アゼナ 畔菜
Flora of Mikawa
アゼナ科 Linderniaceae アゼナ属
中国名 | 陌上菜 mo shang cai |
英 名 | prostrate false pimpernel , creeping slitwort, common false pimpernel |
学 名 | Lindernia procumbens (Krock.) Borbas |
花 期 | (6)8~10月 |
高 さ | 10~15㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 田の畔、湿った場所 |
分 布 | 在来種 本州、四国、九州、中国、台湾、ロシア、アフガニスタン、タジキスタン、インド、ネパール、パキスタン、インドネシア、タイ、ベトナム、ヨーロッパ南部 |
撮 影 | 幡豆郡幡豆町 05.9.21 |
1年草。叢生、直立し、高さ5~20㎝。茎は4稜形、多数分枝し、無毛。葉は対生し、無柄。葉身は楕円形~長円形、ときに菱形、長さ1~2.5(~3)㎝、幅0.6~1.2㎝、縁は全縁又は弱く鈍い歯があり、先は鈍形~円形、3~5脈が基部から平行に出て目立つ。花は腋生、単生。花柄は細く、無毛、長さ1.2~2㎝、普通、苞(花柄の基部につく葉)の1~1.5倍、しばしば花柄の長さが苞の2倍ほどになりヒメアメリカアゼナと見誤りやすい。萼はほとんど基部まで深裂し、萼片は線状披針形、長さ約4㎜、外側にまばらに軟毛があり、先は鈍形。花冠はピンク色~紫色、又は白色、長さ5~7㎜、筒部は長さ約3.5㎜。下唇は長さ約3㎜、3裂片があり、中裂片は円形で側裂片より大きく、側裂片は楕円形。上唇は長さ約1㎜、浅く2裂する。雄しべは4個、全て完全で、葯がつく。前側の雄しべの花糸は小さな腺のある(glanduliform)付属体をもつ。柱頭は2裂。蒴果は球形~卵状球形(球状楕円形)、先が鈍頭、長さ約3.5㎜、宿存する萼と同長か又はわずかに長い。種子は長さ0.34~0.48㎜、種子は網目状。花期は(6)8~10月。果期は9~11月。2n=30。
アメリカアゼナは葉の幅がやや狭く、縁に鋸歯があり、基部がくさび形。花柄の長さは苞の0.5~1倍。
タケトアゼナは葉の基部が円形~鈍形で鋸歯が不明瞭。花柄の長さは苞の1~1.5倍。
ヒメアメリカアゼナは明瞭な鋸歯が葉に2~3対つき、上部の葉の基部は円形で、下部ではくさび形。花柄の長さが苞の2~3倍と長い。
帰化種のアメリカアゼナ、タケトアゼナ、ヒメアメリカアゼナは雄しべ4本のうち、2本だけに葯がつき、アゼナは雄しべ4本全てに葯がつく。
アゼナ属
family Linderniaceae - genus Lindernia1年草又は多年草。湿った場所に生えるか又は水生、普通、丈夫。茎は細く、不明瞭~明瞭に4稜形。葉は対生~ほぼ対生、単葉、葉柄は無又は有、葉脈は羽状又は葉身の基部に隆起して3~5脈がある。花は小さく、単生、腋生又は頂生、あるいは頂生や腋生の総状花序~密散花序(束生)につき、あまり上部にはない。閉鎖花をもつものがある(e.g. L.procumbens, L. benthamii, L. madagascariensis)。小苞は無い。花柄は有又はほぼ無。萼は5裂、浅く分裂して萼片が開出、又は成熟すとやや輻合し、又はほとんど基部まで分裂して、萼片が披針形~線状披針形。萼筒は5脈があり、脈は不明瞭又は明瞭なうねや小さな翼がある。花冠は筒形、2唇形、前側の唇は3裂し、花冠裂片は普通、開出し、後ろ側の唇(上唇)は全縁又は凹形~2裂、ほぼ直立する。雄しべは4本、全て完全雄しべ、葯があり(antheriferous)、稔性、あるいは後ろ側の2本が稔性で、前側の2本が減るか花冠のど部で仮雄しべになる。しばしば前側の花糸は基部や基部近くに明瞭な距を生じる。葯は離生又は隣接し、半葯は散開する。花柱は細く、直立する。柱頭は2薄板状。果実は蒴果、球形~円筒形~狭円筒形、2バルブ。種子は多数、形は様々、平滑、弱い溝だけがあり、ハチの巣状の胚乳は無く、胚乳は横断面で弱い多角形又は波打つ。
世界に約43種あり、世界に広く分布する。
アゼナ・ウリグサ類は形態的な変化が著しく、様々な見解があり、過去に属とされた主なものはLindernia(アゼナ属)、llysanthes (アメリカアゼナ属)、 Bonnaya (スズメノトウガラシ属)、 Vandellia (アゼトウガラシ属)、Tittomannia (シソバウリグサ属)、Hornemannia (ウリグサ属)、Torenia (ハナウリグサ属)などである。 ハナウリグサ属(現在はツルウリクサ属)以外はアゼナ属にまとめるという見解が出され(Pennell 1935)、長い間、この見解によりアゼナ属を広義に扱ってきた。その後の分子系統解析による最初の分析でも広義の説が支持された。2013年にFischer et al. により(参考4)、 Bonnaya(スズメノトウガラシ属.), Craterostigma(クラテロスティグマ属), Lindernia(アゼナ属), Micranthemum(ミクランテムム属), Torenia(ツルウリグサ属)、Vandellia (アゼトウガラシ属)が別属とされ、組み換えが行われた。この中でウリクサLindernia crustaceaもTorenia crustacea groupとして、Torenia(ツルウリグサ属)に移された。2018年には2種がYamazakia(ヤマザキア属)に移され。
