ヘラガタカブトゴケ 箆形兜木毛
Flora of Mikawa
カブトゴケ Lobariaceae カブトゴケ属
中国名 | 劍形兜衣 jian xing dou yi、 匙芽肺衣 chi ya fei yi |
学 名 | Lobaria spathulata (Inum.) Yoshim |
分 類 | 子嚢地衣類(Ascolichens) |
生育形 | 葉状 |
大きさ | 直径 10~30㎝ |
生育場所 | 山地の湿潤な樹皮、岩上 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、ロシア |
撮 影 | 豊田市(樹皮) 14.6.26 |
カブトゴケ属のうち、シアノバクテリアを主の共生藻とするものを藍色カブトゴケ類、緑藻を共生藻とするものを緑色カブトゴケ類と分類している。緑藻を共生藻とする緑色カブトゴケ属の中で背面に網目状の凸凹があるものをナメラカブトゴケ類、ないものをエビラゴケ類と、大別されている。ヘラガタカブトゴケはナメラカブトゴケ類である。
樹皮着生~岩上着生、湿潤な場所につく。地衣体は革質、直径4~12(20)㎝、群生し、ときに直径50㎝を超すマットを形成する。裂片は不規則な鈍角に二叉分枝し、幅3~6㎜、あまり長くならない。背面には網目状の明瞭な凸凹がある。葉縁や背に扁平な裂芽や小裂片をつけ、円筒状の裂芽もある。粉芽はない。共生藻は緑藻、背面は暗緑褐色~褐色、湿潤時には鮮緑色になる。腹面は黄褐色~暗褐色、トメンタが密生する部分とトメンタがない部分が網目状になる、トメンタは黄褐色~暗褐色、偽根も混ざる。髄層は白色。子器はまれ、直径1~2㎝、裂片の背につく。盤は赤褐色。胞子は紡錘形、3隔壁、長さ25~30µm、幅5~7µm。スポットテスト 皮層:K- 髄層:K- , KC+赤色, P-。二次代謝物質はジロフォール酸、テレフォール酸を含む。
他の主なナメラカブトゴケ類は次のとおり。
ナメラカブトゴケLobaria orientalis は日本に普通に分布し、地衣体は暗緑色~緑色、革質、直径10~30㎝、裂片が鹿角状。背面に網目状の凸凹があり、粉芽、裂芽がない。子器はよくつけ、直径1~3㎜、盤は赤褐色。腹面は淡色。子嚢は棍棒状~紡錘状、8胞子。胞子は無色、紡錘形、長さ27~33µm、幅約7µm。スポットテスト 髄層:K+黄色~赤色, KC+紅色~赤色, P+黄色~橙色。二次代謝物質はジロフォール酸、ノルスチクチン酸、スチクチン酸を含む。過去にコナカブトゴケと混同されていたことがある。
コナカブトゴケ Lobaria pulmonaria は世界に広く分布し、裂芽がなく、粉芽がある。髄層:C-, K+黄色~深黄色~橙色, KC+黄色~橙色, P+橙色。スチクチン酸、ノルスチクチン酸を含む。
チヂレカブトゴケ Lobaria isidiophora は裂片の幅が4~10㎜と広く、背面の網目の尾根に円筒状裂芽がつき、裂芽がサンゴ状に枝分かれする。胞子は紡錘形。皮層:K+淡黄色、髄層:K+黄色, C+ピンク, KC+淡赤色, P+橙色。二次代謝物質はジロフォール酸(major),、スチクチン酸(major),、コンスチクチン酸、ノルスチクチン酸、 cryptostictic acid を含む。
テリハカブトゴケLobaria meridionalis は樹皮着生。灰緑色、直径5~8㎝、裂片が幅04~0.9㎜、裂片の背に粉霜がある。粉芽は欠き、縁にスプーン形の小裂片と円筒状の裂芽がある。腹面は黄褐色~褐色、黄褐色のトメンタがあり、偽根は黒色を帯び、わずか。子器は直径2~4㎜、盤は赤褐色~褐色。胞子は無粋形、長さ20~30µm、幅7~8µm、3隔壁皮層:K-, 髄層:K+黄色~赤色 , P+黄色, KC-。スチクチン酸、ノルスチクチン酸、cryptostictic acid を含む。
ツブカブトゴケ Lobaria tuberculata は緑褐色~褐色、大型、直径20㎝を超えることも多い。背面の凸部に円筒状(主に粒状)の裂芽を密生する。腹面は淡褐色、ほぼ黒色のトメンタと偽根を密生する。子器は見られない。髄層:K- , KC+赤色, P-。ジロフォール酸、コンジロフォール酸を含む。
