<キノコとは>
キノコ mushroom は真菌(菌類) fungus(pl. fungi)の一種であり、学術用語 mycological term ではなく、肉眼で認められる大きさの子実体
fruit‐body を生ずる糸状菌 filamentous fungi の集団とされている。糸状菌は菌糸を構成菌とするものである。食用になるものを食用キノコ
mushroom(=edible mushroom) 、毒があって食べられないものを毒キノコ toadstool(inedible mushroom
, poisonous mushroom)と呼んでいる。キノコに入らない糸状菌がカビmold であり、生活史の一定期間において栄養体が単細胞である真菌類が酵母
yeast である。キノコは世界に約150万種あると推定され、菌類学者により、約8万種が確認されているといわれている。日本では約1万種(日本産きのこ目録2016では約6800種)ほどが知られているが、学名がつけられていないものや和名がつけられていないものも多い。学名のわかっているものは約4800種であり、このうち和名がつけられているものは約3500種である。キノコに似た子実体を生じ、キノコと同じように扱われる変形菌類(粘菌類)は菌類ではなく、アメーボソア/アメーバ動物門に分類される。
キノコの構成菌類は子嚢菌類 ascomycetes と坦子菌類 bacidimycetes であり、ほとんどが坦子菌類である。坦子菌類を構成菌類とする地衣は担子地衣
basidiolichens という。坦子地衣の中にはきのこの子実体をもつものもあり、 mushroom-fruited lichens という。チャサカズキタケ
Lichenomphalia umbellifera やアオウロコダケ Lichenomphalia hudsoniana はその例である。
旧分類では坦子菌類は単室の坦子器をもつ真正坦子菌類(綱)と多室の坦子器をもつ異坦子菌類(綱)Heterobasidiomycetes に大別される。最も多いのは真正坦子菌類(綱)
Homobasidiomycetes であり、子実層が裸実(全裸実又は半裸実) gymnocarpic の帽菌類(Hymenomycetes)と子実層が被実
angiocarpic の腹菌類(Gasteromycetidae)に分類される。子嚢菌類は成熟すると子嚢が消失する①不整子嚢菌類(綱) Plectomycetes
、子嚢盤をもつ②盤菌類(綱) Discomycetes、子嚢殻をもつ③核菌類(綱)Pyrenomycetes に分類される。
新しい分類では坦子菌類はハラタケ亜門 (①ハラタケ綱、②シロキクラゲ菌綱、③アカキクラゲ菌綱)、子嚢菌類はチャワンタケ亜門(①ユーロチウム菌綱、②ズキンタケ綱、③チャワンタケ綱、④フンタマカビ綱)に分類されている。
a 坦子菌門 Basidiomycota
ハラタケ亜門 Agaricomycotina
①ハラタケ綱 Agaricomycetes
●ハラタケ亜綱(Agaricomycetidae)
イグチ目(Boletales) イグチ科 Boletaceae、イドタケ科 Coniophoraceae、
ヒダハタケ科 Paxillaceae、ショウロ科 Rhizopogonaceae、
ヌメリイグチ科 Suillaceae、イチョウタケ科 Tapinellaceae
ニセショウロ亜目 ツチグリ科 Astraeaceae、クチベニタケ科 Calostomataceae、
クリイロイグチ科 Gyroporaceae、コツブタケ科 Pisolithaceae、
ニセショウロ科 Sclerodermataceae
ハラタケ目(Agaricales)(旧チャダイゴケ目、ホコリタケ目を含む)、アテリア目(Atheliales)、
アミロコルティシウム目(Amylocorticiales)、ジャアピア目(Jaapiales)
●スッポンタケ亜綱(Phallomycetidae)
ヒメツチグリ目(Geastrales)、ラッパタケ目(Gomphales)、ヒステランギウム目(Hysterangiales)、
スッポンタケ目(Phallales)
●所属不明(incertae sedis)
キクラゲ目(Auriculariales)、アンズタケ目(Cantharellales)、コウヤクタケ目(Corticiales)、
キカイガラタケ目(Gloeophyllales)、タバコウロコタケ目(Hymenochaetales)、
サルノコシカケ目(Polyporales)、ベニタケ目 (Russulales) ロウタケ目 (Sebacinales)、
イボタケ目 (Thelephorales)、トレキスポラ目 (Trechisporales)、
②シロキクラゲ菌綱(Tremellomycetes)
シストフィロバシディウム目 (Cystofilobasidiales)、フィロバシディウム (Filobasidiales)、
シロキクラゲ目 (Tremellales)、ニカワツノタケ目 (Holtermanniales)
③アカキクラゲ菌綱(Dacrymycetes)
アカキクラゲ目(Dacrymycetales)
※旧分類の腹菌類、異坦子菌類はハラタケ亜門に入れられた。
旧分類の腹菌類 ニセショウロ目→イグチ目、ケシボウズ目→イグチ目、
メラノガステル目→ イグチ目 ヒダハタケ科、チャダイゴケ目→ハラタケ目、
ホコリタケ目→ハラタケ目、スッポンタケ目→ハラタケ亜綱
ヒメノガステル目→イグチ目
旧分類の異坦子菌類 シロクラゲ目→シロキクラゲ菌綱、キクラゲ目→所属不明、
アカキクラゲ目→アカキクラゲ菌綱
b 子嚢菌門
チャワンタケ亜門(Pezizomycotina)
①ユーロチウム菌綱(Eurotiomycetes)
●ユーロチウム菌亜綱(Eurotiomycetidae)ユーロチウム目(Eurotiales)、ホネタケ目(Onygenales)
②ズキンタケ綱(Leotiomycetes)ビョウタケ目(Helotiales)
③チャワンタケ綱(Pezizomycetes)チャワンタケ目(Pezizales)
④フンタマカビ綱(Sordariomycetes)
●ボタンタケ亜綱(Hypocreomycetidae)ボタンタケ目(Hypocreales)
●クロサイワイタケ亜綱(Xylariomycetidae) クロサイワイタケ目(Xylariales)
※旧分類の真正子嚢菌綱(Euascomycota)はチャワンタケ亜門(Pezizomycotina)と同一である。
旧分類の不整子嚢菌類 ユーロチウム目→ユーロチウム菌綱、ツチダンゴ目→ユーロチウム目
旧分類の盤菌類 ズキンタケ目、チャワンタケ目(アミガサタケ、チャワンタケ)、
塊菌目→チャワンタケ目のフクロシトネタケ科 Discinaceae
旧分類の核菌類 バッカクキン目(冬虫夏草)→ボタンタケ目、肉座菌目→ボタンタケ目、
クロサイワイタケ目→フンタマカビ綱、クロサイワイタケ亜綱
<検索サイト>
参考となるサイト
○日本産きのこ目録
幸徳伸也(兵庫きのこ研究会)氏が毎年、日本産のきのこの学名分類の一覧表を 更新している。日本産きのこの学名の確認ができる。新分類と旧分類が併記されていたが、2016版から学名も新分類だけとなっている。
○MycoBank
国際菌学会(International Mycological Association)のデーターベース。学名+mycoで検索できる。一部に解説(Descriptions
)が載せられているものもある。
○八重山諸島のきのこ
高橋春樹氏のサイト。日本産きのこの非常に詳しい専門的な解説が載せられている。
○Studies in the Amanitaceae
テングタケ科の研究家であるCornelis Bas博士(1928-2013) のメモリアルサイト。詳しい解説、比較が載せられている。
○Rogers Mushrooms
Roger Phillips氏はイギリスの園芸植物などの著名な写真家。ヨーロッパと北アメリカのきのこ1,660種の詳細な解説と3000以上の写真を掲載しているサイト。
○MykoWeb.
Mycological Society of San Franciscoの会長であったMichael Wood 氏が1995年に始めたきのこ菌学に関するインターネットサイトのさきがけの1つである。主にカリファオルニアのきのこを掲載している。
○MushroomExpert.Com
Michael Kuo博士が開設しているサイト。Michael Kuo博士はアメリカ(イリノイ州)のきのこ研究家であり、著書が多数ある。解説は英語であり、わかりやすい。
○中国经济真菌大全
製薬業界発展のためのサイトである医源世界の中に掲載されている。図と詳しい中国語解説がある。学名+中国経済で検索できる。
○菌学用語 Glossary of Mycological Terms (http://www.mycology.adelaide.edu.au/virtual/glossary/)
オーストラリアのアデレード大学が掲載している。
○和英菌学用語集 (1996 emend) Glossaire Myco
(http://enfantdesarbres.canalblog.com/albums/poisonous/index.html)
<きのこの生活史>
坦子胞子が子実体から放出され、基物に落下すると発芽して細胞に核を1個もつ一核菌糸(一次菌糸)が増殖する。有性といわれるが、動植物のような雌雄性ではなく、交配型と和合性の有無がある。一核菌糸が増殖し、和合性の有る菌糸同士が接すると、菌糸が合体し、核が2個の二核菌糸となる。この合体を接合という。二核菌糸が増殖するときに、細胞と細胞の間にクランプ(clamp)ができるものが多い。二核菌糸が成熟すると、子実体原基から子実体ができる。子実体の坦子器になる細胞内で有性生殖の核融合が起こり、減数分裂して4個の核ができ、細胞に1個の核をもつ4個の坦子胞子ができる。坦子胞子が熟すと放出される。
○一核菌糸(一次菌糸)monokaryotic hypha(pl.-ae) = monocaryotic hypha
○二核菌糸 dicaryotic hypha(pl.-ae) = dikaryotic hypha(pl.-ae)
○接合 conjugation
○子実体原基(菌核) fruit body primordium
<栄養摂取方法>
○寄生菌類 mycoparasite, parasitics fungi :寄生parasite は寄主host の体内に侵入して養分を吸収消化する
・ナラタケ類を含む数種の病害菌は立木などに寄生する。
・冬虫夏草 caterpillar fungi , vegetable wasps , plant worms :子嚢菌類の一種。
昆虫、クモ、地下生菌(ツチダンゴ類)などに寄生する。
○腐生菌類 saprobic fungi , necrophyte, saprophle:糞尿や動植物の遺骸を栄養源とする
枯木 decaying log、死木(枯木) dead wood、落葉 leaf litter、針葉樹材 coniferous woods、針葉
needle、
小枝 twigs、材木 wood、丸太 log、切株 stump、朽木 rotten wood 、おが屑 sawdust、
木の崩壊堆積物 woody debris、粗腐植 duff、腐植土 humus、敷きわら mulch、ウッドチップ wood chip
、
埋木(うもれぎ) buried wood、コンポスト堆積場 compost pile、動物の糞尿 excreta
・木材腐朽菌 wood destroying fungus
木材に含まれる難分解性のリグニン、セルロースなどの分解能力を持つもの。
樹種を選ぶもの(マツオウジなど)と選ばないもの(ナラタケ、カワラタケなど)がある。
ブナシメジ、シイタケ、マイタケ、ナメコ、エノキタケ、エリンギタケ、ヒラタケなど
◎褐色腐朽(褐色腐れ)brown rot fungi:主に多糖類(ヘミセルロース、セルロース)を分解する菌で、褐色になる
褐色立方体形の腐れbrown cubical rot
褐色穴腐れbrown pocket rot
◎白色腐朽(白色腐れ)white rot fungi:木材成分のセルローズと共にリグニンも分解吸収する。
材は白っぼいスポンジ状になる腐朽。
◎軟腐朽 soft rot:高含水率の木材の表面に軟化現象(軟腐朽)を起こさせるもの
白色腐朽菌や褐色腐朽菌が腐朽できないような高含水率(100%以上)を好む子嚢菌や不完全菌による。
・落葉分解菌 leaf litter destroying fungus
・ブナの実を分解するもの:ウスキブナノミタケ
・糞生菌 coprophilous fungi :動物の排泄物である糞 dung を分解し発生する菌。
糞生 coprophilous
・アンモニア菌 ammonia fungi:夏から秋に林内の放尿跡や動物死体分解跡などのアンモニアにより発生する菌
○おそらく腐生菌 presumably saprobic:菌根菌のように地上に生え確認されていないもの。ナギナタタケなど
○菌根菌 mycorrhizal fungi :植物の根に共生 symbiosis するもの。植物の成長も促進される。
・内外生菌根 (ectendomycorryhizal fungus)
菌糸が根の表面や表皮細胞、皮層細胞の間隙にあって、
同時に皮層細胞壁内に菌糸が侵入してコイル状の構造 (Microsclerotia) を形成するもの
代表例:アーバスキュラー菌根 Arbuscular Mycorrhiza(略;AM):
侵入した菌糸が樹枝状体(arbuscule)や嚢状体(vesicle)を形成する。
嚢状体が形成されないこともある。
・外生菌根菌 ectomycorrhizal fungus, (略;ECM):
菌糸が根の表面や表皮細胞、皮層細胞の間隙にあって細胞内には入らない菌根菌
皮層細胞の細胞間隙に網目状構造=ハルティヒ・ネット(Hartig net) を形成する。
キノコは外生菌根菌がほとんどである。
ハラタケ類 (担子菌)のマツタケ、ホンシメジ、アミタケ、腹菌類 (子嚢菌)のショウロ、トリュフなど
樹種を選ぶもの(マツタケなど)と樹種を選ばないもの(ドクベニタケなど)がある。
針葉樹 conifer , coniferous wood 、広葉樹 hardwood
例 ブナ(beech)だけ:ブナヌメリガサ、サクラシメジ、アケボノサクラシメジ、ヒメサクラシメジ
アカマツだけ:マツタケ、マツタケモドキ、マルミノアブラシメジ
ブナ科(Fagaceae):サクラシメジ、アブラシメジ
カバノキ科(Betulaceae):ベニテングタケ、ハンノキイグチ、キンチャヤマイグチ
ヤナギ科(Saliceae ):キヌハダトヤマタケ、スミゾメヤマイグチ
<キノコの発生場所>
○地上生 epigean , terrestrial
森林 forest、雑木林copse、混交林 mixed wood、針広混交林 mixed needleleaf and broadleaf
forest、
果樹園 orchard, 植林地 plantation、芝生 lawn、草地 grassland、牧草地 meadow 、温室 greenhouse、
造園 landscaping area、田畑(耕作地) field、コケ上 fungi on、
水辺 waterside、池沼 ponds and swamps、河川 river、湿地帯 wetland、
腐植土 humus、粘土質土壌 clayey soil、石灰質土壌 calcareous soil、砂質土壌 sandy soil、
中湿土壌 mesic soil、乾燥土壌 dry soil
○コケに生える bryophilous
○樹上生 lignatile:材上生 lignicolous ともいう
大材生 xylobiont:大きい枝や切り株、丸太、木の幹、根などの比較的大きい木片上
小材生kormobiont:針状葉、小枝、球果、細い枝などの比較的小さい小片上
○地中生 geophilic
○地下生 hypogean
地下生菌 hypogeous-fungi :子実体が成熟まで地中~地表面間で生育するか、一生地中で過ごす菌
例:ツチダンゴ、トリュフなど。
<キノコの発生の仕方>
単生 solitary , alone
群生 gregariously , in groups , in troops
密生 crowded
散生(散在) scattered , dispersed
束生(そくせい) fasciculata , clustered :基物から束になって発生する
叢生(そうせい)caespitose :群がって生える。
輪生(りんせい) verticillate:輪を描くように並んで発生する
側生(側着生) lateral:基物の側面から横に張り出す
重生(ちょうせい、じゅうせい)imbricate:基物から側生する子実体が上下重なり合って多数発生する。
段階的重生 staged-imbricate
背着生(はいちゃくせい) respinate:基物に背側を向けて着生する