アゼナ属の主な種と園芸品種
1 Lindernia anagallidea (Michx.) Pennell ヒメアメリカアゼナ 姫アメリカ畔菜
synonym Lindernia dubia (L.) Pennell var. anagallidea (Michx.) Cooperr
北アメリカ原産。英名はyellowseed false pimpernel , slender false pimpernel。古くはLindernia dubiaとは別種とされていたが、USDAやThe Plant ListではLindernia dubia var. anagallideaを採用している。GRINやKewscienceではvar. anagallideaを認めず、Lindernia dubiaとしている。ヒメアメリカアゼナは葉の鋸歯が明瞭で、小花柄の長さが苞の2~3倍と長く区別できるが、変異もある。多年草。高さ5~12(~15)㎝。葉は対生し、無柄又は抱茎又は基部が狭くなり、しばしば両タイプが同じ株に見られる。葉身は卵形~長円形、長さ8~15㎜、普通、上部の葉は小さくなり、縁は小歯状(歯が2~3対)~全縁、上部の葉の基部は円形、下部の葉の基部は楔形。花は葉腋の細い花柄の先につき、上部の葉は小さくなり苞になり、花序は苞のある総状花序である。閉鎖花はつけない。小花柄の長さが苞の2~3倍と長いのが特徴である。萼は長さ2㎜。花冠は筒形、長さ6~8㎜、帯青色~白色。上唇は短く、直立し、2裂。下唇は広がり、3裂。雄しべは4個あり、うち2個は葯がない仮雄しべ。柱頭は2裂。種子は長さ0.3~0.4㎜、長さは幅の1・1/3~3倍、平滑、横の隆起線が明瞭。花期は7~9(10)月。
2 Lindernia dubia (L.) Pennell アメリカアゼナ アメリカ畔菜
北アメリカ、南アメリカ、中央アメリカ、西インド諸島原産。英名はfalse pimpernel, yellowseed false pimpernel。中国名は北美母草 bei mei mu cao。標高2600m以下の湿った溝、牧草地、池、湖、小川の縁、湿った湿地から湿った撹乱された場所に生える。
1年草。茎は直立、斜上、または平伏し、マット状にならず、通常は下部の節から根を張り、長さ1.5~27(~38)㎝。茎葉は質が薄く、葉柄は無い。葉身はへら形~披針形~倒披針形~楕円形~卵形、または倒卵形、長さ(1~)5~37㎜×幅(0.5~)3~18㎜、掌状に3~5本の脈があるかまたは1本の脈があり、革質ではなく、縁は全縁または離れた、ときに粗い、歯がある。上部の葉は十分に発達しているか、かなり小さくなる。小花柄は長さ0.5~31㎜、基部につく葉の1/2~5倍。 花は開放花受精(chasmogamous)または閉鎖花受精(cleistogamous)。 開放花:萼片は長さ0.7~6.1㎜、1/8の長さが合着する。花冠筒部と上唇(adaxial lip)はラベンダー色または青色~白色、下唇の裂片(abaxial lobes)は白色で紫色~青色の斑紋があり、花冠筒部は長さ2.5~8㎜、上唇は下唇の1/2。雄しべは2本。仮雄しべは付属体と上部に切片(segment)がある。蒴果は楕円形、しばしば斜め、ときに卵形またはほぼ球形、長さ1.4~6.3(~7.5)㎜×幅1.2~3.3㎜。種子は通常6角(かど)があり、通常はうねがある。2n=18。花期は通年(FNA)。
Flora of North America(FNA)では下位分類は無い。POWOでは2変種としている。
2-1 Lindernia dubia var. dubia
synonym Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia タケトアゼナ[YList]
synonym Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. typica Pennell
synonym Lindernia anagallidea (Michx.) Pennell ヒメアメリカアゼナ
synonym Lindernia dubia var. anagallidea (Michx.) Cooperr.
