、長さは(1~)2~3(~5)㎜、幅約0.5㎜、粗毛があり、短い腺毛が常に存在するわけではない。萼は通常10本の明瞭な脈を持ち、ときにそれ以上の脈があり、主な脈はしばしば紫色になり、長さ0.5~0.8(~1)㎝、花後は長くなり、基部はほぼ無毛で、先に向かってより密に毛が生える。萼歯は萼筒と同長またはそれより短く、狭三角形で、縁に短い腺毛があるが、常にあるとは限らない。。花冠は赤紫色、まれに白色、長さ(0.5~)0.8~1.8(~2)㎝、花冠筒部は急に広がり、長さ(0.5~)0.8~1(~1.3)㎝、常に萼から突き出るわけではなく、外側は基部が無毛、唇に向かって微軟毛があり、内側は通常、基部から1~2㎜の位置の背側に垂直な毛の輪がある。上唇はアーチ形、長さ(1~)2~3(~4)㎜×幅(1~)2~3㎜、先は丸く、縁は全縁~かすかに波打ち、外側には毛があり、内側は無毛。下唇は上唇とほぼ同長で、上唇に対して直角になり、無毛。側裂片は丸く、長さ0.8~1.3㎜、歯は長さ約0.5㎜。中裂片は長さ1.5~2.5㎜×幅2.5~4.5㎜、2深裂し、縁は波打つ。前側の雄しべは長さ(4~)5~6㎜、後側の雄しべより約1~2㎜短く、約1㎜m低くつく。花糸は通常、腺毛がない。葯は長さ(0.8~)1~1.3㎜×幅約0.5㎜。花粉は赤橙色。花盤は幅約0.3㎜。花柱は花冠とほぼ同長、無毛。小堅果は長さ2~3(~3.3)㎜×幅(1~)1.3~1.5(~2)㎜。[A taxonomic revision of Lamium (Lamiaceae) ; J. Mennema 1989の解説]
1-1 Lamium purpureum var. ehrenbergii (Boiss. & Reut.) Mennema
synonym Lamium ehrenbergii Boiss. & Reut.レバノン・シリア、トルコ原産。レバノンの山岳地帯ではそれほど珍しくない。標高1700~2300m岩の多い斜面、ときに草原に生える。
茎は高さ(<)5(~10)㎝。葉身は心形~(上部で)菱形、かすかに円鋸歯があり、両面に毛がある。茎葉は長さ約0.5㎝、葉形指数は1.0~1.2。花葉(floral leaves;輪散花序をもつ葉)は長さ約1㎝、葉形指数は1.2~1.3。輪散花序は密集し、ほとんどが閉花性。萼片は長さ0.5~0.8㎝、萼歯は短く、萼筒は萼歯の1.5~2倍の長さ。通常の花の花冠は長さ約1.5㎝、閉花性の花冠は著しく短く、内部に毛の輪が見られる。小堅果は長さ1.5(~2.8)㎜×幅1.3~1.5㎜。花期は5~9月。
1-2 Lamium purpureum var. incisum (Willd.) Pers.
synonym Lamium incisum Willd.synonym Lamium purpureum subsp. incisum (Willd.) Hartm.
synonym Lamium aeolicum Lojac.
synonym Lamium confusum Martrin-Donos
synonym Lamium felixii L.C.Lamb.
ヨーロッパ、レバノン・シリア、トルコ、アルジェリア原産。海抜0~2000mの耕作地、庭、道端、荒れ地、山の岩、森林などに生える。
茎は高さ(10~)20~30(~55)㎝。葉身は心形~上部で卵形または倒卵形、縁は深く不規則に切れ込みがあり、両面に毛がある。茎葉は長さ(0.5~)1~3.5(~6)㎝、指数(index)は(0.7~)0.9~1.1(~1.3)。花の葉(floral leaves)は長さ(1~)1.5~4(~7.5)㎝、指数(index)は(0.8~)0.9~1.1(~1.3)。輪散花序は密集する。萼は長さ(0.5~)7.5(~1)㎝、萼歯は萼部と同長かまたはそれより短い。花冠は長さ(1~)1.5(~2)㎝、花冠筒部は萼から突出し、内部の毛の輪毛は有または無。小堅果は長さ(2.5~)2.8~3(~3.3)㎜×幅(1.3~)1.5(~2)㎜。
1-3 Lamium purpureum var. moluccellifolium Schumach.