・滲出する(広がる) effused
・剥がれやすいseparable
半背着生effused-renexed , effuso-reflexed:背着生で上方の一部がせり出して傘を作る場合。
棚状(たなじょう)bracket-shapeの傘ともいう
菌輪 fairy ring:菌根菌で、子実体が環状に並んで発生する
<きのこの菌糸>
キノコの菌糸 hypha (pl. hyphae) は糸状(filamentous)であり、規則的に隔壁(septum pl.-a)があり、多細胞である。
菌糸の壁の厚さは異なり、薄壁(thin walled)のものと厚壁(thick walled)のものがある。
菌糸の太さも一定ではなく、細胞の長さも異なる。
細胞と細胞の間にかすがいのように膨らんだクランプ(clamp)が有るものと無いものがある。
菌糸の形も同定のために重要であり、区別されている。
子実体は2タイプの菌糸からなる。
①原菌糸(生殖菌糸)generative hyphae
この菌糸は子実体の基本であり、常に存在し、この菌糸だけのきのこは1菌糸型(monomitic)と呼ばれる。
常に隔壁(septateがある。栄養菌糸 より薄壁(thin wall)。
②栄養菌糸 vagetative hyphae
生殖菌糸から成長し、隔壁がなく、生殖菌糸より厚壁(thick wall)である。有る場合と無い場合がある。
多孔菌 polypore(サルノコシカケ類)は菌糸の細胞壁が肥厚して木材のように固い子実体を形成する。
多孔菌は子実体中に2つの種類の栄養菌糸である結合菌糸と骨格菌糸をもつ。
まれに、結合菌糸と骨格菌糸の移行(transition)もある。
菌糸のタイプ(type of hyphae)
①原菌糸(生殖菌糸=generative hyphae):担子器を形成する菌糸、有隔壁、薄壁
②結合菌糸(binding hyphae):菌糸同士を結合する(多分岐、ときに厚壁)、無隔壁
③骨格菌糸(skeletal hyphae):子実体の機械的強度を与える。(長く、分岐がなく、厚壁)、無隔壁
※②③は細胞内が空で強くて硬く、③は硬質菌に多い。
・1菌糸型の菌糸系 monomitic hyphal system:①原菌糸の1種類だけをもつ
・2菌糸型の菌糸系 dimitic hyphal system:
①原菌糸、②結合菌糸又は①原菌糸、③骨格菌糸の2種類をもつ
アンフィミチック amphimitic:原菌糸と結合菌糸からなる菌糸系。例:マスタケ(Laetiporus sulphureus)
sarcodimitic:肥大した紡錘形の骨格菌糸が原菌糸と結びつく2菌糸型。例:ニセアシナガタケ属
sarcoskeletal:肥大した紡錘形の骨格菌糸
・3菌糸型の菌糸系 trimitic hyphal system :①原菌糸、②結合菌糸、③骨格菌糸の3種類をもつ
支配的 dominant:主になること
○空隙(ルーメン、内腔) lumen:骨格菌糸の中央中空部
○菌糸体(ミケリウム)mycelium(pl. mycelia):栄養菌糸の集合体。多数分枝した糸状(thread-like)菌糸の集合。
hyphal network ともいい、菌類(fungus)の最も一般的な構成要素(element)である。
地衣類でも菌糸体という。土中や基物中に見られ、特に菌輪(fairy ring)をつくる場合はシロ(shiro)という。
1個の胞子は発芽して、単性の同核状態の(homokaryotic)の菌糸体になり、
雌雄の対の菌糸体が結合して2核性の菌糸体になり、きのこのような子実体を作る菌糸の基本体。
・菌糸束(mycelial strand , mycelial cord , hyphal strand):菌糸が平行に束になったもの。
子実体の基部に見られる。
=根状菌糸束(rhizomorph):菌糸束が植物の根のように見えるようにのびたもの
中空の管状の菌糸(vessel hyphae)の周囲を細い被覆菌糸(sheathing hyphae)が取り囲む。
根のように見えるため根状菌糸束ともいわれる。単に菌糸体(mycelium)ともいわれる。
菌糸束がきのこの基部に見えるものと見えないものがあり、色も異なるため。
・糸状菌糸(体):filamentous mycelium
○子実体形成菌糸層 subiculum:子実体基部にあるマット状(網状、綿毛状)の菌糸形成層。
子実体がその上に形成される場合だけに用いられる。
・子座 stroma:内部又は表面に子実体を生じる菌糸組織構造。
子実体形成菌糸層であって組織が緻密で、表層部も内部組織と異なった発達がみられる段階のもの
・菌核(sclerotium , pl. sclerotia、):菌糸だけが集まって塊状になったもの
○菌糸の構造(construction)
・糸状菌 filamentous fungi:菌糸の基本形
・絡み合い菌糸 (子実体形成菌糸層などの) cordons(hyphal string) , interwoven hyphae
・短細胞菌糸(short-celled hyphae)
・針状細胞 acanthocyte:モエギタケ属(Stropharia spp.)の菌糸体上に見られる針状結晶の付着物。
・球形細胞(sphaerocyst):菌糸の各細胞が球状に膨らみ、植物の柔組織のような偽柔組織となる場合がある
・粘質原菌糸 gloeoplerous hypha:粘性内容物を含む原菌糸
・含油菌糸 oleiferous hyphae
・汁管菌糸(conducting hyphae , lactiferous hyphae ):乳汁や液汁を含む菌糸。
キウロコタケなどの汁管菌糸はhyphidia ともいわれる。
ハイフィディウムhyphidium pl.hyphidia は普通、側糸状の子実層の菌糸末端の突起を指す。
・樹枝状ハイフィディウム菌糸 dendrohyphidial hyphae:アイコウヤクタケなどの子実層に見られる。 ・樹枝状菌糸 Arboriform
hyphae
・encrusted hyphae:pigmentation
・隔壁 (septum, septa):菌糸の細胞を区切る壁,、厚さが異なるなど分類には重要なファクターである。
有隔菌糸(septate hyphae):隔壁によって細胞体が区切られている菌糸
無隔菌糸(coenocytic hyphae):隔壁がない菌糸
一重隔壁simple septa
節状隔壁 nodose-septate
クランプのある隔壁 clamped septa
アンプル形隔壁 ampullate septa :隔壁部分がアンプル形のように膨れる。
・クランプ(clamp) = クランプ・コネクション (clamp connection):
かすがい連結、嘴状突起(しじょうとっき)ともいわれる。
坦子菌糸の隔壁部分の側面に見られる小さなこぶ状の突起。有るものと無いものがある。
散在するクランプ sacattered clamps
輪生のクランプverticillate clamps
多重クランプwhorled clamps=multiple clamps:2~6個のクランプが1個の隔壁の周囲に輪生するもの。
・ルーメン(内腔)lumen:細胞間隙(かんげき)
<子実体(きのこ)>
○子実体(しじつたい) fruiting body , fluit body , myxocarp :
きのこは菌類が胞子形成のために作る、糸状菌糸の複合体で一般にきのこという。子嚢菌類の子実体は子嚢果(ascocarp , ascoma)といい、担子菌類では担子果(basidiocarp
, basidiome)又は担子器果(basidioma , pl. basidiomata)という。変形菌では子嚢体(sporocarp)と坦子体(sporophore)がある
ホロタイプ、正基準標本 holotype:学名の原著者によってその学名のタイプとして指定された標本
乾燥標本、エキシカータ exsiccatum
○子実体の全形
ハラタケ目、ベニタケモク、イグチ目の子実体は普通、傘やひだ(管孔、針)があり、柄がある。
タマチョレイタケ目、タバコウロコタケ目の子実体の形は色々あり、傘やひだのないものがある。
傘のある pileate、傘のないapileate
●子実体の基本的な形
基本的な形(The Corticiaceae of North Europe vol.1 , Kurt Hijyortstama etal.)
(1)背着生(はいちゃくせい)の担子果 reesupinate basidiocarp
縁以外に無性基部(むせいきぶ)がないのが特徴。コウヤクタケ科Corticiaceaeに普通。
(2)半背着生(はんはいちゃくせい) effused-reflexed
背着生で上方の縁の一部がせり出して傘(pileate)を作る場合。
せり出し反転(effused-resupinate)がなく、傘をつくるものとの中間。
(3)杯形(cupulate basidiocarp)~円盤形(discoid basidiocarp)
縁が持ち上がった円い子実体。乾いたときに縁が持ち上がる。
乾燥により縁が持ち上がる厚い膜質の子実体と混同してはならない。
(4)半円形(dimidiate)~扇形(fanshaped)
子実体が半背着生からさらに扇形(fanshaped)~半円形(dimidiate)に移行し、収縮した先細の基部があるもの。
(5)側生(laterally, pleuropodal)~有柄担子果(stipitate basidiocarp)であり、基部の下側は無性基部である。
(6)有柄(stipitate)
中央よりの有柄な子実体。
●ひだがある形(ハラタケ型 agaricoid):ハラタケ型の(agaric)の子実体
キシメジ型 Tricholomatoid:傘と柄の肉はともに肉質で、分離しにくい。ひだは湾生、上生、直生など
つばは有又は無。
ウラベニガサ型 pluteoid:傘と柄の肉はともに肉質だが、分離しやすい。ひだは離生。
1つば有、つぼ有:胞子紋白色(テングタケ属の大部分)
2つば無、つぼ有:胞子紋白色(テングタケ属の一部分)、胞子紋肉色(フクロタケ属)
3つば有、つぼ無:胞子紋白色(カラカサタケ属、シロカラカサタケ属、キツネノカラカサタケ属)
胞子紋紫褐色(ハラタケ属)、胞子紋緑色(オオシロカラカサタケ属)
4つば無、つぼ無:胞子紋肉色(ウラベニガサ属)、胞子紋褐色(オキナタケ属)
カヤタケ型 Clitocyboid:傘は漏斗形、傘、柄ともに肉質、ひだは垂生
ヒラタケ型 pleurotoid:柄は偏心生、側生、欠如
モリノカレバタケ型 collybioid:傘は饅頭形、縁は幼時、内巻き。柄は軟骨質、多くは中空。
ひだは垂生しない。
クヌギタケ型 mecenoid , mycenoid:傘は円錐形~釣鐘形、縁は幼時、内巻せず。肉薄く。
柄は軟骨質、多くは中空。ひだは垂生しない。
ヒダサカズキタケ型omphalioid:多くは傘の中心が窪み、肉薄く。柄は軟骨質、多くは中空。ひだは垂生。
ホウライタケ型(marasmioid):子実体が皮質的、枯凋性marcescentがある。
傘は膜質、しばしば明瞭な放射状の溝線があり、ひだは疎、
柄は細い糸状~針金状~馬の毛状
・吸水復元性(枯凋性) marcescent:子実体が一度乾燥して収縮しても水に浸すと復元する性質。
例:ホウライタケ属 Marasmiusの特徴、モリノカレバタケ属にもある。 フウリンクケ型(cyphelloid):子実体は直径10㎜以下の小形の盤形~パイプ形~杯形、有柄又は無柄
●ヒダナシタケ類の子実体の形
アンズタケ型(cantharelloid)、ナギナタタケ型(spindle-shaped)、ホウキタケ型(clavarioid , ramiform)、
コウヤクタケ型(corticioid)、ハリタケ型(hydnoid)、サルノコシカケ型(bracket , shelf)、
マイタケ型(fanshaped)
○腹菌類(ふっきんるい)の子実体の形:子実体の内側に担子胞子を作る。現在は正式な分類ではなく、便宜状。
ツチグリ型(earthstar)、ニセショウロ型、コツブタケ型、
ケシボウズタケ型、チャダイゴケ型、ヒメツチグリ型、
ホコリタケ型、サンコタケ型、キヌガサタケ型、ショウロ型
○子嚢菌類
チャワンタケ型(Pezizoid):上向きの杯形(茶椀形)、無柄又は有柄
○大きさ
傘など子実体の幅で微小型(1㎝以下)、小型(5㎝以下)、中型(5~10㎝)、大型(10㎝以上)に分類する。
○色 :傘などの色 色の和名や英名が使われ、微妙な色の違いが表現されている。
多種類のカラーチャートがあり、名前では微妙な色の違いはよくわからない。
英名の場合はColor Name Dictionary: (R) Color Standards and Color Nomenclatureが参考になる。
・マンセルカラー(Munsel color) 正確な色は菌類の報告では普通、マンセル表色系により示される。
色相(Hue)、明度(Value)、彩度(Chroma)の色の三属性により表す。(Mu. 10YR 5/6)のように記載する。
dark yellowish brown 10YR 5/6
Orange 7.5 YR 7/10 (これは 5 YR 7/10に近い)
※HSV値(H,S,V)又はHSB値は色相H:0~360、彩度S:0~100、明度V:0~100
・リッジウェイカラー Ridgway Color standards
Robert Ridgway(1850-1929) が色名を体系的にまとめて、出版した、色見本である。
アメリカのスタンダードとして古くから使われ、この色名がきのこの色にもよく使われている。
英名は1000以上あり、ほぼこれに従って記載されていることが多い。
Greenish Yellow とGreen-Yellow は同じ色ではない。
例) Dark Green XVIII 35' m
color name plateNo. hueNo. tone
plate:53プレート I(1)~LIII(53) 1プレートに24色
hueNo.:色相を表す数字
赤(red)1、オレンジ(orange)11、黄(yellow)23、緑(green)35、青(blue)49、紫(violet)59
series (' to '''''):彩度を表す。(')が少ないほど鮮やか
tone :色の明度を表す記号
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68 |
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|
( '''' ) |
10 |
90 |
|
d |
22.5 |
77.5 |
|
|
( ''''' ) |
4.5 |
95.5 |
|
(c) |
15 |
85 |
|
|
Neutral Gray |
|
100 |
|
b |
9.5 |
90.5 |
|
|
|
|
|
|
(a) |
5 |
95 |
|
|
|
|
|
|
(Full color) |
|
100 |
|
|
|
|
|
|
|
(h) |
|
64 |
26 |
↓
Shade |
|
|
|
|
|
i |
|
55 |
45 |
|
|
|
|
|
(j) |
|
41 |
59 |
|
|
|
|
|
k |
|
29.5 |
70.5 |
|
|
|
|
|
(l) |
|
20 |
80 |
|
|
|
|
|
m |
|
12.5 |
87.5 |
|
|
|
|
|
(n) |
|
6 |
94 |
|
|
|
|
|
(Black) |
|
|
100 |
Soft cover of Ridgway’s1912 Color Standards and Color Nomenclature
http://lhldigital.lindahall.org/cdm/compoundobject/collection/color/id/23684.により公開されている。
Color standards and color nomenclature - Columbia University
基本色(Fundamental Colors.)を赤 Red, 橙Orange, 黄Yellow, 緑Green, 青Blue
,紫Violetとする。
53プレート I(1)~LIII(53) 1プレートに24色
Color::Library::Dictionary::NBS_ISCC::R - CPANにより対応するカラーコードが示されている。
・メシューエン・ハンドブック・オブ・カラーMethuen Handbook of colour
カラープレート(Plate)30種からなり、各プレートに48色、明度6段階 A~F(暗)、彩度1~8(鮮やか)。
きのこの報告で使われることが多い。
略号の最初の数字がプレートの色を表す。
1greenish yellow 2 , 3yellow、4orage yellow、5 , 6orange、7reddish