synonym Lindernia dubia subsp. major (Pursh) Pennell アメリカアゼナ 狭義[YList]
2-2 Lindernia dubia var. rhizomatosa Pennell ex D.Q.Lewis
メキシコに分布。緩い流れの深い水中に生える。
アメリカアゼナ類の分類
日本で最も古い標本はアメリカアゼナsubsp. majorは1936年、タケトアゼナsubsp. majorは1963年があり、侵入時期が異なり、両者とも日本各地に分布している。両者は雑種を作り、形態的な判別ができないものもあるが、日本では侵入時期が異なったため、種が少なく両者の区別がまだ、可能である。FNA(Flora of North America)ではvar. dubia(subsp. dubia)とsubsp. majorは基本種に含め、最近ではsubsp. majorやsubsp. dubiaはあまり使われていない学名である。ヒメアメリカアゼナ(Lindernia anagallidea)はアメリカアゼナと同様にアメリカ原産の外来種で葉が小型で鋸歯が明瞭であり、小花柄が苞の2~3倍と長いが、変異があり、アメリカアゼナに含める見解もある。 日本ではアメリカアゼナ(アメリカアゼナCタイプ)subsp. major とタケトアゼナ(アメリカアゼナRタイプ)subsp. dubiaに分けるのが普通である。
【広義のアメリカアゼナ】
植物は無毛又はまばらに小さな有柄の腺がある。茎は長さ27㎝以下[38㎝]、広がり~直立、しばしば下部の節から根を出す。葉は長さ1~37㎜。萼は基部近くまで分裂し、長さ7㎜以下。萼片は線形。花冠は長さ7~10㎜、白色~±青色~ラベンダー色。果実は萼片より小さく又は大きい。種子は長さが幅の1.5~3倍、黄色~黄金色。花期は6~8月。(The Jepson Herbarium)
1年草、高さ25㎝以下、拡散し、萼を除いて全体に無毛。茎は紫色、4稜形、下部の節から根を出し、多数分枝する。葉は無柄、楕円形、長さ1~1.5㎝×幅3~6㎜、上部では小さくなり、基部は円形~くさび形、先は鋭形、3~5脈があり、1次脈だけが目立つ。花は腋生、単生、円錐花序につく。花柄は細く、長さ1~2㎝。萼は長さ約3㎜、萼片は基部まで分離し、幅約0.5㎜、上部に小剛毛があり、先は尖鋭形、不明瞭な3脈がある。花冠は白色又は淡紫色、長さ約6.5㎜。下唇は3裂。上唇はかぶと形(galeate)、浅く2裂、裂片は鋭く尖る。稔性の雄しべは2本、後ろ側につく。仮雄しべは2本、こん棒形、付属体があり、先は鈍形。花柱は長さ約3.5㎜。蒴果は長円形、約・長さ4㎜×幅2.3㎜、両端が丸い。種子は楕円形(Flora of China)。
(1) Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia タケトアゼナ
synonym Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. typica Pennell
北アメリカ、南アメリカ原産。水田や農地周辺の湿った場所に生える
茎は直立、茎の中部以上の葉の基部が円形~惰円形で、茎を抱く。茎下部の葉の基部は楔形、最下部の葉だけ基部が楔形となることが多い。葉には2~3対の鋸歯があるが、アメリカアゼナに比べて低く不明瞭、先は鈍形。花は葉腋につく。花柄は長さ10~20㎜、長さは苞の1~1.5倍(0.44~1.73)。花は白色~淡青紫色、花の下唇に紫色の斑紋がつくことが多い。雄しべは4個つき、下側の2個は葯がない仮雄しべとなっている。果実の先は尖る。種子は長さ約0.35㎜、横の隆起線(transverse lining)がある。
(2) Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. major (Pursh) Pennell アメリカアゼナ アメリカ畔菜
1年草。高さ10~30㎝。茎は匍匐し、4稜形、無毛、赤色を帯びることも多い。葉は対生し、長楕円形で、縁に低い鋸歯が2~3対あり、まれに全縁、基部はくさび形、下部の葉は基部が葉柄状になり、3~5本の葉脈が目立ち、両面とも無毛。花は上部の葉腋に単生し、白色~淡青色で、濃淡の模様がある場合もある。花冠は長さ0.5~1㎝、花冠にわずかに腺毛がある。雄しべは4個つき、下側の2個は葯がない仮雄ずいとなっている。花柄は斜上し、長さ4~10㎜、苞の長さの0.5~1倍(0.28~1.24)。果実は長さ4~5㎜、先は尖る。種子は多数、長円形~曲がった柱状、長さ約0.4㎜、横の隆起線がある。2n=32。花期は6~9月。【タケトアゼナsubsp. dubiaとアメリカアゼナsubsp. majorの判別】
