チヂレカブトゴケ 縮兜木毛

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Flora of Mikawa

カブトゴケ  Lobariaceae カブトゴケ属

中国名 叉狀針芽兜衣 cha zhuang zhen ya dou yi、
学 名 Lobaria isidiophora Yoshim.
チヂレカブトゴケ背面の凸凹
チヂレカブトゴケ裂片
チヂレカブトゴケの腹面
チヂレカブトゴケの腹面のトメンタ
チヂレカブトゴケ腹面の偽根
チヂレカブトゴケ裂芽
チヂレカブトゴケ
チヂレカブトゴケ背面の色
分 類 子嚢地衣類(Ascolichens)
生育形 葉状
大きさ 直径 10~15㎝
生育場所 山地の樹皮、まれに湿った岩上
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、フィリピン、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア
撮 影 豊根村(岩上)   14.7.23
カブトゴケ属のうち、シアノバクテリアを主の共生藻とするものを藍色カブトゴケ類といい、褐色のアイイロカブトゴケやチヂレカブトゴケモドキなどである。緑藻を共生藻とするものは緑色カブトゴケ類という。緑藻を共生藻とする緑色カブトゴケ属の中で背面に網目状の凸凹があるものをナメラカブトゴケ類、ないものをエビラゴケ類と、大別している。
 地衣体は直径10~15㎝、中央部で固着し、縁は固着しない。裂片は不規則~二又に分枝し、幅4~10㎜、先は円く、全縁。背面は網目状の明瞭な凸凹があり、湿ると褐色を帯びた黒色。乾くと、緑褐色~黄褐色、光沢はない。粉芽や小裂片は無く、裂芽がある。裂芽は円筒状、もろく、サンゴ状に分枝し、高さ約0.6㎜、主に網状脈の尾根につく。ナメラカブトゴケ類であり、共生藻は緑藻。髄層は白色。腹面は淡褐色、暗褐色のトメンタがつき、網目状になる。偽根はわずか又は密生し、暗褐色。子器は裂片の尾根にまれにつき、直径3~5㎜。盤は赤褐色、平坦。胞子は無色、長さ20~22µm、幅5~6µmの紡錘形、3隔壁。スポットテスト 皮層:K+淡黄色、髄層:K+黄色, C+ピンク, KC+淡赤色, P+橙色。二次代謝物質はジロフォール酸(major)、スチクチン酸(major),、コンスチクチン酸、ノルスチクチン酸、 cryptostictic acid を含む。
 他の主なナメラカブトゴケ類は次のとおり。
 ヘラガタカブトゴケ Lobaria spathulata は直径4~12(20)㎝。裂片は幅3~6㎜、あまり長くならない。葉縁や背に扁平な裂芽や小裂片をつけ、円筒状の裂芽もある。粉芽はない。背面は暗緑褐色~褐色、湿潤時には鮮緑色になる。腹面は黄褐色~暗褐色、トメンタが密生する部分とトメンタがない部分が網目状になる、トメンタは黄褐色~暗褐色、偽根も混ざる。子器はまれ、直径1~2㎝、裂片の背につく。盤は赤褐色。胞子は紡錘形、3隔壁、長さ25~30µm、幅5~7µm。スポットテスト 皮層:K- 髄層:K- , KC+赤色, P-。二次代謝物質はジロフォール酸、テレフォール酸を含む。
 ナメラカブトゴケLobaria orientalis は日本に普通に分布し、地衣体は濡れると黒褐色、革質、直径10~30㎝、裂片が鹿角状。背面に網目状の凸凹があり、粉芽、裂芽がない。子器はよくつけ、直径1~3㎜、盤は赤褐色。腹面は淡色。子嚢は棍棒状~紡錘状、8胞子。胞子は無色、紡錘形、長さ27~33µm、幅約7µm。スポットテスト 髄層:K+黄色~赤色, KC+紅色~赤色, P+黄色~橙色。二次代謝物質はジロフォール酸、ノルスチクチン酸、スチクチン酸を含む。過去にコナカブトゴケと混同されていたことがある。
 コナカブトゴケ Lobaria pulmonaria は世界に広く分布し、裂芽がなく、粉芽がある。髄層:C-, K+黄色~深黄色~橙色, KC+黄色~橙色, P+橙色。スチクチン酸、ノルスチクチン酸を含む。
 トゲカブトゴケ Lobaria kazawaensis は群馬県鹿沢、尾瀬ケ原、埼玉県三峰だけに分布する。地衣体は大型、直径10~2㎝。裂片は幅約1㎝、背面に裂芽がある。共生藻は緑藻。髄層にトリテルペンだけを含む。
 テリハカブトゴケLobaria meridionalis は樹皮着生。灰緑色、直径5~8㎝、裂片が幅04~0.9㎜、裂片の背に粉霜がある。粉芽は欠き、縁にスプーン形の小裂片と円筒状の裂芽がある。腹面は黄褐色~褐色、黄褐色のトメンタがあり、偽根は黒色を帯び、わずか。子器は直径2~4㎜、盤は赤褐色~褐色。胞子は紡錘形、長さ20~30µm、幅7~8µm、3隔壁皮層:K-, 髄層:K+黄色~赤色 , P+黄色, KC-。スチクチン酸、ノルスチクチン酸、cryptostictic acid を含む。
 ツブカブトゴケ Lobaria tuberculata は緑褐色~褐色、大型、直径20㎝を超えることも多い。背面の凸部に円筒状(主に粒状)の裂芽を密生する。腹面は淡褐色、ほぼ黒色のトメンタと偽根を密生する。髄層:K- , KC+赤色, P-。ジロフォール酸、コンジロフォール酸を含む。
 ウスバカブトゴケ Lobaria linita は直径5~15(30)㎝、灰緑色~黄褐色、粉芽、裂芽、小裂片とも無い。腹面は淡黄褐色、トメンタは黒色を帯び、偽根は褐色。子器は直径1~4㎜、褐色~赤褐色。胞子は無色、長さ21~34µm、幅6~9µm、普通1(成熟すると3)隔壁。皮層:K-、髄層:K-, Kc-, P-。テヌイオリン、ジロホール酸メチル、methyl evemateを含む。  カラフトカブトゴケ Lobaria sachalinensisは背面に裂芽も粉芽もない。髄層:K- , P- , KC-。トリテルペン類のみを含む。
 カラフトカブトゴケ Lobaria sachalinensisは背面に裂芽も粉芽もない。髄層:K- , P- , KC-。トリテルペン類のみを含む。
 地衣体に網目状の凸凹がないエビラゴケ類にはエビラゴケ、ヤマトエビラゴケ、ウラグロエビラゴケなどがある。