orange、8orange red、
9 , 10 , 11red、12bluish red、13 , 14purplish red、15purple、16reddish
violet、17violet、
18bluish violet、19violet blue、20 , 21 , 22 , 23blue、24turquoise、25bluish
green、
26 , 27 , 28green、29 , 30yellowish green
例) 6 C 7
プレートNo. 明度 彩度
brownish orange (6C7-8 or 7C7-8) 、brown (7D7-8) 、olive yellow
(3C6-8) 、
Reddish Grey (10C8)、Red (10A4) 、Brownish Red(10C5)
パソコンではカラーコードcolor code(hex-color code:16進カラーコード)やRGB値で表す。
色名は単一のカラーコードを指すのでなく、カラーコードの数値は幅があり、微妙に異なっていることも多い。
●赤(橙)・ピンク色系
緋色=深紅色=やや黄味の赤色(scarlet)#d3381c , #c73c2e、クリムソン=深紅色(crimson)#DC143C、
朱赤色(scarlet red)、#e9546b , #d7003a、薔薇色#e9546b、
マゼンタ(あざやかな赤紫)(magenta)#FF00FF、フクシア色(fuchsia)#FF00FF
赤橙色(reddish orange)#ff4500 、茜色(madder)#b7282e、紅珊瑚色(coral)=珊瑚色(coral red)#f5b1aa、
赤色(red)#FF0000=RGB(255,0,0)、帯赤色(rubescent , blushing reddish , pinkish)、
煉瓦色(れんがいろ)#b55233)#9c4836、
赤ワイン色(wine red , vinaceous , purplish red)#b33e5c、小豆色(あずきいろ)#864944
えんじ色(burgundy, dark red; deep red=暗赤色(lurid , dark red, dirty red)#782b3a,#9f3b42、
洗朱(あらいしゅ)色#D0826C、(peachpuff)#FFDAB9=桃の果肉色、
淡紅紫色#FFC0CB=ピンク色(pink)#f5b2b2=撫子色#eebbcb 、淡ピンク色(light pink)#FFB6C1、
薄紅梅(うすこうばい)色(pastel pink)#e597b2、桃色(rose pink , rose-colored)#f09199、
丁子色(ちょうじいろ)(dull yellow-red, hazel brown)#EFCD9A、
カーマインレッド(carmine-red)#d70035、 カーマインピンク(carmine-pink)
鮭肉色(salmon)、サーモンピンク(salmon pink)#f3a68c、鴇色(ときいろ)(salmon pink)#f4b3c2、
肉色(flesh‐colored , incarnate)、
肌色(very pale brown , very pale orange)#f8d8b7、桜色(reddish white)#fef4f4
ベージュ色(beige)#f5f5dc=(pale or light grayish orange(brown), pale or
light grayish gamboge)#e3cea4、
●黄色・橙色・褐色系
淡黄色(lightyellow)#ffffe0、淡キリンソウ色(lightgoldenrodyellow)#fafad2、
レモンシフォン色(lemonchiffon)#fffacd、
黄色(yellow)=タンポポ色#ffff00、金色(gold)#ffd700=金(こんじき)色#e6b422、
黄金色(golden yellow)#e6b422、辛子(からし)色#d0af4c、山吹色#f8b500
トウモロコシ黄色(maize yellow) =レモンイエロー(lemon yellow)#fff156、
緑黄色(vivid yellow , vivid gold)#dccb18、
帯黄色(lutescent , staining yellow)、 灰黄色(isabella , yellowish brown ~light olive brown)#F4F0EC、
浅黄蘗(あさきはだ)色(primrose yellow)#fcce45、サフラン色(saffron)#f4c430
クリーム色(cream)#e3d7a3、クロムイエロー(cream yellow)#fcc800, #FFFFCC、
極淡橙黄色(very pale orange-yellow)#feedb0、
蜜黄色(honey yellow)#9b8358、蜜褐色(honey brown)、
黄土色(おうどいろ)#c39143= オーカー色(ocher , ochraceous , brownish yellowish)#BB8B38、
タン色(なめし皮色=黄褐色に近い)(tan)#D2B48C , #bf783e、
カーキ色(茶褐色、黄褐色)(khaki)#a28350 , #f0e68c、
バフ色(淡黄色のなめし革色=黄土色に近い)(buff)#b99769、
バーリー・ウッド色=樫の樹皮のタンニンで牛の皮をなめしてできる皮の色(burlywood)#deb887、
琥珀(こはく)色(amber)=透明感のある黄褐色又は黄色寄りの橙色#bf783a、
樺色(かばいろ)(reddish yellow)#cd5e3c、朱色(vermilion)#eb6101、
灰褐色(fuscous , grayish , grayish brown)、チョコレート色(chocolate )#D2691E、(saddlebrown)#8B4513
シェンナ色=黒色を帯びた黄褐色(sienna)#A0522D、褐色(brown)#A52A2A、褐色(brown)#8a3b00、
榛色(はしばみいろ)#BFA46F、薄茶色(hazel)#594c26=淡褐色(avellaneous)=明るい茶色、
暗榛色(dark hazel brown)#3f3404、
淡褐色(No.32 clay-buff)、淡褐色(No.30 clay pink)、淡褐色(light brown , pale brown)、
スーダンブラウン(sudan brown)#9F4F05=やや黄色を帯びた褐色、マルスブラウン(mars brown)、
茶(ちゃ)色(strong red , strong scarlet)#965042、
焦茶(こげちゃ)色(dark red-orange , dark vermilion)#6f4b3e、暗褐色(fuscous)、
青銅色=ブロンズ色(bronze) #CD7F32、 真珠光沢のある青銅色(iridescent bronze)、
小麦色(wheat)#f5deb3、朝焼け色(sunglow)#ffcc33
栗色(chestnut-brown , maroon)#762f07、(maroon)#800000、栗毛色(badius)、
鉛褐色(livid brown)#312a29、<土壌の>暗褐色(umber)#635147、
生(き)アンバー=暗褐色(raw umber)#826644、焼きアンバー=赤褐色(burnt umber)#8A3324 、
柿色#ed6d3d、人参色(carrot orange )#EB8921 #ec6800、
オレンジ色(orange)#ffa500=橙色 #ee7800、(sandybrown)#f4a460、darkorange(darkorange)#ff8c00、
萱草色かんぞういろ=パンプキン色(pumpkin)#FF7518 、パステルオレンジ(pastel orange) #ffb347
肉桂色ニッケイ色(cinnamon)#be8f68 , #dd7a56、シナモンブラウン(cinnamon brown)、
粘土褐色(clay brown )#734222、粘土色(clay)、
明赤橙色(brilliant red-orange , brilliant vermilion)#cd6349=淡オレンジ色、
薄茶色(avellaneous , pale pinkish gray)、わら色=ストロー(straw yellow)#edd19a、わら茶色(straw brown)、
麦わら色(isabelline, yellowish brown - light olive brown)、
朽葉色(dark brown , dark orange, russet)#796040、
煙草色(たばこいろ)(暗黄茶色)、鹿毛褐色=赤褐色(bay brown)、 〈髪の毛などの〉赤褐色(auburn)、
黄褐色(fulvous , tawny, tawny brown)#CD5700、シナモン鉄銹色(cinnamon ferruginous)、
銹褐色(rusty brown)=褐鉄銹色(fuscous ferruginous)#603008、
鉄銹色(ferruginous , rusty ,rust)#6A3427、銹色#552c23、赤銹色=銹赤色(rusty red)#6f2d21、
ロージーブラウン=ばら色系の茶色(rosybrown)#BC8F8F、
嗅ぎたばこ色=灰黄褐色(snuff-brown)、
胡桃染(くるみいろ)(yellow-brown)、
くすんだとび色=灰黄褐色=ドラブ色(drab)#7b5f56、
●青・紫色系
青色(blue)#0000FF、水色(light blue, pale blue)#bce2e8、空色(azure)#a0d8ef=(sky blue) #87CEEB、
シアン色(aqua)#00FFFF、コバルトブルー(cobalt blue)#0020C2 , #0068b7, #0066a5、
白粉を帯びた淡緑青色(glaucous , greenish , hippie blue)#6082b6 、
群青(ぐんじょう)色(strong blue , strong sapphire blue)#4c6cb3≒(ultramarine blue)#4166F5
瑠璃(るり)色(strong cyan-blue, strong cobalt blue)#1e50a2≒(lapis lazuli blue, strong azure)#26619c、
藍(あい)色(indigo blue)#4B0082≒(deep cyan, deep cornflower blue)#165e83、
紺(こん)色(deep blue, deep sapphire blue)#223a70≒(navy blue)#000080≒(resolution blue)#323f75、
藤(ふじ)色(light bluish gray)#bbbcde≒(lavender grey)#bdbbd7、アイリス色(iris)#5A4FCF、
淡灰青色(pale grayish blue, pale grayish phthalo blue)#a8adcc、
菫(すみれ)色#7058a3≒紫色(violet, lavender magenta)#EE82EE、
青紫色(strong blue-magenta , strong blue violet)#674598≒ロイヤルパープル(royal purple)#6b3fa0、
≒菖蒲(しょうぶ)色(strong blue-magenta , strong violet)#674196
菖蒲(あやめ)色(light magenta , light cerise)#cc7eb1≒(sky magenta)#cf71af
桔梗(ききょう)色(shade of blue-magenta)#5654a2、
紫色=パープル(purple , patriarch)#800080=rgb(128,0,128)
紫色(strong magenta , strong mulberry)#884898≒(vivid violet)#803790、
竜胆(りんどう)色#9079ad≒(lavender purple)#967bb6、
葡萄(ぶどう)色#522f60≒(deep magenta , deep fuchsia)#602f56 、
茄子紺(なすこん)色(dark magenta)#824880、
紅紫(べにむらさき)色(strong magenta, strong fuchsia)#b44c97≒クワの実色(mulberry)#c54b8c
紅藤色(べにふじ)#bfabc8≒ライラック色(lilac)#C8A2C8、
青藤(あおふじ)色#b0a2bf≒ラベンダー色(lavender)#E6E6FA、
ライラックグレイ=滅紫(けしむらさき)(lilac gray)#9F9FE0、
薄紫色=紫色への変色を示す(violaceous)#aa4c8f、
●緑色系
黄緑(きみどり)色#b8d200=(yellow-green)#ADFF2F、
草(くさ)色(strong yellow-green , strong lime green)#7b8d42≒山葵(わさび)色( wasabi)#849137、
苔(こけ)色#69821b≒コケ色(moss green)#8A9A5B、暗コケ色(dark moss green)#4A5D23 、
萌黄(もえぎ)色(light green , light yellowish green)#aacf53、
若草(わかくさ)色(vivid yellow-green , vivid apple green)#c3d825、
淡緑色(palegreen)#98FB98=(lightgreen)#90EE90、薄緑(うすみどり)色#69b076、
緑色(green) #008000、(明)緑色#00FF00、
オリーブ色(olivaceous , olive, olive green)#9AB973、オリーブドラブ色=濃黄緑色(olive drab)#6B8E23、
鶯(うぐいす)色#928c36≒(highball)#928c3c、
抹茶(まっちゃ)色(moderate yellow)#c5c56a≒(wild willow)#beca60、
アーティチョーク色(artichoke)#8F9779、アボガド色(avocado)#568203、
アスパラガス色(asparagus)#87A96B、
月桂樹色=ローレル色(laurel green)#A9BA9D 、シダ色(fern green)#71BC78 、
エメラルド色(emerald green)#50C878、
暗緑色(dark green)#013220、深緑(ふかみどり色=日本伝統色(dark green)#00552e
●黒白系
白色(white)#ffffff、黒色#000000、
鉛色 (livid , grayish or bluish gray)#7b7c7d、灰色 (cinereous , gray)#808080、
鈍色(にびいろ)=暗い鼠色#727171、鼠色(dark gray)#949495、錫色#9ea1a3、墨色#595857
青白色(watery white)、乳白色(milky white)#f3f3f3、
象牙色=アイボリー(ivory)#f3eed5、くすんだ白色(off-white)、暗黒色#16160e
・色の表現
汚い=くすんだ(sordid , dingy)、鈍い=くすんだ(dull , gryish)、さめた色(washed-out color)、
淡い=薄い=浅い(light, pale)、淡色(pallid, pallescent)、
彩度の低い(desaturated)、暗い(dark)、濃い=深い(deep, dark)、
明(light)=冴えた(bright)、澄んだ(clear)、かすかに(subtly)、色あせる(fading , expallent)、
鮮やかな=強烈な(vivid , vibrant , brilliantly coloured)、輝く(brilliant)、明るい=輝く(luminous)、
柔らかい(soft)、うすい=淡い=薄い(pale) 光沢のある(shiny)
中位の=中間の(medium)=適度な(moderate , neutral)
paleとlightlはどちらも色の明度が強い場合を指すが、paleの方がlightより彩度が低い。
明度の順はvery dark<dark<dull<soft<moderate<light<pale<very pale
彩度の順は grayish <soft<moderate<strong<vivid
彩度及び明度 light<bright<brilliant
透明=無色(hyaline , colorless)、半透明(translucent , lucent)、不透明な(opaque)、 ※帯(-ish)は・・・を帯びた色という意味。帯黄色 yellowish は黄色を帯びているという意味。
(赤)みの、(白)みのなどの修飾語の「み」を表し、修飾語の場合は省略されることも多い。