1. 葉の基部は円形~鈍形、鋸歯が不明瞭、花柄は苞の長さと同長又は長く、長さ10~20㎜ ........................タケトアゼナ
1. 葉の基部はくさび形、鋸歯が明瞭、花柄は苞より短く、10㎜以下 ...................................................アメリカアゼナ
【アメリカアゼナとヒメアメリカアゼナの判別(参考15)】
前側の雄しべは葯が無い。種子は普通、線が明瞭。蒴果斜め。開放花(chasmogamous)の花柱は長さ2.5~3.5㎜、閉鎖花(cleistogamous)の花柱は短い。
1. 種子は淡黄色、長さ平均0.4㎜、ほとんど長さは幅の2~3倍、普通角(かど)が鈍く、線がはっきりしない。葉身は長さ1~3㎝、下側は基部が明瞭に狭くなる。花柄は苞より短いか又は長い。花は開かないで落ちる閉鎖花(cleistogamous)がある........................アメリカアゼナ(L. dubia)
1. 種子は褐黄色、長さ平均0.3㎜、ほとんど長さは幅の1・1/2~2倍、普通、角(かど)が鋭く、線が明瞭。葉身は長さ0.5~1.5㎝、ほとんど基部近くで幅が最も広く、円く茎を抱く。花柄は苞の長さの2~3倍。花冠は全て開放花(chasmogamous).....................ヒメアメリカアゼナ(L. anagallidea)
3 Lindernia grandiflora Nuttall ヒトミソウ 瞳草
synonym Ilysanthes grandiflora (Nuttall) Bentham.
USA(フロリダ州、ジョージア州)原産。英名はsavanna false-pimpernel。標高0~50mの沼地、低い森や草原、湿った窪地、溝、小川や池の縁に生え、通常は砂質の土壌に生える。
多年草。茎は這い回り(repent)又は平伏(prostrate)し、マット状になり、下部又はほとんどの節から根を出し、長さ2~30(~43)㎝。葉は茎葉、厚く、葉柄が無い。葉実は円形、広楕円形、又は広卵形、長さ2~16mm×幅1.5~16mm、掌状に3~7脈があり、革質、縁は全縁~離れた歯があり、又は波打つ。上部の葉はよく発達又はわずかに小さくなる。花柄は長さ6~38mm、基部につく葉の長さの2~5倍。萼片は長さ2~5.8mm、長さの1/8以下が合着する。花冠筒部と内側の唇弁はラベンダー色~青色~白色、外側の唇は白色で、青色~バイオレット色の斑点又は縞がある。花冠筒部は長さ5~9㎜、内側の唇は外側の唇の1/4。雄しべは2個。仮雄しべはそれぞれ、付属体と上部に切片(segment)がある。蒴果は楕円形、ときに斜めの又は狭い卵形、長さ2.3~6.9mm×幅1.2~2.5mm。種子は6角(かど)があり、強いうねがある。花期はほぼ通年(5~11月)。
4 Lindernia hyssopioides (L.) Haines リンデルニア・ヒソッピオイデス
中国(広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、インド、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は尖果母草 jian guo mu cao。標高約1200mの乾いた野原、湿った地域に生える。
高さ30㎝以下。根はひげ根、叢生する。茎は直立又はやや斜上し、単純、条線があり、無毛。葉は無柄、類抱茎、狭卵形~卵状披針形、長さ5~15㎜×幅約4㎜、無毛、縁は全縁又は2~3対の不明瞭な小さな歯があり、脈は3本、平行。花は上部に腋生し、単生。花柄は長さ0.5~3㎝、花時に斜上、花後に広がり~後屈する。萼は長さ約3㎜、基部まで分裂し、萼片は披針形。花冠は赤色、紫色、又は白色、のど部に凸面の2本の線をもち、長さ0.9~1.1㎝。下唇は3裂し、裂片はほぼ等長。上唇は深く2裂し、裂片は狭三角状卵形。稔性の雄しべは2本、後ろ側にある。仮雄しべは2本、前側につく。花糸は短く、分かれる。花柱は短く、先は2個の薄片。蒴果は狭卵形、長さ約6㎜。種子は黄褐色、長円形、不明瞭なうねがある。花期は5~10月。果期は8~11月。
5 Lindernia procumbens (Krock.) Philcox アゼナ 畔菜
synonym Lindernia pyxidaria L.