synonym Lamium amplexicaule subsp. moluccellifolium (Schumach.) Fiori
synonym Lamium moluccellifolium (Schumach.) Fr.ヨーロッパ(ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、フォロア、ドイツ、オランダ、ヨーロッパロシア、スウェーデン、スイス原産。英名はnorthern dead-nettle。低地の耕作地、庭、道端、空き地に生える。
1年草、高さ40㎝以下、ホトケノザより丈夫、綿毛がある。葉はやや三角形状の丸味のある卵形、縁には切れ込み又は鋸歯がある。苞は抱茎でなく、最下部の苞に短柄がある。花は花冠が長さ15㎜以下。花冠筒部は基部近くで急にくびれない。下唇は長さ約4㎜。萼は花時に長さ8~12㎜、伏毛があり、萼歯は普通、萼筒より長く、果時に広がる。小堅果は倒三角形、背側は凸面、腹側は屋根状、先は切形、底部は狭く、基部に橙色の種沈(curncula)がつき、長さ2~2.8㎜×幅1.1~1.3㎜、表面はいぼがあり、わずかに光沢があり、帯灰色。2n=36。Lamium amplexicaule(ホトケノザ)とLamium purpureum(ヒメオドリコソウ)のハイブリッド起源とされている。花期は5~9月。
1-4 Lamium purpureum var. purpureum ヒメオドリコソウ 姫踊子草 狭義
synonym Lamium albiflorum Schursynonym Lamium purpureum f. albiflorum H.Lindb.
synonym Lamium purpureum f. albiflora Gérard シロバナヒメオドリコソウ 白花姫踊子草
ヨーロッパ(西部~ロシアまで広く分布)、西アジア(レバノン・シリア、トルコ)、アフリカ(アルジェリア、チュニジア、モロッコ)原産。海抜0~1800mまでの野原、庭、道端、茂み、荒れ地、ゴミの山、斜面、開けた森林、様々な土壌に生える。茎は高さ(5~)15~30(~0)cm。葉身は心形~(下部)腎形、上部の葉身は卵形~倒卵形、かすかに円鋸歯があり、毛があり、特に上部に多い。茎葉は長さ(0.5~)1.5~2(~5)cm、指数は(0.8-)1.0~1.1(~1.5)cm、花葉は長さ(1~)1.5~2(~5)cm、指数は(0.8~)0.9~1.3(~1.5)cm。輪散花序は密集する。萼片は長さ0.5~0.8cm、歯は普通、筒部と同長。花冠は長さ(1~)1.3~1.5(~2)cm、筒部はほとんど萼片から突出せず、内部の輪毛は常に存在する。小堅果は長さ(2~)2.3~2.5(~2.8)×幅(1~)1.3~1.5mm。
2 Lamium hybridum Vill. モミジバヒメオドリコソウ 紅葉姫踊子草
synonym Lamium purpureum subsp. hybridum (Vill.) Nymansynonym Lamium purpureum var. hybridum (Vill.) Vill.