・きのこの色に関する表現
溶ける(deliquesce):ツキヨタケなどの傘は黒くなって溶ける
淡色=・・・の薄い色合い、・・・みのある(tint):色が高い照度(illumination)で弱くなること
色素の場合に白色を加えること
染料の場合の水などで薄められること
例):deep tint, midium tint ,light tint , pale tint , delicate(palliid)
tint
黄ばみ(yellow tint)、
暗色=・・・の色合い、・・・みのある(shade):色が影で暗くなること
色素の場合に黒色を加えること
tintの反対
例) medium shade , dark shade, very dark(dusky)shde
吸水性=吸水変色性 hygrophanous:湿時、周縁部に半透明の条線を表し、乾燥すると退色する性質
吸湿性 hygroscopic:湿りやすい
微粉状=粉を帯びた(glaucous)、全体に紫色を帯びる(suffused purplish)
傷つけると(bruised , injured.)、古くなると(with age)、触ると(touched)、乾くと(exsiccate)
・赤変性 rubescent:傷つけるとピンク色や赤色を帯びる性質
○キノコの臭い odor , smell
粉臭(穀粉、澱粉)farinaceous , mealy、
粉臭 farinaceousを3グループに細分類
(strictly farinaceous, cucumber/farinaceous ,rancid-oily-fishy/farinaceous)、
魚臭 fishy (チチタケ類、ベニタケ類)、エビ臭 shrimplike (チチタケ類、ベニタケ類) 、
精液臭 spermatic (主にアセタケ類)、漂白剤臭 bleach(クヌギタケ属)、
火薬のようなreminiscent of gunpowder、
沼ガスやタール臭swamp gas or coal tar(マツタケ)、フェノール臭 phenolic、土臭い(どろ臭い)earthy、
かび臭 musty (ツガサルノコシカケ)、アニス臭 anise(カヤタケ属、ハラタケ属) 、
ニンニク臭 garlic(ホウライタケ属)、臭いニンニク臭 fetid garlic、熟し過ぎたチーズの臭い overripe cheese,
古いキャベツ水の臭いold cabbage water、アンズ臭 apricot(アンズタケ属)、アーモンド臭 almond(ハラタケ属)、
玉ねぎ臭 onion、ダイコン臭 radish , raphanoid、青トウモロコシ臭 green corn(アセタケ類、タコウキン類)、
キュウリ臭 cucumber、スイカの皮臭 watermelon rind、チョコレートのような chocolate-like
温和臭 mild、芳香 fragrant、快いpleasant、
悪臭(foul , fetid, foetid , ill-smelling)、不快な unpleasant、刺激臭 acrid 、菌臭
fungoide、
ヨードホルム臭 iodoform、インク臭(ink)、汗臭い(sweat)、カビの生えたわら臭mouldy straw、
ゼラニウムの臭いgeranium、
○きのこの味 tast
温和mild、美味しいtasty、とても美味しいdelicious、快いpleasant、味気ないinsipid、
不快 unpleasant、刺激がある(舌がやけるような辛さ)acrid、苦いbitter.、苦いようなbitterish、
菌のようなfungoide、渋味 astringent
○柄 stalk , stipe:キノコの傘の下の柄であり、内部構造が未分化のため、茎とは呼ばない。
ただし、一般的にはstem とも呼ばれる。
柄に関係した stipital
・柄の有無 有柄(caulescent , stipitate)、無柄(sessile)
・柄と傘のつき方
中心生central、中心柄の mesopodal, mesopodial, mesopodous
偏心生 eccentric , excentric、偏心生に ecentrically
側生 lateral 、pleuropodal
・基物へのつき方 挿入insititious, interpolate
・柄の形
円筒形(cylindric)、円柱形(baculate)、管状(fistulose)
先端が細くなった円柱[円筒]形の(terete)、先細=逆棍棒形(tapering upwards , club-shaped base)
上下同径(equal)、ほぼ同径(more or less equal)、
先太=棍棒形(tapering towards base , tapering to base , club-shaped , clavate)、
中太(swollen)、便腹形(ventricose)、
紡錘形(fusiform)、太い筒形(broadly fistulose)、管状腺の=溝がある(canaliculate , channelled)、
馬の毛状(horsehair-like)
・柄の表面の種類
平滑(glabrous) 、無毛平滑=はげ(bald)、しわ状(corrugate)、条線(longitudinally striate)、繊維状(fibrous)、
ふけ状(scurfy)、長軟毛状(pilose)、剛毛状 (setiform)、鱗片状(scaly)、ささくれ状(squarrose)、
網状(reticulum)、網目状(clathrate)、網目模様の(reticulated)、
粉状(pulveraceous)、粒点状(punctate)、腺点(glandular dots):イグチ類の柄の上部に散在する)
・柄の基部
膨れない(unswollen)、球根状(bulbous)、角張って膨れる(angular)、先細(tapering)、根状(radicating)
・柄の内部
中実 solid:内部まで均一に菌糸が詰まった柄
中空 hollow , fistular , fistulose:内部が空の柄
髄質、髄状 medulla、stuffed.:内部に柔らかい髄を有する柄
・柄表皮(えひょうひ) stipitipellis
・柄の皮質 stipe cortex
・バルブ(球状部分)bulb
柄の基部が球状にふくれた部分:球型、球根形、棍棒形、片側が膨れた形などになる
・柄の基部の基物へのつき方
菌糸体(mycelium)が基部にみえるものと見えないものがある。
insititious:柄の基部の菌糸体が無く、基物につくもの
non-insititious:柄の基部の基物上に毛状、綿状の菌糸体が見えるもの
根状菌糸束rhizomorphs :根状になるもの
仮根rhizoid
○つば annulus , ring , partialveil , skirt , ephemeral ring :
子実層托を保護する内被膜(partial veil)が成熟過程で傘の縁部で切れて柄に残ったもの。
テンングタケ類、ナラタケ属、ハラタケ属、フウセンタケ属などでみられる
クモの巣膜(cortina):完全なつばにならない繊細な糸くず状の内被膜。フウセンタケ属などでみられる。
傘が開くとき、内被膜がクモの巣状になる。
環帯(ring zone):内被膜が銹色などに環状に残ったもの
下位つば(inferior annulus):柄の下半分につくつば
早落性(fugacious)=消失性(evanescent)=壊れやすい(fragile)、薄っぺらで壊れやすい(flimsy)
宿存性の=永存性=残存性(persistent)
枯れても落ちないで残る(marcescence , marcescent)
・つばの種類
膜質(menbranous)、二層(bilaminate)、環状可動(annulis mobiles)、星形(asteroid)、
クモの巣状(cortinar annulus)、綿毛状(byssoid)、えり状(collarlike)、カフス状(cuff-like)
○つぼ (脚苞)volva , universal veil :
子実体が幼時に外側を卵形の外被膜=菌包(volva , universal veil)で包まれ、
外被膜が成熟過程で破れて柄の基部に残ったもの。
テングタケ類や腹菌類で見られる。
・つぼの種類
浅いつぼ(marginate)、袋状(saccate)、鞘状(vaginate)、破片状=くずれやすい(friable)
○肉 context , trama , flesh:子実体も傘や柄の内部、子実層托以外の内部。
ひだ肉(ひだ実質) lamellar trama
もろい(fragile , brittle)、硬い(firm)、 丈夫な=強靭な(tough)、しなやか=柔軟な(pliant)、
膜質(membranous)、革質(leathery) 、ゴム質(rubbery)、繊維質(fibrous)、ゼラチン状(gelatinous)、
海綿質・スポンジ状 (spongy)、ぶよぶよの(flabby)=ふにゃふにゃの(flaccid)、つるつるの(waxy)
にかわ質(glutinose)、軟骨質 (cartilaginous)、コルク質(corky) 、木質(woody)、水気の多い(succulent)、
すぐに腐敗する(putrescent)
<傘> pileus(pl. pilei) , cap
・傘など子実体の形
釣鐘形(campanulate)、鐘形(bell-shaped)、円錐形(conical)、類円錐形(subconical)、
饅頭形(convex)、低饅頭形(plano-convex)、
丸山形:饅頭形より山が低い。北陸きのこ図鑑では丸山形→饅頭形であり、丸山形の方が低い
市女笠形:ハエトリシメジ、フタイロシメジ、アカチシオタケ、アシナガトヤマタケ
中丘扁平:中丘の意味は北陸きのこ図鑑では中高扁平の場合より中心の突起がなだらか
中高扁平→中丘扁平:ヒメムラサキシメジ
:著者によっては中心突起を中丘といい、中丘扁平も中心の突起が鋭いものをいう。
=中高扁平
中丘(perforatorium):丸山形で中心突起(unbo)がある 、中心突起がある=中丘がある(umbonate)、
中央のこぶ状突起(central bump , central hump)=中心突起
=心(しん)いぼ(umbo)=傘の中央隆起(umbonate)
中高扁平形(plane and umbonate)=中心突起(unbo)がある、
傘形(Umbrella-shaped):ウバノカサ、麦わら帽子形(straw hat-shaped):オキナタケ、
陣笠形:チャモエギタケ, スギバホウライタケ , マルミノクヌギタケ、キナメアシタケ , ニガクリタケ,
富士山形:ヒダサカズキタケ、山高帽形、擬宝珠形:カブラマツタケ, カザリツチスギタケ
平形=扁平形(plane, flat, applanate)、 四角ばった(squarish)、窪んだ扁平(sunken , plano-umbilicate)、
ゴブレット形= ワイン用グラス形(goblet-shaped)、杯形(crateriform , cup shaped, cupulate)、
円盤形(discoid)、皿形(cotyliform)、凹(おう)面形=中くぼ(concave , umbilicate)、
漏斗形(infundibulate , infundibriform , funnel-shaped)、浅皿形、へら形(spathulate)、
棚形(bracket-shape)、扁平形(applanate)、歪な(malformed)、
扇形(flabellate , fan-shaped , flabelliform)、団扇形(うちわがた)rounded fan-shaped
:ツチヒラタケ、
馬蹄形=ひづめ形(hoof-shaped , ungulate)、 半円形(dimidiate , ungulate)、貝殻形(shell-shaped , dimidiate)
花瓶形(vase-shaped)、枕(クッション)形(pulvinate)、とさか形(cristate)、風車形(pinwheel)、
腎臓形(reniform , kidney-shape)、円形(orbicular , circular)、僧帽形(cucullate=hood-shaped)
楕円形(ellipsoid,Q=1.3-1.6)、楕円状(oval)、半球形(hemisherical)、半円形(dimidiate)、球形(sherical)、
中窪がある=中凹(umbilicate):傘中心が臍状に窪んだ
鉛筆の芯状突起:イボカサタケの突起
※Q:Flora Agaricina Neerlandica Vol.4に示されているシスチジアや胞子の長さ/幅の比
・傘などの表面状態
平坦(flat, plane)、無毛(glabrous , bald) 、滑らかな(lubricous)、多肉質の(fleshy)、艶が無い(matt)、
光沢のある(shiny)、かすかに光る(shimmering)、湿ったとき光沢のある=吸水性(hygrophanous)、
放射状の繊維(radial fibrils)、繊維状(fibrous)、小繊維状(fibrillose)、きらきら輝く(glistening)、
小鱗片(squamulose)、微粉状の小鱗片(granulose squamulose)、剛毛状(strigose)、
鱗片(scale)、鱗片状(scaly)、ささくれ鱗片状(squarrose)、繊維状鱗片(fibrillose-scaly)
ざらざらした=粗面の(scabrous)、わずかにざらざらした=わずかに粗面の(scabrulose)、
毛深い(hairy)、毛むくじゃらの(shaggy)、うぶ毛[綿毛]でおおわれた(downy)、
細かい綿毛状(tomentulose)、フェルト状(felty)、けばだった(fuzzy)、羊毛状(lanose , woolly)、
綿毛状=ビロード状(tomentose)、 密綿毛(tomentum)、やや綿毛状(subtomentose)、
密に細かい綿毛のある(flocculose)、ビロード状(velutinous , velutinate , velvety ,
velvet-like)、
疣状(warts)、皮のような(coriaceous)、ゴム質(rubbery)、半透明の(translucent)
ふけ状=糠状(scurfy, furfuraceus)、かさかさした(lepidote:鱗片又はふけで覆われる、やや広義)、
顆粒状(granular)、細顆粒状(granulose)、粉状(faronose , mealy)、微紛状(pruinose)
溝がある(sulcate)、溝状(grooved)、深い溝や穴状(lacunose)、溝線(striiform striate)、
条線(striate)、放射状の条線(radially striate)、薄い線が入った(thinly lined)、
粒状線(tuberculately striate)、
環状(同心円状)の(concentric)、不明瞭な環状の(semi-concentric)、
環溝=同心円状のうね(concentrically ridged)=(furrowed in zones)
環紋(annulus , zonatespot , concentric texture , concentric zones)、
環紋のある(zonate)、環紋のない(azonate)
亀裂のある(rimose)、ひび割れ状(rimulose)、裂け目のある(lacerated)、溝のある(sulcate)
割れ目のある(cracked)、パッチ状(patches)、小区画状(areolate)、表皮亀裂(rimose-areolate)、
穴のあいた(pitted )、斑点状(punctate)、刺状(しじょう)=棘状(きょくじょう)(spinose)、網状(reticulate)、
曲がりくねった(sinuous , flexuose) , 細い波状線の(rivulose)、
ホタテガイの縁のように波を打った(scalloped)、ひだ状(pleated)、
縁膜片のある appendiculate:傘の縁に内皮膜の破片が垂れ下がる形
しわ状=大きなしわ状(rugose, wrinkled)、細かいしわ状(rugulose)、
水路状のしわがある(rivulose:繊細な不規則に連結する線がある)
乾燥性=乾き(dry , arid)、湿気がある(moist)、吸湿性の=吸水性の(hygroscopic) 、
湿ったとき光沢のある(hygrophanous)、
ぬめりがある(slimy)、微粘性(にかわ、ワニスなどでべとつく)(tacky)、脂ぎった(greasy)、
粘性の(sticky):固着性がありべたつく、粘着性の(adhesive)、弱粘性の(subviscid)、
粘性のある(viscid):粘度が高くねばる、強粘性の(strongly viscid)、