日本(本州、四国、九州)、中国、台湾、ロシア、アフガニスタン、タジキスタン、インド、ネパール、パキスタン、インドネシア、タイ、ベトナム、ヨーロッパ南部原産。中国名は陌上菜 mo shang cai。英名はprostrate false pimpernel , creeping slitwort, common false pimpernel。田の畔、湿った場所などに生える。
1年草。叢生、直立し、高さ5~20㎝。茎は4稜形、多数分枝し、無毛。葉は対生し、無柄。葉身は楕円形~長円形、ときに菱形、長さ1~2.5(~3)㎝、幅0.6~1.2㎝、縁は全縁又は弱く鈍い歯があり、先は鈍形~円形、3~5脈が基部から平行に出て目立つ。花は腋生、単生、又は対生(対生の葉の両方に花がつく)。しばしば、開放花より前に、閉鎖花をつける。花柄は細く、無毛、長さ1.2~2㎝、普通、苞(花柄の基部につく葉)の1~1.5倍、しばしば花柄の長さが苞の2倍ほどになりヒメアメリカアゼナと見誤りやすい。萼はほとんど基部まで深裂し、萼片は線状披針形、長さ約4㎜、外側にまばらに軟毛があり、先は鈍形。花冠はピンク色~紫色、又は白色、長さ5~7㎜、筒部は長さ約3.5㎜。下唇は長さ約3㎜、3裂片があり、中裂片は円形で側裂片より大きく、側裂片は楕円形。上唇は長さ約1㎜、浅く2裂する。雄しべは4個、全て完全で、葯がつく。前側の雄しべの花糸は小さな腺のある(glanduliform)付属体をもつ。柱頭は2裂。蒴果は球形~卵状球形(球状楕円形)、先が鈍頭、長さ約3.5㎜、宿存する萼と同長か又はわずかに長い。種子は長さ0.34~0.48㎜、種子は網目状。花期は(6)8~10月。果期は9~11月。2n=30。
参考
1) Flora of ChinaLindernia
Lindernia
Lindernia
Willdenowia 43(2): 209-238. Fischer E., Schaferhoff B. and Kai Muller K. 2013.
The phylogeny of Linderniaceae The new genus Linderniella, and new combinations within Bonnaya, Craterostigma, Lindernia, Micranthemum, Torenia and Vandellia
5) 植物研究雑誌 Journ. Jap. Bot. Vol. 29 No.10 p299-306(1954)
山崎敬:東亜産アゼナ属,ウリクサ属とその類縁1
6)植物研究雑誌J. Jap. Bot.30(6): 171-180.(1955)
山崎敬特:東亜産アゼナ属,ウリクサ属,ハナウリクサ属とその類縁3
7)植物研究雑誌30(12): 359-364(1955)
山崎敬:東亜産アゼナ属,ウリクサ属,ハナウリクサ属とその類縁 (4)
8) 植物研究雑誌 55(11): 321-327.(1980)
原 寛 1980. 東亜植物註解 (8). アゼトウガラシ
9)植物研究雑誌J. Jpn. Bot. 92(5): 307-308 (2017)
大橋広好:シロバナアゼトウガラシ(アゼナ科)の新学名
10)A General History of the Dichlamydeous Plants, 第 4 巻
Vandellia plant
11)Willdenowia, 43(2) : 209-238 (2013)Fischer E., Schaferhoff B. and Kai Muller K. 2013.
The phylogeny of Linderniaceae The new genus Linderniella, and new combinations within Bonnaya, Craterostigma, Lindernia, Micranthemum, Torenia and Vandellia
12)Australian Systematic Botany ・ December 2014 :Yi-Shuo Liang , Jenn-Che Wang
A systematic study of Bonnaya section Bonnaya (Linderniaceae)
13)A General History of the Dichlamydeous Plants, Comprising Complete ...
genus Bonnaya description
14)A Flora of the Marshed of California
Lindernia anagallidea
Section Ⅱ EuLindernia Wettstain p139
Key to Species
16)The Jepson Herbarium
Lindernia dubia
17)アゼトウガラス属外来水田雑草の分類と繁殖に関する生態遺伝学的研究
好野奈美子 2011Lindernia dubia (L.) Pennell