synonym Lamium dissectum With
synonym Lamium hybridum subsp. dissectum (With.) Gams
synonym Lamium incisum var. cryptanthum Pau
ヨーロッパ(オーストリア、バルト諸国、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナリア諸島、ヨーロッパロシア、チェコスロバキア、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、マデイラ諸島、オランダ、ポーランド、ポルトガル、サルデーニャ、スペイン、スウェーデン、スイス)、アフリカ(アルジェリア、モロッコ)原産。北アメリカ、日本、ニュージーランドなどに帰化。英名はcut-leaved deadnettle , hybrid deadnettle。別名はキレハヒメオドリコソウ。ヨーロッパで普通に見られ、アメリカなどに帰化している。Lamium bifidum Cirilloと Lamium purpureum(ヒメオドリコソウ)の交雑起源とされていたが、ホトケノザとヒメオドリコソウの交雑起源ともいわれている。POWOでは独立種としているが、ヒメオドリコソウの変種や亜種とする見解もある。
1992年に初めて横浜市で確認され、現在では関東から九州に帰化している。三河地域にもかなり見られるようになっており、蒲郡市、岡崎市、幸田町、豊田市で確認している。特に幸田町、岡崎市などでは多く、大群生が見られ、ヒメオドリコソウより多くなっているところも多い。
1年草(越年草 winter annual)、高さ10~30㎝。不快な匂いがある。わずかに毛があり、茎は4稜形、斜上する。葉柄は細く、長さ4㎝以下。葉身は長さ1.5~4㎝×幅2~5㎝(花葉はしばしば小さい)、広卵形~ほとんど腎形、不規則な深い歯(欠刻状の歯状)又は円鋸歯があり、毛があり、基部は心形又は類心形。苞は葉に似るが、葉柄が短く、葉身は長さ3.5㎝×幅5㎝以下、基部が切形、葉柄に沿下する。萼は長さ8~10㎜、白毛と腺点があり、萼歯は萼筒と同長、錐形、明瞭な縁毛があり、萼片の先が尖り、萼片の先に延びるように脈が隆起し、脈の一部が紫褐色になる。花冠は長さ10~15㎜、淡紅色(ピンク色)、蕾もピンク色、花冠筒部は内側にほとんど不明瞭な毛の輪をもつ。花冠に濃色の斑紋があるものと不明瞭なものがある。上唇は長さ3~4㎜、外側に開出する直軟毛がある。下唇は長さ約2㎜、深く凹形。果実は4分離果、上から見ると十字に4個に分かれる。小堅果は倒卵形、背側はわずかに凸面、両腹側は平らで屋根形、角(かど)が鋭く、基部は狭く膜質、長さ2.1~2.4㎜×幅1.1~1.3㎜、帯白色の斑紋(いぼ)があり、光沢が鈍く、灰褐色、基部に種沈がつく。2n=36。花期は11~7月。6月末でも花が満開の場所もあるほどである。
【変種とする解説】
茎は長さ10~20(~25)㎝。葉身は心形~(下部)腎形で、深く不規則に欠刻状の切れ込みがあり、両面に軟毛~伏剛毛(strigose)がある。茎葉は長さ0.5~1.5㎝、葉形指数は(0.6~)0.9~1.1(~1.3)。花葉(floral leaves)は長さ1~1.5(~2)㎝、指数は(0.7~)1.0(~1.2)。輪散花序は密集している。萼片は長さ(0.5~)0.8㎝、歯は筒部より短いことが多い。花冠は長さ(0.5~)0.8~1.3㎝、花冠筒部は通常萼片から突出せず、通常、内部に輪状に生える毛がある。小堅果は長さ(2.3~)2.5㎜×幅1.3~1.5㎜。
ヒメオドリコソウは明治中頃に渡来し、どこでも見られるようになっているが、これによく似て葉の鋸歯が深く切れ込むものである。葉の色はヒメオドリコソウほど紫色が強くなく、ホトケノザと同じような色をしている。ホトケノザより花が短く、ヒメオドリコソウより花が長く、中間の形態をしている。花は下唇の形がホトケノザとやや異なり、花の色もうすく、ツボミがピンク色である。花色は淡紅色が普通であり、淡青色のものも見られる。
参考
1)Naturalis - E.J. BRILL LEIDEN • NEW YORK • K0BENHAVN •KOLN 1989A taxonomic revision of Lamium (Lamiaceae) ; J. Mennema