強粘性、にかわ質の(glutinose:傘や柄の表面がグルテン状又はにかわ状の物質で覆われている様子)、
ゼラチン状(gelatinous)、
・縁の形
(ホタテガイの縁のように)波を打ったscalloped、
内巻き inrolled、内屈した(わずかに内向き)incurved、小円鋸歯状 crenulate
全縁 entire:傘やひだの縁が切れ込みや鋸歯がなく、平滑
虫食い状 eroded:傘やひだの縁が虫食い状に不整の鋸歯状
不整深裂 incised::傘などの縁が細かく不規則に切れ込む
・剥離性 peelability:傘表皮などの剥離のしやすさ
内在性innate:表面の組織が周囲や隣接する組織と一体となり、容易にはがれないもの
表在性superficial:表面の繊維状の菌糸が成熟すると消失する
柄の表面の顆粒、繊維、毛、鱗片が容易に除去できるもの
・外被膜(菌包)残片 volval remnant :
子実体が幼時に外側を卵形の外被膜=菌包(volva , universal veil)で包まれ、傘の表面などに残る。
いぼ、パッチ:傘の表面に残る。柄の基部に残ったものをつぼ(volva , universal veil)という。
・内被膜残片 partial veil remnant :
子実体が幼時に包まれていた内被膜(partial veil , annulus)が傘の縁に垂れ下がって残る。
・ボタンステージ button stage(egg stage) :Immature fruting bodyともいい、
マッシュルームなどの丸いきのこの初期の段階、内被膜が閉じ、柄が短い。
これに対して大きくなったものはMature fruiting bodyという。
<菌糸組織>plectenchyma
紡筋組織 prosenchyma:菌糸組織の一種、構成菌糸の各々が容易に確認できる状態のもの
偽柔組織 pseudoparenchyma:構成菌糸の各々が容易に確認できないもの
・傘上表皮層 pileipellis = cortical layer of pileus = pileus cuticle
上皮、表皮(cuticle)、表皮(cutis)、表皮(dermis)が使われることもある。
傘上表皮層 が複層の場合、上表皮(suprapellis)、下表皮(subpellis)=傘表皮下層に分類する。
傘の表面 pilear surface
傘上表皮層 の型(pileipellis type)
○平行菌糸被 cutis(構成菌糸が傘表面とほぼ平行に配列する)
傘上表皮層が複層の場合、外皮層(epicutis)、下皮層(hypocutis)に分けられる。
下皮、皮下(subcutis)、
角皮上生=クチクラ上生=外皮層の(epicuticular)、角皮下生(subcuticular)
匍匐菌糸被(匍匐性の糸状菌糸からなる)
錯綜型平行菌糸被 dryophylla-type cutis
ゼラチン化した平行菌糸被 ixocutis
非ゼラチン質の nongelatinous
○直立菌糸被 derm(複数形 dermis) (構成菌糸が表面とほぼ垂直に配列する)
複層の場合、表皮 epidermis , 下皮 subdermis=hypodermisに分けられる。
○短細胞被 epithelium(球形~惰円形の細胞が直立して鎖状に連なる)
毛状短細胞被 trichoepithelium
○子実層状被 hymeniderm=hymeniform=palisade (柵状palisade)
(子実層のように構成菌糸が、垂直に立ち上がりつつ並列する)
ハリガネオチバタケ型 (Siccus-type)細胞:棍棒形、頂部に複数の長い指状付属糸を持ち、壁は赤褐色
○毛状被=トリコデルム型 trichoderm (構成菌糸が傘表面に直立して、毛状に荒く平行につく)
錯綜型毛状被 interwoven trichoderm 柵状毛状被 = 柵状被 trichodermial palisade(箒状、サンゴ状、茶筅状など毛状以外の細胞からなる)
粘毛状被 ixotrichoderm(ゼラチン質に覆われた毛状被)
○嚢状被 cystoderm:小嚢や類球形又は球形の細胞の単層からなる表皮層(pellicle)
・-derm=skin, cortex, membrane
箒(ほうき)状細胞 broom cell
シロヒメホウライタケ型 (Rotalis-type)細胞:箒状細胞の全面又は上半分に疣状微突起が密生する。
もつれ状 tangle、平行 parallel、 匍匐性の repent、絡み合い(織り合わされた) interwoven
糸状菌子filamentous hyphae
細胞状 cellular
両側型=左右相称型 bilateral type
ラメアレス構造(Rameales-structure) :傘表皮層の構成菌糸が多数の短い側枝を生じて魚の骨状になる
アステロストロメラ様構造(asterostromelloid structure):二叉状構造 (dichophysoid)
多くの枝が主軸に沿って直角で始まり、端は星形のようになる枝分かれ菌糸
実質の parenchymatous
小粒膜、皮層 cortex
・柄表皮 stipipellis:柄の細外層
<子実層托 hymenophore>
子実層托hymenophore :胞子をつくる子実層があり、平坦なものから、ひだ、管孔、針などがある。
子実層托(hymenophore)の微細構造は次の層からなる。
① 子実層(hymenium):坦子器、シスチジア、汁管菌糸、ハイフィディウムなどが混在する。
②子実下層(subhymenium , hypothecium) :坦子器の下の菌糸層。垂直方向に伸び、よく分枝する。
ときに、非常にコンパクトであり、観察が困難なものもあり、非常に薄い子実体の種の中には欠くものもある。
③子実層托の実質(hymenophoral trama):子実層托を形成する菌糸組織であり、
子実層と子実下層を支持する層である。
用語は子実層托がひだ状(lamellate)、管孔状(poroid)、針状(hydnoid)などのときに実質という。
退化して平滑なときは実質といわない。
子実層托がひだのときはひだの実質(lamellar trama)という。
その菌糸をひだ実質の菌糸(単に、実質の菌糸 trama hyphae )という。
実質の菌糸は傘や柄の肉の菌糸と構造が異なることも多い。
④子実体形成菌糸層(subiculum):基部にある基物(substrate)につく菌糸の層。
無柄の場合には子実下層の下にある層である。
菌糸は子実体の実質よりしばしば幅が広く、疎であり、ほとんど基質に平行に伸びる。
※有柄の場合は柄の基部にある網状、綿毛状にからみあいマット状になった菌糸層。
子実体がその上に形成される場合だけに用いられる。
これに対し、より緻密で表層部も内部組織と異なった発達がみられる段階のものは子座とよばれる。
・子実体形成菌糸層菌糸 subicular hyphae
○子実層(しじつそう)hymenium:
坦子菌類ではひだ、管孔、針などの子実層托に担子器とシスチジアが密に並列した子実層がある。
・子実層 hymenium:子実層托にある担子器とシスチジアが密に並列した層。ここで坦子胞子が形成される。
担子器やシスチジアの見られる部分
・不斉子実層 catahymenium:担子器が形成される前の不稔要素だけの子実層
・非子実層面 abhymenial surface :子実層と反対側の面
・子実下層 subhymenial layer: 実質と子実層の間にある多分枝の短い細胞より成る部分、
・実質(trama , parenchyma):子実層托を構成する組織、通常細長い細胞が並ぶ
管孔や針を構成する菌糸は実質の菌糸trama hyphae
・実質の(parenchymatous)
・偽実質の(pseudoparenchymatous)
○ひだ gill , lamella :キノコの傘の裏面に放射状に(まれに同心円状に)形成される刃状の子実層托(器官)。
ひだ状 lamellate , pleated が最も多い。
・ひだの配置
放射状(radially)、同心円状(concentric circular)、迷路状(labyrinthine)、網状・脈絡(anastomosing)
・ひだの構造
ひだの間隔(gill spacing) は密~疎がある。
疎(distant)、やや疎(subdistant)、やや密(close)、かなり密(rather crowded)、密(crowded)、
縁の色が異なるひだ(marginate gills)
やや管孔状(poroid-alveolate)
ひだの分岐 (forking , forked)
ひだの間に小ひだ(lamellulae , free gill)と呼ばれる短いひだを持つもの
脈絡(連絡脈、網状脈) anastomosing :ひだとひだとの間にある脈状の連なり。
側脈 intervenose:ひだの枝
偽ひだ(ぎひだ)false gill:ひだに組織的分化が見られず、構造的にはかさの肉と区別できないもの
例:アンズタケ、スエヒロタケ
・ひだの断面 (担子器が並び胞子をつける子実下層の下部)による菌糸の並び具合による分類:
1.並列型(parallel type)、2.錯綜型(interwoven type)、
3.散開型(divergent type)、4.逆散型(convergent type)
・ひだのつき方(gill attachment)
1. 直生 adnate:柄にひだが直角につながる(reaching , attached to the stem)
2. 上生 adnexed:ひだが上向きの弧を描き、柄の上端近くにつながる(ascending)
deeply adnexed
3. 垂生 decurrent:柄に対し、ひだが下向の弧を描いて付着する (gills running down the stem).
subdecurrent , short-decurrent、直生状垂生adnatodecurrent
4. 湾生 sinuate:ひだの末端が柄に触れてはいるが、柄の近くでひだがやや上向きに切れ込んだ弧をなす
(depressed around the stipe) deeply sinuate,
4' 凹生(凹形の) emarginate:端に切り欠きのある・・・湾生と区別しない専門家もいる
sinuateとemarginateを含めてnotched gills ともいう。
5. 離生 free , subdistant:柄の上端とひだの末端とが離れる(gills not touching the stem)
attached by a notch , notched gill
5' 離脱 seceding :柄とひだの末端とが完全に離れ、柄との間隔がせまいもの。離生と隔生の中間。
6. 隔生 remote , distant:柄とひだの末端とが完全に離れ、柄の周囲のかさの肉が露出する
・ひだ数 number of gills:傘ごとのひだの数は間隔に大きく関係し、菌ごとに異なり、これを記録する標準法。
傘の(半分ごとのper half a cap)、ひだgill , lamelleの数(L)と小ひだlamelluleの数(l)で表す。
表示の例) L = 10-14, l = 22-28
(参考:Nano Mushroom Identifier 著者: Rouf Hamza Boda)
・小ひだ lamellula (pl. lamellulae), lamellule(pl. lamellules) , short gill
段数 tiers:小ひだの異なった長さの数 the number of distinct lengths of lamellulae
lamellules:無い場合や多数の場合もあり、2種以上のサイズがある。
短い小ひだshort lamellulae
長い小ひだlongl lamellulae
ひだlamellae
・ひだの形
かぎ状 uncinate: ひだの下部が短い鈎状になってつく。刃の下部が小さい弧状に切れ込む
弓形(arcuate):弓のような凹形の(concave)の刃(edge)、
便腹形=片側が膨れた(ventricose):刃が凸形
裂断状(segmentiform):ひだが肉に凹形につく部分以外は真っすぐな刃をもつ
いぼ状(tuberculate):ひだが刃状でなく、いぼ形、
・ひだの縁 gill edge
全縁(entire, smooth)、 円鋸歯状(crenate)、波状(wavy)、浸食状(eroded)、縮れ状(crisped)、
細鋸歯状(serrulate)、鋸歯状(serrate)、縁毛状(fimbriate , cystidiate)、(glistening)
縁取りがある(marginate)、縁取りがない(non-marginate)
・ひだの色
白色、クリーム色、淡褐色、灰褐色、傘と同色など(傘色参照)
変色性:傷をつけると変色するものがある。
血色(暗赤色)、淡紅色、黒色、黒褐色、緑色、青色などに変色する。
傷つけると(bruised , injured.)
扱うと=触るとhandled
傷つくと damaged
○襟帯(きんたい) collar:柄に直生するひだがつくる柄から遊離したつば状の帯。
ホウライタケ属の一部に見られる。
○子実層托(ひだ)の特殊な形状
・管孔状(多孔菌形 poroid:管孔(pore tube)がある。多孔孔菌類に見られる。
管孔 tube, pore:ひだの間に多数の仕切りが形成され、チューブ状になったもの
スポンジ状(イグチ型):ひだはなく、スポンジ状の管孔面
孔口 pore:傘の裏面で認めることができる管孔の開口部、断面の管孔の色と異なることもある。
孔口の密度は㎜又は㎝あたりの個数で表される。
管孔長:管孔の深さ、断面を観察してその長さ、肉の厚さと比較する
孔壁(こうへき)dissepiment:管孔壁面にある子実層形成部位、管孔と管孔の間の隔壁
・針状又は歯状(ハリタケ型hydnoid):明瞭な針(spin)状(ただし歯(tooth)も含めることがある)
針 spine:ひだが細かく裂け、個々の裂片が円錐状に変形し、針状になったもの
例:イボタケ科、カノシタ科
薄歯(歯) teeth:管孔が裂けて薄い歯状になったもの、管孔と針の中間
刺 aculei , prickle :針状(ハリタケ類)といぼ状(コウヤクタケ類)の中間のコメバタケ類の突起
・歯状 しじょう(イルペクス(Irpex)属形 irpicoid , irpiciform):不規則で扁平な歯をもつ。熊手の歯状(rake
teeth)
中国語では耙齿状(熊手の歯状)、英語ではrake teeth(熊手の歯状)
・歯牙状 odontioid :歯又は小さな針がある。
・網目状 reticulate :網のようなうねがある
・迷路状 maze-like :ひだの溝が迷路のように曲がったり、分かれたりする。
・しわ孔状 merulioid (Merulius属状):放射状又はやや網状の折りたたみ(fold)がある。管孔のしわ状の形。
wrinkled with low, uneven ridgesともいう。
・いぼ状 thelephoroid:子実層托がいぼ状(イボタケ属形)
・瘤状(こぶじょう) tuberculate :(普通)疎で不規則なやや大きい疣(warts)がある。
・顆粒状 grandinoid :小さな顆粒(かりゅう)状
・類上皮状 epitheloid :無性の芒(pegs)が散生する
・平滑 corticioid:子実層托が平滑(コウヤクタケ型)
○坦子器 basidium(pl. basidia):坦子菌類の坦子胞子をつくる微小器官。4個の坦子胞子を作るものが多い。
坦子器で二核菌糸の核が融合し減数分裂して胞子を出芽する。
担子器は坦子器から短い柄を出して担子胞子をつけるのが普通。
4胞子性 quadri sporus , tetra sporic , tetra sporus
つぼ型(urniform):担子器の形を形容する語。基部クランプがあり、6~8個の小柄があることが多い。
4小柄 4-sterigmate
・バシジオール basidiole :やや小さい未熟又は不稔の坦子器
坦子器の未熟なものと区別しにくいものも多い。
・brachybasidiole:basidioleに似ているが、大きく、膨らみが大きい細胞
・単室担子器(無隔担子器、真正担子器)holobasidia:
・下位担子器 hyphobasidium:キクラゲ類に見られる担子器、担子器の膨らんだ部位を指す。
・前担子器 probasidium(pl.probasidia):担子菌類の中で坦子器ができる2個の単一核が二核となる細胞
○シスチジアcytstidium ,pl. cystidia :傘、柄、ヒダの表面から飛び出した特殊な細胞(異型細胞)を言う
1 子実層シスチジア hymenophoral cystidia ,hymenial cystidia:子実層托にあるシスチジア、無いものもある。