ウスバカブトゴケ Lobaria linita は直径5~15(30)㎝、灰緑色~黄褐色、粉芽、裂芽、小裂片とも無い。腹面は淡黄褐色、トメンタは黒色を帯び、偽根は褐色。子器は直径1~4㎜、褐色~赤褐色。胞子は無色、長さ21~34µm、幅6~9µm、普通1(成熟すると3)隔壁。皮層:K-、髄層:K-, Kc-, P-。テヌイオリン、ジロホール酸メチル、methyl evemateを含む。
カラフトカブトゴケ Lobaria sachalinensisは背面に裂芽も粉芽もない。髄層:K- , P- , KC-。トリテルペン類のみを含む。
地衣体に網目状の凸凹がないエビラゴケ類にはエビラゴケ、ヤマトエビラゴケ、ウラグロエビラゴケなどがある。
樹皮着生~岩上着生、湿潤な場所につく。地衣体は革質、直径4~12(20)㎝、群生し、ときに直径50㎝を超すマットを形成する。裂片は不規則な鈍角に二叉分枝し、幅3~6㎜、あまり長くならない。背面には網目状の明瞭な凸凹がある。葉縁や背に扁平な裂芽や小裂片をつけ、円筒状の裂芽もある。粉芽はない。共生藻は緑藻、背面は暗緑褐色~褐色、湿潤時には鮮緑色になる。腹面は黄褐色~暗褐色、トメンタが密生する部分とトメンタがない部分が網目状になる、トメンタは黄褐色~暗褐色、偽根も混ざる。髄層は白色。子器はまれ、直径1~2㎝、裂片の背につく。盤は赤褐色。胞子は紡錘形、3隔壁、長さ25~30µm、幅5~7µm。スポットテスト 皮層:K- 髄層:K- , KC+赤色, P-。二次代謝物質はジロフォール酸、テレフォール酸を含む。
他の主なナメラカブトゴケ類は次のとおり。
ナメラカブトゴケLobaria orientalis は日本に普通に分布し、地衣体は暗緑色~緑色、革質、直径10~30㎝、裂片が鹿角状。背面に網目状の凸凹があり、粉芽、裂芽がない。子器はよくつけ、直径1~3㎜、盤は赤褐色。腹面は淡色。子嚢は棍棒状~紡錘状、8胞子。胞子は無色、紡錘形、長さ27~33µm、幅約7µm。スポットテスト 髄層:K+黄色~赤色, KC+紅色~赤色, P+黄色~橙色。二次代謝物質はジロフォール酸、ノルスチクチン酸、スチクチン酸を含む。過去にコナカブトゴケと混同されていたことがある。
コナカブトゴケ Lobaria pulmonaria は世界に広く分布し、裂芽がなく、粉芽がある。髄層:C-, K+黄色~深黄色~橙色, KC+黄色~橙色, P+橙色。スチクチン酸、ノルスチクチン酸を含む。
チヂレカブトゴケ Lobaria isidiophora は裂片の幅が4~10㎜と広く、背面の網目の尾根に円筒状裂芽がつき、裂芽がサンゴ状に枝分かれする。胞子は紡錘形。皮層:K+淡黄色、髄層:K+黄色, C+ピンク, KC+淡赤色, P+橙色。二次代謝物質はジロフォール酸(major),、スチクチン酸(major),、コンスチクチン酸、ノルスチクチン酸、 cryptostictic acid を含む。
テリハカブトゴケLobaria meridionalis は樹皮着生。灰緑色、直径5~8㎝、裂片が幅04~0.9㎜、裂片の背に粉霜がある。粉芽は欠き、縁にスプーン形の小裂片と円筒状の裂芽がある。腹面は黄褐色~褐色、黄褐色のトメンタがあり、偽根は黒色を帯び、わずか。子器は直径2~4㎜、盤は赤褐色~褐色。胞子は無粋形、長さ20~30µm、幅7~8µm、3隔壁皮層:K-, 髄層:K+黄色~赤色 , P+黄色, KC-。スチクチン酸、ノルスチクチン酸、cryptostictic acid を含む。
ツブカブトゴケ Lobaria tuberculata は緑褐色~褐色、大型、直径20㎝を超えることも多い。背面の凸部に円筒状(主に粒状)の裂芽を密生する。腹面は淡褐色、ほぼ黒色のトメンタと偽根を密生する。子器は見られない。髄層:K- , KC+赤色, P-。ジロフォール酸、コンジロフォール酸を含む。
ウスバカブトゴケ Lobaria linita は直径5~15(30)㎝、灰緑色~黄褐色、粉芽、裂芽、小裂片とも無い。腹面は淡黄褐色、トメンタは黒色を帯び、偽根は褐色。子器は直径1~4㎜、褐色~赤褐色。胞子は無色、長さ21~34µm、幅6~9µm、普通1(成熟すると3)隔壁。皮層:K-、髄層:K-, Kc-, P-。テヌイオリン、ジロホール酸メチル、methyl evemateを含む。
カラフトカブトゴケ Lobaria sachalinensisは背面に裂芽も粉芽もない。髄層:K- , P- , KC-。トリテルペン類のみを含む。
地衣体に網目状の凸凹がないエビラゴケ類にはエビラゴケ、ヤマトエビラゴケ、ウラグロエビラゴケなどがある。