子嚢や坦子器の間に散在し、膨らんで、しばしば突き出る細胞がシスチジアと呼ばれる。
束生することもある。形態は突起状に出るもの、先端が分かれているものなど様々である。
太い円筒形、円柱形、フラスコ形、狭紡錘状、紡錘形、紡錘状こん棒形、嚢状、ヒョウタン形、人頭形など
色も様々ある。
つく場所により大きさが異なることが多く、2つに分けられる。
● 側(そく)シスチジアpleurocystidia, pleuromacrocystidia:ひだの側面(又は管孔の内壁面)にあるもの
中間シスチジア ntermediate cystidia :ひだの縁近くにある側シスチジア
●. 縁(えん)シスチジア cheilocystidia, cheilomacrocystidia:ひだの先(又は管孔の開口部)に存在するもの
2 表皮シスチジアdermatocystidia:傘シスチジアと柄シスチジア
●傘シスチジア pilocystidia:傘につくもの
(傘上皮シスチジア) 紡錘形、微毛状、 粉状、長毛状、剛毛体状
●柄シスチジアcaulocystidia:柄につくもの
3 内生シスチジアendocystidia:傘実質、子実層托実質、柄実質内の表層で見られるシスチジアのこと
=実質シスチジア(tramal cystidia)
○ シスチジアの形状
きのこ観察では重要。シスチジアの有るものと無いものがある。
棍棒形(clavate,Q=1.5-4)、狭棍棒形(narrowly clavate,Q=4-8)、
超狭棍棒形(very narrowly clavate, Q>8)、広棍棒形(broadly clavate, Q<1.5)、
紡錘形(fusiform , fusoid ,Q=2-4)、広紡錘形(broadly fusiform ,Q=1.5-2)、
超広紡錘形(very broadly fusiform ,Q<1.5)、狭紡錘形(narrowly fusiform
, fusoid ,Q>4)、
円筒形(cylindrical,Q=2-4)、狭円筒形(narrowly cylindrical,Q>4)、
広円筒形(broadly cylindrical,Q<2)、
長楕円形(oblong, Q>1.6)、楕円形(ellipsoid,Q=1.3-1.6)、広惰円形(broadly
ellipsoid,Q=1.15-1.3)
類球形(subglobose, Q=1.05-1.15)、球形(globose , spherical ,Q=1.0-1.05)、卵形(ovoid)
フラスコ形(lageniform , flask-shaped , cucurbitiform , ampullaceous)、
円錐形(conical,Q=1.5-4)、広円錐形(broadly conical,Q<1.5)、頭形=頭状(capitate)、
厚壁の狭円錐形=剛毛状(setiform)、小嚢形=革袋形(utriform)、含小嚢形(vesiculose)、
数珠形(moniliform)、微突形(mucronate)、鎖状(catenate)、脛骨状 (tibiiform)、
垂直側分枝形(diverticulate=短い指のような突起形)、鈍頭円錐形(obutusely-conical)、
洋ナシ形(pyriform)、倒洋ナシ形(obpyriform)、尖形(acuminate)、徳利形(lecythiform)、
披針形(lanceolate, lance-shaped)、針形の=針状の(acicular , aciculate)、
糸状(filiform , filamentous)、イラクサ刺形(nettle-hair shaped=長細い首のあるフラスコ形)、
細長い首があるフラスコ形で針状の結晶をもつもの(urticiform)
洋こま形(turbinate=頂部で膨らみ,中央部付近で細くなり初め,基部では急激に細くなる)、
くちばし形(rostrate)、ボーリングのピン形(tenpin-shaped)、樹木状(arboriform)、
ひしゃく形(sicyoid):ケコガサタケ属のGalerina autumnalisで見られる。
便腹形=片側が膨れた(ventricose)、紡錘状便腹形(fusoid-ventricose)、
有柄の(pedicellate)、柄があり球形(spheropedunculate=somewhat spherical
with a stem) 、
嘴状突起(rostrum):シスチジアの先端の嘴状の伸び、突起(mucro)=シスチジアの先の突起
=突起物(excrescense)、微細突起のある(muricate)、2裂(bifid)
多形=多形質発現(versiform)
※Q値:きのこ分類の基本書であるFlora Agaricina Neerlandica で用いられている。
シスチジアや胞子の長さ/幅又は高さの比。形状の正確な表現のための数値。
Q値に基づいて広(broadly)、狭(narrowly)、超狭(very narrowly)なども表現されている。
○ シスチジアの種類と類似組織
・偽シスチジア pseudocystidia:組織内の導管や乳管などに連結するもの。
偽シスチジアのcystidioid
・レプトシスチジア leptocystidia:上記以外。類シスチジアともいう。
・数珠形シスチジア(meniliform cystidia) :
レプトシスチジア(leptocystidia)又は グロエオシスチジア(粘嚢状体)(gleocystidia)が狭窄したもの
・黄金シスチジア crysocystidia:アンモニア水や水酸化カリウムなどのアルカリで黄変するもの
KOH中で無定形の屈折する内容物 amorphous refractive content をもつ。
モエギタケ科(スギタケ)などのひだで見られる。
クリソシスチジアとかクリソ型ともいわれる。
・グロエオシスチジア(粘嚢状体)gloeocystidia:粘性の内容物を含み、メチルブルーで青く染まる。
粘嚢体ともいう。サンゴハリタケ科などで見られる。染色しなくてもわかる大きいものが多い。
・油脂シスチジア oleocystidia:油を含み、著しく光を屈折して輝いてみえるもの。
光を屈折する内容物 refractive content を含むもの。
・ランプロシスチジア(油冠シスチジア):lamprocystidia:厚い細胞壁があり、表面に不定形の結晶を冠すもの
側ランプロシスチジア pleurolamprocystidia
・ハロシスチジア halocystidia:頂部に油滴を伴ったシスチジア。Phlebia heterocystidiaなど
・厚壁シスチジア :厚い細胞壁を有し、結晶の付着したものや付着しないものがある。
厚壁シスチジアskeletocystidia:ニクハリタケ属やヒポクニシウム属の針などに見られる厚壁シスチジア
メチュロイドmetuloid:石灰の粒状結晶(不定形の結晶)に覆われるシスチジア
ただし、結晶のつかないものにもつかわれる。
結晶を欠き、単に厚い細胞壁を有し、先が尖らないもの
ヒメムキタケ属、ウラペニガサ属、アセタケ属などに見られる
冠石灰嚢体(冠石灰メチュロイド) encrustated metuloid:結晶のつくメチュロイド
リオシスチジアlyocystidia:厚壁で細管状の内腔(lumen)を持ち、KOHにより部分的に溶解する
ミコスクレリド(内生厚壁シスチジア)mycosclerids:実質の中に埋没した厚壁シスチジアzg
・被晶 capitate-incrusted, muricate:先端に結晶物を付けた Inocybe 属シスチジアの状態
排泄機能があり、石灰の結晶がつくもの
・シスチジオール cystidiole :シスチジアほど大きくなく貧弱なもの。
坦子器の未熟なものと区別しにくいものも多い。
・剛毛体 seta (pl. setae):子実体中にあるシスチジアの一種。褐色で先の尖った厚壁の特異な菌糸。
タバコウロコタケ科や腹菌類、チャワンタケ科などに見られる。
ツリバリサルノコシカケの剛毛体は釣針状。
・数珠形シスチジア(meniliform cystidia) :レプトシスチジア又は グロエオシスチジア(粘嚢状体)が狭窄したもの
・分裂乳頭突起(schizopapillae):シスチジアの先がくびれるもの
・ステファノシスト stephanocyst :2細胞からなる特殊なシスチジア。ミナミコメバタケなどに見られる。
深い椀形の細胞に直径約10µmの球形細胞がはめ込まれた形状。
・菌糸状シスチジアhyphoids:しばしば複雑な分岐をする複雑な形態をとるシスチジア。通常内容物はない。
・樹枝状体 dendrophysis , dendrofisis:樹の枝のように分岐する菌糸状シスチジア
・二叉糸状体 dichophysis , dichohyphidium:二叉分岐を繰り返す菌糸状シスチジア
・星状体(星状剛毛体) asterophysis=asterosetae:厚壁で、下部が膨らみ上部が星形のシスチジア
= stellato sota. Asteroporomyces
・針状細胞(アカントシスト) acanthocyst :針状結晶の付着物細胞などの嚢状体。
モエギタケ属の菌糸体上に見られる。
= ハイフィディウム(hyphidium(pl. -ia)):帽菌類などの子実層中にある小さな強く修正された末端菌糸。
シスチジアではなく、坦子器より普通細く、糸状体ともいわれる。
キウロコタケなどの汁管菌糸はhyphidium(hyphidia)ともいわれる。
・樹枝状ハイフィディウム dendrohyphidia:不規則に分枝したハイフィディウム
・二叉ハイフィディウムdichohyphidia:dicotomouslyに分枝したハイフィディウム
・星状ハイフィディウムasterohyphidia:星形分枝のハイフィディウム
・円柱状ハイフィディウム dikaryophyses: simple cylindrical hyphidia
・スリコギ状ハイフィディウム acanthohyphidia(小突起が多数ある=スリコギ状=ボトルブラシ状)
・偽スリコギ状ハイフィディウムpseudoacanthohyphidia(小突起が2~5(10)個)、
・simple hyphidia(小突起がない) ※参考書 Wood-rotting non-gilled Agaricomycetes of Himalayas 著者: I.B. Prasher
○小嚢(小胞) vesicles:子実体形成菌糸層や細胞内に存在する膜で囲まれた小さい袋
・アカントシスチジア acanthocystidia:先端付近に数個の突起があるシスチジア、カタウロコタケ属に見られる。
・アキュートシスチジアacutocystidia 先がわずかに突き出し尖るシスチジア、キウロコタケ属で見られる。
○スリコギ状糸状体 acanthophysis , acanthohyphidia :シスチジアではなく、子実層に見られる末端菌糸。
瓶ブラシにも似て、表面に無数の突起がある。
○側糸 paraphyses :子嚢菌類や坦子菌類の子実層にできる不稔の糸状の菌糸の末端細胞。
paraphysoid hyphae
○バシジオール(basidiole):やや小さい未熟又は不稔の坦子器
○汁管菌糸(conducting hyphae , lactiferous hyphae ):乳汁や液汁を含む菌糸。
チチタケ属やコウヤクタケ類の子実層に見られる。
○コシノシスチジアcoscinocystidia:表面が篩状又は多孔性、内部がスポンジ状の独特な偽シスチジア。
=篩管シスチジアともいう
○菌糸束突起(刺状体) hyphal peg , spina:主にヒダナシタケ類の子実層の菌糸束に生じる微細な刺状の突起。
スピナspina ともいう。例) チャミダレアミタケ、チャカイガラタケ
<坦子胞子> basidiospore:坦子器でつくられる胞子
胞子は大きさ、形、装飾(ornamantaion)が非常に重要な特性であり、壁厚も異なる。
胞子が発芽することもある。胞子から菌糸のように伸びるのが見られる。
形:球形(globose , spherical ,Q=0.95-1.05)、類球形(subglobose, Q=1.05-1.15)、半球形(semispherical)、
惰円形(ellipsoid , elliptical , Q=1.3-1.6)、広楕円形(broadly ellipsoid,Q=1.15-1.3)=短楕円形、
長楕円形(oblong , elongate Q=1.6-2.0)、棍棒形(clavate,Q=1.5-4)、狭棍棒形(narrowly
clavate,Q=4-8)
円筒形(cylindrical,Q=2-3)、円柱形=円筒形(terete , cylindrical )、
卵形(ovate)、倒卵形(obovate)、腎臓形(reniform , kidney-shaped)、洋ナシ形(pyriform)、
紡錘形(fusiform , fusoid ,spindle-form Q=2-4)、狭紡錘形(narrowly fusiform
, Q>4)、
広紡錘形(broadly fusiform,Q=1.5-2)、超広紡錘形(broadly fusiform,Q=1.15-1.5)、
類紡錘形(subfusiform , subfusoid)、僧帽状の(mitriform)、頭巾状(cucullate , hood-shaped)、
披針形(lanceolate)、倒披針形(lances=oblanceolate) 、桿状 (bacilliform, Q>3)、
紐状(lorate , stringy)、糸状(filiform, filose)、みみず形(vermiform)、
針形(aciculiform):中央部でかなり細く、両端で鋭く尖る針のような形
ジャックストン形(jack-shaped)、蜂の巣状(alveolate , faveolate)、
楔(くさび)形(wedge shpe , bullet shpe , triangular :キツネノカラカサ)、
インゲンマメ形=ソラマメ形(kidney bean-shaped ,bean shape )、ソーセージ形(allantoid
, botuliform)、
アーモンド形(amygdaliform)、杏仁形(almond-shaped)、レモン形(limoniform , citriform)、
両尖頭形(biapiculate):レモン形に近く、両端が幾分尖っている、
舟形の=ボート形の(navicular, naviculate)、
涙形(lacrymoid , lacrimiform , larmiform)、レンズ形(lenticular)、ナシの種子形(pip-shaped
)、
米粒状(elliptical or nearly fusoid:アマタケ)、星形(stellate)、ヒトデ形(asteriform:星形より突出が少ない)、
ウリ種子形(gourd seed shaped, elongate elliptical , long lacrymoid シロホウライタケ、モリノカレバタケ)、
六面体=上から四角形(cuboid)、四角形(quadrilateral)、五角形(pentagon)、六角形(hexagon)、
多角形=角ばった(polyhedral , angular)、楕円状多角形、楕円状五角形、楕円状七角形、球状多角形
扁平な(flattened)、竜骨のある(carinate)、いがぐり状(echinulate)、
・テングタケ属(Amanite)型、ヌメリガサ属(Hygrophore)型、ムラサキシメジ属(Lepista)型、
フウセンタケ属(Cortinarius)、イグチ属(Boletus)型、キツネノカラカサ属(Lepiota)型、
イッポンシメジ属(Entorome)型、ベニタケ属(Russla)型、キツネタケ属(Laccaria)型
・イグチ属(Boletus)型:担子胞子は紡錘形で一方の側面においてゆるやかに陥入する
・アセタケ属(Inocybe)型
・マンネンタケ科(Ganodermataceae)型:卵形、膜は二重、外膜は無色で厚く、
内膜は短い突起で覆われて黄褐色。
この突起は厚い外膜にはめ込み型になっている。
胞子の色は淡黄褐色、胞子紋はココア色。
色:白色 white、ピンク色 pink、黒色 black、暗褐色 dark brown(fuscous)、銹褐色 rust brown、緑色
green
無色、クリーム色、オリーブ色、オリーブ褐色、黄色、帯黄褐色、黄緑色、淡黄緑色、
紫灰色、黒褐色、淡黄土色、淡黄褐色、紫褐色、こげ茶色、ニッケイ褐色、橙銹色、セピア色
胞子の色は胞子紋により確認する。成熟の程度により異なり、若い子実体の胞子は無色のこともある。
表面:平滑(smooth)、粗面(asperulate)、疣状(verrcose , warty , warted)、
疣状(moderately verrucose , rough:アカツブフウセンタケ、ムラサキフウセンタケ)
小疣(verruculose):カワムラフウセンタケ
細疣(finely verrucose, warted:ヒメワカフサタケ)、
突起(warts, 小:0.1~0.4µm 中:0.4~0.9µm 大:0.7~2µm)、
刺状突起(warts:クサイロハツ)、小突起(warts:カワリハツ<0.6µm)、円錐形刺状突起、
疣状突起(strong warts , spiky warts ,extending warts :クサハツ、キチャハツ)、
微細突起(muricate)、瘤状こぶじょう(tuberculate:疣がやや大きく、疎)、
疣、突起、瘤の表現が多数あり
wart:疣(いぼ)、瘤(こぶ)、小隆起、突起
verrcose:多数の疣をもつ、roughとも表現される。
tuberculate:小さな疣のような構造(=こぶ)が疎につく。
刺状(spinate)、小刺で覆われた(spinulose , echinate)、
凹凸、乳頭状(papillate)、窪みがある(dimpled)、
小点(穴)状(punctuate , punctate)、小凹状(pitted)、細粒突起、柱状突起(stylolite)、隆起(ridge)、
しわ状隆起、脈状しわ、とさか状突起(cristate)、縦条のある(striate)、
翼状隆起(wing-like bulge , alar bulge)、刺状網目(spinose-reticulate)、
網目(reticulum)、網目状隆起(reticulate)、不完全網目(broken reticulate)、
肋状隆起網目、畝状隆起、放射状隆起、横筋,、二重膜発芽孔(doble walled)
胞子壁=胞子膜 epispore;:胞子の色や形、刻紋を決める要素となる
柄の有、無
胞子盤:胞子小柄の付着点付近にある丸い平坦な部分
根尖(こんせん)apiculus:胞子の基部の尖り
嘴状突起 beak :胞子下部にある小突起
発芽孔 pore:胞子の上部にある孔
連絡糸 connection:ベニタケ科の胞子表面にある疣状や刺状突起をつなぐ糸状隆起
有無、多少がある。
油球=油滴 oil drop , guttule:胞子の中に含まれる球状の油
油滴(油球)のある guttulate、油滴のない (eguttulate)、2油滴の(biguttulate)、多油滴の(multiguttulate)
KOHaq.:2~5%のKOH水溶液による胞子の呈色
空色(caeruleous)、黄色(yellow)、黄金色(aureus)、淡黄褐色、黄褐色(fulvous)、
暗黄褐色、褐色、茶褐色、オリーブ色、橙黄色、赤褐色
アミロイド(amyloid):メルツァー試薬で青変するもの
非アミロイド(non-amyloid , inamyloid):変色無し、
偽アミロイド= デキストリノイド(dextrinoid,pseudoamyloid):赤変するもの
胞子塊(胞子の集まり)spore-mass :胞子を集めて反射光で色を観察するときの塊、胞子紋と同じ色
胞子紋 spore print:キノコの胞子を紙の上に落下させてできる紋様のこと。
成熟したキノコの傘だけを白紙(又は黒紙)の上に置き、コップ等でふたして1~12時間おき、
1~12時間後に紙の上に堆積した胞子の色を観察する。胞子紋が白色の場合は胞子は無色。
白色、乳白色、淡青色、淡黄色、黄白色、黄土色(ochraceous)、黄土白色、黄土褐色、
黄褐色(fulvous)、褐色、赤褐色、暗褐色(fuscous)、淡紅褐色、帯紅白色、帯紫褐色、暗紫褐色、
淡帯赤褐色、オリーブ色(olivaceous)、オリーブ黄土色、オリーブ褐色、オリーブ黒色、
帯褐オリーブ色、暗オリーブ色、汚褐色(fuligineous)、濃褐色、粘土褐色、帯汚褐色、帯ベージュ色、
ココア色、クリーム色、ワイン褐色、ピンク色、灰褐色、灰黒色、黒色、ニッケイ色(cinnamon)
<分生子(ぶんせいし)>
子嚢菌、担子菌は子実体により、子嚢胞子や坦子胞子で増殖するだけでなく、無性生殖の方法として分生子(conidia)をつくり増殖するものもある。分生子は無性胞子であり、分生胞子(conidiospore)ともいわれ、分生子柄の先に外生的に作られる。細胞内ではなく、出芽して細胞外につくられる。分生子には、単細胞のものも、多細胞のものもある。クモタケなどのように大きな分生子果をつくるものもあり、分生子果もキノコとして扱われるものがある。
○分生子conidia :菌糸から無性的に分裂して生じ、脱落飛散する不動胞子。分生胞子conidiosporeともいう。
○分生子柄 conidiophore:分生子をつくる菌糸。分生子果をつくらず分生子柄から分生子を出すものもある。
○分生子果 conidiocarp = conidioma(pl.-mata.-s) = conidiome:
分生子を形成する子実体の1つで、分生子殻、分生子層、分生子柄束、分生子座などに区分される。
・分生子殻 pycnidium :分生子が内部にできる囊状構造の殻
・分生子層 acervulus pl. acervuli:分生子を形成する層、浅い皿状で基質の表層部にわずかに入り込む
・分生子柄束 synnema:分生子柄が多数集まり、密着(~融着)した長い束
・分生子座 sporodochium :分生子柄が集まり、マットのようになったもの
○厚膜胞子こうまくほうし(厚壁胞子) chlamydospores :真菌に広く見られる分生子の一種。
過酷な環境で生存するための耐久形であり、菌糸の先端または中間部の細胞から生じる。
細胞壁が2重の無性胞子(asexual spore)。
ヤグラタケの厚膜胞子は金平糖形。
・頂生 acrogenous:分生子が分生子柄の先にできる。
○分裂子 oidia :担子菌類(特に菌蕈類)の菌糸が切断されてできる矩形の胞子。 Oidium属の連鎖した分生子
<ヒダナシタケ目>
子実体は
○子実層托の形
管孔状:多孔菌型(poroid)
薄歯(tooth)状又は針(spin)状:ハリタケ型=カノシタ属形(hydnoid) prominent spin
針状(spin)
薄歯状=歯状(tooth , teeth):管孔が裂けて薄い歯状になったもの、管孔と針の中間
熊手の歯状=歯状(しじょう)(rake teeth):イルペクス(Irpex)属形(irpicoid , irpiciform)
不規則なflattened teeth
odontoid 歯と小さな針spin
いぼ状:イボタケ属型(thelephoroid)
平滑:コウヤクタケ型(corticioid)
断裂、ruptured hypochnoid
○サルノコシカケ類の表皮組織
表皮殻皮無(without cuticle)、表皮のみ有(cuticle)、毛被有(tomentum)、毛被、下皮有(subcuticle)、
毛被、下殻有(subcrust)、殻皮無(without crust)、殻皮有(crust)
<腹菌類>
○子実体
球形、扁球形、類球形、卵形、倒卵形、洋梨形(pear-shaped )、擬宝珠形、
洋ごま形(turbinate)、饅頭形、算盤玉状
○基本体(グレバ) gleba :腹菌類は子実体の内部に胞子を形成し、その胞子形成部分をいう
内皮の中に多数の担子器が形成され、胞子が成熟すると担子器は崩壊・消失し、胞子と弾子が放出される。
○無性基部 sterile base , subgleba , rudimentary stem , rudimentary base:柄の部分
=偽柄(pseudostipe)と呼ぶこともある
○境界膜 diaphragm:基本体と無性基部との間の隔膜、有るものと無いものがある
○弾糸(細毛体) capillitium , capillitial thread:ホコリタケ目などの基本体中にある特に分化した厚壁無性菌糸
コットンブルーで染まるもの
殻皮の内壁への繋がり型式(結合菌糸型)
Bovista type :シバフダンゴタケ属Bovistaでは、弾糸capillitiumは殻皮の内壁に直接は繋がらない。
分離した不規則な分枝ユニットがあり、その先の先細りの点で繋がる。
Lycoperdon type:長い糸が繋がり、ときに二又や不規則に分枝があるもの。
intermediate type(中間型):いくつかの太い主茎で繋がり、それに多枝が繋がるもの
○偽弾糸(偽細毛体、細毛様体) paracapillitium :コットンブルーで染まらないもの
小孔 pinhole pit , pore、小孔がある minutely pitted
○外皮 exoperidium , outer wall
刺 spin
集合刺 grouped spines
融合した尖った刺 fused pointed spines
ふけ状顆粒 fufuraceous granules
散在するintersperse
○内皮 endoperidium:グレバを包む内側の皮
○殻皮 peridium :胞子を形成する部位を包む保護層
腹菌類や一部の子嚢菌にはいろいろな殻皮がある。
・キヌガサタケ(腹菌類)の柄の基部に残るつぼ
・エリマキツチグリ(腹菌類)の星状に裂開した外皮peridiumと古綿状の胞子塊(gleba)を包む内皮endoperidium
・ホコリタケ類(腹菌類)の表皮及び付着した棘状~粉状~粒状の鱗片
・チャダイゴケ類(腹菌類)の子実体における杯状~コップ状の外壁
○小塊粒、小皮子、ペリジオールperidiole:チャダイゴケ類の碁石(レンズ)状器官。
コツブタケで見られるグレバ内部の菌糸層で包まれた小粒状の小さな胞子嚢。
○腹菌類の子実体の型
ツチグリ型、ニセショウロ型、コツブタケ型、ケシボウズタケ型、チャダイゴケ型、ヒメツチグリ型、
ホコリタケ型、サンコタケ型、キヌガサタケ型、ショウロ型
○腹菌類の胞子の型
ツチグリ型、ニセショウロ型、コツブタケ型、ホコリタケ型、チャダイゴケ型、スッポンタケ型、ショウロ型
○腹菌類の弾糸 capillitium :基本体中にある特に分化した糸状の厚壁無性菌糸、コットンブルーで青くなる
ホコリタケ型、ニセショウロ型
偽弾糸 paracapillitium:コットンブルーで染まらない
<異坦子菌類、異型担子菌類 >Heterobasidiomycetes (キクラゲ類)
ゼラチン質jellie
キクラゲなど、ゼリーのような質のキノコを作るものが多いため、膠質菌 (jelly fungi) とも言われる
○キクラゲ類の子実体
シロキクラゲ型、ヒメキクラゲ型、タマキクラゲ型、キウラゲ型、ニカワハリタケ型、ニカワジョウゴ型、
ムカシオオミダケ型、ニカワホウキタケ型
○多室坦子器の種類
核融合を起こした細胞から、発達した枝をのばして担子胞子をつけるもの
・シロキクラゲ型:担子器が縦方向に放射状に4裂し、それぞれ長い上位坦子器が出て担子胞子をつける。
・アカキクラゲ型:担子器先端が、細胞は分かれないが二又に分かれ、先が伸びて担子胞子をつける。
・キクラゲ型:担子器が伸びて横に4裂し、それぞれの細胞から上位坦子器が出て担子胞子をつける。
・ヒメキクラゲⅠ型:シロキクラゲ型に似ているが、長い柄の上位坦子器の間隔が離れている。
・ヒメキクラゲⅡ型:担子器先端がのび、その先に4裂した上位坦子器が出て担子胞子をつける。
○キクラゲ類の胞子形
球形 globose , spherical、類球形 subglobose、卵形 ovoid、惰円形 ellipsoid、
腎臓形 reniform 、ソーセージ型allantoid、分割型
<子嚢菌類>
有性的に子嚢を形成する菌類。子嚢(ascus)は子嚢膜(tunic)の形態や性質によって分類される。
子実体は子嚢果(ascocarp)と呼ばれる。
・子嚢 ascus:子嚢菌類の子嚢胞子を入れる嚢(小袋)。 子嚢の中に通常8個、16個、32個、それ以上のものもあり、8個以下のものもある。
○子嚢の種類
(1)消失性子嚢(protunicate ascus , evanescent ascus):成熟すると子嚢膜が消失するもの
子嚢は球形、卵形、楕円形(円筒形や棍棒形にならない)
(2)一重膜子嚢(unitunicate ascus):子嚢膜が一層の子嚢。子嚢は円筒形、棍棒形など
・ふた付き子嚢=有弁子嚢(operculate ascus):子嚢膜上部が環状に切れ、蓋(弁)が開くようになる
・ふたなし子嚢=無弁子嚢(inoperculate ascus):子嚢上部の中央に小空隙が開き、
この空隙から胞子が噴射される
(3)二重膜子嚢(bitunicate ascus):子嚢膜が内外2層の子嚢。外膜は薄く、内膜は厚い。
成熟すると外膜が破れ、内膜が露出する。 ・disarticulate 1関節で離れる
○子嚢果 ascocarp の種類
子嚢菌は分生子をつくるものとつくらないものがある。無性で過ごすときと有性となるときがある。
(1)アナモルフ(anamorph):子嚢菌の無性世代(完全世代)で、分生子をつくるもの
無性世代段階 anamorphic stage
(2)テレオモルフ(teleomorph):子嚢菌の有性世代(完全世代)
○子嚢果の質 ゼラチン質gelatinous 、ゴム質 rubbery
○子嚢果の構造
子嚢果の分類
(1)子嚢盤(裸子器) apothecium(pl. apothecia):
子実体の表面に子嚢と側糸が多数並んだ盤状、皿状の子実層がある。
子嚢菌類中で最も多い。
例)無柄のチャワンタケ類、有柄のノボリリュウ、アミガサタケ 子嚢盤の種類
椀形・無柄(cuplete, sessile)、椀形・有柄(stipitate)、鞍形(saddle-shaped)、耳房形(ear-shaped)、
頭巾形(capitate)、槍形(lanceolate)、帽状(campanulate)、アミガサタケ形(morchella-type)
杯形 cup-shaped、洋コマ形 top-shaped
①子実層(himenium):子嚢盤の上部表面にあり、成熟時には露出する
②子嚢下層=子実下層(hypothecium)
③外皮層 excipulum、造嚢器 ascophore
・excipule:子嚢盤の外側を覆う縁(rim )
(2)子嚢殻(しのうかく) perithecium (pl. -a) :フラスコ形~類球形、上部に開口部、基部に子座があるもの。
接合により多数の微小な被子器ができる。これらの被子器は子座の表層に一つの層をなして配列する。
= 被子器:口のあるとっくり形の子実体の内底に少数の子嚢を生ずるもの
1㎜以下の球形やとっくり形
開口部も子嚢のできる空所も、菌糸の成長によって最初から形成されるもの 例)ライ麦の麦角病(Claviceps purpurea)、核菌類のバッカクキン類
虫草菌類は棍棒状の大型子実体に子嚢殻が群生する
真正子嚢菌類の核菌類(タマカビ類など)、アカパンカビ(被子器単独)、
○子座 stroma, stromata :子嚢菌類が生殖のためにつくる子嚢基部の発達した菌糸組織
被子器がその上に形成されるあらかじめ決められた発達した菌糸組織。きのことして扱われる。
○子座の種類
棍棒形 clavate 、半球形 hemispherical 、盾形 peltate、脳形 cerebriform、
平板形 plate, tabular 、棍棒(こんぼう)形clavate、円柱形cylindrical,、
柄(え)のある頭状 stipitate capitate、樹枝形 dendritic 、球形 globose、
カブ状 cub-like、campanulate、西洋ナシ形 pyriform
例) 真正子嚢菌類のバッカクキン類、マメザヤタケ類、タマカビ類のボタンタケ、サナギタケ(棍棒形)
○ostiolar canal:子嚢殻又は分生子殻(pycnidial)を通る導管のような開口(孔口 ostiole)。
子嚢殻の中でostiolar canalは周糸(periphyses)と頻繁に並ぶ。
(3)閉子嚢殻(閉子器)cleistothecium:被子器に開口部がなく、内部に子嚢が散在又は子嚢が層になるもの
普通、球形~類球形、内部に多数の子嚢が不規則に包まれ、子座がないもの
ツチダンゴのきのこ、うどんこ病、コウジカビの仲間の有性世代
(4)裸子嚢殼 gymnothecium:閉子嚢殻に似るが、球形、ナシ形の繊細な子嚢を完全に包むもの。
子嚢果壁(peridial wall)が疎な織物状の菌糸の束からなり、小さなコイルや刺の装飾がつく。
例) モモ縮葉病(Peach Leaf Curl)、Gymnoascus属、Talaromyces属、皮膚糸状菌のArthroderma属
(5)偽子嚢殻(偽被子器)Pseudothecium:子嚢が子実層に規則的につく組織ではなく、二重壁がある。
二重壁は水がつくと膨張し、包んでいる胞子を放出する。小房(しょうぼう)子嚢菌類の子嚢果。
開口部や空所が、菌糸組織の部分崩壊によってできるもの
例)リンゴそうか病 Apple scab (Venturia inaequalis) 、マロニエ病(horse chestnut disease)
クロイボタケ類などを含む小房(しょうぼう)子嚢菌類
○子嚢子座 ascostroma:子嚢菌類のうちの小房子嚢菌類 loculoascomycetesの子嚢果。
子座状組織の中部に小室(locule)をつくり、その中で子嚢が形成される組織
単一の子座中に小室が複数生ずる(pluriloculate)場合は子嚢殻との識別が容易。
単一の子座中に小室が1個(monoloculate)の場合は子嚢殻との識別が困難=偽子嚢殻
○分生子座:植物体上に形成されて分生子だけを生ずるクッション状の子座
表面には分生子柄が密生する。例) 不完全菌類のツベルクラリア類
○側糸 paraphyses:子嚢層の中にある糸状体(糸状の無性菌糸)。
糸状(filiform)、分岐(branched)、上部肥大(enlarged)、モリニア型=数珠形(monili-form)、
鉤状(hooked)、槍型(lanceolate)
○子嚢胞子ascospore :子嚢菌が作る有性胞子。
【子嚢胞子の形】
球形(globose , spherical)、類球形(類球形)、楕円形(ellipsoid)、ボート形(navicular)、
紡錘形(fusiform , fusoid ,spindle-form)、嘴形(rostral)、ソーセージ形(allantoid , botuliform)、
豆形(phaseoliform)、ミミズ形(vermiform)、楔形(wedge-shaped)、網目模様(reticulum)、
縦線模様(striate)、 膨らんだ枕形(plump pillow-shaped)
単一油滴 uniguttulate:KOH中で子嚢胞子が1個の油滴状になる。
多油滴 multiguttulate:KOH中で子嚢胞子が多数の油滴状になる。
○子嚢菌の菌組織
矩形菌組織(textura prismatica)、円形菌組織(textura globulosa)、多角菌組織(textur angularis)、
錯綜菌組織(textura intricata)、表皮状菌組織(textura epidermoidea)、厚壁菌組織(txtura
oblita)、
伸長菌組織(textura porrecta)
<変形菌類=粘菌類>slime mold
変形菌類は真正粘菌類ともいわれ、古くは菌虫(きんちゅう Mycetozoa)とも呼ばれ、動物扱いされたこともあり、動菌(どうきん)とも呼ばれた。一般的には菌類と見なされ、菌類学者が扱うことが多く、菌類学の本に記載されてきた。しかし菌類との類縁を完全に信用されたことはなく、現在の分類ではきのこやカビの菌類とは別のアメーボソア/
アメーバ動物門に分類されている。世界で900種類以上、日本では450種類以上が確認されている。
◎分類
真核生物[domein]
アモルフェア[cluster]
アメーボソア[super-group]
コノーサ亜門 Conosa([subdivision]旧)
変形菌(ホコリカビ類)Myxogastria[first rank]
=変形菌綱=真正粘菌綱 Myxomycetes
真正粘菌亜綱 Myxogastromycetidae=モジホコリ亜綱
ムラサキホコリ亜綱 Stemonitomycetidae
ツノホコリ亜綱 Ceratiomycetidae
タマホコリカビ綱=細胞性粘菌 Dictyosteliomycetes [first rank]
プロトステリウム綱=原生粘菌 Protosteliomycetes[first rank]
アーケアメーバ綱 Archamoebea[first rank]
◎真正粘菌 acellular slime mold, myxomycete, plasmodial slime mold, true slime mold:
アメーバ状の1細胞(変形体)で移動、成長し、最終的に数十個程度の塊に分かれ、子実体をつくる。
子実体は胞子をつくり、胞子は半数性の鞭毛細胞又はアメーバ状細胞の配偶子 gamete を形成する。
これらの配偶子が接合して接合子zygoteが形成され、養分を得て成長し、多核性の変形体が再形成される。
●変形体 plasmodium:変形多核体、粘菌アメーバ myxoamoeba とも呼ばれ、移動する。
通常は移動は遅いが。子実体をつくる直前は数㎝~数十㎝/hと早い。
二倍性で細胞壁がなく、成長とともに核が分裂して増え、多数の核を持つ1個の細胞のアメーバ。
落葉や倒木の植物の遺骸を消化し、色は様々であり、白色、黄色が多い。
普通、枝分かれして細くなった数㎝程度の網目状管状構造であり、大きいものでは幅数10~100㎝を越える。
・発生形態 土中生、落葉生、樹皮生、材中生など
・変形体の型
①原変形体 protoplasmodium:脈状構造が無く、原形質流動が起こらない微小な変形体
例) ハリホコリ目、コホコリ目など
②透明変形体 aphanoplasmodium:原変形体のような微細なものから、徐々に透明な網状変形体をつくる
粘液鞘、先端の扇状構造を欠く。原形質流動を起こす。
例)ムラサキホコリ目
③可視変形体 phaneroplasmodium:不透明、脈状構造、先端が扇状構造をもつ。原形質流動を起こす。
例)モジホコリ目
③と④の中間型:可視変形体より小さく、色素含有量も少ない。ケホコリ科に見られる。
●子実体 fruiting body , myxocarp , fructification:
変形菌では外生胞子をつける坦子体と内生胞子をつける子嚢体がある。
○坦子体(子実体) sporophore : ツノホコリ属だけがをつける。
○子嚢体(子実体) sporocarp :ツノホコリ属以外のほとんどの変形菌の子実体
子嚢菌類の子実体は子嚢果ascocarp といい、異なる。
多数の胞子を含む袋状の子嚢 sporotheca (= sporangiumともいう )をつけ、柄 stalkのあるものも多い。
柄の続きが子嚢内に太い軸として存在する場合もあり、これを柱軸 columellaという。
胞子嚢内には多数の胞子と網目状に繋がった細毛体 capillicium がある。
細毛体の節はこぶ状になり、石灰節 lime nodeという。
子嚢壁(外皮) peridium が破れると細毛体が膨らみ、胞子はその間から次第に風に飛ばされて飛散する。
・子実体の発生形態
単生(弧生)solitary、散生 scattered、群生 gregariously、密生 crowded、束生caespitose、輪生 verticillate
・子嚢(胞子嚢) sporotheca:胞子を包んだ袋状部分
capitulum:小頭、子嚢部分の意で使われる。
・子嚢体、子嚢 sporangium (pl, sporangia):子嚢(袋部分)と単子嚢体(子嚢体)の両方の意味で使われる。
カビなどの胞子嚢であるが.変形菌の場合にも使われる。
嚢 cyst、束状配列 fasciculation
・小胞子嚢 sporangiole:接合菌などに見られる特に分化した小さな胞子嚢
胞子嚢自体が1つの散布体であるようにまとまって散布される
・子嚢体の型
①単子嚢体 spporocyst , mono ascus , sporangium , sporangicarp:1個の子嚢からなる子実体
単子嚢体は大きさが1~2㎜程度の小さいものが多く、大きいものは1~5㎝ほどのものもある。
形:円筒形、卵形、類球形、棍棒形、レンズ形、洋なし形、円盤形、皿形、上面又は下面がへそ形
有柄 stalked , stipitate、無柄 sessile
②掌状子嚢体 digitate sporangium:複数の単子嚢体の柄が合着したもの
③着合子嚢体aethalium(塊状子嚢体、エタリウムともいう):変形体の脈が絡まり合ってできる
枕(クッション)形 pulvinate 、半球形 hemisherical になり、表面に皮層 cortex を形成する。
皮層の形成が不十分で単子嚢体や屈曲子嚢体が密集したようなものもある
④擬着合子嚢体 pseudoaethalium:単子嚢体が密着し、個々の単子嚢体は識別可能なもの
⑤屈曲子嚢体=蟠曲(ばんきょく)子嚢体 plasmodiocarp :長く脈状~網状になるもの
一部が分断され、柄のない単子嚢体のようになるものもある。
屈曲したconvoluted
・子嚢体の構造
①変形膜 hypothallus :子実体の下に広がる基物に付着する膜状の部分、柄の基部
変形膜上生 epihypothallic:原形質塊から変形膜が出来、柄を中に作って伸び、子嚢体となる。
変形膜下生 subhypothallic:原形質塊が丸く盛り上がり、基部が収縮して柄になり、頭部が子嚢になる。
変形膜は変形体を包んでいた粘液鞘 mucous sheath からできる。
②柄 stalk , stipe , stem , funiculus , sporangiophore:変形膜の一部が伸びてできた柄のようなもの
○柄の形 円柱状 baculate 、きり状 subulate 、毛状 hairy
○柄の質
角質 horny :表面が硬く光沢があるもの、丈夫な、頑強なsturdy、堅い rigid
○柄の内部
中実 solid:胞子状物質(シスト)、残留物、石灰などを含む。
海綿質(髄状)spongy:きのこの場合の髄状に相当
中空 hollow
○柄のつき方
直立型 erect、首折れ型 inelined, nodding 、下垂型 pendent、傾斜型 oblique
③子嚢壁(外皮) peridium , cortex:胞子塊を包む表皮
子嚢上部には無いこともある。
多層の場合もある 1層、2層、3層(外壁、中壁、内壁)
子嚢壁の質:膜質 membranaceous 、軟骨質 cartilaginous 、石灰質 calcareous , limy、
殻質 crustaceous、translucent、頑強 sturdy、小胞で覆われるcovered with vesicles、
内表面:網状 reticulate、噴火口状 crateriform 、乳頭状papillate、刺状spinose , spiny、
疣状verrucose, warted , warty
含有物:壁小粒 dictydine granule , plasmodic granule、粒状物 granule matter、ろう物質
waxy scale
杯状体 calyculus , calycus , peridial cap:子嚢壁が残存性で基部がコップ形~円盤形に残るもの
襟(えり) collar:子嚢壁の底部だけえり状に残るもの
壁小板 peridial platelet:子嚢壁の一部のかけらが残存したもの
裂開 dehiscence の型:不規則、裂片状、裂開線に沿って、蓋 lidがあるものもある
④軸柱(柱軸) columella:胞子嚢内に伸びた柄の延長のように見える部分。柄が無く、軸柱があることもある。
無し、竿形、棍棒形、円柱形、円筒形、亜(類)球形、半球形、惰円形、
枕形、衝立形、円錐形、饅頭形、円盤形
⑤偽軸柱 pseudocolumella :子嚢の中央部に集まってでき、柱軸に似るが柄と離れる。
例)サカズキホコリ属、フウセン属、モジホコリ属など
⑥細毛体 capillitium:子嚢内にある多数の胞子を網目状に繋ぐ細い紐状体。種々の機能がある。
石灰を排出する管(モジホコリ類)、子実体の骨格(ムラサキホコリ類)
a 一端付着型(軸柱や子嚢壁に一端が付着する)
b 両端付着型(軸柱や子嚢壁に両端が付着する))
c 遊離型
・細毛体の形態
糸状、網状、巻毛状、石灰節と連結糸があるもの、袋(小嚢)があるもの、内網があるもの
・細毛体の表面
平滑 smooth、疣状warted、刺状spinulose.、環状、半環状、螺旋紋、網状
・中空 hollow 、中実(繊維質、石灰質 carcareous, limy、ろう物質)
・弾糸 elater:細毛体に弾性があり、遊離するもの 例)ケホコリ属
・表面網 surface net:子嚢壁に沿ってできる細毛体の平面的な網目
・内網 inner network , inner net:表面網の内側にある網目構造
・連結糸 thread
・石灰節 lime node:炭酸化カルシウムを主成分とする物質を含む節。
⑦偽細毛体 pseudocapillitium :子嚢壁が細毛体状になったもの
糸状、ひも状、剛毛状、膜状、穴開き板状(perforated plate) 、柱状、壁状、管状、樹枝状(dendroid)
⑧石灰(炭酸カルシウム) lime (calcium carbonate)
カルシウム化合物はほとんどの変形体が含有する。
石灰が結晶や不定形の石灰粒として軸柱、細毛体、子嚢壁の表面に見られる。
・石灰節 lime node:細毛体の節が石灰粒や結晶でこぶ状になったもの
・結晶の種類
不定形結晶、プリズム形結晶、星形結晶、鱗形結晶
●胞子 spore
○形 球形、惰円形、卵形、多角形、腎臓形、ソーセージ形
○色
反射光で胞子塊を見た色
顕微鏡の透過光で個々の胞子を見た色
○表面
平滑、小穴型(pitted)、斑点状(punctate)、とさか型(cristate)、袋型(tuberculate) 、肥厚部をもつ型
いぼ型(verrucose , warted , warty);円柱状、乳頭状、細疣状、
とげ型(spinose , spiny):長い刺、細かい刺、円錐状
網目型(reticulate):粗い網目、不完全な網目、部分的な網目、いぼ状網目、刺状網目、帯状網目
◎細胞性粘菌 cellular slime mold :単細胞生物と多細胞生物の両方の時期があるが、多核にならない。
世界で約60種が確認されている。
単細胞のアメーバが集まり、数㎜の大きさの偽変形体 pseudoplasmodium となり、子実体を形成する。
偽変形体1個につき、1個の子実体ができる。子実体は1~4個の胞子を載せ、柄は高さ0.1㎜以下と微小。
例 キイロタマホコリカビ、タマホコリカビ、コタマホコリカビ、ムラサキカビモドキ
・累積子実体(累積子嚢体) sorocarp :偽変形体にできる枝分かれする子実体
<化学反応テスト>
きのこの表面や肉や胞子に試薬を滴下し、化学反応(呈色反応)を見ると簡単に判別できることがあり、重要な判定法である。新鮮なきのこにテストする必要がある。
① アンモニア(NH4OH, 水酸化アンモニウム)
イグチ類(bolete)の判別に用いられる。傘、管孔面、茎、肉に滴下し、変色を見る。
② 3~5%水酸化カリウム(KOH)水溶液
イグチ類、タコウキン類、ひだがあるきのこなど広く使われる。
青変性がある cyanescent:暗青色に変わる
③ 10%硫酸第1鉄 (FeSO4)水溶液
イグチ類やベニタケ類に使われる。
④ メルツァー試薬、Melzer's reagent
主に胞子、菌糸の呈色反応に使われ、地衣類などにも使われる。 ヨウ素デンプン反応で青変するものはアミロイド(amyloid)=IKI+、変色しないものは非アミロイド(non-amyloid
, inamyloid)=IKI-、赤変するものを偽アミロイド(dextrinoid , pseudoamyloid)=デキストリノイドという。赤変しないものは非デキストリノイド(indextrinoid)。アミロイド(amyloid)はでんぷん類似物質、でんぷん様のという意味。
⑤ 1%コットンブルー(Cotton blue)水溶液染色
子実体、胞子、シスチジアなどを染色し、明瞭に青く染まるもの(CB+)がある。これを好青染性 cyanophilous と呼ぶ。染まらないものは非(無)青染性
acyanophilous (CB-)。ムラサキシメジ属(Lepista) 、ラッパタケ属(Gomphus) などの胞子、ニセホウライタケ属
(Crinipellis) の子実体、内容物があるシスチジアなどにコットンブルーで染まるものがある。腹菌類の弾糸はコットンブルーで染めることができるが、染まらないものがあり、これを偽弾糸という。
⑥ ブリリアント・クレーシル・ブルー(brilliant cresyl blue)1%液染色
キヌカラカサ属Leucocoprinus は胞子だけが数十分後にピンク色を帯びた赤色に変色する。
メタクロマティックmetachromatic:色素の元の色調とは異なる色調に染色されるもの
⑦ コンゴーレッド染色 Congo red stain:アミロイドがアルカリコンゴ赤染色で橙赤色に染まるアミロイド染色。
菌類(特に子嚢菌類)の細胞壁を赤く染色し検鏡しやすくするもの。
偏光顕微鏡下で緑色の複屈折を示すもの。コンゴーレッド親和性(congophilous)
⑧ 酢酸カーミンacetocarmine染色:煮沸した45%酢酸水溶液にカーミンを加え、微量の鉄イオンを加えた溶液
核やDNAが赤色に染色される。シメジ属 Lyophyllumとユキワリ属Calocybe は担子器にsiderophilous顆粒を含む。
鉄親和性siderophilous=カーミン親和性 carminophilous.:酢酸カーミン中で加熱すると顆粒が黒紫色になる。
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